JP2020006358A - 半導体基板の製造方法 - Google Patents

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佳宏 澤田
Yoshihiro Sawada
佳宏 澤田
峻一 真下
Shunichi Mashimo
峻一 真下
義人 甲斐
Yoshito Kai
義人 甲斐
孔明 平原
Komei Hirahara
孔明 平原
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Abstract

【課題】不純物拡散成分を拡散させる対象である被拡散半導体基板の表面に、塗布型の拡散剤組成物を用いて、所望する程度に薄膜化された塗布膜を容易に形成できる、塗布膜を形成する方法と、当該方法により塗布膜を形成すること。【解決手段】不純物拡散成分を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、不純物拡散成分を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法において、拡散剤組成物の塗布と、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層上への有機溶剤の供給とを、スピンコーターが備える同一のカップ内において被拡散半導体基板をカップから取り出すことなく連続して行う。また、必要に応じて、前述の有機溶剤の供給を、カップ内で回転する被拡散半導体基板に対して、回転する前記被拡散半導体基板に対して相対的に水平に移動するノズルから行う。【選択図】図1

Description

本発明は、不純物拡散成分を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、不純物拡散成分を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法と、当該方法により塗布膜を形成することを含む、不純物拡散成分が拡散された半導体基板の製造方法とに関する。
トランジスタ、ダイオード、太陽電池等の半導体素子に用いられる半導体基板は、半導体基板にリンやホウ素等の不純物拡散成分を拡散させて製造されている。かかる半導体基板について、Fin−FET、ナノワイヤーFET等のマルチゲート素子用の半導体基板を製造する際には、例えばナノメートルスケールの微小な空隙を有する3次元構造をその表面に有する半導体基板に対して不純物の拡散が行われることがある。
ここで、半導体基板に不純物拡散成分を拡散させる方法としては、例えば、イオン注入法(例えば特許文献1を参照)やCVD法(例えば特許文献2を参照)が知られている。イオン注入法では、イオン化された不純物拡散成分が半導体基板の表面に打ち込まれる。CVD法では、リンやホウ素等の不純物拡散成分がドープされたケイ素酸化物等の酸化物膜をCVDにより半導体基板上に形成した後、酸化物膜を備える半導体基板を電気炉等により加熱して、不純物拡散成分を酸化物膜から半導体基板に拡散される。
特開平06−318559号公報 国際公開第2014/064873号
しかし、特許文献1に記載されるようなイオン注入法では、半導体基板にB(ホウ素)のような軽イオンを注入する場合には基板の表面付近の領域に点欠陥や点欠陥クラスターが形成されやすい。例えば、半導体基板にイオン注入法により不純物拡散成分を拡散させて、CMOSイメージセンサーのようのCMOS素子を形成する場合、このような欠陥の発生が素子の性能の低下に直結してしまう。
また、半導体基板が、例えば、複数のソースのフィンと、複数のドレインのフィンと、それらのフィンに対して直交するゲートとを備える、Fin−FETと呼ばれるマルチゲート素子を形成するための立体構造のようなナノスケールの3次元構造を、その表面に有する場合、イオン注入法では、フィンやゲートの側面及び上面や、フィンとゲートとに囲まれた凹部の内表面全面に対する、均一なイオンの打ち込みが困難である。
そして、ナノスケールの3次元構造を有する半導体基板に、イオン注入法により不純物拡散成分を拡散させる場合、仮に、均一なイオンの打ち込みが出来たとしても、以下のような不具合がある。例えば、微細なフィンを有する立体パターンを備える半導体基板を用いてロジックLSIデバイス等を形成する場合、イオン注入によってシリコン等の基板材料の結晶が破壊されやすい。かかる結晶のダメージは、デバイスの特性のバラツキや、待機リーク電流の発生のような不具合を招くと考えられる。
また、特許文献2に記載されるようなCVD法を適用する場合、オーバーハング現象によって、フィンとゲートとに囲まれた凹部の内表面全面を、膜厚が均一な不純物拡散成分を含む酸化物膜で被覆することが困難であったり、フィンとゲートとに囲まれた凹部の開口部に堆積した酸化物により開口部が閉塞したりする問題がある。このように、イオン注入法やCVD法では、半導体基板の表面形状によっては、半導体基板に良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散させることが困難である。
かかる課題を解決するためには、塗布型の拡散剤組成物を用いることが考えられる。
ナノスケールの微小な空隙を有する三次元構造をその表面に備える基板において、微小な空隙の内表面全面を含む全表面に塗布型の拡散剤組成物を均一に塗布できれば、かかる立体的な表面を有する半導体基板において、ホウ素等の不純物を均一に拡散させることができる。従って、上記の課題を解決するためには、微小な空隙のサイズを考慮したうえで、塗布型の拡散剤組成物を用いて、例えば、膜厚30nm以下や10nm以下の極薄い塗布膜を形成できることが求められる。
しかしながら、塗布型の拡散剤組成物を用いて、膜厚30nm以下や10nm以下の極薄い塗布膜を形成する方法は知られていても、従来知られる方法では、塗布型の拡散剤組成物の構成成分の種類や、成膜条件によっては、塗布膜の膜厚を所望する程度に薄くできない場合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、不純物拡散成分を拡散させる対象である被拡散半導体基板の表面に、塗布型の拡散剤組成物を用いて、所望する程度に薄膜化された塗布膜を容易に形成できる、塗布膜を形成する方法と、当該方法により塗布膜を形成することを含む、不純物拡散成分が拡散された半導体基板の製造方法とを提供することを目的とする。
不純物拡散成分(A)を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、不純物拡散成分(A)を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法において、拡散剤組成物の塗布と、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層上への有機溶剤の供給とを、スピンコーターが備える同一のカップ内において被拡散半導体基板をカップから取り出すことなく連続して行い、上記の課題を解決する。また、必要に応じて、前述の有機溶剤の供給が、カップ内で回転する被拡散半導体基板に対して、回転する前記被拡散半導体基板に対して相対的に水平に移動するノズルから行われる。
本発明者らはこのような方法により上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
本発明の第1の態様は、不純物拡散成分(A)を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、不純物拡散成分(A)を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法であって、
拡散剤組成物が、不純物拡散成分(A)としてホウ素化合物を含有し、且つ、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物を含まず、
上記の方法が、拡散剤組成物の塗布の後の、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層上への有機溶剤の供給を含み、
拡散剤組成物の塗布と、有機溶剤の供給とが、スピンコーターが備える同一のカップ内において被拡散半導体基板をカップから取り出すことなく連続して行われる、方法である。
本発明の第2の態様は、不純物拡散成分(A)を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、不純物拡散成分(A)を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法であって、
上記の方法が、拡散剤組成物の塗布の後の、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層上への有機溶剤の供給を含み、
拡散剤組成物の塗布と、有機溶剤の供給とが、スピンコーターが備える同一のカップ内において被拡散半導体基板をカップから取り出すことなく連続して行われ、
カップ内で回転する被拡散半導体基板に、回転する前記被拡散半導体基板に対して相対的に水平に移動するノズルから、有機溶剤を供給する、方法である。
本発明の第3の態様は、
不純物拡散成分(A)を含有する前記拡散剤組成物を用いて、第1の態様、又は第2の態様にかかる方法により、被拡散半導体基板上に塗布膜を形成することと、
不純物拡散成分(A)を、被拡散半導体基板に拡散させることを含む、半導体基板の製造方法である。
本発明によれば、不純物拡散成分を拡散させる対象である被拡散半導体基板の表面に、塗布型の拡散剤組成物を用いて、所望する程度に薄膜化された塗布膜を容易に形成できる、塗布膜を形成する方法と、当該方法により塗布膜を形成することを含む、不純物拡散成分が拡散された半導体基板の製造方法とを提供することができる。
スピンコーターの構成の概略を模式的に示す図である。 スピンコーターにおける溶剤供給ノズルの移動について一態様を模式的に示す図である。 スピンコーターにおける溶剤供給ノズルの移動についての他の態様を模式的に示す図である。 スピンコーターにおける溶剤供給ノズルの移動についてさらに他の態様を模式的に示す図である。
≪第1の方法≫
以下、不純物拡散成分(A)を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、不純物拡散成分(A)を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法のうち、前述の第1の態様にかかる方法を、第1の方法と記す。また、前述の第2の態様にかかる方法を第2の方法と記す。
第1の方法では、不純物拡散成分(A)としてホウ素化合物を含有し、且つ、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物を含まない拡散剤組成物が用いられる。
第1の方法は、拡散剤組成物の塗布の後の、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層上への有機溶剤の供給を含む。
そして、拡散剤組成物の塗布と、上記の有機溶剤の供給とが、スピンコーターが備える同一のカップ内において被拡散半導体基板をカップから取り出すことなく連続して行われる。
不純物拡散成分(A)としてホウ素化合物を含有する拡散剤組成物を用いて、被拡散半導体基板上にスピンコーターを用いて塗布膜を形成する場合、しばしば、塗布後に、塗布膜に対して有機溶剤を供給しても、所望する程度に薄い塗布膜を形成しにくい場合がある。
しかし、上記の第1の方法によれば、被拡散半導体基板上に所望する程度に薄い塗布膜を容易に形成することができる。
第1の方法について、以下、拡散剤組成物を、スピンコーターを用いて被拡散半導体基板上に塗布することについて、「塗布工程」とも記す。
また、拡散剤組成物の塗布の後の、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層上へ有機溶剤を供給することについて、「溶剤供給工程」とも記す。
以下、塗布工程、及び溶剤供給工程について説明する。
<塗布工程>
塗布工程では、被拡散半導体基板上への、スピンコーターを用いる拡散剤組成物の塗布行われる。以下、被拡散半導体基板、拡散剤組成物、及び塗布方法について説明する。
〔被拡散半導体基板〕
被拡散半導体基板としては、従来から不純物拡散成分を拡散させる対象として用いられている種々の基板を特に制限なく用いることができる。被拡散半導体基板としては、典型的にはシリコン基板が用いられる。拡散剤組成物に含まれる不純物拡散成分(A)がホウ素化合物を含有するため、シリコン基板としてはn型シリコン基板が好適に使用される。
シリコン基板等の被拡散半導体基板は、表面が自然に酸化されることにより形成される自然酸化膜を備えることが多い。例えばシリコン基板は、主にSiOからなる自然酸化膜を備えることが多い。
被拡散半導体基板に、不純物拡散成分を拡散させる場合、典型的には、フッ化水素酸の水溶液等を用いて、半導体基板表面の自然酸化膜が除去される。
しかし、下記の拡散剤組成物を用いる場合、被拡散半導体基板表面の自然酸化膜を除去してもよく、除去しなくてもよい。
被拡散半導体基板表面の自然酸化膜を除去しない場合、自然酸化膜を除去する場合と比較して、不純物拡散成分が、半導体基板中にやや良好に拡散しやすい。
