JP2020024446A - 光学フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】UV‐IR吸収剤を含む光学フィルタであって、撮像装置に組み込んで高画質の画像を得ることができる、光学フィルタを提供する。【解決手段】光学フィルタ(1a)は、UV‐IR吸収層(10)を備え、5%以下のヘイズを有する。UV‐IR吸収層は、ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と銅イオンとによって形成された紫外線及び赤外線を吸収可能なUV‐IR吸収剤を含む。【選択図】図1A

Description

本発明は、光学フィルタ及び光学フィルタ用組成物に関する。
CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を用いた撮像装置において、良好な色再現性を有する画像を得るために様々な光学フィルタが固体撮像素子の前面に配置されている。一般的に、固体撮像素子は紫外線領域から赤外線領域に至る広い波長範囲で分光感度を有する。一方、人間の視感度は可視光の領域にのみに存在する。このため、撮像装置における固体撮像素子の分光感度を人間の視感度に近づけるために、固体撮像素子の前面に赤外線又は紫外線を遮蔽する光学フィルタを配置する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、赤外線及び紫外線を吸収可能なUV‐IR吸収層を備え、0°及び40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、所定の透過特性を有する光学フィルタが記載されている。この光学フィルタのUV‐IR吸収層は、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含んでいる。
特許第6232161号公報
特許文献1に記載の光学フィルタは透過率に関し所望の特性を有しているが、特許文献1において、この光学フィルタのヘイズについては何ら検討されていない。そこで、本発明は、ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含みつつ、所望のヘイズを有する光学フィルタを提供する。また、本発明は、その光学フィルタを作製するのに有利な光学フィルタ用組成物を提供する。
本発明は、
ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と銅イオンとによって形成された紫外線及び赤外線を吸収可能なUV‐IR吸収剤を含むUV‐IR吸収層を備え、
5%以下のヘイズを有する、
光学フィルタを提供する。
また、本発明は、
光学フィルタ用組成物であって、
ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と、銅イオンとを含み、
当該光学フィルタ用組成物の塗膜を硬化させて100〜300μmの厚みを有する層を形成したときに、前記層が紫外線及び赤外線を吸収可能であり、かつ、前記層のヘイズが5%以下である、
組成物を提供する。
上記の光学フィルタは、ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含みつつ、5%以下のヘイズを有する。また、上記の組成物は、このような光学フィルタを作製するのに有利である。
図1Aは、本発明の光学フィルタの一例を示す断面図である。 図1Bは、本発明の光学フィルタの別の一例を示す断面図である。 図1Cは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Dは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Eは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Fは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図2は、本発明の光学フィルタを備えたカメラモジュールの一例を示す断面図である。 図3は、実施例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図4は、実施例4に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図5は、実施例13に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図6は、実施例14に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図7は、実施例15に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図8は、比較例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
特許文献1に記載の通り、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含むUV‐IR吸収層を備えた光学フィルタは、透過率に関し所望の特性を有しうる。一方、本発明者らは、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含むUV‐IR吸収層を備えた光学フィルタが必ずしも望ましいヘイズを有するとは限らないことを新たに見出した。ヘイズは、全光線透過率に対する拡散透過率の百分率に相当し、例えば、日本工業規格(JIS) K 7136:2000において、試験片を通過する透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以上それた透過光の百分率と定められている。本明細書において、ヘイズの定義はJIS K 7136:2000に従い、ヘイズは、JIS K 7136:2000に準拠して測定される。
光学フィルタが透過率の点で望ましい特性を有するものの高いヘイズを有する場合、その光学フィルタを撮像装置の固体撮像素子の前面に配置すると、撮像装置によって得られる画像の画質が低下する可能性がある。例えば、色むら、滲み、フレアの発生、及び明度の低下等の問題が画像に生じる可能性がある。そこで、本発明者らは、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含むUV‐IR吸収層を備えた光学フィルタにおいて、ヘイズを低く保つ技術について日夜検討を重ねた。その結果、本発明者らは、光学フィルタを作製するための組成物における、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤の分散状態が光学フィルタのヘイズに影響を及ぼす可能性があることを新たに見出した。光学フィルタにおいて所望の透過率を実現する観点からホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤の分散状態が適切であっても、この分散状態が低いヘイズを実現するために有利とは限らないことが新たに見出された。さらにこの新たに見出された知見に基づき、スルホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤の分散状態が光学フィルタのヘイズに影響を及ぼす可能性があることも新たに見出された。そこで、本発明者らは、多大な試行錯誤を繰り返して、低いヘイズを有する光学フィルタを遂に案出した。
図1Aに示す通り、光学フィルタ1aは、UV‐IR吸収層10を備えている。UV‐IR吸収層10は、ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と銅イオンとによって形成された紫外線及び赤外線を吸収可能なUV‐IR吸収剤を含んでいる。光学フィルタ1aは、5%以下のヘイズを有する。このため、光学フィルタ1aが組み込まれた撮像装置によって高画質の画像を得ることができる。
光学フィルタ1aは、望ましくは、4%以下のヘイズを有する。これにより、光学フィルタ1aが組み込まれた撮像装置によって、より確実に高画質の画像を得ることができる。光学フィルタ1aは、望ましくは、1%以下のヘイズを有する。これにより、光学フィルタ1aが組み込まれた撮像装置によって、より高画質な画像を得ることができる。
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、下記(i)〜(iv)の光学性能を発揮する。光学フィルタ1aが5%以下のヘイズとともに、下記の光学性能を発揮することにより、光学フィルタ1aが組み込まれた撮像装置において高画質の画像を得ることができる。
