JP2020006519A - 三次元造形物の製造方法、および、三次元造形装置 - Google Patents

三次元造形物の製造方法、および、三次元造形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元造形物の機械的強度を効率良く高める技術を提供する。【解決手段】三次元造形物の製造方法は、テーブルとノズルとの相対的な位置を変えながら、前記ノズルから前記テーブルに向かって造形材料を吐出することによって、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に開口する凹部を有する第1造形部位を造形する第1工程と、前記凹部を埋めるように、前記ノズルから前記凹部に前記造形材料を吐出して、第2造形部位を造形する第2工程と、を備える。前記第2工程において単位体積の前記第2造形部位を造形する際の前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離は、前記第1工程において単位体積の前記第1造形部位を造形する際の前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離よりも小さい。【選択図】図7B

Description

本発明は、三次元造形物の製造技術に関する。
三次元造形物の製造方法としては、例えば、下記の特許文献1に、ノズルをテーブルである基台に対して走査させながら、ノズルから、造形材料として溶融させた材料を基台上に押し出して三次元造形物を造形する方法が開示されている。
特開2006−192710号公報
特許文献1の技術のように、ノズルから造形材料を吐出させて三次元造形物を造形する場合、ノズルの走査経路の間に、造形材料が充填されないままの隙間が形成されてしまう場合がある。そうした隙間が形成されないように、ノズルの走査をきめ細かくして造形をおこなうと、ノズルの走査経路ごとに造形される線状の造形部位同士の境界が増加する。一般的に、そうした境界では造形材料同士の乖離が生じやすく、そうした境界の増加は、三次元造形物の機械的強度の低下につながるおそれがある。
特許文献1の技術では、基台上において硬化した造形材料同士の間に形成された間隙を、周りの造形材料を溶剤で溶解させて流動させることによって埋めている。しかしながら、特許文献1のような方法では、溶剤を塗布する工程が増加する分だけ、造形工程の作業効率が低下してしまう可能性がある。三次元造形の技術分野においては、三次元造形物の機械的強度を効率良く高めることについて、依然として改善の余地がある。
本発明の一形態は、三次元造形物の製造方法であって;テーブルとノズルとの相対的な位置を変えながら、前記ノズルから前記テーブルに向かって造形材料を吐出することによって、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に開口する凹部を有する第1造形部位を造形する第1工程と;前記凹部を埋めるように、前記ノズルから前記凹部に前記造形材料を吐出して、第2造形部位を造形する第2工程と;を備え;前記第2工程において単位体積の前記第2造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離は、前記第1工程において単位体積の前記第1造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離よりも小さい、三次元造形方法として提供される。
三次元造形装置の構成を示す概略図。 フラットスクリューの構成を示す概略斜視図。 スクリュー対面部の構成を示す概略平面図。 三次元造形物が造形されていく様子を模式的に示す概略図。 第1実施形態における造形処理のフローを示す説明図。 第1造形部位の一例を示す模式図。 第2造形部位の一例を示す模式図。 第2工程においてノズルから造形材料が吐出される様子を示す模式図。 異なる形状の凹部を埋める第2造形部位の造形工程例を示す模式図。 第2実施形態における第2工程を示す模式図。 第2実施形態の第2工程においてノズルから造形材料が吐出される様子を示す模式図。 第3実施形態における造形処理のフローを示す説明図。 第3実施形態において用いられるマップの一例を示す模式図。 第4実施形態における造形処理のフローを示す説明図。 第4実施形態における第2工程を示す模式図。 第5実施形態における第2工程を示す模式図。 第6実施形態における造形処理のフローを示す説明図。
1.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における三次元造形物の製造方法を実行する三次元造形装置100の構成を示す概略図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、重力方向(鉛直方向)とは反対の方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の参照図においても、図示の方向が図1と対応するように適宜、図示してある。
三次元造形装置100は、造形材料を堆積させることによって三次元造形物を造形する。以下では、「三次元造形装置」を単に「造形装置」とも呼び、三次元造形物を単に「造形物」とも呼ぶ。「造形材料」については後述する。造形装置100は、造形装置100を制御する制御部101と、造形材料を生成し、吐出する造形部110と、造形物の基台となる造形用のテーブル210と、造形材料の吐出位置を制御する移動機構230と、を備える。
制御部101は、造形装置100全体の動作を制御して、造形物を造形する造形処理を実行する。第1実施形態では、制御部101は、1つ、または、複数のプロセッサーと、主記憶装置と、を備えるコンピューターによって構成される。制御部101は、主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。なお、制御部101の機能の一部を、ハードウェア回路により実現するようにしてもよい。
制御部101が実行する造形処理では、制御部101は、造形物の造形データに従って、造形部110と移動機構230とを制御する。造形データは、造形物の形状を表す3次元CADデータなどの形状データに基づいて生成されたものであり、造形材料の吐出位置やその吐出位置に堆積させる造形材料の量を含む造形材料の吐出制御データを含む。なお、制御部101は、造形処理の開始前に、外部から入力された形状データを解析して、後述する第1造形部位と第2造形部位とを造形するための吐出制御データを含む造形データを生成する機能を有するものとしてもよい。
造形部110は、制御部101の制御下において、固体状態の材料を溶融させてペースト状にした造形材料をテーブル210上の目標位置に吐出する。造形部110は、造形材料に転化される前の材料の供給源である材料供給部20と、材料を造形材料へと転化させる造形材料生成部30と、造形材料を吐出する吐出部60と、を備える。
材料供給部20は、造形材料生成部30に、造形材料を生成するための原材料MRを供給する。材料供給部20は、例えば、原材料MRを収容するホッパーによって構成される。材料供給部20は、下方に排出口を有している。当該排出口は、連通路22を介して、造形材料生成部30に接続されている。原材料MRは、ペレットや粉末等の形態で材料供給部20に投入される。
造形材料生成部30は、材料供給部20から供給された原材料MRを溶融させて流動性を発現させたペースト状の造形材料を生成し、吐出部60へと導く。造形材料生成部30は、スクリューケース31と、駆動モーター32と、フラットスクリュー40と、スクリュー対面部50と、を有する。
フラットスクリュー40は、その中心軸に沿った方向である軸線方向における高さが直径よりも小さい略円柱状を有する。フラットスクリュー40は、その軸線方向がZ方向に平行になるように配置され、円周方向に沿って回転する。第1実施形態では、フラットスクリュー40の中心軸は、その回転軸RXと一致する。図1には、フラットスクリュー40の回転軸RXを一点鎖線で図示してある。
フラットスクリュー40は、スクリューケース31内に収納されている。フラットスクリュー40の上面47側は駆動モーター32に連結されており、フラットスクリュー40は、駆動モーター32が発生させる回転駆動力によって、スクリューケース31内において回転する。駆動モーター32は、制御部101の制御下において駆動する。
フラットスクリュー40は、回転軸RXと交差する面である下面48に、溝部42が形成されている。上述した材料供給部20の連通路22は、フラットスクリュー40の側面から、当該溝部42に接続されている。
フラットスクリュー40の下面48は、スクリュー対面部50の上面52に面しており、フラットスクリュー40の下面48の溝部42と、スクリュー対面部50の上面52との間には空間が形成される。造形部110では、フラットスクリュー40とスクリュー対面部50との間のこの空間に、材料供給部20から原材料MRが供給される。フラットスクリュー40およびその溝部42の具体的な構成については後述する。