被拡散半導体基板の形状は、スピンコーターで回転させることができる形状であれば特に限定されない。典型的には、被拡散半導体基板の形状は円盤状である。
被拡散半導体基板は、立体構造を拡散剤組成物が塗布される面上に有していてもよい。本発明によれば、半導体基板がこのような立体構造、特に、ナノスケールの微小なパターンを備える立体構造をその表面に有する場合であっても、以上説明した拡散剤組成物を、例えば30nm以下の膜厚となるように塗布して形成された薄い塗布膜を被拡散半導体基板上に形成することによって、不純物拡散成分を被拡散半導体基板に対して良好且つ均一に拡散させることができる。
パターンの形状は特に限定されないが、典型的には、断面の形状が矩形である直線状又は曲線状のライン又は溝であったり、ホール形状が挙げられる。
被拡散半導体基板が、立体構造として複数の溝が繰り返し配置されるパターンをその表面に備える場合、パターン間の間隔としては2μm以下、1um以下、500nm以下、又は100nm以下の幅に適用可能である。パターンの幅としては、1um、500nm以下、又は200nm以下の幅に適応可能である。溝の深さとしては、1μm以上、5μm以上、又は10um以上の高さに適用可能である。
〔拡散剤組成物〕
拡散剤組成物は、不純物拡散成分(A)としてホウ素化合物を含有し、且つ、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物を含まない。かかる拡散剤組成物を、被拡散半導体基板上に塗布して塗布膜を形成した後、当該塗布膜を備える被拡散半導体基板を加熱することにより、被拡散半導体基板へのホウ素の拡散を良好に行うことができる。
(不純物拡散成分(A))
前述の通り、不純物拡散成分(A)は、ホウ素化合物を含む。不純物拡散成分(A)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、ホウ素化合物とともに、ホウ素を含まない化合物を含んでいてもよいが、通常、ホウ素化合物のみを含むのが好ましい。
シラノール基を生成し得るSi化合物については、第2の方法に関しての拡散剤組成物の説明において詳細に記載する。
不純物拡散成分(A)として用いられるホウ素化合物としては、ホウ酸、メタホウ酸、ボロン酸、過ホウ酸、次ホウ酸、及び三酸化二ホウ素や、ホウ酸トリアルキル等が挙げられる。ホウ素化合物としては、好ましい具体例としては、トリメトキシホウ素、トリエトキシホウ素、トリメチルホウ素、及びトリエチルホウ素等が挙げられる。また、トリエチルアミンとBHとの錯体のような、アミンとホウ素化合物との錯体化合物も、不純物拡散成分(A)として好ましく使用し得る。
不純物拡散成分(A)を、低い拡散温度でも良好に拡散させやすい点からは、ホウ素化合物として、例えば、下記式(a1)又は下記式(a2):
Figure 2020006358
(式(a1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、窒素原子を含有しない有機基、又は窒素原子含有基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、窒素原子含有基であり、RとRと、RとRと、RとRと、及びRとRとは、それぞれ独立に、相互に結合して環を形成してもよい。
式(a2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、窒素原子を含有しない有機基、又は窒素原子含有基であり、R、R、及びRの少なくとも1つは、窒素原子含有基であり、R、R、及びRのうちの2つは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるホウ素化合物から選択される1種が好ましい。
式(a1)中、R、R、R、及びRとしての窒素原子を含有しない有機基は、窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子の例としては、O、S、B等が挙げられる。
、R、R、及びRとしての窒素原子を含有しない有機基は特に限定されないが、好適な例としては、−R01で表される基と、−O−R01で表される基とが挙げられる。
01は、置換基を有してもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよいヘテロシクリル基である。
01が置換基を有してもよい炭化水素基である場合の、炭化水素基の好適な例としては、アルキル基、脂肪族環式基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。炭化水素基の炭素原子数は、特に限定されないが、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
脂肪族環式基は、単環式基であっても、多環式基であってもよい。単環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等が挙げられる。
シクロアルキルアルキル基としては、シクロペンチルメチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチルプロピル基、4−シクロロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシルプロピル基、及び4−シクロヘキシルブチル基が挙げられる。
アルケニル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルケニル基の好適な例としては、前述のアルキル基の好適な例に対応するアルケニル基が挙げられる。特に好ましいアルケニル基としては、ビニル基、及びアリル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、及びビフェニリル基が挙げられる。これらの中ではフェニル基が好ましい。
01が置換基を有してもよいヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基は窒素原子を含有しないヘテロシクリル基であれば特に限定されない。
ヘテロシクリル基の好適な例としては、フラニル基、チエニル基、ピラニル基、チオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、及びテトラヒドロチエニル基が挙げられる。
01が置換基を有する基である場合、当該置換基の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、水酸基、メルカプト基、炭素原子数2以上7以下の脂肪族アシルオキシ基、ベンゾイル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
01が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は、それぞれ異なっていてもよい。
、R、R、及びRが窒素原子含有基である場合、当該窒素原子含有基は有機基であっても無機基であってもよい。
窒素原子含有基の好適な例としては、アミノ基、イソシアネート基、及び窒素原子を含む有機基が挙げられる。
窒素原子を含む有機基としては、−NHR01で表される基、−N(R01で表される基、−R02−(R03で表される基、及び−O−R02−(R03で表される基が挙げられる。
01は、前述の通りである。窒素原子を含む有機基が複数のR01を含む場合、当該有機基中の複数のR01は互いに異なっていてもよい。R02の好適な例は、R01と同様である。
02は、前述のR01からp個の水素原子を除いた(p+1)価の基である。
03は、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、イソシアネート基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノ又はジアルキルアミノ基、並びにカルバモイル基からなる群より選択される基である。窒素原子を含む有機基が複数のR03を含む場合、当該有機基中の複数のR03は互いに異なっていてもよい。
pは、−O−R02−(R03で表される基における、−R03の置換数である。pは1以上の整数である。pの上限は、R02の炭素原子数に応じて適宜定められる。pは、典型的には、1以上6以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。
式(a1)中、RとRと、RとRと、RとRと、及びRとRとは、それぞれ独立に、相互に結合して環を形成してもよい。
この場合、RとRと、RとRと、RとRと、又はRとRとが結合して形成される2価基としては、下記式(i)〜(viii)で表される基が挙げられる。
−NR04−R05−NR04−・・・(i)
−NR04−BH−NR04−・・・(ii)
−NR04−BH−BH−NR04−・・・(iii)
−NR04−BH−NR04−NR044−・・・(iv)
−NR04−NR04−NR04−NR04−・・・(v)
−NR04−BH−NR04−BH−NR04−・・・(vi)
−O−R05−O−・・・(vii)
−O−R06−O−・・・(viii)
上記式(i)〜(viii)において、R04は、水素原子、−R01で表される基、−O−R01で表される基、又は−CO−R01で表される基である。式(i)〜(viii)中の複数のR04は、同一であっても異なっていてもよい。
式(i)、及び式(vii)中のR05は、直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルキレン基である。当該アルキレン基の好適な例としては、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCH(CHCH)−、−CHCHCH(CHCH)−、−CH−C(CH−CH−、及び−C(CHC(CH−が挙げられる。
式(viii)中のR06は、酒石酸アミド化合物から2つの水酸基を除いた2価基である。
式(a2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、窒素原子を含有しない有機基、又は窒素原子含有基である。これらの基の例は、式(a1)中、R、R、R、及びRについて説明した例と同様である。
また、式(a2)において、R、R、及びRのうちの2つは、相互に結合して環を形成してもよい。この場合、RとRと、RとRと、又はRとRとが結合して形成される2価基としては、前述の式(i)〜(vi)で表される基が挙げられる。
以下式(a1)で表される化合物の好適な例と、式(a2)で表される化合物の好適な例とについて、より詳細に説明する。
式(a1)で表される化合物の好適な例としては、下記式(a1−1):
Figure 2020006358
(式(a1−1)中、R〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上10以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、炭素原子数2以上10以下の脂肪族アシル基、又は炭素原子数7以上11以下の芳香族アシル基である。RとRと、R10とR11と、R12とR13と、及びR14とR15とは、それぞれ独立に、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
〜R15としての脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。R〜R15としての脂肪族炭化水素基は、直鎖状の飽和炭化水素基が好ましい。
〜R15としての脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、1以上6以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
〜R15としての脂肪族炭化水素基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘプチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、及びn−デシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基が好ましく、メチル基、及びエチル基がより好ましい。
〜R15としての芳香族炭化水素基の炭素原子数は6以上10以下である。R〜R15としての芳香族炭化水素基の好適な例は、フェニル基、α−ナフチル基、及びβ−ナフチル基であり、フェニル基が好ましい。
〜R15としてのアラルキル基の炭素原子数は7以上12以下である。R〜R15としてのアラルキル基の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基であり、ベンジル基、及びフェネチル基が好ましい。
〜R15としての脂肪族アシル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、任意に不飽和結合を有してもよい。R〜R15としての脂肪族アシル基は、直鎖状の飽和脂肪族アシル基が好ましい。
〜R15としての脂肪族アシル基の炭素原子数は、2以上6以下が好ましく、2以上4以下がより好ましく、2又は3が特に好ましい。
