JP2020006552A5 - - Google Patents

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インクジェット印刷用フィルム及びその製造方法
本発明は、インクジェット印刷用フィルム及びその製造方法に関するものである。
現在、インクジェット印刷は、紙基材に対してだけではなく、樹脂フィルムに対しても行われるようになっている。例えば、透明な樹脂フィルム層にインク受容層が積層されたインクジェット印刷用フィルムが、土木測量用、プリント基板重ね検図用、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)用などとして用いられている。
この基材が樹脂フィルムであるインクジェット印刷用フィルムは、基材が紙であるインクジェット印刷用紙と比較してインクの吸収力に劣るため、印字滲みや印字ムラが生じやすくなる。そこで、乾燥性が良好で印字滲みや印字ムラが生じにくいインクジェット印刷用フィルムの開発が進められている。
例えば、特許文献1は、透明性基材シートに水溶性セルロースエーテル及び超微粒子状無機酸化物を含有するフィラーリッチのインク受容層を設けてなる空隙型インクジェットフィルムにおいて、インク受容層に超微粒子として特定の酸化アルミニウム粒子又は酸化ケイ素粒子を配合し、更にカチオン性アクリル系エマルションを配合したフィルムを提案している。
また、特許文献2は、支持体に顔料及びバインダーを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録媒体であって、インク受容層中にセルロースナノファイバーを含有するインクジェット記録媒体を提案している。
以上の文献は、インク受容層に水溶性セルロースエーテルやセルロースナノファイバー等のセルロース系化合物を配合することで、印字滲みを抑えることを提案したものであると考えられる。しかしながら、これらの提案は、インク受容層がフィラーリッチであることから、使用用途によってはインク受容層の透明性が不十分であるとされる可能性がある。また、インク受容層がフィラーリッチであると、インクジェット印刷用フィルムを断裁する際に、断裁刃が磨耗し易いとの問題もある。また、仮に上記文献によっても透明性を十分にすることができるとしても、フィラーリッチでないインクジェット印刷用フィルムの開発も望まれる。
特開2005−103943号公報 特開2011−11447号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、印字の乾燥性に優れ、かつ透明性が十分なインクジェット印刷用フィルム及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(請求項1に記載の手段)
樹脂フィルム層及びインク受容層を有し、
前記インク受容層は、セルロースナノファイバー、並びにグリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物のいずれか1種以上を含有する、
ことを特徴とするインクジェット印刷用フィルム。
(請求項2に記載の手段)
前記インク受容層においてグリセリンの含有割合が1.0〜10.0質量%、ソルビトールの含有割合が1.0〜10.0質量%、ポリビニルアセトアミド系化合物の含有割合が1.0〜10.0質量%である、
請求項1に記載のインクジェット印刷用フィルム。
(請求項3に記載の手段)
前記インク受容層においてグリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物の合計含有割合が8.0〜12.0質量%である、
請求項1又は請求項2に記載のインクジェット印刷用フィルム。
(請求項4に記載の手段)
前記インク受容層がポリアミドエピクロロヒドリン系化合物を含有し、
前記ポリビニルアセトアミド系化合物に対する前記ポリアミドエピクロロヒドリン系化合物の含有割合が1.0〜200質量%である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
(請求項5に記載の手段)
前記樹脂フィルム層の厚さが12〜250μmで、かつ前記インク受容層の厚さが前記樹脂フィルム層の厚さの0.008〜4.2倍である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
(請求項6に記載の手段)
前記樹脂フィルム層は、ヘーズ値が10.0%未満である2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムで形成されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
(請求項7に記載の手段)
前記樹脂フィルム層は、酸素透過度102〜106ml/m2・24hr・atm、透湿度10-1〜103ml/m2・24hr、MD方向の熱収縮率−0.6〜1.4%、TD方向の熱収縮率0.2〜1.4%である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
(請求項8に記載の手段)
前記セルロースナノファイバーの平均繊維径が4〜500nm以下である、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
(請求項9に記載の手段)
セルロースナノファイバーの分散液に、グリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物のいずれか1種以上を添加して塗工液を得、
