JP2020012667A - 識別装置、識別方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】生産物の個体を精度よく識別する。【解決手段】光が照射された生産物を撮像した画像を取得する取得部と、取得部で取得した画像から、生産物の内部情報を示す要素の特徴を抽出する抽出部と、特徴を用いて生産物の個体を識別する識別部とを備える識別装置、識別装置に関する識別方法、ならびに、コンピュータを識別装置として機能させるプログラムを提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、識別装置、識別方法およびプログラムに関する。
従来、メロンの表皮パターンを照合することで、個体を識別する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1 特許第6011811号
特許文献1 特許第6011811号
しかし、表皮パターンはキズ等により形状が変化しやすい。また、時間が経過すると果物が熟することで表皮パターンは変色してしまう。このため、表皮パターンを用いて個体を精度よく識別することが難しい場合がある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、光が照射された生産物を撮像した画像を取得する取得部と、取得部で取得した画像から、生産物の内部情報を示す要素の特徴を抽出する抽出部と、特徴を用いて生産物の個体を識別する識別部とを備える識別装置を提供する。
本発明の第2の態様においては、光が照射された生産物を撮像した画像を取得することと、取得した画像から、生産物の内部情報を示す要素の特徴を抽出することと、特徴を用いて生産物の個体を識別することとを備える識別方法を提供する。
本発明の第3の態様においては、コンピュータに第2の態様に係る識別方法を実行させるためのプログラムを提供する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る識別装置100の一例を示すブロック図である。識別装置100は、光が照射された生産物300を撮像した画像に基づいて、生産物300の個体を識別する。生産物300は、一例として果物等の農作物であるが、これに限定されない。生産物300は、内部構造の形状等が個体によって異なる植物または動物を含んでよく、植物または動物の少なくとも一部を加工したものを含んでよい。さらに、生産物300は、樹脂成型品等の工業生産物を含んでもよい。なお生産物300には、人体は含まれない。
識別装置100は、取得部10、抽出部20および識別部30を備える。識別装置100は、一例としてCPU、メモリおよびインターフェース等を備えるコンピュータである。取得部10は、光が照射された生産物300を撮像部200により撮像した画像を取得する。撮像部200は、生産物300の一方の面から入射した光が、生産物300の内部を通過して生産物300の逆側の面から射出した光を受光することで、内部散乱光を受光してよい。他の例では撮像部200は、生産物300の一方の面から入射した光が、生産物300の内部において散乱して生産物300の当該面から射出した光を受光することで、内部散乱光を受光してよい。
本例の取得部10は、撮像部200が撮像した画像を取得する。撮像部200は、照射部210が生産物300に照射した光が、生産物300を介して撮像部200に到達する光に応じた画像を撮像する。本例の撮像部200は受光素子202を有する。
受光素子202は、2次元に配列された複数の画素を備え、生産物300の2次元画像を撮像する。受光素子202に含まれるセンサは、CCDまたはCMOS等のイメージセンサであってよい。受光素子202は、照射部210が照射する光の波長帯域に感度を有する。受光素子202は、少なくとも生産物300の内部で散乱した内部散乱光を受光する。
照射部210は、取得すべき生産物300の内部情報に対応する波長帯域の光を照射する。例えば、生産物300が柑橘系果物であり、生産物300の内部情報として油胞の情報を取得する場合、照射部210は、当該油胞における吸光度と、他の領域における吸光度との差異が大きい波長帯域の光を照射してよい。照射部210は、近赤外帯域の波長の光を照射してよい。他の例では、照射部210は、可視帯域の波長の光を照射してもよく、他の帯域の波長の光を照射してもよい。
図1に示す例においては、照射部210と撮像部200は、互いの間に生産物300が位置するように設けられている。なお、照射部210と撮像部200との間に生産物300が位置するとは、照射部210が照射した光が生産物300の一方の面に入射し、且つ、生産物300の他方の面から射出した光が撮像部200に受光されるような配置を指す。照射部210、撮像部200および生産物300は、直線上に配置されていてもよいが、直線上に配置されていなくともよい。
