JP2019534289A - 相乗的に抗菌効力及び耐久性を改善するポケット再設計バンコマイシン類似体への末梢修飾 - Google Patents

相乗的に抗菌効力及び耐久性を改善するポケット再設計バンコマイシン類似体への末梢修飾 Download PDF

Info

Publication number
JP2019534289A
JP2019534289A JP2019522839A JP2019522839A JP2019534289A JP 2019534289 A JP2019534289 A JP 2019534289A JP 2019522839 A JP2019522839 A JP 2019522839A JP 2019522839 A JP2019522839 A JP 2019522839A JP 2019534289 A JP2019534289 A JP 2019534289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vancomycin
compound
ala
pharmaceutically acceptable
acceptable salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019522839A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019534289A5 (ja
JP7104424B2 (ja
Inventor
デイル エル ボガー
デイル エル ボガー
Original Assignee
ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ スクリプス リサーチ インスティテュート, ザ スクリプス リサーチ インスティテュート filed Critical ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
Publication of JP2019534289A publication Critical patent/JP2019534289A/ja
Publication of JP2019534289A5 publication Critical patent/JP2019534289A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7104424B2 publication Critical patent/JP7104424B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K9/00Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K9/006Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof the peptide sequence being part of a ring structure
    • C07K9/008Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof the peptide sequence being part of a ring structure directly attached to a hetero atom of the saccharide radical, e.g. actaplanin, avoparcin, ristomycin, vancomycin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K7/00Peptides having 5 to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K7/50Cyclic peptides containing at least one abnormal peptide link
    • C07K7/54Cyclic peptides containing at least one abnormal peptide link with at least one abnormal peptide link in the ring
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

結合ポケット修飾バンコマイシンへのC末端修飾は、結合ポケット修飾バンコマイシン類似体に、D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合に依存しない第2の作用機構を与える四級アンモニウム塩を導入する。この修飾は細胞壁完全性を破壊し、細胞壁合成のグリコペプチド阻害に補完的な細胞壁透過性を誘導し、バンコマイシン耐性菌に対する抗菌効力の相乗的改善(200倍)をもたらす。C末端及び結合ポケット修飾を、バンコマイシン二糖への直交(4-クロロビフェニル)メチル付加と組み合わせると、その活性が3つの独立した相乗的作用機構に起因する可能性があり、作用機構の1つだけがD-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合を必要とする、さらに強力な抗菌薬を与える。結果として生じる修飾バンコマイシンは、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)の連続曝露によって獲得される耐性の傾向をほとんど示さず、該曝露に対するそれらの耐久性のみならずそれらの抗菌効力は予測可能な傾向に従う。修飾バンコマイシンによる治療方法及び修飾バンコマイシンを含有する組成物を開示する。【選択図】図1

