以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」)を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、各実施形態において説明する内容は、原則として、他の実施形態においても同様に適用することができる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1と、傾斜磁場コイル2と、傾斜磁場電源3と、寝台4と、寝台制御部5と、送信コイル6と、送信部7と、受信コイル8と、受信部9と、シーケンス制御部10と、計算機20とを備える。なお、MRI装置100に、図1において点線の枠内に示す被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御部10及び計算機20内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
静磁場磁石1は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石1は、例えば、永久磁石である。なお、静磁場磁石1は、超伝導磁石でもよい。静磁場磁石1が超伝導磁石である場合、MRI装置100は、図示しない静磁場電源を備え、この静磁場電源が、静磁場磁石1に電流を供給する。このとき、静磁場磁石1は、静磁場電源から電流の供給を受けて励磁する。また、静磁場電源は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されたコイルであり、静磁場磁石1の内側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源3から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル2によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及び読み出し用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、寝台制御部5による制御の下、天板4aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、計算機20による制御の下、寝台4を駆動して天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部7は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル6に供給する。
受信コイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、適宜「MR信号」)を受信する。受信コイル8は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部9へ出力する。
なお、上述した送信コイル6及び受信コイル8は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
受信部9は、受信コイル8から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部9は、受信コイル8から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部9は、生成したMRデータをシーケンス制御部10へ送信する。なお、受信部9は、静磁場磁石1や傾斜磁場コイル2等を備える架台装置側に備えられてもよい。
シーケンス制御部10は、計算機20から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信部7が送信コイル6に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部9がMR信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御部10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
なお、シーケンス制御部10は、傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部9からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機20へ転送する。
計算機20は、MRI装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。計算機20は、インタフェース部21と、画像生成部22と、記憶部23と、入力部24と、表示部25と、制御部26とを備える。
インタフェース部21は、シーケンス情報をシーケンス制御部10へ送信し、シーケンス制御部10からMRデータを受信する。また、インタフェース部21は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶部23に格納する。記憶部23に格納されたMRデータは、制御部26によってk空間に配置される。この結果、記憶部23は、k空間データを記憶する。
画像生成部22は、k空間データを記憶部23から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。
記憶部23は、インタフェース部21によって受信されたMRデータや、制御部26によってk空間に配置されたk空間データ、画像生成部22によって生成された画像データ等を記憶する。また、記憶部23は、断面位置定義情報テーブル23aを記憶する。断面位置定義情報テーブル23aについては、後述する。記憶部23は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
入力部24は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部24は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、キーボード等の入力デバイスである。表示部25は、制御部26による制御の下、各種GUI(Graphical User Interface)や、画像生成部22によって生成された画像等を表示する。表示部25は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
制御部26は、MRI装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、制御部26は、撮像条件の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部10へ送信する。例えば、制御部26は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。なお、制御部26は、後述するように、基準断面像の断面位置の変更をユーザに容易に行わせるための各部を備える。
