JP2019533709A - 医薬組成物、治療方法及びその使用 - Google Patents

医薬組成物、治療方法及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、慢性腎臓病を有する患者の慢性腎臓病及び心血管疾患を治療又は予防する方法であって、エンパグリフロジンを患者に投与することを含む方法に関する。【選択図】なし

Description

発明の技術分野
本発明は、慢性腎臓病を有する患者の慢性腎臓病及び心血管疾患を治療又は予防する方法に関する。
発明の背景
慢性腎疾患としても知られる慢性腎臓病(CKD)は、数カ月又は数年にわたる腎機能の進行性喪失である。腎臓機能を悪化させる症状は非特異的であり、慢性腎臓病は、腎障害リスクがあることが分かっている人のスクリーニングの結果として診断されることが多い。CKDは高度に蔓延している疾患であり、世界中の10人に1人超の個人を苦しめている。
慢性腎臓病は、例えばクレアチニンに関する血液検査によって同定可能である。クレアチニンレベルが高いほど低い糸球体濾過量を示し、結果として、老廃物を排泄する腎臓の能力低下を意味する。
CKDは5ステージに分類されており、ステージ1は≧90の正常なGFR(mL/分/1.73m2)を有する腎損傷であり;ステージ2はGFRの軽度の低下(GFR 60〜89)を有する腎損傷であり;ステージ3はGFRの中等度の低下(GFR 30〜59)を有する腎損傷であり;ステージ4はGFRの重度の低下(GFR 15〜29)を有する腎損傷であり;ステージ5は腎不全である(GFR<15又は透析)。ステージ5のCKDは、末期腎疾患(ESRD)と呼ばれることが多く、今や時代遅れの用語である慢性腎不全(chronic kidney failure(CKF)又はchronic renal failure(CRF))と同義である。
アルブミン尿も腎臓病の兆候であり得る。アルブミン尿は、3カテゴリーに分類されており、カテゴリーA1は、アルブミン尿がなく、アルブミンが正常から軽度に増加した状態を反映し;カテゴリーA2は、アルブミンが中等度に増加したミクロアルブミン尿を反映し;カテゴリーA3は、アルブミンが重度に増加したマクロアルブミン尿を反映する。
慢性腎臓病の悪化を遅くすることが明解に分かっている特定の治療はなく、重度CKDは腎置換療法を必要とし、これは透析の形態を含み得るが、理想的には腎移植を構成するする。
多くのCKD患者は、ESRDに達する前に心血管(CV)イベントのため死亡することになるので、CVリスクを減らすことが治療の別の考慮すべき事柄である。
従って、患者、特に慢性腎臓病を有する患者の慢性腎臓病の悪化又は進行を遅くし、かつCVイベントリスクを減らし得る方法、薬物及び医薬組成物に対して未だに対処されていない医学的必要性がある。
発明の概要
本発明は、慢性腎疾患を有する患者の慢性腎臓病を治療するか又はその進行を遅くする方法であって、エンパグリフロジンを患者に投与することを含む方法を提供する。一態様では、本方法は、さらに患者の心血管死リスクを減らす。一態様では、本方法は、さらに患者の全ての原因の死亡リスクを減らす。一態様では、本方法は、さらに患者の全ての原因の入院を減らす。さらなる態様では、患者は、中等度又は重度に低下した腎機能又は高アルブミン尿レベル、例えば≧200mg/gを有する。
一態様では、本発明は、慢性腎疾患のリスクを減らす方法であって、エンパグリフロジンを患者に投与することを含む方法を提供する。一態様では、本方法は、さらに患者の心血管死リスクを減らす。一態様では、本方法は、さらに患者の全ての原因の死亡リスクを減らす。一態様では、本方法は、さらに患者の全ての原因の入院リスクを減らす。さらなる態様では、患者は、中等度又は重度に低下した腎機能又は高アルブミン尿レベル、例えば≧200mg/gを有する。
一態様では、患者は≧20から<45mL/分/1.73m2のeGFRを有する。一態様では、患者は≧20mL/分/1.73m2のeGFR及び≧200mg/gの尿中アルブミン対クレアチン比(UACR)を有する。一態様では、患者は≧45ml/分/1.73m2かつ<90ml/分/1.73m2のeGFR及び≧200mg/gの尿中アルブミン対クレアチン比(UACR)を有する。
一態様では、患者をRAAS阻害薬(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)で治療する。一態様では、患者をアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬及び/又はアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)で治療する。
一態様では、患者は、CKDリスク因子を治療するための地方/国際的指針に従う標準治療(standarad of care)の状態にある。
一態様では、患者は非糖尿病患者である。一態様では、患者は糖尿病前症又は2型若しくは1型糖尿病を有する患者である。
一態様では、患者は非糖尿病かつ非糖尿病前症患者である。一態様では、患者は、心血管イベントリスクがないか又は高リスクでない。一態様では、患者は、慢性心不全を有する患者でなく、特にHFrEF(駆出率が低下した心不全(Heart Failure with reduced Ejection Fraction))及び/又はHFpEF(駆出率が保たれた心不全(Heart Failure with preserved Ejection Fraction))を有する患者でない。
一態様では、エンパグリフロジンは、0.5mg〜25mg、例えば1mg〜25mgの範囲の用量、例えば10mg又は25mgの用量で投与される。一態様では、エンパグリフロジンは、1日1回患者に投与される。
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれか1つで薬物として使用するためのエンパグリフロジン又はエンパグリフロジンを任意選択で1種以上の他の治療物質と組み合わせて含む医薬組成物をさらに提供する。
本発明は、本明細書に記載の疾患又は状態のいずれか1つの治療、予防、その進行の低減又はリスク低減方法で使用するためのエンパグリフロジン又はエンパグリフロジンを任意選択で1種以上の他の治療物質と組み合わせて含む医薬組成物をさらに提供する。
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれか1つで使用する薬物の製造に用いるエンパグリフロジン又はエンパグリフロジンを任意選択で1種以上の他の治療物質と組み合わせて含む医薬組成物をさらに提供する。
本発明の方法では、エンパグリフロジンは、任意選択で1種以上の他の治療物質と組み合わせて患者に投与される。
当業者には、前述及び下記説明並びに実施例によって本発明のさらなる態様が明らかになる。
定義
本発明の医薬組成物の用語「活性成分」は、本発明のSGLT2阻害薬エンパグリフロジンを意味する。本明細書では「活性成分」が「活性物質」を指すこともある。
ヒト患者の用語「肥満度指数」又は「BMI」は、メートルの身長の二乗で割ったキログラムの体重と定義され、その結果BMIはkg/m2という単位を有する。
用語「過体重」は、個体が25kg/m2超かつ30kg/m2未満のBMIを有する状態と定義される。用語「過体重」及び「前肥満」は互換的に用いられる。
用語「肥満」又は「太り過ぎ」等は、個体が30kg/m2以上のBMIを有する状態と定義される。WHOの定義によれば、肥満という用語は、以下のように分類可能である:用語「クラスI肥満」は、BMIが30kg/m2以上であるが、35kg/m2未満である状態;用語「クラスII肥満」は、BMIが35kg/m2以上であるが、40kg/m2未満である状態;用語「クラスIII肥満」は、BMIが40kg/m2以上である状態。
肥満という表示には、特に外因性肥満、高インスリン血症性肥満、過血漿性肥満(hyperplasmic obesity)、下垂体性脂肪症(hyperphyseal adiposity)、低血漿性肥満(hypoplasmic obesity)、甲状腺機能低下性肥満、視床下部性肥満、症候性肥満、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満、性機能低下性肥満、中心性肥満、内臓型肥満、腹部肥満が含まれる。
用語「内蔵型肥満」は、ウエスト・ヒップ比が男性で1.0以上、女性で0.8以上ある状態と定義される。内蔵型肥満は、インスリン抵抗性及び糖尿病前症発生のリスクを明らかにする。
用語「腹部肥満」は、通常は胴囲が男性で>40インチ又は102cm、女性で>35インチ又は94cmの状態と定義される。日本の民族性又は日本国患者に関しては、腹部肥満は、胴囲が男性で≧85cm、女性で≧90cmと定義される(例えば、日本国の代謝症候群診断の調査委員会参照)。
用語「正常血糖」は、対象が70mg/dL(3.89mmol/L)超かつ100mg/dL(5.6mmoI/L)未満の正常範囲内の空腹時血中グルコース濃度を有する状態と定義される。「空腹時」という単語は、医学用語としての通常の意味を有する。
用語「高血糖」は、対象が100mg/dL(5.6mmoI/L)より高い、正常範囲超の空腹時血中グルコース濃度を有する状態と定義される。「空腹時」という単語は、医学用語としての通常の意味を有する。