〜R15としての脂肪族アシル基の好適な例としては、アセチル基、プロピオニル基、n−ブタノイル基、n−ペンタノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、及びn−デカノイル基が挙げられ、アセチル基、プロピオニル基、n−ブタノイル基、n−ペンタノイル基、及びn−ヘキサノイル基が好ましく、アセチル基、及びプロピオニル基がより好ましい。
〜R15としての芳香族アシル基の炭素原子数は7以上11以下である。R〜R15としての芳香族アシル基の好適な例は、ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基であり、ベンゾイル基がより好ましい。
式(a1−1)で表される化合物の好適な具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
式(a1)で表される化合物の他の好適な例としては、下記式(a1−2):
Figure 2020006358
(式(a1−2)中、R16及びR17は、それぞれ2価の有機基である。)
で表される化合物が挙げられる。
16及びR17としての2価の有機基としては、−R18−NR20−R19−で表される基や、酒石酸アミド由来の基が挙げられる。
酒石酸アミド由来の基とは、酒石酸アミド化合物から2つの水酸基を除いた2価基である。
18及びR19は、それぞれ独立に炭素原子数1以上6以下のアルキレン基であり、メチレン基、又はエタン−1,2−ジイル基が好ましい。R20は、水素原子、炭素原子数1以上10以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上10以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、炭素原子数2以上10以下の脂肪族アシル基、又は炭素原子数7以上11以下の芳香族アシル基であり、これらの具体例はR〜R15について説明した具体例と同様である。
式(a1−2)中、R16及びR17が酒石酸アミド由来の基である場合の、式(a1−2)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式(a1−2−1):
Figure 2020006358
(式(a1−2−1)中、R21〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上10以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、炭素原子数2以上10以下の脂肪族アシル基、又は炭素原子数7以上11以下の芳香族アシル基である。)
で表される化合物が挙げられる。
21〜R28について、水素原子、炭素原子数1以上10以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上10以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、炭素原子数2以上10以下の脂肪族アシル基、及び炭素原子数7以上11以下の芳香族アシル基の具体例は、R〜R15について説明した具体例と同様である。
式(a1−2−1)で表される化合物の好適な具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
また、式(a2)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式(a2a)〜(a2d):
Figure 2020006358
(式(a2a)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra2は、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、ただしRa1及びRa2の少なくとも一方は炭化水素基であり、Ra3は、炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、
式(a2b)中、Ra4は、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra5は、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra6は炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、
式(a2c)中、Ra7は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra9は、炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基であり、pは、0又は1であり、
式(a2d)中、Ra10は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra11は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、ただしRa10及びRa11の少なくとも一方は炭化水素基であり、Ra12は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基である。)
で表される化合物からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
以下、式(a2a)〜(a2d)で表される化合物について説明する。
(式(a2a)で表される化合物)
式(a2a)において、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra2は、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra3は、炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基である。ただし、Ra1及びRa2の少なくとも一方は炭化水素基である。
a1及びRa2としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。Ra1としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましい。Ra2としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましい。
a3としての脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であるのが好ましい。Ra3の好適な例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、及びデカン−1,10−ジイル基である。
a3としては、エタン−1,2−ジイル基、及びプロパン−1,3−ジイル基が好ましい。
式(a2a)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
Figure 2020006358
(式(a2b)で表される化合物)
式(a2b)において、Ra4は、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra5は、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra6は炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基である。
a4及びRa5としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。Ra4としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましい。Ra5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましい。
a6としての、炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基の好適な例としては、Ra3の好適な例と同様である。Ra6としては、プロパン−1,3−ジイル基、及びブタン−1,4−ジイル基が好ましい。
式(a2a)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
Figure 2020006358
(式(a2c)で表される化合物)
式(a2c)において、Ra7は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra9は、炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基であり、pは、0又は1である。pは、1が好ましい。
a7及びRa8としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。Ra7としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましく、tert−ブチル基、及びベンジル基がより好ましい。Ra8としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。
a9としての、炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基の好適な例としては、Ra3の好適な例と同様である。Ra9としては、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、及びブタン−1,4−ジイル基が好ましい。
式(a2c)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
(式(a2d)で表される化合物)
式(a2d)において、Ra10は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra11は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、ただしRa10及びRa11の少なくとも一方は炭化水素基であり、Ra12は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基である。
a10及びRa11としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。Ra10としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましく、tert−ブチル基、及びベンジル基がより好ましい。Ra11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、及びベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。
a12としての、炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基の好適な例としては、Ra3の好適な例と同様である。Ra12としては、メチレン基、及びエタン−1,2−ジイル基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
式(a2d)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
また、不純物拡散成分(A)が、後述する第1ホウ素化合物(A1)と、第2ホウ素化合物(A2)とを含むのも、半導体基板に良好にホウ素を拡散させやすい点から好ましい。
第1ホウ素化合物(A1)と、第2ホウ素化合物(A2)とを含む拡散剤組成物を用いることにより、不純物拡散成分を拡散させる対象の半導体基板が、その表面にナノスケールの微小な空隙を有する三次元構造をその表面に備える場合であっても、微小な空隙の内表面全面を含む半導体基板表面に、膜厚が均一であり、曇りのない均質な塗布膜を形成しやすい。これにより、半導体基板にホウ素を均一に拡散させやすい。
・第1ホウ素化合物
第1ホウ素化合物(A1)は、水素化ホウ素、又は加水分解により、下記式(a1e)及び式(a1f):
B(ROH・・・(a1e)
B(R)(OH)・・・(a1f)
(式(a1e)、及び(a1f)中、Rは、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基である。)
で表される化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を生成し得るホウ素化合物である。
第1ホウ素化合物は、不純物拡散成分(A)を半導体基板に塗布して膜を形成する際に、加水分解により、上記式(a1e)又は(a1f)等のB−OH基を有する化合物を生成させる。なお、水素化ホウ素も、加水分解によりB−OH基を有する分解物を生成させる。上記式(a1e)又は(a1f)で表される化合物や、水素化ホウ素の分解物が、反応系中に適度に水分を呼び込み、加水分解反応を補助しているのではないかと推察され、その結果、塗布膜における不具合を抑制して膜の均一性を向上させていると考えられる。
式(a1e)、及び式(a1f)において、Rは水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基である。