ここで、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理の概要を説明する。例えば、MRI装置100は、まず、イメージングスキャンにおける基準断面像の収集に先立ち、準備スキャンにおいて、マルチスライス像を収集すると、マルチスライス像を記憶部23に格納し、マルチスライス像から複数の基準断面像の断面位置を自動検出する。より詳細な例を挙げて説明すると、MRI装置100は、マルチスライス像から、対象部位(対象)に関する特徴部位を自動検出し、自動検出した特徴部位の位置を用いて断面位置を算出することにより、断面位置を自動検出する。すなわち、特徴部位の位置によって断面位置が定義される。なお、イメージングスキャンとは、例えば、主に診断に用いられる画像を収集するための撮像(「本撮像」等とも呼ばれる)であり、準備スキャンとは、例えば、典型的にはこのイメージングスキャンに先行して行われる撮像(「準備撮像」等とも呼ばれる)である。
また、マルチスライス像とは、2Dシーケンスによって収集された複数のスライス像からなるデータである。マルチスライス像は、3次元データの一例である。なお、マルチスライス像に代えて、3Dシーケンスによって収集されたボリュームデータを用いることもできる。なお、ここでいう2Dシーケンスは、スライス方向に沿った1つ又は複数の位置について、位相エンコード方向及びリードアウト方向にエンコードを行うことで、2次元の断面画像を収集するパルスシーケンスである。また、3Dシーケンスは、位相エンコード方向及びリードアウト方向だけでなく、スライス方向にもエンコードを行うことで、3次元のボリュームデータを収集するパルスシーケンスである。また、上記2Dシーケンス、3Dシーケンスはリードアウト方向を様々な角度で収集するラジアルスキャンシーケンスでもよい。
そして、MRI装置100は、マルチスライス像から、自動検出した複数の断面位置に対応する基準断面像を生成する。以下、マルチスライス像が、対象部位として「心臓」を含むデータである場合を例に挙げて説明する。そして、MRI装置100は、生成した複数の基準断面像を並べて表示部25に表示させる。図2は、第1の実施形態に係る表示部25の表示領域に表示された複数の基準断面像の一例を示す図である。例えば、MRI装置100は、図2の例に示すように、表示部25の表示領域において、上から1番目の列に、左から右にかけて、体軸横断面像80、左室垂直長軸像81、左室水平長軸像82、左室短軸像83、右室短軸像84を表示させる。また、MRI装置100は、表示部25の表示領域において、上から2番目の列に、左から右にかけて、左室四腔長軸像85、左室二腔長軸像86、左室三腔長軸像87、左室流出路像88、大動脈弁像89を表示させる。また、MRI装置100は、表示部25の表示領域において、上から3番目の列に、左から右にかけて、右室四腔長軸像90、右室二腔長軸像91、右室三腔長軸像92、右室流出路像93、肺動脈弁像94を表示させる。なお、符号「81」〜「94」によって示される画像は、基準断面像であり、符号「80」によって示される画像は、マルチスライス像のうちの一枚のスライス像である。以下、符号「81」〜「94」によって示される上述の各基準断面像について、単に、「基準断面像」と表記する場合がある。また、以下、符号「80」によって示されるスライス像を、単に、「スライス像」と表記する場合がある。
また、図2の例では、心臓に関する特徴部位の位置を示すマークが、スライス像80及び複数の基準断面像81〜94に重畳されている。図2の例において、スライス像80及び複数の基準断面像81〜94において示される黒塗りの四角形のマーク、黒塗りのハート型のマーク、黒塗りの星型のマーク、黒塗りの三角形のマーク、白抜きの四角形のマーク、白抜きのハート型のマーク、白抜きの星型のマーク、白抜きの三角形のマークは、スライス像80及び複数の基準断面像81〜94のそれぞれの断面位置を定義するための特徴部位の位置を示す情報である。例えば、黒塗りの四角形のマークは、心臓の僧帽弁の位置を示す情報である。また、黒塗りの星型のマークは、心臓の左室心尖の位置を示す情報である。また、黒塗りのハート型のマークは、左心室の中心位置(左室中心)を示す情報であり、僧帽弁と左室心尖の位置の中点である。また、白抜きの四角形のマークは、心臓の三尖弁の位置を示す情報である。また、白抜きの星型のマークは、心臓の右室心尖の位置を示す情報である。また、白抜きのハート型のマークは、右心室の中心位置(右室中心)を示す情報であり、三尖弁と右室心尖の位置の中点である。また、白抜きの三角形のマークは、心臓の右室流出路の位置を示す情報である。また、これらのマークは、特徴部位の位置を示す情報の一例でもある。なお、図2の例では、複数の基準断面像81〜94のうち全ての基準断面像が特徴部位に対応するマークを有する場合が示されているが、複数の基準断面像81〜94のうち少なくとも1つの基準断面像が特徴部位に対応するマークを有していればよい。
図2の例において、例えば、左室垂直長軸像81の断面位置は、僧帽弁の位置、左室心尖の位置を通り、かつ頭足方向に平行な断面位置である。すなわち、左室垂直長軸像81の断面位置は、僧帽弁や左室心尖等の特徴部位の位置によって定義される。図2の例において、左室垂直長軸像81には、僧帽弁の位置を示す黒塗りの四角形のマーク、左室心尖の位置を示す黒塗りの星型のマーク、及び、左室中心の位置を示す黒塗りのハート型のマークが重畳されている。他の基準断面像82〜94及びスライス像80においても、同様に、断面位置を定義する特徴部位の位置を示すマークが重畳されている。
また、図2の例において、基準断面像81〜94のそれぞれには、自身の基準断面像の断面位置と、他の断面像の断面位置とが交差する位置を示す交差線のマークが重畳されている。
ここで、複数の基準断面像81〜94のそれぞれにおいて、ユーザは、特徴部位の位置を変更することができる。ユーザによる特徴部位の位置の変更の方法の一例について説明する。例えば、ユーザは、表示部25に表示された複数の基準断面像81〜94のそれぞれにおいて、基準断面像の断面位置を定義する特徴部位の位置を指定して変更することができる。更に具体的な例を挙げて説明すると、ユーザは、複数の基準断面像81〜94のそれぞれにおいて、基準断面像の断面位置を定義する特徴部位の位置を示すマークを指定して、指定したマークの位置を変更することによって、特徴部位の位置を変更することができる。
