本発明の課題は、簡単な顕微鏡を用いて試料の迅速な検査を実施することが可能な、顕微鏡によって試料をデジタルで撮影するための方法を提供することである。
上述した課題は、本発明によれば、冒頭に述べた形式の方法において、試料の観察区域を選択し、顕微鏡対物レンズを観察区域にわたって走査経路において移動させ、まず始めに、観察区域をカバーする、相互にずらされた画像のシーケンスをデジタルで撮影して、当該画像のシーケンスを表示し、次いで、走査経路を、選択された観察区域の外側において画像のシーケンスによって継続する、方法によって解決される。
本発明は、医師−またはより一般的には操作者−が、観察区域をシフトさせる前に、観察区域内の試料を検査するために状況によってはしばらく時間を必要とするという考察に基づいている。この時間を、選択された観察区域の外側においても1つの画像から次の画像へと試料を撮影するために利用することが可能である。操作者が他の観察区域を選択すると、この観察区域は、状況によっては少なくとも部分的に既に撮影されており、したがって、この観察区域を時間遅延なく画面上に表示することが可能である。これによって、1つの顕微鏡対物レンズしか用いなくても試料を比較的迅速に検査することが可能となる。
本発明によれば、試料の観察区域が選択される。観察区域とは、ある所定の領域であって、この領域の内側において、画像が撮影された後に、相互にずらされた1つまたは複数の試料画像が操作者に表示される領域とすることができる。観察区域は、好都合には試料よりも小さい。
試料は、デジタル顕微鏡の試料収容体に挿入されるユニットとすることができる。試料は、検査領域および支持体領域を有することができる。検査領域とは、好都合には顕微鏡による検査のために設けられている領域であり、例えば検査されるべき生物学的材料を配置することができる領域である。検査領域は、カバーガラスによって被覆されている領域とすることができる。支持体領域は、通常、試料領域の外側に位置しており、コード領域を含むことができ、このコード領域には、試料の名称、試料の種類、検査の種類、試料の出所、組織の種類、および/または他の情報のような、特に試料に関する機械可読情報が設けられている。
観察区域は、好都合には試料領域内に位置している。観察区域の選択は、自動または手動で実施することができる。自動的な選択の場合には、観察区域を所定のアルゴリズムによって例えば試料表面、試料輪郭、および/または試料形状に基づいて自動的に選択することができ、これらの試料表面、試料輪郭、および/または試料形状から、アルゴリズムに従って1つの部分領域が観察区域として選択される。好都合には、自動的な選択の場合には、試料上の機械可読情報に依存して、例えば試料の支持体領域上のバーコードに依存して観察区域が選択される。観察区域を抽象的な操作者情報を使用して自動的に選択することも可能である。この場合、抽象的な操作者情報とは、観察区域を直接的には画定しない情報、すなわち座標等を含んでいない情報とすることができる。アルゴリズムは、抽象的な操作者情報に観察区域を対応付ける指示を含む。抽象的な操作者情報は、例えば検査方法であり、この場合、観察区域は、検査方法に依存して直接的にその位置または外観に関して事前に規定されている。
観察区域を試料パラメータに基づいて自動的に選択することも可能である。試料パラメータが組織の種類を規定している場合には、そのような組織の位置を、自動的な組織識別によって特定することができる。その場合、観察区域は、試料表面のうちの組織が存在している部分領域とすることができる。
操作者によって観察区域を手動で選択する場合には、試料領域または試料全体の概観画像を操作者のために表示媒体上に表示すると有利である。以下では、試料領域は、顕微鏡対物レンズによる撮影のために設けられている表面のみを意味している場合であっても、簡略化して試料とも呼ばれる。
概観画像を作成するために、試料を1つまたは複数の画像において撮影することができる。複数の画像を合成して概観画像を作成することができる。概観画像の迅速な作成を達成するために、概観画像の撮影を、m≦1の倍率を有する第1の対物レンズによって実施すると有利である。m>1、例えばm=1.25も可能である。ここで、操作者は、表示されている概観画像から、例えばマウスを移動させるか、またはタッチスクリーンにタッチすることによって観察区域の位置、特に観察区域の寸法を指定することにより、観察区域を選択することができる。
観察区域の選択後、少なくとも部分的に観察区域内に位置する走査経路を決定することができる。有利には、走査経路の始点は、観察区域内に位置する。走査経路は、試料における観察区域の位置に依存して決定される。次いで、好都合には走査経路が決定された後に、対物レンズが、この観察区域にわたって走査経路において移動される。なお、移動とは、どの要素が絶対的に見て静止しているかに関係なく、試料に対する相対的な移動である。対物レンズは、好都合には顕微鏡対物レンズであり、すなわちm>1、特にm≧5を有する対物レンズである。顕微鏡対物レンズは、好都合には−第1の対物レンズが存在する場合には−第1の対物レンズよりも大きな倍率を有する。
好都合には、本発明による方法を実施するためのデジタル顕微鏡は、ただ1つの顕微鏡対物レンズのみ、すなわちm>1を有する拡大対物レンズのみを有する。顕微鏡対物レンズが事前に設定された固定の倍率を有する場合には、コスト的に有利である。
顕微鏡対物レンズによって撮影された画像を操作者に表示することができ、操作者は、概観画像を用いて可能となる解像度よりも高い解像度で観察区域内の試料を観察することができる。
観察区域を移動または変更しなくても、走査経路を、選択された観察区域の外側において画像のシーケンスによって継続することができる。撮影に関しては、種々のやり方で進めることができる。
最も簡単なやり方では、操作者が、継続された走査経路の上に区域をシフトさせないうちは、操作者に画像が表示されない。継続された走査経路の上に観察区域がシフトされて初めて、この継続された走査経路の、観察区域内に位置する画像が表示されるようになる。
より快適な変形形態では、走査経路の、現在の観察区域の外側に位置する撮影された画像の位置が操作者に表示される。例えば表示媒体は、例えば試料のフレームとしてのみ、試料全体が表示される領域を有するか、または試料の比較的小さな範囲であるが、観察区域よりも大きい範囲が表示される領域を有する。それぞれの撮影された画像を、試料上におけるそれぞれの画像の位置に従って点または面として表示することができる。操作者は、試料のうちのどの領域が既に顕微鏡対物レンズによって撮影されているのかを認識することができる。操作者が選択すると、既に撮影された画像を含んでいるこのような領域へと観察区域をシフトさせることができる。
別の1つの可能性は、新しく撮影された画像を、例えば観察区域の表示フィールドの隣に画像として表示することである。それぞれの画像は、後続の画像によってカバーされるので、観察区域の外側に位置する画像は、短時間しか表示されない。しかしながら、関心のある画像をそのようなものとして識別する機会を操作者に提供するためにはこれで十分であろう。その場合、操作者は、観察区域をこのような画像の上に狙いを定めてシフトさせることができる。
観察区域内に位置する1つまたは複数の画像は、好都合には画像自体よりも低い解像度を有するように画面上に表示される。すなわち、撮影は、観察者によって要求されるよりも、および/または観察者に対して画面上に表示されるよりも高い光学解像度で実施される。もちろん、表示の解像度が画像の解像度に達するまで表示の詳細度を増加させること、すなわち試料の表示においてズームインすることがさらに可能である。
画面上の試料の観察区域が複数の画像を含む場合には、これらの画像が合成されて、観察区域を完全に充填する1つの全体画像が形成される。この合成された画像の全体または一部を操作者に表示することができる。観察区域は、好都合には表示ユニット上に表示される。以下では簡略化して画面と呼ばれるが、これによって本発明の限定につながることはない。
画面上での観察区域の表示を、試料の観察区域の場所で撮影された1つまたは複数の試料の画像から合成することができる。表示中、顕微鏡対物レンズの視野を、観察区域の外側においてさらなる画像を撮影するために試料にわたって移行させ続けることができ、したがって、表示時点における観察区域は、試料上の顕微鏡対物レンズの視野と一致する必要はない。
したがって、観察区域の表示は、基本的にはライブ表示ではなく、1つまたは複数の保存された画像を使用している。それにもかかわらず、画面上での画像の表示をリアルタイムで、すなわち撮影直後に実施することができる。したがって、試料全体が画像によってカバーされ、これらの画像がその後−1つの全体画像へと合成されて−表示されるまで、待機しなくてよくなる。すなわち、観察区域内で試料が撮影されると、好都合には表示がリアルタイムで実施され、したがって、ある画像が最初に表示された瞬間に、この画像のライブ表示が実施される。しかしながら、顕微鏡対物レンズの視野が移行し続け、後続の画像が作成される間、この画像が画面上に保持される。その場合、前もって撮影された画像は、もはやライブ表示ではなくなり、これを表示するためには不揮発性メモリが使用される。
走査経路、すなわち試料にわたる顕微鏡対物レンズの移動、ひいては試料の画像のシーケンスの位置は、好都合には保存されたアルゴリズムによって規定され、アルゴリズムが取り入れる1つまたは複数のパラメータに依存し得る。試料にわたる走査経路のコースに対して影響を与えることができる多数のパラメータ、特に試料パラメータ、撮影パラメータ、および環境パラメータが存在する。この場合、試料パラメータは、主として初期の走査経路、すなわち顕微鏡対物レンズが最初に走行する経路を決定する。撮影パラメータおよび環境パラメータは、主として既に部分的に進行された走査経路の変更に関連する。
初期の走査経路の計算時に試料パラメータを考慮すると、企図された検査に関して効率的な試料の撮影を達成することができ、これによって試料の迅速な検査が可能となる。この限りにおいて、上述した課題は、本発明によれば、顕微鏡によって試料をデジタルで撮影するための方法において、試料パラメータが決定され、試料パラメータの関数として走査経路が決定され、試料にわたって走査経路に沿って顕微鏡対物レンズが移動される、方法によっても解決される。
