本願発明は、草花、果菜、野菜等の植物を栽培するための植物栽培温室に関するものである。尚、本願が対象にしている植物栽培温室は、パイプ材やアングル材等で組立てた骨格体の外側を透明の被覆材(ビニールシートやガラス板)で被覆したものであって、一般に農業用ハウスと称されているものである。そして、以下の説明では、本願の植物栽培温室を農業用ハウス又は単にハウスということがある。
基本的な農業用ハウスとして、骨格体(パイプ材やアングル材等で組立てたもの)の外側を透明な被覆材(ビニールシートやガラス板等)で覆って雨水の侵入を防止する一方で、ハウスの側面下部に防虫ネットを張設してハウス内の通気性を確保するようにしたものがある。
ところで、上記のようなハウスにおいては、特に夏季の日照時には、透明な被覆材を通して日射熱でハウス内が40℃以上の高温になることが通例であり、その場合には、高温による作物への悪影響が出る一方、作業に従事する作業員の作業環境が劣悪になる。従って、夏の高温時期には、多くの農家がハウス栽培を休止しているのが現状である。
他方、夏季の高温時にハウス内を冷凍機で冷やすものも散見されるが、その場合は、設備費が高価となり且つ運転コスト(電気代)も高くつくので、一般に普及していない。
又、従来から、ハウス内が過度に高温になるのを防止するために、ハウス壁面に排気フアンを設けてハウス内の熱気を外気と強制的に入れ替えるようにしたものもあるが、この場合、夏季の日中においては外気温度が異常高温(例えば35℃超)になることがあり、その高温外気をハウス内に吸引しても、ハウス内の空気が外気と入れ替わるものの、日射による熱が加わることもあって外気温を超える異常高温による種々の悪影響が発生することを回避できない。
ところで、本件出願人は、特許第6081003号公報(特許文献1)に示されるように、細霧冷房装置で発生させた細霧を利用して、ハウス本体内を細霧冷房するようにした植物栽培温室の特許を取得している。
この特許第6081003号の植物栽培温室は、図4〜図6に示すように、上部を透明な被覆材2で覆ったハウス本体1の妻面(後側妻面)13にハウス本体1内の空気をハウス外に排出する排気フアン5を設け、ハウス本体1の側面11に防虫ネット3を張設し、該防虫ネット3を張設したハウス本体1の側面11の外側近傍位置に細霧冷房装置8を設けている。
尚、ハウス本体1内の空気は、後側妻面13の排気フアン5により外気中に強制排気されるが、ハウスが長いものでは、ハウス本体1内の天井部付近にハウス長さ方向の適数箇所に補助送風フアン9A,9B(図5参照)を設置することにより、ハウス内の全長に亘って空気がスムーズに流れるようにすることができる。
防虫ネット3は、微小害虫の侵入も阻止するために、網目空間が0.3〜0.4mm程度の微細目のものを使用している。
細霧冷房装置8は、ハウス本体側面11(防虫ネット3)の外側近傍位置に多数の細霧噴出ノズル81,81・・を配置し、ポンプ82から配水管80を通して供給される水を各細霧噴出ノズル81,81・・から細霧Fにして大気中に噴霧させることで、該噴霧Fが外気温で蒸発するときの気化熱により周辺の空気を細霧冷房し得るようにしたものである。
そして、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室では、排気フアン5を作動させると、図5に矢印A1で示すようにハウス本体1内の空気が外気中に強制排気され(必要に応じて補助送風フアン9A,9Bでハウス本体1内の空気を矢印A2のように排気フアン5側に送る)、それによってハウス本体1内が負圧になることでハウス側面11の防虫ネット3部分から矢印A3で示すように外気がハウス本体1内に吸引されるようになっている。
このとき上記細霧冷房装置8を作動させていると、該細霧冷房装置8の各細霧噴出ノズル81,81・・から噴出する細霧Fが外気中で蒸発するときの気化熱により防虫ネット3の外側近傍位置にある外気を細霧冷房し、その細霧冷房された冷却空気が防虫ネット3の網目を通ってハウス本体1内に吸引され、その吸引された冷却空気によってハウス本体1内を冷房することができる。
このように、細霧冷房装置8を用いてハウス内の冷房を行うものでは、細霧Fの気化熱を利用するので、電気式の冷房装置に比して設備コストや運転コストが安価になるという利点がある。
ところで、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室では、ハウス内の冷房用に上記細霧冷房装置8を使用しているので、冷房装置として設備コストや運転コストが安価になるという利点があるものの、次のような改善すべき点が知見された。
即ち、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室では、細霧冷房装置8による細霧冷房を、ハウス本体側面11に張設している防虫ネット3の外側近傍位置で行うので、排気フアン5による排気でハウス本体1内が負圧であっても、防虫ネット外側で細霧冷房された冷却空気はその一部(図5、図6の符号Fa)しか防虫ネット3を通してハウス本体1内に吸引されずに、大部分(図5、図6の符号Fb)の冷却空気はそのまま大気中に飛散してしまうことが知見された。
従って、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室のように、防虫ネット3の外側で細霧冷房装置8により外気を細霧冷房するのは、その細霧冷房による冷却空気の利用効率が悪いものとなっていた(無駄になる冷却空気量が多かった)。
そこで、本願発明は、先に特許取得した特許第6081003号(図4〜図6)の植物栽培温室をさらに改良したものであって、細霧冷房装置で生成した冷却空気をハウス外に飛散させることなく全量をハウス内の冷房に用いることができるようにした植物栽培温室(農業用ハウス)を提供することを目的としている。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、植物を栽培するための植物栽培温室(農業用ハウス)を対象としたものであり、特に日差しの強い季節(主に夏季に使用されるが春季、秋季でも使用可能)の日中に好適なものである。
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の植物栽培温室は、
上部を透明な被覆材で被覆し且つハウス側面にハウス内外を連通させる通気部を設けているハウス本体を備え、
ハウス本体の適所に該ハウス本体内の空気をハウス外に排出する排気フアンを設け、
ハウス側面の外側に通気部と連通する空所を隔てて囲い材を設置し、
囲い材におけるハウス側面に対面する外側面に通気可能な防虫ネットを張設し、
ハウス側面と囲い材との間の空所に、水を細霧にして空気中に噴霧し該噴霧が外気温で蒸発するときの気化熱により上記空所内の空気を細霧冷房する細霧冷房装置を設けているとともに、
ハウス本体内の空気を排気フアンで強制排気しながら細霧冷房装置を作動させることで、外気が囲い材の防虫ネットを通して空所内に吸引され、その吸引外気が空所内において細霧冷房装置で細霧冷房された後、その細霧冷房された冷却空気がハウス側面の通気部からハウス本体内に吸引されてハウス本体内を冷房するように構成している、
ことを特徴としている。
ハウス本体は、パイプ材やアングル材等で組立てた骨格体の外側上部を透明の被覆材(ビニールシートやガラス板)で被覆して構成されたものである。
