本発明に係る電子部品の実装装置の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(全体構成)
図1は、電子部品101の実装装置1の概略を示す上面図である。図2は、この実装装置1の詳細構成を示す側面図である。図1に示すように、実装装置1内にはキャリア100と第1の基板としての基板200が搬入され、互いに平行を保って載置される。キャリア100は、複数の電子部品101が配列された部品供給体である。基板200は、電子部品101の実装領域201を複数行複数列で配列して成る。この実装装置1は、キャリア100から電子部品101を順番にピックアップし、基板200へ電子部品101を搬送し、基板200の各実装領域201に電子部品101を搭載する。
典型的には、電子部品101は、FO−WLPやFO−PLPの製造プロセスを経るフリップチップタイプの半導体チップである。キャリア100は、再配線層形成前の電子部品101が並ぶウエーハリングである。ウエーハリングは、ダイシングされた電子部品101が貼着されたシートをリングで張って成る。基板200は、再配線層が形成される疑似ウエーハを形成するために、電子部品101を配列する仮貼り付け用の支持基板であり、ガラス基板、シリコン基板又はステンレス等の金属基板等から成る。基板200は、基板200上の全ての電子部品101を樹脂で一つに固めて疑似ウエーハとした後、剥離されるものである。
この基板200は、外形位置や基板200全体の位置を示すグローバル認識方式のアライメントマーク202が記されている。一方、回路パターン等の実装領域201の位置を視認可能なローカル認識方式のアライメントマークは無い。即ち、実装領域201とは、基板200上の電子部品101が未搭載の状態では位置及び範囲が識別されない仮想上の領域であって、電子部品101が搭載される予定の空き領域である。但し、実装領域201は、疑似ウエーハとなった後、再配線層が形成される領域として事後的に確定できる。
この実装装置1は、供給部3、ステージ4及び搬送部5を備えている。供給部3はキャリア100を保持し、ステージ4は基板200を保持する。搬送部5は、供給部3側の規定ポジションとステージ4側の規定ポジションとの間を往復し、供給部3側の規定ポジションでキャリア100から電子部品101をピックアップし、ステージ4側の規定ポジションで電子部品101を基板200に搭載する。供給部3は、キャリア100が拡がる平面に沿って水平に2次元移動し、各電子部品101を供給部3側の規定ポジションに位置合わせする。ステージ4は、基板200が拡がる平面に沿って水平に2次元移動し、各実装領域201をステージ4側の規定ポジションに位置合わせする。
以下、供給部3側の規定ポジションをピックアップポジション31といい、ステージ4側の規定ポジションを実装ポジション41という。また、ピックアップポジション31と実装ポジション41とを結ぶ方向をX軸方向といい、キャリア100及び基板200が拡がる面と平行でX軸方向と直交する方向をY軸方向といい、キャリア100及び基板200と垂直で、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向という。また、行方向というとき、この行方向は、同一行で列が並ぶ方向であり、この行方向をX軸方向とする。列方向というとき、この列方向は、同一列で行が異なっていく方向、つまり改行方向であり、この列方向をY軸方向とする。
(供給部)
供給部3は、キャリア100がウエーハリングである場合、ウエーハリングホルダを含み構成される。この供給部3は、キャリア100を保持する保持部32、ピックアップポジション31の電子部品101をキャリア100から突き上げる突き上げピン33、各電子部品101をピックアップポジション31に位置合わせするXY移動機構34、及び電子部品101とピックアップポジション31の位置関係を検出するカメラ35を備えている。
保持部32は、中心孔を有するドーナツ形状の板である。ドーナツ形状の板の内径はキャリア100の外径よりも小さく、保持部32は、その縁でキャリア100を保持する。中心孔は、キャリア100の全電子部品101を包含した孔径を有する。ここでは、電子部品101は、キャリア100に対して、電子部品101の電極形成面とは反対の面が貼着される。電極形成面とは反対の面を背面と呼ぶ。また、キャリア100は、電子部品101の電極形成面が上を向いたフェイスアップ型で保持されている。
突き上げピン33は、キャリア100と垂直な軸を有するロッドである。突き上げピン33の先端は、一個の電子部品101に収まるように先細りしている。この突き上げピン33は、ピックアップポジション31に設置される。そして、突き上げピン33は、軸に沿って前進及び後退可能となっている。突き上げピン33は、ピックアップポジション31の電子部品101をキャリア100から突き上げるまで前進する。キャリア100がフェイスアップ型で保持されている場合、突き上げピン33は、シートを介して電子部品101の背面を突き上げることになる。
XY移動機構34は、保持部32をX軸方向及びY軸方向に移動させる2軸の直動機構である。XY移動機構34は、保持部32を移動させることで、各電子部品101をピックアップポジション31に位置合わせする。カメラ35は、ピックアップポジション31の上方の位置でピックアップポジション31に撮像視野を向けて設けられる。カメラ35は、電子部品101とピックアップポジション31との位置関係を認識するために、電子部品101を撮像する。XY移動機構34は、電子部品101とピックアップポジション31との位置関係がフィードバックされ、電子部品101とピックアップポジション31の位置が合うように移動量を修正する。
(搬送部)
搬送部5は、フェイスアップ型でキャリア100が保持され、また電極形成面を基板200に対面させて搭載するフェイスダウン型の場合、中継部52と実装部53とを備える。中継部52は、ピックアップポジション31で電子部品101をピックアップする。実装部53は、電子部品101を中継部52から受け取り、ピックアップポジション31から実装ポジション41へ電子部品101を搬送し、基板200の実装領域201へ電子部品101を搭載する。
この中継部52は、電子部品101を保持する吸着ノズル61a、キャリア100に対して吸着ノズル61aを接近及び離反させる昇降装置63a、そして吸着ノズル61aの向きを180度回転させる反転装置64を備える。吸着ノズル61aは、キャリア100を挟んで突き上げピン33と反対に位置し、負圧発生口を電子部品101の電極形成面に向ける。まず、昇降装置63aは、吸着ノズル61aをキャリア100に向けて接近及び当接させる。吸着ノズル61aは、負圧発生口にて電子部品101の電極形成面を吸着する。吸着ノズル61aが電子部品101を吸着保持すると、昇降装置63aは、吸着ノズル61aをキャリア100から離間させる。反転装置64は、電子部品101の電極形成面がキャリア100側を向くように裏返す。
実装部53は、電子部品101を保持する吸着ノズル61b、ピックアップポジション31から実装ポジション41までX軸方向に沿って架設された直動機構62、基板200に対して吸着ノズル61bを接近及び離反させる昇降装置63bを備える。実装部53の直動機構62は、実装部53の吸着ノズル61bをピックアップポジション31に位置させる。このとき、実装部53の吸着ノズル61bは、Z軸方向で電子部品101を挟んで、中継部52の吸着ノズル61aとは反対側に位置する。実装部53の吸着ノズル61bは、電子部品101の背面と対面する。実装部53の吸着ノズル61bは、負圧発生口で電子部品101の背面を吸着保持し、一方、中継部52の吸着ノズル61aは、真空破壊又は大気開放により電子部品101の保持力を消失させる。そして、実装部53の直動機構62は、電極形成面を下に向けさせたまま、吸着ノズル61bを実装ポジション41へ移動させる。
(ステージ)
