JP2019536141A - ワイヤレス通信用の通信装置及びそのような通信装置を制御する方法 - Google Patents

ワイヤレス通信用の通信装置及びそのような通信装置を制御する方法 Download PDF

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Abstract

本明細書には、電子回路(20)を備えた通信装置(10)が記載される。この回路(20)は、ワイヤレス通信用の少なくとも1つの通信ユニット(24)を有する。この通信ユニット(24)は、アンテナ(25)に接続されたアンテナネットワーク(26)を含み、さらに通信装置(10)は、操作ユニット(30)を備える。本発明に係る通信装置(10)は、上記回路(20)が、さらに信号処理ユニット(22)を有し、操作ユニット(30)は、当該操作ユニット(30)の操作の際に、信号処理ユニット(22)への信号を発生させるように構成されており、信号処理ユニット(22)は、それに基づいて通信装置(10)をロック状態から解除状態に又はその逆に移行させることを特徴とする。さらに、そのような通信装置(10)を制御する方法が提示される。

Description

本発明は、ワイヤレス通信用の通信装置及びそのような通信装置を制御する方法に関する。
ワイヤレス通信用の通信装置自体は公知である。典型的には、通信装置は電子回路を含み、この回路はワイヤレス通信用の通信ユニットを有する。この目的のために、通信ユニット内にはアンテナに接続されたアンテナネットワークが設けられている。この目的のために可能な技術には、近距離無線通信(NFC)がある。
そのような通信装置は、多様な使用領域で利用されている。例えば、ワイヤレス通信を用いた支払い過程を起動することができるようにするために、ワイヤレス通信用の通信装置が、クレジットカードや銀行カードのような支払い手段として使用可能なカードに装備されている。この目的のために、カードはその通信ユニットを介して典型的にはNFC技術を用いて、カード番号のような必要な情報を、無線で受信ユニットに、ここでは支払い端末に伝送する。そのようなカードを非接触支払い過程において使用することは技術的に簡単であり、特別な専門知識を必要としないので、それらの広範な使用が社会において可能になる。
いずれにせよ、非接触データ及び情報の伝送には、権限のない部外者がデータへのアクセスを手に入れるという基本的なリスクがある。そのため、権限のない部外者は、受信機ユニットを用いて支払端末を模倣することにより、クレジットカードから機密データを気付かれずに引き出すことができる。この受信機ユニットは、例えば、権限のない部外者が他人のクレジットカード近傍に持ち運んでそこに保持し得る対応アプリ(アプリケーションソフトウェア;application Software)を備えたスマートフォンであってもよい。カードが一度そのデータをスマートフォンに伝送すると、権限のない部外者は、これらのデータを用いて支払いを実行することができ、あるいは、別の損害をクレジットカード所有者に与えることができる。
非接触支払い過程における安全性を高めるための様々な対策は、既に提示されてきた。そのため例えば、独国特許出願公開第102014104303号明細書(DE102014104303A1)からは、他の装置とワイヤレスで通信するように設計されたトランシーバ回路を含む無線通信装置が公知である。付加的にこのトランシーバ回路は、不正操作保護回路と相互接続されている。この不正操作保護回路自体はさらに、当該不正操作保護回路を介してトランシーバ回路とデータを交換するように設計されたプロセッサに相互接続されている。この不正操作保護回路は、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module;SIM)として、あるいはまた、ユニバーサル集積回路カードとして構成されてもよい。トランシーバ回路とプロセッサとの間のあらゆる通信は、データの不正使用を防止するために当該不正操作保護回路を介して運用される。
独国特許出願公開第102010043899号明細書(DE102010043899A1)には、さらに、ワイヤレス通信用にワイヤレス通信インタフェースを有する通信装置が提示されており、このワイヤレス通信インタフェースは、アンテナ共振回路を有するアンテナネットワークを含む。この教示によれば、付加的に、ワイヤレス通信箇所を無効化させるためにアンテナネットワークの電気的特性を変更するように構成された無効化装置が提案される。ここでは、アンテナネットワークの変更すべき電気的特性は、インダクタンス、キャパシタンス、抵抗、インピーダンス又はリアクタンスであってもよい。即ち、無効化装置の操作により、結果において、アンテナ共振回路は、アンテナを介した電磁波の受信又は送信が阻害されるように離調され、これによって最終的には通信装置との通信が中断され得る。
独国特許出願公開第102014104303号明細書 独国特許出願公開第102010043899号明細書
即ち、前述の教示においては、無効化装置の使用によって、アンテナ共振回路自体がその電気的特性において変化を強いられる。電子的な離調は、自ずとデジタル的には行われないので、それに応じて、「通信中断」状態と「通信非中断」状態も同様に明確に定義されていない。
