JP2020013665A - 燃料電池スタックを構成する材料の回収方法。 - Google Patents

燃料電池スタックを構成する材料の回収方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池スタックを構成する材料を回収する簡易な方法の提供。【解決手段】燃料電池セルを複数積層したスタック構造を有する燃料電池スタックから、前記燃料電池スタックを構成する材料の回収方法であって、前記燃料電池セルは、膜電極接合体と、前記膜電極接合体を挟持する2つのセパレータとを備え、前記膜電極接合体に原料ガスを供給するガス流路が前記セパレータに設けられており、前記方法は、前記ガス流路から前記燃料電池スタックに溶剤、又は前記溶剤と反応剤を供給して、前記材料を含有する前記溶剤を回収し、回収した前記溶剤から前記材料を回収する第1のステップと、前記第1のステップ後の前記燃料電池スタックを加熱処理し、得られた溶融液又はガスから前記材料を回収する第2のステップと、を含み、回収する前記材料は、前記膜電極接合体及び前記セパレータを構成する材料を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池スタックを構成する材料の回収方法に関する。特に、固体高分子電解質型燃料電池スタックを構成する材料の回収方法に関する。
従来から、燃料電池の更なる普及のためには、触媒等の燃料電池を構成する材料を回収して再利用を図ることが重要であると考えられている。燃料電池から触媒を回収する方法としては、膜電極接合体を炉で燃焼処理し焼却残渣から貴金属を回収する方法や、触媒層を王水等の酸溶液を用いて溶解させた酸溶液から貴金属を回収する方法等が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、燃料電池からプロトン伝導性ポリマーを回収する方法としては、膜電極接合体に含まれるプロトン伝導性ポリマーをアルコール溶液等の溶媒に溶解させ、この溶解液からプロトン伝導性ポリマーを回収する方法等が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許第2684171号公報 特許第5172246号公報 特開2004−171921
しかしながら、特許文献1〜3に示す方法は、燃料電池を解体する工程を必要とするため、解体のための工程及び設備を別途必要とする。このため、燃料電池から材料を効率良く回収することが困難であった。
さらに、特許文献1〜3に示す方法は、高価な有用材料である貴金属やプロトン伝導性ポリマーのみを回収の対象としている。すなわち、燃料電池を構成する他の材料は回収の対象となっておらず、そのまま焼却処分や埋め立て処分されることとなる。このため、燃料電池の廃棄は、焼却処分の際における二酸化炭素の発生等、環境へ負荷を与えるものであった。特に、燃料電池の重量の大部分を占めるセパレータは、回収して再利用されることが求められている。
従来技術において貴金属やプロトン伝導性ポリマー以外の材料の回収が着目されていなかった理由の一つとしては、燃料電池が多種多様な材料から構成されているため、分離して回収するための煩雑な工程と当該工程を実施するための特殊な排気設備等を備えた大規模な回収施設を要することが挙げられる。すなわち、燃料電池の更なる普及のためには、燃料電池を構成する高価な有用材料の回収のみならず他の材料の回収も含めた、簡易な工程及び簡素な設備で回収可能な方法が必要である。
本発明は、簡易な方法により燃料電池スタックを構成する材料を回収することを目的とする。
本発明に係る方法は、燃料電池セルを複数積層したスタック構造を有する燃料電池スタックから、前記燃料電池スタックを構成する材料の回収方法であって、
前記燃料電池セルは、膜電極接合体と、前記膜電極接合体を挟持する2つのセパレータとを備え、前記膜電極接合体に原料ガスを供給するガス流路が前記セパレータに設けられており、
前記方法は、
前記ガス流路から前記燃料電池スタックに溶剤、又は前記溶剤と反応剤を供給して、前記材料を含有する前記溶剤を回収し、回収した前記溶剤から前記材料を回収する、第1のステップと、
前記第1のステップ後の前記燃料電池スタックを加熱処理し、得られた溶融液又はガスから前記材料を回収する、第2のステップと、を含み、
回収する前記材料は、前記膜電極接合体及び前記セパレータを構成する材料を含むことを特徴とする。
本発明によれば、簡易な方法により燃料電池スタックを構成する材料を回収することができる。
燃料電池スタックの構成の一例を示す斜視図である。 燃料電池セルの構成の一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る、燃料電池スタックを構成する材料の回収方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る、溶剤の供給部と燃料電池スタックのガス流路との接続を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る、回収施設における燃料電池スタックを構成する材料の回収方法の一例を説明するための図である。