(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率
(ii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率
(iii)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率及び波長610nm〜680nmの範囲内に存在する第一IRカットオフ波長
(iv)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率及び波長380nm〜430nmの範囲内に存在する第一UVカットオフ波長
本明細書において、「分光透過率」とは、特定の波長の入射光が試料等の物体に入射するときの透過率であり、「平均透過率」とは、所定の波長範囲内の分光透過率の平均値であり、また、本明細書において、「透過率スペクトル」とは所定の波長範囲内の各波長における分光透過率を波長の順に並べたものである。
本明細書において、「IRカットオフ波長」とは、光学フィルタに波長300nm〜1200nmの光を、所定の入射角度で入射させたときに、600nm以上の波長範囲において50%の分光透過率を示す波長を意味する。「第一IRカットオフ波長」は、0°の入射角度で光学フィルタに光を入射させたときのIRカットオフ波長である。また、「UVカットオフ波長」とは、光学フィルタに波長300nm〜1200nmの光を、所定の入射角度で入射させたときに、450nm以下の波長範囲において、50%の分光透過率を示す波長を意味する。「第一UVカットオフ波長」は、0°の入射角度で光学フィルタに光を入射させたときのUVカットオフ波長である。
光学フィルタ1aが上記の(i)〜(iv)の光学性能を発揮することにより、光学フィルタ1aにおいて波長450nm〜600nmの光の透過量が多く、かつ、波長300nm〜400nm及び波長650nm以上の光を効果的にカットできる。このため、光学フィルタ1aの透過率スペクトルは、人間の視感度に適合している。しかも、光学フィルタ1aは、UV‐IR吸収層10以外の層を備えていなくても、上記の(i)〜(iv)の光学性能を発揮でき、さらに、5%以下のヘイズを実現できる。
上記(i)に関し、光学フィルタ1aは、波長450nm〜600nmにおいて、望ましくは80%以上の平均透過率を有し、より望ましくは82%以上の平均透過率を有する。
上記(ii)に関し、光学フィルタ1aは、望ましくは、波長300nm〜350nmにおいて0.5%以下の分光透過率を有する。これにより、光学フィルタ1aは、紫外線領域の光をより効果的にカットできる。
上記(iii)に関し、第一IRカットオフ波長(50%の分光透過率を示す波長)は、望ましくは、波長610nm〜660nmの範囲内に存在し、より望ましくは、波長610nm〜650nmの範囲内に存在する。これにより、光学フィルタ1aの透過率スペクトルが人間の視感度により適合する。
上記(iv)に関し、第一UVカットオフ波長(50%の分光透過率を示す波長)は、望ましくは、波長390nm〜430nmの範囲内に存在し、より望ましくは、波長400nm〜425nmの範囲内に存在する。これにより、光学フィルタ1aの透過率スペクトルが人間の視感度により適合する。
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、下記(v)の光学性能を発揮する。これにより、光学フィルタ1aが、近赤外線域の光を効果的にカットできる。
(v)波長750nm〜1080nmにおいて5%以下の分光透過率
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、下記(vi)の光学性能を発揮する。これにより、比較的長い波長(波長1000〜1100nm)を有する赤外線をカットできる。従来、この波長の光をカットするためには誘電体多層膜からなる光反射膜が用いられることが多い。しかし、光学フィルタ1aによれば、このような誘電体多層膜を用いなくともこの波長の光を効果的にカットできる。誘電体多層膜からなる光反射膜が必要であったとしても、光反射膜に要求される反射性能のレベルを低くできるので、光反射膜における誘電体の積層数を低減でき、光反射膜の形成に要するコストを低減できる。
(vi)波長1000〜1100nmにおいて10%以下の分光透過率
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、下記(vii)の光学性能を発揮する。この場合、波長1100〜1200nmの赤外線をカットできる。これにより、誘電体多層膜を用いなくとも又は誘電体多層膜における誘電体の積層数が少なくても、光学フィルタ1aがこの波長の光を効果的にカットできる。
(vii)波長1100〜1200nmにおいて15%以下の分光透過率
UV‐IR吸収層10においてUV‐IR吸収剤を形成するホスホン酸は、例えば、アリール基を有する第一ホスホン酸を含む。これにより、光学フィルタ1aが上記の(i)〜(iv)の光学特性を発揮しやすい。
第一ホスホン酸が有するアリール基は、例えば、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、ニトロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェニル基における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニル基、又はベンジル基における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化ベンジル基である。望ましくは、第一ホスホン酸は、その一部において、ハロゲン化フェニル基を有する。この場合、より確実に、光学フィルタ1aが上記(i)〜(iv)の光学性能を発揮しやすい。
UV‐IR吸収層10においてUV‐IR吸収剤を形成するホスホン酸は、望ましくは、アルキル基を有する第二ホスホン酸をさらに含む。第二ホスホン酸において、アルキル基はリン原子に結合している。第二ホスホン酸のアルキル基は、芳香族アルキル基であってもよい。例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルヘプチル基、及びフェニルヘキシル基を例示できる。芳香族アルキル基は、ハロゲン化芳香族アルキル基であってもよい。ハロゲン化芳香族アルキル基は、例えば、フェニル基における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニルアルキル基である。
第二ホスホン酸が有するアルキル基は、例えば、6個以下の炭素原子を有するアルキル基である。このアルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれを有していてもよい。また、上記の通り、第二ホスホン酸が有するアルキル基は、芳香族置換基又はハロゲン化芳香族置換基を有していてもよい。
UV‐IR吸収層10においてUV‐IR吸収剤を形成するスルホン酸は、例えば、アリール基を有する第一スルホン酸を含む。これにより、光学フィルタ1aが上記の(i)〜(iv)の光学特性を発揮しやすい。第一スルホン酸のアリール基は、例えば、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、ニトロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェニル基における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニル基である。又はベンジル基における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化ベンジル基である。第一スルホン酸は、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4-ブロモベンゼンスルホン酸、4-メチルベンジルスルホン酸、又は4-ブロモベンジルスルホン酸でありうる。
UV‐IR吸収層10においてUV‐IR吸収剤を形成するスルホン酸は、望ましくは、アルキル基を有する第二スルホン酸をさらに含む。第二スルホン酸は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、又はヘキシル基を有するスルホン酸である。第二スルホン酸のアルキル基は、芳香族置換基を有していてもよい。
