本明細書に記載されている本開示のシステムおよび方法は、他に断りがなければ、当業者の技量の範囲内で、分子生物学(組換え技法を含む)、細胞生物学、生化学、マイクロアレイおよび配列決定技術の従来技法および記載を用いることができる。斯かる従来技法は、ポリマーアレイ合成、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよびライゲーション、オリゴヌクレオチドの配列決定、ならびに標識を使用したハイブリダイゼーションの検出を含む。適した技法の具体的例証は、本明細書における例の参照により得ることができる。しかし、当然ながら等価な従来手順を使用することもできる。斯かる従来技法および記載は、Greenら編、Genome Analysis: A Laboratory Manual Series(I〜IV巻)(1999年);Weinerら編、Genetic Variation: A Laboratory Manual(2007年);Dieffenbach, Dveksler編、PCR Primer: A Laboratory Manual(2003年);BowtellおよびSambrook、DNA Microarrays: A Molecular Cloning Manual(2003年);Mount, Bioinformatics: Sequence and Genome Analysis(2004年);SambrookおよびRussell、Condensed Protocols from Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2006年);ならびにSambrookおよびGreen、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第4版(2012年)(全てCold Spring Harbor Laboratory Pressから出版);Stryer, L.、Biochemistry(第4版)W.H. Freeman, N.Y.(1995年);Gait「Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach」IRL Press, London(1984年);NelsonおよびCox、Lehninger, Principles of Biochemistry、第6版、W.H. Freeman Pub., New York(2012年);R.I. Freshney、Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique and Specialized Applications、第6版、Wiley−Blackwell(2010年);ならびにBergら、Biochemistry、第5版、W.H. Freeman Pub., New York(2002年)等の標準研究室マニュアルに見出すことができ、これらは全て、あらゆる目的のためにそれらの全体を参照により本明細書に組み込む。本組成物の前には、研究ツールならびにシステムおよび方法が記載されているが、記載されている特異的なシステムおよび方法、組成物、標的ならびに使用は当然ながら変動し得るため、本開示が、これらに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用されている用語法が、単に特定の態様を記載することを目的としており、本開示の範囲の限定を意図せず、本開示の範囲が、添付の特許請求の範囲のみによって限定されるであろうことも理解されたい。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそれ以外を明らかに指示しない限り、複数形の参照を含む。例えば、用語「1つの細胞(a cell)」は、その混合物を含む複数の細胞を含む。
用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定される、特定の値の許容される誤差範囲内を意味し、これは、一部には、値が測定または決定される仕方、すなわち、測定系の限界に依存するであろう。例えば、「約」は、当技術分野の実施にしたがって、1または1を超える標準偏差内を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%または最大1%の範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的系または過程に関して、この用語は、ある値の1桁以内、好ましくは、5倍以内、より好ましくは、2倍以内を意味することができる。本願および特許請求の範囲に特定の値が記載されている場合、他に記述がなければ、特定の値の許容される誤差範囲内を意味する用語「約」が仮定されるべきである。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、いずれかの長さのアミノ酸のポリマーを指すように、本明細書において互換的に使用されている。ポリマーは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。この用語は、天然にまたは介入によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識構成成分とのコンジュゲーション等、他のいずれかの操作もしくは修飾。この定義内には、例えば、アミノ酸の1種または複数のアナログ(例えば、非天然アミノ酸等を含む)および当技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。本明細書に記載されているポリペプチドは、抗体に基づくため、ポリペプチドが、単鎖または会合した鎖として発生し得ることが理解される。
用語「アミノ酸」は、DまたはL光学異性体、ならびにアミノ酸アナログおよびペプチド模倣物の両方が挙げられるがこれらに限定されない、天然、非天然および合成アミノ酸を指す。標準一文字または三文字コードが、アミノ酸の命名に使用される。
用語「天然L−アミノ酸」は、L光学異性体型のグリシン(G)、プロリン(P)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、システイン(C)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)およびスレオニン(T)を意味する。
配列に適用される場合、また、本明細書において、用語「天然に存在しない」は、哺乳動物に見出される野生型もしくは天然に存在する配列の対応物がない、それと相補的ではない、もしくはそれと高度な相同性を持たない、または天然に存在しない残基(例えば、ヌクレオチドアナログ)を含む、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を意味する。例えば、天然に存在しないポリペプチドまたは断片は、適切に整列された場合の天然配列と比較して、99%、98%、95%、90%、80%、70%、60%、50%以下またはさらに低いアミノ酸配列同一性を共有することができる。
用語「親水性」および「疎水性」は、物質が有する水との親和性の程度を指す。親水性物質は、水に対し強い親和性を有し、水に溶解する、水と混合する、または水で湿る傾向がある一方、疎水性物質は、水に対し親和性を実質的に欠き、水をはじき吸収しない傾向があり、水に溶解しないまたは水と混合しないまたは水で湿らない傾向がある。アミノ酸は、その疎水性に基づき特徴付けることができる。多数の尺度が開発された。一例は、Hopp, TPら、Proc Natl Acad Sci U S A(1981年)78巻:3824頁に収載されているLevitt, Mら、J Mol Biol(1976年)104巻:59頁によって開発された尺度である。「親水性アミノ酸」の例は、アルギニン、リジン、スレオニン、アラニン、アスパラギンおよびグルタミンである。親水性アミノ酸アスパラギン酸、グルタミン酸およびセリンならびにグリシンが特に興味深い。「疎水性アミノ酸」の例は、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、イソロイシンおよびバリンである。
タンパク質に適用される場合の「断片」は、治療および/または生物学的活性の少なくとも部分を保持していても保持していなくてもよい、ネイティブな生物学的に活性なタンパク質の切断型である。タンパク質に適用される場合の「バリアント」は、生物学的に活性なタンパク質の治療および/または生物学的活性の少なくとも部分を保持するネイティブな生物学的に活性なタンパク質に対し配列相同性を有するタンパク質である。例えば、バリアントタンパク質は、参照の生物学的に活性なタンパク質と比較して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%アミノ酸配列同一性を共有することができる。本明細書において、用語「生物学的に活性なタンパク質部分」は、例えば、部位特異的変異誘発、コード遺伝子の合成、挿入によって計画的に、または変異により偶発的に修飾されたタンパク質を含む。
ポリペプチドの文脈において、「直鎖状配列」または「配列」は、アミノからカルボキシル末端への方向でのポリペプチドにおけるアミノ酸の順序であり、この場合、配列において互いに隣接する残基は、ポリペプチドの一次構造において近接している。「部分的配列」は、一方向または両方向で追加的な残基を含むことが公知のポリペプチドの一部の直鎖状配列である。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1個の抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等、標的へ特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書において、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体のみならず、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv等)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質(ドメイン抗体等)、および抗原認識部位を含む他のいずれかの修飾された構成の免疫グロブリン分子も包含する。抗体は、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)等、いずれかのクラスの抗体を含み、抗体は、いずれか特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5種の主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、lgG1、lgG2、lgG3、lgG4、lgA1およびlgA2へとさらに分けることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成は周知である。
本明細書に提供される一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。本明細書において、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す。一般に、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して指向される。さらに、様々な決定基(エピトープ)に指向される様々な抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原における単一の決定基に対して指向される。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるものとしての抗体の特徴を示し、いずれか特定の方法による抗体の産生を要求するものとして解釈するべきではない。例えば、本開示に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、1975年、Nature、256巻:495頁によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作製することができる、または米国特許第4,816,567号に記載されているもの等の組換えDNA方法によって作製することができる。モノクローナル抗体は、例えばMcCaffertyら、1990年、Nature、348巻:552〜554頁に記載されている技法を使用して作製されたファージライブラリーから単離することもできる。
本明細書に提供される一部の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。本明細書において、「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、特異的キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合部分配列等)である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。殆どの部分に関して、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、このレシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基は、所望の特異性、親和性および生物学的活性を有する、マウス、ラットまたはウサギ等の非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基に置き換えられている。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入されたCDRまたはフレームワーク配列にも存在しないが、抗体性能をさらに洗練および最適化するために含まれる残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全てを含み、この可変ドメインにおいて、CDR領域の全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体は最適には、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも部分も含むであろう。抗体は、WO99/58572に記載されている修飾されたFc領域を有することができる。他の形態のヒト化抗体は、本来の抗体に関して変更された1個または複数のCDR(1、2、3、4、5、6)を有し、これは、本来の抗体由来の1個または複数のCDR「に由来する」1個または複数のCDRとも命名される。
本明細書に提供される一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。本明細書において、「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体を意味し、および/または当技術分野で公知のもしくは本発明のヒト抗体を作製するための技法のいずれかを使用して作製されている。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも1個のヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1個のヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。斯かる一例は、マウス軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を使用して産生することができる。一実施形態では、ヒト抗体は、ファージライブラリーから選択され、該ファージライブラリーは、ヒト抗体を発現する(Vaughanら、1996年、Nature Biotechnology、14巻:309〜314頁;Sheetsら、1998年、PNAS, (USA)95巻:6157〜6162頁;HoogenboomおよびWinter、1991年、J. Mol. Biol.、227巻:381頁;Marksら、1991年、J. Mol. Biol.、222巻:581頁)。ヒト抗体は、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化されたトランスジェニック動物、例えば、マウスにヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することにより作製することもできる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;および同第5,661,016号に記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対する抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化することにより調製することができる(斯かるBリンパ球は、個体から回収することができ、またはin vitroで免疫化されていてよい)。例えば、Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、77頁(1985年);Boernerら、1991年、J. Immunol.、147巻(1号):86〜95頁;および米国特許第5,750,373号を参照されたい。
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはこれらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってポリマーに取り込むことができるいずれかの基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびそのアナログ等、修飾ヌクレオチドを含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリマーのアセンブリーの前または後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識構成成分とのコンジュゲーションによる等、重合後にさらに修飾することができる。他の種類の修飾は、例えば、「キャップ」、例えば、無電荷連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート(phosphoamidate)、カルバメート等)および荷電連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)を有するもの、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ(ply)L−リジン等)等のペンダント部分を含有するもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレン等)を有するもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属等)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾連結(例えば、アルファアノマー核酸等)を有するもの、ならびに無修飾形態のポリヌクレオチド(複数可)等、アナログ、ヌクレオチド間修飾による天然に存在するヌクレオチドの1個または複数の置換を含む。さらに、糖に通常存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられ、標準保護基によって保護することも、もしくは活性化して、追加的なヌクレオチドへの追加的な連結を調製することができる、または固体支持体にコンジュゲートすることができる。5’および3’末端OHは、リン酸化され得る、または1〜20個の炭素原子のアミンもしくは有機キャッピング基部分で置換され得る。他のヒドロキシルを、標準保護基へと誘導体化することもできる。ポリヌクレオチドは、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環糖アナログ、α−アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソース等のエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログ、およびメチルリボシド等の脱塩基ヌクレオシドアナログを含む、一般に当技術分野で公知の類似形態のリボースまたはデオキシリボース糖を含有することもできる。1個または複数のホスホジエステル連結を代替連結基によって置き換えることができる。これらの代替連結基として、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール(formacetal)」)(式中、各RまたはR’が独立して、Hまたはエーテル(−O−)連結を任意選択で含有する置換もしくは未置換アルキル(1〜20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルジル(araldyl)である)によって置き換えられた実施形態が挙げられるがこれらに限定されない。ポリヌクレオチドにおける全ての連結が、同一である必要がある訳ではない。先行する記載は、RNAおよびDNAを含む、本明細書で参照される全ポリヌクレオチドに当てはまる。
抗体の「可変領域」は、単独でのまたは組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、超可変領域としても公知の3個の相補性決定領域(CDR)によって接続された4個のフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖におけるCDRは、FRによってごく近接して一体に保持され、他の鎖由来のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための少なくとも2種の技法が存在する:(1)異種間配列可変性に基づくアプローチ(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版、1991年、National Institutes of Health、Bethesda MD));および(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al−lazikaniら(1997年)J. Molec. Biol.273巻:927〜948頁))。本明細書において、CDRは、いずれか一方のアプローチまたは両方のアプローチの組み合わせによって定義されるCDRを指すことができる。
抗体の「定常領域」は、単独でのまたは組み合わせた、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。
抗体またはポリペプチドに「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書において互換的に使用)エピトープは、当技術分野で十分に理解された用語であり、斯かる特異的または優先的結合を決定するための方法も当技術分野で周知である。分子は、代替細胞または物質よりも高頻度で、より迅速に、より優れた持続時間でおよび/または、より優れた親和性で特定の細胞または物質と反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われている。抗体は、他の物質に結合するよりも優れた親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより優れた持続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、IL−6Rエピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、他のIL−6Rエピトープまたは非IL6Rエピトープに結合するよりも優れた親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより優れた持続時間で、このエピトープに結合する抗体である。さらに別の例として、第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(または他の部分)は、第2の標的に特異的にまたは優先的に結合してもしなくてもよい。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を必ずしも要求しない(これを含み得るが)。一般に、ただし必ずそうとは限らないが、結合の参照は、優先的結合を意味する。