それゆえに、明確に定義されたロック状態から同様に明確に定義された解除状態に及びその逆に、高い信頼性のもとで確実に移行させることができる通信装置の需要が生じている。
発明の開示
本発明に係る通信装置は、電子回路を備え、この回路は、ワイヤレス通信用の少なくとも1つの通信ユニットを有する。この通信ユニットは、アンテナに接続されたアンテナネットワークを含む。さらに通信装置は、操作ユニットを備える。本発明によれば、回路は、通信ユニットの他にさらに信号処理ユニットを有する。操作ユニットは、当該操作ユニットの操作の際に、信号処理ユニットへの信号を発生させるように構成されており、信号処理ユニットは、それに基づいて、通信装置をロック状態から解除状態に又はその逆に移行させる。
本発明に係る通信装置の構成を用いることにより、信頼性が高いだけでなく確実にロック状態から解除状態に又はその逆に移行することができる通信装置が提供されることが達成される。ロック状態とは、本明細書においては、ワイヤレス通信用の手段が少なくとも部分的に無効化されている状態を意味するものと理解されたい。そのようなロック状態から解除状態に移行する場合には、これまで無効化されていたワイヤレス通信用の手段が有効化される。ロック状態は、例えば、該当するユニットを総括的に「スリープモード」に置くことによって形成することができる。解除状態に移行する場合には、対応するユニットが「覚醒する」。代替的に、該当するユニットは、ロックモードでは完全に「スイッチオフ」されてもよく、当該ユニットは、それが操作可能モードに移行する場合に「スイッチオン」される。
それゆえ、特に通信装置に対する2つの状態(即ち、ロック状態及び解除状態)は、それぞれ明確かつ一義的に定義されている。本発明によれば、操作ユニットの操作の際にいずれにせよ最初に信号処理ユニットへの信号が発生させられ、次いで、信号に基づいて通信装置がロック状態から解除状態に又はその逆に移行されるように構成された操作ユニットが強制的に設けられているので、アンテナネットワーク自身に影響を与えること、即ち、アンテナネットワークの電気的特性に変化をもたらすことはいずれにせよ必要なくなる。通信装置のロック状態から解除状態への又はその逆への移行は、アンテナネットワークの電気的特性に全く依存せずに可能になるので、操作ユニットの操作によるアンテナネットワークの電気的特性の変更は、付加的にまだ行うことができるが必ずしも必要なものではない。
本発明の好ましい発展形態は、従属請求項に記載されており、さらに以下の明細書において説明されている。
本発明の実施例は、図面及び以下の説明に基づいてより詳細に説明される。
本発明に係る通信装置の第1の実施例の概略図。 本発明に係る通信装置の第2の実施例の概略図。
実施例の説明
以下においては、図1を用いて本発明に係る通信装置の第1の実施例を説明する。本発明によって基本的に提供されるのは、電子回路20を備えた通信装置10である。この回路20は、無線通信用の少なくとも1つの通信ユニット24を有し、この場合、通信ユニット24自体は、アンテナ25に接続されたアンテナネットワーク26を含む。アンテナ25を介して、通信装置10は、図には示されていない外部ユニットと通信することができる。
ここでは、次のことに留意されたい。即ち、本明細書において「通信する」又は「通信」とは、データ及び/又は情報の伝送だけでなく、例えば、送信機ユニットと受信機ユニットとの間、典型的には送信機コイルと受信機コイルとの間の磁気的又は電磁的交番磁界の結合を用いたエネルギーの伝送などの一般的なエネルギーの伝送も意味することを理解されたい。そのため、本明細書における「通信ユニット24」又は「ワイヤレス通信」の概念には、「エネルギー伝送ユニット」又は「ワイヤレスエネルギー伝送」も含まれる。ここでは、データ又はエネルギーの伝送は、一方向のみでも、双方向でも、起こり得る。換言すれば、通信装置10は、所定の実施形態においては基本的にデータ及び/又はエネルギーを受信のみ又は送信のみすることができる。しかしながら、他の実施形態においては通信装置10は、データ及び/又はエネルギーを受信することも送信することもできる。
通信装置10は、さらに操作ユニット30を備える。さらに回路20は、信号処理ユニット22を含む。本発明によれば、操作ユニット30は、操作ユニット30の操作の際に、信号処理ユニット22への信号を発生させるように構成されており、信号処理ユニット22は、それに基づいて通信装置10をロック状態から解除状態に又はその逆に移行させる。即ち、操作ユニット30の操作により、通信装置10の状態変化が引き起こされる。好ましくは、この場合、通信装置10の通信ユニット24は、ロック状態から解除状態に又はその逆に移行される。さらに好ましくは、通信ユニット24のアンテナネットワーク26は、ロック状態から解除状態に又はその逆に移行される。
その他に、図1においては回路20の本質的な領域は破線で示されており、この場合、個々のコンポーネントの一部、例えばアンテナ25の一部領域又は操作ユニット30の一部領域などは、描画を鮮明にする理由からのみ、破線領域から突出させて示されている。
