JP2020026447A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れた潤滑油組成物の提供。【解決手段】基油と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、有機モリブデン化合物と、ヒドロキシ基及びカルボニル基を分子中に有する特定構造式のアミド化合物2種類の少なくとも一方で表される無灰型摩擦調整剤と、を含有し、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、組成物の全質量に対して亜鉛濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、前記有機モリブデンの含有量は、組成物の全質量に対してモリブデン濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、ヒドロキシ基及びカルボニル基を分子中に有する特定構造式のアミド化合物2種類の少なくとも一方で表される無灰型摩擦調整剤の合計含有量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%〜0.5質量%である、潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関し、詳しくは、内燃機関用潤滑油等の用途に好適に用いられる潤滑油組成物に関する。
近年地球温暖化が世界規模で問題となる中、自動車の排気ガスに含まれるCOの低減が強く求められるようになった。自動車のCO排出量を低減するためには、限られた燃料でより長距離の走行を可能とすること、すなわち、自動車の省燃費性能を向上させることが極めて有効である。自動車の省燃費性能の向上において、内燃機関のハードウェアの改良のみならず、その潤滑油であるエンジン油の改良も、多大な貢献をもたらすことが知られている。
内燃機関の省燃費性能の向上に着目した技術が種々提案されており、例えば、特許文献1には、特定の構造を有する粘度指数向上剤と、特定のポリマー化合物である摩擦調整剤とを組み合わせたエンジン油組成物が記載されている、
また、内燃機関用の潤滑油組成物には、省燃費性を向上させるため、摩擦によるエネルギー損失を低減させる手段の一つとして、摩擦調整剤の一つである、有機モリブデン化合物、例えばモリブデンジチオカルバメート(以下、「MoDTC」とも称する。)が添加されている(例えば、特許文献2参照)。MoDTCは、潤滑性、耐摩耗性、耐熱性等に優れ、金属に対する腐食性が低いといった潤滑油組成物の添加剤用途に適した性能を有することから、種々の改良がなされている(例えば、特許文献3参照)。
また、潤滑油組成物の耐摩耗性能の向上のために配合される添加剤としては、例えば、無灰型の摩擦調整剤なども挙げられる(例えば、特許文献2及び4参照)。
特開2015−160951号公報 国際公開第2016/152540号 特開2017−088749号公報 米国特許公開第2017/0096615号明細書
内燃機関用等に適用される潤滑油組成物においては、低温から高温までのいずれの温度条件(例えば、エンジンオイルの代表的な使用温度とされている60℃及び90℃)においても効果的に摩擦を低減させることが求められる。
上述のとおり、有機モリブデン化合物の一態様であるMoDTCは、摩擦調整剤の一つとして潤滑油組成物に添加されている。しかしながら、MoDTCを添加した潤滑油組成物は、比較的低温領域(例えば60℃)での摩擦調整効果が小さいことから、MoDTCの添加のみでは、高温条件での摩擦調整効果が十分に得られない。
そこで、比較的低温の条件(例えば60℃)において、MoDTCとの対比で摩擦面への吸着が早い傾向がある極性部位と油溶部位とを有する両親媒性の無灰型摩擦調整剤(すなわち、油溶性の界面活性剤タイプの無灰型摩擦調整剤)の開発が試みられてきた。
しかしながら、これまでに開発された無灰型摩擦調整剤は、ある程度の摩擦低減効果は得られるものの、未だMoDTCと同等以上の摩擦低減効果が得られるものは見出されていない。したがって、従来の無灰型摩擦調整剤を潤滑油組成物に添加するのみでは、高温条件(例えば、90℃)において摩擦面に対する吸着活性を保持することができず、摩擦低減効果を得られにくいという課題がある。
また、高温条件でより効果的に摩擦を低減させる効果をするMoDTCと、低温条件においても高温と同等以上の摩擦低減効果を有する無灰型摩擦調整剤と、の併用による相乗効果についても種々検討がなされているが、化合物同士の吸着や摩擦面への吸着速度の違いなどによる競合吸着によって互いの低摩擦化効果を阻害することがあることが見出されている。
このように、低温から高温のいずれの温度条件においても優れた摩擦低減効果を示す潤滑油組成物が望まれており、このような潤滑油組成物は、内燃機関等において省燃費性を向上させる手段の一つとして有効であると考えられるものの、未だ提供されるに至っていないのが現状である。
本発明は、このような状況下でなされたものであり、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れた潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、基油に、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、モリブデン化合物、及び特定の無灰型摩擦調整剤を、それぞれ、特定の範囲の量で含有させた潤滑油組成物が、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 基油と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、有機モリブデン化合物と、下記一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される化合物である無灰型摩擦調整剤と、を含有し、
