詳細な説明
オピオイドアンタゴニストの鼻腔内製剤を投与する工程を含む、オピオイド過剰摂取を処置するための方法および組成物が本明細書において開示される。オピオイドアンタゴニストの鼻腔内製剤を単独で、または吸収促進剤と組み合わせて投与する工程を含む、オピオイド受容体を介した疾患、障害、耽溺、症状、または状態を処置するための方法および組成物も本明細書において開示される。分かりやすくするために、かつ一貫性を持たせるために、以下の定義が、この特許文書全体を通して用いられる。
オピオイド受容体は、内因性オピオイドペプチドによって、モルヒネなどの臨床上重要なアルカロイド鎮痛薬によって、ならびにメサドンおよびフェンタニルなどの合成鎮痛薬によって活性化されるGタンパク質共役受容体(GPCR)である。3つの主要なタイプのオピオイド受容体:δ-オピオイド受容体、κ-オピオイド受容体、およびμ-オピオイド受容体がある。オピオイドは呼吸を抑制する。呼吸は、主に、延髄呼吸中枢を通じて化学受容体および他の供給元からの末梢入力(peripheral input)により制御される。オピオイドは、化学受容体ではμ-オピオイド受容体を介して、延髄ではμオピオイド受容体およびδオピオイド受容体を介して阻害を生じさせる。呼吸制御を媒介する多くの神経伝達物質があるが、グルタミン酸が主な興奮性神経伝達物質であり、γ-アミノ酪酸(GABA)が主な抑制性神経伝達物質である。このことは、オピオイドとベンゾジアゼピンおよびアルコールが相互作用する可能性を説明している。すなわち、ベンゾジアゼピンとアルコールは両方ともGABAA受容体におけるGABAの抑制作用を促進するのに対して、アルコールはNMDA受容体においてグルタミン酸の興奮作用も減少させる。オキシコドンおよび他のオピオイド鎮痛薬(例えば、ヒドロコドンおよびフェンタニル)ならびにヘロインおよびメサドンは全て致命性の過剰摂取に関与する。
2016年には、約64,000人が薬物の過剰摂取で死亡した。これらの死者のうち少なくとも14,400人は処方薬オピオイド鎮痛薬が関与し、これらの死者のうちほぼ3,300人はメサドンが関与し、これらの死者のうち15,400人はヘロインが関与し、これらの死者のうち20,000人超はフェンタニルおよび関連する合成オピオイドに起因すると考えられた。まとめると、2016年のオピオイド関連過剰摂取死の数はH.I.V.関連死のピーク時の数と、小火器関連死のピーク時の数をはるかに上回るものであった。
治療有効量のオピオイドアンタゴニストナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を患者に経鼻送達するのに適したプライミング済デバイスであって、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、デバイスが提供される。
オピオイド過剰摂取またはその症状を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、治療有効量のオピオイドアンタゴニストナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩を経鼻投与する工程であって、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、工程を含む、前記方法も提供される。
本明細書で使用する以下の用語は、示された意味を有する。
値の範囲が開示され、「n1からn2まで」または「n1〜n2」という表記が用いられ、n1およびn2が数字である場合、他で特定しない限り、この表記は数字そのものと、数字の間の範囲を含むことが意図される。この範囲は、末端の値の間で、および末端の値を含めて整数でもよく、連続していてもよい。例として、炭素は整数単位で表されるので、「2〜6個の炭素」という範囲は、2個、3個、4個、5個、および6個の炭素を含むことが意図される。例として、1μM、3μM、およびその間の全ての濃度から、有効数字の任意の数字(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)を含むことが意図される「1〜3μM(マイクロモル濃度)」という範囲と比較せよ。
本明細書で使用する「約」という用語は、「約」の修飾語である数値を、ある範囲内の変数であると示して、このような値を修飾することが意図される。グラフまたはデータの表に示された誤差範囲または平均値に対する標準偏差などの範囲が説明されていない場合、「約」という用語は、説明された値を含む範囲の大きな方と、有効数字を考慮して、数字を切り上げまたは切り捨てることによって含まれる範囲と、説明された値±20%を含む範囲を意味すると理解しなければならない。
本明細書で使用する「吸収促進剤」という用語は、薬理学的に活性な薬物の吸収を改善するために製剤に含まれる機能的な賦形剤を指す。この用語は通常、溶解度を高めるのではなく、鼻粘膜透過を高めることによって吸収を増大させる機能をもつ薬剤を指す。従って、このような薬剤は時として透過促進剤と呼ばれる。特に、本明細書に記載の吸収促進剤は、傍細胞輸送(すなわち、細胞間空間および密着結合の通過)、経細胞輸送(すなわち、細胞膜を通る受動拡散もしくは能動輸送)、またはトランスサイトーシス(すなわち、細胞小胞の取り込み)を改善し得る。Ozsoy et al., Molecules 14:3754-79, 2009.
吸収促進剤の例には、アプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジニウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイルカルニチン、ドデシルマルトシド、EDTA、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、グリコフロール、グリコシル化されたスフィンゴシン、グリチルレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、laureth-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、ラウリル硫酸ナトリウム、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407またはF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリソルベート80、プロピレングリコール、キラヤサポニン、サリチル酸、ナトリウム塩、β-シトステロールβ-D-グルコシド、ヤシ脂肪酸スクロース(sucrose cocoate)、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、ならびにドデシルマルトシド、ドデシル-β-D-マルトシド、テトラデシルマルトシド、テトラデシル-β-D-マルトシド、およびドデカン酸スクロースを含むが、これに限定されないアルキルサッカライドが含まれる。アルキルサッカライド(例えば、非イオン性アルキルサッカライド界面活性剤、例えば、グリコシド結合によって糖部分と結合した脂肪族炭化水素鎖からなるアルキルグリコシド、およびエステル結合によって糖部分と結合した脂肪族炭化水素鎖からなる脂肪酸のスクロースエステル)、シクロデキストリン(中心空洞のある、6以上の単糖単位で構成される環式オリゴ糖。これは疎水性分子と共に封入体を形成し、主として薬物の溶解度および溶解を高めるために、ならびに低分子量薬物の吸収を強化するために用いられてきた)、キトサン(キチンの脱アセチルから生じる直鎖状のカチオン性多糖類)、ならびに胆汁酸塩およびその誘導体(例えば、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、およびタウロジヒドロフシジン酸ナトリウム)は、最も忍容性が高い吸収促進剤の中にある傾向がある。例えば、Aungst, AAPS Journal 14(1):10-8, 2011;およびMaggio, J. Excipients and Food Chem. 5(2):100-12, 2014を参照されたい。
本明細書で使用する「アルキルサッカライド」という用語は吸収促進剤を指す。本明細書で使用するアルキルサッカライドとは、当技術分野において公知のように、任意の疎水性アルキルと連結することで、つながっている任意の糖を指す。アルキルサッカライドには、アルキルサッカライド、例えば、オクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル-、テトラデシル-、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、およびオクタデシル-α-またはβ-D-マルトシド、-グルコシド、または-スクロシド(sucroside);アルキルチオマルトシド、例えば、ヘプチル、オクチル、ドデシル-、トリデシル-、およびテトラデシル-β-D-チオマルトシド;アルキルチオグルコシド、例えば、ヘプチル-またはオクチル1-チオα-またはβ-D-グルコピラノシド;アルキルチオスクロース;アルキルマルトトリオシド;スクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸アミド;アルキル鎖にアミド結合によって連結された、パラチノースとイソマルトアミンの誘導体;アルキル鎖に尿素によって連結されたイソマルトアミンの誘導体;スクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸ウレイド;ならびにスクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸アミドが含まれ得るが、これに限定されない。糖類部分の望ましい疎水性および親水性に応じて、任意の望ましいサイズの疎水性アルキルを選択することができる。例えば、アルキル鎖の好ましい範囲の1つは約9〜約24個の炭素原子である。さらに好ましい範囲は約9〜約16個または約14個の炭素原子である。同様に、一部の好ましい糖類には、9、10、12、13、14、16、18、20、22、または24個の炭素原子のアルキル鎖、例えば、ノニル-、デシル-、ドデシル-へのグリコシド結合により連結された、マルトース、スクロース、およびグルコース、ならびにテトラデシルスクロシド、グルコシド、およびマルトシドなどが含まれる。
本明細書で使用する「糖類」は、単糖類、直鎖もしくは環の形をしたオリゴ糖類もしくは多糖類、または糖鎖を形成するためのそれらの組み合わせを含む。オリゴ糖類は、2個以上の単糖残基を有する糖類である。糖類は、例えば、現在市販されている任意の糖類種から選択されてもよく、合成されてもよい。可能性のある多くの使用糖類のいくつかの例には、グルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。好ましい糖類には、マルトース、スクロース、およびグルコースが含まれる。
「活性成分」または「薬学的に活性な化合物」という用語は「薬学的組成物」の文脈で定義され、薬学的利益をもたらさないと一般に認められている「不活性成分」とは対照的に主要な薬理学的作用をもたらす薬学的組成物成分を意味することが意図される。
本明細書で使用する「操作」という用語は、デバイスから薬学的組成物が送達されるようにデバイスを操作することを指す。
本明細書で使用する「アゴニスト」という用語は、受容体と相互作用し、受容体を活性化し、それによって、その受容体に特徴的な生理学的応答または薬理学的応答を開始する部分を指す。本明細書で使用する「アンタゴニスト」という用語は、アゴニスト(例えば、内因性リガンド)と同じ受容体部位に競合結合するが、受容体の活性型によって開始される細胞内応答を活性化せず、それによって、アゴニストまたは部分アゴニストによる細胞内応答を阻害することができる部分を指す。アンタゴニストは、アゴニストまたは部分アゴニストの非存在下ではベースライン細胞内応答を減らさない。「インバースアゴニスト」という用語は、受容体の内在型または受容体の構成的に活性化されている形態に結合し、受容体の活性型によって開始されるベースライン細胞内応答を、アゴニストまたは部分アゴニストの非存在下で観察される活性の正常基礎レベル以下に阻害する部分を指す。
本明細書で使用する「抗菌性防腐剤」という用語は、微生物学的安定性を維持するために薬学的組成物に加えられる、抗菌性を有する薬学的に許容される賦形剤を指す。
本明細書で使用する「AUC」という用語は、薬物血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。本明細書で使用する「AUC0-t」という用語は、t=0から最終測定可能濃度までの薬物血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。本明細書で使用する「AUC0-∞」という用語は、無限時間まで外挿した薬物血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。本明細書で使用する「AUC0-t/D」という用語は、0.4mg INナルメフェンに基準化したAUC0-tを指す。本明細書で使用する「AUC0-∞/D」という用語は、1.5mg IMナルメフェンに基準化したAUC0-∞を指す。
本明細書で使用する「バイオアベイラビリティ(F)」という用語は、投与部位から吸収され、元のままの形で体循環に到達する薬物の用量の割合を指す。「絶対的バイオアベイラビリティ」という用語は、吸収された薬物の割合が、そのIVバイオアベイラビリティと関連付けられた時に用いられる。これは、以下の式:
を用いて計算され得る。「相対的バイオアベイラビリティ(F
rel)」という用語は、2つの異なる血管外薬物投与経路を比較するのに用いられ、以下の式:
を用いて計算され得る。
本明細書で使用する「クリアランス(CL)」という用語は、薬物が消失する速度を薬物の血漿中濃度で割ったものを指し、単位時間当たりの、薬物が完全に除去された血漿の体積を表す。CLは、消失速度定数(λ)に分布体積(Vd)を掛けたものに等しい。Vdは、血漿中と同じ濃度で体内に存在する薬物量を含むのに必要な液体体積である。本明細書で使用する「見かけのクリアランス(CL/F)」という用語は、薬物のバイオアベイラビリティを考慮していないクリアランスを指す。これは、AUCを上回る用量の比である。
本明細書で使用する「Cmax」という用語は、観察された最高血漿中濃度を指す。本明細書で使用する「Cmax/D」という用語は、1.5mg IMナルメフェンに基準化されたCmaxを指す。
本明細書で使用する「変動係数(CV)」という用語は、試料の標準偏差と試料の平均の比を指す。「変動係数(CV)」はパーセントで表されることが多い。
本明細書で使用する「信頼区間」という用語は、指定されたパーセントの確率で、パラメータの真の平均値を含む値の範囲を指す。
本明細書で使用する「デバイス」という用語は、薬物を必要とする患者に薬物を送達することができる器具を指す。
本明細書で使用する「送達時間」という用語は、ある個体がオピオイドアンタゴニストの経鼻送達を必要とするという医療専門家または訓練を受けていない人が下した決定から、送達が完了するまでに経過する時間の量を指す。
本明細書で使用する「疾患」という用語は「障害」「症候群」、および(医学的状態のような)「状態」という用語と一般的に同義であり、これらの用語が全て、正常機能を損ない、典型的には、極めて特徴的な徴候および症状によって表され、ヒトまたは動物に持続期間または生活の質の低下を来す、ヒトまたは動物の身体またはその部分の1つの異常状態を反映しているので、「障害」「症候群」、および(医学的状態のような)「状態」という用語と区別なく用いられることが意図される。
本明細書で使用する「消失速度定数(λ)」という用語は、身体から薬物が除去される、分数で表した速度を指す。この速度は一次速度で一定であり、体内の薬物濃度に依存しない。λは、(y対数目盛上にある)血漿中濃度-時間線の傾きである。本明細書で使用する「λz」という用語は終末相消失速度定数を指す。薬物血漿中濃度-時間曲線の「終末相」とは、片対数グラフにプロットした時の直線である。終末相において薬物濃度を減らす主な機構が身体からの薬物排出であるので、終末相は「消失相」とも呼ばれることが多い。終末消失相の特色は血漿中にある薬物と末梢分布体積中にある薬物の相対的割合が一定のままであることである。この「終末相」の間に、薬物は急速な分布体積およびゆっくりとした分布体積から血漿に戻り、代謝または腎臓排出によって血漿から恒久的に除去される。
本明細書で使用する「等価」という用語は、指定された重量の塩酸ナルメフェンと等モルの、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択されるオピオイドアンタゴニストの重量を指す。
本明細書で使用する「賦形剤」という用語は、長期安定化、固体製剤のかさを増やすことを目的とした、または薬物吸収を容易にする、粘度を小さくする、もしくは溶解度を大きくするなどの治療的強化を最終剤形にある活性成分に付与するための、薬の活性成分と一緒に製剤化される天然物質または合成物質を指す。
本明細書で使用する「充填された」という用語は、デバイスと薬学的組成物との間のつながり、例えば、治療有効量のオピオイドアンタゴニストを含む本明細書に記載の薬学的組成物が、本明細書に記載のデバイスの一部となるリザーバー内に存在する時の、デバイスと薬学的組成物との間のつながりを指す。
本明細書で使用する「水和物」という用語は、非共有結合分子間力によって結合した化学量論的または非化学量論的な量の水をさらに含む、本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストまたはその塩を指す。
「処置を必要とする」という用語、および処置について言及している時の「必要とする」という用語は区別なく用いられ、患者が処置から利益を得るという、ケアをする人(例えば、医師、看護師、ナース・プラクティショナー)が下す判断を指す。「オピオイド過剰摂取のリスクがある」個体には、オピオイドを違法使用した個体、オピオイドを誤って摂取した個体、および医療用オピオイド治療中のオピオイドの偶発的誤用のリスクがある個体が含まれる。
本明細書で使用する、2つの態様は、一方が、他方とは異なる何かであると定義される時に「相互排他的」である。例えば、塩酸ナルメフェンの量が4mgと指定された態様は、塩酸ナルメフェンの量が2mgと指定された態様と相互排他的である。しかしながら、塩酸ナルメフェンの量が4mgと指定された態様は、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約10%未満が鼻腔を離れる態様と相互排他的でない。
本明細書で使用する「ナルメフェン」という用語は、以下の構造:
の化合物である17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-6-メチレンモルフィナン-3,14-ジオールを指す。
塩酸ナルメフェン(CAS Reg.No.58895-64-0)は、商品名Nalmetrene(登録商標)、Cervene(登録商標)、Revex(登録商標)、Arthrene(登録商標)、およびIncystene(登録商標)で販売されている。
本明細書で使用する「ナロキソン」という用語は、以下の構造:
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を指す。ナロキソンのCAS登録番号は465-65-6である。ナロキソンの他の名前には、17-アリル-4,5a-エポキシ-3,14-ジヒドロキシモルフィナン-6-オン;(-)-17-アリル-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシモルフィナン-6-オン;4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシ-17-(2-プロペニル)モルフィナン-6-オン;および(-)-12-アリル-7,7a,8,9-テトラヒドロ-3,7a-ジヒドロキシ-4aH-8,9c-イミノエタノフェナントロ[4,5-bcd]フラン-5(6H)-オンが含まれる。塩酸ナロキソンは無水でもよく(CAS Reg.No.357-08-4)、二水和物も形成する(CAS No.51481-60-8)。塩酸ナロキソンは、Narcan(登録商標)、Nalone(登録商標)、Nalossone(登録商標)、Naloxona(登録商標)、Naloxonum(登録商標)、Narcanti(登録商標)、およびNarcon(登録商標)を含む様々な商品名で販売されている。
本明細書で使用する「ナルトレキソン」という用語は、以下の構造:
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を指す。ナルトレキソンのCAS登録番号は16590-41-3である。ナルトレキソンの他の名前には、17-(シクロプロピルメチル)-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシモルフィナン-6-オン;(5α)-17-(シクロプロピルメチル)-3,14-ジヒドロキシ-4,5-エポキシモルフィナン-6-オン;および(1S,5R,13R,17S)-4-(シクロプロピルメチル)-10,17-ジヒドロキシ-12-オキサ-4-アザペンタシクロ[9.6.1.01,13.05,17.07,18]オクタデカ-7(18),8,10-トリエン-14-オンが含まれる。塩酸ナルトレキソン(CAS Reg.No.16676-29-2)は、商品名Antaxone(登録商標)、Depade(登録商標)、Nalorex(登録商標)、Revia(登録商標)、Trexan(登録商標)、Vivitrex(登録商標)、およびVivitrol(登録商標)で販売されている。
本明細書で使用する「メチルナルトレキソン」という用語は、以下の構造:
化合物であるカチオン(5α)-17-(シクロプロピルメチル)-3,14-ジヒドロキシ-17-メチル-4,5-エポキシモルフィナニウム(epoxymorphinanium)-17-イウム(ium)-6-オンを含む薬学的に許容される塩を指す。式中、X
-は、薬学的に許容されるアニオンである。臭化メチルナルトレキソン(CAS Reg.No.75232-52-7)は商品名Relistor(登録商標)で販売されている。
本明細書で使用する「鼻孔(nostril)」という用語は「鼻孔(naris)」と同義である。
「オピオイドアンタゴニスト」という用語は、ナロキソン、ナルトレキソン、およびナルメフェン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、経鼻投与は、本明細書に記載のデバイスを用いて行われる。
本明細書で使用する「オピオイド過剰摂取」という用語は、1種類または複数種のオピオイドの過剰使用によって誘発される急性医学的状態を指す。オピオイド過剰摂取の症状には、呼吸抑制(手術後オピオイド呼吸抑制、急性肺傷害、および誤嚥性肺炎を含む)、中枢神経系抑制(鎮静、意識レベルの変化、縮瞳(瞳孔収縮)を含んでもよい)、ならびに心血管抑制(低酸素血症および低血圧を含んでもよい)が含まれる。オピオイド過剰摂取またはオピオイド過剰摂取の疑いの目に見える徴候には、不反応性および/または意識消失(大声で呼びかける、ゆさぶる、または胸骨を指関節でこすりつけるなどの刺激に反応しない);ゆっくりとした呼吸、不規則な呼吸、または呼吸停止;ゆっくりとした脈、不規則な脈、または脈の停止;低音のいびき、または窒息/ゴロゴロ音(gurgling sound);青色または紫色の爪または唇;青ざめた、および/または冷たくじっとりした顔;筋緊張の低下;瞳孔収縮;ならびに嘔吐が含まれる。オピオイド過剰摂取は、特に素人では診断および/または定量化が難しい場合があるので、本明細書で使用する、オピオイド過剰摂取の処置は、オピオイド中毒患者におけるオピオイド過剰摂取の疑いの処置を含むことが意図される。過剰摂取を誘発し得るオピオイドには、コデイン、モルヒネ、メサドン、フェンタニル、オキシコドンHCl、酒石酸水素ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、メペリジン、プロポキシフェン、アヘン、ヘロイン、トラマドール、タペンタドール、ならびにある特定の麻薬アンタゴニスト鎮痛薬、例えば、ナルブフィン、ペンタゾシン、およびブトルファノールが含まれる。一部の態様において、オピオイドアゴニストは、乱用を抑止する製剤の中にある。一部の態様において、オピオイドアゴニストは、いたずらがしにくい製剤の中にある。一部の態様において、オピオイドアゴニストは、Acurox(登録商標)オキシコドンDETERx(登録商標)、Egaletヒドロコドン、Egaletモルヒネ、Egaletオキシコドン、Exalgo(登録商標)、Opana(登録商標)、およびRemoxy(登録商標)より選択される。
「患者」という用語は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストによる処置から利益を得る可能性が高い状態にかかっている任意の対象(好ましくはヒト)を指す。
本明細書で使用する「薬学的組成物」という用語は、本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストの塩、溶媒和物、および水和物を含むが、これに限定されない少なくとも1種類の活性成分を含み、哺乳動物(例えば、ヒトであるが、それに限定されるわけではない)において、指定された有効なアウトカムを得るための使用に適用可能な組成物を指す。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストはナルメフェンである。
本明細書で使用する「薬学的に許容される」という用語は、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに過度の害を及ぼさない、薬学的組成物の成分を指す。
本明細書で使用する「プライミング済」という用語は、薬学的組成物を必要とする患者への薬学的組成物の送達を、スプレーポンプの最初の操作で達成することができる、すなわち、投薬前に(例えば、噴霧液が出るまでポンプを1回以上押すことによって)ポンプをプライミングすることなく達成することができる、点鼻スプレー等のデバイスを指す。
本明細書で使用する「腹臥」という用語は、顔を下にして寝ている患者を指す。
本明細書で使用する「保護包装」という用語は上包を指す。
「受容体結合または占有」という用語は、放射性薬物と、体内全体にわたる受容体または他の結合部位との間の動態の特徴付け、および放射性薬物とこれらの受容体との結合親和性の特徴付けを指す。
本明細書で使用する「回復体位」という用語は、足または膝を前に出し(例えば、うつ伏せになるのを防ぐため)、少なくとも一方の手で頭を支えて(例えば、呼吸を楽にし、吐瀉物を吸い込むのを防ぐために顔を持ち上げるため)、患者が横向きに寝ているヒト身体の体位を意味する。
本明細書において開示される一緒に包装された(co-packaged)薬物製品を個体に提供するという文脈において「提供する」という用語は、前記薬物製品を一緒に包装すること、一緒に包装されたされた薬物製品を処方すること、および一緒に包装されたされた薬物製品を投薬することを含む。提供する工程は、個体(例えば、オピオイドアゴニスト処方薬を投与するのに適している個体、もしくはそうでない場合はオピオイド過剰摂取のリスクがある個体)または第2の個体に直接なされてもよい。
本明細書で使用する「溶媒和物」という用語は、非共有結合分子間力によって結合した化学量論的または非化学量論的な量の溶媒をさらに含む、本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストまたはその塩を指す。好ましい溶媒は揮発性である、無毒である、および/または微量でヒトへの投与を受け入れることができる。
本明細書で使用する「無菌充填」という用語は、防腐剤の使用が必要とされないような、本明細書に記載のデバイスおよび薬学的組成物を製造する方法を指す。無菌薬物製品は無菌処理または最終滅菌法(terminal sterilization)を用いて生成されてもよい。最終滅菌法は、通常、高品質環境条件下で製品容器に充填し、これを密封することを伴う。無菌プロセスでは、最初に、前記薬物製品、容器、およびクロージャーが、適宜、別々に滅菌法に供され、次に一つにされる。
本明細書で使用する「保管に安定した」という用語は、指定された温度および湿度で、指定された期間にわたって保管された後に、例えば、25℃および60%相対湿度で12ヶ月間保管された後に、活性成分の少なくとも約90%〜99.5%が未分解の状態のままである薬学的組成物を指す。
本明細書で使用する「対象」という用語は「患者」と同義であると意図され、治療有効量のオピオイドアンタゴニストナルメフェンによる処置から利益を得る可能性が高い状態にかかっている任意の哺乳動物(好ましくはヒト)を指す。
「抗菌性防腐剤を実質的に含まない」という用語は、1%w/w未満の抗菌性防腐剤を含む薬学的組成物を表すと当業者により理解される。
本明細書で使用する「仰臥」という用語は、顔を上にして寝ている患者を指す。
本明細書で使用する「治療有効量」または「治療有効用量」という用語は、研究者、医療提供者、または個人によって捜し求められている、組織、系、または個体における生物学的応答または医学的応答を引き出す活性化合物または薬学的薬剤の量または用量を指す。治療有効量は、処置されている疾患、障害、または状態のうちの1つ、複数、または全ての症状を無くす可能性があるが、必ず無くす必要があるとは限らない。治療有効量はまた疾患進行を阻止してもよく、さらなる症状の出現も阻止してもよい。
本明細書で使用する「t1/2」または「半減期」という用語は、薬物(例えば、オピオイドまたはオピオイドアンタゴニスト)の半分が身体から排出されるのに必要な時間の量、または薬物濃度が半分になるのに必要な時間を指す。
本明細書で使用する「等張化剤」という用語は、製剤の重量オスモル濃度を改変する、例えば、製剤を等張にする化合物を指す。等張化剤には、デキストロース、ラクトース、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、グリシンなどが含まれる。
本明細書で使用する「断層撮影」という用語は、断面による画像化プロセスを指す。画像は一つ一つ見られてもよく、一連の二次元スライスとして見られてもよく、一緒になって、コンピュータで作成した三次元表示として見られてもよい。
本明細書で使用する「Tmax」という用語は、本明細書に記載の薬学的組成物が投与されてから薬物の最高血漿中濃度になるまでの時間を指す。
「訓練を受けていない人」という用語は、本明細書に記載のデバイスを用いてオピオイドアンタゴニストを患者に投与する人であるが、医療専門家ではなく、かつデバイスを用いる訓練を受けていない人を指す。
オピオイドアンタゴニスト
経鼻送達に適した、オピオイド受容体アンタゴニストの薬物製品が提供される。オピオイド受容体アンタゴニストは、よく知られた化学薬品の種類である。オピオイド受容体アンタゴニストは科学文献および特許文献において詳述されてきた。ナルメフェンなどのオピオイドアンタゴニストは、オピオイドアゴニストの作用を特異的に逆転させるが、オピオイドアゴニスト活性を有さない薬剤である。
ナルメフェンは塩酸塩として市販されており、ナルトレキソンの6-メチレン類似体である。塩酸ナルメフェン(17-(シクロプロピルメチル)-4,5(-エポキシ-6-メチレンモルヒナン-3,14-ジオール)はオピオイド過剰摂取の逆転に認可され、オピオイド依存症患者の治療において、多幸感を引き起こす作用を防ぐのに使用することができる。これは、呼吸抑制、鎮静、および低血圧を含むオピオイド作用を逆転させるが、患者はナルメフェンに対する耐性または依存を生じない。
薬学的組成物、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適したデバイス、前記のものを含むキット、および処置において前記のものを使用する方法であって、それぞれが、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを含み、前記デバイスはプライミング済であり、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、薬学的組成物、デバイス、キット、および使用する方法が提供される。
