JP2019522181A - 蛍光マーカーの新しい光学的特性 - Google Patents

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Abstract

本発明は、試料中の対象となる少なくとも1つの分子を検出する方法に関し、この方法は、i)試料を対象となる分子に特異的に結合するリガンドと接触させるステップであって、前記リガンドは、フィコエリトリンまたはその誘導体からなる蛍光色素にコンジュゲートされた、接触させるステップ、ii)ステップi)からの混合物の、330および425nmの間の波長範囲をもつ少なくとも1つの光源による励起するステップ、iii)ステップii)において励起された混合物による550nm以上の波長における光の放出を検出するステップ、およびiv)対象となる分子が試料中に存在するかどうかをステップiii)の結果に基づいて決定するステップを備える。【選択図】なし

Description

本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2016年5月18日出願の仏国特許出願第16/00792号の優先権を主張する。
発明の範囲
本発明は、蛍光マーカーの分野、より具体的には、試料中の生物学的標的の検出のためのそれらの使用に関する。
生体試料中の細胞亜集団の同定および計数は、現在、基礎研究ならびに診断目的の医療試験機関の両方において決定的に重要な要素である。
これを目指して、様々な同定方法が開発され、その中でも、特に、フローサイトメトリー(FCM:flow cytometry)またはFACS(蛍光活性化細胞選別:Fluorescence−Activated Cell Sorting)技術が最近は広く用いられている。
フローサイトフルオロメトリー(F−CFM:flow cytofluorometry)は、単細胞解析のために現在採用されている技術である。この技術は、細胞亜集団をそれらのサイズ、および特異的細胞表面マーカーの有無に従って分離することを可能にする。これらの表面マーカーの検出は、それゆえに、フルオロフォアに連結された特異的リガンドを用いて達成される。
特に、FCMは、白血病およびリンパ腫のイムノフェノタイピングなど多くの診断用途において血液細胞の免疫学的解析のために現在用いられている。これらのアプローチは、蛍光コンジュゲートされたモノクローナル抗体(mAb:monoclonal antibody)、および可視光スペクトル内の広い色(波長)配列における様々な蛍光色素にコンジュゲートされた他の特異的プローブの使用を必要とする。
赤色(例えば、633nmまたは645nm)で、およびより最近にはバイオレット(405nm)で利用可能な小型で経済的に存立できる新しいレーザ源によって、FCM技術は、現在、3つのレーザ、青色(488nm)、赤色(645nm)およびバイオレット(405nm)が装備され、結果として、蛍光色素の使用を支援する機器へ進化した。実際、これらのレーザは、空間的および時間的に分離されるので、各レーザによって誘起される様々な蛍光<色>を独立して干渉なしに測定することが可能である。
この技術的な進化と並行して、対象となる細胞または微粒子亜集団のますます多くの新しい表面マーカーが次第に同定された。これは、様々な標的集団を区別できるようにするために、それらの光学的特性が異なるフルオロフォアを処理することを必要とした。
しかしながら、鑑別診断に有用な新しいフルオロフォアを得ることは、複雑な研究作業を必要とする。確かに、<良好な>フルオロフォアは、厳密な基準、例えば:
1)著しい吸光係数
2)高い量子収率(0.8〜0.9)
3)不十分なトリプレット収率
4)励起状態(単数または複数)の短寿命
5)大きいストークスシフト
6)低い光退色
を満たす分子を除いて、特定の波長で光を吸収でき、次に光を再放出できる単純な分子を同一視しない。
これらの必要条件を考えると、特に、ある励起波長(405nmレーザ)に関しては、現在利用可能なフルオロフォアのパネルが依然として限られる。
初期のFCM応用から細胞フェノタイピングに用いられたフルオロフォアのうちにフィコビリタンパク質がある。
このタンパク質は、光を取り込む(そして免疫調節、抗炎症、抗酸化、および栄養特性も有する)補助色素の群であり、特に特許文献1/特許文献2/特許文献3および特許文献4においてそれらの特性が広く解明された。
現在でも、これらのフルオロフォアは、FCM解析および他の細胞同定方法にしばしば用いられる。
米国特許第4,542,104号 米国特許第5,055,556号 米国特許第4,859,582号 欧州特許第0076695(B1)号
