JP2020015986A - Cu−Ni−Si系銅合金条及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度を向上させると共に、スマットの発生を適度に抑制して樹脂との密着性に優れたCu−Ni−Si系銅合金条及びその製造方法を提供する。【解決手段】Ni:1.5〜4.5質量%、Si:0.4〜1.1質量%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Ni−Si系銅合金条であって、導電率が30%IACS以上、引張強さが800MPa以上であり、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS -Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*が50〜75である。【選択図】なし
Description
本発明は、電子材料などの電子部品の製造に好適に使用可能なCu−Ni−Si系銅合金条及びその製造方法に関する。
近年、ICパッケージの小型化に伴い、リードフレーム、電子機器の各種端子、コネクタなどの小型化、ひいては、多ピン化が要求されている。特に、QFN(Quad Flat Non-leaded package)と称される、LSIパッケージのランドに電極パッドを配置し、リードピンを出さない構造が開発されており、多ピン化、狭ピッチ化がさらに要求される。これらリードフレーム等を多ピン化するにはエッチングによる微細加工が必要になるため、材料となる銅合金の強度を向上させると共に、エッチング性、めっき密着性、樹脂密着性等を向上させることが要求される。このようなことから、時効析出型のCu−Ni−Si系銅合金が開発されている。
ところで、Cu−Ni−Si系銅合金をリードフレーム等の電子部品に用いる際、前処理として酸洗が施されるが、酸洗時にNi−Si系化合物が酸化してスマットとして材料表面に残留することがある。このスマットの残留物が多くなるとICパッケージの組み立て工程でリードフレームとモールド樹脂との間に介在して樹脂密着性を低下させたり、はんだやメッキの密着性を低下させる場合がある。
そこで、Cu−Ni−Si系銅合金のNi−Si系析出物の粒径を規制しNiおよびSiの含有量を限定することにより、酸洗時のスマット残存を抑制することで、はんだ密着性及びメッキ性を改善した技術が提案されている(特許文献1)。
そこで、Cu−Ni−Si系銅合金のNi−Si系析出物の粒径を規制しNiおよびSiの含有量を限定することにより、酸洗時のスマット残存を抑制することで、はんだ密着性及びメッキ性を改善した技術が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1記載の技術の場合、はんだ密着性およびめっき性を改善するため、酸洗でNiSi粒のスマットをほぼ完全に除去しようとする。そのため、酸洗後に露出した材料表面にはほとんど析出物による凹凸が生じず、凹凸によるアンカー効果が低減して樹脂との密着性が劣るという問題がある。従って、例えば上述のICパッケージの組み立て工程でのリードフレームとモールド樹脂との密着性に影響を与える。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、強度を向上させると共に、スマットの発生を適度に抑制して樹脂との密着性に優れたCu−Ni−Si系銅合金条及びその製造方法の提供を目的とする。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、強度を向上させると共に、スマットの発生を適度に抑制して樹脂との密着性に優れたCu−Ni−Si系銅合金条及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、Cu−Ni−Si系銅合金条の酸洗時にスマットが層状になるまで過度に発生した状態は樹脂密着性を低下させるが、スマットが除去され過ぎてもNiSi析出物による凹凸が消失し、凹凸によるアンカー効果が低減して樹脂との密着性が低下することを見出した。つまり、酸洗時にスマットが適度に残るようにすることで、表面凹凸が残り、樹脂との密着性が向上することを見出した。又、このようにスマットの発生を制御する方法としては、銅合金条製造時の、溶体化処理条件を調整することを見出した。
すなわち、本発明のCu−Ni−Si系銅合金条はNi:1.5〜4.5質量%、Si:0.4〜1.1質量%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Ni−Si系銅合金条であって、導電率が30%IACS以上、引張強さが800MPa以上であり、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS -Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*が50〜75である。
