以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<コイル製造装置>
図1は、本実施形態に係るコイル製造装置10の構成を模式的に示した外観図である。
本実施形態のコイル製造装置10は、複数の平導体Cを継ぎ合せて螺旋構造体であるコイルを形成するものであり、複数の平導体Cのそれぞれを折り曲げて折れ部B0を形成する曲げ手段(曲げ装置)30と、複数の平導体Cを接合する接合手段(接合装置)20と、接合後の平導体Cの一部を除去する除去手段(除去装置)40を有する。
曲げ装置30は、接合装置20の上流に設けられ、当該接合装置20に供給される以前にそれぞれの平導体Cを螺旋進行方向に沿う一部分が他の部分に対して傾斜するように折り曲げて折れ部B0を形成する。
接合装置20は、曲げ装置30の下流に設けられ、平導体Cと他の平導体Cの端面同士を帯長手方向に沿って押圧し、帯長手方向の距離を短縮させながら冷間圧接して平導体の接合体(接合コイル片)CCを形成し、これを継ぎ合わせて螺旋構造体を形成する。
除去装置40は、接合装置20の下流に設けられ、平導体Cと他の平導体Cの冷間圧接によって生じたバリを除去する手段である。
以下これらについて詳述する。
<平導体>
まず、本実施形態のコイル製造装置10で用いる平導体Cについて説明する。図2は、本実施形態のコイル製造装置10で用いる平導体Cの一例を示す図であり、同図(A)が完成状態のコイル50を螺旋構造の軸方向から見た上面図であり、同図(B)が平導体Cの上面図であり、同図(C)は同図(B)のX−X線断面を拡大した図である。また、同図(D)〜同図(G)は平導体Cの形状の一例を示す上面図である。
同図(A)に示すように、本実施形態のコイル50は、複数の平導体Cを連続して接合することで螺旋構造体を構成したものであり、螺旋構造の1周分の領域(以下、1周分領域CRという)は、(略)矩形状となる。またこのコイル50を構成する平導体Cを、以下の説明ではコイル片Cとも称する。
本実施形態の平導体(コイル片)Cは、軸方向に垂直な断面が略円形状の丸線導体に対して、同図(B)、同図(C)に示すように平面で構成された帯状(テープ状)の導体である。すなわち、コイル片Cは、対向する2つの幅広面WSと、対向する2つの幅狭面WTを有し、所定方向に長い帯状部材であって、帯長手方向BLに直交する断面(同図(B)のX−X線断面)が同図(C)に示すように矩形状または角丸矩形状の導体である。以下の説明では平導体の一例として帯長手方向に直交する断面が、同図(C)の上図に示すように(略)矩形状の平導体を例に説明する。
具体的には平導体(コイル片)Cはそれぞれ、螺旋構造体の1周分領域CRの長さ以下の長さの、直線状(同図(B))または少なくとも1つの方向変換部TNを有する形状(同図(D)〜同図(G))を有している。ここで、方向変換部TNは、帯長手方向の延在方向を変化させるように曲折した部位である。
同図(D)〜同図(G)に示すように方向変換部TNを有する平導体(コイル片)Cの場合、連続させた場合に螺旋形状となるように、帯長手方向に沿って同一方向(常に右方向、または左方向)に曲折しているものとする。また方向変換部TNを有するコイル片Cの場合、少なくとも1つ(好適には全て)方向変換部TNは、非湾曲(例えば、略直角)形状であることが望ましい。
また、以下の説明において、複数のコイル片(平導体)Cを連続(接続)させた螺旋構造体であって、コイル(完成状態の螺旋構造体)50として完成する以前の螺旋構造体(コイル片Cを引き続き接続する予定の螺旋構造体)もコイル片Cに含まれるものとする。つまり、以下の説明において、コイル片Cには、直線状、または帯長手方向において同一方向に方向変換部TNを有する最小単位のコイル片(接続前のコイル片)と、該最小単位のコイル片を複数接続し、コイル(完成予定の螺旋構造体)の1周分領域CRより長い螺旋構造が形成されたコイル片とが含まれる。また、説明の便宜上、これらの区別が必要な場合には、最小単位のコイル片を単位コイル片C0(C01、C02、C03・・・C0N)といい、単位コイル片C0を複数接続したものであってコイル(完成予定の螺旋構造体)50となる以前のコイル片の接合体を接合コイル片CC(CC1,CC2…、CCN)といい、完成予定(完成状態)の螺旋構造体をコイル50、という。
コイル片C(単位コイル片C0)は一例として、銅板(例えば、厚さ0.1mm〜5mmなどの板状の無酸素銅(酸化物を含まない99.95%以上の高純度銅))の打ち抜き加工などによって、直線状あるいは、略直角の(非湾曲の)方向変換部(角部)TNを有する形状に構成される。つまり単位コイル片C0は、幅広面WSの上面視において、方向変換部TNがない直線上(I字状)(同図(B))、1つの方向変換部TNを有するL字状(同図(D))、2つの方向変換部TNを有するU字状(コ字状)(同図(E))、3つの方向変換部TNを有する略C字状(同図(F))、4つの方向変換部TNを有するC字状(同図(G))のものがある。なお、以下の説明においてU字状、(略)C字状、略O字状と称するが、いずれも全ての方向変換部TN(角部)は略直角の形状であるとする。
複数のコイル片C(単位コイル片C0および/または接合コイル片CC)は、それらの帯長手方向の総距離となる準備長さL0が、完成予定の螺旋構造体(コイル)50の螺旋長手方向の完成長さと比較して余裕分だけ長くなるように設定されている。そして余裕分は、複数のコイル片Cの全てを冷間圧接した場合に、押圧によって短縮する短縮総距離に設定されている。これらに準備長さL0、完成長さ、余裕分、短縮総距離については、後述のコイルの製造方法の説明において詳しく説明する。
以下の例では、図2(E)に示すU字状(コの字状)の平導体(コイル片)Cを用いてコイル50を製造する場合について説明するが、コイル片Cは、図2のいずれかであってもよいし、図2に示す複数の形状の組み合わせのいずれであってもよい。
<曲げ装置>
図3から図6を参照して本実施形態の曲げ装置30について説明する。図3は、本実施形態の曲げ装置30の概要図であり、同図(A)が曲げ装置30に供給される変形前のコイル片Cを示す上面図であり、同図(B)が曲げ装置30の概要図である。同図(B)の上段には、変形前のコイル片Cの上面図と側面図を併記し、下段には、中段に示す曲げ装置30にて変形した後のコイル片Cの上面図と側面図を上下に併記している。また、図4は、曲げ装置30の概要を示す上面図である。図5および図6は曲げ装置30の一部(変形部37)の概略の構成と曲げ加工の様子を示す正面図である。
なお、後に<コイル製造方法>の説明において詳述するが、実際にはコイル片C1,C2は、接合装置20によって圧接され互いの距離が短縮される。しかしながら、ここでは主に曲げ装置30による変形の説明を行なう便宜上、圧接による距離の短縮(当接させたのみの状態と、圧接後の状態の長辺LSの長さの変位)については言及しない。また以降、図3から図14を参照するコイル製造装置10の説明においても圧接による長さの変位については省略する。
まず、図3(A)を参照して、本実施形態では一例として、同図(A)に示すU字状の略同一形状の2つのコイル片C(C1、C2)のそれぞれの一方の端面TS1,TS2同士を突き合わせて接合部CPを形成し、長辺LSと短辺SSを有する(略)矩形状の1周分領域CRを構成する。ここで、便宜上コイル片C1,C2と表記するが両者は(略)同一形状のコイル片Cを端面TS1、TS2を中心として表裏反転させたものである。
また、コイル50は、この1周分領域CRを所定数連続させて形成するため、他方の端面TS0、TS1´同士は接合されず、この状態での1周分領域CRは例えば接合部CPの対向位置において非連続となっている。例えば、同図(A)に示すコイル片C1,C2が最初の2片である場合、コイル片C1の端面TS0は例えば端子を構成する他のコイル片(不図示)などが接続されて外部に導出され、コイル片C2の端面TS1´は次のコイル片(不図示)の端面と接合される。
すなわちこの場合、一周分領域CRの一方(同図(A)の上側)の長辺LSは、コイル片C1の長辺領域LS1(LS11)とコイル片C2の長辺領域LS1(LS12)によって構成されるが、一周分領域CRの他方(同図(A)の下側)の長辺LSは、コイル片C2の長辺領域LS2(LS22)別の(次の)同一形状のコイル片(不図示)長辺領域によって構成される。
同図(B)に示すように、本実施形態の曲げ装置30は、供給される変形前のコイル片C(同図(B)上段)の一部を、同図(B)下段に示すように折り曲げて折れ部B0を形成する装置である。ここで変形前のコイル片Cとは、平板から打ち抜かれたままの平板状のコイル片Cであって、コイル片Cの全体の領域が意図的に変形されることなく、略同一平面内に存在している状態のコイル片Cをいう。
具体的には、図4に示すように曲げ装置30は、例えば、コイル片Cの供給部31と、搬送部33と、支持部35と、変形部37を有する。供給部31には、例えば複数(例えば、4枚)の変形前のコイル片Cをストック可能なターンテーブル311などが設けられ、上流工程から変形前のコイル片Cが供給される。
ターンテーブル311上の変形前のコイル片Cは、ターンテーブル311の回転に伴い、1枚ずつ支持部35に供給される。
支持部35は、その表面(上面)にコイル片Cを載置可能な支持テーブル351と、当該支持テーブル351に載置されたコイル片Cの一部を上方から押さえる押さえ部353を有している。変形前のコイル片Cは、支持テーブル351に載置され、その一部が支持テーブル351と押さえ部353に挟まれて一時的に固定される。
詳細には、支持部35は、例えばコイル片Cの一部が支持テーブル351から突出するように(コイル片Cの一部の直下には支持テーブル351が存在しない状態で)これを保持する。
例えば、U字状のコイル片Cの場合、一方の長辺領域LS2のみが支持テーブル351と押さえ部353に挟持され、短辺SSが支持テーブル351から水平方向に突出するように(その直下には支持テーブル351が存在しない状態で)保持される。なお、他方の長辺領域LS1は、支持テーブル351上に載置されていてもよいが、押さえ部353では押さえられず(支持テーブル351との間で挟持されず)、姿勢の変化が許容されている。
搬送部33は、例えばレール部材331と、当該レール部材331に沿って支持部35を例えば水平方向に移動させる駆動部333を有する。また、搬送部33は、変形部37内の所定の押圧位置において、支持部35を一旦停止させる。
変形部37は、支持部35に対して近接・離間するように移動(この例では上下の昇降移動)可能に構成されている。
図5および図6を参照して変形部37について説明する。両図は変形部37と、それによるコイル片Cの曲げ加工の様子を時系列で示す図であり、図5(A)〜同図(C)は正面図(図4の下方側から見た図)であり、同図(D)は同図(B)、同図(C)に示す変形後のコイル片Cを示す図であって上図が上面図、下図が側面図(変形部37としては正面図)である。
また、図6(A)〜同図(C)は正面図(図4の下方側から見た図)であり、同図(D)は同図(B)、同図(C)に示す変形後のコイル片Cを示す図であって上図が上面図、下図が側面図(変形部37としては正面図)である。
図5を参照して、変形部37は、挟持部371と付勢部373を有する。変形部37(挟持部371と付勢部373)は、支持部35に対して近接・離間するように、この例では昇降動作可能に構成されている。付勢部373は、支持テーブル351の面に対して傾斜する傾斜面373Sを有している(同図(A))。
挟持部371は下降した場合に、支持部35で保持されるコイル片Cの上面の一部に当接し、支持テーブル351との間でコイル片Cを挟持する。また、付勢部373は挟持部371の例えば側方に位置し、下降した場合にその傾斜面373Sが支持テーブル351から水平方向に突出したコイル片Cの一部(例えば短辺SS)に当接し、この例では下方に折り曲げて折れ部B0を形成する(同図(B))。この例では、コイル片Cの、変形部37(挟持部371と付勢部373)に当接する側の面が折れ部B0で山折りされる。
