JP2020009325A - 異常検知プログラム、異常検知方法及び異常検知装置 - Google Patents

異常検知プログラム、異常検知方法及び異常検知装置 Download PDF

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Abstract

【課題】センサの種類にかかわらず、汎用的な方法で、異常の発生や異常の予兆を精度よく検知する。【解決手段】データ受信部は、設備における稼働の程度を示す発電量の時系列データ及び設備に設けられたセンサの時系列データを取得し、状態数値化部は、取得した発電量の時系列データとセンサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解してパワースペクトルデータを作成し、発電量のパワースペクトルデータとセンサのパワースペクトルデータの同一周波数毎のコヒーレンスを算出する。そして、異常予兆評価部は、周波数ごとに算出されたコヒーレンスの合算値と、過去に得られたコヒーレンスの合算値の分布とに基づいて、火力発電設備に含まれる機器の異常又は異常の予兆を検知する。【選択図】図17

Description

本発明は、異常検知プログラム、異常検知方法及び異常検知装置に関する。
従来、火力発電所などの監視対象設備における異常を監視する場合、監視対象設備に設けられたセンサの値と所定の閾値とを比較した結果に基づいて異常を検知することが知られている。
また、生産設備の稼働実績を表す複数の指標それぞれの時系列データを合成した総合指標の時系列データを分析して、総合指標の各時刻におけるスコアを計算し、スコアが閾値を超えたか否かにより異常又は異常の予兆を検出する技術も知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2015−152933号公報
しかしながら、上述したようなセンサの値やスコアを閾値と比較して異常を検知する場合、用いるセンサに応じて閾値を設定する必要があるなど、センサごとに処理が異なり、汎用的でない。
1つの側面では、本発明は、センサの種別にかかわらず汎用的な方法で設備の異常検知を行うことが可能な異常検知プログラム、異常検知方法及び異常検知装置を提供することを目的とする。
一つの態様では、異常検知プログラムは、設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における同一周波数毎の変化傾向の差を算出し、算出した前記変化傾向の差の合計値と、過去における前記変化傾向の差の合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
センサの種別にかかわらず汎用的な方法で設備の異常検知を行うことができる。
第1の実施形態に係る異常監視システムの構成を概略的に示す図である。 図2(a)は、異常検知装置のハードウェア構成を示す図であり、図2(b)は、異常検知装置の機能ブロック図である。 異常検知装置の処理を示すフローチャートである。 図3のステップS11の詳細処理を示すフローチャートである。 図3のステップS12の詳細処理を示すフローチャートである。 図3のステップS13の詳細処理を示すフローチャートである。 図3のステップS14の詳細処理を示すフローチャートである。 センサデータ管理テーブルを示す図である。 イベント管理テーブルを示す図である。 解析インプットデータテーブルを示す図である。 図11(a)は、発電量の時系列データを示す図であり、図11(b)は、振動の時系列データを示す図である。 図12(a)は、規準化後の発電量の時系列データを示す図であり、図12(b)は、規準化後の振動の時系列データを示す図である。 規準化データテーブルを示す図である。 図14(a)、図14(b)は、高速フーリエ変換について説明するための図である。 コヒーレンス結果テーブルを示す図である。 日付ごとにコヒーレンス計算値をプロットした図(その1)である。 コヒーレンス計算値の確率密度を示す散布図(その1)である。 日付ごとにコヒーレンス計算値をプロットした図(その2)である。 コヒーレンス計算値の確率密度を示す散布図(その2)である。 日付ごとにコヒーレンス計算値をプロットした図(その3)である。 コヒーレンス計算値の確率密度を示す散布図(その3)である。 フィルタテーブルを示す図である。 第2の実施形態における異常検知装置の処理を示すフローチャートである。 図23のステップS13’の詳細処理を示すフローチャートである。 周波数ω単位のコヒーレンス結果テーブルを示す図である。 図23のステップS14’の詳細処理を示すフローチャートである。
《第1の実施形態》
以下、異常監視システムの第1の実施形態について、図1〜図22に基づいて詳細に説明する。本第1の実施形態の異常監視システムは、例えば火力発電設備に含まれる機器における異常の発生や異常の予兆を監視するシステムである。
図1には、本第1の実施形態の異常監視システム100の構成が概略的に示されている。図1に示すように、異常監視システム100は、異常検知装置10と、データサーバ20と、管理装置70と、を備えている。異常検知装置10、データサーバ20、及び管理装置70は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワーク80に接続されている。
異常検知装置10は、火力発電設備における発電量の履歴や、火力発電設備に含まれる機器に設けられた各種センサ(例えば、温度、圧力、速度、振動(振動変位)などを検出するセンサ)の検出値を管理するデータサーバ20からデータを取得する。なお、発電量の履歴は、火力発電設備における稼働の程度を示す時系列データであり、各種センサの検出値は、火力発電設備に含まれる機器それぞれに設置されたセンサの時系列データであるといえる。
また、異常検知装置10は、データサーバ20から取得したデータに基づいて、異常の発生又は異常の予兆を検知し、検知結果を管理装置70に対して出力する。以下、データサーバ20から取得するデータを纏めて、「センサデータ」と呼ぶものとする。
データサーバ20は、上述したセンサデータを管理し、異常検知装置10からの求めに応じて、異常検知装置10に対してセンサデータを送信する。
管理装置70は、火力発電設備の中央操作室等に設置され、火力発電設備の管理者等が利用する情報処理装置である。管理装置70は、異常検知装置10において異常の発生や異常の予兆が検知され、検知結果が送信されてきた場合に、アラームを表示する。