抽出部20は、取得部10で取得した画像から、生産物300の内部情報を示す要素の特徴を抽出する。一例として内部情報を示す要素は、上述した油胞であるが、当該要素は油胞に限定されない。例えば、生産物300が樹脂成型品である場合は、内部に存在する黒点やボイド等を要素としてもよい。生産物300の内部情報を示す要素とは、生産物300の表面よりも内部に存在する要素である。当該要素よりも外側に、少なくとも生産物300の最も外側の表皮が存在してよい。当該要素は、生産物300の表面から視認可能な要素であってもよい。抽出部20は、例えば要素の明るさや分布の少なくとも一つを特徴として抽出してもよい。
識別部30は、抽出部20が抽出した特徴に基づいて、生産物300の個体を識別する。識別部30は、記憶部230に記憶されているデータに基づいて、生産物300の個体を識別してよい。記憶部230には、生産物300の個体毎に割り当てられた番号等の個体識別子と、特徴とが対応付けられた対応情報が記憶されている。識別部30は、抽出部20が抽出した特徴に対応する個体識別子を、記憶部230に記憶された対応情報から抽出してよい。
記憶部230は、識別装置100とは独立したデータベースであってよく、識別装置100に含まれるデータベースであってもよい。識別装置100は、新たな個体を記憶部230に登録してもよい。この場合、抽出部20は、特徴と個体識別子とを対応付けて記憶部230に記憶されている対応情報に登録する。例えば、生産物300が柑橘系果物の場合、収穫時等に個体の特徴を登録しておくと、その後の出荷、流通、販売等において、同様の識別装置100を用いて個体を識別することができる。
また、識別装置100は、記憶部230に記憶されている対応情報を用いずに、機械学習を用いて生産物300を識別してもよい。この場合、識別装置100は、識別装置100の内部または外部に学習部を有する。学習部は、一例として畳み込みニューラルネットワーク(CNN)等の学習アルゴリズムに複数の画像を教師データとして入力することで、学習モデルを作成する。識別部30は、この学習モデルを用いて、取得部10が取得した画像に含まれる生産物300の個体を識別する。なお、識別装置100は、時期(収穫、生産または画像取得等の時期)、場所(産地)、品種等のグループ毎に生産物300の特徴に傾向がある場合、機械学習によってグループを識別してもよい。
また、図1に示した識別装置100は、撮像部200および照射部210を含んでいないが、他の例における識別装置100は、撮像部200および照射部210を含んでいてもよい。この場合、識別装置100は、撮像部200および照射部210を含む撮像装置と、取得部10、抽出部20および識別部30として機能するコンピュータとを備えてよい。
図2は、取得部10が取得する画像310の一例を示す模式図である。本例の生産物はレモン等の柑橘系果物である。抽出部20は、画像310から、生産物300の所定の成分を示す領域を、内部情報を示す要素として抽出する。本例における当該要素は、柑橘系果物の表皮近傍における油胞312である。
照射部210は、油胞312における吸光度が、他の表皮部分における吸光度よりも低い波長帯域の光を照射してよい。油胞312には、リモネン等の油成分が含まれている。照射部210は、当該油成分における吸光度が低い波長帯域の光を出射してよい。本例の画像310においては、油胞312の部分が比較的に明るくなる。抽出部20は、画像310において、予め定められた大きさ以下の輝点を抽出することで、油胞312を抽出してよい。抽出部20は、生産物300の種類毎に、当該大きさを変化させてよい。
画像310における油胞312の明るさ、および、大きさ等の特性は、油胞312毎に異なっている。例えば、画像310における油胞312の明るさは、油胞312に含まれる成分等に応じて定まる。なお図2においては、油胞312の明るさ、および、大きさを模式的に一様に表示している。また、油胞312の配置パターンは、生産物300によって異なる。識別部30は、油胞312等の、生産物300の内部情報を示す要素の分布形状に基づいて、生産物300の個体を識別する。これにより、識別のためのシール等を生産物300に貼る必要がなく、また、生産物300の表面の傷や変色、汚れによって個体を誤識別することもないので、生産物300の個体識別を容易に行えるとともに、識別の精度を向上することができる。
図3は、抽出部20における抽出処理の一例を示す図である。本例の抽出部20は、画像310に含まれる要素のうち、所定の条件を満たす要素を抽出して、抽出した要素に基づいて生産物300の個体を識別する。本例における当該要素は油胞312である。
本例の抽出部20は、画像310における明るさに基づいて、複数の油胞312を選別する。抽出部20は、予め定められた明るさ以上の油胞312を選別してよく、明るい方から順番に予め定められた個数の油胞312を選別してもよい。図3の例においては、抽出部20が選別した油胞314を黒点で示している。