スクリュー対面部50には、回転しているフラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRを加熱するためのヒーター58が埋め込まれている。フラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRは、溝部42内において溶融されながら、フラットスクリュー40の回転によって溝部42に沿って流動し、造形材料としてフラットスクリュー40の中央部46へと導かれる。中央部46に流入した流動性を発現しているペースト状の造形材料は、スクリュー対面部50の中心に設けられた連通孔56を介して吐出部60に供給される。なお、造形材料では、造形材料を構成する全ての種類の物質が溶融していなくてもよい。造形材料は、造形材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が溶融することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。
吐出部60は、造形材料を吐出するノズル61と、フラットスクリュー40とノズル61との間に設けられた造形材料の流路65と、流路65を開閉する開閉機構70と、を有する。ノズル61は、流路65を通じて、スクリュー対面部50の連通孔56に接続されている。ノズル61は、造形材料生成部30において生成された造形材料を、先端の吐出口62からテーブル210に向かって吐出する。なお、本明細書において、「造形材料を吐出する」とは、流動性を有する状態の造形材料に圧力を加えて流出させることを意味する。
第1実施形態では、ノズル61の吐出口62は、孔径Dnを有する。ノズル61の孔径Dnは、ノズル61の走査方向における吐出口62の開口幅の最大値である。なお、「ノズル61の走査方向」とは、ノズル61が、造形材料を吐出しながら、テーブル210の面211に沿ってテーブル210に対して相対的に移動する方向である。吐出口62が正円状の形状を有している場合には、孔径Dnは吐出口62の直径に相当する。吐出口62が正円状以外の形状を有している場合には、孔径Dnは走査方向において最も離れた位置にある吐出口62の端部同士間の距離に相当する。吐出口62が複数の微小な開口が配列された構成を有している場合には、孔径Dnは走査方向において最も外側に配列されている2つの微小開口における外側の端部同士間の距離に相当する。
開閉機構70は、流路65を開閉して、ノズル61からの造形材料の流出を制御する。第1実施形態では、開閉機構70は、バタフライバルブによって構成されている。開閉機構70は、一方向に延びる軸状部材である駆動軸72と、駆動軸72の回転により回動する弁体73と、駆動軸72の回転駆動力を発生するバルブ駆動部74と、を備える。
駆動軸72は、流路65の出口において、造形材料の流れ方向に交差するように取り付けられている。第1実施形態では、駆動軸72は流路65に対して垂直に取り付けられている。図1では、駆動軸72は、Y方向に平行に配置されている構成が図示されている。駆動軸72は、その中心軸を中心に回転可能に取り付けられている。
弁体73は、流路65内において回転する板状部材である。第1実施形態では、弁体73は、駆動軸72の流路65内に配置されている部位を板状に加工することによって形成されている。弁体73を、その板面に垂直な方向に見たときの形状は、弁体73が配置されている部位における流路65の開口形状とほぼ一致する。
バルブ駆動部74は、制御部101の制御下において、駆動軸72を回転させる。バルブ駆動部74は、例えば、ステッピングモーターによって構成される。駆動軸72の回転によって弁体73が流路65内において回転する。
弁体73の板面が、図1に示されているように、流路65における造形材料の流れ方向に沿っている状態が、流路65が開かれている状態である。この状態では、流路65からノズル61への造形材料の流入が許容され、吐出口62から造形材料が流出する。弁体73の板面が、流路65における造形材料の流れ方向に対して垂直にされた状態が、流路65が閉じられた状態である。この状態では、流路65からノズル61への造形材料の流入が遮断され、吐出口62からの造形材料の流出が停止される。
テーブル210は、ノズル61の吐出口62に対向する位置に配置されている。第1実施形態では、ノズル61の吐出口62に対向するテーブル210の面211は、水平に、つまり、X,Y方向に平行に、配置される。後述するように、造形装置100は、造形処理において、テーブル210の面211に造形材料を堆積することによって造形物を造形する。
移動機構230は、テーブル210とノズル61との相対位置を変化させる。第1実施形態では、ノズル61の位置が固定されており、移動機構230は、テーブル210を移動させる。移動機構230は、3つのモーターMの駆動力によって、テーブル210をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。移動機構230は、制御部101の制御下において、ノズル61とテーブル210との相対的な位置関係を変更する。
なお、他の実施形態では、移動機構230によってテーブル210を移動させる構成の代わりに、テーブル210の位置が固定された状態で、移動機構230がテーブル210に対してノズル61を移動させる構成が採用されてもよい。こうした構成であっても、テーブル210とノズル61との相対位置を変化させることができる。また、他の実施形態では、移動機構230が、テーブル210とノズル61とをそれぞれ移動させ、両者の相対的な位置を変化させる構成が採用されてもよい。以下の説明において、「ノズル61の移動速度」というときは、特に断らなければ、テーブル210とノズル61との相対的な移動速度を意味する。また、「ノズル61の移動距離」というときは、特に断らなければ、テーブル210とノズル61との相対的な移動距離を意味する。
図2は、フラットスクリュー40の下面48側の構成を示す概略斜視図である。図2には、造形材料生成部30でのフラットスクリュー40の回転軸RXの位置が一点鎖線で図示されている。図1を参照して説明したように、スクリュー対面部50に対向するフラットスクリュー40の下面48には、溝部42が設けられている。以下、下面48を、「溝形成面48」とも呼ぶ。
フラットスクリュー40の溝形成面48の中央部46は、溝部42の一端が接続されている凹部として構成されている。中央部46は、図1に図示されているスクリュー対面部50の連通孔56に対向する。第1実施形態では、中央部46は、回転軸RXと交差する。
フラットスクリュー40の溝部42は、いわゆるスクロール溝を構成する。溝部42は、中央部46から、フラットスクリュー40の外周に向かって弧を描くように渦状に延びている。溝部42は、螺旋状に延びるように構成されているとしてもよい。溝形成面48には、溝部42の側壁部を構成し、各溝部42に沿って延びている凸条部43が設けられている。
溝部42は、フラットスクリュー40の側面に形成された材料流入口44まで連続している。この材料流入口44は、材料供給部20の連通路22を介して供給された原材料MRを受け入れる部分である。
図2には、3つの溝部42と、3つの凸条部43と、を有するフラットスクリュー40の例が図示されている。フラットスクリュー40に設けられる溝部42や凸条部43の数は、3つには限定されない。フラットスクリュー40には、1つの溝部42のみが設けられていてもよいし、2以上の複数の溝部42が設けられていてもよい。また、溝部42の数に合わせて任意の数の凸条部43が設けられてもよい。
図2には、材料流入口44が3箇所に形成されているフラットスクリュー40の例が図示されている。フラットスクリュー40に設けられる材料流入口44の数は、3箇所に限定されない。フラットスクリュー40には、材料流入口44が1箇所にのみ設けられていてもよいし、2箇所以上の複数の箇所に設けられていてもよい。
図3は、スクリュー対面部50の上面52側を示す概略平面図である。スクリュー対面部50の上面52は、上述したように、フラットスクリュー40の溝形成面48に対向する。以下、この上面52を、「スクリュー対向面52」とも呼ぶ。スクリュー対向面52の中心には、造形材料をノズル61に供給するための上述した連通孔56が形成されている。
スクリュー対向面52には、連通孔56に接続され、連通孔56から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝54が形成されている。複数の案内溝54は、フラットスクリュー40の中央部46に流入した造形材料を連通孔56に導く機能を有する。図1を参照して説明したように、スクリュー対面部50には、ヒーター58が埋め込まれている。造形材料生成部30における原材料MRの溶融は、ヒーター58による加熱と、フラットスクリュー40の回転と、によって実現される。