ここで、ある基準断面像において特徴部位の位置が変更されると、他の基準断面像の断面位置が変更される場合がある。この場合について図3を参照して説明する。図3は、第1の実施形態において、ある基準断面像において、特徴部位の位置が変更されると、他の基準断面像の断面位置が変更される場合の一例を説明するための図である。図3の例は、ユーザが入力部24のマウスを操作してポインター24aを左室垂直長軸像81上の黒塗りの四角形のマークに合わせた状態で、マウスをクリックして黒塗りの四角形のマークを指定することにより僧帽弁を指定し、その後、ポインター24aを移動させて黒塗りの四角形のマークの位置を変更した場合を示す。このように、左室垂直長軸像81における僧帽弁の位置を示すマークの位置を変更すると、僧帽弁の位置が用いられて断面位置が定義される左室水平長軸像82、左室短軸像83、左室四腔長軸像85、左室二腔長軸像86、左室三腔長軸像87及び右室四腔長軸像90の6つの基準断面像の断面位置が変更され、断面位置が変更された後の6つの基準断面像が図3の例に示すように表示される。しかしながら、このままでは、表示されている基準断面像の数(図3の例では、基準断面像の数は「14」)が多いため、ユーザは、左室垂直長軸像81において、僧帽弁の位置を示すマークの位置が変更されたときに、他の複数の基準断面像82〜94のうち、いずれの基準断面像において断面位置が変更されたかを把握することが困難である。
そこで、本実施形態に係るMRI装置100は、ある基準断面像において、位置を変更する対象の特徴部位の位置を示すマークが指定され、指定されたマークの位置が変更された場合に、位置が変更されたマークによって位置が示される特徴部位を用いて断面位置が定義される他の基準断面像を、上述したある基準断面像及び当該他の基準断面像を除く残りの基準断面像と比較して強調して表示(強調表示)させる。また、例えば、MRI装置100は、例えば、マークが指定されなかった場合には、強調表示が行われないようにすることができる。
図4は、第1の実施形態における基準断面像を強調表示させる場合の一例を説明するための図である。例えば、先の図3の例に示すように、左室垂直長軸像81において、僧帽弁の位置を示すマークの位置が変更された場合には、MRI装置100は、図4の例に示すように、左室水平長軸像82、左室短軸像83、左室四腔長軸像85、左室二腔長軸像86、左室三腔長軸像87及び右室四腔長軸像90の6つの基準断面像を、この6つの基準断面像以外の基準断面像81、84、88、91〜94と比較して強調表示させる。なお、図4の例は、強調表示の一例として、上述の6つの基準断面像の枠を太くすることにより、6つの基準断面像を強調した場合を示す。このように、MRI装置100は、ある基準断面像において、位置を変更する対象の特徴部位の位置を示すマークが指定されて、指定されたマークの位置が変更された場合に、指定されたマークが示す特徴部位の位置の変更によって断面位置が変更される他の基準断面像を強調表示させる。したがって、MRI装置100によれば、ある基準断面像における特徴部位の位置を示すマークの位置の変更に伴って、どの基準断面像の断面位置が変更するかを容易にユーザに把握させることができる。よって、MRI装置100によれば、基準断面像の位置決めをユーザに容易に行わせることができる。
そして、MRI装置100は、表示部25に表示された複数の基準断面像の断面位置の位置決めが完了すると、変更後の断面位置でのイメージングスキャンを実行する。
次に、本実施形態に係る制御部26の機能構成の一例について説明する。図5は、第1の実施形態に係る制御部26の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図5の例に示すように、制御部26は、検出部26aと、生成部26bと、変更部26cと、表示制御部26dとを備える。
検出部26aは、準備スキャンにおいて収集され記憶部23に格納されたマルチスライス像を記憶部23から取得し、取得したマルチスライス像から、複数の基準断面像の断面位置を自動検出する。例えば、検出部26aは、左室垂直長軸像、左室水平長軸像、左室短軸像、右室短軸像、左室四腔長軸像、左室二腔長軸像、左室三腔長軸像、左室流出路像、大動脈弁像、右室四腔長軸像、右室二腔長軸像、右室三腔長軸像、右室流出路像、及び、肺動脈弁像の14種類の基準断面像のそれぞれの断面位置を検出する。そして、検出部26aは、自動検出した複数の断面位置を記憶部23に格納する。なお、検出部26aにより自動検出された複数の断面位置は、イメージングスキャンで収集される複数の断面像の断面位置である。以下、検出部26aにより自動検出された断面位置を「第1断面位置」と表記する場合がある。
生成部26bは、複数の第1断面位置のそれぞれに対応する基準断面像を生成し、生成した複数の基準断面像を表示部25に表示させる。例えば、生成部26bは、まず、マルチスライス像及び複数の第1断面位置を記憶部23から取得する。そして、生成部26bは、マルチスライス像から、MPR(Multi-Planar Reconstruction)処理により複数の第1断面位置のそれぞれに対応する基準断面像を生成する。以下、生成部26bにより生成された基準断面像を「第1断面像」と表記する場合がある。そして、生成部26bは、第1断面像を表示部25に表示させる。例えば、生成部26bは、先の図2の例に示すように、体軸横断面像80とともに、上述の各種のマークが重畳された複数の第1断面像81〜94を表示部25に表示させる。また、生成部26bは、第1断面像を記憶部23に格納する。
変更部26cは、ある第1断面像において、ユーザによりマークの位置が変更された場合には、位置が変更されたマークが示す変更後の特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される他の第1断面像の断面位置を算出する。そして、変更部26cは、算出した断面位置を記憶部23に格納する。以下、変更部26cにより算出された断面位置を「第2断面位置」と表記する場合がある。
表示制御部26dは、第2断面位置に対応する基準断面像であって、枠を太くするなど他の基準断面像よりも強調された基準断面像を生成し、生成した基準断面像を表示部25に表示させる。例えば、表示制御部26dは、まず、マルチスライス像及び第2断面位置を記憶部23から取得する。そして、表示制御部26dは、マルチスライス像から、MPR処理により第2断面位置に対応する基準断面像を生成する。このとき、表示制御部26dは、枠を太くするなど強調された基準断面像を生成する。以下、表示制御部26dにより生成された基準断面像を「第2断面像」と表記する場合がある。そして、表示制御部26dは、第2断面像を表示部25に表示させる。また、表示制御部26dは、生成した第2断面像を記憶部23に格納する。