さらに、Mg、Fe、P、Mn、Co及びCrの群から選ばれる一種以上を合計で0.005〜0.8質量%含有することが好ましい。
本発明のCu−Ni−Si系銅合金条の製造方法は、Ni:1.5〜4.5質量%、Si:0.4〜1.1質量%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなる前記Cu−Ni−Si系銅合金条のインゴットを熱間圧延、冷間圧延後に、溶体化処理、375〜625℃、1〜50時間の時効処理をこの順で行い、さらに加工度40%以上で時効処理後冷間圧延を行い、前記溶体化処理後で前記時効処理前の材料を、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS -Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*を測定したときに40〜70となるよう、前記溶体化処理を調整する。
本発明によれば、強度が高く、スマットの発生を適度に抑制して樹脂との密着性に優れたCu−Ni−Si系銅合金条が得られる。
以下、本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
まず、銅合金条の組成の限定理由について説明する。
<Ni及びSi>
Ni及びSiは、時効処理を行うことによりNiとSiが微細なNi2Siを主とした金属間化合物の析出粒子を形成し、合金の強度を著しく増加させる。また、時効処理でのNi2Siの析出に伴い、導電性が向上する。ただし、Ni濃度が1.5%未満の場合、またはSi濃度が0.4%未満の場合は、他方の成分を添加しても所望とする強度が得られない。また、Ni濃度が4.5%を超える場合、またはSi濃度が1.1%を超える場合は十分な強度が得られるものの、導電性が低くなり、更には強度の向上に寄与しない粗大なNi−Si系粒子(晶出物及び析出物)が母相中に生成し、曲げ加工性、エッチング性およびめっき性の低下を招く。よって、Niの含有量を1.5〜4.5%とし、Siの含有量を0.4〜1.1%とする。好ましくは、Niの含有量を1.6〜3.0%とし、Siの含有量を0.4〜0.7%とする。
<Ni及びSi>
Ni及びSiは、時効処理を行うことによりNiとSiが微細なNi2Siを主とした金属間化合物の析出粒子を形成し、合金の強度を著しく増加させる。また、時効処理でのNi2Siの析出に伴い、導電性が向上する。ただし、Ni濃度が1.5%未満の場合、またはSi濃度が0.4%未満の場合は、他方の成分を添加しても所望とする強度が得られない。また、Ni濃度が4.5%を超える場合、またはSi濃度が1.1%を超える場合は十分な強度が得られるものの、導電性が低くなり、更には強度の向上に寄与しない粗大なNi−Si系粒子(晶出物及び析出物)が母相中に生成し、曲げ加工性、エッチング性およびめっき性の低下を招く。よって、Niの含有量を1.5〜4.5%とし、Siの含有量を0.4〜1.1%とする。好ましくは、Niの含有量を1.6〜3.0%とし、Siの含有量を0.4〜0.7%とする。
<その他の元素>
さらに、上記合金には、合金の強度、耐熱性、耐応力緩和性等を改善する目的で、更にMg,Fe,P,Mn,Co及びCrの群から選ばれる一種以上を合計で0.005〜0.8質量%含有することができる。これら元素の合計量が0.005質量%未満であると、上記効果が生じず、0.8質量%を超えると所望の特性は得られるものの、導電性や曲げ加工性が低下することがある。
さらに、上記合金には、合金の強度、耐熱性、耐応力緩和性等を改善する目的で、更にMg,Fe,P,Mn,Co及びCrの群から選ばれる一種以上を合計で0.005〜0.8質量%含有することができる。これら元素の合計量が0.005質量%未満であると、上記効果が生じず、0.8質量%を超えると所望の特性は得られるものの、導電性や曲げ加工性が低下することがある。
<導電率と引張強さTS>
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条は、導電率が30%IACS以上、引張強さTSが800MPa以上である。
半導体素子の動作周波数の増大に伴い、通電による発熱が増大するので、銅合金条の導電率を30%IACS以上とする。
又、ワイヤボンディングする際のリードフレームの変形等を防止し、形状を維持するため、引張強さTSを800MPa以上とする。
