JP2019526549A - 保存効力又は光安定性が改善された点眼用医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はまた、別の態様において、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をエデト酸又はその医薬的に許容される塩と組み合わせることを特徴とする、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を、エデト酸又はその医薬的に許容される塩により増強する方法を提供する。
本発明はまた、さらに別の態様において、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をエデト酸又はその医薬的に許容される塩及び/又は持続化剤と組み合わせることを特徴とする、エデト酸又はその医薬的に許容される塩及び/又は持続化剤により、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を改善し、又は分解を抑制する方法を提供する。
本発明はまた、さらに別の態様において、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をエデト酸又はその医薬的に許容される塩と組み合わせることを特徴とする、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩及びエデト酸又はその医薬的に許容される塩を含む、点眼用医薬組成物の製造方法を提供する。
本発明によれば、本来弱いながら制菌力を有しているカルテオロール又はその医薬的に許容される塩に、エデト酸又はその医薬的に許容される塩を加えることにより、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力又は制菌力が増強され、保存剤及び防腐剤を含まない点眼剤が可能となり、更に光安定性が悪いカルテオロールの光安定性が改善され得る。さらに等張化剤(例えば、プロピレングリコール)及び/又は持続化剤(例えば、アルギン酸)の添加により、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力又は制菌力がより増強され、あるいは光安定性がより改善され得る。
項1.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩及びエデト酸又はその医薬的に許容される塩を含む、点眼用医薬組成物。
項2.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を増強し、及び/又は光安定性を改善することを特徴とする、エデト酸又はその医薬的に許容される塩を含む点眼用医薬組成物。
項3.さらに等張化剤を含む、項1又は2のいずれか記載の医薬組成物。ここで、等張化剤の例としては、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、トレハロース、マルトース、シュクロース、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及びこれらの組合せ等が挙げられる。
項4.さらに持続化剤を含む、項1〜3のいずれか記載の医薬組成物。ここで、持続化剤の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びこれらの組合せ等が挙げられる。
項5.さらに緩衝剤及びpH調節剤を含む、項1〜4のいずれか記載の医薬組成物。
項6.さらにプロスタグランジンF2α誘導体を含む、項1〜5のいずれか記載の医薬組成物。ここで、プロスタグランジンF2α誘導体の例としては、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト等が挙げられる。
項7.さらに炭酸脱水酵素阻害剤を含む、項1〜6のいずれか記載の医薬組成物。ここで、炭酸脱水酵素阻害剤の例としては、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、及びその医薬的に許容される塩等が挙げられる。
項8.さらにアドレナリンα2作動薬、ROCK(Rhoキナーゼ)阻害薬など、眼圧を降下させる作用を有する別の薬剤を含む、項1〜7のいずれか記載の医薬組成物。ここで、アドレナリンα2作動薬の例としては、ブリモニジン酒石酸塩、ジピベフリン塩酸塩、クロニジン等が挙げられる。ROCK阻害薬の例としては、リパスジル塩酸塩水和物、Netarsudil Mesylate等が挙げられる。
項9.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の含有量が組成物の全量に対し0.1〜5w/v%である、項1〜8のいずれか記載の医薬組成物。
項10.エデト酸又はその医薬的に許容される塩の含有量が組成物の全量に対し0.01〜0.2w/v%である、項1〜9のいずれか記載の医薬組成物。
項11.エデト酸又はその医薬的に許容される塩の含有量がカルテオロール又はその医薬的に許容される塩の含有量に対し0.002〜2.0w/w比である、項1〜10のいずれか記載の医薬組成物。
項12.pHが5.0〜8.0である、項1〜11のいずれか記載の医薬組成物。
項13.点眼剤である、項1〜12のいずれか記載の医薬組成物。
項14.水性点眼剤又は懸濁性点眼剤である、項1〜13のいずれか記載の医薬組成物。
項15.マルチドーズ型点眼剤として用いるための、項1〜14のいずれか記載の医薬組成物。
項16.緑内障又は高眼圧症の治療用である、項1〜15のいずれか記載の医薬組成物。
項17.プロスタグランジン製剤と併用することを特徴とする、項1〜16のいずれか記載の医薬組成物。ここで、プロスタグランジン製剤とは、プロスタグランジンF2α誘導体を含有する製剤である。