以下、本発明の回収方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する構成は、本発明の一実施態様としての一例(代表例)であり、本発明は以下に説明する構成に限定されない。
また、以下では、同一の又は類似する説明を、適宜簡略化又は省略している。図面は模式的なものであり、各部の寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
<実施の形態1>
以下、実施の形態1に係る燃料電池スタックを構成する材料の回収方法について説明する。
本発明の実施の形態1に係る方法は、燃料電池セルを複数積層したスタック構造を有する燃料電池スタックから、燃料電池スタックを解体することなしに、燃料電池を構成する複数の材料を回収する方法である。
まず、本発明の実施の形態1に係る方法に用いられる燃料電池スタックについて説明する。燃料電池スタックは、複数の燃料電池セルを積層したものである。
図1は、燃料電池スタックの構成の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、燃料電池スタック100は、複数の燃料電池セル10と、2つの集電板2と、2つの絶縁板3と、2つのエンドプレート4とを備える。燃料電池セル10は、固体高分子型の燃料電池である。燃料電池セル10の構造については図2を参照して後述する。
集電板2は、積層された複数の燃料電池セル10の外側にそれぞれ設けられている。集電板2は、ガス不透過性の導電性部材によって形成される。ガス不透過性の導電部材としては、例えば緻密質カーボン等が挙げられる。
絶縁板3は、集電板2の外側にそれぞれ設けられている。絶縁板3は、絶縁性の部材によって形成される。絶縁性の部材としては、例えばゴム等が挙げられる。
エンドプレート4は、絶縁板3の外側にそれぞれ配置される。エンドプレート4は、剛性を備える金属材料によって形成される。剛性を備える金属材料としては、例えばステンレス鋼等が挙げられる。
燃料電池スタック100の一方の端部側に配設される集電板2、絶縁板3及びエンドプレート4には、それぞれ、6つの孔部が設けられている。6つの孔部は、冷却水入口孔、冷却水出口孔、アノードガス入口孔、アノードガス出口孔、カソードガス入口孔及びカソードガス出口孔である。そして、エンドプレート4には、後述するガス流路又は冷却水流路を接続するための構造である流路接続部5が、6つの孔部のそれぞれに連続して設けられている。燃料電池スタック100は、アノードガス入口孔に水素等の燃焼ガスが供給され、カソードガス入口孔に酸素等の酸化剤ガスが供給されることで、電気化学反応により発電が行われる。
なお、燃料電池スタック100は、その積層方向に所定の押圧力がかかった状態で保持される。図1では、燃料電池スタック100に対して押圧力を加える構成については図示を省略している。
図2は、燃料電池セルの構成の一例を示す断面図である。
図2に示すように、燃料電池セル10は、2つのセパレータ15と、2つのセパレータ15間に設けられた膜電極接合体14とを備える。
膜電極接合体14は、電解質膜11の両側にアノード12及びカソード13を接合して一体化されて形成されている。アノード12及びカソード13は、それぞれ触媒層21、ガス拡散層22及びシール部23を有する。アノード12及びカソード13の両側には、それぞれセパレータ15が設けられている。セパレータ15は、電解質膜11、アノード12及びカソード13を挟む。セパレータ15には、ガス流路25が形成されている。
電解質膜11は、固体高分子材料、例えばフッ素系の樹脂により形成されたプロトン伝導性ポリマーであり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。電解質膜11の材料としては、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマー、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等の酸性の官能基を有する芳香族ポリマー、脂肪族ポリマー等が挙げられる。本発明の実施の形態1に係る方法では、汎用的に使用されている観点から、パーフルオロスルホン酸ポリマーを回収の対象とするのが好ましい。
触媒層21は、原料ガスである水素ガス又は酸素ガスの反応の触媒、触媒を担持する担体及び固体高分子電解質(触媒層用電解質を本稿ではアイオノマーと呼ぶ)を含む。触媒層21では、粒子状の触媒が担体に担持され、アイオノマーによって担体及び触媒が被覆されている。
触媒は、原料ガスである水素ガス又は酸素ガスの反応の触媒作用を有する。触媒としては、水素ガス又は酸素ガスの触媒作用を有するのであれば特に限定されないが、例えば白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)等の金属、これら金属の混合物、合金等が挙げられる。