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、組成物の全質量に対して亜鉛濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、有機モリブデンの含有量は、組成物の全質量に対してモリブデン濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、一般式(1)及び(2)で表される化合物である無灰型摩擦調整剤の合計含有量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%〜0.5質量%である、潤滑油組成物。
一般式(1)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。
<2>有機モリブデン化合物が、モリブデンジチオカルバメートである<1>記載の潤滑油組成物。
<3> 一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される化合物である無灰型摩擦調整剤の合計含有量は、組成物の全質量に対して、0.15質量%〜0.25質量%である、<1>又は<2>に記載の潤滑油組成物。
<4> 内燃機関用である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の潤滑油組成物。
本発明によれば、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れた潤滑油組成物を提供することができる。
モリブデンを含まない比較例1の燃料消費量を100%とし、これに対する実施例1の燃料消費量の改善割合(%)を表す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中、数値範囲を現す「〜」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「〜」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
《潤滑油組成物》
本発明の潤滑油組成物は、基油と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(以下、適宜「ZnDTP」と略称する。)と、有機モリブデン化合物と、下記一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される化合物である無灰型摩擦調整剤(以下、適宜「特定無灰型摩擦調整剤」と略称する。)と、を含有し、ZnDTPの含有量は、組成物の全質量に対して亜鉛濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、有機モリブデンの含有量は、組成物の全質量に対してモリブデン濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される化合物である無灰型摩擦調整剤の合計含有量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%〜0.5質量%である。
一般式(1)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。
本発明の潤滑油組成物は、内燃機関用の潤滑油組成物であることが好ましい。
また、本開示は、本発明の潤滑油組成物を使用して、内燃機関の省燃費性を向上させる方法を含む。
本発明の潤滑油組成物は、内燃機関用潤滑油組成物の他、摩擦の低減が求められる装置群の潤滑油組成物として適用し得る。
以下に、本発明者らが、本発明の潤滑油組成物を完成するに至った経緯について説明する。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、有機モリブデン化合物の分解生成物の中で優れた低摩擦効果を示すとされる二硫化モリブデン由来の皮膜形成と高摩擦なZnDTP由来のポリリン酸系皮膜の形成機構及び低温条件での低摩擦化効果の発現機構について再考した。
本発明の潤滑油組成物は、基油と共に含有させる成分として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン化合物、及び特定の無灰型摩擦調整剤の3種の成分を組み合わせ、さらにこれら3種の成分の含有量を特定の範囲としたことにより、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れた潤滑油組成物を提供することができる。
すなわち、本発明の潤滑油組成物によれば、境界潤滑条件から混合潤滑条件における摩擦損失の大幅な低減が可能である。したがって、このような潤滑油組成物を内燃機関用途に適用することにより、優れた省燃費性能が発揮される。
一般的に、有機モリブデン化合物とZnDTPの2成分を併用して添加する場合、有機モリブデン化合物は、摩擦面に対して一旦吸着する。そして有機モリブデン化合物が、境界潤滑領域において、摩擦熱、又は、高圧力条件に曝されることよって、分解されて酸化モリブデンを形成する。続けて油中の硫黄原子含有化合物、即ち、ZnDTP由来の化合物との反応により、低せん断性である二硫化モリブデン(MoS)へと変換され、摩擦面に積層される。MoSがさらに生成されて、摩擦面でのMoSの存在量が増加することで摩擦を低減させる。摩耗防止剤及び酸化防止剤の作用を有するZnDTPを併用することによって、でMoSの生成を促進することが知られている。
本発明の潤滑油組成物では、有機モリブデン化合物とZnDTPの2成分に特定無灰型摩擦調整剤を添加することによって、一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される特定の無灰型摩擦調整剤によるキレート効果により、Znがより速やかに取り除かれることによって、MoSの形成を更に促進し、摩擦性低減効果がより顕著に現れると推測される。
本発明の潤滑油組成物が含有しうる各成分について説明する。