項19.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を増強するための、エデト酸又はその医薬的に許容される塩の使用。
項20.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をプロピレングリコールと組み合わせることを特徴とする、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を、プロピレングリコールにより増強する方法。
項21.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を増強するための、プロピレングリコールの使用。
項22.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を増強するための、エデト酸又はその医薬的に許容される塩とプロピレングリコールの組み合わせの使用。
項23.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をエデト酸又はその医薬的に許容される塩と組み合わせることを特徴とする、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を、エデト酸又はその医薬的に許容される塩により改善する方法。
項24.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を改善するための、エデト酸又はその医薬的に許容される塩の使用。
項25.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をアルギン酸と組み合わせることを特徴とする、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を、アルギン酸により改善する方法。
項26.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を改善するための、アルギン酸の使用。
項27.カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を改善するための、エデト酸又はその医薬的に許容される塩とアルギン酸の組み合わせの使用。
本発明の医薬組成物はまた、保存剤又は防腐剤を含まなくても保存効力を発揮することができる。保存剤又は防腐剤としては、これらに限定されるものではないが、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、パラベン類、クロロブタノール、ソルビン酸塩等が挙げられる。ある態様において、本発明の医薬組成物は、保存剤又は防腐剤を含まないものであってよい。別の態様において、本発明の医薬組成物はまた、ホウ酸又はその塩を含まないものであってもよい。さらに別の態様において、本発明の医薬組成物は、ホウ酸又はその塩を含んでもよい。
カルテオロールの医薬的に許容される塩としては、カルテオロールの無機酸との塩が挙げられる。好ましくは、カルテオロール塩酸塩である。
エデト酸又はその医薬的に許容される塩の含有量は、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の含有量に対し0.002〜2.0w/w比であってもよい。好ましくは0.004〜0.3w/w比、より好ましくは0.008〜0.2w/w比、さらに好ましくは0.015〜0.07w/w比、特に好ましくは0.025〜0.06w/w比である。
エデト酸の医薬的に許容される塩としては、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸;EDTA)の無機塩基との塩が挙げられる。好ましくは、エデト酸ナトリウム水和物である。
カルテオロール又はその医薬的に許容される塩は、エデト酸又はその医薬的に許容される塩により、カルテオロール自身が有する保存効力が増強され、光安定性が改善され、及び/又は分解が抑制されてもよい。
等張化剤の含有量(濃度)としては、特に限定されるものではないが、医薬組成物の浸透圧比が0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1の範囲になるような量が挙げられる。具体的には0.5〜2.0w/v%である。好ましくは1.0〜1.6w/v%である。
等張化剤の含有量は、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の含有量に対し0.08〜20w/w比であってもよい。好ましくは0.16〜4w/w比、より好ましくは0.2〜2w/w比である。
等張化剤の含有量は、エデト酸又はその医薬的に許容される塩の含有量に対し3〜200w/w比であってもよい。好ましくは4〜100w/w比、より好ましくは6〜70w/w比である。
持続化剤の含有量(濃度)としては、特に限定されるものではないが、0.1〜5w/v%が挙げられる。好ましくは0.5〜2w/v%である。より好ましくは0.8〜1.2w/v%である。
持続化剤の含有量は、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の含有量に対し0.25〜2w/w比であってもよい。好ましくは0.4〜1.2w/w比である。
持続化剤の含有量は、エデト酸又はその医薬的に許容される塩の含有量に対し5〜100w/w比であってもよい。好ましくは10〜40w/w比である。
緩衝剤の含有量(濃度)としては、特に限定されるものではないが、0.01〜1w/v%が挙げられる。好ましくは0.04〜0.4w/v%である。