「宿主細胞」は、外来性ポリヌクレオチドを含むベクター(複数可)のレシピエントであり得るまたはそうであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、天然、偶発的または計画的変異により、本来の親細胞と必ずしも完全に同一でなくてよい(形態またはゲノムDNA総量(complement)において)。宿主細胞は、本開示のポリヌクレオチド(複数可)をin vivoでトランスフェクトした細胞を含む。
用語「Fc領域」は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。「Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域またはバリアントFc領域であり得る。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、位置Cys226またはPro230のアミノ酸残基からそのカルボキシル末端へと伸びるものと定義される。Fc領域における残基のナンバリングは、Kabatと同様のEU指標のナンバリングである。Kabatら、Sequences of Proteins of Imunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1991年。免疫グロブリンのFc領域は一般に、2個の定常ドメインCH2およびCH3を含む。
本明細書において、「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明する。好まれるFcRは、ネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好まれるFcRは、IgG抗体に結合するFcRであり(ガンマ受容体)、これらの受容体のアレルバリアントおよび選択的スプライス型を含む、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を含む。FcγRII受容体は、その細胞質ドメインが主に異なる同様のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含む。FcRは、RavetchおよびKinet、1991年、Ann. Rev. Immunol.、9巻:457〜92頁;Capelら、1994年、Immunomethods、4巻:25〜34頁;ならびにde Haasら、1995年、J. Lab. Clin. Med.、126巻:330〜41頁に概説されている。「FcR」は、胎児への母体IgGの移行の原因となる新生児受容体FcRnも含む(Guyerら、1976年、J. Immunol.、117巻:587頁;およびKimら、1994年、J. Immunol.、24巻:249頁)。
「補体依存性細胞傷害」および「CDC」は、補体の存在下での標的の溶解を指す。補体活性化経路は、同族抗原と複合体形成した分子(例えば、抗体)への補体系の第一成分(C1q)の結合によって惹起される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoroら、J. Immunol. Methods、202巻:163頁(1996年)に記載されているCDCアッセイを行うことができる。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1種のエフェクター機能を保有する。例示的な「エフェクター機能」は、C1q結合;補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方調節等を含む。斯かるエフェクター機能は一般に、Fc領域が、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされることを要求し、斯かる抗体エフェクター機能を評価するための当技術分野で公知の様々なアッセイを使用して評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、自然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「バリアントFc領域」は、少なくとも1個のアミノ酸修飾によってネイティブ配列Fc領域とは異なるアミノ酸配列を含むが、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1種のエフェクター機能を保持する。好ましくは、バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域における、少なくとも1個のアミノ酸置換、例えば、約1〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバリアントFc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%配列同一性を保有し、最も好ましくは、それと少なくとも約90%配列同一性、より好ましくは、それと少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%配列同一性を保有するであろう。
本明細書において、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」および「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)が、標的細胞における結合した抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性反応を指す。目的の分子のADCC活性は、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されているもの等、in vitro ADCCアッセイを使用して評価することができる。斯かるアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびNK細胞を含む。それに代えてまたはその上、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynesら、1998年、PNAS (USA)、95巻:652〜656頁に開示されているもの等の動物モデルにおいて、in vivoで評価することができる。
後述する通り最大一致のために整列した場合に2種の配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同じである場合、2種のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、「同一」であると言われる。2種の配列の間の比較は典型的に、比較ウィンドウにわたって配列を比較して、配列類似性の局所領域を同定および比較することにより行われる。
比較のための配列の最適整列は、デフォルトパラメータを使用した、バイオインフォマティクスソフトウェアのLasergene一式におけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.、Madison、WI)を使用して行うことができる。このプログラムは、次の参考文献に記載されているいくつかの整列スキームを具体化する:Dayhoff, M.O.(1978年)A model of evolutionary change in proteins − Matrices for detecting distant relationships.、Dayhoff, M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、Washington DC内、5巻、追補3号、345〜358頁;Hein J.、1990年、Unified Approach to Alignment and Phylogenes、626〜645頁、Methods in Enzymology、183巻、Academic Press, Inc.、San Diego、CA;Higgins, D.G.およびSharp, P.M.、1989年、CABIOS 5巻:151〜153頁;Myers, E.W.およびMuller W.、1988年、CABIOS 4巻:11〜17頁;Robinson, E.D.、1971年、Comb. Theor.11巻:105頁;Santou, N., Nes, M.、1987年、Mol. Biol. Evol.、4巻:406〜425頁;Sneath, P.H.A.およびSokal, R.R.、1973年、Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、San Francisco、CA;Wilbur, W.J.およびLipman, D.J.、1983年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80巻:726〜730頁。デフォルトパラメータの使用による等、配列同一性(identify)の評価に使用することもできるBLASTアルゴリズムが挙げられるがこれに限定されない、代替整列プログラムを利用することができる。
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較のウィンドウ(例えば、少なくとも20位置の)にわたって2種の最適に整列された配列を比較することにより決定され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2種の配列の最適整列のために、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して、20パーセントまたはそれに満たない(例えば、5〜15パーセントまたは10〜12パーセントの)ギャップ等、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含むことができる。パーセンテージは典型的に、両方の配列において同一核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、この結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。
「個体」または「対象」は、哺乳動物、より好ましくは、ヒトである。哺乳動物として、家畜、狩猟用動物(sport animal)、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットも挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において、「ベクター」は、宿主細胞に1種または複数の目的の遺伝子(複数可)または配列(複数可)を送達し、好ましくはこれを宿主細胞で発現させることができる構築物を意味する。ベクターの例として、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤に会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームに被包されたDNAまたはRNA発現ベクター、ならびに産生用細胞等のある特定の真核細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
用語「有効量」または「治療有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な薬剤の量を指す。治療有効量は、次のうち1種または複数に応じて変動し得る:当業者であれば容易に決定することができる、処置されている対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与の様式その他。活性薬剤の有効量は、単一用量または複数用量で投与することができる。構成成分は、本明細書に記載されているいずれか等、特定の目標または目的に関連付けられた量等、少なくとも有効量、または少なくとも所望の結果の産生に有効な量を有すると本明細書に記載することができる。
用語「有効量」は、適切なイメージング方法による検出のための画像をもたらすであろう用量にも適用される。具体的な用量は、次のうち1種または複数に応じて変動し得る:選択された特定の薬剤、従うべき投薬レジメン、他の化合物と組み合わせて投与されるか否か、投与のタイミング、イメージングされる組織、およびこれを運ぶ物理的送達系。
本明細書において、「薬学的に許容される担体」または「許容される薬学的賦形剤」は、活性成分と組み合わされたときに、この成分が生物学的活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非反応性である、いずれかの材料を含む。例として、リン酸緩衝食塩水溶液、水、油/水エマルション等のエマルション、および様々な種類の湿潤剤等、標準薬学的担体のいずれかが挙げられるがこれらに限定されない。エアロゾルまたは非経口的投与に好まれる希釈剤は、リン酸緩衝食塩水または通常の(normal)(0.9%)食塩水である。斯かる担体を含む組成物は、周知の従来方法によって製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A. Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990年;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000年を参照)。
抗体
本開示は、IL−6Rに結合することができる抗体、その使用およびこれを作製する方法を提供する。一態様では、本開示は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、(a)重鎖は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、および配列番号89から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;(b)抗体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、または配列番号89の重鎖および配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、または配列番号90の軽鎖を含む抗体に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;(c)軽鎖は、配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、および配列番号90から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性(identify)を有するアミノ酸配列を含み;(d)重鎖は、配列番号1に関する位置51、57、58、99、103、106および116に1個または複数の変異を含み;(e)軽鎖は、配列番号2に関する位置89および93に1個または複数の変異を含み;(f)重鎖は、配列番号1に関する1個または複数の変異を含み、残基57は、メチオニン(M)へと変異され;(g)抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、1nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有し;(h)抗体は、配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性を超える、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し;(i)抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性を超える、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し;(j)抗体は、MTS細胞増殖アッセイにおいて0.032μg/mLまたはそれに満たない濃度で、72時間後にDS−1細胞の増殖を少なくとも40%阻害し;(k)抗体は、MTS細胞増殖アッセイにおいて決定される場合、配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体のIC50よりも低いIC50によってDS−1細胞の増殖を阻害し;(l)抗体は、MTS細胞増殖アッセイにおいて決定される場合、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体のIC50よりも低いIC50によってDS−1細胞の増殖を阻害し;(m)抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体のpH依存性よりも高いIL−6Rに対する結合親和性のpH依存性を有し、pH依存性は、pH7.4におけるIL−6Rに対する結合親和性と、pH6.0におけるIL−6Rに対する結合親和性との間の比として定義され;(n)(1)配列番号3および配列番号4および/または(2)配列番号1および配列番号2を含有しない;あるいは(o)これらの任意の組み合わせである。
別の態様では、本開示は、抗体を提供し、抗体は、(a)重鎖および軽鎖を含み、重鎖は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、および配列番号89から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、および配列番号90から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性(identify)を有するアミノ酸配列を含み;(b)37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、1nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有し;(c)(a)配列番号3および配列番号4ならびに(b)配列番号1および配列番号2を含有しない。
さらに別の態様では、本開示は、抗体を提供し、抗体は、(a)重鎖および軽鎖を含み、重鎖は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、および配列番号89から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、および配列番号90から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性(identify)を有するアミノ酸配列を含み;(b)配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性を超える、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し;(c)配列番号3および配列番号4を含有しない。
またさらに別の態様では、本開示は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、(a)抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性を超える、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し;(b)抗体は、MTS細胞増殖アッセイにおいて0.032μg/mLまたはそれに満たない濃度で、72時間後にDS−1細胞の増殖を少なくとも40%阻害する。
またさらに別の態様では、本開示は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、(a)重鎖は、配列番号1に関する位置51、57、58、99、103、106および116に1個または複数の変異を含み;および/または(b)軽鎖は、配列番号2に関する位置89および93に1個または複数の変異を含み;(c)抗体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、または配列番号89の重鎖および配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、または配列番号90の軽鎖を含む抗体に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
またさらに別の態様では、本開示は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、(a)重鎖は、配列番号1に関する1個または複数の変異を含み、残基57は、メチオニン(M)へと変異され;(b)軽鎖は、配列番号4もしくは配列番号2またはその両方に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;(c)抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、1nMまたはそれに満たないヒトIL−6Rに対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有する。
配列同一性
本明細書で同定されるアミノ酸配列に関する配列同一性は、配列を整列し、必要であればギャップを導入して、最大パーセント配列同一性を達成した後に、第2の参照ポリペプチド配列またはその部分のアミノ酸残基と同一であり、配列同一性の部分としていかなる保存的置換も考慮しない、問い合わせ配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的での整列は、当業者の技量の範囲内の様々な仕方で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたる最大整列の達成に必要ないずれかのアルゴリズムを含む、整列の測定に適切なパラメータを決定することができる。パーセント同一性は、定義されるポリペプチド配列全体の長さにわたって測定することができる、またはより短い長さ、例えば、より大きい定義されるポリペプチド配列から得られた断片、例えば、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70もしくは少なくとも150個の近接する残基の断片の長さにわたって測定することができる。斯かる長さは、単に例示的であり、表、図または配列表において本明細書に示す配列によって支持されるいかなる断片長を使用して、パーセンテージ同一性を測定することができる長さを表してよいことが理解される。一部の実施形態では、パーセント同一性は、本明細書に提供される配列等、記述されている参照配列の全長に関して決定される。例えば、本開示の2種のアミノ酸配列(またはそのより短い長さ)の間の配列比較は、Nation Center for Biotechnology Information(NCBI)によってオンラインで提供されるコンピュータプログラムBlastp(タンパク質−タンパク質BLAST)によって行うことができる。所与のアミノ酸配列Bに対する所与のアミノ酸配列Aのパーセンテージアミノ酸配列同一性(これはあるいは、所与のアミノ酸配列Bに対してある特定の%アミノ酸配列同一性を有する所与のアミノ酸配列Aとして表現することができる)は、次式によって計算される:
(式中、Xは、配列整列プログラムBLASTによって、AおよびBの該プログラムの整列において同一マッチとしてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、AまたはBのどちらか短い方におけるアミノ酸残基の総数である)。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、および配列番号89から選択される参照に対して高度な配列同一性を示す重鎖、および/または配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、および配列番号90から選択される配列に対して高度な配列同一性を示す軽鎖を含む。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、および配列番号89から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、および配列番号90から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、および配列番号89から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖、ならびに配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、および配列番号90から選択される配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、および配列番号89、ならびに配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、および配列番号90に例証されている重鎖および軽鎖の任意の組み合わせが本明細書に具体化されている。
本明細書に提供される一部の実施形態では、抗体は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、または配列番号89の重鎖および配列番号2、配列番号4、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、または配列番号90の軽鎖を含む抗体に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号26の配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号4の配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号26の配列に対して70%を超える、75%を超える、80%を超える、85%を超える、90%を超える、95%を超える、96%を超える、97%を超える、98%を超える、99%を超える、99.5%を超えるおよび100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに配列番号4の配列に対して70%を超える、75%を超える、80%を超える、85%を超える、90%を超える、95%を超える、96%を超える、97%を超える、98%を超える、99%を超える、99.5%を超えるおよび100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号28の配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号4の配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号28の配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに配列番号4の配列に対して約70%またはそれを超える、約75%またはそれを超える、約80%またはそれを超える、約85%またはそれを超える、約90%またはそれを超える、約95%またはそれを超える、約96%またはそれを超える、約97%またはそれを超える、約98%またはそれを超える、約99%またはそれを超える、約99.5%またはそれを超えるおよび約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号3および配列番号4を含有しない。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1および配列番号2を含有しない。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、(a)配列番号3および配列番号4ならびに(b)配列番号1および配列番号2を含有しない。
変異
本明細書に提供される一部の実施形態では、本明細書に記載されている対象抗体は、参照配列に関する1個または複数の変異を有することができる。変異は、アミノ酸残基に対する欠失、挿入もしくは付加、または置き換えもしくは置換であり得る。「欠失」は、1個または複数のアミノ酸残基の非存在によるアミノ酸配列の変化を指す。「挿入」または「付加」は、参照配列と比較して1個または複数のアミノ酸残基の付加をもたらすアミノ酸配列の変化を指す。「置き換え」または「置換」は、異なるアミノ酸による1個または複数のアミノ酸の置き換えを指す。本開示の文脈において、参照配列に関する対象抗体またはその一部の変異は、参照配列と対象抗体またはその一部との比較によって決定することができる。比較のための配列の最適整列は、当技術分野の公知方法のいずれかに従って行うことができる。
変異は、変異部位によって同定することができる。変異部位は、欠失、付加または置換が起こる、参照配列における位置である。参照配列におけるアミノ酸残基は、N末端からC末端へとナンバリングされ、変異部位は、欠失、付加または置換が起こるアミノ酸残基のナンバリングである。例えば、参照配列における位置26は、N末端から開始して26番目のアミノ酸残基が位置する位置である。
本開示の文脈において、特異的位置における1個の変異は、参照配列における、特異的位置における1個のアミノ酸残基の欠失、特異的位置におけるあるアミノ酸残基の別のアミノ酸残基による置換、または特異的位置および特異的位置の後の位置の間への(または特異的位置におけるアミノ酸残基が最後のアミノ酸残基である場合は特異的位置の後への)1個もしくは複数のアミノ酸残基の付加を意味するよう意図される。
参照配列に関する変異を記載する目的のため、一文字アミノ酸コードを使用することができる。この点において、例えば、対象抗体が、参照配列に関する「G26I」と記載することができる、位置26におけるGからIへの変異を含むと言われる場合、参照配列によるとグリシン(G)残基である26番目のアミノ酸残基が、対象抗体またはその一部ではアラニン残基によって置換されていることを意味するよう意図される。本開示の文脈において、例えば、対象抗体が、参照配列に関する「G26del」と記載することができる、位置26におけるグリシン(G)残基の欠失を含むと言われる場合、参照配列によるとグリシン(G)残基である26番目のアミノ酸残基が、対象抗体またはその一部には存在しないことを意味するよう意図される。本開示の文脈において、例えば、対象抗体が、「G26_ins」に続く付加されたアミノ酸残基のリストで記載することができる、位置26のグリシン(G)残基の後に1個または複数のアミノ酸残基の付加を含むと言われる場合、収載されている1個または複数のアミノ酸残基が、グリシン(G)である26番目のアミノ酸残基および27番目のアミノ酸の間に、または(参照配列による26番目のアミノ酸残基が最後のアミノ酸残基である場合)グリシン(G)である26番目のアミノ酸残基の後に付加されていることを意味するよう意図される。
一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖における1個または複数の変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、Fvフレームワーク領域(FR)のうち1個もしくは複数および/または相補性決定領域(CDR)のうち1個もしくは複数に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HFR1、HFR2、HFR3およびHFR4のうち1、2、3または4個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HCDR1、HCDR2およびHCDR3のうち1、2または3個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HFR1、HFR2、HFR3およびHFR4のうち1、2、3または4個に位置する1個または複数の変異、ならびにHCDR1、HCDR2およびHCDR3のうち1、2または3個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HFR1、HFR2、HCDR2、HFR3、HCDR3およびHFR4のうち1、2、3、4、5または6個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HFR1、HCDR2、HFR3、HCDR3およびHFR4のうち1、2、3、4または5個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HFR1、HCDR2、HCDR3およびHFR4のうち1、2、3または4個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HFR1、HCDR2、HCDR3およびHFR4のうち1、2、3または4個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HFR1、HCDR2およびHCDR3のうち1、2または3個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HCDR2、HCDR3およびHFR4のうち1、2または3個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の重鎖は、HCDR2およびHCDR3のうち1または2個に位置する1個または複数の変異を含む。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれよりも多い変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置25、48、51、57、58、59、69、71、99、103、106、108、116、119、123、136および209における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置25、51、57、58、59、69、71、99、103、106、108、116、119、123、136および209における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置25、51、57、58、59、99、103、106、108、116、119、123、136および209における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置51、57、58、59、99、103、106、108、116、119、123、136および209における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置51、57、58、59、99、103、106、108、116、119、123、136および209における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置25、51、57、58、59、99、103、106、108、116および119における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置25、51、57、58、59、99、103、106および108における1、2、3、4、5、6、7、8、9個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置51、57、58、59、99、103、106および108における1、2、3、4、5、6、7個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置51、57、99、103、106および108における1、2、3、4、5個またはそれよりも多い変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖の位置51、57、99および103における1、2、3個またはそれよりも多い変異を含む。
一部の実施形態では、対象抗体は、Y51F、Y51W、Y51K、Y51RまたはY51H;I57M;T58I;P62A;T69S;L71V;S99C、S99TまたはS99N;T103I、T103A、T103G、T103L、T103M、T103YまたはT103R;M106I;Y108F;T116I;S119A;K123E;S136N;およびS209Gから選択される、配列番号1に関する重鎖における1、2、3、4、5個またはそれよりも多い変異を含む。一部の実施形態では、対象抗体は、Y51F;I57M;T58I;S99C;T103I;M106I;およびY108Fから選択される、配列番号1に関する重鎖における1、2、3、4、5個またはそれよりも多い変異を含む。一部の実施形態では、対象抗体は、Y51F;I57M;S99C;T103I;M106I;およびY108Fから選択される、配列番号1に関する重鎖における1、2、3、4個またはそれよりも多い変異を含む。
さらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖における変異I57Mを含む。さらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する変異T58Iを含む。さらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖における変異S99CまたはS99Tを含む。さらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖における変異T103M、T103I、T103G、T103L、T103YまたはT103Rを含む。さらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する変異M106Iを含む。さらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖における変異Y108Fを含む。
またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖におけるY51F、I57M、T58I、S99CおよびT103Iを含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖におけるY51F、I57M、S99C、T103IおよびT116Iを含む。またさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖におけるY51F、I57M、S99CおよびT103Iを含む。なおさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖におけるY51F、I57M、S99TおよびT103Iを含む。またなおさらなる実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖におけるY51F、I57M、S99NおよびT103Iを含む。
一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号2に関する軽鎖における1個または複数の変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、CDRのうち1個または複数に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のうち1、2または3個に位置する1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、LCDR1に1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、LCDR2に1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、LCDR3に1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は配列番号2に関して変異を含まない。
一部の実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関する1個または複数の変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関する位置27、33、50、55、56、89、92、93および97に1、2、3、4個またはそれよりも多い変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関する位置50、55、56、89、92、93および97に1、2、3、4個またはそれよりも多い変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関する位置89、92、93および97に1、2、3個またはそれよりも多い変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関する位置89および93に1個または複数の変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関する位置89および93に変異を含む。
一部の実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関するQ27H;L33P;Y50S;H55Y、H55QまたはH55R;S56P;Q89GまたはQ89K;N92D;T93R;およびT97Nから選択される1個または複数の変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関するY50S;H55Y、H55QまたはH55R;S56P;Q89GまたはQ89K;N92D;T93R;およびT97Nから選択される1個または複数の変異を含む。さらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関するQ89GまたはQ89K;N92D;T93R;およびT97Nから選択される1個または複数の変異を含む。またさらなる実施形態では、対象抗体の軽鎖は、配列番号2に関する変異(i)Q89GまたはQ89Kおよび(ii)N92Dを含む。
一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1に関する重鎖における1個または複数の変異および配列番号2に関する軽鎖における1個または複数の変異を含む。この目的のため、重鎖における変異パターンおよび軽鎖における変異パターンは、いずれか望ましい様式で組み合わせることができる。
一部の実施形態では、対象抗体は、次の、1#、2#、3#、5#、6#、7#、8#、9#、11#、12#、13#、14#、15#、16#、17#、18#、20#、24#、26#、27#、28#、29#、30#、31#、35#、45#、49#、50#、51#、56#、57#、58#、60#、61#、62#、64#、66#、68#、201#、202#、203#、204#、205#、206#、208#、52#、54#、55#、59#、69#、209#、214#、215#、216#、217#、218#、219#、220#、221#、222#、223#、224#、225#、226#、227#、228#、229#、230#、231#、232#、233#、234#、235#、236#、237#、238#、239#、240#、241#、242#、243#、244#、245#、246#、247#、248#、249#、250#、251#、252#、253#、254#、255#、256#、257#、258#、259#、260#、261#、262#、263#、264#、265#および266#のうちいずれか1種であり得る。
対象抗体は典型的に、IL−6受容体に対する高い結合親和性を示す。一部の実施形態では、IL−6受容体は、ヒトIL−6Rである。本明細書に提供される一部の実施形態では、IL−6受容体は、配列番号91のアミノ酸配列を有する。
溶液中のまたはアレイに固定化されたIL−6Rに対する分子の結合親和性は、当技術分野で公知の検出技法を使用して検出することができる。斯かる技法の例として、競合的結合アッセイおよびサンドイッチアッセイ等の免疫学的技法;共焦点スキャナ、共焦点顕微鏡またはCCDに基づくシステム等の機器を使用した蛍光検出、および蛍光、蛍光偏光(FP)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、全反射照明蛍光(TIRF)、蛍光相関分光法(FCS)等の技法;比色/分光測定技法;表面に吸着された材料の質量の変化が測定される、表面プラズモン共鳴(SPR);従来の放射性同位元素結合およびシンチレーション近接アッセイ(SPA)を含む、放射性同位元素を使用した技法;マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI)およびMALDI−飛行時間型(TOF)質量分析等の質量分析;タンパク質フィルムの厚さを測定する光学的方法である楕円偏光法;表面に吸着する材料の質量を測定するための超高感度方法である、水晶振動子マイクロバランス(QCM);原子間力顕微鏡(AFM)、走査フォース顕微鏡(SFM)または走査型電子顕微鏡(SEM)等の走査型プローブ顕微鏡;ならびに電気化学的、インピーダンス、音響、マイクロ波およびIR/ラマン検出等の技法が挙げられる。例えば、これらのそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、Mere Lら「Miniaturized FRET assays and microfluidics: key components for ultra−high−throughput screening」Drug Discovery Today 4巻(8号):363〜369頁(1999年)およびそこに引用されている参考文献;Lakowicz J R、Principles of Fluorescence Spectroscopy、第2版、Plenum Press(1999年)またはJain KK:Integrative Omics, Pharmacoproteomics, and Human Body Fluids.:Thongboonkerd V編(ed., ed.)Proteomics of Human Body Fluids: Principles, Methods and Applications.、1巻内:Totowa, N.J.:Humana Press、2007年を参照されたい。
本明細書に提供される一部の実施形態では、IL−6Rに対する対象抗体の結合親和性は、表面プラズモン共鳴によって測定される。Biacore(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(GE Healthcare、Chicago IL)を使用して、対象抗体の結合親和性を測定することができる。例示的なSPR解析システムとして、Biacore X100、Biacore T200、Biacore 3000またはBiacore 4000機器、および商業的センサーチップシリーズが挙げられるがこれらに限定されない。Biacoreシステムの代表的な適用において、ある範囲の分析物濃度にわたる時間関数として相互作用をモニターし、次いで全データセットを、相互作用を記載する数学的モデルに適合させることにより、相互作用動態が解析される。会合相(試料注射中)は、会合および解離過程の両方に関する情報を含有するが、解離相(バッファー流動が、解離した分析物分子を除去する、試料注射後)では解離のみが発生する。当業者であれば、製造業者のマニュアルに従った結合親和性アッセイの実行に適切なパラメータおよび/または条件を選択または決定することができる。一部の実施形態では、対象抗体の結合親和性は、37℃で表面プラズモン共鳴によって決定される。