なお、挟持部371と付勢部373は同じタイミングで昇降動作を行なってもよいし、異なるタイミングで昇降動作を行なってもよい。両者が異なるタイミングで昇降動作を行なう場合、少なくとも下降の際には、まず挟持部371が下降してコイル片Cを抑えた後に、付勢部373が下降してコイル片Cを折り曲げる。
このとき、支持部35(押さえ部353)は、コイル片Cの一方の長辺領域LS2のみを押さえ、コイル片Cの他方の長辺領域LS1は押さえ部353によって押さえられていないため(図4参照)、短辺SSが付勢部373によって下方に折り曲げられると、これに連続する長辺領域LS1は、他方の長辺領域LS2に対して傾斜するように、その姿勢が変化する(図5(B))。
変形後は、同図(C)に示すように挟持部371と付勢部373が上昇し、変形後のコイル片Cが搬送部33によって変形部37から排出される(図4)。
この変形により、具体的には同図(D)に示すように、コイル片Cの一方の長辺領域LS1と短辺SSとが略同一平面(以下、基準面SF0と称する)内に位置し、当該基準面SF0を水平に保持した場合に、折れ部B0を境界として他方の長辺領域LS2が基準面SF0に対して傾斜するように折り曲げられる。より詳細には、他方の長辺領域LS2は、その短辺SS側の端部T1よりも他方(短辺SSから離れる方)の端部T2が、基準面SF0よりも下方(または上方)に位置するように、換言すると基準面SF0(一方の長辺領域LS1)と他方の長辺領域LS2の成す角が角度αとなるように、曲げ装置30は、折れ部B0(同図(D)上図の破線で示す)の位置からコイル片Cを折り曲げる。
このように、本実施形態の曲げ装置30は、コイル50の1周分領域CRを構成する予定の、コイル片Cの長辺側の対向する2辺(長辺領域LS1,LS2)の一方が他方に対して傾斜するように折り曲げる。
なお、上記の例における一方の長辺領域LS1と他方の長辺領域LS2は、説明の便宜上称呼を異ならせているに過ぎない。すなわち、長辺領域LS1、LS2を入れ替えても同様であり、変形部37では、一方の長辺領域LS1と他方の長辺領域LS2の成す角が所定の角度αとなるように変形されればよい。
図6は、変形部37の他の例を示す図である。図5に示す変形部37は、付勢部373が、挟持部371の側方に位置し挟持部371と同方向に昇降移動する例を示した。しかしこれに限らず、図6に示すように、付勢部373は、支持テーブル351側(レール部材331)側にあって、支持テーブル351から突出または没入するよう、挟持部371と逆方向に昇降移動可能に設けられていてもよい。この場合、支持テーブル351の水平移動中は、付勢部373は支持テーブル351より下方に没入している(同図(A))。そして支持テーブル351が変形部37の押圧位置まで移動して一旦停止し、挟持部371が下降してコイル片Cを挟持した場合(挟持した後)に付勢部373が支持テーブル351から上方(垂直方向)に突出し、支持テーブル351から水平方向に突出したコイル片Cの短辺SSに傾斜面373Sが当接して例えば上方に折り曲げて折れ部B0を形成する(同図(B))。この例では、コイル片Cの、挟持部371に当接する側の面が折れ部B0で谷折りされる。
変形後は、同図(C)に示すように挟持部371が上昇し、付勢部373が支持テーブル351より下方に下降して、変形後のコイル片Cが搬送部33によって変形部37から排出される(図4)。
これにより、例えば同図(D)に示すように、コイル片Cの一方の長辺領域LS1と短辺SSとが基準面SF0内に位置し、当該基準面SF0を水平に保持した場合に、折れ部B0を境界として他方の長辺領域LS2がその短辺SS側の端部T1よりも他方の端部T2が、基準面SF0よりも上方(または下方)に位置するように曲げられる。換言すると、基準面SF0(長辺領域LS1)と長辺領域LS2のなす角が角度αとなるように、曲げ装置30は、折れ部B0(同図(D)上図の一点鎖線で示す)の位置からコイル片Cを折り曲げる。
このようにして1つのコイル片C(C1)の変形が完了すると、当該コイル片C(C1)は、不図示のロボットなどによって支持テーブル351から取り出され、下流の工程(接合装置20)に移送される。
その後、次のコイル片C(C2)が同様に支持テーブル351上に供給されて変形される。
曲げ装置30は、コイル50の両端部(始端部および終端部)となるコイル片Cを除き、螺旋構造体を構成するすべてのコイル片Cについて、このような折り曲げの処理を行う。これにより、下流工程の接合装置20において、良好な接合を行なうことができる。
<接合装置20>
次に接合装置20について説明する。図7は、接合装置20の概要を示す正面図である。接合装置20は、二つの平導体(コイル片)C(C1,C2)を冷間圧接する装置であって、二つの平導体C(C1,C2)を挟持可能な第1保持部11と第2保持部12と、これらを移動させる駆動部13と、制御部14とを有し、連続させると螺旋形状となり得る帯状の複数の平導体(コイル片)Cを継ぎ合せてコイル50となる螺旋構造体を形成する。
第1保持部11は、第一の方向(平導体の帯長手方向;同図のX方向)に沿って移動可能であり、第1上保持体111と第1下保持体112により構成される。第1上保持体111と第1下保持体112は対向して配置され、第一の方向に沿った対向面OS1を有する。なお、本実施形態では説明の便宜上、図示の上方の保持体を第1上保持体111と称し、図示の下方の保持体を第2下保持体122と称するが、これらの上下は必ずしも鉛直方向の上下に限らない。すなわち、図7が接合装置20の上面図であってもよく、その場合は、第1上保持体111は例えば奥側の保持体となり、第1下保持体112は例えば手前側の保持体となる。また、第1上保持体111は例えば左側の保持体となり、第1下保持体112は例えば右側の保持体となるものであってもよい。
第1上保持体111と第1下保持体112とは、X方向に沿って移動可能であるとともに、X方向に沿った対向面OS1が、第二の方向(平導体の板厚方向;同図のY方向)に沿って互いに当接または離間するように移動可能である。Y方向はX方向とは異なる方向であり、例えばX方向に直交する方向である。
第2保持部12は、第1保持部11と同様の構成を備え、第1保持部11と対向して配置される。第2保持部12と第1保持部11は第二の方向に沿った対向面OS2を有する。つまり、詳細な説明は省略するが、第2保持部12は、X方向に沿って移動可能であり、第2上保持体121と第2下保持体122により構成される。第2上保持体121と第2下保持体122の「上下」の記載についても、第1保持部11と同様である。
第2上保持体121と第2下保持体122とは、X方向に沿って移動可能であるとともに、対向面OS1がY方向に沿って互いに当接または離間するように移動可能である。
なお、図7〜図9において、詳細な図示は省略しているが、第1上保持体111、第1下保持体112、第2上保持体121および第2下保持体122は、その先端が実質的にコイル片Cを保持する部分(コイル片保持部111T,112T、121T、122T、図10参照)となっている。コイル片保持部111T,112T、121T、122Tは、例えばコイル片Cの圧接部分(接合部分)の近傍のみを局所的に保持(把持)可能なように例えば第1上保持体111、第1下保持体112、第2上保持体121および第2下保持体122から水平方向に突出した爪形状に構成されている。つまり、図7〜図9においては第1上保持体111、第1下保持体112、第2上保持体121および第2下保持体122の動作として説明するがこれらは、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tの動作と同様であり、これらに読み替えることができる。
第1保持部11と第2保持部12は、X方向に沿って互いに離間する方向に、付勢部材(例えば、コイルばね)15によって付勢されている。なお、図示は省略するが、第1上保持体111と第1下保持体112は、Y方向に沿って互いに離間する方向に、付勢部材(例えば、コイルばね)によって付勢され、第2上保持体121と第2下保持体122は、Y方向に沿って互いに離間する方向に、付勢部材(例えば、コイルばね)によって付勢されている。
駆動部13は、制御部14からの指示により駆動伝達部(不図示)を介してX方向、およびY方向に沿って、第1保持部11と第2保持部12を移動させる。
第1保持部11と第2保持部12のX方向における外側には、一方の平導体(図7〜図9では便宜上、第1コイル片C1)と他方の平導体(図7〜図9では便宜上、第2コイル片C2)の所定方向への移動を抑制する移動規制部17が設けられている。移動規制部17は第1コイル片C1(第2コイル片C2)の両面にそれぞれ当接してY方向への移動を規制する。またX方向に沿う一方(第1コイル片C1と第2コイル片C2が近接する方向)に両コイル片C1,C2を付勢するとともに、X方向に沿う他方(第1コイル片C1と第2コイル片C2が離間する方向)への移動を規制する。より具体的には、移動規制部17は、付勢部材(コイルばね、板ばねなど)171で第1保持部11および第2保持部12の中心方向に向かって付勢されたローラー体である。移動規制部17は、回転中心軸方向の両端側に周方向に沿って不図示の凹凸形状(例えば、ノコ刃状の凹凸形状)が形成されており、ローラー体の部分で平導体Cを保持している。例えば、第1保持部11の移動規制部17A,17Bについて説明すると、移動規制部17Aは時計回りに回転可能であり、移動規制部17Bは反時計回りに回転可能であって第1コイル片C1をX方向に沿って図の左方向(近接(押圧)方向)へ付勢する(つまり、押圧方向付勢部材とも言える)。一方、第1コイル片C1がX方向に沿って図の右方向へ移動する場合には、移動規制部17Aは反時計回りに回転し、移動規制部17Bは時計回りに回転しようとするが、中心軸両端部の周方向に沿って設けられた凹凸形状が互いにかみ合い、回転を阻止するため第1コイル片C1の右方向への移動が規制される。第2保持部12においても同様である。
また、第1保持部11と第2保持部12のY方向における外側には、押圧部18が設けられる。押圧部18は、第1上保持体111と第1下保持体112とが当接するようにこれらを押圧し、また、第2上保持体121と第2下保持体122とが当接するようにこれらを押圧する。
図8および図9は、第1保持部11および第2保持部12を抽出した正面図であり、これらの移動の状態を示す図である。
図8は、第1保持部11(第1上保持体111と第1下保持体112)と第2保持部12(第2上保持体121と第2下保持体122)の主にY方向に沿う移動を説明する図である。
同図(A)に示す状態は、第1上保持体111と第1下保持体112(第2上保持体121と第2下保持体122も同様)の対向面OS1が互いにY方向において最も離間する位置である。この位置を、以下、Y方向離間位置という。またこの状態は、第1保持部11と第2保持部12の対向面OS2が互いにX方向において最も離間する位置である、この位置を、以下、X方向離間位置という。
同図(B)は、同図(A)に示す状態から、第1上保持体111と第1下保持体112の対向面OS1が最も近接する位置まで移動した状態である。この状態では、第1保持部11は第1上保持体111と第1下保持体112によって第1コイル片C1(の幅広面WS)を挟持し、第2保持部12は第2上保持体121と第2下保持体122によって第2コイル片C2(の幅広面WS)を挟持する。
第1保持部11は、Y方向に沿う対向面OS2から第1コイル片C1を、第2保持部12方向に突出させて挟持する。同様に、第2保持部12は、Y方向に沿う対向面OS2から第2コイル片C2を、第1保持部11方向に突出させて挟持する。第1コイル片C1の第1保持部11からの突出量A1、第2コイル片C2の第2保持部12からの突出量A2については後述する。