一部の態様において、治療有効量は約0.5mg〜約12mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約0.5mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約12mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約9mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約8mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約7mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約6mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mg〜約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1.5mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約5mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mg〜約8mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mg〜約6mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約6mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約7mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約8mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約9mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.2mg、約1.4mg、約1.6mg、約1.8mg、約2mgmg、約2.2mg、約2.4mg、約2.6mg、約2.8mg、約3mg、約3.2mg、約3.4mg、約3.6mg、約3.8mg、または約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は、約0.5〜約1.0mg、約0.5〜約1.5mg、約1.5〜約2.0mg、約1.5〜約2.5mg、約1.5〜約3.0mg、約1.5〜約3.5mg、または約1.5〜約4.0mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は10mg未満の塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は5mg未満の塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは薬学的組成物において唯一の薬学的に活性な化合物である。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは無水塩酸ナルメフェンである。
治療有効量のオピオイドアンタゴニストナルメフェンを含む薬学的組成物の患者への経鼻送達を用いる処置方法が本明細書において提供される。一部の態様において、治療有効量は、約2〜約16mgのナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、または約16mgのナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は、約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは無水塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェン二水和物である。
従って、ナルメフェンを含む鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。ある特定の態様において、前記製剤は水溶液である。ある特定の態様において、前記製剤は一用量あたり約25〜約200μLの水溶液を含む。ある特定の態様において、前記製剤は一用量あたり約50〜約200μLの水溶液を含む。ある特定の態様において、前記製剤は一用量あたり約140μL以下を含む。ある特定の態様において、前記製剤は一用量あたり約100μL以下を含む。前記製剤は、一用量あたり約25μL、約50μL、約75μL、約100μL、約125μL、約150μL、約175μL、または約200μLの水溶液を含んでもよい。
ある特定の態様において、前記製剤は約1%(w/v)〜約16%(w/v)のオピオイドアンタゴニストナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2%(w/v)〜約12%(w/v)のナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2%(w/v)〜約10%(w/v)のナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2%(w/v)〜約8%(w/v)のナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2%(w/v)〜約4%(w/v)のナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は、約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)、約5%(w/v)、約6%(w/v)、約7%(w/v)、または約8%(w/v)のナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約1%(w/v)のナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2%(w/v)のナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約4%(w/v)のナルメフェンを含む。
ある特定の態様において、前記製剤は約1mg〜約16mgのオピオイドアンタゴニストナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2mg〜約12mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2mg〜約10mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2mg〜約8mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2mg〜約4mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、または約8mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約1mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約2mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、前記製剤は約4mgのナルメフェンを含む。
ある特定の態様において、約140μL以下の水溶液中に、約2mg〜約16mgのナルメフェン;および約0.2mg〜約1.2mgの等張剤を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。
ある特定の態様において、約140μL以下の水溶液中に、約2%(w/v)〜約16%(w/v)のナルメフェン;および約0.2%(w/v)〜約1.2%(w/v)の等張剤を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;および約0.2mg〜約1.2mgの等張剤を含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2%(w/v)または約4%(w/v)の塩酸ナルメフェンまたはその水和物;および約0.2%(w/v)〜約1.2%(w/v)の等張剤を含む。
ある特定の態様において、等張剤は塩化ナトリウムである。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェン;および約0.74mgの塩化ナトリウムを含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約4mgの塩酸ナルメフェン;および約0.74mgの塩化ナトリウムを含む。
ある特定の態様において、上記の薬学的製剤は約100μL以下の水溶液から成り立っている。
ある特定の態様において、薬学的製剤は約4mgまたは約4%(w/v)の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約2mgまたは約2%(w/v)の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、塩酸ナルメフェンは塩酸ナルメフェン二水和物として提供される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は吸収促進剤をさらに含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.005%〜約2.5%の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.05%〜約2.5%の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.1%〜約0.5%の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.25%の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.18%の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、吸収促進剤はアルキルサッカライドである。ある特定の態様において、アルキルサッカライドは、ドデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド(TDM)およびドデカン酸スクロースより選択される。
ある特定の態様において、アルキルサッカライドはIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)である。Intravail(登録商標)は、アルキルサッカライド1-O-n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(代わりに、ラウリル-β-D-マルトピラノシド、ドデシルマルトピラノシド、およびDDM; C24H46Q11と呼ばれる)である。アルキルサッカライドは市販の食品およびパーソナルケア製品において用いられ、食品用途に一般に安全とみなされている(Generally Recognized as Safe)(GRAS)物質と指定されている。アルキルサッカライドは、無味無臭無毒の、非変異原性の、ドレーズ法において25%濃度まで非感作性(non-sensitizing)の非刺激性経粘膜吸収促進剤である。アルキルサッカライドは、経上皮電気抵抗の減少によって示されるように傍細胞透過性を高めることによって吸収を増加させる。アルキルサッカライドはまたトランスサイトーシスも増加させることがある。この作用は短時間である。他のアルキルサッカライドにはテトラデシルマルトシド(TDM)およびドデカン酸スクロースが含まれる。
ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.005%〜約0.05%(w/v)の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.005%〜約0.015%(w/v)の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約0.01%(w/v)の吸収促進剤を含む。ある特定の態様において、吸収促進剤は塩化ベンザルコニウムである。
ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.05%〜約2.5%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.1%〜約0.5%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.15%〜約0.35%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.15%〜約0.2%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.18%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.2%〜約0.3%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.25%(w/v)のIntravail(登録商標)を含む。
0.18%のIntravail(登録商標)がスマトリプタンの鼻腔内製剤に添加されると、最高血漿中濃度はImitrex点鼻スプレーと比較してほぼ4倍増加し、Tmaxは1〜2時間から8〜10分に減少した。全曝露は濃度時間曲線下面積(AUC)によって測定された時には32%増加した。ナルメフェンの鼻腔内製剤には、針も延長放出(extended-release)製剤も用いることなく使用される可能性がある。Intravail(登録商標)の含有は一部の用途では薬物動態学的パラメータを改善する可能性がある。
ある特定の態様において、薬学的製剤は等張剤をさらに含む。この鼻腔内製剤は、約0.2%(w/v)〜約1.2%(w/v)の等張剤、例えば、約0.2%(w/v)、約0.3%(w/v)、約0.4%(w/v)、約0.5%(w/v)、約0.6%(w/v)、約0.7%(w/v)、約0.8%(w/v)、約0.9%(w/v)、約1.0%(w/v)、約1.1%(w/v)、または約1.2%(w/v)を含んでもよい。この鼻腔内製剤は約0.1%(w/v)超の等張剤を含んでもよい。この鼻腔内製剤は約1.2%(w/v)未満の等張剤を含んでもよい。
ある特定の態様において、約140μL以下の水溶液中に、約2mg〜約16mgのナルメフェン;約0.05mg〜約2.5mgの吸収促進剤;および約0.2mg〜約1.2mgの等張剤を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。
ある特定の態様において、約140μL以下の水溶液中に、約2%(w/v)〜約16%(w/v)のナルメフェン;約0.05%(w/v)〜約2.5%(w/v)の吸収促進剤;および約0.2%(w/v)〜約1.2%(w/v)の等張剤を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.05mg〜約2.5mgの吸収促進剤;および約0.2mg〜約1.2mgの等張剤を含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2%(w/v)または約4%(w/v)の塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.05%(w/v)〜約2.5%(w/v)の吸収促進剤;および約0.2%(w/v)〜約1.2%(w/v)の等張剤を含む。
ある特定の態様において、上記の薬学的製剤は約100μL以下の水溶液から成り立っている。
ある特定の態様において、約140μL以下の水溶液中に、約2mg〜約16mgのナルメフェン;約0.005mg〜約0.015mgの吸収促進剤;および約0.2mg〜約1.2mgの等張剤を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。
ある特定の態様において、約140μL以下の水溶液中に、約2%(w/v)〜約16%(w/v)のナルメフェン;約0.005%(w/v)〜約0.015%(w/v)の吸収促進剤;および約0.2%(w/v)〜約1.2%(w/v)の等張剤を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.005mg〜約0.015mgの吸収促進剤;および約0.2mg〜約1.2mgの等張剤を含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2%(w/v)または約4%(w/v)の塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.005%(w/v)〜約0.015%(w/v)の吸収促進剤;および約0.2%(w/v)〜約1.2%(w/v)の等張剤を含む。
ある特定の態様において、上記の薬学的製剤は約100μL以下の水溶液から成り立っている。
ある特定の態様において、等張剤は塩化ナトリウムである。
ある特定の態様において、吸収促進剤はIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)である。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェン;約0.25mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド);および約0.74mgの塩化ナトリウムを含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約4mgの塩酸ナルメフェン;約0.25mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド);および約0.74mgの塩化ナトリウムを含む。
ある特定の態様において、吸収促進剤は塩化ベンザルコニウムである。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェン;約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;および約0.74mgの塩化ナトリウムを含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約4mgの塩酸ナルメフェン;約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;および約0.74mgの塩化ナトリウムを含む。
ある特定の態様において、上記の薬学的製剤は約100μL以下の水溶液から成り立っている。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約4mgまたは約4%(w/v)の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約2%(w/v)の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、塩酸ナルメフェンは塩酸ナルメフェン二水和物として提供される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、防腐剤および/または界面活性剤である化合物をさらに含む。
ある特定の態様において、防腐剤および/または界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、フェニルエチルアルコールなど、およびその混合物;界面活性剤、例えば、ポリソルベート80NF、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレートなど、およびその混合物より選択される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は安定化剤をさらに含む。
ある特定の態様において、安定化剤はエデト酸二ナトリウム(EDTA)である。
一部の態様において、酸または塩基はpH 約3.5〜4.0を達成するのに十分なものである。一部の態様において、酸または塩基はpH 約3.5〜4.5を達成するのに十分なものである。一部の態様において、酸または塩基はpH 約4.0〜4.5を達成するのに十分なものである。一部の態様において、酸または塩基は、pH 約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、または約7を達成するのに十分なものである。
一部の態様において、防腐剤、吸収促進剤、および/または陽イオン界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、シクロデキストリン、アルキルサッカライド(例えば、非イオン性アルキルサッカライド界面活性剤、例えば、グリコシド結合によって糖部分と結合した脂肪族炭化水素鎖からなるアルキルグリコシド、およびエステル結合によって糖部分と結合した脂肪族炭化水素鎖からなる脂肪酸のスクロースエステル)、フシジン酸誘導体、ホスファチジルコリン、マイクロスフェアおよびリポソーム、ならびに胆汁酸塩より選択される。特定の態様において、防腐剤、吸収促進剤、および/または陽イオン界面活性剤は塩化ベンザルコニウムである。
一部の態様において、薬学的組成物は、水、NaCl、塩化ベンザルコニウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、および塩酸より選択される1種類または複数種の賦形剤をさらに含む。一部の態様において、薬学的組成物は、水、NaCl、塩化ベンザルコニウム、エデト酸二ナトリウム、および塩酸をさらに含む。
一部の態様において、薬学的組成物は塩化ベンザルコニウムを含む。塩化ベンザルコニウムは(少量でも)防腐剤として機能することができる、吸収促進剤として機能することができる、および/または陽イオン界面活性剤として機能することができる(典型的には、これらの後ろの2つについては防腐剤よりも多い量で機能することができる)。塩化ベンザルコニウムは、以下の構造:
によって表され、nは整数であり、その複数の混合物を使用することができる。一部の態様において、nは、8、10、12、14、16、または18であり、一部の態様において、nは、10、12、または14である。一部の態様において、薬学的組成物は約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウムを含む。
界面活性剤として、塩化ベンザルコニウムは、送達された点鼻スプレーのプルーム(plume)からの液滴の表面張力に影響を及ぼして、液滴サイズ分布(DSD)が狭い球状または実質的に球状の粒子を生じるだけでなく、液体製剤の粘度にも影響を及ぼすことがある。
一部の態様において、吸収促進剤は塩化ベンザルコニウムである。薬学的組成物は約0.01%〜約1%塩化ベンザルコニウムを含んでもよい。一部の態様において、薬学的組成物は約0.005%〜約0.015%の塩化ベンザルコニウムを含む。一部の態様において、薬学的組成物は約0.01%の塩化ベンザルコニウムを含む。
一部の態様において、吸収促進剤は、アルキルサッカライド、例えば、非イオン性アルキルサッカライド界面活性剤、例えば、グリコシド結合によって糖部分と結合した脂肪族炭化水素鎖からなるアルキルグリコシド、およびエステル結合によって糖部分と結合した脂肪族炭化水素鎖からなる脂肪酸のスクロースエステルである。一部の態様において、吸収促進剤は、アルキルマルトシド(例えば、テトラデシルマルトシド(TDM)、ドデシルマルトシドなど)である。一部の態様において、吸収促進剤はドデカン酸スクロースである。アルキルサッカライドは市販の食品およびパーソナルケア製品において用いられ、食品用途に一般に安全とみなされている(GRAS)物質と指定されている。アルキルサッカライドは、無味無臭無毒の、非変異原性の、ドレーズ法において25%濃度まで非感作性である非刺激性経粘膜吸収促進剤である。理論に拘束されるものではないが、アルキルサッカライドは、経上皮電気抵抗の減少によって示されるように傍細胞透過性を高めることによって吸収を増加させると考えられている。アルキルサッカライドはまたトランスサイトーシスも増加させることがある。この作用は短時間の場合がある。
一部の態様において、吸収促進剤は、Intravail(登録商標)、アルキルサッカライド1-O-n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(代わりにラウリル-β-D-マルトピラノシド、ドデシルマルトピラノシド、ドデシルマルトシド、およびDDM;C24H46Q11と呼ばれる)である。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.01%〜約2.5%のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.1%〜約0.5%のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.15%〜約0.35%のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.15%〜約0.2%のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.18%のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.2%〜約0.3%のIntravail(登録商標)を含む。ある特定の態様において、鼻腔内製剤は約0.25%のIntravail(登録商標)を含む。
オピオイド過剰摂取のリスクがある個体におけるオピオイド過剰摂取リスクを下げる方法であって、オピオイド過剰摂取のリスクがある個体に治療有効量の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を提供する工程であって、塩酸ナルメフェンまたはその水和物が、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適したプライミング済の2回投与用(bi-dose)デバイスの中に含有されており、第1の体積の薬学的組成物が第1のリザーバー内にあり、第2の体積の薬学的組成物が第2のリザーバー内にあり、治療有効量のオピオイドアンタゴニストが、本質的に、薬物送達デバイスの第1の操作によって第1のリザーバーから患者の鼻孔内へと送達され、かつ薬物送達デバイスの第2の操作によって第2のリザーバーから患者の鼻孔内へと送達され、各リザーバーが、
塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;
吸収促進剤および/または陽イオン界面活性剤として機能するのに有効な量の塩化ベンザルコニウム;
安定化剤;ならびに
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む約100μLの水溶液である薬学的組成物を含む、工程を含む、前記方法も本明細書において提供される。
ある特定の態様において、吸収促進剤は、塩化ベンザルコニウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、ドデシルマルトシド、グリココール酸、laureth-9、タウロコール酸、およびタウロジヒドロフシジン酸からなる群より選択される。ある特定の態様において、吸収促進剤はIntravail(登録商標)である。ある特定の態様において、安定化剤はエデト酸二ナトリウム;およびエデト酸二ナトリウムである。ある特定の態様において、酸は塩酸である。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.74mgの塩化ナトリウム;約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;約0.25mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド);約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;およびpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸を含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.74mgの塩化ナトリウム;約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;およびpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸または塩基を含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.74mgの塩化ナトリウム;約0.25mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド);約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;およびpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸を含む。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約2.5mg〜約8mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約2mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約2.5mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は約4mgの塩酸ナルメフェン二水和物を含む。
約100μLの水溶液中に、約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤および/または陽イオン界面活性剤である化合物;約0.00〜約0.50mgの、水酸化ナトリウム、吸収促進剤である化合物;約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;ならびにpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
約100μLの水溶液中に、約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;任意で、約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤および/または陽イオン界面活性剤である化合物;約0.005〜約0.50mgの、吸収促進剤である化合物;任意で、約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;ならびにpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
約100μLの水溶液中に、約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤および/または陽イオン界面活性剤である化合物;約0.05〜約0.50mgの、吸収促進剤である化合物;約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;ならびにpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.74mgの塩化ナトリウム;約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;約0.18mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド);約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;およびpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸を含む。
約100μLの水溶液中に、約2mg塩酸ナルメフェンまたはその水和物;約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;約0.005mg〜約0.015mgの防腐剤および/または陽イオン界面活性剤である化合物;約0.00〜約0.50mgの、吸収促進剤である化合物;約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;ならびにpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mgの塩酸ナルメフェン二水和物;約0.74mgの塩化ナトリウム;約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;約0.18mgのIntravail(登録商標)(ドデシルマルトシド);約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;およびpH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸を含む。