Description

説明
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその開示内容を本明細書に援用する2016年10月31日に提出された米国出願第62/415,191号に対する優先権を主張する。
政府の支援
本発明は、国立保健研究所/国立癌研究所からの助成金CA041101及びF32 GM114948に従って政府の支援を受けて行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
本発明は、バンコマイシン類似体分子であって、該分子の3つの異なる部分が3つの手段で修飾されるバンコマイシン類似体分子に関する。結果として修飾されたバンコマイシン化合物は、バンコマイシン感受性菌においてもバンコマイシン耐性菌においてもバンコマイシン自体より多数倍強力である。修飾されたバンコマイシンを含有する医薬組成物及び修飾されたバンコマイシンを用いる細菌感染哺乳動物の治療方法をも企図する。
最近、細菌耐性の持続的かつ重大な脅威に取り組むための新しい抗生物質の必要性に対して再び焦点が向けられてきている。[WHO, Antimicrobial Resistance.Global Report on Surveillance 2014; Geneva, Switzerland, 2014; Centers for Disease Control and Prevention. Antibiotic Resistance Threats in the United States; Atlanta, GA, 2013, p 144]。今や新しい治療選択肢より速く出現する細菌耐性がもたらす課題に取り組むために数多くの措置が進められている。これらの措置としては、新しい抗生物質を開発するする際の経済的利益低下に対抗するための新たな報奨金の提供[Laxminarayan, In Extending the Cure, Policy Responses to the Growing Treat of Antibiotic Resistance, Laxminarayan et al. Eds., Chapter 1, pp 25-37]、新薬承認の規制基準の改訂、感染性生物の診断的特徴づけ速度の改善、全国的耐性調査監視の強化、耐性の標的となる機構に科学的焦点を仕向けること、抗生物質開発のための新しい治療標的及び手法の特定、並びに抗生物質の適正使用支援の擁護がある[Mullard, Nat. Rev. Drug Discovery 2014, 13:711-713;Sinha et al., Bioorg Med Chem 2016, 24(24):6446-6451;Brown et al., Nature 2016, 529:336-343]。
魅力的に思われるが、抗生物質使用を制限する最近の試みは、それらの重要性に反するようであり、それらの大部分の正当な使用にさえ罪悪感をもたらし、経験的な最良の推測初期治療及び予防的展開の支配的実践に異議を唱え、残念ながら抗生物質の開発及びそれらの実用への意欲をさらにくじくことになる[Mullard, Nat. Rev. Drug Discovery 2014, 13:711-713]。このようなイニシアティブは、現代医学における新たな抗生物質の発見及び抗生物質の根本的重要性に対する差し迫った必要性を強調するが[Wright, ACS Infect. Dis. 2015, 1:80-84]、それらは、進化的に引き起こされ、獲得される耐性という根底にある問題に直接取り組む新しい手法又は設計概念をほとんど明確にしていない[Sinha et al., Bioorg Med Chem 2016, 24(24):6446-6451;Laxminarayan, Science 2014, 345, 1299-1301]。
耐性の機構は古く、病原菌にますます蓄積し、今やこの細菌の抗生物質耐性の源の大きな要素を獲得及び資化している[Hamad, Nat. Rev. Drug Discovery 2010, 9:675-6;Wright, et al., Trends Microbiol.2012, 20:157-159]。さらなる、おそらくさらに重要な尋ねるべき質問は、細菌耐性の原因である進化及び選択の力に打ち勝ち、耐性発現しにくいか又は耐性発現に鈍感でさえあり、耐性の一般的機構の多くを回避し、かつ広汎な使用にかつてないほど耐久性である抗生物質を現在設計できるかである。抗生物質の制限された使用を擁護するか又は細菌が常に我々の裏をかくのを譲歩することに代わる手段として、継続的又はさらに広汎にさえ使用できるさらに耐久性の抗生物質を開発することができる。
本明細書では、このような進化的力に直接取り組める計画的設計によって耐久性抗生物質を作り出す。多くの耐性機構を回避する特徴を既に与えられている抗生物質クラスとしてグリコペプチド系抗生物質を特定した。耐性の唯一の優勢機構の分子基盤を直接克服するように設計された構造変化の導入後に、分子に追加の、今や複数の相乗的作用機構を与え、それによって分子の効力を高めるのみならず、耐久性抗生物質をも作り出す末梢構造変化を分子に引き起こして調べた。
最近の開示は、グリコペプチド系抗生物質の特質を考察しており[Glycopeptide Antibiotics; Nagarajan, Ed.; Marcel Dekker: New York, 1994;Kahne et al., Chem. Rev. 2005, 105:425-448]、これがクリニックにおけるそれらの持続的有効性に寄与している[James et al., ACS Chem. Biol. 2012, 7:797-804]。バンコマイシン[McCormick et al., Antibiot.Annu.1955-1956, 606-611]、テイコプラニン[Parenti et al., J. Antibiot. 1978, 31, 276-283]、及び3つの最近承認された半合成誘導体、オリタバンシン(2014年8月)[Markham, Drugs 2014, 74(15):1823-1828]、ダルババンシン(2014年5月)[Anderson et al., Drugs 2008, 68:639-648]、及びテラバンシン(2009年9月)[Corey et al., Nat. Rev. Drug Discovery 2009, 8:929-930]が広く使用されて、難治性細菌感染症、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症等を治療する[Zhanel et al., Drugs 2010, 70:859-886]。
バンコマイシン(以降1)[Harris et al., J. Am. Chem. Soc. 1983, 105:6915-6922]は、1956年に開示され、1958年にクリニックに導入された[McCormick et al., Antibiot. Annu. 1955-1956, 606-611]。臨床使用がほぼ60年たってさえ、また農業家畜用グリコペプチド系抗生物質(アボパルシン)の過去の広汎な使用によってさえ、バンコマイシン耐性病原はゆっくりしか出現せず、バンコマイシンは今日不可欠かつますます重要な抗生物質のままである。
臨床的耐性は最初にバンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE、1987)で観察され、臨床使用の30年後にのみ検出されたが[Leclercq et al., N. Engl. J. Med.1988, 319:157-161]、今はバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) (VRSA、2002)も含まれる[Weigel et al., Science 2003, 302:1569-1571]。
VRSAの治療選択肢は制限され、より新しい世代のグリコペプチド系抗生物質を越えて、これらは現在、急速に耐性を誘起することが分かっている抗生物質(例えばリネゾリド、ダプトマイシン)を含む[Brickner et al., J. Med. Chem. 2008, 51(7):1981-1990;Baltz et al., Nat. Prod. Rep. 2005, 22(6):717-741]。結果として、これらの最近の抗生物質は、難治性感染症に対して最後の頼みの綱の薬物としてそれらの有効性を保存するために控えめに展開すべき予備抗生物質として設計された。顕著なように、MRSAのようないくつかのVRE生物も今やほとんど全ての他のクラスの一般的抗生物質に耐性であるという段階に達している[Arias et al., Nat Rev Microbiol 2012 10(4):266-278]。結果として、特にそれらは既にバンコマイシン耐性なので、米国疾病管理センター(U.S. Centers for Disease Control)(CDC)は、今やその重大な脅威リストにVREを載せている[cdc.gov/drugresistance/biggest threats]。ごく最近、WHOは、是が非でも新しい抗生物質が必要とされる、ヒトの健康に最大の脅威をもたらす薬剤耐性菌のリストを初めてリリースした。VRE(4th)及びVRSA(5th)は、両方ともこのランク付けリストに現れている[Willyard, Nature, 543(7643):15 2017 Feb 28]。
下表1に示す構造式及び類似体は、細菌耐性を克服するように設計され、以前に探究されたバンコマイシン(1)及び結合ポケット修飾類似体を示す。
Figure 2019534289
バンコマイシン及びグリコペプチド系抗生物質の主生物標的は、結合すると細胞壁成熟阻止をもたらすジペプチドD-Ala-D-Alaを含有する細菌細胞壁前駆体である[Perkins, Pharmacol.Ther.1982, 16(2):181-197]。この標的は細胞に独特であり、細菌対それらの哺乳動物宿主の抗生物質クラスの選択性に寄与する。それは異型生物標的でもあり、酵素反応の基質及び細菌細胞壁の構造成分への前駆体である。それは、単一の遺伝子変異によって、耐性をもたらし得る標的への変化を受けやすいタンパク質又は核酸生物標的ではない。
バンコマイシンの作用の主機構は、細胞壁の架橋に用いられる後期酵素触媒(aPBP又はbPBPトランスペプチダーゼ)反応のためのこの基質(D-Ala-D-Ala)の隔離を伴う[Kahne, Chem. Rev. 2005, 105(2):425-448]。従って、標的(D-Ala-D-Ala)の性質及び抗生物質の作用機構(酵素基質の隔離)は、単一の遺伝子変異によって生物が遺伝的に変えるか又は克服するのは困難である。
バンコマイシンは、細胞壁生合成の先行工程、すなわち細菌細胞壁の反復多糖骨格への脂質中間体IIのaPBPトランスグリコシラーゼ触媒組み込みをも阻止すると考えられる。バンコマイシンの場合、これもD-Ala-D-Ala結合を必要とする[Allen et al., Antimicrob. Agents Chemother.1996, 40(10):2356-2362;Goldman et al., FEMS Microbiol. Lett. 2000, 183(2):209-214;Ge et al., Science 1999, 284(5413):507-511;Chen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2003, 100(10):5658-5663]。しかしながら、これが酵素活性部位へのバンコマイシン付加多糖の直接結合によって起こり、細胞壁の位置に寄与する細胞壁結合部位によってのみ有効に観察されるか、或いはこれが間接的な酵素(aPBP)阻害によって起こるかどうかは未だに明らかでない。バンコマイシン二糖による直接的であるが弱い活性部位のトランスグリコシラーゼ阻害の影響が、その細胞壁結合位置によって拡大される可能性がある。
まだ未知であるか又は最近開示されたSEDS-bPBPトランスグリコシラーゼ-トランスペプチダーゼのようにその役割が完全には認識されていない作用機構を含め、2以上の作用機構が存在し得るので[Meeske et al., Nature 2016, 537(7622):634-638]、完全な細菌耐性は、各機構に影響を与えそうもない同時変化を必要とする。
バンコマイシンの耐久性にさらに寄与するのは、細菌細胞壁表面の作用部位である。細胞壁侵入又は移入は必要とされず、このことが、細胞質酵素による輸送、流出、及び代謝不活性化に関与するタンパク質の発現レベルによって媒介される一般的な耐性機構をバンコマイシンが回避できるようにする[Wright, Chem. Commun. 2011, 47(14):4055-4061]。
最後に、現在、グリコペプチド系抗生物質を、細菌の子孫への耐性の遺伝子水平伝播に対して垂直遺伝子伝播への感受性を低くする遺伝子の特徴があると示唆された[Hegstad et al., Clin. Microbil. Infect. 2010, 16(6):541-554]。起源にかかわらず、バンコマイシン(VanA及びVanB表現型)への臨床的耐性の主機構は、バンコマイシンを生成し、この誘導耐性機構を用いてバンコマイシン生成中に自衛する非病原生物から病原生物に移行されたというのが最も明白である[Marshall et al., Antimicrob. Agents Chemother. 1998, 42(9):2215-2220]。従って、ほぼ60年の広汎な使用後でさえ、病原菌自体は未だに有効な耐性機構をグリコペプチド系抗生物質に発達させていない[Courvalin, Clin.Infect.Dis.2006, 42:S25-S34]。[耐性の同定機構:VanA、VanB及びVanD(誘導性D-Ala-D-AlaからD-Ala-D-Lacへ、1000倍の耐性)、VanC、VanE及びVan G(D-Ala-D-Ser、10〜20倍の耐性)、並びに肥厚化細胞壁(標的部位数増加、<10倍耐性)]。これは、VanA及びVanB耐性への解法のみが抗生物質に耐久性のある臨床寿命を与えることを示唆した。
それは、細菌細胞壁前駆体の合成がペンダントN末端D-Ala-D-Alaの設置を続ける耐性の複雑な機構である。耐性菌は、産生生物のように抗生物質の存在を感じる[Hong et al., Adv. Exp. Med. Biol. 2008, 631:200-213]。二成分細胞表面受容体感知、その後の細胞内シグナル伝達系の使用を通じて[Bugg et al., Biochemistry 1991, 30(43):10408-10415]、産生及び耐性生物は、それらのペプチドグリカン末端のD-Ala-D-AlaからD-Ala-D-Lacへの後期リモデリングを惹起して抗生物質の作用を回避する。
変化したリガンドに対するバンコマイシンの結合親和性は1000倍低下し[Walsh, Science 1993, 261(5119):308-309;McComas et al., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125(31):9314-9315]、抗菌活性の相応の1000倍の減少につながる。一連の研究において、重要な単一原子部位の標的結合ポケット内の該部位に変化を含む(残基4のカルボニルO→S、NH、H2)最初のバンコマイシン類似体が報告され、これらの後の2つは、バンコマイシンへの耐性のこの根底にある分子基盤に直接取り組むように設計された(表1) [Crowley et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128(9):2885-2892;Xie et al., J. Am. Chem. Soc. 2011, 133(35):13946-13949;Xie et al., J. Am. Chem. Soc. 2012, 134(2):1284-1297;Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2012, 134(33):8790-8793;Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2014, 136(39):13522-13525;Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704;Boger, Med Res Rev 2001, 21(5):356-381]。
これらの2つの合理的に設計された結合ポケット修飾は、変化した標的D-Ala-D-Lacへの結合を元どおりにし、未変化標的D-Ala-D-Alaに対する結合親和性を維持した。このような二重標的結合化合物は、誘導的に(D-Ala-D-Ala→D-Ala-D-Lac)又は構成的にD-Ala-D-Lacペプチドグリカン前駆体を利用するバンコマイシン耐性生物に対する抗菌活性を元どおりにし、D-Ala-D-Ala前駆体のみを利用するバンコマイシン感受性細菌に対して活性なままであることが分かった[Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137:3693-3704]。さらに、該化合物のインビトロ抗菌効力は、モデル標的リガンド用のポケット修飾バンコマイシン類似体の二重結合親和性の絶対的傾向と直接相関があった。
引き続き、オリタバンシン(4-クロロビフェニル)メチル(CBP)基を、抗菌活性を増強することが分かっているペンダント二糖に導入する、結合ポケット修飾バンコマイシン類似体の末梢官能化は[Markham, Drugs 2014, 74(15):1823-1828]、そのように調製した化合物の抗菌効力を確かに増強した(表2)[Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2014, 136(39):13522-13525;Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704]。ペンダント二糖への追加の末梢(4-クロロビフェニル)メチル(CBP)修飾を含有する以前に報告されたポケット修飾バンコマイシンのデータを以下に示す。
Figure 2019534289
以上のように、これらの化合物は、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性の両細菌に対してさらに改善された(約100倍)印象的な効力(化合物7及び8についてそれぞれMIC=0.06〜0.005μg/mL及び0.5〜0.06μg/mL)を有する顕著なスペクトルの抗菌活性(VSSA、MRSA、VanA及びVanB VRE)を示した。さらに、かつ効果的にD-Ala-Ala又はD-Ala-D-Lacに結合できない(MIC=2〜4μg/mL)残基4チオアミド6の調査の恩恵を受けて、該CBP修飾類似体の活性は、2つの相乗的作用機構に由来し、その1つだけがD-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合に依存することが認められた[Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704]。
下記開示は、この第2の作用機構を明らかにするのみならず、D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合にもしない別の異なる第2の作用機構を有するポケット修飾バンコマイシン類似体を与える代替末梢修飾を詳述する研究を提供する。この修飾は、バンコマイシン耐性菌(VRE)に対する抗菌効力の相乗的、同様に印象的改善をももたらす。
さらに、2つの該末梢修飾は、ポケット修飾バンコマイシンと組み合わせて、その活性が3つの独立した相乗的作用機構に起因し得、その1つだけがD-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合を必要とするさらに強力な抗菌薬を与えることが分かる。
下記開示は、このような末梢的に及び結合ポケットを修飾したバンコマイシンがバンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE)の連続的曝露を通じて獲得される耐性の傾向をほとんど示さないこと及び該曝露に対するこれらの化合物の耐久性のみならずそれらの効力が予測可能傾向(3>2>1つの作用機構)に従うことをも実証する。該抗生物質は、急速に臨床的耐性を獲得する傾向がない耐久性の抗菌活性を示す。
発明の概要
耐久的臨床寿命を示すことができる抗生物質の探究において、バンコマイシンを含めたグリコペプチド系抗生物質の類似体であって、既存バンコマイシン耐性の分子基盤を直接克服するのみならず、親抗生物質に見られない2つの追加の独立した作用機構をそれらに与える2つの追加された末梢修飾を含む類似体を設計した。以下に、本明細書に記載の該末梢修飾及び結合ポケット修飾したバンコマイシンは、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE)による獲得耐性の傾向をほとんど示さず、該曝露に対するそれらの抗菌効力も耐久性も今や推測可能な傾向(3>2>1つの作用機構)に従うことを示す。
本発明は、化合物、該化合物を含有する医薬組成物及び該化合物を用いる治療方法を企図する。企図化合物は、構造が、下記式Iに示す構造又はその医薬的に許容可能な塩に相当する。
Figure 2019534289
企図化合物において、Xは、H2、O又はNHであり;nは、0、1又は2である。Rは、N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アミノ、N,N,N-(トリ-C1-C6-ヒドロカルビル)-アンモニウム、N-(C10-C18-ヒドロカルビル)-N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、及びN-(C1-C6-ヒドロカルビル)-N-(C5-C7-シクロヒドロカルビル)アンモニウムから成る群より選択される置換基であり;R1はH(ヒドリド)又はハロ(C1-C12)-ヒドロカルビルジイルである。好ましいことだが、Rが、アンモニウム基であるときには、適切な医薬的に許容可能なアニオンも存在する。
式Iの化合物において、Xは、好ましくはH2又はNHであり、nは、個々に、好ましくは1である。好ましくは、R1は、ヒドリド又は4-(4’-クロロフェニル)-フェニルメチルジイル(CBP)基であり、後の置換基が特に好ましい。さらに、XがOであるときには、R1は、ヒドリド以外である。
企図化合物のうち、一実施形態では、化合物は、構造が下記式Iaに相当し、式中、R1は、CBPであり、n及びRは、上記定義どおりである。
Figure 2019534289
別の実施形態では、企図化合物は、構造が、下記式Ibに相当し、式中、R1は、CBPであり、n及びRは上記定義どおりである。
Figure 2019534289
さらなる実施形態では、企図化合物は、構造が、下記式Icに相当し、式中、R1は、CBPであり、n及びRは、上記定義どおりである。
Figure 2019534289
「n」が1であるのも特に好ましく、その結果、アミド窒素とR基の間のリンカーはプロパン-1,3-ジイル(-CH2CH2CH2-)基である。
特に好ましい化合物は構造が下記式IIに相当する。
Figure 2019534289
式中、X=H2、O又はNH;Rは、N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アミノ、N,N,N-(トリ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、N-(C10-C18-ヒドロカルビル)-N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、及びN-(C1-C6-ヒドロカルビル)-N-(C5-C7-シクロヒドロカルビル)-アンモニウムから成る群より選択される。この場合もやはり、Rがアンモニウム化合物であるときには、適切なアニオンも存在する。好ましくは、当該アニオンは、医薬的に許容可能なアニオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオンのようなハロゲン化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、又はメタンスルホン酸イオンである。
医薬的に許容可能な希釈剤(担体)を含み、その中に抗菌量の上記式I又はIIの化合物が分散又は溶解している医薬組成物をも企図する。
定義
本発明及び添付の特許請求の範囲の文脈では、下記用語は下記意味を有する。
本明細書では、冠詞「a」及び「an」を用いて、1つ又は1つより多い(すなわち、少なくとも1つ)、該冠詞の文法上の対象を指す。例として、「an element」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。
本明細書では「ヒドロカルビル」という単語は、炭素及び水素のみを含有する直鎖及び分岐鎖脂肪族基並びに脂環式基を含めた非芳香族基の略語として使用する。従って、フェニル等の芳香族炭化水素に対して、アルキル、アルケニル及びアルキニル基を企図する。
特定の脂肪族ヒドロカルビル置換基を意図する場合、当該基を以下のように列挙する;すなわち、C1-C4アルキル、メチル又はtert-ブチル。典型的なヒドロカルビル基は、1〜4個の炭素原子、好ましくは1又は2個の炭素原子を含有する。
特に好ましいヒドロカルビル基はアルキル基である。結果として、汎用の、さらに好ましい置換基は、本明細書で列挙するいずれの置換基でも記述語「ヒドロカルビル」を「アルキル」に置き換えて記載することができる。
アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられる。適切なアルケニル基の例としては、エテニル(ビニル)、2-プロペニル、3-プロペニル、1,4-ブタジエニル、1-ブテニル、2-ブテニル、及び3-ブテニルが挙げられる。アルキニル基の例としては、エチニル、2-プロピニル、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、及び1-メチル-2-プロピニルが挙げられる。
当業者は理解するように、C1アルケニル基のような存在し得ない置換基を単語「ヒドロカルビル」に含めるつもりはないが、2個以上の炭素原子を有する該置換基は含める意図である。
単語「ヒドロカルビル」を使用するときには、末端の「イル」を除去し、適切な接尾辞を常に付加するわけではない(結果として1つ以上の置換基に類似する可能性があるので)という通常の習慣に従うことを除いて、通常の化学接尾辞命名法に従う。従って、ヒドロカルビルエーテルは、化学命名法の通常ルールに従うとおそらくさらに正確であるように、「ヒドロカルボキシ」基よりはむしろ「ヒドロカルビルオキシ」基と称する。例示ヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、アリルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、及びtert-ブトキシ基がある。