この塗工液を樹脂フィルムからなる層に塗工し、乾燥させる、
ことを特徴とするインクジェット印刷用フィルムの製造方法。
(請求項10に記載の手段)
前記塗工液の塗工に先立って、当該塗工液を脱泡し、かつ前記樹脂フィルム層の片面又は両面をコロナ処理又は易接着処理する、
請求項9に記載のインクジェット印刷用フィルムの製造方法。
本発明によると、印字の乾燥性に優れ、かつ透明性が十分なインクジェット印刷用フィルム及びその製造方法となる。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例である。以下の実施形態には、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えることができる。
本形態のインクジェット印刷用フィルムは、樹脂フィルム層及びインク受容層を有する。また、インク受容層は、セルロースナノファイバー(CNF)、グリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物を含有する。このインクジェット印刷用フィルムは、例えば、セルロースナノファイバー(CNF)の分散液に、グリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物を添加して塗工液を得、この塗工液を樹脂フィルムからなる層に塗工し、乾燥させることで得られる。以下、詳細に説明する。
本形態のインク受容層は、セルロースナノファイバー(CNF、セルロース微細繊維)、グリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物を含有する。好ましくは、更にポリアミドエピクロロヒドリン系化合物を含有する。また、より好ましくは、更にアルギン酸塩を含有する。
(セルロースナノファイバー)
セルロースナノファイバーは、セルロース繊維(原料繊維)を解繊(微細化)することで得られる。
原料繊維としては、例えば、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等を使用することができる。これらの繊維は、必要により、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、原料繊維としては、植物由来の繊維(植物繊維)を使用するのが好ましく、植物繊維の一種であるパルプ繊維を使用するのがより好ましい。原料繊維がパルプ繊維であると、CNFの物性を調節するのが容易である。
植物繊維としては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ、バガス等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等を使用することができる。これらの植物繊維は、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)、古紙パルプ(DIP)等を使用することができる。これらの木材パルプは、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、樹脂フィルム層と一体化され易いこと、樹脂フィルム層と一体化されたうえでの寸法安定に優れることから、木材パルプとしては化学パルプを使用するのがより好ましい。
広葉樹クラフトパルプ(LKP)は、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。針葉樹クラフトパルプ(NKP)は、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。古紙パルプ(DIP)は、雑誌古紙パルプ(MDIP)であっても、新聞古紙パルプ(NDIP)であっても、段古紙パルプ(WP)であっても、その他の古紙パルプであってもよい。
原料繊維は、解繊するに先立って、必要により、叩解等の前処理を施すことができる。この前処理は、物理的手法又は化学的手法によって、好ましくは物理的手法及び化学的手法によって行うことができる。解繊するに先立って物理的手法や化学的手法によって前処理することで、解繊の回数を大幅に減らすことができ、解繊に必要なエネルギーを大幅に削減することができる。
物理的手法による前処理としては、叩解を採用するのが好ましい。原料繊維を叩解しておくと、原料繊維が切り揃えられるため、繊維同士が絡み合って凝集するとの問題が解決される。このような観点から、叩解は、原料繊維のフリーネスが120ml以下となるまで行うのが好ましく、110ml以下となるまで行うのがより好ましく、100ml以下となるまで行うのが特に好ましい。なお、フリーネスは、JIS P8121−2(2012)に準拠して測定した値である。
叩解は、例えば、リファイナーやビーター等を使用して行うことができる。
化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)等を採用することができる。ただし、酵素処理を行い、その後に叩解処理を行うと、得られるCNFフィルム層の樹脂フィルム層との一体性が向上する。また、酵素処理を行うと、セルロース繊維が短くなるため、印字滲みが抑制される。
前処理としての物理的手法及び化学的手法は、同時に行うことも、別々に行うこともできる。
前処理としては、以上のほか、例えば、リン酸エステル化処理、アセチル化処理、シアノエチル化処理等の薬品処理を行うこともできる。