試料パラメータを、試料の種類によって決定することができ、すなわち、試料の外形によって、例えばマイクロアレイまたは大面積のスライドである試料支持体上における1つまたは複数の試料領域の配置によって、および/またはz方向に上下に重なり合った走査層の数を決定する試料の厚さによって決定することができる。試料パラメータを、試料中の組織の種類によっても決定することができ、すなわち試料を検査する際に依拠すべき検査方法によって、試料が由来する患者IDまたは患者クラスによって、試料に関する病理学的情報によって、試料の色によって、および/または画像化光路における加法的とすることができる色設定、すなわち有色照明、または減法的にはカラーフィルタの形態の色設定によっても決定することができる。
走査プロセスの経過中に1つまたは複数のパラメータが変更されると、この変更は、有利には変更された直後に、すなわちリアルタイムでアルゴリズムによって処理され、好都合にはこの変更に依存して走査経路が変更または再計算されるように処理される。このことは、顕微鏡対物レンズが古い走査経路に沿って移動している間に既に実施することができる。古い経路は中断され、新しい経路によって継続される。
パラメータ変更に応じて経路を変更することにより、試料の検査を格段に加速させることができる。この限りにおいて、上述した課題は、顕微鏡によって試料をデジタルで撮影する方法において、顕微鏡対物レンズを移動させるための走査経路が決定され、試料にわたって走査経路に沿って顕微鏡対物レンズが移動される、方法によっても解決される。
本発明によれば、既に、試料にわたって走査経路に沿って顕微鏡対物レンズが移動されている間にパラメータが変更され、この変更に依存して走査経路が少なくとも部分的に新たに決定され、これによって走査経路が変更され、古い走査経路に沿った顕微鏡対物レンズの移動が中断され、新しい走査経路に沿って継続される、ようにすることが提案される。走査プロセスを、操作者の事前の指定に直接的に適合させることができ、これによって試料の検査が迅速に可能となる。
好都合には既存の走査経路の変更をもたらすパラメータは、例えば撮影パラメータである。撮影パラメータが変更されると、その限りにおいて好都合には走査経路が中断され、新しい走査経路に移行される。撮影パラメータは、操作者入力によって変更することができる。撮影パラメータの変更は、試料にわたる観察区域のシフトによって実施することができ、すなわち、画面上での試料の表示の詳細度の変更、つまり、試料を観察する際のズームレベルの変更、試料における焦点深度の変更、フィルタリングまたは照明を介した色の変更、および/または個々の画像の露光時間の変更によって実施することができる。
同様にして、操作者の無行動が既存の走査経路の変更をもたらすと、好都合である。所定の長さの期間にわたって操作者入力が実施されない場合にも、走査経路を変更することができ、例えば走査雑音を低減するために、方向転換のない比較的長い直線となるように走査経路を案内することができる。同様に有利には、走査を緩慢にすることができる。
環境パラメータが変更された場合にも、走査経路を変更することが有利であろう。例えばデジタル顕微鏡が載置された机に人がぶつかったことによって、デジタル顕微鏡が例えば限界値を上回る加速度を受けた場合には、加速中に撮影された画像が誤差を有している可能性がある。したがって、この走査を中断することができ、加速度が再び限界値を下回ると、該当する画像が改めて撮影される。このためにデジタル顕微鏡は、好都合には加速度センサを含み、この加速度センサは、走査プロセスを制御するための制御ユニットに信号技術的に接続されている。
材料の膨張によって試料における焦点が移行する可能性があるので、限界値を上回る温度変化、特に時間当たりの限界値を上回る温度変化も、高品質の画像にとって重要であろう。したがって、温度変化が限界値を上回った場合に走査経路が変更されると有利であり、例えば、新しい自動焦点処理が実施され、次いで、新しい自動焦点平面上に走査経路が再配置されると有利である。温度は、顕微鏡対物レンズの温度または付近の温度、もしくはデジタル顕微鏡の内部または上に設けられた別の構成要素の温度または付近の温度とすることができる。
同様にして走査経路にとって重要なのは、1つまたは複数の画像の撮影結果である。このために、走査中にコントラスト分析を実施することができる。焦点があまりにも不正確であるという十分な証拠を、コントラストが提供した場合には、自動焦点処理を実施し、その結果に応じて走査経路を新しい自動焦点平面上に再配置することができる。このために、例えばまず始めに現在の走査平面とは異なる走査平面においてテスト画像が撮影され、そのテスト画像のコントラストが評価される。その結果に応じて、新しいテスト画像が作成されるか、またはテスト画像が位置している平面に走査経路が再配置される。
一般に、走査プロセスの間に、すなわち現在の走査経路が進行している間に、自動焦点処理が実施されると有利であろう。このために、1つまたは複数の自動焦点のx座標およびy座標を決定することができ、その後、走査中に顕微鏡対物レンズがこのx座標およびy座標に到達される。その後、自動焦点が実施される。結果に応じて自動焦点平面が、すなわち自動焦点処理の結果として走査中に焦点が位置している平面が、再配置される。走査経路を初めにまたは後から、自動焦点に迅速に到達されるように配置することも有利であり、これによって動焦点平面の計算をできるだけ早期に開始することが可能となる。
走査経路に影響を与える撮影パラメータは、例えば試料上における観察区域の位置である。観察区域が試料を部分的にのみカバーする場合、すなわち試料の縁部を越えている場合には、走査経路は、好都合には試料と観察区域とが重なっている領域のみに限定される。試料の表面は、好都合には顕微鏡領域の表面であり、すなわち組織を含むことができる領域である。試料が載置されているガラスプレートのような試料支持体は、これを越えることができる。
操作者によって観察区域が選択されると、この観察区域が、撮影された画像によって部分的または完全にカバーされる。選択された観察区域の寸法によっては、この観察区域を既にただ1つの画像によって完全にカバーすることができる。しかしながら基本的に、観察区域は、基本的に1つの画像によって部分的にしかカバーされないので、観察区域全体は、相互に隣り合って位置する複数の画像から合成されている。複数の画像は、相互にずらされており、かつ相互に部分的に重なり合うことができ、これによって、複数の画像を1つのより大きな全体画像にするスティッチング処理、すなわち、相互に隣り合って位置する複数の画像の、重なり合っている領域における画像内容の比較に基づいた自動的な合成が容易になる。例えば複数の画像が、それぞれ異なる焦点平面において上下に重なり合っている場合、すなわちz方向に相互にずらされている場合には、複数の画像を垂直方向、すなわちz方向においてもずらすことができる。
画像は、顕微鏡対物レンズの観察フィールドを試料に対して相対的に移動させ、この移動によってずらされた観察フィールドの位置において試料を画像化することによって形成される。露光時間に応じて、撮影時点に顕微鏡対物レンズを静止させることができるか、または特に露光時間が非常に短い場合には、画像中に邪魔なスミアを引き起こすことなく連続的に移動させ続けることができる。試料に対して相対的な顕微鏡対物レンズの移動、ひいては画像の位置の選択も、アルゴリズムによって、好都合には試料における選択された観察区域の寸法に依存して制御される。
観察区域は、画面上に表示され、このようにしてデジタル顕微鏡の操作者によって試料を観察することが可能となる。観察区域の外側に位置する画像の表示は、観察区域がこれらの既に撮影された画像へとシフトされるまで、好都合にはこの時点では実施されない。観察区域が、試料のうちのまだ全くまたは部分的に撮影されていない領域にシフトされると、この観察区域の領域のうちのまだ撮影されていない部分が、シフトされた直後に、または既にまだシフトされている間に撮影される。走査経路のコースは、その限りにおいて観察区域の移動に依存している。
方法の開始時には、操作者が、例えば試料の前もって撮影された概観画像から観察区域を規定することができるか、またはアルゴリズムが、例えば試料の種類に応じて観察区域を規定する。
本発明の有利な実施形態では、まず始めに、試料の試料領域全体または試料フィールド全体が画像化されている、試料の概観画像が作成される。この概観画像に基づいて操作者は、自分が最初に観察したい観察区域を選択することができる。このことは、例えば試料の概観画像において操作者がマーキング手段、例えばマウスを用いて関心のある領域をマーキングすることによって実施される。マーキングは、試料の概観画像におけるウィンドウの作成、または点のマーキングによって実施することができる。ここで、観察区域を、例えばマーキングされたウィンドウの寸法で、または事前に設定された寸法で、特にマーキングされた点を中心として対称に、マーキングの地点または付近に配置することができる。
観察区域の寸法は、好都合には操作者によって選択することができ、例えば、幾何学的寸法を決定することによって、例えば画面上における試料の領域をマーキングすることによって、または詳細度またはシミュレートされた光学倍率を規定することによって選択することができる。領域または領域の寸法を選択する際には、画面上の観察区域の寸法を選択された倍率に依存させることができる。
好都合には、観察区域の寸法は、顕微鏡対物レンズによって事前に指定された、単一の画像の寸法よりも大きく、したがって観察区域は、複数の画像によってカバーされる。ここで、走査経路は、観察区域が走査されて1つの画像から次の画像へと合成されるように選択される。
操作者が概観画像に基づいて関心のある領域を発見し、この領域をマーキングによって選択する間の時間を、有利には、観察区域が選択される前に既に始めから走査経路を規定し、1つの画像から次の画像へと走破することによって利用することが可能となる。これによって、その後に選択された観察区域を、既に新しい画像を作成することなく表示媒体上に部分的または完全に表示することが可能となり、これによってこの観察区域の表示が加速されるという可能性が存在する。
走査経路は、選択された観察区域内において、有利には観察区域の中央から外側に向かって、特に螺旋状に案内されるように配置される。したがって、最初の画像は、観察区域の中央をカバーし、後続の画像は、最初の画像の周りを取り囲むように配置される。操作者にとって関心のある観察ウィンドウは、画像的な内容によって内側から外側に向かって充填される。非常に静かで高速な変形形態は、メアンダ状の走査経路であり、このメアンダ状の走査経路は、画像シーケンスが高速である場合、すなわち例えば露光時間が短い場合に適している。同様に有利には、走査経路は、観察ウィンドウの移動に依存している。観察ウィンドウがある1つの方向にシフトされた場合には、新しい観察ウィンドウをこの方向に充填することが最も人間工学的である。
