JP2020015711A - Pdl1発現誘導剤および免疫抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たなPDL1発現誘導剤を提供すること、並びに従来の免疫抑制剤とは異なる作用機序を有する新たな免疫抑制剤を提供すること。【解決手段】エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、PDL1発現誘導剤、並びにエンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、免疫抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、PDL1発現誘導剤に関する。さらに本発明は、エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、免疫抑制剤に関する。
自己免疫疾患やアレルギーにおいては、一般的に免疫の過活動が認められる。自己免疫疾患やアレルギーの治療薬としては、免疫抑制剤であるステロイド、FK504、メトトレキサート(MTX)や、免疫活動性サイトカインであるTNFαやIL−6を阻害する抗体が用いられている。しかしながら、それぞれに副作用が存在し、新しい作用機序を持つ免疫抑制剤の開発が望まれている(非特許文献1)。
近年発展の目覚ましい移植医療においては、拒絶反応、および移植片宿主病の制御が成功の重要な鍵となる。しかし、使用できる免疫抑制剤はほぼ同じ作用機序をとり、耐性例が存在するため、十分な制御が困難となっている。また、免疫抑制剤は長期服用が必要であるため、副作用が高頻度に発症し、患者のクオリティオブライフを著しく減じる症例が存在する。更に免疫抑制剤はステロイドを除くと一般的に高価なものが多く、医療費経済においても問題である(非特許文献2)。
免疫チェックポイント分子であるPD1/PDL1は、免疫を抑制する機能を持つ。PD1やPDL1を欠損するマウスでは、拡張性心筋症、腎炎、肝炎モデルでの劇症化など、様々な自己免疫疾患を発症する。近年、オプシーボなどのPD1/PDL1を阻害する抗体が、免疫を活性化する働きを持つことが明らかとなり、癌免疫療法としてある種の癌に著効し注目を集めているが(非特許文献1)、PD1抗体を自己免疫疾患マウスに投与すると、更に免疫が活性かされ、病状が悪化する。逆にPDL1陽性リンパ球を移植すると自己免疫疾患の病状が軽快する(非特許文献3〜5)。従って、PD1/PDL1の発現調節により免疫賦活、および抑制が起こるため、PDL1の発現を増強すると、免疫が抑制され自己免疫疾患に効果を示すことが強く示唆される。移植変宿主病においてもPDL1の発現が臓器を移植免疫の攻撃から守ることが報告されている(非特許文献6)。
エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルは核酸アナログ製剤であり、逆転写酵素を阻害する作用がある。エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルは、逆転写をウイルス複製に必要とするB型肝炎ウイルス疾患において、抗ウイルス薬として広く用いられている。これらの抗ウイルス薬によってウイルスの複製が抑制されるため、新たなウイルスが産生されなくなるため、B型肝炎の活動性が抑制される。エンテカビルは、活動性B型肝炎によって引き起こされる肝硬変や肝がんの発生抑制、病勢制御にも効果的である(非特許文献7および8)。
Okazaki T, Chikuma S, Iwai Y, Fagarasan S, Honjo T. 2013. A rheostat for immune responses: the unique properties of PD-1 and their advantages for clinical application. Nat Immunol 14:1212-8. Baran T, Boratynska M. 2017. Immunoregulatory role of B lymphocytes in alloresponse to kidney transplant. Postepy Hig Med Dosw (Online) 71:254-266. Guleria I, Gubbels Bupp M, Dada S, Fife B, Tang Q, Ansari MJ, Trikudanathan S, Vadivel N, Fiorina P, Yagita H, Azuma M, Atkinson M, Bluestone JA, Sayegh MH. 2007. Mechanisms of PDL1-mediated regulation of autoimmune diabetes. Clin Immunol 125:16-25. Mfarrej B, Keir M, Dada S, Trikudanathan S, Sayegh MH, Sharpe AH, Guleria I. 2011. Anti-CD3 mAb treatment cures PDL1-/-.NOD mice of diabetes but precipitates fatal myocarditis. Clin Immunol 140:47-53. Germanidis G, Argentou N, Hytiroglou P, Vassiliadis T, Patsiaoura K, Germenis AE, Speletas