本発明は、いくつかの利益及び利点を有する。
本発明の1つの突出した利益は、企図したC末端修飾バンコマイシン化合物のバンコマイシン耐性菌(VRE)に対してもバンコマイシン耐性でない細菌に対しても増強した効力である。
本発明の突出した利点は、C末端修飾が、バンコマイシン二糖への(4-クロロビフェニル)メチル(CBP)付加の組み込みよってもたらされる化合物に相乗的な効力増強を与えることである。
本発明のさらなる突出した利益は、企図したC末端修飾バンコマイシン化合物が、3つの独立した相乗的機構によって機能し、そのうちの1つだけがD-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合を必要とすることである。
本発明のさらなる突出した利点は、企図した修飾バンコマイシンが、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE)の連続的曝露を通じた獲得耐性の傾向をほとんど示さず、該曝露に対するそれらの耐久性並びにそれらの抗菌効力が予測可能な傾向に従うことである(3>2>1つの作用機構)。該抗生物質は、急速に獲得される臨床的耐性の傾向がない耐久性の抗菌効力を示す。
さらに、当業者には以下の詳細な説明からさらなる利益及び利点が明らかになる。
以下に、本開示の一部を形成する図面について説明する。
棒の高さが、列挙したバンコマイシン類似体(35μg/mL)で処理した細胞質ゾル内のペプチドグリカン前駆体UDPMurNAc-pp(19)の蓄積により定量される、VRE、VanA、フェカリス菌(E. faecalis)ATCC BM4166における細菌細胞合成の阻止を示すグラフである。 棒の高さが、バンコマイシン類似体(35μg/mL)で処理した細胞質ゾル内のペプチドグリカン前駆体UDPMurNAc-pp(19)の蓄積により定量される、VRE、VanA、ATCC BAA-2317における細菌細胞合成の阻止を示すグラフである。 プロットが、VanA VRE(フェシウム菌(E. faecium)ATCC BAA-2317)において化合物1〜8(5分で10μM添加)により誘導された細胞壁透過性を示すグラフである。 プロットが、VanA VRE(フェシウム菌(E. faecium)ATCC BAA-2317)において化合物9〜13(5分で10μM添加)により誘導された細胞壁透過性を示すグラフである。 プロットが、VanA VRE(フェシウム菌(E. faecium)ATCC BAA-2317)において化合物14〜18(5分で10μM添加)により誘導された細胞壁透過性を示すグラフである。 好ましい修飾バンコマイシン類似体の個別の作用機構並びにVanA VREに対する抗菌活性に及ぼすそれらの個々の効果及び累積効果の要約を提供する表である。 本明細書に開示する種々の修飾バンコマイシンの最小阻止濃度(MIC)の要約を提供する表であり、該修飾によってもたらされる各種効力を示す。 本明細書に開示する修飾バンコマイシン及び市販抗菌薬ダプトマイシン、チゲサイクリン及びリネゾリドの継代増加に伴うVRE、VanAフェシウム菌(E. faecium)(ATCC BAA 2317)に対するMICの増加を示すグラフである。 本明細書に開示する修飾バンコマイシン及び市販抗菌薬ダプトマイシン、チゲサイクリン及びリネゾリドの継代増加に伴うVRE、VanAフェカリス菌(E. faececalis) (BM 4166)に対するMICの増加を示すグラフである。 バンコマイシン類似体の0.5×MICレベルの存在下で連続継代(50継代まで)の結果として生じるVRE、VanAフェシウム菌(E. faecium)(ATCC BAA 2317)に対する耐性発現研究の要約を示す表である。2つの反復研究の1つを提示する。 図4及び5のグラフと同様であるが、VanA VRE(フェカリス菌(E. faecium) BM 4166)において化合物1、12、15及び18(5分で10mM添加)により誘導された細胞壁透過性を示すグラフである。 図4及び5のグラフと同様であるが、VanA VRE(フェシウム菌(E. faecium) ATCC BAA-2317)において化合物1、12、15及び18(5分で10mM添加)により誘導された細胞壁透過性を示すグラフである。
好ましい実施形態の詳細な説明
本明細書では、化合物、該化合物を含有する医薬組成物及び該化合物を使用する治療方法を企図する。企図化合物は、構造が下記式Iに示す構造又はその医薬的に許容可能な塩に相当する。
Figure 2019534289
式Iの化合物では、Xは、H2、O又はNHである。上表1又は2のデータから分かるように、Xが、H2又はNHである同様の化合物は、Xが、Oである化合物より強力である。従ってXが、H2又はNHであるのが好ましい。
Rは、三級アミン又は四級アミン基を含有する置換基である。R置換基は、N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アミノ、N,N,N-(トリ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、N-(C10-C18-ヒドロカルビル)-N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、及びN-(C1-C6-ヒドロカルビル)-N-(C5-C7-シクロヒドロカルビル)アンモニウムから成る群より選択される。好ましいC1-C6-ヒドロカルビル基はC1(メチル)基であり、その結果、好ましいN,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アミノ基はN,N-ジメチルアミノ基であり、好ましいN,N,N-(トリ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム基はN,N,N-(トリ-メチルアンモニウム)置換基である。C10-C18-ヒドロカルビル基は、好ましくは直鎖アルキル又はアルケニル基、例えばラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、オレイル又はパルミトレイル基である。好ましいことだが、Rがアンモニウム基であるときには、適切な好ましくは医薬的に許容可能なアニオンも存在する。
アミド窒素原子とR基の窒素原子との間のリンカー鎖は、nが0、1又は2であるように2、3、又は4個の炭素原子を含有することができる。nが1であり、その結果3個の炭素がリンカーの鎖内にあるのが好ましい。
R1置換基はH(ヒドリド)又はハロ(C1-C12)-ヒドロカルビルジイルである。XがOであるとき、R1はヒドリド以外である。好ましいハロ(C1-C12)-ヒドロカルビルジイル置換基は、下記4-(4’-クロロフェニル)-フェニルメチルジイル基
Figure 2019534289
であり、4-(4’-クロロビフェニル)メチル基(CBP)、又は4-(4’-クロロフェニル)ベンジル基と名付けることもでき、本明細書では「4-CBP」又は単に「CBP」と略記する。
式Iの化合物では、Xは好ましくはH2又はNHであり、nは個々に、好ましくは1である。好ましくは、R1はヒドリド又は4-(4’-クロロフェニル)-フェニルメチルジイル(CBP)基であり、後の置換基が特に好ましい。さらに、XがOであるとき、R1はヒドリド以外である。
企図化合物のうち、一実施形態では、化合物は構造が下記式Iaに相当し、式中、R1はCBPであり、n及びRは上記定義どおりである。
Figure 2019534289
別の実施形態では、企図化合物は、構造が、下記式Ibに相当し、式中、R1は、CBPであり、n及びRは、上記定義どおりである。
Figure 2019534289
さらなる実施形態では、企図化合物は、構造が下記式Icに相当し、式中、R1はCBPであり、n及びRは上記定義どおりである。
Figure 2019534289
また「n」が1であるのが特に好ましく、その結果アミド窒素とR基との間のリンカーは3個の炭素原子の鎖を含有し、従ってプロパン-1,3-ジイル(-CH2CH2CH2-)基である。
特に好ましい化合物は、構造が下記式IIに相当する。
Figure 2019534289
式中、X=H2、O又はNH;Rは、N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アミノ、N,N,N-(トリ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、N-(C10-C18-ヒドロカルビル)-N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、及びN-(C1-C6-ヒドロカルビル)-N-(C5-C7-シクロヒドロカルビル)-アンモニウムから成る群より選択される。この場合もやはり、Rがアンモニウム化合物であるときには、適切なアニオンも存在する。好ましくは、当該アニオンは、医薬的に許容可能なアニオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオンのようなハロゲン化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、又はメタンスルホン酸イオンである。適切なアニオンについては以下でさらに考察する。
医薬的に許容可能な希釈剤(担体)を含み、その中に抗菌量の上記式I又はIIの化合物が分散又は溶解している医薬組成物をも企図する。
組成物及び治療方法
本発明のさらなる態様は、微生物感染症、例えば細菌感染症、典型的にはグラム陽性菌感染症;すなわち、グラム陽性菌によって引き起こされる感染症に感染し、抗微生物(抗菌)治療を必要とする哺乳動物の治療方法である。企図方法によれば、抗菌有効量の式I若しくはIIの1種以上の化合物又は該化合物の医薬的に許容可能な塩を必要とする感染哺乳動物に投与する。
化合物は、固体製剤として又は液体製剤として投与可能であり、後述する医薬組成物によって投与するのが好ましい。当該投与は、経口又は非経口であってもよく、これについても以下でさらに考察する。
生存可能な哺乳動物が細菌及び他の微生物に感染するものと理解すべきである。本発明の治療方法は、哺乳動物に治療すべき病気を引き起こす病原微生物の感染症に対して使用する意図である。例示病原微生物としては、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)(MRSA)、フェカリス菌(E. faecalis)及びフェシウム菌(E. faecium)のVanA株、並びにフェカリス菌(E. faecalis)のVanB株が挙げられる。病原微生物による感染の存在の証拠は、典型的に医師及び他の熟練医療労働者によって理解される。
治療を必要とし、式I若しくはIIの化合物、又はその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を投与できる哺乳動物(対象)は、霊長類、例えばヒト等、類人猿、例えばチンパンジー若しくはゴリラ等、サル、例えばカニクイザル若しくはマカク等、実験動物、例えばラット、マウス若しくはウサギ等、コンパニオン動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ等、又は食用動物、例えばウシ若しくは去勢牛、ヒツジ、子ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラマ等であり得る。
下記データから明らかなように、企図化合物は、化合物18の分子量を用いて約1〜約100ナノモル(nM)の濃度に相当する1μg/mL未満の量でのインビトロアッセイ研究で活性である。インビトロアッセイ等のアッセイで使用するとき、企図化合物は典型的に、アッセイすべき微生物と接触させるために約0.1nM〜約1μMの濃度をもたらすのに十分な量で組成物中に存在する。
前述の方法で哺乳動物に投与されるか又は当該投与に使用できる前述の医薬組成物中に存在する式Iの化合物又は該化合物の医薬的に許容可能な塩の量は、抗菌(抗細菌又は抗微生物)有効量である。当該量は、感染哺乳動物に存在する全ての病原細菌又は他の微生物を1回の投与で殺すのに有効な量でないことを理解すべきである。むしろ、当該量は、技術上周知なように、投与される哺乳動物を殺すことなく、そうでなくてもレシピエント哺乳動物を害することなく、存在する病原生物の一部を殺すのに有効である。結果として、以下にさらに詳述するように、化合物は通常複数回投与しなければならない。
企図医薬組成物は、生理学的に(医薬的に)許容可能な希釈剤又は担体に溶解又は分散した有効な抗菌(又は抗微生物)量の式I若しくはIIの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有する。技術上周知なように、有効な抗菌量はいくつかの因子によって決まる。しかしながら、以下に示す黄色ブドウ球菌(S. aureus)の感受性株についてのバンコマイシン自体の効力に対する企図化合物の相対的効力、並びにVanAフェカリス菌(E. faecalis)及びフェシウム菌(E. faecium)株に対するバンコマイシン及び企図化合物の相対的効力に基づいて、当業者は容易に適切な投与量を決定することができる。
企図化合物に有用な例示塩としては、限定するものではないが、硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、二グルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルファート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニル-プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート、メシル酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられる。
医薬化合物との医薬的に許容可能な塩を形成する一般的に用いられる医薬的に許容可能な酸及び塩基のリストについては、読者はBerge, J.Pharm.Sci.1977 68(1):1-19を参照されたい。
場合によっては、本発明の化合物の単離、精製又は分割で助剤として塩を使用することもできる。該用途では、調製される塩は医薬的に許容可能な必要はない。
企図組成物は、典型的に、それを必要とする哺乳動物に、感染症が所望程度まで減少するまで、例えば検出できなくなるまで繰り返しインビボ投与される。従って、必要とする哺乳動物への投与は、治療医師による指導どおりに1日内、毎日、毎週、毎月又は数カ月〜数年の期間にわたって複数回行うことができる。さらに一般的には、企図組成物は、所望効果が達成されるまで、典型的には治療すべき細菌感染症が明白でなくなるまでの治療過程にわたって複数回投与される。
企図医薬組成物は、経口(経口的に)又は非経口により、通常の無毒の医薬的に許容可能な担体又は希釈剤、アジュバント、及びビヒクルを所望どおりに含有する製剤で投与することができる。本明細書で使用する非経口という用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、又は注入法が含まれる。薬物の製剤については、例えば、 Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania; 1975及びLiberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980で論じられている。
一部の実施形態では、企図医薬組成物を非経口投与に適応させるのが好ましい。従って、医薬組成物は、投与時に液体形態であるのが好ましく、液体が水性液体であるのが最も好ましいが、後述するように他の液体も企図され、現在最も好ましい組成物は注射用製剤である。
従って、公知技術により適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて注射用製剤、例えば、無菌の注射用水性又は油性溶液又は懸濁液を調合することができる。無菌の注射用製剤は、無毒の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の無菌の注射用溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。利用可能な許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、及び等張食塩水、リン酸緩衝食塩水がある。
他の液体医薬組成物としては、例えば、非経口投与に適した溶液がある。非経口投与に適した液体組成物の例は、式I若しくはIIの化合物又はその塩の無菌水溶液或いは水、エタノール、又はプロピレングリコールを含む溶媒中の式I若しくはIIの化合物の無菌溶液である。一部の態様では、使用前に塩化ナトリウム等の注射に適した液体媒体に溶解させるべき乾燥散剤として式I又はIIの企図化合物を提供する。
さらに、溶媒又は懸濁媒体として無菌固定油を一般的に利用する。この目的ではいずれのブランドの固定油をも利用することができ、例えば合成モノグリセリド又はジグリセリド等がある。さらに、オレイン酸等の脂肪酸は、注射用組成物の製剤に用途がある。ジメチルアセトアミド、界面活性剤、例えばイオン性及び非イオン性界面活性剤等、ポリエチレングリコールを使用することができる。例えば上述したもの等の溶媒及び湿潤剤の混合物も有用である。
無菌溶液は、所望溶媒系に活性成分を溶解させ、結果として生じた溶液を次に膜フィルターを通過させて滅菌するか、或いは、無菌化合物を適切な滅菌溶媒に無菌条件下で溶解させることによって調製可能である。
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が挙げられる。固体剤形中の式I若しくはIIの企図化合物又は塩、例えば化合物18の量は、既に論じたように、有効な抗菌(又は抗微生物)量をもたらすのに十分な量である。固体剤形を1週間の期間にわたって複数回投与することもできる。
該固形剤形では、本発明の化合物は、通常、指示投与経路に適した1種以上の希釈剤中の溶液又は懸濁液として混合される。経口投与する場合、化合物をラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム塩及びカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及び/又はポリビニルアルコールと混合してから、便利な投与のため錠剤化及び/又はカプセル化することができる。該カプセル剤又は錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の活性化合物の分散系で提供できるような制御放出製剤を含有し得る。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、剤形は、緩衝剤、例えばクエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム若しくは炭酸カルシウム又は炭酸水素マグネシウム若しくは炭酸水素カルシウムを含むこともできる。錠剤及び丸剤は、さらに腸溶コーティングを用いて調製することができる。
インビトロアッセイを企図する場合、細胞及び組織等のアッセイすべきサンプルを使用することができる。これらのインビトロ組成物は、周知のように、典型的に水、塩化ナトリウム又は塩化カリウム、及び1種以上の緩衝塩、例えば酢酸塩及びリン酸塩、ヘペス等、金属イオンキレーター、例えばEDTAを含有し、これらが、行う予定のアッセイに応じて望ましいpH値、例えばpH 4.0〜8.5、好ましくは約pH 7.2〜7.4に緩衝される。
好ましくは、医薬組成物は単位剤形である。該形態では、組成物は、適量の活性化合物を含有する単位用量に分割される。単位剤形は、個別量の製剤、例えば、バイアル又はアンプルを含有する包装された製剤であってもよい。
結果及び考察
本明細書に記載の研究について、全合成によって調製したメチレンポケット修飾バンコマイシン類似体化合物4([Ψ[CH2NH]Tpg4]バンコマイシン;下記)、[Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704]を用いて述べる。[Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704;Boger, Med. Res. Rev. 2001, 21:356-381;Nicolaou et al., Angew. Chem., Int. Ed. 1999, 38:2096-2152;Wright et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53:8840-8869]。化合物4は、バンコマイシン耐性生物に対して、ポケット修飾バンコマイシン類似体のより中程度の二重D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合親和性[Crowley et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128(9):2885-2892]及び抗菌活性をも示すので(4対3、表1)、オルタナティブのみならず複数の末梢修飾の影響を最も容易に観察できると予測した。
Figure 2019534289
第2のオルタナティブな末梢修飾は、プロトン化できる塩基性アミン又はカチオン電荷を持つ四級アンモニウム塩のどちらかの組み込みによるC末端アミド官能化だった[Xie et al., J Am Chem Soc 2012, 134(2):1284-1297]。数クラスの市販四級アンモニウム塩を抗菌薬として使用する。これらは細菌細胞膜を破壊することによって作用する[Jennings et al., ACS Infect. Dis. 2015, 1:288-303]。最近、該修飾がバンコマイシンに導入され、結果として、バンコマイシン耐性生物に対する抗菌活性を改善し、修飾を含む類似体が細菌細胞壁膜の完全性を破壊し、細胞透過性を高め、細菌膜の脱分極を誘導することが示された[Yarlagadda et al., J. Med. Chem. 2014, 57(11): 4558-4568]。
四級アンモニウム塩によって誘導された非選択的膜破壊によって呼び起こされたが、観察結果は、該効果のサブセット(膜透過性)のみを示し、細胞溶解をもたらさないさらに特異的な機構によって作用する修飾を例証する。上記挙動及び機構は、天然起源のグリコペプチド系抗生物質又はそれらのより典型的な類似体では観察されないが、この機構は、半合成臨床薬ダルババンシン及びテラバンシの活性スペクトル改善に寄与し得るものである[Higgins et al., Antimicrob Agents Chemother 2005, 49(3):1127-1134]。バンコマイシン耐性生物においては、該修飾は、細菌細胞壁生合成の阻止に直接寄与せず、該効果の発現に必要とされるD-Ala-D-Lac結合を改善せず、かつaPBPトランスペプチダーゼ又はトランスグリコシラーゼ作用の阻止に起因する機構とは無関係に作用する。
該バンコマイシン類似体の選択系列、例えば、以前に調査されていない化合物10及び11等を調製した。簡潔にするため、それらをC0(9)[Yarlagadda et al., J. Med. Chem. 2014, 57(11):4558-4568]、C1(10)、環状C5(11)及びC14(12)(同書)と称し、それらは末端三級ジメチルアミン(9、C0)又はメチル置換基を持つ四級アンモニウム塩(10、C1)、C5環状置換基を持つ四級アンモニウム塩(11、C5)、又はテトラデシル置換基を持つ四級アンモニウム塩(12、C14)を表す。これらの化合物は下表3に示してある。
それらのVanA VREに対する抗菌アッセイの評価に基づいて、12(C14)で見られた最も強力なC末端修飾をポケット修飾バンコマイシン類似体4の類似性C14誘導体13に組み込んだ。いずれの場合も、これは、完全官能化バンコマイシン1又は4から、中間体保護の必要なく、前述の条件から修正した条件下(例えば、1:1のDMF:DMSO、0.01M、25℃、5分)でのC末端カルボン酸と対応官能化アミン(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルウロニムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、N-メチル-モルホリン(NMM)のカップリングによる単一工程で達成された[Sundram et al., J Org Chem 1995, 60(5):1102-1103]。
これらのC末端変化が、VanAバンコマイシン耐性生物(VanA VRE)に対する活性に漸進的に明白な影響を及ぼし、四級アンモニウム塩の疎水性が高いほど増加的に100倍まで活性を高めた(12≧11>10>9、1;表3)。注目すべきことに、全ての四級アンモニウム塩(C1、環状C5及びC14)が活性を改善した。
ポケット修飾バンコマイシン類似体については、これらの最強の修飾は、VanA VREに対する効力に200倍の増加をもたらし、4についての31μg/mLという中程度の効力から13についての0.16μg/mLまでMIC値を減じた。このバンコマイシン類似体は、その比較バンコマイシン誘導体12より>10倍強力であり、バンコマイシン自体より>1000倍強力である。
従って、ポケット修飾バンコマイシン類似体の追加の新しい第2の末梢修飾は最もストリンジェントなバンコマイシン耐性表現型(VanA VRE)に対する抗菌活性を相乗的に高めた。以下に示すように、この結果は、細菌細胞膜の完全性の破壊を伴い、膜透過性を高める独立した第2の作用機構を介して生じる。4に組み込まれたこの第2の相乗的作用機構は、8に見られる末梢CBP修飾で観察されたものとは異なる。
Figure 2019534289
さらに重要なことに、2つの異なる末梢修飾を組み合わせることの影響を調べた。これは、まず最初にCBP-バンコマイシン(5)を用いて、そのC末端カルボン酸を、末端三級ジメチルアミンを持つ同官能化アミン(14、C0)又はC1(15)、環状C5(16)及びC14(17)四級アンモニウム塩とカップリングさせて探究した。それらのVanA VRE抗菌アッセイの評価に基づいて、15(C1)に見られる最も有効なC末端修飾をポケット修飾CBP-バンコマイシン類似体8の類似性C1誘導体18に組み込んだ。
CBP-バンコマイシン(X=O)、アミノメチレンCBP-バンコマイシン(X=H2)、又はアミジノCBP-バンコマイシン(X=NH)の特に好ましいC末端カルボキサミド誘導体は、下記スキーム1及び後記合成に示すように1工程で調製可能である。3つの出発物質(X=O、X=H2及びX=NH)は、Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2014, 136:13522-13525;及びOkano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137:3693-3704に記載のとおりに調製される。