ステージ4は、載置板42と、当該載置板42に対する移動機構としてのXY移動機構43を備えている。載置板42は基板200を載置する。XY移動機構43は、載置板42を基板200が拡がる平面に沿って水平に2次元移動させ、各実装領域201を順番に実装ポジション41に位置合わせし、実装部53が搬送した電子部品101を受け取る。
図3は、ステージ4の詳細構成を示す図である。載置板42は、例えばSUS304等のステンレス製であり、平坦面の大きさは基板200を包含する。載置板42には複数の細孔42aが貫設されている。細孔42aは、真空ポンプやエジェクタを有する負圧回路8と接続されており、負圧が供給される。そのため、載置板42は基板200を吸着保持し、慣性力に対抗して基板200との位置関係を維持する。また載置板42はヒータ42bを備える。ヒータ42bは、載置板42を介して基板200を加熱する。このヒータ42bは、電子部品101と実装領域201との間のダイアタッチフィルムの接合性を向上させる。
XY移動機構43は2軸の直動機構を備える。両直動機構は、例えばボールネジ機構43x,43yである。第1軸のボールネジ機構43xは、X軸方向に載置板42をスライドさせる。第2軸のボールネジ機構43yは、Y軸方向に載置板42をスライドさせる。レールとネジ軸は、各々のスライド方向に沿って延設される。ネジ軸は回転モータの回転軸と連結して軸回転する。ネジ軸にはスライダが螺合している。X軸方向のボールネジ機構43xは、Y軸方向のボールネジ機構43yのスライダに固定され、ボールネジ機構43yのレールに支持される。載置板42は、X軸方向のボールネジ機構43xのスライダに固定され、ボールネジ機構43xのレールに支持される。
このボールネジ機構43x,43yには、レール及びネジ軸に沿った移動量を検出するロータリーエンコーダ44(以下単に「エンコーダ44」と称する。)等の位置検出器が取り付けられている。回転モータは、モータコントローラを有し、エンコーダ44の検出値がフィードバックされ、指示された移動量を満たすまで、ボールネジ機構43x,43yを介して、又は直接的に載置板42をスライドさせる。
(ステージ制御構成)
図4は、実装装置1が備える制御部7を示すブロック図である。図4に示すように、実装装置1は制御部7を備え、この制御部7は、基板セット制御部71、実装制御部72及び公差校正データ生成部73を備える。ステージ4は、これら基板セット制御部71、実装制御部72及び公差校正データ生成部73によって制御される。XY移動機構43に対する移動量の指示は、これら基板セット制御部71、実装制御部72及び公差校正データ生成部73が出力する制御信号に含まれる。基板セット制御部71と実装制御部72と公差校正データ生成部73は、同一のコンピュータにより構成され、CPU又はMPUとも呼ばれる演算制御装置、RAMとも呼ばれる主記憶装置、HDD又はSDD等の外部記憶装置、及びXY移動機構43をはじめとする周辺機器に制御信号を送受信するインターフェースを備える。
外部記憶装置には、ステージ4を制御する制御プログラム及び各種データが記憶されている。制御プログラム及び各種データは主記憶装置に展開され、演算制御装置に処理される。制御プログラムは、コンピュータを基板セット制御部71と実装制御部72と公差校正データ生成部73として機能させるオブジェクトコード又は機械語命令である。尚、外部記憶装置には、実装装置1の供給部3及び搬送部5を含む各部を制御するプログラムも記憶されており、基板セット制御部71等のコンピュータは、これら各部の制御部7ともなって統合的に実装装置1を制御する。
ここで、ステージ4では、基板200を基準位置にセットするセット処理を経て第1載置時、即ち第1の基板である基板200を載置板42に載置した状態に移行し、この第1載置時において、各実装領域201を実装ポジション41に順次移動させる実装処理が行われる。基準位置は、基板200の原点位置であり、最初に電子部品101を搭載する実装領域201と、搬送部5が電子部品101を降ろす実装ポジション41とが合致する。また、このセット処理及び実装処理に先立って、XY移動機構43の機械的な移動誤差を測定しておく校正処理が行われる。実装処理では、校正処理の結果を反映させて実装領域201が位置合わせされる。セット処理は基板セット制御部71が担い、実装処理は実装制御部72が担い、校正処理は公差校正データ生成部73が担う。
セット処理、実装処理及び校正処理では、基板200のアライメントマーク202を撮像する第1カメラ74a、実装ポジション41を視野に収める第2カメラ74b、第1カメラ74a及び第2カメラ74bの動画像を表示する表示部74c、載置板42の移動方向及び移動量を入力する操作部74dが用いられる。表示部74cは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の視覚により認識可能な画像を表示する装置である。操作部74dは、キーボード、マウス、ジョイスティック、ティーチングペンダント又は表示部74cに重ねられたタッチパネル等の作業者がX軸方向の移動量及びY軸方向の移動量を入力可能な装置である。
(基板セット制御部)
これらセット処理、実装処理及び校正処理について詳細に説明する。まず、基板セット制御部71は、第1カメラ74aによる基板200のアライメントマーク202の撮像画像に基づいて基板200を位置合わせする。具体的には、基板セット制御部71は、第1カメラ74aに基板200のアライメントマーク202を撮影させ、アライメントマーク202の位置を認識する。また、基板セット制御部71は、認識したアライメントマーク202の位置に基づいて基板200の位置を認識し、最初に電子部品101が実装される実装領域201を基準位置に位置付ける。
(実装制御部)
実装制御部72は、実装移動パターン記憶部72a、公差校正データ記憶部72b及び熱膨張校正データ記憶部72cを備えている。この実装制御部72は、実装移動パターン記憶部72aに記憶されている実装移動パターンD4を基準にして、公差校正データ記憶部72bに記憶されている公差校正データD1及び熱膨張校正データ記憶部72cされている実装時熱膨張校正データD5で、実装領域201ごとに移動量を調整しながら、実装領域201を順番に実装ポジション41に送る。
図5は、実装移動パターンD4を示す模式図である。例えば、セット処理により、基板200上の最初に電子部品101が実装される実装領域201、つまり、左上角に位置する実装領域201が実装ポジション41に合致しているものとする。実装移動パターンD4は、角の実装領域201から各実装領域201を行方向順で実装ポジション41に順次合わせる。同一行の全実装領域201を実装ポジション41に合わせ終えると、次行に移行する。次行に移る際は、次行同一列の実装領域201を実装ポジション41に合わせる。奇数行と偶数行とでは、行方向の移動方向を逆とする。
このような実装移動パターンD4は、同一行に沿って基板200を移動させる行方向移動ピッチ情報D41と、次行に移る改行ピッチ情報D42の組み合わせにより成る。行方向移動ピッチ情報D41に含まれるX軸方向移動量は実装領域201の実際の列間に一致し、Y軸方向移動量はゼロである。改行ピッチ情報D42に含まれるY軸方向移動量は実装領域201の実際の行間に一致し、X軸方向移動量はゼロである。即ち、この実装移動パターンD4は、現在実装ポジション41に位置している実装領域201の隣の実装領域201を次に実装ポジション41に移動させる蛇行走行であり、実装領域201の実際の間隔そのものである。
ここで、XY移動機構43の各機械的要素には、部品の加工上の寸法公差や幾何公差、部品の組み立てに伴う公差、XY移動機構43を装置に組み付ける際の組み付け誤差等、製品の製造上および組み付け時に生じる許容される範囲の誤差が生じている。例えば、載置板42を移動させるネジ軸やレール等を所望長さにわたって例えば±7μm以下の高精度で仕上げることは、金属加工上実質的に不可能である。また、例えば、ネジ軸やレールを例えば±7μm以下等の所望範囲内の直線性とうねりで組み付けることは尚更不可能である。この公差には、移動機構等の熱膨張による誤差は含まない。
