JP2020026405A - アセナピン含有貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 統合失調症の治療に有効であり、副作用の低減した貼付剤を提供すること。【解決手段】 支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、粘着剤層がアセナピンマレイン酸塩、スチレン系粘着剤、及び、吸収促進剤を含有し、アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で0.05〜0.34mg/kg体重であり、16〜26時間に1回の間隔でヒトの皮膚に貼付することによりアセナピンを投与するための貼付剤。【選択図】なし

Description

本発明は、アセナピン含有貼付剤に関する。
アセナピンは、統合失調症等の中枢神経系疾患の治療に用いられている。アセナピンは肝代謝の影響を大きく受けるため、アセナピンマレイン酸塩を含有する舌下錠の形態で、販売されている。また、アセナピンを含有する貼付剤が報告されている(例えば、特許文献1〜3)。
国際公開第2014/017593号 国際公開第2014/017594号 国際公開第2014/017595号
統合失調症の症状は、陽性症状と陰性症状に分類される。陽性症状は、ドパミンD受容体の活性化が関与しており、例えば、妄想、幻覚、幻聴等が挙げられる。陰性症状は、ドパミンD受容体の抑制が関与しており、例えば、自閉、意識の欠如が挙げられる。統合失調症の化学治療では、密接に関係した多くの受容体を適切に調節する必要がある。特に5−HT2A受容体拮抗作用は、陰性症状及び認知機能障害の改善、錐体外路障害及び高プロラクチン血症の軽減に有効であり、D受容体活性化に寄与する。また、5−HT1A受容体刺激作用は、陰性症状、認知機能、うつ症状及び不安症状の改善効果、錐体外路障害の軽減に有効である。さらに、5−HT2C受容体拮抗作用は、抗不安作用に寄与し、5−HT及び5−HT受容体拮抗作用は、認知機能改善効果に寄与する。
統合失調症等の精神疾患の場合には、規則正しい服薬を達成することが困難なために経皮投与等の簡便な投与方法の開発が期待されるが、そのためには有効成分の薬理活性プロファイル、体内動態の傾向を把握することが重要である。しかしながら、アセナピン又はその塩を含有する貼付剤をヒトの皮膚に適用したときの体内動態のデータはほとんどない。
そこで、本発明は、統合失調症の治療に有効であり、副作用の低減した貼付剤を提供することを目的とする。また、本発明はまた、統合失調症の治療に有効であり、副作用の低減した貼付剤の使用方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[10]を提供する。
[1] 支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、粘着剤層がアセナピンマレイン酸塩、スチレン系粘着剤、及び、吸収促進剤を含有し、アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で0.05〜0.34mg/kg体重であり、16〜26時間に1回の間隔でヒトの皮膚に貼付することによりアセナピンを投与するための貼付剤。
[2] 統合失調症を治療するための貼付剤である、[1]に記載の貼付剤。
[3] スチレン系粘着剤が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を含む、[1]又は[2]に記載の貼付剤。
[4] 吸収促進剤が、パルミチン酸イソプロピル、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、スクワラン、及びイソステアリルアルコールから選択される、[1]又は[2]に記載の貼付剤。
[5] アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で6.4mgであるとき、アセナピンの最大血漿中濃度(Cmax)が0.5〜6.0ng/mLであり、Tmaxが8〜28時間である、[1]〜[3]のいずれかに記載の貼付剤。
[6] 支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、粘着剤層がアセナピンマレイン酸塩、スチレン系粘着剤、及び、吸収促進剤を含有し、アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で3〜20mgであり、16〜26時間に1回の間隔でヒトの皮膚に貼付することによりアセナピンを投与するための貼付剤。
[7] 統合失調症を治療するための貼付剤である、[6]に記載の貼付剤。
[8] スチレン系粘着剤が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を含む、[6]又は[7]に記載の貼付剤。
[9] 吸収促進剤が、パルミチン酸イソプロピル、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、スクワラン、及びイソステアリルアルコールから選択される、[6]〜[8]のいずれかに記載の貼付剤。
[10] アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で6.4mgであるとき、アセナピンの最大血漿中濃度(Cmax)が0.5〜6.0ng/mLであり、Tmaxが8〜28時間である、[6]〜[9]のいずれかに記載の貼付剤。