Figure 2019534289
注目すべきことに、この調製は単一のアミド結合カップリング反応を必要とし、保護された中間体を必要とせずに行うことができる。CBP-バンコマイシンのこの第2の末梢修飾は、バンコマイシン自体で観察されたのと同じ傾向を示さず、ほとんどのカップリングはVanA VREに対するCBP-バンコマイシンの抗菌活性の変化をもたらさない(下表4)。
Figure 2019534289
例外はC1四級アンモニウム塩を含有する化合物15だった。これだけがVanA VREに対して活性の5〜10倍の増加を示し、D-Ala-D-Lacと結合できない化合物についての例外的活性を示す。実際に、化合物15は、耐性生物内で元来のグリコペプチド抗菌作用機構(D-Ala-D-Ala結合依存性細胞壁生合成)を欠いている可能性がある化合物となるが、D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合に依存しない2つのオルタナティブの有効な作用機構を有する。
これらの修飾の影響は、相加的を上回って、どちらかだけが為すことを超えて活性を改善し、後述するように、CBP修飾が原因であり、かつC1四級アンモニウム塩によって誘導される膜透過性を通じた直接的トランスグリコシラーゼ阻害による細菌細胞壁生合成の阻止に起因する。予期しなかったが、今や最も有効なC末端修飾は、CBP誘導体についてのC1である。次の研究は、当該修飾のみが、この特定のC末端修飾を欠いている誘導体では見られない膜透過性を与えることを明確に示す。
二重D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合が可能なポケット修飾CBP-バンコマイシン類似体では、化合物18によるこの第2の追加の末梢修飾が、化合物8に比べてVanA VREに対する効力を>10倍高め、18のMIC値を0.01〜0.005μg/mLに低減させた。このバンコマイシン類似体は、CBP誘導体8より>10倍強力であり、ポケット類似体4より>1,000倍強力であり、バンコマイシン自体より驚くべく>10,000倍強力である。それはその比較C1/CBP-バンコマイシン誘導体化合物15よりも>25〜100倍強力であり、CBPバンコマイシン(5)又はC14-バンコマイシン(12)のいずれより>250倍活性が高い。
バンコマイシン耐性生物(VanA VRE)における抗菌活性の原因となる寄与機構を明らかにするため、様々なアッセイで重要な類似体を調査した。そのうちの2つのアッセイでそれらの効果の起源を明らかにした。1つのアッセイを用いて細菌細胞壁合成の阻止を確立し、第2のアッセイは誘導された膜透過性を測定した。
抗生物質処理後に阻止された細胞壁組み込みに起因するペプチドグリカン前駆体UDP-N-アセチル-ムラミル-デプシペンタペプチド(化合物19、UDPMurNAc-pp)の蓄積を定量するアッセイで細菌細胞壁合成の阻止を確立した。これは、テトラサイクリンで前処理(30分、37℃)したバンコマイシン耐性フェシウム菌(E. faecium)を利用するプロトコルに従って達成した[Allen et al., Antimicrob Agents Chemother 1996 40(10): 2356-2362]。この手順は、規模を縮小し、限定サンプルサイズでの使用を可能にする逆相HPLC分離、UV検出、及び単離された19の量の検量線判定の協力を得るように修正した。19のより大きい規模の単離及び完全特徴づけにより線形検量線を確立するために必要な物質を得た。
試験化合物をテトラサイクリン前処理済みVanA VREと30分間インキュベート(37℃)した後に培養細菌を遠心分離により収集し、洗浄し、pH 7.2緩衝液(5mM HEPES及び5mMグルコース、1:1)に再懸濁させた。細菌懸濁液を100℃で15分間加熱して細胞質ゾルの19を遊離させた。半分取逆相HPLCで上清全体を単一注射で分析し、検量線を用いて19の量を決めた。VanA バンコマイシン耐性フェカリス菌(E. faecalis)(BM 4166)及びフェシウム菌(E. faecium)(ATCC BAA-2317)における化合物5〜18の評価の結果を図1及び図2に示し、それぞれ、抗菌アッセイに用いた同株を表す。
同一のVanAバンコマイシン耐性フェカリス菌(E. faecalis)(BM 4166)及びフェシウム菌(E. faecium)(ATCC BAA-2317)株における蛍光プローブヨウ化プロピジウムの原形質膜取り込みを測定することによって、細胞膜透過性に及ぼす化合物の効果を調べた。この蛍光プローブは、透過性細胞膜を有する細胞のみに入り、細胞内核酸結合による蛍光の放出によって検出される[Boulos et al., J Microbiol Methods 1999, 37(1):77-86]。
pH 7.2緩衝液中の新鮮な中対数期(mid-log phase)のVanA VREを 25℃でヨウ化プロピジウム(10μM)と5分間プレインキュベートした後に試験化合物を添加した。経時的に、化合物添加前(5分)及び添加後(15分)に617nmでの蛍光放出(535nmで励起)をモニターした。細菌細胞膜透過性を誘導する試験化合物の添加直後に、急速かつ持続的な蛍光強度の増加が観察される。
バンコマイシン耐性VREにおける化合物の寄与作用機構を同定する化合物の評価は、2つのアッセイで行った。まず最初に4に見られるポケット修飾の役割、及び5〜8に見られるバンコマイシン二糖への末梢CBP修飾のその後の影響を明らかにする結果をセットで以下で考察する。この後に非修飾バンコマイシン類似体とポケット修飾バンコマイシン類似体の両方への効果を含め、9〜13に見られる末梢四級アンモニウム塩修飾の調査結果を考察する。最後に、14〜18における2つの組み合わせた末梢修飾の効果を詳述する。
バンコマイシン(1)及びチオアミドポケット修飾バンコマイシン類似体2(示さず)は、それらの不活性と一致して、VanA VREにおいて細菌細胞壁合成を効果的に阻止せず、アッセイにおいて19の有意な蓄積をもたらさない(図1及び2)。対照的に、二重D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合のために設計されたポケット修飾類似体化合物4は細菌細胞壁生合成を阻止し、アッセイにおいてその相対モデルリガンド結合親和性及び抗菌活性と一致するレベルで前駆体19の蓄積をもたらす。
予期されたように、どの化合物も有意には膜の完全性に影響を与えず、プロピジウム取り込みによって測定される原形質膜透過性をもたらさない。従って、化合物4の抗菌活性は、D-Ala-D-Lacと結合して細胞壁成熟を阻止するという細菌細胞壁生合成へのその予想された影響と直接相関する。化合物5(D-Ala-D-Lacへの結合に無効)及び化合物6(D-Ala-D-Ala又はD-Ala-D-Lacへのどちらかの結合に無効)における末梢CBP修飾の組み込みは、VanA VREに対して良い活性を有する類似体を生じさせ、VanA VREの細胞壁合成を阻止し、結果としてアッセイで19の蓄積をもたらすそれらの能力と相関することが分かった(図1及び2)。どちらの化合物も有意には膜透過性に影響を及ぼさない。
化合物5及び6は、VanA VREに対してほとんど等価な抗菌活性を示し、両方とも細胞壁生合成を同程度まで阻止し、それにもかかわらず化合物6は、D-Ala-D-Ala又はD-Ala-D-Lacのどちらかと結合できない。従って、細菌細胞壁合成のこの阻止は、D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合由来のトランスペプチダーゼ触媒架橋の阻止に由来せず、むしろ、末梢修飾された二糖によるトランスグリコシラーゼの直接阻害から起こる可能性がある。Kahneらの以前の研究は、化合物5及び関連CBP保有類似体によるトランスグリコシラーゼの該直接阻害を実証した[Allen et al., Antimicrob Agents Chemother 1996, 40(10):2356-2362;Goldman et al., FEMS Microbiol Lett 2000, 183(2):209-214;Ge et al., Science 1999, 284(5413):507-511;Chen et al., Proc Natl Acad Sci. USA 2003, 100(10):5658-5663; Allen et al., FEMS Microbiol Rev 2003, 26(5):511-532]。
最後に、末梢CBP修飾を含有する強力なポケット修飾バンコマイシン類似体化合物8は、CBP修飾を欠く化合物4より効果的に、かつ生産性的ポケット修飾を欠く化合物5又は6のどちらより強力に細胞壁合成を阻止する。これは、両方とも細胞壁生合成に影響を与えるが、一方だけがD-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合に依存する2つの独立した作用機構の併用効果の結果である。これらの知見は、D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合を必要とするトランスペプチダーゼ触媒架橋の阻止も、D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合を必要とせず、おそらく直接酵素相互作用による脂質IIのトランスグリコシラーゼ触媒細胞壁組み込みの阻止をも意味すると解釈される。
四級アンモニウム塩修飾を有する末梢C末端アミドを含有する類似体(化合物9〜13)の調査は同様に示唆に富み、明白だった。化合物9〜12でVanA VREに対して観察された抗菌活性の漸進的増加にもかかわらず、細菌細胞壁合成を阻止するそれらの能力の変化はほとんど又は全く観察されず、このアッセイではそれらは、バンコマイシン自体のように、本質的に不活性のままだった(図1及び2)。
対照的に、VanA VREに対して活性な2つのバンコマイシン誘導体化合物11及び12は、それらを添加するとすぐに明白な急速の細胞膜透過性を生じさせたが、不活性(9)及び低活性(10)バリアントは、10μMで調べたときにそうでなかった(図11及び図12)。低活性化合物10は、より高い濃度(100μM、示さず)で調べときにはこの誘導透過性を示した。
ここで、VanA VREに対する抗菌活性は、細胞壁生合成と無関係かつD-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合に依存しない機構に起因する可能性がある。抗菌活性は、細胞壁の透過性増加によって測定される細胞壁の完全性の破壊と相関する。13(C14)で、ポケット修飾類似体4へのこれらの末梢C末端修飾の最強の修飾の組み込みは、VanA VREに対する抗菌活性をさらに200倍高めた(表3)。この修飾は、細胞壁生合成の阻止を改善、減少、又は変更しなかったが、化合物4及び13は、同等に活性であることが分かった(図1及び2)。しかしながら、それは、4とは異なり、添加するとすぐに明白な細胞膜透過性を生じさせる類似体をもたらした(図4)。
従って、化合物13は、VanA VREに対して、2つの独立した相乗的作用機構に由来する強力かつさらに改善された活性を示すポケット修飾バンコマイシン類似体となる。1つの機構は、化合物4のように二重D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合に頼り、有効な細胞壁合成阻止をもたらす。第2の機構は、このリガンド結合性とは無関係であり、かつ誘導された細胞壁透過性に由来する。
この2つ組み合わせたバンコマイシン修飾及びそれに伴う2つの相乗的作用機構が、最もストリンジェントなバンコマイシン耐性生物VanA VREに対してバンコマイシンより>1000倍高い活性のバンコマイシン類似体をもたらし、素晴らしいインビトロMICを示す(0.16μg/mL)。今やそれは、化合物8で行われた観察を補完するが、今や第2のオルタナティブな末梢修飾によって導入された異なる第2の作用機構を有する第2の該例となり、このような設計原則によって与えられる機会を一般化する。
2つの末梢修飾を組み込んだ類似体(化合物14〜17)及びそれらの化合物18におけるポケット修飾バンコマイシン類似体との組み合わせの調査結果はさらに意義深かった。これがうまく達成できることを実証することに加えて、それらは、必ずしもそれぞれ2つの末梢修飾が相まって所望効果をもたらす最も有効なバリアントである必要はなく、むしろ2つの独立した機構の発現を可能にする組み合わせであることを強調する。これは分子特性の相互作用、及びおそらく膜の局所部位への修飾の影響を意味する可能性がある。
CBP修飾に基づいて予想されるように、化合物14〜17は、VanA VRE細菌細胞壁合成を阻止し、抗菌アッセイにおけるそれらの機能活性にそれらの相対的活性が反映されている(図1及び図2)。C14及び環状C5四級アンモニウム塩は、CBP-バンコマイシン自体に比べて細胞壁合成の阻止を弱め、C0は等しく活性であるが、C1はわずかに改善された活性を有し得る(活性:化合物15>14=5>16及び17)。
さらに明らかなことに、細胞壁透過性アッセイにおけるそれらの調査は、CBP修飾と組み合わせたC1のみが明白な急速かつ強力な細胞膜透過性を誘導したことを示す(図5)。対照的に、末梢CBP修飾とC14及びC5四級アンモニウム塩の組み合わせは生産的でなく、活性向上を発現できない化合物をもたらした。
二重D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合のために再設計されたポケット修飾(トランスペプチダーゼ触媒架橋の阻止を含め、リガンド結合による細胞壁合成を遮断する)、CBP末梢二糖修飾(D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合なしで直接トランスグリコシラーゼ阻害によって細胞壁合成を遮断する)、及びC1四級アンモニウム塩C末端末梢修飾(膜透過性を誘導する)を組み込む化合物18は、評価した全ての化合物のアッセイで細胞壁合成の最強の阻止を示すのみならず(図1及び図2)、膜完全性のアッセイで最も明白かつ強力な細胞膜透過性を示した(図5)。
この結果は、3つ全ての作用機構がVanA VREに対する化合物18の抗菌活性の発現に生産的に寄与し、その強力なVanA VRE抗菌活性をもたらすことを示す(MIC=0.01〜0.005μg/mL)。発明者の知る限りでは、これは、バンコマイシン耐性に取り組むために細心の注意を払って設計した、3つの個別の独立した作用機構に影響を与える3つの望ましい修飾を組み込むバンコマイシンの最初の類似体をとなり、これらの作用機構の1つだけが、再操作された二重D-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lacリガンド結合に依存し、各作用機構が、抗菌活性の発現に寄与する。
注目すべきことに、これらの最近の比較は、透過性アッセイの結果と抗菌活性の機能表現との直接相関をもたらし、C1のみが機能的挙動を効果的に発現するという予想外の傾向に従う。この結果は、アッセイが、関連する機能的挙動の正確な読み取りでもあり、根底にある機構解釈も同様に正確であるという説得力のある証拠を提供する。この効果は、CBP修飾と組み合わせるとC1に非常に特異的なことは注目すべきであり、膜透過性の誘導の原因である機構が細菌細胞壁内の特異的相互作用を伴い得ることを示唆している。
最後に、重要な類似体と共にそれらの抗菌活性についての結果を図6に要約する。この系列内では、CBP-バンコマイシン(化合物5)が、臨床的に承認されている半合成バンコマイシン類似体の効力及び特性を代表する。
VanA VREについては、化合物1〜4、次いで化合物8又は化合物13、そして最後に化合物18までの系列の進行が、ゼロ個(1)、1個(4)、2個(8及び13)、及び3個(18)の別個かつ相乗的作用機構を有するバンコマイシン類似体に相当し、漸進的に上昇する強力な抗菌活性をもたらす。この進行は、化合物18で最高に達し(MIC=0.005〜0.01μg/mL)、VanA VREに対してバンコマイシンより25,000〜50,000倍強力な活性を有する。注目すべきことに、化合物18は、現在クリニックで使用されている半合成バンコマイシン類似体を代表するCBP-バンコマイシン(化合物5)よりも250〜500倍強力である。特に留意すべきは、各構造修飾及び作用機構が抗菌アッセイでも機構アッセイでも独立に2〜30μg/mL(1〜15μM)のレベルでその機能活性を発現するが、組み合わせると機能的抗菌活性の相乗的改善をもたらす。
上記考察は、寄与する作用機構の特定及びそれぞれ独立に抗菌活性効力を改善するという実証に焦点を合わせた。しかしながら、複数の独立した作用機構の発現の追加のさらに重要な特徴は、細菌耐性が出現し得る速度への機構の影響である。結果として、CBP-バンコマイシン(5、1つの作用機構)、末梢C14修飾バンコマイシン類似体(12、1つの作用機構)、末梢CBP修飾ポケット類似体化合物8(2つの作用機構)、末梢C14修飾ポケット類似体化合物13(2つの作用機構)、2つの補完的な末梢C1及びCBP-修飾を含有するポケット類似体化合物18(3つの作用機構)を、同一の2つのVRE細菌株への致死量未満(0.5×MIC)の連続曝露により獲得される耐性に対するそれらの感受性について、毎日MICをモニターしながら調べた(図8及び図9)。
MRSA又は他のバンコマイシン感受性細菌株に協力を求める大部分の関連研究とは異なり、この研究は、D-Ala-D-Ala結合と関連する作用機構がもはや有効でない最もストリンジェントな(VanA対VanB)バンコマイシン耐性株で行った。結果として、D-Ala-D-Ala結合は、化合物構造に埋め込まれた有効な作用機構数にカウントされない。注目すべきことに、本明細書で用いたVanA VREの抗生物質感受性プロファイルは、それらがいくつかの追加クラスの抗生物質に耐性であり、今にも多剤耐性VREとして分類されそうであるこを示し、それらがいくつかの一般的な耐性機構を既に資化したことを示唆している。
化合物18についての変化は、典型的な25日の研究を通して非常に小さかったので、調査を50日まで延長した。これらの研究は、最も速く現れた化合物5及び12への耐性が明白であることを明らかにした(1つの機構)。両化合物8及び13の効力の変化はずっと遅く、より弱かった(2つの機構、25継代後にたった2〜4倍、化合物8は化合物13より遅い)。25日後には化合物18への感受性の変化は観察されず(3つの機構)、50回の毎日継代後でさえ化合物18への感受性の変化はほとんど観察されなかった(2種の株において0.01及び0.005μg/mLというMICのたった2〜4倍の変化)。
さらに、2つ以上の機構によって作用する化合物ではMICの変化の大きさは十分に小さく、寄与する機構の1つの完全な損失を経験していないことを示している。そうであるから、各機構は、1つ又は2つの追加の作用機構をもたらす構造修飾と組み合わされると、より頑強になる。従って、このような曝露における抗菌活性の耐久性及びそれぞれ個々の作用機構の有効性のみならず、化合物の効力は、今や予測可能な傾向に従うことが分かった(3>2>1つの作用機構)。
最も印象的なことに、それぞれ現在最先端の単一標的抗生物質であるダプトマイシン、リネゾリド及びチゲサイクリンへの耐性は、ずっと速く生じ、ずっと明白であり、化合物8、13及び特に化合物18について詳述した抗菌活性の例外的な耐久性を強調している。調査した系列内では、CBP-バンコマイシン(5)が、臨床的に承認されている半合成バンコマイシン類似体の予想される挙動を代表する。
作用機構の組み合わせ、特に宿主のみならず細菌細胞壁の完全性に影響を与え得る構造修飾(四級アンモニウム塩)の導入に起因し得るインビトロ毒性について系列内の重要な化合物を調査した。膜溶解の結果生じる赤血球の溶血活性について化合物を調べた。化合物18を含め、系列内の化合物は、それらのMICの>1000倍高い濃度でさえ如何なる溶血活性をも示さない。
さらに、2種の哺乳動物細胞株、NIH/3T3(ATCC CRL-1658、マウス胎仔線維芽細胞)及びHepG2(ATCC HB-8065、ヒト肝臓癌細胞株)に対する細胞成長阻止アッセイで化合物5、12、13、15及び18の哺乳動物細胞毒性を確立した。試験した最高用量である100μMまでは成長阻止(細胞障害活性)が観察されなかった。それらはHCT116(ヒト結腸癌細胞株)に対して不活性であることも分かった(>100μM、試験した最高用量)。
研究した系列の化合物については活性とcLogPに相関性がないことが分かり、化合物(5、12、13、15、17及び18)は、PBS緩衝液(25℃)中100μMまでの濃度で凝集、高次複合体形成、又はミセル形成を示さなかった。このような作用が化合物の活性の発現に役割を果たさないことを示唆している。化合物18も、放出される膜埋め込み色素(DiSC35、3,3’-ジプロピルチアジカルボシアニンヨージド)の蛍光によって測定される同VanAバンコマイシン耐性フェシウム菌(E. faecium)(ATCC BAA-2317)における細菌細胞膜の脱分極を引き起こせなかった[TeWinkel et al., Front Cell Develop Biol 2016, 4:article 29, 1-10]。
C1導入は実に小さいく、表面上は構造修飾を始めるので、またそれは膜の脱分極又は細胞壁溶解なしで膜透過性を誘導するので、より特異的な作用機構を示唆している。化合物15及び18が膜透過性にそれらの効果を発揮する機構は現在究明中である。
結論
いくつかのプログラムが、2つの作用機構で作用する抗菌製品の開発を開示した。これらのプログラムは、独立に2つの関連標的に結合する単一のファルマコフォア(例えば両細菌DNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVを標的にするフルオロキノロン)の最適化、2つの抗生物質の共有結合を含む2つの抗菌ファルマコフォアのハイブリッドの設計、耐性を克服又は回避するための単一標的抗菌薬の併用(例えば多剤耐性TBの併用薬治療)、及び標的関与の頑強性を高め、耐性感受性を低減させるために追加の薬剤標的結合接触を示す抗生物質の設計を含めた[Silver, Nat Rev 2007, 6(1):41-55(57)]。
本明細書では、おそらく、複数の相乗的作用機構を与えられた耐久性抗生物質を設計するためのこれらの手法の1つのサブセットである補完的手法を記述する。発明者の知る限りでは、この研究は、バンコマイシンが無効であるVREを標的にする、3つの独立した作用機構を有する初めての原型抗生物質を提供した。
VREは既にバンコマイシン耐性なので、また多くはそれらが大部分の他の抗生物質クラスに対してもはや感受性でない点に既に到達しているので、CDCは、最近、VREをその重症脅威リストに載せ、WHOは、VREをヒトの健康に最大の脅威をもたらす薬剤耐性菌リストの4位に載せた。グリコペプチド系抗生物質は、耐性の多くの機構を回避する特徴を既に与えられた抗生物質クラスを構成する[James et al., ACS Chem Biol 2012, 7(5):797-804]。
グリコペプチド系抗生物質への細菌耐性の分子基盤を理解した上で、二重リガンド結合が変化した標的D-Ala-D-Lacへの結合を元に戻し、未変化標的D-Ala-D-Alaに対する結合親和性を維持するために設計された結合ポケット修飾を開発した。これらの修飾は、変化したD-Ala-D-Lacペプチドグリカン前駆体標的を利用するバンコマイシン耐性生物に対する抗菌活性を元どおりにし、かつD-Ala-D-Ala前駆体のみを利用するバンコマイシン感受性細菌に対して活性なままにすることが分かった。
VanA及びVanB VRE耐性へのこれらの解法のみが抗生物質におそらくバンコマイシン自体の臨床寿命(>50年)に近づく耐久性臨床寿命を与え得ると予想する理由がある。これらの研究の後に、追加の、今や複数の相乗的作用機構を分子に与える分子の末梢構造変化を探究した。
抗菌活性の100倍増加を引き起こした炭水化物CBP修飾を含む発明者及び共同研究者の最初の開示を補完して[Okano et al., J Am Chem Soc 2015, 137(10):3693-3704]、本明細書では、別のさらなる作用機構(誘導された膜透過性)によってVanA VREに対する抗菌活性を増強する(200倍)、ポケット修飾類似体のC末端における第2の末梢修飾について詳述する。次にこれらの2つの末梢修飾及びそれらの相乗的作用機構をポケット修飾と組み合わせて、3つの独立した作用機構を与えられたバンコマイシン類似体を提供する。これらの機構の1つだけがD-Ala-D-Ala/D-Ala-D-Lac結合に依存性である。
この合成戦略は、VanA VREに対する抗菌効力をさらに高めるのみならず(>6000倍)、耐性への感受性をも低減させた。従って、耐性誘発における抗菌活性の耐久性及びそれぞれ個々の作用機構の頑強性のみならず、化合物の効力も今や予測可能な傾向に従うことが分かった(3>2>1つの作用機構)。
最も印象的なことに、その一部は今日の基準によって耐久性とみなされている最先端の抗生物質ダプトマイシン、リネゾリド及びチゲサイクリンへの耐性はずっと速く生じることがが分かり、同耐性誘発においてさらに明白だった。これは、化合物8、13及び特に化合物18 について詳述した抗菌活性の例外的な耐久性を強調している(図8及び図9)。
これらの結果がもたらす重要な疑問は、単一の末梢修飾を組み込み、D-Ala-D-Lac結合に依存しない単一の作用機構で作用する、VanA VREに対して活性な従来の半合成バンコマイシン類似体[例えば、CBP-バンコマイシン(5)、オリタバンシン及びC14-バンコマイシン(12)]で現在何をすべきかということである。VREでなくても他の困難な細菌感染症(例えばMRSA)のための有効な手法に対して耐性を引き起こすリスクはあるが、VREに対してそれらの使用を奨励すべきだろうか? 答えは、困難なバンコマイシン感受性細菌感染症(例えば、VSSA、MRSA)のためにそれらの使用を奨励するようであり、それらはバンコマイシンより強力であるのみならず、2つの独立した作用機構から利益をも得る。
いずれかの機構に対する臨床的耐性又は感受性の損失は、バンコマイシン自体についてより遅いか又は遅く現れる可能性がある。しかしながら、バンコマイシン耐性細菌(例えば、VRE、VRSA)に対するそれらの使用は、それらの効力が弱く、かつ単一の低耐久性作用機構のみが有効なままである場合、より速く耐性を生じる可能性があり、その将来の使用を損なうのみならず、他の生物(例えばMRSA)に当該耐性を移す可能性もある。