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条は、導電率が30%IACS以上、引張強さTSが800MPa以上である。
半導体素子の動作周波数の増大に伴い、通電による発熱が増大するので、銅合金条の導電率を30%IACS以上とする。
又、ワイヤボンディングする際のリードフレームの変形等を防止し、形状を維持するため、引張強さTSを800MPa以上とする。
<明度L*>
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条は、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS-Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*が50〜75である。
硝酸水溶液に試料を浸漬させると、試料表面にスマットが発生、残留し、試料表面の色が暗く変化する。そこで、試料表面の色調を測定することで、スマットの発生の有無を判定することができる。
明度L*が0に近づくと黒くなり、100に近づくと白くなる。
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条は、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS-Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*が50〜75である。
硝酸水溶液に試料を浸漬させると、試料表面にスマットが発生、残留し、試料表面の色が暗く変化する。そこで、試料表面の色調を測定することで、スマットの発生の有無を判定することができる。
明度L*が0に近づくと黒くなり、100に近づくと白くなる。
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条の硝酸水溶液に浸漬後の明度L*が50〜75とすることで、酸洗後の材料表面に、NiSi析出物が適度に残った凹凸状の表面を得ることができ、アンカー効果により樹脂との密着性が良好となる。
一方、明度L*が50未満であると、酸洗後にスマットが多く発生して材料表面を層状に覆ってしまい、スマット層と銅合金層との剥離により樹脂密着性が低下する。明度L*が75を超えるものは、酸洗でスマットが除去され過ぎ、表面のNiSi析出物が小さくなって表面凹凸が小さくなる。その結果、アンカー効果が得られなくなったり、材料表面の銅合金(マトリックス)の表面積が高まることでCuの酸化膜成長が促進され、この酸化膜が剥離して樹脂との密着性が低下する。
銅合金条の明度L*を50〜75に制御する方法としては、後述する溶体化処理条件を調整することが挙げられる。溶体化処理条件については後述する。
銅合金条の明度L*を50〜75に制御する方法としては、後述する溶体化処理条件を調整することが挙げられる。溶体化処理条件については後述する。
<Cu−Ni−Si系銅合金条の製造>
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条は、通常、インゴットを熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、時効後冷間圧延、歪取焼鈍の順で行って製造することができる。溶体化処理前の冷間圧延は必須ではなく、必要に応じて実施してもよい。また、溶体化処理後で時効処理前に冷間圧延を必要に応じて実施してもよい。上記各工程の間に、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト、酸洗等を適宜行うことができる。
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条は、通常、インゴットを熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、時効後冷間圧延、歪取焼鈍の順で行って製造することができる。溶体化処理前の冷間圧延は必須ではなく、必要に応じて実施してもよい。また、溶体化処理後で時効処理前に冷間圧延を必要に応じて実施してもよい。上記各工程の間に、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト、酸洗等を適宜行うことができる。
溶体化処理は、Ni−Si系化合物などのシリサイドをCu母地中に固溶させ、同時にCu母地を再結晶させる熱処理である。