このように第1上保持体111と第1下保持体112(第2上保持体121と第2下保持体122)の対向面OS1が最も直近する位置を、以下の説明において、挟持位置という。つまり、第1上保持体111と第1下保持体112(第2上保持体121と第2下保持体122)は、挟持位置とY方向離間位置の間を移動可能である。
また、同図(C)に示すように、挟持位置とY方向離間位置の間には挟持の(Y方向における)解除位置が含まれている。Y方向における解除位置(以下、Y方向解除位置)は、Y方向離間位置よりは小さい距離で、第1上保持体111と第1下保持体112(第2上保持体121と第2下保持体122)とが離間した位置である。
なお、同図(C)のY方向解除位置から、第1上保持体111と第1下保持体112(第2上保持体121と第2下保持体122)の対向面OS1が最も直近する位置まで移動し、同図(B)に示す状態に遷移することもできる。
なお、図8において第1保持部11と第2保持部12のX方向に沿う位置はいずれもX方向離間位置が維持されている。
図9は、第1保持部11と第2保持部12の主にX方向に沿う移動を説明する図である。
図9(A)は、図8(B)の状態から、第1保持部11と第2保持部12とが、対向面OS2が最も近接するようにX方向に沿って移動した位置であり、以下、この位置を近接位置という。すなわち、第1保持部11と第2保持部12は、X方向において、図8に示すX方向離間位置と、図9(A)に示す近接位置の間を移動可能である。なお、近接位置であっても第1保持部11と第2保持部12は当接しない。
挟持位置(図8(B))において、第1保持部11は、第1コイル片C1を突出量Aで突出させて挟持し、第2保持部12は、第2コイル片C2を、突出量A2で突出させて挟持しているため、第1保持部11と第2保持部12が近接位置(図9(A))にある場合、第1保持部11と第2保持部12は当接しないが、第1コイル片C1と第2コイル片C2は当接(接合)し、さらに互いに押圧する状態となる。つまり、第1コイル片C1の第1保持部11からの突出量A1、第2コイル片C2の第2保持部12からの突出量A2は、それぞれ、第1保持部11と第2保持部12が近接位置にある場合に、互いに当接する長さよりわずかに長い量(当接した後互いに押圧できる量)とする。
また、図9(B)に示すように、近接位置(図9(A))と挟持位置(図8(B))の間には押圧の(X方向における)解除位置が含まれている。X方向における解除位置(以下、X方向解除位置)は、X方向離間位置(例えば、図8(C)に示すX方向離間位置))よりは小さい距離で、第1保持部11と第2保持部12とが離間した位置である。第1保持部11と第2保持部12がX方向解除位置にある場合、第1上保持体111と第1下保持体112も離間してY方向解除位置(例えば、図8(C)に示すY方向解除位置))に移動し、第2上保持体121と第1下保持体112も離間してY方向解除位置に移動する。
なお、図9(B)のX方向解除位置から、同図(A)に示す状態(近接位置)に遷移することもできる。
なお、第1保持部11と第2保持部12の平導体C1,C2の保持面(コイル片保持部111T,112T、121T、122Tの保持面)はそれぞれ、平導体の挟持(保持)を確実にするために、滑り防止加を施すと望ましい。この場合の滑り防止加工は例えば、摩擦抵抗を高める加工あるいは吸着性を高める加工などである。具体的には例えば、サンドブラストなどによる微細凹凸加工を施したり、細かい粒子等を付着させるなどによって摩擦抵抗を大きくするものである。また、一方向への摩擦抵抗が他方向への摩擦抵抗より高くなるようにいわゆるノコ刃状の凹凸を形成するものであってもよい。また、真空状態とすることで吸着力を高めたり、鏡面加工による真空の圧力や原子間力で吸着力を高めるものであってもよい。なお、凹凸加工の程度が大きいと、不均一な電界が生じ(コロナ放電)、コイルを製造する場合などにおいては被膜の破壊等を起こす恐れがある。従って、サンドブラストで形成できる程度の微細な凹凸加工が望ましい。
また、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tは、コイル片C(の保持部分)を収容可能な溝形状に構成されていてもよい。
駆動部13は、制御部14からの指示により駆動伝達部(不図示)を介してX方向に沿って、第1保持部11と第2保持部12をX方向離間位置、X方向解除位置および近接位置の間で移動させる。駆動伝達部は例えば、直動ガイド(リニアガイド)、カム機構、或いは、ラックとピニオンなど適宜の構成で構成することができる。また駆動部13は、制御部14からの指示により駆動伝達部(不図示)を介して、Y方向に沿って、第1上保持体111と第1下保持体112とをY方向離間位置、挟持位置およびY方向解除位置の間で移動させるとともに、第2上保持体121と第2下保持体122とをY方向離間位置、挟持位置およびY方向解除位置の間で移動させる。
これにより、駆動部13は、第1保持部11と第2保持部12とを、挟持状態(図8(B))、圧接状態(図9(A))および圧接解除状態(図8(C)、図9(B))、待避状態(図8(A))またこれらのうち2つの状態の間の遷移状態、のいずれかの状態となるように制御することができる。
より具体的に説明すると、挟持状態では、第1保持部11の第1上保持体111および第1下保持体112をY方向に沿ってY方向離間位置(図8(A))から挟持位置(図8(B))に移動して、第1上保持体111および第1下保持体112に第1コイル片C1を挟持させるとともに、第2保持部12の第2上保持体121および第2下保持体122をY方向に沿ってY方向離間位置(図8(A))から挟持位置(図8(B))に移動して、第2上保持体121および第2下保持体122に第2コイル片C2を挟持させる。
既述のごとく、第1保持部11は、Y方向に沿う対向面OS2から第1コイル片C1を第2保持部12方向に突出量A1で突出させて挟持し、第2保持部12は、Y方向に沿う対向面OS2から第2コイル片C2を、第1保持部11方向に突出量A2で突出させて挟持する。
また、挟持状態では、Y方向解除位置(図8(C))にある第1保持部11の第1上保持体111と第1下保持体112とを挟持位置(図8(B))に移動して、第1上保持体111および第1下保持体112に第1コイル片C1を挟持させるとともに、Y方向解除位置(図8(C))にある第2保持部12の第2上保持体121と第2下保持体122とを挟持位置(図8(B))に移動して、第2上保持体121および第2下保持体122に第2コイル片C2を挟持させる場合もある。
圧接状態では、挟持状態にある第1保持部11と第2保持部12を、付勢部材15の付勢力に抗って、X方向に沿ってX方向離間位置(図8(B))から近接位置(図9(A))に移動する。このとき、第1保持部11から第1コイル片C1が突出し、第2保持部12から第2コイル片C2が突出している。これらの突出量A1、A2は、それぞれ、第1保持部11と第2保持部12が近接位置(図9(A))にある場合に、帯長手方向の対向する端面同士が当接する長さよりわずかに長い量となっている。つまり、近接位置に移動する以前(直前)に、第1コイル片C1と第2コイル片C2の対向する端面同士がまず接触(当接)する。その後、駆動部13によって第1保持部11と第2保持部12とが近接位置(図9(A))に移動することで、第1コイル片C1と第2コイル片C2の当接した端面TS1,TS2同士が互いに突き合わされて押圧され、接合される。より詳細には、第1コイル片C1と第2コイル片C2の端面TS1,TS2同士を押圧することによって、端面TS1,TS2に形成されている安定した酸化膜が除去されるとともに、これらを塑性変形させて活性状態の面を露出させる。その活性状態の面同士が10オングストローム以下に近づけることにより相互の金属間の原子結合を起こさせて、冷間圧接を行う。つまり冷間圧接により、第1コイル片C1と第2コイル片C2は、帯長手方向の長さが圧接前と比較して圧接後には圧縮(短縮)される。そしてその短縮量は第1コイル片C1と第2コイル片C2において同等である。
つまり、第1コイル片C1の圧接前の長さがL01,第2コイル片C2の圧接前の長さがL02であった場合、圧接によって第1コイル片C1は長さがL01',第2コイル片C2は長さがL02'に短縮されており、その短縮量SCはいずれも同等である(SC=L01−L01'=L02−L02')。
なお、近接位置に移動した以降は、第1保持部11と第2保持部12がそれ以上に近接することはないため、第1コイル片C1と第2コイル片C2の端面同士のそれ以上の押圧は停止する。
また、圧接状態では、Y方向解除位置(図8(C))、またはY方向解除位置およびX方向解除位置(図9(B))にある第1上保持体111および第1下保持体112第2上保持体121および第2下保持体122を挟持位置(図8(B))に移動し、第1保持部11と第2保持部12を、付勢部材15の付勢力に抗って近接位置に移動して、第1コイル片C1の端面TS1と第2コイル片C2の端面TS2とを突き合わせ押圧して、冷間圧接を行う(図9(A))。
圧接解除状態では、圧接状態にある第1保持部11と第2保持部12をそれぞれX方向に沿って離間する方向に移動するように制御し、第1保持部11および第2保持部12をX方向解除位置に移動する。また、第1上保持体111および第1下保持体112をY方向に沿って離間する方向に移動するように制御し、第1上保持体111と第1下保持体112とを第1Y方向解除位置に移動する。また、第2上保持体121および第2下保持体122をY方向に沿って離間する方向に移動するように制御し、第2上保持体121と第2下保持体122とを第2Y方向解除位置に移動する(図9(B))。
圧接状態では最終的に第1保持部11と第2保持部12が近接位置に到達し、第1コイル片C1と第2コイル片C2のそれ以上の押圧が停止するため、押圧を繰り返すために圧接状態の後に圧接解除状態を経由して挟持状態に遷移し、第1保持部11と第2保持部12により第1コイル片C1と第2コイル片C2を挟持し直す。
ここで、圧接状態から圧接解除状態に変化する場合(圧接が解除された場合)、付勢部材15によって第1上保持体111および第1下保持体112(第2上保持体121および第2下保持体122も同様)とが離間する方向に付勢力が働く。しかし、押圧による金属の塑性変形によって流動した金属の一部(拡張した接合面)が第1保持部11および第2保持部12と密着し、付勢部材15の付勢力のみでは、第1上保持体111および第1下保持体112(第2上保持体121および第2下保持体122も同様)を離間させることができない場合がある。
そこで、本実施形態では、圧接解除状態(図9(B))において、付勢部材15の付勢力に加えて、第1保持部(第1上保持体111および第1下保持体112)をX方向に沿って、第2保持部12から離れる方向に、駆動伝達部を介して移動して第1X方向解除位置に戻すとともに、第2保持部(第2上保持体121および第2下保持体122)をX方向に沿って第1保持部11から離れる方向に、駆動伝達部を介して移動して第2X方向解除位置に戻すこととした。
なお、付勢部材15に加えて強制的に、第1保持部11と第2保持部12を離間させる方向に移動させる場合であっても、移動規制部17によって第1コイル片C1と第2コイル片C2は、X方向に沿って互いに離間する方向への移動が規制されている。
待避状態では、圧接状態、圧接解除状態または挟持状態にある第1保持部11と第2保持部12をそれX方向に沿ってX方向離間位置に移動するように制御し、また、第1上保持体111および第1下保持体112をY方向に沿って移動してY方向離間位置に移動するとともに、第2上保持体121および第2下保持体122をY方向に沿って移動してY方向離間位置に移動する(図8(A))。
ここで、接合装置20は、平導体同士の1度の押圧で冷間圧接することが可能であるが、接合面を安定させるには一の接合部分について、複数回の押圧を繰り返すことが望ましい。