ある特定の態様において、治療有効量は約2〜約16mgのナルメフェンを含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、または約16mgの塩酸ナルメフェンと等価である量を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は、約4mg〜約8mgの塩酸ナロキソンと等価である量を含む。ある特定の態様において、薬学的製剤は、約16mgの塩酸ナロキソンと等価である量を含む。
経鼻薬物送達デバイスおよびキット
本明細書に記載の薬学的組成物を含む経鼻薬物送達デバイスも提供される。ナルメフェンの鼻腔内製剤を投与する工程を含む、オピオイド過剰摂取;またはオピオイド受容体を介した疾患、障害、耽溺、症状、もしくは状態に罹患している対象への経鼻送達に適したデバイスの中にある薬学的組成物が本明細書中にある。一部の態様において、前記デバイスはプライミング済である。一部の態様において、前記デバイスは使用前にプライミングすることができる。一部の態様において、前記デバイスは片手で操作することができる。
経鼻送達は、針を用いない全身薬物送達にとって、特に、迅速な吸収と作用が望ましいときに、魅力的で、安全で、かつ投与しやすい経路とみなされている。さらに、経鼻送達は、胃腸管での不十分なバイオアベイラビリティ、ゆっくりとした吸収、薬物分解、および有害事象(AE)に関連する問題に対処するのに役立つ可能性があり、肝臓における初回通過代謝を回避する。
液体鼻腔投与製剤は主に水溶液であるが、懸濁液およびエマルジョンも送達することができる。伝統的なスプレーポンプシステムでは、通常、液体製剤における微生物学的安定性を維持するために抗菌性防腐剤が必要とされる。
いくつかの救急医療(EMS)プログラムが、FDAに認可されていないやり方ではあるが、認可薬物の既存の技術と既存の医療デバイスを用いてオピオイドアンタゴニストナロキソンを鼻腔内投与するためのシステムを開発してきた。これは、注射用製剤(1mg/mL)を使用し、市販されている鼻アトマイザー/ネブライザーデバイスを介して1つの鼻孔につき1mLを投与することによって成し遂げられてきた。このシステムは、FDAに認可されたナロキソン注射製品(ルアー(Luer)にぴったり合うように作られた先端がある。針なし)と、Mucosal Atomization Device(MAD(商標) Nasal, Wolfe Tory Medical, Inc.)と呼ばれる市販の医療デバイスを組み合わせている。この独創力は米国針刺し安全防止法(U.S. Needlestick Safety and Prevention Act)(公法律106-430)と合致している。EMSプログラムは、このシステムの制約を認めており、制約の一つは、このシステムが組み立てられておらず、すぐに使用できないことである。この投与方法はナルコーシスからの回復に有効であるように見えるが、前記製剤は鼻腔内に保持されるように濃縮されていない。1つの鼻孔につき1mLの送達体積は、鼻腔内薬物投与に通常利用されている送達体積よりも大きい。従って、鼻咽頭内にまたは鼻腔から外部に流れ出ることによって、鼻腔から薬物が失われる。本明細書に記載のデバイスは、経鼻送達専用に最適化され、濃縮されており、かつ経鼻送達用に製剤化された、すぐに使用できる改善された製品である。
定量スプレーポンプが導入されてから経鼻薬物送達市場を席巻してきた。このポンプは、典型的に、1回の噴霧につき100μL(25〜200μL)を送達し、インビトロ試験において、放出される用量とプルーム形状の高い再現性を示す。
定量スプレーポンプが導入されてから経鼻薬物送達市場を席巻してきた。このポンプは、典型的に、1回の噴霧につき100μL(または25〜200μLの範囲、およびそれより多い他の体積)を送達し、インビトロ試験において、放出される用量とプルーム形状の高い再現性を示す。
標準的な定量スプレーポンプの例には、Aptar Pharma, Inc.により供給される定量スプレーポンプ、例えば、マルチドーズ「古典的技術プラットフォーム(classic technology platform)」点鼻スプレーデバイスが含まれる。このようなデバイスは、複数回用量(例えば、50用量、100用量、150用量、200用量、60用量、または120用量)の点鼻スプレー製剤を保持するリザーバー、クロージャー(例えば、スクリュー、クリンプ、またはスナップオン)、および単回用量を含むように1回の操作につき45〜1000μL(例えば、50μL、100μL、140μL、150μL、または200μL)の流体を送達するアクチュエーターを備える。アクチュエーターは、投与回数のカウント、ゲル製剤の送達、上下反対の配置での送達などをするように構成されていてもよい。
従来のスプレーポンプシステムでは、液体製剤の微生物学的安定性を維持するために抗菌性防腐剤が通常必要とされる。しかしながら、防腐剤が無いシステム、例えば、AptarのAdvanced Preservative Free(APF)システムも利用可能である。このシステムは、通気孔が開けられており、汚染を防ぐ空気流用フィルター膜を備え、製剤を酸化するための、金属を用いない流体路を有し、任意の方向に使用することができる。Aptarなどの、さらなる点鼻スプレーデバイスは、目詰まりを防ぐディスペンサー先端(高粘度および高揮発性の製剤に有用である)、長期の不使用後に再プライミングを必要としないアクチュエーターなどが付いて最適化されている。
粒径およびプルーム形状はある一定の限度内で変化してもよく、ポンプの特性、製剤、アクチュエーターのオリフィス、および加えられる力に左右される。点鼻スプレーの液滴サイズ分布は鼻腔内での薬物のインビボ沈着に大きな影響を及ぼすので重要なパラメータである。液滴サイズはデバイスの操作パラメータと製剤の影響を受ける。液滴サイズの一般的な中央値は約30〜約100μmになるはずである。液滴が大きすぎる場合(>約120μm)、沈着は主に鼻の前方部分で起こる。液滴が小さすぎる場合(<約10μm)、場合によっては吸い込まれ、肺に到達する可能性がある。これは、安全上の理由で避けなければならない。界面活性剤として、塩化ベンザルコニウムは、送達された点鼻スプレーのプルームからの液滴の表面張力に影響を及ぼして、液滴サイズ分布(DSD)が狭い球状または実質的に球状の粒子を生じるだけでなく、液体製剤の粘度にも影響を及ぼすことがある。
噴霧後に送達されるプルームのプルーム形状、液滴サイズ、およびDSDは、当技術分野において公知の、適切な、かつ検証および/または較正された分析手順によって、指定された実験条件および計器条件の下で測定することができる。これらには、写真撮影、レーザー回折、およびインパクションシステム(impaction system)(カスケードインパクション(cascade impaction), NGI)が含まれる。プルーム形状、液滴サイズ、およびDSDは、Cmax、Tmaxなどの薬物動態学的アウトカム、および直線的な用量比例関係に影響を及ぼすことがある。
液滴サイズ分布は、D10、D50、D90、スパン[(D90-D10)/D50]の範囲、および10mm未満の液滴のパーセントによって制御することができる。ある特定の態様において、前記製剤のDSDは狭い。ある特定の態様において、前記製剤のD(v,50)は30〜70μmであり、D(v,90)は<100μmである。
ある特定の態様において、10μm未満の液滴のパーセントは10%未満である。ある特定の態様において、10μm未満の液滴のパーセントは5%未満である。ある特定の態様において、10μm未満の液滴のパーセントは2%未満である。ある特定の態様において、10μm未満の液滴のパーセントは1%未満である。
ある特定の態様において、前記製剤は操作によってデバイスから投薬されたときに、楕円比(ovality ratio)が1に近い均一な円形プルームを生じる。楕円比は、(例えば、「上部」からの)スプレー流の方向と直交するスプレーパターンの最大直径(Dmax)と最小直径(Dmin)の商として計算される。ある特定の態様において、楕円比は±2.0未満である。ある特定の態様において、楕円比は±1.5未満である。ある特定の態様において、楕円比は±1.3未満である。ある特定の態様において、楕円比は±1.2未満である。ある特定の態様において、楕円比は±1.1未満である。ある特定の態様において、楕円比は約±1.0である。
異なるタイプの鼻用エアロゾルデバイスについて粒子発生の詳細および機械的原理が説明されている。Vidgren and Kublik, Adv. Drug Deliv. Rev. 29:157-77, 1998を参照されたい。従来のスプレーポンプは、放出された液体を空気と取り替え、従って、汚染を防ぐために防腐剤が必要とされる。しかしながら、防腐剤の起こり得る悪影響を示唆する研究により駆り立てられて、ポンプ製造業者は、防腐剤の必要がない様々なスプレーシステムを開発してきた。これらのシステムでは、放出された液体体積を埋め合わせるために折り畳み式バッグ、可動ピストン、または圧縮ガスを使用する(www.aptar.comおよびwww.rexam.com)。放出された液体体積を埋め合わせる、折り畳み式バッグおよび可動ピストンを用いた解決策には、空気をディップチューブ(dip tube)の中に吸い込んで、後の噴霧を損なうリスクが無く、上下反対にして放出できるという、さらなる利点がある。これは、患者が寝たきりであり、頭を低くして利用することが推奨される、いくつかの製品について有用な場合がある。防腐剤を回避するのに用いられる、別の方法は、放出された液体に取って代わる空気が無菌空気フィルターで濾過される方法である。さらに、システムの中には、アプリケーター先端内での液体の汚染を防ぐために先端にボール弁があるものもある(www.aptar.com)。つい最近、側面操作(side-actuation)のあるポンプが設計され、季節性アレルギー性鼻炎および通年性アレルギー性鼻炎の適応症についてフルチカゾンフランカルボン酸エステル(fluticasone furoate)を送達するために導入された。このポンプは、敏感な粘膜表面との接触を避けるために、さらに短い先端を付けて設計された。プライミングおよび再プライミングの必要性を少なくするための新たな設計ならびに用量再現性および投与回数カウンターを改善するための圧点特徴を組み込んだポンプならびに用量管理および安全性を高めるためのロックアウト機構が利用可能である(www.rexam.comおよびwww.aptar.com)。
従来の単純な定量スプレーポンプは、プライミングと、表示された数の用量との用量一致を維持するための、ある程度の過剰充填(overfill)を必要とする。従来の単純な定量スプレーポンプは、長期間にわたって毎日投与される薬物に良く適しているが、プライミング手順と、投薬の不十分な管理のために、特殊なデバイスが選択されない限り、治療可能時間域が狭い薬物にはあまり適しておらず、特に、頻繁に用いられない場合には、あまり適していない。一回投与または単発使用を目的とする高価な薬物およびワクチンの場合、ならびに用量および製剤の厳格な管理が重要な場合、1回投与用(single-dose)または2回投与用(bi-dose)のスプレーデバイスが好ましい(www.aptar.com)。1回投与用スプレーデバイス(MAD(商標))の単純な変形がLMAによって提供されている(LMA, Salt Lake City, UT, USA; www.lmana. com)。スプレー先端のあるノーズピースが標準的な注射器にはめられる。最初に、送達しようとする液体薬物を注射器に引き込み、次いで、スプレー先端を注射器にはめる。このデバイスは、例えば、慢性副鼻腔炎患者において局所ステロイドを送達するために学術研究において、およびワクチン研究において用いられてきた。一用量用または二用量用の、同じ原理に基づいて予め充填されるデバイス(Accuspray(商標), Becton Dickinson Technologies, Research Triangle Park, NC, USA; www.bdpharma.com)がインフルエンザワクチンFluMist(商標)(www.flumist.com)を送達するのに用いられ、米国市場で成人と小児の両方に認可された。10年前に、スイス企業によって別のインフルエンザワクチンを送達するための二用量用の類似デバイスが販売された。
プライミング済の1回投与用デバイスおよび2回投与用デバイスもまた利用可能であり、リザーバー、ピストン、および旋回チャンバー(swirl chamber)からなる(例えば、Aptar、以前はPfeifferのUDS UnitDose(商標)およびBDS BiDose(商標)デバイスを参照されたい)。液体が旋回チャンバーを通って押出されると噴霧が形成される。これらのデバイスは第二指と第三指の間に保たれ、アクチュエーター上に親指がある。一部のデバイスに組み込まれる圧点機構は、操作の力および放出されるプルーム特徴の再現性を確保する。現在、Imitrex(登録商標)(www.gsk.com)およびZomig(登録商標)(www.az.com; Pfeiffer/Aptar1回投与用デバイス)のような市販の鼻用片頭痛薬、市販のインフルエンザワクチンFlu-Mist(www.flumist.com; Becton Dickinson1回投与用スプレーデバイス)、ならびにオピオイド過剰摂取救助用のナロキソン鼻腔内製剤、Narcan Nasal(登録商標)(narcan.com; Adapt Pharma)は、このタイプのデバイスを用いて送達される。
ある特定の態様において、1回の操作につき送達される用量の90%信頼区間は±約2%である。ある特定の態様において、1回の操作につき送達される用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
歴史上、大きな体積での薬物の鼻腔内投与、例えば、粘膜アトマイザーデバイス付で適合された注射器からの鼻腔内投与は、前記製剤の一部が鼻孔から出て、または鼻咽頭を降りて滴となって落ちる傾向があるために難しい状況に遭遇してきた。従って、ある特定の態様において、前記薬学的組成物が前記患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって前記薬学的組成物の約20%未満が鼻腔を離れる。ある特定の態様において前記薬学的組成物が前記患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって前記薬学的組成物の約10%未満が鼻腔を離れる。ある特定の態様において、前記薬学的組成物が前記患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって前記薬学的組成物の約5%未満が鼻腔を離れる。
吸入スプレー薬物製品用の現行の容器クロージャーシステム設計は、スプレープルーム発生のために機械的補助もしくは動力補助および/または患者吸気からのエネルギーを用いる、予め計量された提示物およびデバイス計量提示物の両方を含む。予め計量された提示物は、何らかのタイプのユニット(例えば、1個または複数個のブリスターまたは他の空洞)の中に前もって測定された用量または用量画分を備え、ユニットは、その後で製造中に、または使用前に患者によってデバイスに挿入される。代表的なデバイス計量ユニットは、患者が起動した時に、デバイスそれ自体によって計量されたスプレーとして送達される複数の用量に十分な製剤を含むリザーバーを有する。
新たな経鼻薬物送達法は、液体および粉末両方の任意のタイプの分散技術に合わせることができ、呼吸を動力源とするBi-Directional(商標)技術である。この概念は、従来の鼻用デバイスの固有の制約の多くを克服し得る送達方法を提供するために上気道の天然の機能的側面を利用する。Breath-powered Bi-Directional(商標)デバイスは、最適化された円錐台形状と、鼻弁の第一の部分を機械的に広げる心地よい表面を有する、マウスピースおよびシーリングノーズピースからなる。使用者は、鼻孔開口部の柔軟性のある軟部組織を密封するまでシーリングノーズピースを1つの鼻孔の中に滑り込ませ、その場所で、三角形の鼻弁の、スリットの形をした細い部分を機械的に広げる。次いで、使用者は、取り付けられているマウスピースを通して息を吐きだす。デバイスの抵抗に逆らってマウスピースに息を吐きだすと、軟口蓋(soft palate)(または軟口蓋(velum))は口腔咽頭の陽圧によって自動的に上昇し、鼻腔は呼吸器系の残りから切り離される。この機構を用いると、一方の鼻孔から入り、鼻中隔を完全に通過し、反対の鼻孔を通って出る空気の流れに液体または粉末粒子を放出することが可能になる。
無菌充填を用いると、プライミング済デバイスにおいて防腐剤の使用は必要とされないが、過剰充填は必要とされ、その結果、定量マルチドーズスプレーと同様の廃棄画分が生じる。100μLを放出するために、鼻腔内片頭痛薬Imitrex(商標)(スマトリプタン)およびZomig(商標)(ゾルミトリプタン)に用いられるデバイス(Pfeiffer/Aptar1回投与用デバイス)に125μLの体積が充填され、2回投与用設計の場合はその約半分が充填される。無菌薬物製品は無菌処理または最終滅菌法を用いて生成されてもよい。最終滅菌法は、通常、高品質環境条件下で製品容器に充填し、これを密封することを伴う。製品は、工程内製品の微生物内容物および粒子内容物を最小限にするために、ならびにその後の滅菌プロセスがうまくいくことを助けるために、このタイプの環境において充填および密封される。ほとんどの場合、製品、容器、およびクロージャーの生物汚染度は低いが、無菌ではない。次いで、最終容器の中にある製品は、熱または放射線照射などの滅菌プロセスに供される。無菌プロセスでは、最初に、薬物製品、容器、およびクロージャーは、適宜、別々に滅菌法に供され、次に一つにされる。最終容器の中にある製品を滅菌するプロセスはないので、容器が、極めて高い品質の環境で充填および密封されることが重要である。無菌処理は最終滅菌法より多くの変数を伴う。最終製品に無菌状態で組み立てられる前に、最終製品の個々の部分は一般的に様々な滅菌プロセスに供される。例えば、ガラス容器は乾熱に供され、ゴムクロージャーは湿熱に供され、液体剤形は濾過に供される。これらの製造プロセスはそれぞれ検証と管理を必要とする。
本明細書において説明されたデバイスは、どの薬学的製剤も使用することができ、本明細書において開示される全ての方法において有用である。
従って、治療有効量のオピオイドアンタゴニスト(ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される)を含むリザーバーを備える、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適したプライミング済デバイスが、本明細書において提供される。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは無水塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、治療有効量は、前記で提供された任意の量の塩酸ナルメフェン、例えば、約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、本明細書において開示される製剤中のナルメフェンの相対的バイオアベイラビリティ(IN投与後の用量により補正されたAUC0-infとIM製剤の用量により補正されたAUC0-infを比較する)は約40%〜約80%である。一部の態様において、相対的バイオアベイラビリティは約45%〜約75%である。一部の態様において、相対的バイオアベイラビリティは約50%〜約70%である。一部の態様において、相対的バイオアベイラビリティは約5%〜約65%である。一部の態様において、相対的バイオアベイラビリティは約60%である。
一部の態様において、薬学的組成物は、鼻腔内投与用に製剤化された約1〜10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含み、1.5mg IMナルメフェンのAUCの約60%の曲線下面積(AUC)を有する血漿中濃度対時間曲線を生じる。Intravail(登録商標)はINナルメフェンのAUCを変えなかったが、ナルトレキソンを用いた結果は異なった。ナルトレキソンを用いると、AUCは大幅に増加した。この重要な差異は、オピオイドアンタゴニストの構造に基づいても、オピオイドアンタゴニストとしての、これらの部分の機能に基づいても予測することができなかった。
一部の態様において、患者はオピオイド過剰摂取患者またはオピオイド過剰摂取の疑いのある患者である。
一部の態様において、患者は臥位、仰臥位、または回復体位である。一部の態様において、患者は臥位である。一部の態様において、患者は仰臥位である。一部の態様において、患者は回復体位である。
一部の態様において、治療有効量のオピオイドアンタゴニストは訓練を受けていない人によって送達される。
一部の態様において、治療有効量は約1mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは薬学的組成物において唯一の薬学的に活性な化合物である。
一部の態様において、薬学的組成物は、塩酸ナルメフェンまたはその水和物の溶液を含む。
一部の態様において、リザーバー内の薬学的組成物の体積は約140μL以下である。
一部の態様において、リザーバー内の約100μLの薬学的組成物が1回の操作によって患者に送達される。
一部の態様において、薬学的組成物は、水およびNaClより選択される1種類または複数種の賦形剤をさらに含む。
一部の態様において、薬学的組成物は抗菌性防腐剤を実質的に含まない。
一部の態様において、薬学的組成物は、防腐剤、吸収促進剤および/または陽イオン界面活性剤として作用する化合物;等張剤;安定化剤;ならびにpH 約3.5〜約5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基または塩基をさらに含む。アルキルサッカライド、シクロデキストリン、およびキトサンなどの吸収促進剤の使用は、ナルメフェンが吸収される速度を速めることができる。一般的に、吸収促進剤は、吸収促進剤を含まない筋肉内製剤および鼻腔内製剤と比較して改善された薬物動態学的アウトカム、例えば、Cmaxの増加、Tmaxの短縮、および直線的な用量比例関係を提供する。理論に拘束されるものではないが、このような吸収促進剤は、典型的には、鼻吸収のための2つの主な機構;細胞間の密着結合の開口部を介した傍細胞輸送、および小胞担体を介した細胞を通る経細胞輸送またはトランスサイトーシスに影響を及ぼすことによって働く。
例えば、アルキルサッカライドは市販の食品およびパーソナルケア製品において用いられ、食品用途に一般に安全とみなされている(GRAS)物質と指定されている。アルキルサッカライドは、無味無臭無毒の、非変異原性の、ドレーズ法において25%濃度まで非感作性の非刺激性経粘膜吸収促進剤である。アルキルサッカライドは、経上皮電気抵抗の減少によって示されるように、傍細胞透過性を高めることによって吸収を増加させる。アルキルサッカライドはまたトランスサイトーシスも増加させることがある。この作用は短時間である。
アルキルサッカライドを鼻腔内製剤に加えると、Imitrex点鼻スプレーと比較して最高血漿中濃度を数倍増やすことができ、Tmaxを数時間から数分に短くすることができる。全曝露は濃度-時間曲線下面積(AUC)によって測定された時に約30%増える。当業者は、このナルトレキソンAUC増加を予測することができなかった。なぜなら、ナルメフェンなどの構造が似ている薬物は、これらの同じ条件下でAUCを増やさないからである。ナルトレキソンの鼻腔内製剤には、針も長期放出製剤も用いることなくAUDを処置するのに用いられる可能性がある。
吸収促進性賦形剤の中には傍細胞経路および/または経細胞経路を変えることができるものもあれば、鼻腔における滞留時間を延ばすか、または代謝変化を阻止できるものもある。吸収促進剤がなければ、鼻吸収の分子量限界は約1kDaであるのに対して、吸収促進剤と一緒に薬物を投与すると1〜30kDaの分子を吸収することが可能になる。しかしながら、ほとんどの吸収促進剤の鼻腔内投与は鼻粘膜損傷の原因となり得る。Maggio, J. Excipients and Food Chem. 5(2):100-12, 2014。吸収促進剤の例には、アプロチニン、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カプリン酸、セラミド、塩化セチルピリジニウム、キトサン、シクロデキストリン、デオキシコール酸、デカノイルカルニチン、EDTA、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、グリコフロール、グリコシル化されたスフィンゴシン、グリチルレチン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、laureth-9、ラウリン酸、ラウロイルカルニチン、ラウリル硫酸、リゾホスファチジルコリン、メントール、ポロキサマー407、ポロキサマーF68、ポリ-L-アルギニン、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリソルベート80、プロピレングリコール、キラヤサポニン、サリチル酸、β-シトステロール-β-D-グルコシド、ヤシ脂肪酸スクロース、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロジヒドロフシジン酸、ならびにアルキルサッカライド、例えば、ドデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、およびドデカン酸スクロースが含まれる。
本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストであるナルトレキソンは、当業者に周知の技法を用いて薬学的組成物に製剤化することができる。本明細書において述べられたもの以外の、適切な薬学的に許容される担体は当技術分野において公知である。
本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストであるナルメフェンは、任意で、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容される無毒の酸から調製された薬学的に許容される酸添加塩を含む、薬学的に許容される塩として存在してもよい。代表的な酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸などが含まれるが、これに限定されない。酸添加塩は化合物合成の直接生成物として得られてもよい。代わりに、遊離塩基が、適切な酸を含有する適切な溶媒に溶解され、溶媒を蒸発させることによって、または塩および溶媒を別の方法で分離することによって塩が単離されてもよい。本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストナルメフェンは、当業者に公知の方法を用いて標準的な低分子量溶媒と溶媒和物を形成することができる。
従って、治療有効量の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む薬物製品であって、塩酸ナルメフェンまたはその水和物が、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイスに入れられており、該デバイスの1回の操作によって該患者の1つの鼻孔内へと薬学的組成物が送達され、
塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
吸収促進剤および/または陽イオン界面活性剤として機能するのに有効な量の塩化ベンザルコニウム;
等張剤;
安定化剤;ならびに
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む約100μLの水溶液である薬学的組成物を含むリザーバーを備える、薬物製品が本明細書において提供される。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイスは、前記で提供された任意の量の塩酸ナルメフェン、例えば、約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイスは、約1mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約1.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約2mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約2.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約3mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約3.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約4mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約4.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。
一部の態様において、前記水溶液は、
約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む。
一部の態様において、
等張剤はNaClであり、
安定化剤はエデト酸二ナトリウムであり、
酸は塩酸である。
一部の態様において、前記水溶液は、
約3mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸
を含む。
一部の態様において、前記水溶液は、
約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸
を含む。
治療有効量の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む薬物製品であって、塩酸ナルメフェンまたはその水和物が、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適したプライミング済の2回投与用デバイス内に入れられており、第1の体積の薬学的組成物が第1のリザーバー内にあり、第2の体積の薬学的組成物が第2のリザーバー内にあり、治療有効量のオピオイドアンタゴニストが、本質的に、薬物送達デバイスの第1の操作によって第1のリザーバーから患者の鼻孔内へと送達され、かつ薬物送達デバイスの第2の操作によって第2のリザーバーから患者の鼻孔内へと送達され、各リザーバーが、
塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
等張剤;
吸収促進剤および/または陽イオン界面活性剤として機能するのに有効な量の塩化ベンザルコニウム;
安定化剤;ならびに
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む約100μLの水溶液である薬学的組成物を含む、薬物製品も本明細書において提供される。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適したプライミング済の2回投与用デバイスの各リザーバーは、前記で提供された任意の量の塩酸ナルメフェン、例えば、約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適したプライミング済の2回投与用デバイスの各リザーバーは、約1mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約1.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約2mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約2.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約3mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約3.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約4mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約4.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。
一部の態様において、前記水溶液は、
約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む。
一部の態様において、
等張剤はNaClであり、
安定化剤はエデト酸二ナトリウムであり、
酸は塩酸である。
一部の態様において、前記水溶液は