従って、エンコーダ44が実際の行間及び列間といった実装ポジション41と各実装領域41の実際の間隔と一致の移動量を検出しても、それはうねり等に沿った移動量であるため、実装領域201は実装ポジション41に実際には合致せず、移動誤差が生じる。また、精度の高い直線性を有する範囲やうねりの発生範囲及び程度はまちまちであるため、この公差による各実装領域201の実装ポジション41への移動誤差は、実装領域201ごとにまちまちである。
そこで、図6は、公差校正データ記憶部72bが記憶するテーブルを示す模式図であるが、図6に示すように、公差校正データ記憶部72bには、実装領域識別情報と公差校正データD1とが組になって記憶されている。実装領域識別情報は、各実装領域201の並び位置を示す情報であり、例えば基板200上の座標(X,Y)である。公差校正データD1は、実装領域201ごとにまちまちの移動誤差であり、実装領域201ごとの値を持つ。実装制御部72は、実装ポジション41へ位置合わせする実装領域201ごとに、行方向移動ピッチ情報又は改行ピッチ情報で示される実際の間隔を公差校正データD1で校正することで、実装領域201にまちまちの機械的な移動誤差を除去する。
更に、実装時熱膨張校正データD5は、基板200の熱膨張、XY移動機構43の各部の熱膨張、又はこれらの両方が反映された補正係数である。予め、実装時の熱膨張量を測定する等により把握し、熱膨張量に応じた係数を実装時熱膨張校正データD5として熱膨張校正データ記憶部72cに記憶させておく。実装制御部72は、実装時熱膨張校正データD5を乗じることで、実装ポジション41に実装領域201を合致させる最終的な移動量を算出し、XY移動機構43に指示する。
(セット処理及び実装処理)
図7は、セット処理及び実装処理の動作を示すフローチャートである。まず基板セット制御部71によるセット処理から始まる。最初に、基板200が載置板42に載置される(ステップS01)。基板セット制御部71は、アライメントマーク202を第1カメラ74aに撮像させる(ステップS02)。ステップS01において、実装装置1は、基板200を装置内に搬入して載置板42に基板200を載置するロボット等の基板搬入装置を備えるようにすればよい。ステップS02において、基板セット制御部71は、第1カメラ74aに対して撮像指示信号を出力し、第1カメラ74aが撮像した画像を受け取る。
アライメントマーク202が撮像されると(ステップS02)、基板セット制御部71はアライメントマーク202の位置に応じてXY移動機構43を制御する(ステップS03)。ステップS03において、基板セット制御部71は、画像解析によりアライメントマーク202の位置座標を検出し、画像内の基準座標との差を演算する。基準座標は、例えば、基板200の左上角の実装領域201が実装ポジション41に位置するとき、アライメントマーク202が位置すべき座標位置である。そして、基板セット制御部71は、演算により検出された差を相殺する制御信号をXY移動機構43に出力する。即ち、制御信号には、演算により検出された差を相殺する移動方向及び移動量を内容に含む。これにより、基板200は、最初に電子部品101が搭載される実装領域201と実装ポジション41とが合致する基準位置に位置合わせされる。
次に実装制御部72による実装処理に移る。実装ポジション41の実装領域201には、搬送部5が搬送してきた電子部品101が搭載される。まず、最初の実装領域201は実装ポジション41に合致している。そのため、実装制御部72によるXY移動機構43の制御は待機である(ステップS04)。なお、実装される電子部品101は、実装部53によって実装ポジション41に移送される間に不図示のカメラを用いてその位置が認識され、認識された位置情報に基づいて実装ポジション41に位置付けられる。
実装ポジションに位置する実装領域201に電子部品101が搭載されると、実装制御部72は、現在の実装領域識別情報に従って、次の実装領域201を実装ポジション41へ移動させる次の実装移動パターンD4を読み出す(ステップS05)。例えば、実装領域201がM行N列で基板200に配列されているものとする。電子部品101の搭載が完了した実装領域201が奇数行及び(N−1)列目であれば、行方向移動ピッチ情報D41を読み出し、奇数行及びN列目であれば、改行移動ピッチ情報D42を読み出し、偶数行及び2列目以上であれば、行方向移動ピッチ情報D41を読み出し、偶数行及び1列目であれば、改行移動ピッチ情報D42を読み出す。
また、実装制御部72は実装領域識別情報を更新する(ステップS06)。実装領域201がM行N列で基板200に配列されているものとする。このとき、ステップS06において、電子部品101の搭載が完了した実装領域201が奇数行及び(N−1)列目であれば、行番号は不変であり、列番号は1カウントアップされる。電子部品101の搭載が完了した実装領域201が奇数行及びN列目であれば、行番号が1カウントアップされ、列番号は不変である。電子部品101の搭載が完了した実装領域201が偶数行及び2列目以上であれば、行番号は不変であり、列番号が1カウントダウンされる。電子部品101の搭載が完了した実装領域201が偶数行及び1列目であれば、行番号が1カウントアップされ、列番号は不変である。
そして、実装制御部72は、更新した実装領域識別情報と組になった公差校正データD1を読み出し(ステップS07)、ステップS05で読み出した実装移動パターンD4を公差校正データD1で校正する(ステップS08)。実装制御部72は、更に実装時熱膨張校正データD5を読み出す(ステップS09)。そして、公差校正データD1で校正したデータに実装時熱膨張校正データD5が示す係数を乗じる(ステップS10)。このステップS10によって、基板200の熱膨張、XY移動機構43の各部の熱膨張、又はこれらの両方によって変位も解消される。実装制御部72は、公差校正データD1と実装時熱膨張校正データD5で校正された最終的な移動量をXY移動機構43に指示する(ステップS11)。なお、ステージ4に生じる熱膨張量は、経時的に変化する。したがって、実装時熱膨張校正データD5は、実装処理の開始からの経過時間、または、電子部品101の実装数等に応じて定期的あるいは不定期的に更新されるように設定されている。よって、実装時熱膨張校正データD5は、実装処理の開始からの経過時間、または、実装数に応じたものが用いられる。
このステップS07からステップS11において、例えば、既に実装ポジション41に前の実装領域201が位置合わせされ、次に隣のa行b列目の実装領域201を実装ポジション41に位置合わせするものとする。そして、図8に示すように、このa行b列目の実装領域201から実装ポジション41までの実際の間隔(X軸方向成分,Y軸方向成分)が(Xa,Yb)であるものとする。このとき、仮に、実装移動パターンD4である行方向移動ピッチ情報D41又は改行移動ピッチ情報D42が示す実際の間隔(Xa,Yb)の移動を指示したものとすれば、XY移動機構43の各部の公差によって実際には移動量(Xe1,Ye1)だけ移動し、移動誤差である(Xd1,Yd1)が、a行b列目の実装領域201に特有に発生する。そのため、a行b列目の実装領域201と実装ポジション41との差は、(Xd1,Yd1)に留まり、ゼロにはならない。
しかし、更新した実装領域識別情報と組になっている公差校正データD1は、この移動誤差(Xd1,Yd1)を示している。行方向移動ピッチ情報又は改行移動ピッチ情報が示す実際の間隔(Xa,Yb)と、この公差校正データD1の和をとると、その校正値は(Xa+Xd1,Yb+Yd1)となる。この校正値の移動が指示され、また実装時の熱膨張が生じていないとすれば、或いは、無視できるとすれば、移動誤差(Xd1,Yd1)が埋まり、a行b列目の実装領域201が実装ポジション41に位置する。更に、熱膨張が生じている場合には、この校正値を実装時熱膨張校正データD5が示す熱膨張率(αx,αy)で校正し、最終的な移動量は、(αx(Xa+Xd1),αy(Yb+Yd1))となる。