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条の製造方法においては、溶体化処理後で時効処理前の材料を、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS -Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*を測定したときに40〜70となるよう、溶体化処理条件を調整する。
上記のように溶体化処理条件を調整することで、スマットの原因となるNiおよびSiをCu中に適度に溶体化させ、NiSi析出物の量を過不足なく制御し、その結果、得られたCu−Ni−Si系銅合金条における明度L*を50〜75に制御できる。
本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金条の製造方法においては、溶体化処理後で時効処理前の材料を、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS -Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*を測定したときに40〜70となるよう、溶体化処理条件を調整する。
上記のように溶体化処理条件を調整することで、スマットの原因となるNiおよびSiをCu中に適度に溶体化させ、NiSi析出物の量を過不足なく制御し、その結果、得られたCu−Ni−Si系銅合金条における明度L*を50〜75に制御できる。
溶体化処理後の材料の明度L*が40未満のものは、溶体化処理が不十分でスマットとなるNiSi析出物の量が多くなり過ぎる。
溶体化処理後の材料の明度L*が70を超えるものは、溶体化処理が過度となりスマットとなるNiSi析出物の量が少なくなり過ぎる。
なお、溶体化処理条件を変えるためには、溶体化処理の温度と時間を制御すればよいが、具体的な溶体化処理の温度と時間を規定しないのは、銅合金条中のNi,Si等の添加量や、溶体化処理の前工程の条件により、溶体化処理前のNi−Si系化合物の量や粒径が異なるためである。
溶体化処理後の材料の明度L*が70を超えるものは、溶体化処理が過度となりスマットとなるNiSi析出物の量が少なくなり過ぎる。
なお、溶体化処理条件を変えるためには、溶体化処理の温度と時間を制御すればよいが、具体的な溶体化処理の温度と時間を規定しないのは、銅合金条中のNi,Si等の添加量や、溶体化処理の前工程の条件により、溶体化処理前のNi−Si系化合物の量や粒径が異なるためである。
<時効処理>
時効処理は、溶体化処理で固溶させたシリサイドを、Ni2Siを主とした金属間化合物の微細粒子として析出させる。この時効処理で強度と導電率が上昇する。時効処理は、例えば375〜625℃、1〜50時間の条件で行うことができ、これにより強度を向上させことができる。
時効時間が1時間未満の場合、Ni−Si系析出物の析出量が少なく、強度が不十分な場合がある。また時効温度が625℃を超えたり時効時間が50時間を超えた場合、析出物の粗大化や再固溶が起き、スマット発生量が増加したり、強度が不十分になったり、導電率が低くなることがある。
時効処理は、溶体化処理で固溶させたシリサイドを、Ni2Siを主とした金属間化合物の微細粒子として析出させる。この時効処理で強度と導電率が上昇する。時効処理は、例えば375〜625℃、1〜50時間の条件で行うことができ、これにより強度を向上させことができる。
時効時間が1時間未満の場合、Ni−Si系析出物の析出量が少なく、強度が不十分な場合がある。また時効温度が625℃を超えたり時効時間が50時間を超えた場合、析出物の粗大化や再固溶が起き、スマット発生量が増加したり、強度が不十分になったり、導電率が低くなることがある。
<冷間圧延>
次に、時効処理の後に冷間圧延(時効処理後冷間圧延)を加工度40%以上で行う。
加工度40%以上の冷間圧延を行えば、加工硬化により引張強さが800MPa以上となる。
加工度が40%未満であると、強度が不十分な場合がある。
時効処理後冷間圧延を加工度40〜90%以上で行うとより好ましい。加工度が90%を超えると、加工歪による導電率の低下が著しくなり、歪取焼鈍を行っても導電率が低い場合がある。
時効処理後冷間圧延の加工度は、時効処理後冷間圧延の直前の材料厚みに対する、時効処理後冷間圧延による厚みの変化率である。
本発明のCu−Ni−Si系銅合金条の厚みは特に限定されないが、例えば0.03〜0.6mmとすることができる。
次に、時効処理の後に冷間圧延(時効処理後冷間圧延)を加工度40%以上で行う。
加工度40%以上の冷間圧延を行えば、加工硬化により引張強さが800MPa以上となる。
加工度が40%未満であると、強度が不十分な場合がある。
時効処理後冷間圧延を加工度40〜90%以上で行うとより好ましい。加工度が90%を超えると、加工歪による導電率の低下が著しくなり、歪取焼鈍を行っても導電率が低い場合がある。