確かに、これらの分子は、フルオレセイン、488nm青色レーザによって励起可能なことが知られる主要な蛍光色素の蛍光に相補的な蛍光スペクトル信号を発生させることが可能である。しかしながら、このタイプのレーザが長らく第1のサイトフルオロメータが装備された唯一の励起光源であった。
フィコビリタンパク質のうちでも、特にフィコエリトリン(PE:phycoerythrin)は、その高い量子収率(フルオレセインイソチオシアネート(FITC:fluorescein isothiocyanate)の量子収率よりずっと高い)、(約560nmにおける、より高いピークに加えて)約488nmにおける非常に有用な2次励起ピーク、およびFITCの放出スペクトルと比較して優れたその放出スペクトルの相補性に起因して、急速に、より大きな興味を呼んでいる。これらの特性が、今日に至るまで、フィコエリトリンをFCMベースのイムノフェノタイピングにおける主要な蛍光色素にした。
そのうえ、488nmレーザに適合する新しい蛍光<色>に対する需要の高まりが、単一のレーザを用いて5色のイムノフェノタイピングを可能にするPEタンデム(例えば、PE−Texas redまたはECD、PE−Cy5、PE−Cy7...)の開発を助長した。最後に、FCMにおけるこのより大きい用途に、FCMベースの多重イムノアッセイの最新の1つが追加され、このイムノアッセイでは、mAbコンジュゲート(<レポーターコンジュゲート>)の形態のすべての単一蛍光イムノアッセイの指標としてPEがより頻繁に用いられる。
それゆえに、PEは、何年もの間、FCMのみならず、より広く、レセプタ/リガンド分子相互作用に基づくすべての分析、検出または分離方法について特に興味深い蛍光色素であった。
図1に示されるように、PEの励起(吸収)スペクトルは、一般に、450nmより記述され、まず初めに490nmにおける2次ピークを含み、560nmにおけるより大きいピークがそれに続く。従って、PEは、488および561nmの間の波長をもつ励起光源とともに常に用いられ、PEが、約405nmに励起波長をもつ満足すべき蛍光色素を構成するであろうことを示唆するものは何もなかった。
しかしながら、驚くべきことに、本発明の発明者らは、今や、フィコエリトリンを蛍光色素として、488および561nmの間を放出するレーザのみならず、バイオレットレーザ(405nm)とも一緒に用いることが可能なことを強調した。
本発明は、それゆえに、488nmまたは560nmに近い従来の波長の代わりに405nmに近い励起波長を用いることによる、PEおよびその誘導体、例えば、そのタンデム誘導体の新しい使用に関する。
第1の目的によれば、本発明は、試料中の対象となる少なくとも1つの分子を検出するための方法に関し、方法は、
i)試料を対象となる分子を特異的に結合するリガンドと接触させるステップであって、前記リガンドは、フィコエリトリンまたはその誘導体からなる蛍光色素に連結された、接触させるステップと、
ii)ステップi)の混合物を330nmおよび425nmの間の波長範囲をもつ少なくとも1つの光源によって励起するステップと、
iii)ステップii)において励起された混合物によって550nm以上の波長で放出された光を検出するステップと、
iv)ステップiii)において得られた結果に基づいて試料中の対象となる分子の有無を決定するステップと
を備える。
本発明の方法は、それゆえに、フィコエリトリンまたはその誘導体のうちの1つからなる蛍光色素にコンジュゲートされた少なくとも1つのリガンド、330nmおよび425nmの間の波長をもつ光を放出する少なくとも1つの光源、ならびに励起された蛍光色素によって放出される光の少なくとも1つの検出器を備える適切なシステム上で実施できる。
そのうえ、本方法は、同じ試料中の第2、第3、第4および第5の(または何番目もの)対象となる分子の同時検出も目指してよい。
本発明の別の目的は、試料中の対象となる少なくとも1つの分子の検出のためのフィコエリトリンまたはその誘導体のうちの1つからなる蛍光色素の使用に関し、用いられる励起波長は、330nmと425nmの間にあり、好ましくは405nmにあることを特徴とする。