本明細書で用いる手法は、候補抗生物質の全合成に頼って[Nakayama et al., Org Lett 2014, 16(13):3572-3575;Boger et al., J Am Chem Soc 1999, 121(43): 10004-10011;Walker et al., Chem Rev 2005, 105(2): 449-476]、以前は得難かった化合物を得る設計による耐久性抗生物質発見の例に相当すると示唆される。先行する考察では強調されていないが、出発ポケット修飾アグリコンの全合成(26工程) [Okano et al., J Am Chem Soc 2015, 137(10):3693-3704]、二糖の酵素的設置(2工程) [Nakayama et al., Org Lett 2014, 16(13):3572-3575]、及びその後の2つの末梢修飾の追加(2工程)は、それ自体で顕著な成果を示す。
最後に、本明細書の大部分の研究は、残基4のアミドカルボニルが除去されているバンコマイシンのアミノメチレン類似体を用いて行った。より強力なポケット修飾バンコマイシン類似体は残基4がアミジニンであり(化合物3対4)、バンコマイシン耐性菌に対してもバンコマイシン感受性菌に対しても、バンコマイシン感受性菌に対してバンコマイシンが示す活性と等効力で抗菌活性を示す。該末梢変化の化合物3又は7への組み込みは、3つ全ての独立した作用機構を与え、化合物18の顕著な耐久性を示しながら、化合物18の既に素晴らしい効力をさらに改善することができる(約30倍)。
材料及び方法
化合物C14:
Figure 2019534289
S1(300mg、1.5mmol)の無水EtOH(4mL)中の溶液をC14H29Br(0.74g、3.0mmol)で25℃にて処理し、反応混合物を70℃で2時間撹拌した。反応混合物を25℃に冷まし、溶媒を N2流下で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、5〜15%のMeOH-CH2Cl2)で精製して対応アンモニウム塩を黄色油として得た。この油を濃HCl/MeOH=1/5 (2mL)で25℃にて処理し、混合物を25℃で3時間撹拌した。溶媒及びHClをN2流下で除去してC14(271mg、61%、2工程)を全ての点で真正物質と同一の白色固体として得た
(1H NMR, D2O) [Boulos et al., J. Microbiol. Methods 1999, 37:77-86]。
化合物環状C5:
Figure 2019534289
S2(300mg、2.4mmol)の無水THF(3mL)中の溶液をBoc2O(510mg、2.3mmol)で25℃にて処理し、反応混合物を25℃で5分間撹拌した。溶媒をN2流下で除去し、粗製Boc保護アミンを無色油として得た。この油を無水CH2Cl2(2mL)に溶かしてMeI(3.3g、23.4mmol)で25℃にて処理し、反応混合物を60℃で10分間撹拌した。反応混合物を25℃に冷まし、溶媒及びMeIをN2流下で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、5〜20%のMeOH-CH2Cl2)で精製して対応アンモニウム塩を黄色油として得た。この油を25℃にてTFA/CH2Cl2(1/1、2mL)で処理し、反応混合物を25℃で1時間撹拌した。溶媒及びTFAをN2流下で除去して環状C5(154mg、46%、3工程)を黄色油として得た:1H NMR (D2O, 600 MHz, 298 K) δ 3.50-3.39 (m, 4H), 3.38-3.34 (m, 2H), 3.18 (s, 1H), 2.97 (s, 3H), 2.94 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 2.15-2.05 (m, 6H); ESI-TOF HRMS m/z 143.1547 (M + H+, C8H19N2は143.1548必要とする)。
化合物9:
Figure 2019534289
1(2.0mg、1.4μmol)のDMF/DMSO(1/1、60μL)中の溶液をC0(DMF/DMSO=1/1中1M、7.0μL、7.0μmol)、N-メチルモルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、41.2μL、41.2μmol)、及びHBTU(Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、27.6μL、27.6μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC (Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、1〜40%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、40分間、3mL/分、tR=20.8分)で精製して9(1.4mg、64%)を全ての点で真正物質と同一の白色非晶質固体として得た(1H NMR、D2O) [Boulos et al., J. Microbiol. Methods 1999, 37:77-86]。
化合物10:
Figure 2019534289
1(1.5mg、1.0μmol)のDMF/DMSO(1/1、100μL)中の溶液を10(DMF/DMSO=1/1中1M、5.2μL、5.2μmol)、N-メチルモルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、31.2μL、31.2μmol)、及びHBTU(Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、20.8μL、20.8μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC (Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、1〜40%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、40分間、3mL/分、tR=20.6分)で精製して10(1.1mg、68%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz, 298 K) δ 9.43 (br s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.58 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.47 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.37 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.31 (s, 1H), 7.19 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.02 (br s, 1H), 6.88 (d, 1H, J = 10.8 Hz), 6.78 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.71 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.39 (s, 1H), 6.22 (s, 1H), 5.76 (s, 1H), 5.57 (s, 1H), 5.36 (s, 1H), 5.26 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 5.23 (s, 1H), 5.20 (s, 1H), 4.96 (s, 1H), 4.69 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 4.48 (s, 1H), 4.28 (s, 1H), 4.25 (d, 1H, J = 5.4 Hz), 3.96 (s, 2H), 3.69 (s, 1H), 3.67 (s, 1H), 3.60-3.40 (m, 5H), 3.27 (s, 1H), 3.25-3.10 (m, 4H), 3.09-3.05 (m, 2H), 3.00 (s, 9H), 2.69 (s, 6H), 2.66 (s, 1H), 2.25-2.10 (m, 1H), 1.91 (d, 1H, J = 11.4 Hz), 1.85 (s, 2H), 1.74 (d, 1H, J = 13.2 Hz), 1.69-1.64 (m, 1H), 1.59-1.51 (m, 2H), 1.30 (s, 3H), 1.07 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 0.90 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 0.85 (d, 3H, J = 6.0 Hz); ESI-TOF HRMS m/z 774.2867 ([M + 2H]+2, C72H90Cl2N11O23は774.2861を必要とする)。
化合物11:
Figure 2019534289
1(1.8mg、1.1μmol)のDMF/DMSO(1/1、50μL)中の溶液を環状C5(DMF/DMSO=1/1中1M、5.5μL、5.5mol)、N-メチル-モルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、32.7μL、32.7μmol)、及びHBTU(Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、21.8μL、21.8μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC(Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、1〜40%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、40分間、3mL/分、tR=20.4分)で精製して11 (1.2mg、61%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz, 298 K) δ9.14 (br s, 1H), 8.99 (s, 1H), 8.80-8.65 (m, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.85-7.81 (m, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.60-7.45 (m, 3H), 7.35 (dd, 1H, J = 6.6, 3.0 Hz), 7.30 (s, 1H), 7.25 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.20 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.08 (br s, 1H), 6.85 (d, 1H, J = 11.4 Hz), 6.78 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.70 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.38 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.22 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 5.77 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 5.58 (d, 1H, J = 13.2 Hz), 5.35-5.15 (m, 5H), 4.93 (br s, 1H), 4.69 (dd, 1H, J = 5.4, 5.4 Hz), 4.49 (d, 1H, J = 5.4 Hz), 4.27 (d, 1H, J = 5.4 Hz), 4.00-3.90 (m, 1H), 3.35-3.25 (m, 2H), 3.24-3.15 (m, 2H), 3.11-3.02 (m, 1H), 2.93 (s, 3H), 2.67-2.60 (m, 3H), 2.54 (s, 1H), 2.20-2.00 (m, 5H), 1.95-1.83 (m, 3H), 1.80-1.50 (m, 4H), 1.29 (d, 3H, J = 13.8 Hz), 1.07 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 0.91 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.86 (d, 3H, J = 6.6 Hz); ESI-TOF HRMS m/z 787.2922 ([M + 2H]+2, C74H92Cl2N11O23は787.2948を必要とする)。
化合物12:
Figure 2019534289
1(4.0mg、2.8μmol)のDMF/DMSO(1/1、150μL)中の溶液をC14(DMF/DMSO=1/1中1M、13.8μL、13.8μmol)、N-メチルモルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、82.8μL、82.8μmol)、及びHBTU(Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、55.2μL、55.2μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC (Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、20〜80%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、30分間、3mL/分、tR=21.2分)で精製して12 (2.8mg、58%)を全ての点で真正物質と同一の白色非晶質固体として得た(1H NMR, DMSO-d6) [Boulos et al., J. Microbiol. Methods 1999, 37:77-86]。
注:この反応は、条件の最適化の間に0.5〜10mg(51〜63%)のスケールで行なった(下表5)。化合物13及び18は、それらの出発材料に対して0.7mg及び0.25mgのスケールで合成された。
Figure 2019534289
化合物4
アミノメチレンバンコマイシン4の全合成の実験[Crowley et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128(9):2885-2892;Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704]は以前に開示されている。
化合物13:
Figure 2019534289
4(0.69mg、0.48μmol)のDMF/DMSO(1/1、30μL)中の溶液をC14(DMF/DMSO=1/1中1M、2.4μL、2.4μmol)、N-メチルモルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、14.4μL、14.4μmol)、及びHBTU(Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、9.6μL、9.6μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5 分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.2mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC (Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、20〜80%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、30分間、3mL/分、tR=18.4分)で精製して13(0.53mg、64%、典型的に61〜67%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (CD3OD, 600 MHz, 298 K) δ 8.85-8.80 (m, 1H), 8.50-8.45 (m, 1H), 8.35-8.30 (m, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.82 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 7.74 (dd, 1H, J = 8.4, 1.8 Hz), 7.59 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.41 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.25-7.17 (m, 2H), 7.15 (dd, 1H, J = 8.4, 2.4 Hz), 6.93 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.46 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.33 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 5.54 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 5.44 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 5.41 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 5.37 (d, 1H, J = 5.4 Hz), 4.57-4.54 (m, 1H), 4.43-4.31 (m, 2H), 4.29-4.19 (m, 1H), 4.18-3.98 (m, 1H), 3.88-3.70 (m, 3H), 3.69-3.59 (m, 1H), 3.58-3.50 (m, 2H), 3.40-3.32 (m, 4H), 3.29-3.24 (m, 4H), 3.05 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 3.00 (s, 3H), 2.86 (s, 3H), 2.79 (s, 3H), 2.69-2.66 (m, 5H), 2.64-2.56 (m, 1H), 2.33-2.25 (m, 1H), 2.10-1.92 (m, 5H), 1.83-1.70 (m, 3H), 1.67-1.57 (m, 2H), 1.54 (s, 3H), 1.45-1.25 (m, 23H), 1.20 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.95 (d, 3H, J = 7.2 Hz), 0.93-0.87 (m, 6H); ESI-TOF HRMS m/z 857.8965 ([M + 2H]+2, C85H117Cl2N11O22は857.8948を必要とする)。
化合物5
CBPバンコマイシン5の合成の実験データ[Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704]は以前に開示されている。
化合物14:
Figure 2019534289
5(2.0mg、1.2μmol)のDMF/DMSO(1/1、100μL)中の溶液をC0(DMF/DMSO=1/1中1M、6.1μL、6.1μmol)、N-メチルモルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、36.4μL、36.4μmol)、及びHBTU (Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、24.3μL、24.3μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC (Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、20〜80%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、30分間、3mL/分、tR=13.1分)で精製して14 (1.2mg、55%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (CD3OD, 600 MHz, 298 K) δ 9.00 (d, 1H, J = 6.6 Hz), 8.73 (s, 1H), 7.73-7.60 (m, 7H), 7.58-7.54 (m, 2H), 7.48-7.45 (m, 2H), 7.32 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 7.27 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 7.10 (br s, 1H), 7.02 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.82 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.46-6.45 (m, 1H), 6.37-6.35 (m, 1H), 5.80 (s, 1H), 5.77 (s, 1H), 5.51 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 5.46 (s, 1H), 5.38-5.30 (m, 3H), 4.25 (s, 1H), 4.18 (d, 1H, J = 13.2 Hz), 4.10-4.06 (m, 3H), 3.90-3.82 (m, 2H), 3.77--.72 (m, 1H), 3.67-3.60 (m, 3H), 3.20-3.18 (m, 1H), 3.15-3.10 (m, 2H), 2.91-2.87 (m, 8H), 2.76 (s, 3H), 2.33-2.24 (m, 1H), 2.21-2.16 (m, 2H), 2.07 (s, 1H), 2.04 (s, 1H), 2.03-1.95 (m, 3H), 1.89-1.83 (m, 1H), 1.80-1.75 (m, 1H), 1.70-1.64 (m, 5H), 1.30-1.29 (m, 2H), 1.26 (d, 3H, J = 7.2 Hz), 1.02 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.98 (d, 3H, J = 6.0 Hz); ESI-TOF HRMS m/z 866.7940 ([M + 2H]+2, C74H96Cl3N11O23は866.7952を必要とする)。
化合物15:
Figure 2019534289
5(1.4mg、0.85μmol)のDMF/DMSO(1/1、100μL)中の溶液をC1(DMF/DMSO=1/1中1M、4.3μL、4.3μmol)、N-メチルモルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、25.5μL、25.5μmol)、及びHBTU (Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、17.0μL、17.0μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC (Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、20〜80%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、30分間、3mL/分、tR=13.7分)で精製して15 (0.91mg、61%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (CD3OD, 600 MHz, 298 K) δ 9.01 (d, 1H, J = 4.2 Hz), 8.75 (s, 1H), 8.37 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.73-7.55 (m, 8H), 7.46 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 7.28 (dd, 1H, J = 9.0, 3.6 Hz), 7.11 (br s, 1H), 7.01 (dd, 1H, J = 9.0, 2.4 Hz), 6.82 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.46 (s, 1H), 6.37 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 5.80 (s, 1H), 5.76 (s, 1H), 5.52-5.46 (m, 2H), 5.40-5.31 (m, 4H), 4.35-4.24 (m, 1H), 4.17 (d, 1H, J = 12.6 Hz), 4.14-4.05 (m, 3H), 3.89-3.82 (m, 2H), 3.74 (dd, 1H, J = 12.6, 5.4 Hz), 3.67-3.60 (m, 2H), 3.14-3.09 (m, 11H), 3.00 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 2.78 (s, 3H), 2.66 (s, 1H), 2.34-2.23 (m, 1H), 2.20 (dd, 1H, J = 12.0, 4.8 Hz), 2.09-2.01 (m, 5H), 1.87-1.82 (m, 1H), 1.79-1.75 (m, 1H), 1.65 (s, 3H), 1.27 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 1.02 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.99 (d, 3H, J = 6.6 Hz); ESI-TOF HRMS m/z 873.8042 ([M + 2H]+2, C85H98Cl3N11O23は873.8027を必要とする)。
化合物16:
Figure 2019534289