pH調節剤の含有量(濃度)としては、特に限定されるものではないが、医薬組成物のpHを5.0〜8.5の範囲に調節する量が挙げられる。好ましくはpHを5.0〜8.0に調節する。より好ましくはpHを6.0〜8.0、更には6.2〜7.2に調節する。
可溶化剤の含有量(濃度)としては、特に限定されるものではないが、0.05〜5w/v%が挙げられる。好ましくは0.1〜3w/v%である。より好ましくは0.1〜2w/v%である。
プロスタグランジンF2α誘導体としては、これらに限定されるものではないが、例えばラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト等が挙げられる。
炭酸脱水酵素阻害剤としては、これらに限定されるものではないが、例えばドルゾラミド、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、及びその医薬的に許容される塩等が挙げられる。
眼圧を降下させる作用を有する別の薬剤としては、これらに限定されるものではないが、例えばアドレナリンα2作動薬、ROCK(Rhoキナーゼ)阻害薬等が挙げられる。アドレナリンα2作動薬の例としては、ブリモニジン酒石酸塩、ジピベフリン塩酸塩、クロニジン等が挙げられる。ROCK阻害薬の例としては、リパスジル塩酸塩水和物、Netarsudil Mesylate等が挙げられる。
別の態様において、エデト酸又はその医薬的に許容される塩は、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩との混合液にてカルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を増強してもよい。当該混合液に、さらに等張化剤を混合することにより、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力をさらに増強してもよい。
別の態様において、エデト酸又はその医薬的に許容される塩は、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩との混合液にてカルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を改善し、又は分解を抑制し得る。当該混合液に、さらに持続化剤を混合することにより、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性をさらに改善し、又は分解をさらに抑制し得る。
以下の試験例において、試験液の保存効力は、第十七改正日本薬局方参考情報 保存効力試験法に従って評価した。
具体的には、細菌(大腸菌(Escherichia coli ATCC 8739)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538))及び/又は真菌(カンジダ・アルビカンス(Candida albicans ATCC 10231)、アスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis ATCC 16404))を用いて、それぞれの菌液を調製した。各菌液を、105〜106CFU(コロニー形成単位)/mLになるよう試験液に接種し、20〜25℃で保管した。接種7日後、14日後及び28日後に生菌数を測定した。保存効力の判定基準は、接種菌数に対する菌数の変化を指標とし、細菌(大腸菌、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌)については、7日後に1.0log以上の減少、かつ14日後に3.0log以上の減少を示し、かつ28日後は14日後の菌数と同等又はそれ以下の減少を示した場合を「適合」とした。真菌(カンジダ・アルビカンス及びアスペルギルス・ブラシリエンシス)については、菌数が、7日後に接種菌数と同等又はそれ以下であり、かつ14日後及び28日後においても接種菌数と同等又はそれ以下である場合を「適合」とした。
以下の方法に従い、カルテオロールの保存効力を確認した。
〈実施例1〜10の試験液の調製〉
実施例1〜10の試験液組成を表1に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物及びNaCl(溶液の浸透圧比が0.9〜1.1になる量)を量り、滅菌精製水を加えて溶解し、5N水酸化ナトリウム又は1%塩酸を加えてpHを5.0、6.0、7.0、8.0、8.5に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの溶液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
比較例1〜4の試験液組成を表1に示す。無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物及びNaCl(溶液の浸透圧比が0.9〜1.1になる量)を量り、滅菌精製水を加えて溶解し、5N水酸化ナトリウム又は1%塩酸を加えてpHを5.0、6.0、7.0、8.0に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの溶液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
個々の菌に対する保存効力試験の判定結果を総合考慮すると、実施例1〜10は真菌に対して保存効力試験に適合し、細菌に対しても概ね保存効力を有することを確認した。カルテオロール塩酸塩を含まない比較例1〜4は全て保存効力試験に適合しなかった。この結果より、カルテオロール塩酸塩は保存効力を有することを確認した。
以下の方法に従い、エデト酸ナトリウム水和物によるカルテオロール塩酸塩の保存効力の増強作用を確認した。
〈実施例11〜15の試験液の調製〉