触媒層21に使用できるアイオノマーとしては、電解質膜11と同様の材料を使用でき、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマー、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等の酸性の官能基を有する芳香族ポリマー等のイオン交換性ポリマーが挙げられる。触媒層21に使用するアイオノマーは、電解質膜11と同じ種類のアイオノマーであってもよいし、異なる種類のアイオノマーであってもよい。
ガス拡散層22は、アノード12及びカソード13に供給された原料ガスである水素ガス又は酸素ガスを電極に拡散させる。ガス拡散層22は、ガス拡散基材層22aと、ガス拡散基材層22a上に積層形成され触媒層21に接合されたマイクロポーラス層22bとを有する。
ガス拡散基材層22aを形成する材料は、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば特に限定されないが、導電性無機物質を主とするものが用いられている。導電性無機物質としては、例えば、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタン等を挙げることができる。ガス透過性の観点からは、無機導電性繊維であって、特に炭素繊維が好ましい。炭素繊維としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等が挙げられる。
マイクロポーラス層22bを形成する材料は、アノード12側、カソード13側の触媒層21に燃料ガスや酸化剤ガスを提供するとともに、生成水を排水する撥水作用を奏し、かつ導電性を有するものであれば特に限定されないが、通常、カーボン粒子とフッ素樹脂である繊維状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される。なお、フッ素樹脂はPTFEのほかにも、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等であってもよい。本発明の実施の形態1に係る方法では、汎用的に使用されている観点から、フッ素樹脂としてPTFEを回収の対象とするのが好ましい。
シール部23は、触媒層21上に設けられている。シール部23は、予め所定の厚みや形状に加工(シート状やOリング状等)されたものを配置することや、流動性を有するシーリング材等を所定の厚みや形状に塗布し、硬化させる等して形成される。シール部23は、燃料ガス等の漏洩を抑制するために用いられるガス漏洩用のガスシールと、電解質膜11の機械的補強や他の部材同士をシールするために用いられる補強用のシールとを含む。
ガスシールとしては、通常、柔軟なゴム製等のシールが用いられる。より具体的には、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム、オレフィン系ゴム(エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等)、ジエン系ゴム(イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム等)等から形成される。
補強用のシールとしては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン等から形成される。
セパレータ15は、原料ガスが流れるガス流路25の壁面を成す部材であって、その表面には、ガス流路25を形成するための溝が形成されている。表面に溝が形成されたセパレータ15と、アノード12及びカソード13との間には、ガスの流路であるガス流路25が形成される。そして、燃料電池スタック100においては、アノード12及びカソード13と直接接する面の反対面に、燃料電池スタック100を冷却する冷却水が流れる冷却水流路(図示しない)を有する。
さらにセパレータ15は、その外周近くの互いに対応する位置に、複数の孔部を備えている。すなわち、上述した燃料電池スタック100における冷却水入口孔、冷却水出口孔、アノードガス入口孔、アノードガス出口孔、カソードガス入口孔及びカソードガス出口孔に対応する位置に孔部が設けられている。セパレータ15を、膜電極接合体14と共に積層して燃料電池スタック100を組み立てると、各セパレータ15の対応する位置に設けられた孔部は互いに重なり合って、セパレータ15の積層方向に燃料電池スタック100内部を貫通するガス流路25及び冷却水流路を形成する。
セパレータ15は、強度が高く軽量で、また耐食性が良好な材料であることから、ステンレス鋼やチタン、チタン合金等、導電性の金属材料から構成されている。また、金属材料の表面には、通常、導電性被膜が形成されている。導電性皮膜は、例えば、金、白金、パラジウム等からなる合金で形成される。