IL−6受容体に対する対象抗体の結合親和性は、ka、kdまたはKDによって特徴付けることができる。用語「ka」は、本明細書において、抗原への抗体の会合の速度定数を指すように意図される。用語「kd」は、本明細書において、抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数を指すように意図される。用語「KD」は、本明細書において、抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指すように意図される。本開示の目的のため、KDは、2種の動態速度定数の比ka/kdとして定義される。平衡解離定数が小さいほど、対象抗体およびIL−6Rは互いに緊密に結合する。生物学的系において、優れた特異的結合剤は典型的に、10−9〜10−7Mの範囲内の解離定数を有する。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、1nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有する。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、0.1nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有する。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、0.05nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有する。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、0.01nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有する。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、0.005nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有する。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、37℃の表面プラズモン共鳴によって決定される場合、0.001nMまたはそれに満たないヒトIL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示し、IL−6Rは、配列番号91に示すアミノ酸配列を有する。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性を超える、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示す。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性の少なくとも2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500または1000倍の、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示す。
本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性に匹敵する、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示す。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性を超える、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示す。本明細書に提供される一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の親和性の少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100倍の、IL−6受容体(IL−6R)に対する結合親和性(KD)を示す。
一部の実施形態では、対象抗体の結合は、pH依存性を有する。本開示の文脈において、pH依存性は、pH7.4におけるIL−6Rに対する結合親和性と、pH6.0におけるIL−6Rに対する結合親和性との間の比として定義される。pH依存性は、pH7.4からpH6.0への結合親和性の減少倍率、またはpH7.4からpH6.0への結合親和性の増加倍率の形態であり得る。一部の実施形態では、pH依存性は、pH6.0におけるKD値と、pH7.4におけるKD値との間の比として計算され、pH依存性、すなわち、比は、pH7.4からpH6.0への親和性減少倍率を示す。本明細書に記載されている対象抗体のpH依存性が、1を超える場合、これは、抗体が、pH7.4におけるIL−6Rへのその結合がpH6.0におけるよりも高いようなpH依存性様式で、IL−6Rに結合することを意味する。本明細書に記載されている対象抗体のpH依存性が、1よりも低い場合、これは、抗体が、pH6.0におけるIL−6Rへのその結合がpH7.4におけるよりも高いようなpH依存性様式で、IL−6Rに結合することを意味する。結合を中性条件下で維持するが、酸性条件下で有意に低下させる能力は、酸性条件における抗原からの対象抗体の解離を可能にし、これにより、リソソームによる分解を回避し、プラズマへと戻り、そこで、再度抗原に結合することができる。斯かるpH依存性結合パターンを有する対象抗体は、pH非依存的機序で結合するその対応物と比べて、抗原中和およびクリアランスの観点から優れた特性を有する。
一部の実施形態では、本明細書に提供される対象抗体は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40またはそれよりも多い等、1よりも高いIL−6Rに対する結合親和性のpH依存性を有する。一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体よりも高い、IL−6Rに対する結合親和性のpH依存性を有する。一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍の、IL−6Rに対する結合親和性のpH依存性を有する。一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体よりも高い、IL−6Rに対する結合親和性のpH依存性を有する。一部の実施形態では、対象抗体は、配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍の、IL−6Rに対する結合親和性のpH依存性を有する。
一部の実施形態では、対象抗体は、そのIL−6受容体に対し阻害活性を示す。IL−6受容体の阻害は、下流バイオマーカーまたは細胞増殖を測定することにより評価することができる。IL−6受容体に対する対象抗体の阻害活性は、DS−1細胞(ATCC受託番号CRL 11102)増殖によって評価することができる。図1に示す通り、DS−1細胞増殖は、IL−6RへのIL−6の結合およびその後の細胞シグナリング経路活性化に依存する。IL−6Rへの本明細書に提供される対象抗体の結合は、利用できるIL−6Rの量を低下させ、よって、DS−1細胞増殖の阻害に相関する。
DNA合成細胞増殖アッセイ、代謝性細胞増殖アッセイ、増殖マーカーを検出するアッセイ、およびATP濃度を測定するアッセイが挙げられるがこれらに限定されない、異なる種類のアッセイが、細胞増殖の評価に利用できる。DNA合成細胞増殖アッセイにおいて、増殖している細胞のDNAは、放射性となるように標識され、標識を洗浄し、フィルターに接着し、次いでシンチレーションカウンターを使用して測定することができる。代謝性細胞増殖アッセイにおいて、代謝的に活性な細胞において還元され、ホルマザン色素を形成し、これがその後、培地の色を変化させる、MTT、XTT、MTSおよびWST等、テトラゾリウム塩を使用することができる。増殖マーカーを検出するアッセイにおいて、モノクローナル抗体を使用して、Ki−67、PCNA、トポイソメラーゼIIBおよびホスホ−ヒストンH3等、細胞増殖および/または細胞周期調節の一般的マーカーを標的とすることができる。ATP濃度の測定のため、酵素ルシフェラーゼおよびその基質ルシフェリンを使用して、ATPの生物発光に基づく検出を使用することができる。
MTS細胞増殖アッセイを使用して、DS−1細胞の増殖を測定することができる。MTS(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム)は、フェナジンメトサルフェート(PMS)の存在下で、発色したホルマザン産物を産生する。発色したホルマザン産物は、リン酸緩衝食塩水において490〜500nmで吸収最大を有し、この測定は、DS−1細胞の増殖の評価、よって、対象抗体の阻害活性の評価をもたらす。
一部の実施形態では、対象抗体は、少なくとも配列番号1のアミノ酸配列の重鎖および配列番号2のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体と同じほど有効に、DS−1細胞の増殖を阻害する。さらなる実施形態では、対象抗体は、少なくとも配列番号3のアミノ酸配列の重鎖および配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖を含む抗体と同じほど有効に、DS−1細胞の増殖を阻害する。一部の実施形態では、本明細書に記載されている対象抗体は、0.5μg/ml、0.25μg/ml、0.1μg/ml、0.05μg/ml、0.04μg/ml、0.035μg/ml、0.034μg/ml、0.033μg/ml、0.032μg/ml、0.031μg/ml、0.03μg/ml、0.02μg/ml、0.01μg/mlまたはそれに満たない濃度において、DS−1細胞の増殖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれよりも多く阻害する。
本明細書で具体化されている抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒトまたはヒト化抗体であり得る。用語「ヒト抗体」は、本明細書において、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むように意図される。さらに、抗体が、定常領域を含有する場合、定常領域も、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基を含むことができる(例えば、in vitroにおけるランダムもしくは部位特異的変異誘発またはin vivoにおける体細胞変異によって導入された変異)。しかし、用語「ヒト抗体」は、本明細書において、マウス等の別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むように意図されない。用語「ヒト化抗体」は、マウス等の別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を指すように意図される。ヒトフレームワーク配列内に追加的なフレームワーク領域修飾が為されてよい。用語「キメラ抗体」は、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体等、可変領域配列がある1種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体を指すように意図される。
さらに、対象抗体は、いずれかのアイソタイプのものであり得る。アイソタイプの選択は典型的に、ADCC誘導等、所望のエフェクター機能によってガイドされるであろう。例示的なアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4である。ヒト軽鎖定常領域のカッパーまたはラムダのいずれが使用されてもよい。所望であれば、抗体のクラスが公知方法によってスイッチされてよい。例えば、本来IgMであった抗体は、IgG抗体へとクラススイッチされてよい。さらに、クラススイッチング技法を使用して、あるIgGサブクラスを別のIgGサブクラスへと、例えば、IgG1からIgG2へと変換することができる。よって、本明細書に記載されている抗体のエフェクター機能は、様々な治療用途のため、アイソタイプスイッチングによって例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgEまたはIgM抗体へと変化させることができる。一実施形態では、抗体は、IgG1抗体である。
一部の実施形態では、本明細書に提供される対象抗体は、モノクローナル抗体である。対象抗体は、ハイブリドーマプロセスまたは組換えDNAプロセスによって調製することができる。ハイブリドーマプロセスの典型例は、KohlerおよびMilstein(Nature、256巻:495頁(1975年))の方法である。この方法の細胞融合ステップにおいて使用される抗体産生細胞は、抗原(ヒトIL−6受容体、その部分的ペプチド、またはこれらを発現する細胞)で免疫化された動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、サル、ヤギ)の脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血白血球等である。抗原を、培養培地中で、免疫化されていない動物から先立って単離された上述の細胞またはリンパ球に作用させることにより得られる抗体産生細胞を使用することも可能である。骨髄腫細胞として、公に知られた様々な細胞系統を使用することができる。抗体産生細胞および骨髄腫細胞は、相互に融合可能であれば、異なる動物種に起源をもつことができる;しかし、同じ動物種起源のものであることが好ましい。例えば、ハイブリドーマは、抗原で免疫化したマウスから得られる脾臓細胞と、マウス骨髄腫細胞との間の細胞融合によって産生され、その後のスクリーニングにより、ヒトIL−6Rに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。ヒトIL−6Rに対するモノクローナル抗体は、ハイブリドーマの培養物によって、またはハイブリドーマを投与した哺乳動物の腹水から産生することができる。
一部の実施形態では、対象抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体の作製において、フレームワーク残基の選択は、高い結合親和性の保持において重大な意味を持ち得る。原則として、いずれかのHuAb由来のフレームワーク配列は、CDRグラフトの鋳型として機能し得る;しかし、斯かるフレームワークへのストレートなCDR置き換えが、抗原に対する結合親和性の有意な損失をもたらし得ることが実証された。Glaserら(1992年)J. Immunol.149巻:2606頁;Tempestら(1992年)Biotechnology 9巻:266頁;およびShalabyら(1992年)J. Exp. Med.17巻:217頁。本来のmuAbに対するHuAbの相同性が高いほど、ヒトフレームワークが、親和性を低下させ得る歪みをマウスCDRに導入する可能性が低くなる。抗体配列データベースに対する配列相同性検索に基づき、HuAb IC4は、muM4TS.22に対する優れたフレームワーク相同性をもたらすが、他の高度に相同なHuAb、特に、ヒトサブグループI由来のカッパーL鎖またはヒトサブグループIII由来のH鎖も同様に適するであろう。Kabatら(1987年)。ENCAD(Levittら(1983年)J. Mol. Biol.168巻:595頁)等、様々なコンピュータプログラムが、V領域の理想的な配列の予測に利用できる。よって、本発明は、異なるV領域を有するHuAbを包含する。適したV領域配列を決定し、これらの配列を最適化することは、当業者の技量の範囲内である。低下した免疫原性を有する抗体を得るための方法は、米国特許第5,270,202号およびEP699,755にも記載されている。
抗原に対する高い親和性および他の好都合な生物学的特性を保持しつつ、抗体がヒト化されることが重要である。この目標を達成するために、一例では、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の三次元モデルを使用した、親配列および様々な概念的ヒト化産物の解析プロセスによって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、当業者が精通している。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性の高い三次元コンフォメーション構造を例証およびディスプレイするコンピュータプログラムを利用できる。このようなディスプレイの点検は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割、また、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響する残基の可能性のある役割の解析を可能にする。このようにして、標的抗原(複数可)に対する親和性増加等、所望の抗体特徴が達成できるように、FR残基は、コンセンサスおよび移入配列から選択し組み合わせることができる。
一部の実施形態では、対象抗体またはその断片は、血清アルブミンに融合される。血清アルブミンへの融合は、本明細書に記載されている対象抗体の薬物動態を改善することができる。例えば、対象抗体またはその断片は、血清アルブミンと融合することができる。血清アルブミンは、哺乳動物における最も豊富な血液タンパク質である球状タンパク質である。血清アルブミンは、肝臓で産生され、血清タンパク質の約半分を構成する。これは、血液において単量体かつ可溶性である。一部の実施形態では、対象抗体またはその断片は、血清アルブミンに融合することができる。さらなる実施形態では、血清アルブミンは、ヒト血清アルブミン(HSA)である。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている対象抗体またはその断片は、血清アルブミンへの結合活性を呈するアルブミン結合ペプチドに融合して、対象抗体またはその断片の半減期を増加させることができる。本明細書で使用することができるアルブミン結合ペプチドとして、例えば、Dennisら、J. Biol. Chem.277巻:35035〜35043頁、2002年およびMiyakawaら、J. Pharm. Sci.102巻:3110〜3118頁、2013年に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、アルブミン結合ペプチドは、本明細書に記載されている対象抗体またはその断片に遺伝学的に融合される。さらなる実施形態では、アルブミン結合ペプチドは、化学的手段、例えば、化学的コンジュゲーションにより、本明細書に記載されている対象抗体またはその断片に取り付けられている。一部の実施形態では、アルブミン結合ペプチドは、本明細書に記載されている対象抗体またはその断片のNまたはC末端に融合することができる。アルブミン結合ペプチドのC末端は、ペプチド結合により、対象抗体のN末端に直接的に融合することができる。あるいは、アルブミン結合ペプチドのN末端は、ペプチド結合により、対象抗体またはその断片のC末端に直接的に融合することができる。さらなる実施形態では、アルブミン結合ペプチドのC末端のカルボン酸は、従来の化学的コンジュゲーション技法を使用して、対象抗体またはその断片の内部アミノ酸残基に融合することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている対象抗体またはその断片は、ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)に融合される。抗体またはその断片をペグ化して、例えば、抗体またはその断片の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させることができる。抗体をペグ化するために、抗体またはその断片は典型的に、1個または複数のPEG基が抗体または抗体断片に取り付けられる条件下で、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体等、ポリエチレングリコール(PEG)と反応される。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応により行われる。本明細書において、用語「ポリエチレングリコール」は、モノ(C1〜C10)アルコキシ−もしくはアリールオキシ−ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール−マレイミド等、他のタンパク質の誘導体化に使用されたPEGの形態のいずれかを包含するように意図される。例えば、NishimuraらによるEP0154316およびIshikawaらによるEP0401384に開示されている方法等、タンパク質をペグ化するための方法を使用することができる。一部の実施形態では、ポリマー、例えば、PEGは、従来の化学的方法、例えば、化学的コンジュゲーションを使用して、NもしくはC末端または内部位置のいずれかに、本明細書に記載されている対象抗体またはその断片に共有結合により取り付けることができる。理論に制約されないが、PEG部分は、本明細書に記載されている抗体に取り付けられると、水溶解度、溶液中の高移動度、毒性の欠如および低い免疫原性、循環寿命延長、安定性増加、身体からの容易なクリアランス、ならびに身体における分布変更に寄与し得る。
対象抗体またはその断片の血清半減期の増加に使用することができる他の半減期延長技術として、XTEN(Schellenbergerら、Nat. Biotechnol.27巻:1186〜1192頁、2009年)およびAlbuタグ(Trusselら、Bioconjug Chem.20巻:2286〜2292頁、2009年)が挙げられるがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、対象抗体またはその断片は、化学的に機能的な部分にコンジュゲートされる。典型的には、部分は、検出可能シグナルを産生することができる標識である。このようなコンジュゲートされた抗体またはその断片は、例えば、腫瘍負荷の定量化、ならびに転移巣のイメージングおよび腫瘍イメージング等の検出システムにおいて有用である。斯かる標識は、当技術分野で公知であり、そのようなものとして、放射性同位元素、酵素、蛍光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、基質補助因子および阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。斯かる標識の使用を記載する特許の例について、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号を参照されたい。部分は、本明細書に記載されている抗体またはその断片に共有結合により連結することができる、組換えにより連結することができる、または第2の抗体、プロテインAもしくはビオチン−アビジン複合体等の二次試薬により、抗体またはその断片にコンジュゲートすることができる。
他の機能的部分は、シグナルペプチド、免疫的反応性を増強または低下させる薬剤、固体支持体へのカップリングを容易にする薬剤、ワクチン担体、生物応答修飾因子、常磁性標識および薬物を含む。シグナルペプチドは、細胞膜、通常、真核細胞では小胞体、細菌の内膜または内膜および外膜の両方のいずれかを通して、新たに合成されたタンパク質を方向づける短いアミノ酸配列である。シグナルペプチドは典型的に、ポリペプチドのN末端部分に存在し、典型的に、ポリペプチドの生合成および細胞からの分泌の間に酵素により除去される。斯かるペプチドは、対象抗体またはその断片に取り込んで、合成された分子の分泌を可能にすることができる。