UV‐IR吸収層10は、望ましくは、UV‐IR吸収剤を分散させるリン酸エステルと、マトリクス樹脂とをさらに含む。
UV‐IR吸収層10に含有されているリン酸エステルは、UV‐IR吸収剤を適切に分散できる限り特に制限されないが、例えば、下記式(c1)で表されるリン酸ジエステル及び下記式(c2)で表されるリン酸モノエステルの少なくとも一方を含む。下記式(c1)及び下記式(c2)において、R21、R22、及びR3は、それぞれ、−(CH2CH2O)n4で表される1価の官能基であり、nは、1〜25の整数であり、R4は、炭素数6〜25のアルキル基を示す。R21、R22、及びR3は、互いに同一又は異なる種類の官能基である。
Figure 2020024446
リン酸エステルは、特に制限されないが、例えば、プライサーフA208N:ポリオキシエチレンアルキル(C12、C13)エーテルリン酸エステル、プライサーフA208F:ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル、プライサーフA208B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、プライサーフA219B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、プライサーフAL:ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、プライサーフA212C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、又はプライサーフA215C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルであり得る。これらはいずれも第一工業製薬社製の製品である。また、リン酸エステルは、NIKKOL DDP−2:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、NIKKOL DDP−4:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、又はNIKKOL DDP−6:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルであり得る。これらは、いずれも日光ケミカルズ社製の製品である。
UV‐IR吸収層10に含まれるマトリクス樹脂は、例えば、UV‐IR吸収剤を分散させることができ、熱硬化又は紫外線硬化が可能な樹脂である。さらに、マトリクス樹脂として、その樹脂によって0.1mmの樹脂層を形成した場合に、その樹脂層の波長350nm〜900nmに対する透過率が例えば70%以上であり、望ましくは75%以上であり、より望ましくは80%以上である樹脂を用いることができる。ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸の含有量は、例えば、マトリクス樹脂100質量部に対して5〜400質量部である。
UV‐IR吸収層10に含まれるマトリクス樹脂は、上記の特性を満足する限り特に限定されないが、例えば(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂である。マトリクス樹脂は、フェニル基等のアリール基を含んでいてもよく、望ましくはフェニル基等のアリール基を含んでいるシリコーン樹脂である。UV‐IR吸収層10が硬い(リジッドである)と、そのUV‐IR吸収層10の厚みが増すにつれて、光学フィルタ1aの製造工程中に硬化収縮によりクラックが生じやすい。マトリクス樹脂がアリール基を含むシリコーン樹脂であるとUV‐IR吸収層10が良好な耐クラック性を有しやすい。また、アリール基を含むシリコーン樹脂を用いると、上記のホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤が凝集しにくい。さらに、UV‐IR吸収層10のマトリクス樹脂がアリール基を含むシリコーン樹脂である場合に、UV‐IR吸収層10に含まれるリン酸エステルが式(c1)又は式(c2)で表されるリン酸エステルのようにオキシアルキル基等の柔軟性を有する直鎖有機官能基を有することが望ましい。なぜなら、上記のホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と、アリール基を含むシリコーン樹脂と、オキシアルキル基等の直鎖有機官能基を有するリン酸エステルとの組合せに基づく相互作用により、UV‐IR吸収剤が凝集しにくく、かつ、UV‐IR吸収層10に良好な剛性及び良好な柔軟性をもたらすことができるからである。マトリクス樹脂として使用されるシリコーン樹脂の具体例としては、KR−255、KR−300、KR−2621−1、KR−211、KR−311、KR−216、KR−212、及びKR−251を挙げることができる。これらはいずれも信越化学工業社製のシリコーン樹脂である。
光学フィルタ1aは、必要に応じて、アルコキシシランモノマーの加水分解縮重合物をさらに含む。光学フィルタ1aがアルコキシシランモノマーの加水分解縮重合物を含むと、アルコキシシランモノマーの加水分解縮重合物のシロキサン結合(−Si−O−Si−)により、光学フィルタ1aが良好な耐湿性を有する。加えて、光学フィルタ1aが良好な耐熱性を有する。なぜなら、シロキサン結合は、−C−C−結合及び−C−O−結合等の結合よりも結合エネルギーが高く化学的に安定しており、耐熱性及び耐湿性に優れているからである。
光学フィルタ1aにおけるUV‐IR吸収層10は、所定の光学フィルタ用組成物の塗膜を硬化させることによって形成できる。
光学フィルタ用組成物は、ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と、銅イオンとを含む。加えて、光学フィルタ用組成物は、この組成物の塗膜を硬化させて100〜300μmの厚みを有する層を形成したときに、この層が紫外線及び赤外線を吸収可能であり、かつ、この層のヘイズが5%以下(望ましくは4%以下)であるように調製されている。なお、光学フィルタ用組成物の硬化物の層が100〜300μmの範囲に含まれる特定の厚みであるときにこのような特性が現れればよい。すなわち、光学フィルタ用組成物の硬化物の層は、100〜300μmの範囲のすべてにおいてこのような特性を満たす必要があるわけではない。
光学フィルタ用組成物は、望ましくは、この組成物の塗膜を硬化させて100〜300μmの厚みを有する層を形成し、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光をこの層に入射させたときに、下記の(I)〜(IV)の条件を満たすように調製されている。
(I)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有する。
(II)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有する。
(III)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率を有するとともに、波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第一IRカットオフ波長が波長610nm〜680nmの範囲内に存在する。
(IV)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率を有するとともに、波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第一UVカットオフ波長が波長380nm〜430nmの範囲内に存在する。