ハウス本体のハウス側面には、ハウス内外を連通させる通気部を設けているが、この通気部は、ハウス周囲の長い範囲に設けたもので、空間が大きい荒目網や所定高さを有した横長開放部のような通気抵抗がほとんどない状態のものである。
ハウス側面の外側には、所定幅の空所を隔てて囲い材を設置し、該囲い材の外側面に防虫ネットを張設している。この防虫ネットは、最近では、オンシツコナジラミやスリップスなどの微小害虫の侵入も阻止するために、網目空間が0.3〜0.4mm程度の微細目のものを多用している。
そして、本願の植物栽培温室では、上記排気フアンを作動させると、ハウス本体内が負圧になることで、ハウス側面の通気部、上記空所、及び囲い材の防虫ネットを介して外気がハウス内に吸引されるようになっている。
上記細霧冷房装置は、水を細霧(非常に微細な水滴)にして空気(高温空気)中に噴霧させることで、該細霧が空気中で蒸発するときの気化熱により空気を冷やすことができるようにしたものである。
そして、この細霧冷房装置は、ハウス側面と囲い材との間の空所内において、囲い材の防虫ネットの張設範囲に亘ってそれぞれ所定間隔をもって多数の細霧噴出ノズルを設置したものである。
この請求項1の植物栽培温室は、次のように機能する。まず、日中において日光がハウス内に照射するとハウス内の空気が日射熱で加温されるが、排気フアンを作動させていると、ハウス内の空気が外気中に強制排気されることで該ハウス内が負圧になり、そのときの不足空気(外気)をハウス外から囲い材の防虫ネットを通して空所内に吸引し、さらに該空所内の空気をハウス側面の通気部を通してハウス内に吸引するようになる。尚、ハウス内外に上記のような気圧差が生じると、防虫ネットの網目が微小なものでも(自然状態で通気性に乏しい性状でも)、空気が自然に高圧側(ハウス外)から低圧側(ハウス内)に流動するようになる。又、このような空気の流れは、排気フアンの作動中は連続して行われるとともに、無風状態であってもハウス内の空気の入れ替えが確実に行われる。
このように排気フアン作動状態で上記細霧冷房装置を作動させていると、上記空所内において多数の細霧噴出ノズルから細霧が連続して噴出されるが、この噴出細霧には防虫ネットを通過して空所内に吸引された直後の高温外気(例えば30℃超の外気)が順次接触し、上記噴出細霧が外気の熱で蒸発(気化)してその気化熱により防虫ネット内側(空所内)の広範囲にある空気が冷やされる(外気温度以下になる)。
そして、上記細霧冷房された冷却空気は、上記排気フアンが作動していることにより、空所からハウス側面の通気部を通してハウス内の広範囲の空間に拡散して該ハウス内の全域を冷房した後、外気中に排出される。尚、この細霧冷房装置によるハウス内冷房機能は連続して行われる。
この請求項1の発明の植物栽培温室では、細霧冷房装置がハウス側面と囲い材との間の空所に設置されており、しかも運転中は排気フアンによりハウス内が常に負圧になっているので(空気は防虫ネットの外側から空所を介してハウス内に向けて流れる)、この細霧冷房装置から噴出された細霧で細霧冷房した冷却空気は防虫ネットを通ってハウス外に流出することはない。つまり、上記空所内の気圧が防虫ネット外側の外気圧より常に低いので、空所内で冷やされた冷却空気は防虫ネット内側から防虫ネット外側に向けて流れることはない。
従って、この請求項1の発明の植物栽培温室では、細霧冷房装置により空所内で生成した冷却空気の全量をハウス内に吸引させることができる。
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の植物栽培温室において、
ハウス本体内を上下に区画する区画材により天井側の上部室と栽培室となる下部室との上下2室に区画し、
区画材の中央部付近に上部室と下部室を連通させる通気穴を設け、
排気フアンは上部室内の空気をハウス外に排出するように設置し、
下部室を細霧冷房装置で細霧冷房した冷却空気で冷房するようにしているとともに、
上部室内の空気を排気フアンで強制排気することで、下部室内の空気が通気穴から集中して上部室内に吸引されるように構成している、
ことを特徴としている。
この請求項2の発明の植物栽培温室において、ハウス本体内を上下2室に区画する区画材は、栽培室となる下部室に上方(上部室側)からの日光を透過させる必要から、透光性を有した材質のものが採用される。尚、この区画材としては、ある程度の遮光性を有した遮光ネット(通気性あり)や半透明の遮光シート又は反射シート(通気性なし)等が使用可能であるが、遮光ネットを使用したものでもある程度の空気通過抵抗を有するものが使用される。
そして、この区画材は、上部室と下部室とを通気可能にする必要があるが、その通気許容構造として、区画材の中央部付近に所定大きさの通気穴を設けている。この通気穴は、直径が例えば50cm〜1m程度の大きさで、下部室の中央部付近に対応する位置に設けている。尚、この通気穴の大きさ又は個数は、特に限定するものではなく、ハウスの容積に応じて適宜に設定できる。
本願請求項2の発明の植物栽培温室は、次のように機能する。まず、日中において日光がハウス内に照射すると、その日光が届く上部室内及び下部室内が日射熱でそれぞれ加温されるが、上部室内の空気が排気フアンで強制的に排出されるので、ハウス内の空気の流れは下部室側から上部室側への一方通行になり、もし上部室内の空気が過度に加温されても、該上部室内の加温空気が下部室内に流入することがない。
他方、請求項1に記載した細霧冷房装置を作動させていると、栽培室となる下部室の全域が細霧冷房装置で細霧冷房された後、その下部室の空気は、下部室の中央部付近に位置する区画材の通気穴から集中して上部室に吸引される。そして、このように下部室の空気が下部室中央部付近から集中して上部室に吸引されるようにすると、細霧冷房装置により上記空所内から下部室内に流入した冷却空気を該下部室内の広範囲の空間から吸引することができる。
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の植物栽培温室は、次のような効果がある。
(1) この請求項1の植物栽培温室は、排気フアンによりハウス内の空気をハウス外に排出することで、外気を囲い材の防虫ネット張設部分から空所を介してハウス内に導入させるようにしたものであるが、空所内の空気が細霧冷房装置からの細霧による気化熱で外気温度より冷やされるので、ハウス内の空気を外気温度以下に維持させることができる。
従って、ハウス内での高温による作物育成環境や作業に従事する作業員の作業環境等がそれぞれ改善できるので、外気が高温となる季節(主として夏季)においてもハウス栽培が可能となるとともに、良好な環境で作物の育成が行えるという効果がある。
(2) この請求項1の植物栽培温室で使用されている細霧冷房装置は、細霧の気化熱で外気を冷房し得るものであるので、冷房装置として設備費が安価となるとともに運転コストも安価となるという効果がある。
(3) 細霧冷房装置が設置されている空所内は、運転中は排気フアンによりハウス本体内を介して常に負圧になっていることで、空気の流れが囲い材の防虫ネット外側からハウス本体内への一方向のみとなる(つまり、細霧冷房装置により空所内で生成された冷却空気は囲い材の防虫ネットを通ってハウス外に流出することがない)。