用語「低血糖」は、対象が正常範囲未満、特に70mg/dL(3.89mmol/L)未満の血中グルコース濃度を有する状態と定義される。
用語「食後高血糖」は、対象が200mg/dL(11.11mmol/L)超の食後2時間の血中グルコース又は血清グルコース濃度を有する状態と定義される。
用語「空腹時血糖異常」又は「IFG」は、対象が100〜125mg/dl(すなわち5.6〜6.9mmol/l)の範囲、特に110mg/dL超かつ126mg/dI(7.00mmol/L)未満の空腹時血中グルコース濃度又は空腹時血清グルコース濃度を有する状態と定義される。「正常な空腹時グルコース」を有する対象は、100mg/dl未満、すなわち5.6mmol/l未満の空腹時グルコース濃度を有する。
用語「耐糖能障害」又は「IGT」は、対象が140mg/dI(7.78mmol/L)より高く、200mg/dL(11.11mmol/L)未満の食後2時間の血中グルコース又は血清グルコース濃度を有する状態と定義される。異常な耐糖性、すなわち食後2時間の血中グルコース又は血清グルコース濃度は、絶食後に75gのグルコースを摂取した2時間後に血清1dL当たりmgのグルコースの血糖値として測定可能である。「正常な耐糖性」を有する対象は、140mg/dI(7.78mmol/L)未満の食後2時間の血中グルコース又は血清グルコース濃度を有する。
用語「高インスリン血症」は、正常血糖を有するか否かにかかわらず、インスリン抵抗性を有する対象が、インスリン抵抗性を持たず、<1.0(男性)又は<0.8(女性)のウエスト・ヒップ比を有する正常な痩せた個体より上昇した空腹時又は食後血清又は血漿インスリン濃度を有する状態と定義される。
用語「インスリン抵抗性改善(insulin-sensitizing又はinsulin resistance-improving)」又は「インスリン抵抗性低減」は同義であり、互換的に使用される。
用語「インスリン抵抗性」は、正常血糖状態を維持するためにグルコース負荷への正常な応答より過度の循環インスリンレベルが必要とされる状態と定義される(Ford ES, et al. JAMA. (2002) 287:356-9)。インスリン抵抗性の決定方法は、正常血糖・高インスリン血症クランプ検査である。インスリン対グルコースの比は、併用インスリン・グルコース注入技術の範囲内で決定される。グルコース吸収が調査した背景集団の25パーセンタイル未満であれば、インスリン抵抗性であることが分かる(WHO定義)。クランプ検査よりは骨の折れない方法は、いわゆる最小モデルであり、静脈内グルコース負荷試験中に、血中のインスリンとグルコースの濃度を固定時間間隔で測定し、これらからインスリン抵抗性を計算する。この方法では、肝性インスリン抵抗性と末梢性インスリン抵抗性を区別することができない。
さらに、インスリン抵抗性、インスリン抵抗性を有する患者の治療への応答、インスリン感受性及び高インスリン血症は、インスリン抵抗性の信頼できる指標である「インスリン抵抗性に対する恒常性モデル評価(homeostasis model assessment to insulin resistance)(HOMA-IR)」スコアを評価することによって定量可能である(Katsuki A, et al. Diabetes Care 2001; 24: 362-5)。さらにインスリン感受性のHOMA指数の決定方法(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、インタクトプロインスリン対インスリンの比(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)及び正常血糖クランプ研究を参照されたい。加えて、血漿アディポネクチンレベルをインスリン感受性の潜在的サロゲートとしてモニターすることができる。恒常性評価モデルによるインスリン抵抗性(HOMA)-IRスコアの推定値は、下記式で計算される(Galvin P, et al. Diabet Med 1992;9:921-8):
HOMA-IR=[空腹時血清インスリン(μU/mL)]×[空腹時血漿グルコース(mmol/L)/22.5]
これらの個体では、HOMA-IRスコアを計算することによってインスリン抵抗性を確認することができる。本発明の目的では、インスリン抵抗性は、個体が>4.0のHOMA-IRスコア又はグルコース・インスリンアッセイを行う研究室のために定義された正常の上限を超えるHOMA-IRスコアを有する臨床状態と定義される。
原則として、毎日の診療では他のパラメーターを用いてインスリン抵抗性を評価する。好ましくは、患者のトリグリセリド濃度を使用し、例えば、トリグリセリドレベルが上昇するにつれて、インスリン抵抗性の存在と顕著に相関する。
インスリン抵抗性を有する可能性のある個体は、下記特質を2つ以上有する個体である:1)過体重又は肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4)IGT又はIFG又は2型糖尿病と診断された1名以上の第一度近親者。
IGT又はIFG又は2型糖尿病の発症の素因がある患者は、高インスリン血症を患う正常血糖を有する患者であり、定義により、インスリン抵抗性である。インスリン抵抗性を有する典型的患者は、通常は過体重又は肥満である。インスリン抵抗性を検出できれば、これは糖尿病前症存在の特に強い指標である。従って、グルコース恒常性を維持するために、人は、健康な人の2〜3倍のインスリンを必要とし、これがなければいずれの臨床症状をももたらし得る。
「糖尿病前症」は、耐糖能正常(NGT)と顕性2型糖尿病(T2DM)の間の中等度ステージを指す一般用語であり、中等度高血糖症とも呼ばれる。従って、本発明の一態様では、個体のHbA1cが5.7%以上かつ6.5%未満であれば「糖尿病前症」と診断される。本発明の別の態様によれば、「糖尿病前症」は3つの個体群、すなわち耐糖能障害(IGT)のみを有する個体、空腹時血糖異常(IFG)のみを有する個体又はIGTとIFGを両方有する個体を表す。IGT及びIFGは、一般的に別々の病態生理学的病因を有するが、患者に両方の特徴の混合状態が存在することもある。従って、本発明の別の態様では、「糖尿病前症」を有すると診断されている患者は、IGTと診断されたか又はIFGと診断されたか又はIGTとIFGの両方と診断された個体である。米国糖尿病協会(ADA)の定義に従い、本発明の一態様の文脈においては、「糖尿病前症」を有すると診断されている患者は、下記を有する個体である:
a)<100mg/dL[1mg/dL=0.05555mmol/L]の空腹時血漿グルコース(FPG)濃度及び75gの経口グルコース負荷試験(OGTT)により測定される、≧140mg/dLと<200mg/dLの間の範囲の2時間血漿グルコース(PG)濃度(すなわち、IGT);又は
b)≧100mg/dLと<126mg/dLの間の空腹時血漿グルコース(FPG)濃度及び75gの経口グルコース負荷試験(OGTT)によって測定される、<140mg/dLの2時間血漿グルコース(PG)濃度(すなわち、IFG);又は
c)≧100mg/dLと<126mg/dLの間の空腹時血漿グルコース(FPG)濃度及び75gの経口グルコース負荷試験(OGTT)によって測定される、≧140mg/dLと<200mg/dLの間の範囲の2時間血漿グルコース(PG)濃度(すなわち、IGTとIFGの両方)。
「糖尿病前症」を有する患者は、2型糖尿病を発症する素因のある個体である。糖尿病前症は、IGTの定義を拡張して、≧100mg/dLの高正常範囲内の空腹時血中グルコースを有する個体を含める(J. B. Meigs, et al. Diabetes 2003; 52:1475-1484)。糖尿病前症を重篤な健康の脅威と特定するための科学的及び医学的根拠は、米国糖尿病協会(American Diabetes Association)と国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)によって共同発行された表題「2型糖尿病の予防又は遅延(The Prevention or Delay of Type 2 Diabetes)」の見解表明(Position Statement)に明確に述べられている(Diabetes Care 2002; 25:742-749)。
膵β細胞の機能の調査方法は、インスリン感受性、高インスリン血症又はインスリン抵抗性に関して上記方法と同様であり:β細胞機能の改善は、例えばβ細胞機能のHOMA指数(恒常性モデル評価)、HOMA-B(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、インタクトプロインスリン対インスリンの比(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)、経口グルコース負荷試験又は食事負荷試験後の第1相及び第2相のインスリン分泌(Stumvoll et al., Diabetes care 2000, 23: 295-301)、経口グルコース負荷試験又は食事負荷試験後のインスリン/Cペプチド分泌を判定するか、或いは高血糖クランプ試験及び/又は頻回サンプリング静脈内グルコース負荷試験後のミニマルモデリング(Stumvoll et al., Eur J Clin Invest 2001, 31: 380-81)を利用することによって測定可能である。