光学フィルタ用組成物は、例えば、22〜23℃において1〜200mPa・sの粘度を有する。この場合、光学フィルタ用組成物が流動しやすく、光学フィルタ用組成物によって塗膜を形成するには不利であるように思われる。加えて、光学フィルタ用組成物の粘度をこのような範囲に調整するには比較的多くの溶媒(分散媒)を加える必要があり、光学フィルタ用組成物の塗膜を硬化させるための処理が長くなる可能性がある。このため、これまでは、本発明者らは、光学フィルタ用組成物の22〜23℃における粘度が200mPa・sの粘度を超えるように(例えば、300mPa・s以上に)調製することが望ましいと考えていた。一方、本発明者らは、光学フィルタ用組成物の塗膜を硬化させて得られたUV‐IR吸収層のヘイズを低減する観点から光学フィルタ用組成物の粘度を抜本的に見直した。その結果、光学フィルタ用組成物の22〜23℃における粘度を1〜200mPa・sに調製することがUV‐IR吸収層のヘイズを低減する観点から望ましいことを新たに見出した。光学フィルタ用組成物において上記のUV‐IR吸収剤がUV‐IR吸収層の透過率特性に影響を与えない程度に凝集している場合でも、光学フィルタ用組成物の塗膜においてその凝集状態が適切に解消されなければ、UV‐IR吸収層のヘイズが高くなりやすいと考えられる。一方、光学フィルタ用組成物が、22〜23℃において1〜200mPa・sの粘度を有すると、光学フィルタ用組成物の塗膜において光学フィルタ用組成物が適度に流動し、UV‐IR吸収剤の凝集状態が解消されやすいと考えられる。その結果、UV‐IR吸収層のヘイズを低減できると考えられる。なお、光学フィルタ用組成物の22〜23℃における粘度が1mPa・sを下回ると、光学フィルタ用組成物における溶媒の量が多すぎて、UV‐IR吸収層をなす成分の物理的な距離が大きくなる。このため、UV‐IR吸収層を適切に形成できない可能性がある。
22〜23℃における光学フィルタ用組成物の粘度は、例えば、セコニック社製の振動式粘度計(プローブ:PR−10 L、コントローラ:VM−10A)を用いて測定できる。
光学フィルタ用組成物は、望ましくは、22〜23℃において2〜180mPa・sの粘度を有し、より望ましくは、22〜23℃において2〜160mPa・sの粘度を有する。これにより、この組成物の塗膜を硬化させて得られたUV‐IR吸収層のヘイズをより確実に5%以下に低減できる。
光学フィルタ用組成物において、固形分の含有量は、例えば3〜17質量%である。この場合、固形分の含有量が比較的少なく、光学フィルタ用組成物の塗膜において光学フィルタ用組成物が適度に流動しやすく、UV‐IR吸収層のヘイズを低減しやすいと考えられる。
光学フィルタ用組成物において、固形分の含有量は、望ましくは、5〜17質量%であり、より望ましくは、6〜17質量%である。
光学フィルタ用組成物において、銅イオンの含有量は、例えば0.5〜2.2質量%である。この場合、組成物における銅イオンの含有量が比較的少なく、光学フィルタ用組成物の塗膜においてUV‐IR吸収剤の凝集が発生しにくく、UV‐IR吸収層のヘイズを低減しやすいと考えられる。
光学フィルタ用組成物において、銅イオンの含有量は、望ましくは、0.6〜2.1質量%である。
光学フィルタ用組成物は、UV‐IR吸収層10に含まれる成分又はその成分の前駆物質を含む。また、光学フィルタ用組成物は、例えば、所定の溶媒(分散媒)をさらに含んでいる。光学フィルタ用組成物は、例えば、アルコキシシランモノマーを含んでいてもよい。光学フィルタ用組成物がアルコキシシランモノマーを含んでいると、光学フィルタ用組成物においてUV‐IR吸収剤の粒子同士が凝集することを抑制でき、リン酸エステルの含有量を低減しても、光学フィルタ用組成物においてUV‐IR吸収剤が良好に分散する。
光学フィルタ1aの製造方法の一例について説明する。まず、光学フィルタ用組成物の調製方法の一例を説明する。酢酸銅一水和物などの銅塩をテトラヒドロフラン(THF)などの所定の溶媒に添加して撹拌し、銅塩の溶液を得る。次に、この銅塩の溶液に、式(c1)で表されるリン酸ジエステル又は式(c2)で表されるリン酸モノエステルなどのリン酸エステル化合物を加えて撹拌し、A液を調製する。また、第一ホスホン酸又は第一スルホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えて撹拌し、B液を調製する。第一ホスホン酸又は第一スルホン酸として複数種類のホスホン酸又はスルホン酸を用いる場合、第一ホスホン酸又は第一スルホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えたうえで撹拌して、第一ホスホン酸又は第一スルホン酸の種類ごとに調製した複数の予備液を混合してB液を調製してもよい。B液の調製においてアルコキシシランモノマーが加えられてもよい。
次に、A液を撹拌しながら、A液にB液を加えて所定時間撹拌する。次に、この溶液にトルエンなどの所定の溶媒を加えて撹拌し、C液を得る。次に、C液を加温しながら所定時間脱溶媒処理を行って、D液を得る。これにより、THFなどの溶媒及び酢酸(沸点:約118℃)などの銅塩の解離により発生する成分が除去され、第一ホスホン酸又は第一スルホン酸と銅イオンとによってUV‐IR吸収剤が生成される。C液を加温する温度は、銅塩から解離した除去されるべき成分の沸点に基づいて定められている。なお、脱溶媒処理においては、C液を得るために用いたトルエン(沸点:約110℃)などの溶媒も揮発するが、D液の粘度が所望の範囲になるように溶媒がD液に残留する。D液の粘度が所望の範囲になるように、C液を得るための溶媒の添加量が調整されてもよいし、脱溶媒処理の時間が調整されてもよい。
光学フィルタ用組成物が第二ホスホン酸又は第二スルホン酸をさらに含んでいる場合、例えば、以下のようにしてH液がさらに調製される。まず、酢酸銅一水和物などの銅塩をテトラヒドロフラン(THF)などの所定の溶媒に添加して撹拌し、銅塩の溶液を得る。次に、この銅塩の溶液に、式(c1)で表されるリン酸ジエステル又は式(c2)で表されるリン酸モノエステルなどのリン酸エステル化合物を加えて撹拌し、E液を調製する。また、第二ホスホン酸又は第二スルホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えて撹拌し、F液を調製する。第二ホスホン酸又は第二スルホン酸として複数種類のホスホン酸又はスルホン酸を用いる場合、第二ホスホン酸又は第二スルホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えたうえで撹拌して第二ホスホン酸又は第二スルホン酸の種類ごとに調製した複数の予備液を混合してF液を調製してもよい。E液を撹拌しながら、E液にF液を加えて所定時間撹拌する。次に、この溶液にトルエンなどの所定の溶媒を加えて撹拌し、G液を得る。次に、G液を加温しながら所定時間脱溶媒処理を行って、H液を得る。これにより、THFなどの溶媒及び酢酸などの銅塩の解離により発生する成分が除去され、第二ホスホン酸又は第二スルホン酸と銅イオンとによって別のUV‐IR吸収剤が生成される。G液を加温する温度はC液と同様に決定され、G液を得るための溶媒もC液と同様に決定される。G液を得るための溶媒の添加量は、特に制限されない。
D液にシリコーン樹脂等のマトリクス樹脂を加えて撹拌して光学フィルタ用組成物を調製できる。また、光学フィルタ用組成物が第二ホスホン酸又は第二スルホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含有している場合、D液にシリコーン樹脂等のマトリクス樹脂を加えて撹拌して得られたI液に、さらにH液を加えて撹拌することにより、光学フィルタ用組成物を調製できる。
次に、光学フィルタ用組成物を所定の基板の一方の主面に塗布して塗膜を形成する。基板は、特に制限されないが、ガラス基板、樹脂基板、又は金属基板(スチール基板若しくはステンレス基板)を使用できる。例えば、液状の光学フィルタ用組成物をスピンコーティング、ダイコーティング、又はディスペンサによる塗布により、基板の一方の主面に塗布して塗膜を形成する。次に、この塗膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させる。例えば、40℃〜200℃の温度の環境にこの塗膜を曝す。必要に応じて、光学フィルタ用組成物に含有されているアルコキシシランモノマーを十分に加水分解及び縮重合させるために塗膜に加湿処理を施す。例えば、40℃〜100℃の温度及び40%〜100%の相対湿度の環境に硬化後の塗膜を曝す。これにより、シロキサン結合のくり返し構造(Si−O)nが形成される。一般的にはモノマーを含むアルコキシシランの加水分解及び縮重合反応においては、アルコキシシランと水とを液状組成物内に併存させてこれらの反応を行わせる場合がある。しかし、光学フィルタを製造するときに予め光学フィルタ用組成物に水を添加しておくと、UV‐IR吸収層の形成の過程でリン酸エステル又はUV‐IR吸収剤が劣化してしまい、UV‐IR吸収性能が低下したり、光学フィルタの耐久性を損ねたりする可能性がある。このため、所定の加熱処理により塗膜を硬化させた後に加湿処理を行うことが望ましい。このようにして、基板上にUV‐IR吸収層10を形成できる。その後、UV‐IR吸収層10を基板から剥離することによって、光学フィルタ1aが得られる。光学フィルタ1aは、簡素な構成であり、薄型化しやすい。このため、光学フィルタ1aは、撮像装置及び光学系の低背位化に貢献できる。
