JP2019531332A - Trem2切断モジュレーター及びその使用 - Google Patents

Trem2切断モジュレーター及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)のエクトドメイン内に結合部位を有する結合分子に関し、ここでこの結合分子は、TREM2切断を阻害する。前記結合分子は、神経変性障害などの、神経障害の治療及び/又は予防に特に有用である。また神経障害の治療及び/又は予防における使用のための医薬組成物も、本発明により包含され、ここでこの医薬組成物は、本発明の結合分子を含有する。本発明の結合分子を使用することにより治療及び/又は予防され得る神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、FTLD−様症候群、パーキンソン病、那須ハコラ病、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病、免疫−媒介型神経障害、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む。

Description

本発明は、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)のエクトドメイン内に結合部位を有する結合分子に関し、ここでこの結合分子は、TREM2切断を阻害する。該結合分子は、神経変性障害などの神経障害の治療及び/又は予防に特に有用である。同じく、神経障害の治療及び/又は予防において使用するための医薬組成物も、本発明により包含され、ここでこの医薬組成物は、本発明の結合分子を含有している。本発明の結合分子の使用により治療及び/又は予防され得る神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、FTLD−様症候群、パーキンソン病、ハンチントン病、硬化性白質脳症を伴う嚢胞性脂肪膜性骨異形成症(PLOSL;那須ハコラ病としても公知)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、シャルコー・マリー・ツース病又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む。
神経変性は、主にニューロンに影響を及ぼす任意の病的状態に該当し、且つ特定の機能的解剖学的システムにおけるニューロンの特定のサブセットの機能及び生存に影響を及ぼす不均一な臨床的及び病理学的発現を伴う神経障害の大きい群を表す(1)。脳に常在する免疫細胞の炎症及び活性化は、数多くの神経障害に共通の顕著な特徴であり、且つ特に神経変性障害における小神経膠細胞症の極めて重要な役割が、長期間認められている(2,3)。
疾患発症機序におけるミクログリア機能の中心的役割は、現在、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)における配列バリアントの同定により更に裏付けられている。ホモ接合性TREM2バリアントは、PLOSL/那須ハコラ病(4)又はFTD−様認知症(5)を引き起こすのに対し、ヘテロ接合性TREM2バリアントは、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、パーキンソン病、FTLD−様症候群、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)などのいくつかの神経障害及び神経変性障害のリスクの増大に関連している(5-11)(同じく、Ulrich, 2016, ACS Chem. Neurosci. 7: 420-427参照)。脳内では、TREM2は、ミクログリアにおいて独占的に発現され、例えば、細胞デブリの貪食に機能的に必要とされる(12,13)。TREM2は、そこでその生物学的機能を発揮し得る(14)細胞膜へシャトルされる1型膜タンパク質である。TREM2は、制限的膜内切断(RIP)を受ける(15,16)(例えば図1A参照)。RIPは、ADAM10及びADAM17(ディスインテグリンドメイン及びメタロプロテイナーゼドメインを持つタンパク質)及び恐らくMMP(マトリクスメタロプロテイナーゼ)を含むメタロプロテイナーゼによる、完全長TREM2のシェディングにより、細胞表面上で開始される。シェディングは、可溶性TREM2(sTREM2)の分泌を生じ、これはヒト脳脊髄液(CSF)中に検出することができる(15,17-19)。膜が保持したC末端断片(CTF)は、引き続き、γ−セクレターゼによる膜内切断によりクリアランスされる(例えば、Kleinbergerら, (15), 図1A参照)(16,20)。
TREM2のいくつかの変異が、機能的に調べられている。p.T66M及びp.Y38CなどのIg−様ドメイン内の変異は、TREM2のミスフォールディング及び小胞体内の未熟タンパク質の保持を生じる(15、21)。結果的に、減少した細胞表面TREM2が認められ、シェディングは劇的に減少する。これにあわせて、ホモ接合体TREM2 p.T66M変異を有する患者は、血清及びCSF中のsTREM2が劇的に低下するか、又は検出不可能なことさえある(15、18)。
低下した細胞表面TREM2は、減少した貪食活性を生じる(15)。アミロイドプラーク病理に対するTREM2機能喪失の作用に関する矛盾する結果が、最初に報告されたが(22、23)、これは現時点では、TREM2の喪失は、綿毛状のアミロイドプラークの蓄積に繋がることは明らかであり、これはプラークハロウ(hallow)の貪食クリアランスの欠如又はアミロイドプラーク成長防止の低下を示唆しているように見える(24、25)。低下した貪食性プラーク分解の裏付けとして、最近、貪食を介したアミロイドプラークの免疫治療的クリアランスは、TREM2の非存在下で減少されることが示された(26)。これまで機能的に調べられてきた変異は、TREM2のIg−様ドメイン内に位置する(例えば、Kleinbergerら、(15)、図1A参照)。このドメインのミスフォールディング、保持及び結果的に低下したシェディングは、このようなTREM2バリアントの共通のリードアウトであるように見える。最近の遺伝子研究は、先に説明されたコーディングバリアント(p.H157Y;(9、27、28))は、漢民族におけるADと有意に関連していることを指摘した(29)。興味深いことに、このバリアント(p.H157Y)は、スタルク(stalk)領域内のIg−様ドメインの外側に位置する(例えば、Kleinbergerら、(15)、図1A参照)。
神経変性障害などの神経障害は、一般に、非定型的タンパク質の集成及び/又は誘導された進行性細胞死を含む、いくつかの特徴を有する(30、31)。神経変性は、神経回路の多くの異なるレベルで認めることができ、これは分子欠損及び系統的欠損に繋がる。神経変性障害の激増及び/又は進行を低下することを目的とする、特定の治療的アプローチが存在する。しかし残念なことに、神経変性障害は依然治癒不可能であり、神経細胞の進行性の変性及び/又は死を生じている。
従って本発明の基礎となる技術的問題点は、神経変性障害を含む神経障害の治療及び/又は予防のための手段及び方法を提供することである。
この技術的問題点は、本明細書に記載され、且つ請求項で特徴付けられた実施態様の提供により、解決される。
従って本発明は、TREM2のエクトドメイン内に結合部位を有する結合分子に関し、ここでこの結合分子は、TREM2切断を阻害する。
本明細書において以下に及び添付された実施例において記載したように、そこでTREM2シェディングが起こる正確な切断部位は、驚くべきことに同定されている。特に本発明の状況において、TREM2エクトドメインの切断は、例えば配列番号:1又は4に示されたような、TREM2のアミノ酸配列の157位のヒスチジン(His157)に対しC末端側で起こることが分かっている。本発明の結合分子は、この位置でのTREM2エクトドメインの切断をブロックする。従って、本明細書に提供される結合分子は、表面−結合型TREM2を安定化するか又はその量を増加し、これによりミクログリア細胞の活性を保持し且つ刺激する。従って、本明細書に提供される結合分子は、アミロイドプラークの蓄積及び負の作用の防止に効果的に寄与することができ;こうして、アルツハイマー病(AD)などの神経変性障害を含む、様々な神経障害の治療及び/又は予防のための新規アプローチを提供する。
TREM2内で同定された切断部位(すなわち、His157)は、正にAD関連したTREM2バリアントp.H157Yが配置される部位である。神経変性疾患の発達に対するTREM2変異の寄与は、先行技術において説明されている。しかし、それによりp.H157YがAD又は他の神経変性障害の原因となる機序は、全く不明である。添付された実施例は、驚くべきことに、変異体バリアントp.H157Yは、より高いTREM2シェディングに繋がることを明らかにしており、これはp.T66M及びp.Y38CなどのIg−様ドメイン内の変異について認められる低下したシェディングとは相反する知見である(15)。同じく添付された実施例により明らかにされるように、TREM2 p.H157Yの増強されたシェディングは、減少した細胞表面完全長TREM2へ、及び低下した貪食活性へ繋がる。従って予想外に、Ig−様ドメイン又はスタルク領域内に位置した変異は、完全に異なる細胞の機序を介して、TREM2依存性貪食活性に影響を及ぼす。従って、先行技術におけるp.H157YバリアントなどのTREM2変異の存在の説明は、正にこの位置でTREM2切断が起こることを全く示唆していない。
抗−TREM2抗体などの、TREM2へ特異的に結合するいくつかの分子が、先行技術において公知である。しかし、TREM2エクトドメインシェディング(すなわち、切断)を阻害することができる結合分子を説明する公に入手可能なデータは存在しない。添付された実施例は、驚くべきことに、TREM2エクトドメインシェディング(すなわち、TREM2切断)は、TREM2のHis157で生じることを明らかにしている。従って切断酵素(例えば、ADAM10、ADAM17又はマトリクスメタロプロテイナーゼ)は、TREM2を切断するためにこのアミノ酸へのアクセスを有さなければならない。従って添付された実施例は、His157をブロックする結合分子は、TREM2の切断をうまく阻害することができることを指摘している。切断酵素のHis157へのアクセスは、His157へ直接結合することにより、ブロックされ得る。加えて又は代わりに、切断酵素のHis157へのアクセスは、His157に密に近接して(例えば、最大10のアミノ酸距離を有する)配置されているアミノ酸への結合により、立体的にブロックされ得る。例えば、His157に密に近接して配置されているアミノ酸に結合する抗体又は小型分子は、切断酵素のHis157へのアクセスを立体的にブロックし、これによりこの位置でのTREM2切断を阻害する。
従って本発明は、TREM2切断を阻害する(好ましくは妨害する)結合分子を提供する。より詳細には、本発明の状況において、TREM2エクトドメインの切断(すなわち、シェディング)は、本発明の結合分子により阻害される。
本明細書において提供される結合分子は、TREM2のエクトドメイン内に、結合部位を有する。本明細書における用語「結合部位」は、本明細書に提供された結合分子により認識される(すなわち、結合される)TREM2の部分を指す。本発明の結合分子が抗体である場合、この結合部位は、該抗体のエピトープに対応している。本明細書に提供される結合分子の結合部位は、各切断酵素(例えば、ADAM10)の切断部位内の任意の位置にあることができる。ADAM10の切断部位のTREM2の膜貫通ドメインまでの距離は、10〜30のアミノ酸である。添付された実施例は、TREM2内のADAM10の切断部位は、位置His157(すなわち、ヒトTREM2の膜貫通ドメインから18番目のアミノ酸)であることを明らかにしている。更に余り好ましくない切断部位は、位置Leu163、Leu164及びGlu165(すなわち、ヒトTREM2の膜貫通ドメインから10〜12番目のアミノ酸)に認められている。従って、ADAM10の最小の切断部位は、ヒト膜結合型TREM2のアミノ酸配列の145−174位からなるアミノ酸配列内に配置されると予想することができる。従ってADAM10の最小切断部位は、アミノ酸部分配列GESESFEDAHVEHSISRSLLEGEIPFPPTS(配列番号:16)内であると予想することができる。従って本発明の結合分子は、TREM2の、例えばヒト又はマウスTREM2の、145−174位内の任意のアミノ酸で、TREM2に結合することができる。
しかしスタルク領域内のいずれかでのTREM2の結合は、TREM2の切断酵素との相互作用の阻害に繋がることができ、結果的にTREM2切断を阻害することができる。TREM2のスタルク領域は、ヒト膜結合型TREM2のアミノ酸113−174位(例えば、配列番号:1に示される)、又はマウスの膜結合型TREM2のアミノ酸113−171位(例えば、配列番号:4に示される)に配置される。従って本発明の結合分子は、ヒト膜結合型TREM2の113−174位のアミノ酸部分配列内のどこか、及び/又はマウスの膜結合型TREM2の113−171位のアミノ酸部分配列内のどこかで、ヒトTREM2に結合することができる。
例えば本発明の結合分子は、例えば配列番号:1−6のいずれか一つに示されたような、TREM2の148−166位のアミノ酸のいずれか一つに結合してよい。本発明の状況において、膜結合型TREM2の切断は、本明細書に提供される結合分子により阻害される。従ってこの結合分子は、例えば配列番号:1又は4に示されたような、膜結合型TREM2の148−166位のアミノ酸のいずれか一つに結合してよい。好ましくは、本明細書に提供される結合分子は、ヒトTREM2の切断(すなわち、シェディング)を阻害する。従ってこの結合分子は、例えば配列番号:1−3に示されたような、ヒトTREM2の148−166位のアミノ酸のいずれか一つへ結合してよい。更により好ましくは、本発明の結合分子は、膜結合型ヒトTREM2の切断を阻害する。従って、本発明の結合分子は、例えば配列番号:1に示されたような、ヒト膜結合型TREM2の148−166位のアミノ酸のいずれか一つに結合してよい。従って本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関し、ここでこの結合部位は、以下からなる群から選択されるヒト膜結合型TREM2の少なくとも一つの位置を含む:
ヒト膜結合型TREM2の148位のグルタミン酸(Glu148);
ヒト膜結合型TREM2の149位のセリン(Ser149);
ヒト膜結合型TREM2の150位のフェニルアラニン(Phe150);
ヒト膜結合型TREM2の151位のグルタミン酸(Glu151);
ヒト膜結合型TREM2の152位のアスパラギン酸(Asp152);
ヒト膜結合型TREM2の153位のアラニン(Ala153);
ヒト膜結合型TREM2の154位のヒスチジン(His154);
ヒト膜結合型TREM2の155位のバリン(Val155);
ヒト膜結合型TREM2の156位のグルタミン酸(Glu156);
ヒト膜結合型TREM2の157位のヒスチジン(His157);
ヒト膜結合型TREM2の158位のセリン(Ser158);
ヒト膜結合型TREM2の159位のイソロイシン(Ile159);
ヒト膜結合型TREM2の160位のセリン(Ser160);
ヒト膜結合型TREM2の161位のアルギニン(Arg161);
ヒト膜結合型TREM2の162位のセリン(Ser162);
ヒト膜結合型TREM2の163位のロイシン(Leu163);
ヒト膜結合型TREM2の164位のロイシン(Leu164);
ヒト膜結合型TREM2の165位のグルタミン酸(Glu165);及び
ヒト膜結合型TREM2の166位のグリシン(Gly166)。
本発明の状況において、非−ヒト動物のTREM2の切断を阻害する結合分子を設計することが望ましいことがある。かかる結合分子は、例えば、前臨床動物試験における使用を認めることができる。例えば本発明の結合分子は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモット、フェレット及び/又はサルのTREM2へ結合する(及び切断を阻害する)ことができる。本発明の優先される態様において、本明細書に提供される結合分子は、マウスのTREM2に結合し且つ切断を阻害する。かかる結合分子は、例えば配列番号:4又は5に示されたような、マウスTREM2の148−166位のアミノ酸のいずれか一つへ結合してよい。本発明の結合分子は、膜結合型マウスTREM2の切断を阻害することは、本明細書においてより優先される。従って、本発明の結合分子は、例えば配列番号:4に示されたような、マウス膜結合型TREM2の148−166位のアミノ酸のいずれか一つに結合してよい。従って本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合部位は、以下からなる群から選択されるマウス膜結合型TREM2の少なくとも一つの位置を含む:
マウス膜結合型TREM2の148位のセリン(Ser148);
マウス膜結合型TREM2の149位のセリン(Ser149);
マウス膜結合型TREM2の150位のフェニルアラニン(Phe150);
マウス膜結合型TREM2の151位のグルタミン酸(Glu151);
マウス膜結合型TREM2の152位のグリシン(Gly152);
マウス膜結合型TREM2の153位のアラニン(Ala153);
マウス膜結合型TREM2の154位のグルタミン(Gln154);
マウス膜結合型TREM2の155位のバリン(Val155);
マウス膜結合型TREM2の156位のグルタミン酸(Glu156);
マウス膜結合型TREM2の157位のヒスチジン(His157);
マウス膜結合型TREM2の158位のセリン(Ser158);
マウス膜結合型TREM2の159位のトレオニン(Thr159);
マウス膜結合型TREM2の160位のセリン(Ser160);
マウス膜結合型TREM2の161位のアルギニン(Arg161);
マウス膜結合型TREM2の162位のアスパラギン(Asn162);
マウス膜結合型TREM2の163位のグルタミン(Gln163);
マウス膜結合型TREM2の164位のグルタミン酸(Glu164);
マウス膜結合型TREM2の165位のトレオニン(Thr165);及び
マウス膜結合型TREM2の166位のセリン(Ser166)。
ヒト療法において使用されるべき前臨床試験のための同じ結合分子を使用するために、本発明の結合分子は、膜結合型ヒトTREM2及び膜結合型マウスTREM2において同じアミノ酸に結合することが望ましい。従って本明細書に提供される結合分子は、例えば各々配列番号:1及び4に示されたような、ヒト膜結合型TREM2及びマウス膜結合型TREM2の位置149−151、153、155−158、160、161、及び166のアミノ酸のいずれか一つに結合してよい。
しかし前述のように、本明細書に提供される結合分子は、TREM2の148−166位でアミノ酸のいずれか一つに結合してよい。好ましくは、これらの結合分子は、TREM2の153−166位で、より好ましくは153−162位で、アミノ酸のいずれか一つに結合する。前述のように、本発明の結合分子は、ヒト又はマウスTREM2に、好ましくは膜結合型ヒト又はマウスTREM2に、及び最も好ましくは膜結合型ヒトTREM2に、結合し且つその切断を阻害することが優先される。
本明細書に提供される結合分子は、TREM2内の立体構造の結合部位に又は線状の結合部位に結合することができる。結合分子が抗体である場合、これらの結合部位は、各々、立体構造エピトープ及び線状エピトープと称される。立体構造の結合部位は、TREM2のアミノ酸配列の不連続部分で構成される。そのような結合部位は、3D構造表面特徴を基に、すなわちTREM2の三次元構造を基に、結合分子と相互作用する。
対照的に、線状の結合部位は、TREM2のアミノ酸配列の一次構造を基に結合分子と相互作用する。従って線状の結合部位は、TREM2の連続アミノ酸配列により構成される。例えば、TREM2内の本明細書に提供される結合分子の結合部位は、TREM2の位置148−157又は157−166、好ましくは149−158又は156−165、より好ましくは150−159又は155−164、更により好ましくは151−165又は154−163、更により好ましくは152−161又は153−162、及び更により好ましくは153−162のアミノ酸からなるポリペプチドのいずれか一つを含むか又はこれと重複することができる。例えば結合部位は、TREM2の位置152−156又は158−162のアミノ酸からなるポリペプチドを含むか又はこれと重複してよい。しかし、3〜5個のアミノ酸のより小さい結合部位もまた、本明細書に提供される結合分子により使用されてよい。例えば、TREM2内の本明細書に提供される結合分子の結合部位は、位置148−150又は164−166、好ましくは149−151又は163−165、より好ましくは150−152又は162−164、更により好ましくは151−153又は161−163、更により好ましくは152−154又は160−162、更により好ましくは153−155又は159−161、更により好ましくは154−156又は158−160、更により好ましくは155−157及び/又は157−159、並びに更により好ましくは156−158のアミノ酸からなるポリペプチドのいずれか一つを含むか又はこれと重複してよい。前述のように、本発明の結合分子は、ヒト又はマウスTREM2に、好ましくは膜結合型ヒト又はマウスTREM2に、及び最も好ましくは膜結合型ヒトTREM2に結合し且つ切断を阻害することが、優先される。
前述のように、本発明の状況において、驚くべきことに、TREM2は、His157で特異的に切断されることが同定されている。従って、本発明の結合分子は、His157に直接結合するか、又は位置His157での切断を立体的に阻害するかのいずれかである。従って、TREM2切断の阻害に繋がる好ましい結合部位は、位置His157の切断部位の周りに中心がある。TREM2の切断酵素(例えば、ADAM又はマトリクスメタロプロテイナーゼ、MMP)との相互作用を阻害するTREM2のスタルク領域における結合分子の(例えば、抗体、ナノボディ又は小型分子の)任意の結合は、本発明の状況において使用することができる。TREM2のスタルク領域は、ヒトTREM2の113−174位(例えば、配列番号:1に示される);又は、マウスTREM2の113−171位(例えば、配列番号:4に示される)に配置される。本発明の一態様において、本明細書に提供される結合分子の結合部位は、配列番号:7−15、21及び22のいずれか一つに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのいずれか一つを含むか又はこれと重複する。好ましくは、この結合部位は、配列番号:7のアミノ酸配列内である。
添付された実施例に示されたように、プロテアーゼADAM10は、位置His157とSer158の間で、TREM2を切断する。従って本発明の状況において、本明細書に提供される結合分子の結合部位が、His157及び/又はSer158を含むことは、特に好ましい。添付された実施例に示されたように、ADに関連したTREM2バリアントp.H157Yは、TREM2の増強されたシェディングに繋がり、このことは、His157は、TREM2切断の調節において重要な役割を果たすことを示唆している。従って本発明の状況において、本明細書に提供される結合分子の結合部位は、TREM2の、特にヒト又はマウス膜結合型TREM2のHis157を含むことが、最も好ましい。従って、本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合部位は、TREM2の157位にヒスチジンを含む。