5(1.8mg、1.1μmol)のDMF/DMSO(1/1、100μL)中の溶液を環状C5(DMF/DMSO=1/1中1M、5.5μL、5.5μmol)、N-メチル-モルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、21.8μL、21.8μmol)、及びHBTU (Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、32.7μL、32.7μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC (Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、20〜80%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、30分間、3mL/分、tR=12.7分)で精製して16 (1.2mg、61%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (CD3OD, 600 MHz, 298 K, 回転異性体 (4:1)) δ 9.04 (s, 0.25H), 8.74 (s, 1H), 8.35 (s, 0.25H), 8.00 (s, 1H), 7.76-7.56 (m, 18H), 7.50-7.48 (m, 4H), 7.35 (d, 0.25H, J = 9.6 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 7.13-7.09 (m, 1.25H), 7.11 (s, 1H), 6.83 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.48-6.46 (m, 1.25H), 6.40-6.39 (m, 1.25H), 5.84 (br s, 1H), 5.54 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 5.49 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 5.42 (s, 1H), 5.37-5.34 (m, 2.5H), 4.59 (dd, 0.25H, J = 6.0, 6.0 Hz), 4.37-4.31 (m, 1H), 4.27-4.17 (m, 5H), 4.15-4.04 (m, 4.25H), 3.93-3.86 (m, 1.75H), 3.82-3.75 (m, 1.25H), 3.72 (s, 1H), 3.71-3.64 (m, 3H), 3.59-3.47 (m, 9H), 3.45-3.42 (m, 2.5H), 3.40-3.35 (m, 2H), 3.25-3.21 (m, 1H), 3.18 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 3.16-3.12 (m, 1H), 3.09-3.06 (m, 5.5H), 3.04-3.02 (m, 4.25H), 2.97-2.93 (m, 3.5H), 2.89 (s, 3H), 2.82-2.77 (m, 5H), 2.68 (s, 6H), 2.30-2.18 (m, 8.5H), 2.12-2.04 (m, 4.25H), 1.91-1.85 (m, 1.5H), 1.83-1.76 (m, 2H), 1.74-1.65 (m, 5H), 1.42-1.27 (m, 8H), 1.09-0.95 (m, 11H); ESI-TOF HRMS m/z 886.8121 ([M + 2H]+2, C87H101Cl3N11O23は886.8103を必要とする)。
化合物17:
Figure 2019534289
5(2.1mg、1.3μmol)のDMF/DMSO(1/1、100μL)中の溶液をC14(DMF/DMSO=1/1中1M、6.4μL、6.4μmol)、N-メチルモルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、38.3μL、38.3μmol)、及びHBTU (Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、25.5μL、25.5μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.2mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC(Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、20〜80%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、30分間、3mL/分、tR=18.4分)で精製して17(1.9mg、76%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (CD3OD, 600 MHz, 298 K, 回転異性体 (2:1)) δ 9.16 (s, 0.5H), 9.09 (s, 0.5H), 8.74 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.98 (s, 0.5H), 7.89 (s, 0.5H), 7.80-7.53 (m, 11H), 7.51 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.48-7.42 (m, 3H), 7.38-7.25 (m, 3H), 7.20 (d, 0.5H, J = 8.4 Hz), 7.17-7.12 (m, 2H), 7.04 (d, 0.5H, J = 2.4 Hz), 6.91 (s, 0.5H), 6.83 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.51 (s, 0.5H), 6.47 (s, 1H), 6.41 (s, 0.5H), 6.37 (s, 1H), 6.29 (d, 0.5H, J = 7.8 Hz), 5.81 (br s, 1H), 5.65 (s, 0.5H), 5.58-5.51 (m, 1H), 5.48-5.38 (m, 2H), 5.35 (s, 1H), 5.22 (d, 0.5H, J = 2.4 Hz), 5.01 (s, 0.5H), 4.70 (s, 1H), 4.62 (s, 0.5H), 4.60-4.52 (m, 2H), 4.36 (s, 0.5H), 4.28 (s, 1H), 4.19-4.06 (m, 5H), 3.98 (d, 0.5H, J = 10.8 Hz), 3.92-3.80 (m, 1.5H), 3.78-3.71 (m, 2H), 3.63-3.59 (m, 2H), 3.57-3.51 (m, 3H), 3.47 (s, 1H), 3.43-3.38 (m, 1.5H), 3.12-3.06 (m, 11H), 3.02-3.00 (m, 8H), 2.92 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 2.89 (s, 1H), 2.87 (s, 0.5H), 2.83-2.79 (m, 4H), 2.66 (s, 6H), 2.22-2.18 (m, 2H), 2.16-2.10 (m, 0.5H), 2.07-1.99 (m, 4H), 1.95-1.83 (m, 2H), 1.81-1.62 (m, 12H), 1.44-1.19 (m, 54H), 1.09-0.96 (m, 3.5H), 0.93-0.88 (m, 7H), 0.81 (d, 1H, J = 4.2 Hz), 0.71 (d, 1H, J = 3.6 Hz); ESI-TOF HRMS m/z 1928.7987 (M+, C98H125Cl3N11O23は1928.8010を必要とする)。
化合物8
8の全合成の実験手順[Okano et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137(10):3693-3704]は、以前に開示されている。
化合物18:
Figure 2019534289
8(0.24mg、0.15μmol)のDMF/DMSO(1/1、20μL)中の溶液をC1(0.DMF/DMSO=1/1中1M、7.4μL、0.74μmol)、N-メチル-モルホリン(Acros、蒸留した、DMF/DMSO=1/1中1M、4.5μL、4.5μmol)、及びHBTU (Chem-Impex International, Inc.、DMF/DMSO=1/1中1M、3.0μL、3.0μmol)で25℃にて処理した。反応混合物を25℃で5分間撹拌し、25℃でH2O中50%のMeOH(0.5mL)を加えてクエンチした。混合物を半分取逆相HPLC(Nacalai Tesque, Inc.、ARII-C18、5μm、10×150mm、20〜80%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、30分間、3mL/分、tR=12.9分)で精製して18 (0.14mg、53%)を白色フィルムとして得た:1H NMR (CD3OD, 600 MHz, 298 K) δ 9.20-9.05 (m, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.61-8.54 (m, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.80-7.55 (m, 10H), 7.47 (d, 1H, J = 10.2 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 7.25 (s, 1H), 7.09 (d, 1H, J = 9.6 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.84 (s, 1H), 6.73 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.47 (s, 1H), 6.34 (s, 1H), 5.85-5.75 (m, 2H), 5.55-5.40 (m, 3H), 5.35-5.25 (m, 1H), 4.26 (br s, 1H), 4.20-4.05 (m, 4H), 3.95-3.80 (m, 2H), 3.79-3.70 (m, 2H), 3.68-3.55 (m, 3H), 3.54-3.40 (m, 7H), 3.19 (s, 1H), 3.11 (s, 1H), 3.05 (s, 3H), 3.03-2.95 (m, 7H), 3.00 (s, 3H), 2.92 (s, 1H), 2.87 (s, 3H), 2.76 (s, 3H), 2.66 (s, 3H), 2.30-2.15 (m, 6H), 2.14-2.01 (m, 4H), 1.87-1.73 (m, 2H), 1.68 (s, 3H), 1.26 (d, 3H, J = 7.2 Hz), 1.03 (s, 3H, J = 7.2 Hz), 0.99 (s, 3H, J = 7.2 Hz); ESI-TOF HRMS m/z 866.8129 ([M + 2H]+2, C85H102Cl3N11O22は866.8130を必要とする)。
インビトロ抗菌アッセイ*
研究を行なう1日前に、バンコマイシン感受性黄色ブドウ球菌(Staphlococcus aureus)(VSSA株ATCC 25923)、メチシリン及びオキサシリン耐性黄色ブドウ球菌亜種アウレウス(Staphlococcus aureus subsp. aureus)(MRSA株 ATCC 43300)、バンコマイシン耐性フェカリス菌(Enterococcus faecalis)(VanA VRE、BM4166)、フェシウム菌(Enterococcus faecium)(VanA VRE、ATCC BAA-2317)、バンコマイシン耐性フェカリス菌(Enterococcus faecalis)(VanB VRE、株ATCC 51299)、大腸菌(Escherichia coli) (ATCC 25922)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)(ATCC BAA-1710)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa) (ATCC 15442)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(ATCC 700603)の新鮮な培養物をオービタルシェーカー内37℃にて100%のミューラー・ヒントン培地(VSSA、MRSA及びVanB VRE)、100%のブレインハートインフュージョン培地(VanA VRE、アシネトバクター・バウマンニ(A. baumannii)及び肺炎桿菌(K. pneumoniae))又は100%のルリア(Luria)培地(大腸菌(E. coli)及び緑膿菌(P. aeruginosa))に接種して成長させた。24時間後に細菌保存液を培養液(VSSA、MRSA及びVanB VREに対しては10%のミューラー・ヒントン培地又はVanA VRE アシネトバクター・バウマンニ(A. baumannii)及び肺炎桿菌(K. pneumoniae)に対しては10%のブレインハートインフュージョン培地又は大腸菌(E. coli)及び緑膿菌(P. aeruginosa)に対しては10%のルリア培地で段階希釈して、0.5Mのマクファーランド溶液の1:100希釈に等価な濁度を得た。この希釈細菌保存液を次に96ウェルV形ガラス被覆マイクロタイタープレートに接種し、DMSOで段階希釈した一定分量の抗生物質溶液(4μL)を補充して0.1mLの総アッセイ体積を得た。次にプレートを37℃で18時間インキュベートした後、ウェル内の細胞成長(ペレットとして観察)をモニターすることによって最小阻止濃度(MIC)を決定した。
ウェル内で細胞成長を排除できる抗生物質の最低濃度(μg/mL)がMIC報告値である。バンコマイシン類似体についてのMIC報告値は、最初のウェル内の標準物質としてバンコマイシンに対して決定した*
VanAフェカリス菌(E. faecalis)(VanA VRE、BM 4166)について:エリスロマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール、及びシプロフロキサシン並びにバンコマイシン及びテイコプラニンに耐性;ダプトマイシンに感受性。VanAフェシウム菌(E. faecium)(VanA VRE, ATCC BAA-2317)について:アンピシリン、ベンジルペニシリン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、レボフロキサシン、ニトロフラントイン、及びテトラサイクリン並びにバンコマイシン及びテイコプラニンに耐性、リネゾリドに非感受性;チゲサイクリン及びダルホプリスチン(dalfopristine)に感受性。
[*臨床検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute)。Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard, 7th ed.;CLSI文書M07-A8;臨床検査標準協会: Wayne, PA, 2009.]
VanAフェカリス菌(E. faecalis)(VanA VRE、BM 4166)について:エリスロマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール、及びシプロフロキサシン並びにバンコマイシン及びテイコプラニンに耐性;ダプトマイシンに感受性。VanAフェシウム菌(E. faecium)(VanA VRE、ATCC BAA-2317)について:アンピシリン、ベンジルペニシリン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、レボフロキサシン、ニトロフラントイン、及びテトラサイクリン並びにバンコマイシン及びテイコプラニンに耐性、リネゾリドに非感受性;チゲサイクリン及びダルホプリスチンに感受性。
細胞壁透過性アッセイ**
研究を行なう1日前に、バンコマイシン耐性フェカリス菌(Enterococcus faecalis) (VanA VRE、BM4166)及びフェシウム菌(Enterococcus faecium)(VanA VRE、ATCC BAA-2317)の培養物をオービタルシェーカー内37℃で100%のブレインハートインフュージョン培地に接種して12時間成長させた。上記細菌溶液に継代培養を施して新鮮な中対数期の細菌細胞を得た(細菌懸濁液の総体積=7mL、インキュベーション時間=6時間、OD600=0.6)。培養細菌を収集した後(3000rpm、4℃、20分)、白色細菌沈殿物を洗浄し、5mMのグルコース及び5mMのHEPES緩衝液(1:1、500μL、pH=7.2)に再懸濁させた。
この細菌懸濁液(130μL)を底が透明の96ウェル黒色プレート(Corning 3650)に入れた。ヨウ化プロピジウム色素(10μL、150μMのDMSO溶液)を上記懸濁液に添加し、25℃で5分間30秒間隔でマイクロプレートリーダー(Molecular Devices(登録商標)、Max Gemini EX)を535nmの励起波長及び617nmの発光波長で用いて蛍光をモニターした。試験化合物(150μM、10μL)を細胞懸濁液に加えて蛍光を25℃でさらに15分間モニターした。
本明細書で調査した両VanA VREに対する細胞壁透過性への構造修飾の影響をも調べた(図11)。バンコマイシン(1)、C14-バンコマイシン(12)、CBP C1-バンコマイシン(15)、及びCBP C1-アミノメチレンバンコマイシン(18)は、バンコマイシン耐性フェカリス菌(Enterococcus faecalis) (VanA VRE、BM4166)とフェシウム菌(Enterococcus faecium) (VanA VRE、ATCC BAA-2317)の両方に対して同様の透過性誘導を示した[**Sahal et al. J. Med. Chem. 2010, 53:6079-6088;Boulos et al. J. Microbiol. Methods 1999, 37:77-86]。
細胞壁脱分極アッセイ***
研究を行い1日前に、バンコマイシン耐性フェシウム菌(Enterococcus faecium) (VanA VRE、ATCC BAA-2317)の培養物をオービタルシェーカー内37℃で100%のブレインハートインフュージョン培地に接種して12時間成長させた。上記細菌溶液に継代培養を施して新鮮な中対数期の細菌細胞を得た(細菌懸濁液の総体積=7mL、インキュベーション時間=6時間、OD600=0.6)。培養細菌培地を収集した後(3000rpm、4℃、20分)、細菌沈殿物を洗浄し、5mMのグルコース、5mMのHEPES、及び5mMのKCl緩衝液の混合物(1:1:1、pH=7.2)に再懸濁させた。この細菌懸濁液(130μL)を96ウェル黒色プレート(Corning 3650)に入れた。
色素(DiSC3(5):3,3’-ジプロピルチアジカルボシアニンヨージド、150μMのDMSO溶液、2.5μL)を上記懸濁液に添加し、10分間1分間隔でマイクロプレートリーダー(Molecular devices、Max Gemini EX)を622nmの励起波長及び670nmの発光波長で用いて蛍光をモニターした。試験化合物(150μM、10μL)を細胞懸濁液に加えて蛍光をさらに30分間モニターした[*** Yarlagadda et al., J. Med. Chem. 2014, 57(11): 4558-4568;Uppu et al., Chem. Commun. 2013, 49:9389-9391;Zhang et al., Antimicrob. Agents Chemother. 2000, 44:3317-3321]。
耐性発現研究****
バンコマイシン耐性フェカリス菌(Enterococcus faecalis)(VanA VRE、BM4166)及びフェシウム菌(Enterococcus faecium)(VanA VRE、ATCC BAA-2317)に対するバンコマイシン類似体のMICを決定した。細菌懸濁液(40μL)を96ウェルプレートに100%のブレインハートインフュージョン培地を用いてMIC以下未満の濃度(MIC/2)で接種し、オービタルシェーカー内で37℃にて、OD600値が0.6になるまで6時間細胞を成長させた。同プロトコルで新しいMICアッセイを行った。このプロセスを50継代繰り返し、各継代でMICの倍の増加を決定した[****Pollard et al., J. Antimicrob. Chemother. 2012, 67:2665-2672]。
細胞壁生合成阻止アッセイ*****
バンコマイシン耐性フェカリス菌(Enterococcus faecalis)(VanA VRE、BM4166)及びフェシウム菌(Enterococcus faecium)(VanA VRE、ATCC BAA-2317)の培養物をオービタルシェーカー内37℃で100%のブレインハートインフュージョン培地に接種して12時間成長させた。上記細菌溶液に継代培養を施して新鮮な中対数期細菌細胞を得た(細菌懸濁液の総体積=5mL、インキュベーション時間=6時間、OD600=0.6)。上記細菌懸濁液にテトラサイクリン(5mg/mL、130μL)を加えてタンパク質合成の完全阻止を確実にし、37℃で30分間インキュベートした。バンコマイシン類似体を加えて混合物を37℃でさらに30分間インキュベートした。
細菌を収集した後(3000rpm、4℃、20分)、この細菌沈殿物を洗浄し、5mMのグルコースと5mMのHEPESの緩衝液(500μL、1:1、pH=7.2)に再懸濁させた。この細菌懸濁液を100℃で15分間加熱し、遠心分離機にかけた(13000rpm、25℃、10分)。上清の全体積をさらに操作せずに直接半分取逆相HPLC(Agilent Technologies, Zorbax(登録商標) SB-C18、5μm、9.4×150mm、1〜40%のMeCN/H2O-0.07% TFAグラジエント、40分間、3mL/分、tR=11.9分)で精製してUDP Mur N-Acデプシペンタペプチド(19)を全ての点で真正物質と同一の白色フィルムとして得た(1H NMR, D2O)。[*****Allen et al., Antimicrob. Agents Chemother. 1996, 40(10):2356-2362;Liu et al., J. Am. Chem. Soc. 2001, 123:9916-9917]。フェカリス菌(E. faecalis)BM4166、及びフェシウム菌(E. faecium)ATCC BAA-2317の検量線を用いて曲線下面積(AUC)に基づいてUDP Mur N-Acペンタペプチド(19)の量を決めた。
溶血アッセイ#
ブタ全血中の血液細胞(2mL、Pel-Free Biologicals、非滅菌、クエン酸ナトリウム)を収集し(3000rpm、4℃、20分)、赤血球沈殿物を洗浄し、リン酸緩衝食塩水(pH 7.4)に再懸濁させた。この希釈赤血球保存溶液(384μL)をDMSO中の抗生物質溶液(16μL)と共に1mLのマイクロチューブ内でインキュベートして試験化合物の最終濃度を得た。次に混合物を37℃で1時間インキュベートした。
溶液をリン酸緩衝食塩水(pH 7.4、200μL)で25℃にて希釈し、遠心分離機にかけた(3000rpm、4℃、20分)。上清(200μL)をマイクロタイタープレートに移した。ポジティブコントロール(0.2% vol% Triton(登録商標) X-100、100%完全溶血)及びネガティブコントロール(抗生物質なし、0%溶血)を調製した。マイクロプレートリーダー(Molecular Devices(登録商標)、Max Gemini EX)を用いてA350を測定した。以下に示す下記方程式(式1)を計算することによって溶血%を決定した。
Figure 2019534289
[#Patch et al., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125:12092-12093.]
組み合わせた作用機構、特に宿主及び細菌細胞壁完全性に影響を及ぼし得る構造修飾(四級アンモニウム塩)の導入に起因し得るインビトロ毒性について系列内の重要な化合物を調べた。膜溶解に起因する赤血球溶血活性について化合物を調べた。
優先的かつ差動的カチオン結合の原因である細菌細胞壁のより高度にアニオン性の組成を含め、哺乳動物及び細菌細胞壁組成の差異が広範囲であるが、哺乳動物細胞膜(赤血球)の溶解は、細菌細胞膜完全性に影響を与えるカチオン性化合物のオフターゲット帰結の可能性がある。標準的赤血球溶血アッセイを行ない、候補化合物への1時間の曝露(pH 7.4、PBS、37℃、1時間)後の赤血球溶解の程度を測定する。化合物18を含め、系列内のどの化合物もそれらのMICの>1000倍の濃度でさえ如何なる溶血活性をも示さなかった。
このセットの観察は、いずれの誘導体間でも区別しなかったので(いずれの誘導体でも溶血活性なし)、アッセイアウトの時間を24時間まで延長した。しかしながら、赤血球はアッセイ条件下で時間の進行につれて変質し、このようなアッセイ時間延長は当技術分野では決して推奨されないか又は利用されない。
従って結果は可能性のある毒性を反映していると解釈すべきでない。しかしながら、延長した曝露でさえ化合物18はほとんど溶血活性を示さず、コントロールのリネゾリドと異ならない振る舞いをし、細菌細胞膜には作用しない、系列内で最良の化合物だったことは注目すべきである。化合物18は、実質的にバンコマイシン自体より良好でもあり、やはり細菌細胞壁膜に作用しないコントロールのチゲサイクリンと異ならず、化合物18は、細菌細胞膜を透過性にする(溶解ではない)ことによって作用するコントロールのダプトマイシンよりずっと良好であり、容易に区別することができる。
調べた系列内でコントロールのダプトマイシンより悪い行いをした唯一の化合物は、バンコマイシンのC末端C14四級アンモニウム塩(12)だった。重要なことに、この組み合わせセットの研究は、化合物18のみならじ、化合物15がバンコマイシン自体さえより哺乳動物の赤血球膜への影響が少ないことを示唆する。最後に、重要な類似体化合物18の並外れた効力は、抗菌活性の観察に必要とされる量が非常に少ないので、いずれの非選択的毒性をも最小限にすることも予想される。
本明細書では冠詞「a」及び「an」を用いて、1つ又は1つより多い(すなわち、少なくとも1つ)、該冠詞の文法上の対象を指す。本明細書で引用した特許、特許出願及び論文は、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる。
前述の説明及び実施例は、例示のつもりであり、限定するものと解釈すべきでない。本発明の精神及び範囲内にさらに他の変形形態が可能であり、当業者にはそれらが容易に思い浮かぶであろう。