図1および図2を参照する。フラットスクリュー40が回転すると、材料流入口44から供給された原材料MRが、溝部42に誘導されて、溝部42内において加熱されながら中央部46に向かって移動する。原材料MRは、中央部46に近づくほど、溶融し、流動性が高まっていき、造形材料へと転化する。中央部46に集められた造形材料は、中央部46で生じる内圧により、連通孔56を通じてノズル61の流路65へと導かれ、吐出口62から吐出される。
図1を参照する。造形部110では、Z方向に小型なサイズを有するフラットスクリュー40の採用によって、原材料MRを溶融してノズル61まで導くための経路がZ方向に占める範囲が小さくなっている。このように、造形装置100では、フラットスクリュー40を利用していることによって、造形材料の生成機構が小型化されている。
造形装置100では、フラットスクリュー40を利用していることによって、流動性を有する造形材料を生成し、ノズル61へと圧送する構成が簡易に実現されている。この構成によれば、ノズル61からの造形材料の吐出量の制御がフラットスクリュー40の回転数の制御によって可能であり、ノズル61からの造形材料の吐出量の制御が容易化されている。「ノズル61からの造形材料の吐出量」とは、ノズル61の吐出口62から流出する造形材料の流量を意味する。
フラットスクリュー40を利用した造形材料の生成機構を有している造形装置100では、流動性が発現した状態の造形材料が流路65を通じてノズル61へと導かれる。造形装置100では、こうした流路65を有していることによって、簡易な構成の開閉機構70による造形材料の吐出制御が可能になっている。
図4は、造形装置100において造形物が造形されていく様子を模式的に示す概略図である。造形装置100では、上述したように、造形材料生成部30において、回転しているフラットスクリュー40の溝部42に供給された固体状態の原材料MRが溶融されて造形材料MMが生成される。制御部101は、テーブル210の面211とノズル61との距離を保持したまま、テーブル210の面211に沿った方向に、テーブル210に対するノズル61の位置を変えながら、ノズル61から造形材料MMを吐出させる。ノズル61から吐出された造形材料MMは、ノズル61の移動方向に連続して堆積されていく。こうしたノズル61による走査によって、ノズル61の走査経路に沿って線状に延びる造形部位である線状部位LPが造形される。
制御部101は、上記のノズル61による走査を繰り返して材料層MLを形成する。制御部101は、1つの材料層MLを形成した後、ノズル61の位置を、テーブル210からノズル61に向かう方向であるZ方向に移動させる。そして、これまでに形成された材料層MLの上に、さらに材料層MLを積み重ねることによって造形物を造形していく。
ところで、材料層MLを形成する際には、ノズル61の先端の吐出口62と、ノズル61の直下の位置近傍においてノズル61から吐出された造形材料MMが堆積される予定部位MLtとの間に、下記のギャップGが保持されていることが望ましい。なお、造形材料MMが材料層MLの上に堆積される場合には、造形材料MMが堆積される予定部位MLtは、ノズル61の直下、つまり、ノズル61の吐出口62に対向する位置にある材料層MLの上面である。最下層の材料層MLが形成される場合には、造形材料MMが堆積される予定部位MLtはテーブル210の面211である。
ギャップGの大きさは、図1を参照して説明したノズル61の吐出口62における孔径Dn以上とすることが望ましく、孔径Dnの1.1倍以上とすることがより好ましい。こうすれば、ノズル61の吐出口62から吐出される造形材料MMが、予定部位MLtに押しつけられない自由な状態で堆積される。この結果、ノズル61から吐出された造形材料MMの横断面形状が潰れてしまうことを抑制でき、造形物の面粗さを低減することが可能である。また、ノズル61の周囲にヒーターが設けられた構成においては、ギャップGを形成することにより、当該ヒーターによる造形材料MMの過熱を防止でき、堆積後の造形材料MMの過熱による変色や劣化が抑制される。一方、ギャップGの大きさは、孔径Dnの1.5倍以下とすることが好ましく、1.3倍以下とすることが特に好ましい。これによって、予定部位MLtに対する造形材料MMの堆積位置の位置ずれや、材料層ML同士の密着性の低下が抑制される。
制御部101は、ノズル61からの造形材料の吐出を一時的に中断させて、テーブル210に対するノズル61の位置を変更する場合には、開閉機構70の弁体73によって流路65を閉塞させて、吐出口62からの造形材料MMの吐出を停止させる。制御部101は、ノズル61の位置を変更した後、開閉機構70の弁体73によって流路65を開くことによって、変更後のノズル61の位置から造形材料MMの堆積を再開させる。造形装置100によれば、開閉機構70を有することによって、ノズル61による造形材料MMの堆積位置を簡易に制御することができる。
造形装置100において用いられる造形物の材料について説明する。造形装置100では、例えば、熱可塑性を有する材料や、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料として造形物を造形することができる。ここで、「主材料」とは、造形物の形状を形作っている中心となる材料を意味し、造形物において50重量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した造形材料MMには、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
主材料として熱可塑性を有する材料を用いる場合には、造形材料生成部30において、当該材料が可塑化することによって造形材料MMが生成される。「可塑化」とは、熱可塑性を有する材料に熱が加わり溶融することを意味する。
熱可塑性を有する材料としては、例えば、下記の熱可塑性樹脂材料を用いることができる。
<熱可塑性樹脂材料の例>
ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリアミド樹脂(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの汎用エンジニアリングプラスチック、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック
熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、造形材料生成部30において、フラットスクリュー40の回転とヒーター58の加熱によって可塑化されて溶融した状態に転化される。熱可塑性を有する材料の溶融によって生成された造形材料MMは、ノズル61から吐出された後、温度の低下によって硬化する。
熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル61から射出されることが望ましい。例えば、ABS樹脂は、ガラス転移点が約120℃であり、ノズル61からの射出時には約200℃であることが望ましい。このように高温の状態で造形材料MMを射出するために、ノズル61の周囲にはヒーターが設けられてもよい。
造形装置100では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、以下の金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、下記の金属材料を粉末状にした粉末材料に、造形材料MMの生成の際に溶融する成分が混合されて、原材料MRとして造形材料生成部30に投入されることが望ましい。
<金属材料の例>
マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金
<前記合金の例>
マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金
造形装置100においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックスや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックスなどが使用可能である。主材料として、上述したような金属材料やセラミック材料を用いる場合には、テーブル210に配置された造形材料MMは焼結によって硬化されてもよい。
材料供給部20に原材料MRとして投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上で例示したような熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、造形材料生成部30において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