原料繊維は、叩解等の前処理を施した後、解繊(微細化)する。この解繊により、原料繊維がミクロフィブリル化し、CNF(セルロースナノファイバー)になる。
原料繊維の解繊は、例えば、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、コニカルリファイナー、ディスクリファイナー等のリファイナー等の各種装置等の中から1種又は2種以上の手段を選択使用して行うことができる。ただし、原料繊維の解繊は、水流、特に高圧水流で解繊する装置・方法を使用して行うのが好ましい。この装置・方法によると、得られるCNFの寸法均一性、分散均一性が非常に高いものとなる。これに対し、例えば、回転する砥石間で磨砕するグラインダーを使用すると、繊維を均一に解繊するのが難しく、一部に解れない繊維塊が残ってしまい、目的とする効果が得られないおそれがある。この点、本発明者等は、高圧水流で解繊する方法と、回転する砥石間で磨砕する方法とで、それぞれパルプ繊維を解繊し、得られた各繊維を顕微鏡観察する試験を行った。結果、高圧水流で解繊する方法で得られた繊維の方が、繊維幅が均一になることを知見した。
高圧水流で解繊する装置としては、例えば、株式会社スギノマシンのスターバースト(登録商標)や、吉田機械興業株式会社のナノヴェイタ\Nanovater(登録商標)等が存在する。また、グラインダーとしては、例えば、増幸産業株式会社のマスコロイダー(登録商標)等が存在する。
次に、高圧水流で解繊する方法について説明する。
高圧水流による解繊は、原料繊維の分散液を増圧機で、例えば30MPa以上、好ましくは100MPa以上、より好ましくは150MPa以上、特に好ましくは220MPa以上に加圧し(高圧条件)、細孔直径50μm以上のノズルから噴出させ、圧力差が、例えば30MPa以上、好ましくは80MPa以上、より好ましくは90MPa以上となるように減圧する(減圧条件)方式で行うと好適である。この圧力差で生じるへき開現象により、原料繊維が解繊される。高圧条件の圧力が低い場合や、高圧条件から減圧条件への圧力差が小さい場合には、解繊効率が下がり、所望の繊維径とするために噴出を繰り返す必要が生じるおそれがある。
高圧水流で解繊する装置としては、高圧ホモジナイザーを使用するのが好ましい。高圧ホモジナイザーとは、例えば10MPa以上、好ましくは100MPa以上の圧力で原料繊維の分散液を吐出することができるホモジナイザーである。原料繊維を高圧ホモジナイザーで処理すると、原料繊維同士の衝突、圧力差、マイクロキャビテーション等が作用し、解繊が効果的に生じる。したがって、解繊の回数を減らすことができ、CNFの製造効率を高めることができる。なお、前処理によって原料繊維が十分に柔軟化されていると、高圧ホモジナイザーによって効果的に解繊することができる。したがって、解繊の回数を減らすことができ、生産性を高めることができる。
高圧ホモジナイザーとしては、原料繊維の分散液を一直線上で対向衝突させるものを使用するのが好ましい。このような装置としては、例えば、対向衝突型高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー/MICROFLUIDIZER(登録商標)、湿式ジェットミル)が存在する。この装置においては、加圧された原料繊維の分散液が合流部で対向衝突するように2本の上流側流路が形成されている。また、原料繊維の分散液は、合流部で衝突し、衝突した原料繊維の分散液は下流側流路から流出する。上流側流路に対して下流側流路は垂直に設けられており、上流側流路と下流側流路とでT字型の流路が形成されている。この装置を使用すると、当該装置のエネルギーが衝突エネルギーに最大限に変換されるため、より効率的に原料繊維を解繊することができる。
原料繊維の解繊は、得られるCNFの平均繊維径、平均繊維長、保水度、結晶化度、擬似粒度分布のピーク値、パルプ粘度が、以下に示すような所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。ただし、原料繊維が所定の繊維径(平均繊維径)になるまで解繊するのがより好ましい。原料繊維が所定の繊維径になるまで解繊することで、CNFの保水度を低く抑えることができる。結果、塗工液の塗工性を向上させることができる。
(平均繊維径)
CNFの平均繊維径(単繊維の直径平均)は、例えば4〜500nm、好ましくは6〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。CNFの平均繊維径が4nmを下回ると、インキ受容層が緻密になることで、受容層強度が強固になり、乾燥時にインキ受理層のヒビ割れが発生しやすくなる可能性がある。他方、CNFの平均繊維が500nmを上回ると、インク受容層の空隙が開きすぎることでインクが浸透し過ぎ、インキ受容層表面にインクが留まらない可能性がある。
CNFの平均繊維径は、例えば、原料繊維の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
CNFの平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のCNFの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5,000倍、10,000倍又は30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
(平均繊維長)