本明細書に提供される結合分子は、切断酵素のTREM2へのアクセスを阻害することにより、TREM2切断を阻害する。TREM2の切断を定量するために使用することができる、当該技術分野において公知のいくつかのアッセイが存在する。これらの方法は、本明細書に提供される結合分子によるTREM2切断の阻害をアッセイ(すなわち、定量)するために、本発明の状況において使用してよい。例えば、TREM2切断の阻害は、当該技術分野において公知であり、且つ例えばKleinbergerらの論文(15)に説明されたような、以下のアッセイを使用し、試験(特に定量)することができる:
1)ヒト及び/又はマウスTREM2発現細胞の膜画分又はタンパク質溶解液の免疫ブロッティング。TREM2切断の効率は、より高い分子量(“成熟”)バンドを分析することにより、試験することができる(例えば、Kleinbergerら(15)及び1C参照)、
2)ヒト及び/又はマウスTREM2発現細胞由来の上清の免疫ブロッティング(例えば、論文(15)、図1B、1C及び4B参照)、
3)ヒト及び/又はマウスTREM2発現細胞由来の上清中の可溶性TREM2のELISA−ベースの定量(例えば、論文(15)、図1B、4C及び7A参照)、
4)表面ビオチン化アッセイによる膜−結合型(すなわち、細胞表面−露出された)TREM2の定量(例えば、Kleinbergerら(15)、図2F参照)、
5)フローサイトメトリーによる、ヒト及び/又はマウス細胞株及び初代細胞上の膜−結合型(すなわち、細胞表面−露出された)TREM2の定量、
6)細胞−ベースのELISA技術による、ヒト及び/又はマウス細胞株並びに初代細胞上の膜−結合型(すなわち、細胞表面−露出された)TREM2の定量、
7)表面免疫細胞化学による、ヒト及び/又はマウス細胞株並びに初代細胞上の細胞表面(すなわち、膜)−露出されたTREM2の定量(例えば、論文(16)参照)、
8)ヒト及び/又はマウスの組織及び/又は生体液(例えば、脳、肝臓、脾臓、血清、血漿、脳脊髄液及び/又は尿由来)からの可溶性TREM2(sTREM2)のELISA−ベースの定量、
9)ヒト及び/又はマウス起源由来の組織及び/又は生体液(例えば、脳、肝臓、脾臓、血清、血漿、脳脊髄液及び/又は尿由来)からのTREM2の免疫ブロッティング。
前述の方法のいずれか一つを、本発明の状況において、特定の結合分子が、TREM2切断を阻害するかどうかを試験するために、使用することができる。従って本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関し、ここでTREM2切断の阻害は、免疫ブロッティング、可溶性TREM2のELISA−ベースの定量、表面ビオチン化アッセイによる表面−結合型TREM2の定量、フローサイトメトリーによる表面−結合型TREM2の定量、表面免疫細胞化学による表面−結合型TREM2の定量及び/又は細胞−ベースのELISA技術による表面−結合型TREM2の定量によりアッセイされる。
結合分子によるTREM2の切断の阻害は、膜結合型TREM2の量と相関している。従って、膜結合型TREM2の量は、結合分子の非存在下での膜結合型TREM2の量と比べ、結合分子存在下で増加される。例として、例えば前述のアッセイのいずれか一つにより、特に免疫ブロッティング又はフローサイトメトリーにより、アッセイされた際に、該結合分子の存在下での、膜結合型TREM2の量は、結合分子の非存在下での膜結合型TREM2の量の少なくとも110%、好ましくは少なくとも120%、より好ましくは少なくとも150%、更により好ましくは少なくとも200%、及び更により好ましくは少なくとも250%である場合に、該結合分子はTREM2の切断を阻害する結合分子と見なされてよい。そのようなアッセイにおいて、TREM2切断酵素を含む細胞が使用されてよい。
従って例えば、前述のアッセイのいずれか一つにより、特に免疫ブロッティング又はフローサイトメトリーにより、アッセイされた際に、該結合分子の存在下で、膜結合型TREM2の量は、結合分子の非存在下での膜結合型TREM2の量よりも、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも100%、及び更により好ましくは少なくとも150%より多い場合に、該結合分子はTREM2の切断を阻害する結合分子と見なされてよい。言及したように、先に言及したアッセイのいずれか一つ、特にsTREM2の免疫ブロッティング又はELISAベースの定量は、本明細書に提供される結合分子のTREM2切断の阻害の定量に使用することができる。そのようなアッセイにおいて、TREM2切断酵素を含む細胞が、使用されてよい。
本明細書において、用語「膜結合型TREM2」(「膜−結合したTREM2」とも称される)は、そのエクトドメインを含む、完全長TREM2タンパク質が、グリコシル化され、且つ膜へ、特にミクログリア細胞の細胞膜へ結合されていることを意味する。
結合分子によるTREM2の切断の阻害の程度は、結合分子の存在下での可溶性TREM2(sTREM2)の量と、結合分子の非存在下でのsTREM2の量とを比べ、負の相関がある。例として、例えば前述のアッセイのいずれか一つにより、特にsTREM2のELISA−ベースの定量により、アッセイされた際に、該結合分子の存在下で、sTREM2の量は、結合分子の非存在下でのsTREM2の量の0〜90%、好ましくは0〜80%、より好ましくは0〜70%、更により好ましくは0〜60%、更により好ましくは0〜50%、及び更により好ましくは0〜20%である場合に、該結合分子はTREM2の切断を阻害する結合分子と見なされてよい。
添付された実施例は、抗体クローン14D3は、TREM2切断を、約70%だけ減少するのに対し、成熟TREM2のレベルを最大5倍まで増加することを示している。従って、未処置細胞(すなわち、本発明の結合分子を含まない細胞)と比べ、この結合分子は、TREM2切断を、少なくとも60%又は最も好ましくは約70%だけ減少することは、好ましい。前述のように、TREM2切断の量は、ELISAによりアッセイされてよく、これは定量のために、ウェスタンブロットが生じる定量よりもより強固なアッセイである。
添付された実施例は、ADAMプロテアーゼは、位置His157でTREM2を切断(すなわち、シェディング)することを示している。しかし先行技術において、ADAMプロテアーゼのインヒビターの投与後であっても、TREM2切断は、ある程度生じることが示された(15)。これらのデータは、ADAMプロテアーゼ以外のプロテアーゼもまた、TREM2を切断することを示唆している。しかし、TREM2を位置His157で(又はこの位置に密に近接した位置で)切断する任意のプロテアーゼによるTREM2の切断(すなわち、シェディング)は、本明細書に提供される結合分子により阻害されてよい。従って、本発明の状況においては、この切断酵素は、任意のメタロプロテイナーゼであってよい。例えば、該メタロプロテイナーゼは、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼドメイン−含有タンパク質(ADAM)又はマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)であってよい。従って、本発明の一態様において、結合分子は、切断酵素のTREM2への結合を干渉し、ここでこの切断酵素は、ADAM又はMMPである。先行技術において、ADAM10及びADAM17は、TREM2シェディングに関与することは説明されている(15,16,32)。従って、本明細書のADAMは、ADAM10及び/又はADAM17であってよい。本発明の状況においては、切断酵素は、ADAM10であることが優先される。
TREM2切断を阻害することにより、本明細書に提供される結合分子は、ミクログリア細胞の活性を、並びに/又は他のTREM2発現細胞の活性を保持及び/もしくは刺激する。好ましくは、本明細書に提供される結合分子は、ミクログリア細胞の活性を保持及び/又は刺激する。ミクログリア細胞の該活性は、貪食活性、遊走、カルシウムシグナル伝達、Syk活性化、及び/又は増殖であってよい。TREM2はまた、ミクログリア細胞の炎症性サイトカイン産生及び生存を調節している。従って、ミクログリア細胞の該活性はまた、炎症性サイトカイン産生及び/又は生存の調節であってよい。好ましくは、本明細書に提供される結合分子は、ミクログリア細胞の貪食活性を、保持及び/又は安定化する。細胞の貪食活性を測定するために使用することができる当該技術分野において公知のいくつかのアッセイが、存在する。例えば、所定の結合分子が、細胞の貪食活性を保持及び/又は安定化するかどうかを試験するために、貪食は、Kleinbergerらの論文(15)、及びXiangらの論文(26)に説明されたように試験することができる。貪食活性の増加は、論文(33)に説明された方法を用いて、インビボにおいて試験することができる。所定の結合分子が、細胞のカルシウムシグナル伝達を保持及び/又は安定化するかどうかを試験するために、いくつかの手段及び方法が、当該技術分野において公知であり、且つ例えば論文(20)に説明されている。
本明細書において提供される結合分子は、抗体(ナノボディなど)又は小型分子であってよい。「小型分子」は、低分子量(<900ダルトン)を伴う、ペプチド、フォルダマー、プレテオミミック、及び有機合成から誘導された化合物を含む、任意の種類であってよい。小型分子は、生物学的プロセスを調節することを補助し、且つ一般に10−10mの桁のサイズを有する。多くの薬物は、小型分子である。
添付された実施例において、TREM2スタルク領域の二次構造が、推定される。図4に示したように、TREM2エクトドメインのC末端は、大きいアルファヘリックス構造を示している。従って、ADAM又はMMPなどのメタロプロテイナーゼによるTREM2切断を阻害する小型分子を得るために、アルファ−ヘリックス−介在型タンパク質−タンパク質相互作用(TREM2−ADAM;TREM2−MMP)を阻害する小型分子が設計されてよい。このような小型分子は、そのホット−スポット残基の空間配向を模倣することにより、アルファヘリックスのトポグラフィーにマッチする、拘束型アルファ−ヘリックスペプチド又はプロテオミミックのいずれかを設計することにより、小型分子を設計することができる。これらのアプローチは、当該技術分野において公知であり、且つ例えば論文(34)において、検証されている。設計された小型分子は、例えば有機合成により、作製されてよい。
タンパク質の「ホットスポット残基」は、タンパク質がそれらの機能を発揮することを助ける基本的な境界面残基である。タンパク質−タンパク質結合エネルギーの大半は、分子間タンパク質境界面:ホットスポットでの数個のアミノ酸のグループのみに関連している(例えば、Zerbe、2012, J Chem Inf Model., 52(8): 2236-2244参照)。タンパク質−タンパク質相互作用の状況において、用語「ホットスポット」は、アラニン走査変異誘発により決定される結合自由エネルギーへの大きな寄与をなす残基又は残基クラスターを指す。対照的に、医薬研究において、ホットスポットは、リガンド結合に関する高い性向を有する標的タンパク質上の部位であり、従って創薬に関して潜在的重要性がある。
従って、本明細書に提供される結合分子が小型分子である場合、そのホット−スポット残基の空間配向を模倣することにより、TREM2のスタルク領域のアルファヘリックスのトポグラフィーにマッチする、拘束型アルファ−ヘリカルペプチド、フォルダマー又はプロテオミメティック(proteomimetic)であることができる。
本明細書において、用語「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用され、且つ少なくとも1つのアミノ酸鎖を包含する分子に関連しており、ここでこのアミノ酸残基は、ペプチド(アミド)結合により連結されている。用語「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」はまた、セレノシステインなどの、20の遺伝子−コードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含む分子も包含している。ここで用語「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」はまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、SUMO化及びなどの、改変を伴う分子も含む。このような改変は、当該技術分野において十分説明されている。
本明細書において、用語「プロテオミメティック」は、タンパク質(又はポリペプチド、又はオリゴペプチド、又はペプチド)の表面の領域の構造及び機能を模倣する任意の化合物を指す。
しかし前述のように、本発明の結合分子はまた、抗体であってもよい。好ましくは、抗体は、モノクローナル抗体である。抗体はまた、ナノボディ、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、又は単離された相補性決定領域(CDR)などの、抗体断片であってもよい。抗体又は抗体断片は、ヒト化された抗体/抗体断片、完全ヒト抗体/抗体断片、マウス抗体/抗体断片、ラット抗体/抗体断片、ウサギ抗体/抗体断片、ハムスター抗体/抗体断片、ヤギ抗体/抗体断片、モルモット抗体/抗体断片、フェレット抗体/抗体断片、ネコ抗体/抗体断片、イヌ抗体/抗体断片、ニワトリ抗体/抗体断片、ヒツジ抗体/抗体断片、ウシ抗体/抗体断片、ウマ抗体/抗体断片、ラクダ抗体/抗体断片、又はサル抗体/抗体断片、例えば霊長類抗体/抗体断片などであってよい。抗体は、ヒト化された抗体/抗体断片、完全ヒト抗体/抗体断片、マウス抗体/抗体断片、ラット抗体/抗体断片、ウサギ抗体/抗体断片、ハムスター抗体/抗体断片、ヤギ抗体/抗体断片、モルモット抗体/抗体断片、フェレット抗体/抗体断片、ニワトリ抗体/抗体断片、ヒツジ抗体/抗体断片、又はサル抗体/抗体断片、例えば霊長類抗体/抗体断片などであることが、優先される。抗体は、ヒト化された抗体/抗体断片、完全ヒト抗体/抗体断片、マウス抗体/抗体断片、又はラット抗体/抗体断片であることが更により優先される。従って本明細書に提供される結合分子は、ヒト化されたナノボディなどの、ヒト化された抗体断片であってよい。本明細書に提供される結合分子は、更にキメラ抗体及び/又は二重特異性抗体であってよい。
添付された実施例において、TREM2切断部位(例えば、配列番号:7のペプチド内のエピトープへ、例えばHis157及び/又はSer158を含むエピトープへ)結合する抗体が、調製されている。添付された実施例は、これらの抗体は、TREM2切断を減少することを示している。TREM2切断を能動的に阻害する全ての抗体のコンセンサス配列が、設計されている(図8参照)。本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関し、ここでこの結合分子は、該コンセンサス配列に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:32の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:42の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:32と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:42と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:52のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:62のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:72のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:82のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:92のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:102のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:52と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:62と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:72と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:82と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:92と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:102と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
添付された実施例において明らかにされたように、TREM2切断を阻害する最良の活性を示す抗体クローンは、抗体クローン14D3である。従って、本発明の最も好ましい態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン14D3に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:23の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:33の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:23と少なくとも85%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:33と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:43のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:53のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:63のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:73のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:83のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:93のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:43と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:53と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:63と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:73と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:83と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:93と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。添付された実施例は、抗体クローン14D3は、約70%だけ、TREM2切断を減少する一方で、成熟TREM2のレベルを最大5倍増加することも示している。従って、未処置細胞(すなわち、先に規定した抗体を含まない細胞)と比べ、先に規定した抗体は、TREM2切断を、少なくとも60%又は最も好ましくは約70%減少することは、好ましい。前述の抗体の抗体断片もまた、本発明に包含されている。
この最も好ましい本発明の態様はまた、本明細書に提供される結合分子にも関し、ここで該結合分子は抗体であり、且つここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:23と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:33と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:43と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:53と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:63と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:73と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:83と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:93と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(1)及び(2)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは配列番号:23の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号:33の配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体のそれと同等である。未処置細胞(すなわち、先に規定した抗体を含まない細胞)と比べ、先に規定した抗体は、TREM2切断を、少なくとも60%又は最も好ましくは約70%減少することが好ましい。前述の抗体の抗体断片もまた、本発明に包含されている。
添付された実施例は、抗体クローン14D8は、TREM2切断を阻害する非常に高い活性を有することを示している。従って、特に好ましい本発明の態様は、本明細書に提供される結合分子に関し、ここでこの結合分子は、抗体クローン14D8に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:24の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:34の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:24と少なくとも85%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:34と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:44のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:54のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:64のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:74のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:84のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:94のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:44と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:54と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:64と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:74と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:84と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:94と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