XY移動機構43には、この最終的な移動量を含む制御信号が入力される。制御信号が入力されたときは、前の実装領域201が実装ポジション41に位置合わせされて、電子部品101を搭載している状態であり、XY移動機構43は、その次の実装領域201を実装ポジション41に位置合わせする。この位置合わせの際、XY移動機構43は、入力された最終的な移動量をエンコーダ44が検出するまで、載置板42を移動させることになる。
即ち、XY移動機構43は、次のa行b列目の実装領域201と実装ポジション41の実際の間隔を示す移動量を、XY移動機構43の機械的な移動誤差を示す公差校正データD1で校正し、更にXY移動機構43の実装処理時の熱膨張を示す実装時熱膨張校正データD5で校正された、最終的な移動量だけ次のa行b列目の実装領域201を移動させることなる。従って、次のa行b列目の実装領域201は、機械的な移動誤差や実装処理時の熱膨張による変位の影響を受けず、実装ポジション41に精度良く位置合わせされる。
尚、実装ポジション41への実装領域201の移動は、供給部3が電子部品101をピックアップポジション31に位置させ、搬送部5の中継部52が電子部品101をキャリア100から受け取って、搬送部5の実装部53が電子部品101を中継部52から受け取り、実装部53が実装ポジション41にて電子部品101を基板200に向けて降ろすまでの間に完了すればよい。
そして、最後の実装領域識別情報に到達していない限りは(ステップS12,No)、ステップS06の実装領域識別情報のステップに戻り、最後の実装領域識別情報に到達していれば(ステップS12,Yes)、全ての実装領域201に電子部品101を搭載し終え得たこととなるため、この基板200に対する実装処理を終了する。尚、実装制御部72は、最後の実装領域識別情報を基板200に合わせて予め記憶している。
(公差校正データ生成部)
このような公差校正データD1を実装処理前に予め生成しておくのが公差校正データ生成部73であり、公差校正データ生成部73は実装処理前に公差校正データ記憶部72bに公差校正データD1を書き込んでおく。
図9は、第2の基板としての校正基板を示す図である。図9に示すように、校正処理時には、基板200の代わりに校正基板300が載置板42に載置される。基板200が載置板42に載置されて実装処理が行われる第1載置時に対し、校正基板300が載置板42に載置された状態を第2載置時という。
校正基板300はガラス製の平坦板である。ガラス基板は、ステンレス等の金属と比べて熱膨張し難いために望ましいが、これに限ることなく、熱膨張し難い素材であれば代用可能である。校正基板300は基板200と同形同大の矩形であり、平坦面にドットマーク301が記されている。ドットマーク301は、複数行複数列で予め設定された間隔で規則的に配置されている。ドットマーク301の行列数及び間隔は、主に要求される実装制度を考慮して決定される。例えば、基板200及び校正基板300が600mm×600mの本実施形態では、ドットマーク301は3mm間隔で設けられている。このドットマーク301は、例えば直径が0.2mm程度の金属薄膜等で形成されており、エッチングやスパッタリング等の成膜技術を用いて形成される。
公差校正データ生成部73は、XY移動機構43を制御する制御部であり、且つ公差校正データD1を生成する演算部である。この公差校正データ生成部73は、XY移動機構43に対し、実装ポジション41に向けた全ドットマーク301の移動を指示する制御信号を出力する。制御信号に含まれる指示内容は、各ドットマーク301の実際の間隔(X軸方向成分,Y軸方向成分)である。このドットマーク301の実際の間隔を第1の間隔という。
公差校正データ生成部73は、実装ポジション41に向けて移動を終えたドットマーク301を第2カメラ74bで撮像させる。そして、図10に示すように、公差校正データ生成部73は、ドットマーク301と実装ポジション41とのズレ量である第1の移動誤差としてのマーク移動誤差D2を画像解析により測定する。マーク移動誤差D2は、ドットマーク301の位置に固有の機械的な移動誤差、即ち公差校正データD1を含む。
ここで、公差校正データ生成部73は、校正処理時間の短縮のため、XY移動機構43を極力高速で駆動させる。例えば、最高速度で駆動させる。また、実装処理時と校正処理時と比べると、ヒータ42bの稼働の有無の違いもある。そのため、XY移動機構43の各部の発熱度合いは実装処理時と異なり、XY移動機構43の各部は実装処理時とは異なる熱膨張量で変化している。そのため、図10に示すように、マーク移動誤差D2は、公差による移動誤差を示す公差校正データD1と、校正処理時の熱に起因する移動誤差を示す第2の移動誤差としての熱移動誤差D3も含むことがある。そこで、公差校正データ生成部73は、熱移動誤差D3を測定し、熱移動誤差D3が生じている場合には、マーク移動誤差D2から熱移動誤差D3を差し引くことで公差校正データD1を算出する。
熱移動誤差D3は、マーク移動誤差D2の測定のために、XY移動機構43の各部に無視できない熱膨張が発生する前後で、ドットマーク301を同一移動量だけ動かし、到達した位置のズレを検出することで測定される。
具体的には、図11に示すように、熱移動誤差D3の測定のために、公差校正データ生成部73は、全ドットマーク301のマーク移動誤差D2を測定する第1移動処理の制御開始する前に、つまり、XY移動機構43に熱膨張が生じる前に、この代表マーク302の位置を示す熱移動誤差発生前位置P1を測定するべく、XY移動機構43の第2移動処理を制御する。代表マーク302は、周囲の複数のドットマーク301を代表して熱移動誤差D3が計測されるドットマーク301であり、第2のドットマークであって特定のドットマークである。具体的には、後述するように、複数行複数列のドットマーク301から成るエリア303に対して1つずつ設定されているマークである。従って、代表マーク302は、第1のドットマークとしてのドットマーク301よりも広い第2の間隔で構成基板300上に配置される、代表マーク302は、ドットマーク301が兼ねてもよいし、専用のマークとして設けてもよい。専用のマークとは、後述する第1移動処理でドットマーク301としては用いられない用途違いのマークであり、マークの形状は同一又は異なっていてもよい。
次に、公差校正データ生成部73は、全ドットマーク301のマーク移動誤差D2の測定の最中、代表マーク302を代表とする周囲の複数のドットマーク301のマーク移動誤差D2を測定する近傍のタイミングで、代表マーク302の位置を示す熱移動誤差発生後位置P2を測定すべく、XY移動機構43の第3移動処理を制御する。例えば、公差校正データ生成部73は、代表マーク302を代表とする周囲の複数のドットマーク301に対し、マーク移動誤差D2を測定する直前、又は周囲の複数のドットマーク301のマーク移動誤差D2を測定し終えた直後に、熱移動誤差発生後位置P2の測定処理を行う。
そして、公差校正データ生成部73は、熱移動誤差発生前位置P1と熱移動誤差発生後位置P2の相違を熱移動誤差D3として測定する。尚、熱移動誤差発生前位置P1と熱移動誤差発生後位置P2とを測定する際、代表マーク302のスタート位置が同じになり、同一の移動パターンを経るようにする。
代表マーク302に対する熱移動誤差D3は、この代表ドットマーク302の周囲に位置する各ドットマーク301の熱移動誤差D3と見做される。代表マーク302が示す熱移動誤差D3との周囲のドットマーク301の熱移動誤差D3とが近似するためである。換言すると、周囲とは、代表マーク302との距離が近いため、熱膨張による累積誤差が少ない範囲であり、代表マーク302は、その周囲である領域の中心に位置することが、より望ましい。
