以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
まずは、図1に基づき洗浄器1の全体構成について説明し、図2〜図4に基づき洗浄ラック2の具体的構成について説明し、その後、本発明の特徴部の説明として、図5に基づき洗浄ラック2(または洗浄槽4)の配水部材13への洗浄アーム14の接続構造について説明する。
図1は、本発明の一実施例の洗浄器1を示す概略図であり、一部を断面にして示している。ここでは、説明の便宜上、図1における左右方向を洗浄器1の左右方向とし、図1における上下方向を洗浄器1の上下方向とし、図1における紙面と直交方向を洗浄器1の前後方向(手前側が前方つまり正面)として説明する。なお、図1において、二点鎖線は、洗浄ラック2の外形および棚3を示している。
本実施例の洗浄器1は、被洗浄物の洗浄空間を形成する洗浄槽4と、この洗浄槽4の下部に連接される液貯留部5と、被洗浄物が載置されて洗浄槽4に出し入れされる洗浄ラック2と、洗浄槽4および洗浄ラック2に設けられる洗浄ノズル6と、液貯留部5への給水手段7と、液貯留部5からの排水手段8と、液貯留部5への薬液供給手段9と、液貯留部5の液体を加熱する加熱手段10と、液貯留部5の液体を洗浄ノズル6へ供給する循環手段11と、これら各手段7〜11を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
被洗浄物は、特に問わないが、たとえば鉗子などの医療器具である。洗浄槽4内への洗浄ラック2の格納状態において、洗浄槽4内には上下複数段に洗浄ノズル6が設けられるが、被洗浄物は上下の洗浄ノズル6間に配置される。被洗浄物は、洗浄ラック2の棚3に載せられ、洗浄ラック2ごと洗浄槽4に出し入れされる。その際、被洗浄物は、所望によりバスケットなどに収容されていてもよい。
洗浄槽4は、本実施例では略矩形の中空ボックス状である。洗浄槽4は、ドア(図示省略)により開閉可能とされる。ドアを開けることで、洗浄槽4に対し洗浄ラック2を出し入れすることができる。ドアは、洗浄槽4の正面に設けられるが、洗浄槽4の正面および背面の双方に設けられてもよい。
洗浄槽4の下部には、液貯留部5が連接される。言い換えれば、洗浄槽4は、下部に液貯留部5を備える。本実施例では、洗浄槽4の下壁は、左右両端部が左右方向内側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面12に形成されており、左右方向中央部は下方へ略矩形状に凹んで形成されており、この凹部を含んだ形で、洗浄槽4内の下部が液貯留部5とされる。
洗浄ラック2は、被洗浄物が載置される棚3と、その棚3の下部に配置された洗浄ノズル6とを備える。図示例では、洗浄ラック2は、上下に複数段の棚3を備え、各棚3の下部に洗浄ノズル6が設けられる。各棚3は、線材を組み合わせて形成されている。詳細は後述するが、洗浄ラック2の一側端部に配水部材13が設けられており、その配水部材13に洗浄アーム14を介して洗浄ノズル6が回転可能に保持される。
洗浄槽4内の所定位置まで洗浄ラック2を押し込んだ格納位置では、洗浄槽4の内壁に設けられた通水ダクト15と、洗浄ラック2に設けられた配水部材13とが接続され、通水ダクト15から配水部材13へ液体を供給可能とされる。
洗浄ノズル6は、被洗浄物へ液体を噴射する。洗浄槽4内への洗浄ラック2の格納状態において、洗浄槽4内には上下複数段に洗浄ノズル6が洗浄アーム14を介して設けられる。本実施例では、図1において、洗浄槽4内の上下両端部に設けられる洗浄ノズル6は、洗浄アーム14を介して洗浄槽4自体に設けられ、それ以外の洗浄ノズル6は、洗浄アーム14を介して洗浄ラック2に設けられている。洗浄槽4内への洗浄ラック2の格納状態における洗浄ノズル6の保持についてより詳細には、洗浄槽4(あるいは洗浄ラック2)の前後方向中央部の一側部(図1において左側部)に、上下複数段に中空パイプ状の洗浄アーム14の基端部が保持され、各洗浄アーム14は、洗浄槽4の一側部から左右方向中央部へ向けて延出する。そして、その延出先端部に、洗浄ノズル6の長手方向中央部が縦軸まわりに回転可能に保持される。