本発明によれば、簡便な手法で初回通過効果を回避し、統合失調症の陽性症状及び陰性症状の治療に有効である貼付剤を提供することができる。
実施例1〜4におけるドパミンD受容体の占有率を示すグラフである。 実施例2及び4のPANSSスコアを示すグラフである。
本発明の実施形態について、以下に詳述する。
本発明の一実施形態に係る貼付剤は、支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、粘着剤層がアセナピンマレイン酸塩、スチレン系粘着剤、及び吸収促進剤を含有し、アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で3〜20mgであり、16〜26時間に1回の間隔でヒトの皮膚に貼付することによりアセナピンを投与するための貼付剤である。
本実施形態に係る貼付剤は、支持体上に粘着剤層を備えており、粘着剤層はアセナピンマレイン酸塩、スチレン系粘着剤、及び吸収促進剤を含有する。
支持体は、粘着剤層を支持するのに適したものであれば特に限定はされず、伸縮性又は非伸縮性のものを用いることができる。支持体の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルム、シート、これらの積層体、多孔体、発泡体、布及び不織布、並びにこれらのラミネート品などが使用できる。また、好ましい支持体の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンである。好ましい支持体の具体例としては、Scotchpak(登録商標、スリーエム社) 9723、9732等のScotchpakシリーズが挙げられる。
支持体は、その粘着剤層と接する面に、サンドマット処理を施してもよい。支持体にサンドマット処理を施すことにより、投錨性がより向上する。サンドマット処理の方法としては、当業者に周知の方法により行うことができる。
アセナピンは、式(1)で表される化合物であり、trans−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールとも呼ばれる。
Figure 2020026405
アセナピンは、幅広いサブタイプのセロトニン受容体(5−HT1A、5−HT1B、5−HT2A、5−HT2B、5−HT2C、5−HT、5−HT)、ドパミン受容体(D、D、D)、アドレナリン受容体(α1A、α2A、α2B、α2C)及びヒスタミン受容体(H、H)に対して高い親和性を示す。アセナピンは、5−HT2A受容体を遮断することにより、ドパミンの放出抑制を抑制する一方、ドパミンD受容体の遮断作用は比較的弱いため、ドパミンD受容体の過剰な遮断は生じにくい。ドパミンD受容体の過剰な遮断は、錐体外路症状の原因となり得る。黒質線条体におけるドパミンD受容体の占有率が80%を超えると、錐体外路症状がより発現しやすくなる。
また、アセナピンマレイン酸塩は、統合失調症の治療薬として知られているが、肝臓での代謝を受けやすい。そのため、アセナピンを経口投与すると、消化管から吸収された後、肝臓で代謝され、その多くがN−デスメチルアセナピン等の代謝物に変換され得る。アセナピンマレイン酸塩を含有する治療薬は、サフリス舌下錠(商品名)、シクレスト舌下錠(商品名)が知られている。薬物を舌下投与すると、血中に移行した薬物は小血管から全身に直接的に運ばれる。
本明細書において、「遊離体換算で0.05〜0.34mg/kg体重のアセナピンマレイン酸塩」とは、投与対象であるヒトが成人(成人の体重を60kgと仮定する。)である場合には、アセナピンマレイン酸塩の量は、遊離体換算で3〜20mgであり、投与対象であるヒトが小児(小児の体重を15kgと仮定する。)である場合には、アセナピンマレイン酸塩の量は、遊離体換算で0.75〜5.1mgであることを意味する。すなわち、本実施形態に係る貼付剤には、支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、粘着剤層がアセナピンマレイン酸塩を含有し、アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で3〜20mgである、統合失調症を治療又はその症状を緩和するための貼付剤という側面もある。
アセナピンマレイン酸塩の含有量をアセナピン遊離体の含有量に換算する方法としては、アセナピンマレイン酸塩の含有量(質量)を当該アセナピンマレイン酸塩の分子量(例えば、アセナピン:マレイン酸=1:1で形成する塩であれば、その分子量は401.84である。)で除した値に、アセナピンの分子量(285.77)をかける方法であってもよい。
投与対象であるヒトが成人(成人の体重を60kgと仮定する。)である場合、粘着剤層におけるアセナピンマレイン酸塩の含有量は、遊離体換算で3〜20mgであってもよく、4〜20mgであってもよく、6〜19mgであってもよい。アセナピンマレイン酸塩の含有量は、遊離体換算で4〜20mgであることが好ましく、6〜19mgであることがより好ましい。
投与対象であるヒトが小児(小児の体重を15kgと仮定する。)である場合、粘着剤層におけるアセナピンマレイン酸塩の含有量は、遊離体換算で0.75〜5.1mgであってもよく、1〜5mgであってもよく、1.5〜4.75mgであってもよい。アセナピンマレイン酸塩の含有量は、1〜5mgであることが好ましく、1.5〜4.75mgであることがより好ましい。