観察ウィンドウが例えば右にシフトされた場合には、走査経路は、観察ウィンドウを垂直方向でメアンダ状に右へと充填することができる。
さらに、観察区域の外側における走査経路が、観察区域を中心として螺旋状に外側に向かって拡大するように継続されると有利である。観察区域をシフトさせると、このシフトされた観察区域には、既に撮影された画像が含まれているので、この画像を迅速に表示することが可能である。
しかしながら、ここでも、例えば試料パラメータまたは試料における組織の位置に依存して、他のパターンも有利であろう。また、個別画像、または複数回中断された走査経路、すなわち相互に離間された画像、または相互につながっていない経路部分も有利である。例えば試料は、複数の個別画像によって走査され、すなわちそれぞれ画像を有さない領域によって完全に取り囲まれている画像または経路部分によって走査される。これによって、例えば組織を発見するために、比較的大きな表面を箇条書き状に走査することが可能となる。ある1つの画像において組織が発見された場合には、それ以後の画像をこの「発見された」画像につなげることができ、これによってこの組織領域を画像化し続けることができる。例えば概観画像から既に優位領域が特定されている場合には、走査経路は、1つの優位領域から次の優位領域へとジャンプすることができる。優位領域は、検査されるべき組織または検査されるべき他の物質を有する領域とすることができる。
シフトされた観察区域に関して既に部分的に保存された画像が存在する場合には、顕微鏡対物レンズによって有利にはまず始めに、特に専ら、観察区域のうちのまだ画像化されていない領域が撮影される。走査経路は、それぞれ例えば観察区域の中央から観察区域の縁部に向かう方向に移動する。
観察区域の内側における走査経路の場合には、まだ−部分的に−走査されていない観察区域において、観察区域全体をできるだけ高速に走査するために経路が最適化されると有利である。これに対して、観察区域の外側における走査経路の場合には、走査速度を増加させること、すなわち、観察区域の内側における走査経路の場合よりも時間当たりの画像数をより多くすることが有利である。このことは、基本的には長い直線の走査線によって達成される。一般的に言えば、走査経路のコースは、例えば現在の観察区域の周囲の領域における高速な走査と、高いスキャンレートとの間の妥協であり得る。
操作者によって試料を検査する際に、操作者がパラメータを変更する可能性がある。このようなパラメータ変更の一例は、倍率係数の変更である。概観画像が存在する場合には、選択される観察区域は、概観画像の画像領域内に位置しており、観察区域には、概観画像よりも高い倍率が割り当てられている。観察区域の領域において試料を概観画像の解像度で表示することは可能であるが、これは操作者によって所望される解像度ではないので、この概観画像は、非現在の画像である。
別のパラメータ変更は、焦点平面が変更される場合である。複数の異なる画像平面が、z方向に上下に重なり合って位置している。
さらに別のパラメータ変更は、例えば蛍光顕微鏡検査において画像のスペクトル範囲が変更される場合である。その場合、ある1つの画像平面が、別の画像平面とは異なる画像スペクトル範囲を有する。
同様にして、画像の露光時間またはカラーチャネル選択が変更されるようなパラメータ変更も可能である。例えば時間を節約するために、例えばデジタルでの画像輝度増加を使用して、画像のシーケンスが比較的短い露光時間で撮影された場合であって、ここで、同じ場所でより長い露光時間で画像を撮影しようとした場合には、前もって撮影された画像は画質に関して現在ではないので、このこともまた、パラメータ変更である。
走査経路の変更は、以下では画像平面の切り替えとして説明され、この画像平面の切り替えにおいては、非現在の古い走査経路の画像が、現在の走査経路の新しい画像とは異なる画像平面に位置している。この場合、画像平面は、それぞれのパラメータが1つの次元を占めている多次元パラメータ空間における場所または領域と呼ぶことができる。パラメータ、または厳密に言えばパラメータ値が変更されると、パラメータ空間における画像平面がシフトする。
パラメータ変更の種類に応じて、観察区域の内側または外側における走査経路を、非現在の画像平面の既に撮影された画像に依存してまたは関係なく、案内することができる。例えば試料における焦点深度が変更された場合には、不鮮明な非現在の画像を新しい鮮明な画像に置き換えることが賢明であろう。その場合、新しい画像平面を、他の画像平面とは別個に関係なく撮影することができる。しかしながら、この場合には、観察区域の現在の画像と非現在の画像とが相互に隣り合って表示されるように、他の画像平面の画像も一緒に表示することができる。これによって操作者は、試料上でまたは試料の観察区域内で、より迅速に情報を得ることができる。
この限りにおいて、観察区域内の試料を表示するために、まず始めに、現在の顕微鏡設定に対して不適切である1つまたは複数の画像または画像の撮影が使用されると有利である。ここで、不適切なまたは非現在の画像を、1つの画像から次の画像へと現在のシーケンスによってカバーすることができる。
非現在の撮影は、その限りにおいて、試料または試料一部の全体撮影または概観画像とすることができる。同様にして、非現在の撮影を、例えばスペクトルフィルタを使用して、または蛍光撮影と比較される明視野撮影のような他の撮影モードを使用して、現在の画像のシーケンスとは異なるスペクトル範囲において撮影されたものとすることも可能である。別の1つの可能性は、非現在の撮影が、試料における別の焦点位置によって撮影されたものであることである。
どの画像が現在の画像であり、どの画像が非現在の画像であるかを操作者が把握するのを容易にするために、非現在の撮影の表示と現在の画像の表示とが、非現在の撮影と現在の画像との間の区別が可能になるように区別されると有利である。このことは、不適切な領域の彩色、隠蔽、または他の識別子によって実施することができる。
観察区域をシフトさせる際に、新しい画像を撮影することなく新しい観察区域のできるだけ大きい領域を表示することができるようにするためには、観察区域がシフトされる前に、その後にシフトされた観察区域内に走査経路が延在することとなるように、走査経路を配置すると有利である。これを達成するためにアルゴリズムが、特に現在の走査中に、撮影パラメータが次に変更される確率を計算することができる。例えば、規定された時間範囲内で観察区域が、確率と共に相応に計算される試料領域のどこにシフトされるかが計算される。
別の1つの可能性は、走査経路が、事前に設定された境界条件に基づいて規定されることである。したがって例えば、試料の画像から試料の種類に関する情報が取得され、選択された観察区域の外側における走査経路が、試料の種類に依存して選択されると有利である。試料の種類に応じて、試料を分析するための操作者または医師の複数の異なるタスクを設定することができ、そこから観察区域の移動を十分な確率で予測することが可能である。
例えば試料の種類に関する情報は、試料上の識別子から、好都合には機械可読コード、例えばバーコードから取得することができる。試料の種類を識別するための別の有利な可能性は、試料の画像における組織識別である。
画像識別によって、試料の比較的有意な領域を、さほど有意でない領域と区別することができ、例えば比較的多くの組織を有する領域を、比較的少ない組織を有する領域または組織を有さない領域と区別することができる。このようにして複数の領域を、比較的高く分類された領域と、比較的低く分類された領域とに分類することができる。また、組織の種類から、比較的関心がある領域であるか、またはさほど関心がない領域であるか、すなわち比較的高く分類された領域であるか、または比較的低く分類された領域であるかを推測することも可能である。したがって、観察区域の外側における走査経路を予測するために、試料の画像に基づいて、例えば試料の以前の画像、非現在の画像、および/または概観画像に基づいて、組織識別を実施することができる。ここで、好都合には観察区域の外側における走査経路は、組織識別の結果に依存して制御される。
有利には、走査経路は、まず始めに、比較的高い分類を有する領域に到達し、その後、比較的低い分類を有する領域に到達し、例えばまず始めに、識別された組織を有する領域に到達し、それに続いて、無組織領域に到達する。
特定の試料の種類には、操作者が試料の走査を実施する際に依拠すべき分析規則を対応付けることができる。典型的な例は、スクリーニングであり、このスクリーニングでは、医師が例えばメアンダ状のスクリーニング経路に沿って試料全体を観察する。常に、スクリーニング経路のうちの観察区域がまだ存在しない領域を画像によってカバーすることによって、このようなスクリーニング経路を先行して走査することができる。一般的に言えば、走査経路が、観察区域の所定のスクリーニング経路に沿って延在し、観察区域の外側において画像が作成され、その後、スクリーニング経路に沿って移行する観察区域がこれらの領域を検出またはカバーすると有利である。
さらに一般的に言えば、観察区域が次にどこに移行するかの計算が実施され、観察区域の外側における走査経路が、計算の結果に依存して案内されると有利である。このような計算では、操作者による観察区域の以前の移動を考慮することができる。好都合にまたは代替的に、試料の種類が計算に取り入れられる。試料の種類は、操作者によって入力することができるか、またはデジタル顕微鏡の制御ユニットによって光学的に特定することができる。
観察区域の将来の位置の予測は、現在の観察区域内の試料の特性を検出し、試料のうちの特性が類似した領域を、類似していない領域よりも前に、走査経路によって到達させることによっても改善することができる。その限りにおいて、観察区域が次にどこに移行するかの計算に、現在の観察区域内の試料の特性を取り入れることができ、この計算はさらに、試料の領域と試料の他の領域との特性類似度を計算に取り入れる。
この手法を、組織識別の手法と組み合わせることができる。組織識別では、事前に指定された組織または画像内容に関して試料が検索され、これによって、識別された組織を有する領域を、無組織領域と区別することができる。複数の異なる組織の種類または画像内容の種類が区別され、好ましくは特定の種類の組織が到達される場合には、さらに正確になる。以下では、組織の種類に関して一般性を制限することなく話題にされ、概して、試料の種類、または構造/画像内容の種類を含むこととする。