画像310における油胞312間の相対的な明るさは、比較的長い期間経過後に再度撮像した画像310においても変化が少ない。つまり、他の油胞312よりも明るい油胞312は、長期間経過後も他よりも明るい油胞312として撮像される。このため、明るさに基づいて選別した油胞312を用いて個体を識別することで、記憶部230に登録した画像を撮像してから長い期間経過した場合であっても、精度よく個体を識別できる。
また抽出部20は、明るさ以外の特性に基づいて、油胞314を選別してもよい。抽出部20は、画像310における面積に基づいて油胞314を選別してもよい。また抽出部20は、明るさおよび大きさの両方に基づいて油胞314を選別してもよい。
本例の識別部30は、抽出部20が選別した複数の油胞314の分布形状を用いて、生産物300の個体を識別する。複数の油胞314の分布形状とは、例えば、それぞれの油胞314の相対位置を示す座標等の情報を含む。識別部30は、複数の油胞314の分布形状との一致度が最も高い分布形状を、記憶部230から抽出してよい。
図4は、複数の油胞314の分布形状の一例を示す図である。本例における識別部30は、画像310において複数の油胞314を所定の規則で接続した複数の直線316を、当該分布形状として用いる。例えば直線316は、画像310において、それぞれの油胞314を、予め定められた距離内にある他の油胞314と接続する。
記憶部230は、生産物300の個体毎に、複数の直線316により構成された図形を記憶してよい。識別部30は、当該図形の一致度が最も高い個体を、記憶部230から抽出する。このような処理により、個体の識別を効率よく行うことができる。
図5は、撮像部200および照射部210の配置例を示す図である。本例の照射部210および撮像部200は、生産物300に対して同一の側に配置されている。つまり、本例の撮像部200は、照射部210が光を照射した生産物300の面を撮像する。この場合、受光素子202は、生産物300の表面近傍における内部散乱光を受光する。このため、生産物300の表面近傍における内部情報を精度よく取得できる。
図6は、図5の例における照射部210が照射する光の平面パターンを示す図である。本例の照射部210は、明暗の空間的なパターンを有するパターン光216を生産物300に照射する。パターン光216は、明領域212と、暗領域214とを有する。明領域212は、照射部210が照射する光の強度が、暗領域214よりも高い領域である。暗領域214における光の強度はゼロであることが好ましい。
本例の明領域212および暗領域214は、直交する2つの軸に沿って、交互に配置されている。つまり、それぞれの暗領域214は、4つの明領域212により囲まれている。換言すれば、明領域212および暗領域214は、市松模様を構成する。
撮像部200は、照射部210からの光が照射された生産物300の照射領域が撮像可能な位置に設けられている。撮像部200は、パターン光216のうち、暗領域214から受光した光を内部散乱光として受光する。それぞれの明領域212に入射した光は、生産物300の内部で散乱して、内部散乱光の一部が隣接する暗領域214から射出する。暗領域214においては、生産物300の表面で反射する反射光の成分がほぼゼロであるので、暗領域214からの光を内部散乱光として用いることができる。
照射部210は、明領域212および暗領域214が反転するように、時分割でパターン光216を照射してよい。この場合、撮像部200は、それぞれのパターン光216に対して、暗領域214からの光を内部散乱光として受光する。これにより、生産物300の表面の全ての領域について、内部散乱光を受光できる。
なお、明領域212および暗領域214の大きさは、油胞312よりも小さくてよい。これにより、それぞれの油胞312を精度よく抽出できる。照射部210は、明領域212および暗領域214の大きさを、生産物300の種類に応じて変化させてよい。他の例では、照射部210は、パターン光216を照射する位置を順次ずらしてもよい。パターン光216をずらして撮像した画像を合成することで、明領域212および暗領域214の解像度を向上できる。パターン光216のずらし幅は、油胞312の幅よりも小さくてよい。照射部210は、パターン光216のずらし幅を、生産物300の種類に応じて変化させてよい。
図7は、撮像部200および照射部210の構成例を示す図である。本例の撮像部200は、予め定められた方向に移動する生産物300を撮像する。例えば生産物300は、ベルトコンベア等により所定の方向に移動する。図7の例では、生産物300が移動する方向をx軸方向とする。