用語「1型糖尿病」は、対象が、膵β細胞又はインスリンに対する自己免疫の存在下で、125mg/dL(6.94mmol/L)超の空腹時血中グルコース又は血清グルコース濃度を有する状態と定義される。グルコース負荷試験を行えば、糖尿病患者の血糖値は、膵β細胞又はインスリンに対する自己免疫の存在下で、空腹時に75gのグルコースを摂取した後2時間で血漿1dL当たり200mgのグルコース(11.1mmol/l)を超えることになる。グルコース負荷試験では10〜12時間の絶食後に試験される患者に75gのグルコースが経口投与され、グルコース摂取直前並びにグルコース摂取後1時間及び2時間で血糖値が記録される。膵β細胞に対する自己免疫の存在は、循環膵島細胞自己抗体の検出[「1A型糖尿病」]、すなわち、下記:GAD65[グルタミン酸デカルボキシラーゼ65]、ICA[膵島細胞質]、IA-2[チロシンホスファターゼ様タンパク質IA-2の細胞質内(intracytoplasmatic)ドメイン]、ZnT8[亜鉛輸送体8]若しくは抗インスリンの少なくとも1つの検出;又は典型的循環自己抗体の非存在下[1B型糖尿病]における自己免疫の他の兆候の検出によって、すなわち膵臓のバイオプシー又はイメージングを介して検出されるように、観察可能である。典型的に遺伝的素因(例えば、HLA、INS VNTR及びPTPN22)が存在するが、これが常に当てはまるわけではない。
用語「2型糖尿病」又は「T2DM」は、対象が125mg/dL(6.94mmol/L)超の空腹時血中グルコース又は血清グルコース濃度を有する状態と定義される。血糖値の測定はルーチン医学分析の標準手順である。グルコース負荷試験を行えば、糖尿病患者の血糖値は、空腹時に75gのグルコースを摂取した後2時間で血漿1dL当たり200mgのグルコース(11.1mmol/l)を超えることになる。グルコース負荷試験では10〜12時間の絶食後に試験される患者に75gのグルコースが経口投与され、グルコース摂取直前並びにグルコース摂取後1時間及び2時間で血糖値が記録される。健康対象では、グルコース摂取前の血糖値は血漿1dL当たり60〜110mgであり、グルコース摂取後1時間で血漿1dL当たり200mg未満、摂取後2時間で血漿1dL当たり140mg未満である。2時間後に血糖値が140〜200mgであれば、これは耐糖能異常とみなされる。
用語「後期2型糖尿病」には、インスリン療法並びに微小血管性及び大血管性合併症、例えば糖尿病性腎症、又は冠動脈心疾患(CHD)への進行の指標である続発性薬物失敗を有する患者が含まれる。
用語「LADA」(「緩徐発症成人自己免疫性糖尿病(latent autoimmune diabetes of adults)」)は、2型糖尿病と臨床診断されているが、膵β細胞に対する自己免疫を有すると検出されている患者を指す。緩徐発症成人自己免疫性糖尿病(LADA)は、緩徐進行性1型糖尿病(T1DM)、「軽度」T1DM、非インスリン依存性1型DM、1と1/2型DM、二重糖尿病(double diabetes)又は抗体陽性2型DM(T2DM)としても知られる。LADAは、明白に定義されないことが多く、T1DMとは対照的に、急速進行性β細胞機能不全に起因する顕著な体重減少及びケトアシドーシスをめったに又は全く示さない。
用語「HbA1c」は、ヘモグロビンB鎖の非酵素的糖化産物を指す。その決定は当業者に周知である。糖尿病治療のモニタリングにおいて、HbA1c値は格別に重要である。その産生は本質的に血糖値及び赤血球の寿命に依存するので、「HbA1c」は、「血糖記憶」という意味で、先行する4〜6週間の平均血糖値を反映する。HbA1c値が集中的糖尿病治療によって一貫して良好に調整されている糖尿病患者(すなわちサンプル中<6.5%の総ヘモグロビン)は、糖尿病性微小血管症に対して非常に良好に保護されている。例えば、メトホルミンはそのままで1.0〜1.5%オーダーの糖尿病患者のHbA1c値の平均的改善を達成する。このHbA1C値の低減は、全ての糖尿病患者において<7%又は<6.5%、好ましくは<6%のHbA1cという望ましい目標範囲を達成するためには十分でない。
本発明の範囲内の用語「不十分な血糖コントロール」は、患者が6.5%超、特に7.0%超、さらに好ましくは7.5%超、特に8%超のHbA1c値を示す状態を意味する。
「症候群X」(代謝障害の文脈で使用されるとき)とも呼ばれ、「代謝異常症候群」とも呼ばれる「代謝症候群」は、インスリン抵抗性という主特徴を有する複合症候群である(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol 2002;156:1070-7)。ATP III/NCEP指針(Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III) JAMA: Journal of the American Medical Association (2001) 285:2486-2497)によれば、下記リスク因子の3つ以上が存在するときに代謝症候群の診断が為される。
1. 男性で>40インチ若しくは>102cm、女性で>35インチ若しくは>94cmの胴囲;又は日本の民族性若しくは日本国患者に関しては男性で≧85cm、女性で≧90cmの胴囲と定義される腹部肥満;
2. トリグリセリド:≧150mg/dL
3. HDLコレステロール<40mg/dL(男性)
4. 血圧≧130/85mmHg(SBP≧130又はDBP≧85)
5. 空腹時血糖≧100mg/dL
NCEP定義は検証されている(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol. (2002) 156:1070-7)。血液中のトリグリセリド及びHDLコレステロールも医学分析の標準的方法によって決定可能であり、例えばThomas L (Editor):「Labor und Diagnose」、TH-Books Verlagsgesellschaft mbH, Frankfurt/Main, 2000に記載されている。
一般的な定義によれば、収縮期血圧(SBP)が140mmHgという値を超え、拡張期血圧(DBP)が90mmHgという値を超えると、高血圧と診断される。患者が顕性糖尿病を患っている場合、現在は収縮期血圧を130mmHg未満のレベルに下げ、拡張期血圧を80mmHg未満のレベルに下げるよう推奨される。
用語「エンパグリフロジン」は、例えばWO 2005/092877に記載されている下記式のSGLT2阻害薬1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
を指す。
Figure 2019533709
合成方法は、文献、例えばWO 06/120208及びWO 2011/039108に記載されている。本発明によれば、エンパグリフロジンの定義はその水和物、溶媒和物及びそれらの多形形態、並びにそれらの前駆体をも含むものと理解すべきである。エンパグリフロジンの有利な結晶形は、WO 2006/117359及びWO 2011/039107に記載されており、これによりそれらの内容全体が本明細書に組み込まれる。この結晶形は良い溶解特性を有し、SGLT2阻害薬の良いバイオアベイラビリティを可能にする。さらに、この結晶形は物理化学的に安定であり、従って医薬組成物の良好な貯蔵寿命安定性をもたらす。好ましい医薬組成物、例えば経口投与用固体製剤、例えば錠剤はWO 2010/092126に記載されており、これによりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
用語「治療」及び「治療すること」は、既に前記状態を特に顕性形態で発症している患者の治療処置を含む。治療処置は、特定徴候の症状を軽減するための対症療法或いは該徴候の状態を逆転若しくは部分的に逆転させるため又は疾患の進行を止めるか若しくは遅くするための原因療法であってよい。従って本発明の組成物及び方法は、例えば一定期間にわたる治療処置のみならず慢性療法にも使用可能である。
用語「予防的に治療すること」と「予防すること」は互換的に使用され、前述の状態を発症するリスクのある患者の治療を含み、その結果、前記リスクを減らす。
用語「錠剤」は、コーティングのない錠剤及び1つ以上のコーティングを有する錠剤を含む。さらに用語「錠剤」は、1、2、3又はそれより多くの層を有する錠剤及び有核錠剤(press-coated tablet)を含み、前述のタイプの各錠剤は、1つ以上のコーティングを有していてもいなくてもよい。用語「錠剤」は、ミニ錠、溶融錠、咀嚼錠、発泡錠及び口腔内崩壊錠をも含む。
用語「薬局方(pharmacopoe)」及び「薬局方(pharmacopoeias)」は、標準薬局方、例えば「USP 31-NF 26 through Second Supplement」(米国薬局方協会(United States Pharmacopeial Convention))又は「欧州薬局方6.3」(European Directorate for the Quality of Medicines and Health Care, 2000-2009)を指す。
用語「慢性腎臓病(CDK)」は、健康に影響を及ぼしながら、3カ月より長く存在する腎臓の構造又は機能の異常と定義される。CKDは、原因、GFRカテゴリー、及びアルブミン尿カテゴリー(CGA)に基づいて分類される。