一般的な組織識別から、またはバーコード等のような無組織領域から、組織の種類または試料の種類を取得する代わりに、組織の種類を、試料における観察区域の位置の選択によって特定することができる。観察区域において組織の種類を決定することができ、この組織の種類は、優先的な走査領域を決定することができ、すなわち、この優先的な走査領域が、場合によっては発見された組織種類領域の周囲の所定の縁部領域と共に、このような組織の種類を含んでいるという点で、優先的な走査領域を決定することができる。
顕微鏡対物レンズの個々の画像よりも格段に大きい観察区域、すなわち顕微鏡対物レンズの倍率よりも格段に低い倍率を有する観察区域が、操作者によって選択された場合、またはデジタル顕微鏡の制御ユニットによって自動的に選択された場合には、この観察区域の走査は、比較的長い時間を要する可能性があり、特に、この観察区域が何度もシフトされる場合には、比較的長い時間を要する可能性がある。個々の画像の撮影時間を短縮するためには、観察区域の寸法に依存して、画像を撮影する検出器の画素ビニングを実施すると、すなわち、信号増幅のために複数の画素を1つの共通の画素に結合することを実施すると有利である。このようにして、露光を短縮することができ、画像化を迅速に次々に実施することが可能となる。この場合には画像の解像度が低下するが、低倍率を有する観察区域の場合にはこれを許容することができる。
画素ビニングは、特に撮影された画像の解像度に対する、表示媒体上の観察区域の表示の解像度(ズームレベル)の比に依存して、好都合には自動的に実行される。この比が例えば限界値よりも小さい場合には、画素ビニングを自動的に実施することができる。特に、蛍光撮影のように露光時間が長い場合には、画素ビニングが有利である。しかしながら、ユーザアクティビティが高い場合にも、ユーザが例えば観察区域を迅速に次々にシフトさせる場合には、画素ビニングが有利である。しかしながら、観察区域が複数の場所にそれぞれ長時間留まる場合には、より良好な画質を達成するために場合によってビニングを省略してもよい。
一般に、画素ビニングを、ズームレベル、イメージングチャネル、および/またはユーザアクティビティに依存して自動的に実施することができる。「画素ビニング」とは、一般的に、検出器要素の統合がなくても、検出器要素全体の一部のみを選択的に読み出すことでもあると理解すべきである。
既に説明したように、画像化速度を増加させるために、画素ビニングなしでの露光時間の短縮も考慮することができる。後からの画像処理、例えばコントラストの拡大および/または画像輝度増加によって、さもなければ暗かった画像を、より評価可能に構成することができる。この限りにおいて、観察区域の寸法に依存して、画像の露光時間が選択されると有利である。
試料の蛍光画像が生成される場合には、観察区域の寸法に依存した、画像のスペクトルチャネル選択によって、画像化速度を増加させることができる。例えば、まず始めに試料の観察領域の概観を操作者に提供するために、1つのスペクトルチャネルのみにおいて撮影が実施される。
試料の顕微鏡画像を作成する前に、顕微鏡画像の適切な焦点位置が特定されると有利である。このために、画像を作成するための顕微鏡対物レンズの適切な自動焦点位置を特定する自動焦点方法を実施することができる。好都合には、このような自動焦点深度または自動焦点位置が試料の複数の場所において特定され、これらの点によって自動焦点平面を形成することができる。走査経路は、好都合には少なくともまず始めに自動焦点平面において延在する。焦点深度とは、z方向の深度、すなわち顕微鏡対物レンズの焦点が位置する試料平面に対して垂直な方向の深度であると理解することができる。ここで、試料は、焦点深度において鮮明に画像化される。自動焦点深度は、自動焦点方法によって焦点が設定された焦点深度とすることができる。自動焦点深度は、好都合には検査されるべき試料の材料領域内に位置している。x方向および/またはy方向においてそれぞれ異なっている複数の自動焦点深度は、好都合には試料平面に対して平行に位置する1つの自動焦点平面を形成することができる。
非常に信頼性の高い自動焦点方法の場合であっても、操作者によって高倍率が選択される場合には、操作者は、自分にとって最適な試料の画像を獲得するためにそれでもなお焦点位置を手動で調整することができる。手動での焦点調整をできるだけ迅速に実施可能にするために、走査経路は、好都合にはまず始めに自動焦点深度を中心として深度方向に延在する。このことは、限界値を上回る、例えば10xを上回る観察区域のズーム係数または倍率を操作者が選択した場合に、特に好都合である。操作者によって顕微鏡対物レンズの焦点位置が変更された後に、走査経路がまず始めにz方向に案内された場合には、z方向における画像のスタックが非常に迅速に提供され、これに基づいて操作者は、自分にとって最適な焦点位置を設定することが可能となる。
焦点深度が設定された後、特に焦点深度が手動で設定された後、走査経路が、設定された焦点深度の平面において延在すると有利である。焦点深度が設定された場合には、この焦点深度において操作者が試料を捜索することが前提とされ、したがって、この焦点平面の先行走査によって検査を加速することができる。この場合、走査経路が、自動焦点方法において決定された自動焦点平面に対して平行であると有利である。
画像スタックがz方向に作成された後、走査経路は、再び水平に、例えば顕微鏡対物レンズの現在の焦点平面に延在することができる。
本発明はさらに、特に本発明による方法を実施するためのデジタル顕微鏡に関する。デジタル顕微鏡は、好都合には、試料収容体と、顕微鏡対物レンズと、試料にわたって顕微鏡対物レンズを移動させるための駆動装置と、顕微鏡対物レンズによって試料を撮影するためのカメラと、駆動装置を制御するため、かつカメラの画像を受信するための制御ユニットとを有する。好都合には、制御ユニットは、表示媒体上に、例えば画面上に撮影を表示するようにも用意されている。画面は、デジタル顕微鏡の一部とすることもできる。
画像化方法を加速するために、本発明によれば、制御ユニットは、顕微鏡対物レンズを観察区域にわたって走査経路において移動させ、観察区域をカバーする、相互にずらされた画像のシーケンスをデジタルで撮影し、次いで、走査経路を、選択された観察区域の外側において画像のシーケンスによって継続するように用意されている、ことが提案される。先行走査に基づいて、将来にシフトされる観察区域を迅速に表示することができる。
一般に、試料にわたる顕微鏡対物レンズの移動は相対移動であるので、絶対的に見て顕微鏡対物レンズの方が試料の上で移動されるか、または絶対的に見て静止している顕微鏡対物レンズの下で試料の方が移動される。
これまでに提示された本発明の有利な実施形態の説明は、多数の特徴を含み、これらの特徴は、いくつかの従属請求項において複数の組み合わせでまとめて記載されている。しかしながら、これらの特徴を、好都合には個々にも考慮して、特に請求項の引用において意味のある別の組み合わせでまとめることも可能であり、したがって、従属請求項の1つの特徴を、別の従属請求項の1つの、複数の、または全ての特徴と組み合わせることが可能である。さらに、これらの特徴を、それぞれ単独でも任意の適切な組み合わせでも、本発明による方法、ならびに独立請求項に記載の本発明による装置と組み合わせることが可能である。したがって、方法の特徴を、対応する装置の特徴としても具体的に文言化されているとみなすべきであり、また、装置の機能的な特徴を、対応する装置の特徴としても具体的に文言化されているとみなすべきである。
上述した本発明の独立した特徴、すなわち、パラメータに基づいた走査経路の計算と、1つまたは複数のパラメータ変更に依存した、現在の走査経路の変更と、現在の観察区域の外側における継続走査とを、任意の所望のやり方で相互に組み合わせることが可能である。さらに、これらの特徴のうちの1つに関する詳細を、−従属請求項のうちの1つにおけるこれらの特徴の実施形態とは関係なく−他の特徴のうちの1つまたは2つと組み合わせることも可能である。
本発明の上述した特性、特徴、および利点、ならびにこれらを達成するやり方は、図面に関連してより詳細に説明される以下の実施例の説明に関連して、より明確かつ明瞭に理解することができる。実施例は、本発明を説明するために使用されるものであり、本発明を、この説明に記載された特徴の組み合わせに制限するものでも、機能的な特徴に基づいて制限したりするものでもない。さらに、それぞれの実施例のこのために適した特徴を、明示的に独立したものとして見なすこともでき、ある1つの実施例から離れて別の実施形態に補完のために組み込むこともでき、および/または任意の請求項と組み合わせることもできる。
図1は、試料収容体4を有するデジタル顕微鏡2を示し、この試料収容体4に試料6が挿入される。図2において試料6の平面図に図示するように、試料6は、試料支持体8、カバーガラス10、および試料支持体8とカバーガラス10との間に配置された生物学的材料を有する。カバーガラスは、試料領域、すなわち検査されるべき材料を配置することができる試料領域を完全にカバーしている。試料領域は、以下では試料フィールド48とも呼ばれる。試料領域の周りを取り巻くように支持体領域が、すなわち試料領域の周囲の試料全体の領域が設けられている。支持体領域には、試料情報が含まれた2つの情報フィールド40,42が配置されている。
試料収容体4は、駆動装置12を用いてデジタル顕微鏡2のハウジング14の内側において移動可能であり、したがって、試料6をハウジング14の外側において試料収容体に挿入することができ、試料収容体4は、駆動装置12によってハウジング14内に移動され、顕微鏡16の下に移動される。
顕微鏡16は、図1に概略的にのみ図示されている顕微鏡対物レンズ18を含み、この顕微鏡対物レンズ18によって試料6は、カメラ22のマトリクス検出器20上に画像化される。顕微鏡対物レンズ18は、対物レンズ支持体24に取り付けられており、図1の2つの矢印によって図示するように駆動装置26を用いて2次元に移動可能である。顕微鏡対物レンズ18による画像撮影は、制御ユニット28によって制御され、制御ユニット28は、顕微鏡対物レンズ18を試料6にわたって移動させるために駆動装置26も制御する。これに代えて、試料6の方を固定の顕微鏡対物レンズ18の下で移動させてもよく、こうすることで駆動装置26を省略することが可能となる。
さらに、デジタル顕微鏡2には概観カメラ30が設けられており、この概観カメラ30は、検出器32と、検出器32上に設けられた、試料6を画像化するための概観対物レンズ34とを有する。概観カメラ30も同様に、対物レンズ支持体24に取り付けることができ、概観カメラ30によって試料6が全体的に撮影されるように、試料6にわたって適切な位置に移動させることができる。これに代えて、駆動装置12によって試料6がハウジング14の内側の検査位置に導入された場合に、この試料6を概観カメラ30が完全に撮影することができるような位置で、概観カメラ30をハウジング14に対して固定的に取り付けてもよい。