材料供給部20に原材料MRとして投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、以下のような溶剤を添加することもできる。溶剤は、下記の中から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<溶剤の例>
水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等
その他に、材料供給部20に原材料MRとして投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、以下のようなバインダーを添加することもできる。
<バインダーの例>
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂又はPLA(ポリ乳酸)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)或いはその他の熱可塑性樹脂。
図5は、第1実施形態における造形処理のフローを示す説明図である。造形装置100は、制御部101の制御下において、以下に説明する造形処理を実行することにより、機械的強度が高められた造形物を、高い造形精度で効率良く製造するこができる。
図6を参照して、第1造形部位MPfを造形する第1工程S10を説明する。図6は、第1工程S10において造形される第1造形部位MPfの一例を、テーブル210の面211に正対する方向に見たときの模式図である。図6には、第1造形部位MPfを造形する際におけるノズル61の走査経路SRの一例が破線の矢印で図示されている。
第1工程S10では、制御部101は、吐出部60と移動機構230とを制御して、テーブル210に対するノズル61の位置を変えながら、ノズル61からテーブル210に向かって造形材料MMを吐出させて、第1造形部位MPfを造形する。第1造形部位MPfは、テーブル210からノズル61に向かう方向であるZ方向に開口する凹部RCを有するように造形される。第1実施形態では、第1造形部位MPfは、1層分の材料層MLによって構成されている。図6の例では、ノズル61を、その走査経路が重ならないように、複数回、周回させることによって、ノズル61の走査経路に沿って線状に延びるように形成された造形部位である線状部位LPに囲まれた凹部RCを有する第1造形部位MPfが造形されている。凹部RCの開口幅は、テーブル210の面211に沿ったいずれの方向においても、ノズル61の孔径Dnより大きい。なお、凹部RCの開口幅は、テーブル210の面211に沿ったいずれの方向においても、ノズル61の孔径Dnの10倍以下であるとしてよい。
図7Aおよび図7Bを参照して、第2造形部位MPsを造形する第2工程S20を説明する。図7Aは、第1造形部位MPfの凹部RC内に形成された第2造形部位MPsの例を、テーブル210の面211に正対する方向に見たときの模式図である。図7Aには、第2造形部位MPsを造形する際におけるノズル61の吐出口62の位置を破線で例示してある。また、図7Aには、第2造形部位MPsを造形する際のノズル61から吐出された造形材料MMの流動する方向を示す矢印を図示してある。図7Bは、第2工程S20においてノズル61から造形材料MMが吐出される様子を示す模式図である。
第2工程S20では、制御部101は、第1造形部位MPfの凹部RCを埋めるように造形材料MMを吐出して、第2造形部位MPsを造形する。第1工程S10の完了後、制御部101は、移動機構230を制御して、ノズル61を凹部RCの上に移動させる。制御部101は、テーブル210に対するノズル61の位置を固定したまま、ノズル61から凹部RC内に造形材料MMを吐出させる。造形材料MMは、凹部RC内の予定部位MLt上において流動して、テーブル210の面211に沿った方向に広がる。なお、ノズル61から造形材料MMを吐出している間、テーブル210に対するノズル61の位置は、僅かに、例えば、1mm以下の範囲で、移動されてもよい。
第2工程S20では、制御部101は、造形材料MMによって凹部RCの内部空間が満たされるように、吐出部60に凹部RCの空間体積に相当する量の造形材料MMを吐出させることが望ましい。これによって、造形材料MMの充填密度が高い第2造形部位MPsを造形することができる。
第2工程S20では、上記のように、ノズル61を走査させることなく、第2造形部位MPsが造形される。そのため、単位体積の第2造形部位MPsを造形する際におけるノズル61の移動距離は、単位体積の第1造形部位MPfを造形する際におけるノズル61の移動距離よりも小さい。ここで、「単位体積の造形部位を造形する際におけるノズル61の移動距離」とは、当該造形部位の造形のためにノズル61からの造形材料の吐出を開始した後、ノズル61からの造形材料の吐出を停止させて当該造形部位の造形を完了するまでの間におけるノズル61の合計移動距離を、当該造形部位の体積で割った値に相当する。なお、第2造形部位MPsの造形の際における単位体積あたりのノズル61の移動距離は、第1造形部位MPfの造形の際における単位体積あたりのノズル61の移動距離よりも小さいと言い換えてもよい。第1実施形態の第2工程S20であれば、第2造形部位MPsを造形する際のノズル61の移動距離が低減される分だけ、第2造形部位MPsの造形のために造形装置100において消費されるエネルギーや時間を低減させることができるため、効率的である。また、簡易に、第2造形部位MPsを造形することができる。そして、この造形方法で造形される第2造形部位MPsであれば、ノズル61の走査によって形成される線状部位LP同士の境界を内部に有しておらず、高い機械的強度を実現することができる。
図7Cは、図7Aと同様な模式図であり、図7Aとは異なる形状の凹部RCを埋める第2造形部位MPsの造形工程を例示している。図7Cの第1造形部位MPfが有する凹部RCは、鋭角な角部を有する略三角形状の開口断面を有している。上述した第2工程S20であれば、凹部RCが、図7Cに示したようなノズル61の孔径Dnより小さいサイズの微細な角部を有する場合であっても、ノズル61から吐出された造形材料MMを流動させて、そうした角部を埋めることが可能である。よって、第1造形部位MPfと第2造形部位MPsとの間に隙間が残って造形物の機械的強度が低下してしまうことが抑制される。
第2工程S20では、制御部101は、第2工程S20でのフラットスクリュー40の回転数を、第1工程S10のときより増大させて、ノズル61からの造形材料MMの吐出量を、第1工程S10のときより増大させることが望ましい。これによって、第1造形部位MPfの凹部RCを、より迅速に埋めることができ、造形時間を短縮することができる。また、造形材料MMが押し出される圧力が高まるため、凹部RCをより隙間なく埋めることができる。
制御部101は、終了判定工程S30において、造形データに基づいて、造形物の造形が完了したか否かを判定する。制御部101は、造形物の造形が完了するまで、第1工程S10と第2工程S20とを繰り返す。第1工程S10と第2工程S20の繰り返しにより、造形物が造形される。なお、第1実施形態では、造形物の同じ高さ位置の層に、複数の凹部RCを有する第1造形部位MPfが含まれるように造形されてもよい。
以上のように、第1実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、ノズル61を走査させることなく、高い機械的強度を有する第2造形部位MPsを効率的に造形することができる。よって、造形物の機械的強度を効率良く高めることができる。その他に、第1実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
2.第2実施形態:
図8Aおよび図8Bを参照して、第2実施形態における第2工程S20を説明する。図8Aは、第1造形部位MPfと第2造形部位MPsの一例を、テーブル210の面211に正対する方向に見たときの模式図である。図8Aでは、第1造形部位MPfを構成する線状部位LPの境界を破線で示してある。また、図8Aでは、第2造形部位MPsを造形する際におけるノズル61の走査経路の一例が破線の矢印で図示されている。図8Bは、第2工程S20においてノズル61から造形材料MMが吐出される様子を、ノズル61の走査方向MDに見たときの模式図である。
第2実施形態の造形処理は、図1〜図4に示されている第1実施形態で説明したのと同じ構成を有する造形装置100において実行される。第2実施形態の造形処理は、以下に説明する点以外は、第1実施形態で説明した造形処理とほぼ同じであり、図3に示されているのと同じフローで実行される。