フィコエリトリン(R−PE)ならびにそのタンデムのうちの3つ、すなわちR−PE−TexasRed、R−PE−Cy5.5およびR−PE−Cy7の吸収/励起スペクトル(一点鎖線)および放出スペクトル(実線、曲線下影付き領域)を示す(Fluorescence SpectraViewer, Thermofisher Scientificから改編した)。x軸上には波長(nm単位)が提示され、y軸は、相対吸光度または放出強度(%単位)を示す。曲線は、400〜450nmからのみ概略が示され、R−PEについては約490、530および560nmに明らかな励起ピークをもつ。これら3つの励起ピークに加えて、追加の励起ピークをR−PE−Cy5.5(660nm)およびR−PE−Cy7(760nm)について視認できる。R−PEの放出スペクトルは、575nmに中心があるガウス関数である。タンデムの放出スペクトルは、最長波長へシフトして、615nm(R−PE−TexasRed)、694nm(R−PE−Cy5.5)および776nm(R−PE−Cy7)に中心がある。 青色レーザによって励起されたフィコエリトリンのバイオレットレーザの読出しチャンネルにおける洩れがないことを示す。増加する量のR−PEでコーティングされたポリスチレンビーズがキャリブレータとしての機能を果たし、青色およびバイオレットレーザによって励起される。FL2は、595DCSPダイクロイックミラーの背後で、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。青色およびバイオレットレーザの公称パワーは、それぞれ22mWおよび40mWに等しい。最初に、ビーズシングレットが2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択され、それらのFL2およびFL10蛍光が相関した仕方で解析される。 青色レーザによって励起されたフィコエリトリンのバイオレットレーザの読出しチャンネルにおける洩れがないことを示す。増加する量のR−PEでコーティングされたポリスチレンビーズがキャリブレータとしての機能を果たし、青色およびバイオレットレーザによって励起される。FL2は、595DCSPダイクロイックミラーの背後で、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。青色レーザの公称パワーが10mWへ減少されるのに対して、バイオレットレーザの公称パワーは、40mWに維持される。最初に、ビーズシングレットが2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択され、それらのFL2およびFL10蛍光が相関した仕方で解析される。 青色レーザによって励起されたフィコエリトリンのバイオレットレーザの読出しチャンネルにおける洩れがないことを示す。増加する量のR−PEでコーティングされたポリスチレンビーズがキャリブレータとしての機能を果たし、青色およびバイオレットレーザによって励起される。FL2は、595DCSPダイクロイックミラーの背後で、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。青色レーザの公称パワーが次に5mWへ減少されるのに対して、バイオレットレーザの公称パワーは、40mWに維持される。最初に、ビーズシングレットが2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択され、それらのFL2およびFL10蛍光が相関した仕方で解析される。 青色レーザによって励起されたフィコエリトリンのバイオレットレーザの読出しチャンネルにおける洩れがないことを示す。増加する量のR−PEでコーティングされたポリスチレンビーズがキャリブレータとしての機能を果たし、青色およびバイオレットレーザによって励起される。FL2は、595DCSPダイクロイックミラーの背後で、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。青色およびバイオレットレーザの公称パワーは、それぞれ22mWおよび40mWに等しい。最初に、ビーズシングレットが2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択され、それらのFL2およびFL10蛍光が相関した仕方で解析される。 青色レーザによって励起されたフィコエリトリンのバイオレットレーザの読出しチャンネルにおける洩れがないことを示す。増加する量のR−PEでコーティングされたポリスチレンビーズがキャリブレータとしての機能を果たし、青色およびバイオレットレーザによって励起される。FL2は、595DCSPダイクロイックミラーの背後で、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。バイオレットレーザの公称パワーが10mWへ減少されるのに対して、青色レーザの公称パワーは、22mWに維持される。最初に、ビーズシングレットが2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択され、それらのFL2およびFL10蛍光が相関した仕方で解析される。 