撮像部200は、生産物300を異なる複数の視点から撮像する。本例の撮像部200は、x軸方向に移動する生産物300を、x軸方向とは異なる方向から異なる複数のタイミングで撮像する。これにより、撮像部200および生産物300の相対位置が異なる複数の状態で、生産物300を撮像できる。本例の撮像部200は、x軸とは垂直なy軸方向から生産物300を撮像しているが、撮像部200の撮像方向はy軸方向に限られない。
照射部210は、複数の光源211を有する。照射部210は、移動する生産物300に対して、時分割でそれぞれの光源211を発光させる。それぞれの光源211は、x軸方向における生産物300の中心が、光源211の前方を通過するタイミングで、生産物300に光を照射してよい。撮像部200は、それぞれの光源211が光を照射したタイミングに合わせて画像310を撮像する。図7の例では、光源211が撮像部200とは逆側に配置されているが、他の例では、光源211と撮像部200は、生産物300に対して同一の側に配置されていてもよい。
取得部10は、撮像部200が異なる視点から撮像した複数の画像310を取得する。抽出部20は、複数の画像310において、上述した要素(例えば油胞314)を抽出する。抽出部20は、少なくとも2つの画像310の間において、それぞれの要素をマッチングする。抽出部20は、2つの画像310間において対応する要素間の位置ずれ量に基づいて、生産物300の3次元形状を算出する。
識別部30は、生産物300の3次元形状を特徴として用いてよい。つまり識別部30は、生産物300の3次元形状から、生産物300の個体を識別してよい。この場合、記憶部230には、それぞれの個体の3次元形状と、個体識別子とが対応付けられた対応情報が記憶されている。
また、抽出部20は、生産物300の3次元形状に基づいて、画像撮像時における生産物300の姿勢を推定し、上述した要素(例えば油胞314)の分布の歪を補正してもよい。この場合、識別部30は、補正後の要素の分布形状に基づいて、生産物300の個体を識別する。
図8は、図7の例において撮像された2つの画像310に含まれる要素の分布例を示す図である。図8においては、第1の画像310に含まれる油胞314の分布と、第2の画像310に含まれる油胞315の分布を示している。なお、2つの画像310における生産物300の外形は、視差に応じて異なるが、図8においては模式的に共通の外形を用いている。
抽出部20は、パターンマッチング等により、それぞれの油胞314と、それぞれの油胞315とを対応付ける。抽出部20は、対応する油胞314および油胞315の、生産物300における相対位置を算出する。抽出部20は、それぞれの画像310における生産物300の中心を基準として、油胞314および油胞315の相対位置を算出してよい。
抽出部20は、対応する油胞314および油胞315の位置ずれ量Dに基づいて、それぞれの油胞の場所における、生産物300の奥行方向(Y方向)の位置を算出する。抽出部20は、生産物300の表皮内でそれぞれの油胞が位置する深さがほぼ等しいとして、それぞれの画像310における生産物300の位置の差(視差)を用いて、生産物300の表面の凹凸を算出してよい。
図9は、撮像時における生産物300の姿勢の一例を示す図である。抽出部20は、生産物300の3次元形状から生産物300のxy面における姿勢を推定する。xy面は、例えば撮像部200の撮像方向および生産物300の移動方向の両方に平行な面である。抽出部20には、生産物300の種類が予め設定されてよい。抽出部20は、生産物300の種類に対応する3次元形状のテンプレートデータが予め設定されてよい。抽出部20は、テンプレートデータと、画像310に基づいて抽出した3次元形状とに基づいて、生産物300の姿勢を推定してよい。
テンプレートデータには、図9に示すような、生産物300のxy面における形状データが含まれてよい。抽出部20は、y軸方向(撮像部200における撮像方向)において最も撮像部200側に突出している生産物300の突出点318の位置を、画像310から抽出する。抽出部20は、テンプレートデータに基づいて、突出点318が当該位置となるような生産物300の姿勢を推定する。姿勢を示す情報には、xy面における生産物300の長手方向の軸320または短手方向の軸322の、少なくとも一方の軸の方向が含まれてよい。
図10は、生産物300の姿勢に基づく、要素の分布形状の補正方法の一例を示す図である。上述したように、抽出部20は、画像310における突出点318の位置に基づいて生産物300の姿勢を推定する。抽出部20は、画像310において、予め設定される基準位置と、突出点318の位置とから、撮像時における生産物300の姿勢を推定してよい。基準位置は、軸320とx軸方向とが平行な場合に、突出点318が配置されるべき位置である。当該基準位置は、生産物300の種類毎に、抽出部20に設定されていてよい。他の例では、抽出部20は、各画像310における生産物300の中心位置を基準位置としてもよい。