CKDは5ステージに分類されており、ステージ1は90以上の正常GFR(mL/分/1.73m2)を有する腎損傷であり;ステージ2はGFRが軽度に低下した(GFR 60〜89)腎損傷であり;ステージ3はGFRの中等度の低下であり(GFR 30〜59);ステージ4はGFRの重度の低下であり(GFR 15〜29);ステージ5は腎不全(GFR<15又は透析)である。ステージ3は、GFRの軽度から中等度の低下であるステージ3A(GFR 45〜59)、及びGFRの中等度から重度の低下であるステージ3B(GFR 30〜44)に細分される。
用語「アルブミン尿」は、尿中に正常量を超えるアルブミンが存在する状態と定義される。アルブミン尿は、アルブミン排泄率(AER)及び/又は尿中のアルブミン対クレアチン比(ACR)(UACRとも呼ばれる)によって判定可能である。CKDのアルブミン尿カテゴリーは以下のように定義される。
Figure 2019533709
カテゴリーA1はアルブミン尿がないことを反映し、カテゴリーA2はミクロアルブミン尿を反映し、カテゴリーA3はマクロアルブミン尿を反映する。カテゴリーA1の進行は通常ミクロアルブミン尿(A2)につながるが、直接マクロアルブミン尿(A3)をもたらすこともある。ミクロアルブミン尿(A2)の進行の結果マクロアルブミン尿(A3)となる。
用語「eGFR」は、推定糸球体濾過量(GFR)を指す。GFRは、腎臓を通じて濾過される流体の流量を表す。推定GFRは、全て当該技術分野で周知である例えば慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)(CKD-EPI)式((CKD-EPI)crとも略記される)、コッククロフト・ゴールト(Cockcroft-Gault)式又はModification of Diet in Renal Disease(MDRD)式を用いて、血清クレアチニン値に基づいて計算可能である。
本発明の態様によれば、推定糸球体濾過量(eGFR)は血清クレアチニン値、年齢、性別及び人種から下記CKD-EPI式に基づいて導かれる。
GFR=141×min(Scr/κ,1)α×max(Scr/κ,1)-1.209×0.993年齢×1.018[女性の場合]×1.159[黒人の場合]
式中:
・Scrは、血清クレアチニン(mg/dL)であり、
・κは、女性が0.7、男性が0.9であり、
・αは、女性が-0.329、男性が-0.411であり、
・minは、Scr/κ又は1の最小を示し、
・maxは、Scr/κ又は1の最大を表す。
本発明の目的では、患者の腎機能障害の度合は、下記推定糸球体濾過量(eGFR)によって定義される:
正常腎機能(CKDステージ1):eGFR≧90mL/分/1.73m2
軽度腎機能障害(CKDステージ2):eGFR≧60から<90mL/分/1.73m2
中等度腎機能障害(CKDステージ3):eGFR≧30から<<60mL/分/1.73m2
重度腎機能障害(CKDステージ4):eGFR≧15から<30mL/分/1.73m2
腎不全(CKDステージ5):eGFR<15mL/分/1.73m2
本発明によれば、中等度腎機能障害をさらにサブステージに分けることができる:
中等度A腎機能障害(CKD 3A):eGFR≧45から<60mL/分/1.73m2
中等度B腎機能障害(CKD 3B):eGFR≧30から<45mL/分/1.73m2
発明の詳細な説明
血糖コントロールの改善及び尿糖排泄の増加に起因する減量を超えて、エンパグリフロジンは利尿作用、動脈硬化度低減及び直接的血管効果を示す(Cherney et al., Cardiovasc Diabetol. 2014;13:28; Cherney et al., Circulation. 2014;129:587-597)。EMPA-REG OUTCOME(商標)研究において、エンパグリフロジンが、2型糖尿病及び高い心血管リスクを有する患者の心血管死、心不全のための入院及び全体的死亡のリスクを減らすことが実証された(Zinman et al., N Engl J Med. 2015;373:2117-2128)。エンパグリフロジンによる治療は、心拍数の臨床関連変化なしで血圧低下をもたらし、その結果、心臓の酸素需要のサロゲートマーカーである心筋仕事量(RPP)を改善することが観察された。さらにエンパグリフロジンは、利尿薬で観察された上昇とは対照的に、臨床関連反射媒介交感神経活性化を伴わないことが分かった。腎臓内で変化したグルコース及びナトリウム勾配が交感神経抑制求心性腎神経シグナルを生成し得ると想定することができる。交感神経活性化の欠如は、エンパグリフロジンの有益な心血管及び腎臓プロファイルに寄与し得る(心腎連関軸(cardiorenal axis))。メカニズム考察、例えばエンパグリフロジンがヒト自律性心血管調節に及ぼす効果を含め、臨床及び非臨床研究に基づいて、特定疾患及び状態の治療、予防又はその進行を遅くするか又はそのリスク、特に特定患者の慢性腎臓病及び心血管死のリスクを減らす際のエンパグリフロジンの使用が前述及び後述される。
一実施形態によれば、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の慢性腎臓病を治療し、そのリスクを減らすか又はその進行を遅くする方法であって、エンパグリフロジンを患者に投与することを含む方法を提供する。
一態様によれば、本発明は、慢性心不全と診断されてない患者の慢性腎臓病を治療し、予防し、それに対して保護し、そのリスクを減らし、その発症を遅らせ、及び/又はその進行を遅らせる方法であって、エンパグリフロジンを患者に投与することを含み、患者は非糖尿病患者である、方法を提供する。特にこの実施形態は、患者の慢性腎臓病を治療し、及び/又はその進行を遅らせる方法に関する。この実施形態の一態様によれば、患者はステージ3a及び/又は3bを含めたステージ3の慢性腎臓病を有する患者である。この実施形態の別の態様によれば、患者はステージ4の慢性腎臓病を有する患者である。
慢性腎疾患としても知られる慢性腎臓病(CKD)は、数か月又は数年にわたる腎機能の進行性低下である。腎疾患、腎機能不全又は腎機能障害を有する患者には、糸球体濾過量(GFR、ml/分/1.73m2)に従って以下の5つの疾患ステージに階級化し得る(特に断りがなければ)慢性腎不全又は腎機能障害を有する患者が含まれ得る:正常GFR≧90に加えて持続性アルブミン尿(例えばUACR≧30mg/g)又は公知の構造性若しくは遺伝性腎疾患のどちらかを特徴とするステージ1;軽度腎機能障害を表すGFRの軽度な低下(GFR 60〜89)を特徴とするステージ2;中等度腎機能障害を表すGFRの中等度の低下(GFR 30〜59)を特徴とするステージ3;重度腎機能障害を表すGFRの重度の低下(GFR 15〜29)を特徴とするステージ4;及び確立された腎不全(末期ステージ腎疾患、ESRD)を表す透析を必要とするか又はGFR<15を特徴とする終末ステージ5。
慢性腎臓病及びそのステージ(CKD 1〜5)は、通常は例えば腎損傷(アルブミン尿)又は推定糸球体濾過量異常(腎臓損傷の有無にかかわらず、GFR<60[ml/分/1.73m2])に基づいて特徴づけ又は分類され得る。
一般的に、本発明の軽度腎機能障害はステージ2の慢性腎臓病に相当し、本発明の中等度腎機能障害は一般的にステージ3の慢性腎臓病に相当し、本発明の重度腎機能障害は一般的にステージ4の慢性腎臓病に相当する。同様に、本発明の中等度A腎機能障害は一般的にステージ3Aの慢性腎臓病に相当し、本発明の中等度B腎機能障害は一般的にステージ3Bの慢性腎臓病に相当する。
一実施形態によれば、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の心血死リスクを減らす方法を提供する。
一実施形態によれば、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の全ての原因の死亡リスクを減らす方法を提供する。
一実施形態によれば、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の入院リスクを減らす方法を提供する。
一実施形態によれば、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の心不全入院リスクを減らす方法を提供する。
一実施形態によれば、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の全ての原因の入院リスクを減らす方法を提供する。
一実施形態によれば、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の心血管死(致死的脳卒中、致死的心筋梗塞及び突然死を含めて)、非致死性心筋梗塞(無症候性心筋梗塞を除く)、非致死性脳卒中(いわゆる3ポイントMACE)のいずれものリスクを減らす方法を提供する。
別の実施形態によれば、本発明は、心血管イベントを予防し、そのリスクを減らすか又はの発生を遅らせる方法であって、エンパグリフロジンを、任意選択で1種以上の他の治療物質と組み合わせて、CKD患者に投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、心血管イベントは、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、不安定狭心症のための入院及び入院を必要とする心不全から選択される。一実施形態では、心血管死は、致死性心筋梗塞又は致死性脳卒中が原因である。一実施形態では、心血管死は、突然死又は心不全死が原因である。