としての炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、これらを組み合わせた基であってもよい。
炭化水素基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、及びn−デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及びシクロデシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、及び5−ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基、及びフェネチル基等のアラルキル基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、及びp−エチルフェニル基等のアルキル置換された芳香族炭化水素基が挙げられる。
第1ホウ素化合物(A1)としては、ホウ素原子数2以上10以下の水素化ホウ素と、下記式(a1a)〜(a1d):
B(Ra13(ORa14(3−q)・・・(a1a)
Figure 2020006358
(式(a1a)中、Ra13及びRa14は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、qは1又は2の整数であり、
式(a1b)中、Ra15は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、
式(a1c)中、Ra16は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、R17は、水素原子、又はそれぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、rは1又は2であり、
式(a1d)中、Ra18及びRa19は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素である。)
で表される化合物と、からなる群より選択される1種以上が好ましい。
以下、第1ホウ素化合物の好ましい例について説明する。
(水素化ホウ素)
ホウ素原子数2以上10以下の水素化ホウ素としては、周知の水素化ホウ素化合物を用いることができる。水素化ホウ素の好適な例としては、ボラン、ジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、及びデカボラン等が挙げられる。これらの中では、入手が容易であるとともに、取扱い性が良好であることからデカボランが好ましい。
(式(a1a)で表される化合物)
式(a1a)において、Ra13及びRa14は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、qは1又は2の整数である。qは、1であるのが好ましい。
なお、式(a1a)中、Ra13、又はRa14が複数である場合、複数のRa13、又はRa14は同一であっても異なっていてもよい。
a13及びRa14としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。
式(a1a)で表される化合物の好適な具体例としては、メチルボロン酸ジメチル、メチルボロン酸ジエチル、メチルボロン酸ジn−プロピル、メチルボロン酸ジ−n−ブチル、エチルボロン酸ジメチル、エチルボロン酸ジエチル、エチルボロン酸ジn−プロピル、エチルボロン酸ジ−n−ブチル、n−プロピルボロン酸ジメチル、n−プロピルボロン酸ジエチル、n−プロピルボロン酸ジn−プロピル、n−プロピルボロン酸ジ−n−ブチル、アリルボロン酸ジイソプロピル、ビニルボロン酸ジメチル、ビニルボロン酸ジエチル、ビニルボロン酸ジn−プロピル、ビニルボロン酸ジn−ブチル、フェニルボロン酸ジメチル、フェニルボロン酸ジエチル、フェニルボロン酸ジn−プロピル、及びフェニルボロン酸ジn−ブチルが挙げられる。
(式(a1b)で表される化合物)
式(a1b)において、Ra15は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基である。式(a1b)中、の複数のRa15は同一であっても異なっていてもよい。
a15としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。
式(a1b)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
(式(a1c)で表される化合物)
式(a1c)中、Ra16及びRa17は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、rは1又は2である。
a16及びRa17としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。
式(a1c)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2020006358
式(a1d)中、Ra18及びRa19は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素である。)
a18及びRa19としての、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基の好適な例としては、Rの好適な例と同様である。
式(a1d)で表される化合物の好適な例としては、ジメチルアミノボラン、ジエチルアミノボラン、ジn−プロピルアミノボラン、及びジイソプロピルアミノボラン等が挙げられる。
・第2ホウ素化合物
第2ホウ素化合物(A2)は、第1ホウ素化合物(A1)以外のホウ素化合物である。第2ホウ素化合物は、前述の式(a2a)〜(a2d)で表される化合物からなる群より選択される1種以上である。式(a2a)〜(a2d)で表される化合物の好適な具体例は、前述の通りである。
B−N結合における窒素原子に、2価の脂肪族炭化水素基が結合しており、且つ、B−N結合中のホウ素原子と窒素原子とに同時に水素原子が結合しない。この構造の共通性が、第2ホウ素化合物から加水分解によるホウ酸のような無機化合物の生成を抑制できて、無機化合物の増大による膜の不均一化を抑制できることで、均質な塗布膜の形成をうながしていると推測される。
拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)の含有量は特に限定されない。拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)の含有量は、0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.05質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
不純物拡散成分(A)が、上記の第1ホウ素化合物(A1)と、第2ホウ素化合物(A2)とを組み合わせて含む場合、拡散剤組成物中の、第1ホウ素化合物(A1)の含有量と第2ホウ素化合物(A2)の含有量との比率(質量比)は、第1ホウ素化合物(A1)の含有量:第2ホウ素化合物(A2)の含有量として、0.05:1〜4:1が好ましく、0.1:1〜3:1がより好ましく、0.2:1〜2.5:1が特に好ましい。
拡散剤組成物が上記の比率で第1ホウ素化合物(A1)と第2ホウ素化合物(A2)とを含有することにより、均一な膜を形成しやすく、低温でも良好に不純物拡散成分(A)を拡散させることができる。
(有機溶剤(S))
拡散剤組成物は、通常、薄い塗布膜を形成できるように、溶媒として有機溶剤(S)を含む。有機溶剤(S)の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
また、拡散剤組成物は、実質的に水を含まないのが好ましい。拡散剤組成物中が実質的に水を含まないとは、不純物拡散成分の(A)に含まれるホウ素化合物が本発明の目的を阻害する程度まで加水分解されてしまう量の水を、拡散剤組成物が含有しないことを意味する。
有機溶剤(S)の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール類のモノエーテル;ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、及びパーフルオロテトラヒドロフラン等のモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、及びジプロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコール類の鎖状ジエーテル類;1,4−ジオキサン等の環状ジエーテル類;1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、3−ペンタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、及びイソホロン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、及びイソプロピル−3−メトキシプロピオネート、プロピレンカーボネート、及びγ−ブチロラクトン等のエステル類;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の活性水素原子を持たないアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、リモネン、及びピネン等のハロゲンを含んでいてもよい脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1−メチルプロピルベンゼン、2−メチルプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、及びジプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、及び2−フェノキシエタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。なお、上記の好ましい有機溶剤(S)の例示において、エーテル結合とエステル結合とを含む有機溶剤はエステル類に分類される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の成分)
拡散剤組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含んでいてもよい。また、拡散剤組成物は、塗布性や、製膜性を改良する目的でバインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては種々の樹脂を用いることができ、アクリル樹脂が好ましい。
〔塗布方法〕
拡散剤組成物は、スピンコーターを用いて被拡散半導体基板上に塗布される。拡散剤組成物を塗布して形成される塗布膜の膜厚は、特に限定されない。塗布膜の膜厚は、後述する溶剤供給工程後の膜厚として、例えば30nm以下であってよく、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。また、溶剤供給工程後の塗布膜の膜厚の下限は特に限定されないが、例えば0.1nm以上であってよく、0.2nm以上が好ましい。
なお、塗布膜の膜厚は、エリプソメーターを用いて測定された5点以上の膜厚の平均値である。
拡散剤組成物を塗布する際の、被拡散半導体基板の回転数は特に限定されない。例えば、4インチ以上12インチ以下のサイズの被拡散半導体基板を用いる場合、被拡散半導体基板の回転数は、300rpm以上1000rpm以下であるのが好ましい。
被拡散半導体基板の回転数は、拡散剤組成物の給液中又は給液後において、一定であっても変化させてもよい。
以下、図1を参照して、塗布方法についてより詳細に説明する。図1は、スピンコーターの構成の概略を示す、スピンコーターの断面図である。
なお、図1に示されるスピンコーターは、説明を容易にするために構成が簡略化されている。スピンコーターとしては図1に示されるものに限定されず、周知のスピンコーターを特に制限なく用いることができる。
図1に示されるスピンコーターにおいて、被拡散半導体基板10が、ベース23の中心部に設けられたスピンチャック11上に載置される。
スピンチャック11上に載置された被拡散半導体基板10は、スピンチャック11が備えるバキューム機構(不図示)等の固定装置により、スピンチャック11上に固定されつつ保持される。
次いで、スピンチャック11を回転させることにより被拡散半導体基板10を回転させる。そして、ノズル12から拡散剤組成物を吐出し、回転する被拡散半導体基板10の中心部又は略中心部に、拡散剤組成物を滴下する。
以上のようにして、被拡散半導体基板10上に拡散剤組成物が塗布される。
<溶剤供給工程>
溶剤供給工程では、拡散剤組成物の塗布の後の、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層上へ有機溶剤を供給する。
ここで言う、“塗布の後”とは、拡散剤を基板に滴下して、回転により基板上に塗り広げた後のことで、滴下後の回転による溶剤の乾燥工程までは含まない。