Claims (21)

  1. 構造が、下記式I、
    Figure 2019534289
    (式中、
    X=H2、O又はNH;
    n=0、1又は2;
    Rは、N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アミノ、N,N,N-(トリ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、N-(C10-C18-ヒドロカルビル)-N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、及びN-(C1-C6-ヒドロカルビル)-N-(C5-C7-シクロヒドロカルビル)アンモニウムから成る群より選択され;かつ
    R1は、ヒドリド又はハロ(C1-C12)-ヒドロカルビルジイルであり、但し、XがOであるときには、R1は、ヒドリド以外であり、Rが、アンモニウム基であるときには、適切な医薬的に許容可能なアニオンも存在する)
    に示す構造に相当する化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  2. R1が、ハロ(C1-C12)-ヒドロカルビルジイルである、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  3. R1が、4-(4’-クロロフェニル)フェニルメチルジイル(CBP)基である、請求項2に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  4. 構造が、下記式Ia、
    Figure 2019534289
    (式中、R及びnは、前記定義どおりである)に相当する、請求項3に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  5. 構造が、下記式Ib、
    Figure 2019534289
    (式中、R及びnは、前記定義どおりである)に相当する、請求項3に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  6. 構造が、下記式Ic、
    Figure 2019534289
    (式中、R及びnは、前記定義どおりである)に相当する、請求項3に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  7. nが、1である、請求項3に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  8. 前記化合物の構造が、医薬的に許容可能なアニオンを伴う下記式に相当する、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
    Figure 2019534289
  9. 前記化合物の構造が、医薬的に許容可能なアニオンを伴う下記式に相当する、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
    Figure 2019534289
  10. 構造が、下記式II、
    Figure 2019534289
    (式中、Xは、H2、O又はNHであり;Rは、N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アミノ、N,N,N-(トリ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、N-(C10-C18-ヒドロカルビル)-N,N-(ジ-C1-C6-ヒドロカルビル)アンモニウム、及びN-(C1-C6-ヒドロカルビル)-N-(C5-C7-シクロヒドロカルビル)-アンモニウムから成る群より選択され、かつRがアンモニウム基であるときには、適切な医薬的に許容可能なアニオンも存在する)
    に示す構造に相当する化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  11. 前記化合物の構造が、下記式、
    Figure 2019534289
    (式中、Rは、
    Figure 2019534289
    である)に相当する、請求項10に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  12. 前記化合物の構造が、下記式、
    Figure 2019534289
    (式中、Rは(CH3)2Nである)に相当する、請求項10に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
  13. 生理学的に許容可能な希釈剤に溶解又は分散した抗菌量の請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
  14. Rが、4-(4’-クロロフェニル)フェニルメチルジイル基である、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 前記溶解又は分散した化合物又はその医薬的に許容可能な塩が、式IIの化合物である、請求項13に記載の医薬組成物。
  16. 抗菌治療を必要とする細菌感染哺乳動物の治療方法であって、抗菌有効量の請求項1に記載の化合物又は該化合物の医薬的に許容可能な塩を、それを必要とする前記感染哺乳動物に投与することを含むことを特徴とする方法。
  17. 前記細菌感染哺乳動物を感染させる細菌が、グラム陽性菌である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記グラム陽性菌が、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)(MRSA)、VanAフェカリス菌(E. faecalis)、VanAフェシウム菌(E. faecium)、及びVanBフェカリス菌(E. faecalis)の1つ以上から成る群より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記投与が、複数回繰り返される、請求項16に記載の方法。
  20. nが、1である、請求項16に記載の方法。
  21. 前記投与化合物が、その構造が、下記式、
    Figure 2019534289
    (式中、Xは、NH又はH2であり;Rは、
    Figure 2019534289
    である)に相当する化合物又はその医薬的に許容可能な塩である、請求項20に記載の方法。
JP2019522839A 2016-10-31 2017-10-31 相乗的に抗菌効力及び耐久性を改善するポケット再設計バンコマイシン類似体への末梢修飾 Active JP7104424B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201662415191P 2016-10-31 2016-10-31
US62/415,191 2016-10-31
PCT/US2017/059289 WO2018081797A1 (en) 2016-10-31 2017-10-31 Peripheral modifications on pocket-redesigned vancomycin analogs synergistically improve antimicrobial potency and durability