図1による第1の実施例においては通信装置10は、支払い手段として使用可能なカード、例えばクレジットカード又は銀行カードなどに装備されている。このカードは、カード保有者及び/又は口座番号などの機密データ及び情報を、通信装置10自体又はカードの他の領域に記憶された形式で含む。カードを用いて非接触の支払い過程を実行することができるようにするために、このカードは支払い端末の近傍にもたらされて保持される。支払い端末は電磁界を放射し、この電磁界によりカードは通信装置10にエネルギーを供給される。しかしながら、カードは、操作ユニット30の操作前はロック状態にあるので、カード又は通信装置10は、データを操作することができない。操作ユニット30を操作することによってのみ、初めて信号処理ユニット22への信号が発生させられ、信号処理ユニット22は、それに基づいて通信装置10をロック状態から解除状態に移行させる。ここでカードは、カード内に記憶されている口座番号などのデータを伝送し、支払い過程が実行される。
第1の実施例においては信号処理ユニット22は、操作ユニット30によって発生させられた信号に基づいて、具体的には通信ユニット24をロック状態から解除状態に移行させ、これにより、通信装置10は全体的に状態変化を被る。好ましくはこれによって、状態変化が、基本的にワイヤレス通信を担う通信装置10のユニットのもとで所期のように引き起こされる。より好ましくは、信号処理ユニット22は、通信ユニット24のアンテナネットワーク26をロック状態から解除状態に移行させることができる。即ち、アンテナネットワーク26全体自体が無効化状態から有効化状態に移行される。
他の実施形態においては通信装置10を有するカードはロック状態であっても、ここでは支払い端末の電磁場によって放射される外部エネルギーの受信さえも阻止することができる。操作ユニット30の操作によって初めて、カード又は通信装置10が、解除状態に移行し、これによって、通信装置10は、エネルギーを完全に受信することができ、それによって、カードは、エネルギーを供給される。
図1による本発明の実施形態においては操作ユニット30は、操作ユニット30の操作の際に、信号処理ユニットへの信号を、アンテナネットワーク26の電気的特性を変更することなく発生させるように構成されている。即ち、この実施形態においてはアンテナネットワーク26の電気的特性が付加的に離調されるというオプションは省略される。好ましくはここでは、アンテナネットワーク内の2つの状態の間で漸進的な遷移は存在せず、そのため、アンテナネットワーク自体においても常に安定した状態が存在する。
カード又はその上に配置された通信装置10は、操作ユニット30の操作前はロック状態にある。そのため、操作ユニット30が操作されるまではあらゆるデータフローがロックされたままである。代替的に、通信装置10は、ロック状態において、両通流方向における限られた規模のエネルギーフロー及び/又はデータフローのみがロックされる可能性もある。そのため、機密データと機密性の低いデータとの間で事前に区別を行ってもよい。それにより、ロック状態では、機密データだけはロックされるが、機密性の低いデータはロックされない。また解除状態であっても、データフローに対して所定のデータセットのみが解除されることも考えられる。換言すれば、機密性の高いデータは常にロックされたままであり、ワイヤレス通信を介して解除されることはない。そのため、ロック解除の場合であっても、カード保有者の名前などの個人データやクレジットカードのカード確認コード(CVC)などの機密性の高いデータを伝送することはできず、クレジットカード番号などの機密性の低いデータのみが可能である。機密データと機密性の低いデータとの間の区別、ひいては伝送可能なデータと常にロックされたデータとの間の区別は、通信装置10の提供者、この例においては、クレジットカードの提供者によって事前に行うことが可能であろう。代替的又は付加的に、通信装置10のユーザがデータの区別を自分で行う手段を有することも想定し得るであろう。そのため、クレジットカードのユーザは、例えば購入金額、時間、場所、購入した商品など、どの情報を公開したいのか、また、いかなる状況下であってもどの情報を公開したくないのかを自分で決定することができるであろう。
それに応じて、ロック状態において、エネルギーフローは、限られた規模でのみロックされるのでもよい。即ち、エネルギーフローは、基本的にロックされるのではなく、所定の上限からロックされる。しかしながら、あらゆるエネルギーフロー及び/又はデータフローがロック状態においてロックされる実施形態も好ましい。その他にロックは、必要に応じて一方向の通流方向においてのみ存在することができ、特にロックは、通信装置10から到来するフローのみに関連させることが可能である。
それに対応して、解除状態において、少なくとも限られた規模で、エネルギーフロー及び/又はデータフローが、好ましくはあらゆるエネルギーフロー及び/又はデータフローが、双方向の通流方向において、特に通信装置10から到来するフローにおいて解除される。
通信装置10が基本的にエネルギーもデータも送受信するのに適している場合には、ロック状態において、エネルギーフローだけはロックされるが、データフローはロックされなくてもよい。また、必要に応じてその逆に、ロック状態において、データフローだけはロックされるが、エネルギーフローはロックされなくてもよい。