この特に好ましい本発明の態様はまた、本明細書に提供される結合分子にも関連し、ここで該結合分子は抗体であり、且つここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:24と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:34と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:44と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:54と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:64と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:74と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:84と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:94と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(1)及び(2)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、配列番号:24の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号:34の配列を含む軽鎖可変領域を有する抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片もまた、本発明に包含されている。
本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン7A12に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:25の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:35の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:25と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:35と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:45のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:55のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:65のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:75のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:85のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:95のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:45と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:55と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:65と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:75と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:85と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:95と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン8A11に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:26の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:36の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:26と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:36と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:46のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:56のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:66のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:76のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:86のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:96のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:46と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:56と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:66と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:76と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:86と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:96と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン21A3に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:27の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:37の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:27と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:37と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:47のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:57のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:67のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:77のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:87のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:97のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:47と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:57と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:67と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:77と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:87と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:97と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン10C3に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:28の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:38の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:28と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:38と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:48のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:58のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:68のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:78のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:88のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:98のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:48と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:58と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:68と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:78と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:88と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:98と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン18F9に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:29の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:39の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:29と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:39と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:49のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:59のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:69のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:79のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:89のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:99のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:49と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:59と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:69と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:79と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:89と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:99と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン15C5に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:30の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:40の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:30と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:40と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:50のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:60のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:70のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:80のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:90のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:100のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:50と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:60と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:70と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:80と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:90と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:100と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関連し、ここでこの結合分子は、抗体クローン1G6に対応する抗体である。従って、本明細書に提供される結合分子は、抗体であってよく、ここでこの抗体は、以下の抗体のいずれか一つである:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:31の配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:41の配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:31と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、且つ軽鎖可変領域が、配列番号:41と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:51のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:61のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:71のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:81のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:91のアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:101のアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体;又は
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:51と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:61と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:71と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:81と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:91と少なくとも60%、好ましくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:101と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体であって;ここでこの抗体が、TREM2切断を阻害する、抗体。
好ましくは、先に項目(2)−(4)において規定された抗体は、TREM2切断を阻害する活性を有し、これは項目(1)で規定した抗体のそれと同等である。前述の抗体の抗体断片も、本発明に包含される。
本発明に従い、CDR決定は、IMGT基準に従い実行されてよい(Ehrenmannら、第2章、R. Kontermann及びS. Dubel (編集)、Antibody Engineering Vol. 2, Springer-Verlag Berlin、ハイデルベルグ、2010)。
標的部位−特異的抗体(すなわち、特定の結合部位に結合する抗体)を産生するいくつかの技術は、当該技術分野において一般に公知である。例えば、TREM2のエクトドメイン内の特定の結合部位に特異的に結合する抗体は、エクトドメイン又はTREM2内の所望の結合部位を含むペプチドによる、マウス又はラットの免疫化により産生され得る。例えば、配列番号:7−15、21及び22に示されるペプチドのいずれか一つが、免疫化に使用されてよい。より詳細には、本発明の状況においては使用されるヒトTREM2に対する抗体の産生について、配列番号:7(AHVEHSISRS)、配列番号:8(EDAHVEH)、配列番号:9(SISRSL)及び/又は配列番号:21(GESESFEDAHV)に示されるペプチドが、免疫化に使用されてよい。最も好ましくは、配列番号:7に示されるペプチドが使用される。マウスTREM2に対する抗体の産生に関して、配列番号:10(AQVEHSTSRN)、配列番号:11(EGAQVEH)、配列番号:12(STSRNQ)及び/又は配列番号:22(EHSTSRNQETSFP)に示されるペプチドが、免疫化に使用されてよい。ラットTREM2に対する抗体の産生について、配列番号:13(AQVEHSTSSQ)、配列番号:14(EGAQVEH)又は配列番号:15(STSSQV)に示されるペプチドが、免疫化に使用されてよい。抗体産生のためにそのような免疫化を実施する上で利用可能ないくつかの施設が存在する。
前述のように動物の免疫化により抗体を産生した後、エピトープマッピングを行うことができる。エピトープマッピングは、その標的抗原上の抗体の結合部位(すなわち、エピトープ)を実験的に同定するプロセスである。エピトープマッピングのいくつかの方法が、当該技術分野において公知である。
例えば本発明の状況において、エピトープマッピングは、ELISAにより実行されてよい。従って、TREM2エクトドメインの切断型(例えば、スタルク領域の切断型)は、培養された細胞において発現され、且つELISAを用いることにより、試験されるべき抗体/ナノボディにより検出され得る(例えば、論文(15)参照)。
加えて又は代わりに、エピトープマッピングは、免疫ブロッティングにより実行されてよい。従ってTREM2エクトドメインの切断型(例えば、スタルク領域の切断型)は、培養細胞において発現され、且つ免疫ブロッティングを用いることにより、試験されるべき抗体/ナノボディにより検出され得る。加えてTREM2の欠失構築体(例えば、スタルク領域欠失)は、免疫ブロッティングにより分析されてよい。
加えて又は代わりに、エピトープマッピングは、フローサイトメトリーにより実行されてよい。従って、細胞表面上のTREM2に結合する試験されるべき抗体/ナノボディの検出は、フローサイトメトリーにより評価され得る。この方法を用いることにより、エピトープマッピングは、TREM2欠失構築体(例えば、スタルク領域の連続的な欠失を有する構築体)又はTREM2変異体を、使用することにより実行することができる。
加えて、本発明の状況において適用することができるエピトープマッピングのいくつかの方法が、Reineke及びSchutkowskiの文献(編集)、Methods of Molecular Biology, Epitope Mapping Protocols, vol. 524, 2008, Humana Pressにおいて、まとめられている。例えばエピトープマッピングはまた、重複するペプチドのタンパク質配列−由来の走査(ペプチド走査);抗体結合に必要な最小ペプチド長を同定するために使用される切断分析;抗体結合に重要である主要残基を同定する完全置換分析;及び/又は、連続的なC末端切断された可溶性TREM2の発現:により、実行されてよい。
本発明に従う結合分子を同定するために、標的エンゲージメントを行うことができる。標的エンゲージメントは、所定の化合物が、インビボにおいて、所望の標的と相互作用し、所望の結果(例えば、TREM2などのバイオマーカーの減少)を生じることの検証である。従って、標的エンゲージメントは、所定の結合分子(例えば、先に説明されたように産生された抗体)が、インビボにおいて、最も好ましくはこの場合中枢神経系であってよい標的組織において、TREM2切断を阻害することを、証明するために、実行することができる。標的エンゲージメントを認識するために使用することができるいくつかの手段及び方法が存在する。
例えば、本発明の状況においては、標的エンゲージメントは、組織及び/又は体液(例えば、血液、血清、血漿、CSF、及び/又は尿)中の、可溶性TREM2のレベルを評価することにより、行ってよい。従ってヒト、マウス、又はヒトとマウスの両方の組織及び/又は体液を使用してよい。可溶性TREM2のレベルは、例えば論文(15)及び(17)に説明されたELISAを用いて、評価してよい。
加えて又は代わりに、標的エンゲージメントは、組織試料(例えば、血液、脳、肝臓、及び/又は脾臓)中のTREM2成熟を評価することにより行ってよい。従ってヒト、マウス、又は両方の組織試料を使用してよい。TREM2成熟は、免疫沈降及び/又は免疫ブロッティングを使用することにより、評価してよい。