M. 2013. Liver FOXP3 and PD1/PDL1 Expression is Down-Regulated in Chronic HBV Hepatitis on Maintained Remission Related to the Degree of Inflammation. Front Immunol 4:207. Fujiwara H, Maeda Y, Kobayashi K, Nishimori H, Matsuoka K, Fujii N, Kondo E, Tanaka T, Chen L, Azuma M, Yagita H, Tanimoto M. 2014. Programmed death-1 pathway in host tissues ameliorates Th17/Th1-mediated experimental chronic graft-versus-host disease. J Immunol 193:2565-73. Clark DN, Hu J. 2015. Hepatitis B virus reverse transcriptase - Target of current antiviral therapy and future drug development. Antiviral Res 123:132-7. Papatheodoridis GV, Idilman R, Dalekos GN, Buti M, Chi H, van Boemmel F, Calleja JL, Sypsa V, Goulis J, Manolakopoulos S, Loglio A, Siakavellas S, Keskin O, Gatselis N, Hansen BE, Lehretz M, de la Revilla J, Savvidou S, Kourikou A, Vlachogiannakos I, Galanis K, Yurdaydin C, Berg T, Colombo M, Esteban R, Janssen HLA, Lampertico P. 2017. The risk of hepatocellular carcinoma decreases after the first 5 years of entecavir or tenofovir in Caucasians with chronic hepatitis B. Hepatology 66:1444-1453. Zhang X, Zeng Y, Qu Q, Zhu J, Liu Z, Ning W, Zeng H, Zhang N, Du W, Chen C, Huang JA. 2017. PD-L1 induced by IFN-γ from tumor-associated macrophages via the JAK/STAT3 and PI3K/AKT signaling pathways promoted progression of lung cancer. Int J Clin Oncol 22:1026-1033.
従来の免疫抑制剤は、免疫の活動性をサイトカイン産生やリンパ球の増殖を抑制するなどの作用機序を持つ。これらは、免疫担当細胞であるT細胞の作用を個々に抑制するものとの共通点がある。この作用機序に対して、耐性を示す症例がある一定数存在することが知られている(非特許文献2)。
最も広く使用されているステロイドには、不眠や、精神異常、中心性肥満、糖尿病、胃腸障害など多様な副作用が認められる。また、投与中断による症状も軽症から重篤なものが存在する。FK506、MTX、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)などの免疫抑制薬は、Tリンパ球の増殖を抑制することが主な作用であるが、同様に高血圧、異脂肪血症、高血糖、消化性潰瘍、肝臓や腎臓の機能障害が頻度高く起こり得る。よって、継続性にも影響を及ぼすことがある。
さらに、免疫抑制剤の多くは高価なものが多く医療経済上問題とされている。
本発明は、新たなPDL1発現誘導剤を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、従来の免疫抑制剤とは異なる作用機序を有する新たな免疫抑制剤を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルが、逆転写酵素を阻害する作用とは全く異なる作用を有することを見出した。即ち、本発明においては、エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルが、免疫チェックポイント因子であり、免疫を抑制する機能を有するPDL1を、HBVの存在の有無に関係なく、リンパ球であるB細胞や肝臓細胞に発現させることを見出した。なお、上記の通り、エンテカビルはHBV関連肝がん発生を抑制することが知られているが、これは、PDL1発現誘導効果によって免疫は抑制されているにもかかわらず、HBVの産生や炎症を抑制する効果が上回ったことによるものと考えられ、本発明とは無関係である。また、PDL1の発現を誘導する物質としては、IFNγが知られているが(非特許文献9)、低分子化合物についての報告はない。本発明においては、PDL1の発現を誘導する低分子化合物が世界で初めて見出されたものである。またエンテカビルは、長年B型肝炎に対して承認を得て投与されてきており、既にジェネリック医薬品が発売されていることから、副作用の少ない安全な医薬品である。本発明は上記の知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、PDL1発現誘導剤。