(燃料電池スタックを構成する複数の材料を回収する方法)
本発明の実施の形態1に係る方法として、燃料電池スタック100を構成する複数の材料の回収方法を説明する。
本発明の実施の形態1においては、燃料電池スタック100に形成されたガス流路25に、必要に応じて材料と化学反応させるための反応剤及び材料を溶解して回収するための溶剤を供給し、供給後の材料を含有する溶剤から材料を回収するステップと、このステップ後の燃料電池スタック100を加熱処理し材料を溶融又はガス状にし、溶融液又はガスから回収するステップと、を組み合わせることを特徴とする。
本発明の実施の形態1に係る方法は、燃料電池スタック100に既に形成されているガス流路25を利用して材料を回収しているため、燃料電池スタック100を解体する工程が不要である。このため、簡易な工程及び簡素な設備で材料を回収することができる。回収施設においては、本発明の実施の形態1に係る方法を用いることにより、従来の回収方法では困難であった、例えばインラインプロセス処理等の効率的な回収様式を採用することができる。
また、ガス流路を用いるステップによりプロトン伝導性ポリマーは回収される。このため、燃料電池スタック100を加熱処理するステップは、プロトン伝導性ポリマーが既に回収された燃料電池スタック100に対して加熱処理する。すなわち、上記2つのステップの組み合わせにより、本発明の実施の形態1に係る方法は、加熱処理によってプロトン伝導性ポリマーからフッ化水素が発生することを避けることができる。このため、特別な排気設備等を必要とせず回収のための設備を簡素化することができる。
さらに、上記2つのステップの組み合わせにより、貴金属及びプロトン伝導性ポリマーのみならず、燃料電池スタック100を構成する他の複数の材料をも回収することが可能となる。例えば、有機化合物、フッ素樹脂、カーボン、貴金属以外の金属等の材料も回収することができる。これにより、本発明の実施の形態1に係る方法は、他の複数の材料が焼却処分されることにより発生していた二酸化炭素等の排出が抑制され、環境への負荷を低減することができる。さらに、埋め立て処分量の減少等による環境への負荷及び廃棄処分のための費用を低減することができる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る、燃料電池スタックを構成する材料の回収方法を示すフローチャートである。
図3に示されるように、本発明の実施の形態1に係る回収方法は、ステップS10、ステップS11及びステップS12を含む。以下、各ステップについて説明する。
(燃料電池スタックを準備するステップ)
ステップS10は、回収の対象となる燃料電池スタック100を準備するステップである。
このステップS10で準備する燃料電池スタック100は、発電するために要する、ガス供給装置、ガス排出装置、冷却水供給装置及び冷媒排出装置等が取り外されたものである。なお、積層方向には所定の押圧力がかかっており、燃料電池スタック100のガス流路25におけるシール性は保持されている。
(ガス流路を用い、貴金属、プロトン伝導性ポリマー及び有機化合物を回収するステップ)
ステップS11は、燃料電池スタック100を解体することなしに、ガス流路25を用い、燃料電池スタック100から貴金属、プロトン伝導性ポリマー及び有機化合物を回収するステップである。
ステップS11では、燃料電池スタック100のガス流路25に溶剤、又は溶剤と反応剤を供給することにより、対象となる材料を回収する。
溶剤とは、対象となる材料、及び材料と反応剤との生成物等を溶解して回収するための溶媒をいう。反応剤とは、化学反応を誘発する化合物全般をいう。例えば、公知の酸化剤、中和剤、還元剤及び開始剤等が挙げられる。
具体的には、ステップS10後、溶剤又は反応剤の供給部と燃料電池スタック100のガス流路25とを接続する。そして、ガス流路25に材料を回収するための溶剤又は反応剤を供給する。供給後、対象となる材料を含む溶剤から材料を回収する。なお、燃料電池スタック100のガス流路25内で、溶剤又は反応剤を循環させた後、材料を回収してもよい。以下、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る、溶剤の供給部と燃料電池のガス流路との接続を説明するための図である。
溶剤の供給部30は、公知の溶液供給ポンプ又はガス供給ポンプである。溶剤の供給部30は、溶剤の貯蔵タンク36と、溶剤の吐出用配管32と、溶剤の回収用配管34とを備えている。溶剤の供給部30と燃料電池のガス供給路とを接続する際には、燃料電池スタック100のエンドプレート4に設けられた流路接続部5と吐出用配管32とを接続すると共に、エンドプレート4に設けられた流路接続部5と回収用配管34とを接続する。
そして、溶剤の貯蔵タンク36から吐出用配管32を介して燃料電池スタック100へと所定量の溶剤を供給する。溶剤の供給部30は、溶剤の供給部30の流路と燃料電池スタック100のガス流路25との間で、溶剤を循環させることができる。