時効処理後冷間圧延の加工度は、時効処理後冷間圧延の直前の材料厚みに対する、時効処理後冷間圧延による厚みの変化率である。
本発明のCu−Ni−Si系銅合金条の厚みは特に限定されないが、例えば0.03〜0.6mmとすることができる。
<歪取焼鈍>
時効処理後冷間圧延の後に歪取焼鈍を行うことができる。歪取焼鈍は一般的な条件で行えばよく、例えば300℃〜550℃、保持時間は5秒〜300秒までの条件で行うことができる。これにより材料内の残留応力を除去することができる。
時効処理後冷間圧延の後に歪取焼鈍を行うことができる。歪取焼鈍は一般的な条件で行えばよく、例えば300℃〜550℃、保持時間は5秒〜300秒までの条件で行うことができる。これにより材料内の残留応力を除去することができる。
各実施例及び各比較例の試料を、以下のように作製した。
電気銅を原料とし、大気溶解炉を用いて表1、表2に示す組成の銅合金を溶製し、厚さ20mm×幅60mmのインゴットに鋳造した。このインゴットを950℃で板厚10mmまで熱間圧延を行った。熱間圧延後、研削し、冷間圧延をこの順に行った。
次に、表1、表2に示す条件で、溶体化処理および時効処理をこの順に行った。その後、表1、表2に示す加工度で板厚0.150mmまで時効処理後冷間圧延を行い、450℃で30秒の歪取焼鈍を行って試料を得た。
電気銅を原料とし、大気溶解炉を用いて表1、表2に示す組成の銅合金を溶製し、厚さ20mm×幅60mmのインゴットに鋳造した。このインゴットを950℃で板厚10mmまで熱間圧延を行った。熱間圧延後、研削し、冷間圧延をこの順に行った。
次に、表1、表2に示す条件で、溶体化処理および時効処理をこの順に行った。その後、表1、表2に示す加工度で板厚0.150mmまで時効処理後冷間圧延を行い、450℃で30秒の歪取焼鈍を行って試料を得た。
<導電率(%IACS)>
得られた試料につき、JIS H0505に基づいて4端子法により、25℃の導電率(%IACS)を測定した。
得られた試料につき、JIS H0505に基づいて4端子法により、25℃の導電率(%IACS)を測定した。
<引張強さ(TS)>
得られた試料につき、引張試験機により、JIS−Z2241に従い、圧延方向と平行な方向における引張強さ(TS)をそれぞれ測定した。まず、各試料から、引張方向が圧延方向になるように、プレス機を用いてJIS13B号試験片を作製した。引張試験の条件は、試験片幅12.7mm、室温(15〜35℃)、引張速度5mm/min、ゲージ長さ50mmとした。
得られた試料につき、引張試験機により、JIS−Z2241に従い、圧延方向と平行な方向における引張強さ(TS)をそれぞれ測定した。まず、各試料から、引張方向が圧延方向になるように、プレス機を用いてJIS13B号試験片を作製した。引張試験の条件は、試験片幅12.7mm、室温(15〜35℃)、引張速度5mm/min、ゲージ長さ50mmとした。
<明度L*>
溶体化処理後で前記時効処理前の試料、及び歪取焼鈍後の試料の片面につき、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、流水で洗い流した。処理後の試料表面について、色差計を用いて明度L*を求めた。
色差計は、コニカミノルタ製CR-200を用い測定を行った。
溶体化処理後で前記時効処理前の試料、及び歪取焼鈍後の試料の片面につき、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、流水で洗い流した。処理後の試料表面について、色差計を用いて明度L*を求めた。
色差計は、コニカミノルタ製CR-200を用い測定を行った。
<樹脂との密着性>
歪取焼鈍後の試料を圧延平行方向の長さ100mmで幅20mmに切出した後、試料の片面につき、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、流水で洗い流した。次に、この試料に対し、240℃で5分間の大気加熱を施した。大気加熱の後、上記片面の長さ60mmの範囲に耐酸テープを張り付けたのち剥離し、耐酸テープの粘着面への付着物の有無を、画像処理で求めた。具体的には、耐酸テープの粘着面の画像を2値化し、耐酸テープの粘着面の面積に対する、付着物となる黒い画像領域の総面積の比を算出し、以下の基準で評価した。評価が○であれば樹脂との密着性に優れる。
○:付着物の総面積がテープ粘着面の面積の10%以下
×:付着物の総面積がテープ粘着面の面積の10%を超える