(2) リンパ球においてPDL1発現の誘導する、(1)に記載のPDL1発現誘導剤。
(3) 免疫抑制機能を有する、(1)に記載のPDL1発現誘導剤。
(4) エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、免疫抑制剤。
(5) 自己免疫疾患、臓器移植後の拒絶反応、アレルギー性疾患または炎症性疾患の予防および/または治療のために使用される、(4)に記載の免疫抑制剤。
本発明によれば、新たなPDL1発現誘導剤、並びに従来の免疫抑制剤とは異なる作用機序を有する新たな免疫抑制剤が提供される。
図1は、HBV感染ありとなしの場合についてHepAD38細胞をエンテカビルで6日間処理した後のフローサイトメトリーからのPDL1発現のヒストグラム分析を示す。 図2は、図1の各ヒストグラム分析の平均蛍光強度(MFI)を示す。 図3は、HBV感染ありの場合についてHepAD38細胞をテノホビルで6日間処理した後のフローサイトメトリーからのPDL1発現のヒストグラム分析を示す。 図4は、図3の各ヒストグラム分析の平均蛍光強度(MFI)を示す。 図5は、HBV感染ありの場合についてHepAD38細胞をアデホビルで6日間処理した後のフローサイトメトリーからのPDL1発現のヒストグラム分析を示す。 図6は、HBV感染ありの場合についてHepAD38細胞を他の核酸アナログで6日間処理した後のフローサイトメトリーからのPDL1発現のヒストグラム分析を示す。 図7は、未処理の原発性CD8細胞のCSFE染色の結果を示す。エンテカビル処理肝細胞はCD8細胞の細胞増殖を抑制し、PD1およびPDL1の遮断はそれを無効にした。(a)未処理の原発性CD8細胞のCSFE染色;(b)抗CD3抗体および抗CD28抗体による処理の3日後の初代CD8細胞;(c)HBV感染のないHepAD38細胞との3日間の共培養後の初代CD8細胞;(d)HBV感染したHepAD38細胞との3日間の共培養後の初代CD8細胞;;(e)エンテカビル処理後の初代CD8細胞;(f)HBV感染およびPD1抗体の投与を伴わないHepAD38細胞との3日間の共培養後の初代CD8細胞;(g)HBV感染したHepAD38細胞との3日間の共培養後の初代CD8細胞;(h)HBV感染したHepAD38細胞と3日間共培養し、ETVで処理し、PD1抗体を投与した初代CD8細胞。 図8は、骨髄におけるPDL1の発現をフローサイトメトリーで分析した結果を示す。 図9は、DSS腸炎モデルにおいてエンテカビル20mg/kgを毎日7日間投与した際の、腸長の変化を示す。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明のPDL1発現誘導剤、並びに本発明の免疫抑制剤は、エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む。
エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルは、PDL1の発現誘導という、従来の免疫抑制剤にはない全く新しい作用機序を示す。よって、従来の免疫抑制剤に耐性を示す症例に対しても効果を示し、従来の免疫抑制剤との併用で、相乗効果を得る可能性がある。また従来の免疫抑制剤には副作用が高頻度で起こるため、毒性が低いほぼ副作用のないエンテカビルの投与により、従来の免疫抑制剤の投与量の減量し、副作用の軽減が可能となる可能性がある。
エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルは、HBV肝炎患者に保険適用を受けて、副作用が少なく長期に投与されている実績があり、毒性が極めて低い継続性の高い薬剤である。よって、従来の免疫抑制剤と比較して、副作用の少ない継続性の高い薬剤となり得る。エンテカビルは、既にジェネリック医薬品が発売されており、医療経済上はメリットのある薬剤である。
エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルは、核酸アナログ製剤であり、逆転写酵素を阻害する作用がある。逆転写をウイルス複製に必要とするB型肝炎ウイルス疾患において、抗ウイルス薬として広く用いられている。エンテカビルによってウイルスの複製が抑制されるため、新たなウイルスが産生されなくなるため、B型肝炎の活動性が抑制される。よって、活動性B型肝炎によって引き起こされる肝硬変や肝がんの発生抑制、病勢制御にも効果的である。
本発明では、上記の効果とは全く異なる効果をエンテカビル、テノホビルおよびアデホビルが有することを見出した。
エンテカビルは、2-アミノ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチリデンシクロペンチル]-6,9-ジヒドロ-3H-プリン-6-オンで示される抗ウイルス薬である。
テノホビルは、({[(2R)-1-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)プロパン-2-イル]オキシ}メチル)ホスホン酸で示される抗ウイルス薬である。テノホビルは、ジソプロキシルエステルまたはアラフェナミド(アラニンイソプロピルエステルとのアミド+フェノールとのエステル)のフマル酸として販売されている。本発明で言うテノホビルとは、上記したエステルまたはアラファナミドでもよい。