洗浄ノズル6は、洗浄アーム14内を介して供給される液体を噴射させるノズル孔16(図4)を複数形成されている。洗浄アーム14を介して洗浄ノズル6内に液体が供給されると、その液体は洗浄ノズル6のノズル孔16から噴射される。この噴流により、洗浄ノズル6は、洗浄アーム14の端部まわりに回転する。なお、洗浄槽4内の上端部に設けられる洗浄ノズル6は、下方へのみ液体を噴射し、洗浄槽4内の下端部に設けられる洗浄ノズル6は、上方へのみ液体を噴射し、上下両端部以外の洗浄ノズル6は、上下両方へ液体を噴射する。
給水手段7は、液貯留部5(所望によりさらに洗浄槽4)内に、給水路17を介して水を供給する。給水路17には、給水弁18が設けられている。給水弁18を開けることで、液貯留部5内に給水することができる。なお、給水手段7は、複数種の水(たとえば水道水、温水、膜濾過水など)から選択された水を供給可能に構成されてもよい。
洗浄槽4には、液位検出器19が設けられている。液位検出器19は、その構成を特に問わないが、たとえば、液貯留部5の底部に設置した圧力センサから構成される。この場合、液貯留部5や洗浄槽4内の液位に応じて、水圧が変わることを利用して液位を把握する。
排水手段8は、液貯留部5内から排水路20を介して水を排出する。排水路20には、排水弁21が設けられている。排水弁21を開けることで、洗浄槽4や液貯留部5内から排水することができる。
薬液供給手段9は、薬液タンク22から給液路23を介して、液貯留部5(または洗浄槽4)に薬液を供給する。給液路23には、薬液ポンプ24が設けられている。薬液ポンプ24を作動させることで、設定量の薬液を液貯留部5に供給することができる。なお、薬液供給手段9は、複数種の薬液(たとえばアルカリ性洗剤、酵素配合洗剤、潤滑防錆剤、乾燥促進剤など)から選択された薬液を供給可能に構成されてもよい。
加熱手段10は、液貯留部5内の貯留液を加熱する。本実施例では、加熱手段10は、液貯留部5に設けられたヒータ25から構成される。ヒータ25は、図示例では電気ヒータであるが、場合により蒸気ヒータであってもよい。電気ヒータの場合、典型的にはオンオフ制御されるが、場合により出力を調整されてもよい。一方、蒸気ヒータの場合、蒸気管内に蒸気が供給可能とされ、蒸気の凝縮水は蒸気トラップを介して外部へ排出される。そして、給蒸路に設けた給蒸弁の開閉または開度が制御される。
液貯留部5には、温度センサ26が設けられている。温度センサ26の検出温度に基づきヒータ25を制御することで、液貯留部5内の貯留液の温度を調整することができる。
循環手段11は、液貯留部5の液体を洗浄ノズル6へ循環供給する。具体的には、循環手段11は、循環配管27と循環ポンプ28とを備える。循環配管27は、液貯留部5から各洗浄ノズル6の洗浄アーム14への配管であり、前述した通水ダクト15を備える。循環配管27には、通水ダクト15よりも上流側に循環ポンプ28が設けられており、その循環ポンプ28の出口側には、逆止弁29が設けられている。循環ポンプ28を作動させると、液貯留部5の液体は、循環配管27(通水ダクト15を含む)、配水部材13および洗浄アーム14を介して、洗浄ノズル6へ供給され、洗浄ノズル6から噴射される。洗浄ノズル6から噴射された液体は、洗浄槽4下部の液貯留部5へ戻される。
その他、洗浄器1には、所望により、超音波振動子30が設けられる。図示例では、洗浄槽4下部の左右の傾斜面12に、それぞれ超音波振動子30が設けられている。超音波振動子30は、超音波発振器(図示省略)に接続されて、発振を制御される。被洗浄物を浸漬した状態で超音波振動子30を作動させることで、被洗浄物を超音波洗浄することができる。