加えて又は代わりに、標的エンゲージメントは、試験されるべき結合分子が、結合分子に曝露されない対照細胞と比べ、TREM2の表面発現を増大するかどうかを評価する、フローサイトメトリーにより行ってよい。
従って、所定の結合分子の標的エンゲージメントは、該結合分子の存在下で、可溶性TREM2の量が、結合分子に曝露されない(一つ又は複数の)対照体液と比較して、(一つ又は複数の)体液において減少される場合に、明らかにされ;例えば、論文(15)に説明された方法を参照のこと。加えて又は代わりに、所定の結合分子の標的エンゲージメントは、該結合分子の存在下で、成熟TREM2の量が、結合分子に曝露されない(一つ又は複数の)対照体液と比較して、(一つ又は複数の)体液において増加される場合に、明らかにされ;例えば、論文(15)に説明された方法を参照のこと。
本明細書において用語「TREM2」は:
(i)配列番号:1−6のいずれか一つのアミノ酸配列;又は
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び更により好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列:を含む又はこれからなるポリペプチドであって、ここでこのポリペプチドが、ミクログリア細胞の貪食、遊走及び/又は生存を誘導する活性を有するものを指す。
本明細書に提供される結合分子は、膜結合型TREM2の切断を阻害する。従って本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子に関し、ここでTREM2は:
(i)配列番号:1又は4のアミノ酸配列;もしくは
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び更により好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列:を含む又はこれからなるポリペプチドであって、ここでこのポリペプチドが、ミクログリア細胞の(適切な)貪食、遊走及び/又は生存を促進する活性を有するものである。
好ましくは、この結合分子は、ミクログリア細胞の(適切な)貪食を促進する活性を有する。所定の結合分子が、細胞の(適切な)貪食活性を促進するかどうかを分析する方法は、当該技術分野において公知であり、例えば論文(15)に説明されている。
本明細書において、用語「TREM2のエクトドメイン」は:
(i)配列番号:17又は18のアミノ酸配列;もしくは
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び更により好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列で:を含む又はこれからなるポリペプチドあって、ここでTREM2の細胞内ドメインと組合せた場合に、このポリペプチドは、ミクログリア細胞の(適切な)貪食、遊走及び/又は生存を促進する活性を有するものを指す。好ましくは、この活性は、ミクログリア細胞の(適切な)貪食の促進である。
His157は、TREM2のエクトドメイン/細胞外ドメインのいわゆるスタルク領域に配置されている。従って、本発明の状況においては、本明細書に提供される結合分子の結合部位は、TREM2のスタルク領域内であることが想起される。当該技術分野において公知のように、TREM2のスタルク領域は、Ig−様ドメインと膜貫通ドメインの間の領域である。
本明細書において用語「TREM2の細胞内ドメイン」とは:
(i)配列番号:19又は20のアミノ酸配列;もしくは
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び更により好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列:を含む又はこれからなるポリペプチドであって、ここでTREM2のエクトドメインと組合せた場合に、このポリペプチドは、ミクログリア細胞の(適切な)貪食、遊走及び/又は生存を促進する活性を有するものを指す。好ましくは、この活性は、ミクログリア細胞の(適切な)貪食の促進である。
前述のように、本明細書に提供される結合分子は、神経変性障害などの、神経障害の治療及び/又は予防(好ましくは治療)に適している。従って本発明の一態様は、神経障害の治療及び/又は予防において使用するための本明細書に提供される結合分子に関連している。神経障害の治療及び/又は予防において使用するための医薬組成物もまた、本発明に包含されており、ここでこの医薬組成物は:
(i)本発明の結合分子;及び
(ii)任意に医薬として許容し得る担体:を含有している。
従って、本発明は、神経障害を治療及び/又は予防する方法を提供し、ここでこの方法は、本明細書に提供される結合分子の有効量を、そのような治療を必要とする対象へ投与することを含む。
本明細書に提供される結合分子又は本明細書に提供される医薬組成物が、脳において有効であることを保証するために、当該技術分野において公知のいくつかの手段及び方法が、適用され得る。例えば、本明細書に提供される結合分子又は本明細書に提供される医薬組成物は、例えば、ALZET(登録商標)浸透圧ポンプ(http://www.alzet.com/research_applications/AB.html参照)などの、浸透圧ポンプを使用して、中枢神経系へ(例えば、脳へ)注入されてよい。加えて又は代わりに、本発明の結合分子(例えば、本発明の抗体、ナノボディ又は小型分子)は、血液−脳関門を通過するために、改変されてよい。これに関して適している改変は、受容体−介在性トランスサイトーシス(トランスフェリン);トランスポーター−介在性送達;ウイルス−介在性送達;ナノ粒子−ベースの送達;リポソーム送達;二重特異性抗体の作製;又は、血液−脳関門を自発的に超える高い等電点(pI)を持つナノボディの作製を含む(35)。
ADなどの、いくつかの神経変性障害の発症機序は、アミロイド−βペプチド(A−β)の蓄積により誘発されると考えられ、これは例えばミクログリア細胞による、A−βの過剰生成及び/又はクリアランス機序の不全が原因である。A−βは、様々なサイズであることができる、オリゴマーへ自己凝集し、且つ脳実質及び血管においてびまん性の老人斑(すなわち、アミロイドプラーク)を形成する。A−βオリゴマー及びプラークは、強力な神経毒であり、プロテアソーム機能をブロックし、ミトコンドリアの活性を阻害し、細胞内Ca2+レベルを変更し、且つ炎症過程を刺激する。A−βは、微小管結合タンパク質タウのリン酸化を調節するシグナル伝達経路と相互作用する。タウの過剰リン酸化は、軸索輸送の調節におけるその正常な機能を破壊し、且つ神経原線維濃縮体及び毒性種である可溶性タウの蓄積に繋がる。更に、プロテアソームによる過剰リン酸化タウの分解は、A−βの作用により阻害される。従って、本明細書に提供される結合分子によるようなミクログリア細胞の機能の活性化は、炎症成分による神経障害;並びに、アミロイドプラーク及び/又は過剰リン酸化タウの蓄積に関連している障害の治療及び/又は予防の戦略を表している。
従って本明細書に提供される結合分子、医薬組成物、又は治療的方法により、治療及び/又は予防され得る神経障害は、炎症成分による神経障害であることができる。本明細書に提供される結合分子、医薬組成物、又は治療的方法により治療及び/又は予防され得る神経障害は、好ましくは神経変性障害である。該神経変性障害は、ミクログリア細胞の機能障害により特徴付けられる。該神経変性障害はまた、アミロイドプラーク及び/又は過剰リン酸化タウの蓄積によっても特徴付けられる。例えば、本明細書に提供される結合分子、医薬組成物、又は治療的方法により治療及び/又は予防されるべき神経変性障害は、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、FTLD−様症候群、パーキンソン病、那須ハコラ病、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病、免疫媒介性神経障害、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)であることができる。本明細書に提供される結合分子、医薬組成物、又は治療的方法により治療及び/又は予防され得る神経変性障害はまた、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、又はシャルコー・マリー・トゥス病であることもできる。好ましくは、ADが、本明細書に提供される手段及び方法により治療及び/又は予防される。
本明細書に提供される結合分子又は医薬組成物はまた、併用療法の形態で投与されてよい。従って本発明の一態様は、治療及び/又は予防は併用療法である、本明細書に提供される結合分子、医薬組成物、又は治療的方法に関し、ここで該結合分子又は該医薬組成物は、別の活性物質と、同時に又は連続して投与される。他の活性物質は、好ましくは、神経変性障害などの、神経障害を治療及び/又は予防するために使用される医薬品である。例えば、該他の活性物質は、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸受容体(NMDAR)アンタゴニスト又は免疫治療薬(すなわち抗体)であってよい。
ADなどの神経変性障害に対し特定の作用を有することが示されているいくつかのアセチルコリンエステラーゼインヒビターが、当該技術分野において公知であり、これはタクリン、リバスチグミン、ガランタミン及びドネペジルが挙げられる。神経変性障害の治療に使用されるNMDARアンタゴニストは、メマンチンである。しかし、本明細書に提供される結合分子又は医薬組成物は、免疫療法との併用療法において使用されることが優先される。該免疫療法は、A−β免疫療法であることができる。例えば、該A−β免疫療法は、アミロイド−βペプチドについて特異的である抗体を含むことができる。アミロイド−関連した免疫療法のため多くの薬物が、臨床試験中であり、例えば、AAB−003、ACI−24、AN−1792、アデュカヌマブ、Affitope AD02、BAN2401、バピネオズマブ、CAD106、クレネツマブ、GSK933776、Gammagrad(登録商標)、ガムネックス、ガンテネルマブ、LY3002813、MEDI1814、Octagam(登録商標)10%、Ponezumab、SAR228810、ソラネズマブ、又はVanutide cridificarがある。
本発明の一態様において、神経(例えば、神経変性)障害は、健常対照者の脳脊髄液(CSF)に比べ、そのCSFが増大したレベルの可溶性TREM2(sTREM2)、総タウ、及び/又はリン酸化タウを有する患者において、治療及び/又は予防される。加えて又は代わりに、神経(例えば、神経変性)障害は、健常対照者の血清と比べ、その血清が、増大したレベルの可溶性TREM2(sTREM2)、総タウ、及び/又リン酸化タウを有する患者において治療及び/又は予防されてよい。従って、神経(例えば、神経変性)障害は、健常対照者の血清及び/又はCSFと比べ、各々、その血清及び/又はCSFが、増大したレベルの可溶性TREM2(sTREM2)を有する患者において治療及び/又は予防されてよい。前述のように、神経障害の経過に伴うTREM2及びタウの変化は、当該技術分野において一般に公知であり、且つ例えば論文(17-19、36、37)において説明されている。
本明細書に提供される結合分子又は医薬組成物により治療されるべき患者を同定するために、造影技術も使用されてよい。例えば、コンピュータ断層撮影法(CT)又は磁気共鳴画像法(MRI)、又は単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)又はポジトロン放出断層撮影法(PET)による進歩した医用画像は、神経変性障害などの神経障害の診断を補助するために使用することができる。
前述のように、p.H157Y変異のキャリアは、増大したTREM2シェディングを患っている。従って位置His157でのTREM2の切断の阻害は、本明細書に提供される結合分子又は医薬組成物の投与から特に恩恵がある。従って、本発明の一態様は、本明細書に提供される結合分子、医薬組成物、治療的方法に関し、ここで神経変性障害は、TREM2のp.H157Y変異を保有する患者において治療及び/又は予防される。
本発明の特定の態様は、以下の項目により規定される。
1.ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)のエクトドメイン内に結合部位を有する結合分子であって、ここで該結合分子が、TREM2切断を阻害する、結合分子。
2.結合部位が、以下からなる群から選択される、ヒト膜結合型TREM2の少なくとも1つの位置を含む、項目1の結合分子:
148位のグルタミン酸(Glu148);
149位のセリン(Ser149);
150位のフェニルアラニン(Phe150);
151位のグルタミン酸(Glu151);
152位のアスパラギン酸(Asp152);
153位のアラニン(Ala153);
154位のヒスチジン(His154);
155位のバリン(Val155);
156位のグルタミン酸(Glu156);
157位のヒスチジン(His157);
158位のセリン(Ser158);
159位のイソロイシン(Ile 159);
160位のセリン(Ser160);
161位のアルギニン(Arg161);
162位のセリン(Ser162);
163位のロイシン(Leu163);
164位のロイシン(Leu164);
165位のグルタミン酸(Glu165);及び
166位のグリシン(Gly166)。
3.結合部位が、以下からなる群から選択される、マウス膜結合型TREM2の少なくとも1つの位置を含む、項目1の結合分子:
148位のセリン(Ser148);
149位のセリン(Ser149);
150位のフェニルアラニン(Phe150);
151位のグルタミン酸(Glu151);
152位のグリシン(Gly152);
153位のアラニン(Ala153);
154位のグルタミン(Gln154);
155位のバリン(Val155);
156位のグルタミン酸(Glu156);
157位のヒスチジン(His157);
158位のセリン(Ser158);
159位のトレオニン(Thr159);
160位のセリン(Ser160);
161位のアルギニン(Arg161);
162位のアスパラギン(Asn162);
163位のグルタミン(Gln163);
164位のグルタミン酸(Glu164);
165位のトレオニン(Thr165);及び
166位のセリン(Ser166)。
4.結合部位が、配列番号:7−15、21及び22のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドのいずれか一つを含む又はこれと重複している、項目1−3のいずれか一つの結合分子。
5.結合部位が、TREM2の157位にヒスチジンを含む、項目1−4のいずれか一つの結合分子。
6.結合分子が、切断酵素のTREM2へのアクセスを阻害することにより、TREM2切断を阻害する、項目1−5のいずれか一つの結合分子。
7.TREM2切断の阻害が、免疫ブロッティング、可溶性TREM2のELISA−ベースの定量、表面ビオチン化アッセイによる表面−結合型TREM2の定量、フローサイトメトリーによる表面−結合型TREM2の定量、表面免疫細胞化学による表面−結合型TREM2の定量、及び/又は細胞−ベースのELISA技術による表面−結合型TREM2の定量により、アッセイされる、項目1−6のいずれか一つの結合分子。
8.該結合分子の存在下での膜−結合型TREM2の量が、結合分子の非存在下での膜−結合型TREM2の量よりも少なくとも10%より多い、項目1−7のいずれか一つの結合分子。
9.切断酵素が、メタロプロテイナーゼである、項目6−8のいずれか一つの結合分子。
10.結合分子が、切断酵素のTREM2への結合に干渉し、ここで切断酵素が、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼドメイン−含有タンパク質(ADAM)又はマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)である、項目6−9のいずれか一つの結合分子。
11.ADAMが、ADAM10及び/又はADAM17である、項目10の結合分子。
12.結合分子が、ミクログリア細胞の活性及び/又は他のTREM2発現細胞の活性を保持及び/又は刺激する、項目1−11のいずれか一つの結合分子。
13.ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の活性が、貪食活性、遊走、カルシウムシグナル伝達、Syk活性化、増殖、炎症性サイトカイン産生及び/又は生存の調節である、項目12の結合分子。
14.結合分子が、抗体又は小型分子である、項目1−13のいずれか一つの結合分子。
15.抗体が、モノクローナル抗体である、項目14の結合分子。
16.抗体が、抗体断片である、項目14又は15の結合分子。
17.抗体断片が、ナノボディ、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、又は単離された相補性決定領域(CDR)である、項目16の結合分子。
18.抗体又は抗体断片が、ヒト化抗体/抗体断片、完全ヒト抗体/抗体断片、マウス抗体/抗体断片、ラット抗体/抗体断片、ウサギ抗体/抗体断片、ハムスター抗体/抗体断片、ヤギ抗体/抗体断片、モルモット抗体/抗体断片、フェレット抗体/抗体断片、ニワトリ抗体/抗体断片、ヒツジ抗体/抗体断片、又はサル抗体/抗体断片である、項目15−17のいずれか一つの結合分子。
19.抗体が、キメラ抗体及び/又は二重特異性抗体である、項目15−18のいずれか一つの結合分子。
20.抗体が:
(1)重鎖可変領域が、配列番号:32の配列を含み、及び軽鎖可変領域が、配列番号:42の配列を含む抗体であって;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体;
(2)重鎖可変領域が、配列番号:32への少なくとも85%同一性を有する配列を含み、及び軽鎖可変領域が、配列番号:42への少なくとも85%同一性を有する配列を含む抗体であって;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体;
(3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:52のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:62のアミノ酸配列を含み;及び、重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:72のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:82のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:92のアミノ酸配列を含み;及び、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:102のアミノ酸配列を含む抗体であって;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体;或いは
(4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:52と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:62と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:72と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:82と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:92と少なくとも60%同一性を有するアミノ酸配列を含み;及び、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:102と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体であって;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体:のいずれか一つである、項目14−19のいずれか一つの結合分子。
21.TREM2が、
(i)配列番号:1−6のいずれか一つのアミノ酸配列;又は
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列;を含むか又はこれからなるポリペプチドであって、ここでこのポリペプチドが、ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の適切な貪食、遊走、及び/又は生存を促進する活性を有するものである、項目1−20のいずれか一つの結合分子。
22.TREM2のエクトドメインが、
(i)配列番号:17又は18のアミノ酸配列;もしくは、
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列;を含むか又はこれらからなるポリペプチドであって、ここでTREM2の細胞内ドメインと一緒にされた場合、このポリペプチドは、ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の適切な貪食、遊走、及び/又は生存を促進する活性を有するものである、項目1−21のいずれか一つの結合分子。
23.TREM2の細胞内ドメインが、
(i)配列番号:19又は20のアミノ酸配列;もしくは、
(ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列;を含むか又はこれらからなるポリペプチドであって、ここでTREM2のエクトドメインと一緒にされた場合、このポリペプチドは、ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の適切な貪食、遊走、及び/又は生存を促進する活性を有するものである、項目22の結合分子。
24.神経障害の治療及び/又は予防における使用のための、項目1−23のいずれか一つの結合分子。
25.医薬組成物が:
(i)項目1−23のいずれか一つの結合分子;及び
(ii)任意に医薬として許容し得る担体:を含有する、神経障害の治療及び/又は予防における使用のための医薬組成物。
26.方法が、項目1−23のいずれか一つの結合分子の有効量を、そのような治療を必要とする対象へ投与することを含む、神経障害を治療及び/又は予防する方法。
27.神経障害が、炎症成分を伴う神経障害である、項目24に従う使用のための結合分子、項目25に従う使用のための医薬組成物、又は項目26の方法。
28.神経障害が、神経変性障害である、項目24又は27に従う使用のための結合分子、項目25又は27に従う使用のための医薬組成物、もしくは項目26又は27の方法。
29.神経変性障害が、ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の低下した機能により特徴付けられる、項目28に従う使用のための結合分子、項目28に従う使用のための医薬組成物、又は項目28の方法。
30.該神経変性障害が、アミロイドプラーク及び/又は過剰リン酸化タウの蓄積により特徴付けられる、項目28又は29に従う使用のための結合分子、項目28又は29に従う使用のための医薬組成物、もしくは項目28又は29の方法。