従って、細霧冷房装置で生成した冷却空気の全量を無駄なくハウス内の冷房に利用できるという効果がある。即ち、特許文献1の植物栽培温室に比して細霧冷房装置によるハウス内の冷房機能を大幅にアップすることができる。
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の植物栽培温室において、ハウス本体内を区画材により上部室と下部室に区画し、区画材の中央部付近(下部室の中央部付近に相当する位置)に通気穴を設けて、上部室内の空気を排気フアンで強制排気することで、下部室内の空気が通気穴から集中して上部室内に吸引されるように構成している。
そして、この請求項2の発明の植物栽培温室では、下部室内で細霧冷房装置により生成された冷却空気が区画材の中央部付近に位置する通気穴から集中して上部室に吸引されるようになっている。
従って、この請求項2の発明では、細霧冷房装置により下部室内で生成された冷却空気を該下部室内の広範囲の空間から吸引することができるので、上記請求項1の効果に加えて、栽培室となる下部室内の全域をほぼ均一に冷房することができるという効果がある。
本願発明の実施例に係る植物栽培温室(ハウス)の斜視図である。
図1のハウスにおける長手方向の縦断面図(図1のII−II断面図)である。
図1のハウスにおける幅方向の縦断面図(図1のIII−III断面図)である。
公知(特許文献1)の植物栽培温室(ハウス)の斜視図である。
図4のハウスにおける長手方向の縦断面図(図4のV−V断面図)である。
図4のハウスにおける幅方向の縦断面図(図4のVI−VI断面図)である。
以下、図1〜図3を参照して本願実施例の植物栽培温室を説明する。尚、以下の実施例の説明においても、本願の植物栽培温室を単にハウスということがある。
図1〜図3に示す実施例の植物栽培温室(ハウス)は、パイプ材やアングル材等で組立てた骨格体の外側を透明の被覆材2で被覆してハウス本体1を構成している。尚、各図にはハウス本体1の骨格体(パイプ材やアングル材等)は図示省略している。
この実施例で採用しているハウス本体1の大きさ・形状は、特に限定するものではないが、ハウス妻面12(及び13)が例えば幅6〜10m、高さ4〜5m程度、前後長さが例えば30〜50m程度の大きさのカマボコ型に形成している。
ハウス本体1内は、区画材6により天井側の上部室21と栽培室となる下部室22との上下2室に区画している。
ハウス本体1の上部室21を被覆する屋根部2には透明シートを使用している。ハウス本体1の下部室22における左右各側のハウス側面11,11には、後述するようにそれぞれ上部に通気部11bを設け下部に遮蔽部11aを設けている。尚、この実施例では、前後妻面12,13の各下方部分12b,13bにおける左右各側の所定幅も、ハウス側面11と同様に上部に通気部11bを設けている一方で下部に遮蔽部11aを設けており、この前後妻面12,13の各下方部分12b,13bにおける通気部11bと遮蔽部11aを設けた部分もハウス側面11として扱う。
前後妻面12,13の各上方部分12a,13aには、透明シートが張設されている。前後妻面12,13の各下方部分12b,13bには、開閉可能な出入口(扉)15,16(図1参照)を設けている。
屋根部2の透明シート及び前後妻面12,13の上方部分12a,13aの透明シート
は、雨水の透過を阻止する防水性と日光の透過を許容する透光性とを有したビニールシートが採用されている。
左右各側のハウス側面11,11(及び前後妻面の下方部分12b,13b)は、下部をシート材からなる遮蔽部11aとする一方で上部の所定高さ範囲にハウス内外を連通させる通気部11bとしている。
ハウス側面11の上記通気部11bは、ハウス周囲の長い範囲に設けたもので、空間が大きい荒目網や所定高さを有した横長開放部のような通気抵抗がほとんどない状態のものである。
ところで、ハウス本体1の外表における透明シート部分(屋根部2全体、及び前後妻面の各上方部分12a,13a)は、日光透過率(図2、図3のL0)が大きくなって、ハウス内への加温作用が大きくなり、夏季の日照時にはハウス内の温度が40℃を超えるような苛酷な環境になることが多々ある。
そこで、この実施例の植物栽培温室では、ハウス内で加温された空気を外気と入れ替えるために、ハウス本体1の適所(図示例では前後妻面12,13の各上方部分12a,13a)に排気フアン5,5を設け、該排気フアン5,5でハウス内の空気を矢印A1(図2参照)で示すようにハウス外に排出することで、ハウス内の不足空気を、矢印A2、矢印A2′、矢印A3′を経て矢印A3(図2参照)で示すようにハウス外からハウス内に吸引するようにしている。
尚、この実施例では、排気フアン5,5を前後妻面12,13の2箇所に設けているが、この排気フアン5は前後妻面12,13のいずれか一方のみに設けたものでもよい。
ところで、このようにハウス内の空気を排気フアン5で強制的に入れ替えるようにすると、夏季以外ではハウス内の温度を外気温近く(栽培可能な温度)に抑制できるが、夏季の日照時には外気温度が異常高温(例えば35℃超)になることがあり、その高温外気をハウス内に導入すると、日射の熱が加わることもあって高温による種々の悪影響が発生することが予想される。
そこで、本願の植物栽培温室では、細霧冷房という簡易な手法でハウス内が異常高温にならないようにしている。即ち、この実施例(図1〜図3)の植物栽培温室では、次の構成を有した冷房装置を備えている。
まず、左右の各ハウス側面11,11(及び12b,13b)の外側に、それぞれ所定幅の空所40を隔てて囲い材4,4を設置している。各空所40,40は、ハウス側面11,11の各通気部11b,11bに連通している。
各囲い材4,4は、その外側面を構成する部分に微細網目(網目空間が0.3〜0.4mm程度)の防虫ネット41,41を張設している一方、上面部分を通気性のないシート42で覆っている。尚、この各囲い材4,4は、ハウス側面11の全域と前後妻面12,13側に所定長さ回り込む範囲に設けている。
左右各側の囲い材4,4に使用している防虫ネット3は、この実施例では、オンシツコナジラミやスリップスなどの微小害虫の侵入も阻止するために、網目空間が0.3〜0.4mm程度の微細目のものを使用している。尚、このような微細目の防虫ネット3を使用すると、防虫の点では効果が良好となるものの通常の風程度では通気性が非常に悪いものとなるが、本願では後述するように排気フアン5によるハウス内空気(及び空所内空気)の強制排出により、防虫ネット3の網目を通して外気を空所40を介してハウス内に導入させ得るようにしている。
ハウス側面11,11と囲い材4,4と間の各空所40,40には、囲い材4の防虫ネット3を通して吸引した直後の外気を細霧冷房するための細霧冷房装置8,8がそれぞれ設置されている。尚、この実施例では、各細霧冷房装置8,8がハウス側面11,11の外側に設置されているが、該細霧冷房装置8,8の外側を防虫ネット41付きの囲い材4,4で囲う構造となっている。
この各細霧冷房装置8,8は、上記空所40,40内に配置された配水管80と、該配水管80に所定間隔をもって設置した多数の細霧噴出ノズル81,81・・と、配水管80を通して各細霧噴出ノズル81,81・・に水を圧送するポンプ82とを有している。尚、この実施例では、細霧冷房装置8をハウス本体1の左右に2セット使用しているが、ハウスの規模によって細霧冷房装置8のセット個数を増減することができる。