制御手段は、前記各手段7〜11の他、液位検出器19および温度センサ26などに接続された制御器(図示省略)である。具体的には、給水弁18、排水弁21、薬液ポンプ24、ヒータ25、循環ポンプ28、超音波発振器、液位検出器19および温度センサ26などは、制御器に接続されている。そして、制御器は、所定の手順(プログラム)に従い、洗浄槽4内の被洗浄物の洗浄を図る。この際、少なくとも、次に述べるシャワー洗浄動作を実行可能とされる。
シャワー洗浄動作では、液貯留部5内に液体を貯留し、その液体を循環手段11により洗浄ノズル6へ循環供給して、洗浄ノズル6から被洗浄物に噴射する。具体的には、まず、液位検出器19が設定水位を検出するまで、給水手段7により液貯留部5に給水する。のちに循環ポンプ28を作動させると水位は下がるので、初期給水時の設定水位は、液貯留部5よりも上方にあってもよい。
液貯留部5への給水後、必要に応じて、薬液供給手段9により液貯留部5に所望の薬液を投入する。薬液供給手段9による薬液は、給水手段7による給水に対し、設定濃度になるように設定量だけ投入される。さらに、同じく必要に応じて、加熱手段10により、液貯留部5内の貯留水を設定温度まで加熱する。薬液の投入や貯留水の加熱は、循環手段11の作動前に限らず、循環手段11の作動中に行ってもよい。
いずれにしても、液貯留部5に所望量の液体を貯留した状態で、循環ポンプ28を作動させて、貯留液を循環配管27および洗浄アーム14を介して洗浄ノズル6へ供給して噴射し、洗浄ノズル6を回転させながら被洗浄物を洗浄する。そして、各洗浄ノズル6から噴射された液体は、洗浄槽4下部の液貯留部5へ戻される。所定の終了条件(たとえば設定時間の経過)を満たすと、循環ポンプ28を停止して、液貯留部5内の液体を排水手段8により排出する。
典型的には、このようなシャワー洗浄動作を繰り返して、被洗浄物を洗浄および濯ぎする。たとえば、薬液を投入しない常温水による予備洗浄、所望により洗剤を投入した温水による本洗浄(典型的には複数回)、所望により濯ぎ剤を投入した温水による濯ぎ洗浄(典型的には複数回)などが順次になされる。
つぎに、図2〜図4に基づき、本実施例の洗浄器1の洗浄ラック2について、具体的に説明する。
図2は、本発明の一実施例の洗浄ラック2を示す概略斜視図である。また、図3は、洗浄槽4内への格納状態における洗浄ラック2の一部を示す図であり、洗浄槽4の通水ダクト15と洗浄ラック2の配水部材13との接続状態、および配水部材13への洗浄ノズル6の取付状態を示す正面視の概略図であり、一部を切り欠いて断面にして示している。さらに、図4は、配水部材13に対する洗浄ノズル6の取付構造を示す分解斜視図である。
図2の略立方体の洗浄ラック2において右下面を正面として説明すると、洗浄ラック2は、左右に略矩形状の枠体31を備え、この枠体31間を架け渡すように、上下複数段に棚3が設けられる。具体的には、左右の枠体31は、前後方向へそれぞれ延出して水平に配置される上片32と、この上片32の前後両端部のそれぞれから下方へ延出する前後片33と、この前後片33の下端部同士を接続する下片34とにより、全体として略矩形状に形成される。そして、左右の枠体31は、上片32同士が適宜の上材35で接続される一方、下片34同士も適宜の下材(ここでは最下段の棚3)で接続される。これにより、洗浄ラック2は、全体として、略立方体状に構成される。左右の枠体31の下片34には、前後に間隔をあけて複数の車輪36が設けられており、この車輪36を洗浄槽4内の底部(またはレール)に走行させることで、洗浄槽4に対し洗浄ラック2を容易に出し入れすることができる。
洗浄ラック2には、上下複数段(図示例では上下五段)に棚3が設けられる。具体的には、左右の枠体31を架け渡すように、略矩形状の棚3が水平に保持される。各棚3は、棒材が格子状に組み立てられて構成されるが、場合により、メッシュ材やパンチングメタルなどにより構成されてもよい。