免疫的反応性を増強する薬剤として、細菌スーパー抗原が挙げられるがこれらに限定されない。固体支持体へのカップリングを容易にする薬剤として、ビオチンまたはアビジンが挙げられるがこれらに限定されない。免疫原担体として、いずれかの生理学的に許容されるバッファーが挙げられるがこれに限定されない。生物応答修飾因子は、サイトカイン、特に、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−2、インターロイキン−4、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子およびガンマ−インターフェロンを含む。
免疫的反応性を低下させる薬剤として、抗炎症剤および免疫抑制薬が挙げられるがこれらに限定されない。抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびコルチコステロイドを含む。NSAIDとして、アセチルサリチル酸等、サリチル酸塩;ジフルニサル、サリチル酸およびサルサラート;イブプロフェン等、プロピオン酸誘導体;ナプロキセン;デクスイブプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、フェノプロフェン、ロキソプロフェンおよびケトプロフェン;インドメタシン、ジクロフェナク、トルメチン、アセクロフェナク、スリンダク、ナブメトン、エトドラクおよびケトロラク等、酢酸誘導体;ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾンおよびドロキシカム等、エノール酸(enolic acid)誘導体;メフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸およびトルフェナム酸等、アントラニル酸誘導体;セレコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、フィロコキシブ(firocoxib)およびパレコキシブ等、選択的COX−2阻害剤;ニメスリド等、スルホンアニリド(sulfonanilide);ならびにクロニキシンおよびリコフェロン(licofelone)等、その他が挙げられるがこれらに限定されない。コルチコステロイドとして、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾンおよびプレドニゾロンが挙げられるがこれらに限定されない。免疫抑制薬として、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、D−ペニシラミン、経口金化合物、注射用金化合物(筋肉内注射)、ミノサイクリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、D−ペニシラミン、ロベンザリット、ブシラミン、アクタリット、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキセート、ミゾリビン、シクロスポリンおよびタクロリムスが挙げられるがこれらに限定されない。
適した薬物部分は、抗腫瘍剤を含む。非限定例は、放射性同位元素、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシン硫酸塩等のビンカアルカロイド、アドリアマイシン、ブレオマイシン硫酸塩、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン(duanorubicin)塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩、エトポシド、フルオロウラシル、ロムスチン、メクロレタミン(mechlororethamine)塩酸塩、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ペントスタチン、ピポブロマン、プロカルバジン(procarbaze)塩酸塩、ストレプトゾトシン、タキソール、チオグアニンおよびウラシルマスタードである。
単鎖分子を含む免疫毒素は、組換え手段によって産生することができる。種々の免疫毒素が利用でき、方法は、例えば、Monoclonal Antibody−toxin Conjugates: Aiming the Magic Bullet、Thorpeら(1982年)Monoclonal Antibodies in Clinical Medicine、Academic Press、168〜190頁;Vitatta(1987年)Science 238巻:1098〜1104頁;ならびにWinterおよびMilstein(1991年)Nature 349巻:293〜299頁に見出すことができる。適した毒素として、リシン、放射性核種、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、Pseudomonas外毒素A、ジフテリア毒素、リシンA鎖、レストリクトシン(restrictocin)等の真菌毒素およびホスホリパーゼ酵素が挙げられるがこれらに限定されない。全般的には、「Chimeric Toxins」OlsnesおよびPihl、Pharmac. Ther.15巻:355〜381頁(1981年);ならびに「Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy」BaldwinおよびByers編、159〜179頁、224〜266頁、Academic Press(1985年)を参照されたい。
化学的に機能的な部分は、例えば、抗体および機能的部分をコードする融合遺伝子を作出することにより、組換えにより作製することができる。あるいは、抗体またはその断片は、種々の十分に確立された化学的手順のいずれかによって、部分に化学結合することができる。例えば、部分がタンパク質である場合、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCl等)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジル等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド(glutareldehyde)等)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン(tolyene)2,6−ジイソシアネート等)およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン等)等、種々のカップリング剤を使用することができる。リンカーは、細胞における細胞傷害性薬物の放出を容易にする「切断可能リンカー」であり得る。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chariら、Cancer Research、52巻:127〜131頁(1992年))を使用することができる。部分は、第2の抗体、プロテインAまたはビオチン−アビジン複合体等の二次試薬により、共有結合により連結することができる、またはコンジュゲートすることができる。常磁性部分およびそれの抗体へのコンジュゲーションの例については、例えば、Miltenyiら(1990年)Cytometry 11巻:231〜238頁を参照されたい。
一部の実施形態では、本明細書に提供される対象抗体は、二特異性抗体である。二特異性抗体は、少なくとも2種の異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。本明細書に記載されている二特異性抗体は、IL−6受容体分子における異なるエピトープを認識する二特異性抗体であり得る、または抗原結合部位の一方がIL−6受容体を認識し、他方の抗原結合部位がIL−6受容体以外の抗原を認識する、二特異性抗体であり得る。IL−6受容体認識抗体を含む二特異性抗体の他方の抗原結合部位に結合する第2の抗原の例として、IL−6、TNFα、TNFR1、TNFR2、CD80、CD86、CD28、CD20、CD19、IL−1α、IL−β、IL−1R、RANKL、RANK、IL−17、IL−17R、IL−23、IL−23R、IL−15、IL−15R、BlyS、リンホトキシンα、リンホトキシンβ、LIGHTリガンド、LIGHT、VLA−4、CD25、IL−12、IL−12R、CD40、CD40L、BAFF、CD52、CD22、IL−32、IL−21、IL−21R、GM−CSF、GM−CSFR、M−CSF、M−CSFR、IFN−アルファ、VEGF、VEGFR、EGF、EGFR、CCR5、APRILおよびAPRILRが挙げられる。二特異性抗体は、全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)2二特異性抗体)として調製することができる。
本開示の例証される抗体として、次表に示す抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
ハイブリドーマもしくはB細胞由来の対象抗体もしくはペプチドをコードするDNAまたはいずれかの形態の抗体および/または抗体断片ライブラリーをクローニングし、クローンを適したベクターに組み込み、ベクターを宿主細胞に形質導入することにより、対象抗体は、組換え抗体として産生することができる(例えば、P. J. Delves、Antibody Production: Essential Techniques、1997年、WILEY, P. ShepherdおよびC. Dean、Monoclonal Antibodies、2000年、OXFORD UNIVERSITY PRESS、Vandamme A. M.ら、Eur. J. Biochem.192巻:767〜775頁(1990年))。よって、一態様では、本開示の抗体またはその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドが本明細書に提供される。
既存の抗体のLまたはH鎖の様々な領域に対応するヌクレオチド配列は、ハイブリダイゼーション、PCRおよびDNA配列決定が挙げられるがこれらに限定されない、従来の技法を使用して、容易に得て配列決定することができる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、抗体ヌクレオチド配列の好まれる供給源として機能する。モノクローナル抗体のアレイを産生する莫大な数のハイブリドーマ細胞は、公共または非公式のリポジトリから得ることができる。最大の寄託機関は、十分に特徴付けされたハイブリドーマ細胞株の多様なコレクションを提供する、American Type Culture Collectionである。あるいは、抗体ヌクレオチドは、免疫化したまたは免疫化していない齧歯類またはヒト、ならびに脾臓等の臓器および末梢血リンパ球から得ることができる。抗体ヌクレオチドの抽出および合成に適用可能な具体的技法は、Orlandiら(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 86巻:3833〜3837頁、Larrickら(1989年)biochem. Biophys. Res. Commun.160巻:1250〜1255頁;Sastryら(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A.86巻:5728〜5732頁;および米国特許第5,969,108号に記載されている。
抗体ヌクレオチド配列は、例えば、相同非ヒト配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常領域をコード配列で置換することにより修飾されていてもよい。当該様式では、本来の抗体の結合特異性を保持するキメラ抗体が調製される。
その上、抗体またはその機能的断片の重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドをコドン最適化に付して、所望の宿主細胞における対象抗体またはその機能的断片の最適化された発現を達成することができる。例えば、コドン最適化の一方法において、ネイティブコドンは、遺伝子の参照セット由来の最も高頻度のコドンによって置換され、それによると、アミノ酸毎のコドン翻訳の比率は、高くなるように設計されている。抗体またはその機能的断片の重鎖および/または軽鎖に適用され得る、所望のタンパク質の発現のためにコドン最適化されたポリヌクレオチドを作製するための追加的な例示的な方法は、Kanayaら、Gene、238巻:143〜155頁(1999年)、Wangら、Mol. Biol. Evol.、18巻(5号):792〜800頁(2001年)、米国特許第5,795,737号、米国特許出願公開第2008/0076161号およびWO2008/000632に記載されている。
本開示のポリヌクレオチドは、例証されているポリペプチドの機能的等価物およびその断片をコードするポリヌクレオチドを含む。機能的等価物は、保存的アミノ酸置換、融合体を含むアナログ、および変異体を有するポリペプチドであり得る。
遺伝暗号の縮重のため、本開示のポリヌクレオチドおよびベクターの構築に適した、LおよびH配列ならびにヘテロ二量体化配列のヌクレオチドには、相当なバリエーションが存在し得る。このようなバリエーションは、本開示によって包含される。
所望であれば、組換えポリヌクレオチドは、遺伝子産物の発現の検出および精製を容易にする異種配列を含むことができる。斯かる配列の例として、β−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびこれらの誘導体等のレポータータンパク質をコードする配列が挙げられる。精製を容易にする他の異種配列は、Myc、HA(インフルエンザウイルス赤血球凝集素に由来する)、His−6、FLAGまたは免疫グロブリンのFc部分、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)およびマルトース結合タンパク質(MBP)等のエピトープをコードすることができる。
ポリヌクレオチドは、上述の種々の化学的に機能的な部分にコンジュゲートすることができる。一般的に用いられる部分は、検出可能シグナルを産生することができる標識、シグナルペプチド、免疫的反応性を増強または低下させる薬剤、固体支持体へのカップリングを容易にする薬剤、ワクチン担体、生物応答修飾因子、常磁性標識および薬物を含む。部分は、組換えによりまたは当技術分野で公知の他の手段によって、ポリヌクレオチドに共有結合により連結することができる。
ポリヌクレオチドは、同じ転写ユニット内の追加的なコード配列、プロモーター、リボソーム結合部位およびポリアデニル化部位等の制御エレメント、同じまたは異なるプロモーターの制御下の追加的な転写ユニット、クローニング、発現および宿主細胞の形質転換を可能にする配列、ならびに本明細書に記載されている様々な実施形態のいずれかに従って望ましい可能性があるようないずれかの構築物等、追加的な配列を含むことができる。
ポリヌクレオチドは、化学合成、組換えクローニング方法、PCRまたはこれらの任意の組み合わせを使用して得ることができる。当業者は、DNA合成機を用いるまたは商業サービスから発注することにより、本明細書に提供される配列データを使用して、所望のポリヌクレオチドを得ることができる。
所望の配列を含むポリヌクレオチドは、適したベクターに挿入し、次いでこれを、複製、増幅および発現のために適した宿主細胞に導入することができる。したがって、一態様では、本開示のポリヌクレオチドのうち1種または複数を含む種々のベクターが本明細書に提供される。対象抗体をコードする少なくとも1種のベクターを含む発現ベクターの選択可能ライブラリーも提供される。
本開示のベクターは一般に、クローニングおよび発現ベクターにカテゴリー化される。クローニングベクターは、それが含有するポリヌクレオチドの複製コピーを得るために、または将来的な回収のために寄託場所にポリヌクレオチドを貯蔵する手段として有用である。発現ベクター(およびこのような発現ベクターを含有する宿主細胞)を使用して、これが含有するポリヌクレオチドから産生されたポリペプチドを得ることができる。適したクローニングおよび発現ベクターは、当技術分野で公知のいずれか、例えば、細菌、哺乳動物、酵母、昆虫およびファージディスプレイ発現系における使用のためのベクターを含む。
適したクローニングベクターは、標準技法に従って構築することができる、または当技術分野で利用できる多数のクローニングベクターから選択することができる。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞に応じて変動し得るが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有するであろう、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一の標的を保有することができる、またはマーカー遺伝子を保持することができる。適した例として、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、pUC18、mp18、mp19、ファージDNA(糸状および非糸状ファージDNAを含む)、ならびにpSA3およびpAT28等のシャトルベクターが挙げられる。上述および他のクローニングベクターは、Clontech、BiORad、StratageneおよびInvitrogen等の商業的ベンダーから利用できる。
このような核酸を含有する発現ベクターは、宿主ベクター系を得て、タンパク質およびポリペプチドを産生するのに有用である。典型的には、このような発現ベクターは、エピソームとしてまたは染色体DNAの不可分の部分のいずれかとして、宿主生物において複製可能である。適した発現ベクターは、プラスミド、ファージミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド等を含む。酵母、鳥類および哺乳動物細胞を含む真核細胞における発現に適した多数の発現ベクターが利用できる。発現ベクターの一例は、転写がサイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーター/エンハンサーによって駆動される、pcDNA3(Invitrogen、San Diego、Calif.)である。本明細書に記載されている対象抗体を発現するための2種類の特に有用な発現ベクターは、ファージディスプレイベクターおよび細菌ディスプレイベクターである。
ファージディスプレイベクターを構築するための技法の例については、例えば、Winter G.ら(1994年)Ann. Rev. Immunol.12巻:433〜55頁による概説論文を参照されたい。糸状および非糸状ファージ配列の両方が、ディスプレイベクターの構築に適用可能である。糸状ファージベクターが好まれる。なぜなら、このクラスの多くの代表的ファージのゲノムが配列決定されており、それらのゲノムが、非糸状ファージのものよりもはるかに小さいことが判明したためである。このクラスの代表的ファージは、M13、f1、fd、If1、Ike、Xf、Pf1およびPf3を含む。ファージベクターは典型的に、ファージコートタンパク質の一部または全体への融合によって、ヘテロ多量体、例えば、抗体ペプチドを発現するように構築される。適したコートタンパク質は、M13のpIII、VIII、VI、VIIおよびIXを含む。ヘテロ多量体配列は典型的に、発現されたファージコートの完全性が蝕まれず、ヘテロ多量体が好ましくは生物学的に機能的であるような仕方で、ファージベクターに挿入される。
pIII融合ベクターを構築するために、一般的に用いられる融合部位は、アミノ末端に、pIIIの2個のドメインの間の可撓性スペーサーの間に(例えば、Smithら、Science 288巻:1315〜17頁を参照)、または米国特許第5,969,108号、同第5,837,500号に記載されている他のいずれかの代替融合部位に位置する。ファージのpIII融合体および他のタンパク質は、完全に同じファージ(page)レプリコン内にまたは異なるレプリコンにコードされ得る。少なくとも2種のレプリコンが使用される場合、pIII融合体は一般に、ファージミド、ファージ複製起点を含有するプラスミドにコードされる。ファージミドは、pIIIを含む全ファージタンパク質をもたらす、M13KO7等のヘルパーファージによる「レスキュー」によって、ファージ粒子にパッケージすることができるが、欠損のある起点のため、ファージミドとの競合において、それ自体は不十分にパッケージされる。パッケージ効率を増強するために変更されたpIIIを欠くまたはこれを含有する他の多価ヘルパーファージ(例えば、M13.デルタ.gIII)を用いることもできる(Rondotら、Nature Biotechnology 19巻:75〜78頁)。
他の糸状ファージを用いて同様の構築を為すことができる。Pf3は、IncP−1プラスミドを有するPseudomonas aerugenosa細胞に感染する周知の糸状ファージである。ゲノム全体が配列決定されており、複製およびアセンブリーに関与する遺伝的シグナルが特徴付けられている。PF3の主要コートタンパク質は、その分泌を方向づけるシグナルペプチドがないという点が珍しい。配列は、荷電残基ASP7、ARG37、LYS40およびPHE44−COO−を有し、これは、アミノ末端が露出されていることと一致する。ディスプレイPf3ベクターを構築するために、異種ポリペプチドをコードする遺伝子断片にインフレームで融合するように、P.aerugenosaにおける分泌を引き起こすことが公知のシグナル配列を操作し、次いでこれを、成熟Pf3コートタンパク質をコードするDNAとインフレームで融合することが一般に望ましい。
同じ一般構築スキームが、バクテリオファージX174、λ、T4およびT7ファージを含む非糸状ファージに由来する配列を含有するディスプレイベクターの作製に適用される。特有のヘテロ二量体化配列を使用して対象ヘテロ多量体を発現する、対応するディスプレイベクターを作製することができる。
ファージディスプレイベクターに加えて、好まれるベクターの別のクラスは、細菌ディスプレイベクターである。上に概要を述べる一般スキームは、斯かるベクターの構築に等しく適用可能である。簡潔に説明すると、このベクターは、ヘテロ多量体、特に本開示の抗体の、細菌表面タンパク質との融合体としての発現を容易にする。種々の細菌表面タンパク質が、斯かる融合体の発現に適用可能である。細菌表面タンパク質の非限定例として、LamB(Bremerら、Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A.(1984年)81巻:3830〜34頁;Gene(1987年)52巻:165〜73頁);OmpA(Prog Biophys Molec Biol(1987年)49巻:89〜115頁);OmpC;OmpF(Pagesら、Biochemimie(1990年)72巻:169〜76頁);PhoE(van der Leyら、J. Biol. Chem.261巻:12222〜5頁);ピリン(Soら、Curr Top in Microbiol & Immunol(1985年)118巻:13〜28頁);pldA(de Geusら、EMBO J.(1984年)3巻(8号):1799〜1802頁)およびこれらのホモログが挙げられる。上述および他の表面タンパク質の特徴付け、ならびに異種ポリペプチドをディスプレイするためにこれらのタンパク質を使用する方法は、米国特許第5,837,500号とそこに引用されている参考文献に詳述されている。