約1mgまたは約10mgの塩酸ナルメフェン;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸
を含む。
一部の態様において、各リザーバーは約3mgの塩酸ナルメフェンを含む。
オピオイド過剰摂取のリスクがある個体におけるオピオイド過剰摂取リスクを下げる方法であって、オピオイド過剰摂取のリスクがある個体に治療有効量の塩酸ナルメフェンまたはその水和物を提供する工程であって、塩酸ナルメフェンまたはその水和物が、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイス内に入れられており、該デバイスの1回の操作によって患者の1つの鼻孔内へと薬学的組成物が送達され、
塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
等張剤、
吸収促進剤および/または陽イオン界面活性剤として機能するのに有効な量の塩化ベンザルコニウム;
安定化剤;ならびに
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む約100μLの水溶液である薬学的組成物を含有するリザーバーを備える、前記方法も本明細書において提供される。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイスは、前記で提供された任意の量の塩酸ナルメフェン、例えば、約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイスは、約1mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約1.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約2mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約2.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約3mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約3.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約4mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約4.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。
一部の態様において、前記水溶液は、
約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む。
一部の態様において、
等張剤はNaClであり、
安定化剤はエデト酸二ナトリウムであり、
酸は塩酸である。
一部の態様において、前記水溶液は、
約3mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸
を含む。
一部の態様において、前記水溶液は、
約1〜約10mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸
を含む。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイスは、前記で提供された任意の量の塩酸ナルメフェン、例えば、約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。
一部の態様において、患者への薬学的組成物の経鼻送達に適したプライミング済の2回投与用デバイスの各リザーバーは、約1mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約1.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約2mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約2.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約3mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約3.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約4mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約4.5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。一部の態様において、前記デバイスの各リザーバーは約5mgの塩酸ナルメフェンの等価物を含む。
一部の態様において、前記水溶液は、
約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む。
一部の態様において、
等張剤はNaClであり、
安定化剤はエデト酸二ナトリウムであり、
酸は塩酸であるか、または塩基は水酸化ナトリウムである。
一部の態様において、各リザーバーは、
約1mgまたは約10mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.005%〜約1%の塩化ベンザルコニウム;および
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム
を含む。
一部の態様において、薬学的組成物は、水、NaCl、塩化ベンザルコニウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、および塩酸より選択される1種類または複数種の賦形剤をさらに含む。
一部の態様において、薬学的組成物は、水、NaCl、塩化ベンザルコニウム、エデト酸二ナトリウム、および塩酸をさらに含む。
一部の態様において、薬学的組成物は、
等張剤、
防腐剤;
安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基;および
約100μLの最終体積を実現するのに十分な量の水
をさらに含む。
一部の態様において、薬学的組成物は、
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤、
約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基;および
約100μLの最終体積を実現するのに十分な量の水
を含む。
一部の態様において、
等張剤はNaClであり、
防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物は塩化ベンザルコニウムであり、
安定化剤はエデト酸二ナトリウムであり、
酸は塩酸であるか、または塩基は水酸化ナトリウムである。
一部の態様において、薬学的組成物は、
約0.74mgのNaCl;
約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸または水酸化ナトリウム;および
約100μLの最終体積を実現するのに十分な量の水
を含む。
一部の態様において、前記デバイスは、無菌充填を用いて薬学的組成物が充填されている。
一部の態様において、薬学的組成物は、約25℃および約60%相対湿度で約12ヶ月間、保管に安定している。
一部の態様において、前記デバイスは単回用量デバイスであり、薬学的組成物は1つのリザーバーの中に存在し、治療有効量のオピオイドアンタゴニストは、本質的に前記デバイスを1回操作することによって患者の1つの鼻孔内へと送達される。
一部の態様において、前記操作によって約100μLの薬学的組成物が送達される。
一部の態様において、前記デバイスは片手で操作可能である。
一部の態様において、送達時間は約30秒未満である。一部の態様において、送達時間は約25秒未満である。一部の態様において、送達時間は約20秒未満である。一部の態様において、送達時間は約15秒未満である。
一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の90%信頼区間は±約2%である。一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
一部の態様において、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約20%未満が鼻腔を離れる。一部の態様において、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約15%未満が鼻腔を離れる。一部の態様において、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約10%未満が鼻腔を離れる。一部の態様において、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約5%未満が鼻腔を離れる。
一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは30分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは25分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは20分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは15分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは10分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは5分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約25分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約20分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約15分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約10分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約5分である。
一部の態様において、患者に治療有効量が送達されると、Tmaxで、患者の呼吸調節中心(respiratory control center)にあるオピオイド受容体においてオピオイドアンタゴニストの約90%超の占有が起こる。一部の態様において、患者に治療有効量が送達されると、Tmaxで、患者の呼吸調節中心にあるオピオイド受容体においてオピオイドアンタゴニストの約95%超の占有が起こる。一部の態様において、患者に治療有効量が送達されると、Tmaxで、患者の呼吸調節中心にあるオピオイド受容体においてオピオイドアンタゴニストの約99%超の占有が起こる。
一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約1時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約2時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約4時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約6時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約7時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約10時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約12時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約14時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約16時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約1時間〜少なくとも約15時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約15時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約12時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約10時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。
患者への薬学的組成物の経鼻送達に適した使い捨てのプライミング済デバイスであって、該デバイスの1回の操作によって該患者の1つの鼻孔内に送達され、該デバイスが、
約1mgまたは約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤、
約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤として作用する化合物;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む水溶液である約100μLの薬学的組成物を含む1個のリザーバーを有する、前記デバイスも本明細書において提供される。
一部の態様において、前記デバイスは、前記で提供された任意の量の塩酸ナルメフェン、例えば、約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。一部の態様において、前記デバイスは約3mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。
一部の態様において、
等張剤はNaClであり、
防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物は塩化ベンザルコニウムであり、
安定化剤はエデト酸二ナトリウムであり、
酸は塩酸であるか、または塩基は水酸化ナトリウムである。
一部の態様において、前記デバイスは、
約1mgまたは約10mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸または水酸化ナトリウム
を含む。
一部の態様において、前記デバイスは約1mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約1.5mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約2mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約2.5mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約3mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約3.5mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約4mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約4.5mgの塩酸ナルメフェンを含む。一部の態様において、前記デバイスは約5mgの塩酸ナルメフェンを含む。
一部の態様において、前記で提供されたように、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満が鼻腔を離れる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは30分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約30分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約25分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約20分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約15分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約10分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約5分である。
一部の態様において、前記デバイスは片手で操作可能である。
一部の態様において、送達時間は約30秒未満である。一部の態様において、送達時間は約25秒未満である。一部の態様において、送達時間は約20秒未満である。一部の態様において、送達時間は約15秒未満である。
一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の90%信頼区間は±約2%である。一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
一部の態様において、前記で提供されたように、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満が鼻腔を離れる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは30分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約30分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約25分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約20分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約15分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約10分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約5分である。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者に治療有効量が送達されると、Tmaxで、患者の呼吸調節中心にあるオピオイド受容体においてオピオイドアンタゴニストの約90%超、約95%超、または約99%超の占有が起こる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約1時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。
一部の態様において、前記デバイスは、無菌充填を用いて前記薬学的組成物が充填されている。
一部の態様において、前記薬学的組成物は、約25℃および約60%相対湿度で約12ヶ月間、保管に安定している。
一部の態様において、前記オピオイドアンタゴニストは前記薬学的組成物において唯一の薬学的に活性な化合物である。
呼吸抑制、手術後オピオイド呼吸抑制、意識レベルの変化、縮瞳、心血管抑制、低酸素血症、急性肺傷害、誤嚥性肺炎、鎮静、および低血圧より選択されるオピオイド過剰摂取の症状の処置において使用するための前述した態様のいずれか1つに記載のデバイスも提供される。
オピオイドによって誘発される呼吸抑制からの回復において使用するための前述した態様のいずれか1つに記載のデバイスも提供される。
一部の態様において、前記呼吸抑制はオピオイドの違法使用によって、または医療用オピオイド治療中のオピオイドの偶発的誤用によって引き起こされる。
天然麻薬および合成麻薬、プロポキシフェン、メサドン、ナルブフィン、ペンタゾシン、およびブトルファノールより選択されるオピオイドによって誘発される呼吸抑制を含む麻薬性抑制からの完全回復または部分回復において使用するための前述した態様のいずれか1つに記載のデバイスも提供される。
一部の態様において、前記患者は、オピオイド過剰摂取患者またはオピオイド過剰摂取の疑いのある患者である。
一部の態様において、前記患者は臥位、仰臥位、または回復体位である。一部の態様において、前記患者は臥位である。一部の態様において、前記患者は仰臥位である。一部の態様において、前記患者は回復体位である。
一部の態様において、前記治療有効量のオピオイドアンタゴニストは、訓練を受けていない人によって送達される。
一部の態様において、前記デバイスは2回投与用デバイスであり、第1の体積の前記薬学的組成物が第1のリザーバー内にあり、第2の体積の前記薬学的組成物が第2のリザーバー内にあり、前記治療有効量が、本質的に、前記デバイスの第1の操作によって前記患者の第1の鼻孔内へと送達され、かつ前記デバイスの第2の操作によって前記患者の第2の鼻孔内へと送達される。
一部の態様において、前記第1の体積および前記第2の体積を合わせた体積は約380μL以下に等しい。
一部の態様において、約100μLである前記第1の体積の前記薬学的組成物が前記第1の操作によって送達される。
一部の態様において、約100μLである前記第2の体積の前記薬学的組成物が前記第2の操作によって送達される。
一部の態様において、前記2回投与用デバイスは片手で操作可能である。
一部の態様において、送達時間は約30秒未満である。一部の態様において、送達時間は約25秒未満である。一部の態様において、送達時間は約20秒未満である。一部の態様において、送達時間は約15秒未満である。
一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の90%信頼区間は±約2%である。一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
一部の態様において、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満が鼻腔を離れる。一部の態様において、前記で提供されたように、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは30分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約30分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約25分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約20分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約15分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約10分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約5分である。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者に治療有効量が送達されると、Tmaxで、患者の呼吸調節中心にあるオピオイド受容体においてオピオイドアンタゴニストの約90%超、約95%超、または約99%超の占有が起こる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約1時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。
薬学的組成物
1種類または複数種のオピオイドアンタゴニストを含む薬学的組成物も提供される。一部の態様において、薬学的組成物は、オピオイドアンタゴニストと、薬学的に許容される担体を含む。担体は、前記製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに過度の害を及ぼさないという意味で「許容され」なければならない。本開示の一部の態様は、少なくとも1種類のオピオイドアンタゴニストと、薬学的に許容される担体を混合する工程を含む、薬学的組成物を生成する方法を含む。薬学的組成物は、本明細書に記載のデバイスを用いて鼻腔に直接適用される。スプレーの場合、これは、例えば、定量霧吹き式スプレーポンプによって成し遂げられてもよい。
液体調製物には、溶液、懸濁液、およびエマルジョン、例えば、水または水-プロピレングリコール溶液が含まれる。液体調製物中の追加成分には、抗菌性防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム(陽イオン界面活性剤および/または吸収促進剤としても作用し得る)、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、フェニルエチルアルコールなど、およびその混合物;界面活性剤、例えば、ポリソルベート80NF、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレートなど、およびその混合物;等張化剤、例えば、デキストロース、ラクトース、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、グリシンなど、およびその混合物;ならびに懸濁剤、例えば、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムNF、ポリアクリル酸、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、キサンタンガムなど、およびその混合物が含まれ得る。
本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストは、当業者に周知の技法を用いて薬学的組成物に製剤化することができる。
本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストは、任意で、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容される無毒の酸から調製された薬学的に許容される酸添加塩を含む、薬学的に許容される塩として存在してもよい。代表的な酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸などが含まれるが、これに限定されない。例えば、薬学的に許容される 塩は、Berge et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 66:1-19 (1977)に列挙されている。酸添加塩は化合物合成の直接生成物として得られてもよい。代わりに、遊離塩基が、適切な酸を含有する適切な溶媒に溶解され、溶媒を蒸発させることによって、または塩および溶媒を別の方法で分離することによって塩が単離されてもよい。本明細書に記載のオピオイドアンタゴニストは、当業者に公知の方法を用いて標準的な低分子量溶媒と溶媒和物を形成することができる。
従って、約140μL以下の水溶液中に、
約1mg〜約10mgのオピオイドアンタゴニスト;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤;
約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤が本明細書において提供される。
一部の態様において、前記オピオイドアンタゴニストは薬学的組成物において唯一の薬学的に活性な化合物である。
一部の態様において、前記オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェン、またはその水和物である。
一部の態様において、前記オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェンである。
前記で提供されたように、薬学的製剤は、任意の量の(例えば約1mg〜約10mgに相当する)塩酸ナルメフェンを含んでもよい。一部の態様において、治療有効量は約1mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、薬学的製剤は約100μLの水溶液中にある。
一部の態様において、前記で提供されたように、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満が鼻腔を離れる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは、30分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約30分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約25分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約20分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約15分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約10分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約5分である。
一部の態様において、前記デバイスは片手で操作可能である。
一部の態様において、送達時間は約30秒未満である。一部の態様において、送達時間は約25秒未満である。一部の態様において、送達時間は約20秒未満である。一部の態様において、送達時間は約15秒未満である。
一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の90%信頼区間は±約2%である。一部の態様において、1回の操作につき送達される用量の95%信頼区間は±約2.5%である。
一部の態様において、前記で提供されたように、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満が鼻腔を離れる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは30分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約30分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約25分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約20分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約15分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約10分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約5分である。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者に治療有効量が送達されると、Tmaxで、患者の呼吸調節中心にあるオピオイド受容体においてオピオイドアンタゴニストの約90%超、約95%超、または約99%超の占有が起こる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約1時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。
約140μL以下の水溶液中に、
約1mgまたは約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤、
約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸または水酸化ナトリウム
を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
一部の態様において、
等張剤はNaClであり、
防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物は塩化ベンザルコニウムであり、
安定化剤はエデト酸二ナトリウムであり、
酸は塩酸であるか、または塩基は水酸化ナトリウムである。
一部の態様において、薬学的製剤は、
約2mgまたは約3mgまたは約4mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸または水酸化ナトリウム
を含む。
一部の態様において、薬学的製剤は約4mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。一部の態様において、薬学的製剤は約3mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物を含む。
約100μLの水溶液中に、
約3mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤.