青色レーザによって励起されたフィコエリトリンのバイオレットレーザの読出しチャンネルにおける洩れがないことを示す。増加する量のR−PEでコーティングされたポリスチレンビーズがキャリブレータとしての機能を果たし、青色およびバイオレットレーザによって励起される。FL2は、595DCSPダイクロイックミラーの背後で、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。バイオレットレーザの公称パワーが次に5mWへ減少されるのに対して、青色レーザの公称パワーは、22mWに維持される。最初に、ビーズシングレットが2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択され、それらのFL2およびFL10蛍光が相関した仕方で解析される。 青色レーザによって励起されたフィコエリトリンのバイオレットレーザの読出しチャンネルにおける洩れがないことを示す。増加する量のR−PEでコーティングされたポリスチレンビーズがキャリブレータとしての機能を果たし、青色およびバイオレットレーザによって励起される。FL2は、595DCSPダイクロイックミラーの背後で、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。分析の間にバイオレットレーザをアイリスにより遮光して、その公称パワーを40mWから0mWへ人為的に低下させることを可能にし、青色レーザの公称パワーは、22mWで一定に保たれる。最初に、ビーズシングレットが2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択され、それらのFL2およびFL10が相関した仕方で解析される。 強く染色した試料と軽く染色した試料とを区別する、バイオレットレーザによって励起されたPE−Cy5.5の能力を示す。可変量のヤギ抗マウス抗体でコーティングされたまたはされないいくつかのキャプチャービーズが、PE−Cy5.5にコンジュゲートされた抗CD−45抗体に曝露される。試料がバイオレットおよび青色レーザによって継続的に励起され、それによって、空間的および時間的な分離が各レーザから放出された蛍光信号の差次的な解析を可能にする。FL4は、PE−Cy5.5の蛍光を集光するために、730DCSPダイクロイックミラーの背後で695BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からの信号に対応する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーによる偏向後に同一のフィルタ(695BP30)を通過したバイオレットレーザ(405nm)からの信号に対応する。 CD45マーカーを用いたフローサイトメトリーを通じての正常造血細胞の血液細胞亜集団の同定を示す。488nmにおける抗CD45−PEコンジュゲート抗体の励起は、図(A)、(C)および(E)に概略が示される。405nmにおける抗CD45−PE−コンジュゲート抗体の励起は、図(B)、(D)および(F)に概略が示される。血液細胞亜集団の追跡および定量化が図(A)、(B)、(C)および(D)によって表される。図(E)および(F)は、4つの亜集団:リンパ球(Ly)、単球(Mo)、顆粒球(PMN)および残存赤血球(Ery)を組み合わせた単一パラメータ・ヒストグラムにおける表現である。 CD45マーカーを用いたフローサイトメトリーを通じての正常造血細胞および白血病の血液細胞亜集団の同定を示す。低レベルのCD45発現を有する異常細胞のモデルとして役立つ、LP1細胞が、正常白血球と比較して10%の比で加えられた。488nmにおける抗CD45−PEコンジュゲート抗体の励起は、図(A)、(C)および(E)に概略が示される。405nmにおける抗CD45−PE−コンジュゲート抗体の励起は、図(B)、(D)および(F)に概略が示される。LP1細胞が補充された血液細胞亜集団の追跡および定量化が図(A)、(B)、(C)および(D)によって表される。図(C)および(D)は、白血病芽球のみを表示する。図(E)および(F)は、5つの亜集団:LP1細胞株(LP1)のリンパ球(Ly)、単球(Mo)、顆粒球(PMN)、残存赤血球(Ery)および白血病細胞を組み合わせた単一パラメータ・ヒストグラムにおける表現である。 CD45およびCD33マーカーを用いたフローサイトメトリーを通じての正常および白血病造細胞の血液細胞亜集団の同定を示す。低レベルのCD45発現(CD45 low)を有する異常な急性骨髄性白血病(AML:Acute Myeloid Leukaemia)のモデルとして役立つ、HL60およびNB4細胞が、50,000細胞/試料の量で加えられた。488nmにおける抗CD33−PE−Cy7コンジュゲート抗体の励起は、図(A)に概略が示される。405nmにおける抗CD33−PE−Cy7コンジュゲート抗体の励起は、図(B)に概略が示される。HL60およびNB4細胞が補充された血液細胞亜集団と関連する追跡および統計が図(A)および(B)によって表される。図(C)および(D)は、好中球(NeuおよびPMN2)、リンパ球(Ly)、残存赤血球(RBC)および追加された白血病細胞(HL60およびNB4)を含んだ正常血液細胞亜集団の分布の2色2パラメータ表現である。