上記の通り、光学フィルタ用組成物は、例えば、22〜23℃において1〜200mPa・sの粘度という、比較的低い粘度を有する。この場合、光学フィルタ用組成物は、比較的多くの溶媒を含む。このため、光学フィルタ用組成物の塗膜を加熱により硬化させる場合に、この塗膜を最初から高温で加熱すると、急激な溶媒の揮発により、UV‐IR吸収層に亀裂が生じやすい。このため、光学フィルタ用組成物の塗膜を60℃以下の比較的低温の環境において所定時間加熱した後に、60℃を超える温度を有する比較的高温の環境において塗膜を所定時間加熱することが望ましい。溶媒が緩やかに揮発するとともに、アルコキシシランモノマー又はシリコーン樹脂の縮重合反応による結合が並行して進み、UV‐IR吸収層に亀裂が発生することを防止できる。その結果、所望の透過率特性及び低ヘイズを有する光学フィルタを安定的に製造できる。光学フィルタ用組成物の塗膜は、望ましくは、60℃以下の環境において10分以上加熱された後に、60℃を超える環境に曝される。光学フィルタ用組成物の塗膜は、より望ましくは、45℃以下の環境において20分以上加熱された後に、60℃を超える環境に曝される。
<変形例>
光学フィルタ1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、光学フィルタ1aは、図1B〜図1Fに示す光学フィルタ1b〜1fにそれぞれ変更されてもよい。光学フィルタ1b〜1fは、特に説明する場合を除き、光学フィルタ1aと同様に構成されている。光学フィルタ1aの構成要素と同一又は対応する光学フィルタ1b〜1fの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。光学フィルタ1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り光学フィルタ1b〜1fにも当てはまる。
図1Bに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1bは、UV‐IR吸収層10と、その両面に配置された一対の反射防止膜30とを備えている。反射防止膜30は、光学フィルタ1bと空気との界面をなすように形成された、可視光領域の光の反射を低減するための膜である。反射防止膜30は、例えば、樹脂、酸化物、及びフッ化物等の誘電体によって形成された膜である。反射防止膜30は、屈折率の異なる二種類以上の誘電体を積層して形成された多層膜であってもよい。特に、反射防止膜30は、SiO2等の低屈折率材料とTiO2又はTa25等の高屈折率材料とからなる誘電体多層膜であってもよい。この場合、光学フィルタ1bと空気との界面におけるフレネル反射が低減され、光学フィルタ1bの可視光領域の光量を増大させることができる。なお、反射防止膜30の付着性を向上させるために、シランカップリング剤を含む樹脂層をUV‐IR吸収層10と反射防止膜30との間に形成してもよい。反射防止膜30は、UV‐IR吸収層10の両方の主面に配置されていてもよいし、片方の主面にのみ配置されていてもよい。光学フィルタ1bは、撮像装置及び光学系の低背位化に貢献でき、かつ、光学フィルタ1aに比べて可視光領域の光量を増大させることができる。
図1Cに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1cは、UV‐IR吸収層10と、その一方の主面に配置された、赤外線及び/又は紫外線を反射する反射膜40とを備えている。反射膜40は、例えば、アルミニウム等の金属を蒸着することにより形成された膜、又は、高屈折率材料からなる層と低屈折率材料からなる層とが交互に積層された誘電体多層膜である。高屈折率材料としてはTiO2、ZrO2、Ta25、Nb25、ZnO、及びIn23等の1.7〜2.5の屈折率を有する材料が用いられる。低屈折率材料としては、SiO2、Al23、及びMgF2等の1.2〜1.6の屈折率を有する材料が用いられる。誘電体多層膜を形成する方法は、例えば、化学気相成長(CVD)法、スパッタ法、又は真空蒸着法である。また、このような反射膜が光学フィルタの両方の主面をなすように形成されてもよい(図示省略)。光学フィルタの両方の主面に反射膜が形成されていると、光学フィルタの表裏両面で応力がバランスし、光学フィルタが反りにくいというメリットが得られる。
図1Dに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1dは、透明誘電体基板20と、透明誘電体基板20の一方の主面上に形成されたUV‐IR吸収層10とを備えている。透明誘電体基板20は、450nm〜600nmにおいて高い平均透過率(例えば、80%以上)を有する誘電体基板である限り、特に制限されない。場合によっては、透明誘電体基板20は、紫外線領域又は赤外線領域に吸収能を有していてもよい。
透明誘電体基板20は、例えば、ガラス製又は樹脂製である。透明誘電体基板20がガラス製である場合、そのガラスは、例えば、D263 T eco等のホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス(青板)、B270等の白板ガラス、無アルカリガラス、又は銅を含有しているリン酸塩ガラス若しくは銅を含有しているフツリン酸塩ガラス等の赤外線吸収性ガラスである。透明誘電体基板20が、銅を含有しているリン酸塩ガラス又は銅を含有しているフツリン酸塩ガラス等の赤外線吸収性ガラスである場合、透明誘電体基板20が有する赤外線吸収性能とUV‐IR吸収層10が有する赤外線吸収性能との組み合わせによって光学フィルタ1dに必要な赤外線吸収性能を実現できる。このため、UV‐IR吸収層10に要求される赤外線吸収性能のレベルを下げることができる。このような赤外線吸収性ガラスは、例えば、ショット社製のBG−60、BG−61、BG−62、BG−63、若しくはBG−67であり、日本電気硝子社製の500EXLであり、又はHOYA社製のCM5000、CM500、C5000、若しくはC500Sである。また、赤外線吸収性ガラスは紫外線吸収特性を有していてもよい。
透明誘電体基板20は、酸化マグネシウム、サファイア、又は石英などの透明性を有する結晶性の基板であってもよい。例えば、サファイアは高硬度であるので、傷がつきにくい。このため、板状のサファイアは、耐擦傷性の保護材料(プロテクトフィルタ)として、スマートフォン及び携帯電話等の携帯端末に備えられているカメラモジュール又はレンズの前面に配置される場合がある。このような板状のサファイア上にUV‐IR吸収層10が形成されることにより、カメラモジュール及びレンズの保護とともに、紫外線又は赤外線を遮蔽できる。これにより、紫外線又は赤外線の遮蔽性を備える光学フィルタをCCDやCMOSなどの固体撮像素子の周辺又はカメラモジュールの内部に配置する必要がなくなる。このため、板状のサファイア上にUV‐IR吸収層10を形成すれば、カメラモジュールの低背位化に貢献できる。
透明誘電体基板20が、樹脂製である場合、その樹脂は、例えば、(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂である。
透明誘電体基板20がガラス基板である場合、透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10との付着性を向上させるために、シランカップリング剤を含む樹脂層を透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10との間に形成してもよい。
図1Eに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1eは、透明誘電体基板20の両方の主面上にUV‐IR吸収層10が形成されている。これにより、1つのUV‐IR吸収層10によってではなく、2つのUV‐IR吸収層10によって、光学フィルタ1eが上記の(i)〜(iv)の光学性能を発揮できる。透明誘電体基板20の両方の主面上におけるUV‐IR吸収層10の厚みは同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、光学フィルタ1eが所望の光学特性を得るために必要なUV‐IR吸収層10の厚みが均等に又は不均等に分配されるように、透明誘電体基板20の両方の主面上にUV‐IR吸収層10が形成されている。これにより、透明誘電体基板20の両方の主面上に形成された各UV‐IR吸収層10の厚みが比較的小さい。その結果、塗膜の内部圧力が低くクラックの発生を防止できる。また、液状の光学フィルタ用組成物を塗布する時間を短縮でき、光学フィルタ用組成物の塗膜を硬化させるための時間を短縮できる。透明誘電体基板20が薄い場合、透明誘電体基板20の一方の主面上のみにUV‐IR吸収層10を形成すると、光学フィルタ用組成物からUV‐IR吸収層10を形成する場合に生じる収縮に伴う応力によって、光学フィルタが反る可能性がある。しかし、透明誘電体基板20の両方の主面上にUV‐IR吸収層10が形成されていることにより、透明誘電体基板20が薄い場合でも、光学フィルタ1eにおいて反りが抑制される。この場合も、透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10との付着性を向上させるために、シランカップリング剤を含む樹脂層を透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10との間に形成してもよい。