例えば、接合装置20は、1箇所の接合部CPの冷間圧接において、1回の押圧時間を短く(例えば、5秒以内など)、押圧回数を多く(例えば、3回〜10回程度)し、さらに押圧の間隔を接合箇所が酸化しない程度に短くして押圧を行う。
より具体的には、接合装置20の1回の押し込み量(圧縮量)は第1コイル片C1、第2コイル片C2ともに例えば、約0.5mm程度である。そして、1箇所の接合部CPについて、例えば1回につき5秒以内の押圧を、3回から10回程度繰り返し行い、約1mm以上(好ましくは1.5mm以上、具体的には約2mm程度)圧縮させる。これにより、安定した接合面が得られる。
このように、本実施形態の接合装置20は、挟持状態、圧接状態および圧接解除状態を繰り返し、第1コイル片C1と第2コイル片C2とを冷間圧接する。
挟持状態(図8(B))の後に圧接状態(図9(A))となって第1保持部11と第2保持部12が近接位置に移動すると、第1コイル片C1と第2コイル片C2の端面同士の接触(当接)を経て、端面同士が押圧されて冷間圧接される。近接位置(圧接状態)にある第1保持部11と第2保持部12は、それ以上近接することがないため、一旦、圧接解除状態(図9(B))に遷移して第1保持部11と第2保持部12をY方向解除位置に移動して平導体C1,C2の挟持を解除するとともに、第1保持部11と第2保持部12をX方向解除位置に移動する。そして挟持状態に遷移して所定の突出量A1が突出するように、第1保持部11に第1コイル片C1を保持するとともに、突出量A2が突出するように、第2保持部12に第1コイル片C2を保持し、再び圧接状態に遷移することで、一の接合部分について複数の押圧を繰り返すことができる。
つまり、X方向解除位置は、第1保持部11が第1コイル片C1を突出量A1で突出させて教示させることが可能な位置であり、第2保持部12が第2コイル片C2を突出量A2で突出させて挟持させることが可能な位置である。
なお、X方向解除位置は、その後に(その位置のまま)挟持状態に遷移した場合に平導体のそれぞれが突出量A1、A2で突出する位置でなくてもよい。その場合は、挟持状態において、平導体のそれぞれが突出量A1,A2で突出するような位置に第1保持部11と第2保持部12を移動した後、挟持させるようにすればよい。
また図9(A)の破線丸印に示すように、接合装置20は移動規制部17に加えてさらに、第1コイル片C1と第2コイル片C2とが、X方向に沿って離間する方向に移動することを規制するとともに、第1コイル片C1と第2コイル片C2とが、Y方向に沿って移動することを規制する、他の移動規制部(固定部材16)を備えるとよい。
固定部材16は、一例として同図(A)の丸印に示すように第1コイル片C1と第2コイル片C2の塑性変形していない部分の板厚よりわずかに広く、接合部CPの板厚方向の長さよりは狭い間隔を有する2組の円柱状の突起部161、162と、接合部の板厚方向の両端の外側に設けられた1組の規制面163Aを有する(例えば角柱状の)突起部(又はプレート)163である。
これにより、圧縮解除状態(図9(B))または待避状態(図8(A))において、駆動部13によって、第1保持部11および第2保持部12がY方向解除位置およびX方向解除位置またはY方向離間位置およびX方向離間位置に移動される際に、第1コイル片C1、第2コイル片C2が、第1保持部11や第2保持部12に密着していた場合であっても、第1コイル片C1、第2コイル片C2の移動が規制される。具体的には、例えば円柱状の突起部161によって第1コイル片C1がX方向に沿って第2コイル片C2から離間する方向(図9(A)の右方向)に移動することが規制され、突起部162によって第2コイル片C2がX方向に沿って第1コイル片C1から離間する方向(図9(B)の左方向)に移動することが規制される。また、規制面163Aを有する突起部161によって、第1コイル片C1および第2コイル片C2がY方向に沿って図示の上方向または下方向に移動することが規制される。
このようにして、第1コイル片C1と第2コイル片C2は圧接直後の位置を維持でき、接合部CPの接合面の安定性を高めることができるため、圧接後に第1保持部11および第2保持部12に伴って接合部CPが離間してしまうことを防止できる。
なお、固定部材16は、突起部やプレートに限らず、ゴムの押圧部材などであってもよい。また、固定部材16を設けなくても良い。また、圧接の条件に応じては、これらの固定部材16は設けなくても良い。
また、上記の実施形態では、圧接解除状態で、第1保持部11および第2保持部12がX方向解除位置およびY方向解除位置に停止する構成を例に説明したが、X方向解除位置およびY方向解除位置は通過するものの、当該位置に停止しないものであってもよい。つまり、第1上保持体111と第1下保持体112(第2上保持体121と第2下保持体122も同様)は、挟持位置、Y方向解除位置およびY方向離間位置の間を不停止で移動するものであってもよく、第1保持部11および第2保持部12は、近接位置、X方向解除位置およびX方向離間位置の間を不停止で移動するものであってもよい。
従来では、冷間圧接は丸線同士を接合する場合に利用されていたが、上述の本実施形態の接合装置20によれば、平導体同士の良好且つ安定した冷間圧接を行うことができる。
ここで、図10を参照して、第1保持部11と第2保持部12のそれぞれのコイル片保持部111T,112T、121T、122Tについて更に説明する。図10は、第1保持部11のコイル片保持部111T,112Tと第2保持部12のコイル片保持部121T、122Tを抜き出して示す図である。同図(A)が挟持状態(図8(B))の上面図であり、同図(B)が同図(A)の下方側(Z方向下側)から見た接合装置20正面図(コイル片Cは側面図)である。また、同図(C)が圧接状態(図9(A))の上面図であり、同図(D)が同図(B)の下方側(Z方向下側)から見た接合装置20の正面図(コイル片Cは側面図)である。
本実施形態では、コイル片C(C1,C2)はそれぞれ直線部分において圧接され、コイル片Cを1つずつ追加して圧接しながら螺旋構造体を構成する。
圧接される部分は、例えば、1周分領域CRの長辺側を構成する部分(長辺領域LS1,LS2)であって、1周分領域CRの方向変換部TN以外の領域である。これにより、圧接部位(接合部CP)は、1周分領域CRの長辺側の一部(例えば、略中央付近)に位置する。
また、コイル片C1とコイル片C2の継ぎ合せは、コイル片C1の折れ部B0を有する一辺(例えば、長辺領域LS2)と、コイル片C2の折れ部B0を有する一辺(例えば、長辺領域LS2)とを継ぐ。あるいは、コイル片C1とコイル片C2の継ぎ合せは、コイル片C1の折れ部B0を有しない一辺(例えば、長辺領域LS1)と、コイル片C2の折れ部B0を有しない一辺(例えば、長辺領域LS1)とを継ぐ。
ここでは、コイル片C1とコイル片C2の継ぎ合せは、同図(A)に示すようにコイル片C1の折れ部B0を有する一辺(長辺領域LS2)と、コイル片C2の折れ部B0を有する一辺(長辺領域LS2)とを継いでいる。
つまりこの例で示すように、対向する長辺領域LS1,LS2を有するコイル片C(U字状、C字状のコイル片Cなど)の場合には、例えばまず同図(A)に示す下方側からコイル片C1の例えば長辺領域LS2に対して第1保持部11(コイル片保持部111T、112T)をZ方向に差し込んで保持し、コイル片C2の例えば長辺領域LS2に対して第2保持部12(コイル片保持部121T、122T)をZ方向に差し込んで保持し、両者の端面TS1、TS2同士を圧接する。そして例えばコイル片C2の他方の長辺領域LS1は、別のタイミングでここでは不図示の次のコイル片C(C3)の一方の長辺領域LS1同士と圧接する。
このため、第1保持部11と第2保持部12によってコイル片C1の長辺領域LS2とコイル片C2の長辺領域LS2を保持する場合には、そのタイミングでは圧接しないそれぞれの他方の長辺領域LS1と第1保持部11と第2保持部12(コイル片保持部111T,112T、121T、122T)との干渉を避ける必要がある。
ここで、図3(B)の上段のように、変形前のコイル片C(長辺領域LS1、LS2および短辺SSが略同一平面に位置する平板状のコイル片C、折れ部B0が形成されていないコイル片C)を圧接する場合、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tをコイル片Cの短辺SS方向に任意の距離で差し込むと、図10(A)に示すコイル片保持部111T,112T、121T、122Tの先端破線部分で示すように、そのタイミングでは圧接されない他方の長辺領域LS1と干渉する恐れがある。
つまりこの場合には、第1保持部11と第2保持部12(コイル片保持部111T,112T、121T、122T)の先端部(図10(A)では上方側の端部)を、図10(A)の斜線のハッチングで示すように、1周分領域CRの内周部分に確実に配置するよう、差込位置の設定(制御)をしなければならない。
また、本実施形態の螺旋構造体は、コイル片Cを順次接続して構成するため、接合数が進むにつれて図10(B)の下方に連なることとなり、バネ状の構成によってコイル片C(接合コイル片CC)は任意に伸縮可能となる。つまり、接合コイル片CCは、自重によって不特定に伸縮し、また単位コイル片C0の接合数によっても伸縮の状態が変化するため、第1保持部11と第2保持部12によって保持する際の接合コイル片CCの形状(第1保持部11と第2保持部12(コイル片保持部111T,112T、121T、122T)を差し込む際の各1周分領域CR間の間隔)が不特定(不安定)となり、他方の長辺領域LS1との干渉を避けるための設定(または制御)がより複雑となる。
そこで、本実施形態では、曲げ装置30によって、予めコイル片Cを所定の形状に変形し、第1保持部11と第2保持部12によって保持する際のコイル片Cの形状を、所定の形状に維持することとした。
具体的には、接合装置20による圧接前に、曲げ装置30によってコイル片Cの長辺領域LS1が、他方の長辺領域LS2に対して所定の角度αで傾斜するように折り曲げた折れ部B0を形成する。
また、折れ部B0の角度αは、図10(B)に示すように、例えば、コイル片C1の例えば基準面SF0にある長辺領域LS1とコイル片保持部112T(111Tも同様)とが干渉しないように、長辺領域LS2が長辺領域LS1に対して傾斜する角度である。また、コイル片C2の例えば基準面SF0にある長辺領域LS1とコイル片保持部121T(122Tも同様)とが干渉しないように、長辺領域LS2が長辺領域LS1に対して傾斜する角度である。
より具体的には、一方のコイル片C1は、実質的には挟持領域P1においてコイル片保持部111T,112Tに挟持される。この場合、コイル片C1の長辺領域LS1と長辺領域LS2の側面視における挟持方向(Y方向)の離間距離LL1がコイル片保持部112T(111T)の挟持方向の厚みd1より大きくなるような角度αでコイル片C1(長辺領域LS2)が折り曲げられている。
同様に、他方のコイル片C2は、実質的には挟持領域P2においてコイル片保持部121T,122Tに挟持される。この場合、コイル片C2の長辺領域LS1と長辺領域LS2の側面視における挟持方向(Y方向)の離間距離LL2がコイル片保持部121T(122T)の挟持方向の厚みd2より大きくなるような角度αでコイル片C2(長辺領域LS2)が折り曲げられている。
このような構成により、接合コイル片CCの不安定な伸縮を回避し、螺旋進行方向の長さが増加した場合であっても、各1周分領域CR間の間隔を(略)所定の間隔に維持することができる。
従って、同図(B)に示すように第1保持部11と第2保持部12(コイル片保持部111T,112T、121T、122T)を差し込む際のスペース(Y方向、厚み方向のスペース)を確実に確保できる。また、同図(C)に破線で示すように、第1保持部11と第2保持部12の先端部(コイル片Cの帯短手方向の一方の端部)の位置も任意とすることができる(1周分領域CRの内周領域に確実に配置する必要がなくなる)。これにより第1保持部11および第2保持部12と、他の長辺領域LS2との干渉を回避するための複雑な設定や制御が不要となり、圧接のスピードを格段に向上させることができる。