各棚3の下部には、前述したとおり、洗浄ノズル6が回転可能に設けられる。具体的には、洗浄ラック2の前後方向中央部の一側部には、上下方向に沿って配水部材13が設けられており、この配水部材13に洗浄アーム14を介して洗浄ノズル6が設けられる。図2では、左側の枠体31に、上下方向へ沿って角パイプ状の配水部材13が固定されており、その配水部材13の上下複数箇所(最下段を除いた各棚3よりも所定寸法下方)に、洗浄アーム14が設けられる。各洗浄アーム14は、基端部(左端部)が配水部材13に着脱可能に接続され、先端部(右端部)が洗浄ラック2の左右方向中央部にまで延出する。そして、その延出先端部に、洗浄ノズル6の長手方向中央部が回転可能に保持される。
図3および図4に示すように、洗浄アーム14は、本実施例では断面略矩形の角パイプ状の中空部材である。洗浄アーム14は、長手寸法を洗浄ラック2の左右方向へ向けて配置され、短手寸法(幅寸法)を前後方向へ向けて配置される。また、上下方向の厚さ寸法は、前後方向の短手寸法よりも短く形成されるのがよい。ここで左右方向、前後方向および上下方向の用語は図2の略立方体の洗浄ラック2の右下面を正面とした場合の表現である。
洗浄アーム14の中空穴37は、基端部(左端部)において開口する一方、先端部(右端部)において端壁38にて閉塞されている(図3参照)。洗浄アーム14の先端部の上壁39(または下壁40)には、円筒部41が突出して形成されており、この円筒部41の中空穴42を介して、洗浄アーム14内の中空部(中空穴37)が開口される(図4参照)。一方、洗浄ノズル6は、細長い中空部材から形成され、複数のノズル孔16が形成されている。また、洗浄ノズル6の長手方向中央部の下壁43(または上壁44)には、円形のリング取付穴45が形成されており、このリング取付穴45には合成樹脂(たとえばフッ素樹脂)製の円環状のマウスリング46がはめ込まれる。
そして、マウスリング46(リング取付穴45)に円筒部41がはめ込まれることで、洗浄アーム14に対し洗浄ノズル6が回転自在に保持され、洗浄アーム14内と洗浄ノズル6内とが連通される。なお、洗浄アーム14には、円筒部41の軸線に沿って軸部47が突設される一方、洗浄ノズル6には、リング取付穴45の軸線に沿って筒部48が突設されており、洗浄アーム14への洗浄ノズル6の組立時、軸部47に筒部48が回転自在にはめ込まれる。図3において、軸部47は、洗浄アーム14の先端部の下壁40から上方へ突出(上壁39の円筒部41よりも上方へ突出)され、筒部48は、洗浄ノズル6の上壁44から下方へ突出(下壁43のリング取付穴45よりも下方へ突出)されており、軸部47に筒部48が回転自在にはめ込まれる。
洗浄アーム14の基端部には、接続部材49が固定される。接続部材49は、略矩形状の金属板が略コ字形状に屈曲形成されることで、中央片50の幅方向両側に接続片51が連接された形状とされる。その際、一対の接続片51は、中央片50の板面に対し略垂直に配置される。また、接続片51間の離隔距離は、配水部材13の前後方向幅寸法と略対応している。
中央片50の板面(接続片51の延出側とは逆側)の中央部には、洗浄アーム14の基端部が固定される。中央片50には、洗浄アーム14の中空穴37と対応した位置に、開口穴52が形成されている。つまり、中央片50の開口穴52と洗浄アーム14の中空穴37とは、基本的には、同じ大きさで連続的に配置される。そのため、以下、両者を区別することなく説明し、洗浄アーム14の中空穴37というとき、それには接続部材49の中央片50の開口穴52も含まれるものとする。
接続部材49の接続片51は、中央片50の幅方向両端部(洗浄アーム14の短手方向となる前後両端部)に設けられ、中央片50と略垂直に、洗浄アーム14の基端側(図3および図4において左側)へ延出して設けられる。各接続片51には、係合溝53が形成されている。係合溝53は、接続片51の端辺(中央片50からの延出先端辺)に開口して、略L字形状に切り欠かれて形成される。これにより、各接続片51の上端部には、下向き略コ字形状の係合部54が形成される。