即ち、公差校正データ生成部73は、代表マーク302の周囲に位置する各ドットマーク301に対するマーク移動誤差D2から、代表マーク302に対する熱移動誤差D3を差し引く。この差分結果を公差校正データD1とし、各ドットマーク301と同一の位置関係の実装領域201の実装領域識別情報と組み合わせて公差校正データ記憶部72bに記憶させる。
図12は、マーク移動誤差D2の検出のための校正移動パターンを示す模式図である。公差校正データ生成部73は、校正基板300を複数行複数列のエリア303に分別する。各エリア303には、複数行複数列のドットマーク301が並ぶ。この複数行複数列のドットマーク301の中央に位置するドットマーク301を代表マーク302として設定する。図12に示すように、5行5列のドットマーク301で1つのエリア303が構成されている場合、各エリア303において3行3列の位置にあるドットマーク301を代表マーク302として設定する。マーク移動誤差D2の検出のための校正移動パターンD6において、公差校正データ生成部73は、XY移動機構43の制御により、1つのエリア303内に並ぶ各ドットマーク301を行方向に順番に実装ポジション41へ向けて移動させる。1行のドットマーク301の全てを実装ポジション41に移動させ終えると次列に移る。このエリア303内の移動を各エリア303につき行う。
即ち、公差校正データ生成部73は、各エリア303内での校正移動パターンD6を記憶している。校正移動パターンD6は、行方向移動ピッチ情報D61と改行移動ピッチ情報D62とにより成る。行方向移動ピッチ情報D61は、同一行で隣列のドットマーク301を次に実装ポジション41に移動させるX軸移動量及びY軸移動量により成る。改行移動ピッチ情報D62は、行替えのためのX軸移動量及びY軸移動量により成る。
奇数行と偶数行とで移動方向が反転する場合、即ち蛇行走行させる場合、X軸方向と行方向が一致するならば、行替えのX軸移動量はゼロ、奇数行と偶数行とでX軸移動量の正負が逆である。このエリア内移動情報は、機械的及び熱膨張による移動誤差を加味せず、直前の番のドットマーク301が実装ポジション41に位置している状態で、次に位置させるドットマーク301と実装ポジション41までの実際の間隔である。言い換えれば、エリア内移動情報は、校正基板300上におけるドットマーク301の行方向および改行方向のピッチ情報や行数、列数を含む配列情報である。このような校正移動パターンD6に従って全てのエリア303内のドットマーク301を実装ポジション41に移動させる処理が第1移動処理である。
図13は、熱移動誤差D3の検出のための校正移動パターンD7を示す模式図である。各エリア303の代表マーク302はエリア303の中心に位置する。熱移動誤差D3の検出のための校正移動パターンD7において、公差校正データ生成部73は、XY移動機構43の制御により、各エリア303の代表マーク302を行方向に順番に実装ポジション41へ向けて移動させる。1行の代表マーク302の全てを実装ポジション41に移動させ終えると次列に移る。この動きは、熱移動誤差発生前位置P1と熱移動誤差発生後位置P2を測定するときで同じとすることが望ましく、バックラッシ等の移動量の誤差も排除できる。
即ち、公差校正データ生成部73は、熱移動誤差D3の検出のための校正移動パターンD7は行方向移動ピッチ情報D71と改行移動ピッチ情報D72とにより成る。行方向移動ピッチ情報D71は、現在実装ポジション41に位置する代表マーク302を基準に、同一行で隣列の代表マーク302を実装ポジション41に移動させるX軸移動量及びY軸移動量により成る。改行移動ピッチ情報D72は、行替えのためのX軸移動量及びY軸移動量により成る。奇数行と偶数行とで移動方向が反転する場合、即ち蛇行ルートを採る場合、X軸方向と行方向が一致するならば、行替えのX軸移動量はゼロ、奇数行と偶数行とでX軸移動量の正負が逆である。この行方向移動ピッチ情報D71及び改行移動ピッチ情報D72は、機械的及び熱膨張による移動誤差を加味せず、直前の番の代表マーク302が実装ポジション41に位置している状態で、次に位置させる代表マーク302と実装ポジション41までの実際の間隔である。
要するに、行方向移動ピッチ情報D71及び改行移動ピッチ情報D72は、校正基板300上における代表マーク302の行方向及び改行方向のピッチ情報である。なお、校正移動パターンD7に従って代表マーク302を実装ポジション41に移動させる処理のうち、熱移動誤差発生前位置P1を測定する際に行う移動処理が第2移動処理であり、熱移動誤差発生後位置P2を測定する際に行う移動処理が第3移動処理である。
(校正処理)
図14乃至図16は、以上の公差校正データ生成部73の動作を示すフローチャートである。まず、作業者によって校正基板300が載置板42に載置される(ステップS21)。作業者は、操作部74dを操作して第2カメラ74bが取得する動画像と基準マークを表示部74cに表示させる(ステップS22)。作業者は、表示部74cに表示された校正基板300上のドットマーク301の画像を頼りに操作部74dを操作し、ドットマーク301の行方向がXY移動機構34のX軸方向に対して平行になるように、載置板42上で校正基板300の向きを調整する(ステップS23)。
例えば、作業者は、第2カメラ74bの動画像を参照しながら、XY移動機構43を手動操作し、まず、1行目の左端のドットマーク301が表示部74cの中央に表示されるようにする。その後、XY移動機構43をX方向に沿って左方向に駆動させ、表示部74cから1行目のドットマーク301が外れたら校正基板300の向きを調整することを繰り返す。これにより、XY移動機構43のX方向の移動によって1行目の全てのドットマーク301が順次表示部74cに表示されるように校正基板300の向きを調整する。
この後、作業者は、操作部74dを操作し、図12、図13に示すように、校正基板300の左上角に位置するドットマーク301が実装領域201と実装ポジション41とが合致する基準位置となるように位置合わせする(ステップS24)。第2カメラ74bは、実装ポジション41に光軸を一致させて配置している。したがって、基準位置に位置合わせされたドットマーク301は第2カメラ74bの表示部74cの中央に表示される。
校正基板300が基準位置に位置付けられ、校正基板300のセット処理が終了すると、公差校正データ生成部73による校正処理に移る。校正処理において、公差校正データ生成部73は、校正基板300上の各代表マーク302の熱移動誤差発生前位置P1を検出する(ステップS25)。ステップS25において、公差校正データ生成部73は、XY移動機構43を制御して、図13に示すように、校正基板300上の各代表マーク302を順番に実装ポジション41に向けて移動させる。XY移動機構43は、この制御によって第2移動処理として、代表マーク302を実装ポジション41に向けて移動させることになる。各代表マーク302の移動量は、校正移動パターンD7の行方向移動ピッチ情報D71および改行移動ピッチ情報D72に従う。
より詳細には、この時点で実装ポジション41に位置付けられている左上角に位置するドットマーク301と校正移動パターンD7の先頭に位置する代表マーク302との位置関係は、校正移動パターンD6の行方向移動ピッチ情報D61および改行移動ピッチ情報D62から算出できる。したがって、この間の移動は、算出された移動量をエンコーダ44が検出するまでXY移動機構43を駆動させることで行う。また、代表マーク302間の移動量は、行方向移動ピッチ情報D71、改行移動ピッチ情報D72で与えられている。したがって、代表マーク302間の移動は、その移動方向に応じて、行方向移動ピッチ情報D71、或いは、改行移動ピッチ情報D72で与えられた移動量をエンコーダ44が検出するまでXY移動機構43を駆動させることで行う。
この際、公差校正データ生成部73は、機械的な移動誤差及び熱移動誤差D3を加味しない、当該間隔を示す制御信号をXY移動機構43に出力する。なお、公差校正データ生成部73は、作業者が操作部74d等を介して発した校正処理の開始信号を受けて、上記の処理を開始する。