31.該神経変性障害が、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、FTLD−様症候群、パーキンソン病、那須ハコラ病、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病、免疫−媒介型ニューロパチー、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、項目28−30のいずれか一つに従う使用のための結合分子、項目28−30のいずれか一つに従う使用のための医薬組成物、又は項目28−30のいずれか一つの方法。
32.治療及び/又は予防が併用治療であり、ここで該結合分子又は該医薬組成物が、別の活性物質と同時に又は連続して投与される、項目24及び27−31のいずれか一つに従う使用のための結合分子、項目25及び27−31のいずれか一つに従う使用のための医薬組成物、又は項目26−31のいずれか一つの方法。
33.該他の活性物質が、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸受容体(NMDAR)アンタゴニスト又は免疫治療薬である、項目32に従う使用のための結合分子、項目32に従う使用のための医薬組成物、又は項目32の方法。
34.該免疫治療が、A−β免疫療法である、項目33に従う使用のための結合分子、項目33に従う使用のための医薬組成物、又は項目33の方法。
35.該A−β免疫療法が、アミロイド−βペプチドに特異的である抗体を含む、項目34に従う使用のための結合分子、項目34に従う使用のための医薬組成物、又は項目34の方法。
36.神経障害が、その脳脊髄液(CSF)が、健常対照者のCSFと比べ増大したレベルの可溶性TREM2(sTREM2)、総タウ、及び/又はリン酸化タウを有する患者において治療及び/又は予防される、項目24及び27−35のいずれか一つに従う使用のための結合分子、項目25及び27−35のいずれか一つに従う使用のための医薬組成物、又は項目26−35のいずれか一つの方法。
37.神経変性障害が、TREM2のp.H157Y変異を保有する患者において治療及び/又は予防される、項目24及び27−36のいずれか一つに従う使用のための結合分子、項目25及び27−36のいずれか一つに従う使用のための医薬組成物、又は項目26−37のいずれか一つの方法。
本明細書において用語「抗体」は、抗原又はエピトープに特異的に結合することが可能である、一つの免疫グロブリン遺伝子もしくは複数の免疫グロブリン遺伝子、又はそれらの断片に由来する、これを手本に変更するか又はこれらにより実質的にコードされた、ペプチド又はポリペプチドを含み、例えば論文(38-40)を参照されたい。用語「抗体」は、抗原(TREM2など)への結合能を保持している、抗原−結合する部位、すなわち「抗原結合部位」(例えば、断片、部分配列、又は相補性決定領域(CDR))を含み、これらは、例えば、(i)Fab断片、すなわち、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価の断片;(ii)F(ab’)断片、すなわち、ヒンジ領域でジスルフィド橋により連結された2つのFab断片を含む、二価の断片;(iii)Fab’断片、すなわち、F(ab’)断片が、穏やかな還元により分裂される場合に形成される2つの断片の一方;(iv)Fab’−SH断片、すなわち、遊離のスルフヒドリル基を含むFab’断片;(v)VHドメイン及びCH1ドメインからなる、Fd断片;(vi)抗体の1本の腕のVLドメイン及びVHドメインからなる、Fv断片;(vii)scFv断片、すなわち重鎖及び軽鎖の可変領域が一緒に融合されている、単鎖可変断片;又は、(viii)単離された相補性決定領域(CDR):を含むか或いはこれらからなる。本明細書において提供される抗体断片はまた、(ix)VHドメインからなる、dAb断片であってよい(例えば、Wardら(41)参照)。
本明細書に提供される抗体断片はまた、単ドメイン抗体、sdAbであってよい。単ドメイン抗体は、ナノボディとも称され;例えば、Gibbs, 2005, “Nanobody”、Scientific American Magazineを参照されたい。sdAb又はナノボディは、単独のモノマー性可変抗体ドメインからなる抗体断片である。分子量がわずかに12−15kDaである、単−ドメイン抗体は、2本のタンパク質重鎖及び2本の軽鎖で構成される通常型抗体(150−160kDa)よりもはるかに小さく、且つFab断片(〜50kDa、1本の軽鎖及び半分の重鎖)並びに単鎖可変断片(〜25kDa、2個の可変ドメイン、一方は軽鎖に由来し、他方は重鎖に由来する)よりさえ小さい;例えば論文(42)参照。
様々な手順が、当該技術分野において公知であり、且つそのような抗体及び/又は断片の作製に使用することができる(例えば論文(43)参照)。本明細書において略語「VL」、「VH」、「CL」及び「CH」は、各々、抗体軽鎖の可変ドメイン、抗体重鎖の可変ドメイン、抗体軽鎖の定常ドメイン及び抗体重鎖の定常ドメインを指す。
抗体断片は、例えば、無傷の抗体の、組換え技術又は酵素的もしくは化学的切断により、調製されることができる。単鎖Fv(scFv)の作製のために、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHを、VL及びVH領域を対合させ、一価の分子を形成する一本鎖タンパク質として作製することを可能にする、合成リンカーによる組換え法を用いて、一緒にすることができる(例えば、Birdら(44)及び(45))。単鎖抗体を作製するための更なる技術は、例えば、論文(46)及び米国特許第4,946,778号に説明されている。
抗体(ポリクローナル及びモノクローナル)を作製し且つ単離する免疫化の方法は、当業者に公知であり、且つ科学文献及び特許文献において説明されている(例えば論文(47-50)参照)。抗体はまた、動物を使用する従来のインビボ法に加えて又は代わりに;例えば、組換え抗体結合部位を発現しているファージディスプレイライブラリーを使用することにより、インビトロにおいて作製することができる(例えば、Hoogenboom(51)及びKatz(52)参照)。
抗体が抗原(TREM2のエクトドメインなど)に結合する能力は、当業者に馴染みのある様々な手順を用いて、決定されてよい。例えば、結合は、抗体を、蛍光剤、酵素標識又は放射性同位体などの検出可能な標識により標識することにより、決定されてよい。或いは、抗体の抗原への結合は、その上に検出可能な標識を有する二次抗体を使用することにより、検出されてよい。特定のアッセイとしては、ELISAアッセイ、サンドイッチアッセイ、放射線免疫検定、免疫組織化学的方法及びウェスタンブロットが挙げられる。
例えばTREM2切断部位に対するモノクローナル抗体の作製及び選択は、以下のように行うことができる。TREM2切断部位を含むペプチド(例えば、アミノ酸配列AHVEHSISRS、配列番号:7を含むペプチド)を、N末端でオボアルブミン(OVA)に結合させる。マウス又はラットなどの非−ヒト動物を、このOVA−結合したペプチド及び不完全フロイントアジュバントにより免疫化する。6週間後、不完全フロイントアジュバントを含まない追加免疫を3日間与え、その後融合する。骨髄腫細胞株P3X63−Ag8.653の免疫脾細胞との融合は、ポリエチレングリコール1500を用い、標準手順に従い行うことができる(Koehler及びMilstein、Nature. 1975, 256:495-497)。ハイブリドーマ上清を、アビジン−コートされたプレートに結合されたビオチン化型ペプチドを用いる、酵素結合免疫検定において、ペプチド(例えば、配列番号:7のペプチド)への結合について試験することができる。結合した抗体は、IgGアイソタイプに対する抗体により検出することができる。
TREM2−反応性ハイブリドーマ上清は、ヒト野生型TREM2を安定して過剰に発現しているHEK293 Flp−In細胞の細胞表面上のTREM2を検出するそれらの能力についてスクリーニングすることができる。この手順は、Kleinbergerらの論文、2014に説明されている。特にヒト完全長TREM2又は空のベクター(対照)のいずれかを発現しているHEK293 Flp−In細胞は、各TREM2−反応性上清と一緒にインキュベーションすることができる。TREM2−反応性上清の結合は、アイソタイプ−特異的抗体を用いて可視化することができる。TREM2切断部位に対するモノクローナル抗体の作製及び選択に関する詳細な説明は、実施例に示している。
本発明の状況において有用な抗体は、例えば、ポリクローナル性又はモノクローナル性であることができる。本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然に生じる可能性のある変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単独の抗原性部位に対し方向付けられている。モノクローナル抗体は、本質的に他の免疫グロブリンが混入されていないハイブリドーマ培養により合成され得る点が、有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団中にある抗体の特徴を指摘し、且ついずれか特定の方法による抗体産生に必要とされるとは解釈されない。モノクローナル抗体の調製に関して、連続細胞培養により抗体を提供するいくつかの技術を使用することができる。例としては、ハイブリドーマ技術(50)、トリオーマ技術、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技術(53)、及びEBV−ハイブリドーマ技術(54)が挙げられる。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、Kohler及びMilsteinの論文(50)に最初に説明されたハイブリドーマ法により作製されてよいか、又は例えば、米国特許第4,816,567号に説明されているような、組換え法により作製されてよい。本発明での使用のためのモノクローナル抗体はまた、例えば、Clacksonらの論文(55);並びに、Marksらの論文(56)に説明された技術を用い、ファージ抗体ライブラリーから単離されてよい。
本明細書において使用される用語「ポリクローナル抗体」は、1又は複数の他の同一でない抗体の存在中で又は存在下で作製された抗体を指す。概して、ポリクローナル抗体は、同一でない抗体を産生するいくつかの別のBリンパ球の存在下で、Bリンパ球から作製される。通常ポリクローナル抗体は、免疫化した動物から直接得られる。
本明細書において用語「抗体」は、ジクローナル抗体及びオリゴクローナル抗体を更に含む。用語「ジクローナル抗体」は、標的タンパク質(TREM2のエクトドメインなど)に対する少なくとも2種の抗体の調製を指す。典型的には、これらの異なる抗体は、異なるエピトープに結合する。用語「オリゴクローナル抗体」は、標的タンパク質(TREM2のエクトドメインなど)に対する3〜100種の異なる抗体の調製を指す。典型的には、このような調製における抗体は、広範な異なるエピトープに結合する。
用語「抗体」はまた、二重特異性(すなわち、二機能性)抗体にも関する。本明細書において使用される用語「二重特異性抗体」は、2つの異なる重鎖/軽鎖対及び2つの異なる結合部位を有する人工のハイブリッド抗体を指す。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含む、様々な方法により、作製することができる(例えば、Songsivilaiら(57)、及びKostelnyら(58)参照)。加えて二重特異性抗体は、ダイアボディ(59)又は「Janusins」(60)及び(61)として形成されてよい。用語「抗体」はまた、「三機能性抗体」にも関する。
本明細書に提供される抗体は、更に完全−ヒト抗体、マウス抗体又はラット抗体であってよい。本明細書で使用される用語「完全−ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。完全ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、又はマウス細胞由来のハイブリドーマにおいて作製される場合には、マウス糖鎖を含んでよい。或いは、「完全−ヒト抗体」は、ラットにおいて、ラット細胞において、又はラット細胞由来のハイブリドーマにおいて作製される場合には、ラット糖鎖を含んでよい。同様に、「(完全−)マウス抗体」又は「(完全−)マウスの抗体」は、マウス(マウスの)免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。用語「(完全−)ラット抗体」は、ラット免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。これと一致して、用語「(完全−)ウサギ抗体」、「(完全−)ハムスター抗体」、「(完全−)ヤギ抗体」、「(完全−)モルモット抗体」、「(完全−)フェレット抗体」、「(完全−)ネコ抗体」、「(完全−)イヌ抗体」、「(完全−)ニワトリ抗体」、「(完全−)ヒツジ抗体」、「(完全−)ウシ抗体」、「(完全−)ウマ抗体」、「(完全−)ラクダ抗体」及び「(完全−)サル抗体」は、各々、ウサギ、ハムスター、ヤギ、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、ニワトリ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダ、又はサルの免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
完全−ヒト抗体は、例えば、完全−ヒト抗体の作製及びスクリーニングを可能にする、広範に使用されるスクリーニング技術である、ファージディスプレイにより作製されてよい。従ってファージ抗体もまた、本発明の状況において使用することができる。ファージディスプレイ法は、例えば、米国特許第5,403,484号、第5,969,108号及び第5,885,793号に説明されている。完全−ヒト抗体の開発を可能にする別の技術は、マウスハイブリドーマ技術の改変に関与している。マウスは、それら自身のマウス遺伝子の交換で、ヒト免疫グロブリン座を含むように、トランスジェニックに作製される(例えば、米国特許第5,877,397号参照)。(完全−)マウス又は(完全−)ラット抗体は、同様に作製されてよい。
本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体であってもよい。用語「キメラ抗体」は、別のヒト又は非−ヒト種(例えば、マウス、ウマ、ウサギ、イヌ、ウシ、ニワトリ)に由来する、抗体領域(例えば、定常領域)と融合又はキメラ化された、ヒト又は非−ヒト種の可変領域を含む抗体を指す。
本明細書において用語「抗体」はまた、組換えヒト抗体、異種抗体及びヘテロハイブリッド抗体にも関する。用語「組換えヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体などの、組換え手段により調製、発現、作出もしくは単離されたヒト配列抗体;宿主細胞にトランスフェクションされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体;又は、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングに関与する任意の他の手段により調製、発現、作出もしくは単離された抗体の全てを含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域(存在するならば)を有する。しかしこのような抗体は、インビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が使用される場合は、インビボ体細胞変異誘発)に供することができ;従って、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列及びVL配列に由来し且つこれに関連する一方で、インビボにおいてヒト抗体生殖系列レパトア内には天然には存在しない配列である。
「異種抗体」は、そのような抗体を産生するトランスジェニック非−ヒト生物に関連して定義される。この用語は、トランスジェニック非−ヒト動物からなるものではない生物において認められるものに対応する、及び一般にトランスジェニック非−ヒト動物のもの以外の種に由来する、アミノ酸配列又はコード核酸配列を有する抗体を指す。用語「ヘテロハイブリッド抗体」は、異なる生物の軽鎖及び重鎖を有する抗体を指す。例えば、マウス軽鎖に会合されたヒト重鎖を有する抗体は、ヘテロハイブリッド抗体である。ヘテロハイブリッド抗体の例は、キメラ抗体及びヒト化抗体を含む。
本明細書に提供される抗体はまた、ヒト化抗体であってよい。非−ヒト(例えば、マウス又はウサギ)抗体の「ヒト化」形状は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそれらの断片(抗体のFv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)、Fd、scFv、又は他の抗原−結合部分配列など)であり、これらは、非−ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む。時には、ヒト化抗体は、その中のレシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する、マウス、ラット又はウサギなどの非−ヒト種のCDR(ドナー抗体)由来の残基により置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非−ヒト残基により置き換えられる。ヒト化抗体は、レシピエント抗体においてもインポートされたCDRもしくはフレームワーク配列においても認められない残基を含んでよい。これらの改変は、抗体性能の更なる精緻化及び最適化をもたらす。概して、ヒト化抗体は、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非−ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、並びにFR領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のそれである、少なくとも一つの、及び典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも一つの部分を含んでよい。更なる詳細については、例えば、Jonesら(62)、Riechmannら(63)、及びPrestaら(64)の論文を参照されたい。同じく、トランスジェニック動物は、ヒト化抗体を発現するために使用することができる。抗体のヒト化の一般的方法は、CDRグラフティングに関与し、ここでは非−ヒト‘ドナー’抗体由来の機能性抗原−結合部位は、ヒト’アクセプター’抗体上にグラフトされる。CDRグラフティング法は、当該技術分野において公知であり、且つ例えば、米国特許第5,225,539号、第5,693,761号及び第6,407,213号に説明されている。別の関連方法は、遺伝子再構成及び遺伝子変換を受けることが可能である(例えば、米国特許第7,129,084号参照)、1又は複数のヒト化された免疫グロブリン座を含むように遺伝子操作されたトランスジェニック動物からのヒト化抗体の作製である。
従って本発明の状況において用語「抗体」は、完全免疫グロブリン分子、並びにそのような免疫グロブリン分子の一部分に関する。更に、この用語は、前述のように、改変及び/又は変更された抗体分子に関する。この用語はまた、組換えにより又は合成により作製/合成された抗体に関する。この用語はまた、無傷の抗体、並びに分離された軽鎖及び重鎖、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fab/c、Fv、Fd、scFv、ジ−scFv、sdAb、Fab’、F(ab’)、又は単離されたCDRのような、それらの抗体断片にも関する。本明細書に提供される抗体は更に、二機能性抗体、三機能性抗体、完全−ヒト抗体、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はscFv−もしくは抗体−融合タンパク質のような抗体構築体であってよい。言及したように、抗体を作製する技術は、当該技術分野において周知であり、且つ例えば、Peteringらの論文(65)にまとめられている。加えて、抗体を作製するいくつかの技術が、例えば、Harlowの「Antibody, A Laboratory Manual」、CSH Press、Cold Spring Harbor、1988に説明されている。
本発明の結合分子は、天然の分子、例えば天然の抗体であってよい。しかし本発明の結合分子はまた、非天然の分子であってよい。例えば、本発明の結合分子は、天然の抗体と同一ではないアミノ酸配列を有する抗体であってよいか、或いは類似の側鎖官能性を提供する合成アミノ酸などの、少なくとも1つの非天然のアミノ酸残基を含む抗体であってよい。例えば、芳香族アミノ酸は、D−又はL−ナフチルアラニン、D−又はL−フェニルグリシン、D−又はL−2−チエニルアラニン、D−又はL−1−,2−,3−,又は4−ピレニルアラニン、D−又はL−3−チエニルアラニン、D−又はL−(2−ピリジニル)−アラニン、D−又はL−(3−ピリジニル)−アラニン、D−又はL−(2−ピラジニル)−アラニン、D−又はL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン、D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン、D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、D−p−フルオロフェニルアラニン、D−又はL−pビフェニルアラニン、D−又はL−p−メトキシビフェンイルアラニン、D−又はL−2−インドール(アルキル)アラニン、及びD−又はL−アルキルアラニンにより置き換えられることができ、ここでアルキル基は、置換又は非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ−ブチル、及びイソ−ペンチルからなる群から選択される。非カルボキシラートアミノ酸は、非限定的例として考えられ得るホスホ−又はスルホ−アミノ酸により提供されるような、負帯電を有するように作製することができる。更なる非天然のアミノ酸は、アルキル基を、任意の天然のアミノ酸と組合せることにより作製されるアルキル化アミノ酸である。リジン及びアルギニンなどの塩基性天然のアミノ酸は、アミン(NH)官能性で、アルキル基により置換されることができる。非天然のアミノ酸上のまた他の置換は、アスパラギン又はグルタミンのニトリル誘導体(例えば、CONH官能性の代わりにCN−部分を含む)、及びメチオニンのスルホキシド誘導体がある。
本明細書に提供される抗体はまた、高親和性抗体であってもよい。抗体に関する用語「高親和性」は、平衡会合定数(K)が少なくとも約10−1、少なくとも約10−1、少なくとも約10−1、少なくとも約1010−1、少なくとも約1011−1、又は少なくとも約1012−1又はそれよりも大きい、例えば最大1013−1又は1014−1又はそれよりも大きいことを指す。しかし「高親和性」結合は、とりわけ抗体アイソタイプ間で変動し得る。本明細書において使用される用語「K」は、特定の抗体−抗原相互作用の平衡会合定数を指すことが意図されている。この定数は、単位1/Mを有する。「高親和性抗体」は通常、過度の超変異、親和性成熟、及び好ましくはIgGなどの適用可能なアイソタイプへの適切なアイソタイプスイッチングをうけた抗体である。