スチレン系粘着剤は、モノマー単位としてスチレンを含む共重合体であり、貼付剤をヒトの皮膚に16〜26時間貼付可能な付着力を発揮し得るものであればよい。スチレン系粘着剤としては、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。スチレン系粘着剤の具体例としては、Quintac 3570C(商品名、日本ゼオン社製)、SIS5002(商品名、ジェイエスアールクレイトンエラストマー社製)等が挙げられる。
スチレン系粘着剤の含有量は、粘着剤層全体の質量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
吸収促進剤は、従来、皮膚での吸収促進作用を有することが知られている化合物であればよい。吸収促進剤としては、例えば、有機酸及びその塩(例えば、炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸(以下、「脂肪酸」ともいう。)及びその塩、ケイ皮酸及びその塩)、有機酸エステル(例えば、脂肪酸エステル、ケイ皮酸エステル)、有機酸アミド(例えば、脂肪酸アミド)、脂肪アルコール、多価アルコール、エーテル(例えば、脂肪エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)などが挙げられる。これらの吸収促進剤は、不飽和結合を有していてもよく、環状、直鎖状又は分枝状の化学構造であってもよい。また、吸収促進剤は、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、及び植物油(例えば、オリーブ油)であってもよい。これらの吸収促進剤は2種以上組み合わせてもよい。
かかる有機酸としては、脂肪族(モノ、ジ又はトリ)カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、クエン酸(無水クエン酸を含む)、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、脂肪酸、乳酸、マレイン酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸等)、芳香族カルボン酸(例えば、フタル酸、サリチル酸、安息香酸、アセチルサリチル酸等)、ケイ皮酸、アルカンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸)、アルキルスルホン酸誘導体(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)、コール酸誘導体(例えば、デヒドロコール酸等)が挙げられる。これらの有機酸は、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩であってもよい。中でも、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸又はこれらの塩が好ましく、酢酸、酢酸ナトリウム又はクエン酸が特に好ましい。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレン酸が挙げられる。
有機酸エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、乳酸セチル、乳酸ラウリル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、ケイ皮酸メチル、脂肪酸エステルが挙げられる。脂肪酸エステルは、炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸とアルキルアルコールから合成され得るエステルであってもよい。脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチルが挙げられる。脂肪酸エステルは、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であってもよい。脂肪酸エステルの具体例としては、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエー卜、ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20(商品名)、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、Span20、Span40、Span60、Span80、Span120(商品名)、Tween20、Tween21、Tween40、Tween60、Tween80(商品名)、NIKKOL HCO−60(商品名、日光ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
有機酸アミドとしては、例えば、脂肪酸アミド(例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド)、ヘキサヒドロ−1−ドデシル−2H−アゼピン−2−オン(Azoneともいう。)及びその誘導体、ピロチオデカンが挙げられる。
脂肪アルコールとは、炭素原子数6〜20の脂肪族アルコールを意味する。脂肪アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコールが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