XY移動機構43は、この制御信号に従って第2移動処理として、熱移動誤差D3を検出するための校正移動パターンD7に倣い、校正基板300上の各代表マーク302を順番に実装ポジション41に向けて移動させることとなる。公差校正データ生成部73は、各代表マーク302が実装ポジション41へ向けて移動を終了した各タイミングで、第2カメラ74bに撮像指示信号を出力する。
これによって、公差校正データ生成部73は、第2カメラ74bに代表マーク302を撮像させ、代表マーク302の位置座標を熱移動誤差発生前位置P1として画像解析により検出する。画像解析では、例えば画像を2値化し、画素値でドットマーク301を識別し、識別したドットマーク301の中心を算出すればよい。
熱移動誤差発生前位置P1の検出が終了すると、この熱移動誤差発生前位置P1をエリア303に関連づけて記憶しておく(ステップS26)。そして、公差校正データ生成部73は、校正基板300を基準位置に復帰させる(ステップS27)。そして、図15に示すように、公差校正データ生成部73は、エリア識別情報とドットマーク識別情報と熱移動誤差D3を初期値にセットする(ステップS28)。エリア識別情報は、エリア303を識別する番号である。ドットマーク識別情報は、ドットマーク301を識別する座標である。熱移動誤差D3は、エリア303に紐付けられ、各エリア303の初期値はゼロである。
ステップS27による基準位置への復帰により、実装ポジション41には最初のエリア303の最初のドットマーク301、つまり、左上角のドットマーク301が位置しているので、ステップS28では、この最初のエリア303を示すエリア識別情報にセットし、左上角のドットマーク301を示すドットマーク識別情報にセットする。
これより公差校正データ生成部73は、XY移動機構43による第2移動処理の制御に移る。まず、公差校正データ生成部73は、ドットマーク識別情報を更新しながら(ステップS29)、次のドットマーク301を実装ポジション41へ向けて移動させる(ステップS30)。
ステップS29において、同一エリア303内にドットマーク301がA行B列で並ぶ場合、マーク移動誤差D2が検出されたドットマーク301が奇数行及び(B−1)列目であれば、行番号は不変であり、列番号が1カウントアップされる。マーク移動誤差D2が検出されたドットマーク301が奇数行及びB列目であれば、行番号が1カウントアップされ、列番号は不変である。マーク移動誤差D2が検出されたドットマーク301が偶数行及び2列目以上であれば、行番号は不変であり、列番号が1カウントダウンされる。マーク移動誤差D2が検出されたドットマーク301が偶数行及び1列目であれば、行番号が1カウントアップされ、列番号は不変である。一方、ドットマーク識別情報がA行B列を示す場合、次のエリア202に移るためにドットマーク識別情報は初期化される。
ステップS30において、公差校正データ生成部73は、校正移動パターンD6を含む制御信号をXY移動機構43に出力する。次のドットマーク301が同一行であれば、行方向移動ピッチ情報D61であり、次のドットマーク301が次行に存在すれば、改行移動ピッチ情報D62である。XY移動機構43は、この制御信号に従って第2移動処理を行う。即ち、XY移動機構43は、前のドットマーク301が実装ポジション41で撮像された状態で、行方向移動ピッチ情報D61又は改行移動ピッチ情報D62が示す、次のドットマーク301と実装ポジション41との実際の間隔をエンコーダ44が検出するまで、載置板42を移動させる。
公差校正データ生成部73は、次のドットマーク301を実装ポジション41へ向けて移動させると(ステップS30)、実装ポジション41へ向けて移動させたドットマーク301のマーク移動誤差D2を検出する(ステップS31)。
ステップS31では、第2カメラ74bに撮像指示信号を出力し、第2カメラ74bが撮像した画像からドットマーク301の位置を検出し、ドットマーク301の位置と実装ポジション41との位置ズレを画像解析により測定する。画像解析では、例えば画像を2値化し、画素値でドットマーク301を識別し、識別したドットマーク301の中心を算出し、実装ポジション41である画像中心の座標と中心の座標とを差分すればよい。
マーク移動誤差D2の検出が終了し(ステップS31)、エリア識別情報が示すエリア303内の全ドットマーク301のマーク移動誤差D2の検出が終了していなければ(ステップS32,No)、公差校正データ生成部73は、ドットマーク識別情報の更新、次のドットマーク301への移動及びマーク移動誤差D2の検出処理を続ける(ステップS29〜S31)。ステップS32において、同一エリア303内にドットマーク301がA行B列で並ぶ場合、ドットマーク識別情報が(A,B)であれば、全ドットマーク301のマーク移動誤差D2が検出されたものとする。
公差校正データ生成部73は、エリア識別情報が示すエリア303内の全ドットマーク301のマーク移動誤差D2の検出を終了すると(ステップS32,Yes)、このエリア識別情報が示すエリア303と関連づけて直前に更新されていた熱移動誤差D3を読み出し(ステップS33)、このエリア303に属する各ドットマーク301のマーク移動誤差D2と、読み出した熱移動誤差D3との差を取る(ステップS34)。
ステップS33において、具体的には、エリア識別情報が示すエリア303と紐付けられた熱移動誤差D3を用いればよい。後述するように、各熱移動誤差D3は各エリア303内の全ドットマークに対するマーク移動誤差D2の検出が終了する毎に更新されていく。公差校正データ生成部73は、この動作例において、更新されていく熱移動誤差D3のうち、マーク移動誤差D2の検出直前に算出された熱移動誤差D3を適用している。
そして、マーク移動誤差D2と熱移動誤差D3との差が取られると(ステップS34)、公差校正データ生成部73は、このエリア303内の各ドットマーク301の位置と同一の実装領域識別情報に対して、差分値を公差校正データD1として組み合わせて公差校正データ記憶部72bに記憶させる(ステップS35)。最初のエリア303においては、熱移動誤差D3が初期化されてゼロとなっているから、ステップS34の差分結果とマーク移動誤差D2の値とは変わらず、従ってこのステップS33及びステップS34は不要であり、マーク移動誤差D2を公差校正データD1としてそのまま記憶させればよい。
熱移動誤差D3によるマーク移動誤差D2の校正が終了すると(ステップS33〜S35)、公差校正データ生成部73は、次のエリア303に対する熱移動誤差D3の算出処理に移る。即ち、図16に示すように、公差校正データ生成部73は、各代表マーク302の熱移動誤差発生後位置P2を検出し(ステップS36)、エリア303と紐付けて記憶する(ステップS37)。
ステップS36において、公差校正データ生成部73は、校正基板300上の各代表マーク302を順番に実装ポジション41に向けて移動させる第3移動処理を実行する。このときの移動は、熱移動誤差発生前位置P1を検出するときと同様である。このときも、公差校正データ生成部73は、機械的及び熱膨張による移動誤差を加味しない、当該間隔を示す制御信号をXY移動機構43に出力する。つまり、公差校正データ生成部73は、単純に、エンコーダ44の検出値に基づいて行方向および改行方向に、行方向移動ピッチ情報D71及び改行移動ピッチ情報D72に従ってXY移動機構43を駆動させる。そして、公差校正データ生成部73は、第2カメラ74bで代表マーク302を撮像し、代表マーク302の位置座標を熱移動誤差発生後位置P2として画像解析により検出する。
各代表マーク302の熱移動誤差発生後位置P2を取得すると、公差校正データ生成部73は、熱移動誤差発生前位置P1と熱移動誤差発生後位置P2の差を取り、その差分値で各エリア303の熱移動誤差D3を更新する(ステップS38)。公差校正データ生成部73は、同じエリア303に紐付けられた熱移動誤差発生前位置P1と熱移動誤差発生後位置P2の差を取る。