アデホビルは、{[2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)エトキシ]メチル}ホスホン酸で示される抗ウイルス薬である。
エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルとしては、それぞれ上記した化合物の塩、水和物または溶媒和物を使用してもよい。
本発明のPDL1発現誘導剤は、免疫抑制機能を有することから、免疫抑制剤として使用することはできる。本発明の免疫抑制剤は、例えば、自己免疫疾患、臓器移植後の拒絶反応、アレルギー性疾患または炎症性疾患の予防および/または治療のために使用することができる。
自己免疫疾患としては、関節炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性糸球体腎炎、自己免疫性膵島炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性卵巣炎、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、クローン病、ベーチェット病、Wegener肉芽腫症、過敏性血管炎、結節性動脈周囲炎、橋本病、粘液水腫、バセドウ病、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、突発性血小板減少症、悪性貧血、重症筋無力症、脱髄疾患、大動脈炎症群、乾癬、天疱瘡、類天疱瘡、膠原病、ギラン・バレー症候群、多腺性自己免疫症候群II型、原発性胆汁性肝硬変、尋常性白斑、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣性流産、血小板減少症および抗リン脂質抗体症候群などを挙げることができるが、特に限定されない。
臓器移植後の拒絶反応としては、腎移植、肝移植、心移植および/または肺移植後の拒絶反応、骨髄移植における拒絶反応、または移植片対宿主病などを挙げることができるが、特に限定されない。
アレルギー性疾患としては、喘息、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性胃腸炎、アナフィラキシーショックまたは食物アレルギーなどを挙げることができるが、特に限定されない。
炎症性疾患としては、接触性皮膚炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、高安動脈炎、巨細胞動脈炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性皮膚血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、過敏性血管炎、血管炎症候群、閉塞性血栓性血管炎、結節性血管炎、リウマチ関節炎、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、結核性関節炎、化膿性関節炎、乾癬性関節炎、膝内症、特発性骨壊死症、骨関節炎、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、急性糸球体腎炎、慢性腎炎、急速進行性腎炎症候群、溶連菌感染後急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、Goodpasture症候群、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、間質性腎炎、急性感染性胃炎、アレルギー性胃炎、慢性胃炎、膵炎、腸炎、喉頭炎および神経炎などを挙げることができるが、特に限定されない。
エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルは、例えば、経口、経皮又は注射により投与することができるが、好ましくは経口により投与することができる。
経口投与用の製剤(医薬組成物)としては、特に限定されないが、錠剤、顆粒およびカプセル剤などを挙げることができ、好ましくは錠剤である。経口投与用の製剤(医薬組成物)は、慣用の添加剤、例えば、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤などを用いて常法により製造することができる。
結合剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドンのいずれかを含有してもよい。
賦形剤としては、例えば、澱粉誘導体、セルロース誘導体、D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、クロスポビドン、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、珪酸塩誘導体、燐酸塩、炭酸塩および硫酸塩等から選択することができる。澱粉誘導体としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉、デキストリン等を挙げることができる。セルロース誘導体としては、例えば、結晶セルロース等を挙げることができる。また、珪酸塩誘導体としては、例えば、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等を挙げることができる。燐酸塩としては、例えば、燐酸水素カルシウム等を挙げることができる。炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム等を挙げることができる。硫酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