図2(a)には、異常検知装置10のハードウェア構成が示されている。図2(a)に示すように、異常検知装置10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これら異常検知装置10の構成各部は、バス98に接続されている。これら異常検知装置10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(異常検知プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(異常検知プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、図2(b)に示す各部の機能が実現されている。なお、図2(b)の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
図2(b)には、異常検知装置10の機能ブロック図が示されている。図2(b)に示すように、異常検知装置10は、CPU90がプログラムを実行することにより、取得部としてのデータ受信部12、状態数値化部14、検知部としての異常予兆評価部16、異常予兆通知部18として機能する。
データ受信部12は、データサーバ20から対象設備(本第1の実施形態では火力発電設備)の対象日1日分のセンサデータを取得して、センサデータ管理DB32が有するセンサデータ管理テーブル322(図8参照)に受信したセンサデータを格納する。
状態数値化部14は、センサデータ管理DB32に格納されているセンサデータの数値化処理を行う。状態数値化部14は、イベント管理DB34が有するイベント管理テーブル342(図9)を参照して、異常の発生及び異常の予兆の検知に用いるセンサデータを特定する。そして、状態数値化部14は、特定したセンサデータをセンサデータ管理DB32が有する解析インプットデータテーブル324(図10)に格納する。また、状態数値化部14は、解析インプットデータテーブル324のデータを規準化して、規準化データテーブル326(図13)に格納する。そして、状態数値化部14は、規準化データテーブル326のデータを高速フーリエ変換するとともに、高速フーリエ変換により得られたパワースペクトルデータから、発電量と各センサのデータとの同一周波数毎の変化傾向の差として、周波数ごとにコヒーレンスを計算する。更に、状態数値化部14は、周波数ごとに計算したコヒーレンスを合計(合算)して得られる値を、異常予兆情報管理DB36が有するコヒーレンス結果テーブル362(図15)に格納する。
異常予兆評価部16は、コヒーレンス結果テーブル362に格納されているデータに基づいて、異常の発生又は異常の予兆を評価する。この評価において、異常予兆評価部16は、異常予兆情報管理DB36が有するフィルタテーブル364(図22)を利用して、評価結果を修正(変更)する場合もある。そして、異常予兆評価部16は、評価結果を異常予兆通知部18に対して出力する。
異常予兆通知部18は、異常予兆情報管理DB36から取得した異常予兆評価結果を管理装置70に対して通知する。
(異常検知装置10の処理について)
以下、異常検知装置10の処理について、図3〜図7のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。図3の処理では、まず、ステップS10において、データ受信部12が、例えば日付が切り替わるタイミングで、前日の1日分のセンサデータをデータサーバ20に要求して受信し、センサデータ管理DB32(図8のセンサデータ管理テーブル322)に格納する。図8の例では、センサデータ管理テーブル322には、2018年8月15日に取得された1分毎の発電量、温度、圧力、速度、振動の各センサデータが格納されている。なお、図8の発電量の単位はMW、温度の単位は℃、圧力の単位はkPa、速度の単位はm/s、振動の単位はμP−Pである。図8に示すように、センサデータ管理テーブル322に1日分のセンサデータ(1440行分のセンサデータ)が格納された状態で、以下のステップS11〜S15の処理が行われる。
ステップS11〜S15においては、状態数値化部14が、解析対象データ抽出処理(S11)、規準化処理(S12)、コヒーレンス演算処理(S13)を実行し、異常予兆評価部16が、異常予兆評価処理(S14)を実行し、異常予兆通知部18が、異常予兆通知処理(S15)を実行する。以下、各処理の詳細について、図4〜図7に基づいて説明する。なお、ステップS11が実行される段階では、図10の解析インプットデータテーブル324、規準化データテーブル326には、データが一切格納されていないものとする。
(解析対象データ抽出処理(S11))
図4には、状態数値化部14が実行する解析対象データ抽出処理の詳細処理がフローチャートにて示されている。図4の処理では、まずステップS22において、状態数値化部14が、未選択のセンサデータを1つ選択する。例えば、状態数値化部14は、図8のセンサデータ管理テーブル322に格納されているセンサデータのうち、「発電量」のデータの先頭の1つを選択したものとする。
次いで、ステップS24では、状態数値化部14が、選択されたセンサデータの日時情報を取得する。例えば、図8のセンサデータ管理テーブル322の1行目の発電量のデータが選択されている場合には、「2018年8月15日 0:00:00」を取得する。
次いで、ステップS26では、状態数値化部14が、イベント管理テーブル342(図9)から、取得した日時情報に対応するイベント処理フラグを取得する。ここで、図9のイベント管理テーブル342には、イベントが発生した時間帯の情報(開始日、開始時刻、終了日、終了時刻)と、イベント(状態)の情報と、イベント処理フラグと、が関連付けて格納されている。なお、イベント管理テーブル342は、管理装置70において作成されるものとする。
イベントの情報には、火力発電設備のスタートやストップの情報や、故障などによるタービンやボイラーのトリップ(緊急停止)、地震検知などが含まれる。イベント処理フラグには、「0」、「1」及び「2」がある。イベント処理フラグが「1」の時間帯に得られたセンサデータは、後述する異常の発生や異常の予兆の評価に用いないことを意味する。なお、イベント処理フラグ=「2」の詳細については後述する。ステップS26では、状態数値化部14は、取得した日時情報がイベント管理テーブル342に格納されているいずれかの時間帯に含まれていれば、イベント処理フラグ=「1」又は「2」を取得し、含まれていなければイベント処理フラグ=「0」を取得する。
次いで、ステップS28では、状態数値化部14が、取得したイベント処理フラグが1であるか否かを判断する。このステップS28の判断が否定された場合には、ステップS29に移行し、状態数値化部14は、選択されているセンサデータをそのまま解析インプットデータテーブル324(図10)に格納する。その後は、ステップS32に移行する。