この細霧冷房装置8の各細霧噴出ノズル81,81・・は、上記空所40内において配水管80の長さ方向に所定間隔(例えば50〜100cm間隔)をもって多数設置している。
そして、この各細霧冷房装置8,8は、ポンプ82を作動させると、各細霧噴出ノズル81,81・・から細霧Fが噴出され、該細霧Fが外気温で蒸発(気化)し、その気化熱により囲い材4の防虫ネット張設部分から空所40内に吸引された直後の外気を外気温度より低温度まで冷やすことができるものである。
ハウス本体1内は区画材6で上下2室に区画しているが、この区画材6は、栽培室となる下部室22に上方(上部室21側)からの日光を透過させる必要から、透光性を有した材質のものが採用される。
ところで、ハウス内で作物を栽培するのに、下部室(栽培室)22内にも所定の日射量La(図2、図3)が必要であるが、夏季のような日差しの強い季節では、下部室22内が過度に昇温するのを防止するために該下部室22内への日射量Laをある程度制限することが望ましい。そこで、この実施例では、ハウス本体1内を上下に区画する上記区画材6を利用して、上部室21内に照射した日射量L1が下部室22側に透過する日射量Laを制限するようにしている。
この実施例で使用している区画材6としては、例えば、遮光ネットや半透明の遮光シート(又は反射シート)等の遮光材61を使用することができる。この区画材6(遮光材61)による好適な遮光率は、栽培作物の種類やハウス設置環境等に応じて変化させ得るが、上部室21側から区画材6上面に照射した照射量L1を例えば(特に限定するものではないが)30〜70%程度カットし得る(換言すると、該照射量L1の70〜30%だけ透過させ得る)ものが採用されている。即ち、図2及び図3において、上部室21を通って区画材6(遮光材61)上に照射した日射量L1は、その一部Lbが遮光材61によって遮光(又は反射)されて、残余の日射量Laのみが下部室22内に透過するようになっている。従って、被覆材2等を透過して遮光材61上に照射した照射量L1の一部Lbが該遮光材61で遮光(又は反射)されることにより、下部室22内に照射される照射量Laを減少できるので、下部室22内の作物Pに対する悪影響(例えば葉焼け)を防止したり、下部室22内への温度上昇作用を抑制できる。
区画材6には、その中央部付近に上部室21と下部室22とを通気可能にするための所定大きさの通気穴62を設けている。この通気穴62は、直径が例えば50cm〜1m程度の大きさで、下部室の中央部付近に対応する位置に設けている。尚、この通気穴62の大きさは、特に限定するものではなく、ハウスの容積に応じて適宜に設定できるとともに、この通気穴62の個数は、区画材6の中央部付近であれば、1個でも複数個でもよい。
図1〜図3に示す実施例の植物栽培温室は、次のように機能する。まず、日中において日光がハウス内に照射するとハウス(特に上部室21)内の空気が日射熱L0で加温されるが、排気フアン5,5を作動させていると、上部室21内の空気が矢印A1(図2参照)で示すように外気中に強制排気されることで該上部室21内が負圧になり、そのときの不足空気を矢印A2で示すように区画材6の通気穴62を通して下部室22から吸引し、さらに下部室22内が負圧になることにより、矢印A2′、矢印A3′を経て、矢印A3で示すようにハウス外の外気を各防虫ネット3,3・・を通して下部室22内に吸引するようになる。尚、ハウス内外に上記のような気圧差が生じると、防虫ネット3の網目が微小なものでも(自然状態で通気性に乏しい性状でも)、空気が自然に高圧側(ハウス外)から低圧側(ハウス内)に流動するようになる。又、このような空気の流れは、排気フアン5,5の作動中は連続して行われるとともに、無風状態であってもハウス内の空気の入れ替えが確実に行われる。
他方、排気フアン5,5の作動状態で上記細霧冷房装置8,8を作動させていると、各空所40,40内において多数の細霧噴出ノズル81,81・・から細霧Fが連続して噴出されるが、この噴出細霧Fには防虫ネット3を通過して空所40内に吸引された直後の高温外気(矢印A3)が順次接触し、上記噴出細霧Fが外気の熱で蒸発(気化)してその気化熱により防虫ネット張設部分の内側近傍位置の広範囲にある空気が冷やされる(外気温度以下になる)。
そして、各空所40,40内で細霧冷房された冷却空気(矢印A3′)は、排気フアン5,5による排気でハウス側面11の通気部11bを通って下部室22内に吸引され、さらに区画材6の通気穴62部分が上方に吸引されていることで、下部室22内の周辺から矢印A2′で示すように通気穴62部分に集中していく過程で下部室22内を広範囲に且つ均一に冷房し、続いて該通気穴62を通って矢印A2で示すように上部室21内に吸引された後、各排気フアン5,5部分から矢印A1で示すように外気中に排出される。尚、この細霧冷房装置8,8によるハウス内冷房機能は連続して行われる。
このように、細霧冷房装置8,8からの細霧Fで上記空所40,40内の空気温度を低下させることができると、囲い材4の防虫ネット3を通して空所40内に吸引された空気が外気温度より低温になり、その低温空気を下部室22内に導入できるので、外気温度が高い夏季の日照時であっても、ハウス内を外気温度以下に維持できる。
又、細霧冷房装置8,8は、その各細霧噴出ノズル81,81・・を上記空所40,40内に所定間隔をもって多数設置しているので、ハウス本体1内の広範囲の外周部分から細霧冷房できる。
従って、図1〜図3に示す実施例の植物栽培温室では、ハウス内での高温による作物育成環境や作業に従事する作業員の作業環境等がそれぞれ改善できるので、外気が高温となる季節(主として夏季)においてもハウス栽培が可能となるとともに、良好な環境で作物の育成が行えるという機能を有している。
又、この実施例の植物栽培温室で使用されている細霧冷房装置8は、細霧の気化熱で外気を冷やし得るものであるので、冷房装置として設備費が安価となるとともに運転コストも安価となるという機能を有している。
さらに、この実施例の植物栽培温室では、細霧冷房装置8,8が上記各空所40,40内に設置されており、運転中は排気フアン5,5によりハウス内が常に負圧になっているので(空気は囲い材4の防虫ネット3の外側からハウス内に向けて流れる)、この細霧冷房装置8,8から噴出された細霧Fで細霧冷房した冷却空気は囲い材4の防虫ネット3を通ってハウス外に流出することはない。つまり、防虫ネット内側の気圧が防虫ネット外側の気圧より常に低いので、防虫ネット近傍の空気は防虫ネット内側から防虫ネット外側に向けて流れることはない。
従って、この実施例の植物栽培温室では、細霧冷房装置8,8により空所40内で生成した冷却空気の全量をハウス内に留めることができるので、細霧冷房装置8,8で生成した冷却空気の全量を無駄なくハウス内の冷房に利用できる。
1はハウス本体、2は被覆材、4は囲い材、5は排気フアン、6は区画材、8は細霧冷房装置、11はハウス側面、11aは遮蔽部、11bは通気部、12,13はハウス妻面、21は上部室、22は下部室、40は空所、41は防虫ネット、61は遮光材、62は通気穴、81は細霧噴出ノズルである。
本願発明は、草花、果菜、野菜等の植物を栽培するための植物栽培温室に関するものである。尚、本願が対象にしている植物栽培温室は、パイプ材やアングル材等で組立てた骨格体の外側を透明の被覆材(ビニールシートやガラス板)で被覆したものであって、一般に農業用ハウスと称されているものである。そして、以下の説明では、本願の植物栽培温室を農業用ハウス又は単にハウスということがある。