一方、配水部材13には、洗浄アーム14との接続面(図3および図4において右側面)55に、開口穴56が形成されている。この開口穴56は、略矩形状とされている。また、配水部材13の幅方向両側壁(前後両側壁)57には、幅方向外側(前後方向外側)へ突出してピン状の被係合部58が設けられている。この被係合部(ピン)58の太さは、接続片51の係合部(略コ字形状溝)54の溝幅と、略対応している。配水部材13の被係合部58に洗浄アーム14の接続片51の係合部54を引っ掛けることで、配水部材13に洗浄アーム14を工具なしに着脱可能に接続することができる。配水部材13への洗浄アーム14の接続状態において、配水部材13の開口穴56と洗浄アーム14の中空穴37とは、軸線が一致して配置されるのが好ましい。いずれにしても、配水部材13への洗浄アーム14の接続状態では、配水部材13の接続面55に洗浄アーム14の接続面(中央片50)が重ね合わされるよう配置され、配水部材13の開口穴56と洗浄アーム14の中空穴37とが連通される。
ところで、配水部材13の外側面(図3において左側面)59には、洗浄槽4の通水ダクト15からの給水用の開口穴60が形成されている。図2では、配水部材13には、上下二箇所に開口穴60が形成されている。その際、図3に示すように、配水部材13には、合成樹脂(たとえばポリアセタール)製の略矩形板状のラックジョイント61がパッキン62を介して設けられており、それら部材61,62にも開口穴63が形成されている。
一方、洗浄槽4内の一側壁(左側壁)には、上下方向へ沿って角パイプ状の通水ダクト15が設けられており、この通水ダクト15には、配水部材13への給水用の開口穴64が形成されている。図示例では、通水ダクト15には、配水部材13と対応した高さ位置に、上下二箇所に開口穴64が形成されている。その際、通水ダクト15には、合成樹脂(たとえばポリアセタール)製の厚肉円筒状のダクトジョイント65が円環状パッキン66を介して設けられており、そのダクトジョイント65にも開口穴67が形成されている。
洗浄槽4内に洗浄ラック2を所定位置まで押し込むと、洗浄槽4内の右側壁に内蔵した付勢手段(たとえば板バネ)により、洗浄ラック2は左側へ付勢される。この状態では、通水ダクト15のダクトジョイント65と配水部材13のラックジョイント61との各端面が当接され、各ジョイント61,65の開口穴63,67が連通される。ダクトジョイント65をパッキン66の弾性により多少揺動可能に設けておけば、ダクトジョイント65とラックジョイント61との水密状態での接続を一層確実に図ることができる。洗浄槽4内への洗浄ラック2の格納状態で、シャワー洗浄動作として、循環ポンプ28を作動させると、液貯留部5からの液体が通水ダクト15から配水部材13、ひいては洗浄アーム14を介して洗浄ノズル6へ供給され、洗浄ノズル6のノズル孔16から噴射することができる。
図5は、配水部材13への洗浄アーム14の接続状態を示す概略縦断面図である。
前述したとおり、本実施例では、配水部材13の側壁(図5において右側壁)55には、略矩形状の開口穴56が形成される一方、洗浄アーム14には、略矩形状の中空穴37が基端面(図5において左端面)へ開口して形成されている。配水部材13に対し洗浄アーム14を簡易に着脱可能とする関係上、配水部材13の接続面(右側壁)55と洗浄アーム14の接続面(中央片50)とには、1mm以下(たとえば0.5mm)の僅かな隙間Aを生じ得る。この隙間からの液体の漏れは、洗浄に直接寄与しない水流となり、洗浄器1の運転を非効率なものとするので、その対策が望まれる。以下では、この隙間からの漏れの防止構造について説明する。