<基油>
本発明の潤滑油組成物に含まれる基油としては、特に制限はなく、鉱油系基油及び合成系基油の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。基油は、鉱油系基油と合成系基油との混合物であってもよい。
鉱油系基油としては、例えば、原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法を適宜組合せて精製したものが挙げられる。
なお、後述の粘度指数が125以上である基油としては、水素化精製油、触媒異性化油等に溶剤脱蝋又は水素化脱蝋等の処理を施し、高度に精製されたパラフィン系鉱油(以下、「高粘度指数鉱油系潤滑油基油」とも称する場合がある。)などが挙げられる。
合成系基油としては、例えば、メタン等の天然ガスを原料として合成されるイソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ジアルキルジエステル類、ポリオール類、アルキルベンゼン類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類などが挙げられる。
基油の性状は、通常の内燃機関用潤滑油組成物の性状であれば、特に制限されないが、より省燃費性能に優れた内燃機関用潤滑油組成物とするためには、100℃での動粘度(JIS−K−2283(2000)(ASTM D445))が3mm/s〜12mm/sであり、かつ、粘度指数(JIS K 2283(2000)(ASTM D2270))が120以上であることが好ましく、100℃動粘度が3mm/s〜7mm/sであり、かつ、粘度指数が125以上であることがより好ましく、100℃動粘度が3.5mm/s〜5.0mm/sであり、かつ、粘度指数が130以上であることが更に好ましい。
このような性状の基油は、アメリカ石油協会(API)の基油分類で、グループII基油(硫黄分0.03質量%以下、飽和分90質量%以上及び粘度指数80〜120未満の性状を有する基油)と、グループIII基油(硫黄分0.03質量%以下、飽和分90質量%以上及び粘度指数120以上)と、を混合して、上記性状に合わせたものであってもよいが、高い省燃費性能を発揮する点でグループIII以上の分類に属する基油であることが好ましい。
基油の含有量としては、潤滑油組成物の全質量に対して、60質量%〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは、70質量%〜80質量%である。
<ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)>
本発明の潤滑油組成物は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する。潤滑油組成物がジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有することにより、摩耗防止性能を高めることができる。
ジアルキルジチオリン酸亜鉛が有するアルキル基は、第一級(プライマリー)タイプのアルキル基、第二級(セカンダリー)タイプのアルキル基、又は第一級(プライマリー)タイプのアルキル基と第二級(セカンダリー)タイプのアルキル基との両方を一分子中に有する化合物であってもよい。上記アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
アルキル基の炭素数としては、特に制限はないが、摩耗防止性能がより高くなる点で、3〜12であることが好ましく、3〜8であることがより好ましい。
ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して、亜鉛濃度換算で、100ppm(0.01質量%)〜2000ppm(0.20質量%)である。
ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、上記範囲内であると、期待する摩耗防止性が十分に得ることができ、二硫化モリブデンの生成効率を向上することができる。上記観点から、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量としては、潤滑油組成物の全質量に対して、亜鉛濃度換算で500ppm(0.05質量%)〜2000ppm(0.2質量%)であることが好ましく、500ppm〜1000ppmであることがより好ましく、600ppm〜800ppmであることが更に好ましい。
<有機モリブデン化合物>
本発明の潤滑油組成物は、有機モリブデン化合物を含有する。
有機モリブデン化合物としては、特に制限はなく、例えば、モリブテンジチオホスフェート、モリブデンジチオカルバメート、モリブテン酸アミン化合物、モリブデン長鎖脂肪族アミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、優れた低摩擦性を発現する観点から、有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオカルバメートであることが好ましく、炭素数13及び炭素数8のアルキル基を有するモリブデンジチオカルバメートであることがより好ましい。
有機モリブデン化合物の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して、モリブデン濃度換算で、500ppm〜2000ppmである。
有機モリブデン化合物の含有量が上記範囲内であると、摩耗防止性能をより高めることができる。
上記観点から、有機モリブデン化合物の含有量としては、好ましくはモリブデン濃度換算で700ppm〜1100ppmである。
<無灰型摩擦調整剤>
本発明の潤滑油組成物としては、下記一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される化合物である無灰型摩擦調整剤(以下、「特定無灰型摩擦調整剤」とも称する場合がある。)を含有する。