また、第1保持部11と第2保持部12(コイル片保持部111T,112T、121T、122T)を差し込む際のスペースは、図10のX方向にも確保することが望ましいく、図11を参照してこれについて説明する。
図11は、折れ部B0の形成位置についてU字状のコイル片C(C1、C2)を例に更に説明する、図10(A),図10(C)に対応する上面図である。
U字状のコイル片Cの場合、後に詳述するが、2つのコイル片C1、C2を対向配置して、折れ部B0が形成された長辺領域(ここでは長辺領域LS2)同士を接続するか、折れ部B0が形成されていない長辺領域(ここでは長辺領域LS1)同士を接続して、螺旋構造体を形成していく。
そして、折れ部B0が形成された長辺領域LS2同士を接続する場合には、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tは、折れ部B0と圧接される端面TS1,TS2との間の領域を挟持する(図10(A)参照)。つまり、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tが確実に折れ部B0と、圧接される端面TS1,TS2との間の領域を挟持できるような位置に折れ部B0を形成する。
具体的には、図11に示すように、長辺領域LS2の方向変換部TNを除くその近傍に折れ部B0を形成する。
より具体的には、折れ部B0は、例えば、「1周分領域CRを構成する長辺LSの帯長手方向の最大長(1周分領域CRを構成する長辺LSとなる予定の領域の、帯長手方向の最大長)LMAX」に対して、その端部から30%未満の範囲に位置するように設けると望ましい。
例えば図11(A)に示すように、コイル片C1、C2の端面TS1,TS2同士を当接させた状態(圧接前の状態)の仮想的な螺旋構造体の一周分領域を仮想1周分領域CR´とする。この場合、当該仮想1周分領域CR´を構成する長辺LS´は、コイル片C1の長辺領域LS2とコイル片C2の長辺領域LS2の合計長さであり、これら長辺領域LS2を当接した状態から圧接し、両者を短縮することで1周分領域CRを構成する長辺LSが得られる。
つまり、当該仮想1周分領域CR´を構成する長辺LS´の帯長手方向の長さ(コイル片C1の長辺領域LS2とコイル片C2の長辺領域LS2の合計長さ)が、上記の「1周分領域CRを構成する長辺LSの帯長手方向の最大長LMAX」である(同図(B))。
そして、折れ部B0は、最大長LMAX(コイル片C1の長辺領域LS2とコイル片C2の長辺領域LS2の合計長さ)に対して、その短辺SS側の端部から例えば、30%未満の範囲で且つ長辺領域LS2(ハッチングで示す方向変換部TNを除く領域)に位置するように、すなわち長さLB1<LMAX×30%となる位置に、形成すると望ましい。
このようにすることで、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tの挟持領域P1、P2(図10参照)として、仮想1周分領域CR´の長辺LS´において、その中心を含んでX方向の左右に、最大長LMAXの40%以上の長さ(2×長さLB2≧LMSAX×40%)を確保することができる。
あるいは、それぞれのコイル片C1,C2において、短辺SS側の端部から折れ部B0までの長さLB1が、折れ部B0から端面TS(TS1,TS2)までの長さLB2以下となる位置に、折れ部B0を形成するとよい。
このようにすることで、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tの挟持領域P1、P2(図10参照)として、仮想1周分領域CR´の長辺LS´において、その中心を含んでX方向の左右に、最大長LMAXの50%以上の長さ(2×長さLB2≧LMSAX×50%)を確保することができる。
コイル片保持部111T,112T、121T、122Tの挟持領域P1、P2として確保できる長さが短いと、挟持が困難となる恐れがあるが、本実施形態によれば、挟持領域P1、P2として、仮想1周分領域CR´の長辺LS´において、その中心を含む40%以上の長さの領域を確保することができるため、コイル片保持部111T,112T、121T、122Tでの挟持が容易となる。これによっても第1保持部11および第2保持部12と、他の長辺領域LS2との干渉を回避するための複雑な設定や制御が不要となり、圧接のスピードを格段に向上させることができる。
なお、折れ部Bの形成位置について、コイル片保持部111T,112T、121T、122TのX方向の幅や、コイル片Cの圧接量(押圧量)が考慮されることはもちろんである。
ところで、図10(D)に示すように2つのコイル片C1,C2を冷間圧接した後は、接合部CPに押し出しによるバリ55が生じる。このバリ55が残存したままでは、次の圧接の際になお第1保持部11および第2保持部12と干渉する恐れが生じる。そこで、本実施形態では、冷間圧接完了後に、第1保持部11および第2保持部12からコイル片(接合コイル片CC)を取り出して除去装置40にてバリ55を除去し、当該コイル片C(接合コイル片CC)と他の(新たな)コイル片Cとの間で冷間圧接を行う。
なお、本実施形態の各図においては説明の便宜上、接合部CPを図示しているが実際にはこの接合部は略視認不可能(非常に困難)である。
<除去装置>
図12を参照して、除去装置40について説明する。図12は、除去装置40の概略図であり、図12(A)は、図10(A),図10(C)と同様の上面図であり、図12(B)〜同図(E)は、図10(B)、同図(D)と同様の除去装置40の正面図(接合コイル片CCとしては側面図)である。
図10(D)に示すように、接合装置20から排出された直後の接合コイル片CCは、接合部にバリ55が生じている。バリ55は、接合部において接合コイル片CCの幅広面WSに対して略直交するように垂直方向上下に生成される。
除去装置40は、冷間圧接後の接合コイル片CCの一部を除去する装置であり、より詳細には、2つのコイル片Cの押圧によって生じたバリ55を除去する。
具体的には、図12に示すように、除去装置40は、コイル片保持部41と除去部43を備える。コイル片保持部41は、対向配置された第1コイル片保持部411と第2コイル片保持部412からなる。第1コイル片保持部411と第2コイル片保持部412は、接合コイル片CCの接合後のバリ55を挟んで、帯長手方向に所定距離で離間した両側(例えば短辺SS部分)を保持(それぞれに幅広面WSの両面を挟持するように保持)する。
除去部43は例えば、コイル片保持部41で保持されたコイル片Cに対して例えばZ方向に進退可能に構成された切り取り手段(鋏)である。また、除去部43はY方向に昇降移動も可能である。
接合装置20で接合されたコイル片(接合コイル片CC)はロボットなどによって接合装置20から取り出されて除去装置40に移送される(図1参照)。除去装置40ではコイル片保持部41によって接合コイル片CCが保持されると、例えばZ方向の後方(図12(A)の下方)に退避していた除去部43がZ方向の前方(接合コイル片CC方向)に進出し(同図(B))、例えば、まず上方に突出するバリ55を切り取る(同図(C))。その後、除去部43は一旦Z方向の後方に退避し、Y方向の下方に移動した後、再びZ方向の前方に進出し(同図(D))、下方に突出するバリ55を切り取る(同図(E))。
なお、図示は省略するが、除去部43の切り取り手段は鋏に限らず、例えば水平移動(水平回転)が可能な鋸歯を有するカッターであってもよい。
このように、接合装置20による接合が完了する毎に除去装置40によってバリ55を除去するため、第1保持部11および第2保持部12と接合コイル片CCの干渉を回避できる。つまり、接合コイル片CCは、常に接合部CPのバリ55が除去された状態で、第1保持部11および第2保持部12と接合コイル片CCの干渉を回避し、新たなコイル片Cと接合することができる。
次に、図13を参照して本実施形態のコイル製造システム100および、これを用いて複数のコイル片Cを順次接続するコイル製造方法について説明する。
図13(A)は、コイル製造システム100の概略図であり、同図(B)はコイル製造システム100と順次形成される接合コイル片CCの具体例を示す図である。
同図(A)に示すように、本実施形態では、1台または2台の曲げ装置30、1台の接合装置20および1台の除去装置40を1組のコイル製造装置10としてユニット化し、当該コイル製造ユニット(コイル製造装置)10_1、10_2、10_3・・・を、コイル50(螺旋構造体)のターン数(1周分領域CRの数)に対応する数用意し、これらを1または複数のライン状に連続させてコイル製造システム100を構成する。
例えば、全てU字状のコイル片Cを用いて巻き数が5ターン(使用するコイル片Cは10個)のコイル50を製造する場合、コイル製造システム100は、例えば直列に接続された9台のコイル製造ユニット10_1〜10_9により構成される。そして、コイル片の変形(折れ部B0形成)、接合、バリ取りを、単位コイル片C0を接合する毎に行い、接合コイル片CCを形成する。
なおこの場合例えば4台と5台のコイル製造ユニット10を並列して稼動しこれらによって製造された2つの接合コイル片CCを最終的に接合して5ターンのコイル50としてもよい。
具体的に、図13(B)を参照して説明する。同図(B)はコイル製造ユニット(コイル製造装置)10毎に製造途中のコイル片C(単位コイル片C0、および接合コイル片CC)の状態を示す図であり、コイル片Cはコイル製造ユニット10における正面図(コイル片Cの側面図)として図示している。また各コイル製造ユニット10の接合装置20におけるコイル片C(接合コイル片CC)は、当該装置において接合されるコイル片Cの部分のみを抽出して示している。
ここでは一例として、2つの方向変換部TNを有するU字状(コ字状)の単位コイル片C0を複数(ここでは5個(単位コイル片C01、C02,C03,C04、C05))準備し、これらを接続して(連続させて)コイル(螺旋構造体)50(接合コイル片CC)を製造する場合を例に示している。
1台目のコイル製造ユニット10_1は、例えば2台の曲げ装置30_1A,30_1Bと、1台の接合装置20_1と、1台の除去装置40_1により構成され、2台目以降のコイル製造ユニット10_2・・・10_N(この例では10_4)は、それぞれ1台の曲げ装置30_2・・・30_N(30_4)と1台の接合装置20_2・・・20_N(20_4)と1台の除去装置40_2・・・40_N(40_4)により構成される。
コイル製造システム100では、まず、螺旋構造体の1周目の1周分領域CR1(接合コイル片CC1の1周分領域(接合1周分領域)と同じである)を形成するために2つのU字状の単位コイル片C01,C02を準備し、1台目のコイル製造ユニット10_1に供給する。1台目のコイル製造ユニット10_1では曲げ装置30_1Aにおいて単位コイル片C01の曲げ加工を行い(同図(B)(1))、曲げ装置30_1Bにおいて単位コイル片C02の曲げ加工を行う(同図(B)(2))。そして、不図示のロボットなどにより変形後の単位コイル片C01,C02を取り出し、接合装置20_1に供給する。接合装置20_1では、図10に示すように第1保持部11および第2保持部12でそれぞれ単位コイル片C01、C02を保持し、単位コイル片C01の一方の端面TS1と、単位コイル片C02の一方の端面TS2同士を接続(冷間圧接)して接合コイル片CC1を形成する(同図(B)(3))。このとき、接合装置20_1は例えば、単位コイル片C01と単位コイル片C02のそれぞれの直線部分において端面TS1,TS2同士を押圧し、接合コイル片CC1の1周分領域(接合1周分領域)の長さをコイル50の1周分領域CRの長さに一致させる。