そして、公差校正データ生成部73は、全エリア303に属する全ドットマーク301を基に公差校正データD1の生成を終了していなければ(ステップS39,No)、エリア識別情報を更新し(ステップS40)、ステップS29に戻る。一方、全公差校正データD1の生成を終了していれば(ステップS39,Yes)、公差校正データ生成部73の校正処理は終了である。
ステップS39において、エリア303がC行D列で並ぶ場合、エリア識別情報が(C,D)であれば、全エリア303終了となる。ステップS40において、エリア識別情報は、例えば同一行に隣列がある場合には、列座標が変更され、同一行の最後列であれば、行座標が変更される。ステップS40を経るステップS30において、公差校正データ生成部73は、ドットマーク識別情報が初期化された値であるので、エリア変更情報を含む制御信号をXY移動機構43に出力することになる。次のエリア303が同一行であれば、行方向移動ピッチ情報D71であり、次のエリア303が次行に存在すれば、改行移動ピッチ情報D72である。
(作用効果)
このように、この実装装置1において、載置板42は、複数の電子部品101が搭載される第1の基板として基板200を保持すると共に、複数のドットマーク301が予め設定された間隔で配列された第2の基板として校正基板300を当該基板200に先立って保持するようにした。また、ステージ4のXY移動機構43は、位置検出器として例えばエンコーダ44を有し、当該エンコーダ44の検出結果に基づいて載置板42を移動させるようにした。
このような実装装置1において、XY移動機構43は、第1移動処理と第2移動処理を行い、この第1移動処理と第2移動処理の結果として公差校正データD1が生成されるようにした。
即ち、校正基板300を載置板42に載置した第2載置時、XY移動機構43は、第1移動処理として、エンコーダ44の検出結果に従って載置板42を移動させることで、全てのドットマーク301を実装ポジション41に向けて移動させる。
また、XY移動機構43は、この第2載置時において第1移動処理前に、第2移動処理として、エンコーダ44の検出結果に従って載置板42を移動させることで、特定のドットマーク301である代表マーク302を実装ポジション41に向けて移動させる。また、XY移動機構43は、この第2載置時及び第1移動処理中に、第3移動処理として、エンコーダ44の検出結果に従って第2移動処理と同様に載置板42を移動させる。
そして、公差校正データ生成部73は、第1移動処理の結果、実装領域201に位置付けられたドットマーク301のマーク移動誤差D2を測定し、第2移動処理と第3移動処理の結果、代表マーク302の到達位置の相違である熱移動誤差D3を測定するようにした。基板200に電子部品101を搭載する際には、少なくとも、第1の移動誤差であるマーク移動誤差D2から第2の移動誤差である熱移動誤差D3を除去した公差校正データD1で移動量を校正するようにした。
即ち、XY移動機構43は、基板200を載置板42に載置した第1載置時、少なくとも第1の移動誤差としてマーク移動誤差D2から第2の移動誤差として熱移動誤差D3を除去した移動量で、載置板42を移動させる。その結果、XY移動機構43は、実装ポジション41に実装領域201を位置合わせするようにした。マーク移動誤差D2は、第1移動処理における、実装領域201と同じの位置関係にあるドットマーク301の実装ポジション41への移動誤差となる。熱移動誤差D3は、第2移動処理での代表マーク302の到達位置と、第3移動処理での代表マーク302の到達位置の差となる。
即ち、校正基板300は、基板200に代えて載置板42に載置され、載置板42に接する面とは反対側となる表面に、第1のドットマーク301と、第2のドットマークとしての代表マーク302を備えるものである。第1のドットマーク301は、予め設定された第1の間隔で配列された、XY移動機構43の公差に起因する移動誤差の校正に用いられる。代表マーク302は、第1の移動誤差の校正に用いるドットマーク301よりも広い第2の間隔で設けられた、XY移動機構43の熱膨張に起因する移動誤差の校正に用いられる。例えば、代表マーク302は、エリア303内の中央に位置する一つのドットマーク301である。
これにより、校正処理時にXY移動機構43を高速駆動させても、公差校正データD1に校正処理特有の熱移動誤差D3が反映されてしまうことが防止できる。従って、校正処理を時間短縮でき、生産効率が向上する。また、電子部品101を実装領域201に精度良く搭載することができる。
尚、実装制御部72は、マーク移動誤差D2と熱移動誤差D3とを合成した公差校正データD1を使用したが、マーク移動誤差D2と熱移動誤差D3を別々に記憶させておき、マーク移動誤差D2で実装移動パターンD4を校正し、更に熱移動誤差D3で校正するようにしてもよい。
また、本実装装置1では、第1の基板として疑似ウエーハの支持基板である基板200を例示したが、これに限られない。回路パターン等のローカル識別方式のアライメントマークが無く、電子部品101を整列させる必要のある基板であれば、本実装装置1に適用可能である。また、第1の基板の形状も円形の他、四角形やそれ以外の多角形、楕円形等であってもよく、その形状は特に限定されるものではない。
キャリア100は、ウエーハリングに限ることなく、例えばキャリアテープやトレイであってもよい。キャリアテープは、長手方向に沿ってポケットがエンボス加工により並設された帯である。トレイは、平坦な浅底を有する容器である。キャリアテープをキャリア100とする場合、供給部3は、キャリアテープを長手方向に沿って走行さえるテープフィーダとなる。
キャリア100に配列する電子部品101は、フリップチップタイプの半導体チップの他、電気製品に使用される部品であってパッケージングされるものであればよい。尚、半導体チップとしては、トランジスタやダイオードやコンデンサや抵抗等のディスクリート半導体や集積回路等の何れでもよい。半導体以外の電子部品101としては、チップコンデンサ、チップ抵抗、インダクタ、フィルタ、アイソレータ等も含まれる。更に、キャリア100から基板200へ搬送される電子部品101は1種類に限られるものではない。
搬送部5は、複数機が平行して備え付けられ、互いにタイミングをずらして電子部品101をピックアップし、互いにタイミングをずらして、或いは同時に、電子部品101を基板200に搭載するようにしてもよい。例えば、キャリア100と基板200が並ぶ領域の両脇に搬送部5を敷設するようにしてもよい。また、複数機の搬送部5を備える場合、実装ポジション41は共通であっても別々であってもよい。実装ポジションが別々の場合、各々の実装ポジション41へ実装領域201を位置合わせする実装パターンと公差校正データD1を記憶させる。即ち、各々の実装ポジション41に対して校正処理を実行すればよい。
電子部品101をフェイスアップとフェイスダウンとの間で反転させる必要がない場合、搬送部5は、実装部53が電子部品101をキャリア100からピックアップするようにしてもよい。または、中継部52でピックアップした電子部品101を中間ステージ等の載置台上に一旦置き、実装部53に受け渡すようにしてもよい。搬送部5は電子部品101を保持できればよく、吸着ノズル61a,61bに限らず、例えば静電吸着方式、ベルヌーイチャック方式、又は電子部品を機械的に挟持するチャック機構も適用可能である。
ステージ4のXY移動機構43は、公差による移動誤差が生じ、更に熱膨張して熱移動誤差D3が生じるものであれば公知の何れの方式であっても好適であり、ボールネジ機構43x,43yに限らずリニアモータ等の他の駆動機構を用いても良い。また、ボールベアリングの転がりによってレール上をスライドさせるリニアガイドの他、ローラベアリング等の他の転動手段、或いは、摺動手段を用いたリニアガイドであっても良い。