図9に示したように、x軸方向に対する軸320の傾きが大きくなるほど、画像310における基準位置と、突出点318との位置ずれは大きくなる。抽出部20は、位置ずれ量から、軸320の傾きを算出してよい。抽出部20には、当該位置ずれ量と、当該傾きとの関係が予め与えられていてよい。抽出部20は、複数の画像310から抽出した生産物300の3次元形状を用いて、当該位置ずれ量から当該傾きを推定してもよい。
本例の抽出部20は、推定した生産物300の姿勢に基づいて、画像310における各要素(油胞314)の位置を補正する。抽出部20は、生産物300の姿勢を、所定の基準姿勢に変換した場合の、それぞれの油胞314の位置を補正してよい。基準姿勢は、例えば軸320がx軸と平行となる姿勢であるが、これに限定されない。それぞれの油胞314の画像310における移動方向および移動量は、軸320とx軸との成す角度と、生産物300の3次元形状から算出できる。
抽出部20は、生産物300の姿勢に基づいて位置を補正した油胞317の分布形状を、識別部30に通知する。識別部30は、補正後の油胞317の分布形状に基づいて、生産物300の個体を識別する。本例の記憶部230には、基準姿勢における要素の特徴が記憶されている。
なお、複数の光源211は、それぞれが同一の分光特性を有してよい。この場合、それぞれの光源211は、少なくとも油胞312等の要素を検出できる波長帯域を含む光を照射する。
他の例では、一部の光源211は他の光源211と異なる分光特性を有してよく、それぞれの光源211が異なる分光特性を有してもよい。例えば、2つの光源211は、油胞312を検出するのに適した分光特性を有しており、他の光源211は、生産物300の他の要素を検出するのに適した分光特性を有してもよい。例えば他の光源211は、油胞312よりも深い位置の要素を検出するのに適した分光特性を有する。
油胞312を検出するのに適した分光特性を有する2つの光源211は、最初と最後に発光する位置に設けられてよい。これにより、2つの画像310の視差量を大きくして、生産物300の凹凸が検出しやすくなる。また、油胞312の位置に基づいて生産物300の姿勢を推定しつつ、生産物300の他の要素を検出できる。
また、光源211の分光特性が異なる場合、抽出部20は、それぞれの画像310における要素の輝度を、光源211の分光特性に応じて補正してもよい。つまり、抽出部20は、光源211の分光特性の相違による輝度差を低減するように、それぞれの画像310における要素の輝度を補正してよい。
また照射部210は、生産物300の種類に応じて、それぞれの光源211の分光特性を制御してもよい。照射部210は、生産物300の種類に応じて、油胞312を検出しやすい分光特性を選択してよい。照射部210は、生産物300の種類毎に、選択すべき分光特性が予め指定されていてよい。
また、撮像部200は、生産物300の全周分の画像310を撮像してよい。例えば撮像部200は、連続的にまたは間欠的に回転しながら移動する生産物300を撮像してよい。図3等においては、生産物300を一つの方向から見た面における油胞314を示していたが、他の例では、抽出部20は、生産物300の全周分の画像310を展開した展開図における油胞314の位置を用いて、画像310を抽出してよい。
また、記憶部230には、生産物300の各個体について、全周分の画像310が記憶されていてよい。生産物300の個体を識別する場合、取得部10は、生産物300を一つの方向から見た画像310を取得してよい。識別部30は、当該画像310における油胞314の分布形状に基づいて、対応する個体を記憶部230から抽出してよい。
また、取得部10は、光源211の分光特性を各画像310に対応付けて取得してよい。抽出部20は、光源211の分光特性に基づいて、各画像310を補正してよい。抽出部20は、所定の基準分光特性と、画像310に対応して取得した分光特性との相違に基づいて、各画像310を補正してよい。つまり抽出部20は、画像310を、基準分光特性の光を用いて撮像された場合の画像に補正する。抽出部20は、補正後の画像310に基づいて、要素(油胞314)を選別してよい。
図11は、識別装置100の動作の概要を示すフローチャートである。まず取得部10が、光が照射された生産物300を撮像した画像310を取得する(S1102)。次に、抽出部20が、画像310から、生産物300の内部情報を示す要素の特徴を抽出する(S1104)。特徴は、図3または図4に示したように、油胞312等の要素の分布形状であってよい。特徴には、各油胞312の明るさの絶対値を示す情報が含まれていてよく、各油胞312の相対的な明るさを示す情報が含まれていてもよい。
次に、識別部30が、特徴を用いて生産物300の個体を識別する(S1106)。識別部30は、記憶部230に記憶された特徴および個体識別子の組み合わせから、対応する個体識別子を抽出してよい。