一実施形態では、本発明は、慢性腎臓病を有する患者の慢性腎臓病を治療し、そのリスクを減らすか又はその進行を遅くし、かつ心血管死リスクを減らす方法であって、エンパグリフロジンを患者に投与することを含む方法を提供する。一態様では、患者は中等度又は重度に低下した腎機能又は高アルブミン尿レベル、例えば≧200mg/gを有する。
一態様では、患者は≧20から<45mL/分/1.73m2のeGFRを有する。一態様では、患者は≧20mL/分/1.73m2のeGFR及び≧200mg/gの尿中アルブミン対クレアチン比(UACR)を有する。一態様では、患者は≧45ml/分/1.73m2かつ<90ml/分/1.73m2のeGFR及び≧200mg/gの尿中アルブミン対クレアチン比(UACR)を有する。
一態様では、患者をRAAS阻害薬(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)で治療する。一態様では、患者をアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬及び/又はアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)で治療する。一態様では、患者は、CKDリスク因子を治療するための地方/国際的指針に従う標準治療の状態にある。
一態様では、患者は非糖尿病患者である。一態様では、患者は糖尿病前症を有する患者又は2型若しくは1型糖尿病を有する患者である。
一態様では、患者は非糖尿病かつ非糖尿病前症患者である。一態様では、患者は、心血管イベントリスクがないか又は高リスクでない。一態様では、患者は、慢性心不全を有する患者でなく、特にHFrEF(駆出率が低下した心不全)及び/又はHFpEF(駆出率が保たれた心不全)を有する患者でない。
一態様では、エンパグリフロジンは、1mg〜25mgの範囲の用量、例えば10mg又は25mgの用量で投与される。一態様では、エンパグリフロジンは、1日1回患者に投与される。
一態様では、エンパグリフロジンは、下記要素のいずれもの最初の発生までの時間を遅くするか又は遅らせる。
・CV死
・例えば(CKD-EPI)crによるeGFRの40%以上の持続性低下
・下記いずれかによって定義されるESRDの発症
o 持続的腎代替療法(透析又は腎移植)又は
o ベースラインeGFR≧30ml/分/1.73m2の患者については持続性eGFR<15ml/分/1.73m2又はベースラインeGFR<30ml/分/1.73m2の患者については持続性eGFR<10ml/分/1.73m2
一態様では、エンパグリフロジンは、下記要素の1つ以上によって定義される腎疾患進行の最初の発生までの時間を遅くするか又は遅らせる。
o 例えば(CKD-EPI)crによるeGFRの40%以上の持続性低下
o 持続性eGFR<10ml/分/1.73m2
o 持続的腎代替療法(透析又は腎移植のいずれかによる)によって定義されるESRDの発症又は
o 腎死
一態様では、エンパグリフロジンは、下記要素のいずれもの発生の最初の発生までの時間を遅くするか又は遅らせる。
・全ての原因の死亡又は全ての原因の入院
・全ての原因の入院
・全ての原因の死亡
・ベースラインからの変化のeGFR(例えば(CKD-EPI)crによる)スロープ
・心血管死又は心不全のための入院
一態様では、エンパグリフロジンは、下記要素のいずれか1つまでの時間を遅くするか又は遅らせる。
・判定によって確証されるCV死までの時間
・判定によって確証されるeGFRの40%以上の持続性低下の最初の発生までの時間
・判定によって確証されるESRDの最初の発症までの時間
・判定によって確証されるうっ血性心不全のための最初の入院までの時間
・全ての原因の最初の入院までの時間
・全ての原因の死亡までの時間
・判定によって確証される最初の3-MACE(すなわちCV死、非致死性MI、非致死性脳卒中)までの時間
・判定によって確証される全ての原因の死亡、eGFRの40%以上の持続性低下又はESRDの発症の最初の発生までの時間
・判定によって確証される全ての原因の死亡、eGFRの50%以上の持続性低下又はESRDの発症の最初の発生までの時間
・判定によって確証される全ての原因の死亡、eGFRの57%以上の持続性低下又はESRDの発症の最初の発生までの時間
・判定によって確証される腎複合エンドポイント(eGFRの40%以上の持続性低下、ESRDの発症)の最初の発生までの時間
・判定によって確証される腎複合エンドポイント2(eGFRの50%以上の持続性低下、ESRDの発症)の最初の発生までの時間
・判定によって確証される腎複合エンドポイント3(eGFRの57%以上の持続性低下、ESRDの発症)の最初の発生までの時間
・判定によって確証されるeGFRの57%以上の最初の持続性低下までの時間
・判定によって確証されるeGFRの50%以上の最初の持続性低下までの時間
・判定によって確証されるeGFRの30%以上の最初の持続性低下までの時間
・判定によって確証される急性腎不全(AKIを含めて)の最初の発症までの時間
・判定によって確証されるAKIの最初の発症までの時間
・DMの病歴なし及びベースラインでHbA1c<6.5%と定義されるDMでない患者のDM(HbA1c≧6.5%と定義されるか又は研究者によって診断される)の発症までの時間
本発明の方法では、エンパグリフロジンを、任意選択で1種以上の他の治療物質と組み合わせて患者に投与する。
前述及び後述の方法の一実施形態によれば、患者は非糖尿病患者、糖尿病前症を有する患者、2型糖尿病を有する患者又は1型糖尿病を有する患者である。
前述及び後述の方法の別の実施形態によれば、患者は糖尿病前症を有する患者である。この実施形態の一態様によれば、患者は5.7%以上かつ6.5%未満のHbA1cを有する。
前述及び後述の方法の別の実施形態によれば、患者は糖尿病前症を有する患者又は非糖尿病患者である。この実施形態の一態様によれば、患者は6.5%未満のHbA1cを有する。
前述及び後述の方法の別の実施形態によれば、患者は非糖尿病患者、特に非糖尿病かつ非糖尿病前症患者である。この実施形態の一態様によれば、患者は5.7%未満のHbA1cを有する。
別の態様によれば、非糖尿病患者は耐糖能障害(IGT)を示さない。すなわち患者は正常な耐糖能を示す。例えば食後2時間の血中グルコース又は血清グルコース(PG)濃度は140mg/dI(7.78mmol/L)未満である。
別の態様によれば、非糖尿病患者は空腹時血糖異常(IFG)を示さない。すなわち患者は正常な空腹時血糖を示す。例えば空腹時血漿グルコース濃度(FPG)は100mg/dl未満、すなわち5.6mmol/l未満である。
特に非糖尿病患者は空腹時血糖異常(IFG)を示さず、耐糖能障害(IGT)を示さない。すなわち患者は正常な耐糖能及び正常な耐糖能を示す。例えば空腹時血漿グルコース濃度(FPG)は100mg/dl未満、すなわち5.6mmol/l未満であり、食後2時間の血中グルコース又は血清グルコース(PG)濃度は140mg/dI(7.78mmol/L)未満である。
前述及び後述の方法の一実施形態によれば、エンパグリフロジンは1日0.5〜25mgの範囲、例えば1日1〜25mgの用量、例えば1日1mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg又は25mgの用量で患者に投与される。エンパグリフロジンの投与は1日1回又は2回以上行ってよく、最も好ましくは1日1回である。例えば1日1回投与のための用量は10mg又は25mgである。好ましい投与経路は経口投与である。
本発明の特定態様によれば、エンパグリフロジンは1日10mgの用量で患者に投与される。
本発明の別の特定態様によれば、エンパグリフロジンは1日25mgの用量で患者に投与される。
好ましくはエンパグリフロジンは患者に1日1回経口投与される。
一実施形態では、本発明の意味の範囲内の患者には、以前に慢性心不全を治療するために薬物で処置されたことがない慢性心不全を有する患者(心不全薬未処置患者)が含まれ得る。従って、一実施形態では、本明細書に記載の療法を心不全薬未処置患者に使用してよい。
別の態様では、本発明の意味の範囲内の患者には、以前に抗糖尿病薬で処置されたことがない慢性心不全及び糖尿病前症又は2型糖尿病(T2DM)を有する患者(T2DM薬未処置患者)が含まれ得る。従って、一実施形態では、本明細書に記載の療法をT2DM薬未処置患者に使用してよい。
さらに、本発明の方法は、慢性心不全及びインスリン依存性を有する患者、すなわちインスリン若しくはインスリン誘導体又はインスリンの代用物或いはインスリン又はその誘導体若しくは代用物を含む製剤で治療されているかそうでなくても治療されることになるか又は治療を必要とする患者の治療に特に適している。これらの患者には、2型糖尿病を有する患者及び1型糖尿病を有する患者が含まれる。
さらに、本発明の医薬組成物の投与は、低血糖のリスクがないか又は低リスクをもたらすことが分かる。従って、本発明の治療又は予防は、低血糖を示しているか又は低血糖のリスクが高い当該患者にも有利な可能性がある。