実装処理時において、極力熱発生を抑制する速度でXY移動機構43を稼働させ、更に接合にヒータ42bを用いない場合には、実装時熱膨張校正データD5による校正は不要とすることもできる。また、実装時熱膨張校正データD5は、熱膨張率を表す乗算係数とする他、熱膨張量を表す加算値とすることもできる。
また、局所的な範囲にある複数の実装領域201に関し、XY移動機構43の公差による移動誤差が無視できる程度に近い場合には、局所的な範囲を代表するドットマーク301を校正基板300に並べるようにしてもよい。例えば、表マーク302は、所定の行列数のドットマーク301を含むエリア303毎に設けられている。この代表マーク302によって得られたマーク移動誤差D2、又はこのマーク移動誤差D2に基づく公差校正データD1は、このドットマーク301と同じ位置関係にある局所的な範囲内の全実装領域201に適用される。
また、この実装装置1において、代表マーク302は校正基板300の全域に均等に配置されており、XY移動機構43は、代表マーク302に対して熱移動誤差発生前位置P1を検出するための第2移動処理及び熱移動誤差発生後位置P2を検出するための第3移動処理を行い、熱移動誤差D3は、実装領域201と同じ位置関係にあるドットマーク301に最も近い代表マーク302に関して生じたものとした。
これにより、実装領域201ごとに熱移動誤差D3の差が大きい場合であっても、各実装領域201が精度良く熱膨張による移動誤差を解消して実装ポジション41に位置合わせされる。即ち、熱膨張量の累積値と熱移動誤差D3との乖離を少なくさせることができる。また、熱移動誤差D3の検出のために、代表マーク302を用いれば済むので、実装ポジション41へ移動させるドットマーク301の数を少数にでき、校正処理の更なる短縮化を図ることができる。
尚、エリア303の形状として矩形を例に挙げたが、代表マーク302を基点にした熱膨張量の累積が小さく収まる大きさであれば、円形や他の多角形であってもよい。
また、このXY移動機構43は、基板200を複数のエリア303に分けて、エリア303内の全ドットマーク301を順番に実装ポジション41に向けて移動させてから、次のエリア303に移る。そして、熱移動誤差発生後位置P2の測定のために、一のエリア303の全ドットマーク301を実装ポジション41に向けて移動させ終えると、または当該一のエリア303の全ドットマーク301を移動させる前に、当該一のエリア303内の代表マーク302と実装ポジション41との間隔をエンコーダ44が検出するまで、載置板42を移動させるようにした。
これにより、エリア303内の各ドットマーク301に対するマーク移動誤差D2の検出と、代表マーク302による熱移動誤差D3の検出とは、同一の時間帯で行われることになり、XY移動機構43にて発生する熱量も類似となるから、代表マーク302の熱移動誤差D3を各ドットマーク301の熱移動誤差D3と精度良く見做すことができる。従って、エリア303が比較的小さい場合には、複数のエリア303の全ドットマーク301に対するマーク移動誤差D2の検出を行ってから、各代表マーク302の熱移動誤差D3の検出を行っても良い。
また、このXY移動機構43は、エリア303毎に、当該エリア303内の全ドットマーク301を順番に実装ポジション41に向けて移動させるが、第3移動処理においては、この第1移動処理の最中、一のエリア303の全ドットマーク301を実装ポジション41に向けて移動させ終える度に全てのエリア303の代表マーク302を対象として行うようにした。そして、熱移動誤差D3は、この第3移動処理を行う度に更新するようにした。
これにより、各代表マーク302を実装ポジション41へ移動させる移動量がパターン化される。従って、熱移動誤差発生前位置P1へ向けて辿る移動量と熱移動誤差発生後P2へ向けて辿る移動量とが同じとなり、バックラッシ等による移動量の誤差も除外することができる。また、煩雑な移動量計算を省くことができ、制御プログラムやデータ量の削減を図ることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
例えば、この実装装置1にキャリア100と基板200を供給部2及びステージ4に搬入するロボットを備え付けるようにしてもよい。例えば、供給部3への搬入ロボットは、キャリア100が積層されたマガジンを有し、マガジンから新しいキャリア100を取り出して保持部32に渡し、保持部32からキャリア100を取り出してマガジンに収容する。また、ステージ4への搬入ロボットは、基板200を支持する搬送アームを備える。
また、基板セット制御部71、実装制御部72及び公差校正データ生成部73となるコンピュータによって、供給部3及び搬送部5等の他の各部も統合的に制御するようにしてもよい。
また、校正処理において、ドットマーク301をエリア303毎に検出するものとしたが、これに限られるものではなく、行単位で検出するようにしてもよい。例えば、図12に示された校正基板300において、左上角である1行目の左端に位置するドットマーク301からマーク移動誤差D2の取得を開始し、順に右側に位置するドットマーク301のマーク移動誤差D2を取得する。1行目の右端のドットマーク301に到達し、1行目の全てのドットマーク301のマーク移動誤差D2を取得し終えたら、2行目に改行して、2行目の右端のドットマーク301から順次左方向にマーク移動誤差D2を取得するという具合である。このとき、熱移動誤差発生後位置P2の検出は、予め設定されたタイミングに従って行えばよい。例えば、1行分、或いは複数行分のドットマーク301のマーク移動誤差D2の検出が完了する毎に行ってもよいし、設定された数のドットマーク301のマーク移動誤差D2の検出が完了する毎に行ってもよい。或いは、設定された時間が経過する毎に行ってもよい。要は、XY移動機構43の熱膨張量が許容を超える前のタイミング毎に行うようにすればよい。なお、XY移動機構43の経時的な熱膨張量の変化は、実験を行うことで把握することが可能である。したがって、上記のタイミングは、実験によって設定することが可能である。
また、熱移動誤差発生後位置P2を検出した後に取得したドットマーク301のマーク移動誤差D2に対して、熱移動誤差発生後位置P2に基づく熱移動誤差D3を適用するものとしたが、これに限られるものではない。即ち、XY移動機構43の熱膨張に起因する熱移動誤差D3は、熱移動誤差発生後位置P2を検出する前から少ながらず生じている。より具体的には、熱移動誤差発生後位置P2を検出する直前に取得したドットマーク301のマーク移動誤差D2には、熱移動誤差発生後位置P2を検出した直後に取得したドットマーク301のマーク移動誤差D2に含まれる熱移動誤差D3と同等の熱移動誤差D3が含まれていると考えられる。したがって、熱移動誤差D3は、熱移動誤差発生後位置P2を検出する前に取得したいくつかのドットマーク301のマーク移動誤差D2に対して遡って適用するようにしてもよい。つまり、これらのドットマーク301のマーク移動誤差D2から熱移動誤差D3を差し引くようにしてもよい。
また、位置検出器としてロータリーエンコーダ44を用いるものとしたが、これに限られるものではなく、所望の精度でXY移動機構43の移動位置が検出できるものであればよい。例えば、ロータリーエンコーダ44に代えて、リニアエンコーダやレーザ変位計などの位置検出センサを用いるようにしてもよい。
また、ドットマーク301の撮像部としてカメラ74b、所謂、エリアセンサカメラを用いるものとしたが、これに限られるものではなく、ドットマーク301の認識に用いることができるものであれば他の手段であってもよい。例えば、ラインセンサカメラを用いてもよいし、レーザスキャナ等を用いてもよい。
また、ドットマーク301および代表マーク302の撮像を実装ポジション41で行うものとしたが、これに限られるものではなく、XY移動機構43による載置板42の移動範囲内の位置であれば他の位置であってもよい。
また、ドットマーク301は、円形のマークに限られるものではない。ドットマーク301は、位置を認識することが可能なマークであれば、他の形状も含まれる。