概観カメラ30および顕微鏡カメラ22によって撮影された画像は、操作者のために画面36上に表示される。操作者は、入力ユニット38、例えばキーボードおよびマウスを介して入力および命令を入力することができ、これらの入力および命令は、制御ユニット28によって処理され、制御ユニット28は、それにしたがって例えば顕微鏡カメラ22の位置を制御する。
図2は、試料6を上から見た平面図を示す。試料支持体8と、カバーガラス10と、例えば試料支持体8上のステッカーとして実現されている2つの情報フィールド40および42とが見て取れる。情報フィールド40は、試料6に関する情報、例えば試料の種類に関する情報を含む機械可読コード、例えばバーコードを担持する。情報フィールド42は、ASCIIフォーマットでの情報、すなわち文字、数字、および記号による情報を含み、これらの情報に基づいて操作者は、試料6に関する自分にとって重要な情報を取り出すことができる。
デジタル顕微鏡2は、落射型および透過型での明視野分析および暗視野分析のためにも、試料6の蛍光分析のためにも適しており、このために対応する照明ユニットが設けられているが、図1では見やすくするためにそれらの図示を省略した。以下では、まず始めに明視野検査法を説明し、次に蛍光検査法を説明する。
まず始めに、デジタル顕微鏡2のハウジング14の外側に位置する試料収容体4に、操作者によって試料6が挿入される。試料収容体4は、ハウジング14の中に引き込まれ、駆動装置12によって検査位置に移動される。
操作者は、どの方法を用いて試料6を検査したいかを入力ユニット38上での入力に基づいて決定することができる。任意選択的に、情報フィールド40,42を含む試料6全体の概観画像を、概観カメラ30を用いて撮影することができる。概観画像は、操作者のために画面36上に表示される。蛍光検査の場合にも、明視野または暗視野における概観画像を撮影することが賢明である。
試料収容体4は、複数の試料6をデジタル顕微鏡2によって一回の作業工程で検査することができるように、複数の試料6を相互に隣り合うようにまたは上下に収容することが可能である。同様にして、例えば試料6が複数の小さな試料容器を有するマイクロアレイを含む場合には、1つの試料6を相互に別個に配置された複数の試料領域に分割することも可能である。
概観画像は、試料収容体4上の全ての試料6にわたる1つの画像とすることができるか、またはそれぞれの試料6ごとに別個の概観画像が作成され、その後、これらの概観画像が個々にまたは一緒に画面36上に表示される。その場合、操作者は、複数の試料6をどのような順序で検査したいかを選択することができる。
操作者は、検査のための試料6、例えば図2に図示する試料6を選択する。制御ユニット28は、一方または両方の情報領域40,42に基づいて、例えば試料の種類および検査方法、場合によっては患者データおよび/または病理学的情報を特定する。これらの試料パラメータは、走査経路を計算するために使用される。
図2に図示する概観画像に基づいて操作者は、関心のある領域を、入力ユニット38を用いてクリックまたはマーキングすることによって選択する。これによって、観察区域44が作成される。検査モードに応じて、観察区域44を事前に指定しておくこともでき、すなわち自動的に選択されるようにすることもできる。自動的な選択は、アルゴリズムによって実施され、このアルゴリズムは、このために設けられたデータに基づいて、例えば情報フィールド40,42上に明示的または暗示的に記載されている、例えば事前に指定された検査モードに基づいて、制御ユニット28において実施される。一般的に、自動的な選択の場合には、情報フィールド40,42上の機械可読情報に基づいて観察区域44を選択することができる。
観察領域を試料パラメータに基づいて自動的に選択することも可能である。この試料パラメータを、情報フィールド40,42に記載しておくことができるか、または例えば操作者が、どの種類の試料6であるか、試料6上の組織がどの患者組織に由来するか、または試料6がどの診療所または実験室から来たものであるかを入力することによって、操作者によって入力されるようにすることができる。試料パラメータが組織の種類を規定している場合には、そのような組織の位置を、例えば概観画像による自動的な組織識別によって特定することができる。その場合、観察領域44は、試料表面のうちの組織が存在している部分領域とすることができる。このアルゴリズムは、そのような抽象的な操作者情報に観察領域44を対応付ける指示を含む。
観察区域44の自動的な選択を実施する際の基礎となる一般的な選択データは、試料表面、試料輪郭、および/または試料形状とすることができ、すなわち、試料フィールド48の表面、試料フィールド48の輪郭、および/または試料フィールド48の形状とすることができる。例えば、最初の観察区域44は、常に試料フィールド48の左上隅に位置するか、または試料フィールド48の中央に位置する。
観察区域44は、画面36上に拡大表示される。観察区域44の倍率に応じて観察区域44は、概観画像の画像データと共に表示されるか、または顕微鏡対物レンズ18によって撮影された画像と共に表示される。
顕微鏡対物レンズ18によって画像を撮影する前に、試料6における顕微鏡対物レンズ18の適切な焦点位置を設定することが賢明である。これは、例えば自動焦点方法を用いて実施することができる。図示したデジタル顕微鏡2では、例えば概観画像が撮影され、操作者のために画面36上に表示された後に、自動焦点方法が自律的に実施される。このために顕微鏡対物レンズ18は、試料6にわたって移動し、z方向46に、すなわち試料6の深さ方向に、試料6の試料平面に対して垂直方向に移動する。例えば試料支持体8およびカバーガラス10における落射光反射の輝度曲線に基づいて、生物学的材料と顕微鏡対物レンズ18との間の距離、または生物学的材料における顕微鏡16の焦点位置を決定することができる。
この焦点位置は、図2の試料フィールド48の中央にある小さな十字によって図示するように、好都合には試料フィールド48の中央に設けられる。ここで、顕微鏡対物レンズ18がx方向およびy方向に移動され、例えば図2の試料フィールド48の4つの外側の十字によって図示するような、試料フィールド48の他の複数の位置で、適切な自動焦点位置が測定される。複数の自動焦点位置から、生物学的材料内に位置する自動焦点平面が計算される。自動焦点平面は、試料材料の最初の画像のための初期平面として使用される。
観察区域44が画定された後、制御ユニット28によって走査経路50(図3)が計算される。さらに、試料6の選択された観察区域44が、画面36上に一緒に表示される。観察区域44の倍率は、事前に指定することができるか、または操作者が、観察区域44の選択と共に、観察区域44の寸法、または観察区域44を介して試料6を観察する際に希望する光学倍率も規定する。
概観画像の解像度に応じて、概観画像の解像度を、事前に指定または選択された観察区域44内の試料6を画面36上に表示するために十分にすることができる。これとは関係なく、顕微鏡対物レンズ18は、計算された走査経路50に沿って試料6にわたって移動し始め、試料6の画像52を撮影し始める。概観画像の解像度が十分である場合には、画像52の表示を省略することができる。解像度が不十分である場合には、画面36上に画像52が表示される。選択的な場合分けを、図3および図4に示す。
図3は、画面36上に表示された観察区域44を示す。画像内容は、前もって撮影された試料6の画像に、例えば概観画像に由来しており、基本的には、試料6上の顕微鏡対物レンズ18の現在の位置とは一致していない。観察区域44内の試料6を表示するために、例えば概観画像を使用することができ、この概観画像は、解像度に応じて、図3に図示するように試料6を鮮明に解像して表示するか、または図4の観察区域44の外側領域において太字の線によって図示するように不鮮明な画像を表示する。
不適切または非現在の画像、例えば概観画像の解像度が十分である場合にも、制御ユニット28は、顕微鏡対物レンズ18を試料にわたって走査経路50において制御して、顕微鏡対物レンズ18による画像52のシーケンスの撮影を制御する。これらの画像52は、このシーケンスで観察区域44の内側に相互にずらされて配置されており、したがって、観察区域44内の試料6は、顕微鏡対物レンズ18の解像度または倍率で1つの画像52から次の画像52へと撮影される。
この場合、走査経路50は、観察区域44の中央において開始する。その限りにおいて最初の画像は、観察区域44の中心を対称または非対称にカバーしている。図3に一点鎖線または矢印で図示する走査経路50は、中央から螺旋状に外側に向かって観察区域44の縁部の方向に延在している。顕微鏡対物レンズ18は、図3に図示するように、試料6にわたって走査経路50に沿って移動し、1つの画像52から次の画像52へと撮影する。
図3では、第1の画像52は実線で示されており、第2の画像52は破線で示されており、第3の画像52は点線で示されている。それ以上の画像は、見やすくするために図示しない。しかしながら、時間の経過と共に観察区域44全体が走査経路50の順序で画像52によってカバーされていき、これによって観察区域44全体において試料の高解像度の画像データが提供されることが見て取れる。
図4に太字の線によって図示するように、事前に設定された所望の倍率を画面36上に表示するために試料6の非現在の画像の解像度が十分ではないが故に、試料6の非現在の画像が不鮮明である場合にも、基本的には同様に進められる。ここでも顕微鏡対物レンズ18は、試料6にわたって同一の走査経路に沿って1つの画像52から次の画像52へと移動する。この場合、観察区域44の非現在の画像表面は、不鮮明な画像細部を表示しており、その一方で、観察区域44の画像52の部分は、画像52の画像データから生成されるので鮮明に表示される。したがって、図4に図示するように、鮮明な画像領域が内側から外側に向かって拡大する。現在の画像部分と非現在の画像部分とを操作者が容易に見分けることができるようにするために、非現在の画像部分は、例えばグレーの色調によって彩色されている。このことは、非現在の画像領域の解像度が依然として非常に良好であって、現在の画像部分と非現在の画像部分との画質の差異を即座に識別することが不可能であるような場合に、特に有利である。