次に、本実施形態に係るMRI装置100が実行する処理の流れについて説明する。図6は、第1の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。ここで、第1の実施形態においては、基準断面像の種類を左室垂直長軸像、左室水平長軸像、左室短軸像、右室短軸像、左室四腔長軸像、左室二腔長軸像、左室三腔長軸像、左室流出路像、大動脈弁像、右室四腔長軸像、右室二腔長軸像、右室三腔長軸像、右室流出路像、及び、肺動脈弁像の14種類とする検査を想定する。
図6の例に示すように、シーケンス制御部10は、マルチスライス像を収集するように、MRI装置100の傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動する(ステップS1)。本実施形態において、マルチスライス像は、例えば、複数の体軸横断面像である。また、マルチスライス像は、心臓を含む。なお、心臓は、対象部位の一例である。シーケンス制御部10は、心電(ECG:Electro Cardio Gram)同期を行いながら、例えば、収集のタイミングを拡張期に限定し、息止め下でマルチスライス像のMRデータが収集されるように、MRI装置100の傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動する。また、シーケンス制御部10は、マルチスライス像のMRデータの収集に、例えば、2D FFE(Fast Field Echo)や、2D SSFP(Steady-State Free Precession)等を用いる。シーケンス制御部10は、収集したMRデータをインタフェース部21を介して画像生成部22に送信する。画像生成部22は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを用いてマルチスライス像を生成し、生成したマルチスライス像を記憶部23に格納する。なお、マルチスライス像は、複数の矢状断面像や冠状断面像であってもよい。
次に、検出部26aは、上述の14種類の基準断面像のそれぞれの断面位置(第1断面位置)を検出(自動検出)する(ステップS2)。断面位置について説明する。断面位置とは、例えば、3次元画像空間における平面を表す位置を意味し、複数のパラメータにより表現される。以下の説明では、これらのパラメータを「位置パラメータ」と表記する。位置パラメータは、以下の(1)式、(2)式に示すように、例えば、中心座標点oと、直交する2本の単位ベクトルu、vとで表現される。
断面位置の検出とは、この位置パラメータo、u、vを求めることである。検出部26aは、検出した基準断面像毎の位置パラメータを記憶部23に格納する。なお、位置パラメータは、上述した表現方法に限定されず、例えば、3次元画像空間ではなく、MRI装置100の磁場中心や寝台の長手方向等を基準に定められる3次元装置空間で表現してもよいし、中心座標点及び直交する2本の単位ベクトルではなく、3つの座標点で表現してもよい。即ち、断面位置が幾何学的に、一意に定まる表現方法であればよい。
例えば、検出部26aは、僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、肺動脈弁、左(右)室心尖、左(右)室流出路、左(右)室前壁等、心臓の特徴部位の周辺画像パターンのテンプレートを用いて、マルチスライス像とのテンプレートマッチングを行うことでマルチスライス像内における特徴部位の位置を自動検出し、検出した特徴部位に基づいて、各基準断面像の位置パラメータを算出する。ここで、上述したようなテンプレートは、テンプレートマッチングを実行するよりも前に予め生成されているものとする。例えば、基準断面像の1つである左室四腔長軸像の断面位置は、僧帽弁の位置m、三尖弁の位置t、左室心尖の位置aの3点を通る平面である。すなわち、左室四腔長軸像の断面位置は、僧帽弁の位置m、三尖弁の位置t、左室心尖の位置aの3点の位置によって定義される。ここで、僧帽弁の位置m、三尖弁の位置t、左室心尖の位置aを以下の式(3)で表すと、左室四腔長軸像の断面位置を示す位置パラメータo、u、vは、以下の式(4)で表すことができる。
なお、式(4)において、「(t−m)×v」は、ベクトル(t−m)とベクトルvとの外積を意味し、「((t−m)×v)×v」は、ベクトル((t−m)×v)とベクトルvとの外積を意味する。
また、基準断面像の断面位置の検出は、テンプレートマッチングに限定されるものではない。例えば、検出部26aは、心臓の特徴部位の周辺画像パターンから、機械学習により識別器を予め構築しておき、この識別器を用いて、マルチスライス像内における特徴部位の位置を自動検出してもよい。また、検出部26aは、入力部24を介して、操作者による心臓の特徴部位の位置の入力を受け付けることで、基準断面像の断面位置を検出することもできる。もっとも、この作業は非常に煩雑で時間がかかるため、通常、各基準断面像の検出位置を自動で検出する手法の方が好ましい。
次に、生成部26bは、マルチスライス像を記憶部23から取得し、MPR処理により、マルチスライス像から、複数の第1断面位置のそれぞれに対応する基準断面像(第1断面像)を生成し、スライス像とともに第1断面像を表示部25に表示させる(ステップS3)。例えば、生成部26bは、上述の各種のマークが重畳されたスライス像及び複数の第1断面像を表示部25に表示させる。また、生成部26bは、第1断面像を記憶部23に格納する。
次に、変更部26cは、ユーザが入力部24を介してマークの位置を変更したか否かを判定する(ステップS4)。
変更部26cは、ユーザが入力部24を介してマークの位置を変更したと判定した場合(ステップS4;Yes)には、位置が変更されたマークが示す特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される基準断面像について、位置が変更されたマークが示す変更後の特徴部位の位置を用いて、新たに断面位置(第2断面位置)を算出する(ステップS5)。例えば、変更部26cは、マークの位置の変更が行われた基準断面像上での変更後のマークの2次元位置から、3次元画像空間における3次元位置を算出する。そして、変更部26cは、断面位置定義情報テーブル23aを参照し、位置が変更されたマークが示す特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される他の基準断面像を特定する。
ここで、断面位置定義情報テーブル23aについて説明する。断面位置定義情報テーブル23aは、基準断面像と、その基準断面像の断面位置を定義する特徴部位とが対応付けられて登録されたテーブルである。すなわち、基準断面像は、複数の特徴部位を通るように定められる。あるいは、基準断面像は、複数の特徴部位によって求められた点を通るように定められる。あるいは、基準断面像は、一の特徴部位と、他の特徴部位によって求められた点とを通るように定められる。図7は、第1の実施形態に係る断面位置定義情報テーブル23aのデータ構造の一例を示す図である。図7の例に示す断面位置定義情報テーブル23aは、「ID(Identification)」及び「定義パラメータ」の各項目を有する。「ID」の項目には、基準断面像の種類を示す識別情報が登録される。「定義パラメータ」の項目には、「ID」の項目に登録された識別情報が示す種類の基準断面像の断面位置を定義する特徴部位や特徴部位から位置パラメータへの換算式を示す情報が登録される。図7の例における断面位置定義情報テーブル23aの1番目のレコードは、識別情報「L4CH」が示す左室四腔長軸像の断面位置が、僧帽弁の位置、三尖弁の位置、左室心尖の位置の3点の位置によって定義されることを示す。