基本的な農業用ハウスとして、骨格体(パイプ材やアングル材等で組立てたもの)の外側を透明な被覆材(ビニールシートやガラス板等)で覆って雨水の侵入を防止する一方で、ハウスの側面下部に防虫ネットを張設してハウス内の通気性を確保するようにしたものがある。
ところで、上記のようなハウスにおいては、特に夏季の日照時には、透明な被覆材を通して日射熱でハウス内が40℃以上の高温になることが通例であり、その場合には、高温による作物への悪影響が出る一方、作業に従事する作業員の作業環境が劣悪になる。従って、夏の高温時期には、多くの農家がハウス栽培を休止しているのが現状である。
他方、夏季の高温時にハウス内を冷凍機で冷やすものも散見されるが、その場合は、設備費が高価となり且つ運転コスト(電気代)も高くつくので、一般に普及していない。
又、従来から、ハウス内が過度に高温になるのを防止するために、ハウス壁面に排気フアンを設けてハウス内の熱気を外気と強制的に入れ替えるようにしたものもあるが、この場合、夏季の日中においては外気温度が異常高温(例えば35℃超)になることがあり、その高温外気をハウス内に吸引しても、ハウス内の空気が外気と入れ替わるものの、日射による熱が加わることもあって外気温を超える異常高温による種々の悪影響が発生することを回避できない。
ところで、本件出願人は、特許第6081003号公報(特許文献1)に示されるように、細霧冷房装置で発生させた細霧を利用して、ハウス本体内を細霧冷房するようにした植物栽培温室の特許を取得している。
この特許第6081003号の植物栽培温室は、図4〜図6に示すように、上部を透明な被覆材2で覆ったハウス本体1の妻面(後側妻面)13にハウス本体1内の空気をハウス外に排出する排気フアン5を設け、ハウス本体1の側面11に防虫ネット3を張設し、該防虫ネット3を張設したハウス本体1の側面11の外側近傍位置に細霧冷房装置8を設けている。
尚、ハウス本体1内の空気は、後側妻面13の排気フアン5により外気中に強制排気されるが、ハウスが長いものでは、ハウス本体1内の天井部付近にハウス長さ方向の適数箇所に補助送風フアン9A,9B(図5参照)を設置することにより、ハウス内の全長に亘って空気がスムーズに流れるようにすることができる。
防虫ネット3は、微小害虫の侵入も阻止するために、網目空間が0.3〜0.4mm程度の微細目のものを使用している。
細霧冷房装置8は、ハウス本体側面11(防虫ネット3)の外側近傍位置に多数の細霧噴出ノズル81,81・・を配置し、ポンプ82から配水管80を通して供給される水を各細霧噴出ノズル81,81・・から細霧Fにして大気中に噴霧させることで、該噴霧Fが外気温で蒸発するときの気化熱により周辺の空気を細霧冷房し得るようにしたものである。
そして、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室では、排気フアン5を作動させると、図5に矢印A1で示すようにハウス本体1内の空気が外気中に強制排気され(必要に応じて補助送風フアン9A,9Bでハウス本体1内の空気を矢印A2のように排気フアン5側に送る)、それによってハウス本体1内が負圧になることでハウス側面11の防虫ネット3部分から矢印A3で示すように外気がハウス本体1内に吸引されるようになっている。
このとき上記細霧冷房装置8を作動させていると、該細霧冷房装置8の各細霧噴出ノズル81,81・・から噴出する細霧Fが外気中で蒸発するときの気化熱により防虫ネット3の外側近傍位置にある外気を細霧冷房し、その細霧冷房された冷却空気が防虫ネット3の網目を通ってハウス本体1内に吸引され、その吸引された冷却空気によってハウス本体1内を冷房することができる。
このように、細霧冷房装置8を用いてハウス内の冷房を行うものでは、細霧Fの気化熱を利用するので、電気式の冷房装置に比して設備コストや運転コストが安価になるという利点がある。
ところで、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室では、ハウス内の冷房用に上記細霧冷房装置8を使用しているので、冷房装置として設備コストや運転コストが安価になるという利点があるものの、次のような改善すべき点が知見された。
即ち、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室では、細霧冷房装置8による細霧冷房を、ハウス本体側面11に張設している防虫ネット3の外側近傍位置で行うので、排気フアン5による排気でハウス本体1内が負圧であっても、防虫ネット外側で細霧冷房された冷却空気はその一部(図5、図6の符号Fa)しか防虫ネット3を通してハウス本体1内に吸引されずに、大部分(図5、図6の符号Fb)の冷却空気はそのまま大気中に飛散してしまうことが知見された。
従って、図4〜図6(公知例)の植物栽培温室のように、防虫ネット3の外側で細霧冷房装置8により外気を細霧冷房するのは、その細霧冷房による冷却空気の利用効率が悪いものとなっていた(無駄になる冷却空気量が多かった)。
そこで、本願発明は、先に特許取得した特許第6081003号(図4〜図6)の植物栽培温室をさらに改良したものであって、細霧冷房装置で生成した冷却空気をハウス外に飛散させることなく全量をハウス内の冷房に用いることができるようにした植物栽培温室(農業用ハウス)を提供することを目的としている。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、植物を栽培するための植物栽培温室(農業用ハウス)を対象としたものであり、特に日差しの強い季節(主に夏季に使用されるが春季、秋季でも使用可能)の日中に好適なものである。
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の植物栽培温室は、
上部を透明な被覆材で被覆してなるハウス本体を備え、
ハウス本体内を上下に通気可能な状態で区画材により天井側の上部室と栽培室となる下部室との上下2室に区画し、
下部室の側面に下部室の内外を連通させる通気部を設け、
上部室の適所に該上部室内の空気をハウス外に排出する排気フアンを設け、
下部室の側面の外側に通気部と連通する空所を隔てて囲い材を設置し、
囲い材における下部室の側面に対面する外側面に通気可能な防虫ネットを張設し、
下部室の側面と囲い材との間の空所に、水を細霧にして空気中に噴霧し該噴霧が外気温で蒸発するときの気化熱により上記空所内の空気を細霧冷房する細霧冷房装置を設けているとともに、
上部室内の空気を排気フアンで強制排気しながら細霧冷房装置を作動させることで、外気が囲い材の防虫ネットを通して空所内に導入され、その導入外気が空所内で細霧冷房装置で細霧冷房された後、その細霧冷房された冷却空気が下部室の側面の通気部から下部室内に導入されて下部室内を冷房するように構成している、
ことを特徴としている。
尚、以下の説明では、上記「下部室の側面」を簡略して「下部室側面」と表現することがある。
ハウス本体は、パイプ材やアングル材等で組立てた骨格体の外側上部を透明の被覆材(ビニールシートやガラス板)で被覆して構成されたものである。