一方、ステップS28の判断が肯定された場合には、ステップS30に移行する。ステップS30に移行すると、状態数値化部14は、選択されているセンサデータを解析対象外(NA)とし、解析インプットデータテーブル324(図10)に格納する。その後は、ステップS32に移行する。
ステップS32に移行した場合、状態数値化部14が、センサデータ管理テーブル322に格納されている全てのセンサデータを選択したか否かを判断する。このステップS32の判断が否定された場合には、ステップS22に戻る。その後は、ステップS22以降の処理が繰り返し実行され、ステップS32の判断が肯定された段階で、図4のステップS11の全処理が終了する。
以上の処理により、図10の解析インプットデータテーブル324では、例えば、2018年8月15日の6:50:00から7:20:00までの間のデータが「NA」に書き換えられるようになっている。なお、図11(a)、図11(b)には、一例として、発電量の時系列データと、振動の時系列データが示されている。図11(a)、図11(b)においてグレーで示されている部分のデータは、上記ステップS11の処理において解析対象外(NA)となるデータである。ステップS11の処理を行うことで、外的要因(スタートやストップなど)によるセンサデータの一時的な変動を異常と見做さないようにすることができる。
(規準化処理(S12))
次に、図5のフローチャートに沿って、上述した解析対象データ抽出処理(S11)の後に状態数値化部14により実行される規準化処理(S12)について説明する。
図5の処理では、まず、ステップS40において、状態数値化部14が、未選択のセンサデータの種類を選択する。例えば、状態数値化部14は、センサデータ「発電量」を選択したものとする。
次いで、ステップS42では、状態数値化部14が、解析インプットデータテーブル324から、選択している種類のセンサデータ(1日分)を取得する。ここでは、状態数値化部14は、解析インプットデータテーブル324から、2018年8月15日の1日分の「発電量」のデータを取得したものとする。
次いで、ステップS44では、状態数値化部14が、取得したデータの規準化計算を実施する。この場合、例えば、データ処理のしやすさを考慮して、取得したデータの平均が0、分散が1となるように規準化を実行する。図12(a)、図12(b)には、図11(a)、図11(b)の時系列データを規準化した場合の例(規準化後の発電量の時系列データ及び規準化後の振動の時系列データ)が示されている。
次いで、ステップS46では、状態数値化部14が、規準化計算後のデータを図13の規準化データテーブル326に格納する。上述したように「発電量」のセンサデータの規準化が行われた場合には、図13の規準化データテーブル326の「発電量」の列に、規準化後のデータが格納される。
次いで、ステップS48では、状態数値化部14が、センサデータの全ての種類を選択したか否かを判断する。このステップS48の判断が否定された場合には、ステップS40に戻り、未選択のセンサデータに対するステップS40〜S46の処理が繰り返し実行される。そして、ステップS48の判断が肯定された段階で、図5の全処理が終了する。
(コヒーレンス演算処理(S13))
次に、図6のフローチャートに沿って、状態数値化部14により実行されるコヒーレンス演算処理について説明する。
図6の処理では、まずステップS50において、状態数値化部14が、規準化データテーブル326(図13)から規準化後のデータを取得する。この場合、状態数値化部14は、2018年8月15日の1日分のデータを規準化データテーブル326から取得したとする。
次いで、ステップS52では、状態数値化部14が、高速フーリエ変換のパターンを設定する。高速フーリエ変換のパターンとしては、例えば、サンプリング周波数、サンプル数、窓関数、オーバーラップなどがそれぞれ定義された複数パターンが用意されているものとする。ステップS52では、状態数値化部14が、予め用意されている複数パターンのうちの1つを選択するものとする。
次いで、ステップS54では、状態数値化部14が、設定されたパラメータを用いて、取得した規準化後のセンサデータに対して高速フーリエ変換計算を行い、フーリエ変換後のパワースペクトルデータを作成する。この場合、状態数値化部14は、発電量の時系列データ(規準化後のデータ)に対して高速フーリエ変換を行うことで、フーリエ変換後のパワースペクトルデータを得る。また、状態数値化部14は、発電量以外の時系列データ(規準化後のデータ)に対しても高速フーリエ変換を行うことで、発電量以外についてもフーリエ変換後のパワースペクトルデータを得る。ここで、図14(a)には、1日分の発電量の時系列データ(規準化後のデータ)の一例が示されている。状態数値化部14は、図14(a)の規準化後のデータを高速フーリエ変換することで、図14(b)に示すようなフーリエ変換後のパワースペクトルを得ることができる。
次いで、ステップS56では、状態数値化部14が、ステップS54において得られた発電量のパワースペクトルデータと、発電量以外のセンサのパワースペクトルデータとを用いて、周波数ω単位でコヒーレンスを計算する。より具体的には、状態数値化部14は、発電量と温度のコヒーレンスを周波数ω単位で計算し、発電量と圧力のコヒーレンスを周波数ω単位で計算し、発電量と速度のコヒーレンスを周波数ω単位で計算し、発電量と振動のコヒーレンスを周波数ω単位で計算する。
次いで、ステップS58では、状態数値化部14が、周波数ω単位のコヒーレンス計算結果を集計(合算)する。例えば、状態数値化部14は、発電量と温度の各周波数のコヒーレンスを合算し、発電量と圧力の各周波数のコヒーレンスを合算し、発電量と速度の各周波数のコヒーレンスを合算し、発電量と振動の各周波数のコヒーレンスを合算する。なお、コヒーレンスの合算値(合計値)を以下においてはコヒーレンス計算値と呼ぶものとする。
次いで、ステップS60では、状態数値化部14が、コヒーレンス計算値をコヒーレンス結果テーブル362に格納する。この場合、状態数値化部14は、例えば、図15のコヒーレンス結果テーブル362の対象日(2018年8月15日)に対応する「コヒーレンス1」の欄に、求めたコヒーレンス計算値を格納する。
次いで、ステップS62では、状態数値化部14が、予め用意されている高速フーリエ変換の複数のパターンの全てのパターンを設定したか否かを判断する。このステップS62の判断が否定された場合には、ステップS52に戻る。ステップS52に戻ると、状態数値化部14は、次の高速フーリエ変換のパターンを選択して設定し、ステップS54以降の処理を上記と同様に実行する。なお、ステップS60の実施が2回目となる場合には、状態数値化部14は、例えば、図15のコヒーレンス結果テーブル362の対象日に対応する「コヒーレンス2」の欄に、ステップS58で求めたコヒーレンス計算値を格納する。