CNFの平均繊維長(単繊維の長さ)は、例えば1〜5000μm、好ましくは10〜3000μm、より好ましくは100〜1000μmである。CNFの平均繊維長が1μmを下回ると、インク受容層が緻密になり、インク受容層に適度な空隙が生じず、インク吸収性が悪化する可能性がある。他方、CNFの平均繊長が5000μmを上回ると、インク受容層の表面に繊維による凹凸を形成しやすくなり、印字ムラ・滲みを完全に防止することができなくなる可能性がある。
CNFの平均繊維長は、例えば、原料繊維の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
平均繊維長の測定方法は、平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
(保水度)
CNFの保水度は、例えば300〜500%、好ましくは350〜480%、より好ましくは380〜450%である。CNFの保水度が300%を下回るとセルロース繊維の解繊性が悪化し、適度なインク受容層の形成が困難となる可能性がある。他方、CNFの保水度が500%を上回ると、CNF自体の保水力が高くなり、インク受容層の乾燥性が悪くなり、生産性が悪化する
CNFの保水度は、例えば、原料繊維の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。保水度は、JAPAN TAPPI No.26(2000)に準拠して測定した値である。
(ピーク値)
CNFの擬似粒度分布曲線におけるピーク値は、1つのピークであるのが好ましい。1つのピークである場合、CNFは、繊維長及び繊維径の均一性が高く、乾燥性に優れる。
CNFのピーク値は、例えば5〜25μm、好ましくは7〜23μm、より好ましくは10〜20μmである。
CNFのピーク値は、例えば、原料繊維の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。ピーク値は、ISO−13320(2009)に準拠して測定した値である。より詳細には、まず、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を使用してCNFの水分散液の体積基準粒度分布を調べる。次に、この分布からCNFの中位径を測定する。この中位径をピーク値とする。
(パルプ粘度)
CNFのパルプ粘度は、例えば1.5〜7.0cps、好ましくは1.8〜6.8cps、より好ましくは2.0〜6.5cpsである。
CNFのパルプ粘度は、例えば、原料繊維の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。パルプ粘度は、JIS−P8215(1998)に準拠して測定した値である。パルプ粘度が高いほどセルロースの重合度が高いことを意味する。
(CNFの分散液)
解繊して得られたCNFは、水系媒体中に分散して分散液にする。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましい(水溶液)。ただし、水系媒体は、一部が水と相溶性を有する他の液体であってもよい。この他の液体としては、例えば、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
分散液は、主成分、好ましくは1.0質量%以上がCNFとなるように調整するのが好ましい。また、分散液の固形分濃度は、取扱いが容易であることから、1.0質量%以上にするのが好ましい。
CNFの濃度を2質量%(w/w)とした場合における分散液のB型粘度は、100〜50,000cpsが好ましく、塗工性の観点から、3,000cps以下であるのが特に好ましい。B型粘度は、固形分濃度1%のCNFの分散液について、JIS−Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。B型粘度は分散液を攪拌させたときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多くなることを意味する。
以上のようにして得たCNFの分散液には、以下で示す添加剤(グリセリン等の薬品)を添加する。本形態においいては、添加剤を添加することで、以下で特定する樹脂フィルム層との一体性に優れるインク受容層が得られる。また、インク受容層及び樹脂フィルム層が一体化された状態での寸法安定性に優れ、外観が良好なインクジェット印刷用フィルムが得られる。しかも、インクジェット印刷用フィルムを製造する工程が複雑になるおそれもない。以下、各添加剤について、順に説明する。
(グリセリン)
グリセリン(グリセロール)は、3価のアルコールである。グリセリンは、例えば、油脂の加水分解によって脂肪酸と共に得られる。本明細書において、グリセリンには、グリセリンの誘導体も含む。
インク受容層にグリセリンが添加されていると、インク受容層の柔軟性が向上する。また、塗工液の乾燥時における収縮シワや割れが軽減され、インクジェット印刷用フィルムの外観が良好なものとなり、透明性が向上する。
グリセリンとしては、化学修飾していないグリセリンを使用するのが好ましい。化学修飾していないグリセリンを使用すると、CNFの分散性が向上し、インク受容層が均質化する。この均質化は、インク受容層の透明性向上につながる。また、化学修飾していないグリセリンを使用すると、インク受容層の柔軟性がより向上する。これは、化学修飾していないグリセリンが結晶化し難いことに由来する。