エンパグリフロジンの投与によって、SGLT2阻害活性に基づいて患者の尿を通じて過剰な血中グルコースが排泄され、その結果、患者の体重増加がないか又は体重が減少することさえあり得る。従って、本発明の方法は、過体重及び肥満、特にクラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII肥満、内臓型肥満及び腹部肥満から成る群より選択される状態の1つ以上と診断されている慢性心不全を有する当該患者に有利に適している。さらに本発明の方法は、体重増加が禁忌である当該患者に有利に適している。
本発明が、治療又は予防を必要とする患者に言及するとき、それは主にヒトの治療及び予防に関するが、状況に応じて医薬組成物を哺乳動物の獣医薬に使用してもよい。本発明の範囲においては、成人患者は好ましくは18歳以上の年齢のヒトである。また本発明の範囲においては、患者は青年期のヒト、すなわち年齢6〜17歳、例えば10〜17歳、好ましくは年齢13〜17歳のヒトである。
本発明の実施形態によれば、エンパグリフロジンは、1種以上の他の治療物質と組み合わせて患者に投与される。併用投与は、同時、別々又は逐次であり得る。
一実施形態では、慢性心不全の治療に適応とされる活性物質は、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNi)、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬(MRA)、ジゴキシン、イバブラジン及び利尿薬から選択される。
一実施形態では、抗糖尿病物質は、メトホルミン、スルホニル尿素、ナテグリニド、レパグリニド、PPARγ作動薬、αグルコシダーゼ阻害薬、インスリン及びインスリン類似体、GLP-1及びGLP-1類似体並びにDPP-4阻害薬から選択される。
一実施形態では患者は、慢性心不全を有する患者に適応される標準治療薬物を受ける。この実施形態の一態様では、エンパグリフロジンは、慢性心不全の治療に適応とされる1種以上の活性物質と組み合わせて患者に投与される。例えばエンパグリフロジンは、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNi)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬及びイバブラジンから成る群より選択される1種以上の活性物質と組み合わせて投与される。実施形態のこの態様によれば、患者は例えば非糖尿病患者又は糖尿病前症を有する患者である。
アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)の例はテルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、アジルサルタン及びエプロサルタンであり;これらの薬物のいくつかの投与量を例として以下に示す。
・カンデサルタン(Atacand)、4mg、8mg、16mg、又は32mgのカンデサルタンシレキセチル
・エプロサルタン(Teveten)、400mg又は600mg
・イルベサルタン(Avapro)、75mg、150mg、又は300mgのイルベサルタン。
・ロサルタン(Cozaar)、25mg、50mg又は100mgのロサルタンカリウム
・テルミサルタン(Micardis)、40mg又は80mg
・テルミサルタン(Micardis HCT)、40mg/12.5mg、80mg/12.5mg、及び80mg/25mgのそれぞれテルミサルタン及びヒドロクロロチアジド
・テルミサルタン/アムロジピン(Twynsta)、40mg/5mg、40mg/10mg、80mg/5mg及び80mg/10mgのそれぞれテルミサルタン及びアムロジピン
・バルサルタン(Diovan)、40mg、80mg、160mg又は320mgのバルサルタン
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の例は、ベナゼプリル、カプトプリル、ラミプリル、リシノプリル、モエキシプリル、シラザプリル、キナプリル、カプトプリラ、エナラプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、ホシノプリル及びトランドラプリルであり;これらの薬物のいくつかの投与量を例として以下に示す。
・ベナゼプリル(Lotensin)、経口投与用の5mg、10mg、20mg、及び40mg
・カプトプリル(Capoten)、経口投与用の分割錠剤として12.5mg、25mg、50mg、及び100mg
・エナラプリル(Vasotec)、経口投与用の2.5mg、5mg、10mg、及び20mg錠剤
・ホシノプリル(Monopril)、10mg、20mg、及び40mg錠剤として経口投与用
・リシノプリル(Prinivil、Zestril)、経口投与用の5mg、10mg、及び20mg錠剤
・モエキシプリル(Univasc)、経口投与用の7.5mg及び15mg
・ペリンドプリル(Aceon)、経口投与用の2mg、4mg及び8mgの強度
・キナプリル(Accupril)、経口投与用の5mg、10mg、20mg、又は40mgのキナプリル
・ラミプリル(Altace)、1.25mg、2.5mg、5、mg、10mg
・トランドラプリル(Mavik)、経口投与用の1mg、2mg、又は4mgのトランドラプリル
β遮断薬の例は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロール、ネビボロール、プロプラノロール、チモロール及びカルベジロールであり;これらの薬物のいくつかの投与量を例として以下に示す。
・アセブトロール(Sectral)、塩酸塩としての200又は400mgのアセブトロール
・アテノロール(Tenormin)、経口投与用の25、50及び100mg錠剤
・ベタキソロール(Kerlone)、経口投与用の10mg及び20mg錠剤
・ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(Ziac)、2.5/6mg、5/6.25mg、10/6.25mg
・ビソプロロール(Zebeta)、経口投与用の5及び10mg錠剤
・メトプロロール(Lopressor、Toprol XL)、経口投与用の50及び100mg錠剤並びに静脈内投与用の5mLアンプル
・プロプラノロール(Inderal)、経口投与用の10mg、20mg、40mg、60mg及び80mg錠剤
・チモロール(Blocadren)、経口投与用の5mg、10mg又は20mgのチモロールマレイン酸塩
アルドステロン拮抗薬の例はスピロノラクトン、エプレレノン、カンレノン及びフィネロノン(fineronone)であり;これらの薬物のいくつかの投与量を例として以下に示す。
・スピロノラクトン(例えばAldactone)、1日1回又は1日おきに25又は50mg、
・エプレレノン(例えばInspra)、1日1回25又は50mg。
利尿薬の例はブメタニド、ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、キシパミド、インダパミド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、スピロノラクトン、エプレレノン、アミロライド及びトリアムテレンであり;例えばこれらの薬物はチアジド系利尿薬、例えばクロルタリドン、HCT、ループ系利尿薬、例えばフロセミド、トラセミド又はカリウム保持性利尿薬、例えばエプレレノン、又はその組み合わせであり;これらの薬物のいくつかの投与量を例として以下に示す。
・アミロライド(Midamor)、5mgの無水アミロライドHCl
・ブメタニド(Bumex)、分割錠として入手可能、経口投与用の0.5mg(薄緑)、1mg(黄色)及び2mg(桃色)
・クロロチアジド(Diuril)、
・クロルタリドン(Hygroton)
・フロセミド(Lasix)
・ヒドロクロロチアジド(Esidrix、Hydrodiuril)
・インダパミド(Lozol)及びスピロノラクトン(Aldactone)
・エプレレノン(Inspra)
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNi)の例はバルサルタンとサクビトリルの組み合わせ(Entresto)である。
心臓ペースメーカーIf電流の阻害例はイバブラジン(Procoralan、Corlanor)である。
カルシウムチャネル遮断薬の例はアムロジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ベラパミル、ガロパミル及びジルチアゼムである。
血圧を下げる薬物の例としては、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、β遮断薬、利尿薬及びカルシウムチャネル遮断薬が挙げられる。
この実施形態の別の態様では、患者は2型糖尿病を有する患者であり、エンパグリフロジンは、慢性心不全の治療に適応とされる1種以上の活性物質と組み合わせて及び1種以上の抗糖尿病物質と組み合わせて患者に投与される。抗糖尿病物質としては、メトホルミン、スルホニル尿素、ナテグリニド、レパグリニド、PPARγ作動薬、αグルコシダーゼ阻害薬、インスリン及びインスリン類似体、GLP-1及びGLP-1類似体並びにDPP-4阻害薬が挙げられる。これらの例はメトホルミン及びDPPIV阻害薬、例えばシタグリプチン、サキサグリトピン(saxaglitpin)及びリナグリプチンである。慢性心不全の治療に適応とされる活性物質としては、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬及び利尿薬が挙げられる。