約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
一部の態様において、薬学的製剤は、
約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸または水酸化ナトリウム
を含む。
約100μLの水溶液中に、
約3mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤、
約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
一部の態様において、薬学的製剤は、
約3mgの塩酸ナルメフェン;
約0.74mgのNaCl;
約0.01mgの塩化ベンザルコニウム;
約0.2mgのエデト酸二ナトリウム;および
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸または水酸化ナトリウム
を含む。
約100μLの水溶液中に、
約1〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物;
約0.2mg〜約1.2mgの等張剤、
約0.005mg〜約0.015mgの、防腐剤、陽イオン界面活性剤、および/または吸収促進剤である化合物;
約0.1mg〜約0.5mgの安定化剤;
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の酸または塩基
を含む、鼻腔内投与用の薬学的製剤も本明細書において提供される。
ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを含む薬学的組成物を患者に経鼻送達するのに適したプライミング済デバイスであって、上記で提供されるように、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、デバイスが提供される。一部の態様において、治療有効量は約1mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、薬学的組成物は、塩酸ナルメフェンから調製された溶液を含む。一部の態様において、薬学的組成物は、水およびNaClより選択される1種類または複数種の賦形剤をさらに含む。一部の態様において、薬学的組成物は抗菌性防腐剤を実質的に含まない。一部の態様において、前記デバイスは、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、フェニルエチルアルコールを実質的に含まない。一部の態様において、前記デバイスは無菌環境で薬学的組成物が充填されている。一部の態様において、薬学的組成物は、約25℃で約12ヶ月間、保管に安定している。一部の態様において、薬学的組成物は0.1%w/w未満の抗菌性防腐剤を含む。一部の態様において、薬学的組成物は0.01%w/w以下の抗菌性防腐剤を含む。一部の態様において、薬学的組成物は0.01%w/w〜0.001%w/wの抗菌性防腐剤を含む。一部の態様において、薬学的組成物は0.001%w/w未満の抗菌性防腐剤を含む。
上記の任意の態様が、これらの態様のうちのいずれか1つまたは複数と組み合わされ得る態様も提供される。但し、この組み合わせが相互排他的でないものとする。
適応症
オピオイド過剰摂取およびその症状の処置において使用するためのデバイス、および前記デバイスを使用する方法も提供される。ナルメフェンは、呼吸抑制、鎮静、および低血圧を含むオピオイドの作用を阻止するか、または逆転させる。
従って、オピオイド過剰摂取またはその症状を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程であって、前記治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物と等価である、前記方法も本明細書において提供される。一部の態様において、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストは、約140μL以下の水性担体溶液に溶解して送達される。
一部の態様において、オピオイド過剰摂取またはその症状を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程であって、前記治療有効量が、約140μL以下の水性担体溶液中で約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物と等価である、工程を含む、前記方法も本明細書において提供される。
一部の態様において、オピオイド過剰摂取またはその症状を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを、スプレーデバイスを用いて経鼻投与する工程であって、スプレーデバイスが、液滴サイズの中央値が約30〜約100μmの液滴を噴霧することができる、工程を含む、前記方法が提供される。
一部の態様において、スプレーデバイスは、D(v,50)30〜70μmおよびD(v,90)<100μmの製剤を噴霧することができる。
一部の態様において、スプレーデバイスは、10μm未満の液滴のパーセントが10%未満になるように噴霧することができる。一部の態様において、10μm未満の液滴のパーセントは5%未満である。一部の態様において、10μm未満の液滴のパーセントは2%未満である。一部の態様において、10μm未満の液滴のパーセントは1%未満である。
一部の態様において、スプレーデバイスは、楕円比が1に近い均一な円形プルームを噴霧することができる。楕円比は、(例えば、「上部」からの)スプレー流の方向と直交するスプレーパターンの最大直径(Dmax)と最小直径(Dmin)の商として計算される。一部の態様において、楕円比は±2.0未満である。一部の態様において、楕円比は±1.5未満である。一部の態様において、楕円比は±1.3未満である。一部の態様において、楕円比は±1.2未満である。一部の態様において、楕円比は±1.1未満である。一部の態様において、楕円比は約±1.0である。
一部の態様において、オピオイド過剰摂取またはその症状を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、単回用量の治療有効量のオピオイドアンタゴニスト(ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される)を経鼻投与する工程であって、前記治療有効量が、約140μL以下の水性担体溶液中で約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンまたはその水和物と等価である、工程を含む、前記方法も本明細書において提供される。
一部の態様において、前記オピオイドアンタゴニストは、前記薬学的組成物における唯一の薬学的に活性な化合物である。
一部の態様において、前記オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェンである。
一部の態様において、前記薬学的組成物は、塩酸ナルメフェンまたはその水和物の溶液を含む。
一部の態様において、前記患者は、オピオイド過剰摂取患者またはオピオイド過剰摂取の疑いのある患者である。
一部の態様において、前記患者は臥位、仰臥位、または回復体位である。一部の態様において、前記患者は臥位である。一部の態様において、前記患者は仰臥位である。一部の態様において、前記患者は回復体位である。
一部の態様において、前記治療有効量のオピオイドアンタゴニストは、訓練を受けていない人によって送達される。
一部の態様において、前記で提供されたように、前記治療有効量は約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、前記症状は呼吸抑制および中枢神経系抑制より選択される。
一部の態様において、前記患者は、刺激に対する不反応性、無意識、呼吸停止;不規則な脈または脈の停止、窒息またはゴロゴロ音、青色または紫色の爪または唇、筋緊張の低下、瞳孔収縮、および嘔吐のいずれかを示す。
一部の態様において、前記患者は呼吸をしていない。
一部の態様において、前記患者は臥位、仰臥位、または回復体位である。
一部の態様において、前記患者は臥位である。
一部の態様において、前記患者は仰臥位である。
一部の態様において、前記患者は回復体位である。
一部の態様において、前記治療有効量は約2mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、前記治療有効量は、約1mgの塩酸ナルメフェン、約1.5mgの塩酸ナルメフェン、約2mgの塩酸ナルメフェン、約2.5mgの塩酸ナルメフェン、約3mgの塩酸ナルメフェン、約3.5mgの塩酸ナルメフェン、約4mgの塩酸ナルメフェン、約4.5mgの塩酸ナルメフェン、および約5mgの塩酸ナルメフェンから選択される量と等価である。
一部の態様において、前記治療有効量は約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、前記治療有効量は約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、前記治療有効量は約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、前記オピオイドアンタゴニストは前記薬学的組成物において唯一の薬学的に活性な化合物である。
一部の態様において、経鼻投与する工程は、薬学的組成物の経鼻送達に適したプライミング済デバイスを用いて達成される。
一部の態様において、前記で提供されたように、薬学的組成物が患者に経鼻送達されると、鼻咽頭内または外部に流れ出ることによって薬学的組成物の約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満が鼻腔を離れる。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは30分未満である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約30分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約25分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約20分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約15分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約10分である。一部の態様において、患者におけるオピオイドアンタゴニストの血漿中濃度対時間曲線のTmaxは約5分である。
一部の態様において、前記オピオイド過剰摂取の症状は、呼吸抑制、中枢神経系抑制、および心血管抑制より選択される。
一部の態様において、前記オピオイド過剰摂取の症状は、オピオイドによって誘発される呼吸抑制である。
一部の態様において、前記呼吸抑制は、オピオイドの違法使用または医療用オピオイド治療中のオピオイドの偶発的誤用によって引き起こされる。
一部の態様において、前記呼吸抑制は、天然麻薬および合成麻薬、プロポキシフェン、メサドン、ナルブフィン、ペンタゾシン、ならびにブトルファノールより選択されるオピオイドによって誘発される。
一部の態様において、前記呼吸抑制は、コデイン、モルヒネ、メサドン、フェンタニル、オキシコドンHCl、酒石酸水素ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、メペリジン、プロポキシフェン、アヘン、ヘロイン、トラマドール、タペンタドールより選択されるオピオイドによって誘発される。
一部の態様において、前記で提供されたように、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約1時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。一部の態様において、患者は、治療有効量のオピオイドアンタゴニストの送達を含む処置後、少なくとも約3時間〜少なくとも約8時間にわたって呼吸抑制から免れる。
上記の任意の態様が、これらの態様のうちのいずれか1つまたは複数と組み合わされ得る態様も提供される。但し、この組み合わせが相互排他的でないものとする。
呼吸抑制、手術後オピオイド呼吸抑制、意識レベルの変化、縮瞳、心血管抑制、低酸素血症、急性肺傷害、誤嚥性肺炎、鎮静、および低血圧より選択されるオピオイド過剰摂取の症状の処置において使用するための本明細書に記載のデバイス、薬学的組成物、キット、および処置方法も提供される。オピオイドによって誘発される呼吸抑制からの回復において使用するための本明細書に記載のデバイス、薬学的組成物、キット、および処置方法も提供される。一部の態様において、呼吸抑制はオピオイドの違法使用によって、または医療用オピオイド治療中のオピオイドの偶発的誤用によって引き起こされる。
天然麻薬および合成麻薬、プロポキシフェン、メサドン、ナルブフィン、ペンタゾシン、およびブトルファノールより選択されるオピオイドによって誘発される呼吸抑制を含む麻薬性抑制からの完全回復または部分回復において使用するための、本明細書に記載のデバイス、薬学的組成物、キット、および処置方法も提供される。一部の態様において、呼吸抑制を含む麻薬性抑制は、コデイン、モルヒネ、メサドン、フェンタニル、オキシコドンHCl、酒石酸水素ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、メペリジン、プロポキシフェン、アヘン、ヘロイン、トラマドール、およびタペンタドールより選択されるオピオイドアゴニストによって誘発される。
オピオイド過剰摂取またはその症状を処置するためのデバイス、薬学的製剤、およびキット、ならびにオピオイド過剰摂取またはその症状を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程であって、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、工程を含む、前記方法も提供される。一部の態様において、患者は呼吸をしていない。ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを含む薬学的組成物を患者に経鼻送達するのに適したプライミング済デバイスであって、前記で提供されたように、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、デバイスも提供される。
一部の態様において、治療有効量は約1mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約1.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約2.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約3.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約4.5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。一部の態様において、治療有効量は約5mgの塩酸ナルメフェンと等価である。
一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは薬学的組成物において唯一の薬学的に活性な化合物である。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、オピオイドアンタゴニストは無水塩酸ナルメフェンである。一部の態様において、薬学的組成物は塩酸ナルメフェンの溶液を含む。一部の態様において、経鼻投与する工程は、本明細書に記載のデバイスを用いて行われる。一部の態様において、オピオイド過剰摂取の症状は、呼吸抑制、手術後オピオイド呼吸抑制、意識レベルの変化、縮瞳、心血管抑制、低酸素血症、急性肺傷害、誤嚥性肺炎、鎮静、および低血圧より選択される。一部の態様において、オピオイド過剰摂取の症状は、オピオイドによって誘発される呼吸抑制である。一部の態様において、呼吸抑制は、オピオイドの違法使用または医療用オピオイド治療中のオピオイドの偶発的誤用によって引き起こされる。一部の態様において、呼吸抑制は、天然麻薬および合成麻薬、プロポキシフェン、メサドン、ナルブフィン、ペンタゾシン、ならびにブトルファノールより選択されるオピオイドによって誘発される。一部の態様において、呼吸抑制は、コデイン、モルヒネ、メサドン、フェンタニル、オキシコドンHCl、酒石酸水素ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、メペリジン、プロポキシフェン、アヘン、ヘロイン、トラマドール、およびタペンタドールより選択されるオピオイドアゴニストによって誘発される。
ペンタゾシンなどのアゴニスト-アンタゴニスト(agonist-antagonist)の精神異常発現作用および不快作用を逆転させるためのデバイス、キット、および薬学的製剤、ならびにペンタゾシンなどのアゴニスト-アンタゴニストの精神異常発現作用および不快作用を逆転させる方法であって、逆転を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程であって、前記で提供されたように、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、工程を含む、前記方法も提供される。
急性オピオイド過量投与の疑いを診断するためのデバイス、キット、および薬学的製剤、ならびに急性オピオイド過量投与の疑いを診断する方法であって、診断を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程であって、前記で提供されたように、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、工程を含む、前記方法も提供される。
オピオイド耽溺を処置するためのデバイス、キット、および薬学的製剤、ならびにオピオイド耽溺を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程であって、前記で提供されたように、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、工程を含む、前記方法も提供される。
敗血症ショックを処置するためのデバイス、キット、および薬学的製剤、ならびに敗血症ショックを処置する方法であって、処置を必要とする患者に、ナルメフェンおよびその薬学的に許容される塩より選択される治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程あって、前記で提供されたように、治療有効量が約1mg〜約10mgの塩酸ナルメフェンと等価である、工程を含む、前記方法も提供される。
オピオイド過剰摂取もしくはその症状を処置するため、ペンタゾシンなどのアゴニスト-アンタゴニストの精神異常発現作用および不快作用を逆転させるため、急性オピオイド過量投与の疑いを診断するため、オピオイド耽溺を処置するため、または敗血症ショックを処置するためのデバイス、キット、および薬学的製剤、ならびにオピオイド過剰摂取もしくはその症状を処置する、ペンタゾシンなどのアゴニスト-アンタゴニストの精神異常発現作用および不快作用を逆転させる、急性オピオイド過量投与の疑いを診断する、オピオイド耽溺を処置する、または敗血症ショックを処置する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量のオピオイドアンタゴニストを経鼻投与する工程であって、前記で提供されたように治療有効量が約1mg〜約10mgである、工程を含む、前記方法も提供される。
他の態様
上記で示した詳細な説明は、当業者が本開示を実施するのを助けるために提供される。しかしながら、本明細書において説明および請求された開示の範囲は、本明細書において開示される特定の態様によって限定してはならない。なぜなら、これらの態様は、本開示のいくつかの局面を例示することを目的としたからである。任意の等価な態様が本開示の範囲内にあることが意図される。実際に、本明細書に示され、説明されたものに加えて、本開示の様々な変更が前述の説明から当業者に明らかになり、本発明の発見の精神または範囲から逸脱しない。このような変更はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内であることも意図される。