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2019534289A true JP2019534289A (ja) 2019-11-28
JP2019534289A5 JP2019534289A5 (ja) 2020-12-10
JP7104424B2 JP7104424B2 (ja) 2022-07-21

Family

ID=62024092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019522839A Active JP7104424B2 (ja) 2016-10-31 2017-10-31 相乗的に抗菌効力及び耐久性を改善するポケット再設計バンコマイシン類似体への末梢修飾

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10934326B2 (ja)
EP (1) EP3532483A4 (ja)
JP (1) JP7104424B2 (ja)
AU (1) AU2017348434B2 (ja)
CA (1) CA3042039C (ja)
WO (1) WO2018081797A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA3062570A1 (en) 2017-05-22 2018-11-29 Insmed Incorporated Lipo-glycopeptide cleavable derivatives and uses thereof
AU2021261230A1 (en) * 2020-04-20 2022-10-20 The Scripps Research Institute Guanidine-modified C-terminus vancomycin compounds, compositions and methods
CN117069794B (zh) * 2023-06-20 2024-02-13 广州中医药大学(广州中医药研究院) 一种糖肽类抗生素荧光探针化合物及其制备方法与应用

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001524929A (ja) * 1996-06-28 2001-12-04 イーライ・リリー・アンド・カンパニー アミド類
JP2009079067A (ja) * 2004-11-29 2009-04-16 Univ Nagoya グリコペプチド抗生物質モノマー誘導体
US20140308347A1 (en) * 2011-11-14 2014-10-16 Jawaharlal Nehru Centre For Advanced Cationic antibacterial composition
WO2016007855A1 (en) * 2014-07-10 2016-01-14 The Scripps Research Institute N- (hydrophobe-substituted) vancosaminyl [ψ[c(=nh) nh] tpg4] vancomycin and [ψ[ch2nh]tpg4] vancomycin

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2497159A1 (en) 2002-08-30 2004-03-11 K.U. Leuven Research And Development Glycopeptide antibiotic and semisynthetic derivatives thereof and their use as antiviral agents
EP2688580A4 (en) * 2011-03-24 2015-03-25 Seachaid Pharmaceuticals Inc DERIVATIVES OF VANCOMYCIN
WO2018010475A1 (zh) * 2016-07-15 2018-01-18 上海来益生物药物研究开发中心有限责任公司 糖肽类衍生物及其药学可接受的盐、制备方法和应用

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001524929A (ja) * 1996-06-28 2001-12-04 イーライ・リリー・アンド・カンパニー アミド類
JP2009079067A (ja) * 2004-11-29 2009-04-16 Univ Nagoya グリコペプチド抗生物質モノマー誘導体
US20140308347A1 (en) * 2011-11-14 2014-10-16 Jawaharlal Nehru Centre For Advanced Cationic antibacterial composition
WO2016007855A1 (en) * 2014-07-10 2016-01-14 The Scripps Research Institute N- (hydrophobe-substituted) vancosaminyl [ψ[c(=nh) nh] tpg4] vancomycin and [ψ[ch2nh]tpg4] vancomycin

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
J. AM. CHEM. SOC., 2014, VOL.136, PP.13522-13525, JPN6021037752, ISSN: 0004602541 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2018081797A1 (en) 2018-05-03
EP3532483A1 (en) 2019-09-04
EP3532483A4 (en) 2020-09-02
CA3042039C (en) 2023-09-26
US20200071359A1 (en) 2020-03-05
US10934326B2 (en) 2021-03-02
AU2017348434B2 (en) 2021-10-07
AU2017348434A1 (en) 2019-05-16
CA3042039A1 (en) 2018-05-03
JP7104424B2 (ja) 2022-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7104424B2 (ja) 相乗的に抗菌効力及び耐久性を改善するポケット再設計バンコマイシン類似体への末梢修飾
Okamura et al. Action mechanism of 6, 6′-dihydroxythiobinupharidine from Nuphar japonicum, which showed anti-MRSA and anti-VRE activities
EP2739289B1 (en) Glycopeptide antibiotic analogs effective against vancomycin-resistant bacterial strains
US10077284B2 (en) UBA5 inhibitors
CN109952297B (zh) 化合物
CA2954653C (en) N-(hydrophobe-substituted)vancosaminyl [.psi.[c(=nh)nh]tpg4]vancomycin and [.psi.[ch2nh]tpg4]vancomycin
US11014891B2 (en) Reduction-triggered antibacterial sideromycins
Sampson et al. Spiro-naphthyridinone piperidines as inhibitors of S. aureus and E. coli enoyl-ACP reductase (FabI)
CA2970997A1 (en) Atp synthase inhibitors and steroid alkaloids and uses thereof as antimicrobial agents and as potentiators for aminoglycosides against pathogenic bacteria
US10961214B2 (en) Small molecule lipid II inhibitors
TW201711990A (zh) 經取代的丙二醯胺化合物及其作爲抗菌藥物的用途
JP2023522104A (ja) グアニジン修飾c末端バンコマイシン化合物、組成物及び方法
Payne Synthesis of FtsZ inhibitors: potential antibiotic agents
Sarkar et al. Enhancing the antibacterial efficacy of vancomycin analogues: targeting metallo-β-lactamases and cell wall biosynthesis
Reithuber et al. THCz
WO2022232245A2 (en) Macolacins and methods of use thereof
Maxson Stimulating antibiotic development by targeting virulence and facilitating natural product discovery
Moreira Characterisation of symmetric bis-benzimidazoles as antibacterial chemotherapeutic agents
MALOUIN et al. Patent 2970997 Summary
FR2941956A1 (fr) NOUVELLES MOLECULES HYBRIDES VANCOMYCINE-AMINOQUINOLEINE DENOMMEES "VANCOMYQUINESr", LEUR PREPARATION ET LEUR APPLICATION EN THERAPEUTIQUE

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201030

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210929

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20211224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220701

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7104424

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150