実施例11〜15の試験液組成を表3に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、エデト酸ナトリウム水和物及びNaCl(溶液の浸透圧比が0.9〜1.1になる量)を量り、滅菌精製水を加えて溶解し、5N水酸化ナトリウム又は1%塩酸を加えてpHを5.0、6.0、7.0に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
比較例5〜8の試験液組成を表4に示す。エデト酸ナトリウム水和物、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物及びNaCl(溶液の浸透圧比が0.9〜1.1になる量)を量り、所定量の滅菌精製水を加え、5N水酸化ナトリウム又は1%塩酸を添加し、pHを5.0、6.0、7.0、8.0に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過した。これを滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
実施例11〜15は細菌に対し概ね保存効力を有したが、比較例5〜8は保存効力試験に不適合であった。この結果より、カルテオロール塩酸塩とエデト酸ナトリウム水和物を組み合わせることにより保存効力が増強したことを確認した。
以下の方法に従い、プロピレングリコールの添加によるpH5.0及び6.0でのカルテオロール塩酸塩の保存効力への影響を確認した。
〈実施例16〜19の試験液〉
実施例16〜19の試験液組成を表6に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、エデト酸ナトリウム水和物及びプロピレングリコールを表6に示す組成になるように量り、滅菌精製水を加えて溶解し、1%塩酸を加えて、pHを5.0又は6.0に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
比較例9〜16の試験液組成を表7に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物及びプロピレングリコール(比較例9〜12)、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、プロピレングリコール及びNaCl(溶液の浸透圧比が0.9〜1.1になる量)(比較例13,14)、又はエデト酸ナトリウム水和物、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、プロピレングリコール及びNaCl(溶液の浸透圧比が0.9〜1.1になる量)(比較例15,16)を加えて溶解し、1%塩酸を加えて、pHを5.0又は6.0に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填して試験液とした。
カルテオロール塩酸塩とエデト酸ナトリウム水和物を含む組成にプロピレングリコールを添加した実施例16〜19は全て細菌3菌種(大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌)に対する基準を満たし保存効力試験に適合した。また、カルテオロール塩酸塩を含むがエデト酸ナトリウム水和物を含まない比較例9〜12では、大腸菌又は緑膿菌に対して基準を満たさず、不適合であった。また、カルテオロール塩酸塩とエデト酸ナトリウム水和物を配合していない比較例13及び14は、プロピレングリコールのみの配合では保存効力試験に不適合であった。さらに、カルテオロール塩酸塩を配合していない比較例15及び16では、プロピレングリコール及びエデト酸ナトリウム水和物を添加したものの、基準を満たさず保存効力試験に不適合であった。この結果より、カルテオロール塩酸塩とエデト酸ナトリウム水和物とプロピレングリコールを組み合わせることにより優れた保存効力を示すことが明らかとなった。
以下の方法に従い、アルギン酸によるカルテオロール塩酸塩の保存効力の増強作用を確認した。
〈実施例20及び21の試験液の調製〉
実施例20及び21の試験液組成を表9に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、エデト酸ナトリウム水和物、プロピレングリコール及びアルギン酸を表9に示す組成になるように量り、滅菌精製水及び5N水酸化ナトリウムを加えて溶解し、更に、5N水酸化ナトリウムを加えてpHを6.7に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
比較例17及び18の試験液組成を表9に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、エデト酸ナトリウム水和物及びプロピレングリコールを表9に示す組成になるように量り、滅菌精製水を加えて溶解し、5N水酸化ナトリウムを加えてpHを6.7に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
以下の方法に従い、エデト酸ナトリウム水和物によるカルテオロール塩酸塩の光安定性の改善作用を確認した。
〈実施例22〜25の試験液〉
実施例22〜25の試験液組成を表11に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、及びエデト酸ナトリウム水和物を表11に示す組成になるように混合し、滅菌精製水を加えて溶解した。ここに、5N水酸化ナトリウムを添加してpHを6.7に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を、0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