グリセリンの添加量(含有割合)は、インク受容層全体(塗工液全量)の1.0〜10.0質量%であるのが好ましく、2.0〜7.0質量%であるのがより好ましく、3.0〜6.0質量%であるのが特に好ましい。添加量が1.0質量%未満であると、インク受容層の柔軟性が十分なものとはならないおそれがある。また、塗工液の乾燥時に収縮シワや割れが生じるおそれがある。他方、添加量が10.0質量%を超えると、インク受容層の強度が失われ、印刷時にインク受容層の破壊・割れ等が発生し、印刷適性を失わせることとなる。また、グリセリンの凝集を原因としてインク受容層に微小物が発生するおそれがある。この微笑物の発生は、インク受容層の透明性の低下、印字不良につながる。
(ソルビトール)
ソルビトールは、グルコースの糖アルコールの一種である。本明細書において、ソルビトールには、ソルビトールの誘導体も含む。
インク受容層にソルビトールが添加されていると、塗工液の流動性が向上し、また、他の添加剤との相溶性が向上する。結果、インク受容層が均質化し、その外観も良好なもり、また、透明性が向上する。さらに、ソルビトールが添加されていると、インク受容層の強度が向上する。
ソルビトールとしては、化学修飾していないソルビトールを使用するのが好ましい。化学修飾していないソルビトールを使用すると、水酸基を有する他の添加剤との相溶性が向上する。
ソルビトールの添加量(含有割合)は、インク受容層全体(塗工液全量)の1.0〜10.0質量%であるのが好ましく、2.0〜7.0質量%であるのがより好ましく、3.0〜6.0質量%であるのが特に好ましい。添加量が1.0質量%未満であると、CNF分散液の流動性が低下し、塗工性に難が生じるおそれがある。結果、インクジェット印刷用フィルムの外観が劣ったものになり、また、透明性が低下するおそれがある。他方、添加量が10.0質量%を超えると、インク受容層がもろくなり割れの原因となるおそれがある。
(ポリビニルアセトアミド系化合物)
ポリビニルアセトアミド系化合物を添加すると、添加剤同士の相溶性が向上する。結果、インクジェット印刷用フィルムの外観が良好なものとなり、染料インクの定着性も向上する。また、ポリビニルアセトアミド系化合物を添加すると、CNF分散液のせん断応力が低下し、インク受容層の厚さを均一にするのが容易になり、透明性の向上につながる。
ポリビニルアセトアミド系化合物としては、体積平均分子量が5,000〜2,000,000(より好適には、7,000〜18,000)のポリ−N−ビニルアセトアミドを使用するのが好ましい。なお、ポリ−N−ビニルアセトアミドは、N−ビニルアセトアミドを主モノマーとする親水性・親アルコール性のポリマーである。
ポリビニルアセトアミド系化合物の添加量(含有割合)は、インク受容層全体(塗工液全量)の1.0〜10.0質量%であるのが好ましく、1.0〜0.7質量であるのがより好ましく、1.0〜0.5質量%であるのが特に好ましい。添加量が1.0質量%未満であると、添加剤同士の相溶性が十分に向上せず、凝集物が発生するおそれがある。他方、添加量が10.0質量%を超えると、CNF分散液のせん断応力が低下し、CNFフィルム層の厚さを均一にすることができないおそれがある。
各薬液(添加剤)の配合割合は、前述したようにグリセリン1.0〜10.0質量%、ソルビトール1.0〜10.0質量%、ポリビニルアセトアミド系化合物1.0〜10.0質量%であるのが好ましいが、更にグリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物の合計配合割合が8.0〜12.0質量%であるのが好ましく、8.5〜11.5質量%であるのがより好ましく、8.5〜11.0質量%であるのが特に好ましい。合計配合割合が8.0質量%未満であると、インク受容層の外観が良好にならないおそれがある。他方、合計配合割合が12.0質量%を超えると、インク受容層にムラが生じ、インク着色性にバラツキが発生するおそれがある。
(ポリアミドエピクロロヒドリン系化合物)
以上に加えてポリアミドエピクロロヒドリン系化合物を添加すると、インク受容層の湿潤強度が向上する。
ポリアミドエピクロロヒドリン系化合物の配合割合(含有量)は、インク受容層全体(塗工液全量)に対して、0.1〜2.0質量%とするのが好ましく、0.3〜2.0質量%とするのがより好ましく、0.5〜2.0質量%とするのが特に好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、インク受容層の湿潤強度を向上させるに不十分となるおそれがある。他方、配合割合が2.0質量%を超えると、添加剤が凝集する可能性がある。
(アルギン酸塩)
アルギン酸とは、褐藻類から得られる粘り気の強い酸性多糖類である。アルギン酸塩とは、その塩である。インク受容層にアルギン酸塩を添加すると、インク受容層の強度が向上する。
アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムの少なくともいずれか一方を使用するのが好ましい。これらのアルギン酸塩を使用すると、アルギン酸塩自体が持つ被膜性により、インク受容層の強度がより向上する。
アルギン酸塩の配合割合(含有量)は、インク受容層全体(塗工液全量)に対して、1.0〜6.0質量%とするのが好ましく、2.0〜6.0質量%とするのがより好ましく、3.0〜6.0質量%とするのが特に好ましい。配合割合が1.0質量%未満であると、インク受容層の強度を向上させるに不十分となるおそれがある。他方、配合割合が6.0質量%を超えると、インク受容層の柔軟性が失われ、収縮シワ等が発生するおそれがある。
(その他の添加剤)