モノテルペン系化合物としては、例えば、ゲラニオール、チモール、オイゲノール、テルピネオール、l−メントール、ボルネオロール、d−リモネン、イソオイゲノール、イソボルネオール、ネロール、dl−カンフルが挙げられる。
オレイルアルコール、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノオレエー卜、ソルビタンモノラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル又はピロチオデカンがより好ましい。脂肪酸が好ましく、オレイン酸が特に好ましい。
吸収促進剤が、パルミチン酸イソプロピル、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、スクワラン及びイソステアリルアルコールから選択される少なくとも1つの化合物であることが特に好ましい。
吸収促進剤の含有量は、粘着剤層の全質量を基準として、0.1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
粘着剤層は、その他の成分として、スチレン系粘着剤以外の粘着剤、粘着付与樹脂、可塑剤、安定化剤、充填剤、溶剤、香料等をさらに含有してもよい。
スチレン系粘着剤以外の粘着剤は、貼付剤をヒトの皮膚に16〜26時間貼付可能な付着力を発揮し得るものであればよく、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、又はシリコーン系粘着剤であってもよい。ある実施形態では、粘着剤は、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤であり、シリコーン系粘着剤を含有しない。別の実施形態では、粘着剤は、ゴム系粘着剤又はシリコーン系粘着剤であり、アクリル系粘着剤を含有しない。さらに別の実施形態では、粘着剤は、ゴム系粘着剤であり、アクリル系粘着剤及びシリコーン系粘着剤を含有しない。
スチレン系粘着剤以外の粘着剤としては、例えば、イソプレンゴム、ポリイソブチレン(PIB)、ポリシロキサン等が挙げられる。これらのゴム系粘着剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましいゴム系粘着剤は、ポリイソブチレン(PIB)である。ゴム系粘着剤の具体例としては、オパノールB12、B15、B50、B80、B100、B120、B150、B220(商品名、BASF社製)、JSRブチル065、268、365(商品名、JSR社製)、ビスタネックスLM−MS、MH、H、MML−80、100、120、140(商品名、エクソン・ケミカル社製)、HYCAR(商品名、グッドリッチ社製)、SIBSTAR T102(商品名、カネカ社製)等が挙げられる。
アクリル系粘着剤として、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとコモノマーとの共重合体が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルを意味する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、及び(メタ)アクリル酸デシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。コモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、エチレン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、及び(メタ)アクリル酸アミドが挙げられる。コモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。アクリル系粘着剤の具体例としては、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、及びアクリル酸から選ばれる少なくとも2種類を含む共重合体からなるものが挙げられ、より具体的には、DURO−TAK 87−2097、87−2194、87−2196、87−2287、87−2516、87−2852、87−4287、及び87−900A(商品名、ヘンケル社製)、並びにニッセツKP−77及びAS−370(商品名、日本カーバイド工業(株)製)が挙げられる。
シリコーン系粘着剤として、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンとシリケート樹脂との縮合反応物等のオルガノポリシロキサンが挙げられる。シリコーン系粘着剤の具体例としては、BIO−PSA X7−4201、BIO−PSA 7−4102、BIO−PSA 7−4202、BIO−PSA 7−4302、BIO−PSA Q7−4501、360Medical fluid 1000CS、及びMDX4−4210(商品名、ダウ・コーニング社製)が挙げられる。