より具体的には、この例では、図10に示すように単位コイル片C01(コイル片C1)の長辺領域LS2を例えば第1保持部11で保持し、単位コイル片C02(コイル片C2)の長辺領域LS2を第2保持部12で保持して両者のTS1,TS2同士を押圧する。この例では、単位コイル片C01の長辺領域LS2は、短辺SSと長辺領域LS1が存在する基準面SF0に対して傾斜する長辺領域であり、単位コイル片C02の長辺領域LS2は、短辺SSと長辺領域LS1が存在する基準面SF0に対して傾斜する長辺領域である。すなわち、ロボットは、一方の単位コイル片C0を、曲げ装置30に載置した状態から表裏反転させる。具体的には、例えば、単位コイル片C01を、曲げ装置30_1Aにおける押圧面(押圧部が当接した面)が下方になるように、曲げ装置30_1Aに載置した状態(図13(B)(1)に示す姿勢の状態)から表裏反転させる反転化工程を行い、第1保持部11に保持させる(図13(B)(2)、図13(B)(3))。一方、ロボットは、単位コイル片C02は、曲げ装置30_1Bに載置した状態から表裏反転させずに(変形時の表裏をそのままに)第2保持部12に保持させる(図13(B)(1)、同図(B)(3))。
つまり、新たに接合される単位コイル片C01の長辺領域LS2と、単位コイル片C02の長辺領域LS2とは、それぞれ第1保持部11および第2保持部12によって水平に保持される。この工程を、以下「新たな接合領域の水平化工程を行う」という。そして両者を押圧して、接合コイル片CC1を形成する(図13(B)(3))。
そして再び不図示のロボットなどにより接合コイル片CC1を取り出して、接合装置20_1の下流に配置された1台目の除去装置40_1においてバリ55を除去する(同図(B)(4))。除去装置40_1では、接合コイル片CC1がコイル片保持部41に保持されると除去部43が進出し、例えば上方に突出するバリ55を除去する。除去部43は一旦後退・下降し、再び進出して下方に突出するバリ55を除去する(図12参照)。
このように、除去装置40は、単位コイル片C0の接合によって生じたバリ55に対して進退可能に構成され、接合装置20による1箇所の接合毎にバリ55に対して進出してこれを除去する。
これにより、螺旋構造体の1周目の1周分領域CR(CR1)が形成される。その後不図示のロボットなどにより接合コイル片CC1を取り出し、1台目の除去装置40_1の下流に配置された2台目のコイル製造ユニット10_2の接合装置20_2に供給する(図13(B)(6))。
このとき、すなわち2台目のコイル製造ユニット10_2の接合装置20_2に供給する際、接合コイル片CC1の一方の端面TS1(単位コイル片C02の接合されていない端面TS1)と、新たな単位コイル片C03の一方の端面TS2とをそれぞれ第1保持部11と第2保持部12とで水平に保持して冷間圧接する。
そして、2台目のコイル製造ユニット10_2の曲げ装置30_2では、次に接合する単位コイル片C03の曲げ加工を行い(同図(B)(5))、不図示のロボットなどにより変形後の単位コイル片C03を取り出す。2台目のコイル製造ユニット10_2以降では、それ以前に形成された接合コイル片CCに1つずつ変形後の単位コイル片C0を接続していくため、曲げ装置30は1つのユニットに対して1台となる。
2台目の接合装置20_2では、接合コイル片CC1の一方の端面TS1(単位コイル片C02の接合されていない端面TS1)と、単位コイル片C03の一方の端面TS2とを上記と同様に直線部分において冷間圧接し、接合コイル片CC2を形成する(同図(B)(6))。具体的には、接合コイル片CC1(単位コイル片C02)の長辺領域LS1を(接合装置20_1における押圧時の表裏を維持した状態で)例えば第1保持部11で保持し、単位コイル片C03の長辺領域LS1を第2保持部12で保持する。
つまり、新たな接合領域(接合コイル片CC1(単位コイル片C02)の長辺領域LS1と、新たな単位コイル片C03の長辺領域LS1)を第1保持部11および第2保持部12で水平に保持する水平化工程(新たな接合領域の水平化工程)を行う。この水平化工程では、既に接合された単位コイル片C01の長辺領域LS2と単位コイル片C02の長辺領域LS2とを、接合直後の水平状態(同図(B)(4))から傾斜させる、傾斜化工程(接合済み領域の傾斜化工程)も同時に行われる。そして、両者の端面TS1,TS2同士を押圧する(同図(B)(6))。
接合コイル片CC1(単位コイル片C02)の長辺領域LS1は、短辺SSと略同一平面(基準面SF0)に位置する長辺領域であり、単位コイル片C03の長辺領域LS1は、短辺SSと略同一平面(基準面SF0)に位置する長辺領域である。
また、ロボットは例えば、曲げ装置30_2における押圧面(押圧部が当接した面)が下方になるように、曲げ装置30_2に載置した状態(図13(B)(1)に示す姿勢の状態)から表裏反転させる反転化工程を行い、単位コイル片C03を第2保持部12で保持させ(同図(B)(5),同図(B)(6))、接合コイル片CC2を形成する。
そして不図示のロボットなどにより接合コイル片CC2を取り出して、接合装置10_2の下流に配置された2台目の除去装置40_2においてバリ55を除去する(同図(B)(7))。これにより同図(B)(7)に示す接合コイル片CC2が得られる。その後ロボットなどにより接合コイル片CC2を取り出して3台目のコイル製造ユニット10_3の接合装置20_3に供給する(同図(B)(9))。
一方、3台目のコイル製造ユニット10_3の曲げ装置30_3では、次に接合する単位コイル片C04の曲げ加工を行い(同図(B)(8))、不図示のロボットなどにより変形後の単位コイル片C04を取り出す。
3台目の接合装置20_3では、接合コイル片CC2の一方の端面TS1(単位コイル片C03の接合されていない端面)と、単位コイル片C04の一方の端面TS2とを上記と同様に直線部分において冷間圧接し、接合コイル片CC3を形成する(同図(B)(9))。具体的には、接合コイル片CC2(単位コイル片C03)の長辺領域LS2を(接合装置20_2における押圧時の表裏を維持した状態で)例えば第1保持部11で保持し、単位コイル片C04の長辺領域LS2を第2保持部12で保持する。つまり、新たな接合領域(接合コイル片CC2(単位コイル片C03)の長辺領域LS2と、新たな単位コイル片C04の長辺領域LS2)とを第1保持部11および第2保持部12で水平に保持する水平化工程(新たな接合領域の水平化工程、接合済み領域(単位コイル片C02の長辺領域LS1と、単位コイル片C03の長辺領域LS1)の傾斜化工程)を行い、両者の端面TS1,TS2同士を押圧する。接合コイル片CC2(単位コイル片C03)の長辺領域LS2は、基準面SF0に対して傾斜した長辺領域であり、単位コイル片C04の長辺領域LS2も、基準面SF0に対して傾斜した長辺領域である。
また、ロボットは例えば、曲げ装置30_3における押圧面(押圧部が当接した面)が上方になるように、曲げ装置30_3に載置した状態のまま(表裏反転せずに)単位コイル片C04を第2保持部12で保持させ、接合コイル片CC3を形成する。
そして不図示のロボットなどにより接合コイル片CC3を取り出して、接合装置10_3の下流に配置された3台目の除去装置40_3においてバリ55を除去する(同図(B)(10))。これにより、螺旋構造体の2周目の1周分領域CR(CR2)が形成される。その後ロボットなどにより接合コイル片CC3を取り出して4台目のコイル製造ユニット10_4の接合装置20_4に供給する(同図(B)(12))。
一方、4台目のコイル製造ユニット10_4の曲げ装置30_4では、次に接合する単位コイル片C05の曲げ加工を行い(同図(B)(11))、不図示のロボットなどにより変形後の単位コイル片C05を取り出す。
4台目の接合装置20_4では、接合コイル片CC3の一方の端面TS1(単位コイル片C04の接合されていない端面)と、単位コイル片C05の一方の端面TS2とを上記と同様に直線部分において冷間圧接し、接合コイル片CC4を形成する(同図(B)(12))。具体的には、接合コイル片CC3(単位コイル片C04)の長辺領域LS1を(接合装置20_3における押圧時の表裏を維持した状態で)例えば第1保持部11で保持し、単位コイル片C05の長辺領域LS1を第2保持部12で保持して、新たな接合領域(接合コイル片CC3(単位コイル片C04)の長辺領域LS1と、新たな単位コイル片C05の長辺領域LS1)とを第1保持部11および第2保持部12で水平に保持する水平化工程(新たな接合領域の水平化工程、接合済み領域(単位コイル片C03の長辺領域LS2と、単位コイル片C04の長辺領域LS2)の傾斜化工程)を行い、て両者の端面TS1,TS2同士を押圧する。単位コイル片C05の長辺領域LS1は基準面SF0に位置する長辺領域であり、接合コイル片CC3(単位コイル片C04)の長辺領域LS1も、基準面SF0に位置する長辺領域である。
また、ロボットは例えば、曲げ装置30_4における押圧面(押圧部が当接した面)が下方になるように、曲げ装置30_4に載置した状態から表裏反転させる反転化工程を行い、単位コイル片C05を第2保持部12で保持させ(同図(B)(11)、同図(B)12))、接合コイル片CC4を形成する。
そして不図示のロボットなどにより接合コイル片CC4を取り出して、接合装置10_4の下流に配置された4台目の除去装置40_4においてバリ55を除去する(同図(B)(13))。これにより同図(B)(13)に示す接合コイル片CC4が得られる。その後ロボットなどにより接合コイル片CC4を取り出す。以降必要に応じてこれを所定の巻き数N分繰り返すことにより、Nターンの1周分領域CRを有する螺旋構造体が形成される。
このように、本実施形態では、折り曲げられたコイル片C1、C2を端面TS1,TS2で接合する。具体的には、コイル片C1とコイル片C2の継ぎ合せは、コイル片C1の折れ部B0を有する一辺(例えば、長辺領域LS2)と、コイル片C2の折れ部B0を有する一辺(例えば、長辺領域LS2)とを継ぐ (例えば、同図(B)(1)〜同図(B)(3))か、コイル片C1の折れ部B0を有しない一辺(例えば、長辺領域LS1)と、コイル片C2の折れ部B0を有しない一辺(例えば、長辺領域LS1)とを継ぐ(例えば、同図(B)(5)、同図(B)(6))か、のいずれかで接合する。
そして上述のとおり、曲げ装置30によるコイル片Cの曲げ工程(同図(B)(1))を行い、一方のコイル片Cの反転化工程を行い(同図(B)(2))、新たな接合領域の水平化工程(接合済み領域の傾斜化工程)を行い(同図(B)(1)〜図(B)(3))、接合装置20による接合工程を行い(同図(B)(3))、除去装置40による除去工程を行う(同図(B)(4))。
その後、曲げ装置30によるコイル片Cの曲げ工程を行い、一方のコイル片Cの反転化工程を行い(同図(B)(5))新たな接合領域の水平化工程を行い、接合装置20による接合工程を行い(同図(B)(6))、除去装置40による除去工程を行う(同図(B)(7))。
引き続き、曲げ装置30によるコイル片Cの曲げ工程を行い(同図(B)(8))、新たな接合領域の水平化工程を行い、接合装置20による接合工程を行い(同図(B)(9))、除去装置40による除去工程を行う(同図(B)(10))。
その後、曲げ装置30によるコイル片Cの曲げ工程を行い、一方のコイル片Cの反転化工程を行い(同図(B)(11))新たな接合領域の水平化工程を行い、接合装置20による接合工程を行い(同図(B)(12))、除去装置40による除去工程を行う(同図(B)(13))。
これを繰り返し、同図(B)(10)、同図(B)(13)に示すように1周分領域CRの対向する長辺LSのうち一方の長辺LSが他方の長辺LSに対して傾斜する形状の螺旋構造体が得られる。
つまり、本実施形態のコイル製造装置10は、螺旋の進行方向に広がった状態でコイル片が接続(継ぎ足し)されていくが、完成状態の螺旋構造体となった後に、螺旋構造体を一体的に成型(例えば、プレスなど)し、螺旋の進行方向に圧縮する弾性変形および/または塑性変形を行って螺旋の各周が近接したコイル50を形成する。