本開示のベクターは典型的に、コードされる抗体の発現に要求される転写または翻訳制御配列を含む。適した転写または翻訳制御配列として、複製起点、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー結合領域、転写開始部位、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、ならびに転写および翻訳の終止部位が挙げられるがこれらに限定されない。
発現ベクターは、宿主細胞に移入することができ、次いでトランスフェクトされた細胞が培養されて、対象抗体またはその機能的断片を産生する。よって、一態様では、異種プロモーターに作動可能に連結された、対象抗体またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が本明細書に提供される。宿主細胞は、2種の発現ベクターを共トランスフェクトすることができ、第1のベクターは、重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターは、軽鎖由来ポリペプチドをコードする。2種のベクターは、同一の選択可能マーカーを含有することができ、これにより、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現が可能になる。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、これらを発現することができる、単一のベクターを使用することができる。斯かる状況において、軽鎖を重鎖の前に配置して、過剰な有毒遊離重鎖を回避することができる(Proudfoot、1986年、Nature 322巻:52頁;およびKohler、1980年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77巻:2197〜2199頁)。
種々の宿主−発現ベクター系を利用して、対象抗体またはその機能的断片を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照)。斯かる宿主−発現系は、目的のコード配列を産生しその後に精製することができるビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換またはトランスフェクトされると、in situで対象抗体分子を発現することができる細胞も表す。そのようなものとして、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis)等の微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターにより形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces Pichia);抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したもしくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)により形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)を含有するもしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NSOおよび3T3細胞)が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要最初期(intermediate early)遺伝子プロモーターエレメント等のベクターと併せた、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)等の哺乳動物細胞が、抗体に有効な発現系である(Foeckingら、1986年、Gene 45巻:101頁;およびCockettら、1990年、Bio/Technology 8巻:2頁)。一部の実施形態では、抗体またはその断片は、CHO細胞において産生される。
細菌系のため、発現されている抗体分子に意図される使用に応じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体分子の医薬組成物の作製のために多量の斯かる抗体またはその断片が産生されるべきである場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を方向づけるベクターが望ましい可能性がある。斯かるベクターとして、融合タンパク質が産生されるように、抗体コード配列がlac Zコード領域とインフレームでベクターに個々にライゲーションされ得る、E.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、1983年、EMBO 12巻:1791頁);pINベクター(InouyeおよびInouye、1985年、Nucleic Acids Res.13巻:3101〜3109頁;Van HeekeおよびSchuster、1989年、J. Biol. Chem.24巻:5503〜5509頁);その他が挙げられるがこれらに限定されない。pGEXベクターを使用して、グルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させることもできる。一般に、斯かる融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合と、続く遊離グルタチオンの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。クローニングされた標的遺伝子産物が、GST部分から放出され得るように、pGEXベクターは、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
昆虫系において、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して、外来遺伝子を発現させることができる。ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞において成長する。抗体または機能的断片コード配列を、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子)へと個々にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置することができる。
哺乳動物宿主細胞において、いくつかのウイルスに基づく発現系を利用することができる。発現ベクターとしてアデノウイルスが使用される場合、目的の抗体コード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三要素(tripartite)リーダー配列にライゲーションすることができる。続いて、このキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivo組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)における挿入は、生存可能であり、感染した宿主において抗体分子を発現することができる組換えウイルスをもたらすであろう(例えば、LoganおよびShenk、1984年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8 1巻:355〜359頁を参照)。挿入された抗体コード配列の効率的翻訳に、特異的開始シグナルを使用することもできる。このようなシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、挿入物全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは、所望のコード配列の読み枠と同相である必要がある。このような外来性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成両方の、種々の起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター等の包含によって増強させることができる(例えば、Bittnerら、1987年、Methods in Enzymol.153巻:51〜544頁を参照)。
植物細胞のため、種々のベクター送達技法を当技術分野で利用できる。宿主細胞は、植物全体、単離された細胞またはプロトプラストの形態であり得る。植物細胞にベクターを導入するための説明的手順は、Agrobacterium媒介性植物形質転換、プロトプラスト形質転換、花粉への遺伝子移入、生殖器官への注射、および未熟胚への注射を含む。当業者には明らかな通り、これらの方法はそれぞれ、別個の利点および不利益を有する。よって、特定の植物種にベクターを導入する特定の一方法は、別の植物種にとって必ずしも最も有効ではない場合がある。
加えて、挿入された配列の発現をモジュレートする、または所望の特異的様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞系統を選択することができる。タンパク質産物の斯かる修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、抗体または機能的断片の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。発現される外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするために、適切な細胞株または宿主系を選択することができる。この目的で、一次転写物の適正なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞の仕組みを保有する真核生物宿主細胞を使用することができる。斯かる哺乳動物宿主細胞として、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NSO(いかなる免疫グロブリン鎖も内在性に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3OおよびHsS78Bst細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
組換えタンパク質の長期高収率産生のため、安定した発現が好まれる。例えば、抗体またはその機能的断片を安定に発現する細胞株を操作することができる。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用するより寧ろ、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)および選択可能マーカーによって制御されるDNAにより形質転換することができる。外来DNAの導入後に、操作された細胞を濃縮培地で1〜2日間成長させ、次いで選択培地にスイッチすることができる。組換えプラスミドにおける選択可能マーカーは、選択に対する抵抗性を付与し、細胞が、その染色体にプラスミドを安定に組み込み、フォーカスを形成するまで成長することを可能にし、次いでこれを細胞株へとクローニングし、増やすことができる。この方法を有利に使用して、抗体分子を発現する細胞株を操作することができる。
それぞれtk−、hgprt−またはaprt−細胞における単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977年、Cell 11巻:223頁)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski、1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48巻:202頁)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980年、Cell 22巻:8〜17頁)遺伝子を使用した系が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかの選択系を使用することができる。また、次の遺伝子に対する選択の基盤として代謝拮抗薬抵抗性を使用することができる:メトトレキセートに対する抵抗性を付与するdhfr(Wiglerら、1980年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.77巻(6号):3567〜70頁;O’Hareら、1981年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78巻:1527頁);グルタメートおよびアンモニアを使用したグルタミンの生合成の原因となる酵素であるグルタミンシンテターゼ(GS)(Bebbingtonら、1992年、Biuotechnology 10巻:169頁);ミコフェノール酸に対する抵抗性を付与するgpt(MulliganおよびBerg、1981年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78巻:2072頁);アミノグリコシドG−418に対する抵抗性を付与するneo(WuおよびWu、1991年、Biotherapy 3巻:87〜95頁;Tolstoshev、1993年、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.32巻:573〜596頁;Mulligan、1993年、Science 260巻:926〜932頁;ならびにMorganおよびAnderson、1993年、Ann. Rev. Biochem.62巻:191〜217頁;May、1993年、TIB TECH 11巻(5号):155〜215頁);およびハイグロマイシンに対する抵抗性を付与するhygro(Santerreら、1984年、Gene 30巻:147頁)。組換えDNA技術方法は、所望の組換えクローンの選択に適用することができ、斯かる方法は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、Ausubelら(編)Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons, NY(1993年);Kriegler、Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual、Stockton Press, NY(1990年);および第12および13章、Dracopoliら(編)Current Protocols in Human Genetics、John Wiley & Sons, NY(1994年);Colberre−Garapinら、1981年、J. Mol. Biol.150巻:1頁に記載されている。抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加させることができる(概説については、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、3巻(Academic Press, New York、1987年)を参照)。抗体またはその機能的断片を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させるであろう。増幅された領域は、抗体遺伝子に関連するため、抗体の産生も増加するであろう(Crouseら、1983年、Mol. Cell. Biol.3巻:257頁)。
組換え発現によって抗体分子が産生されたら、免疫グロブリン分子のいずれか適した精製方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性(特に、プロテインA後に特異的抗原に対する親和性による)およびサイズ分類カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解度、またはタンパク質の他のいずれかの標準精製技法によってこれを精製することができる。さらに、対象抗体またはその機能的断片は、本明細書に提供される異種ポリペプチド配列または当技術分野で公知のその他のものに融合して、精製を容易にすることができる。例えば、対象抗体またはその機能的断片は、とりわけ、市販のポリ−ヒスチジンタグ(His−タグ)、FLAG−タグ、赤血球凝集素タグ(HA−タグ)またはmyc−タグを組換えにより付加し、適した精製方法を利用することにより精製することができる。
処置方法
別の態様では、対象抗体またはその機能的断片を使用して、IL−6/IL−6受容体機能不全に関係づけられる状態、疾患または障害を処置する方法が、本明細書に提供される。
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする哺乳動物における炎症性障害を処置する方法であって、哺乳動物に治療有効量の本開示の抗体を投与するステップを含む方法を提供する。一部の事例では、炎症性障害は、多発性硬化症である。他の事例では、炎症性障害は、自己免疫性疾患である。自己免疫性疾患の例として、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、クローン病、真性糖尿病(1型)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、多発性硬化症、重症筋無力症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード(Ord’s)甲状腺炎、天疱瘡(oemphigus)、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、喘息、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても公知)、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑および外陰部痛が挙げられるがこれらに限定されない。他の障害は、骨吸収障害および血栓症(thromobsis)を含む。
さらなる実施形態では、本開示は、それを必要とする哺乳動物におけるがんを処置する方法であって、哺乳動物に治療有効量の本開示の抗体を投与するステップを含む方法を提供する。一部の事例では、がんは、肝細胞癌である。他の事例では、がんは、急性骨髄性白血病、胸腺、脳、肺、扁平細胞、皮膚、眼、網膜芽細胞腫、眼球内黒色腫、口腔および中咽頭、膀胱、胃(gastric)、胃(stomach)、膵、膀胱、乳房、子宮頸部(cervical)、頭部、頸部、腎、腎臓、肝臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、食道、精巣、婦人科、甲状腺、CNS、PNS、AIDS関連(例えば、リンパ腫およびカポジ肉腫)またはウイルス誘導性がんである。
またさらなる実施形態では、本開示の抗体は、滑液包炎、ループス、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、クローン病、真性糖尿病(1型)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、炎症性腸疾患、エリテマトーデス、重症筋無力症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、変形性関節症(ostheoarthritis)、網膜ぶどう膜炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑、外陰部痛、虫垂炎、動脈炎、関節炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、絨毛羊膜炎、結腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、肝炎、汗腺炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ぶどう膜炎、腟炎、血管炎または外陰炎の処置に使用される。
一部の実施形態では、本開示の抗体は、感染、感染に伴うエンドトキシンショック、関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身型若年性特発性関節炎(JIA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、喘息、骨盤腹膜炎、アルツハイマー病、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、キャッスルマン病、強直性脊椎炎、皮膚筋炎、ぶどう膜炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、外科的癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム関節炎、髄膜脳炎、中枢および末梢神経系の免疫媒介性炎症性障害、自己免疫性障害、膵炎、外科手術による外傷、移植片対宿主病、移植片拒絶、心疾患、骨吸収、熱傷患者、心筋梗塞、パジェット病、骨粗鬆症、敗血症、肝/肺線維症、歯周炎、低酸症(hypochlorhydia)、固形腫瘍(腎細胞癌)、前立腺および膀胱がん、膵がん、神経学的がんおよびB細胞悪性疾患(例えば、キャッスルマン(Casteleman)病、ある特定のリンパ腫、慢性リンパ球性白血病および多発性骨髄腫)の処置に使用される。
一部の実施形態では、処置されるべき対象は、ヒト等、哺乳動物である。他の事例では、哺乳動物は、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、スナネズミ、ハムスター、モルモット、サルまたは他のいずれかの哺乳動物である。多くの斯かる哺乳動物は、炎症性疾患、固形腫瘍および/または他のがんを含むある特定の疾患または障害の前臨床モデルとして当技術分野に公知の対象であり得る(例えば、Talmadgeら、2007年、Am. J. Pathol.170巻:793頁;Kerbel、2003年、Canc. Biol. Therap.2巻(4追補1号):S134頁;Manら、2007年、Canc. Met. Rev.26巻:737頁;Cespedesら、2006年、Clin. TransL Oncol.8巻:318頁)。
別の態様では、本開示は、第2の薬剤と併せて、本開示の抗体を使用して、哺乳動物における疾患、状態または障害を処置する方法を提供する。第2の薬剤は、抗体と共に、その前にまたはその後に投与することができる。一部の実施形態では、第2の薬剤は、抗ウイルス剤である。抗ウイルス剤として、テラプレビル、ボセプレビル、シメプレビル(semiprevir)、ソホスブビル、ダクラタスビル(daclastavir)、アスナプレビル、ラミブジン、アデホビル、エンテカビル、テノホビル、テルビブジン、インターフェロンアルファおよびペグ化インターフェロンアルファが挙げられるがこれらに限定されない。他の実施形態では、第2の薬剤は、本明細書に記載されている炎症性状態の症状を軽減するように作用する薬剤である。抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびコルチコステロイドを含む。NSAIDとして、アセチルサリチル酸等のサリチル酸塩;ジフルニサル、サリチル酸およびサルサラート;イブプロフェン等のプロピオン酸誘導体;ナプロキセン;デクスイブプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、フェノプロフェン、ロキソプロフェンおよびケトプロフェン;インドメタシン、ジクロフェナク、トルメチン、アセクロフェナク、スリンダク、ナブメトン、エトドラクおよびケトロラク等の酢酸誘導体;ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾンおよびドロキシカム等のエノール酸誘導体;メフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸およびトルフェナム酸等のアントラニル酸誘導体;セレコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、フィロコキシブおよびパレコキシブ等の選択的COX−2阻害剤;ニメスリド等のスルホンアニリド;ならびにクロニキシンおよびリコフェロン等のその他が挙げられるがこれらに限定されない。コルチコステロイドとして、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾンおよびプレドニゾロンが挙げられるがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、第2の薬剤は、免疫抑制薬である。対象抗体と組み合わせて使用することができる免疫抑制薬として、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、D−ペニシラミン、経口金化合物、注射用金化合物(筋肉内注射)、ミノサイクリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、D−ペニシラミン、ロベンザリット、ブシラミン、アクタリット、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキセート、ミゾリビン、シクロスポリンおよびタクロリムスが挙げられるがこれらに限定されない。