例えば、位置が変更されたマークによって位置が示される特徴部位が僧帽弁である場合には、変更部26cは、断面位置定義情報テーブル23aを参照し、僧帽弁が「定義パラメータ」の項目に登録されているレコードを特定する。そして、変更部26cは、特定したレコードの「ID」の項目に登録されている識別情報を特定する。そして、特定部26cは、特定した識別情報が示す種類の基準断面像を特定することにより、位置が変更されたマークが示す特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される他の基準断面像を特定する。
なお、断面位置定義情報テーブル23aは、図7の例に示すデータ構造のテーブルに限られない。断面位置定義情報テーブル23aは、基準断面像と、その基準断面像の断面位置を定義する特徴部位とが対応付けられた情報が登録されたテーブルであれば、いかなるデータ構造であってもよい。
そして、変更部26cは、位置が変更されたマークが示す特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される基準断面像について、算出済みの3次元位置に基づいて上述の式(4)と同様の式を用いて、変更後の位置パラメータを算出することにより、変更後の断面位置を算出する。
ここで、先の図2の例において、ユーザが左室垂直長軸像81の僧帽弁の位置を示すマークの位置を変更した場合について説明する。この場合には、変更部26cは、左室垂直長軸像81上での変更後のマークの2次元位置(黒塗りの四角形のマークの2次元位置)から、3次元空間における3次元位置を算出する。そして、変更部26cは、マークが示す僧帽弁の位置を用いて断面位置が定義される左室水平長軸像82、左室短軸像83、左室四腔長軸像85、左室二腔長軸像86、左室三腔長軸像87及び右室四腔長軸像90のそれぞれについて、上述の式(4)と同様の式を用いて、変更後の位置パラメータを算出することにより、変更後の断面位置を算出する。
また、先の図2の例において、ユーザが右室三腔長軸像92の右室流出路の位置を示すマークの位置を変更した場合について説明する。この場合には、変更部26cは、右室三腔長軸像92上での変更後のマークの2次元位置(白抜きの三角形のマーク)から、3次元空間における3次元位置を算出する。そして、変更部26cは、マークが示す右室流出路の位置を用いて断面位置が定義される右室流出路像93及び肺動脈弁像94のそれぞれについて、上述の式(4)と同様の式を用いて、変更後の位置パラメータを算出することにより、変更後の断面位置を算出する。
次に、表示制御部26dは、変更後の断面位置(第2断面位置)を用いて、変更後の断面位置に対応する基準断面像であって、枠を太くするなど他の基準断面像よりも強調された基準断面像(第2断面像)を生成し、生成した基準断面像を表示部25に強調表示させる(ステップS6)。これにより、表示制御部26dは、生成した基準断面像を他の基準断面像と比較して強調して表示させることができる。そして、表示制御部26dは、生成した基準断面像を表示部25に表示させる。例えば、表示制御部26dは、先の図4の例に示すように、枠が太くされた6つの第2断面像(左室水平長軸像82、左室短軸像83、左室四腔長軸像85、左室二腔長軸像86、左室三腔長軸像87及び右室四腔長軸像90)を表示部25に表示させる。この結果、6つの基準断面像は、基準断面像81、84、88、91〜94と比較して強調されて表示される。なお、第2の変形例においては、特徴部位が指定されると強調表示を行う例(特徴部位を示すマークの 位置の変更が開始されると、強調表示は解除される例)を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。特徴部位が指定された後、マークの位置の変更が開始されるが、開始以降の強調表示については、上述してきた各種実施形態を組み合わせることができる。
そして、表示制御部26dは、ステップS4に戻る。すなわち、表示制御部26dは、特徴部位の位置を示すマークの位置が変更されている間(入力部24を介して変更操作が行われている間)、基準断面像を強調表示させる。これにより、特徴部位の位置が変更されている間、ある基準断面像における特徴部位の位置の変更に伴って、どの基準断面像の断面位置が変更するかを容易にユーザに把握させることができる。したがって、基準断面像の位置決めをユーザに容易に行わせることができる。そして、表示制御部26dは、特徴部位の位置を示すマークの位置の変更が終了した場合には、基準断面像の強調表示を解除する。
なお、表示制御部26dは、マークの位置の変更が終了した場合であっても、基準断面像の強調表示を解除せずに、ユーザが入力部24を介して特徴部位の位置を示すマークの位置を新たに変更したと変更部26cにより判定されるまで、基準断面像を強調表示させ続けることもできる。このように、変更操作を終えた後も、次の変更操作に入るまで、強調表示し続けることで、マークの位置の変更の終了とともに基準断面像の強調表示が解除された場合よりも、ユーザは、変更した基準断面像を更にじっくり確認することができる。したがって、基準断面像の位置決めをユーザに更に容易に行わせることができる。なお、上述では、次の変更操作に入ったことを契機として強調表示が解除される例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、変更操作を終えた後、所定時間経過することで、強調表示が解除される等、強調表示が解除される契機は、その他のものでもよい。
また、変更部26cは、ユーザが入力部24を介して特徴部位の位置を変更していないと判定した場合(ステップS4;No)には、ユーザから入力部24を介して基準断面像の断面位置の位置決めが完了したことを示す通知(位置決め完了通知)を受け付けたかを判定する(ステップS7)。変更部26cは、位置決め完了通知を受け付けていないと判定した場合(ステップS7;No)には、上述のステップS4に戻る。
一方、位置決め完了通知を受け付けたと判定した場合(ステップS7;Yes)には、シーケンス制御部10は、MRI装置100の傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動して、位置決めされた複数の断面位置を用いて、複数の断面像を収集するイメージングスキャンを実行し(ステップS8)、処理を終了する。