従って本発明の方法の一態様によれば、エンパグリフロジンはリナグリプチンと組み合わせて患者に投与される。この態様の患者は、特に2型糖尿病を有する患者である。好ましい用量は、例えば10mgのエンパグリフロジンを1日1回及び5mgのリナグリプチンを1日1回である。
従って本発明の別の態様によれば、エンパグリフロジンはメトホルミン塩酸塩と組み合わせて患者に投与される。この態様の患者は、特に2型糖尿病を有する患者である。好ましい用量は例えば10mgのエンパグリフロジンを1日1回又は5mgのエンパグリフロジンを1日2回及び500mg、850mg又は1000mgのメトホルミン塩酸塩を1日2回である。
この実施形態の一態様では、前記患者において、エンパグリフロジンの投与を続けながら、慢性心不全を治療するための前記薬物の数、投与量及び/又はレジメンを減らす。この実施形態の別の態様では、前記患者において、エンパグリフロジンの投与を続けながら、2型糖尿病を治療するための前記薬物の数、投与量及び/又はレジメンを減らす。この実施形態のさらに別の態様では、前記患者において、エンパグリフロジンの投与を続けながら、2型糖尿病を治療するための前記薬物並びに慢性心不全を治療するための前記薬物の数、投与量及び/又はレジメンを減らす。
この態様の一例によれば、エンパグリフロジンは、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNi)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬及びイバブラジンから成る群より選択される1種以上の活性物質と組み合わせて、又はメトホルミンと組み合わせて、又はリナグリプチンと組み合わせて又はメトホルミン及びリナグリプチンと組み合わせて投与される。
上記群の活性物質の例は、それらの用量強度(dose strength)、投与スキーム及び製剤を含め、当業者に周知である。
本発明の文脈では、用語メトホルミンは、即時放出、持続放出又は徐放製剤の形態のメトホルミン塩酸塩を含む。患者に投与されるメトホルミン塩酸塩の用量は、特に1日1回500mg〜2000mg、例えば1日1回750mg、1000mg、1500及び2000mgである。
エンパグリフロジン及びメトホルミンは、2つの異なる剤形で別々に又は1つの剤形で組み合わせて投与され得る。即時放出製剤としてのエンパグリフロジンとメトホルミンの併用剤形はWO2011/039337に記載されており、例えばSYNJARDI(登録商標)として知られている。エンパグリフロジンが即時放出製剤部分であり、メトホルミンが持続放出部分であるエンパグリフロジンとメトホルミンの併用剤形はWO2012/120040及びWO2013/131967に記載されている。
患者に投与されるリナグリプチンの好ましい用量は1日5mgである。
エンパグリフロジン及びリナグリプチンは、2つの異なる剤形で別々に又は1つの剤形で組み合わせて投与され得る。エンパグリフロジンとリナグリプチンの併用剤形はWO2010/092124に記載されており、例えばGLYXAMBI(登録商標)として知られている。
本発明の範囲内では、本発明の組み合わせ、組成物又は併用投与は、活性成分の同時、逐次又は別々投与を想定し得る。
この文脈では、本発明の意味の範囲内の「組み合わせ」又は「併用」には、限定するものではないが、固定及び非固定(例えば自由)形態(キットを含めて)及び使用、例えば成分の同時、逐次又は別々の使用が含まれ得る。
本発明の併用投与は、活性成分を一緒に投与することによって、例えば活性成分を1つの単一又は2つの別々の製剤又は剤形で同時に投与することによって行い得る。或いは、活性成分を逐次投与することによって、例えば2つの別々の製剤又は剤形で連続的に投与することによって投与を行ってもよい。
本発明の併用療法のためには、活性成分を別々に投与するか(活性成分が別々に配合されることを意味する)又は活性成分をまとめて製剤する(活性成分が同一製剤又は同一剤形に製剤されることを意味する)ことができる。従って、本発明の組み合わせの一要素の投与は、組み合わせの他の要素の投与の前、同時、又は後であり得る。
特に断りのない限り、併用療法は、第一選択療法、第二選択療法若しくは第三選択療法、又は付加型併用療法又は補充療法を指すことがある。
本発明の方法は、前述及び後述の疾患及び/又は状態の長期治療又は予防に特に適している。前述及び後述で使用される用語「長期」は、12週より長い、好ましくは25週より長い、さらに好ましくは1年より長い期間内の患者の治療又は投与を表す。
本発明のエンパグリフロジンを含む医薬組成物は、経口若しくは非経口(筋肉内、皮下及び静脈内を含めて)投与のために液体形態若しくは固体形態で又は吸入若しくは吹送による投与に適した形態で製剤され得る。経口投与が好ましい。医薬組成物は、錠剤、粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、カプレット剤、軟カプセル剤、丸剤、経口液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、咀嚼錠、トローチ剤、発泡錠、点滴剤、懸濁剤、速溶解錠、経口速崩錠等の形態で製剤され得る。医薬組成物及び剤形は、好ましくは製剤の他の成分と相溶性であるという意味で「許容され」なければならず、そのレシピエントに有害でない1種以上の医薬的に許容される担体を含む。医薬的に許容される担体の例は当業者に周知である。
本発明の医薬組成物及び方法は、前述の当該疾患及び状態の治療及び予防において有利な効果を示す。有利な効果は、例えば効力、有効成分含量(dosage strength)、投与回数、薬力学的特性、薬物動態学的特性、少ない有害作用、利便性、コンプライアンス等に関して見られ得る。
エンパグリフロジンの製造方法は当業者に周知である。有利なことに、本発明の化合物は、前述で引用した特許出願を含めた文献に記載の合成方法を用いて調製可能である。好ましい製造方法は、WO2006/120208及びWO2007/031548に記載されている。エンパグリフロジンについて有利な結晶形は国際特許出願WO2006/117359に記載されており、これによりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
本発明のさらなる実施形態、特徴及び利点は、下記実施例から明らかに成り得る。下記実施例は、本発明を限定することなく、例として本発明の原理を説明するのに役立つ。
実施例1A:慢性腎臓病を有する患者の治療
慢性腎臓病を有する患者の標準治療への付加型療法としての1日1回のエンパグリフロジン10mgによる治療をプラセボと比較するためのランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群試験においてエンパグリフロジンを患者に投与する。患者の持続期間は好ましくは長期治療、例えば30〜48カ月である。
患者には、下記の少なくとも1つによって定義される心腎イベントリスクが高い慢性腎臓病が存在する個体が含まれる:
A) UACR≧200mg/gクレアチニンと定義される超高レベルのアルブミン尿(すなわちマクロアルブミン尿)及び/又は
B) <45ml/分/1.73m2の推定GFRを有する腎機能障害
さらなる患者には、安定単一RAS遮断背景療法(すなわち1日用量を変えずにACE阻害薬又はARBのどちらか)を有する患者が含まれる。
この研究の複合主要エンドポイントは、下記要素のいずれかもの最初の発生までの時間である:
・CV死
o eGFR(CKD-EPI)crの40%以上の持続性低下
o 下記のどちらかによって定義されるESRDの発症
o 続的腎代替療法(透析又は腎移植)又は
o ベースラインeGFR≧30ml/分/1.73m2の患者については持続性eGFR<15ml/分/1.73m2又はベースラインeGFR<30ml/分/1.73m2の患者については持続性eGFR<10ml/分/1.73m2
二次エンドポイントは下記要素のいずれもの発生の最初の発生までの時間と定義される:
全ての原因の死亡又は全ての原因お入院
全ての原因の入院
全ての原因の死亡
ベースラインからの変化のeGFR(CKD-EPI)crスロープ
他の二次エンドポイントは下記要素のいずれか1つである:
判定によって確証されるCV死までの時間
判定によって確証されるeGFRの40%以上の持続性低下の最初の発生までの時間
判定によって確証されるESRDの最初の発症までの時間
判定によって確証されるうっ血性心不全のための最初の入院までの時間
全ての原因の最初の入院までの時間
全ての原因の死亡までの時間
判定によって確証される最初の3-MACE(すなわちCV死、非致死性MI、非致死性脳卒中)までの時間
判定によって確証される全ての原因の死亡、eGFRの40%以上の持続性低下又はESRDの発症の最初の発生までの時間
判定によって確証される全ての原因の死亡、eGFRの50%以上の持続性低下又はESRDの発症の最初の発生までの時間