ハウス本体内を上下2室に区画する区画材は、栽培室となる下部室に上方(上部室側)からの日光を透過させる必要から、透光性を有した材質のものが採用される。尚、この区画材としては、ある程度の遮光性を有した遮光ネット(通気性あり)や半透明の遮光シート又は反射シート(通気性なし)等が使用可能であるが、遮光ネットを使用したものでもある程度の空気通過抵抗を有するものが使用される。
ハウス本体の下部室側面には、下部室内外を連通させる通気部を設けているが、この通気部は、下部室周囲の長い範囲に設けたもので、空間が大きい荒目網や所定高さを有した横長開放部のような通気抵抗がほとんどない状態のものである。
下部室側面の外側には、所定幅の空所を隔てて囲い材を設置し、該囲い材の外側面に防虫ネットを張設している。この防虫ネットは、最近では、オンシツコナジラミやスリップスなどの微小害虫の侵入も阻止するために、網目空間が0.3〜0.4mm程度の微細目のものを多用している。
そして、本願の植物栽培温室では、上記排気フアンを作動させると、上部室内が負圧になることで、下部室内の空気が区画材設置部分を通して上部室側に流れ、さらに下部室側面の通気部、上記空所、及び囲い材の防虫ネットを介して外気が下部室内に吸引されるようになっている。
上記細霧冷房装置は、水を細霧(非常に微細な水滴)にして空気(高温空気)中に噴霧させることで、該細霧が空気中で蒸発するときの気化熱により空気を冷やすことができるようにしたものである。
そして、この細霧冷房装置は、下部室側面と囲い材との間の空所内において、囲い材の防虫ネットの張設範囲に亘ってそれぞれ所定間隔をもって多数の細霧噴出ノズルを設置したものである。
この請求項1の植物栽培温室は、次のように機能する。まず、日中において日光がハウス内に照射すると、その日光が届く上部室内及び下部室内が日射熱でそれぞれ加温されるが、排気フアンを作動させていると、上部室内の空気が排気フアンで強制的に排出されるので、ハウス内の空気の流れは下部室側から上部室側への一方通行になり、もし上部室内の空気が過度に加温されても、該上部室内の加温空気が下部室内に流入することがない。又、排気フアンを作動させていると、ハウス内の空気が外気中に強制排気されることで該ハウス内が負圧になり、そのときの不足空気(外気)をハウス外から囲い材の防虫ネットを通して空所内に吸引し、さらに該空所内の空気を下部室側面の通気部を通して下部室内に吸引するようになる。尚、ハウス内外に上記のような気圧差が生じると、防虫ネットの網目が微小なものでも(自然状態で通気性に乏しい性状でも)、空気が自然に高圧側(ハウス外)から低圧側(ハウス内)に流動するようになる。又、このような空気の流れは、排気フアンの作動中は連続して行われるとともに、無風状態であってもハウス内の空気の入れ替えが確実に行われる。
このように排気フアン作動状態で上記細霧冷房装置を作動させていると、上記空所内において多数の細霧噴出ノズルから細霧が連続して噴出されるが、この噴出細霧には防虫ネットを通過して空所内に吸引された直後の高温外気(例えば30℃超の外気)が順次接触し、上記噴出細霧が外気の熱で蒸発(気化)してその気化熱により防虫ネット内側(空所内)の広範囲にある空気が冷やされる(外気温度以下になる)。
そして、上記細霧冷房された冷却空気は、上記排気フアンが作動していることにより、空所から下部室側面の通気部を通して下部室(栽培室となる)内の広範囲の空間に拡散して該下部室内の全域を冷房した後、区画材設置部分及び上部室内を経て外気中に排出される。尚、この細霧冷房装置によるハウス内冷房機能は連続して行われる。
この請求項1の発明の植物栽培温室では、細霧冷房装置が下部室側面と囲い材との間の空所に設置されており、しかも運転中は排気フアンにより下部室内が常に負圧になっているので(空気は防虫ネットの外側から空所を介して下部室内に向けて流れる)、この細霧冷房装置から噴出された細霧で細霧冷房した冷却空気は防虫ネットを通ってハウス外に流出することはない。つまり、上記空所内の気圧が防虫ネット外側の外気圧より常に低いので、空所内で冷やされた冷却空気は防虫ネット内側から防虫ネット外側に向けて流れることはない。
従って、この請求項1の発明の植物栽培温室では、細霧冷房装置により空所内で生成した冷却空気の全量を栽培室となる下部室内に吸引させることができる。
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の植物栽培温室において、
区画材の中央部付近に上部室と下部室を連通させる通気穴を設け、
上部室内の空気を排気フアンで強制排気することで、下部室内の空気が通気穴から集中して上部室内に吸引されるように構成している、
ことを特徴としている。
区画材は、上部室と下部室とを通気可能にする必要があるが、その通気許容構造として、区画材の中央部付近に所定大きさの通気穴を設けている。この通気穴は、直径が例えば50cm〜1m程度の大きさで、下部室の中央部付近に対応する位置に設けている。尚、この通気穴の大きさ又は個数は、特に限定するものではなく、ハウスの容積に応じて適宜に設定できる。
本願請求項2の発明の植物栽培温室では、請求項1に記載した排気フアン及び細霧冷房装置を作動させていると、栽培室となる下部室の全域が細霧冷房装置で細霧冷房された後、その下部室の空気は、下部室の中央部付近に位置する区画材の通気穴から集中して上部室に吸引される。そして、このように下部室の空気が下部室中央部付近から集中して上部室に吸引されるようにすると、細霧冷房装置により上記空所内から下部室内に流入した冷却空気を該下部室内の広範囲の空間から吸引することができる。
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の植物栽培温室は、次のような効果がある。
(1) この請求項1の植物栽培温室は、排気フアンによりハウス内の空気をハウス外に排出することで、外気を囲い材の防虫ネット張設部分から空所を介してハウスの下部室内に導入させるようにしたものであるが、空所内の空気が細霧冷房装置からの細霧による気化熱で外気温度より冷やされるので、栽培室となる下部室内の空気を外気温度以下に維持させることができる。
従って、ハウスの下部室(栽培室)内での高温による作物育成環境や作業に従事する作業員の作業環境等がそれぞれ改善できるので、外気が高温となる季節(主として夏季)においてもハウス栽培が可能となるとともに、良好な環境で作物の育成が行えるという効果がある。
(2) この請求項1の植物栽培温室で使用されている細霧冷房装置は、細霧の気化熱で外気を冷房し得るものであるので、冷房装置として設備費が安価となるとともに運転コストも安価となるという効果がある。
(3) 細霧冷房装置が設置されている空所内は、運転中は排気フアンによりハウス本体内を介して常に負圧になっていることで、空気の流れが囲い材の防虫ネット外側からハウスの下部室内への一方向のみとなる(つまり、細霧冷房装置により空所内で生成された冷却空気は囲い材の防虫ネットを通ってハウス外に流出することがない)。
従って、細霧冷房装置で生成した冷却空気の全量を無駄なくハウス内の冷房に利用できるという効果がある。即ち、特許文献1の植物栽培温室に比して細霧冷房装置によるハウス内の冷房機能を大幅にアップすることができる。