以上、第1の実施形態に係るMRI装置100について説明した。MRI装置100によれば、上述したように、基準断面像の位置決めをユーザに容易に行わせることができる。
なお、第1の実施形態において基準断面像を強調表示する方法は、先の図4に示すように枠を太くする方法に限られない。強調表示の対象の基準断面像と強調表示の対象でない基準断面像とが異なる表示態様で表示されればよい。例えば、枠の種類や色を異なる表示態様で表示してもよい。また、強調表示の対象の基準断面像の枠周辺に影を付けたり、強調表示の対象の基準断面像の枠に光の反射、光彩、ぼかし、面取りを表現してもよい。また、強調表示の対象の基準断面像をハイライト表示してもよい。なお、ハイライト表示とは、例えば、背景色を反転表示する表示方法である。また、強調表示の対象の基準断面像を強調表示するとは、強調表示の対象の基準断面が表示部25に表示され、強調表示の対象でない基準断面が表示部25に表示されない場合も含む。
図8及び図9は、第1の実施形態における基準断面像を強調表示する方法の他の例を示す図である。例えば、図8の例に示すように、強調表示の対象の基準断面像82、83、85〜87、90のサイズよりも、強調表示の対象でない基準断面像80、81、84、88、89、91〜94のサイズを小さくすることもできる。また、図9の例に示すように、強調表示の対象の基準断面像82、83、85〜87、90のコントラストよりも、強調表示の対象でない基準断面像80、81、84、88、89、91〜94のサイズのコントラストを小さくすることもできる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
なお、上述した第1の実施形態に係るMRI装置100では、特徴部位の位置を示すマークの位置が変更されている間、第2断面像を強調表示させる場合について説明したが、マークの位置が変更された後であっても、位置決め完了通知を受け付けるまでの間、第2断面像を強調表示させ続けてもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第1の変形例として説明する。
第1の変形例に係るMRI装置では、ステップS6からステップS4に戻った場合の処理が第1の実施形態に係るMRI装置100と異なる。そのため、第1の変形例に係るMRI装置における、ステップS6からステップS4に戻った場合の処理の一例について図10及び図11を参照して説明する。例えば、ステップS6からステップS4に戻った場合には、表示部25には強調表示されている基準断面像(第2断面像)が存在する。
ここでは、先の図4の例に示すような強調表示された基準断面像82、83、85〜87、90が存在する場合について説明する。先の図4の例は、基準断面像81の僧帽弁の位置を示すマークの位置が変更されたことにより、基準断面像82、83、85〜87、90が強調表示された場合を示す。このような場合に、例えば、基準断面像82の特徴部位の位置を示すマークの位置が変更された場合には、ステップS4において、特徴部位の位置を示すマークの位置が変更されたと判定されて、再びステップS5、ステップS6に進むことになる。なお、第1の変形例に係るMRI装置では、ステップS5、ステップS6においても、それまで強調表示されていた基準断面像は、そのまま強調表示される。すなわち、第1の変形例に係るMRI装置では、表示制御部26dは、特徴部位の位置が変更された後であっても、既に強調表示されていた基準断面像をそのまま強調表示させ続ける。したがって、第1の変形例に係るMRI装置によれば、特徴部位を変更させる操作が終わった後に、ある基準断面像における特徴部位の位置の変更に伴って、どの基準断面像の断面位置が変更するかを、ユーザに時間をかけて把握させることができる。よって、第1の変形例に係るMRI装置によれば、基準断面像の位置決めをより容易にユーザに行わせることができる。
なお、変更部26cが、特徴部位の位置の変更前後の位置パラメータを記憶部23に格納し、表示制御部26dが、記憶部23に記憶された特徴部位の位置の変更前後の位置パラメータを取得し、取得した位置パラメータを用いて特徴部位の位置の変更前後の基準断面像を生成して表示することもできる。これにより、ユーザに特徴部位の位置の変更前後の基準断面像を確認させることができる。したがって、例えば、ユーザに特徴部位の位置の修正がうまくいったか否かを判断させることができる。
ここで、位置が変更された黒塗りの四角形のマークによって位置が示される基準断面像82の特徴部位の種類が僧帽弁である場合には、基準断面像82の僧帽弁の位置の修正が完了したため、基準断面像82を強調表示し続ける必要性は低いと考えられる。そこで、ステップS6において、表示制御部26dは、図10に示すように、基準断面像82の強調表示を解除する。すなわち、表示制御部26dは、ステップS6において、表示部25に強調表示された基準断面像82、83、85〜87、90のうち1つの強調表示された基準断面像82において、黒塗りの四角形のマークの位置が変更された場合に、黒塗りの四角形のマークによって位置が示される特徴部位の種類が、基準断面像82以外の他の基準断面像81において既に位置が変更された黒塗りの四角形のマークによって位置が示される特徴部位の種類と同一であるときには、基準断面像82の強調表示を解除する。このようにして、僧帽弁の位置の修正が完了して強調表示し続ける必要性が低いと考えられる基準断面像82の強調表示を解除し、僧帽弁の位置の修正が完了していないような、強調表示し続ける必要性が高いと考えられる基準断面像83、85〜87、90を強調表示し続ける。したがって、適切な強調表示を行うことができる。なお、図10は、第1の実施形態の第1の変形例において、再びステップS6に戻った場合に、表示制御部26dが実行する処理の一例について説明するための図である。
一方、位置が変更された黒塗りの星型のマークによって位置が示される基準断面像82の特徴部位の種類が左室心尖である場合には、基準断面像82の僧帽弁の位置の修正が未完了であるため、基準断面像82を強調表示させ続ける必要性が高いと考えられる。そこで、ステップS6において、表示制御部26dは、図11に示すように、基準断面像82の強調表示を解除しない。これにより、基準断面像82は、僧帽弁の位置が修正されるまで、強調表示し続けることになる。したがって、マークの位置を変更させる操作が終わった後に、ある基準断面像におけるマークの位置の変更に伴って、どの基準断面像の断面位置が変更するかを、ユーザに時間をかけて把握させることができる。また、僧帽弁の位置の修正が完了していないような、強調表示し続ける必要性が高いと考えられる基準断面像82、83、85〜87、90を強調表示し続ける。したがって、適切な強調表示を行うことができる。なお、図11は、第1の実施形態の第1の変形例において、再びステップS6に戻った場合に、表示制御部26dが実行する処理の一例について説明するための図である。