スチレン系粘着剤以外の粘着剤の含有量は、粘着剤層全体の質量に対して、0〜30質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましい。このような粘着剤の含有量は、スチレン系粘着剤と合計して、粘着剤層全体の質量に対して、10〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水素添加ロジン(水添ロジンともいう。)、水添ロジンのグリセリンエステル及びロジンのペンタエリストールエステルなどのロジン誘導体、アルコンP100(商品名、荒川化学工業社製)などの脂環族飽和炭化水素樹脂、クイントンB170(商品名、日本ゼオン社製)などの脂肪族炭化水素樹脂、クリアロンP−125(商品名、ヤスハラケミカル社製)などのテルペン樹脂、マレイン酸レジンなどが挙げられる。これらの中でも、水添ロジンのグリセリンエステル、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂又はテルペン樹脂が好ましく、脂環族炭化水素樹脂がより好ましい。これら粘着付与樹脂は2種以上組み合わせてもよい。粘着付与樹脂を含むことにより、粘着剤層の接着性を向上させ、他の物性を安定に維持することができる。
粘着付与樹脂の含有量は、粘着剤層の全質量を基準として、0〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。
可塑剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルなどの石油系オイル;スクワラン;スクワレン;オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油及びラッカセイ油などの植物系オイル;シリコンオイル;ジブチルフタレート及びジオクチルフタレートなどの二塩基酸エステル;ポリブテン及び液状イソプレンゴムなどの液状ゴム;ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル及びセバシン酸ジイソプロピルなどの液状脂肪酸エステル類;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;サリチル酸グリコール;プロピレングリコール;ジプロピレングリコール;トリアセチン;クエン酸トリエチル;クロタミトンなどが挙げられる。これらの中でも、流動パラフィン、液状ポリブテン、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル及びラウリン酸ヘキシルが好ましく、液状ポリブテン、ミリスチン酸イソプロピル及び流動パラフィンがより好ましく、流動パラフィンが特に好ましい。これらの可塑剤は2種以上組み合わせてもよい。
安定化剤は、酸化防止剤(トコフェロール誘導体、アスコルビン酸誘導体、エリソルビン酸誘導体、ノルジヒドログアヤレチン酸、没食子酸誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、2−メルカプトベンズイミダゾール等)、紫外線吸収剤(イミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイヒ酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、クマリン酸誘導体、カンファー誘導体等)などを挙げることができる。これらの安定化剤は2種以上組み合わせてもよい。
安定化剤の含有量は、粘着剤層の全質量を基準として、0〜5質量%であることが好ましく、0〜2質量%であることがより好ましい。粘着剤層が安定化剤を含有することにより、アセナピンマレイン酸塩の安定性がより向上し得る。
充填剤は、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化チタン等)、金属塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等)、ケイ酸化合物(カオリン、タルク、ベントナイト、アエロジル、含水シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム等)などを挙げることができる。これらの充填剤は2種以上組み合わせてもよい。
充填剤の含有量は、粘着剤層の全質量を基準として、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
溶剤は、有機溶媒であってもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。これらの溶剤は2種以上組み合わせてもよい。
本実施形態に係る貼付剤は、16〜26時間に1回の間隔でヒトの皮膚に貼付するように使用される。貼付する間隔は、16〜26時間に1回であってよく、21〜25時間に1回、22〜25時間に1回、又は、23〜25時間に1回であってもよい。本実施形態に係る貼付剤は、1回貼付したら、次の貼付剤を適用するまでの間、貼付した状態を維持することが好ましい。貼付剤は、貼付してから20時間経過するまでに皮膚から剥がすことを妨げない。新たな貼付剤に交換するまで貼付状態を維持することにより、継続的にアセナピンマレイン酸塩が経皮的に吸収され続け、貼付剤を交換する時のアセナピンの血漿中濃度が大きく変動しにくくなる。
本実施形態に係る貼付剤は、治療有効量のアセナピンマレイン酸塩を含有しており、統合失調症またはI型双極性障害の治療又はその症状の緩和に有効である。
本実施形態に係る貼付剤では、アセナピンマレイン酸塩の含有量が9mg(アセナピン遊離体に換算すると6.4mg)であるとき、アセナピンの最高血漿中濃度(Cmax)が0.5〜60ng/mLである。また、最高血漿中濃度に達するまでの時間(Tmax)は、8〜28時間である。Tmax以降は、アセナピンマレイン酸塩の血漿中濃度は徐々に低下していく。16〜26時間に1回の間隔で次の貼付剤に交換することにより、血漿中濃度の変動が大きくなりにくい。