その後は、ステップS62の判断が肯定されるまでステップS52〜S62の処理・判断を繰り返し、ステップS62の判断が肯定された段階で、図6の処理(ステップS13の処理)が終了する。
なお、図15のコヒーレンス結果テーブル362には、過去に算出されたコヒーレンス計算値についても格納されている。
(異常予兆評価処理(S14))
次に、図7のフローチャートに沿って、異常予兆評価部16により実行される異常予兆評価処理について詳細に説明する。
図7の処理では、まず、ステップS70において、異常予兆評価部16が、対象日のコヒーレンス計算値を1つ取得する。ここでは、一例として、対象日が2018年8月15日であるものとし、対象日におけるコヒーレンス計算値として、図15のコヒーレンス結果テーブル362から、コヒーレンス1「発電量−振動」(下線付きの値「-0.5116」参照)を取得したものとする。
次いで、ステップS71では、異常予兆評価部16が、過去の所定期間のコヒーレンス計算値をコヒーレンス結果テーブル362から取得する。ここでは、過去の所定期間のコヒーレンス計算値として、2018年7月6日から8月14日のコヒーレンス計算値を取得したものとする。
次いで、ステップS72では、異常予兆評価部16が、分布を計算する。この場合、異常予兆評価部16は、図16に示すように日付ごとにコヒーレンス計算値をプロットし、分布を計算する。
次いで、ステップS74では、異常予兆評価部16が、計算した分布の歪度が高く、正規分布でないか否かを判断する。このステップS74の判断が肯定された場合には、ステップS76に移行し、異常予兆評価部16は、前処理(例えばフィッシャーZ変換)を実行することで、分布が正規分布に近づくようにする。一方、ステップS74の判断が否定された場合には、ステップS76を経ずに、ステップS78に移行する。
ステップS78に移行すると、異常予兆評価部16は、図16の分布(又はステップS76で前処理を行った後の分布)に基づいて、図17に示すようなコヒーレンス計算値の確率密度を示す散布図を作成し、その標準偏差σを計算する。なお、本第1の実施形態では、図17に示すコヒーレンス計算値=0を中心とする標準偏差の2倍(2×σ)の範囲を異常なし(青)の範囲とし、当該範囲の外側を異常(赤)と判定する。なお、異常なし(青)と異常(赤)との間には、警告(黄)もあるが、図17からは警告(黄)は判定されない(異常なし(青)/異常(赤)のみ判定される)ものとする。なお、異常レベルは、低いほうから、異常なし(青)、警告(黄)、異常(赤)である。なお、異常(赤)と判定される場合には、異常が既に発生している場合はもちろん、異常が発生する予兆がある場合も含まれる。
次いで、ステップS80では、異常予兆評価部16が、対象日の異常予兆判定を実施する。対象日が2018年8月15日であり、図16において、コヒーレンス計算値が黒丸印で示す値(-0.5116)であったとする。この場合、図17では、2018年8月15日のコヒーレンス計算値は、黒丸印で示す位置にプロットされ、図17に示す2×σの範囲に入っているため、異常なし(青)と判定される。
次いで、ステップS82では、異常予兆評価部16が、イベント管理テーブル342から対象日のイベントを取得する。次いで、ステップS84では、異常予兆評価部16が、取得したイベントにイベント処理フラグ=「2」のイベントが含まれているか否かを判断する。なお、対象日2018年8月15日のイベントには、イベント処理フラグ=2のイベントは含まれていないため、ステップS84の判断は否定され、ステップS90に移行する。ステップS90では、異常予兆評価部16が、異常予兆評価結果(異常なし(青))を異常予兆通知部18に対してそのまま出力する。
その後は、ステップS94において、対象日のコヒーレンス計算値の処理がすべて終了したか否かを判断する。このステップS94の判断が否定された場合には、ステップS70に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、ステップS94の判断が肯定された場合には、図7の全処理を終了する。なお、異常予兆評価部16は、図7のステップS70〜S94の処理・判断を繰り返している間はステップS90を行わずに、ステップS94の判断が肯定された後に、ステップS90の処理を実行することとしてもよい。これにより、異常予兆評価部16は、異常予兆評価結果をまとめて異常予兆通知部18に対して出力することができる。
(対象日=2018年8月16日の場合)
対象日が2018年8月16日である場合に、コヒーレンス計算値としてコヒーレンス1「発電量−振動」(図15の下線付きの値「0.9251」参照)を取得したものとする。この場合、異常予兆評価部16は、過去の所定期間のコヒーレンス計算値として、例えば、2018年7月6日から8月15日までのコヒーレンス計算値をコヒーレンス結果テーブル362から取得する(S70、S71)。
このとき、図18において、対象日のコヒーレンス計算値が黒丸印で示す値(0.9251)であったとすると、図19の散布図では、2018年8月16日のコヒーレンス計算値が黒丸印で示す位置にプロットされる。このコヒーレンス計算値は、図19に示す2×σの範囲から外れているため、異常予兆評価部16は、異常(赤)と判定する(S72〜S80)。
次いで、異常予兆評価部16は、イベント管理テーブル342から対象日のイベントを取得する(S82)。この場合、取得したイベントにはイベント処理フラグ=「2」のイベントが含まれていないので(ステップS84:否定)、異常予兆評価部16は、異常予兆評価結果(異常(赤))を異常予兆通知部18に対してそのまま出力する。
(対象日=2018年8月22日の場合)
対象日が2018年8月22日である場合に、コヒーレンス計算値としてコヒーレンス1「発電量−振動」(図15の下線付きの値「0.8582」参照)を取得したものとする。この場合、異常予兆評価部16は、過去の所定期間のコヒーレンス計算値として、例えば、2018年7月6日から8月21日までのコヒーレンス計算値をコヒーレンス結果テーブル362から取得する(S70、S71)。
このとき、図20において、対象日のコヒーレンス計算値が黒丸印で示す値(0.8582)であったとすると、図21では、2018年8月22日のコヒーレンス計算値が黒丸印で示す位置にプロットされる。このコヒーレンス計算値は、図21に示す2×σの範囲から外れているため、異常(赤)と判定される(S72〜S80)。