また、基準断面像82において位置が変更された黒塗りの星型のマークによって位置が示される特徴部位の種類が左室心尖である場合には、ステップS6において、表示制御部26dは、左室心尖の位置によって断面位置が定義される基準断面像81、83、85〜87を、既に強調表示された基準断面像82、83、85〜87、90の表示態様と異なる表示態様で強調表示する。例えば、図11に示すように、表示制御部26dは、新たに斜線で示される枠が設けられた基準断面像81、83、85〜87を表示させる。すなわち、表示制御部26dは、ステップS6において、表示部25に強調表示された基準断面像82、83、85〜87、90のうち1つの強調表示された基準断面像82において、黒塗りの星型のマークの位置が変更された場合に、位置が変更されたマークによって位置が示される特徴部位の種類が、基準断面像82以外の他の基準断面像81において既に位置が変更された黒塗りの星型のマークによって位置が示される特徴部位の種類と異なるときには、基準断面像82において位置が変更された特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される基準断面像81、83、85〜87を、基準断面像81、83、85〜87以外の基準断面像82、84、88〜94と比較して強調表示させる。
(第1の実施形態の第2の変形例)
また、第1の実施形態では、MRI装置100が、ある基準断面像において、マークが指定され、指定されたマークの位置が変更された場合に、基準断面像を強調表示させる場合について説明した。しかしながら、MRI装置は、ある基準断面像において、マークが指定された場合に、基準断面像を強調表示させることもできる。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第2の変形例として説明する。
例えば、第2の変形例では、変更部26cは、ユーザが入力部24を介して特徴部位を指定したか否かを判定する。たとえば、ポインター24aを特徴部位(又はマーク)の上に重ねた場合に、変更部26cは特徴部位(又はマークによって位置が示される特徴部位)を指定したものと判断する。そして、変更部26cは、断面位置定義情報テーブル23aを参照し、指定された特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される基準断面像を特定する。
そして、表示制御部26dは、変更部26cにより特定された基準断面像を、特定された基準断面像以外の基準断面像と比較して強調表示させる。
例えば、先の図2の例において、左室垂直長軸像81の僧帽弁が指定された場合には、変更部26cは、断面位置定義情報テーブル23aを参照し、指定された僧帽弁の位置を用いて断面位置が定義される左室水平長軸像82、左室短軸像83、左室四腔長軸像85、左室二腔長軸像86、左室三腔長軸像87及び右室四腔長軸像90の6つの基準断面像を特定する。そして、図12に示すように、表示制御部26dは、特定された6つの基準断面像を、特定された6つの基準断面像以外の基準断面像81、84、88、91〜94と比較して強調表示させる。なお、図12は、第1の実施形態の第2の変形例に係るMRI装置が実行する処理の一例を説明するための図である。このように、表示制御部26dは、特徴部位の位置が変更される前に、指定された特徴部位の位置を用いて断面位置が定義される基準断面像を、当該基準断面像以外の基準断面像と比較して強調表示させる。したがって、第2の変形例に係るMRI装置によれば、ある特徴部位の位置を変更させる前に、仮に、その特徴部位の位置を変更させた場合には、どの基準断面像の断面位置が変更するかを、ユーザに把握させることができる。よって、第2の変形例に係るMRI装置によれば、基準断面像の位置決めをより容易にユーザに行わせることができる。
(第2の実施形態)
また、第1の実施形態では、強調表示の対象である基準断面像に対して、同一の度合いで強調表示する場合について説明した。しかしながら、MRI装置は、強調表示の対象である基準断面像に対して、複数の度合いで強調表示することもできる。そこで、このような実施形態を第2の実施形態として説明する。
第2の実施形態では、例えば、表示制御部26dは、まず、ある基準断面像において、特徴部位の位置が変更された場合に、位置が変更された特徴部位を用いて断面位置が定義される他の基準断面像について、特徴部位の位置の変更による断面位置の変化の大きさを算出する。
例えば、先の図2の例において、ユーザが左室垂直長軸像81の僧帽弁の位置を変更した場合について説明する。この場合には、表示制御部26dは、僧帽弁の位置を用いて断面位置が定義される左室水平長軸像82、左室短軸像83、左室四腔長軸像85、左室二腔長軸像86、左室三腔長軸像87及び右室四腔長軸像90の6つの基準断面像のそれぞれについて、僧帽弁の位置の変更による断面位置の変化の大きさを算出する。
ここで、6つの基準断面像のそれぞれについて、僧帽弁の位置の変更による断面位置の大きさを算出する方法の一例について説明する。例えば、表示制御部26dは、位置の変更による僧帽弁の移動ベクトルと、6つの基準断面像のそれぞれの法線ベクトルとの角度を算出する。なお、6つの基準断面像のそれぞれの法線ベクトルは、上述した直交する2本の単位ベクトルuと単位ベクトルvとの外積によって算出される。ここで、算出した角度が90度に近くなるほど、僧帽弁の位置の変更による断面位置の変化の大きさが小さくなる。よって、表示制御部26dは、算出した角度が、(90−α)度以上(90+α)度以下である場合には、断面位置があまり変化しないと考えられるため、所定の弱い度合いで基準断面像を強調表示する。一方、表示制御部26dは、算出した角度が、(90−α)度未満であるか、又は、(90+α)度より大きい場合には、断面位置が大きく変化すると考えられるため、所定の強い度合いで基準断面像を強調表示する。
図13は、第2の実施形態に係るMRI装置が実行する処理の一例を説明するための図である。例えば、表示制御部26dは、算出した角度が(90−α)度未満であるか又は(90+α)度より大きい基準断面像82、83、85、87、90については、図13の例に示すように、枠の太さが第1の所定値となるように強調表示する。なお、αには、ユーザが任意の値を設定することができる。また、表示制御部26dは、図13の例に示すように、(90−α)度以上(90+α)度以下である基準断面像86については、枠の太さが第1の所定値よりも小さい第2の所定値となるように強調表示する。なお、強調の度合いの変更はこの方法に限定されず、たとえば、算出した角度の90度からの差をパラメータにして連続的に強調の度合いを変更しても良い。あるいは、度合いに応じて強調表示する色を変えても良い。このように、第2の実施形態に係るMRI装置では、表示制御部26dは、位置が変更された特徴部位を用いて断面位置が定義される他の基準断面像について、断面位置の変化の大きさに応じた度合いの強調表示を行う。したがって、第2の実施形態に係るMRI装置によれば、ある基準断面像における特徴部位の位置の変更に伴って、どの基準断面像の断面位置が変更するかを、ユーザに容易に把握させるとともに、断面位置が変更する基準断面の表示の変化の大きさの度合いをもユーザに容易に把握させることができる。よって、第2の実施形態に係るMRI装置によれば、基準断面像の位置決めを、より容易にユーザに行わせることができる。