図12は、本発明の他の実施形態に係る情報管理システム700の一例を示すブロック図である。情報管理システム700は、端末500と情報管理装置600とを備える。情報管理装置600は、図1から図11において説明した識別装置100として機能する。端末500は、識別すべき生産物300の画像を、情報管理装置600に送信し、識別結果を情報管理装置600から受信する。
一例として情報管理装置600は、生産物300の出荷元が管理するサーバーである。また端末500は、生産物300の複数の出荷先が管理するコンピュータである。情報管理装置600は、ネットワーク702を介して1つまたは複数の端末500に接続される。ネットワーク702はインターネットであってよい。
端末500は、端末側データ送信部502、端末側データ取得部504、取得部501および識別結果通知部505を備える。取得部501は、撮像部200から生産物300の画像を取得する。
端末側データ送信部502は、取得部501が取得した画像を、ネットワーク702を介して情報管理装置600に送信する。他の例では、端末側データ送信部502は、図3に示したように、画像に含まれる要素を所定の条件で選別した結果を、情報管理装置600に送信してもよい。端末側データ送信部502が送信する情報には、端末500を識別する情報が付されていることが好ましい。
情報管理装置600は、管理装置側データ送信部602、管理装置側データ取得部604、取得部10、抽出部20、識別部30および記憶部230を備える。取得部10、抽出部20、識別部30および記憶部230は、図1から図11において説明した取得部10、抽出部20、識別部30および記憶部230と同様の機能を有する。
記憶部230には、例えば出荷前における生産物300を撮像した画像から抽出した特徴と、当該生産物300の個体を示す個体識別子が対応付けて記憶されている。取得部10は、撮像部200が生産物300を撮像した画像を取得してよい。抽出部20は、当該画像から特徴を抽出して、記憶部230に登録してよい。また、記憶部230には、生産物300の各個体に関する情報が記憶されていてもよい。例えば各個体に関する情報は、産地、生産者、当該個体の糖度等の品質を含んでよい。
管理装置側データ取得部604は、個体を識別すべき生産物300の画像を、端末500から受け取り、取得部10に通知する。端末500から受け取った画像に対する、取得部10、抽出部20、識別部30および記憶部230の動作は、図1から図11において説明した取得部10、抽出部20、識別部30および記憶部230と同様である。
管理装置側データ送信部602は、識別部30が識別した個体に関する情報を、端末500に送信する。個体に関する情報には、個体識別子、産地、生産者、当該個体の糖度等の情報が含まれてよい。端末側データ取得部504は、情報管理装置600からこれらの情報を取得する。識別結果通知部505は、端末側データ取得部504が取得した情報を、管理者に通知する。識別結果通知部505は、当該情報を表示する表示部であってよい。このような構成により、それぞれの端末500が取得した画像に基づいて、生産物300の個体を識別できる。
図13は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。当該機能は、FPGAで実装してもよい。一例としてプログラムは、コンピュータ1200を、識別装置100、端末500および情報管理装置600のうちのいずれかとして機能させる。
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD−ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD−ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD−ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
プログラムが、DVD−ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD−ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD−ROMドライブ1226(DVD−ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10・・・取得部、20・・・抽出部、30・・・識別部、100・・・識別装置、200・・・撮像部、202・・・受光素子、210・・・照射部、211・・・光源、212・・・明領域、214・・・暗領域、216・・・パターン光、230・・・記憶部、300・・・生産物、310・・・画像、312・・・油胞、314・・・油胞、315・・・油胞、316・・・直線、317・・・油胞、318・・・突出点、320・・・軸、322・・・軸、500・・・端末、501・・・取得部、502・・・端末側データ送