塗布後に、被拡散半導体基板の表面に有機溶剤を供給することにより、塗布膜の膜厚を薄く、且つ均一にしやすい。特に、被拡散半導体基板がその表面に立体構造を有する場合、立体構造の底部(段差部分)で塗布膜の膜厚が厚くなりやすい。しかし、塗布膜の形成後に被拡散半導体基板の表面に有機溶剤を供給することにより、塗布膜の膜厚を均一化できる。
以下、図1〜図3を参照しつつ、溶剤供給工程について説明する。
溶剤供給工程では、拡散剤組成物の塗布と、有機溶剤の供給とが、スピンコーターが備える同一のカップ20内において被拡散半導体基板10をカップ20から取り出すことなく連続して行われる。
有機溶剤は、回転する被拡散半導体基板10上の任意の位置において、溶剤供給ノズル13から供給される。有機溶剤は、ノズル12を移動させた後、回転する被拡散半導体基板10の中心部又は中心部付近に向けて溶剤供給ノズル13から供給されるのが好ましい。遠心力により、被拡散半導体基板10のほぼ全面に有機溶剤が行き渡るためである。
塗布膜を備える被拡散半導体基板10をスピンコーターが備えるカップ20より取り出さず、連続で処理することにより、拡散剤組成物が乾燥しきる前に、再溶解により余分な量の拡散剤組成物が取り除かれることにより、目的とする均質な薄膜化された塗布膜を得ることができる。
対して、拡散剤組成物の塗布と、塗布膜への有機溶剤の供給とが、スピンコーターが備える同一のカップ20内において被拡散半導体基板10をカップ20から取り出すことなく連続して行われれば、被拡散半導体基板10を取り出すためにスピンコーターの回転を停止させるための制動時間や、別途溶剤供給工程を行うための装置又は場所への被拡散半導体基板の移送時間がほぼ不要である。このため、拡散剤組成物の塗布開始から有機溶剤の供給開始までの時間を極めて短くできる。
有機溶剤を被拡散半導体基板上に滴下する際、通常、拡散剤組成物の塗布後、被拡散半導体基板の回転を停止させずに溶剤の供給が行われる。
被拡散半導体基板10を回転させたまま有機溶剤を供給する場合、有機溶剤供給時の被拡散半導体基板10の回転数は、特に限定されないが、回転数調整の時間が不要であることから、拡散剤組成物の塗布時の回転数と同様であるのが好ましい。
有機溶剤の供給後、被拡散半導体基板10の回転数を高めてもよい。この場合、回転数を上げるほど、薄い塗布膜を形成しやすくなる。
例えば、4〜12インチのサイズの被拡散半導体基板10を用いる場合、有機溶剤の供給開始時から有機溶剤の供給後の被拡散半導体基板10の回転数は、300rpm以上1000rpm以下であるのが好ましい。
被拡散半導体基板10上の塗布膜に対して供給される有機溶剤としては、拡散剤組成物が含有していてもよい前述の有機溶剤を用いることができる。
スピンコーターが備えるカップ内20で有機溶剤を被拡散半導体基板10に滴下する場合、被拡散半導体基板10上の塗布膜に対して供給する有機溶剤の量は特に限定されないが、1mL以上200mL以下が好ましく、2mL以上50mL以下がより好ましい。
また、有機溶剤の供給速度について、被拡散半導体基板10のサイズによっても異なるが、典型的には、0.1mL/秒以上2mL/秒以下が好ましく、0.2mL/秒以上1mL/秒以下がより好ましい。
有機溶剤の供給時間は、特に限定されず、有機溶剤の総供給量と、有機溶剤の供給速度とを勘案して適宜定められる。有機溶剤の供給時間は、典型的には、0.5秒以上1分以下が好ましく、1秒以上30秒以下がさらに好ましく、3秒以上10秒以下が特に好ましい。
被拡散半導体基板10への有機溶剤の供給は、カップ20内で回転する被拡散半導体基板10に、回転する被拡散半導体基板10に対して相対的に水平に移動するノズル(溶剤供給ノズル13)から行われるのが好ましい。この場合、溶剤供給ノズル13の移動速度は、一定であっても変化してもよい。
上記のように溶剤供給ノズル13を移動させながら有機溶剤を供給することにより、局所的な有機溶剤の供給に起因する、有機溶剤が供給される位置における塗布膜の薄膜化を防ぐことができ、より膜厚の面内均一性が高い塗布膜を形成することができる。
ここで、溶剤供給ノズル13の移動は、被拡散半導体基板10に対して相対的な位置移動である。なお、溶剤供給ノズル13の移動について、溶剤供給ノズル13の先端部の位置の移動とする。
溶剤供給ノズル13の移動は、図2に示されるように、単一の溶剤供給ノズル13自身が移動することによる移動であってよい。図2では、回転する被拡散半導体基板10の中心側から外側へ向けての溶剤供給ノズル13の移動について示されているが、溶剤供給ノズル13の移動は、回転する被拡散半導体基板10の外側から中心側への移動であってもよい。
また、図3に示されるように、複数の溶剤供給ノズル13を用い、有機溶剤を供給する溶剤供給ノズル13を切り替えることによって、溶剤供給ノズル13の移動を行ってもよい。
つまり、溶剤供給ノズル13の移動は連続的であっても不連続であってもよい。
さらに、水平に移動とは、水平面内での溶剤供給ノズル13の移動には限定されない。溶剤供給ノズル13の位置は、水平方向に移動しながら、同時に垂直方向に移動してもよい。
例えば、図4に示されるように、溶剤供給ノズル13を回転させる場合、溶剤供給ノズル13の先端は、水平方向に移動しつつ、且つ垂直方向にも移動する。
以上説明した溶剤供給ノズル13の移動の態様の中では、図2に示されるように、溶剤供給ノズル13の先端が、水平方向のみに直線的に移動するように溶剤供給ノズル13を移動させるのが好ましい。
溶剤供給ノズル13からの有機溶剤の供給は、スピンコーター内で回転する被拡散半導体基板10の直径方向に走査するように行われるのが好ましい。
これにより、有機溶剤の供給位置を分散させつつ、被拡散半導体基板10の表面にまんべんなく有機溶剤を供給できる。その結果、膜厚の面内均一性が高い塗布膜を形成しやすい。
なお、有機溶剤の供給についての「走査」とは、所定の連続した範囲内において、溶剤供給ノズル13から供給される有機溶媒が当たらない位置が無いように、途切れることなく有機溶剤を供給することを言う。
走査は、スピンコーター内で回転する被拡散半導体基板10上の、直径方向の任意の範囲内で行われるのがよい。走査の範囲は、スピンコーター内で回転する被拡散半導体基板10の中心を含むのが好ましい。
また、走査の範囲は、スピンコーター内で回転する被拡散半導体基板10の中心を含み、且つ、当該中心から、回転する被拡散基板10の半径の長さの50%の領域を含むのが好ましく、当該中心から、回転する被拡散基板10の半径の長さの60%以上の領域を含むのが特に好ましい。
走査の方向は、スピンコーター内で回転する被拡散半導体基板10上の、中心側から外側に向かう方向であってもよく、外側から中心側に向かう方向であってもよく、中心側から外側に向かう方向が好ましい。
中心側から外側に向かう方向に走査を行う場合、走査の開始時において、遠心力によって被拡散半導体基板10の全面に有機溶剤が供給される。つまり、拡散剤組成物の有機溶剤に対する溶解性が最も高い状態において、被拡散半導体基板10の全面に有機溶剤を供給できる。
有機溶剤の供給についての走査の速度は、一定であっても変化してもよい。速度の変化は、連続的であってもよく、不連続であってもよい。所定の範囲内の全ての位置に有機溶剤を供給できる限りにおいて、走査中には、溶剤供給ノズル13の移動が1回以上停止されてもよいが、膜厚を均一にする観点では、停止しないことが望ましい。
また、有機溶剤の供給は、塗布膜の膜厚の均一化の観点から、スピンコーター内で回転する被拡散半導体基板10の中心から10mm以内の中心領域内において開始されるのが好ましい。
≪第2の方法≫
第2の方法は、不純物拡散成分(A)を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、不純物拡散成分(A)を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法であることと、拡散剤組成物の塗布と、被拡散半導体基板上の拡散剤組成物からなる層への有機溶剤の供給とが、スピンコーターが備える同一のカップ内において被拡散半導体基板をカップから取り出すことなく連続して行われることとにおいて、第1の方法と共通する。
また、第2の方法は、拡散剤組成物について、塗布膜を形成可能である限り特に限定されない点と、カップ内で回転する被拡散半導体基板に対して、回転する被拡散半導体基板に対して相対的に水平に移動するノズルから、有機溶剤が供給されることが必須である点とにおいて、第1の方法と相違する。
以下、第2の方法に関して、塗布工程と、溶剤供給工程とについて説明する。
<塗布工程>
塗布工程では、被拡散半導体基板上への、スピンコーターを用いる拡散剤組成物の塗布行われる。以下、第2の方法において用いられる被拡散半導体基板と、拡散剤組成物とについて説明する。塗布方法については、第1の方法と同様である。
〔被拡散半導体基板〕
被拡散半導体基板について、拡散剤組成物に含まれる不純物拡散成分(A)の種類に応じて、p型の基板と、n型の基板とを適宜選択し得ることを除いて、第1の方法と同様である。
〔拡散剤組成物〕
拡散剤組成物は、不純物拡散成分(A)を必須に含む。また、拡散剤組成物は、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物(B)とを含んでいてもよい。本明細書においてシラノール基を生成し得るSi化合物(B)を、加水分解性シラン化合物(B)とも記す。以下、拡散剤組成物が含む、必須又は任意の成分について説明する。
(不純物拡散成分(A))
不純物拡散成分(A)は、従来から半導体基板へのドーピングに用いられている成分であれば特に限定されず、n型ドーパントであっても、p型ドーパントであってもよい。n型ドーパントとしては、リン、ヒ素、及びアンチモン等の単体、並びにこれらの元素を含む化合物が挙げられる。p型ドーパントとしては、ホウ素、ガリウム、インジウム、及びアルミニウム等の単体、並びにこれらの元素を含む化合物が挙げられる。
不純物拡散成分(A)としては、入手の容易性や取扱いが容易であることから、リン化合物、ホウ素化合物、又はヒ素化合物が好ましい。好ましいリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ジ亜リン酸、ポリリン酸、及び五酸化二リンや、亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、亜リン酸トリス(トリアルキルシリル)、及びリン酸トリス(トリアルキルシリル)等が挙げられる。好ましいホウ素化合物としては、第1の方法について説明したホウ素化合物が挙げられる。好ましいヒ素化合物としては、ヒ酸、トリス(ジアルキルアミノ)ヒ素、及びヒ酸トリアルキルが挙げられる。
拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)の含有量は特に限定されない。拡散剤組成物中の不純物拡散成分(A)の含有量は、不純物拡散成分(A)中に含まれる、リン、ヒ素、アンチモン、ホウ素、ガリウム、インジウム、及びアルミニウム等の半導体基板中でドーパントしての作用を奏する元素の量(モル)が、加水分解性シラン化合物(B)に含まれるSiのモル数の0.01倍以上5倍以下となる量が好ましく、0.05倍以上3倍以下となる量がより好ましい。
(加水分解性シラン化合物(B))
拡散剤組成物は、加水分解性シラン化合物(B)を含有してもよい。拡散剤組成物が加水分解性シラン化合物(B)を含む場合、拡散剤組成物を被拡散半導体基板に塗布して薄膜を形成すると、加水分解性シラン化合物が加水分解縮合して、塗布膜内にケイ素酸化物系の極薄い膜が形成される。塗布膜内に、ケイ素酸化物系の極薄い膜が形成される場合、前述の不純物拡散成分(A)の基板外への外部拡散が抑制され、拡散剤組成物からなる膜が薄膜であっても、良好且つ均一に被拡散半導体基板に不純物拡散成分(A)を拡散させやすい。
加水分解性シラン化合物(B)は、加水分解により水酸基を生成させ、且つSi原子に結合する官能基を有する。加水分解により水酸基を生成させる官能基としては、アルコキシ基、イソシアネート基、ジメチルアミノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素原子数1以上5以下の、直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、及びn−ブトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
加水分解により水酸基を生成させる官能基としては、速やかに加水分解されやすいことと、加水分解性シラン化合物(B)の取り扱い性や入手の容易性の点から、イソシアネート基、及び炭素原子数1以上5以下の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、及びイソシアネート基がより好ましい。
これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、及びエチルトリエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、及びテトラエトキシシランが特に好ましい。
イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物(B)としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