図8Aを参照する。第2実施形態では、第1工程S10において、第1実施形態で説明したのよりも開口幅が大きい凹部RCを有する第1造形部位MPfが造形される。凹部RCは、例えば、テーブル210の面211に沿った少なくとも1つの方向において、ノズル61の孔径Dnの10倍より大きい開口幅を有している。制御部101は、第2工程S20において、吐出部60と移動機構230とを制御して、その開口幅が大きい凹部RCを、造形材料MMによって埋めるように、ノズル61を走査させる。
第2工程S20では、制御部101は、ノズル61によって凹部RC内の領域を走査して第2造形部位MPsを造形する。このとき、制御部101は、第2工程S20においてノズル61の走査によって造形される線状部位LPの幅W2が、第1工程S10においてノズル61の走査によって造形された線状部位LPの幅W1よりも大きくなるように制御する。制御部101は、ノズル61の移動速度と、ノズル61からの造形材料MMの吐出量と、のうちの少なくとも一方を制御する。ここで、第1実施形態において、制御部101が、第1工程S10や第2工程S20で制御する「ノズル61の移動速度」は、ノズル61を走査させるときに生じる一定の速度領域での速度である。この移動速度は、ノズル61が移動を開始した後、加速している間の速度ではなく、その加速後の速度を意味する。また、ノズル61が走査方向を変更するため、あるいは、停止するために減速を開始する前におけるノズル61の移動速度を意味する。制御部101が制御する「ノズル61の移動速度」は、ノズル61を走査させるときのノズル61の最大速度であるとしてもよい。なお、他の実施形態では、制御部101は、ノズル61を走査させるときの平均移動速度を制御するものとしてもよい。
制御部101は、例えば、ノズル61からの造形材料MMの吐出量を第1工程S10のときよりも低下させることなく、線状部位LPを造形する際のノズル61の移動速度を第1工程S10のときよりも低下させる。制御部101は、例えば、線状部位LPを造形するときのノズル61の移動速度を、予め決められた割合だけ低下させるものとしてもよい。これによって、図8Bに示すように、ノズル61の直下の予定部位MLtにおいて造形材料MMを第1工程S10のときより広範囲に広がるように流動させながら、ノズル61を走査することができる。そのため、造形材料MMのノズル61の走査方向MDに直交する方向における堆積範囲の幅である線状部位LPの幅W2を、第1工程S10のときの幅W1よりも増大させることができる。
上記のノズル61の速度制御に代えて、あるいは、上記のノズル61の速度制御とともに、制御部101は、ノズル61からの造形材料MMの吐出量を増大させる制御をおこなってもよい。このようにすれば、ノズル61の走査の際に、ノズル61の直下に堆積される造形材料MMの量を増加させることができる。そのため、図8Bに示すように、第2工程S20においてノズル61の走査によって造形される線状部位LPの幅W2を、第1工程S10においてノズル61の走査によって造形される線状部位LPの幅W1よりも大きくすることができる。
制御部101は、ノズル61の移動速度と造形材料MMの吐出量の少なくとも一方を、上記のように制御して、線状部位LPの幅W2を増大させた状態で、凹部RC内に隙間が生じないようにノズル61を走査する。このようにすれば、線状部位LPの幅W2の増加分だけ、第2造形部位MPsを造形する際における単位体積あたりのノズル61の移動距離を、第1造形部位MPfを造形する際における単位体積あたりのノズル61の移動距離よりも小さくすることができる。よって、少ないノズル61の移動量で、第2造形部位MPsを効率良く造形することができる。また、第2造形部位MPsにおいて単位体積あたりに含まれる線状部位LP同士の境界の面積を、第1造形部位MPfにおいて単位体積あたりに含まれる線状部位LP同士の境界の面積を低減させることができる。よって、第2造形部位MPsの機械的強度を高めることができる。
第2工程S20において、制御部101は、ノズル61の移動速度を、第1工程S10のときよりも低下させ、かつ、ノズル61からの造形材料MMの吐出量を、第1工程S10のときよりも増大させてもよい。このようにすれば、第2造形部位MPsをより短時間で造形することができ、造形物の造形時間を短縮することができる。また、予定部位MLtでの造形材料MMの流動範囲を、より広げることができるため、第1造形部位MPfの凹部RC内に隙間が残ってしまうことがより抑制される。
以上のように、第2実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、第1造形部位MPfの凹部RCの開口幅が大きい場合であっても、機械的強度の高い第2造形部位MPsを、効率良く造形することができる。その他に、第2実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、第2実施形態中で説明した種々の作用効果に加えて、第1実施形態と同様な種々の作用効果を奏することができる。
3.第3実施形態:
図9は、第3実施形態における造形処理のフローを示す説明図である。第3実施形態の造形処理は、図1〜図4に示されている第1実施形態で説明したのと同じ構成を有する造形装置100において実行される。第3実施形態の造形処理は、第2工程S20aにおいてノズル61の移動速度が造形材料の粘度に応じて設定されている点以外は、第2実施形態の造形処理とほぼ同じである。
第3実施形態の第2工程S20aでは、制御部101は、第2造形部位MPsを、造形材料の粘度に応じたノズル61の移動速度で、ノズル61を走査させて造形する。制御部101は、造形処理の開始前に、ユーザーから造形材料の粘度の入力を受け付ける。そして、その粘度に応じたノズル61の移動速度の制御値を取得する。制御部101は、第2工程S20aにおいて、その制御値の移動速度でノズル61を走査する。なお、第2工程S20aでのノズル61の移動速度は、第2実施形態の第2工程S20と同様に、第1工程S10でのノズル61の移動速度以下である。
図10は、制御部101が、ノズル61の移動速度の制御値Vを取得するために用いるマップ102の一例を示す模式図である。マップ102は、造形装置100が備える図示しない記憶部に格納されている。マップ102には、入力される粘度MVが低いほど、小さい速度の制御値Vが出力される関係が設定されている。なお、造形材料の粘度MVは、ノズル61から吐出されるときの造形材料の想定温度での値であり、実験的に予め定められた値でよい。この制御値Vを用いることにより、第2工程S20aでは、造形材料の粘度MVが低いほど、ノズル61の移動速度が小さくなるように移動機構230が制御される。
線状部位LPの幅は、造形材料の粘度と、ノズル61の移動速度と、に応じて変化する。そのため、制御部101は、第2工程S20aでのノズル61の移動速度の制御値に応じて、第2工程S20aでのノズル61の走査ピッチを設定することが望ましい。ノズル61の走査ピッチとは、1つの材料層MLにおいて隣り合って並列に配列される線状部位LPを造形する際におけるノズル61の走査経路間の距離である。走査ピッチによって、造形物における造形材料MMの充填密度が定まる。制御部101は、造形材料の粘度が低く、ノズル61の移動速度の制御値が小さいほど、ノズル61の走査ピッチを大きくする。
第3実施形態の第2工程S20aによれば、造形材料の粘度が低く、その流動性が高いほど、ノズル61の移動速度が小さくなるように制御されるため、部位MLtに吐出された造形材料の流動範囲をより広げることができる。そのため、凹部RCを埋めるためのノズル61の走査ピッチをより大きくすることができ、第2造形部位MPsの単位体積あたりにおけるノズル61の移動距離を、より低減させることができる。一方、造形材料の粘度が高く、その流動性が低い場合には、ノズル61の移動速度が大きくなるように制御されるため、第2造形部位MPsの造形時間が増大してしまうことが抑制される。
以上のように、第3実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、第2造形部位MPsの造形材料の粘度に応じて、ノズル61の移動速度が制御されるため、第2造形部位MPsを、より効率的に造形することができる。その他に、第3実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、上記の第1実施形態や第2実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
4.第4実施形態:
図11は、第4実施形態における造形処理のフローを示す説明図である。第4実施形態の造形処理は、図1〜図4に示されている第1実施形態で説明したのと同じ構成を有する造形装置100において実行される。第4実施形態の造形処理での第1工程S10bおよび第2工程S20bは、以下に説明する点以外は、第1実施形態の造形処理とほぼ同じである。