図1Fに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1fは、反射防止膜30を備えている。反射防止膜30は、光学フィルタ1fと空気との界面をなすように形成されている。光学フィルタ1fにおいて、反射防止膜30は、光学フィルタ1fの両方の主面に配置されているが、片方の主面にのみ配置されていてもよい。この場合、光学フィルタ1fの可視光領域の光量を増大させることができる。
光学フィルタ1a〜1fは、それぞれ、必要に応じて、UV‐IR吸収層10とは別に、赤外線吸収膜(図示省略)を備えるように変更されてもよい。赤外線吸収膜は、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、ジインモニウム系、及びアゾ系等の有機系の赤外線吸収剤又は金属錯体からなる赤外線吸収剤を含有している。赤外線吸収膜は、例えば、これらの赤外線吸収剤から選ばれる1つ又は複数の赤外線吸収剤を含有している。この有機系の赤外線吸収剤は、吸収可能な光の波長範囲(吸収バンド)が小さく、特定の範囲の波長の光を吸収するのに適している。
光学フィルタ1a〜1fは、それぞれ、必要に応じて、UV‐IR吸収層10とは別に、紫外線吸収膜(図示省略)を備えるように変更されてもよい。紫外線吸収膜は、例えば、ベンゾフェノン系、トリアジン系、インドール系、メロシアニン系、及びオキサゾール系等の紫外線吸収剤を含有している。紫外線吸収膜は、例えば、これらの紫外線吸収剤から選ばれる1つ又は複数の紫外線吸収剤を含有している。これらの紫外線吸収剤は、例えば300nm〜340nm付近の紫外線を吸収し、吸収した波長よりも長い波長の光(蛍光)を発し、蛍光剤又は蛍光増白剤として機能するものも含まれうるが、紫外線吸収膜により、樹脂等の光学フィルタに使用されている材料の劣化をもたらす紫外線の入射を低減できる。
上記の赤外線吸収剤又は紫外線吸収剤は、樹脂製の透明誘電体基板20に予め含有させてもよい。赤外線吸収膜や紫外線吸収膜は、例えば、赤外線吸収剤又は紫外線吸収剤を含有している樹脂を成膜することによって形成できる。この場合、樹脂は、赤外線吸収剤又は紫外線吸収剤を適切に溶解又は分散させることができ、かつ、透明であることが必要である。このような樹脂として、(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン樹脂を例示できる。
光学フィルタ1a〜1fは、例えば、撮像装置の分光感度を人間の視感度に近づけるために、撮像装置の内部のCCD又はCMOS等の固体撮像素子の前面(被写体に近い側)に配置される。
また、図2に示す通り、例えば、光学フィルタ1dを用いたカメラモジュール100を提供できる。カメラモジュール100は、光学フィルタ1dに加え、例えば、レンズ系2、ローパスフィルタ3、固体撮像素子4、回路基板5、光学フィルタ支持筐体7、及び光学系筐体8を備えている。光学フィルタ1dの周縁は、例えば、光学フィルタ支持筐体7の中央に形成された開口に接する環状の凹部に嵌められている。光学フィルタ支持筐体7は、光学系筐体8に固定されている。光学系筐体8の内部には、レンズ系2、ローパスフィルタ3、及び固体撮像素子4が光軸に沿ってこの順番で配置されている。固体撮像素子4は、例えば、CCD又はCMOSである。被写体からの光は、光学フィルタ1dによって、紫外線及び赤外線がカットされた後、レンズ系2によって集光され、さらにローパスフィルタ3を通過して固体撮像素子4に入る。固体撮像素子4によって生成された電気信号は回路基板5によってカメラモジュール100の外部に送られる。
カメラモジュール100において、光学フィルタ1dはレンズ系2を保護するカバー(プロテクトフィルタ)としての機能も果たしている。この場合、望ましくは、光学フィルタ1dにおける透明誘電体基板20としてサファイア基板が使用される。サファイア基板は高い耐擦傷性を有するので、例えばサファイア基板が外側(固体撮像素子4の側とは反対側)に配置されることが望ましい。これにより、光学フィルタ1dは、外部からの接触等に対して高い耐擦傷性を有するとともに、紫外線及び赤外線を吸収するとともに、5%以下の低いヘイズを有する。光学フィルタ1dは、望ましくは、上記(i)〜(iv)の光学性能を有し、より望ましくはさらに(v)〜(vii)の光学性能を有する。これにより、固体撮像素子4の近くに赤外線又は紫外線をカットするための光学フィルタを配置する必要がなくなり、カメラモジュール100を低背位化しやすい。なお、図2に示すカメラモジュール100は、各部品の配置等を例示するための概略図であり、光学フィルタ1dがプロテクトフィルタとして用いられる態様を説明するものである。光学フィルタ1dがプロテクトフィルタとしての機能を果たす限り、光学フィルタ1dを用いたカメラモジュールは、図2で表したものに限定されず、必要に応じて、ローパスフィルタ3は省略されてもよいし、他のフィルタを備えていてもよい。
実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
<実施例1>
酢酸銅一水和物4.500gとテトラヒドロフラン(THF)240gとを混合して、3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208N(第一工業製薬社製)を1.646g加えて30分間撹拌し、A液を得た。フェニルホスホン酸0.706gにTHF40gを加えて30分間撹拌し、B−1液を得た。4‐ブロモフェニルホスホン酸4.230gにTHF40gを加えて30分間撹拌し、B−2液を得た。次に、B−1液とB−2液とを混ぜて1分間撹拌し、メチルトリエトキシシラン(MTES:信越化学工業社製)8.664gとテトラエトキシシラン(TEOS:キシダ化学社製 特級)2.840gとをこの混合液に加えて、さらに1分間撹拌し、B液を得た。A液を撹拌しながらA液にB液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン140gを加えた後、室温で1分間撹拌し、C液を得た。このC液をフラスコに入れてオイルバス(東京理化器械社製、型式:OSB−2100)で加温しながら、ロータリーエバポレータ(東京理化器械社製、型式:N−1110SF)によって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の実施例1に係るD液を取り出した。脱溶媒処理において溶媒を完全に除去してしまわずに、D液の粘度がある程度低くなるように脱溶媒処理を実施した。フェニル系ホスホン酸銅(UV‐IR吸収剤)の微粒子の分散液であるD液は透明であり、D液においてその微粒子が良好に分散していた。得られたD液は107.06gであった。D液を得るためのトルエンの添加量、得られたD液の質量、及びD液における銅イオンの濃度を表1に示す。
酢酸銅一水和物4.500gとTHF240gとを混合して3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208Nを2.572g加えて30分間撹拌し、E液を得た。また、n−ブチルホスホン酸2.886gにTHF40gを加えて30分間撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン84gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た。このG液をフラスコに入れてオイルバスで加温しながら、ロータリーエバポレータによって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の実施例1に係るH液を取り出した。脱溶媒処理において溶媒を完全に除去してしまわずに、H液の粘度が所定の粘度になるように脱溶媒処理を実施した。ブチルホスホン酸銅(UV‐IR吸収剤)の微粒子の分散液であるH液は透明であり、H液において、微粒子が良好に分散していた。得られたH液は68.12gであった。H液を得るためのトルエンの添加量、得られたH液の質量、及びH液における銅イオンの濃度を表2に示す。