さらなる実施形態では、第2の薬剤は、抗がん剤(例えば、化学療法剤)である。化学療法薬は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、インターカレート抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾因子、抗ホルモン薬、血管新生阻害剤および抗アンドロゲン薬からなる群より選択することができる。化学療法剤、細胞傷害性薬剤および非ペプチド小分子の非限定例として、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、カソデックス(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)およびアドリアマイシン、ならびに多数の化学療法剤が挙げられる。化学療法剤の非限定例として、チオテパおよびシクロホスファミド(cyclosphosphamide)(CYTOXAN(商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)およびウレドパ(uredopa)等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(phosphaoramide)およびトリメチロロメラミンを含むエチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine);クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビキン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン等のニトロソウレア(nitrosurea);アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、Casodex(商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロブシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等の抗生物質;メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート等の葉酸アナログ;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン等のプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジンアナログ、カルステロン(calusterone)、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎薬(anti−adrenal);フロリン酸(frolinic acid)等の葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミド(aldophosphamide)グリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン(diaziquone);エルフォミチン(elfomithine);エリプチニウム(elliptinium)酢酸塩;エトグルシド;ガリウム硝酸塩;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.R(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(商標)、Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上述のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。適した化学療法用細胞コンディショナーとして、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY 117018、オナプリストン(onapristone)およびトレミフェン(フェアストン)を含む抗エストロゲン剤;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリドおよびゴセレリン等の抗アンドロゲン薬;クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンおよびカルボプラチン等の白金アナログ;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン−11(CPT−11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)等、腫瘍におけるホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤も含まれる。所望であれば、対象抗体またはその断片は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ(Abagovomab)、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ(Adecatumumab)、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン、アルファラジン(Alpharadin)、アルボシジブ(Alvocidib)、3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒド(carboxaldehyde)チオセミカルバゾン、アモナフィド(Amonafide)、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍薬、抗腫瘍性の薬草、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン(Belotecan)、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダル(Biricodar)、ブロスタリシン(Brostallicin)、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞周期非特異的抗腫瘍剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモリド、エルサミトルシン(Elsamitrucin)、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン(Exatecan)、エクシスリンド、フェルギノール(Ferruginol)、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT−101、イメキソン(Imexon)、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル(Laniquidar)、ラロタキセル(Larotaxel)、レナリドミド、ルカントン、ルルトテカン(Lurtotecan)、マホスファミド、ミトゾロミド(Mitozolomide)、ナフォキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル(Ortataxel)、PAC−1、ポウポウ(Pawpaw)、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン(Rebeccamycin)、レシキモド、ルビテカン(Rubitecan)、SN−38、サリノスポラミドA、サパシタビン(Sapacitabine)、スタンフォードV、スウェインソニン、タラポルフィン、タリキダル(Tariquidar)、テガフール−ウラシル、テモダル(Temodar)、テセタキセル(Tesetaxel)、トリプラチン(Triplatin)四硝酸塩、Tris(2−クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン(Uramustine)、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126およびゾスキダル(Zosuquidar)等、一般的に処方される抗がん薬と組み合わせて使用することができる。
特異的用量は、選択された特定の抗体、従うべき投薬レジメン、これが他の薬剤と組み合わせて投与されるべきか否か、投与のタイミング、これが投与される組織、およびこれを運ぶ物理的送達系に応じて変動するであろう。一部の実施形態では、抗体は、処置サイクルの経過にわたって平均して1週間当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69または70mgの範囲内で対象に投与される。例えば、抗体は、1週間当たり約35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54または55mgの範囲内で対象に投与される。一部の実施形態では、抗体は、1週間当たり約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54または55mgの範囲内で対象に投与される。
一部の実施形態では、抗体は、処置サイクルの経過にわたって平均して1日当たり1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10mgを超える量で対象に投与される。例えば、抗体は、処置サイクルの経過にわたって平均して1日当たり約6〜10mgの間、約6.5〜9.5mgの間、約6.5〜8.5mgの間、約6.5〜8mgの間または約7〜9mgの間の量で対象に投与される。
一部の実施形態では、抗体は、1日当たり約0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kgもしくは50mg/kg、それらを下回る値、またはそれらを超える値等、1日当たり約0.01mg/kg〜50mg/kgの範囲内で対象に投与される。一部の実施形態では、抗体は、1週間当たり約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、350mg/kgもしくは400mg/kg、それらを下回る値、またはそれらを超える値等、1週間当たり約0.1mg/kg〜400mg/kgの範囲内で対象に投与される。一部の実施形態では、抗体は、1ヶ月当たり約0.4mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kgもしくは1000mg/kg、それらを下回る値、またはそれらを超える値等、1ヶ月当たり約0.4mg/kg〜1500mg/kgの範囲内で対象に投与される。一部の実施形態では、抗体は、1週間当たり約1mg/m2、5mg/m2、10mg/m2、15mg/m2、20mg/m2、25mg/m2、30mg/m2、35mg/m2、40mg/m2、45mg/m2、50mg/m2、55mg/m2、60mg/m2、65mg/m2、70mg/m2、75mg/m2、100mg/m2、125mg/m2、150mg/m2、175mg/m2もしくは200mg/m2、それらを下回る値、またはそれらを超える値等、1週間当たり約0.1mg/m2〜200mg/m2の範囲内で対象に投与される。標的用量は、単一用量で投与することができる。あるいは、標的用量は、約1もしくはそれより多い、約2もしくはそれより多い、約3もしくはそれより多い、約4もしくはそれより多い、約5もしくはそれより多い、約6もしくはそれより多い、約7もしくはそれより多い、約8もしくはそれより多い、約9もしくはそれより多い、約10もしくはそれより多い、約11もしくはそれより多い、約12もしくはそれより多い、約13もしくはそれより多い、約14もしくはそれより多い、約15もしくはそれより多い、約16もしくはそれより多い、約17もしくはそれより多い、約18もしくはそれより多い、約19もしくはそれより多い、約20もしくはそれより多い、約25もしくはそれより多い、約30もしくはそれよりも多いまたはそれらを超える用量で投与することができる。例えば、1週間当たり約1mg/kgの用量は、週の経過にわたり、1週間毎に約1mg/kgの用量で毎週送達することができる、2週間毎に約2mg/kgを投与することができる、または4週間毎に約4mg/kgを投与することができる。投与スケジュールは、本明細書に記載されているいずれかの投与スケジュールを含む、本明細書に記載されているいずれかのレジメンに従って反復することができる。一部の実施形態では、抗体は、約1mg/m2、5mg/m2、10mg/m2、15mg/m2、20mg/m2、25mg/m2、30mg/m2、35mg/m2、40mg/m2、45mg/m2、50mg/m2、55mg/m2、60mg/m2、65mg/m2、70mg/m2、75mg/m2、100mg/m2、130mg/m2、135mg/m2、155mg/m2、175mg/m2、200mg/m2、225mg/m2、250mg/m2、300mg/m2、350mg/m2、400mg/m2、420mg/m2、450mg/m2または500mg/m2、それらを下回る値、またはそれらを超える値等、約0.1mg/m2〜500mg/m2の範囲で対象に投与される。
抗体の用量は、約、少なくとも約または多くとも約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000mgもしくはmg/kg、またはそこに導き出せるいずれかの範囲であり得る。mg/kgの投薬量が、対象の総体重1kg当たりの抗体のmg量を指すことが考慮される。複数用量が患者に与えられる場合、各用量が、その量が変動し得る、または同じであり得ることが考慮される。
医薬組成物
別の態様では、対象抗体またはその機能的断片と、不活性固体希釈剤および充填剤、希釈剤、無菌水溶液および様々な有機溶媒、浸透エンハンサー、可溶化剤およびアジュバントが挙げられるがこれらに限定されない、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤とを含む医薬組成物が本明細書に提供される(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.編(1980年))。
対象医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、徐放製剤、溶液、懸濁物として経口投与に、無菌溶液、懸濁物もしくはエマルションとして非経口的注射に、軟膏もしくはクリームとして外用投与に、または坐剤として直腸投与に適した形態であり得る。徐放調製物の適した例として、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、成形された物品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放マトリックスの例として、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびリュープロリド酢酸塩で構成された注射用マイクロスフェア)等の分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。一部の徐放製剤は、数週間から数ヶ月間またはさらには最大数年間にわたる分子の放出を可能にする。一部の実施形態では、対象医薬組成物は、少なくとも1週間、2週間、3週間または4週間等、少なくとも数週間、本明細書に記載されている対象抗体を放出する。さらなる実施形態では、対象医薬組成物は、少なくとも1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間または6ヶ月間等、数ヶ月間にわたって、本明細書に記載されている対象抗体を放出する。
医薬組成物は、正確な投薬量の単一の投与に適した単位剤形で存在し得る。医薬組成物は、活性成分として抗体またはその機能的断片をさらに含むことができ、従来の薬学的担体または賦形剤を含むことができる。さらに、医薬組成物は、他の薬用または医薬品薬剤、担体、アジュバント等を含むことができる。
例示的な非経口的投与形態は、無菌水溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液における活性ポリペプチドおよび/またはPEG修飾ポリペプチドの溶液または懸濁物を含む。斯かる剤形は、所望の場合、ヒスチジンおよび/またはリン酸塩等の塩により適切に緩衝することができる。
一部の実施形態では、本開示(disclsoure)は、対象抗体またはその機能的断片および注射に適した薬学的賦形剤を含有する、注射のための医薬組成物を提供する。斯かる組成物における薬剤の構成成分および量の例は、本明細書に記載されている通りである。
注射によって投与のために本開示の組成物が取り込まれ得る形態は、水性もしくは油性懸濁物、またはゴマ油、トウモロコシ油、綿実油もしくはピーナッツ油を含むエマルションと共に、エリキシル剤、マンニトール、デキストロースまたは無菌水溶液および同様の薬学的ビヒクルを含む。
食塩水における水溶液は、注射に使用することができる。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールその他(およびこれらの適した混合物)、シクロデキストリン誘導体および植物油を用いることもできる。例えば、分散物の場合は要求される粒径の維持のためにレシチン等のコーティングの使用によって、また、界面活性物質の使用によって、適正な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールその他によってもたらすことができる。
無菌注射用溶液は、上に列挙する様々な他の成分を有する適切な溶媒に、所望の量の本開示の抗体またはその機能的断片を取り込み、続いて濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散物は、基礎分散媒および他の成分を含有する無菌ビヒクルに、様々な滅菌された活性成分を取り込むことにより調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、ある特定の望ましい調製方法は、その以前に滅菌濾過された溶液から活性成分といずれか追加的な所望の成分との粉末を生じる、真空乾燥およびフリーズドライ技法である。
一部の実施形態では、本開示は、本開示の抗体またはその機能的断片、および経口投与に適した薬学的賦形剤を含有する、経口投与のための医薬組成物を提供する。
一部の実施形態では、(i)有効量の本開示の抗体またはその機能的断片;任意選択で(ii)有効量の第2の薬剤;および(iii)経口投与に適した薬学的賦形剤を含有する、経口投与のための固体医薬組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、組成物は、(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含有する。
一部の実施形態では、医薬組成物は、経口摂取に適した液体医薬組成物である。経口投与に適した医薬組成物は、粉末として、または顆粒中に、水性もしくは非水性液体における溶液もしくは懸濁物、水中油型エマルションまたは油中水型液体エマルションにおいて、所定量の活性成分をそれぞれ含有する、カプセル、カシェーまたは錠剤または液体もしくはエアロゾルスプレー等の別々の剤形として提示することができる。斯かる剤形は、薬学の方法のいずれかによって調製することができ、これは典型的に、1種または複数の必要成分を構成する、担体と活性成分を会合させるステップを含む。一般に、組成物は、液体担体もしくは微細に分割された固体担体またはその両方と活性成分とを均一かつ密接に混合し、次いで必要であれば、産物を所望の体裁に成形することにより調製される。
水は、一部のポリペプチドの分解を容易にし得るため、本開示は、活性成分を含む無水医薬組成物および剤形をさらに包含する。例えば、薬学的技術分野において、経時的な製剤の有効期間または安定性等の特徴を決定するために、長期貯蔵をシミュレートする手段として、水を添加することができる(例えば、5%)。無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。製造、パッケージングおよび/または貯蔵における水分および/または湿度との実質的接触が予想される場合、ラクトースを含有する医薬組成物および剤形を無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水性質が維持されるように、調製および貯蔵することができる。したがって、無水組成物は、適した規定のキットに含まれ得るように、水への曝露を防止することが公知の材料を使用してパッケージングすることができる。適したパッケージングの例として、密封ホイル、プラスチックその他、単位用量容器、ブリスター・パックおよびストリップ・パックが挙げられるがこれらに限定されない。
本開示の抗体は、従来の薬学的配合技法に従って薬学的担体と密接な混合物において組み合わせることができる。担体は、投与に望まれる調製物の形態に応じて多種多様な形態をとることができる。一部の実施形態では、ラクトースの使用を用いることなく、経口剤形のための組成物の調製において、経口液体調製物(懸濁物、溶液およびエリキシル剤等)またはエアロゾルの場合は、例えば、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存料、着色料その他等、担体として通常の薬学的培地のいずれかを用いることができる;または経口固体調製物の場合は、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤等の担体を使用することができる。例えば、適した担体は、固体経口調製物と共に、粉末、カプセルおよび錠剤を含む。所望の場合、錠剤は、標準水性または非水性技法によってコーティングすることができる。
医薬組成物および剤形における使用に適した結合剤として、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたは他のデンプン、ゼラチン、アカシア等の天然および合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガント、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロースならびにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
医薬組成物および剤形における使用に適した充填剤の例として、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、珪酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプンおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
