JP2020018979A - 中空糸膜モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
図1に示すように、本実施形態に係る中空糸膜モジュール10は、複数の中空糸膜12を有する中空糸膜束14と、中空糸膜束14が収容されるハウジング16と、ハウジング16内に固定された固定部材18と、を有する。
中空糸膜束14は、複数の中空糸膜12を有しており、これら複数の中空糸膜12は束状に配置されている。中空糸膜束14は、外径が、5〜200cmの範囲で複数の中空糸膜12が配設されることが好ましく、5〜100cmであることがより好ましく、5〜50cmであることがさらに好ましい。
中空糸膜12の素材等は、特に限定されないが、片端フリー構造の場合には、中空糸膜12が物理洗浄時に揺動するために、一定の柔軟性を有していることが好ましい。具体的には、中空糸膜12の伸度が、20%以上、500%未満であることが好ましい。さらに好ましくは、20%以上、400%未満、最も好ましくは、20%以上、300%未満である。中空糸膜12の伸度がこれ以上小さい場合には、物理洗浄時の揺動中に十分な強度を維持することができず、中空糸膜12が破断してしまうなどの問題が発生する場合がある。一方で、500%以上の場合には、中空糸膜12が柔らかすぎてしまい、後述の突出部40による中空糸膜12の接触防止効果を発揮しにくくなってしまう。
図2に示すように、中空糸膜12の一端部は、1本1本バラバラに封止剤38によって封止されている。封止剤38は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等、2液混合式の樹脂を用いたものである。封止剤38を構成する樹脂が中空糸膜12の外側まではみ出すことにより、中空糸膜12の一端部には、中空糸膜12の外面から突出した形状の突出部40が設けられている。すなわち、突出部40は、管状の中空糸膜12の端部を塞ぐ封止剤38と一体的に設けられている。
伸度180%の中空糸膜12を用いて、図1示すような中空糸膜モジュール10を作製した。中空糸膜12の下端部はエポキシ系樹脂で封止されており、中空糸膜12の上端部は、開口している。そして、中空糸膜12の有効長は1mであり、中空糸膜束14の外径は20cmとした。ハウジング16の内部空間の容積に対する中空糸膜束14の充填率は39%であった。中空糸膜12の外径(OD)は1.25mmであり、突出部40の幅(Dmax)は1.5mmであった。したがって、中空糸膜12の外径に対する突出部40の幅の比Dmax/ODは、1.2であった。これによって、中空糸膜12同士の間に間隙ができることが確認できた。中空糸膜12の有効長の誤差は、2%であった。
有効長1.8m、外径1.0mmの中空糸膜12を用い、幅Dmaxが2mmになるように、中空糸膜12に突出部40を形成した。このときのDmax/ODは2.0である。
(実施例3)
有効長0.3m、外径2.0mmの中空糸膜12を用い、幅Dmaxが2.5mmとなるように、中空糸膜12に突出部40を形成した。このときのDmax/ODは1.25である。
1.25mmの幅ODを有する中空糸膜12に対し、中空糸膜束14の幅ODが1.25mmとなるように、中空糸膜12の端部を封止剤38で封止した。封止剤38は、中空糸膜12の外面から突出していないので、突出部40は形成されていない。すなわち、Dmax/ODは1.0である。それ以外は、実施例1と同様の構成である。
比較例2では、比較例1と同様に、1.25mmの幅ODを有する中空糸膜12に対し、中空糸膜束14の幅ODが1.25mmとなるように、中空糸膜12の端部を封止剤38で封止した。封止剤38は、中空糸膜12の外面から突出していないので、突出部40は形成されていない。一方、比較例2では、比較例1と異なり、中空糸膜束14の充填率が10%に設定されている。それ以外は、比較例1と同様の構成である。
Dmax/ODの比が3倍以上になるような中空糸膜束14を作製することは困難であり、評価できなかった。
実施例1と同様の構造を有する中空糸膜12を用いて中空糸膜束14を作成し、充填率を65%以上にしようとしたが、そのような中空糸膜モジュール10を作製することができなかった。
中空糸膜12の伸度は、以下のように測定した。まず、測定対象物である中空糸膜12を5cmとなるように切断した。この切断した中空糸膜12を、オートグラフ(株式会社島津製作所製のAG−Xplus)を用いて、25℃の水中で、100mm/分の速さで引っ張る引張試験を行った。そして、中空糸膜12が破断した際の長さを測定した。破断した際の中空糸膜12の有効長さを、測定対象の元の長さで割ったときの数値の百分率を、伸度(%)と定義した。