判定によって確証される全ての原因の死亡、eGFRの57%以上の持続性低下又はESRDの発症の最初の発生までの時間
判定によって確証される腎複合エンドポイント(eGFRの40%以上の持続性低下、ESRDの発症)の最初の発生までの時間
判定によって確証される腎複合エンドポイント2(eGFRの50%以上の持続性低下、ESRDの発症)の最初の発生までの時間
判定によって確証される腎複合エンドポイント3(eGFRの57%以上の持続性低下、ESRDの発症)の最初の発生までの時間
判定によって確証されるeGFRの57%以上の最初の持続性低下までの時間
判定によって確証されるeGFRの50%以上の最初の持続性低下までの時間
判定によって確証されるeGFRの30%以上の最初の持続性低下までの時間
判定によって確証される急性腎不全(AKIを含めて)の最初の発症までの時間
判定によって確証されるAKIの最初の発症までの時間
DMの病歴なし及びベースラインでHbA1c<6.5%と定義されるDMでない患者のDM(HbA1c≧6.5%と定義されるか又は研究者によって診断される)の発症までの時間
実施例1B:慢性腎臓病を有する患者の治療
慢性腎臓病を有する患者の標準治療への付加型療法としての1日1回のエンパグリフロジン10mgによる治療をプラセボと比較するためのランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群研究においてエンパグリフロジンを患者に投与する。患者の持続期間は好ましくは長期治療、例えば30〜48カ月である。
患者には、下記の少なくとも1つによって定義される心腎イベントリスクが高い慢性腎臓病が存在する個体が含まれる:
A) ≧20ml/分/1.73m2かつ<45ml/分/1.73m2の推定GFRを有する腎機能障害又は
B) R≧45ml/分/1.73m2かつ<90ml/分/1.73m2の推定GFR及びUACR≧200mg/gクレアチニンと定義される超高レベルのアルブミン尿(すなわちマクロアルブミン尿)
さらなる患者には、臨床的に適切な用量の単一薬剤RAS遮断背景療法(すなわちACE阻害薬又はARB)を有する患者が含まれる。RAS遮断が適応とみなされないか(例えば同時投薬又は併存症ため)、又はRAS遮断に耐えられない当該参加者は、それでも治験に参加する資格があるが、RAS遮断を利用しない理由は実証されないことになる。
この研究の複合主要エンドポイントは、下記要素のいずれかもの最初の発生までの時間である:
・CV死
・腎疾患の進行
o eGFR(CKD-EPI)crの40%以上の持続性低下
o 持続性eGFR<10ml/分/1.73m2
o 持続的腎代替療法(透析又は腎移植のどちらかによる)によって定義されるESRDの発症又は
o 腎死
重要な二次エンドポイントは、下記要素のいずれもの発生の最初の発生までの時間と定義される:
・心血管死又は心不全のための入院;
・任意の原因からの入院;及び
・全ての原因の死亡。
下記主要複合アウトカムの個々の要素を含むことになる他の二次アウトカム
・心疾患の進行(上記定義どおり);
・心血管死。
三次評価は、下記について予定された治療期間中にプラセボに対するエンパグリフロジンへの割当効果の全てのランダム化参加者間の治療企図解析を含むことになる:
・腎疾患の進行、全体的並びにESRD及び別々に考慮される≧40%のeGFRの持続性低下を伴う;
・eGFR変化の年率、全体的並びに全ての参加者の別々に2カ月から及び種々の細区画にいて別々に(以下に規定);
・特定カテゴリーの原因、例えば心血管(例えば冠動脈死、突然心臓死[冠動脈死であるとは分からない]、心不全、他の心臓、脳卒中、及び他の血管)及び非心血管(例えば腎臓、感染、癌、他の医学的、及び非医学的)原因の死亡;
・一次アウトカム複合及び別々に、ランダム化来診で為される評価に基づく種々の細区画におけるGFR変化の年率:
(a)病歴(存在対非存在):糖尿病*;心血管疾患;心不全;末梢動脈疾患;
(b)参加者特性:年齢、性別、地域、血圧、肥満度指数;
(c)臨床検査値:HbA1c;eGFR;尿中アルブミン:クレアチニン比;ヘマトクリット;
(d)投薬:RAS遮断;β遮断薬;利尿薬;
・主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中又は心不全のための入院の複合と定義される);
・初発糖尿病(臨床診断、グルコース低減治療の開始、又は少なくとも1回の機会の中心HbA1c≧48mmol/molと定義される)、ベースラインでの糖尿病*がない参加者間、全体的及び正常血糖又は「糖尿病前症」(それぞれ、HbA1c<39[正常血糖]又は≧39から<48mmol/mol[糖尿病前症]と定義される)を有する参加者間で別々に。*ベースラインでの糖尿病は、患者報告糖尿病歴、グルコース低減薬物の使用又はランダム化来診でのベースラインHbA1c≧48mmol/molと定義される。
実施例2:医薬組成物及び剤形
経口投与用の固体医薬組成物及び剤形の下記例は、本発明を該例の内容に限定することなく本発明をさらに完全に説明するのに役立つ。経口投与用組成物又は剤形のさらなる例はWO2010/092126に記載されている。用語「活性物質」は、本発明のエンパグリフロジン、特にWO2006/117359及びWO2011/039107に記載のその結晶形を表す。
2.5mg、5mg、10mg又は25mgの活性物質エンパグリフロジンを含有する錠剤。成分の量は1フィルムコート錠当たりのmgで与えてある。
Figure 2019533709
錠剤の製造、活性医薬成分、賦形剤及びフィルムコーティング系に関する詳細は、WO 2010/092126、特に実施例5及び6に記載されており、これによりその内容全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (17)

  1. 慢性腎臓病を有する患者の慢性腎臓病を治療し、そのリスクを減らすか又はその進行を遅くする方法であって、エンパグリフロジンを前記患者に投与することを含む前記方法。
  2. 前記方法が、さらに前記患者の心血管死リスクを減らす、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法が、さらに前記患者の全ての理由の死亡リスクを減らす、請求項1に記載の方法。
  4. 前記方法が、さらに前記患者の全ての理由の入院リスクを減らす、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者が、中等度から重度に低下した腎機能を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記患者が、≧200mg/gの高アルブミン尿レベルを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記患者が、≧20mL/分/1.73m2から<45mL/分/1.73m2のeGFRを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記患者が、≧20mL/分/1.73m2のeGFR及び≧200mg/gの尿中アルブミン対クレアチン比(UACR)を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記患者が、≧45ml/分/1.73m2かつ<90ml/分/1.73m2のeGFR及び≧200mg/gの尿中アルブミン対クレアチン比(UACR)を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記患者をRAAS阻害薬で治療する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記患者をアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬及び/又はアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)で治療する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記患者が非糖尿病患者である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記患者が非糖尿病かつ非糖尿病前症患者である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記患者が、糖尿病前症を有する患者又は2型若しくは1型糖尿病を有する患者である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. エンパグリフロジンを1mg〜25mgの範囲の用量で投与する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. エンパグリフロジンを10mg又は25mgの用量で投与する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. エンパグリフロジンを1日1回前記患者に投与する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
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