インク受容層(塗工液)には、必要により、例えば、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料、染料、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤等を添加することができる。
(塗工液)
インク受容層を形成するための塗工液は、塗工性の観点から、固形分濃度を0.5〜2.0質量%とするのが好ましい。また、塗工液のB型粘度は、同様の理由から、500〜3500cpsとするのが好ましい。塗工液の固形分濃度やB型粘度を以上の範囲に調製する方法としては、添加剤を添加する際に水等を加えて希釈する方法、粘度を調整する他の添加剤を加える方法等が存在する。
(脱泡工程)
本形態においては、塗工液の脱泡を行う。塗工液の脱泡方法としては、例えば、羽根付き攪拌機等で攪拌した後、自然脱泡(静置)し、あるいは攪拌真空脱泡する方法等を採用することができる。
(樹脂フィルム)
塗工液塗工の対象となる(基材となる)樹脂フィルム層は、2軸延伸樹脂フィルムで形成されているのが好ましく、2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムで形成されているのがより好ましく、酸素透過度102〜106ml/m2・24hr・atm(好適には102〜104ml/m2・24hr・atm)、透湿度10-1〜103ml/m2・24hr(好適には10-1〜102ml/m2・24hr)、MD方向(流れ方向)の熱収縮率−0.6〜1.4%、TD方向(垂直方向)の熱収縮率0.2〜1.4%(好適にはMD方向−0.4〜1.2%、TD方向0.4〜1.2%)の2軸延伸樹脂フィルム層で形成されているのが特に好ましい。樹脂フィルムが無軸延伸であると、低熱収縮率を示し、外観への影響が少ない。また、酸素透過度が上記範囲内であれば、塗工液がフィルム化すると高い酸素ガスバリア性を示すため、樹脂フィルムの酸素ガスバリア性不足が十分に補われる。さらに、透湿度が上記範囲内であれば、樹脂フィルムの透湿性がインク受容層の透湿性を補う効果が得られる。また、熱収縮率が上記範囲内であれば、樹脂フィルム層の熱収縮と塗工液がフィルム化する時の収縮とがほぼ一致するため、カールの発生を抑制することができる。さらに、MD方向の熱収縮率とTD方向の熱収縮率とを異なるものとする(MD方向<TD方向)ことで、樹脂フィルム層の熱収縮特性とインク受容層の熱収縮特性とが類似することになり、得られるインクジェット印刷用フィルムの外観異常を抑えることができる。
なお、酸素透過度は、JIS K 7126に準拠して測定した値である。また、透湿度は、JIS Z 0208に準拠して測定した値である。さらに、熱収縮率は、JIS K 6782に準拠して測定した値である。
樹脂フィルム層は、透明なものであればよく、特に制限はない。ただし、透明性に加えて、耐熱性、寸法安定性、剛性などを備えた合成樹脂より成形されたものが好ましく、例えば、光学樹脂シート、弾性樹脂シート、高分子樹脂シート等によって形成することができる。高分子樹脂シートとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン等からなるプラスチックシートを使用することができる。また、高分子樹脂シートとしては、適宜のシートにシリコーン化合物やフッ素化合物等の離型剤を塗布したシートも使用することができる。ただし、樹脂フィルム層は、CNF塗液の塗工性及び耐熱性の観点から、2軸延伸ポリエステル樹脂によって形成するのが特に好ましい。
樹脂フィルム層の厚さは、12〜250μmであるのが好ましく、25〜125μmであるのがより好ましく、40〜100μmであるのが特に好ましい。樹脂フィルム層の厚さが40μm未満であると、塗工液がフィルム化する際に、樹脂フィルム層が熱収縮して外観異常となるおそれがある。他方、樹脂フィルム層の厚さが100μmを超えると、樹脂フィルム層とインク受容層との収縮差を原因として、インクジェット印刷用フィルムにシワや割れが形成される(外観の低下)おそれがある。
また、樹脂フィルム層の厚さが12〜250μmである場合においては、インク受容層の厚さが樹脂フィルム層の厚さの0.008〜4.2倍であるのが好ましく、0.02〜3.0倍であるのがより好ましく、0.04〜2.1倍であるのが特に好ましい。インク受容層の厚さを樹脂フィルムとの関係で上記範囲内とすれば、上記樹脂フィルム層の厚さを述べる際に記載した効果が確実に得られる。
樹脂フィルム層のヘーズは、0.1〜10.0%未満であるのが好ましく、0.1〜7.0%であるのがより好ましく、0.1〜2.0%であるのが特に好ましい。なお、ヘーズは、JIS K 7136:2000に準拠して測定した値である。
塗工液を塗工するに先立って、樹脂フィルム層の片面又は両面は、コロナ処理又は易接着処理しておくのが好ましい。これらの処理を施しておくことで、インク受容層と樹脂フィルムとの層間強度が強固となる。なお、コロナ処理とは、処理基材表面をコロナ放電照射により改質させる表面処理技術のことである。また、易接着処理とは、プラスチックフィルム表面に樹脂コーティングを施し、フィルム表面と塗工液(フィルム化した層)との接着性を向上させる処理のことである。
(塗工)
樹脂フィルム層に対する塗工液の塗工方式は、連続方式であっても、バッチ方式であってもよい。連続方式としては、例えば、塗工液を塗工装置に連続的に供給し、当該塗工装置に取り付けたダイ等の吐出手段によって塗工液を樹脂フィルム層上に薄く(薄層に)押し出す方法や、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、リバースコーター、グラビアコーター等を使用して塗工する方法等を例示することができる。バッチ方式としては、例えば、塗工液を樹脂フィルム層上に流延し、アプリケーター、マイヤーバー、ナイフコーター等を使用して薄層を形成する方法等を例示することができる。