歪取焼鈍後の試料を圧延平行方向の長さ100mmで幅20mmに切出した後、試料の片面につき、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、流水で洗い流した。次に、この試料に対し、240℃で5分間の大気加熱を施した。大気加熱の後、上記片面の長さ60mmの範囲に耐酸テープを張り付けたのち剥離し、耐酸テープの粘着面への付着物の有無を、画像処理で求めた。具体的には、耐酸テープの粘着面の画像を2値化し、耐酸テープの粘着面の面積に対する、付着物となる黒い画像領域の総面積の比を算出し、以下の基準で評価した。評価が○であれば樹脂との密着性に優れる。
○:付着物の総面積がテープ粘着面の面積の10%以下
×:付着物の総面積がテープ粘着面の面積の10%を超える
得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、明度L*が50〜75である各実施例の場合、強度が高いと共に、樹脂との密着性に優れていた。
一方、明度L*が75を超えた比較例1の場合、樹脂との密着性が劣った。これは、材料表面のNiSi析出物が少なすぎ、表面のCu酸化が著しく、表面酸化膜が剥離して樹脂との密着性を低下させたためと考えられる。
明度L*が50未満の比較例2の場合、スマット発生量が多くなり、樹脂との密着性が劣った。
明度L*が50未満の比較例2の場合、スマット発生量が多くなり、樹脂との密着性が劣った。
時効処理後冷間圧延の加工度が90%を超えた比較例3の場合、導電率が30%IACS未満となった。
時効処理後冷間圧延の加工度が40%未満の比較例4の場合、引張強さが800MPa未満となった。
時効処理後冷間圧延の加工度が40%未満の比較例4の場合、引張強さが800MPa未満となった。
Ni及びSiの含有量が規定範囲を超えた比較例5の場合、導電率が30%IACS未満となった。
Mg、Fe、P、Mn、Co及びCrの群から選ばれる一種以上を合計で0.8質量%を超えて含有した比較例7の場合も、導電率が30%IACS未満となった。
Mg、Fe、P、Mn、Co及びCrの群から選ばれる一種以上を合計で0.8質量%を超えて含有した比較例7の場合も、導電率が30%IACS未満となった。
時効温度が625℃未満の比較例8、及び時効時間が1時間未満の比較例10の場合、亜時効となり、引張強さが800MPa未満となった。
時効温度が625℃を超えた比較例9、及び時効時間が50時間を超えた比較例11の場合、過時効となり、引張強さが800MPa未満となった。また、過時効によりNi−Si系析出物が顕著に析出し、明度L*が50未満となってスマット発生量が多くなり、樹脂との密着性が劣った。
時効温度が625℃を超えた比較例9、及び時効時間が50時間を超えた比較例11の場合、過時効となり、引張強さが800MPa未満となった。また、過時効によりNi−Si系析出物が顕著に析出し、明度L*が50未満となってスマット発生量が多くなり、樹脂との密着性が劣った。
Claims (3)
- Ni:1.5〜4.5質量%、Si:0.4〜1.1質量%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Ni−Si系銅合金条であって、
導電率が30%IACS以上、引張強さが800MPa以上であり、
室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS -Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*が50〜75であるCu−Ni−Si系銅合金条。 - さらに、Mg、Fe、P、Mn、Co及びCrの群から選ばれる一種以上を合計で0.005〜0.8質量%含有する請求項1記載のCu−Ni−Si系銅合金条。
- Ni:1.5〜4.5質量%、Si:0.4〜1.1質量%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Ni−Si系銅合金条のインゴットを熱間圧延、冷間圧延後に、溶体化処理、375〜625℃、1〜50時間の時効処理をこの順で行い、さらに加工度40%以上で時効処理後冷間圧延を行い、
前記溶体化処理後で前記時効処理前の材料を、室温で40wt%硝酸水溶液に10秒浸漬させた後、JIS -Z8781:2013に規定されたL*a*b*表色系における明度L*を測定したときに40〜70となるよう、前記溶体化処理を調整する請求項1又は2に記載のCu−Ni−Si系銅合金条の製造方法。
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JP2019181150A JP2020015986A (ja) | 2019-10-01 | 2019-10-01 | Cu−Ni−Si系銅合金条及びその製造方法 |
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