D液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を10.69g添加し30分間撹拌して、I液を得た。H液全量の40質量%に相当する27.25gのH液をI液に加えて30分撹拌し、実施例1に係る光学フィルタ用組成物を得た。実施例1に係る光学フィルタ用組成物における、D液、H液、及びシリコーン樹脂の添加量を表3に示す。
表面防汚コーティング剤(ダイキン工業社製、製品名:オプツールDSX、有効成分の濃度:20質量%)0.1gとノベック7100(3M社製、成分:ハイドロフルオロエーテル)19.9gとを混合し、5分間撹拌して、フッ素処理剤(有効成分の濃度:0.1質量%)を調製した。このフッ素処理剤を、76mm×76mm×0.21mmの寸法を有するホウケイ酸ガラスでできた透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263 T eco)に3000rpm(revolutions per minute)の回転数にてスピンコーティングした。その後、透明ガラス基板を室温で24時間放置してフッ素処理剤の塗膜を乾燥させ、フッ素処理(易剥離処理)がなされたガラス基板を得た。
フッ素処理がなされたガラス基板の主面の中心約30mm×30mmの方形状の範囲にディスペンサを用いて実施例1に係る光学フィルタ用組成物を塗布して塗膜を形成した。30mm×30mmの方形状の穴を中心に有し、5mmの厚みを有する枠をガラス基板に貼り付けて、その枠の内側に実施例1に係る光学フィルタ用組成物を塗布した。次に、未乾燥の塗膜を有する透明ガラス基板をオーブンに入れて、45℃で2時間、さらに85℃で6時間の条件で加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。その後、温度85℃及び相対湿度85%に設定された恒温恒湿槽に塗膜を有するガラス基板を2時間置いて加湿処理を行った。その後ガラス基板から光学フィルタ用組成物の塗膜が硬化して形成された層を剥離し、実施例1に係る光学フィルタを作製した。
<実施例2〜15及び比較例1>
D液を得るためのトルエンの添加量、得られたD液の質量、及びD液における銅イオンの濃度が表1に示す通りになるように、D液の調製条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15に係るD液及び比較例1に係るD液を調製した。H液を得るためのトルエンの添加量、得られたH液の質量、及びH液における銅イオンの濃度が表2に示す通りになるように、H液の調製条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15及び比較例1に係るH液を調製した。D液、H液、及びシリコーン樹脂の添加量を表3に示すように調整した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15及び比較例1に係る光学フィルタ用組成物を調製した。さらに、実施例1に係る光学フィルタ用組成物の代わりに、実施例2〜15及び比較例1に係る光学フィルタ用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2〜15及び比較例1に係る光学フィルタを作製した。
<実施例16>
酢酸銅一水和物4.500gとテトラヒドロフラン(THF)240gとを混合して、3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208N(第一工業製薬社製)を1.646g加えて30分間撹拌し、A液を得た。パラトルエンスルホン酸0.769gにTHF40gを加えて30分間撹拌し、B−1液を得た。4‐ブロモベンゼンスルホン酸4.230gにTHF40gを加えて30分間撹拌し、B−2液を得た。次に、B−1液とB−2液とを混ぜて1分間撹拌し、メチルトリエトキシシラン(MTES:信越化学工業社製)8.664gとテトラエトキシシラン(TEOS:キシダ化学社製 特級)2.840gとをこの混合液に加えて、さらに1分間撹拌し、B液を得た。A液を撹拌しながらA液にB液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン140gを加えた後、室温で1分間撹拌し、C液を得た。このC液をフラスコに入れてオイルバス(東京理化器械社製、型式:OSB−2100)で加温しながら、ロータリーエバポレータ(東京理化器械社製、型式:N−1110SF)によって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の実施例1に係るD液を取り出した。脱溶媒処理において溶媒を完全に除去してしまわずに、D液の粘度がある程度低くなるように脱溶媒処理を実施した。フェニル系スルホン酸銅(UV‐IR吸収剤)の微粒子の分散液であるD液は透明であり、D液においてその微粒子が良好に分散していた。得られたD液は107.12gであった。D液を得るためのトルエンの添加量、得られたD液の質量、及びD液における銅イオンの濃度を表1に示す。
酢酸銅一水和物4.500gとTHF240gとを混合して3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208Nを2.572g加えて30分間撹拌し、E液を得た。また、1−ブタンスルホン酸2.886gにTHF40gを加えて30分間撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン84gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た。このG液をフラスコに入れてオイルバスで加温しながら、ロータリーエバポレータによって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の実施例1に係るH液を取り出した。脱溶媒処理において溶媒を完全に除去してしまわずに、H液の粘度が所定の粘度になるように脱溶媒処理を実施した。ブタンスルホン酸銅(UV‐IR吸収剤)の微粒子の分散液であるH液は透明であり、H液において、微粒子が良好に分散していた。得られたH液は68.12gであった。H液を得るためのトルエンの添加量、得られたH液の質量、及びH液における銅イオンの濃度を表2に示す。
D液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を10.69g添加し30分間撹拌して、I液を得た。H液全量の40質量%に相当する27.25gのH液をI液に加えて30分撹拌し、実施例1に係る光学フィルタ用組成物を得た。実施例16に係る光学フィルタ用組成物における、D液、H液、及びシリコーン樹脂の添加量を表3に示す。
実施例1に係る光学フィルタ用組成物の代わりに、実施例16に係る光学フィルタ用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例16に係る光学フィルタを作製した。
(光学フィルタ用組成物の粘度測定)
振動式粘度計(セコニック社製、プローブ:PR−10 L、コントローラ:VM−10A)を用いて、各実施例及び比較例1に係る光学フィルタ用組成物の22〜23℃における粘度を測定した。結果を表3に示す。表3に示す通り、各実施例に係る光学フィルタ用組成物の22〜23℃における粘度は1〜200mPa・sの範囲に含まれていたのに対し、比較例1に係る光学フィルタ用組成物の22〜23℃における粘度は330mPa・sであった。
(光学フィルタ用組成物の固形分量の測定と固形分比の算出)
ステンレス製トレイの底に、アルミニウムシート(住軽アルミ箔社製、厚み:12μm)を敷き、そのアルミニウムシート上に、硬化後の厚みが100〜300μmになるように、各実施例及び比較例1に係る光学フィルタ用組成物を塗布し、硬化前サンプルを準備した。硬化前サンプルを、内部の温度が45℃に保たれているオーブンに入れてそのままオーブンの内部の温度を45℃で2時間保った。その後、さらにオーブンの内部の温度を30分間かけて85℃まで上昇させ、そのままオーブンの内部の温度を85℃で6時間保った。その後、オーブンの電源を切って自然冷却させ、オーブンの内部の温度が室温程度の温度まで下がった後にオーブンからサンプルを取り出した。次に、そのサンプルを恒温恒湿槽に入れて、恒温恒湿槽の内部を45分間かけて温度85℃及び相対湿度85%の環境に変化させ、そのまま恒温恒湿槽をその環境で2時間保った。その後、恒温恒湿槽の環境を45分間かけて温度及び湿度を十分に低下させてから恒温恒湿槽からサンプルを取り出した。サンプルは十分に乾燥し硬化していた。硬化後のサンプルの質量Wbを計測して、その計測結果を固形分の質量と決定した。硬化後のサンプルの質量Wb及び硬化前のサンプルの質量Waから、各実施例及び比較例1に係る光学フィルタ用組成物における固形分比(Wb/Wa×100)を求めた。結果を表3に示す。