4−nSi(NCO)・・・(1)
(式(1)中、Rは炭化水素基であり、nは3又は4の整数である。)
式(1)中のRとしての炭化水素基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rとしては、炭素原子数1以上12以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上12以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基が好ましい。
以上説明した炭化水素基の中では、メチル基、及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(1)で表される加水分解性シラン化合物(B)の中では、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、及びエチルトリイソシアネートシランが好ましく、テトライソシアネートシランがより好ましい。
なお、イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物(B)と、炭素原子数1以上5以下の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基を有する加水分解性シラン化合物(B)とを併用することもできる。この場合、イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物(B)のモル数Xと、炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基を有する加水分解性シラン化合物(B)のモル数Yとの比率X/Yは、1/99〜99/1が好ましく、50/50〜95/5がより好ましく、60/40〜90/10が特に好ましい。
拡散剤組成物中の加水分解性シラン化合物(B)の含有量は、Siの濃度として、0.001質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。拡散剤組成物がこのような濃度で加水分解性シラン化合物(B)を含有することにより、拡散剤組成物を用いて形成された薄い塗布膜からの不純物拡散成分(A)の外部拡散を良好に抑制し、不純物拡散成分を良好且つ均一に被拡散半導体基板に拡散させることができる。
〔有機溶剤(S)〕
拡散剤組成物は、通常、薄膜の塗布膜を形成できるように、溶媒として有機溶剤(S)を含む。有機溶剤(S)の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機溶剤(S)の好適な例としては、第1の方法について説明した有機溶剤と同様である。
また、拡散剤組成物が、加水分解性シラン化合物(B)を含む場合、拡散剤組成物は、実質的に水を含まないのが好ましい。拡散剤組成物中が実質的に水を含まないとは、加水分解性シラン化合物(B)が本発明の目的を阻害する程度まで加水分解されてしまう量の水を、拡散剤組成物が含有しないことを意味する。
拡散剤組成物が加水分解性シラン化合物(B)を含む場合、有機溶剤(S)としては、加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基を持たない有機溶剤が好ましく使用される。特に加水分解性シラン化合物(B)がイソシアネート基を有する場合、加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基を持たない有機溶剤(S)を用いるのが好ましい。
加水分解性シラン化合物(B)と反応する官能基を持たない有機溶剤の好適な例としては、第1の方法について記載した有機溶剤(S)の具体例のうち、モノエーテル類、鎖状ジエーテル類、環状ジエーテル類、ケトン類、エステル類、活性水素原子を持たないアミド系溶剤、スルホキシド類、ハロゲンを含んでいてもよい脂肪族炭化水素系溶剤、及び芳香族炭化水素系溶剤の具体例として列挙された有機溶剤が挙げられる。
〔その他の成分〕
第1の方法において用いられる拡散剤組成物と同様、拡散剤組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含んでいてもよい。また、拡散剤組成物は、塗布性や、製膜性を改良する目的でバインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては種々の樹脂を用いることができ、アクリル樹脂が好ましい。
<溶剤供給工程>
第2の方法では、被拡散半導体基板への有機溶剤の供給が、カップ内で回転する被拡散半導体基板に、回転する被拡散半導体基板に対して相対的に水平に移動する溶剤供給ノズルから行われることが必須である以外は、第1の方法と同様に有機溶剤の供給が行われる。
第2の方法では、上記の方法に従って有機溶剤の供給を行うことにより、塗布型の拡散剤組成物の構成成分の種類や、組成によらず、塗布膜を所望する程度に薄膜化することができる。
≪半導体基板の製造方法≫
半導体基板の製造方法は、
不純物拡散成分(A)を含有する前記拡散剤組成物を用いて、第1の方法、又は第2の方法により、被拡散半導体基板上に塗布膜を形成することと、
不純物拡散成分(A)を、被拡散半導体基板に拡散させることを含む。
不純物拡散成分(A)を被拡散半導体基板に拡散させる方法は、特に限定されない。不純物拡散成分(A)を被拡散半導体基板への拡散は、通常、塗布膜を加熱することにより行われる。
典型的な方法としては、拡散剤組成物からなる塗布膜を備える被拡散半導体基板を電気炉等の加熱炉中で加熱する方法が挙げられる。この際、加熱条件は、所望する程度に不純物拡散成分(A)が拡散される限り特に限定されない。加熱条件は、塗布膜の膜厚、拡散剤組成物の組成、不純物拡散成分(A)の種類等を勘案したうえで適宜定められる。
通常、酸化性気体の雰囲気下で塗布膜中の有機物を焼成除去した後に、不活性ガスの雰囲気下で被拡散半導体基板を加熱して、不純物拡散成分(A)を被拡散半導体基板中に拡散させる。
有機物を焼成する際の加熱は、好ましくは300℃以上1000℃以下、より好ましくは400℃以上800℃以下程度の温度下において、好ましくは1分以上120分以下、より好ましくは5分以上60分以下の間行われる。
不純物拡散成分(A)を拡散させる際の加熱は、好ましくは800℃以上1400℃以下、より好ましくは800℃以上1200℃以下の温度下において、好ましくは1分以上120分以下、より好ましくは5分以上60分以下の間行われる。
また、25℃/秒以上の昇温速度で被拡散半導体基板を速やかに、所定の拡散温度まで昇温させることができる場合、拡散温度の保持時間は、30秒以下、10秒以下、又は1秒未満のようなごく短時間であってもよい。この場合、半導体基板表面の浅い領域において、高濃度で不純物拡散成分を拡散させやすい。
特に、塗布膜中の有機物焼成除去工程を行わない場合、昇温速度を特に15℃/秒から25℃/秒の範囲で、熱拡散が可能となる800℃以上1200℃以下まで一気に昇温することで効率的な熱拡散が可能となる。
拡散剤組成物が、不純物拡散成分(A)としてホウ素化合物を含有する場合、上記の拡散工程後には、半導体基板の不純物拡散成分(A)が拡散した面や、当該面の近傍に、不純物拡散成分(A)に由来する酸化ホウ素(B)等を含む残渣物が付着したり、不純物拡散成分(A)に由来するホウ素を過度に高濃度で含むホウ素高濃度層が形成される場合がある。
かかる残渣物の付着や、ホウ素高濃度層の形成は、拡散工程を経て得られた半導体基板を用いて半導体デバイスを製造する場合に、製造される半導体デバイスの性能に悪影響を与える場合がある。
このため、拡散工程後には、残渣物やホウ素高濃度層を除去する処理を行うのが好ましい。
拡散工程後の好ましい処理としては、半導体基板表面に対して、フッ化水素酸(HF)水溶液を接触させる処理が挙げられる。かかる処理によれば、半導体基板表面に付着する残渣物を除去することができる。
フッ化水素酸の水溶液の濃度は、残渣物を除去できる限り特に限定されない。フッ化水素酸の水溶液の濃度は、例えば、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
半導体基板表面と、フッ化水素酸の水溶液とを接触させる温度は、残渣物を除去できる限り特に限定されない。半導体基板表面と、フッ化水素酸の水溶液とを接触させる温度は、例えば、20℃以上40℃以下が好ましく、23℃以上30℃以下がより好ましい。
半導体基板表面と、フッ化水素酸の水溶液とを接触させる時間は、残渣物を除去でき、半導体基板に許容できないダメージが生じない限り特に限定されない。半導体基板表面と、フッ化水素酸の水溶液とを接触させる時間は、例えば、15秒以上5分以下が好ましく、30秒以上1分以下がより好ましい。
また、上記のフッ化水素酸の水溶液を接触させる処理の前に、半導体基板表面に対して、プラズマアッシングを行うのも好ましい。かかる処理によれば、残渣物に加えて、半導体基板表面又は半導体基板表面の近傍に形成されたホウ素高濃度層を除去することができる。
プラズマアッシングとしては、酸素含有ガスを用いるプラズマアッシングが好ましく、酸素プラズマアッシングがより好ましい。
酸素プラズマの発生に用いられるガスには、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来、酸素とともにプラズマ処理に用いられている種々のガスを混合することができる。かかるガスとしては、例えば、窒素ガス、水素ガス等が挙げられる。
プラズマアッシングの条件は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
以上説明した半導体基板の製造方法によれば、塗布型の拡散剤組成物の構成成分の種類や、組成によらず、所望する程度に薄膜化された塗布膜を形成できるため、ナノメートルスケールの微小な空隙を有する三次元構造をその表面に備える被拡散半導体基板を用いる場合であっても、微小な空隙の内表面全面を含め、基板上に極薄い塗布膜を形成でき、これにより被拡散半導体基板の拡散剤組成物が塗布された箇所全体に良好且つ均一に不純物拡散成分を拡散させることができる。
このため、以上説明した半導体基板の製造方法は、微小な立体的な構造を有するマルチゲート素子の製造に好適に適用できる。本発明にかかる方法は、特に、CMOSイメージセンサーのようのCMOS素子や、ロジックLSIデバイス等の製造に好適に適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1、比較例1、及び比較例2〕
実施例1、比較例1、及び比較例2において、下記化合物A1と、化合物A2(アリルボロン酸ジイソプロピル)とを不純物拡散成分((A)成分)として用いた。化合物A1と、化合物A2とを、化合物A1の濃度が0.5質量%となり、化合物A2の濃度が0.3質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)に溶解させた液を、拡散剤組成物として用いた。
Figure 2020006358
被拡散半導体基板として、平坦な表面を備えるシリコン基板(6インチ径、n型)を用いた。塗布膜厚3.0nm以下をターゲットとし、以下の方法に従い塗布膜を形成した。
実施例1、比較例1、及び比較例2において、まず、被拡散半導体基板をスピンコーターにセットした後、回転数を700rpmに上げた状態で3秒間、拡散剤組成物を被拡散半導体基板上に供給した。拡散剤組成物の供給後、回転数850rpmに上げ、同回転数にて43秒間回転を継続させた。
実施例1では、拡散剤組成物の供給開始から38秒後に、塗布膜に対して供給する有機溶剤としてジ−n−ブチルエーテル3.3mLを5秒間かけて、850rpmで回転する被拡散半導体基板の中心部に供給した。その後、回転数1500rpmまで上げ、ジ−n−ブチルエーテルを乾燥させた。
ジ−n−ブチルエーテル供給後の被拡散半導体基板を100℃のホットプレート上に1分間保持した後、被拡散半導体基板を速やかに140℃のホットプレート上に載せ替え、半導体基板を140℃で1分間保持して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
比較例1では、850rpmでの43秒間の回転の後、回転数1500rpmまで上げて乾燥後に回転を停止させた。次いで、スピンコーターから被拡散半導体基板を取出し、塗布に用いたスピンコーターとは別のスピンコーターに被拡散半導体基板をセットした後、回転数850rpmに達した時点より、塗布膜に対してジ−n−ブチルエーテル3.3mLを5秒間かけて供給した。その後、回転数1500rpmまで上げ、ジ−n−ブチルエーテルを乾燥させた。有機溶剤供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の加熱処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
比較例2では、850rpmでの43秒間の回転の後、有機溶剤(ジ−n−ブチルエーテル)の供給を行うことなく、被拡散半導体基板に対して実施例1と同様の処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例1、比較例1、及び比較例2で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された9点の膜厚の平均値として測定した。その結果、実施例1で形成された塗布膜の膜厚が3.0nmであり、比較例1で形成された塗布膜の膜厚が6.2nmであり、比較例2で形成された塗布膜の膜厚が8.0nmであった。