上述のように、本実施形態に係る貼付剤によれば、アセナピンマレイン酸塩の血漿中濃度推移におけるピーク/トラフ比が大きくなりにくく、アセナピンマレイン酸塩の血漿中濃度を一定の範囲内で維持することができる。これにより、アセナピンマレイン酸塩の蓄積、離脱症状、悪性症候群、錐体外路症状の発現等の副作用も生じにくくなる。
本実施形態に係る貼付剤は、粘着剤層の貼付面を覆うように剥離ライナーを備えていてもよい。すなわち、貼付剤が剥離ライナーを備える場合、貼付剤は、粘着剤層が支持体と剥離ライナーで挟まれた三層構造となる。
かかる剥離ライナーとしては、貼付剤の使用前まで粘着剤層を被覆し、使用するときに剥離して除去することが可能なものであればよく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム;上質紙とポリオレフィンとのラミネートフィルム;ナイロン、アルミニウム等のフィルム等が挙げられる。これらの剥離ライナーとしては、粘着剤層から容易に剥離できるという観点から、シリコーンやポリテトラフルオロエチレン等の剥離剤により表面コート(剥離処理)が施されたものを用いることが好ましい。
本実施形態に係る貼付剤は、アセナピンマレイン酸塩、スチレン系粘着剤、及び、任意にその他の成分を混合して得られる膏体液を支持体上に展延し、剥離ライナーをその上に積層することにより、得ることができる。また、上記膏体液を剥離ライナー上に展延し、支持体をその上に積層してもよい。
1.貼付剤の製造
表1に示す成分を混合し、膏体液を調製した。得られた膏体液をプラスチックフィルム(支持体)上に展延し、粘着剤層を形成させた。粘着剤層の上に更にプラスチックフィルム(剥離ライナー)を積層し、貼付剤を得た。粘着剤層の単位面積あたりの質量は、100g/mである。表1中、数値は、質量%を意味する。
Figure 2020026405
2.生物学的評価
(1)製剤
得られた貼付剤を貼付面積が10cm(アセナピンマレイン酸塩の含有量:4.5mg)、20cm(アセナピンマレイン酸塩の含有量:9.0mg)、30cm(アセナピンマレイン酸塩の含有量:13.5mg)、40cm(アセナピンマレイン酸塩の含有量:18.0mg)となるように、それぞれ裁断した。実施例1〜4の貼付剤の貼付面積、各貼付剤中のアセナピンマレイン酸の含有量は、表2のとおりである。
Figure 2020026405
(2)ヒトへ投与した後の体内動態
実施例2の貼付剤を、健康成人の腹部、臀部、上腕部、上背部、上胸部の皮膚に24時間適用し、経時的に採血を行い、アセナピンの血漿中濃度を測定した。採血した時間は、適用してから0、2、4、8、12、16、20、24、26、28、32、36、48、60、72、96、及び120時間後である。液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LC−MS/MS)を用いて、採取した各血液サンプルを分析し、アセナピン及びN−デスメチルアセナピンの血漿中濃度を算出した。得られたデータに基づき、横軸に採取時間[単位:hr]を、縦軸に血漿中濃度[単位:ng/mL]をプロットして、血漿中濃度−時間曲線を作成し、各パラメータを以下の式に基づき算出した。
max[ng/mL]=観察された血漿中濃度の最大値(「最大血漿中濃度」ともいう。)
max[hr]=最大血漿中濃度(Cmax)に達するまでに要する時間
AUC0−t[ng・hr/mL]=台形則により計算された、0〜t時間までの血漿中濃度−時間曲線の曲線下面積
AUC0−inf[ng・hr/mL]=AUC0−t+C/λとして計算された、0〜無限大時間までの血漿中濃度−時間曲線の曲線下面積
λ=血漿中濃度−時間曲線に基づく回帰分析により決定された、見かけの終末相の消失速度定数
1/2[hr]=ln2/λの式に基づき計算された、見かけの消失半減期
代謝率(Cmax)[%]=(N−デスメチルアセナピンのCmax)/(アセナピンのCmax)×100
代謝率(AUC)[%]=(N−デスメチルアセナピンのAUC0−inf)/(アセナピンのAUC0−inf)×100
結果を表3に示す。実施例2の貼付剤は、適用直後にアセナピンの血漿中濃度が急激に上昇することなく、治療有効量以上の血漿中濃度を長時間維持できていた。また、実施例2の貼付剤では、適用してから16〜20時間後に最大血漿中濃度(Cmax)に到達し、その後、アセナピンの血漿中濃度は緩やかに低下した。
Figure 2020026405
(3)ドパミンD受容体の占有率
実施例1〜4に示すように、貼付剤をヒトの皮膚に貼付し、ドパミンD受容体の占有率を算出した。具体的には、貼付剤を適用する2日前に、20名の被験者にPETトレーサー([11C]−(+)−4−プロピル−9−ヒドロキシナフトキサゾリン、D2/3受容体刺激薬)を静脈注射し、MRI測定により脳内のリガンドの分布状況を画像解析した。その後、比較例1及び実施例1〜3に示すように、貼付剤を被験者の皮膚に7日間適用した。各被験者において、24時間ごとに貼付剤を剥離し、新たな貼付剤を適用した。比較例1投与群及び実施例1〜3投与群の対象者数がそれぞれ、5名、5名、4名、6名となるように被験者を分類した。最初に貼付剤を適用した日をDay1とし、Day7が終了した段階(合計6回の経皮投与した段階)で、再度、PETトレーサーを投与し、MRI測定を行った。D受容体の占有率は、PETトレーサーの受容体結合能(BP:Binding Potential)を指標にして、以下の式にしたがい、算出した。
受容体の占有率(%)=(貼付前のBP−貼付後のBP)/(貼付前のBP)×100