なお、溶剤を用いた例を説明したが、反応剤及び後述するバッファガスにおいても溶剤の供給部30と同様の構成により、反応剤及びバッファガスを燃料電池スタック100のガス流路25に供給することができる。
燃料電池スタック100のガス流路25に溶剤、又は溶剤と反応剤を供給することにより、触媒層21、ガス拡散層22、電解質膜11、セパレータ15等の燃料電池スタック100を構成する部材に、溶剤、又は溶剤と反応剤を接触させることができる。対象となる材料を含む溶剤は溶剤の貯蔵タンク36に回収される。回収された溶剤には対象となる材料が溶解されており、公知の方法を用いて精製し材料を回収することができる。回収する材料としては、例えば、貴金属、プロトン伝導性ポリマー及び有機化合物等が挙げられる。以下、貴金属、プロトン伝導性ポリマー及び有機化合物の回収例を説明する。
(貴金属の回収例)
まず、貴金属を回収するステップの一例を説明する。
貴金属は、膜電極接合体14における触媒層21及びセパレータ15の導電被膜等から回収される。
回収の対象となる貴金属としては、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムが挙げられる。
貴金属を回収するには、燃料電池スタック100のガス流路25に、反応剤として酸化剤及び還元剤と、溶剤として電解液を供給する。
酸化剤は、貴金属を酸化させるものであればよく、公知の酸化剤を用いることができる。例えば、酸素、オゾン、過酸化水素、塩素酸、過塩素酸、アルカリ過マンガン酸塩、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ金属硫酸塩及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、貴金属との反応性が高いこと及び環境への負荷が小さいこと等から、オゾンを用いるのが好ましい。なお、酸化剤としてオゾンを用いる場合は、公知のオゾン発生装置を用いてオゾンを燃料電池スタック100のガス流路25に供給することができる。
還元剤は、酸化剤と貴金属を接触させて反応させた反応物に対して用いられ、公知の還元剤を用いることができる。例えば、硫化水素、二酸化硫黄、三酸化硫黄、一酸化炭素、水素、メタノール、エタノール及びこれらの混合物等を用いることができる。なかでも、反応性の観点から、水素、一酸化炭化及びこれらの混合ガスが好ましい。
電解液は、極性溶媒に電解質が溶解した、電気伝導性を有する溶液である。pH調整可能な希釈された酸性、中性又は塩基性の溶液であり、反応剤により生成された金属イオンを溶解するために用いられる。電解液は、公知の電解液を用いることができる。電解液の組成は、回収の対象となる貴金属の種類によって適宜選択すればよい。酸性の溶液としては、例えば、塩酸、過塩素酸、硫酸及び硝酸等が挙げられる。塩基性の溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。なかでも、取り扱いの容易性及び反応性の観点から、0.1M塩酸又は0.1M水酸化ナトリウムが好ましい。
電解液は、貴金属イオンと安定な錯体を形成する観点から、錯化剤を含むことが好ましい。錯化剤としては、例えば、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ金属塩化物等が挙げられる。より具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。錯化剤は飽和濃度まで電解液に加えることができる。
具体的な貴金属を回収するステップについて説明する。
まず、燃料電池スタック100のガス流路25に、酸化剤及び電解液を供給する。これにより、貴金属が酸化され、貴金属の溶解が誘発される。この溶解は一時的なものであり、貴金属の表面に酸化物表面層が形成された後、貴金属の溶解は停止する。溶解した貴金属は電解液により回収される。
次に、燃料電池スタック100のガス流路25に、バッファガス(例えば窒素)を供給して、燃料電池スタック100内の酸化剤を排出させる。これにより、燃料電池スタック100内において酸化剤と還元剤との接触を抑制することができる。
次に、燃料電池スタック100のガス流路25に、還元剤及び電解液を供給する。これにより貴金属の酸化物表面層が除去される。
次に、燃料電池スタック100のガス流路25に、バッファガス(例えば窒素)を供給して、燃料電池スタック100内の還元剤を排出させる。
上記ステップを繰り返すことにより、貴金属を溶解して回収することができる。
貴金属として白金を回収する際には、例えば、酸化剤としてオゾン、還元剤として水素及び一酸化炭素の混合ガス、電解液として塩化ナトリウムを含む希塩酸等を用いることにより白金を回収することができる。貴金属として金を回収する際には、例えば、酸化剤としてオゾン、還元剤として二酸化硫黄、電解液として希塩酸等を用いることにより金を回収することができる。