好ましくは、本明細書に提供される結合分子は、TREM2のエクトドメインへ特異的に結合する。結合分子に言及する場合、語句「特異的に結合する」又は「結合が特異的」とは、TREM2のエクトドメインなどの、標的分子に、専ら又は優先的に、中間の又は高い親和性を有する、結合分子を指す。語句「へ特異的に結合する」とは、タンパク質及び他の生物製剤の異種集団の存在下での、標的タンパク質(TREM2のエクトドメインなど)の存在の決定要因である、結合反応を指す。従って、指定されたアッセイ条件下で、特定された結合分子は、特定の標的タンパク質(例えば、TREM2のエクトドメイン)へ優先的に結合し、且つ被験試料中に存在する著しい量の他の成分には結合しない。このような条件下での標的タンパク質への特異的結合は、特定の標的タンパク質へのその特異性について選択される結合分子を必要とすることがある。様々なアッセイフォーマットを使用し、特定の標的タンパク質と特異的に反応する結合分子を選択することができる。例えば、固相ELISA免疫検定、免疫沈降、ビアコア及びウェスタンブロットを使用し、TREM2のエクトドメインに特異的に結合する結合分子を同定することができる。典型的には、特異的又は選択的反応は、少なくとも2倍のバックグラウンドシグナル又はノイズであるか、及びより典型的には10倍を超えるバックグラウンドであろう。結合分子が抗体であるならば、語句「へ特異的に結合する」は、タンパク質及び他の生物製剤の異種集団中での、抗原(TREM2のエクトドメインなど)の存在の決定要因である結合反応を指す。典型的には、その抗原へ特異的に結合する抗体は、会合定数(K)少なくとも約1×10−1もしくは10−1、又は約10−1〜10−1、又は約1010−1〜1011−1、又はより高い値で、該抗原へ結合し;及び/或いは、予め決定された抗原又は密接に関連した抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に関するその親和性よりも、少なくとも2倍以上である親和性で、予め決定された抗原(例えば、TREM2のエクトドメイン)へ結合する。
前述のように、本発明は、神経変性障害などの神経障害の治療及び/又は予防において使用するための結合分子;並びに、該結合分子を含有する医薬組成物に関する。該医薬組成物(すなわち、医薬品)は、任意に医薬として許容し得る担体を含有する。該医薬組成物は、治療上許容し得る希釈剤又は賦形剤を、更に含有してよい。
本発明の典型的医薬組成物は、本明細書に提供される結合分子及び担体又は賦形剤を混合することにより、調製される。好適な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、且つ例えば、論文(66-68)において詳細に説明されている。これらの製剤はまた、薬物の外観を向上するか又は医薬製品(すなわち、医薬品)の製造を補助するために、1又は複数の緩衝液、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味料、香料、香味剤、希釈剤及び他の公知の添加剤も含有して良い。例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の結合分子を、外界温度、適切なpHで、且つ所望の純度で、生理的に許容し得る担体、すなわちレシピエントにとって無毒の担体と、好適な投与剤形へ利用される用量及び濃度で、混合することにより、製剤化されてよい。本発明の医薬組成物は、無菌であってよい。
本発明の結合分子は、医薬として許容し得る塩の形状で存在してよい。用語「医薬として許容し得る塩」は、本発明の化合物の生物学的な有効性及び特性を保持し、且つ好適な無毒の有機酸又は無機酸又は有機塩基又は無機塩基から形成される、従来型の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸など無機酸から誘導されたもの、並びにp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、及び同類のものなどの、有機酸から誘導されたものを含む。塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、及び第4級水酸化アンモニウム、例えばテトラメチル水酸化アンモニウムなどから誘導されたものを含む。化合物の改善された物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性及び溶解度を得るための、医薬化合物の塩への化学的修飾は、薬化学者に周知の技術である。これは例えば、論文(69)又は(70)において説明されている。例えば、本明細書に提供される化合物の医薬として許容し得る塩は、ナトリウム塩であってよい。
本発明の医薬組成物は、良好な医療実践と一致する様式で、製剤化され、1服用量とされ(dosed)、且つ投与される。この状況において考慮される要因は、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、患者の年齢及び性別、並びに医療実践者に公知の他の要因を含む。ここで、「有効量」(「(治療的)有効投与量」としても公知)は、医師又は他の臨床担当者により求められる、対象の生物学的及び医学的反応を誘起するであろう化合物の量を意味する。本発明の結合分子、又は本発明の医薬組成物の「有効量」は、そのような考察に支配され、且つ治療される神経障害の症状を阻害するのに必要な最小量である。例えば、そのような量は、総じて、レシピエントの細胞に、又は哺乳動物に毒性がある量を下回ってよい。
本発明の結合分子又は本発明の医薬組成物は、経口、局所(口腔内及び舌下を含む)、経直腸、経膣、経真皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内及び硬膜外、及び鼻腔内の投与、並びに局所治療が望ましいならば病巣内投与を含む、任意の適切な手法により投与されてよい。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。前述のように、浸透圧ポンプを使用し、本発明の結合分子又は医薬組成物を、CNSへ、例えば脳へ、直接送達してもよい。
本発明の結合分子又は本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー、坐剤、ゲル剤、乳剤、貼付剤など、任意の使いやすい投与剤形で投与されてよい。このような組成物は、例えば、希釈剤、担体、pH調節剤、甘味料、増量剤、及び更なる活性物質などの、医薬調製において慣習的な成分を含んでよい。
先に考察したように、本発明の結合分子又は本発明の医薬組成物は、ADなどの神経変性障害を含む神経障害の予防及び/又は治療に有用である。用語「治療」、「治療している」、「治療する」などは、所望の薬理学的効果及び/又は生理学的効果を得るという一般的意味で本明細書において使用される。この効果は、疾患及び/又は疾患が原因の有害作用の部分的又は完全な治癒に関して、治療的である。本明細書において使用される用語「治療」は、対象における疾患の任意の治療に及び、且つ(a)疾患を阻害する、すなわち、アミロイドプラークの形成の阻害のようにその発達を停止することか;又は、(b)疾患を改善する(すなわち、軽減する)、すなわち、アミロイドプラークの退縮のように、疾患の退縮を引き起こすこと:を含む。従って、神経変性障害などの神経障害を治療する化合物は、神経変性障害などの神経障害を改善及び/又は阻害する化合物である。好ましくは、本明細書において使用される用語「治療」は、既に確定されかつ顕在化された神経変性障害の治療などの、既に顕在化した神経障害の医学的介入に関する。本明細書において用語「予防している」、「予防」又は「予防する」は、予防的処置、すなわち、疾患を治癒することよりも、それを予防することを目的とする方策又は手順に関する。予防は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に阻止する点で予防的である、望ましい薬理学的及び/又は生理学的効果が得られることを意味する。従って、本明細書において「神経障害/神経変性障害を予防している」は、対象において生じる神経障害/神経変性障害を防止すること、及び神経障害/神経変性障害の症状の発生を防止することを含む。
本発明の目的に関して、「対象」(又は「患者」)は、脊椎動物であってよい。本発明の状況において、用語「対象」は、ヒト及び他の動物の両方、特に哺乳動物、及び他の生物を含む。従って、本明細書に提供される手段及び方法は、ヒト療法及び獣医学適用の両方に適用可能である。従って本明細書において、対象は、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、ニワトリ、ヒツジ、ウシ種、ウマ、ラクダ、又はサル、例えば霊長類などの動物であってよい。好ましくは、対象は、哺乳動物である。より好ましくは、対象は、マウス又はヒトである。最も好ましくは、対象は、ヒトである。
本明細書において、用語「ポリペプチド」は、ペプチド(アミド)結合により連結されたアミノ酸モノマーを含む又はこれからなる全ての分子を含む。従って用語「ポリペプチド」は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド及びタンパク質などの、全てのアミノ酸配列を含む。本明細書記載の「ポリペプチド」は、天然のポリペプチド又は非−天然のポリペプチドであってよい。非−天然のポリペプチドは、天然の対応物と比べ、少なくとも1つの変異(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸欠失又はアミノ酸付加)を含んでよい。非−天然のポリペプチドはまた、ベクターにおいてクローン化され、並びに/又は該ポリペプチドの天然のプロモーターではないプロモーターへ機能的に連結されてよい。該プロモーターは、構成的に活性があるプロモーターであってよい。本明細書において使用される用語「アミノ酸」又は「残基」は、天然のアミノ酸の、並びに他のアミノ酸(例えば、非−天然のアミノ酸、核酸配列によりコードされないアミノ酸、合成アミノ酸など)の、L−及びD−異性体の両方を含む。天然のアミノ酸の例は、アラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C)、グルタミン(Gln;Q)、グルタミン酸(Glu;E)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;I)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、トレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、バリン(Val;V)である。翻訳後修飾された天然のアミノ酸は、デヒドロブチリン(Dhb)及びラビオニン(Lab)である。非−天然のアミノ酸の例は、先に説明されている。非−天然のポリペプチドは、例えば、アミノ酸配列に共有的もしくは非共有的に結合された、レポーター分子又は別のリガンドなどは、ポリペプチドの天然の形のアミノ酸配列と比べ、1又は複数の非−アミノ酸置換基、又は異種のアミノ酸置換基を含んでよい。
本発明の状況において、用語「同一性」又は「%同一性」は、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列が、本明細書に示された配列と、例えば、配列番号:1−6又は17−20の配列と、少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び更により好ましくは少なくとも99%同一性を有することを意味し、ここでより高い同一性の値は、より低いものよりも好ましい。本発明に従い、2種以上の核酸配列又はアミノ酸配列の状況における用語「同一性(identity/identities)」又は「%同一性(percent identity/identities)」は、アミノ酸残基又はヌクレオチドが同一であるか、又はそれらが同一であると特定された割合を有する、2種以上の配列を指す(例えば、当該技術分野において公知の配列比較アルゴリズムを使用し測定されるか、又は手作業で並置され且つ目視検査されることにより、比較ウインドウにわたり、又は指定された領域にわたり、最大対応となるよう比較し且つ並置した場合に、例えば配列番号:1−6又は17−20のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性)。好ましくは説明された同一性は、本明細書に提供される配列の全てのアミノ酸の長さにわたって存在する。
当業者は、当該技術分野において公知のように、例えば、CLUSTALWコンピュータプログラム(71)又はFASTDB(72)を基にしたものなどのアルゴリズムを使用し、配列間/配列中の%同一性をどのようにして決定するかを知っているであろう。同じくBLAST及びBLAST 2.0アルゴリズム(73-75)も、当業者に利用可能である。例えば、ベーシックローカルアライメントサーチツール(BLAST)を表す、BLAST 2.0(73-75)は、ローカル配列アライメントを検索するために使用することができる。先に考察したようにBLASTは、配列類似性を決定するために、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の両方のアライメントを生じる。これらのアライメントのローカル特徴のために、BLASTは、正確なマッチの決定において、及び類似配列の同定において、特に有用である。BLAST(73-75)を使用する類似のコンピュータ技術は、GenBank又はEMBLなどのヌクレオチドデータベースにおける同一分子又は関連分子の検索に使用される。
本発明は、以下の非限定的な図面、表及び実施例を参照し、更に説明される。
図面及び表を説明する。
TREM2エクトドメイン切断部位の同定。 (A)膜−結合型TREM2の図示。ADAM10によるシェディング時に、TREM2の残存するC末端の残り(stub)は、γ−セクレターゼにより、膜内で切断される。アミノ酸変化を生じる同定されたTREM2バリアントが、示される。 TREM2エクトドメイン切断部位の同定。 (B)HEK293細胞において安定して発現されたC末端のFLAG−タグ付けされたTREM2を使用し、エクトドメイン切断部位を同定した。TREM2 C末端断片の濃縮のために、細胞を、10μM DAPTで処理し、その後タンパク質抽出した。右側のグラフは、DAPT処置後のMALDI−TOF質量分析により同定された、His157の後ろの切断にフィットする、一個の突出したピークを示す。ADAMインヒビター(GM、広範なADAMインヒビター;GI、選択的ADAM10インヒビター)による処理は、同定されたピークを示さなかった(下側グラフ)。 TREM2エクトドメイン切断部位の同定。 (C)TREM2エクトドメイン切断部位を同定する別の戦略。TEV−プロテアーゼ切断部位、それに続くFLAG−タグを、TREM2のアミノ酸140の後ろに導入した。可溶性TREM2を、上清から精製した。Ig−様V−型ドメインを含むN末端部分を、TEV−プロテアーゼ切断により除去し、残りのC末端ペプチドを、抗−FLAG抗体を用いて精製し、MALDI−TOF質量分析により分析した。右側グラフは、His157の後ろの切断されたペプチドに対応する単独のピークを示している。 TREM2エクトドメイン切断部位の同定。 (D)PMA処理後のADAM17活性の増加は、単独のピークを示し、これは大量の代替切断生成物の誘導を伴わない、H157での切断を確認している。 (E)位置H157での、主要なTREM2エクトドメイン切断部位の図示。少量の代替切断部位は、L163、L164及びE165で検出される。暗灰色の背景を伴うアミノ酸は、TREM2膜貫通ドメインのスタートを示している。切断−部位−特異的抗体を作製するためのラットの免疫化に使用されたエクトドメイン切断部位を包含する十量体ペプチドは、ボックス内に示した。
図2 TREM2 H157Yバリアントに関連した患者の増大したシェディング。 (A)AD−関連バリアントp.H157Yを発現している細胞由来の上清中のsTREM2の抗−HA免疫ブロッティングは、野生型(WT)対照と比べ、増大したsTREM2レベルを示す。FTD−様-会合したTREM2変異p.T66Mは、減少したシェディングのための対照として使用した(15)。 (B)膜−結合型TREM2の免疫ブロッティングは、成熟TREM2(未熟バンドの上側のスメア)の低下したレベルを示す。このC末端断片はまた、H157Y発現細胞においても低下したレベルを示すことに留意。ヒトTREM2 C末端に特異的である9D11抗体を、免疫ブロッティングに使用した。 (C)sTREM2レベルの定量。 (D)成熟/未熟TREM2レベルの定量。 (E)sTREM2/成熟TREM2レベルの定量。 (F)未熟TREM2の定量。 図2 TREM2 H157Yバリアントに関連した患者の増大したシェディング。 (G)TREM2 CTF/未熟TREM2レベルの定量。 (H)成熟した表面露出された変異体TREM2の表面ビオチン化は、表面結合したp.H157Y TREM2の低下したレベルを示す。FTD−様-会合したTREM2変異T66Mは、低下した細胞表面TREM2発現の対照として使用した((15)参照)。 (I)細胞−ベースのELISAによる表面結合したTREM2の定量は、p.T66M及びp.H157Y TREM2の低下した表面発現を示す。 (J)TREM2バリアントH157Yは、エクトドメイン切断部位の位置を変化しない。グラフは、Y157の後ろで切断された生成物に対応する、MALDI−TOF質量分析における単独のピークを示している。
図3 TREM2 H157Yバリアントを発現している細胞において損なわれた貪食。 TREM2−DAP12融合構築体を安定して発現しているHEK293 Flp−In細胞における、pHrodo大腸菌の貪食は、インキュベーションの1時間後(灰色)及び2時間後(黒色)に、野生型(WT)発現細胞と比べ、H157Y発現細胞における低下した貪食性の取込みを示している。サイトカラシンD(10μM)を、貪食阻害に対する陰性対照として使用した。EV、空のベクター対照。
図4 TREM2(配列番号:1)のアミノ酸149−174の二次構造の推定(s2D法)。 黒色ラインは、同定された切断部位を示す。
図5 TREM2(配列番号:1)のアミノ酸158−175の二次構造の推定(s2D法)。 切断のC末端側のアミノ酸配列(=残りのCTFのN末端部分)
図6 TREM2(配列番号:1)のアミノ酸132−157の二次構造の推定(s2D法)。 切断のN末端側のアミノ酸配列(=可溶性TREM2のC末端部分)
図7 切断−部位−特異的抗体を使用するTREM2エクトドメインシェディングの阻害。 (A)指定されたクローン(最終濃度50μg/mL)を使用する24時間抗体処理時に、wt TREM2を安定して過剰発現しているHEK細胞の、馴化培地由来の可溶性TREM2(sTREM2)及び膜画分由来の成熟/未熟TREM2の、抗−HA免疫ブロッティング。エクトドメインシェディングを最も強力に減少する選択された抗体クローンは、灰色ボックスで示した。免疫ブロット法は、2回の独立した実験の代表である。 図7 切断−部位−特異的抗体を使用するTREM2エクトドメインシェディングの阻害。 (B)sTREM2のELISA−媒介した定量(n=2)は、エクトドメイン切断部位に対し方向付けられた選択された抗体クローン(14D3及び14D8、灰色のボックス中)は、ADAM10インヒビターGI254023X(陽性対照)と同等の、sTREM2レベルの減少に繋がることを示している。 図7 切断−部位−特異的抗体を使用するTREM2エクトドメインシェディングの阻害。 (C)成熟TREM2の免疫ブロッティングの定量分析(n=2)は、選択された抗体クローン(14D3及び14D8、灰色のボックス中)は、ADAM10インヒビターGI254023X(陽性対照)と同等の又は更により高い、成熟TREM2のレベルの増加を生じることを明らかにしている。 図7B及びCのsTREM2及び成熟TREM2のレベルは、平均±SEMで表し、且つ免疫ブロット法から定量したように未熟TREM2のレベルに対し規準化した。ヒトTREM2のC末端に対して特異的であるモノクローナル抗体を、陽性対照として使用した。No tr.;未処置。
図8 作製された抗体の一部の可変領域からのアミノ酸配列のアライメント。 (A)可変重鎖からのアミノ酸配列のアライメント。CDR領域は、ボックスで囲んだ。個々の抗体クローン間の配列変動は、灰色で示す。アミノ酸番号を示し、且つCDR決定は、IMGT基準に従って行った。コンセンサス配列、保存率、及び配列ロゴは、CLC MAINワークベンチ6.9.1.を用いて作製した。*は、個々の抗体クローン間のアミノ酸配列における変動のある位置である。 図8 作製された抗体の一部の可変領域からのアミノ酸配列のアライメント (B)可変軽鎖からのアミノ酸配列のアライメント。CDR領域は、ボックスで囲んだ。個々の抗体クローン間の配列変動は、灰色で示す。アミノ酸番号を示し、且つCDR決定は、IMGT基準に従って行った。コンセンサス配列、保存率、及び配列ロゴは、CLC MAINワークベンチ6.9.1.を用いて作製した。*は、個々の抗体クローン間のアミノ酸配列における変動のある位置である。
図9 抗体クローン並びに各コンセンサス配列のアミノ酸配列。太字の大文字は、比較配列の100%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字の小文字は、比較配列の>50%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字でない大文字は、比較配列の>80%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。*は、コンセンサス配列が決定されないことを示している。従って、*は任意のアミノ酸であることができる。CDR配列には下線を付けた。 図9 抗体クローン並びに各コンセンサス配列のアミノ酸配列。太字の大文字は、比較配列の100%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字の小文字は、比較配列の>50%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字でない大文字は、比較配列の>80%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。*は、コンセンサス配列が決定されないことを示している。従って、*は任意のアミノ酸であることができる。CDR配列には下線を付けた。 図9 抗体クローン並びに各コンセンサス配列のアミノ酸配列。太字の大文字は、比較配列の100%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字の小文字は、比較配列の>50%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字でない大文字は、比較配列の>80%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。*は、コンセンサス配列が決定されないことを示している。従って、*は任意のアミノ酸であることができる。CDR配列には下線を付けた。 図9 抗体クローン並びに各コンセンサス配列のアミノ酸配列。太字の大文字は、比較配列の100%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字の小文字は、比較配列の>50%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。太字でない大文字は、比較配列の>80%が、その位置に同じアミノ酸を有することを示している。*は、コンセンサス配列が決定されないことを示している。従って、*は任意のアミノ酸であることができる。CDR配列には下線を付けた。
表1 同定されたペプチドのリスト及び計算された質量に対する測定されたペプチド質量の比較。[M+H]+は、一価に帯電したペプチドを示す。
表2 同定されたペプチド及び計算された質量に対する測定されたペプチド質量の比較。[M+H]+は、一価に帯電したペプチドを示す。