通信装置10の第1の実施例においては、信号処理ユニット22及び通信ユニット24は、別個のユニット22,24として構成されており、電気的線路23を介して相互に接続されている。代替的に、信号処理ユニット22及び通信ユニット24は、相互に統合化された共通のユニット22,24として構成されてもよい(図示せず)。
図1からさらに認識することができるように、操作ユニット30は、通信ユニット24を介して信号処理ユニット22に電気的に接続されている。図2には本発明の第2の実施例として、代替的な構成が示されており、それによれば、操作ユニット30は、信号処理ユニット22に直接電気的に接続されている。この第2の実施例は、それ以外では第1の実施例と違いはないので、当該第2の実施例のさらなる説明は省略する。
操作ユニット30は、第1の実施例においては手動操作されるべき操作ユニット30として構成されている。そのため好ましくは、操作ユニット30を操作するための一般的な工具も特殊工具も全く不要である。それどころか、通信装置10又は通信装置10を有する銀行カードは、特別な事前措置なしで使用することができる。それゆえ、この通信装置10は、人々の間で広く普及されるのに適している。
図1においては、操作ユニット30は、スイッチとして、特に抵抗スイッチとして構成されている。この実施形態は、技術的観点から高い信頼性があるが同時に良好に実施されるべき操作ユニット30の手段も可能にする。
基本的に、操作ユニット30は異なる原理に基づくこともできる。それによって、操作ユニット30は、電気的スイッチとして、特にフィルムキーとして構成されてもよい。電気的なキーは、大抵は操作時に電気的接点が移動する機械的動作型のキーである。フィルムキーは、汚れ及び/又は液体の付着防止型の操作ユニット30を提供するのに適している。
さらなる手段は、操作ユニット30を容量性のキーとして、特に指の存在によって操作されるキーとして構成することからなる。即ち、指の存在が、容量的に検出される。そのような操作ユニット30の特に好ましい実施形態は、指紋センサである。これによって、操作ユニット30又は通信装置10は、最終的には特定の人物の指紋によってのみ有効化され得ることが達成される。指紋センサによって検出された指紋は、1つ以上の信号として電子形式で信号処理ユニット22に供給される。信号処理ユニット22は、例えばプロセッサとして構成されている。このプロセッサは、場合によっては、受信した信号データの後続処理の後で、検出された当該指紋を、既にデジタル形式で格納されている1つ以上の指紋と比較する。この比較結果に応じて、信号処理ユニット22は、通信装置10を、ロック状態から解除状態に移行させること、即ち、ロック解除させることができ、あるいは、ロック状態を不変のままに維持することができる。同様に指紋技術に基づいて使用される他の概念には、指紋スキャナ(英語表記:fingerprint Scanner)又はタッチIDセンサがあり、これらのセンサもまた、例えば「タッチID指紋センサ」などの新規な概念に組み合わせることができる。
この場面では、指紋技術は必ずしも容量性センサで実現される必要はないことに留意されたい。ここでは指紋の技術的検出が可能であるあらゆるセンサ技術を使用することができる。そのため、例えば操作ユニット30は、例えば、光学式、熱式、電場式、ポリマーTFT(Thin Film Transistor)式、非接触の3D式、超音波式、及び/又は、赤外線式センサを用いた指紋技術を備えていてもよい。特に好ましい実施形態においては、異なるセンサタイプが、即ち、少なくとも2つの異なるセンサタイプが、通信装置10内で実現されてもよい。これにより、1つ以上の指紋の検出及び身元確認の信頼性、精度、及び/又は、速度が向上する。これらの異なるセンサタイプは、必要に応じて、共通の操作ユニット30又はそれぞれ相互に異なる操作ユニット30に割り当てられてもよい。後者のケースにおいては、通信装置10は少なくとも2つの操作ユニット30を有する。さらなる変形形態においては、通信装置10は、それぞれが同様のセンサタイプに基づく少なくとも2つの操作ユニット30を含む。
さらに、通信装置10、特に操作ユニット30は、生体識別装置(図示せず)を含むものとしてもよく、あるいは、そのような生体識別装置と少なくとも機能的に接続されてもよい。「少なくとも機能的に」という概念は、この関係においては、通信装置10、特に操作ユニット30が、物理的又は機能的に、ここでは生体識別装置に接続されていることを意味する。そのため、通信装置10は、例えば、生体識別装置と非接触で通信し得るであろう。生体識別装置は、次のことを確定するのに用いられる。即ち、例えば操作ユニット30上で検出された指紋が、生体によるものなのか、あるいは、単なる指紋のコピーによるものなのかを確定するのに用いられる。そのため、生体検出装置は、脈拍、血液循環、熱画像又は3D深度スキャンなどの生体特徴を検出することができる。例えば、IRセンサを用いることによって、死んだ組織(吸収されたIR光が良好)の有無、あるいは、生きている組織(反射されたIR光)の有無を確定することができる。それに対して、容量性センサを用いることによって、酸素飽和度を決定することができる。