なお、本発明の実施の形態1に係る方法は、酸化剤、還元剤及び電解液を組み合わせることにより、回収対象である貴金属を選択的に回収することができる。例えば、触媒として白金とルテニウムとから構成されている触媒層21において、酸化剤としてオゾン、還元剤として水素、電解液として塩化ナトリウムを含む0.1M水酸化ナトリウム等を組み合わせることにより、ルテニウムのみを選択的に電解液に溶解させて回収することができる。
回収された電解液には、触媒層21やセパレータ15の導電被膜等に含まれていた貴金属が溶解されているため、一般的な貴金属の精製工程に供給される。そして、電解液中の貴金属は、その精製工程において回収され、工業的な貴金属原料として、例えば、再度触媒層21の触媒等として再利用することができる。
上記ステップにより排出されるガスとしては、例えば、少量の二酸化炭素、塩素、酸素及び水素等であり、処理のための特殊な設備を必要としない。また、燃料電池を構成する部材を浸漬させる等の設備を必要としない。さらに、膜電極接合体14等を裁断する等の解体工程により、回収の対象となる貴金属が失われる可能性もない。このため、燃料電池スタック100を解体することなしに、簡易な工程及び簡素な設備で貴金属を回収することが可能となる。以降の例についても同様である。
(プロトン伝導性ポリマーの回収例)
次に、プロトン伝導性ポリマーを回収するステップの一例を説明する。
プロトン伝導性ポリマーは、膜電極接合体14における電解質膜11及び触媒層21等から回収される。
回収の対象となるプロトン伝導性ポリマーは、汎用的に用いられている観点から、パーフルオロスルホン酸ポリマーを回収の対象とするのが好ましい。
プロトン伝導性ポリマーを回収するには、ガス流路25に、溶剤としてのアルコール溶液を供給させる。
アルコール溶液におけるアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノ―ル、2−プロパノ―ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノ−ル及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、溶解性の観点からは、イソプロパノールが好ましい。なお、アルコール溶液は水を含有してもよい。アルコール溶液は、例えば、水を5〜95重量%含むことができる。
具体的には、図4で示したように、供給部30を用いてガス流路25にアルコール溶液を供給させる。
ガス流路25に供給するアルコール溶液の量は、プロトン伝導性ポリマーを溶解するだけの量があればよい。供給時のアルコール溶液の温度は、プロトン伝導性ポリマーが溶解する温度であればよい。溶解する温度が溶媒の常圧での沸点を超えていれば、加圧下で溶解させてもよい。供給時のアルコール溶液の温度は、特に限定されるものではないが、通常、室温である25℃〜100℃の範囲内である。アルコール溶液はガス流路25内で循環されるのが好ましい。アルコールをガス流路25内で循環させる循環時間は、プロトン伝導性ポリマーが完全に溶解するのに必要な時間であればよく、循環させるアルコール溶液にも依るが、通常、5分〜1日程度である。なお、溶解を速めるために、アルコール溶液供給時、燃料電池スタック100に超音波照射等を行ってもよい。
供給後のアルコール溶液には、電解質膜11及び触媒層21に含まれていたプロトン伝導性ポリマーが溶解されているため、公知のプロトン伝導性ポリマーの精製工程に供給され、回収することができる。
(有機化合物の回収例)
次に、有機化合物を回収するステップの一例を説明する。
有機化合物は、膜電極接合体14における電解質膜11、マイクロポーラス層22b及びシール部23等から回収される。
本発明の実施の形態1における有機化合物とは、膜電極接合体14を構成する、プロトン伝導性ポリマー以外の有機化合物をいう。本発明の実施の形態1における有機化合物には樹脂も含まれる。有機化合物としては、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム、オレフィン系ゴム、ジエン系ゴム等に含まれる樹脂;ポリエチレンナフタレート;ポリエチレンテレフタレート;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルスルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド;ポリプロピレン;ポリイミド;ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。なかでも、汎用的に用いられている観点から、ポリフッ化ビニリデンを回収の対象とするのが好ましい。
有機化合物を回収するには、ガス流路25に、溶剤としての非プロトン性溶媒を供給させる。
非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。なかでも、溶解性の観点から、1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルホルムアミドが好ましい。