潤滑油組成物が特定無灰型摩擦調整剤を含有することで、前述の有機モリブデン及びジアルキルジチオリン酸に対するキレート効果を発揮し、摩擦性低減効果をより顕著に発現することができる。
一般式(1)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。
で表される炭素数8〜18の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。また、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。
で表される炭素数8〜18の炭化水素基としては、溶解性の観点から、炭素数8〜18の飽和炭化水素基であることが好ましい。
一般式(2)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。
は、一般式(1)中のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
特定の無灰型摩擦調整剤は、合成して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
特定無灰型摩擦調整剤として、長鎖脂肪酸エステルである、炭素数18の不飽和脂肪酸を主成分として有するグリセロールモノオレエート化合物を用いる場合、例えば、(株)ADEKA製の「FM−210(商品名)」を好適に用いることができる。
特定無灰型摩擦調整剤を合成して用いる場合、例えば、脂肪酸として、炭素数8〜炭素数18の飽和脂肪酸と、炭素数18の不飽和脂肪酸とからなるヤシ油と、純度99%以上のジエタノールアミンから得られるアルコキシアミド、アルコキシエステル等と、プロピレンオキシドと反応させて得られる化合物を特定無灰型摩擦調整剤として用いてもよい。
プロピレンオキシドとの反応により得られた化合物としては、共通構造としてヒドロキシ基及びカルボニル基を分子中に有する。また、上記化合物は、アミド結合、エステル結合、エーテル結合等を構造中に単独又は複数有していてもよく、場合によっては第3級アミン構造を有していてもよい。
特定無灰型摩擦調整剤の合計含有量としては、潤滑油組成物全重量に対して、0.1質量%〜0.5質量%である。中でも、より優れた低摩擦特性を示す観点から、特定無灰型摩擦調整剤の合計含有量としては、0.15質量%〜0.25質量%であることが好ましい。
<その他の添加剤>
また、本発明の潤滑油組成物は、必要に応じて、上記基油、と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、有機モリブデン化合物及び上記特定無灰型摩擦調整剤以外の添加剤(以下、「その他の添加剤」ともいう。)を更に、含有してもよい。
その他の添加剤としては、粘度指数向上剤、金属型清浄剤及び上記一般式(1)及び(2)で表される化合物以外の無灰型摩擦調整剤等(以下、「その他の無灰型摩擦調整剤」とも称する場合がある。)が挙げられる。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキル(メタ)アクリレート、オレフィンコポリマー、スチレンコポリマー等が挙げられる。
粘度指数向上剤は、1種単独であってもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、「特定(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とも称する場合がある。)に由来する構造単位を有する重合体が挙げられる。
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、特定(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体であってもよいし、特定(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これ以外の単量体との共重合体であってもよい。
一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、炭素数1〜炭素数18のアルキル基を表す。
一般式(3)中、Rで表されるアルキル基としては、特に制限はなく、直鎖又は分岐鎖であってもよい。また、Rで表されるアルキル基は、アミノ基、スルホン酸基等の極性基を有していてもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、一般式(3)で表される構造単位のRが、全てが同じものであっても、異なるものであってもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、アミノ基、スルホン酸基等の極性基を有する分散型であっても、極性基をもたない非分散型であってもよい。
粘度指数向上剤の重量平均分子量としては、100,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは150,000〜600,000である。
金属型清浄剤としては、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属スホネート、アルカリ土類金属フェネート等が挙げられる。
金属型清浄剤は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせて用いてもよい。
金属型清浄剤としては、エンジン油の長寿命性と摩擦低減とを両立させる観点から、アルカリ土類金属サリシレートが好ましく、カルシウムサリシレートであることがより好ましい。
金属型清浄剤は、過塩素酸法(JIS−K−2501(2003))による全塩基価が、好ましくは20mgKOH/g以上であり、より好ましくは200mgKOH/g〜240mgKOH/gであり、更に好ましくは210mgKOH/g〜230mgKOH/gである。