次いで、異常予兆評価部16は、イベント管理テーブル342から対象日のイベント「地震検知、震度2」を取得する(S82)。この場合、取得したイベントにはイベント処理フラグ=「2」のイベントが含まれているので(ステップS84:肯定)、異常予兆評価部16は、図22に示すフィルタテーブル364からフィルタ定義を取得する(S86)。ここで、図22のフィルタテーブル364には、フィルタ名と、フィルタ定義とが対応付けて格納されている。図22の例では、フィルタ名「地震(震度2以下)」に対して、フィルタ定義「異常予兆評価結果を1段階下げる。ただし、異常なし(青)までは下げない」などが格納されているものとする。異常予兆評価部16は、ステップS82で取得したイベント(地震検知、震度2)に対応するフィルタ定義として、「異常予兆評価結果を1段階下げる。ただし、異常なし(青)までは下げない」を取得する。
次いで、異常予兆評価部16は、ステップS88において、異常予兆評価結果を変更する必要があるか否かを判断する。ここでは、取得したフィルタ定義に基づいて、異常予兆評価結果を変更する必要があるため、ステップS88の判断が肯定され、ステップS92に移行する。ステップS92に移行すると、異常予兆評価部16は、異常予兆評価結果をフィルタ定義に基づいて変更する。本例では、異常予兆評価部16は、異常(赤)から警告(黄)に変更する。すなわち、異常(赤)と評価された原因が地震にある可能性があり、火力発電設備の機器に異常が発生していない可能性があることから、異常(赤)から警告(黄)に変更するものとする。その後は、ステップS90に移行し、異常予兆評価部16は、変更後の異常予兆評価結果を異常予兆通知部18に対して出力する。
なお、ステップS88の判断が否定された場合、すなわち、異常予兆評価結果を変更する必要がなかった場合には、ステップS92を経ずに、ステップS90に直接移行する。この場合、異常予兆評価部16は、異常予兆評価結果をそのまま(変更せずに)異常予兆通知部18に対して出力する。
(異常予兆通知処理(S15))
上述したステップS14の処理が行われた後は、異常予兆評価部16から異常予兆評価結果を受け取った異常予兆通知部18が、管理装置70に対して異常予兆評価結果を通知する。管理装置70では、受け取った異常予兆評価結果を表示部などを介して出力する。なお、管理装置70は、青、黄、赤で異常有無を表示可能な信号機を用いて、異常なし(青)や、アラーム(警告(黄)、異常(赤))を表示することとしてもよい。また、音や音声などによりアラームを出力することとしてもよい。
これまでの説明からわかるように、本第1の実施形態では、状態数値化部14により、処理(解析)に用いるセンサデータを特定する特定部、発電量の時系列データとセンサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解してパワースペクトルデータを作成する分解部、発電量のパワースペクトルデータとセンサのパワースペクトルデータの同一周波数毎のコヒーレンスを算出する算出部、としての機能が実現されている。
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、データ受信部12は、設備における稼働の程度を示す時系列データ(発電量の時系列データ)及び設備に設けられたセンサの時系列データを取得し(S10)、状態数値化部14は、取得した発電量の時系列データとセンサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解してパワースペクトルデータを作成し(S13、S54)、発電量のパワースペクトルデータとセンサのパワースペクトルデータの同一周波数毎のコヒーレンスを算出する(S56)。そして、異常予兆評価部16は、周波数ごとに算出されたコヒーレンスの合算値と、過去に得られたコヒーレンスの合算値の分布とに基づいて、火力発電設備に含まれる機器の異常又は異常の予兆を検知する(S13)。これにより、発電量を基準としてセンサデータが過去とは異なる挙動を示した場合に、火力発電設備に含まれる機器に異常が発生した、又は異常の予兆があることを検知することができるため、センサの種類にかかわらず、汎用的な方法で、異常の発生や異常の予兆を精度よく検知することができる。また、本第1の実施形態では、周波数ごとに算出されたコヒーレンスそのものから異常の発生又は予兆を検知するのではなく、周波数ごとに算出されたコヒーレンスを合算した値から異常の発生又は予兆を検知するため処理を簡素化することができる。更に、本第1の実施形態の異常予兆評価部16は、センサデータと閾値の比較を行わずに、対象日のコヒーレンス計算値と、過去のコヒーレンス計算値の分布とを比較して異常判定を行うため、異常の発生のみならず、異常の予兆を精度よく検知することができる。
また、本第1の実施形態では、状態数値化部14は、設備の稼働状態に基づいて、時系列データの中から処理(解析)に用いるデータを抽出する(S11)。これにより、設備の稼働状態(スタートやストップなど)によるセンサデータの一時的な変動を異常と見做さないようにすることができる。
また、本第1の実施形態では、イベント管理テーブル342のイベント処理フラグ、及びフィルタテーブル364に基づいて、異常判定結果を変更する(S92)。これにより、地震などのイベントが発生した場合でも異常検知精度を維持することが可能である。
なお、上記第1の実施形態では、図17、図19、図21において、コヒーレンス計算値が、過去のコヒーレンス計算値の分布の2×σの範囲に入るか否かに基づいて異常あり/異常なしを判定する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、その他の範囲(例えば3×σや半値幅など)を用いて、異常あり/異常なしを判定することとしてもよい。
なお、上記第1の実施形態では、火力発電施設の異常検知に図1の異常監視システム100を用いる場合について説明したが、これに限らず、その他の施設(例えば工場など)の異常検知に図1の異常監視システム100を用いることとしてもよい。この場合、施設における稼働の程度を示す時系列データとしては、生産量の時系列データなどを用いることができる。
《第2の実施形態》
以下、第2の実施形態について、図23〜図26に基づいて説明する。本第2の実施形態の異常監視システムは、上記第1の実施形態と同様の構成を有しているものの、異常検知装置10の一部処理が異なっている。なお、本第2の実施形態では、図15のコヒーレンス結果テーブル362に代えて、図25に示す周波数ω単位のコヒーレンス結果テーブル362’が利用される。