具体的には、図4で示したように、ガス流路25に溶剤としての非プロトン性溶媒を供給させる。ガス流路25に供給する非プロトン性溶媒の量、温度及び循環時間等は特に限定されるものではなく、回収の対象となる有機化合物の種類や量等にあわせて適宜選択することができる。
供給後の非プロトン性溶媒には、有機化合物が溶解されているため、公知の有機化合物の精製工程に供給され、回収することができる。
(加熱処理により、フッ素樹脂、カーボン及び貴金属以外の金属を回収するステップ)
図3に示すステップS12は、ステップS11後の燃料電池スタック100から、加熱処理により、フッ素樹脂、カーボン及び貴金属以外の金属を回収するステップである。このステップでは、燃料電池スタック100を加熱処理させることにより、対象とする材料を選択的に回収する。
(フッ素樹脂の回収例)
まず、フッ素樹脂を回収する方法の一例を説明する。
フッ素樹脂は、膜電極接合体14における電解質膜11及びマイクロポーラス層22b等から回収する。
回収の対象となるフッ素樹脂としては、膜電極接合体を構成するものであれば特に限定されない。汎用的に使用されている観点からは、ポリテトラフルオロエチレンを回収の対象とするのが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレンホモポリマー及び変性ポリテトラフルオロエチレンを含む。変性ポリテトラフルオロエチレンは、単量体成分としてテトラフルオロエチレン及び少量の変性モノマーを含有し、共重合することにより得られる共重合体をいう。変性モノマーとしては、テトラフルオロエチレンとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、パーフルオロオレフィン、クロロトリフルオロエチレン、ハイドロフルオロオレフィン、パーフルオロビニルエーテル等が挙げられる。
具体的には、ステップS11後の燃料電池スタック100を、300℃以上の温度で加熱処理することにより、フッ素樹脂を溶融して溶融液を得る。溶融液は公知のフッ素樹脂の精製工程に供給され、フッ素樹脂を回収することができる。加熱温度の上限は、膜電極接合体14形成時等の焼成に通常用いられる温度であれば、特に限定されない。加熱温度の上限は、例えば500℃である。
(カーボンの回収例)
次に、カーボンを回収する方法の一例を説明する。
カーボンは、膜電極接合体14における触媒層21及びガス拡散層22等から回収する。なお、カーボンは二酸化炭素や一酸化炭素等のガス状生成物として回収する。
具体的には、ステップS11後の燃料電池スタック100を、酸素条件下600℃以上の温度で加熱処理することにより、カーボンが酸化され、二酸化炭素及び一酸化炭素ガスを含むガス状生成物を得る。このガス状生成物は、気体であることを利用して公知の方法により回収することができる。加熱温度の上限は、特に限定されないが、例えば、900℃である。
ガス状生成物から二酸化炭素及び一酸化炭素を回収する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。ガス状生成物から二酸化炭素を回収する方法としては、例えば、吸着剤を利用して分離する方法、アミンのような二酸化炭素と化学反応を起こす物質を用いて二酸化炭素を吸収し回収する化学吸収法、物理的な溶解現象を利用して分離する物理吸収法等が挙げられる。ガス状生成物から一酸化炭素を回収する方法としては、例えば、深冷分離法等が挙げられる。
(貴金属以外の金属の回収例)
次に、貴金属以外の金属を回収する方法の一例を説明する。
貴金属以外の金属は、セパレータ15等から回収する。
貴金属以外の金属としては、例えば、銅(Cu)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等が挙げられる。なかでも、汎用的に用いられている観点から、鉄、クロム、ニッケル及びチタン等を回収の対象とするのが好ましい。
ステップS11後の燃料電池スタック100を、1000℃以上の温度で加熱処理することにより、貴金属以外の金属を溶融する。溶融した貴金属以外の金属は、公知の精製工程に供給され、回収することができる。加熱温度の上限は、特に限定されない。加熱処理は真空又は不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
以上説明した本発明の実施の形態1に係る方法は、燃料電池スタック100を解体する工程が不要な非破壊の方法であるため、回収施設においてはインラインプロセス処理等の効率的な処理を行うことが可能となる。
図5は、本発明の実施の形態1に係る、回収施設における燃料電池スタックを構成する材料の回収方法の一例を説明するための図である。