図12を参照して、第4実施形態での第1工程S10bおよび第2工程S20bを説明する。図12は、第4実施形態の第2工程S20bにおいて、ノズル61から造形材料MMが吐出されている様子を示す模式図である。
第4実施形態の第1工程S10bでは、複数の材料層MLをZ方向に積層して第1造形部位MPfが造形される。第1造形部位MPfの凹部RCは、複数の材料層MLにわたって形成されている。
第2工程S20bでは、複数の材料層MLにわたって形成された凹部RCを埋めるように、第2造形部位MPsが造形される。第1工程S10bの完了後、制御部101は、Z方向において凹部RCと重なる位置にノズル61を移動させ、その位置においてノズル61から凹部RC内に造形材料MMを吐出させることによって、凹部RC内に造形材料MMを充填する。この工程によって、第2造形部位MPsを構成する材料層MLである凹部内材料層MLrが造形される。
凹部内材料層MLrは、第1造形部位MPfにおける材料層ML同士の境界を跨ぐように径瀬尾されており、その側面において当該材料層ML同士の境界に面している。第4実施形態では、凹部内材料層MLrは、第1造形部位MPfのZ方向における厚みと同じ厚みを有している。第4実施形態では、複数の材料層MLで構成される第1造形部位MPfに対して、第2造形部位MPsは、凹部内材料層MLr単層で構成される。
第4実施形態の第2工程S20bによれば、第1造形部位MPfが1つの材料層MLで構成され、材料層MLを造形するたびに、その凹部RCを埋める場合よりも、時間間隔をあけずに第2造形部位MPsを造形することができるため、効率的である。また、第2造形部位MPsが、そのように時間間隔をあけずに造形されているため、時間間隔をあけて造形された部位を含む場合よりも第2造形部位MPsを構成する造形材料同士の結合力が高められており、第2造形部位MPsの機械的強度が高められている。
第4実施形態の第2工程S20bにおいて造形される凹部内材料層MLrは、第1造形部位MPfにおける材料層ML同士の境界に跨がっており、当該材料層ML同士を積層方向に連結する連結部として機能する。よって、第4実施形態の造形処理によって造形された凹部内材料層MLrを含む造形物であれば、その積層方向における機械的強度が高められている。
以上のように、第4実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、第1造形部位MPfを構成する複数の材料層MLの凹部RCを埋める第2造形部位MPsを、時間間隔をあけることなく、効率的に造形できる。また、高い機械的強度を有する第2造形部位MPsを、第1造形部位MPfを構成する複数の材料層MLの連結部として機能させることができ、造形物の材料層MLの積層方向における機械的強度を高めることができる。その他に、第4実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、上記の各実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
5.第5実施形態:
図13は、第5実施形態の造形処理における第2工程S20bにおいて、ノズル61から造形材料MMが吐出されている様子を示す模式図である。第5実施形態の造形処理は、図1〜図4に示されている第1実施形態で説明したのと同じ構成を有する造形装置100において実行される。第5実施形態の造形処理は、第1工程S10bにおいて開口幅の大きい凹部RCを有する第1造形部位MPfが造形される点と、第2工程S20bにおいて、ノズル61を走査させる点以外は、図11に示されている第4実施形態の造形処理とほぼ同じである。
第5実施形態の第1工程S10bでは、第1造形部位MPfが、第4実施形態で説明したのと同様に、複数の材料層MLを積層することによって造形される。第5実施形態において造形される第1造形部位MPfの凹部RCは、第2実施形態で説明したのと同様な開口幅を有している。
第5実施形態の第2工程S20bでは、第4実施形態と同様に、複数の材料層MLによって構成される第1造形部位MPfが造形された後に、その複数の材料層MLに跨がる第2造形部位MPsが造形される。第5実施形態の第2工程S20bでは、凹部RCを埋めるように、ノズル61が走査される。このとき、ノズル61の移動速度と、ノズル61からの造形材料MMの吐出量と、のうちの少なくとも1つが、第2実施形態で説明したのと同様に制御される。
第5実施形態では、複数の凹部内材料層MLrが積層されて第2造形部位MPsが造形される。複数の凹部内材料層MLrには、材料層MLとは異なる厚みを有するものが含まれる。そのため、第2造形部位MPsを構成する凹部内材料層MLr同士の境界位置と、第1造形部位MPfを構成する材料層ML同士の境界位置とは、積層方向においてずれている。第2造形部位MPsを構成する凹部内材料層MLrには、側面が第1造形部位MPfを構成する材料層ML同士の境界に面するように、当該材料層ML同士の境界に跨がって形成されたものが含まれている。
第5実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、第1造形部位MPfよりも単位体積あたりに含まれる線状部位LPの境界面積が少ない第2造形部位MPsによって、第1造形部位MPfの開口幅が大きい凹部RCを埋めることができる。よって、造形物の機械的強度を効率的に高めることができる。
特に、第2造形部位MPsが、第1造形部位MPfを構成する材料層ML同士の境界に跨がって形成され、当該材料層ML同士の連結部として機能する凹部内材料層MLrを含んでいるため、材料層MLの積層方向における造形物の機械的強度が、より高められている。その他に、第5実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、上記の各実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
6.第6実施形態:
図14は、第6実施形態における造形処理のフローを示す説明図である。第6実施形態の造形処理は、図1〜図4に示されている第1実施形態で説明したのと同じ構成を有する造形装置100において実行される。第6実施形態の造形処理は、以下の点以外は、第5実施形態の造形処理とほぼ同じである。
上記の各実施形態では、第1造形部位MPfは造形物の表層に限定されず、造形物における種々の部位を構成している。これに対して、本第6実施形態の第1工程S10cでは、造形物の表層を構成する第1造形部位MPfが造形される。第1造形部位MPfの造形精度は、造形物の外観に大きく影響するため、第1造形部位MPfは、より高い精度で、きめ細かく造形されることが望ましい。第6実施形態の第2工程S20cでは、第1造形部位MPfが構成する造形物の表層に覆われる、インフィルとも呼ばれる内部構造を構成する第2造形部位MPsが、図13に示される方法により造形される。
第6実施形態によれば、第1造形部位MPfによって、造形物の外部を高い造形精度で造形する一方で、第2造形部位MPsによって構成される充填密度が高く、機械的強度が高い内部構造を、ノズル61の短い移動距離で、迅速に効率的に造形することができる。その他に、第6実施形態の造形物の製造方法およびそれを実行する造形装置100によれば、上記の各実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
7.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することが可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の各実施形態と同様に、発明を実施するための形態の一例として位置づけられる。
(1)他の実施形態1:
上記各実施形態の第2工程S20,S20b,S20cにおいて、テーブル210に対するノズル61の移動と、ノズル61の移動を停止した状態でのノズル61からの造形材料MMの吐出と、を交互に繰り返して、第2造形部位MPsを造形するようにしてもよい。
(2)他の実施形態2:
上記第5実施形態や第6実施形態の第2工程S20b,S20cにおいて、第3実施形態で説明したように、ノズル61を走査させるときのノズル61の移動速度を、造形材料MMの粘度に応じて変更してもよい。
(3)他の実施形態3:
第1実施形態や、第2実施形態、第3実施形態、および、第4実施形態で説明した造形処理のフローによって、第6実施形態で説明したように、造形物の表層を構成する第1造形部位MPfと、内部構造を構成する第2造形部位MPsと、が造形されてもよい。
(4)他の実施形態4:
第6実施形態において、第1造形部位MPfにおける材料層MLと同じ厚みを有する凹部内材料層MLrのみによって構成される第2造形部位MPsが造形されてもよい。この場合には、第1造形部位MPfの材料層ML同士の境界位置と、第2造形部位MPsにおける凹部内材料層MLr同士の境界位置とがZ方向において揃うことになる。