(4) ハウス本体内を区画材により上部室と下部室(栽培室)に区画し、細霧冷房装置で生成した冷却空気の全量を下部室に導入するようにしているので、ハウス内における実質的に冷房が必要なスペースである下部室(容積が狭い)に集中して冷却空気を導入することができ、ハウス内全体(容積が広い)を同時に冷房するのに比して冷房効率が良好になる。
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の植物栽培温室において、ハウス本体内を区画材により上部室と下部室に区画し、区画材の中央部付近(下部室の中央部付近に相当する位置)に通気穴を設けて、上部室内の空気を排気フアンで強制排気することで、下部室内の空気が通気穴から集中して上部室内に吸引されるように構成している。
そして、この請求項2の発明の植物栽培温室では、下部室内で細霧冷房装置により生成された冷却空気が区画材の中央部付近に位置する通気穴から集中して上部室に吸引されるようになっている。
従って、この請求項2の発明では、細霧冷房装置により下部室内で生成された冷却空気を該下部室内の広範囲の空間から吸引することができるので、上記請求項1の効果に加えて、栽培室となる下部室内の全域をほぼ均一に冷房することができるという効果がある。
本願発明の実施例に係る植物栽培温室(ハウス)の斜視図である。
図1のハウスにおける長手方向の縦断面図(図1のII−II断面図)である。
図1のハウスにおける幅方向の縦断面図(図1のIII−III断面図)である。
公知(特許文献1)の植物栽培温室(ハウス)の斜視図である。
図4のハウスにおける長手方向の縦断面図(図4のV−V断面図)である。
図4のハウスにおける幅方向の縦断面図(図4のVI−VI断面図)である。
以下、図1〜図3を参照して本願実施例の植物栽培温室を説明する。尚、以下の実施例の説明においても、本願の植物栽培温室を単にハウスということがある。
図1〜図3に示す実施例の植物栽培温室(ハウス)は、パイプ材やアングル材等で組立てた骨格体の外側を透明の被覆材2で被覆してハウス本体1を構成している。尚、各図にはハウス本体1の骨格体(パイプ材やアングル材等)は図示省略している。
この実施例で採用しているハウス本体1の大きさ・形状は、特に限定するものではないが、ハウス妻面12(及び13)が例えば幅6〜10m、高さ4〜5m程度、前後長さが例えば30〜50m程度の大きさのカマボコ型に形成している。
ハウス本体1内は、区画材6により天井側の上部室21と栽培室となる下部室22との上下2室に区画している。尚、栽培室となる下部室22内の容積は、ハウス本体1内の全容積より当然に狭くなっている。
ハウス本体1の上部室21を被覆する屋根部2には透明シートを使用している。ハウス本体1の下部室22における左右各側の側面(以下、これを下部室側面という)11,11には、後述するようにそれぞれ上部に通気部11bを設け下部に遮蔽部11aを設けている。尚、この実施例では、前後妻面12,13の各下方部分12b,13bにおける左右各側の所定幅も、下部室側面11と同様に上部に通気部11bを設けている一方で下部に遮蔽部11aを設けており、この前後妻面12,13の各下方部分12b,13bにおける通気部11bと遮蔽部11aを設けた部分も下部室側面11として扱う。
前後妻面12,13の各上方部分12a,13aには、透明シートが張設されている。前後妻面12,13の各下方部分12b,13bには、開閉可能な出入口(扉)15,16(図1参照)を設けている。
屋根部2の透明シート及び前後妻面12,13の上方部分12a,13aの透明シート
は、雨水の透過を阻止する防水性と日光の透過を許容する透光性とを有したビニールシートが採用されている。
左右各側の下部室側面11,11(及び前後妻面の下方部分12b,13b)は、下部をシート材からなる遮蔽部11aとする一方で上部の所定高さ範囲を下部室内外を連通させる通気部11bとしている。
下部室側面11の上記通気部11bは、下部室周囲の長い範囲に設けたもので、空間が大きい荒目網や所定高さを有した横長開放部のような通気抵抗がほとんどない状態のものである。
ところで、ハウス本体1の外表における透明シート部分(屋根部2全体、及び前後妻面の各上方部分12a,13a)は、日光透過率(図2、図3のL0)が大きくなって、ハウス内への加温作用が大きくなり、夏季の日照時にはハウス内の温度が40℃を超えるような苛酷な環境になることが多々ある。
そこで、この実施例の植物栽培温室では、ハウス内で加温された空気を外気と入れ替えるために、ハウス本体1の上部室21(図示例では前後妻面12,13の各上方部分12a,13a)に排気フアン5,5を設け、該排気フアン5,5でハウス内の空気を矢印A1(図2参照)で示すようにハウス外に排出することで、ハウス内の不足空気を、矢印A2、矢印A2′、矢印A3′を経て矢印A3(図2参照)で示すようにハウス外からハウス内に吸引するようにしている。
尚、この実施例では、排気フアン5,5を上部室21における前後妻面12,13の2箇所に設けているが、この排気フアン5は前後妻面12,13のいずれか一方のみに設けたものでもよい。
ところで、このようにハウス内の空気を排気フアン5で強制的に入れ替えるようにすると、夏季以外ではハウス内の温度を外気温近く(栽培可能な温度)に抑制できるが、夏季の日照時には外気温度が異常高温(例えば35℃超)になることがあり、その高温外気をハウス内に導入すると、日射の熱が加わることもあって高温による種々の悪影響が発生することが予想される。
そこで、本願の植物栽培温室では、細霧冷房という簡易な手法でハウス内(特に下部室22内)が異常高温にならないようにしている。即ち、この実施例(図1〜図3)の植物栽培温室では、次の構成を有した冷房装置を備えている。
まず、左右の各下部室側面11,11(及び12b,13b)の外側に、それぞれ所定幅の空所40を隔てて囲い材4,4を設置している。各空所40,40は、下部室側面11,11の各通気部11b,11bに連通している。
各囲い材4,4は、その外側面を構成する部分に微細網目(網目空間が0.3〜0.4mm程度)の防虫ネット41,41を張設している一方、上面部分を通気性のないシート42で覆っている。尚、この各囲い材4,4は、下部室側面11の全域と前後妻面12,13側に所定長さ回り込む範囲に設けている。
左右各側の囲い材4,4に使用している防虫ネット3は、この実施例では、オンシツコナジラミやスリップスなどの微小害虫の侵入も阻止するために、網目空間が0.3〜0.4mm程度の微細目のものを使用している。尚、このような微細目の防虫ネット3を使用すると、防虫の点では効果が良好となるものの通常の風程度では通気性が非常に悪いものとなるが、本願では後述するように排気フアン5によるハウス内空気(及び空所内空気)の強制排出により、防虫ネット3の網目を通して外気を空所40を介してハウス内に導入させ得るようにしている。
下部室側面11,11と囲い材4,4と間の各空所40,40には、囲い材4の防虫ネット3を通して吸引した直後の外気を細霧冷房するための細霧冷房装置8,8がそれぞれ設置されている。尚、この実施例では、各細霧冷房装置8,8が下部室側面11,11の外側に設置されているが、該細霧冷房装置8,8の外側を防虫ネット41付きの囲い材4,4で囲う構造となっている。