(第3の実施形態)
また、MRI装置は、ある基準断面像の断面位置を確定することもできる。すなわち、MRI装置は、ある基準断面像の断面位置を、他の基準断面像の特徴部位の変更にかかわらず、変更しないようにすることができる。このことにより、既に許容範囲内の基準断面位置を確定・除外することで、続きの修正作業による確認断面の数を減らすことができ、オペレータの負担軽減につながる。そこで、このような実施形態を第3の実施形態として説明する。
第3の実施形態に係るMRI装置では、生成部26b等によって複数の基準断面像が表示部25に表示されると、表示された複数の基準断面像のうち少なくとも1つの基準断面像の断面位置を確定する指示がユーザから入力部24を介して入力される。すると、表示制御部26dは、入力された指示が示す、断面位置が確定される基準断面像を、他の基準断面像と比較して強調表示する。
図14は、第3の実施形態に係るMRI装置が実行する処理の一例を説明するための図である。例えば、表示制御部26dは、基準断面像81の断面位置を確定する指示が入力されると、基準断面像81にピンを示す画像24bを重畳して、基準断面像81を、基準断面像82〜94と比較して強調表示させる。なお、強調表示の方法は、基準断面像にピンを示す画像を重畳させる方法に限られず、任意の強調表示の方法を用いることができる。また、たとえば、ピンを示す画像のみを別ウィンドウなどを用いてレイアウト的にまとめることは、位置が確定した基準断面とそうでない基準断面の確認が容易となり、視点の移動等が軽減されるなどオペレータの負担軽減につながるため、有効である。
また、表示制御部26dは、基準断面像81以外の基準断面像82〜94において、基準断面像81の断面位置を定義する僧帽弁、左室心尖等の特徴部位の位置が変更された場合であっても、基準断面像81の断面位置を変更しない。このように、第3の実施形態に係るMRI装置によれば、ある基準断面像の断面位置をユーザに確定させることができる。したがって、第3の実施形態に係るMRI装置によれば、基準断面像の位置決めを、より容易にユーザに行わせることができる。
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した第1の実施形態〜第3の実施形態に限られるものではない。
(対象部位)
上述した第1の実施形態〜第3の実施形態では、対象部位として「心臓」を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、「脳」や、「肩」、「膝」といった関節、心臓以外の内臓、各種の循環器等他の対象部位の検査の場合にも同様に適用することができる。
例えば、「膝」を対象部位とした場合、大腿骨外側顆と内側顆の背側縁である2つの特徴点位置に基づいて膝のコロナル断面が設定される。図15〜図17は、実施形態において、「膝」を対象部位とした場合の各種の基準断面の設定方法の一例について説明するための図である。例えば、図15に示すように、2つの特徴点を結ぶ基準線が設定される。そして、図16に示すように、基準線に平行、かつ、頭足方向に平行なコロナル断面が設定される。
また、基準線に基づいて、前十字靭帯に沿った断面も設定される。例えば、図17に示すように、基準線を頭足軸周りに90度回転させ、基準軸を約15度の角度だけ回線させ、基準軸を含み頭足方向に平行な断面を前十字靭帯に沿った断面として設定する。
(交差線)
また、上述した第1の実施形態〜第3の実施形態では、特徴部位が指定された場合や、特徴部位の位置が変更された場合に、基準断面像を強調表示する場合について説明したが、実施形態は、これに限られるものではない。例えば、MRI装置は、交差線が指定された場合や、交差線の位置が変更された場合に、基準断面像を強調表示することもできる。
なお、ユーザは、特徴部位の位置を示すマークを指定することにより特徴部位を指定したり、特徴部位の位置を示すマークの位置を変更することにより特徴部位の位置を変更したりするのと同様に、交差線のマークを指定することにより交差線を指定したり、交差線のマークの位置を変更することにより交差線の位置を変更することができる。
例えば、表示制御部26dは、ある基準断面像において、この基準断面像の断面位置と他の基準断面像の断面位置とが交差する交差線が指定された場合に、他の基準断面像を、他の基準断面像以外の基準断面像と比較して強調表示させる。図18は、実施形態に係る交差線が指定された場合に、基準断面像を強調表示する場合の一例を説明するための図である。
図18の例に示すように、左室垂直長軸像81には、僧房弁と左室心尖をつなぐ長軸と、左室短軸像との交差線の2種類が表示されている。長軸の交差線位置が修正された場合は、同時に僧房弁と左室心尖の位置が修正となり、関連する断面位置が変更される。また、左室短軸像との交差線が修正された場合には、左室短軸像83の断面位置が変更される。
図18の例は、左室垂直長軸像81上の左室短軸像83の交差線が指定されると、左室短軸像83を、他の基準断面像81、82、84〜94と比較して強調表示させる。よって、ある基準断面像における交差線の位置の変更に伴って、どの基準断面像の断面位置が変更するかを、実際に、交差線の位置を変更する前に、容易にユーザに把握させることができる。したがって、基準断面像の位置決めをユーザに容易に行わせることができる。
同様に、表示制御部26dは、ある基準断面像において、この基準断面像の断面位置と、他の基準断面像の断面位置とが交差する交差線の位置が変更された場合にも、他の基準断面像を、他の基準断面像以外の基準断面像と比較して強調表示させることができる。
(基準断面像の種類)
また、上述した第1の実施形態〜第3の実施形態では、基準断面像の種類を上述した14種類とする検査を想定した場合について説明したが、実施形態は、これに限られるものではない。基準断面像の種類は、他の様々な種類であってもよい。
以上述べた少なくとも1つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、基準断面像の位置決めをユーザに容易に行わせることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。