上記の任意の態様が、これらの態様のうちのいずれか1つまたは複数と組み合わされ得る態様も提供される。但し、この組み合わせが相互排他的でないものとする。上記で開示された任意の態様、または相互排他的でない、その任意の組み合わせと範囲の点での等価な、本明細書において開示される適応症またはその1つもしくは複数の症状の処置における使用および本明細書において開示される適応症またはその1つもしくは複数の症状を処置するための医用薬剤の製造における使用も本明細書において提供される。前記方法および使用は、本明細書において開示される任意のデバイス、もしくは相互排他的でない、その任意の組み合わせ、または本明細書において開示される任意の薬学的製剤、もしくは相互排他的でない、その任意の組み合わせを使用することができる。
以下の実施例は、本開示の好ましい態様を証明することが含まれる。以下の実施例は単に例示として、かつ当業者が本開示を使用するのを支援するために示される。実施例は、本開示の範囲を制限することが全く意図されない。本開示を考慮すれば、当業者は、開示された特定の態様において多くの変化を加えることができ、それでも、本開示の精神および範囲から逸脱することなく同様の、または類似の結果を得ることを理解するはずである。
実施例1:健常な治験参加志願者に鼻腔内投与されたナルメフェンの第1相薬物動態学的評価のためのプロトコールの概要
以下は、Vince & Associates Clinical Research, Overland Park, Kansasで行われた単一施設試験の概要である。米国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)(NIDA)は本試験のIND治験依頼者であった。本試験において用いられる薬物は塩酸ナルメフェン(ナルメフェン)であった。本試験は、約14人の健常な治験参加志願者が登録され、少なくとも10人の対象が全ての試験薬投与とPK評価のための採血を完了するようにデザインされた。14人の第1のコホートを用いて10人未満の対象が本試験を完了したら、合計で少なくとも10人が完了するまで追加の対象をスクリーニングし、登録した。
本試験の目的は、IM注射と比較して、吸収促進剤と共に、および吸収促進剤を伴わずにIN投与されたナルメフェンの薬物動態を比較することと、INナルメフェンの安全性および忍容性を、特に、鼻炎(紅斑、浮腫、およびびらん)について確かめることであった。
一次エンドポイントは、3種類のIN処置法のナルメフェンの薬物動態学的パラメータCmax、Tmax、AUC0-t、およびAUC0-infをナルメフェンのIM投与と比較することであった。処置法は、3mgナルメフェンIN;3mgナルメフェン+0.25%Intravail IN;1.5mgナルメフェンIN;および1.5mgナルメフェンIMであった。
本試験は、14人の健常な治験参加志願者が関与する、入院、二重盲式(IN投与の場合)、無作為化、4期、4処置法、6投与順序(sequence)、クロスオーバー試験になるようにデザインされた。対象を6つの投与順序の1つに割り当て、各投与順序には少なくとも2人の対象を割り当てた。各対象に、4つの投薬期間中に4種類の処置法:3mgナルメフェンのIN投薬、3mgナルメフェン+0.25%IntravailのIN投薬、1.5mgナルメフェンのIN投薬、および1.5mgナルメフェンのIM投薬を与えた。10人未満の対象が本試験を完了したら、合計で少なくとも10人が完了するまで追加の対象をスクリーニングし、登録した。対象は試験全体を完了するために入院施設に17日間滞在し、最終期間が終わった時に退院手続きを完了した後に退院した。退院して3〜5日後に、対象は、退院してからの有害事象(AE)および併用薬を調べる電話を受けた。
インフォームドコンセントを得た後に、病歴、身体検査、臨床化学検査、凝固マーカー、血液学的検査、感染症血清学的検査、尿検査、薬物およびアルコールの尿中毒物学スクリーニング、バイタルサイン、ならびにECGを含めて、本試験に参加する適格性があるかどうか対象をスクリーニングした。入院の翌日に、対象に、IN用に製剤化された薬物を、投薬間に4日あけて無作為化された順番で投与した。4番目の(最後の)処置期間中にナルメフェンのIM用量を投与した。
ナルメフェンPKを得るために、採血を、投薬前に、ならびに試験薬を投与して2.5分後、5分後、10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、および1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、16時間後、24時間後、30時間後、36時間後、48時間後、60時間後、および72時間後に行った。試験薬投与日に、12誘導ECGを投薬の約1時間前に、ならびに投薬の約1時間後および8時間後に行った。バイタルサインを、投薬前に、ならびに投薬して約0.5時間後、1時間後、2時間後、および8時間後に測定した。投薬日での評価の順番は、同じ公称時間に予定された時にはECG、バイタルサイン、次にPK採血であった。PK採血の目標時間が最も重要だとみなされた。採血が、採血の最初の60分間で予定時刻から±1分超ずれていたら、またはその後、予定時刻から±5分超ずれていたら、これはプロトコールからの逸脱とみなされた。ECGおよびバイタルサインを採血の公称時間前、15分以内に収集した。ECGおよびバイタルサインをスクリーニング時、入院時、退院時、および経過観察時に1日1回チェックした。バイタルサインを、試験薬を投与して約24時間後、48時間後、および72時間後にもチェックした。退院前に最後のPK採血を行った後に臨床検査測定を繰り返した。AEを、対象による自発的な報告によって、鼻粘膜検査によって、バイタルサイン、ECG、および臨床検査パラメータの測定によって評価した。
本試験における組み入れおよび除外の基準ならびに安全性評価のためのプロトコールを以下の実施例において詳細に示した。
試験薬およびデザインは以下の通りであった。cGMPナルメフェンはRusan Pharma Ltdから入手した。試験薬は試験施設の薬局に支給された。試験薬を処方するための詳細な説明が薬剤師に提供された。4種類の製剤は以下の通りであった。a)30mgナルメフェンHCl/mL注射用水(WFI); b)30mgナルメフェンHCl/mL WFI+0.25%Intravail; c)15mgナルメフェンHCl/mL WFI; d)1.0mgナルメフェン/mL注射用生理食塩水。
3種類のIN製剤を、1つの鼻孔内への1回の0.1mL噴霧として、Aptarマルチドーズ点鼻スプレーデバイスを用いて、リクライニング位の対象に与えた。IN用量が投与される時には鼻で息をしないように対象に指示した。IM製剤を1.5mLとして、血液試料が得られた腕とは反対側の腕に投与した。
薬物動態(PK)評価のために、投薬前に、ならびに試験薬を投与して2.5分後、5分後、10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、および1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、16時間後、24時間後、30時間後、36時間後、48時間後、および72時間後に採血をして、ヘパリンナトリウムが入っているチューブに入れた。血漿を分析まで-60℃以下で保管した。ナルメフェン血漿中濃度を液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析によって求めた。
分析計画は以下の通りであった。ナルメフェンのCmax、AUC0-t、AUC0-inf、およびTmaxを計算した。ナルメフェンの相対的INバイオアベイラビリティを、用量により補正されたIN投与後AUC0-infと、用量により補正されたIM製剤AUC0-infを比較することによって求めた。
分散分析(ANOVA)の枠組みのなかで、自然対数に変換されたPKパラメータ(用量により基準化されたCmaxおよびAUC)の比較を、投与順序、期間、および処置法が独立因子であった混合効果(mixed effects)モデルを用いて行った。3種類のIN製剤をIM製剤と比較するために、CmaxおよびAUCの最小二乗幾何平均の比の90%信頼区間を作成した。これらの90%信頼区間は、lnスケールに基づく最小二乗平均間の差の90%信頼区間の冪乗(exponentiation)によって得た。
AEを、医薬品規制用語集(MedDRA)基本語の最新バージョンを用いて符号化し、器官別大分類(SOC)の名称によってグループ化した。重篤度、頻度、およびAEと試験薬との関連をSOCグループ化によって基本語で示した。試験薬の各用量の投与後から、試験薬の次の用量の時間または退院までの4つの試験期間について別々の概要を示した。開始日、終了日、重篤度、関連、アウトカム、および持続期間を含む、それぞれの個々のAEのリストを示した。バイタルサイン、ECG、および臨床検査パラメータを要約統計量として示した。
実施例2:試験デザイン
これは、14人の健常な治験参加志願者が関与する、入院、非盲検、無作為化(IN期間のみ)、4期、4処置法、6投与順序、クロスオーバー試験になるようにデザインされた。10人未満の対象が本試験を完了したら、合計で少なくとも10人が完了するまで追加の対象をスクリーニングし、登録した。対象を6つの投与順序の1つに割り当て、各投与順序には少なくとも2人の対象がいた。各対象に4つの投薬期間中に4種類の処置法を与えた。
処置法A:3mgナルメフェンIN用量(1つの鼻孔への30mg/mL WFIの1回の0.1mL噴霧)
処置法B:3mgナルメフェンIN用量と0.25%Intravail(1つの鼻孔への30mg/mL WFI+0.25%の1回の0.1mL噴霧)
処置法C:1.5mgナルメフェンIN用量(1つの鼻孔への15mg/mL WFIの溶液の1回の0.1mL噴霧)
処置法D:1.5mgナルメフェンIM用量(1.5mLの1.0mg/mL注射用生理食塩水)。この処置は期間4で行った。
対象は試験全体を完了するために入院施設に17日間滞在し、期間4で退院手続きを完了した後に退院した。退院して3〜5日後に、対象は、退院してからのAEおよび併用薬を調べる電話を受けた。
インフォームドコンセントを得た後に、病歴、身体検査、身長、体重、BMI、臨床化学検査、凝固マーカー、血液学的検査、感染症血清学的検査、尿検査、尿中毒物学スクリーニング、バイタルサイン、ならびにECGを含めて、本試験に参加する適格性があるかどうか対象をスクリーニングした。入院の翌日に、対象に試験薬を、4種類全ての処置法が投与されるまで投薬間に4日のウォッシュアウト期間を設けて無作為化された順番で投与した(INのみ、期間1〜3)。PK分析のために、投薬前に、ならびに試験薬を投与して2.5分後、5分後、10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、および1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、16時間後、24時間後、30時間後、36時間後、48時間後、60時間後、および72時間後に採血をした。期間4にIM製剤を投与した。
試験薬投与日に、投薬の約1時間前ならびに投薬の約1時間および8時間後に12誘導ECGを行った。バイタルサインを、投薬前に、ならびに投薬して約0.5時間後、1時間後、2時間後、および8時間後に測定した。投薬日での評価の順番は、同じ公称時間に予定された時にはECG、バイタルサイン、次にPK採血であった。PK採血の目標時間が最も重要だとみなされた。採血が、採血の最初の60分間で予定時刻から±1分超ずれていたら、またはその後、予定時刻から±5分超ずれていたら、これはプロトコールからの逸脱とみなされた。ECGおよびバイタルサインを採血の公称時間前、15分以内に収集した。ECGおよびバイタルサインをスクリーニング時、入院時、退院時、および経過観察時にチェックした。バイタルサインはまた投薬後1日1回チェックした。退院前に最後のPK採血を行った後に臨床検査測定を繰り返した。AEを、対象による自発的な報告によって、鼻粘膜検査によって、バイタルサイン、ECG、および臨床検査パラメータの測定によって評価した。
実施例3:対象の選択およびスクリーニング
対象は、臨床施設に17日間滞在し、以下の組み入れ基準および除外基準を満たした健常な治験参加志願者であった。
組み入れ基準:
以下の組み入れ基準を満たした場合に対象を組み入れた:
18〜55才の男性および女性であること;
書面でインフォームドコンセントが得られていること;
BMIが18〜30kg/m2であること;
十分な静脈アクセスがあること;
臨床的に意義のある併発する医学的状態が病歴、身体検査、臨床検査、バイタルサイン、および12誘導ECGによって確かめられないこと;
男性対象が、本試験全体を通して、および最後の試験薬投与後、90日にわたって、女性パートナーとの許容可能な避妊法を用いることに同意していること、精子を提供しないことに同意していること。妊娠の可能性がある女性対象は、本試験全体を通して、および最後の試験薬投与後、30日にわたって許容可能な受胎調節法を用いることに同意していること。経口避妊薬は禁止された;
入院の72時間前から本試験の最後の採血まで、アルコール、キサンチン>500mg/日を含有する飲料(例えば、Coca Cola(登録商標)、コーヒー、お茶など)、もしくはグレープフルーツ/グレープフルーツジュースを摂取しないことに同意していること、または激しい運動に参加しないことに同意していること。
除外基準:
以下の基準のいずれかがあった場合に、対象を除外した:
異常な鼻の解剖学的形態、鼻の症状(すなわち、鼻詰まりおよび/もしくは鼻水、鼻茸など)を含む、あらゆるIN状態があること、または薬物投与前に製品が鼻腔に噴霧されていること、または嗅覚検査で不合格になったこと;
-1日目の前、30日以内に治験薬が投与されていること;
-1日目の14日以内に処方薬もしくはOTC薬、栄養補助食品、ハーブ製品、ビタミンを服用したか、または疼痛緩和のためにオピオイド鎮痛薬を使用したこと;
スクリーニング時または入院時にアルコール、オピオイド、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、ベンゾジアゼピン、THC、バルビツレート、またはメサドンの尿薬物検査が陽性であったこと;
病歴に基づいて以前に、または現在、オピオイド依存、アルコール依存、または他の薬物依存(ニコチンおよびカフェインを除く)があること;
対象がスクリーニングの前月に一日に平均して20本を超えるタバコを吸っていたこと、またはIN投薬の少なくとも1時間前および2時間後に禁煙できなかったこと(もしくはニコチン含有物質の使用を控えることができなかったこと);
収縮期血圧(BP)が90mmHg未満または140mmHg超であり、拡張期BPが55mmHg未満または90mmHg超であり、呼吸数が1分間に8回未満の呼吸(rpm)であるか、または20rpm超であること;
標準的な12誘導ECGにおいて、QTcF間隔が男性の場合、>440msec、女性の場合、>450msecであること;
治験責任医師の判断で重大な急性または慢性の医学的疾患があること;
試験中に併用治療薬が必要となる可能性が高いこと;
-1日目の前、60日以内に、献血もしくは輸血をしていること、または血漿もしくは血小板アフェレーシスを受けていること;
女性の場合、妊娠していること、授乳していること、または試験期間中に、もしくは最後の薬物投与後、30日以内に妊娠する計画があること;
スクリーニング時にHBsAg、HCVAb、またはHIVAbの検査が陽性であったこと;
現在、または最近(スクリーニング前、7日以内に)上気道感染にかかったこと;
異常肝機能検査(ALT、AST、総ビリルビン)が正常上限の>1.5倍であること。
実施例4:試験薬
試験薬の供給元および説明: ナルメフェンの組織名は、17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-6-メチレンモルフィナン-3,14-ジオールである。NIDAは、cGMPグレードのナルメフェンHCl(Rusan Pharma, Ltd.により製造)を臨床施設の薬局に供給した。薬局は、注射用水を用いて、0.25%Intravailを含む30mg/mLの強さのIN投与用ナルメフェンHCl溶液、0.25%Intravailを含まない30mg/mLの強さのIN投与用ナルメフェンHCl溶液、および15mg/mLの強さのIN投与用ナルメフェンHCl溶液を用意した。薬局はまた、滅菌注射用食塩水,USPを用いて、1.0mg/mLの強さのIM投与用ナルメフェンHCl溶液も用意した。IM溶液は、投与のために発売される前に無菌性、発熱性、および他の品質管理検査のために検査された。
薬局は、0.1mLを鼻腔内に送達するAptarマルチドーズ点鼻スプレーデバイスを入手した。
ナルメフェン濃度を求めるために、各投薬溶液のアリコートをResearch Triangle Instituteに送った。
試験薬を処方するための詳細な説明は別の文書で薬剤師によってなされた。
試験薬投与: 対象に投薬し、対象間で少なくとも5分の間隔をあけた。
08:00am〜10:00amに3種類のIN製剤をそれぞれ、1つの鼻孔内への投与により対象に与えた。各製剤の体積は0.1mLであった。3種類全ての製剤を、投薬デバイスを用いて、リクライニング位の対象に投与した。対象は、投薬後、約1時間リクライニング位のままであった。点鼻スプレーを鼻に投与している間は息を止めるように対象に指示した。
各対象に投与した用量の重さを求めるために投薬の前後に各投薬デバイスを秤量した。
IM注射のために、1.5mLの1.0mg/mLナルメフェン溶液を、採血に用いた腕とは反対側の腕に投与した。08:00am〜10:00amの間に対象にIM製剤を与えた。
試験薬の使用記録(Study Drug Accountability): 治験責任医師は、試験全体を通して対象への全ての試験薬投与を日誌に記録した。さらに、試験薬を目録に記入し、投与記録と照らし合わせて監査した。吸入器デバイスに対象IDと日付を書き、臨床モニター(clinical monitor)が使用記録の検証を完了し、治験依頼者がデバイスをどのように廃棄するかを施設に知らせるまで施設に保管しておいた。
使用済/未使用の備品: 本試験の終了時に、未使用の試験薬を目録に記入した。試験薬が紛失または破損したら、その廃棄を記録に残した。未使用の試験薬は、本試験の終了時に廃棄するというNIDAからの指示が出るまで臨床施設に保管された。
実施例5:試験手順
対象スクリーニング評価: 適格性を確かめるための対象スクリーニングを最初に入院前に行い、入院時に完了した。スクリーニング中に行った評価には、人口統計学的情報の収集、病歴、12誘導ECG、身体検査、身長、体重、BMI、鼻腔検査、嗅覚、およびバイタルサイン(心拍、血圧、呼吸数、体温)の測定が含まれた。適格性を保証するために、アルコール、ならびにカフェインを含有する飲料または食品(例えば、コーヒー、お茶、チョコレート、コーラ、およびRed Bull(登録商標)などの飲料)の摂取、ならびに喫煙について対象に尋ねた。医学的尿検査および尿中毒物学スクリーニングのために採尿をした。血液学的検査、化学検査、凝固マーカー、血清妊娠検査(女性の場合)、ならびにウイルス血清学的検査(HIVAb、HBsAg、およびHCVAb)のために採血をした。スクリーニングを開始する前、30日間の処方薬およびOTC薬、栄養補助食品、ハーブ製品、およびビタミンの使用、または疼痛緩和のためのオピオイド鎮痛薬の最近の使用について対象に尋ねた。この情報は、入院時までスクリーニングプロセス全体を通して更新された。
適格性チェックリストを提供し、外来スクリーニング評価の完了時に詳しく調べた。対象にまだ適格性があったら、入院手続きと最終適格性評価の予定を入れた。
18人までの対象(14人を登録する。4人は補欠要員である)が入院手続きを受け、試験-1日目に最終適格性の評価を受けた。少なくとも6人の女性を含む14人の適格性ある対象を無作為化した。
入院スクリーニング手続きを試験-1日目に行った。適格性を確かめるために、最後の来診からの薬の使用に関する最新情報;病歴の最新情報(最後の来診からの新たな疾患または状態);身体検査および鼻腔検査;嗅覚検査;12誘導ECGバイタルサイン[坐位での(5分)血圧、心拍、呼吸速度、および体温](二度繰り返される場合がある);化学検査、凝固、血液学的検査、血清妊娠検査、および尿検査;薬物およびアルコールの尿中毒物学スクリーニング(両方とも、適格性があるには陰性でなければならない)の評価;ならびに適格性チェックリストの調査を行った。
対象の無作為化: 対象がまだ適格性基準を満たしていたら、3種類のIN用量-(i)3mgINナルメフェン(1つの鼻孔への30mg/mL製剤の1回の0.1mL噴霧);(ii)3mgINナルメフェン+0.25%Intravail(1つの鼻孔への30mg/mL+0.25%Intravail製剤の1回の0.1mL噴霧);(iii)1.5mgナルメフェン(1つの鼻孔への15mg/mL製剤の1回の0.1mL噴霧)の順番に無作為化した。
適格性を確かめ、入院手続きを完了した後に、対象を、IN用量を受ける投与順序順番に無作為化した(期間1〜3)。少なくとも2人の対象が各群にいるのを確かなものにするように、6つの可能性のある投与順序のそれぞれに対象を割り当てた。期間1〜3は本試験の二重盲式部分である。無作為化スケジュールはTechnical Resources International, Inc.(Bethesda, MD)によって提供された。