(乾燥)
樹脂フィルム層に塗工した塗工液の乾燥は、例えば、乾燥風を当てる等して行うことができる。塗工液の乾燥は、単独の乾燥工程で行っても、複数の乾燥工程を組み合わせて行ってもよい。
塗工液が乾燥することで得られるインク受容層は、厚さが2〜50μmであるのが好ましく、5〜35μmであるのがより好ましく、10〜25μmであるのが特に好ましい。インク受容層の厚さが10μm未満であると、目的とする強度が得られないおそれがある。他方、厚さが50μmを超えると、塗工液の乾燥工程に大規模な装置が必要となり、製造工程が複雑化するおそれがある。なお、インク受容層の厚さは、JIS P8118(2014)「紙及び板紙−厚さ、密度及び比容積の試験方法」に準拠して測定した値である。
塗工液が乾燥することで得られるインク受容層は、坪量が5.0〜100.0g/m2であるのが好ましく、10.0〜80.0g/m2であるのがより好ましく、20.0〜60.0g/m2であるのが特に好ましい。坪量が5.0g/m2未満であると、目的とする強度が得られない可能性がある。他方、坪量が100.0g/m2を超えると、乾燥工程に大規模な装置が必要となり、製造工程が複雑化するおそれがある。なお、インク受容層の坪量は、JIS P8124(2011)「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
(インクジェットフィルム)
樹脂フィルム層の表面にインク受容層が形成されることで得られるインクジェット印刷用フィルムは、厚さが50〜100μmであるのが好ましく、55〜90μmであるのがより好ましく、57〜80μmであるのが特に好ましい。インクジェット印刷用フィルムの厚さが50μm未満であると、引張強度不足となるおそれがある。他方、インクジェット印刷用フィルムの厚さが100μmを超えると、引張伸びが高く、内容物の取り出しが困難となるおそれがある。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の表中において、「質量%」は、絶乾質量割合である。
今回の試験では、樹脂フィルム層として東洋紡(株)製の易接着コートPETフィルム(製品名:コスモシャイン A4100、厚み:100μm、ヘーズ値:2.0%)を使用した。
次に、上記基材を利用してインクジェット印刷用フィルムを製作し、各インクジェット印刷用フィルムについて、各種評価をする試験を行った。詳細は、以下のとおりである。
まず、製紙用の広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を2.0質量%水分散液とした。この水分散液を、リファイナーを使用してフリーネスが100ml以下となるまで叩解し、更に高圧ホモジナイザーを使用して微細化(解繊)した。このようにして、CNF(平均繊維長1,5μm、平均繊維径39nm、保水度280%、ピーク値20μm、パルプ粘度3.3cps)を得た。
次に、以上のようにして得たCNFの分散液(水溶液)に、添加剤を添加して塗工液を得た。添加剤の種類及び配合割合は、表1に示すとおりとした。
各種添加剤としては、次のものを使用した。
グリセリン :製品名「精製グリセリン」(坂本薬品工業株式会社製)
ソルビトール:製品名「ソルビットKK(60%)」(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)
ポリビニルアセトアミド系化合物:製品名「GE191−053」(昭和電工株式会社製)
ポリアミドエピクロロヒドリン系化合物:商品名「WS4024」(星光PMC株式会社製)
得られた塗工液は、樹脂フィルムの一方の面に塗工した。この塗工は、コンマコーターを使用して行った。塗工によって形成されたインクジェット印刷用フィルムの評価を、表1に示した。なお、表中の「質量」は、絶乾質量割合である。
表中の評価基準は、次のとおりである。
(外観:皺(シワ)・割れ)
◎:割れ・シワがない。
○:極微細なシワが部分的に見られるが、割れはない。
△:線状の割れ・シワがあり、実用上にやや難がある(最大の割れの長さが5mm未満)。
×:線状の割れ・シワがあり、実用上、使用できない(最大の割れの長さが5mm以上)。
(外観:気泡)
◎:10cm角の間に、気泡の混入なし。
○:10cm角の間に、1mm大の気泡の混入が1〜2個みられる。
△:10cm角の間に、1mm大の気泡の混入が3〜5個みられ、実用上にやや難がある。
×:10cm角の間に、1mm大の気泡の混入が5個を超えてみられ、実用上、使用できない。
(印字濃度)
インク受容層を形成することで得られたインクジェット印刷用フィルムには、プリンター/EP−803A(セイコーエプソン(株)製)を使用して染料インクを印刷した。印刷モードは、「スーパーファイン紙、標準」とした。また、インクジェット記録用紙の残部には、プリンター/PX−045A(セイコーエプソン(株)製)を使用して顔料インクを印刷した。印刷モードは、「スーパーファイン紙、標準」とした。
以上の印刷によって得られた印刷物について、4色(ブラック・シアン・マゼンダ・イエロー)合計部分の印刷濃度(100%ベタ部をFD−7(コニカミノルタ(株)製)で測定し、4色の結果を合計。)を測定した。
(印字ムラ)