以下の説明において、配水部材13の開口周縁部56aとは、配水部材13の内、開口穴56を形取る端縁をいう。また、洗浄アーム14の開口周縁部37aとは、洗浄アーム14の内、中空穴(基端側への開口穴)37を形取る端縁をいい、本実施例においてより詳細には中空穴37を形取る中央片50の端縁をいう。さらに、洗浄アーム14の開口周縁部37aと、配水部材13の開口周縁部56aとの間での、外側(あるいは内側)とは、後述するように、側面視(配水部材13の開口穴56や洗浄アーム14の中空穴37の軸線と直交した断面で見た状態)で定義される。より厳密には、洗浄アーム14の中空穴37の中心(本実施例では配水部材13の開口穴56の中心でもある)から放射方向で見た場合に、各開口周縁部37a,56aの内、一方が他方より外側か内側かということである。
なお、配水部材13と接続部材49との間にパッキンを介在させてもよいが、これら部材には熱水(あるいは乾燥時には熱風)が流通し得るため、熱により固着するおそれがあるし、使用に伴い、摩耗や劣化するおそれもあるので、パッキンを使用することなく、有効に漏れを防止できれば好適である。
本実施例では、配水部材13の開口穴56と、洗浄アーム14の中空穴37とは、軸線を一致させて配置される。また、洗浄アーム14の中空穴37は、配水部材13の開口穴56よりも一回り大きく形成されている。これにより、洗浄アーム14の開口周縁部37aは、全周にわたって、配水部材13の開口周縁部56aよりも外側に配置される。つまり、側面視(配水部材13の開口穴56や洗浄アーム14の中空穴37の軸線と直交した断面で見た状態)で、洗浄アーム14の開口周縁部37aは、配水部材13の開口周縁部56aよりも設定寸法Bだけ外側に配置される。この設定寸法は、好ましくは、3mm以下(たとえば0.5〜2mm)とされる。
洗浄アーム14の開口周縁部37aが配水部材13の開口周縁部56aよりも外側に配置されるので、配水部材13からの液体が洗浄アーム14内へ流れ込む際、配水部材13の開口周縁部56aと洗浄アーム14の開口周縁部37aとの段差部は、比較的空気の多い領域となると共に、段差部内で縮流による渦が発生する。そのため、配水部材13と洗浄アーム14との接続面55,50における隙間Aからの液体の漏れを減少させて、洗浄力を向上したり、運転に必要な保有水量を削減したりすることができる。
より具体的には、洗浄アーム14の開口周縁部37aと配水部材13の開口周縁部56aとが同じ大きさで同心に配置された場合(以下、比較例という)と比較すると、次のようになる。すなわち、本実施例と比較例とで循環ポンプ28の回転数を同一とした場合(つまり動力統一の場合)、配水部材13と洗浄アーム14との接続部における漏れを減少させる分だけ、本実施例の方が洗浄ノズル6からの噴射流量が増し、洗浄力を向上することができる。また、本実施例と比較例とで同じ洗浄力を発揮させる場合(つまり洗浄ノズル6からの噴射流量を揃える場合)、本実施例の方が、循環ポンプ28からの吐出液体を洗浄ノズル6へ漏れなく供給できる。そのため、その漏れを減少させる分だけ、洗浄に直接寄与しない水流(循環ポンプ28による無駄な循環水)を減らして、保有水量を削減(循環ポンプ28からの吐出流量が少ないほどエアがみを防止できるので運転に必要な水量を削減)することができ、給水量、薬液投入量、加熱量などを減らせるので、省エネルギとランニングコストの低減を図ることができる。
ところで、図3〜図5では、洗浄ラック2に上下複数段に設けられる洗浄ノズル6の内の一つを示しているが、他の箇所の洗浄ノズル6についても同様である。また、図1において、最上段および最下段の洗浄ノズル6は、洗浄槽4自体に設けられるが、洗浄槽4内への洗浄ノズル6の着脱構造も、洗浄ラック2への洗浄ノズル6の着脱構造と同様とすることができる。つまり、洗浄槽4内に設けられた部材に、洗浄アーム14を着脱可能とすることができ、その際、接続部では、図5のような構成とすることができる。