その他に、操作ユニット30は、指紋技術の他に、付加的又は代替的に、他の生体認証技術を備えていてもよい。そのため、生体認証技術として、操作ユニット30の操作に対して例えば顔認識、虹彩認識、又は、手認識を使用することができる。さらにまた、生体特徴として、例えば声、筆跡のような動作に基づく特徴、あるいは、操作ユニット30へのタッチリズムも用いることが可能である。特定の実施形態においては、通信装置10、特に操作ユニット30は、複数の生体的なほぼ同等の認証技術又は異なる認証技術も有することができる。また、通信装置10は、操作ユニット30のための非生体的な技術及び生体的な技術を含むことができる。
代替的に、操作ユニット30は、機械的に、特に自動的又は半自動的に操作されるべき操作ユニット30として構成されてもよい。そのため、例えば操作ユニット30が操作されるべき結果に伴って1つ以上の条件の検査が実施された場合には、操作ユニット30の操作は、手動操作なしで起動され得る。これらの検査には、安全性に係わる条件が含まれる可能性があろう。
信号処理ユニット22は、信号を受信してこの信号を処理するのに適している。その際には、単純な信号も処理することができるが、必要に応じて複雑な信号も処理することができる。図1による実施例においては、信号処理ユニット22はμコントローラとして構成されている。基本的には、プロセッサは、信号処理ユニット22として実現されてもよい。
好ましくは、通信ユニット10は、NFC(Near field communication、近距離無線通信)フロントエンドとして構成されている。代替的に、通信ユニット10は、FFC(Far field communication、遠距離無線通信)フロントエンドとして実現されてもよい。特に要求の高い実施形態においては、通信ユニット10は、NFCフロントエンドもFFCフロントエンドも含む。従って、この通信ユニット10は、フレキシブルに使用することができる。
さらに、通信ユニット24のアンテナネットワーク26は、好ましくは、RFID(Radio Frequency Identification)インタフェース、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)インタフェース、WLAN(Wireless Local Area Network)インタフェース、GSM(Global System for Mobile Communications)インタフェース、及び/又は、Bluetoothインタフェースを介した通信に適している。このことは、アンテナネットワーク26が上述したインタフェースのうちの1つを有している可能性を含む。
説明してきた通信装置10は、自身が多岐にわたって様々な適用分野のために使用することができる利点も有する。例えば、この通信装置10は、カードとして、特に支払い手段として使用することができるクレジットカード又は銀行カードのようなカードとして構成されてもよいし、あるいは、カード上に装備させてもよい。さらに、このカードは、保険カードとして構成されてもよい。また、通信装置10が、証明書のような身元確認資料として構成されている又は身元確認資料に装備されていることも可能である。
さらなる合目的的な使用の可能性は、これらのカードや証明書に限定されていない。そのため、通信装置10は、例えば電子機器、携帯機器、特に携帯電話、タブレットコンピュータ又はPDA(Personal Digital Assistance)のような電子機器に装備させてもよい。その他に通信装置10は、ドリルのような電動工具、台所機器のような家電機器、又は、自動車のような走行装置に装備させてもよい。
基本的には、通信装置10は、装置の構成部品として既に統合された形態で装置内に存在することができる。この目的のための一例はクレジットカードであり、これは、例えば消費者へのその交付の際に既に通信装置10を含んでいる。代替的に、通信装置10なしの元の装置にその後の時点で通信装置10を補うことも可能である。この場合は、通信装置10は、装置の外面に装備させ、装置の内部領域に配置し、又は、他の方法により当該装置に物理的若しくは少なくとも機能的に接続することができる。特に、ネットワーク化されるべき既存の機械、システム及び機器又は走行装置の場合には、この通信装置10は、増設部品として後付け装備することができる。
ネットワーク化された機械、システム及び機器は、インダストリ4.0構想及びIoT技術(Internet of Things)のためにますます重要になっており、そのため、これらの装置にも同様に通信装置10を含ませるべきである。
本発明に係る通信装置10は、さらに機械に配置されてもよいし、又は、機械もこの通信装置10を含むことができる。特に好ましくは、機械、特にロボットにおいて、機械的に、特に自動的又は半自動的に操作されるべき操作ユニット30を備えた通信装置10を投入することができる。例えば、ますます多くのネットワーク化された機械が、インダストリ4.0構想(「connected industry」、「smart factory」)の導入及び構築の流れの中で使用される。例えば製造業においては、生産設備と貯蔵システムはますます独立して情報を交換し、作業を引き起こし、相互に制御することができる。機械間通信(M2M)は、製造過程及び供給過程をネットワーク化させるだけでなく、あらゆる量のデータを生成する。この場合、機械的に操作されるべき操作ユニット30を有する機械は、基本的に好ましくは、既存の状況に応じて、他の機械へ伝送する所定のデータを解除する又は解除しない手段を有する。