なお、この例では、新たに接続されるコイル片Cは、(接続する毎に、接続の直前に)曲げ装置30による折れ部B0が形成されて接合装置20に供給される例を説明した。しかしこれに限らず、曲げ装置30によるコイル片Cの曲げ工程は、必要なコイル片Cの全数について予め行なわれる構成であってもよい。すなわち、例えば、全数として20個のコイル片Cを用いてコイル50を形成する場合、曲げ装置30によって20個のコイル片Cの全数に折れ部B0を形成した後、それらを一つずつ、接合装置20に供給する構成であってもよい。
この場合であっても、除去装置40は、1箇所の接合部CPが形成される毎に、当該接合部CPのバリ55を除去する。このような構成により、接合コイル片CCは、常に接合部CPのバリ55が除去された状態で、第1保持部11および第2保持部12と接合コイル片CCの干渉を回避し、新たなコイル片Cと接合することができる。
図14は、所定数(N台目)のコイル製造ユニット10_Nから排出された完成した螺旋構造体50'の一例を示す図である(コイルの巻数は上述の実施形態と異なっている)。同図(A)は螺旋軸方向から見た正面図(上面図)であり、同図(B)は同図(A)の成形前のV1方向の矢視図(側面図)であり、同図(C)〜同図(E)は成形後のV2方向の矢視図(側面図)である。
完成した螺旋構造体50'は、所望の形状に成形される。すなわち、本実施形態のコイル片Cは、冷間圧接前に曲げ装置30によって折り曲げられており、コイル製造装置10から排出された直後は図14(B)に示すように各一周分領域CR間には隙間Gが形成されている。
そこで、この隙間Gを狭めるような成形を行う。具体的には、まず焼鈍(焼きなまし)を行ない、螺旋構造体50´を軟化させる。すなわち、金属材料(例えば銅板)からなる螺旋構造体50´を炉内で適切な温度(例えば、再結晶温度以上)に加熱、所定時間保持し、炉中で徐冷する。これにより、螺旋構造体50´を構成する金属材料は内部応力のない組織となり、軟化する。つまり、焼鈍によって螺旋構造体50´を、塑性変形し易い状態にする。あるいは、焼鈍によって螺旋構造体50´の塑性係数を制御する(螺旋構造体50´の弾性限界を低くする)ともいえる。焼鈍後は、螺旋構造体50´(の金属材料)は軟化するが、螺旋構造体50´に対して外力を加えていない場合、その形状(図14(B)に示す隙間G)は維持される。
そして同図(B)に示す形状の螺旋構造体50´を、液状の絶縁樹脂に浸して一体的に絶縁樹脂で被覆する。なお螺旋構造体50´に液状の絶縁樹脂を吹き付けることによって一体的に絶縁樹脂で被覆してもよい。これにより、絶縁樹脂は各1周分領域CR間の隙間Gにも入り込み、螺旋進行方向に沿って一端から他端まで、平導体の周囲が絶縁樹脂で覆われた螺旋構造体50´が得られる。
その後、同図(C)に示すように、螺旋構造体50´の隙間Gが小さくなるように螺旋軸方向に圧縮して螺旋構造体の螺旋進行方向に弾性変形および/または塑性変形し、螺旋の各周を近接させて固化する。焼鈍された螺旋構造体50´は容易に弾性変形および/または塑性変形し、各1周分領域CRの隙間Gが無くなり、各1周分領域CRが互いに密着した状態で固定(固化)される。あるいは、各1周分領域CRの隙間Gが極めて小さくなった状態で固定(固化)される。そして密接あるいは近接した各1周分領域CRはそれぞれ絶縁される(同図(C)または同図(D))。
さらに、例えばステータコアに取り付けるコイル50の場合、必要に応じて、ステータコアの形状に合わせて、螺旋構造体の軸中心方向(ステータコアの径方向)に凹状または凸状となるように、すなわち、図14(E)に示すように、内周端部が外周端部と非同一面となる湾曲状に成形する。これにより、絶縁樹脂で一体的に被覆されたコイル50が得られる。
従来では、コイルの完成長さ分の長尺の導線を絶縁樹脂で被覆した後、これを巻回して螺旋構造を形成していた。しかしこの場合、巻回の湾曲部分の外周付近では絶縁樹脂が伸張されて被覆厚が薄くなり、耐圧劣化の要因となっていた。また、例えば、上記の成形以前に絶縁樹脂で被覆する場合も、プレスによって絶縁樹脂の被覆厚がばらつくため同様の問題が生じる。本実施形態では、各1周分領域CR間に隙間Gがある状態で螺旋構造体50´を、焼鈍して軟化させ、一体的に絶縁樹脂で被覆した後、隙間Gを無くす(極めて小さくする)ように圧縮成形し、固化する。つまり平導体は、螺旋構造体50´の一端から他端に至るまで、螺旋進行方向に沿ってその周囲を略均一に絶縁樹脂で被覆することができ、絶縁樹脂の膜厚の均一性を高めることができる。また、螺旋構造体50´の1周分領域CR同士を絶縁樹脂により接着させることも可能となる。
本実施形態の接合装置20は、コイル50の完成後の長さに基づき、冷間圧縮による圧縮量(収縮量)分長め(余裕分長め)のコイル片Cを用いて、冷間圧縮による圧縮(収縮)を繰り返しつつコイル片Cを継ぎ足して、コイル50を製造するものである。
従って、冷間圧接に際しては、コイル片Cの帯長手方向BL(図2(B)参照))の距離を測定しながら冷間圧接を行う。帯長手方向BLの距離の測定は、例えば第1保持部11,第2保持部12(またはその近辺)に滑り検出機構(不図示)を設けることにより、第1保持部11で保持されるコイル片C(第1コイル片C1)と第2保持部12で保持されるコイル片C(第2コイル片C2)の押圧時の滑り検出を行うことで、帯長手方向BLの距離の測定を行うことができる。なお、帯長手方向BLの距離の測定は、冷間圧接と同時に(リアルタイムで)測定してもよいし、冷間圧接の前後(あるいは冷間圧接の前または後)に測定してもよい。これにより、完成後のコイル寸法の高精度化を実現することができる。
なお図2(A)、同図(E)〜同図(G)に示したように、コイル片Cの略直角の方向変換部TNは、コイル50の角部となる。つまり、本実施形態の接合装置20によれば、打ち抜き加工等によって略直角の方向変換部TNを有するように構成されたコイル片Cをつなぎ合わせることで、内周側および外周側の角部が略直角のコイル50を製造することができる。従来では、長尺の平導体を巻回して平導体によるコイルを製造していたが、巻回では少なくともコイルの内周側の角部は湾曲した形状となることは不可避であり、占積率の向上や放熱性の向上などに限界があった。
しかし本実施形態のコイル製造装置10によれば、打ち抜き加工によって形成した形状のままつなぎ合わせることができるので、コイル内周側においても直角(略直角)の角部を実現でき、占積率を向上させることができ、また余分な空間を廃することで放熱性を向上させることができるコイル50を製造することができる。
特に、コイル片C同士の接合部CPは、方向変換部TN(角部)を避けて直線部分に設けられる。すなわち、コイル片の直線部分を利用して、圧接を行っている。この結果、方向変換部TNの形状精度を向上させることができ、例えば、打ち抜き加工において直角(略直角)に形成したままの角部を維持できる。
さらに、本実施形態によれば、占積率を向上させ、それにより放熱性を向上させた良質なコイルを量産することができ、生産性を向上させることができる。
<コイル製造方法>
次に、本実施形態のコイル製造方法について説明する。本実施形態のコイル製造方法は、例えば、上述のコイル製造装置10において実施可能である。
すなわち、本実施形態のコイル製造方法は、複数の平導体(コイル片C)を継ぎ合せて螺旋構造体を形成するコイル製造方法であって、それぞれの平導体Cを螺旋進行方向に沿う一部分が他の部分に対して傾斜するように折り曲げる折り曲げ工程と、折り曲げられた平導体Cと他の平導体Cの端面同士を帯長手方向に沿って押圧し、帯長手方向の距離を短縮させながら圧接し継ぎ合わせて螺旋構造体を形成する接合工程と、接合後の平導体の一部を除去する除去工程と、を有する。
ここで、折り曲げ工程は上述の曲げ装置30にて実施可能であり、コイル片Cのそれぞれについて、1周分領域CRを構成する予定の対向する2辺(例えば、長辺LSを構成する長辺領域LS1、LS2)のうち一方(例えば、長辺領域LS2)を他方(例えば、長辺領域LS1)に対して傾斜するように折り曲げる。
そして、新たな接合領域の水平化工程を行い、接合工程では、接合装置20によってコイル片Cの端面同士を圧接する。
また、除去工程は上述の除去装置40にて実施可能であって、複数の平導体Cの押圧によって生じたバリ55を除去する。
これらの折り曲げ工程と除去工程の詳細な方法は既述の通りであるのでここでの説明は省略し、以下、主に接合装置20における圧接の方法について説明する。なお、繰り返しになるが、本実施形態のコイルの製造方法は、各コイル片Cについて曲げ加工を行い(接合の直前に1つずつ曲げ加工を行なう構成でもよいし、必要なコイル片Cの全数について曲げ加工を行なう構成でもよい)、折れ部B0が形成された或るコイル片C(C01)に折れ部B0が形成された他のコイル片C(C02)を圧接(接合)し、当該圧接する毎に、接合部CPに生じたバリ55を除去するものである(図13参照)。
しかしながら、以下の説明では、主に圧接の方法について詳細に説明するため、圧接の前後に行なわれる曲げ工程や除去工程(バリ取りの工程)については、説明を省略又は簡略化している。
まず図15を参照して、コイル片Cの圧接の概略について説明する。同図はコイル片Cの上面図である。本実施形態で用いる複数のコイル片Cはそれぞれ、端面TS1,TS2同士を当接させて仮想状態の螺旋構造体(以下、「仮想螺旋構造体」という。)を形成可能である。具体的には、(新たな接合領域について水平化工程を行い)、同図(A)に示すように単位コイル片C01と単位コイル片C02の帯長手方向の端面TS1,TS2同士を当接させて、同図(B)に示す仮想螺旋構造体50Vの1周分領域(仮想1周分領域)CR´を形成可能に設定されている。そして、仮想螺旋構造体50Vは、螺旋進行方向の仮想1周分領域CR´の長さが、完成状態の螺旋構造体(コイル)50の1周分領域CR(同図(C))の長さよりも圧接の押圧量だけ長くなるように設定されている。
接合装置20は、単位コイル片C01と単位コイル片C02とを帯長手方向に押圧して同図(C)に示す接合コイル片CCを形成し、当該接合コイル片CCの接合1周分領域CR0の長さを螺旋構造体(コイル)50の1周分領域CRの長さに一致させる。なお、同図(A)の端面TS1,TS2と逆側の端面TS0,端面TS1´同士は圧接されず、他のコイル片Cの端面と圧接される(または外部に導出される端子と接続される)。
すなわち、本実施形態のコイル製造方法は、連続させると螺旋構造体50となり得、折れ部Bが形成された帯状の平導体(コイル片C)を複数用意し、複数のコイル片Cの帯長手方向の総距離となる準備長さL0が、完成予定の螺旋構造体(コイル)50の螺旋長手方向の完成長さLと比較して余裕分Mだけ長くなるように設定し、複数のコイル片Cの端面同士を帯長手方向に沿って押圧して、帯長手方向の距離を短縮させながら冷間圧接し、接合部CPを形成する毎に当該接合部CPのバリ取りを行ない、複数のコイル片Cの全てを冷間圧接によって短縮する短縮総距離Sを余裕分Mに設定することで、複数のコイル片Cを継ぎ合せて螺旋構造体(コイル)50を形成する、ものである。
具体的に、図16を参照して2つの方向変換部TNを有するU字状(コ字状)の単位コイル片C0を4個(C01〜C04)準備し、これらを接続して(連続させて)2周の螺旋形状からなるコイル(螺旋構造体)50を製造する場合を例に説明する。同図(A)は単位コイル片C01〜C04の上面図であり、同図(B)〜同図(D)は接合コイル片CCの展開図であり、図中の破線は、完成予定のコイル50の螺旋構造の軸中心(接合部CPの中心)を示している。また同図(B)〜同図(D)のコイル片の両端の二点鎖線は、完成形のコイルの仕上がり端部を示すものとし、この例では、仕上がり端部が変化しない(図示の左右方向に仕上がり端部の位置が移動しない)ものとして説明する。