図5に示すように、例えば、チャンバー50に格納された燃料電池スタック100は、回収処理ライン60によって一定の方向に移動される。移動中の燃料電池スタック100は、ステップS11等の方法を用いて、貴金属、プロトン伝導性ポリマー及び有機化合物等の材料が回収される。材料の回収がどの程度完了したかは公知の方法を用いてインラインでモニターすることができる。このように、回収施設において、本発明の実施の形態1に係る方法を用いることで効率的に燃料電池スタックを構成する材料を回収することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
100・・・燃料電池スタック、2・・・集電板、3・・・絶縁板、4・・・エンドプレート、5・・・流路接続部、10・・・燃料電池セル、14・・・膜電極接合体、15・・・セパレータ、11・・・電解質膜、12・・・アノード、13・・・カソード、21・・・触媒層、22・・・ガス拡散層、23・・・シール部、25・・・ガス流路

Claims (7)

  1. 燃料電池セル(10)を複数積層したスタック構造を有する燃料電池スタック(100)から、前記燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法であって、
    前記燃料電池セル(10)は、膜電極接合体(14)と、前記膜電極接合体(14)を挟持する2つのセパレータ(15)とを備え、前記膜電極接合体(14)に原料ガスを供給するガス流路(25)が前記セパレータ(15)に設けられており、
    前記回収方法は、
    前記ガス流路(25)から前記燃料電池スタック(100)に溶剤、又は前記溶剤と反応剤を供給して、前記材料を含有する前記溶剤を回収し、回収した前記溶剤から前記材料を回収する、第1のステップと、
    前記第1のステップ後の前記燃料電池スタック(100)を加熱処理し、得られた溶融液から前記材料を回収する、第2のステップと、を含み、
    回収する前記材料は、前記膜電極接合体(14)及び前記セパレータ(15)を構成する材料を含む、
    燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法。
  2. 回収する前記材料は、前記膜電極接合体(14)又は前記セパレータ(15)を構成する貴金属、前記膜電極接合体(14)を構成するプロトン伝導性ポリマー、有機化合物、フッ素樹脂、又は前記セパレータ(15)を構成する前記貴金属以外の金属、を含む、
    請求項1に記載の燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法。
  3. 前記第1のステップ(S11)は、
    前記ガス流路(25)に、前記反応剤としての酸化剤及び還元剤と、前記溶剤としての電解液とを供給して、前記貴金属を含有する前記電解液を回収し、回収した前記電解液から前記貴金属を回収するステップと、
    前記ガス流路(25)に、前記溶剤としてのアルコール溶液を供給して、前記プロトン伝導性ポリマーを含有する前記アルコール溶液を回収し、回収した前記アルコール溶液から前記プロトン伝導性ポリマーを回収するステップと、を含む、
    請求項2に記載の燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法。
  4. 前記酸化剤がオゾンであり、
    前記還元剤が水素、一酸化炭素、二酸化硫黄又はこれらの混合物を含み、
    前記貴金属が金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム又はオスミウムを含む、
    請求項3に記載の燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法。
  5. 前記第1のステップ(S11)は、
    前記ガス流路(25)に、前記溶剤としての非プロトン性溶媒を供給して、前記有機化合物を含有する前記非プロトン性溶媒を回収し、回収した前記非プロトン性溶媒から前記有機化合物を回収するステップと、をさらに含む、
    請求項3又は4に記載の燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法。
  6. 前記第2のステップ(S12)は、
    前記燃料電池スタックを300℃以上の温度で加熱処理し、得られた溶融液から前記フッ素樹脂又は前記貴金属以外の金属を回収する、
    請求項5に記載の燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法。
  7. 前記プロトン伝導性ポリマーがパーフルオロスルホン酸ポリマーを含み、
    前記有機化合物がポリフッ化ビニリデンを含み、
    前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンを含み、
    前記貴金属以外の金属が鉄、クロム、ニッケル又はチタンを含む、
    請求項2〜6のいずれか1項に記載の燃料電池スタック(100)を構成する材料の回収方法。

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