組成物の塩基価保持性向上に有効である観点から、過塩基性金属型清浄剤としては、好ましくは、塩基価が20mgKOH/g以上のカルシウム系金属型清浄剤及び塩基価が20mgKOH/g以上のマグネシウム系金属型清浄剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくは塩基価が200mgKOH/g以上のカルシウム系金属型清浄剤である。
潤滑油組成物が金属型清浄剤を含有する場合、金属型清浄剤の含有量としては、潤滑油組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%〜5質量%であり、より好ましくは1質量%〜2.5質量%であり、更に好ましくは1質量%〜2質量%である。
その他の無灰分散剤としては、例えば、下記一般式(4)又は一般式(5)で表されるアルケニルコハク酸イミド系分散剤等、及びアルケニルコハク酸イミドをホウ素変性させた化合物が挙げられる。
一般式(4)又は一般式(5)において、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基又はアルケニル基を示し、R5及びR7の少なくとも一方はポリブテニル基であり、ポリブテニル基の数平均分子量は1000〜2000であり、好ましくは1000〜1500である。R5及びR7は同じ構造のポリブテニル基でもよいし、互いに異なってもよい。
は炭素数2〜5のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基であることがより好ましい。nは1〜10の整数であることが好ましい。
一般式(4)又は一般式(5)で表されるアルケニルコハク酸イミドをホウ素変性させた分散剤の重量平均分子量は、1000〜20000であり、好ましくは5000〜5700である。分散剤のポリブテニル基の数平均分子量と、分散剤の重量平均分子量をそれぞれ上記の範囲にすることでガスエンジン油として十分な分散性を得ることができる。例えば、重量平均分子量が5000〜6000の範囲内であることで、NOxガスを使用する酸化試験において急激に動粘度が上昇することを抑制することができる。
なお、上記数平均分子量及び重量平均分子量は、下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量算定用標準ポリスチレン換算の値である。
<条件>
装置:Shodex GPC−101(昭和電工(株)製)、カラム:Shodex GPC LF−804(昭和電工(株)製)を3本、検出器:示差屈折検出器、移動相:THF(テトラヒドロフラン)、流量:1ml/min、試料濃度:約1.0mass%/vol%THF、注入量:100μL
酸化防止剤としては、フェノール系の酸化防止剤、アミン系の酸化防止剤等が挙げられる。これらは、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせて用いてもよい。
フェノール系の酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物が挙げられる。
アミン系の酸化防止剤としては、ナフチルアミン系酸化防止剤、ジアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤などの芳香族アミン化合物系酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して、好ましくは0.050質量%〜5.0質量%、より好ましくは0.50質量%〜3.0質量%である。
本発明の潤滑油組成物は、金属不活性化剤、さび止め剤、流動点降下剤、泡消剤等、省燃費性能を付与するのに効果的な各種添加剤を必要に応じて含有してもよい。
上記金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカルバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
上記さび止め剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコーン、及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物が、その他の添加剤を含有する場合、金属不活性化剤、及びさび止め剤の含有量は、燃料油組成物の全質量基準で、それぞれ0.005質量%〜5質量%であることが好ましく、金属不活性化剤の含有量としては、0.0051質量%〜1質量%であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜5及び比較例1〜12)
実施例及び比較例では、以下に示す(1)〜(7)の成分を表1又は表2に示した配合量(質量部)の割合で含有させて潤滑油組成物を調製した。なお、表中の「−」は、当該成分を配合していないことを意味する。
(1)基油
水素化分解系の鉱油系基油(グループIII基油):100℃動粘度4.1mm/s、粘度指数134
(2)粘度指数向上剤
・粘度指数向上剤A;分子構造の中心部にジビニルベンゼンを含み、スチレンとイソプレン及びブタジエンとの共重合体及び水素化により得られたポリマー鎖を有する星型ポリマー。重量平均分子量;595,000、希釈用基油を除く有効成分量は11.0質量%であった。なお、重量平均分子量は、既述の方法で測定した値である。
・粘度指数向上剤B;
ポリアルキルメタアクリレート(PMA):重量平均分子量;440,000、希釈用基油を除く有効成分量は19.7質量%であった。
なお、上記粘度指数向上剤の重量平均分子量は、既述の方法で測定した値である。
(3)摩擦調整剤
・摩擦調整剤1;一般式(1)及び(2)で表される化合物であり、Rは炭素数8〜18の飽和炭化水素又は炭素数18の1つの二重結合を有する炭化水素基を有する混合物である特定無灰型摩擦調整剤。
・摩擦調整剤2;モリブデンジチオカルバメート(硫化オキシモリブデンジチオカルバメート)、モリブデン量:10.2質量%。(有機モリブデン化合物)
・摩擦調整剤3;グリセリンモノオレート
(4)摩耗防止剤;