崩壊薬を組成物中に使用して、水性環境に曝露されると崩壊する錠剤を提供することができる。多すぎる崩壊薬は、ボトル内で崩壊し得る錠剤を産生し得る。少なすぎると、崩壊の発生には不十分であり得、よって、剤形からの活性成分(複数可)の放出の速度および程度を変更し得る。よって、活性成分(複数可)の放出を有害に変更するほど少なすぎでも多すぎでもない十分な量の崩壊薬を使用して、剤形を形成することができる。使用される崩壊薬の量は、製剤の種類および投与様式に基づいて変動し得、当業者には容易に識別可能であり得る。約0.5〜約15重量パーセントの崩壊薬または約1〜約5重量パーセントの崩壊薬を医薬組成物中に使用することができる。医薬組成物および剤形の形成に使用することができる崩壊薬として、寒天−寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン(algin)、他のセルロース、ガム、またはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
医薬組成物および剤形の形成に使用することができる滑沢剤として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油(light mineral oil)、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethyl laureate)、寒天またはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。追加的な滑沢剤は、例えば、シロイド(syloid)シリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾルまたはこれらの混合物を含む。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で、任意選択で添加することができる。
水性懸濁物および/またはエリキシル剤が、経口投与に望まれる場合、その中の活性成分は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの様々な組み合わせ等の希釈剤と共に、様々な甘味料もしくは矯味矯臭剤、着色物質または色素、また、所望の場合、乳化および/または懸濁剤と組み合わせることができる。
錠剤は、コーティングされていなくても、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、これにより、より長い期間にわたって持続した作用をもたらすための公知技法によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等、時間遅延材料を用いることができる。経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水または油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセルとして提示することもできる。
医薬組成物および剤形の形成に使用することができる界面活性物質として、親水性界面活性物質、親油性界面活性物質およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、親水性界面活性物質の混合物を用いることができる、親油性界面活性物質の混合物を用いることができる、または少なくとも1種の親水性界面活性物質および少なくとも1種の親油性界面活性物質の混合物を用いることができる。
より低いHLB値を有する界面活性物質は、より親油性または疎水性であり、油におけるより大きい溶解度を有する一方、より高いHLB値を有する界面活性物質は、より親水性であり、水溶液におけるより大きい溶解度を有する。HLB尺度が一般に適用不能であるアニオン性、カチオン性または双性イオン性化合物と同様に、親水性界面活性物質は一般に、約10よりも大きいHLB値を有する化合物であると考慮される。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性物質は、約10に等しいまたはそれよりも小さいHLB値を有する化合物である。しかし、界面活性物質のHLB値は単に、工業用、医薬品および化粧品エマルションの製剤を可能にするために一般に使用される大まかなガイドである。
親水性界面活性物質は、イオン性または非イオン性のいずれかであり得る。適したイオン性界面活性物質として、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素化レシチン;リゾレシチンおよび水素化リゾレシチン;リン脂質およびその誘導体;リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸の塩;脂肪酸塩;ナトリウムドキュセート;アシルラクチレート(acyl lactylate);モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノおよびジ−グリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
上述の群の内、イオン性界面活性物質は、例として:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸の塩;脂肪酸塩;ナトリウムドキュセート;アシルアクチレート(acylactylate);モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノおよびジグリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにこれらの混合物を含む。
イオン性界面活性物質は、イオン化形態のレシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチリック(lactylic)エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸塩、テトラセシル硫酸塩、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、ならびにその塩および混合物であり得る。
親水性非イオン性界面活性物質として、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノール等のポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル等のポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1メンバーとポリオールの親水性エステル転移反応産物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体およびアナログ;ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ならびにこれらの混合物;トリグリセリド、植物油および水素化植物油からなる群の少なくとも1メンバーとポリオールのポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルおよび親水性エステル転移反応産物を挙げることができるがこれらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールまたはサッカライドであり得る。
他の親水性非イオン性界面活性物質は、PEG−10ラウリン酸塩、PEG−12ラウリン酸塩、PEG−20ラウリン酸塩、PEG−32ラウリン酸塩、PEG−32ジラウリン酸塩、PEG−12オレイン酸塩、PEG−15オレイン酸塩、PEG−20オレイン酸塩、PEG−20ジオレイン酸塩、PEG−32オレイン酸塩、PEG−200オレイン酸塩、PEG−400オレイン酸塩、PEG−15ステアリン酸塩、PEG−32ジステアリン酸塩、PEG−40ステアリン酸塩、PEG−100ステアリン酸塩、PEG−20ジラウリン酸塩、PEG−25グリセリルトリオレイン酸塩、PEG−32ジオレイン酸塩、PEG−20グリセリルラウリン酸塩、PEG−30グリセリルラウリン酸塩、PEG−20グリセリルステアリン酸塩、PEG−20グリセリルオレイン酸塩、PEG−30グリセリルオレイン酸塩、PEG−30グリセリルラウリン酸塩、PEG−40グリセリルラウリン酸塩、PEG−40パーム核油、PEG−50水素化ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40水素化ヒマシ油、PEG−60水素化ヒマシ油、PEG−60トウモロコシ油、PEG−6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG−8カプリン酸/カプリル酸グリセリド、ポリグリセリル−10ラウリン酸塩、PEG−30コレステロール、PEG−25植物ステロール、PEG−30ダイズステロール、PEG−20トリオレイン酸塩、PEG−40ソルビタンオレイン酸塩、PEG−80ソルビタンラウリン酸塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ラウリルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE−20オレイルエーテル、POE−20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG−100コハク酸塩、PEG−24コレステロール、ポリグリセリル−10オレイン酸塩、Tween 40、Tween 60、スクロースモノステアリン酸塩、スクロースモノラウリン酸塩、スクロースモノパルミチン酸塩、PEG 10−100ノニルフェノールシリーズ、PEG 15−100オクチルフェノールシリーズおよびポロクサマーを限定することなく含む。
適した親油性界面活性物質は、単なる例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノおよびジグリセリドの乳酸誘導体;グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1メンバーとポリオールの疎水性エステル転移反応産物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;ならびにこれらの混合物を含む。この群の内、好まれる親油性界面活性物質は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびこれらの混合物を含む、または植物油、水素化植物油およびトリグリセリドからなる群の少なくとも1メンバーとポリオールの疎水性エステル転移反応産物である。
一実施形態では、組成物は、化合物の優れた可溶化および/または溶解を確実にし、化合物の沈殿を最小化するために可溶化剤を含む。これは、非経口使用のための組成物、例えば、注射のための組成物にとって特に有利であり得る。可溶化剤は、界面活性物質等の親水性薬物および/または他の構成成分の溶解度を増加させるために、または安定したもしくは均一な溶液もしくは分散物として組成物を維持するために添加することもできる。
適した可溶化剤の例として、次のものが挙げられるがこれらに限定されない:エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール(transcutol)、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体等のアルコールおよびポリオール;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール(glycofurol))またはメトキシPEG等、約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル;2−ピロリドン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミドおよびポリビニルピロリドン等のアミドおよび他の窒素含有化合物;プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε−カプロラクトンおよびその異性体、δ−バレロラクトンおよびその異性体、β−ブチロラクトンおよびその異性体等のエステル;ならびにジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N−メチルピロリドン、モノオクタノイン(monooctanoin)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水等の当技術分野で公知の他の可溶化剤。
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例として、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200−100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコールおよびジメチルイソソルビドが挙げられるがこれらに限定されない。特に好まれる可溶化剤は、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG−400、グリコフロールおよびプロピレングリコールを含む。
含まれ得る可溶化剤の量は、特に限定されない。所与の可溶化剤の量は、当業者であれば容易に決定することができる、生体により許容される量に限定され得る。一部の状況では、例えば、薬物の濃度を最大化するために、生体により許容される量をはるかに超える可溶化剤の量を含むことが有利であり得、過剰な可溶化剤は、蒸留または蒸発等の従来技法を使用して、対象に組成物を与える前に除去される。よって、存在する場合、可溶化剤は、薬物および他の賦形剤の組み合わせた重量に基づき、重量で10%、25%、50%、100%または最大約200%の重量比であり得る。所望の場合、5%、2%、1%またはさらに少ない等、ごく少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、重量で約1%〜約100%、より典型的には、約5%〜約25%の量で存在することができる。
組成物は、1種または複数の薬学的に許容される添加剤および賦形剤をさらに含むことができる。斯かる添加剤および賦形剤は、剥離剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、保存料、キレート剤、粘性修飾薬(viscomodulator)、浸透圧調節薬(tonicifier)、香味剤(flavorant)、着色剤、臭気剤、乳白剤、懸濁剤、結合剤、充填剤、可塑剤、滑沢剤およびこれらの混合物を限定することなく含む。
加えて、加工を容易にするため、安定性を増強するため、または他の理由で、組成物に酸または塩基を取り込むことができる。薬学的に許容される塩基の例として、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロカルサイト(hydrocalcite)、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)その他が挙げられる。酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸(hydroquinosulfonic acid)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸その他等の薬学的に許容される酸の塩である塩基も適している。リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム等、多塩基酸(polyprotic acid)の塩を使用することもできる。塩基が塩である場合、カチオンは、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属その他等、いずれか簡便かつ薬学的に許容されるカチオンであり得る。例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムを挙げることができるがこれらに限定されない。
適した酸は、薬学的に許容される有機または無機酸である。適した無機酸の例として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸その他が挙げられる。適した有機酸の例として、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸その他が挙げられる。
本開示の別の態様では、本開示の抗体組成物を含有する単位用量と、使用のための指示とを含むキットが提供される。キットは、上述の免疫抑制試薬、細胞傷害性薬剤もしくは放射能毒性薬剤、または本明細書に記載されている1種もしくは複数の追加的な抗体(例えば、第1のヒト抗体とは別個の抗原におけるエピトープに結合する補完的活性を有するヒト抗体)等、1種または複数の追加的な試薬を含有する1または複数の単位用量をさらに含むことができる。キットは典型的に、キットの内容の意図される使用を示す標識を含む。標識という用語は、キットの上にもしくはそれに添えて供給されるまたは他の仕方でキットに付随するいずれか書面のまたは記録された材料を含む。
本開示のキットは、診断用薬剤および/または他の治療剤を含むこともできる。一実施形態では、キットは、本開示の抗体と、本明細書に記載されている対象における疾患、状態または障害の状況または存在を診断するための診断方法において使用することができる診断用薬剤とを含む。
次の実施例は、本発明の様々な実施形態を例証する目的で示されており、いかなる様式においても本開示の限定を意味するものではない。本実施例は、本明細書に記載されている方法と共に、現在好まれる実施形態を代表し、例示的であり、本発明の範囲の限定として意図されない。特許請求の範囲によって定義される本発明の精神内に包含されるその変化および他の使用も、当業者であれば思いつくであろう。
(実施例1:抗体の結合親和性アッセイ)
全SPR測定は、BIAcore 3000機器(GE Biosciences、Piscataway、N.J.)で行った。BIAcore 3000機器の操作および制御のため、BIAcoreソフトウェア − BIAcore 3000 ControlソフトウェアV3.2を使用した。BIAcore 3000機器由来のSPRデータの解析のため、BiaEvaluationソフトウェアV4.1を使用し、Graph Pad Prismソフトウェアバージョン5を使用してデータをプロットした。HBS−EPバッファー(10mM HEPES、150mM NaCl、3.4mM EDTA、0.005%P20)において25℃で、IL−6Rに対する抗体の結合親和性を測定した。親和性研究のための流量は、30μL/分であった。チップの参照チャネルの構築のためのリガンドとして、示されている抗体を使用した。固定化されたリガンドに結合している分析物(sIL−6R;SBH Sciences、Natick、MA 01760 USA)を測定し、sIL−6Rの濃度は、1.2〜100nM(3×希釈)である。流量30μL/分で3分間、各試料を注射して、チップに結合した抗体に結合させた。次に、同じ流量でチップの上に分析物なしの結合バッファーを送って、結合した分析物を解離させた。500秒後に、再生溶液(1Mギ酸)を注射することにより、残っている結合した分析物を除去した。両者共にBiaEvaluationソフトウェアV4.1内に含まれるKinetics Wizardおよびマニュアル適合プログラムを使用することにより、データを解析した。トシリズマブ(試料番号25)と比べたk
a、k
d、K
Dおよび親和性を表2に示す。
(実施例2:IL−6Rに対する結合親和性のpH依存性の決定)
実施例1に詳述するプロトコールに従って、pH7.4およびpH6.0におけるSPR測定を並行して行い、K
D値を計算した。pH依存性は、pH6.0におけるK
D値と、pH7.4におけるK
D値との間の比として計算され、これは、pH7.4からpH6.0への親和性減少倍率を示す。本明細書に記載されている対象抗体のpH依存性が、1を超える場合、これは、抗体が、pH7.4におけるIL−6Rへのその結合がpH6.0におけるものよりも高いようなpH依存性様式でIL−6Rに結合することを意味する。本明細書に記載されている対象抗体のpH依存性が、1よりも低い場合、これは、抗体が、pH6.0におけるIL−6Rへのその結合がpH7.4におけるものよりも高いようなpH依存性様式でIL−6Rに結合することを意味する。抗体#202、#205および#206ならびに抗体#209、#231および#237において2つのバッチのSPR測定を行い、両方のバッチにおける参照抗体として抗体#25を使用した。得られたKD値をそれぞれ下表3−1から3−2に示す。pH7.4およびpH6.0における結合親和性を比較することによってこのように決定されたpH依存性を表3−3に示す。下表3−3から、示されている抗体が、トシリズマブよりもはるかに高いpH依存性を有し、pH7.4からpH6.0への結合親和性のより有意な減少、よって、抗原中和およびクリアランスの観点から優れた特性を示すことが分かる。
(実施例3:IL−6受容体中和活性の評価)
PBSによる2回の洗浄後に、10%FBSを含有するRPMI1640(IL6なしの栄養補給)にDS−1細胞(ATCC受託番号CRL 11102)を懸濁し、37℃で18時間培養した。細胞懸濁物を、96ウェルプレート(Corning)に25,000細胞/90μl/ウェルで分注し、次いで、最終濃度100μg/mLに達するように8μl/ウェル(1.25mg/mL)の示されている抗体を添加した。次に、懸濁物を37℃で6時間培養した。250ng/mLにおける最高最終濃度での3種の濃度のIL6(5×希釈)を添加し、次いで懸濁物を37℃で72時間培養した。MTS(Promega)およびPMSを20:1の比で混合し、20μl/ウェルで添加し、次いで37℃で4時間インキュベートした。Multiskan Fc(Thermo)を使用して、490nmにおける吸光度を記録した。図2Aおよび図2Bに示す通り、一部の代表的抗体は、DS−1細胞の増殖を有意に阻害した。
(実施例4:DS−1細胞における代表的抗体に対する阻害%およびIC
50の評価)
PBSによる2回の洗浄後に、10%FBSを含有するRPMI1640(IL6なしの栄養補給)にDS−1細胞を懸濁し、37℃で18時間培養した。96ウェルプレート(Corning)に25,000細胞/90μl/ウェルで細胞懸濁物を分注し、次いで、最高濃度100μg/mLでの9種の濃度にわたる4倍希釈で8μl/ウェルの抗IL6R−mAbを添加し、37℃で6時間培養した。最終濃度2ng/mLによる2μl/ウェルのIL6および対照を添加し、37℃で72時間培養した。20:1の比で混合されたMTS(Promega)およびPMSを20μl/ウェルで添加し、37℃で4時間インキュベートした。Multiskan Fc(Thermo)を使用して490nmにおける吸光度を記録する。一部の代表的抗体に対する阻害%曲線を図3Aおよび図3Bに示す。IC
50値を計算し、下に示す。
本開示の好まれる実施形態を本明細書に示し記載してきたが、当業者から見れば、斯かる実施形態が、単なる例として示されていることが明らかとなるであろう。そこで当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変種、変化および置換を想定するであろう。本発明の実施において、本明細書に記載されている本発明の実施形態の様々な代替を用いることができることを理解されたい。次の特許請求の範囲が、本発明の範囲を定義し、このような特許請求の範囲内の方法および構造ならびにこれらの均等物が、これによって包含されることが意図される。