比較例19及び20の試験液組成を表12に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素ナトリウム・二水和物を表12に示す組成になるように混合し、滅菌精製水を加えて溶解した。ここに、5N水酸化ナトリウムを添加してpHを6.7に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填して試験液とした。
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。
移動相:1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム1.51gに酢酸(100)3mL及び水1000mLを加えて溶かした。この液830mLにアセトニトリル170mLを加えた。
検出器:紫外吸光光度計
以下の方法に従い、アルギン酸によるカルテオロール塩酸塩の光安定性の改善作用を確認した。
〈実施例26〜29、60及び61の試験液〉
実施例26〜29、60及び61の試験液組成を表14に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、エデト酸ナトリウム水和物、プロピレングリコール及びアルギン酸を表14に示す組成になるように量り、滅菌精製水を加えて攪拌しながら5N水酸化ナトリウムを加えて溶解し、更に、5N水酸化ナトリウムを加えてpHを6.7に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液とした。
比較例21〜28の試験液組成を表15に示す。カルテオロール塩酸塩、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム・二水和物、エデト酸ナトリウム水和物、プロピレングリコール及びNaCl(溶液の浸透圧比が0.9〜1.1になる量)を表15に示す組成になるように量り、滅菌精製水を加えて溶解した。次に、比較例21及び比較例25については溶液を攪拌しながらアルギン酸を添加し、5N水酸化ナトリウムを添加してアルギン酸を溶解した。更に、5N水酸化ナトリウムを添加してpHを6.7に調整し、滅菌精製水を加えて所定の容量とした。これらの液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、滅菌済みのガラス製容器に5mLずつ充填し、試験液を調製した。
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。
移動相:1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム1.51gに酢酸(100)3mL及び水1000mLを加えて溶かした。この液830mLにアセトニトリル170mLを加えた。
検出器:紫外吸光光度計
本発明の医薬組成物は第十七改正日本薬局方参考情報に記載されている保存効力試験に適合するとともに、カルテオロール塩酸塩の光分解を抑制して光安定化することが明らかとなった。
即ち、本発明において、塩化ベンザルコニウムやホウ酸といった副作用が懸念される防腐剤を配合しなくとも、β遮断薬にエデト酸ナトリウム水和物、適宜、等張化剤(例えばプロピレングリコール)及び/又は持続化剤(例えばアルギン酸)を添加することにより複数回の投与が可能な汎用の点眼容器に充填した場合でもβ遮断薬の保存効力を維持することが可能であることが明らかとなった。また、本発明の医薬組成物は、遮光保存しなくとも有効成分が光分解せずに保管することが可能であるほどの光安定性を有することが明らかとなった。
以下の方法に従い、実施例30〜39及び比較例29を製造した。
〈実施例30〉
ラタノプロスト0.005 g、ポリソルベート80 0.1 g及び精製水80 gを量り、60℃に加温して溶かした後、室温に戻した。この液に、カルテオロール塩酸塩2.0 g、アルギン酸1.0 g、ホウ酸1.0 g及びエデト酸ナトリウム水和物0.1 gを加え、さらに水酸化ナトリウムを加えて溶かしpH6.5に調整した後、精製水を加えて全量を100 gとした。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過して実施例30とした。
ラタノプロスト0.005 g、ポリソルベート80 0.1 g及び精製水80 gを量り、60℃にて加温して溶かした後、室温に戻した。この液に、カルテオロール塩酸塩2.0 g、アルギン酸1.0 g、塩化ナトリウム0.4 g、リン酸二水素ナトリウム・二水和物0.04 g、無水リン酸水素二ナトリウム0.04 g及びエデト酸ナトリウム水和物0.1 gを加え、さらに水酸化ナトリウムを加えて溶かしpH6.5に調整した後、精製水を加えて全量を100 gとした。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過して実施例31とした。
ラタノプロスト0.005 g及び精製水80 gを量り、60℃にて加温して溶かした後、室温に戻した。この液に、カルテオロール塩酸塩2.0 g、アルギン酸1.0 g、塩化ナトリウム0.4 g、リン酸二水素ナトリウム・二水和物0.04 g、無水リン酸水素二ナトリウム0.04 g及びエデト酸ナトリウム水和物0.1 gを加え、さらに水酸化ナトリウムを加えて溶かしpH6.5に調整した後、精製水を加えて全量を100 gとした。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過して実施例32とした。
実施例30に記載の方法に従って、実施例33,36及び39を調製した。
実施例31に記載の方法に従って、実施例34,35,37及び38を調製した。