摩耗防止剤として、炭素数4〜5のアルキル基と、を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。
(5)分散剤
・分散剤A:一般式(4)で示されるアルケニルコハク酸イミド、重量平均分子量;7,370、窒素含有量;1.1質量%、ホウ素を含有しない。
・分散剤B:一般式(4)で示されるアルケニルコハク酸イミドをホウ素変性させたもの、重量平均分子量;4,380、窒素含有量;1.4質量%、ホウ素含有量;0.5質量%。
(6)金属型清浄剤
・清浄剤A:カルシウムサリシレート、塩基価;170mgKOH/g。
・清浄剤B:カルシウムフェネート、塩基価;255mgKOH/g。
なお、ここでいう塩基価とはJIS−K−2501(2003)に従って測定された値である。
(7)その他の添加剤
フェノール型酸化防止剤、流動点降下剤及びシリコーン系消泡剤を含む。
−評価−
(摩擦試験)
往復動摩擦試験機「TE77」(Phoenix Tribology社製)を用いて、実施例及び比較例の潤滑油組成物の摩擦低減効果を評価した。
試験シリンダーを、ストローク±3mm、10Hz、油温60℃、荷重100Nの条件で1分間の慣らし運転を行った。次いで、試験プレートを上記で調製した潤滑油組成物(油温;60℃)に浸漬させて、ストローク±3mm、10Hz、油温60℃、荷重100Nの条件で、試験シリンダーを試験プレート上で往復摺動させた。このときの摩擦係数を15分間測定し摩擦係数の平均値を油温60℃における摩擦係数とした。
上記測定後、潤滑油組成物の油温を90℃まで昇温した後、ストローク±3mm、10Hz、油温90℃、荷重100Nの条件で1分間の慣らし運転を行った。次いで、試験プレートを上記で調製した潤滑油組成物(油温;90℃)に浸漬させて、ストローク±3mm、10Hz、油温90℃、荷重100Nの条件で、試験シリンダーを試験プレート上で往復摺動させた。このときの摩擦係数を15分間測定し摩擦係数の平均値を油温90℃における摩擦係数とした。
上記で得られた油温60℃における摩擦係数と油温90℃における摩擦係数との算術平均値を求めた。結果を表1及び表2に示す。
摩擦係数の算術平均値が小さいほど、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れると判断することができる。
なお、上記試験で使用した試験プレートは、材質;SUJ−2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)、形状;長さ58mm×幅38mm×厚さ4mmであり、試験シリンダーは、材質SUJ−2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)、形状;直径6mm×長さ14mmである。
(燃費試験)
実施例1及び比較例1の潤滑油組成物を用いて、JASO 自動車用ディーゼル機関潤滑油−燃費試験方法(JASO M362:2017)に基づき、燃費試験を実施した。モリブデンを含まない比較例1の燃料消費量を100%とし、これに対する実施例1の燃料消費量の改善(%)を算出し、燃費向上効果の評価を行った。
燃費試験の結果について表3及び図1に示す。
表1に示すとおり、実施例の潤滑油組成物は、油温が60℃及び90℃の場合であっても摩擦係数が小さく、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れていることが分かる。また、実施例の潤滑油組成物は、比較例1と比べて燃費効率が高く省燃費性能に優れていることが分かる。
一方、表2に示すとおり、比較例の潤滑油組成物は、実施例の潤滑油組成物に比べて、油温が60℃及び90℃の摩擦係数の値が大きく、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に劣っていることが分かる。
以上より、本発明の潤滑油組成物は、高温から低温のいずれの温度条件においても低摩擦性に優れるので、内燃機関用の潤滑油組成物としても好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 基油と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、有機モリブデン化合物と、下記一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される化合物である無灰型摩擦調整剤と、を含有し、
    前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、組成物の全質量に対して亜鉛濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、
    前記有機モリブデン化合物の含有量は、組成物の全質量に対してモリブデン濃度換算で500ppm〜2000ppmであり、
    前記一般式(1)及び(2)で表される化合物である無灰型摩擦調整剤の合計含有量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%〜0.5質量%である、
    潤滑油組成物。

    一般式(1)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。

    一般式(2)中、Rは、炭素数8〜18の炭化水素基を表す。
  2. 前記有機モリブデン化合物が、モリブデンジチオカルバメートである請求項1記載の潤滑油組成物。
  3. 前記一般式(1)及び(2)の少なくとも一方で表される化合物である無灰型摩擦調整剤の合計含有量は、組成物の全質量に対して、0.15質量%〜0.25質量%である、請求項1又は請求項2に記載の潤滑油組成物。
  4. 内燃機関用である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
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