実施例は、本発明を例証している。
実施例1:ADAM切断部位に生じ、且つシェディング及び貪食機能に影響を及ぼすアルツハイマー関連TREM2バリアント
材料及び方法
cDNA構築体
野生型(WT)ヒトTREM2のコード配列を、内在性TREM2シグナルペプチド(aa1−18)の後ろに位置したHA−タグ(YPYDVPDYA、それに続くリンカー配列SGGGGGLE)及びC末端FLAGタグ(DYKDDDDK)を導入したcDNAクローン(クローン693;Holzel Diagnostika、独国)から、PCRにより増幅した。TREM2構築体を、制限酵素HindIII(New England Biolabs)及びXhoI(Thermo Scientific)を用いて、pcDNA5TM/FRT/TO又はpcDNA3.1/Zeo(+)ベクター(両方共Life Technologies)へ、サブクローニングした。貪食実験のために、TREM2−DAP12融合構築体を、制限酵素BamHI及びXhoI(Thermo Scientific)により線状化されたpcDNA5TM/FRT/TOベクターと一緒に、各々、1又は2のgBlock遺伝子断片(Integrated DNA Technologies)を使用する、Gibson Assembly(商標)法(New England BioLabs)を用いて作製した。TREM2−DAP12融合構築体は、DAP12(aa28−113)に融合されたaa169(プロリン169)を含むTREM2のエクトドメインを含んだ。更に、アスパラギン酸からアラニンへのDAP12の膜貫通ドメインにおけるアミノ酸変化(p.D50A)を、含んだ。加えて、TREM2−DAP12融合構築体は、前述のように内在性TREM2シグナルペプチドの後に、HA−タグを含んだ。TREM2ミスセンス変異p.T66M(ACG>ATG)、及びp.H157Y(CAC>TAC)を、位置指定変異誘発により各プラスミドへ導入し(Stratagene、ラホヤ、CA)、且つ全ての構築体をDNAシークエンシングにより検証した。
細胞培養及びアイソジェニック細胞株の作製
Flp−In 293細胞(HEK293 Flp−In;Life Technologies)を、10%(v/v)ウシ胎仔血清(FCS)、ゼオシン(200mg/ml)、及びペニシリン/ストレプトマイシン(PAA Laboratories)を補充した、Glutamax I含有ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において培養した。相補的DNA(cDNA)構築体のトランスフェクションを、リポフェクタミン2000を製造業者の推奨に従い用いて実行した。ヒトTREM2 cDNA構築体の安定した過剰発現のために、HEK293 Flp−In細胞を、TREM2 cDNA構築体及びpOG44(Flp−リコンビナーゼ発現ベクター;Life Technologies)と同時トランスフェクションし、ヒグロマイシンB(200mg/ml)を用いて選択した。別に言及しないならば、細胞培養実験のための製品は、Life Technologies社から入手した。
抗体
免疫ブロット検出のために、以下の抗体を使用した:HRPへ複合されたラットモノクローナル抗−HA抗体(3F10;1:2,000;Roche)、及びヒトTREM2のC末端に対するラットモノクローナル抗体(1:5、Dr. Kremmer/Dr. Feederle Service Unit Monoclonal Antibodiesにより提供、Helmholtz Zentrum、ミュンヘンより)。二次抗体は、HRP−複合ヤギ抗−ラットIgG(1:10,000、Santa Cruz Biotechnology)であった。
細胞表面ビオチン化
表面ビオチン化は、ポリ−L−リジン−コートディッシュ上で一晩成長させた、TREM2 cDNA構築体を安定して過剰発現しているHEK293 Flp−In細胞を用いて実行した。細胞は、冷PBSにより3回洗浄し、0.5mg/ml EZ−リンクスルホ−NHS−LCビオチン(Pierce)を含有するPBSと共に、30分間、RTでインキュベーションした。細胞を、PBSにより3回洗浄し、PBS中1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する50mM NHClにより、10分間、RTでクエンチした。更にPBS中での3回の洗浄工程の後、細胞を、PBS中に収集し、且つプロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma)を新たに補充した、細胞溶解緩衝液(150mM NaCl、50mMトリス−HCl、pH7.6、2mM EDTA、1%Triton−X100)中で、氷上で、20分間溶解した。タンパク質濃度を、ビシンコニン酸(BCA)法(Pierce)を用いて測定し、等量のタンパク質を、ストレプトアビジンセファロース(GE Healthcare)を使用する、一晩、4℃での沈殿に供した。ストレプトアビジンセファロースを、STEN−NaCl(500mM NaCl、50mMトリス−HCl、pH7.6、2mM EDTA、0.2%NP−40)、STEN−SDS(150mM NaCl、50mMトリス−HCl、pH7.6、2mM EDTA、0.2%NP−40、0.1(w/v)SDS)、STEN(150mM NaCl、50mMトリス−HCl、pH7.6、2mM EDTA、0.2%NP−40)の各1mlで1回洗浄し、βメルカプトエタノールを補充した2×Laemmli試料緩衝液中で、95℃で10分間煮沸することにより、タンパク質を溶離した。ストレプトアビジン−沈殿した試料からの免疫ブロット法では、カルネキシン反応性は検出されず、これは表面ビオチン化手順時の細胞の完全性が確認されることに留意。
馴化培地、細胞溶解液の調製、及び免疫ブロッティング
TREM2又はTREM2−DAP12 cDNA構築体を安定して過剰発現しているHEK293 Flp−In細胞を、密度1.5×10/cmで播種し、播種後48時間で培地を交換した。順化培地を、18〜20時間後に収集し、氷上で直ちに冷却し、13,000rpmで、4℃、20分間遠心し、上清を分析まで−20℃で凍結した。上清を、標準15%SDS−PAGEに直接供した。膜画分を調製するために、細胞を、氷冷したPBSで2回洗浄し、氷冷した低張緩衝液(0.01Mトリス、pH7;1mM EDTA;1mM EGTA)中で再懸濁し、新たにプロテアーゼインヒビター(Sigma)を補充し、氷上で30分間インキュベーションした。液体窒素で瞬間凍結し且つ解凍した後、破壊された細胞を、13,000rpmで、4℃、45分間遠心した。得られたペレットを、STE溶解緩衝液(150mM NaCl、50mMトリス−HCl、pH7.6、2mM EDTA、1%Triton−X100)中に再懸濁し、氷上で20分間インキュベーションし、且つ13,000rpmで、4℃、30分間の遠心分離により透明化した。タンパク質濃度を、BCA法を用いて測定し、等量のタンパク質を、βメルカプトエタノールを補充したLaemmli試料緩衝液と混合し、SDS−PAGEにより分離し、二フッ化ポリビニリデンメンブレン(Hybond P;Amersham Biosciences、アイレスバリー、英国)に転写した。結合した抗体を、増強された化学発光技術(Pierce)を用い、対応するHRP−複合二次抗体により可視化した。免疫ブロットの定量は、LAS−4000イメージリーダーで行い、Multi−Gauge V3.0ソフトウェア(両方共Fujifilm Life Science)を用いて分析した。
貪食アッセイ
蛍光発生する大腸菌粒子(pHrodo Green, Molecular Probes)の貪食を、野生型又は変異体TREM2−DAP12融合構築体のいずれかを安定して発現しているHEK293 Flp−In細胞を用いて分析した。簡単に述べると、細胞を、密度2×10個(HEK293 Flp−In)細胞で、24−ウェルプレート中にプレーティングし、24〜48時間培養した。pHrodo大腸菌生体粒子を、PBS中に、濃度1mg/mlとなるよう溶解し、合計50mgの生体粒子を条件に従い添加し、37℃で、60又は120分間インキュベーションした。陰性対照として、貪食を10mMサイトカラシンDを、pHrodo大腸菌生体粒子の添加前30分に添加することにより、阻害した。細胞をトリプシン処理により収集し、FACS試料緩衝液で2回洗浄し、MACSQuant VYBフローサイトメーター(Miltenyi Biotec)上で、フローサイトメトリーにより分析した。データ解析は、MACSQuantifyソフトウェア(Miltenyi Biotec)を用いて行った。
細胞−ベースのELISA
空ベクター(pcDNA5TM/FRT/TO)又はTREM2 cDNA(野生型若しくは各変異体)のいずれかを安定して発現しているHEK293 Flp−In細胞を、ポリ−L−リジンコートされた96−ウェルプレートに、濃度15,000個細胞/ウェルで播種した。播種の1日後、非特異的結合は、氷上で、DMEM細胞培養培地中の10%BSAを用いて、20分間ブロックした。表面露出されたTREM2を、5%BSAを補充したDMEM中のHRP−結合した抗−HA抗体(3F10;希釈1:400)を用いて、氷上で、90分間染色した。未結合の抗体は、DMEM及びリン酸緩衝食塩水(PBS)による、4回の洗浄により、洗浄除去し、基質希釈緩衝液(0.05M NaHPO、0.025Mクエン酸、pH=5.5;0.75%Hを補充)中の100μg/mlテトラメチルベンジジン(TMB)の添加により呈色反応を開始させた。呈色反応は、2N HSOの添加により停止させ、吸光度を自動プレートリーダーを用いて、450nmで測定した。
エクトドメイン切断のMALDI−TOF質量分析の解析
WT及びH157Y TREM2を安定して発現しているHEK293 Flp−In細胞を、PBS中に収集した。細胞ペレットを、使用時まで、−20℃で凍結した。細胞を、プロテアーゼインヒビターミックス(Sigma-Aldrich)を含有する溶解緩衝液(4%DDM、0.1%N−オクチルグルコシド、10mMトリス−HCl、pH8.0、5mM EDTA、及び140mM NaCl)中に、氷上で、20分間溶解した。13,000gで、20分間の透明化スピン後、上清を、100,000gで1時間の遠心分離による、2回目の透明化スピンに供し、且つ抗−FLAG M2−アガロース(Sigma-Aldrich)と共に一晩、4℃で回転することにより、インキュベーションした。ビーズを、IP/MS緩衝液(0.1%N−オクチルグルコシド、10mMトリス−HCl、pH8.0、5mM EDTA、及び140mM NaCl)により4回、並びに水により2回洗浄した。ビーズは、IP/MS分析まで、−20℃で貯蔵した。
TREM2 WT TEV−FLAG構築体を、HEK293 Flp−In細胞へ、一過性にトランスフェクションした。24時間後、新鮮な培地を添加した。72時間後、上清を収集し、細胞デブリを除くために、遠心分離した。上清のpHを、1Mトリス/HClを用いて、pH=8.0に調節し、0.5M EDTA pH=8.0を添加し(最終濃度3.75mM)、且つ上清を、抗−FLAG M2−アガロース(Sigma-Aldrich)と共に、一晩4℃で回転することにより、インキュベーションした。ビーズを、IP/MS緩衝液(0.1%N−オクチルグルコシド、10mMトリス−HCl、pH8.0、5mM EDTA、及び140mM NaCl)により4回、並びに水により2回洗浄した。TREM2エクトドメインを、100mMグリシンpH=2.5を用いて、ビーズから溶離し、氷上で10分間インキュベーションした。遠心分離(1,200gで5分間)時に、上清を、1/8容量の1Mトリス/HCl、pH=8.0の添加により、直ちに中和させた。EDTAの添加後、DTT(最終濃度、各々、0.5mM及び1mM)、及びRoche完全プロテアーゼインヒビター、10ユニットのAcTEV(Life Technologies)を添加し、且つ消化を、4℃で一晩実行した。IP/MS緩衝液1mLの添加時に、抗−FLAG M2−アガロース(Sigma-Aldrich)を添加し、免疫沈降を、4℃で1時間行った。ビーズを、IP/MS緩衝液(0.1%N−オクチルグルコシド、10mMトリス−HCl、pH8.0、5mM EDTA、及び140mM NaCl)により3回、並びに水により3回洗浄した。ビーズは、IP/MS分析まで、−20℃で貯蔵した。
IP/MS分析は、先に説明したように、Voyager DE STR(Applied Biosystems)を用いて行った。免疫沈降したペプチドを、α−シアノ−4−ヒドロキシケイヒ酸で飽和したTFA/CHCN/水(1:20:20)により溶離した。この溶解した試料を、ステンレスプレート上で乾燥させ、MALDI−TOF MS分析に供した。
結果及び考察
TREM2は、最近、後発性アルツハイマー病の発症のリスク増大に結びつけられているI型膜貫通糖タンパク質である。図1Aは、これまでに文献に報告されたTREM2バリアントの概要を提供する。より詳細に生化学的に研究されたバリアントは、Ig−様ドメインに位置し、且つ明らかに類似の機序を通じてそれらの作用を発揮する(Y38C及びT66Mなど、Kleinbergerら、2014)。ここで、スタルク領域に位置するバリアントは、エクトドメインシェディングに影響を有するかどうかを調べた。エクトドメイン切断部位を決定することから、開始した。第一の実験において、C末端側にFLAG−タグ付けされたC末端断片(CTF)を、免疫沈降した。CTF濃縮は、インヒビターとしてDAPTを使用する、γ−セクレターゼ阻害により遂行した。MALDI−TOF質量分析は、His157のC末端の切断に対応する単独の突出したピークを明らかにしたのに対し、GM及びGIインヒビター使用するADAM阻害時の質量スペクトルは、予想されたようにピークを示さなかった(図1B)。第二の独立した実験において、TEV−FLAG部位を、スタルク領域に挿入し、且つN末端FLAGタグを有する短いペプチドを、TEV消化時に免疫沈降させた。MALDI−TOF質量分析は再度、His157のC末端側エクトドメイン切断に対応する単独の突出したピークを同定し、従って第一の実験からの知見を確認した(図1C)。重要なことに、追加のプロテアーゼの活性化及び促進されたシェディングに繋がる、13−酢酸12−ミリスチン酸ホルボール(PMA)による処理時に、主要な代替切断部位は同定されなかった(図1D)。図1Eは、スタルク領域中のエクトドメイン切断部位の位置を示している。
興味深いことに、報告されたTREM2バリアントの中でとりわけ、これまでは、切断部位が正確に位置づけられたもの、すなわちH157Yがある。従ってこのバリアントのTREM2生化学及び機能に与える影響を分析した。図2A、Cは、バリアントは、sTREM2のレベルを有意に増加することを示している。更に、膜画分のウェスタンブロット定量は、成熟TREM2が、WTレベルと比べ有意に少ないことを明らかにし(図2B、D)、これは、バリアントH157Yのエクトドメインシェディングの増加は、更により顕著であることを示している(図2E)。定量はまた、WTレベルと比較した場合に、約2倍より多い未熟TREM2を明らかにしている(図2F)。予想外のことに、バリアントH157Yに関して、減少したCTFレベルが認められた(図2G)一方で、シェディングは明確に上昇した。プロテアーゼインヒビター処理実験は、この知見は、より早期の切断、すなわちリソソームのCTF分解から生じるかどうかを示すであろう。観察された成熟TREM2レベルの減少(図2D)と一致して、細胞表面ビオチン化は、WTレベルと比べ、より低いレベルの膜−結合型完全長TREM2を示した(図2H)。加えて、細胞−ベースのELISAにおいて、再度、膜−結合型TREM2レベルの有意な減少が認められた(図2I)。MALDI−TOF質量分析は、DAPTを使用するCTF濃縮時の、Y157のC末端側切断に対応する、単独の突出したピークを示し、これはエクトドメイン切断は、WTタンパク質における部位と正確に同じ部位で起こることを示している(図2J)。以下において、膜−結合型完全長TREM2の低下したレベル及びsTREM2の増加したレベルの機能上の結果を、貪食アッセイにおいて調べた。大腸菌pHrodoの取込みは、WT TREM2と比べ、バリアントH157Yの有意に損なわれた貪食活性を明らかにし(図3)、これは、完全長膜−結合型TREM2は、貪食が生じるために必要であるという見解を裏付けている。
実施例2:TREM2スタルク領域の二次構造の推測
材料及び方法
TREM2スタルク領域の二次構造を推測するために、P. Sormanni、C. Camilloni、P. Fariselli及びM. Vendruscoloにより説明されたs2D法を使用した。特に、s2D法は、タンパク質中の順序付けられた領域及び無秩序とされた領域の統計集団の同時の配列−ベースの推測を基にし、且つSormanniらの文献(76)により詳細に説明されている。
結果及び考察
TREM2スタルク領域における二次構造集団の推測は、このタンパク質の領域は、特に切断部位のC末端で、有意な割合のアルファ−ヘリカル構造を示すことを明らかにしている。従って、アルファ−ヘリックス−介在型タンパク質−タンパク質相互作用(TREM2−ADAM;TREM2−MMP)を阻害する小型分子は、拘束型アルファ−ヘリカルペプチド、又はそのホットスポット残基、すなわちその相互作用を介在するために必須であるそれらの残基の空間配向を模倣することによりアルファヘリックスのトポグラフィーにマッチするプロテオミメティックのいずれかを設計することにより、設計されてよい。そのようなアプローチは、当該技術分野において公知であり、且つ例えば、Azzarito Vら(34)において検証されている。
TREM2スタルク領域の二次構造の推測の結果は、図4−6に示している。図4において、エクトドメイン切断部位は、黒色垂直線により示されている。
実施例3: TREM2切断を阻害するTREM2切断部位に特異性のある抗体
材料及び方法
TREM2切断部位に対するモノクローナル抗体の作製及び選択
ヒトTREM2アイソフォーム1のアミノ酸AHVEHSISRS(配列番号:7)を含むペプチドを、合成し、且つN末端でオボアルブミン又はビオチン(Peps4LS、ハイデルベルグ、独国)へ結合させた。Lou/cラットを、500μl PBS中の50μgのOVA−結合ペプチド、5nmol CpG2006(TIB MOLBIOL、ベルリン、独国)、及び500μl不完全フロイトアジュバントの混合物により、皮下(s.c.)及び腹腔内(i.p.)で免疫化した。6週間後、フロイントアジュバントを含まない追加免疫を、融合前の3日間i.p.及びs.c.投与した。骨髄腫細胞株P3X63−Ag8.653のラット免疫脾細胞との融合は、標準手順に従い(Koehler及びMilstein, Nature. 1975, 256:495-497)、ポリエチレングリコール1500を用いて行った。融合後、これらの細胞を、HAT HybriMax培地補充物(Sigma)を補充した、20%ウシ胎仔血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミン、ピルビン酸、及び非必須アミノ酸を含むRPMI 1640を用いて96−ウェルプレート中にプレーティングした。ハイブリドーマ上清を、アビジン−コートされたプレートに結合させたビオチン化されたペプチド(0.2μg/ml)を使用する酵素結合免疫検定において試験した。PBS/2% FCSによるブロック後、ハイブリドーマ上清を、30分間添加した。PBSにより1回洗浄した後、結合した抗体を、4種のラットIgGアイソタイプに対するHRP−複合mAbのカクテルにより、検出した。HRPは、TMB基質(1−Step(商標)Ultra TMB−ELISA、Thermo)を使用し、容易に視認した。
TREM2−反応性上清は、引き続き、ヒト野生型TREM2を安定して過剰発現しているHEK293 Flp−In細胞の細胞表面上のTREM2を検出するそれらの能力についてスクリーニングした(Kleinbergerら、2014)。ヒト完全長TREM2又は空ベクター(=対照)のいずれかを発現しているHEK293 Flp−In細胞を、96−ウェル組織培養プレートにおいて培養し、PBSにより2回洗浄し、PBS中の2%ウシ血清アルブミン(BSA)によりブロックし、且つ各TREM2−反応性上清(ブロック緩衝液中に1:2希釈した)と一緒に、氷上で60分間インキュベーションした。引き続き細胞を、PBSにより3回洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで、室温で20分間固定し、且つPBSにより3回洗浄した。TREM2−反応性上清の結合は、アイソタイプ−特異的マウス−抗ラット二次抗体を用いて可視化し、引き続きAlexa−488(Life Technologies)と結合させたヤギ抗−マウス三次抗体と共にインキュベーションした。4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(Dapi, Life Technologies)を、核対比染色として使用した。画像を、Cytationマルチ−検出リーダー(Biotek)を用いて自動的に獲得した。
細胞表面上のTREM2に対し選択的に結合することが可能であるTREM2−反応性上清のハイブリドーマ細胞を、限定希釈により、少なくとも2倍でクローニングした。そのIgGサブクラスを、捕獲としてのマウス抗−ラットカッパ軽鎖抗体、及び検出のためのHRP−結合したマウス抗−ラットIgGサブクラス−特異的抗体による、ELISAアッセイにより決定した。
作製された抗体の一部の可変重鎖及び可変軽鎖のアミノ酸配列のアライメントを、図8に示す。対応する配列はまた、図9にも示す。
エクトドメイン切断部位に特異的な抗体を使用するwt TREM2を安定して過剰発現しているHEK Flp−In細胞の処理
1×10〜1.5×10個細胞を、6−ウェルフォーマットで播種した。24時間後、新鮮な培地を、これらの細胞に添加した。Dr. Feederle(Helmholtz Center Munich, Core Facility Monoclonal Antibody Development)により作製された抗体クローンを、同時に、すなわち一晩の処理(約24時間)のために、最終濃度50μg/mLで、添加した。翌日、馴化培地及び細胞を収集し、且つ「馴化培地、細胞溶解液の調製、及び免疫ブロッティング」に説明したように処理した。
ADAM10インヒビターGI254023X(最終濃度5μM)及びヒトTREM2のC末端に特異的である対照モノクローナル抗体を、各々、陽性対照及び陰性対照として使用した。
sTREM2 ELISA