以上によれば、前述の第1の方法に該当する実施例1の方法によれば、所望する程度に薄膜化された塗布膜を形成できる一方で、有機溶剤の供給を行わなかったり、塗布後に一旦カップから被拡散半導体基板を取り出した後に有機溶剤の供給を行ったりする場合には、所望する程度の薄膜化が困難であることが分かる。
〔実施例2、及び実施例3〕
実施例2、及び実施例3において、前述の化合物A1と、化合物A2とを不純物拡散成分((A)成分)として用いた。
化合物A1と、化合物A2とを、化合物A1の濃度が0.6質量%となり、化合物A2の濃度が0.3質量%となるように酢酸ブチル(BA)に溶解させた液を、実施例2において拡散剤組成物として用いた。
化合物A1と、化合物A2とを、化合物A1の濃度が0.4質量%となり、化合物A2の濃度が0.3質量%となるように酢酸ブチル(BA)に溶解させた液を、実施例3において拡散剤組成物として用いた。
被拡散半導体基板として、平坦な表面を備えるシリコン基板(300mm径、n型)を用いた。塗布膜厚3.0nm以下をターゲットとし、以下の方法に従い塗布膜を形成した。
実施例2では、まず、被拡散半導体基板をスピンコーターにセットした後、停止状態で拡散剤組成物を被拡散半導体基板上に供給し、回転数700rpmで、12秒間回転させた後、回転数を500rpmに下げ、38秒間回転させた。実施例2では、回転数を500rpmに下げた後に、ジ−n−ブチルエーテルを、3.3mL/5秒の供給速度で5秒間、回転する被拡散半導体基板の中心部に供給した。その後、回転数1500rpmまで挙げ、ジ−n−ブチルエーテルを乾燥させた。
ジ−n−ブチルエーテル供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例2で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.1nmとほぼターゲット通りであった。
なお、膜厚を測定した49点は、シリコン基板の長さ300mmの直径の一端から他端にかけて等間隔で位置する点である。
実施例2で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.68であった。
実施例3では、実施例2と同様に塗布を行った後、拡散剤組成物の供給開始から38秒後に、ジ−n−ブチルエーテルを、3.3mL/5秒の供給速度で5秒間、500rpmで回転する被拡散半導体基板の中心から4mm離れた位置に供給した。
次いで、溶剤供給ノズルを、被拡散半導体基板の中心から4mm離れた位置から100mm離れた位置までの104mmの区間を、2.5秒かけて直線的に走査させて、引続きジ−n−ブチルエーテルを供給した。走査中のジ−n−ブチルエーテルの供給速度は3.3mL/5秒である。
酢酸ブチル供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の加熱処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例3で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.1nmとほぼターゲット通りであった。
実施例3で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.58であった。
実施例2と、実施例3とを比較すると、有機溶剤(ジ−n−ブチルエーテル)の供給開始位置を中心からわずかにずらすことにより、膜厚の3σ値がやや低下し、膜厚が均一化することが分かる。有機溶剤の供給開始位置を中心からわずかにずらすことによって、被拡散反動基板の中心部に集中的に有機溶剤が供給されることによる、中心部での塗布膜の過度の薄膜化が緩和されたためと考えられる。
また、実施例2及び3を比較すると、被拡散半導体基板の直径上のある程度広い区間について溶剤供給ノズルを走査させながら有機溶剤の供給を行うことによって、膜厚の3σ値が大きく低下し、膜厚が顕著に均一化されることが分かる。
〔実施例4及び実施例5〕
実施例4及び実施例5において、前述の化合物A1と、化合物A2とを不純物拡散成分((A)成分)として用いた。
化合物A1と、化合物A2とを、化合物A1の濃度が0.6質量%となり、化合物A2の濃度が0.3質量%となるように酢酸ブチル(BA)に溶解させた液を、実施例4及び実施例5において拡散剤組成物として用いた。
被拡散半導体基板として、平坦な表面を備えるシリコン基板(300mm径、n型)を用いた。塗布膜厚3.0nm以下をターゲットとし、以下の方法に従い塗布膜を形成した。
実施例4では、実施例2と同様に塗布を行った後、回転数を500rpmに下げた。次いで、ジ−n−ブチルエーテルを、3.3mL/5秒の供給速度で3秒間、500rpmで回転する被拡散半導体基板の中心から4mm離れた位置に供給した。
次いで、溶剤供給ノズルを、被拡散半導体基板の中心から4mm離れた位置から100mm離れた位置までの104mmの区間を、10秒かけて直線的に走査させて、引続きジ−n−ブチルエーテルを供給した。走査中のジ−n−ブチルエーテルの供給速度は3.3mL/5秒である。その後、回転数を1500rpmまで上げ、ジ−n−ブチルエーテルを乾燥させた。
ジ−n−ブチルエーテル供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例4で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は2.5nmとターゲット通りであった。
実施例5では、被拡散半導体基板の中心から4mm離れた位置でのジ−n−ブチルエーテルの供給時間を3秒間から1秒間に変更することの他は、実施例4と同様にしてジ−n−ブチルエーテルの供給を行った。
ジ−n−ブチルエーテル供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例5で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は2.7nmとターゲット通りであった。
実施例4と、実施例5とについて、被拡散半導体基板の中心から4mm離れた位置付近の膜厚を比較したところ、実施例5の方が、明らかに膜厚が厚かった。このことから、同一箇所での有機溶剤の供給時間を短時間化することにより、同一箇所に集中的に有機溶剤が供給されることによる、塗布膜の過度の薄膜化を緩和できることが分かる。
〔実施例6〜8〕
実施例6〜8において、前述の化合物A1と、化合物A2とを不純物拡散成分((A)成分)として用いた。
化合物A1と、化合物A2とを、化合物A1の濃度が0.4質量%となり、化合物A2の濃度が0.3質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)に溶解させた液を、実施例6〜8において拡散剤組成物として用いた。
被拡散半導体基板として、平坦な表面を備えるシリコン基板(300mm径、n型)を用いた。塗布膜厚3.0nm以下をターゲットとし、以下の方法に従い塗布膜を形成した。
実施例6では、まず、まず、被拡散半導体基板をスピンコーターにセットした後、停止状態で拡散剤組成物を被拡散半導体基板上に供給した。回転数を700rpmに上げ、12秒間回させた後、さらに回転数を850rpmに上げ、38秒間回転させた。実施例6では、その後、回転数を1000rpmに上げた状態で、有機溶剤の供給を開始した。有機溶剤としてはジ−n−ブチルエーテルを用いた。具体的には、まず、1000rpmで回転する被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から、ジ−n−ブチルエーテルの供給を開始した位置とは逆側の、中心から9mm離れた位置までの計18mmの区間を、溶剤供給ノズルを6秒間かけて走査させてジ−n−ブチルエーテルの供給を行った。上記のジ−n−ブチルエーテルの供給操作において、供給速度は、終始3.3mL/5秒である。その後、回転数を1500rpmまで上げ、ジ−n−ブチルエーテルを乾燥させた。
ジ−n−ブチルエーテル供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例6で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は2.9nmとターゲット通りであった。
実施例6で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.53であった。
実施例7では、実施例6における18mmの区間の溶剤供給ノズルの走査時間を、6秒から4.5秒に変更することの他は、実施例6と同様にして塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例7で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.0nmとターゲット通りであった。
実施例7で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.46であった。
実施例8では、実施例6における18mmの区間の溶剤供給ノズルの走査時間を、6秒から3秒に変更することの他は、実施例7と同様にして塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例8で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.2nmとほぼターゲット通りであった。
実施例8で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.40であった。
実施例6〜8によれば、被拡散半導体基板の中心部の長さ18mmの区間における有機溶剤(ジ−n−ブチルエーテル)の供給時間を短縮し、有機溶剤の総供給量を低減させることにより、膜厚の3σ値を低下させ、膜厚の均一化を図ることができることが分かる。
これは、ある程度狭い範囲に集中的に有機溶剤が供給されることによる、塗布膜の過度の薄膜化が緩和されたためと考えられる。
〔実施例9〜12〕
実施例9〜12において、前述の化合物A1と、化合物A2とを不純物拡散成分((A)成分)として用いた。
化合物A1と、化合物A2とを、化合物A1の濃度が0.4質量%となり、化合物A2の濃度が0.3質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)に溶解させた液を、実施例9〜12において拡散剤組成物として用いた。
被拡散半導体基板として、平坦な表面を備えるシリコン基板(300mm径、n型)を用いた。塗布膜厚3.0nm以下をターゲットとし、以下の方法に従い塗布膜を形成した。
実施例9では、まず、実施例6と同様に塗布を行った後、回転数を1000rpmに上げた状態で、ジ−n−ブチルエーテルを、3.3mL/5秒の供給速度で回転する被拡散半導体基板に供給した。
具体的には、まず、1000rpmで回転する被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から、ジ−n−ブチルエーテルの供給を開始した位置とは逆側の、中心から9mm離れた位置までの計18mmの区間を、溶剤供給ノズルを6秒間かけて走査させてジ−n−ブチルエーテルを供給した。次いで、溶剤供給ノズルを被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から100mm離れた位置までの91mmの区間を1.2秒かけて直線的に走査させて、引続きジ−n−ブチルエーテルを供給した。
上記のジ−n−ブチルエーテルの供給操作において、供給速度は、終始3.3mL/5秒である。
ジ−n−ブチルエーテル供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例9で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.0nmとターゲット通りであった。
実施例9で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.24であった。
実施例10では、まず、実施例6と同様に塗布を行った後、回転数を1000rpmに上げた状態で、有機溶剤の供給を開始した。有機溶剤としてはジ−n−ブチルエーテルを用いた。具体的には、まず、1000rpmで回転する被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から、ジ−n−ブチルエーテルの供給を開始した位置とは逆側の、中心から9mm離れた位置までの計18mmの区間を、溶剤供給ノズルを3秒間かけて走査させてジ−n−ブチルエーテルの供給を行った。次いで、回転数を500rpmに落とした後、溶剤供給ノズルを被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から100mm離れた位置までの91mmの区間を1.2秒かけて直線的に走査させて、引続きジ−n−ブチルエーテルの供給を行った。上記のジ−n−ブチルエーテルの供給操作において、供給速度は、終始3.3mL/5秒である。その後、回転数を1500rpmまで上げ、ジ−n−ブチルエーテルを乾燥させた。