この各細霧冷房装置8,8は、上記空所40,40内に配置された配水管80と、該配水管80に所定間隔をもって設置した多数の細霧噴出ノズル81,81・・と、配水管80を通して各細霧噴出ノズル81,81・・に水を圧送するポンプ82とを有している。尚、この実施例では、細霧冷房装置8をハウス本体1の左右に2セット使用しているが、ハウスの規模によって細霧冷房装置8のセット個数を増減することができる。
この細霧冷房装置8の各細霧噴出ノズル81,81・・は、上記空所40内において配水管80の長さ方向に所定間隔(例えば50〜100cm間隔)をもって多数設置している。
そして、この各細霧冷房装置8,8は、ポンプ82を作動させると、各細霧噴出ノズル81,81・・から細霧Fが噴出され、該細霧Fが外気温で蒸発(気化)し、その気化熱により囲い材4の防虫ネット張設部分から空所40内に吸引された直後の外気を外気温度より低温度まで冷やすことができるものである。
ハウス本体1内は区画材6で上下2室に区画しているが、この区画材6は、栽培室となる下部室22に上方(上部室21側)からの日光を透過させる必要から、透光性を有した材質のものが採用される。
ところで、ハウス内で作物を栽培するのに、下部室(栽培室)22内にも所定の日射量La(図2、図3)が必要であるが、夏季のような日差しの強い季節では、下部室22内が過度に昇温するのを防止するために該下部室22内への日射量Laをある程度制限することが望ましい。そこで、この実施例では、ハウス本体1内を上下に区画する上記区画材6を利用して、上部室21内に照射した日射量L1が下部室22側に透過する日射量Laを制限するようにしている。
この実施例で使用している区画材6としては、例えば、遮光ネットや半透明の遮光シート(又は反射シート)等の遮光材61を使用することができる。この区画材6(遮光材61)による好適な遮光率は、栽培作物の種類やハウス設置環境等に応じて変化させ得るが、上部室21側から区画材6上面に照射した照射量L1を例えば(特に限定するものではないが)30〜70%程度カットし得る(換言すると、該照射量L1の70〜30%だけ透過させ得る)ものが採用されている。即ち、図2及び図3において、上部室21を通って区画材6(遮光材61)上に照射した日射量L1は、その一部Lbが遮光材61によって遮光(又は反射)されて、残余の日射量Laのみが下部室22内に透過するようになっている。従って、被覆材2等を透過して遮光材61上に照射した照射量L1の一部Lbが該遮光材61で遮光(又は反射)されることにより、下部室22内に照射される照射量Laを減少できるので、下部室22内の作物Pに対する悪影響(例えば葉焼け)を防止したり、下部室22内への温度上昇作用を抑制できる。
区画材6には、その中央部付近に上部室21と下部室22とを通気可能にするための所定大きさの通気穴62を設けている。この通気穴62は、直径が例えば50cm〜1m程度の大きさで、下部室の中央部付近に対応する位置に設けている。尚、この通気穴62の大きさは、特に限定するものではなく、ハウスの容積に応じて適宜に設定できるとともに、この通気穴62の個数は、区画材6の中央部付近であれば、1個でも複数個でもよい。
図1〜図3に示す実施例の植物栽培温室は、次のように機能する。まず、日中において日光がハウス内に照射するとハウス(特に上部室21)内の空気が日射熱L0で加温されるが、排気フアン5,5を作動させていると、上部室21内の空気が矢印A1(図2参照)で示すように外気中に強制排気されることで該上部室21内が負圧になり、そのときの不足空気を矢印A2で示すように区画材6の通気穴62を通して下部室22から吸引し、さらに下部室22内が負圧になることにより、矢印A2′、矢印A3′を経て、矢印A3で示すようにハウス外の外気を各防虫ネット3,3・・を通して下部室22内に吸引するようになる。尚、ハウス内外に上記のような気圧差が生じると、防虫ネット3の網目が微小なものでも(自然状態で通気性に乏しい性状でも)、空気が自然に高圧側(ハウス外)から低圧側(ハウス内)に流動するようになる。又、このような空気の流れは、排気フアン5,5の作動中は連続して行われるとともに、無風状態であってもハウス内の空気の入れ替えが確実に行われる。
他方、排気フアン5,5の作動状態で上記細霧冷房装置8,8を作動させていると、各空所40,40内において多数の細霧噴出ノズル81,81・・から細霧Fが連続して噴出されるが、この噴出細霧Fには防虫ネット3を通過して空所40内に吸引された直後の高温外気(矢印A3)が順次接触し、上記噴出細霧Fが外気の熱で蒸発(気化)してその気化熱により防虫ネット張設部分の内側近傍位置の広範囲にある空気が冷やされる(外気温度以下になる)。
そして、各空所40,40内で細霧冷房された冷却空気(矢印A3′)は、排気フアン5,5による排気で下部室側面11の通気部11bを通って下部室22内に吸引され、さらに区画材6の通気穴62部分が上方に吸引されていることで、下部室22内の周辺から矢印A2′で示すように通気穴62部分に集中していく過程で下部室22内を広範囲に且つ均一に冷房し、続いて該通気穴62を通って矢印A2で示すように上部室21内に吸引された後、各排気フアン5,5部分から矢印A1で示すように外気中に排出される。尚、この細霧冷房装置8,8によるハウス内冷房機能は連続して行われる。
このように、細霧冷房装置8,8からの細霧Fで上記空所40,40内の空気温度を低下させることができると、囲い材4の防虫ネット3を通して空所40内に吸引された空気が外気温度より低温になり、その低温空気を下部室22内に導入できるので、外気温度が高い夏季の日照時であっても、ハウス内を外気温度以下に維持できる。
又、細霧冷房装置8,8は、その各細霧噴出ノズル81,81・・を上記空所40,40内に所定間隔をもって多数設置しているので、下部室22の広範囲の外周部分から細霧冷房できる。
従って、図1〜図3に示す実施例の植物栽培温室では、ハウス内での高温による作物育成環境や作業に従事する作業員の作業環境等がそれぞれ改善できるので、外気が高温となる季節(主として夏季)においてもハウス栽培が可能となるとともに、良好な環境で作物の育成が行えるという機能を有している。
又、この実施例の植物栽培温室で使用されている細霧冷房装置8は、細霧の気化熱で外気を冷やし得るものであるので、冷房装置として設備費が安価となるとともに運転コストも安価となるという機能を有している。
さらに、この実施例の植物栽培温室では、細霧冷房装置8,8が上記各空所40,40内に設置されており、運転中は排気フアン5,5によりハウス内が常に負圧になっているので(空気は囲い材4の防虫ネット3の外側からハウス内に向けて流れる)、この細霧冷房装置8,8から噴出された細霧Fで細霧冷房した冷却空気は囲い材4の防虫ネット3を通ってハウス外に流出することはない。つまり、防虫ネット内側の気圧が防虫ネット外側の気圧より常に低いので、防虫ネット近傍の空気は防虫ネット内側から防虫ネット外側に向けて流れることはない。
従って、この実施例の植物栽培温室では、細霧冷房装置8,8により空所40内で生成した冷却空気の全量をハウス内に留めることができるので、細霧冷房装置8,8で生成した冷却空気の全量を無駄なくハウス内の冷房に利用できる。
1はハウス本体、2は被覆材、4は囲い材、5は排気フアン、6は区画材、8は細霧冷房装置、11は下部室側面、11aは遮蔽部、11bは通気部、12,13はハウス妻面、21は上部室、22は下部室、40は空所、41は防虫ネット、61は遮光材、62は通気穴、81は細霧噴出ノズルである。