細胞培養上清中のsTREM2のレベルの定量のために、ヒトsTREM2のためのELISAを、Meso Scale Discovery SECTOR Imager 2400を用いて確立した。ストレプトアビジン−コートした96−ウェルプレートを、PBS(pH7.4)を溶媒とする0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)及び0.05%Tween20(ブロック緩衝液)中、4℃で一晩ブロックした。ヒトsTREM2の検出のために、プレートを、ブロック緩衝液中に希釈したビオチン化されたポリクローナルヤギ抗−ヒトTREM2捕獲抗体(0.25mg/ml;R&D Systems)と共に、室温で、1時間振盪させた。プレートを引き続き、PBS中の0.05%Tween20(洗浄緩衝液)で4回洗浄し、且つプロテアーゼインヒビター(Sigma)を補充した、PBS(pH7.4)を溶媒とする0.25%BSA及び0.05%Tween20(アッセイ緩衝液)中に1:4希釈した試料と共に、室温で2時間インキュベーションした。組換えヒトTREM2タンパク質(Holzel Diagnostika)を、2倍の連続希釈でアッセイ緩衝液中に希釈し、且つ標準曲線に使用した(濃度範囲、4000〜62.5pg/ml)。プレートを、洗浄緩衝液により5分間、3回洗浄し、その後ブロック緩衝液中に希釈したマウスモノクローナル抗−TREM2抗体(1mg/ml;Santa Cruz Biotechnology;B−3)と一緒に、室温で1時間インキュベーションした。更に3回の洗浄工程後、プレートを、SULFO−TAG-標識した抗−マウス二次抗体(1:1000;Meso Scale Discovery)と一緒にインキュベーションし、且つ暗所で1時間インキュベーションした。最後に、プレートを、洗浄緩衝液により3回洗浄し、引き続きPBS中での2回の洗浄工程とし、Meso Scale Discovery Read緩衝液を添加することにより、呈色させた。電気化学刺激後の620nmでの発光を、Meso Scale Discovery SECTOR Imager 2400リーダーを用いて測定した。HEK293 Flp−In細胞から分泌されたsTREM2のレベルを定量するために、生物学的複製(biological replicates)からの馴化培地を、2つ組で分析した。sTREM2標準曲線を、5−パラメータロジスティックフィットにより、MasterPlex ReaderFitソフトウェア(MiraiBio Group, Hitachi Solutions America)を用いて作製した。sTREM2のレベルは引き続き、ウェスタンブロットから定量したように、未熟TREM2のレベルに対して規準化した。
結果
TREM2は、細胞膜上に発現され、そのようなものだから貪食及び走化性などのミクログリア機能を媒介する。ミクログリアの貪食活性及び走化活性を促進する細胞外因子は、下流の細胞内シグナル伝達を開始するためにTREM2の細胞外ドメインへ結合することが必要であるので、ミクログリア活性は、細胞表面上の完全長、すなわち未切断の、TREM2のレベルと相関している。エクトドメイン切断部位は、本明細書において決定されており、且つこれは、切断部位に対し方向づけられたモノクローナル抗体の作製により、エクトドメイン切断を阻害し、且つこれにより細胞表面上の完全長TREM2のレベルを増加することが可能であると考えられた。これは次に、増強されたTREM2−関連したミクログリア活性を生じる。
第一工程として、ラットを、ヒスチジン157とセリン158の間に切断部位を持つ十量体ペプチド(153AHVEHSISRS162)(配列番号:7)により免疫化した。以下のように、抗体クローンを、細胞培養実験において、異なる抗体濃度を試験することができるよう、ハイブリドーマ上清から精製する。特にwtTREM2を安定して過剰発現しているHEK細胞を、9種の異なる抗体クローンにより、最終濃度50μg/mLで24時間処理した。陰性対照として、本発明者らは、TREM2のC末端に結合し且つそのためにエクトドメインシェディングを妨害しないモノクローナル抗体を含んだ。陽性対照として、本発明者らは、切断を強力に阻害することがわかっているADAM10インヒビターGI254023Xを含んだ(Kleinbergerら, 2014)。順化培地を収集し、異なる抗体クローンのエクトドメイン切断に及ぼす影響を調べるために、免疫ブロッティングに供した(図7A)。
図7Aの上側ブロットに示されるsTREM2レベルは、選択された抗体クローンは、エクトドメイン切断の程度を強力に低下することを明確に示している。これは、クローン14D3及び14D8について特に明白である(ボックスで強調した)。予測され且つ下側ブロットにおいて示されたように、エクトドメイン切断の阻害は、膜画分中の成熟TREM2のレベルの対応する増加に繋がり、これは、クローン14D3及び14D8について、ADAM10インヒビターGI254023Xにより認められる増加よりも高くはなく、同等である。
ウェスタンブロットは、ほとんどの抗体の作用について代表的である、単独の実験の結果のみを示す。各抗体のより堅固な作用を測定するために、本発明者らは次に、先に確立されたsTREM2 ELISAを用いる(Kleinbergerら, 2014)、sTREM2レベルの定量に移った。図7Bは、2つの独立した実験から得られた、未熟TREM2レベルに規準化されたELISAデータを示す。本発明者らの免疫ブロットの知見と一致して(図7A)、本発明者らは、抗体クローン14D3及び14D8を使用し、sTREM2の減少したレベルを確定した。注目すべきは、クローン14D3は、約70%だけシェディングを減少したのに対し、ADAM10インヒビターGI254023Xによる処理は、約60%だけシェディングを減少した。いくつかの残りの抗体クローン(7A12、10C3、15C5、18F9、及び21A3)に関して、本発明者らは、sTREM2レベルの減少に向かうわずかな傾向を認めたが、クローン14D3及び14D8と比べて、余り顕著ではなかった。予想されたように、陰性対照(ヒトTREM2のC末端を検出する対照抗体)中のsTREM2レベルは、未処理細胞の上清と同じ桁であった。
本発明者らはまた、免疫ブロッティングから成熟TREM2のレベルを定量的に分析した。図7Cは、2つの独立した実験から得られた、未熟TREM2レベルに規準化された膜画分中の成熟TREM2のレベルを示す。本発明者らは、sTREM2の減少と良好に一致するような(図7B)、抗体クローン14D3及び14D8に関する膜画分中の成熟TREM2のレベルの増加を確定した。より詳細には、示されたsTREM2において最も強力な減少を示したクローン14D3は、膜画分中の成熟TREM2において最強の増加を示した。更に、膜画分中のTREM2の増加したレベルが、クローン7A12、8A11、及び10C3について、追加的に検出された。予想されたように、試験した全ての条件下でのGI処理は、成熟TREM2の増大したレベルを生じた。
まとめると、エクトドメインシェディングは、エクトドメイン切断部位に対して方向付けられた本明細書に提供される抗体クローンを用いて、阻害することができると結論づけることができる。特に、クローン14D3は、sTREM2の約70%までの減少を生じるのに対し、成熟TREM2の増加レベルは最大5倍である。クローン14D8は、クローン14D3と比較すると、同様の結果を生じるが、これは14D3もより穏やかであった。
本発明は、以下のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列について言及する:
配列番号:1:ヒトTREM2、膜結合型
>sp|Q9NZC2-1|TREM2_HUMANミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2、OS=ホモ・サピエンス、GN=TREM2、PE=1、SV=1
MEPLRLLILLFVTELSGAHNTTVFQGVAGQSLQVSCPYDSMKHWGRRKAWCRQLGEKGPCQRVVSTHNLWLLSFLRRWNGSTAITDDTLGGTLTITLRNLQPHDAGLYQCQSLHGSEADTLRKVLVEVLADPLDHRDAGDLWFPGESESFEDAHVEHSISRSLLEGEIPFPPTSILLLLACIFLIKILAASALWAAAWHGQKPGTHPPSELDCGHDPGYQLQTLPGLRDT
配列番号:2:ヒトTREM2、選択的スプライシングバリアント(分泌型TREM2)
ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2の>sp|Q9NZC2-2|TREM2_HUMANアイソフォーム2、OS=ホモ・サピエンス、GN=TREM2
MEPLRLLILLFVTELSGAHNTTVFQGVAGQSLQVSCPYDSMKHWGRRKAWCRQLGEKGPCQRVVSTHNLWLLSFLRRWNGSTAITDDTLGGTLTITLRNLQPHDAGLYQCQSLHGSEADTLRKVLVEVLADPLDHRDAGDLWFPGESESFEDAHVEHSISRAERHVKEDDGRKSPGEVPPGTSPACILATWPPGLLVLLWQETTLPEHCFSWTLEAGTG
配列番号:3:ヒトTREM2、選択的スプライシングバリアント(分泌型TREM2)
ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2の>sp|Q9NZC2-3|TREM2_HUMANアイソフォーム3、OS=ホモ・サピエンス、GN=TREM2
MEPLRLLILLFVTELSGAHNTTVFQGVAGQSLQVSCPYDSMKHWGRRKAWCRQLGEKGPCQRVVSTHNLWLLSFLRRWNGSTAITDDTLGGTLTITLRNLQPHDAGLYQCQSLHGSEADTLRKVLVEVLADPLDHRDAGDLWFPGESESFEDAHVEHSISRPSQGSHLPSCLSKEPLGRRNPLPTHFHPSPPGLHLSHQDSSSQRPLGCSLAWTEARDTSTQ
配列番号:4:マウスTREM2、膜結合型
>sp|Q99NH8|TREM2_MOUSEミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2、OS=マス・マスキュラス、GN=Trem2、PE=1、SV=1
MGPLHQFLLLLITALSQALNTTVLQGMAGQSLRVSCTYDALKHWGRRKAWCRQLGEEGPCQRVVSTHGVWLLAFLKKRNGSTVIADDTLAGTVTITLKNLQAGDAGLYQCQSLRGREAEVLQKVLVEVLEDPLDDQDAGDLWVPEESSSFEGAQVEHSTSRNQETSFPPTSILLLLACVLLSKFLAASILWAVARGRQKPGTPVVRGLDCGQDAGHQLQILTGPGGT
配列番号:5:マウスTREM2、選択的スプライシングバリアント(分泌型TREM2)
ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2の>sp|Q99NH8-2|TREM2_MOUSEアイソフォーム2、OS=マス・マスキュラス、GN=Trem2、
MGPLHQFLLLLITALSQALNTTVLQGMAGQSLRVSCTYDALKHWGRRKAWCRQLGEEGPCQRVVSTHGVWLLAFLKKRNGSTVIADDTLAGTVTITLKNLQAGDAGLYQCQSLRGREAEVLQKVLVEVLEDPLDDQDAGDLWVPEESSSFEGAQVEHSTSRQVSSCGSPLAYHLPPLSKESRDLLPTHLHSSPPGLRSPEQVSCSQHPLGCGQGQAEAGNTCGQRAGLWPRCWAPTSDPHWTRRYVREF
配列番号:6:ラットTREM2
>tr|D3ZZ89|D3ZZ89_RATタンパク質Trem2、OS=ラッタス・ノルビジカス、GN=Trem2、PE=4、SV=1
MEPLHVFVLLLVTELSQALNTTVLQGVAGQSLRVSCTYDALRHWGRRKAWCRQLAEEGPCQRVVSTHGVWLLAFLRKQNGSTVITDDTLAGTVTITLRNLQAGDAGLYQCQSLRGREAEVLQKVVVEVLEDPLDDQDAGDLWVPEESESFEGAQVEHSTSSQVSSCGSPLTYHLPPKEPIRKDLLPTHFHSSPPGLCPPEQASYSQHPLGCGQGQAEAGDTCGQWARL
配列番号:7:ヒトTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
AHVEHSISRS
配列番号:8:ヒトTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
EDAHVEH
配列番号:9:ヒトTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
SISRSL
配列番号:10:マウスTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
AQVEHSTSRN
配列番号:11:マウスTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
EGAQVEH
配列番号:12:マウスTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
STSRNQ
配列番号:13:ラットTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
AQVEHSTSSQ
配列番号:14:ラットTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
EGAQVEH
配列番号:15:ラットTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
STSSQV
配列番号:16:ADAM10の最小切断部位が推定され得るヒトTREM2内のアミノ酸部分配列
GESESFEDAHVEHSISRSLLEGEIPFPPTS
配列番号:17:ヒトTREM2のエクトドメイン
MEPLRLLILLFVTELSGAHNTTVFQGVAGQSLQVSCPYDSMKHWGRRKAWCRQLGEKGPCQRVVSTHNLWLLSFLRRWNGSTAITDDTLGGTLTITLRNLQPHDAGLYQCQSLHGSEADTLRKVLVEVLADPLDHRDAGDLWFPGESESFEDAHVEHSISRSLLEGEIPFPPTS
配列番号:18:マウスTREM2のエクトドメイン
MGPLHQFLLLLITALSQALNTTVLQGMAGQSLRVSCTYDALKHWGRRKAWCRQLGEEGPCQRVVSTHGVWLLAFLKKRNGSTVIADDTLAGTVTITLKNLQAGDAGLYQCQSLRGREAEVLQKVLVEVLEDPLDDQDAGDLWVPEESSSFEGAQVEHSTSRNQETSFPPTS
配列番号:19:ヒトTREM2の細胞内ドメイン
AAWHGQKPGTHPPSELDCGHDPGYQLQTLPGLRDT
配列番号:20:マウスTREM2の細胞内ドメイン
VARGRQKPGTPVVRGLDCGQDAGHQLQILTGPGGT
配列番号:21:ヒトTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
GESESFEDAHV
配列番号:22:マウスTREM2に対する抗体作製のための免疫化に使用されたペプチド
EHSTSRNQETSFP
更なる配列を、図9に示している。

Claims (15)

  1. ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)のエクトドメイン内の結合部位を有する結合分子であって、ここで該結合分子が、TREM2切断を阻害する、結合分子。
  2. 前記結合部位が、以下からなる群から選択される、ヒト膜結合型TREM2の少なくとも1つの位置を含む、請求項1記載の結合分子:
    157位のヒスチジン(His157);
    148位のグルタミン酸(Glu148);
    149位のセリン(Ser149);
    150位のフェニルアラニン(Phe150);
    151位のグルタミン酸(Glu151);
    152位のアスパラギン酸(Asp152);
    153位のアラニン(Ala153);
    154位のヒスチジン(His154);
    155位のバリン(Val155);
    156位のグルタミン酸(Glu156);
    158位のセリン(Ser158);
    159位のイソロイシン(Ile159);
    160位のセリン(Ser160);
    161位のアルギニン(Arg161);
    162位のセリン(Ser162);
    163位のロイシン(Leu163);
    164位のロイシン(Leu164);
    165位のグルタミン酸(Glu165);及び
    166位のグリシン(Gly166)。
  3. 前記結合部位が、配列番号:7−15、21及び22のいずれか一つに示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドのいずれか一つを含む又はこれと重複している、請求項1又は2記載の結合分子。
  4. 前記結合分子が、切断酵素のTREM2へのアクセスを阻害することにより、TREM2切断を阻害し、ここでこの切断酵素が、ADAM10、ADAM17、又はマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)である、請求項1〜3のいずれか一項記載の結合分子。
  5. 前記結合分子が、ミクログリア細胞の活性及び/又は他のTREM2発現細胞の活性を保持及び/又は刺激する、請求項1〜4のいずれか一項記載の結合分子。
  6. 前記ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の活性が、貪食活性、遊走、カルシウムシグナル伝達、Syk活性化、増殖、炎症性サイトカイン産生及び/又は生存の調節である、請求項5記載の結合分子。
  7. 前記結合分子が:
    (i)抗体が、モノクローナル抗体であってよく;及び/又は、抗体は、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ハムスター抗体、ヤギ抗体、モルモット抗体、フェレット抗体、ニワトリ抗体、ヒツジ抗体、もしくはサル抗体、キメラ抗体、及び二重特異性抗体からなる群から選択される抗体であってよい:抗体;
    (ii)抗体断片が、ナノボディ、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、もしくは単離された相補性決定領域(CDR);及び/又は、ヒト化抗体断片、完全ヒト抗体断片、マウス抗体断片、ラット抗体断片、ウサギ抗体断片、ハムスター抗体断片、ヤギ抗体断片、モルモット抗体断片、フェレット抗体断片、ニワトリ抗体断片、ヒツジ抗体断片、及びサル抗体断片からなる群から選択される抗体断片であってよい:抗体断片;或いは
    (iii)小型分子:である、請求項1〜6のいずれか一項記載の結合分子。
  8. 前記抗体が:
    (1)重鎖可変領域が、配列番号:32の配列を含み、及び軽鎖可変領域が、配列番号:42の配列を含み;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体;
    (2)重鎖可変領域が、配列番号:32と少なくとも85%同一性を有する配列を含み、及び軽鎖可変領域が、配列番号:42と少なくとも85%同一性を有する配列を含み;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体;
    (3)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:52のアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:62のアミノ酸配列を含み;及び、重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:72のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:82のアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:92のアミノ酸配列を含み;及び、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:102のアミノ酸配列を含み;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体;或いは
    (4)重鎖可変領域のCDR1が、配列番号:52と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR2が、配列番号:62と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;重鎖可変領域のCDR3が、配列番号:72と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR1が、配列番号:82と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域のCDR2が、配列番号:92と少なくとも60%同一性を有するアミノ酸配列を含み;及び、軽鎖可変領域のCDR3が、配列番号:102と少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を含み;並びに、ここで抗体が、TREM2切断を阻害する;抗体:のいずれか一つである、請求項7記載の結合分子。
  9. 前記TREM2が、
    (i)配列番号:1−6のいずれか一つのアミノ酸配列;又は
    (ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列:を含むか又はこれらからなるポリペプチドであり、ここでこのポリペプチドが、ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の適切な貪食、遊走、及び/又は生存を促進する活性を有するものである、請求項1〜8のいずれか一項記載の結合分子。
  10. 前記TREM2のエクトドメインが、
    (i)配列番号:17又は18のアミノ酸配列;もしくは、
    (ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列:を含むか又はこれらからなるポリペプチドであって、ここでTREM2の細胞内ドメインと一緒にされた場合、このポリペプチドが、ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の適切な貪食、遊走、及び/又は生存を促進する活性を有するものである、請求項1〜9のいずれか一項記載の結合分子。
  11. 前記TREM2の細胞内ドメインが、
    (i)配列番号:19又は20のアミノ酸配列;もしくは、
    (ii)(i)のアミノ酸配列と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列:を含むか又はこれらからなるポリペプチドであって、ここでTREM2のエクトドメインと一緒にされた場合、このポリペプチドが、ミクログリア細胞及び/又は他のTREM2発現細胞の適切な貪食、遊走、及び/又は生存を促進する活性を有するものである、請求項10記載の結合分子。
  12. 神経障害の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1〜11のいずれか一項記載の結合分子。
  13. 神経障害の治療及び/又は予防に使用するための医薬組成物であって、ここでこの医薬組成物が:
    (i)請求項1〜11のいずれか一項記載の結合分子;及び
    (ii)任意に医薬として許容し得る担体:を含有する、医薬組成物。
  14. 前記神経障害が、神経変性障害である、請求項12記載の使用のための結合分子、請求項13記載の使用のための医薬組成物。
  15. 前記神経変性障害が、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、FTLD−様症候群、パーキンソン病、那須ハコラ病、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病、免疫−媒介型神経障害、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項14記載の使用のための結合分子、請求項14記載の使用のための医薬組成物。
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