プリンター/EP−803A(セイコーエプソン(株)製)を使用して染料インクでベタ印刷した。印刷モードは、「スーパーファイン紙、標準」とした。文字部分以外のベタ印刷した部分を目視し、濃淡ムラを以下の基準で評価した。なお、評価基準3以上のものが、実用性があると認められる。
5:濃淡ムラが殆どなく、インクジェットフィルムとして適している。
4:濃淡ムラが認められるが、ほとんど目立たず実用上差し支えがない。
3:濃淡ムラがあり、実用にはやや難がある。
2:濃淡ムラがあり、実用性に乏しい。
1:濃淡ムラが酷く、実用性がない。
(印字滲み)
プリンター/EP−803A(セイコーエプソン(株)製)を使用して染料インクで破線及び文字を印刷した。印刷モードは、「スーパーファイン紙、標準」とした。破線部分及び文字を顕微鏡で100倍に拡大し、滲みを以下の基準で評価した。なお、評価基準3以上のものが、実用性があると認められる。
5:インク滲みが殆どなく、インクジェットフィルムとして適している。
4:インク滲みが認められるが、ほとんど目立たず実用上差し支えがない。
3:インク滲みがあり、実用にはやや難がある。
2:インク滲みがあり、実用性に乏しい。
1:インク滲みが酷く、実用性がない。
(乾燥性)
プリンター/PX−045A(セイコーエプソン(株)製)を使用して染料インクで罫線を印刷した。印刷モードは、「スーパーファイン紙、標準」とした。印刷直後に罫線部分を布で拭き取り、乾燥性を以下の基準で評価した。なお、評価基準3以上のものが、実用性があると認められる。
5:印刷部分に汚れが殆どなく、インクジェットフィルムとして適している。
4:印刷部分に汚れが認められるが、ほとんど目立たず実用上差し支えがない。
3:印刷部分に汚れがあり、実用に供するにはやや難がある。
2:印刷部分に汚れがあり、実用に供するに乏しい。
1:印刷部分に汚れが酷く、実用性が全くない。
Figure 2020006552
本発明は、インクジェット印刷用フィルム及びその製造方法として利用可能である。なお、例えば、インクジェットプリンターなどの画像形成装置は、ラベル、コード及び多色図形を含む種々の情報を印字することができる。例えば、このような情報は、透明フィルムに印字されることで、プロジェクションのためのスライドとして使用され、インク受容画像形成可能なレセプターの需要を生み出している。本発明は、この需要に沿うものである。

Claims (10)

  1. 樹脂フィルム層及びインク受容層を有し、
    前記インク受容層は、セルロースナノファイバー、並びにグリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物のいずれか1種以上を含有する、
    ことを特徴とするインクジェット印刷用フィルム。
  2. 前記インク受容層においてグリセリンの含有割合が1.0〜10.0質量%、ソルビトールの含有割合が1.0〜10.0質量%、ポリビニルアセトアミド系化合物の含有割合が1.0〜10.0質量%である、
    請求項1に記載のインクジェット印刷用フィルム。
  3. 前記インク受容層においてグリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物の合計含有割合が8.0〜12.0質量%である、
    請求項1又は請求項2に記載のインクジェット印刷用フィルム。
  4. 前記インク受容層がポリアミドエピクロロヒドリン系化合物を含有し、
    前記ポリビニルアセトアミド系化合物に対する前記ポリアミドエピクロロヒドリン系化合物の含有割合が1.0〜200質量%である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
  5. 前記樹脂フィルム層の厚さが12〜250μmで、かつ前記インク受容層の厚さが前記樹脂フィルム層の厚さの0.008〜4.2倍である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
  6. 前記樹脂フィルム層は、ヘーズ値が10.0%未満である2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムで形成されている、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
  7. 前記樹脂フィルム層は、酸素透過度102〜106ml/m2・24hr・atm、透湿度10-1〜103ml/m2・24hr、MD方向の熱収縮率−0.6〜1.4%、TD方向の熱収縮率0.2〜1.4%である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
  8. 前記セルロースナノファイバーの平均繊維径が4〜500nm以下である、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用フィルム。
  9. セルロースナノファイバーの分散液に、グリセリン、ソルビトール、及びポリビニルアセトアミド系化合物のいずれか1種以上を添加して塗工液を得、
    この塗工液を樹脂フィルムからなる層に塗工し、乾燥させる、
    ことを特徴とするインクジェット印刷用フィルムの製造方法。
  10. 前記塗工液の塗工に先立って、当該塗工液を脱泡し、かつ前記樹脂フィルム層の片面又は両面をコロナ処理又は易接着処理する、
    請求項9に記載のインクジェット印刷用フィルムの製造方法。
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