この場合、機械的に操作されるべき操作ユニット30が自動的に操作されるべき操作ユニット30である場合には、人からのあらゆる介入なしで操作過程が経過する。それどころか、人からのいかなる影響も受けることなくどのデータが転送のために解除されるかどうか、あるいは、解除されないかどうかが決定される。これに対しては、例えば、具体的に存在するデータのもとで機械的に検査される、データ解除のための基準及びデータ解除に抗する基準が、事前に格納されてもよい。これらの基準は、例えば、感度、重要性、正確性、必要性、サイズ、種類、出所、受信者、及び/又は、伝送すべきデータの緊急の必要性であってもよい。そのため、この過程は、ネットワーク化された機械のもとで存在し生成もされる大量のデータが機械に不必要に負担をかけないことにも寄与する。従って、好ましくは無制御で無制限なデータの増大が回避される。
それに対して、機械的に操作されるべき操作ユニット30が半自動的に操作されるべき操作ユニット30である場合には、この操作ユニット30は、機械的及び手動の過程の協働作用のもとでて操作される。そのため、例えば伝送すべきデータは、上述した基準に従って機械的に検査され得るであろうが、データの最終的な解除を行うために、検査の結果は依然として手動で確認されなければならない。データサイズのような所定の基準は機械的に、そして感度のような他の基準は手動で検査することも可能である。
上述した機械に対する技術的特徴は、特にネットワーク化された全ての機器、特にスマートホームシステム内の機器に対しても当てはまる。例えば、スマートホームシステム内のネットワーク化された機器によって、一方では、例えば快適性及びエネルギー効率が向上する。そのため、例えばインテリジェントビルオートメーションの使用により、ビル内のインダストリアルエンジニアリングシステムの運用を機能的により充実させ、信頼性が高く、安全でかつエネルギー効率の高いものにすることができる。また他方では、スマートホームシステム内のネットワーク化された機器の潜在的なリスクとしてデータ保護とデータセキュリティとが識別されている。この場合は、データフローの両方向からの危険性が差し迫っており、即ち、スマートホームシステムに対するハッカーからの攻撃によって、有害なデータ又はコマンドがマルウェアの形態において、ネットワーク化された機器に送り込まれる可能性がある。このようにして権限のない侵入者が、例えば他人の家屋内で電源を落としたり照明を消したりすることができるであろうことは既に実証済みである。権限のない侵入者による、ネットワーク化された機器の不法操作が基本的に可能であるならば、重大な損害を被ることは容易に考えられる。本発明に係る通信装置10を用いれば、有害なデータが送り込まれる危険性が差し迫っている場合に、浸入データに対してロック状態を維持する手段又はロック状態に移行させる手段が与えられる。
しかしながら、ネットワーク化された機器からのデータフローも危険である可能性がある。スマートホームシステム内の機器により、データも収集される。技術的観点から見れば、これらのデータは問題なく、ネットワーク化された機器又はスマートホームシステムのプロバイダ及び/又は製造業者に伝送され得る。これらのデータからは、特に個人に関連するデータ及び/又は個人データを導出することができるであろうし、あるいは、これらのデータが既に個人に関連するデータ及び/又は個人データとして存在する。場合によっては、これらのデータを用いることにより、1人以上の機器使用者の行動パターンを、例えば、当事者の世帯において洗濯機が典型的に使用されるのはいつか、あるいは、家の居住者がいつ自宅を出て、いつ再び帰宅するかなどを確定することができるものとしてもよい。本発明に係る通信装置10を備えている機器及び/又はスマートホームシステムは、ここにおいて有利には、操作ユニット30の操作又は非操作により、データの伝送が解除される又は解除されない手段を提供する。
また、本発明に係る通信装置10を備えている例えば自動車やEバイクなどの二輪車のような運搬及び走行装置は、伝送すべきデータの扱いにも利点を提供する。例えば一例として、道路利用者が自身の身元確認が必要である、あるいは、支払い過程を行いたい状況としては次のようなものを挙げることができる。即ち、道路利用者が通行料、給油費及び/又は駐車料金の支払いを望んでいる状況である。道路利用者の車両が本発明に係る通信装置10を備えているならば、操作ユニット30の操作によって身元確認及び/又は支払いのためのデータの伝送は解除することができる。この場合、操作ユニット30は、実施形態に応じて、既に説明したように、手動で、自動的又は半自動的に操作することができる。特に、自律的又は一部自律的に走行する車両の場合には、自動的又は半自動的に操作されるべき操作ユニット30が適している。即ち、これらの車両は、運転者の介入なしか又はわずかな介入のもとで、ただし場合によっては車両の固有の検査の後で、自身で身元確認することができ、及び/又は、支払い過程を承認することができる。