水酸化第二鉄の懸濁液からなり、SS濃度が300mg/Lのモデル水を原水として、中空糸膜モジュールを用いて、外圧全濾過方式により流量150LMH(L/m2/h)の条件で30分間、定流量濾過を行った。そして、濾過運転後、中空糸膜モジュールの濾液側から0.2MPaの圧縮空気により逆圧洗浄を実施し、その後、下部からのバブリング洗浄を実施した。バブリング用の空気流量は1700NL/hとした。濾過運転中に中空糸膜モジュールに供給されたSS供給量に対して、バブリング洗浄によりハウジング16から排出されたSS排出量の比率により濁質排出性を評価した。
中空糸膜モジュールに純水で、100kPaの圧力をかけたときに、得られる純水透水量を、純水透水性(m3/h/100kPa)とした。
1本の中空糸膜12で測定した時の透水性能に中空糸膜12の本数を乗じて得られる値を理論上のモジュール透水性とする一方で、中空糸膜モジュールで実測したときのモジュール透水性を、理論上のモジュール透水性で割って100をかけて得られる値を、膜有効利用率(%)とした。
表1に示すように、実施例1の中空糸膜モジュール10では、濁質排出性が98%であった。同様に、実施例2及び3では、濁質排出性がそれぞれ97%、99%であった。これに対し、比較例1では、濁質排出性が85%と低かった。これにより、中空糸膜12に突出部40が形成されていないものに比べ、突出部40が形成されているものでは、濁質排出性が向上することが分かる。すなわち、突出部40が形成されていることにより、中空糸膜12同士の接触が抑制されるため、バブリング洗浄によるSS排出性の向上が図られていると推測される。また、膜有効利用率においては、実施例1〜3は、何れも比較例1及び2に比べて高かった。すなわち、突出部40の存在により、中空糸膜束14としてのモジュール透水性が、理論上のモジュール透水性から低下し難いことが分かる。すなわち、突出部40の存在によって、中空糸膜12同士の接触面積の増大が抑制され、透水性能が低下しないことが分かる。一方、比較例2では、濁質排出性が98%と高くなっているが、比較例2では、充填率が10%と低いことから、中空糸膜自体が動きやすくなっていることに起因して濁質排出性が高くなっていると推測される。その一方で、比較例2では、有効利用率が比較例1と同様に、実施例1〜3に対して低くなっている。このことから、充填率が10%程度でも、中空糸膜同士の接触が生じている可能性があると言える。なお、モジュールの純水透水性は、実施例1〜3に比べ、比較例2において、低くなっている。これは、比較例2では、充填率が低くそもそも膜面積が小さいからである。
12 中空糸膜
14 中空糸膜束
16 ハウジング
18 固定部材
38 封止剤
40 突出部
Claims (9)
- 原水が外側から内側に向かって透過する複数の中空糸膜を有し、各中空糸膜の一端部が封止剤により封止された中空糸膜束と、
前記複数の中空糸膜の他端部が開口した状態で前記他端部を固定する固定部材と、
を備え、
前記中空糸膜束は、前記中空糸膜の前記一端部が固定されない片端フリータイプであり、
前記複数の中空糸膜のそれぞれには、該中空糸膜の外面から突出した形状の突出部が設けられており、
前記突出部は、隣の中空糸膜に設けられた突出部と接触する位置に配置されている中空糸膜モジュール。 - 前記突出部は、前記封止剤によって封止された前記一端部に設けられている請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記複数の中空糸膜の有効長の誤差は、10%未満である請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記中空糸膜の有効長が0.3m以上2.5m以下である請求項1から3の何れか1項に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記突出部は、角のない形状を有する請求項1から4の何れか1項に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記中空糸膜束が収容されるハウジングを備えている請求項1から5の何れか1項に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記ハウジングの内部空間での前記中空糸膜束の充填率が20%以上65%未満である請求項6に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記突出部の幅が前記中空糸膜の外径の1倍よりも大きく且つ3倍未満である請求項1から7の何れか1項に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記中空糸膜に外側から圧力がかけられる外圧濾過方式である、請求項6に記載の中空糸膜モジュール。
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