(5)他の実施形態5:
造形材料生成部30は、フラットスクリュー40を利用している構成の代わりに、例えば、Z方向の長さが直径よりも長いインラインスクリューを回転させてノズル61から造形材料を押し出す構成を有していてもよい。造形装置100は、フラットスクリュー40や上述したインラインスクリューを用いる構成ではなく、通常のFDM方式(熱融解積層方式)を採用していてもよい。造形装置100では、熱可塑性樹脂からなるフィラメントが巻き回されたボビンから、ノズルへと、フィラメントを繰り出し、ノズル内に設けられたヒーターによって、そのフィラメントを溶融させ、造形材料としてノズルから吐出させる構成が採用されてもよい。
(6)他の実施形態6:
造形装置100の開閉機構70は、ピストンが流路65内に突出して流路65を閉塞するプランジャーを用いた機構や、流路65に交差する方向に移動して流路65を閉塞するシャッターを用いた機構によって構成されてもよい。開閉機構70は、上記実施形態のバタフライバルブや、上述のシャッター機構、プランジャー機構のうちの2つ以上を組み合わせて構成されてもよい。造形装置100,100A,100Bにおいて、開閉機構70は省略されてもよい。
(7)他の実施形態7:
上記の各実施形態において、材料供給部20は、複数のホッパーを備える構成を有していてもよい。この場合には、各ホッパーからフラットスクリュー40へと異なる材料が供給され、フラットスクリュー40の溝部42内において混合されて、造形材料が生成されてもよい。例えば、上記実施形態で説明した主材料となる粉末材料と、それに添加される溶媒やバインダーなどが別々のホッパーから並行してフラットスクリュー40に供給されてもよい。
(8)他の実施形態8:
上記実施形態において、ソフトウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェアによって実現されてもよい。また、ハードウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェアによって実現されてもよい。ハードウェアとしては、例えば、集積回路、ディスクリート回路、または、それらの回路を組み合わせた回路モジュールなど、各種回路を用いることができる。
8.他の形態:
本発明は、上述の各実施形態や実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態(aspect)によって実現することができる。例えば、本発明は以下の形態として実現可能である。以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する上記の各実施形態中の技術的特徴は、本発明の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本発明の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中において必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(1)第1の形態は、三次元造形物の製造方法であって;テーブルとノズルとの相対的な位置を変えながら、前記ノズルから前記テーブルに向かって造形材料を吐出することによって、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に開口する凹部を有する第1造形部位を造形する第1工程と;前記凹部を埋めるように、前記ノズルから前記凹部に前記造形材料を吐出して、第2造形部位を造形する第2工程と;を備え;前記第2工程において単位体積の前記第2造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離は、前記第1工程において単位体積の前記第1造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離よりも小さい、三次元造形方法として提供される。
この形態の製造方法によれば、第2造形部位を、ノズルの移動距離が低減された効率の良い工程で造形できるとともに、第2造形部位の内部に含まれるノズルの走査によって形成される造形部位同士の境界を低減することができる。よって、三次元造形物の機械的強度を効率良く高めることができる。
(2)上記形態において、前記第2工程における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動速度は、前記第1工程における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動速度よりも小さくてよい。
この形態の製造方法によれば、第2造形部位を造形する際のノズルの走査により造形される部位の幅を第1工程のときより増大させることができ、第2造形部位を造形する際における単位体積あたりのノズルの移動距離を、第1工程のときより短くできる。
(3)上記形態において、前記第2工程における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動速度は、前記造形材料の粘度が低いほど小さくてよい。
この形態の製造方法によれば、凹部内に吐出された造形材料の流動性が高いほど、テーブルに対してノズルが遅く移動するように制御される。よって、第2造形部位を造形する際のノズルの走査により造形される部位の幅をより増大させることができ、第2造形部位を造形する際における単位体積あたりのノズルの移動距離を、さらに短くすることができる。
(4)上記形態において、前記第1工程は、前記テーブルと前記ノズルとの相対的な位置を前記テーブルの面に沿った方向に変えながら前記ノズルから前記造形材料を吐出することによって形成される材料層を、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に、複数、積層することによって前記第1造形部位を形成する工程であり;前記第2工程は、前記第1造形部位において複数の前記材料層にわたって形成された前記凹部を埋めるように前記第2造形部位を造形する工程であってよい。
この形態の製造方法によれば、1つの材料層で構成された第1造形部位を形成するたびに、その凹部を埋めるように第2造形部位を造形する場合よりも、複数の材料層に跨がる第2造形部位を、時間間隔をあけずに造形することができるため効率的である。また、そのように時間間隔をあけずに形成される第2造形部位であれば、時間間隔をあけて形成された場合よりも、第2造形部位内での造形材料同士の密着性が高まるため、第2造形部位の機械的強度を高めることができる。
(5)上記形態において、前記第2工程は、前記第2造形部位を構成し、前記第1造形部位の前記材料層同士の境界に跨がる凹部内材料層を形成する工程を含んでよい。
この形態の製造方法によれば、第1造形部位を構成する材料層同士の積層方向への乖離が、第1造形部位の材料層同士の境界に跨がって形成された単層構造の凹部内材料層によって抑制される。
(6)上記形態において、前記第2工程における単位時間あたりの前記ノズルからの前記造形材料の吐出量は前記第1工程における単位時間あたりの前記ノズルからの前記造形材料の吐出量よりも大きくてよい。
この形態の製造方法によれば、第2造形部位を造形する際のノズルの走査により造形される部位の幅を第1工程のときより増大させることができ、第2造形部位を造形する際における単位体積あたりのノズルの移動距離を、第1工程のときより短くできる。
(7)上記形態において、前記第2工程は、前記テーブルに対する前記ノズルの位置を固定したまま前記ノズルから前記造形材料を吐出して前記凹部内に前記造形材料を堆積させる工程を含んでよい。
この形態の製造方法によれば、第2造形部位を簡易に造形できる。また、凹部に隙間が残ることを抑制できる。
(8)上記形態において、前記第1造形部位は、前記三次元造形物の表層を構成し、前記第2造形部位は、前記表層によって覆われる内部構造を構成してよい。
この形態の製造方法によれば、第1造形部位をきめ細かく造形して、三次元造形物の造形精度を高めることができる一方で、機械的強度の高い第2造形部位を効率良く造形して、三次元造形物全体での機械的強度を高めることができる。
(9)上記形態において、回転しているフラットスクリューの溝内で溶融された前記造形材料を前記ノズルから吐出させてよい。
この形態の製造方法によれば、フラットスクリューを利用していることによって、装置構成を小型化することができる。また、流動性を有する造形材料を簡易に生成しながら、ノズルからの造形材料の吐出を、より高い精度で簡易に制御することができる。
(10)上記形態において、前記第2工程では、前記第1造形部位の前記凹部における空間体積に相当する量の前記造形材料によって、前記第2造形部位を造形してよい。