期間4において、対象全員に1.5mgナルメフェンIM(1.5mLの1.0mg/mL溶液)を投与した。薬剤師には、個々の用量を用意するために無作為化スケジュールが提供された。
試験薬投与、PK試料収集、および安全性モニタリング: クロスオーバー無作為化割り付けにおいて指定されたように1日目、5日目、および9日目に試験薬を鼻腔内投与した。13日目に対象全員にIM用量を与えた。投薬の約1時間前に、ECG、血圧、心拍、嗅覚(期間1〜3)、および呼吸速度を測定し、時間を記録した。投薬して約1時間後および8時間後にECGを繰り返し、時間を記録した。投薬前、ならびに各投与の約0.5時間後(リクライニング位)、1時間後、2時間後、および8時間後に、坐位での(5分後)心拍、血圧、および呼吸速度を含むバイタルサインを測定した。
測定は、対象が投与後1時間、リクライニング位のままでなければならなかったので、投薬して0.5時間後に、リクライニング位で行った。IN投薬中およびIM投薬中に、ならびに投与後、少なくとも5分間、医師が同席していた。期間1〜3において投薬前に、投薬して5分後、30分後、1時間後、4時間後、および24時間後に鼻腔を検査した。嗅覚機能を評価するために、嗅覚検査を、スクリーニング時、-1日目(ベースライン);期間1〜3中の投薬前および投薬の4時間後;ならびに退院前に行った。臨床スタッフの一人が、投薬後、少なくとも1時間にわたって対象を観察した。
PK分析のために、投薬前に、ならびに試験薬を投与して2.5分後、5分後、10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、および1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、16時間後、24時間後、30時間後、36時間後、48時間後、60時間後、および72時間後に採血をして4mLヘパリンナトリウムチューブに入れた。投薬日での評価の順番は、同じ公称時間に予定された時にはECG、バイタルサイン、次にPK採血であった。PK採血の目標時間が最も重要だとみなされた。採血時間が、採血の最初の60分間で予定時刻から±1分超ずれていたら、またはその後、予定時刻から±5分超ずれていたら、これはプロトコールからの逸脱とみなされた。ECGおよびバイタルサインを採血の公称時間前、15分以内に収集した。
PK分析のために88の試料において合計352mLの血液を収集した。試験中、臨床検査評価のために、さらに48mL(男性)〜63mL(女性)の血液を収集した。収集した血液の推定総体積は男性は400mL、女性は415mLであった。
食事制限および他の制限: 対象は、投薬前の少なくとも1時間、投薬後の2時間にわたって、ニコチンおよびカフェインまたは他のキサンチンを含有する製品(例えば、コーヒー、お茶、チョコレート、コーラ、およびRed Bull(登録商標)などの飲料)を控えるように求められた。入院試験期間全体を通してアルコール摂取は許可されなかった。対象は、投薬前の少なくとも1時間、投薬後の2時間にわたって喫煙(またはあらゆるニコチン含有物質の使用)を控えなければならなかった。対象は、投薬セッションの前日の真夜中から、試験薬を投与して少なくとも1時間後まで絶食した。水は無制限に提供された。本試験の入院部分の期間中に、全ての食事について共通の食事が提供された。朝食は投薬して約1時間後に提供され、昼食は投薬して約4時間後に提供され、夕食は投薬して約10時間後に提供され、間色は投薬して約13時間後に提供された。
試験薬の中止: 入院中、薬物投与の前後に対象は綿密にモニタリングされた。バイタルサイン、ECG測定値、およびAE報告を用いて、ナルメフェン投与の安全性と、次の用量を投与する妥当性を確かめた。バイタルサインは、ナルメフェン投与前に許容可能な限度内にある必要があった。
試験薬を投与する4回の試験日において、投薬前に満たす必要があるバイタルサイン基準は以下の通りであった(対象は、測定の少なくとも5分前には座っていた)。収縮期血圧:140mmHg以下かつ90mmHg以上。拡張期血圧:90mmHg以下かつ55mmHg以上。心拍:1分間に100回以下の心拍(bpm)かつ40bpm以上。呼吸数:1分間に20回以下の呼吸(rpm)かつ8rpm以上。バイタルサインは1回繰り返すことができた。さらに、入院後どんな時でも、臨床的に意義のある異常なECGがあれば試験薬中止が必要とされた。
併用薬の使用: 対象は、入院期間中に、処方薬もしくはOTC薬、経口避妊薬、ハーブ製品、栄養補助食品、またはビタミンを服用することが許可されなかった。しかしながら、治験責任医師の判断で医学的処置は否定されなかった。
退院: 本試験が終了していても、対象が途中で離脱していても病院から退院する日に、併用薬;AE;化学検査、凝固マーカー、血液学的検査、尿検査、血清妊娠検査;身体検査および鼻腔検査;嗅覚検査;薬物およびアルコールの尿中毒物学スクリーニング;ECG、バイタルサインの評価を行った。
対象が4つ全ての期間を完了したら、4回目の用量投与後、投薬して72時間後に完了する予定であったバイタルサインの代わりに、退院手続き中に収集したバイタルサインを用いた。
退院して3〜5日後に、対象は、退院してからAEがあったか、または薬を使用したかどうか質問する電話を受けた。電話時に、臨床的に意義のあるAEが進行していれば、解決するか、または安定するまでAEを追跡した。
治験参加志願者の中止:
対象の早期終了: 1人の対象の試験参加を終了する基準は以下の通りであった。収縮期血圧>180mmHg、拡張期血圧>110mmHg、呼吸数<8または>24rpmが反復によって確認されたこと;6回を超える上室性頻拍または3回以上の心室性頻拍と定義される重大な不整脈があったこと;QTcF間隔が>500msecであったこと;かなり大きな悪心または腹痛の報告があったこと;かなり大きな胸痛または呼吸困難の報告があったこと;対象の錯乱、発作または発作に似た行動、興奮または協力不能があったこと;対象が実験を離れることを希望したこと、または割り当てられたプロトコール手順の実施において気が進まなくなったか、もしくは協力できなくなったこと。
中止基準を上回ったら、対象を綿密に観察し、病院から退院する前に、または別の処置施設に移す前に正常なベースライン状態への回復を保証するために必要に応じて処置した。2人を超える対象が、過度の心血管変化もしくは行動変化の類似パターン、または他の要因では容易に説明できない薬物投与後のベースラインからの変化のパターンを示したら、試験を止めた。
プロトコール違反のための対象中止: 対象の行動が破壊的であるか、または試験手順と適合しないか、または他の点で病院に残留していることと矛盾しているのであれば、対象を除外するか、または退院させた。
対象の離脱: 自発的に、かつ理由のいかんを問わず本試験から離脱することを希望した対象は全員、義務を伴わずに離脱する権利があった。治験責任医師は、対象が本試験から離脱する理由を記録に残し、これが試験薬と関連付けられると考えたかどうか示した。本試験の完了時に対象に予定されていた、あらゆる手続き/検査を、離脱後、できるだけ速やかに行った。対象は、2回の電話の呼び出しに応じなかったら経過観察に失敗したとみなされた。医学的理由により離脱した対象は、適宜、治験責任医師または他の医師によって経過観察され続けた。
リスクおよび不快感: ナルメフェンの使用に関する安全性データの大部分は、オピオイド薬物を使用した患者からのものであった。オピオイド薬物を使用した患者ではナルメフェンがオピオイド離脱の発生を早めることがある。対象全員にオピオイド薬物の乱用および依存について質問をし、試験中に発生する離脱症状の可能性を最小限にするために本試験の開始前に(メサドンを含む)オピオイド薬物使用について検査した。離脱は、悪心、寒気、筋肉痛、不快気分、腹部疝痛、および関節痛を特徴とする。発生率が1%超のナルメフェンのよくある有害反応は、悪心、嘔吐、頻拍、高血圧、手術後疼痛、発熱、めまい、頭痛、寒気、低血圧、および血管拡張である。発生率が1%未満のナルメフェンの有害事象には、徐脈、不整脈、下痢、口内乾燥、傾眠、抑うつ、興奮、神経過敏、振戦、錯乱、離脱症候群、ミオクローヌス、咽頭炎、そう痒、および尿閉が含まれる。有害事象の発生率は、推奨される1.5mg IMより多い用量のナルメフェンを与えた患者において最も高かった。
実施例6:評価方法
有害事象:
AEの報告は、入院後から施される、会話による調査(verbal probe)(例えば、「気分はどうですか?」)によって引き出された。対象が自発的に報告した、または調査スタッフが観察した、あらゆる事象も記録した。下記の基準に従ってAEの重篤度および試験薬との関連を評価した。
臨床化学検査: 臨床化学検査には、総タンパク質、アルブミン、血中尿素窒素、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、総ビリルビン、ナトリウム、カリウム、塩化物、CO2、カルシウム、グルコース、および総コレステロールが含まれた。これらの評価を行った検査室は直接的にはCAPもしくはCLIAによって規制されたか、または間接的にはCLIAガイドラインに従って規制された。検査室は最新の証明書の写しを提供する必要があった。
凝固マーカー: プロトロンビン時間および活性化部分トロンボプラスチン時間を含む凝固マーカーを行った。これらの評価を行った検査室は直接的にはCAPもしくはCLIAによって規制されたか、または間接的にはCLIAガイドラインに従って規制された。検査室は最新の証明書の写しを提供する必要があった。
人口統計学: 年齢、性別、人種/民族集団、誕生日、ならびにインフォームドコンセントに署名した日および時間を収集した。
ECG: 12誘導ECGを標準的な手順に従って行った。ECGを得る前に少なくとも5分間にわたって対象は仰臥位であった。解釈のために治験責任医師または試験担当医師が結果を詳しく調べた。治験責任医師は、必要であれば、委員会認定の心臓病専門医に相談することができた。Fridericia式を用いてQT間隔を補正した(QTcF)(Fridericia L.S., Acta Medica Scandinavica. 1920; 53:469-586)。
適格性チェックリスト: 組み入れ基準/除外基準を含む適格性チェックリストを外来スクリーニングの終了時に使用し、本試験に参加する適格性を保証するために入院日に詳しく調べた。
血液学的検査: ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球、全白血球;ならびに自動白血球百分比および血小板数を含む全血球計算を行った。これらの評価を行った検査室は直接的にはCAPもしくはCLIAによって規制されたか、または間接的にはCLIAガイドラインに従って規制された。検査室は最新の証明書の写しを提供する必要があった。
感染症血清学的検査: HIVAb、HBsAg、およびHCVAbの血清学的検査をスクリーニング時に行った。これらのウイルスの検査が陰性であった対象だけが本試験に登録される資格があった。HIVAB検査の結果を守秘義務の制約の下で試験施設が保存しておいた。この試験結果に関する情報は決して試験データベースの一部にならなかった。
試験薬投与記録: 試験薬の投与を、試験薬の投与日および投与時間を含む試験薬投与記録の症例報告書(CRF)で報告した。用量、経路、および投与時間を記録した。投与に使用した鼻孔を記録した。問題が起こったら、これらも記録した。
病歴: 医学的適合性を保証するために、可能性のある全ての試験対象に対して、現在および過去のオピオイドの使用、乱用、および依存、ならびに最近の喫煙歴についての質問を含めて病歴を聴取した。女性には受胎調節法の選択について尋ねた。適格性を保証するために、対象には、最近のアルコールの摂取およびキサンチン含有製品の摂取について質問をした。
血漿中ナルメフェンレベル: 直接的な静脈穿刺によって、または採血期間中に、もしくは可能であればそれより長く腕の前腕に留置されたIVカテーテルを介して血液を入手した。それぞれの時点で4ミリリットルの血液を収集して、ヘパリンナトリウムを含有するVacutainer(登録商標)チューブに入れた。血漿中ナルメフェン濃度を、生物分析検査室において、高感度で、かつ特異的な検証済みの液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法を用いて求めた。
鼻炎スコアリング: スクリーニング時、ベースライン時、IN投薬前2時間以内に、ならびに投薬して5分後、30分後、および60分後ならびに4時間後および24時間後に、訓練を受けた観察者が鼻炎を評価した。PK試料が鼻炎評価と一致したら、PK試料を入手した後、5分以内に鼻の評価を行った。
鼻炎スケール
0 - 正常に見える粘膜。出血なし。
1 - 炎症を起こした粘膜(紅斑/浮腫)。出血なし。
2 - 1分以内に止まる微量の出血。
3 - 止まるまでに1〜5分かかる微量の出血。
4 - 4〜60分間にわたる、かなりの出血。医療介入を必要としない。
5 - 潰瘍病変。医療介入を必要とする出血。
嗅覚検査: 嗅覚機能を評価する嗅覚検査を、スクリーニング時および入院時(-1日目);期間1〜3の間、投薬前および投薬して4時間後;ならびに退院前に「Sniffin’ Sticks」を用いて行った。「Sniffin’ Sticks」は、12種類の異なるにおいを用いるスクリーニング検査である。(12種類の品目のうち)10種類以上の特定が正常な嗅覚検査を構成する。本試験に参加する資格があるためには、対象は、スクリーニング時および入院時に12種類のにおいのうち10種類を正しく特定しなければならない。本試験中に10種類未満のにおいを特定した対象を発見したら有害事象(嗅覚低下)と報告した。
身体検査: 口腔、頭部、眼、耳、鼻、頸部、および咽頭、心臓、肺、腹部、肝臓、四肢、皮膚、神経、リンパ節、および精神(精神状態)、ならびに大まかな外見の身体検査をスクリーニング中に医師が行った。スクリーニング時に身長および体重を記録した。対象に本試験の資格があるかどうか確かめるためにBMIを計算した。鼻腔に炎症の証拠(紅斑、浮腫、およびびらん)があるかどうかスクリーニング中および各投薬後に医師が検査した。収集のタイミングが同じであった時には、血液試料を収集した後に鼻腔検査を行った。
以前の薬物および併用薬の使用: スクリーニング開始前30日間に使用した、および入院日までに使用した処方薬およびOTC薬、ハーブ製品、栄養補助食品、ならびにビタミンを以前の薬物として記録した。さらに、入院日から本試験の最終日までに、試験薬以外の対象が服用した、あらゆる薬物を、これらが処方薬またはOTC薬、ハーブ製品、栄養補助食品、およびビタミンであっても併用薬とみなした。経口避妊薬は許可されなかった。AEまたは他の併発疾患を処置するために医師が薬物を処方した場合を除いて併用薬は許可されなかった。以前の薬物および併用薬の使用期間中に試用した全ての薬物を以前の薬物および併用薬のCRFに記録した。
妊娠検査: 女性対象全員を試験するために、ヒトβ-絨毛性ゴナドトロピンを評価する、FDAが認可した定性的血清妊娠検査を現地の臨床検査室が行った。
尿検査: 比重、グルコース、ビリルビン、ケトン、血液、pH、タンパク質、亜硝酸塩、および白血球エステラーゼを対象とした医学的尿検査を現地の臨床検査室が行った。
バイタルサイン: 収集したバイタルサインには、リクライニング位で収集したIN投与後30分間を除く、投薬前後の坐位での(少なくとも5分間)血圧、心拍、および呼吸速度が含まれた。他の全ての時間で、坐位での(少なくとも5分間)血圧、心拍、呼吸速度、および体温をチェックした。
薬物およびアルコールの尿中毒物学スクリーニング: アルコール、オピオイド、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、THC、およびメサドンを対象とした尿中毒物学スクリーニングを現地の臨床検査室が行った。
退院/最終的な対象措置(Final Subject Disposition): 対象措置CRFは、病院からの対象の退院に関する全データ:退院(すなわち、本試験の入院部分の完了または本試験からの早期終了)の理由および退院日を記録に残した。
実施例7:規制上の要件および報告要件
医薬品の臨床試験の実施に関する基準(Good Clinical Practice): 本試験は、医薬品規制調和国際会議ガイダンス文書E6(R1):医薬品の臨床試験の実施に関する基準:統合ガイドライン(International Conference on Harmonization Guidance Document E6(R1): Good Clinical Practices: Consolidated Guideline)の最新バージョンに従って行われた。オペレーションマニュアルは試験品質保証ツールとして全治験施設に提供された。
FDAフォーム1572: 治験責任医師は、本試験を開始する前に治験責任医師の声明書(Statement of Investigator)(FDAフォーム1572)に署名した。フォーム1572は必要に応じて更新された。
IRB認可: 本試験を開始する前に、治験責任医師は、本試験を行うための記録の認可をIRBから書面で得た。試験プロトコールの変更が必要になったら、実施前にIRB認可のために施設の治験責任医師がプロトコール改訂を地元のIRBに書面で提出した。さらに、NIDAおよび地元のIRBは、対象の募集に用いる全ての広告材料と、対象に渡される、あらゆる教育材料を認可した。進捗状況報告書を地元のIRBに年1回、またはIRBが要求した頻度で提出した。
インフォームドコンセント: 可能性のある全ての試験対象に、家に持ち帰って読むためにインフォームドコンセント用紙の最新の写しを渡した。本試験の全ての側面を平易な言葉で説明した。試験対象全員に、署名入りのインフォームドコンセントの写しを渡した。
薬剤の使用記録(Drug Accountability): 受け取り次第、治験責任医師または委任された者(designee)は試験薬の在庫目録を作成する責任を負った。この在庫目録の記録を残し、使用量を記録に残した。未使用の試験薬または期限切れの試験薬を全て治験依頼者の指示に従って廃棄した。
外部モニタリング:
メディカルモニター: 本試験のためにメディカルモニターを任命した。メディカルモニターは、あらゆる重篤有害事象(SAE)の重篤度、試験介入との関連性について治験責任医師および治験依頼者に勧告することができ、7日以内もしくは15日以内の速報(expedited report)または年次報告書でSAEをFDAに報告すべきかどうか決定することができた。メディカルモニターはまた、報告されたAEを追跡し、その傾向を評価する責任も負った。メディカルモニターおよび治験責任医師がSAE評価について同意しなかったら、両方の意見がFDAに報告された。
臨床モニター: 治験責任医師は全員、治験依頼者の代表者が対象一人一人の全ての症例報告書(CRF)と対応する元文書を試験中および試験後に互いに都合の良い時間で定期的にモニタリングするのを許可した。これらのモニタリング訪問により、治験依頼者は、本試験の経過を評価する機会と、治験依頼者に潜在的な問題を知らせる機会が得られた。モニターは、提出されたデータが正確であり、かつ元文書と一致することを断言し、治験薬が適切に保管され、説明されていることを確認し、試験に参加するという対象の同意が適切に得られ、記録に残されていることを確認し、本試験に参加した研究対象が組み入れ基準と除外基準を満たしていることを確認し、GCPガイドラインにより求められる全ての必須文書が適切に提出されていることを断言した。
モニターは、本試験の開始前に試験開始訪問を行った。この訪問時に、モニターは正しい試験関連文書が存在することを断言し、試験の手続きおよびGCPガイドラインにおいて治験責任医師および他の施設職員の訓練を手助けし、試験備品の受領書を確認し、本試験を行うために、許容可能な施設とスタッフを利用できることを断言した。
NIDAの代表者による定期的なモニタリング訪問を適切な間隔で予定した。これらの訪問時に、モニターは、プロトコールガイドラインに従って試験の手続きが行われていることを確認し、AEおよびSAEならびに薬剤の使用記録を詳しく調べた。本試験の終了時に、モニターは試験記録の保管について助言し、治験依頼者の指示に従って未使用の試験薬の廃棄について助言をする。
有害事象の報告: FDA報告要件に従って、治験責任医師または治験分担医師は下記の手続きに従って、臨床試験中に発生した全てのAEを収集し、記録に残し、報告した。AEの発生を、対象に第1の用量の試験薬を与えた時から本試験の入院部分の間は毎日、退院までと、最後の経過観察のための電話による接触時に評価した。