しばらくすると、観察区域44全体が画像52によってカバーされることとなり、これによって、観察区域44全体内の画像表示に、現在の画像52または鮮明な画像データを供給することが可能となる。基本的には、観察区域44が操作者によって試料6の別の領域へとシフトされるまで、走査を停止して待機することができる。シフトされた場合には、この観察区域44も1つの画像52から次の画像52へと走査されていき、これによって、この観察区域44の画像が現在の表示において1つずつ合成されていくこととなろう。しかしながら、このことは、操作者によって観察区域44がシフトされる度にある程度の時間を必要とするので、シフトした時点で既に、シフトされた観察区域の現在の画像データも存在していると有利である。このために、観察区域44の外側においても先行して走査しておくことが必要である。
そのような先行走査は、図3に図示されている。観察区域全体が現在の画像52によってカバーされるとすぐに、例えば図3に外側の一点鎖線の矢印で図示するように、観察区域44の外側において走査または走査経路50が継続される。
1つの可能性は、走査経路50が、観察区域の外側において観察区域44を中心として螺旋状に延在し、関心のある領域または試料フィールド48の境界に達するまで1つの軌道から次の軌道へと半径方向外側に向かって拡大することである。そのような境界に達すると、走査経路50はUターンし、その次に外側にある画像列を逆向きの螺旋形状で進行する。ここで、操作者によって観察区域44が少しだけ進めてシフトされると、現在の画像データを使用することが可能となっており、観察区域44を現在に表示することが可能である。
観察区域44がシフトされて、既に撮影された画像52上に配置された場合には、これらの既に撮影された画像52が、新しい観察区域44において直接的に表示される。新しい観察区域44が既存の画像52によって部分的にしかカバーされておらず、観察区域44の一部がまだ画像52によってカバーされていない場合には、観察区域44のうちのどの部分に既に画像が存在しているか、どの部分には画像が存在していないかに依存して、新しい走査経路が継続される。観察区域44の縁部部分のみが既に画像化されている場合には、走査経路50は、観察区域44の中央において継続され、したがって中央から外側に向かって充填される。中央が既にカバーされている場合には、新しい走査経路50は、メアンダ状に内側から外側に向かって既存の画像52に接続する。中央はカバーされていないが、既存の画像52が中央に所定の距離まで達している場合、例えば観察区域の一辺の長さの20%未満まで達している場合にも、このことが当てはまる。
シフト後に既に新しい観察区域44の全ての画像52が撮影されている場合には、走査経路の変更を省略することができ、したがって、走査経路は、観察区域44の外側において変更されない。
現在の表示は、試料6の現在の眺望が表示されていることを必ずしも意味しない。試料6が例えばシフトされたとしても、または試料6がデジタル顕微鏡2から取り出されたとしても、常に保存された画像52が使用される。その意味で「現在」とは、操作者が−または制御ユニット28が事前設定時に−設定したように画像52が作成されたことであると理解すべきである。
操作者は、画面上の観察区域44の表示が変更されるように、多数のパラメータを変更することができる。操作者がパラメータを変更すると、この変更が制御ユニット28によって登録され、走査経路50の計算に取り入れられる。基本的に、これによって走査経路50は影響を受け、変更される。この結果、現在の走査経路50の進行が停止され、顕微鏡対物レンズ18は、今度は再計算された走査経路50に沿って移動して、新しい画像52を撮影することとなる。
したがって、パラメータ、例えば撮影パラメータが変更されると、画像平面が変化し、前もって撮影された画像52が非現在になる。パラメータは、解像度または倍率と、焦点深度と、露光と、特にスペクトル範囲の蛍光分析の場合にはマトリクス検出器20の画素ビニングと、その他のパラメータとを含むことができる。
これらのパラメータのうちの少なくとも1つが操作者によって変更されると、非現在のパラメータ設定によって撮影された画像52は、非現在または不適切となる。表示は、画面36上で相応にマーキングされて、例えば彩色によって実施することができる。1つの例外は、撮影パラメータ「倍率」を変更する際に、同じかまたはそれ以上の倍率の撮影が存在している場合とすることができる。例えば、倍率が10xから20xに、つまり10倍から20倍に変更された場合であって、かつ既に40xでの画像が存在する場合には、これらの画像は現在のままであり、単により大きく表示される。
観察区域44の外側において走査経路50を選択するためには複数の可能性が存在し、制御ユニット28は、これらの可能性の中から好都合には1つを将来パラメータに基づいて選択する。将来パラメータは、観察区域44が操作者によって試料におけるどの場所にどのような確率でシフトされるかを表すことができる。将来パラメータを決定するために、制御ユニット28は、観察区域44が次にどこに移行するかの計算を実施し、その後、観察区域44の外側における走査経路50を、計算結果または計算結果によって得られた将来パラメータに基づいて制御する。計算に代えてまたは計算に加えて、1つまたは複数の試料特性または1つまたは複数の操作者入力を使用してもよい。
試料6の種類に関する情報は、例えば情報フィールド40,42から、例えば情報フィールド40のバーコードから取り出すことができる。例えば、試料の種類は、試料6の検査に用いるべき検査の種類に関する情報を提供することができる。例えば図5に例として図示するように、試料の種類とスクリーニング経路54とを結びつけることができる。
図5は、組織領域56と、組織領域56の周囲の無組織領域とを有する、試料6の試料フィールド48を示す。例えば、試料フィールド48の完全なスクリーニングが事前に指定されている場合には、観察区域44は、操作者による対応する入力の後に自動的にスクリーニング経路54の始点にジャンプする。スクリーニング経路54は、試料フィールド48全体にわたって系統的に、例えばメアンダ状に案内されている。このことは、メアンダ状の破線の矢印に基づいて図5に図示されている。操作者は、例えばマウスのような操作手段を用いてスクリーニング経路54に沿って観察区域を移動させる。この場合、制御ユニット28は、走査経路50が観察区域44の外側においてスクリーニング経路54に沿って延在するように、走査経路50を制御する。観察区域44が1つの画像52のみを含む場合には、走査経路50は、スクリーニング経路54と同一に延在する。観察区域44が複数の画像52を含む場合には、走査経路50は、この観察区域44が画像52によって完全にカバーされた後に、例えば図5に図示するようにスクリーニング経路54に沿ってメアンダ状に延在することができる。走査経路50は、概して有利には、観察区域44が常に既存の画像52に向かって移動するように、スクリーニング経路54に沿って観察区域44の移動に先行する。このようにして、観察区域44が試料フィールド48全体にわたって移動するまで進めることが可能である。
図5の例では、スクリーニング経路54は、操作者にとってさほど関心がない無組織領域も通って延在する。したがって、操作者が、比較的迅速に無組織領域を通るように観察領域44を案内するであろうことを前提にすることができる。非常に一般的に言えば、組織領域56のような、試料6において関心のある領域と、図5の無組織領域のような、全くまたはさほど関心のない領域とが存在し得る。画像52の撮影を制御するための撮影モードが、関心のある領域および関心のない領域のような複数の異なるカテゴリに分類された領域を通る、スクリーニング経路54および/または走査経路50のコースに依存していると有利である。この場合、画像52は、比較的高いカテゴリに分類された領域よりも、比較的低いカテゴリに分類された領域においてより迅速に作成される。この場合、走査経路50を同じままとすることができ、すなわち、それが有利であると思われる場合には、規定されたスクリーニング経路54の場合のように、領域カテゴリとは関係なく走査経路50を配置することができる。そうでない場合には、走査経路50を領域カテゴリに依存させることも可能である。
領域カテゴリは、先行して撮影された試料6の画像の画像処理方法に基づいて、例えば概観画像に基づいて作成することができる。例えば組織領域56は、比較的高く重み付けされたカテゴリに分類された領域として認識され、低いカテゴリに分類された領域、例えば無組織または他組織の領域とは区別される。
画像52の撮影は、以下の手段のうちの1つまたは複数によって加速させることができる。マトリクス検出器20のチャネルまたは素子が画素ビニングによって結合され、これによって比較的短い露光時間の後でも十分な露光が達成される。この場合には画像52の解像度が低下するが、低いカテゴリに分類された領域ではこれを許容することができる。露光時間は、画素ビニングを実施しなくても短縮することが可能であり、例えば、画像52の輝度は、画像の輝度、コントラスト、および/または別の値を増加させるなどの画像処理によって後から増加させることが可能である。同様にして、顕微鏡対物レンズ18が移動している間に画像撮影を実施することも可能であり、すなわち、顕微鏡対物レンズ18は、移動時に走査経路50に沿って連続的に移動され、1つの画像52から次の画像52へと停止するのではない。これにより−露光時間に依存して−画像の鮮明さが低下するが、低いカテゴリに分類された領域ではこれを許容することができる。
別の1つの可能性は、走査経路50に沿って画像52を省略することである。対応する画像52内に、または対応する画像52の画像フィールド内に、十分な確率で、関心のある領域または比較的高いカテゴリに分類された領域が存在しない場合には、この対応する画像52の撮影を省略することが可能である。蛍光撮影の場合には、1つの蛍光チャネルのみにおいて画像52を撮影することができ、他のスペクトルチャネルにおける撮影は省略される。
非常に一般的には、観察区域44の選択された解像度または画像倍率が比較的低い場合にも、あるいはより正確に言えば、観察区域44の選択された解像度または画像倍率が顕微鏡対物レンズ18の解像度または倍率より少なくとも事前に設定された程度だけ低い場合にも、これらの画像化加速手段のうちの1つまたは複数を使用することが可能である。この場合には、顕微鏡対物レンズ18の倍率は、いずれにせよ完全には利用し尽くされないので、画像の鮮明さを低下させるこれらの手段のうちの1つまたは複数を、画像52の表示の品質を格段に低下させることなく所望の倍率において実施することができる。