さらに、本発明に係る通信装置10は、少なくとも部分的に電気モータを用いて動かされる車両(電気自動車又はハイブリッド自動車)の場合には有利である。これらの車両又はトラクションバッテリ(駆動用バッテリ)は、充電スタンド又は充電ステーションにおいて充電する必要がある。ここでは、車両と充電スタンド又は充電ステーションの受信機ユニットとの間で本発明に係る通信装置10との非接触通信が適している。さらに好ましくは、それらのトラクションバッテリが非接触で充電される車両での使用である。充電機器とトラクションバッテリとの間の非接触のエネルギー伝送のために、充電に関連するデータの交換又は片側伝送のためのワイヤレス通信も行われる。この目的のために合目的的には、本発明に係る通信装置10が使用される。この場合、本発明に係る通信装置10は、非接触のエネルギー伝送のための装置に統合されて共通のユニットを形成するものであってもよいし、あるいは、別個に配置された通信装置10として車両及び/又は充電機器に設けられてもよい。次いで、通信装置10は、好ましくは非接触のエネルギー伝送のための装置に結合され、即ち、少なくとも機能的に接続されている。
その他に、上述したバッテリの非接触充電に関する特徴は、バッテリの非接触充電が可能である、他の全ての電気機器や装置においても使用することが可能である。即ち、運搬及び走行装置に限定されない。
本発明はさらに、本発明に係る通信装置10を制御する方法に関し、この方法は、
a)通信装置10を準備するステップと、
b)操作ユニット30を操作するステップと、
c)通信装置10をロック状態から解除状態に又はその逆に移行させるステップと、
を含む。
本発明に係る方法は、本発明に係る通信装置10の簡単であると同時に信頼性の高い使用を可能にする。

Claims (28)

  1. 電子回路(20)を備えた通信装置(10)であって、
    前記回路(20)は、ワイヤレス通信用の少なくとも1つの通信ユニット(24)を有し、
    前記通信ユニット(24)は、アンテナ(25)に接続されたアンテナネットワーク(26)を含み、さらに前記通信装置(10)は、操作ユニット(30)を備えている、通信装置(10)において、
    前記回路(20)は、さらに信号処理ユニット(22)を有し、
    前記操作ユニット(30)は、当該操作ユニット(30)の操作の際に、前記信号処理ユニット(22)への信号を発生させるように構成されており、前記信号処理ユニット(22)は、それに基づいて前記通信装置(10)を、好ましくは前記通信ユニット(24)を、より好ましくは前記アンテナネットワーク(26)を、ロック状態から解除状態に又はその逆に移行させる、
    ことを特徴とする、通信装置(10)。
  2. 前記操作ユニット(30)は、当該操作ユニット(30)の操作の際に、前記信号処理ユニット(22)への信号を、前記アンテナネットワーク(26)の電気的特性を変更することなく発生させるように構成されている、請求項1に記載の通信装置(10)。
  3. 前記ロック状態において、少なくとも限られた規模で、エネルギーフロー及び/又はデータフローが、好ましくはあらゆるエネルギーフロー及び/又はデータフローが、双方向の通流方向において、特に前記通信装置(10)から到来するフローにおいてロックされる、請求項1又は2に記載の通信装置(10)。
  4. 前記解除状態において、少なくとも限られた規模で、エネルギーフロー及び/又はデータフローが、好ましくはあらゆるエネルギーフロー及び/又はデータフローが、双方向の通流方向において、特に前記通信装置(10)から到来するフローにおいて解除される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  5. 前記解除状態において、データフローに対して所定のデータセットのみが解除される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  6. 前記信号処理ユニット(22)及び前記通信ユニット(24)は、別個のユニット(22,24)として構成されており、電気的線路(23)を介して相互に接続されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  7. 前記信号処理ユニット(22)及び前記通信ユニット(24)は、相互に統合化された共通のユニット(22,24)として構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  8. 前記操作ユニット(30)は、前記通信ユニット(24)を介して前記信号処理ユニット(22)に電気的に接続されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  9. 前記操作ユニット(30)は、前記信号処理ユニット(22)に直接電気的に接続されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  10. 前記操作ユニット(30)は、手動操作されるべき操作ユニット(30)として構成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  11. 前記操作ユニット(30)は、スイッチとして、特に抵抗スイッチとして構成されている、請求項10に記載の通信装置(10)。