この形態の製造方法によれば、材料の充填密度が高い第2造形部位が造形されるため、造形物の機械的強度を高めることができる。
(11)第2の形態は、三次元造形装置であって;造形材料を吐出するノズルを有する吐出部と;前記ノズルから吐出された前記造形材料が堆積されるテーブルと;前記テーブルと前記ノズルとの相対的な位置を変化させる移動機構と;前記吐出部と、前記移動機構と、を制御する制御部と;を備え;前記制御部は、前記テーブルと前記ノズルとの相対的な位置を変えながら、前記ノズルから前記テーブルに向かって前記造形材料を吐出することによって、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に開口する凹部を有する第1造形部位を造形し、前記凹部を埋めるように、前記ノズルから前記凹部に前記造形材料を吐出して、第2造形部位を造形する造形処理を実行し;前記造形処理において、単位体積の前記第2造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離は、単位体積の前記第1造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離よりも小さい、三次元造形装置として提供される。
この形態の三次元造形装置によれば、第2造形部位を、ノズルの移動距離が低減された効率の良い工程で造形できるとともに、第2造形部位の内部に含まれるノズルの走査によって形成される造形部位同士の境界を低減することができる。よって、三次元造形物の機械的強度を効率良く高めることができる。
本発明は、三次元造形物の製造方法や三次元造形装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、前記の製造方法や装置によって造形された三次元造形物や、その三次元造形物の構造、三次元造形物の造形方法、造形材料の吐出方法、三次元造形装置の制御方法などの形態で実現することができる。また、前述の方法を実現するための制御装置やコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体(non-transitory storage medium)等の形態で実現することができる。
20…材料供給部、22…連通路、30…造形材料生成部、31…スクリューケース、32…駆動モーター、40…フラットスクリュー、42…溝部、43…凸条部、44…材料流入口、46…中央部、47…上面、48…下面/溝形成面、50…スクリュー対面部、52…上面/スクリュー対向面、54…案内溝、56…連通孔、58…ヒーター、60…吐出部、61…ノズル、62…吐出口、65…流路、70…開閉機構、72…駆動軸、73…弁体、74…バルブ駆動部、100…三次元造形装置、101…制御部、102…マップ、110…造形部、210…テーブル、211…面、230…移動機構、Dn…孔径、G…ギャップ、LP…線状部位、M…モーター、MD…走査方向、ML…材料層、MLr…凹部内材料層、MLt…予定部位、MM…造形材料、MPf…第1造形部位、MPs…第2造形部位、MR…原材料、MV…粘度、RC…凹部、RX…回転軸、S10,S10b,S10b…第1工程、S20,S20a,S20b,S20c…第2工程、S30…終了判定工程、SR…走査経路、V…制御値、W1,W2…幅

Claims (11)

  1. 三次元造形物の製造方法であって、
    テーブルとノズルとの相対的な位置を変えながら、前記ノズルから前記テーブルに向かって造形材料を吐出することによって、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に開口する凹部を有する第1造形部位を造形する第1工程と、
    前記凹部を埋めるように、前記ノズルから前記凹部に前記造形材料を吐出して、第2造形部位を造形する第2工程と、
    を備え、
    前記第2工程において、単位体積の前記第2造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離は、前記第1工程において単位体積の前記第1造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離よりも小さい、製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法であって、
    前記第2工程における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動速度は、前記第1工程における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動速度よりも小さい、製造方法。
  3. 請求項2記載の製造方法であって、
    前記第2工程における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動速度は、前記造形材料の粘度が低いほど小さい、製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記第1工程は、前記テーブルと前記ノズルとの相対的な位置を前記テーブルの面に沿った方向に変えながら前記ノズルから前記造形材料を吐出することによって形成される材料層を、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に、複数、積層することによって前記第1造形部位を形成する工程であり、
    前記第2工程は、前記第1造形部位において複数の前記材料層にわたって形成された前記凹部を埋めるように前記第2造形部位を造形する工程である、製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法であって、
    前記第2工程は、前記第2造形部位を構成し、前記第1造形部位の前記材料層同士の境界に跨がる凹部内材料層を形成する工程を含む、製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記第2工程における単位時間あたりの前記ノズルからの前記造形材料の吐出量は、前記第1工程における単位時間あたりの前記ノズルからの前記造形材料の吐出量よりも大きい、製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記第2工程は、前記テーブルに対する前記ノズルの位置を固定したまま前記ノズルから前記造形材料を吐出して前記凹部内に前記造形材料を堆積させる工程を含む、製造方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記第1造形部位は、前記三次元造形物の表層を構成し、前記第2造形部位は、前記表層によって覆われる内部構造を構成する、製造方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記第1工程および前記第2工程において、回転しているフラットスクリューの溝内で溶融された前記造形材料を前記ノズルから吐出させる、製造方法。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記第2工程では、前記第1造形部位の前記凹部における空間体積に相当する量の前記造形材料によって、前記第2造形部位を造形する、製造方法。
  11. 三次元造形装置であって、
    造形材料を吐出するノズルを有する吐出部と、
    前記ノズルから吐出された前記造形材料が堆積されるテーブルと、
    前記テーブルと前記ノズルとの相対的な位置を変化させる移動機構と、
    前記吐出部と、前記移動機構と、を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記テーブルと前記ノズルとの相対的な位置を変えながら、前記ノズルから前記テーブルに向かって前記造形材料を吐出することによって、前記テーブルから前記ノズルに向かう方向に開口する凹部を有する第1造形部位を造形し、前記凹部を埋めるように、前記ノズルから前記凹部に前記造形材料を吐出して、第2造形部位を造形する造形処理を実行し、
    前記造形処理において、単位体積の前記第2造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離は、単位体積の前記第1造形部位を造形する際における前記テーブルと前記ノズルとの相対的な移動距離よりも小さい、三次元造形装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022254648A1 (ja) * 2021-06-03 2022-12-08 株式会社ニコン 造形装置及び造形方法

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