一般に、画素ビニングのような加速手段を、操作者によって事前に指定することなく自動的に実施すること、すなわち自動的にトリガすることが可能である。この手段は、特に画面36上の現在の観察区域44のズームレベルに依存してトリガされる。例えばズームレベルが限界値よりも小さい場合に、この手段が自動的にトリガされる。画素ビニングのような加速手段のためのトリガパラメータは、ユーザアクティビティも、例えば1つの場所における観察区域44の滞留時間も使用することができる。
図6には、試料6または試料6の試料フィールド48にわたって走査経路50をインテリジェントに案内する別の1つの可能性が図示されている。
図6は、操作者によって選択されたような、または制御ユニット28によって事前に設定されたような、試料フィールド48内の観察区域44を示す。このために制御ユニット28は、試料6の組織識別を実施して、組織領域56を識別するか、または一般的に言えば、比較的低いカテゴリの領域と比較的高いカテゴリの領域とを区別する。組織識別は、組織56が既に画像化されている概観画像に基づいて実施することができる。
ここで、現在の観察区域44の外側における走査経路50は、比較的高いカテゴリに分類された領域56内において優先的に案内される。例えば、走査経路50は、まず始めに比較的高いカテゴリに分類された全ての領域をカバーするように案内され、その後、低いカテゴリに分類された領域へと案内される。図6の例では、走査経路50は、観察区域44を中心として外側に向かって拡大するように螺旋状に延在し、比較的高いカテゴリに分類された領域56の領域境界において、その次に外側に位置する画像化経路へと螺旋方向を反転させる。これは、最終的に、全ての組織領域56にわたるメアンダ状の経路に合流し、ついに組織領域56が完全に走査されることとなる。ここで、走査経路50は、次の組織領域56にジャンプし、この組織領域56をメアンダ状に走査する。
観察区域44が操作者によってシフトされる場合には、まだ走査されていない領域上に観察区域44が配置される可能性がある。ここで、観察区域44の内側における走査経路50が、観察区域44の移動に依存していると有利である。操作者が、観察ウィンドウ44を例えば1つの方向に連続的にまたは複数回にわたって動かしている場合には、観察区域44において螺旋状の走査経路50の代わりにメアンダ状の走査経路50が選択され、このメアンダ状の走査経路50の伝播方向は、−スクリーニング経路54と同様に−観察区域44のシフト方向に選択されている。このようにして、操作者を混乱させる可能性のある、観察区域44のシフト方向とは反対方向である、走査経路50の伝播方向が回避される。
組織識別を概観画像に基づいて実施しない場合には、試料フィールド48にわたってランダムな高速走査を実施して、個別画像、すなわち相互に離間した複数の画像52を作成するという可能性が存在する。ここで、これらの島状の画像52が、組織56に関して検査される。ある1つの画像52において組織56が発見された場合には、この組織領域を即座に、または高速走査が完了して初めて画像化し続けるために、それ以後の画像をこの「発見された」画像52につなげることができる。
領域カテゴリの代わりに、または領域カテゴリに加えて、現在の観察区域44内における組織の種類のような画像の種類を、別の将来パラメータとして考慮することができる。このことも、図6に例として図示されている。観察区域44は、組織領域56内に位置しているだけでなく、図6に入れ子状に配置された線によって図示された特別な種類の組織もカバーしている。画像処理方法によって制御ユニット28は、例えば概観画像または以前の別の撮影から同じ画像カテゴリまたは同じ組織カテゴリを探索することができる。そのような領域は、ここで、さらにより高い領域カテゴリを受け取る。ここで、走査経路50は、階層的に複数の領域カテゴリを通って延在する。まず始めに、最も高い領域カテゴリを有する領域が走査される。その後、その次により低い領域カテゴリを有する領域が走査され、以後も同様である。
このことは、図6の例では、図6の太字の一点鎖線によって図示するように、最も高いカテゴリに分類された領域から最も高いカテゴリに分類された領域へと走査経路50がジャンプすることを意味する。観察区域44が最も高いカテゴリに分類された別の領域にシフトされると、この領域は、既に画像化されており、したがって、保存されている画像52を使用することが可能であり、少なくともこの領域においては、さらなる画像52を撮影することなく観察区域を表示することが可能である。例えば操作者が、観察区域を別の最も高いカテゴリに分類された領域に移動させると、この領域が即座に表示される。走査経路50は、現在の走査位置からその観察区域44に戻るようにジャンプし、この最も高いカテゴリに分類された領域を中心としてこの観察区域44を充填する。この場合、好都合には低いカテゴリに分類された領域が考慮され、したがって、走査経路50は、好都合には観察区域内においても1つの領域カテゴリから次の領域カテゴリへと降順に延在し、すなわち、まず始めに−図6に例として残っているように−最も高いカテゴリに分類された、最初に走査された領域の周囲の組織領域56をカバーし、観察区域が無組織領域も部分的にカバーしている場合には、最後にようやくこの無組織領域をカバーする。
走査時間が利用可能な場合には、制御ユニットは、図6に選択される可能性のある将来の観察区域44の周囲の点線によって図示するように、最も高いカテゴリに分類された領域の周囲で少なくとも現在の観察区域44の寸法および形状、例えば1.5倍の面積寸法を有するフィールドが走査されるように、走査経路50を制御する。操作者が観察区域44をその次に高いカテゴリに分類された領域に移動させると、操作者のために観察区域44全体を即座に遅延なく表示することが可能である。
別の将来パラメータは、操作者による観察区域44の以前の移動が考慮されることである。以前の移動は、方向に関する移動、または領域に関する移動とすることができる。方向に関する移動は、例えばスクリーニング方向である。領域に関する移動は、ある特定の領域から次のある特定の領域への移動である。例えば操作者が、他の試料の以前の検査時に、制御ユニット28によって現在の試料6において発見されたある特定の領域を優先させていた場合には、これらの領域を他の領域よりも高いカテゴリに分類することができ、これによって領域カテゴリを、将来パラメータとして使用することができる。
操作者が観察区域44、または観察区域44をカバーしている画像52を観察している間、走査経路50は、観察区域44の外側において走査され続けており、すなわち、観察区域44の外側において複数の画像52が撮影されている。これらの画像52が試料フィールド48内のどこに位置するかを操作者に知らせずにおく代わりに、図7に図示するように、このことを操作者に表示してもよい。
図7は、画面36上の観察区域44を見たときの図を示す。さらに、試料フィールド48が長方形の形態で表示されており、この試料フィールド48内には観察区域44が縮小されており、試料フィールド48内の自身の位置に表示されている。さらに、既に撮影された画像52が、試料フィールド48内の自身の位置に表示されており、したがって、操作者は、試料フィールド48のどの領域が既に走査されているのかを認識することが可能である。操作者は、好ましくは観察区域44をこのような領域の上に配置することができ、これによってこの観察区域44を、既に撮影された画像52から完全にまたは部分的に表示することができる。
組織領域56のような優先領域を自動的に識別する場合には、このような領域の上に画像52が配置され、したがって、優先領域がどこに位置するかの示唆を操作者が追加的に得られるようになっている。これによって操作者は、より狙いを定めて観察区域44をシフトさせ、試料6を効率的に検査することが可能となる。
すなわち、現在の観察区域44の外側に位置する走査経路50のうちの撮影された画像52の位置が、操作者に表示される。それぞれの撮影された画像52は、試料6または試料フィールド48上の自身の位置に対応する表面として表示される。
図7には、それぞれいちばん最後に撮影された画像52が、例えば観察領域44の表示フィールドの隣に表示されることも図示されている。それぞれの画像52は、後続の画像52によってカバーされるので、観察区域44の外側において撮影された画像52は、短時間しか表示されない。しかしながら、関心のある画像52をそのようなものとして識別する機会を操作者に提供するためにはこれで十分である。このために操作者は、現在の画像52をより長時間観察することができるようにするために、画像52の表示のシーケンスを停止する可能性を有する。しかしながら、この場合には、操作者が表示停止を再び解除するまで、撮影された画像52がもはや表示されないだけで、走査は変更されることなく実施され続ける。
場合によって実施される自動焦点方法は、自動焦点平面を提供するが、この自動焦点平面が、操作者によって実施されるべき検査に関して最適に位置していない可能性があるか、または操作者が他の理由により焦点位置を手動で自動焦点平面から逸脱するように移動させる可能性がある。その場合、古い焦点平面からの画像52は、非現在の画像52となる。これらの非現在の画像52は、好都合にはそのようなものとして識別可能にされ、例えば彩色され、現在の焦点平面において新たに走査経路50が規定される。現在の焦点平面は、好都合には自動焦点平面に対して平行に延在する。
考えられる2つの契機によって、焦点平面の変更がもたらされる。分かりやすい1つの契機は、操作者が焦点平面を手動で変更することである。別の1つの契機は、操作者による高解像度の選択、すなわち事前に決定された解像度よりも高解像度、例えば10xまたは20xを超える高解像度の選択である。このような高倍率において、操作者がのちに焦点を再調整して自動焦点平面から逸脱させることはあり得ないことではない。
これらの契機のうちの1つが存在する場合には、走査経路50は、制御ユニット28によって垂直方向に案内される。上下に重なり合った画像52のスタックが撮影され、すなわち、これらの画像52は、x方向およびy方向に上下に重なり合っており、z方向にのみ相互に所定の深度距離だけ離間されている。スタックの高さは、制御ユニット28によって規定され、例えば、自動焦点平面の両側における画像52の枚数が規定されている。分析されるべき材料内に焦点位置が留まるように、カバーガラス10または試料支持体8の位置のような他のパラメータを考慮することもできる。このプロセスは、図8に例として示されている。