参考として、Graff−Guerrero A, et al. Arch Gen Psychiatry. 2009;66:606−615に記載されたデータの一部を記載する。表4に示すデータは、上記PETトレーサーを使用した場合における、クロザピン、オランザピン及びリスペリドンの線条体または被殻のドパミンD受容体の占有率を算出した結果である。
Figure 2020026405
結果を表5及び図1に示す。線条体及び被殻のいずれにおいても、実施例1〜4のD受容体の占有率は、表4に示したD受容体の占有率のデータと同程度であった。また、実施例1〜4のいずれも、D受容体の占有率は80%を超えておらず、錐体外路症状は発生しにくいと考えられる。
Figure 2020026405
(4)薬理試験
一群あたり204名の被験者(統合失調症患者)に対して、実施例2及び4の貼付剤を24時間ごとに貼り替えながら、6週間にわたって適用した。プラセボ群として、206名の被験者(統合失調症患者)に対して、アセナピンマレイン酸塩を含有しない貼付剤を同様にして適用した。統合失調症の治療効果は、Day0及びDay42(Week6)の時点で、PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)評価基準にしたがい、評価した。PANSS評価基準は、「The positive and negative syndrome scale(PANSS) for schizophrenia」(Kay,S.R et al.Schizophr. Bull.13(2):261−276)に基づくものであり、30項目を7段階のスコアで評価し、その合計を被験者数で除した値を算出した。スコアの数値が大きいほど、重症度が高いことを意味する。
結果を図2に示す。図2中、「*」はp=0.006を示し、「**」はp<0.001であることを示す。実施例2及び4の貼付剤は、42日間(6週間)継続的に投与することにより、PANSSスコアを有意に減少させた。
(5)吸収促進剤による効果
表6に示す成分を混合し、膏体液を調製した。得られた膏体液をプラスチックフィルム(支持体)上に展延し、粘着剤層を形成させた。粘着剤層の上に更にプラスチックフィルム(剥離ライナー)を積層し、比較例1、実施例5〜18の貼付剤を得た。粘着剤層の単位面積あたりの質量は、100g/mである。表6中、数値は、質量%を意味する。実施例6〜23の貼付剤の調製では、吸収促進剤として表7に記載の成分を使用した。架橋型ポリビニルピロリドンとは、N−ビニルピロリドンをポップコーン重合して得られるポリマーである。
先ず、ヘアレスマウスから皮膚を摘出した。得られた貼付剤を1.05cm又は3cmの円形に裁断し、剥離ライナーを除去した後、摘出した皮膚の角質層側に適用した。次いで、この皮膚の真皮側がレセプター槽側となるように、32℃に保温したフロースルー型拡散セルに装着した。リン酸緩衝生理食塩水(32℃)を1時間当たり約3mLの流量で、レセプター槽に導入し、適用から24時間後までの間、レセプター槽から2時間又は4時間毎にそれぞれ試料液を採取した。採取したそれぞれの試料液について高速液体クロマトグラフ法によりアセナピンの濃度を測定した。所定時間(連続する2つの採取時間に挟まれた時間)におけるアセナピンの皮膚透過量を下式にしたがい算出した。貼付剤の適用から24時間後までの皮膚透過量を加算し、単位面積あたりの24時間分のアセナピンの累積皮膚透過量(μg/cm/24hr)を算出した。結果を表7に示す。
所定時間における皮膚透過量(μg/cm)=[アセナピン濃度(μg/mL)×流量(mL)]/貼付剤の面積(cm
Figure 2020026405
Figure 2020026405
実施例6〜23は、いずれも治療有効量の血漿中濃度を達成するのに十分な効果を奏した。特に、実施例6〜9及び11で使用した吸収促進剤は、累積皮膚透過量が300μg/cmを超えていた。

Claims (5)

  1. 支持体上に粘着剤層を備える貼付剤であって、
    前記粘着剤層がアセナピンマレイン酸塩、スチレン系粘着剤、及び、吸収促進剤を含有し、
    前記アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で0.05〜0.34mg/kg体重であり、
    16〜26時間に1回の間隔でヒトの皮膚に貼付することによりアセナピンを投与するための貼付剤。
  2. 統合失調症を治療するための貼付剤である、請求項1に記載の貼付剤。
  3. 前記スチレン系粘着剤が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を含む、請求項1又は2に記載の貼付剤。
  4. 前記吸収促進剤が、パルミチン酸イソプロピル、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、スクワラン、及びイソステアリルアルコールから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の貼付剤。
  5. 前記アセナピンマレイン酸塩の含有量が、遊離体換算で6.4mgであるとき、アセナピンの最大血漿中濃度が0.5〜6.0ng/mLであり、最大血漿中濃度に達するまでに要する時間が8〜28時間である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の貼付剤。
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