崩壊剤としては、例えば、セルロース誘導体、架橋ポリビニルピロリドンおよび化学修飾されたデンプン・セルロース類から選択することができる。セルロース誘導体としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム等を挙げることができる。架橋ポリビニルピロリドンとしては、例えば、クロスポビドン等を挙げることができる。また、化学修飾されたデンプン・セルロース類としては、例えば、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム等を挙げることができる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、タルク、コロイドシリカ、ワックス類(ビーズワックス、ゲイ蝋等)、硼酸、アジピン酸、硫酸塩(硫酸ナトリウム等)、グリコール、フマル酸、安息香酸ナトリウム、D,L−ロイシン、ラウリル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等)、珪酸類(無水珪酸、珪酸水和物等)および上記に賦形剤として示した化合物等から選択することができる。
矯味矯臭剤は、例えば、甘味料、酸味料および香料等から選択することができる。甘味料としては、例えば、スクラロース、サッカリンナトリウム、アスパルテーム等を挙げることができる。酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等を挙げることができる。また、香料としては、例えば、メントール、レモンエキス、オレンジエキス等を挙げることできる。
エンテカビル、テノホビルおよびアデホビルの投与量は、患者の年齢、体重、性別、投与時間、投与経路、疾患の重篤度をなどを考慮して適宜調整することができ、例えば、通常、成人1日あたり1μg〜500mg程度、好ましくは5μg〜50mg、より好ましくは50μg〜5mg程度を1回〜5回に分けて投与することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
<方法>
(細胞培養)
HepAD38細胞を、10%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを補充したDMEM/F12培地(gibco)を含む24ウェル培養プレート中で培養した。HBVのpgRNA転写を抑制するために、ドキシサイクリンを1μg/mlで通常添加した。NRTIは、培養細胞の播種時に開始され、培養培地の交換時に3日ごとに更新した。薬剤は水に溶解し、実験の過程で4℃で保存した。薬剤は所定の量で投与した。
(フローサイトメーター)
細胞膜の表面上のPD−L1の発現レベルを調べるために、蛍光色素結合抗PD−L1(29E.2A3、BioLegend)で細胞を染色した。その後、細胞をFACS Verse(BD Biosciences)上に流した。データ分析は、FlowJoソフトウェア(Tomy Digital Biology Co.、Ltd、Tokyo、Japan)を用いて行った。
(T細胞増殖アッセイ)
ドキシサイクリン投与の有無にかかわらず、HepAD38細胞を播種した。続いて、ドキシサイクリンを含まない細胞に30μMのETVを添加し、6日間培養した。
Ficoll−Hypaque(Lymphoprep(商標)、AxisShield PoC AS、オスロ、ノルウェー)を用いた密度勾配遠心分離によって、健常人ボランティア血液から末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。所望のT細胞集団(CD8 )を、抗APC MicroBeads(Milteny Biotec)を用いた陽性選択(AutoMACS:プログラム可能; Miltenyi Biotec)によって得た。CD8T細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;Dojindo Molecular Technologies、Inc、Tokyo、Japan)で標識した。
HepAD38細胞を6日間培養し、上記のCD8T細胞を24ウェルプレートに1×10細胞/ウェルの密度で播種し、10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640培地(Wako)中で共培養した。培地は、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、1mMのピルビン酸ナトリウム、0.1mMのNEAA、および0.1mMのβ−メルカプトエタノールを含む。Dynabeads(商標)Human T−Activator CD3/CD28(1.25μl/ウェル; gibco)の添加によりCD8T細胞を刺激した。PDL1のブロッキング効果を調べるために、抗PD−1抗体nivolumab(Intravenous Infusion、20 mg、Ono Pharmaceutical Co.、Ltd、Tokyo、Japan)を適用ウェルに間欠的に投与した(最終濃度50μg/ ml)。
72時間後、細胞をAPC結合抗CD8抗体(HIT8a)で染色し、死細胞をヨウ化プロピジウムで染色した。フローサイトメトリー分析を上記のように行った。