本第2の実施形態では、異常検知装置10は、図3の処理に代えて、図23のフローチャートに沿った処理を実行する。より具体的には、異常検知装置10は、図23の処理において、図3のステップS13、S14の処理に代えて、ステップS13’、S14’の処理を実行する。なお、ステップS10、S11、S12及びS15については、第1の実施形態と同様の処理となっている。
(コヒーレンス演算処理(S13’))
以下、図24のフローチャートに沿って、状態数値化部14により実行されるコヒーレンス演算処理について説明する。
図24の処理では、状態数値化部14は、ステップS50〜S56を図6と同様に実行する。より具体的には、状態数値化部14は、規準化データテーブル326(図13)から規準化後のデータを取得するとともに(S50)、高速フーリエ変換のパターンを設定する(S52)。また、状態数値化部14は、設定されたパラメータを用いて、取得した規準化後のセンサデータに対して高速フーリエ変換計算を行い、フーリエ変換後のパワースペクトルデータを作成する(S54)。そして、状態数値化部14は、ステップS54において得られた発電量のパワースペクトルデータと、発電量以外のセンサのパワースペクトルデータとを用いて、周波数ω単位でコヒーレンスを計算する(S56)。より具体的には、状態数値化部14は、発電量と温度のコヒーレンスを周波数ω単位で計算し、発電量と圧力のコヒーレンスを周波数ω単位で計算し、発電量と速度のコヒーレンスを周波数ω単位で計算し、発電量と振動のコヒーレンスを周波数ω単位で計算する。
次いで、ステップS58’では、状態数値化部14が、周波数ω単位のコヒーレンス計算結果を図25に示す周波数ω単位のコヒーレンス結果テーブル362’に格納する。ここで、図25に示す周波数ω単位のコヒーレンス結果テーブル362’には、図6とは異なり、周波数ごとにコヒーレンス計算結果を格納することができるようになっている。
次いで、ステップS62では、状態数値化部14が、予め用意されている高速フーリエ変換の複数のパターンの全てのパターンを設定したか否かを判断する。このステップS62の判断が否定された場合には、ステップS52〜S62の処理・判断を繰り返し、ステップS62の判断が肯定された段階で、図25の処理(ステップS13’の処理)が終了する。
(異常予兆評価処理(S14’))
次に、図26のフローチャートに沿って、異常予兆評価部16により実行される異常予兆評価処理について詳細に説明する。
図26の処理では、まず、ステップS70’において、異常予兆評価部16が、対象日の周波数単位のコヒーレンス計算値を1つ取得する。ここでは、一例として、図25から、対象日が2018年8月15日の周波数(ω=0)のコヒーレンス計算値として、コヒーレンス1「発電量−振動」(=-0.0051)を取得したものとする。
次いで、ステップS71’では、異常予兆評価部16が、過去の所定期間における同一周波数のコヒーレンス計算値を周波数ω単位のコヒーレンス結果テーブル362’から取得する。ここでは、過去の所定期間のコヒーレンス計算値として、2018年7月6日から8月14日の周波数ω=0のコヒーレンス計算値を取得したものとする。
次いで、ステップS72では、異常予兆評価部16が、分布を計算する。この場合、異常予兆評価部16は、図16と同様に、日付ごとに周波数ω=0のコヒーレンス計算値をプロットし、分布を計算する。その後、異常予兆評価部16は、計算した分布の歪度が高く、正規分布でない場合(S74:肯定)には、前処理(例えばフィッシャーZ変換)を実行し(S76)、ステップS78に移行する。ステップS78に移行すると、異常予兆評価部16は、ステップS72で求めた分布又はステップS76で前処理を行った後の分布に基づいて、周波数ω=0のコヒーレンス計算値の確率密度を示す散布図(図17と同様)を作成し、その標準偏差σを計算する。
次いで、ステップS80では、異常予兆評価部16が、対象日の異常予兆判定を実施する。この場合、異常予兆評価部16は、ステップS70’で取得した周波数ω=0のコヒーレンス計算値が確率密度を示す散布図の2×σの範囲に入っていれば(すなわち、コヒーレンス計算値が過去のコヒーレンス計算値の分布と一致又は類似していれば)、異常なし(青)と判定し、2×σの範囲に入っていなければ異常あり(赤)と判定する。なお、ステップS80で用いる範囲(2×σ)は一例であるため、その他の範囲を設定してもよい。なお、本第2の実施形態では、ステップS80において、複数の周波数成分への分解の結果から火力発電設備の稼働の程度を示す時系列データとセンサの時系列データとの間における周波数毎の変化傾向と過去の変化傾向とを比較し、変化傾向が過去の変化傾向と一致又は類似する周波数を特定し、特定した周波数以外の周波数がある場合に異常ありと判定していると言える。
その後は、異常予兆評価部16は、ステップS82、S84、S86、S88、S92を適宜実行することで、イベントに基づく異常予兆評価結果の変更の必要性を判断し、必要であれば異常予兆評価結果を変更する。そして、ステップS90’に移行すると、異常予兆評価部16は、周波数単位の異常予兆評価結果を異常予兆通知部18に対して出力する。
その後は、ステップS94’において、対象日のコヒーレンス計算値の処理がすべて終了したか否かを判断し、ステップS94’の判断が否定された場合には、ステップS70’に戻り、上述した処理を繰り返す。これにより、周波数ごとのコヒーレンス計算値に基づいて、異常予兆の有無を評価し、評価結果を異常予兆通知部18に対して出力することができる。一方、ステップS94’の判断が肯定された場合には、図26の全処理を終了する。
これまでの説明からわかるように、本第2の実施形態では、異常予兆評価部16により、発電量のパワースペクトルデータとセンサのパワースペクトルデータの同一周波数毎のコヒーレンス(変化傾向)を過去の変化傾向と比較する比較部、及び過去の変化傾向と一致又は類似する周波数を特定する特定部としての機能が実現されている。また、異常予兆評価部16により、特定した周波数以外の周波数におけるセンサの時系列データに基づいて、設備に関連する機器の異常を検知する検知部としての機能が実現されている。