  12. 前記操作ユニット(30)は、電気的スイッチとして、特にフィルムキーとして構成されている、請求項10に記載の通信装置(10)。
  13. 前記操作ユニット(30)は、容量性のキーとして、特に指の存在によって操作されるべきキーとして構成されている、請求項10に記載の通信装置(10)。
  14. 前記操作ユニット(30)は、例えば指紋センサ、指紋スキャナ又はタッチIDセンサのように指紋技術に基づいて構成されている、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  15. 前記操作ユニット(30)は、顔認識、虹彩認識、手認識、声認識、筆跡認識、又は、操作ユニット(30)へのタッチリズムのような生体認証技術を備えている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  16. 前記通信装置(10)は、生体識別装置を含み、又は、生体識別装置と少なくとも機能的に接続されている、請求項15に記載の通信装置(10)。
  17. 前記通信装置(10)は、既存の装置の後付け装備のための増設部品として構成されている、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  18. 前記操作ユニット(30)は、機械的に、特に自動的又は半自動的に操作されるべき操作ユニット(30)として構成されている、請求項1乃至9及び17のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  19. 前記通信装置(10)は、機械間通信(M2M)のために機械に統合されており、又は、機械間通信(M2M)のために機械と少なくとも機能的に接続されている、請求項18に記載の通信装置(10)。
  20. 前記信号処理ユニット(22)は、μコントローラ又はプロセッサとして構成されている、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  21. 前記通信ユニット(24)は、NFC(Near field communication、近距離無線通信)フロントエンドとして構成されている、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  22. 前記通信ユニット(24)は、FFC(Far field communication、遠距離無線通信)フロントエンドとして構成されている、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  23. 前記通信ユニット(24)の前記アンテナネットワーク(26)は、RFID(Radio Frequency Identification)インタフェース、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)インタフェース、WLAN(Wireless Local Area Network)インタフェース、GSM(Global System for Mobile Communications)インタフェース、及び/又は、Bluetooth(R)インタフェースを介した通信に適している、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  24. 前記通信装置(10)は、カードとして、特に支払い手段として使用可能であるクレジットカード若しくは銀行カードのようなカードとして構成されている、又は、証明書のような身元確認資料として構成されている、又は、カード上若しくは身元確認資料上に装備されている、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  25. 前記通信装置(10)は、携帯機器、特に携帯電話、タブレットコンピュータ若しくはPDA(Personal Digital Assistance)のような電子機器、ドリルのような電動工具、台所機器のような家電機器、又は、自動車のような運搬又は走行装置に装備されている、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  26. 前記通信装置(10)は、非接触のエネルギー伝送、特にバッテリの非接触充電が可能である電気機器及び装置に配置されている、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の通信装置(10)。
  27. 前記通信装置(10)は、自律的又は一部自律的に走行する車両に統合されている、請求項25又は26に記載の通信装置(10)。
  28. 請求項1乃至27のいずれか一項に記載の通信装置(10)を制御する方法であって、
    a)通信装置(10)を準備するステップと、
    b)操作ユニット(30)を操作するステップと、
    c)前記通信装置(10)をロック状態から解除状態に又はその逆に移行させるステップと、
    を含む方法。
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