ラタノプロスト0.005 g、ポリソルベート80 0.2 g及び精製水80 gを量り、60℃に加温して溶かした後、室温に戻した。この液に、アルギン酸1.0 g、ホウ酸1.5 g及びエデト酸ナトリウム水和物0.2 gを加え、さらに水酸化ナトリウムを加えて溶かしpH6.5に調整した後、精製水を加えて全量を100 gとした。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過して比較例29とした。
以下の方法に従い、塩化ベンザルコニウムを含まない製剤である実施例40〜47を製造した。
〈実施例40〉
精製水80 g、カルテオロール塩酸塩1.0 g、アルギン酸1.0 g、プロピレングリコール1.3 g、リン酸二水素ナトリウム・二水和物0.04 g、無水リン酸水素二ナトリウム0.04 g、エデト酸ナトリウム水和物0.01 gを量りとり、かき混ぜながら水酸化ナトリウムを加えて溶かし、pH6.7に調整する。更に精製水を加えて全量を100 gとし、撹拌する。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過して実施例40とした。
実施例40に記載の方法に従って、実施例41〜47を調製した。
以下の方法に従い、実施例48〜59を製造した。
〈実施例48〉
カルテオロール塩酸塩2.0 g、ドルゾラミド塩酸塩1.113 g、エデト酸ナトリウム水和物0.01 g、D-マンニトール2.0 g、クエン酸ナトリウム・水和物0.3 gを量りとって水に溶かし、孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌した液と、別途、ヒドロキシエチルセルロース0.5 gを水に溶かし高圧蒸気滅菌した液を混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH5.7に調整する。更に精製水を加えて全量を100 gとすることにより実施例48を調製した。
実施例48に記載の方法に従って、実施例49〜51を調製した。
精製水80 g、カルテオロール塩酸塩2.0 g、ドルゾラミド塩酸塩1.113 g、エデト酸ナトリウム水和物0.01 g、プロピレングリコール0.7 g、クエン酸ナトリウム・水和物0.3 gを量りとって溶かし、水酸化ナトリウムを加えてpH5.7に調整する。更に精製水を加えて全量を100 gとし、撹拌する。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過して実施例52とした。
実施例52に記載の方法に従って、実施例53〜55を調製した。
円筒状のガラス容器にチロキサポール0.025 gを量り、60℃に加熱した精製水6 gを加えて溶かし、ブリンゾラミド1.0 g、ジルコニアイットリアビーズ12 gを加えて密封し、121℃で20分間加熱して冷却した後、50rpmで20時間回転させてブリンゾラミド懸濁液とした。別に、50 gの精製水に、カルテオロール塩酸塩2.0 g、エデト酸ナトリウム水和物0.01 g、プロピレングリコール1.0 gを量り取って溶かし、これに、カーボポール0.4 gを量り、60℃の精製水25 gを加えて均一に分散した液を加え、121℃にて20分間加熱した後、水酸化ナトリウムを加えてpH7.2とし、溶媒とした。ろ過によって、ジルコニアイットリアビーズを取り除いたブリンゾラミド懸濁液と溶媒を混合し、精製水を加えて100 gとし、実施例56とした。
実施例56に記載の方法に従って、実施例57〜59を調製した。
Claims (16)
- カルテオロール又はその医薬的に許容される塩及びエデト酸又はその医薬的に許容される塩を含む、点眼用医薬組成物。
- さらに等張化剤を含む、請求項1記載の医薬組成物。
- さらに持続化剤を含む、請求項1又は2のいずれか記載の医薬組成物。
- さらに緩衝剤及びpH調節剤を含む、請求項1〜3のいずれか記載の医薬組成物。
- さらにプロスタグランジンF2α誘導体を含む、請求項1〜4のいずれか記載の医薬組成物。
- さらに炭酸脱水酵素阻害剤を含む、請求項1〜5のいずれか記載の医薬組成物。
- さらに眼圧を降下させる作用を有する別の薬剤を含む、請求項1〜6のいずれか記載の医薬組成物。
- カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の含有量が組成物の全量に対し0.1〜5w/v%である、請求項1〜7のいずれか記載の医薬組成物。
- エデト酸又はその医薬的に許容される塩の含有量が組成物の全量に対し0.01〜0.2w/v%である、請求項1〜8のいずれか記載の医薬組成物。
- pHが5.0〜8.0である、請求項1〜9のいずれか記載の医薬組成物。
- 点眼剤である、請求項1〜10のいずれか記載の医薬組成物。
- 水性点眼剤又は懸濁性点眼剤である、請求項1〜11のいずれか記載の医薬組成物。
- マルチドーズ型点眼剤として用いるための、請求項1〜12のいずれか記載の医薬組成物。
- 緑内障又は高眼圧症の治療用である、請求項1〜13のいずれか記載の医薬組成物。
- カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をエデト酸又はその医薬的に許容される塩と組み合わせることを特徴とする、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の保存効力を、エデト酸又はその医薬的に許容される塩により増強する方法。
- カルテオロール又はその医薬的に許容される塩をエデト酸又はその医薬的に許容される塩と組み合わせることを特徴とする、カルテオロール又はその医薬的に許容される塩の光安定性を、エデト酸、アルギン酸又はその医薬的に許容される塩により改善する方法。
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