信部、504・・・端末側データ取得部、505・・・識別結果通知部、600・・・情報管理装置、602・・・管理装置側データ送信部、604・・・管理装置側データ取得部、700・・・情報管理システム、702・・・ネットワーク、1200・・・コンピュータ、1201・・・DVD−ROM、1210・・・ホストコントローラ、1212・・・CPU、1214・・・RAM、1216・・・グラフィックコントローラ、1218・・・ディスプレイデバイス、1220・・・入出力コントローラ、1222・・・通信インターフェース、1224・・・ハードディスクドライブ、1226・・・DVD−ROMドライブ、1230・・・ROM、1240・・・入出力チップ、1242・・・キーボード
Claims (14)
- 光が照射された生産物を撮像した画像を取得する取得部と、
前記取得部で取得した画像から、前記生産物の内部情報を示す要素の特徴を抽出する抽出部と、
前記特徴を用いて前記生産物の個体を識別する識別部と
を備える識別装置。 - 前記抽出部は、前記画像から、前記生産物の予め定められた成分を示す領域を前記要素として抽出する
請求項1に記載の識別装置。 - 前記生産物は、柑橘系果物であり、
前記抽出部は、前記生産物の油胞を前記要素として抽出する
請求項1または2に記載の識別装置。 - 前記抽出部は、前記要素の明るさに応じて前記要素を選別し、
前記識別部は、選別された要素の分布形状を用いて識別する
請求項1から3のいずれか一項に記載の識別装置。 - 前記生産物の個体毎に割り当てられた個体識別子と、前記特徴とが対応付けられた対応情報が記憶される記憶部を備え、
前記識別部は、前記抽出部が抽出した特徴に対応する個体識別子を前記対応情報から識別する
請求項1から4のいずれか一項に記載の識別装置。 - 前記生産物に光を照射する照射部と、
前記生産物に照射された光のうち、少なくとも前記生産物の内部で散乱した内部散乱光を受光する受光素子を有する撮像部と
をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の識別装置。 - 前記照射部と前記撮像部は、互いの間に前記生産物が位置するように設けられ、
前記撮像部は、前記照射部から照射されて前記生産物を通過した光を前記内部散乱光として受光する
請求項6に記載の識別装置。 - 前記照射部は、明暗の空間的なパターンを有するパターン光を前記生産物に照射し、
前記撮像部は、前記照射部からの光が照射された前記生産物の照射領域が撮像可能な位置に設けられ、前記パターン光のうち暗領域から受光した光を前記内部散乱光として受光する
請求項6に記載の識別装置。 - 前記取得部は、前記生産物を異なる視点から撮像した複数の前記画像を取得し、
前記抽出部は、前記複数の画像でそれぞれ対応する前記要素をマッチングすることにより、前記複数の画像から前記生産物の3次元形状を前記特徴として算出する
請求項1から5のいずれか一項に記載の識別装置。 - 前記抽出部は、前記3次元形状から前記生産物の姿勢を推定し、前記生産物の姿勢に基づいて前記画像内の前記要素の分布の歪みを補正する
請求項9に記載の識別装置。 - 前記生産物に光を照射する複数の光源を有する照射部と、
前記画像を撮像する撮像部をさらに備え、
前記照射部は、前記複数の光源に対して前記生産物が移動する際に、前記複数の光源をそれぞれ時分割で照射させて、
前記撮像部は、前記複数の光源が照射したタイミングに合わせて前記複数の画像を撮像する
請求項9または10に記載の識別装置。 - 前記複数の光源は、それぞれが異なる分光特性を有する
請求項11に記載の識別装置。 - 光が照射された生産物を撮像した画像を取得することと、
取得した前記画像から、前記生産物の内部情報を示す要素の特徴を抽出することと、
前記特徴を用いて前記生産物の個体を識別することと
を備える識別方法。 - コンピュータに請求項13に記載の識別方法を実行させるためのプログラム。
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JP2018133469A JP2020012667A (ja) | 2018-07-13 | 2018-07-13 | 識別装置、識別方法およびプログラム |
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WO2022182191A1 (ko) * | 2021-02-26 | 2022-09-01 | 농업회사법인 아이오크롭스 주식회사 | 수확 대상 과실 판단 방법 및 과실 수확 장치. |
-
2018
- 2018-07-13 JP JP2018133469A patent/JP2020012667A/ja active Pending
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