(統計解析)
有意差は、スチューデントのt検定によって決定した。一元配置分散分析を用いて複数の比較を行った後、Bonferroni−Dunn検定を行った。
P<0.05は統計的に有意であると考えられた。データは平均±SDまたは平均±SEMとして示した。
<結果>
実施例1:In vitroでの核酸アナログによるPDL1発現解析
ヒト肝臓がん由来細胞株であるHepAD38細胞に10、30、100μMのエンテカビルを投与し、6日培養したところPDL1の膜上への発現がフローサイトメトリーで観察された(図1および図2)。非投与群では、PDL1の発現は認められなかった(図1)。
その他のB型肝炎に適応のあるテノホビル(3.25、32.5、325μM)、アデホビル(0.79、7.9μM)においても同様条件下で検討を行いPDL1の膜上への発現がフローサイトメトリーで観察された(図3、図4および図5)。
比較例1:In vitroでの他の核酸アナログによるPDL1発現解析
HIV感染症などにおいて適応を受けている他の核酸アナログについても同様の検討を行った。各核酸アナログの投与濃度は、各核酸アナログのIC50または、ED50値の10倍の濃度まで検討を行った。具体的には以下の通りである。
サニルブジン(41μM)、エムトリシタビン(6.4μM)、アシクロビル(345μM)、ガンシクロビル(70μM)、リバビリン(71μM)、ジダノシン(100μM)、ジドブジン(4.9μM)、ペンシクロビル(201μM)。
上記の核酸アナログにおいては、有効なPDL1誘導が認められなかった(図6)。
実施例2:PDL1の機能解析
エンテカビルにより誘導されたPDL1が、PD−1発現細胞に影響しうるかを確認するためにPDL1が誘導されたHepAD38細胞と初代培養CD8T細胞とを共培養し、CD8T細胞の増殖アッセイを行った。エンテカビルを投与したHBV感染細胞では、非増殖細胞が32.1%まで増加し、CD8T細胞の増殖が抑制されたことが確認された。
さらに、抗PD−1抗体ニボルマブの添加によリ、エンテカビルを投与した細胞では、非増殖細胞が24.1%と低下し増殖能が回復した。これらの結果より、エンテカビルにより誘導されたPDL1はPD1発現細胞に影響を与えうる機能を持ったものであることが確認された(図7)。なお、HBV非感染細胞と共培養したCD8T細胞は、25.3%の非増殖細胞を有し、HBV感染細胞では24.9%となり、投与群の32.1%と比較し、非増殖細胞の割合が低かった(図7)。
実施例3:In vivoでの核酸アナログによるPDL1発現解析
C57/B6マウスにエンテカビルを3.2mg/kg30日間経口投与し、骨髄でのPDL1の発現をフローサイトメトリーで観察した。エンテカビルの投与によりPDL1の発現が誘導されることが確認された(図8)。なお、エンテカビ非投与群(control)においても、骨髄細胞においては、T細胞、B細胞、単球細胞、骨髄系細胞においてPDL1の発現は認められるが、その発現は中等度であった(図8)。
実施例4:DSS腸炎マウスモデルでのエンテカビルの効果
C57/B6マウスにエンテカビル20mg/kgを毎日(一日一回)一週間経口投与した後、エンテカビル20mg/kgに加えて、3.5質量%DSS(デキストラン硫酸ナトリウム)溶液(4.3ml:1日)を一週間投与した(エンテカビル投与群:図9ではETV20mgと表記)。Vihicle群(図9ではVihicleと表記)には、エンテカビル20mg/kgの代わりに、エンテカビルを含まない媒体を投与した。コントロール群(図9ではConと表記)には、エンテカビルもDSSも投与しなかった。
エンテカビル投与群、Vihicle群及びコントロール群のマウス(各群2匹)について、腸長を測定した結果を図9に示す。エンテカビル投与群において、腸長の短縮の軽減が、エンテカビ非投与群(control)及びVihicle群との比較により認められた(図9)。

Claims (5)

  1. エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、PDL1発現誘導剤。
  2. リンパ球においてPDL1発現の誘導する、請求項1に記載のPDL1発現誘導剤。
  3. 免疫抑制機能を有する、請求項1に記載のPDL1発現誘導剤。
  4. エンテカビル、テノホビルまたはアデホビルを有効成分として含む、免疫抑制剤。
  5. 自己免疫疾患、臓器移植後の拒絶反応、アレルギー性疾患または炎症性疾患の予防および/または治療のために使用される、請求項4に記載の免疫抑制剤。
JP2019080920A 2018-07-13 2019-04-22 Pdl1発現誘導剤および免疫抑制剤 Pending JP2020015711A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023245847A1 (zh) * 2022-06-22 2023-12-28 中山大学 一种硼酸类小分子化合物在制备增强免疫检查点抑制剂疗效及治疗白血病药物中的应用

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WO2023245847A1 (zh) * 2022-06-22 2023-12-28 中山大学 一种硼酸类小分子化合物在制备增强免疫检查点抑制剂疗效及治疗白血病药物中的应用

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