AEは、事象が試験薬に関連するか、または臨床的に意義があるとみなされても、みなされなくても、臨床試験中に発生した、あらゆる反応、副作用、または不適当な事象と定義された。本試験のために、対象が報告した事象、ならびに身体検査、バイタルサイン、ECG、または検査室評価に関する臨床的に意義のある異常所見をAE CRFに記録した。新たな病気、症状、徴候、または臨床的に意義のある臨床検査値異常、または既存の状態もしくは異常の悪化はAEとみなされた。臨床試験に参加する前に存在し、悪化しなかった、関節炎などの安定した慢性状態はAEとみなされなかった。
重篤度に関係なく、本試験の入院部分の間に記録された全てのAEが、満足のいく解決が出るまで試験担当医師によって追跡された。AEは、退院後、最終経過観察の日まで報告することが求められた。経過観察来診時にAEを記録および追跡した。AEが重篤であった場合、または試験担当医師がAEに臨床的に意義があると評価した場合にのみ解決するまでAEを追跡した。
重篤有害事象: それぞれの有害事象または有害反応は、試験担当医師によって重篤なもの、または重篤でないものと分類された。有害事象または有害反応の重篤性に基づいて適切な報告手続きに従った。米国連邦規則集21章パート312.32、および米食品医薬品局によって施行される、産業:臨床安全性データ管理:速報用の定義および規格(Industry: Clinical Safety Data Management: Definitions and Standards for Expedited Reporting)のための医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン, ICH-E2A March 1995は、重篤有害事象(SAE)または重篤な有害薬物の経験を、任意の用量での、(i)死亡の原因となる、(ii)命にかかわる(注:「重篤な」の定義での「命にかかわる」という用語は、対象が事象時に死亡するリスクがある事象を指し、もっと重篤な場合でも、仮説の上で死亡の原因となり得る事象を指さない)、(iii)入院または現行の入院の延長を必要とする、(iv)永続的な、または重大な身体障害/無能力をもたらす、あるいは(v)先天性異常/出生時欠損である、不適当な医学的オカレンス(occurrence)と定義する。
さらに、死亡の原因とならない可能性があるか、命にかかわらない可能性があるか、または入院を必要としない可能性がある重要な医学的事象は、適切な医学的判断に基づいた時に、対象に危険にさらす可能性があり、かつ上記の定義で列挙したアウトカムの1つを阻止するための医学的介入または外科的介入を必要とする可能性がある重篤有害薬物反応とみなされた。
予期していなかったAEは、最新の製品添付文書において性質、重篤度、または頻度について述べられていないAEである。
AEおよびSAEの報告を下記で説明する。SAE報告について定めるFDA規則を遵守しなかった治験依頼者については最終的に、刑事上および/または民事上の罰則を含む重大な結果があった。本試験における治験責任医師は、NIDAがこれらの規制に遵守できるように、全てのSAEを、NIDAの任命されたメディカルモニターに即座に報告する責任を負っていた。
試験対象が本試験から離脱した場合、または治験責任医師がSAEのために本試験から対象を中止するのを決めた場合、対象は、必要に応じて入院を含む、適切な経過観察医学的モニタリングを有することが求められた。入院を促す問題が解決するまで、もしくは予測されたさらなる変化がなく安定するまで、または治験薬、または進行して死に至ることと明らかに関連しないと発見されるまで、モニタリングは続いた。
実施例8:分析計画
試験エンドポイント: 本試験の一次エンドポイントは、3種類のIN処置法およびIM処置法:3mgナルメフェンIN、3mgナルメフェン+0.25%Intravail IN、1.5mgナルメフェンIN、および1.5mgナルメフェンIMとして投与されたナルメフェンの薬物動態学的パラメータCmax、Tmax、AUC0-t、およびAUC0-infであった。
本試験の二次エンドポイントは、ナルメフェン投与後の二次薬物動態学的パラメータおよび有害事象(AE)、バイタルサイン(心拍、坐位での血圧、および呼吸速度)、心電図(ECG)、臨床検査変化、ならびに鼻炎(紅斑、浮腫、およびびらん)を確かめることであった。
試験集団:
安全性集団: 安全性集団は、試験薬が少なくとも1回投与された全対象を含んだ。
PK評価可能集団: 評価可能集団は、意義のあるPKパラメータを導き出すのに十分なサンプリング時点を用いて少なくとも1回の処置を完了した全対象を含んだ。
試料サイズ: このパイロット試験は、本試験の条件下でINナルメフェンのPKに関する情報を得るようにデザインされた。対象の数は、このタイプの試験に適切な数であると思われた。
記述統計学: 人口統計学(N、年齢、体重、身長、BMI、性別、人種、および民族集団)をまとめたものを示した。各性別についての人口統計学(N、年齢、体重、身長、BMI、人種、および民族集団)も計算した。
PKデータ分析: 経時的な個々の血漿中濃度を表にし、まとめた。以下の要約統計量:N、算術平均、算術平均のSD、中央値、最小値、および最大値を示した。血漿中濃度対時間曲線(個別および平均)を示した。
薬物動態学的パラメータ(Cmax、Tmax、AUC0-t、AUC0-∞、t1/2、λz、および見かけのクリアランス(CL/F)(表1))は、ノンコンパートメント法とPKソフトウェアプログラム(Phoenix WinNonlinバージョン6.3以上、Pharsight Corp, Mountain View, CA.)または同等物を用いて計算した。
個々のPKパラメータを表にし、まとめた。PKパラメータについて以下の要約統計量:N、算術平均、算術平均のSD、幾何平均、幾何平均のSD、中央値、最小値、および最大値を示した。TmaxをN、中央値、最小値、および最大値で示した。
PKパラメータの統計解析: ナルメフェンのCmax、AUC0-t、およびAUC0-inf投与の比較を計算した。用量により補正されたIN投与後AUC0-infと、用量により補正されたIM製剤AUC0-infを比較することによって、3種類のIN投与後のナルメフェンの相対的INバイオアベイラビリティを求めた。
ANOVAの枠組みのなかで、自然対数に変換されたPKパラメータ(CmaxおよびAUC)の比較を、投与順序、期間、および処置が独立因子であった混合効果モデルを用いて行った。3種類のIN製剤をIM製剤と比較するために、CmaxおよびAUCパラメータの最小二乗幾何平均の比の90%信頼区間を作成した。これらの90%信頼区間は、lnスケールに基づく最小二乗平均間の差の90%信頼区間の冪乗によって得た。
安全性データ分析: 収縮期血圧および拡張期血圧、心拍、体温、ならびに呼吸速度の臨床的に意義のある値を示した。臨床的に意義のあるECG変化を投薬セッション(dosing session)によって示した。
有害事象: AEを、医薬品規制用語集(MedDRA)基本語の最新バージョンを用いて符号化し、器官別大分類(SOC)の名称によってグループ化した。重篤度、頻度、およびAEと試験薬との関連をSOCグループ化によって基本語で示した。各投薬後から次の用量の時間または退院までの4つの試験期間について別々の概要を示した。開始日、終了日、重篤度、関連、アウトカム、および持続期間を含む、それぞれの個々のAEのリストを示した。
臨床検査パラメータ: 分析物の臨床的に意義のある濃度を、各群について投薬セッションによって示した。
欠測データ:: 欠測データを帰属させなかった。要約統計量に反映されるデータ点の数を、観察の数を表すことによって示した。
実施例9:データ管理および症例報告書
データ管理業務および統計解析支援はデータ管理センターを通じてコーディネートされた。
データ収集: データを試験施設で収集して元文書に記載し、施設で症例報告書(CRF)に転記した。CRFはデータ管理センターによって支給された。CRFは、本試験中は継続的に完成しなければならなかった。カルテおよび元文書はデータ検証の出所であった。臨床モニターは、完成したCRFを、試験全体を通して定期的に元文書と照らし合わせてモニタリングした後に収集した。治験責任医師は、対象一人一人について正確、完全で、かつ最新の記録をとっておく責任を負っていた。治験責任医師はまた、臨床検査データ、ECG追跡などを含む、試験に関連する、あらゆる元文書をとっておく責任も負っていた。
症例報告書の完成: 電子CRF(eCRF)を対象一人一人に支給した。対象の識別子および各評価の実際の日付(該当する場合は時間)をeCRFに入力した。治験責任医師は、対象一人一人の完成した最終eCRFを詳しく調べ、完全かつ正確であると証明することを表明するために、その適切なCRFページに署名し、日付を入れた。
データ編集および管理: データ管理センターで受け取ったデータを詳しく調べ、検証し、編集した後にメイン試験データベースに入力した。不完全または不正確なデータが発見されたら、対応のためにデータ明瞭化の要求(data clarification request)を臨床施設に回した。施設はデータの不整合および誤りを解決した後に、データをデータ管理センターに戻した。データの全ての訂正および変更を詳しく調べた後にメイン試験データベースに入力した。データベースへのデータ入力は、データベースに入力した全データの100%品質管理検証を伴って単一データ入力手順(single-data entry procedure)を利用した。
適切な文書に記載して提出されたデータが施設にある元文書と一致することを断言するために、治験責任医師は、治験依頼者の任命されたモニターによる定期データ監査に同意した。治験責任医師はまた、治験薬が適切に保管され、説明されており、試験参加のための対象インフォームドコンセントが得られ、対象の経過記録に残されており、GCPガイドラインに従う全ての必須文書が整理され、施設が研究プロトコールに従って試験を行っていることも確認した。あらゆる不整合を解決し、データ文書への、あらゆる変更を、確立したデータ管理センター手続きを用いて加えた。
データ処理: 各CRFから各データ項目を取り込んだeCRFからデータベースを構築した。データを手作業で、および電子的に検証した。統計解析のためにロックおよび解除する前にデータベースは100%品質保証監査を受けた。
AE CRFから全てのAE情報をメイン試験データベースに入力した。AEを、データベース閉鎖時にMedDRAの最新バージョンを使用し、基本語および器官別大分類の名称を用いて符号化した。
試験文書および記録保管: 試験文書には、全てのeCRF、データ訂正書、ワークブック、元文書、モニタリング記録および予約スケジュール、治験依頼者および治験責任医師の通信文ならびに規制上の文書(例えば、署名入りのプロトコールおよび改訂、IRBの通信文および認可された同意書および署名入りのインフォームドコンセント文書、治験責任医師の声明書、ならびに臨床備品の受領書および配布記録)が含まれた。
元文書には、全ての観察記録元本または臨床活動メモならびに臨床調査研究の評価および再構築に必要な全ての報告および記録が含まれた。従って、元文書には、検査室報告、ECG追跡、X線、放射線科医の報告、対象の日記、生検報告、超音波写真、対象の経過記録、病院カルテまたは薬局記録、およびプロトコールに従って行われた、あらゆる手続きの他の任意の類似する報告または記録が含まれたが、これらに限定されなかった。
可能な時には必ず、観察記録の元本を元文書として保管した。しかしながら、写真複写が元文書の明瞭、判読可能で、かつ正確な複製物であれば許容された。
政府機関の規制および指令により、治験責任医師は、臨床試験の実施に関する全ての試験文書を保管することが求められた。これらの文書は、INDの中止後最低2年間、またはNDAの認可後2年間にわたって保存しなければならない。
秘密の保全:
データの秘密の保全: 治験責任医師およびIRBに提供された機密情報(proprietary information)が、治験責任医師およびIRBによって秘密扱いされている場合にのみFDAによって秘密扱いされることを部分的に定める情報自由法の下で、米食品医薬品局(FDA)によって公布された規則に注意を払った。
治験責任医師は、このプロトコールに署名をすることで、NIDAにより治験責任医師に提供された情報が秘密扱いされ、このような情報が、IRB、専門委員会;関連機関;および従業員との秘密の保全の適切な理解がある場合に限って、このような委員会(board)または委員会(committee)、関連機関、および従業員に明かされることをNIDAに確約する。
対象記録の秘密の保全: 対象の秘密の保全を維持するために、全ての検査室標本、eCRF、報告、および他の記録が、符号化された試験対象番号とアルファコード(alpha code)でのみ識別された。研究および臨床記録を、鍵をかけたキャビネットに入れて保管した。研究スタッフ、NIDAモニタリング契約者、およびNIDAプログラム職員しか記録にアクセスすることができなかった。対象情報は、FDA、NIDAモニタリング契約者、またはNIDA職員によるモニタリングが必要な場合を除いて書面での許可がなければ公開されなかった。
実施例10:有害事象および重篤有害事象の評価および報告
大まかな手順: 第1の用量の試験薬を投与した後にAEを記録した。AEをAE CRFに記録した。以下のガイダンスに従って事象の重篤度を報告した。以下のガイダンスに従って事象と試験薬投与との関連性を報告した。
事象の重篤度: 軽度:症状を自覚しているが、容易に耐えることができる。中程度:日常活動を妨害するのに十分な不快感。重度:仕事ができないか、または日常活動ができず、普通に生活できない。
事象の関連性: 試験担当医師は、試験担当医師の判断で、AE/SAEと試験薬との関連を規定する責任を負った。AE/SAEが試験薬または別の原因(例えば、基礎疾患の自然の経歴、併用療法など)に起因する確実性の程度は、この経験が以下の1つまたは複数の点でどの程度理解されているかによって決定された。
曝露:対象が試験薬に曝露された証拠があるか?
試験薬の投与のタイミング:試験薬投与からの妥当な時系列でAE/SAEが起こったか。
試験薬安全性プロファイルとの一致:動物およびヒトにおける試験薬の既知の薬理学および毒物学;試験薬を用いて同様の内容の反応が以前に述べられている。
併用薬、併発疾患、治療効果のない療法、診断検査、手順、または他の混乱させる発見などの有害事象の他の説明。
試験薬の中止に対する応答:試験薬とAE/SAEとの関連の評価に用いられた用語および定義は以下の通りであった。
不明:このカテゴリーは、AE/SAEの原因を確かめることができなかった場合にのみ使用しなければならなかった。
全く関連しない:対象に試験薬が与えられなかったか、試験薬投与に対するAE/SAE発症の時系列が妥当でなかったか、または別の明らかなAE/SAE原因があった。
関連する可能性が低い:試験薬への曝露の証拠があったか、またはもっと可能性が高い別のAE/SAE原因があった。
関連する可能性がある:試験薬への曝露の証拠があり、試験薬投与に対するAE/SAE発症の時系列が妥当であったが、AE/SAEは、可能性が等しい別の原因によるものであった可能性がある。
ほぼ確実に関連する:試験薬への曝露の証拠があり、試験薬投与に対するAE/SAE発症の時系列が妥当であり、AE/SAEは、試験薬によって、他のどの原因よりも説明がつく可能性が高い。
確実に関連する:試験薬への曝露の証拠があり、試験薬投与に対するAE/SAE発症の時系列が妥当であり、AE/SAEは、試験薬によって、他のどの原因よりも説明がつく可能性が高く、AE/SAEは、試験薬または試験薬クラスの以前の知識と一致するパターンを示した。
具体的な指示-検査室/ECG有害事象: 検査室またはECG AEは試験薬に関連するとみなされても、みなされなくても、本試験中に発生する試験変数の、あらゆる臨床的に意義のある悪化である。それぞれのこのような変化について、検査日に要求された情報、重篤度、試験薬との関連の可能性、AEによる試験薬投与量の変化、および必要とされた処置を示した。
全ての検査室AEを、試験結果の増加もしくは減少(例えば、「グルコース増加」、「カリウム減少」)または異常を示す用語(例えば、高カリウム血症、高窒素血症、低カリウム血症、または徐脈)と明記した。臨床的に意義がないとみなされた、あらゆる異常検査室値を、臨床検査報告CRFに臨床的に意義がないと、その決定を正当化するコメントと共に記録した。
重篤有害事象および予期していなかった有害事象の報告:
24時間報告要件: 試験薬に関連していてもいなくても、入院時から退院まで、あらゆる対象に発生した、あらゆる原因による、死亡を含む、あらゆる重篤有害事象を24時間以内にNIDAメディカルモニターおよびNIDAプロジェクト担当官に電子メールで報告した。
全ての有害事象/重篤有害事象の経過観察: 全ての医学的有害事象を解決するまで、またはAE/SAEの解決を確かめる全ての試みを使い果たすまで追跡した。これにより入院期間の延長または外来から入院への状況の変更が必要とされた。全ての処置、アウトカム、および追加の経過観察のために対象がプライマリケア提供者(Primary Care Provider)のもとへ回されたかどうかについての情報を元文書に記録した。最後の安全性評価までに発生した全ての重篤なAEおよび予期していなかったAEを報告した。経過観察18〜20日目のAEの全てを記録し、AEが重篤であった場合、または試験担当医師がAEが臨床的に意義があると評価した場合にのみ、AEを解決するまで追跡した。
治験責任医師は、事象の徹底的な理解と、試験薬との関連に関する判断を容易にするのに必要な全ての関連する経過観察情報をメディカルモニターおよびIND治験依頼者に提供することが求められた。
FDAへの報告: IND治験依頼者は、SAEを、
SAEが予期していなかったものであり(または、予期していたものであれば、普通よりも重篤な、もしくはまれにしか見られないものであり)、命にかかわるか、または致死性であり、少なくとも試験薬と関連する可能性がある場合には7日以内に、書面による経過観察報告で8日以内にFDAに報告することが求められ;
SAEが予期していなかったものであるが(または、予期していたものであれば、普通よりも重篤な、もしくはまれにしか見られないものであるが)、すぐに命にかかわるものでない場合には15日以内にFDAに報告することが求められ;
他の場合には年次報告書でFDAに報告することが求められた。
実施例11:PKパラメータの概要
以下の表2は、ナルメフェンを健常対象に1回、鼻腔内投与および筋肉内投与した後のナルメフェンの平均(%CV)血漿中濃度を示す。変動係数をパーセント(%CV)で表し、括弧内に示した。
(表2)ナルメフェンを健常対象に1回、鼻腔内投与および筋肉内投与した後のナルメフェンの平均(%CV)血漿中濃度
N=10〜14
定量下限(LLOQ)=0.2ng/mL
図1Aおよび1Bならびに以下の表3から分かるように、Intravail(登録商標)(ドデシルマルトシド)はINナルメフェンのTmaxを短縮して、IM注射よりももっと速くする。Intravail(登録商標)が無い場合、2時間のTmaxではINナルメフェンは過剰摂取に対する初期対応(救出)薬として使用できないが、それでも半減期(T1/2)が長いので第2の薬物または経過観察薬(follow-up medication)として適しているだろう。(横列2から分かるように)Intravail(登録商標)を用いると、用量により基準化されたCmaxはIM投与と比較した時でも激増した。データから分かるように、Intravail(登録商標)は本物の吸収促進剤であり、吸収の速度を上げ、吸収を促進するが、(IMと比べて)INナルメフェンのバイオアベイラビリティを変えず、半減期を変えない。
Intravail(登録商標)はINナルメフェンのAUCを変えなかったが、ナルトレキソンを用いた結果は違ったことに留意しなければならない。ナルトレキソンを用いた場合、AUCは有意に増加した(データは示さず)。この重要な違いはオピオイドアンタゴニストの構造に基づいても、オピオイドアンタゴニストとしての、これらの部分の機能に基づいても予測することができなかった。
(表3)ナルメフェンを健常対象に1回、鼻腔内投与および筋肉内投与した後のナルメフェンの薬物動態の平均
a:N=14
b:N=13
c:中央値(最小値、最大値)
鼻腔内ナルトレキソンの製剤
以下の表は、本明細書において開示される処置のための鼻腔内投与用ナルメフェン製剤の例について説明する。表4は、約100μL刻みで調剤された簡単な水溶液製剤、例えば、上記の実験で用いられた水溶液製剤について説明する。
表5は、賦形剤、例えば、等張剤、安定化剤、および/または防腐剤もしくは界面活性剤として作用する化合物を含む水溶液100μLに溶解した、鼻腔内投与用製剤について説明する。EDTAはエデト酸二ナトリウムを表し、BZKは塩化ベンザルコニウムを表す。
pH 3.5〜5.5を実現するのに十分な量の塩酸をさらに含有する、実施例1〜31Aも提供される。酸は、薬学的に許容される酸、例えば、塩酸でなければならない。
本発明は、上記の実施例において、本発明の、ある態様の具体的な詳しい説明を参考にして説明されたが、本発明の精神および範囲の中には変更および変化が含まれることが理解される。