図8は、z方向に上下に重なり合った画像52のスタックを示し、これらの画像52のうちの太枠で取り囲まれた画像52は、自動焦点平面に位置している。上述した契機のうちの1つ、または別の契機が存在する場合には、制御ユニット28は、焦点平面の上方および下方において、例えば図8に図示するように焦点平面の上方の3つの平面と焦点平面の下方の4つの平面とにおいて、画像52の撮影を制御する。全ての画像52は、好都合には現在の観察区域44の中央に位置する。操作者が焦点を手動で調整することを試みた場合には、操作者は、焦点の移動時に中央の画像52を常に新たに作成する必要なく、既に予め撮影された画像スタックを用いて焦点を合わせ、最適な焦点平面を選択することが可能である。このことによって、焦点の調整が非常に快適に実施可能となる。
画像スタックが完全に撮影されて初めて、焦点平面が探索され、走査経路50は、この焦点平面において水平に走破される。このために、操作者が選択するであろう可能性が最も高い焦点平面が決定される。例えば操作者が手動で焦点を下方に調整すると、自動焦点平面の下方に位置する焦点平面が走査される。制御ユニット28は、操作者が焦点の調整を完了するまでまず始めに待機し、その後、選択された平面において走査経路50を水平に継続させることも可能である。このことは、図8に破線の画像52によって図示されている。走査経路50は、図3に関連して説明したように、中央の画像52を中心として螺旋状に外側に向かって拡大するように延在する。この場合、非現在の焦点平面の画像52を表示したままにすることができるが、好都合には、図4の例で説明したように非現在であるとしてマーキングされる。
選択された焦点平面において、例えば図8の破線の平面において観察区域44内の走査が完了すると、隣接する焦点平面において走査を実施し続けることができ、すなわち、走査経路50が、隣接する焦点平面へとジャンプする。隣接する焦点平面は、図8に点線で図示されている。操作者によって焦点が再調整された場合には、既に撮影された画像を直接的に使用して、観察区域44を即座に表示することが可能である。
走査経路50が、例えば隣接する焦点平面において1つまたは複数の画像52を撮影するために現在の画像平面を離れた場合には、この走査経路は、本発明の意味においては観察区域44から逸脱する。なぜなら、現在の観察区域44は、現在の画像平面における2次元の観察区域44であるからである。現在の観察区域44の現在の画像平面からの、走査経路50のそれぞれの画像平面の切り替え、すなわち焦点平面の切り替え、スペクトルの切り替え、および/または露光の切り替え等によって、走査経路50は、依然として観察区域44のxy領域内に留まっている場合であっても、本発明の意味においては現在の観察区域44から逸脱する。
1つの焦点平面における走査の完了は、完全な試料フィールド48に関連する必要はない。観察区域44が完全に走査され、次いで、観察区域44が隣接する焦点平面にジャンプし、観察区域44がこの平面において走査され続ければ十分である。観察区域44の代わりに、まず始めに最も高いカテゴリに分類された領域を走査することもでき、この場合、最も高いカテゴリに分類された全ての領域が走査されると、他の焦点平面にジャンプする。
操作者が高倍率を選択し、その結果として図8に例として説明したような画像スタックが作成されたが、操作者が、実際には所定の時間内に焦点平面を自動焦点平面から逸脱するように移動させなかったというような場合には、焦点平面の外側における平面における走査プロセスまたは走査経路50を中断することができ、走査プロセスを自動焦点平面において継続することができる。一般に、操作者が焦点平面を変更するかどうか不確かな状態では、走査経路50の選択に際して他の平面よりも自動焦点平面の方を優先すべきである。
試料6の蛍光分析の場合には、以下のパラメータを考慮または変更することができ、−場合によっては蛍光分析に起因する変更を除いて−明視野法からの上記の方法ステップを完全な範囲で使用することができる。
蛍光分析では、試料6が複数の異なるスペクトルで照射されるように、複数のスペクトルチャネルを使用することができる。このためにデジタル顕微鏡2は、1つまたは複数のスペクトルフィルタ58を含み、これらのスペクトルフィルタ58は、ビーム経路60に挿入可能であり、ビームを所望のスペクトルに限定することができる。見やすくするために図1には各々の発生源を図示していない照明または励起のビーム経路は、好都合には少なくとも画像化ビーム経路60における顕微鏡対物レンズ18と試料6との間に設けられている。好都合には、場合によって顕微鏡対物レンズの上流にも、半透明ミラーを介して画像化ビーム経路に入射されているビーム経路が設けられている。1つまたは複数のスペクトルフィルタ58は、有利には、試料6ができるだけ穏やかに照射されるように、照明ビーム経路60において試料6の上流に挿入される。
それぞれのスペクトルチャネルを、焦点平面と同様に1つの画像平面として見なすことができ、したがって、可能な画像平面の数は、焦点平面の数とスペクトルチャネルの数との乗算から生じる。
蛍光分析の場合であっても、好都合には、試料6にわたる最初の概観を操作者に提供するために、透過光および/または明視野における概観画像が作成される。これに代えてまたはこれに加えて、蛍光スペクトルにおける概観画像を作成してもよく、この場合、走査プロセスは、好都合にはまず始めに1つのスペクトルチャネルに限定され、特に、最も安定した染色のチャネル、例えば最も安定したDAPI染色のチャネルに限定される。走査経路50は、明視野法と同様に水平および垂直の両方において選択することができる。
その後、明視野法に関して説明したように、観察区域44の選択を操作者によって実施することができ、この場合、倍率を事前に設定することができ、例えば10xに設定することができる。蛍光分析の場合には、おそらく操作者による手動の焦点設定になり、したがって、まず始めにz方向における画像スタックが、好ましくは複数の蛍光チャネルにおいて、特に全ての蛍光チャネルにおいて作成される。操作者は、特に全ての蛍光チャネルに対して露光時間を設定することができ、この露光時間を、より簡単に情報提供するために観察区域44に、例えば観察区域44における中央の画像52の下方に表示することができる。
ここで、例えば上述したような先行走査を実施することができ、複数の蛍光チャネルにおいても領域カテゴリを使用することができる。さらに、複数の蛍光チャネルをカテゴリに分類することができる。全ての蛍光チャネルを、最も高いカテゴリに分類されたチャネルから、例えば現在の蛍光チャネルから開始して、1つの領域カテゴリから次の領域カテゴリへと走査することができ、すなわち、走査経路50は、全ての蛍光チャネルにおいて領域が走破されて初めて、領域または領域カテゴリを切り替える。焦点が手動で再調整される場合には、走査経路50は、まず始めに垂直z方向に旋回し、全ての蛍光チャネルにおいて画像スタックを撮影し、その後、所望の焦点平面において水平走査が再び撮影される。
蛍光モードの場合には、明視野モードの場合よりも状況によって領域カテゴリの分類が困難であるので、走査速度を加速させるためのパラメータを使用して、例えば、画素ビニングを伴うまたは伴わない比較的短時間の露光時間を使用するなどして、および/または走査経路50に沿った画像の省略を使用するなどして、先行走査を実施することが賢明であろう。この場合、先行走査は、全ての蛍光チャネルにおいて、それぞれ少なくとも1つの加速パラメータを使用して実施することができる。このようにして操作者は、比較的迅速に試料6を観察し、自分にとって関心のある領域、例えば特に良好な染色を有する領域を発見することができる。しかしながら、加速パラメータの使用は、限界倍率を下回る倍率でのみ、例えば10xまでの倍率でのみ実施すべきである。操作者が限界倍率を上回る倍率、例えば20xを設定した場合には、最適な画質を提供するために加速パラメータなしで連続的な走査が実施される。
操作者によって意図的に引き起こされるパラメータ変更とは全く関係なく、パラメータ変更が発生する可能性があり、このようなパラメータ変更が発生した場合には、走査経路50を変更することが賢明である。デジタル顕微鏡が例えば振動された場合には、振動している間に撮影された画像が「ぼやけて」不鮮明になるという明確な危険性が存在する。この振動は、加速度センサ62に接続された制御ユニット28によって登録される。加速度が限界値を上回ると、この強力な加速度の期間が検出され、この期間内に実施された全ての撮影が繰り返される。すなわち、走査経路50が中断され、以前の経路地点において再び撮影される。
顕微鏡対物レンズ18の周囲の領域における温度変動も、温度センサを用いて制御ユニット28によって検出される。温度変動が所定の閾値を上回るほど上昇すると、これによって自動焦点のチェックがトリガされる。この場合、閾値は、自動焦点が最後に実施されたときの温度に基づくことができる。例えば冬に、デジタル顕微鏡2が設けられている実験室における窓が開放されて、その結果、このデジタル顕微鏡2が急速に大幅に冷却された場合、または太陽の動きによって突然日光がデジタル顕微鏡2に直接的に入射して、デジタル顕微鏡2が突然大幅に加熱された場合には、危機的な温度変動が容易に発生し得る。
自動焦点処理によって、新しい自動焦点平面が選択され、これによって試料における焦点深度が変更されるという結果がもたらされる可能性がある。このこともまた、撮影パラメータの変更であり、撮影の画像平面の変更につながり、これによって走査経路50が再計算され、中断され、新たに継続されることとなる。
振動および温度とは関係なく、所定の時間間隔で自動焦点をチェックすることが賢明である。このチェックの結果、自動焦点が変更していることが判明すると、このこともまた、撮影の画像平面の変更につながり、これによって走査経路50が再計算され、中断され、新たに継続されることとなる。
走査中には、操作者が観察区域44の研究に集中しているからであれ、または他の活動に没頭しているからであれ、操作者が入力を実施しないことがしばしば起こる。入力がない時間が限界値よりも長く持続する場合、このことは、走査モードの変更につながり、このことも同様に、走査経路50が再計算され、中断され、新たに継続されることにつながる可能性がある。新しい走査モードでは、雑音発生がわずかであることが比較的高く重み付けされ、走査が高速であることは比較的低く重み付けされる。その結果、走査経路50は、より多くの直線区間を有し、より少ない方向転換を有することとなる。なぜなら、1つの画像52から次の画像52への顕微鏡対物レンズ18の方向転換は、画像52の直線状に配置されたシーケンスよりも多くの雑音を引き起こすからである。走査速度を低減することもでき、このことは、1つの撮影から次の撮影への顕微鏡対物レンズ18の加速度を低減することによって達成することができる。