ジ−n−ブチルエーテル供給後の被拡散半導体基板に、実施例1と同様の処理を施して、塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例10で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.1nmとほぼターゲット通りであった。
実施例10で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.35であった。
実施例11では、実施例10における91mmの区間の溶剤供給ノズルの走査時間を、1.2秒から1.5秒に変更することの他は、実施例10と同様にして塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例11で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.2nmとほぼターゲット通りであった。
実施例11で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.36であった。
実施例12では、実施例10における91mmの区間の溶剤供給ノズルの走査時間を、1.2秒から2.3秒に変更することの他は、実施例10と同様にして塗布膜を備える被拡散半導体基板を得た。
実施例12で形成された塗布膜の膜厚を、エリプソメーターを用いて測定された49点の膜厚の平均値として測定したところ、膜厚は3.1nmとほぼターゲット通りであった。
実施例12で形成された塗布膜の膜厚について、3σ値を求めたところ0.28であった。
被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から100mm離れた位置までの91mmの区間での走査しながらの有機溶剤の供給を、1000rpmにて行った前述の実施例9と、被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から100mm離れた位置までの91mmの区間の有機溶剤の供給を、500rpm程度の低い回転数で行った実施例11との比較によれば、有機溶剤の供給時の回転数を高めた方が、塗布膜の膜厚の面内均一性を高めやすいことが分かる。
また、実施例10及び11と、実施例12との比較によれば、被拡散半導体基板の中心部の長さ18mmの区間において溶剤供給ノズルを走査させつつ有機溶剤の供給を行い、且つ、被拡散半導体基板の中心から9mm離れた位置から100mm離れた位置までの91mmの区間の有機溶剤の供給を、500rpm程度の低い回転数で行う場合、91mmの区間の走査時間が長く有機溶剤の供給量が多いほど、面内均一性を高めやすいことが分かる。
〔実施例13、及び実施例14〕
実施例13、及び実施例14において、前述の化合物A1と、化合物A2とを不純物拡散成分((A)成分)として用いた。
化合物A1と、化合物A2とを、化合物A1の濃度が0.6質量%となり、化合物A2の濃度が0.3質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた液を、実施例13、及び実施例14において拡散剤組成物として用いた。
実施例13、及び実施例14において、実施例2と同様に塗布膜を形成したところ、実施例2と同様の膜厚の塗布膜が形成された。
塗布膜の形成後、以下の方法に従って、不純物拡散成分の拡散処理を行った。
ラピッドサーマルアニール装置(ランプアニール装置)を用いて、流量1L/mの窒素雰囲気下において昇温速度15℃/秒の条件で、塗布膜を備える半導体基板を、25℃から1050℃まで加熱した。
1050℃到達後、拡散温度1050℃、及び拡散時間50秒にて拡散処理を行った。拡散時間の始点は、基板の温度が所定の拡散温度に達した時点である。拡散の終了後、半導体基板を室温まで急速に冷却した。拡散処理後の半導体基板のシート抵抗値を測定したところ、不純物拡散成分が、半導体基板に良好に拡散していた。
室温まで冷却された半導体基板の表面について、X線光電子分光分析(XPS分析)を行ったところ、B由来のピークの存在により残渣物の付着が確認された、B−B結合に由来するピークの存在によりホウ素高濃度層の形成が確認された。
実施例13では、室温まで冷却された半導体基板の表面に対して、濃度0.5質量%のフッ化水素酸水溶液を室温(25℃)にて1分間接触させる処理を行った。
実施例14では、室温まで冷却された半導体基板の表面に対して、以下の条件で、1分間プラズマアッシング行い、次いで、濃度0.5質量%のフッ化水素酸水溶液を室温(25℃)にて1分間接触させる処理を行った。
<酸素プラズマアッシング条件>
RF Power:300W
ステージ温度:40℃
ガス流量:150mL/分
圧力:20Pa
実施例13における、フッ化水素酸水溶液による処理後の基板についてXPS分析を行ったところ、B由来のピークの強度の低下が観察された。これにより、フッ化水素酸水溶液による処理により、半導体基板表面に付着する残渣物を除去できることが分かる。
実施例14における、酸素プラズマアッシングと、フッ化水素酸水溶液による処理とが施された基板についてXPS分析を行ったところ、B由来のピークの強度の低下と、B−B結合に由来するピークの強度の低下とが観察された。これにより、酸素プラズマアッシングと、フッ化水素酸水溶液による処理とにより、半導体基板表面に付着する残渣物と、ホウ素高濃度層とを除去できることが分かる。
10 被拡散半導体基板
11 スピンチャック
12 ノズル
13 溶剤供給ノズル
20 カップ
21 外カップ
22 内カップ
23 ベース
24 排液口
25 排気口
26 排気口

Claims (13)

  1. 不純物拡散成分(A)を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、前記不純物拡散成分(A)を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法であって、
    前記拡散剤組成物が、前記不純物拡散成分(A)としてホウ素化合物を含有し、且つ、加水分解によりシラノール基を生成し得るSi化合物を含まず、
    前記方法が、前記拡散剤組成物の塗布の後の、前記被拡散基板上の前記拡散剤組成物からなる層上への有機溶剤の供給を含み、
    前記拡散剤組成物の塗布と、前記有機溶剤の供給とが、前記スピンコーターが備える同一のカップ内において前記被拡散半導体基板を前記カップから取り出すことなく連続して行われる、方法。
  2. 前記カップ内で回転する前記被拡散半導体基板に、回転する前記被拡散半導体基板に対して相対的に水平に移動するノズルから、前記有機溶剤を供給する、請求項1に記載の方法。
  3. 不純物拡散成分(A)を含有する拡散剤組成物をスピンコーターを用いて塗布して、前記不純物拡散成分(A)を拡散させる対象である被拡散半導体基板上に塗布膜を形成する方法であって、
    前記方法が、前記拡散剤組成物の塗布の後の、前記被拡散基板上の前記拡散剤組成物からなる層上への有機溶剤の供給を含み、
    前記拡散剤組成物の塗布と、前記有機溶剤の供給とが、前記スピンコーターが備える同一のカップ内において前記被拡散半導体基板を前記カップから取り出すことなく連続して行われ、
    前記カップ内で回転する前記被拡散半導体基板に、回転する前記被拡散半導体基板に対して相対的に水平に移動するノズルから、前記有機溶剤を供給する、方法。
  4. 前記スピンコーター内で回転する前記被拡散半導体基板の直径方向に走査するように、前記有機溶剤の供給を行う、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記走査が、前記回転の中心側から外側に向かって行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記有機溶剤の供給を、前記回転の中心から10mm以内の中心領域内において開始する請求項5に記載の方法。
  7. 前記不純物拡散成分(A)が、下記式(a1)又は下記式(a2):
    Figure 2020006358
    (式(a1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、窒素原子を含有しない有機基、又は窒素原子含有基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、窒素原子含有基であり、RとRと、RとRと、RとRと、及びRとRとは、それぞれ独立に、相互に結合して環を形成してもよい。
    式(a2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、窒素原子を含有しない有機基、又は窒素原子含有基であり、R、R、及びRの少なくとも1つは、窒素原子含有基であり、R、R、及びRのうちの2つは、相互に結合して環を形成してもよい。)
    で表されるホウ素化合物から選択される1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記不純物拡散成分(A)が、第1ホウ素化合物(A1)と、第2ホウ素化合物(A2)とを含み、
    前記第1ホウ素化合物(A1)が、水素化ホウ素、又は加水分解により、
    下記式(a1e)及び式(a1f):
    B(ROH・・・(a1e)
    B(R)(OH)・・・(a1f)
    (式(a1e)、及び(a1f)中、Rは、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基である。)
    で表される化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を生成し得るホウ素化合物であり、
    前記第2ホウ素化合物(A2)が、前記第1ホウ素化合物(A1)以外のホウ素化合物であって、且つ、下記式(a2a)〜(a2d):
    Figure 2020006358
    (式(a2a)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra2は、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、ただしRa1及びRa2の少なくとも一方は炭化水素基であり、Ra3は、炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、
    式(a2b)中、Ra4は、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra5は、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra6は炭素原子数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、
    式(a2c)中、Ra7は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra9は、炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基であり、pは、0又は1であり、
    式(a2d)中、Ra10は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Ra11は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、ただしRa10及びRa11の少なくとも一方は炭化水素基であり、Ra12は、それぞれ独立に炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基である。)
    で表される化合物からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記塗布膜の膜厚が10nm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記被拡散半導体基板の形状が円盤状である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記不純物拡散成分(A)を含有する前記拡散剤組成物を用いて、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により、被拡散半導体基板上に塗布膜を形成することと、
    前記不純物拡散成分(A)を、前記被拡散半導体基板に拡散させることを含む、半導体基板の製造方法。
  12. 前記不純物拡散成分(A)を前記被拡散半導体基板に拡散させて前記半導体基板を得た後、前記半導体基板の前記不純物拡散成分(A)が拡散した面に対して、フッ化水素酸水溶液を接触させる処理を行う、請求項11に記載の半導体基板の製造方法。
  13. 前記フッ化水素酸水溶液を接触させる前記処理の前に、前記半導体基板の前記不純物拡散成分(A)が拡散した前記面に対して、プラズマアッシングを行う、請求項12に記載の半導体基板の製造方法。
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