以上、詳細に説明したように、本第2の実施形態によると、データ受信部12は、設備における稼働の程度を示す時系列データ(発電量の時系列データ)及び設備に設けられたセンサの時系列データを取得し、状態数値化部14は、取得した発電量の時系列データとセンサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解してパワースペクトルデータを作成し(S13’、S54)、発電量のパワースペクトルデータとセンサのパワースペクトルデータの同一周波数毎のコヒーレンスを算出する(S13’S56)。そして、異常予兆評価部16は、周波数ごとに算出されたコヒーレンスのうち、過去に得られた同一周波数ごとのコヒーレンスの分布から定まる範囲に含まれないものを特定して、これに基づいて火力発電設備に含まれる機器の異常又は異常の予兆を検知する(S14’)。これにより、発電量を基準としてセンサデータが過去とは異なる挙動を示した場合に、火力発電設備に含まれる機器に異常が発生した、又は異常の予兆があることを検知することができるため、センサの種類にかかわらず、汎用的な方法で、異常の発生や異常の予兆を精度よく検知することができる。また、本第2の実施形態の異常予兆評価部16は、センサデータと閾値の比較を行わずに、対象日のコヒーレンス計算値と、過去のコヒーレンス計算値の分布とを比較して異常判定を行うため、異常の発生のみならず、異常の予兆を精度よく検知することができる。
なお、上記第2の実施形態では、周波数に応じて火力発電設備のどの箇所に異常が生じているかを判断することができる場合もある。このような場合には、異常予兆評価部16は、ステップS90’において周波数単位の異常予兆評価結果を異常予兆通知部18に出力する際に、どの箇所の異常であるかの情報を出力することとしてもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
なお、以上の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における同一周波数毎の変化傾向の差を算出し、
算出した前記変化傾向の差の合計値と、過去における前記変化傾向の差の合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラム。
(付記2) 前記センサの時系列データは、前記設備に関連する機器の温度、圧力、速度、振動変位の少なくとも一つの時系列データであることを特徴とする付記1に記載の異常検知プログラム。
(付記3) 前記算出する処理では、前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データから得られる同一周波数成分ごとのコヒーレンスを算出し、
前記異常を検知する処理では、周波数成分ごとのコヒーレンスの合計値と、過去における周波数成分ごとのコヒーレンスの合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、ことを特徴とする付記1または2に記載の異常検知プログラム。
(付記4) 前記設備の稼働状態に基づいて、前記取得する処理で取得した時系列データの中から、前記分解する処理で複数の周波数成分に分解する時系列データを特定する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の異常検知プログラム。
(付記5) 前記設備の稼働状態に基づいて、検知した前記異常の内容を変更する、ことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の異常検知プログラム。
(付記6) 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における同一周波数毎の変化傾向の差を算出し、
算出した前記変化傾向の差の合計値と、過去における前記変化傾向の差の合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする異常検知方法。
(付記7) 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解する分解部と、
前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における同一周波数毎の変化傾向の差を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記変化傾向の差の合計値と、過去における前記変化傾向の差の合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する検知部と、
を備える異常検知装置。
(付記8) 前記センサの時系列データは、前記設備に関連する機器の温度、圧力、速度、振動変位の少なくとも一つの時系列データであることを特徴とする付記7に記載の異常検知装置。
(付記9) 前記算出部は、前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データから得られる同一周波数成分ごとのコヒーレンスを算出し、
前記検知部は、周波数成分ごとのコヒーレンスの合計値と、過去における周波数成分ごとのコヒーレンスの合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、ことを特徴とする付記7または8に記載の異常検知装置。
(付記10) 前記設備の稼働状態に基づいて、前記取得する処理で取得した時系列データの中から、前記分解部が複数の周波数成分に分解する時系列データを特定する特定部を更に備える付記7〜9のいずれかに記載の異常検知装置。
(付記11) 前記検知部は、前記設備の稼働状態に基づいて、検知した前記異常の内容を変更する、ことを特徴とする付記7〜10のいずれかに記載の異常検知装置。
(付記12) 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における周波数毎の変化傾向を過去の変化傾向と比較し、
前記変化傾向が過去の変化傾向と一致又は類似する周波数を特定し、
特定した前記周波数以外の周波数における前記センサの時系列データに基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラム。
(付記13) 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における周波数毎の変化傾向を過去の変化傾向と比較し、
前記変化傾向が過去の変化傾向と一致又は類似する周波数を特定し、
特定した前記周波数以外の周波数における前記センサの時系列データに基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする異常検知方法。
(付記14) 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得する取得部と、
取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解する分解部と、