(光学フィルタの厚みの測定)
レーザー変位計(キーエンス社製、製品名:LK−H008)を用いて、各実施例及び比較例1に係る光学フィルタの表裏面の距離を測定して、各実施例及び比較例1に係る光学フィルタの厚みを算出した。結果を表4に示す。
(ヘイズの測定)
ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製、製品名:HM−65L2)を用いて、各実施例及び比較例1に係る光学フィルタのヘイズをJIS K 7136:2000に準拠して測定した。
結果を表4に示す。
(分光透過率の測定)
紫外線可視分光光度計(日本分光社製、製品名:V−670)を用いて、波長300nm〜1200nmの光を0°の入射角度で各実施例及び比較例1に係る光学フィルタに入射させたときの透過率スペクトルを測定した。この透過率スペクトルから、各実施例及び比較例1に係る光学フィルタに対し、波長450〜600nmにおける平均透過率、波長300〜350nmにおける平均透過率、IRカットオフ波長、及びUVカットオフ波長を求めた。結果を表4に示す。実施例1、4、13、14、及び15並びに比較例1に係る透過率スペクトルをそれぞれ図3〜図8に示す。
各実施例に係る光学フィルタにおいて、波長450nm〜600nmにおける平均透過率は78%以上であり、波長300nm〜350nmにおける平均透過率は0.2%未満であった。また、各実施例に係る光学フィルタにおいて、IRカットオフ波長は610nm〜680nmの範囲内に存在し、UVカットオフ波長は380nm〜430nmの範囲内に存在していた。この結果から、各実施例に係る光学フィルタは良好な透過率特性を有していた。加えて、各実施例に係る光学フィルタのヘイズは5%以下であった。このため、各実施例に係る光学フィルタは、透過率特性に加えて、ヘイズの観点からも良好な光学特性を有していた。
比較例1に係る光学フィルタにおいて、波長450nm〜600nmにおける平均透過率は81.9%であり、波長300nm〜350nmにおける平均透過率は0.2%未満であった。また、各実施例に係る光学フィルタにおいて、IRカットオフ波長は631nmであり、UVカットオフ波長は407nmであった。この結果から、比較例1に係る光学フィルタはある程度良好な透過率特性を有していた。一方、比較例1に係る光学フィルタのヘイズは、8.4%であり、5%を大きく超えていた。このため、比較例1に係る光学フィルタは、ヘイズの観点から望ましい光学特性を有しているとは言い難かった。
Figure 2020024446
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特許文献1に記載の光学フィルタは透過率に関し所望の特性を有しているが、特許文献1において、この光学フィルタのヘイズについては何ら検討されていない。そこで、本発明は、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含みつつ、所望のヘイズを有する光学フィルタを提供する。
本発明は、
ホスホン酸と銅イオンとによって形成された紫外線及び赤外線を吸収可能なUV‐IR吸収剤を含むUV‐IR吸収層を備え、
前記ホスホン酸は、フェニル基又はフェニル基における少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子に置換されたハロゲン化フェニル基を有するホスホン酸を含み、
5%以下のヘイズを有する、
光学フィルタを提供する。
上記の光学フィルタは、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含みつつ、5%以下のヘイズを有する。

Claims (10)

  1. ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と銅イオンとによって形成された紫外線及び赤外線を吸収可能なUV‐IR吸収剤を含むUV‐IR吸収層を備え、
    5%以下のヘイズを有する、
    光学フィルタ。
  2. 0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
    (i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有し、
    (ii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
    (iii)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率を有するとともに、波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第一IRカットオフ波長が波長610nm〜680nmの範囲内に存在し、
    (iv)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率を有するとともに、波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第一UVカットオフ波長が波長380nm〜430nmの範囲内に存在する、
    請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記ホスホン酸は、アリール基を有する第一ホスホン酸を含む、請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記第一ホスホン酸は、その一部において、フェニル基における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニル基を有する、請求項3に記載の光学フィルタ。
  5. 前記ホスホン酸は、アルキル基を有する第二ホスホン酸をさらに含む、請求項3又は4に記載の光学フィルタ。
  6. 光学フィルタ用組成物であって、
    ホスホン酸及びスルホン酸の少なくとも一つの酸と、銅イオンとを含み、
    当該光学フィルタ用組成物の塗膜を硬化させて100〜300μmの厚みを有する層を形成したときに、前記層が紫外線及び赤外線を吸収可能であり、かつ、前記層のヘイズが5%以下である、
    組成物。
  7. 0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を前記層に入射させたときに、
    (I)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有し、
    (II)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
    (III)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率を有するとともに、波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第一IRカットオフ波長が波長610nm〜680nmの範囲内に存在し、
    (IV)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率を有するとともに、波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第一UVカットオフ波長が波長380nm〜430nmの範囲内に存在する、
    請求項6に記載の組成物。
  8. 22〜23℃において1〜200mPa・sの粘度を有する、請求項6又は7に記載の組成物。
  9. 固形分の含有量が3〜17質量%である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 銅イオンの含有量が、0.5〜2.2質量%である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の組成物。
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