単位コイル片C01〜C04の帯長手方向の長さをそれぞれL01〜L04とすると、帯長手方向の総距離となる準備長さL0は、L01+L02+L03+L04である。そして、この準備長さL0は、コイル50の螺旋長手方向の完成長さLよりも余裕分Mだけ長く(L0=L+M)設定されている。この単位コイル片C01と単位コイル片C02を帯長手方向に沿って押圧して冷間圧接すると、これらの押圧によって単位コイル片C01は帯長手方向の長さL01がL01'に圧縮され(短縮(圧縮)量は接合部CP中心から距離S1の長さ(圧縮量S1))、単位コイル片C02は帯長手方向の長さL02がL2'に圧縮され((短縮(圧縮)量は接合部CP中心から距離S2の長さ(圧縮量S2))されて接合コイル片CC1(長さLC1)が形成される(同図(B))。そして、接合コイル片CC1の端面(単位コイル片C01またはC02の接合されていない側の端面)と、単位コイル片C03を冷間圧接すると、これらの押圧によって単位コイル片C03はL03'に圧縮され(短縮(圧縮)量は接合部CP中心から距離S3の長さ(圧縮量S3))、接合コイル片CC1は、LC1'に圧縮され((短縮(圧縮)量は接合部CP中心から距離S4の長さ(圧縮量S4))、接合コイル片CC2が形成される(同図(C))。さらに、接合コイル片CC2の端面(単位コイル片C01、C02、C03の接合されていない側の端面)と、単位コイル片C04を冷間圧接すると、これらの押圧によって単位コイル片C04はL04'に圧縮され(短縮(圧縮)量は接合部CP中心から距離S5の長さ(圧縮量S5))、接合コイル片CC2は、LC2'に圧縮され((短縮(圧縮)量は接合部CP中心から距離S6の長さ(圧縮量S6))、螺旋長手方向の完成長さ(始点STから終点ETまでの長さ)Lのコイル50(螺旋構造体)が完成する(同図(D))。コイル片(単位コイル片および/または接合コイル片)を継ぎ合わせてコイル50が完成するまでの、コイル片の短縮量の合計(短縮総距離S=S1+S2+S3+S4+S5+S6)が、余裕分Mに相当する。
改めて時系列に沿って本実施形態のコイルの製造方法を説明する。まず、完成状態のコイル50の長さLに基づき、短縮総距離S=余裕分Mとなるように、単位コイル片の長さL01〜L04が設定されるとともに、冷間圧接による圧縮量S1〜S6が設定される。
そしてこのように設定されたコイル片(それぞれ不図示の折れ部B0が形成されている)を用いて、単位コイル片C01と単位コイル片C02の端面同士を設定された圧縮量S1、S2分押圧して冷間圧接により継ぎ足し、接合コイル片CC1を形成する。このときの圧縮量S1、S2は、単位コイル片C01と単位コイル片C02の押圧時の滑り検出を行うことで、両コイル片の帯長手方向の距離を測定して把握する。圧縮量を把握する方法は以下の冷間圧接において同様である。
1つの接合領域(例えば、単位コイル片C01と単位コイル片C02の接合する端面付近)を冷間圧接した後は、接合部に押し込みによるバリが生じるため、冷間圧接後に、バリを切除する処理を行う。
次に、コイル片(接合コイル片CC1)を、冷間圧接する端面(単位コイル片C01または単位コイル片C02の接合されていない端面)近傍を残して、完成予定の螺旋構造体の螺旋進行方向に弾性変形および/または塑性変形させつつ、他のコイル片(単位コイル片C03)との間で冷間圧接を行う。このとき、接合コイル片CC1の螺旋進行方向の弾性変形および/または塑性変形の変形量は、冷間圧接時にコイル片が保持される第1保持部11および第2保持部12と、接合コイル片CC1との干渉を回避する量に設定される。また、変形量は以下の冷間圧接において同様である。
以下、同様にコイル片を継ぎ足す。すなわち、接合コイル片CC1の端面(単位コイル片C01またはC02の接合されていない側の端面)と、単位コイル片C03を設定された圧縮量S3,S4分押圧して冷間圧接により継ぎ足し、接合コイル片CC2を形成する。その後、接合領域のバリ取りを行い、接合コイル片CC2を、冷間圧接する端面近傍を残して、完成予定の螺旋構造体の螺旋進行方向に弾性変形および/または塑性変形させつつ、接合コイル片CC2の端面と、単位コイル片C04を設定された圧縮量S5,S6分押圧して冷間圧接により継ぎ足し、完成状態の螺旋構造体を得る。
<コイル片の変形例>
図17は、コイル片の形状が異なる場合の接続例を示す図である。
同図(A)は、L字状のコイル片による接続例を示す上面図であり、ここでは4つのL字状の単位コイル片C0を用いて、1周分の接合コイル片を構成する場合を示している。説明の便宜上、図示は省略しているが、この場合も、各コイル片は帯長手方向の総距離となる準備長さL0が、完成予定の螺旋構造体(コイル)の螺旋長手方向の完成長さLと比較して余裕分Mだけ長くなるように設定されている。そして余裕分Mは、複数のコイル片の全てを冷間圧接した場合に、押圧によって短縮する短縮総距離Sに設定されている。
なお、1周分のコイル接続片を全て同じ形状(L字状)で構成しなくてもよい。つまり、L字状にI字状(直線状)やU字状(コ字状)のコイル片を組み合わせて1周分のコイル接続片としてもよい。
同図(B)は、C字状の単位コイル片C0とI字状の単位コイル片C01を組み合わせた接続例を示す上面図である。説明の便宜上、図示は省略しているが、この場合も、各コイル片は帯長手方向の総距離となる準備長さL0が、完成予定の螺旋構造体(コイル)の螺旋長手方向の完成長さLと比較して余裕分Mだけ長くなるように設定されている。そして余裕分Mは、複数のコイル片の全てを冷間圧接した場合に、押圧によって短縮する短縮総距離Sに設定されている。
また、方向変換部TNが3つの略C字状の単位コイル片と、方向変換部TNが1つのL字状の単位コイル片を組み合わせて1周分のコイル接続片としてもよい。さらに、螺旋構造体の1周目と2周目を構成する単位コイル片がそれぞれに異なる組合せであってもよい。
同図(C)は、方向変換部TNが2つのU字状(コ字状)の単位コイル片C0単位と、完成予定の螺旋構造体の1周分のコイル片(O字状(ロ字状)のコイル片)C1とを組み合わせて接合コイル片を形成する場合の展開図である。同図のコイル片の両端の二点鎖線は、完成形のコイルの仕上がり端部を示すものとし、この例では、仕上がり端部が変化しない(図示の左右方向に仕上がり端部の位置が移動しない)ものとして説明する。
O字状のコイル片C1は接合部分が切断されている。U字状の単位コイル片C0単位の一端とO字状のコイル片C1の一端を冷間圧接すると、U字状の単位コイル片C0単位は圧縮量S0、O字状のコイル片C1は圧縮量S1でそれぞれ圧縮され、これを繰り返して螺旋構造体を形成できる。なお、図16では、(同じ長さのU字状の単位コイル片C0単位を用いた場合)、図示のように接合部CPは、螺旋構造の各周において螺旋構造の軸中心に沿ってほぼ同じ位置(重畳する位置)に形成されるが、図17(C)の場合には、接合部CPは螺旋構造の各周において螺旋構造の軸中心(破線)に沿って所定量ずれた位置に形成される。
<コイルの変形例>
図18は、コイル50の変形例を示す図であり、同図(A)が図14(C)に対応する側面図であり、同図(B)はコイル50の斜視図である。
本実施形態のコイル片Cは、螺旋進行方向に沿って、コイル片Cの帯短手方向の幅WA、WB,WC、WD、WE・・・が異なる(順次大きく(または小さく)なる)ものであってもよい。この場合、螺旋進行方向における任意の位置の断面積(例えば、同図(A)のハッチングで示す断面積SC1とSC2)が互いに等しくなるように、コイル片Cの厚みD1〜D5(螺旋の軸方向の厚み)は、幅WA〜WEに応じて異ならせるものとする。このコイル50は、同図に示すように、四角錐台の外形を有する。
<ステータコアへの取り付け方法>
図19を参照して、本実施形態のコイル50のステータコアへの取り付け例を説明する。図19(A)はコイル50の螺旋の軸方向を図示の左右方向とした場合の、コイル50およびカセット51A,51Bの側面図である。また図19(B)は、図19(A)の上面図である。また図19(C)は、ステータコア60への取り付けの他の例を示す上面図である。
螺旋軸本実施形態のコイル50は、図14(E)のごとくステータコアの外形に沿って成形し、成形後に一体的に絶縁樹脂で被覆してなり、これをいわゆる後付けでステータコア60に装着する。
このため例えば、図19(A)に示すように一組のカセット51A、51Bでコイル50を挟み込み、当該カセット51A、51Bをステータコア60に取り付ける。具体的には、カセット51Aは、コイル50の螺旋構造の内周側に挿入されてコイル50を支持する支持部53Aと、軸中心方向の一方の面側に設けられた鍔部52Aを有する。カセット51Bも同様に、支持部53Bと鍔部52Bを有する。
この場合、一方のカセット51Aの鍔部52Aが形成されていない面側からコイル50の内周に支持部53Aを挿入し、他方のカセット51Bを重ねて、支持部53A,53Bに設けられた不図示の係合部にて両者を係合する。そしてこのカセット付きコイル50を同図(B)に示すようにステータコア60に取り付ける。図示は省略するが、ステータコア60は、カセット付きコイル50の固定部を有しており、カセット付きコイル50は当該固定部に嵌合(係合)するなどして固定される。
あるいは、同図(C)に示すように、コイル50は、螺旋構造の軸中心方向の一方の面側のみ鍔部52Cを有する1つのカセット51Cに取り付け、ステータコア60に装着してもよい。その場合、動作時の遠心力によってステータコア60からコイル50が抜ける(あるいは不必要な移動(振動)が生じる)ことを防止するために、ステータコア60に切欠き61を設け、カセット付きコイル50をステータコア60に取りつけた後、カセット付きコイル50の上方を覆う抜け止めリング62とステータコア60の切欠き61と嵌合するとよい。
このようにステータコア60にコイル50を取り付けてステータ(不図示)が構成され、そのステータに対して既知のロータが回転可能となるように組み付けられてモータ(不図示)が製造される。
なお、上述の実施形態では、コイル片CがU字状の場合を例に説明したが、本実施形態においては図14に示すコイル50(螺旋構造体)の形状が得られるものであれば、種々の変形が可能であり、例えば、コイル片Cの形状が他の形状(図2(B),同図(D),同図(F),同図(G),同図(H))の場合には、図14に示すコイル50(螺旋構造体)の形状が得られるように、曲げ装置30の構成およびそれによる変形位置や、接合装置20の構成およびそれによる接合位置および除去装置40の構成およびそれによる除去位置等が適宜変更される。
また、本実施形態のコイル製造装置10は、曲げ装置30と、接合装置20と、除去装置40を含む場合を例に説明したが、本発明に係るコイル製造装置10は、曲げ装置30と、接合装置20を有する構成であってもよいし、コイル製造装置10は、接合装置20と、除去装置40を含む構成であってもよい。
また、コイル製造装置10(図1参照)は、曲げ装置30と、接合装置20と、除去装置40とが一の収容部(ハウジング)に収容されていてもよいし、曲げ装置30と、接合装置20とが一の収容部(ハウジング)に収容されていてもよいし、接合装置20と、除去装置40とが一の収容部(ハウジング)に収容されていてもよい。
また、コイル製造システム100(図13参照)は、複数のコイル製造ユニット10_Nが一の収容部(ハウジング)に収容されていてもよい。
また、コイル片Cを1片ずつ接合の前に変形する構成に限らず、曲げ装置30によって予めコイル50を構成する所定数(必要数)のコイル片Cを全て変形した後、変形後のコイル片Cを接合装置20にて接合するように構成してもよい。
以上、本発明は、上述した実施形態に限定せず、様々な実施形態で構成することができ、例えば、コイル片の方向変換部TNは、湾曲状であってもよい。
また、1つのコイル片は、一枚の銅板を打ち抜き加工により構成したものに限らず、複数の細平導体(例えば帯長手方向の断面形状が正方形の平導体)をコイルの帯短手方向に並列配置してなるものであってもよい。また、コイルは一部が一枚の銅板打ち抜き加工によるコイル片により形成され、一部が細平導体の並列配置によるコイル片により形成されてもよい。