前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における周波数毎の変化傾向を過去の変化傾向と比較する比較部と、
前記変化傾向が過去の変化傾向と一致又は類似する周波数を特定する特定部と、
特定した前記周波数以外の周波数における前記センサの時系列データに基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する検知部と、
を備える異常検知装置。
10 異常検知装置
12 データ受信部(取得部)
14 状態数値化部(分解部、算出部、特定部、比較部)
16 異常予兆評価部(検知部)

Claims (10)

  1. 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
    取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
    前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における同一周波数毎の変化傾向の差を算出し、
    算出した前記変化傾向の差の合計値と、過去における前記変化傾向の差の合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラム。
  2. 前記センサの時系列データは、前記設備に関連する機器の温度、圧力、速度、振動変位の少なくとも一つの時系列データであることを特徴とする請求項1に記載の異常検知プログラム。
  3. 前記算出する処理では、前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データから得られる同一周波数成分ごとのコヒーレンスを算出し、
    前記異常を検知する処理では、周波数成分ごとのコヒーレンスの合計値と、過去における周波数成分ごとのコヒーレンスの合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の異常検知プログラム。
  4. 前記設備の稼働状態に基づいて、前記取得する処理で取得した時系列データの中から、前記分解する処理で複数の周波数成分に分解する時系列データを特定する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の異常検知プログラム。
  5. 前記設備の稼働状態に基づいて、検知した前記異常の内容を変更する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の異常検知プログラム。
  6. 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
    取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
    前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における同一周波数毎の変化傾向の差を算出し、
    算出した前記変化傾向の差の合計値と、過去における前記変化傾向の差の合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
    処理をコンピュータが実行することを特徴とする異常検知方法。
  7. 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得する取得部と、
    前記取得部が取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解する分解部と、
    前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における同一周波数毎の変化傾向の差を算出する算出部と、
    前記算出部が算出した前記変化傾向の差の合計値と、過去における前記変化傾向の差の合計値の分布と、に基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する検知部と、
    を備える異常検知装置。
  8. 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
    取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
    前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における周波数毎の変化傾向を比較し、
    前記変化傾向が一致又は類似する周波数を特定し、
    特定した前記周波数以外の周波数における前記センサの時系列データに基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラム。
  9. 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得し、
    取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解し、
    前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における周波数毎の変化傾向を比較し、
    前記変化傾向が一致又は類似する周波数を特定し、
    特定した前記周波数以外の周波数における前記センサの時系列データに基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する、
    処理をコンピュータが実行することを特徴とする異常検知方法。
  10. 設備における稼働の程度を示す時系列データ及び前記設備に関連する機器それぞれに設置されたセンサの時系列データを取得する取得部と、
    取得した前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データそれぞれを複数の周波数成分へ分解する分解部と、
    前記複数の周波数成分への分解の結果から前記稼働の程度を示す時系列データと前記センサの時系列データとの間における周波数毎の変化傾向を比較する比較部と、
    前記変化傾向が一致又は類似する周波数を特定する特定部と、
    特定した前記周波数以外の周波数における前記センサの時系列データに基づいて、前記設備に関連する機器の異常を検知する検知部と、
    を備える異常検知装置。
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