なお、洗浄ラック2(および洗浄槽4)には、上下複数段に洗浄ノズル6が設けられるが、配水部材13に対し洗浄アーム14が着脱可能であるから、配水部材13から洗浄アーム14を取り外すことで、洗浄アーム14や洗浄ノズル6の清掃を容易に行うことができる。さらに、洗浄ラック2は、左右の枠体31に対し棚3を着脱可能(言い換えれば棚3の設置個数を変更可能)としてもよく、その場合、被洗浄物の大きさに合わせて、棚3の設置個数および設置位置を変更すればよい。その際、取り外された棚3に対応する洗浄ノズル6も、取り外しておけばよい。配水部材13の開口穴56の内、洗浄ノズル6が設置されない箇所には、閉塞材で塞いでおけばよい。閉塞材は、接続部材49と同様の構成の部材であり、洗浄アーム14が設置されない代わりに、開口穴56が形成されない(つまり塞がれた)構成とされている。
本発明の洗浄器1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、(a)被洗浄物が収容される洗浄槽4と、この洗浄槽4内に、上下方向に沿って設けられる配水部材13と、この配水部材13に、一方が着脱可能に接続され、他方が洗浄ノズル6を回転可能に保持する洗浄アーム14とを備え、(b)配水部材13と洗浄アーム14には、配水部材13から洗浄アーム14へ液体を通すことができる開口周縁部56a,37aがそれぞれ形成されており、(c)洗浄アーム14の開口周縁部37aの少なくとも一部は、これと対向する配水部材13の開口周縁部56aの少なくとも一部よりも外側に配置されるのであれば、その他の構成は、適宜に変更可能である。
たとえば、前記実施例では、配水部材13の開口穴56(開口周縁部56a)と、洗浄アーム14の中空穴37(開口周縁部37a)とは、それぞれ略矩形状に形成されたが、これ以外の形状(たとえば円形や楕円形など)でもよい。その場合でも、洗浄アーム14の開口周縁部37aは、好ましくは全周に亘って、配水部材13の開口周縁部56aよりも外側に配置されるのがよい。
また、前記実施例では、洗浄アーム14の開口周縁部37aは、全周において、配水部材13の開口周縁部56aよりも外側に配置されたが、全周ではなく一部において外側に配置されてもよい。つまり、洗浄アーム14の開口周縁部37aの少なくとも一部が、配水部材13の開口周縁部56aの少なくとも一部よりも外側に配置されているだけでもよい。たとえば、洗浄アーム14の略矩形状の中空穴37の一部の辺(四辺の内の一〜三辺)のみが、配水部材13の略矩形状の開口穴56の対応する辺よりも外側に配置されているだけでもよい。その場合でも、洗浄アーム14の開口周縁部37aが配水部材13の開口周縁部56aよりも外側に配置される領域では、配水部材13の開口周縁部56aと洗浄アーム14の開口周縁部37aとの段差部には、通水時に縮流による渦を発生させて、配水部材13と洗浄アーム14との接続面における隙間からの液体の漏れを減少させることができる。
また、前記実施例では、図1において、最上段および最下段の洗浄ノズル6は、洗浄槽4自体に設けたが、これら洗浄ノズル6の内、一方または双方を、洗浄ラック2に設けてもよい。あるいは、前記実施例では、洗浄槽4内には洗浄ラック2を介して被洗浄物を出し入れ可能としたが、洗浄槽4内に設けた棚3に、直接に被洗浄物を出し入れ可能としてもよい。その場合でも、洗浄槽4内の一側壁に上下方向へ沿って設けた配水部材13に、洗浄アーム14を着脱可能に接続し、その接続部を図5と同様に構成すればよい。
さらに、前記実施例において、洗浄後の被洗浄物を乾燥可能に、送風機をさらに備えてもよい。この場合、洗浄槽4内の空気を、一部入れ替えつつ送風機との間で循環させると共に、送風機から洗浄槽4内への空気をヒータにより加熱すればよい。その際、送風機からの温風を、液体の場合と同様にして、洗浄ノズル6から噴射させてもよい。