本発明の第1の目的は、試料中の対象となる少なくとも1つの分子を検出するための方法に関し、方法は、
i)試料を対象となる分子を特異的に結合するリガンドと接触させるステップであって、前記リガンドは、フィコエリトリンまたはその誘導体からなる蛍光色素にコンジュゲートされた、接触させるステップと、
ii)ステップi)の混合物を330および425nmの間の波長範囲をもつ少なくとも1つの光源によって励起するステップと、
iii)ステップii)において励起された混合物によって550nm以上の波長で放出された光を検出するステップと、
iv)ステップiii)の結果に基づいて試料中の対象となる分子の有無を決定するステップと
を備える。
本発明者らは、以下の実施例に示されるように、フィコエリトリンが、405nmにおけるレーザによる励起後に、かかるレーザと関連した蛍光色素としてのその使用を可能にするなどの蛍光特性を有することを強調した。
<対象となる分子>という語句は、試料中のその存在が推測される生物学的マーカーを指す。かかる生物学的マーカーは、タンパク質、核、糖質、脂質または糖脂質性とすることができる。
好ましくは、本発明の方法によって検出される生物学的マーカーは、タンパク質、脂質、炭水化物、脂質もしくは糖脂質構造、または炭水化物ユニットである。
好ましくは、本発明の方法によって検出される生物学的マーカーは、タンパク質である。
<試料>という用語は、任意のタイプの試料、主に、組織(筋肉、骨、器官など...)、体液(血液、唾液、尿、涙、精液、乳、気管支肺胞液、肋膜液、脳脊髄液など...)、対象となる分子、具体的には粒子、特に、細胞を含んだ液体懸濁物、真核生物または原核生物、例えば、インビトロ培地または発酵液、浴水または飲料水、注射液からなる生体試料を指す。
好ましくは、本発明の検出方法に用いられる試料は、好ましくは動物の体に、特に人体に由来する細胞、原核生物もしくは真核生物、好ましくは真核生物を含むか、または含むと思われる。かかるケースにおいて、検出される対象となる分子は、細胞内にあるか、または細胞の原形質膜に固着した分子とすることができる。
好ましくは、対象となる分子は、細胞当たり少なくとも1,000コピーの、より好ましくは細胞当たり少なくとも2,500コピーの、さらにより好ましくは細胞当たり少なくとも5,000コピーの濃度で試料中に存在する。
好ましくは、対象となる分子は、細胞当たり1,000〜2,000.000超のコピー、より好ましくは細胞当たり7,500〜1,500.000コピー、より好ましくは細胞当たりさらに10,000〜150,000コピーに及ぶ濃度で試料の細胞上/中に存在する。
本発明のある特定の実施形態によれば、対象となる分子は、細胞当たり少なくとも7,500コピーの濃度で試料の細胞上/中に存在する。
<リガンド>という用語は、対象となる標的分子に物理的かつ可逆的に結合することが可能な巨大分子を指す。この相互作用は、対象となる分子とその特異的リガンドとの間の相補性のゾーンの存在により可能である。リガンドと対象となる分子との間の結合は、例として、静電結合、ファンデルワールス力、イオンまたは水素結合を通じて、さらに疎水相互作用により非共有結合を確立することによって行われる。対象となる分子がタンパク質であるときに、リガンドは、このケースでは抗体、抗体フラグメントまたは誘導体構造(Fab、Fab’2、ナノボディ、アプタマー、アフィマー...)であってよい。対象となる分子がグリコシル化された決定因子であるときに、リガンドは、レクチンまたはバクテリア毒素(例えば、多数の膜抗原のグリコシルホスファチジルイノシトール・アンカーへのその親和性のためのFLAER)とすることができる。対象となる分子が脂質(例えば、ホスファチジルセリン、セラミド、GD2、GD3...)であるときに、リガンドは、(限定はされないが)アネキシン、ラクタドヘリン、コレラ毒素...などのアフィンタンパク質とすることができる。最後に、対象となる分子がハプテン(ビオチン、DNP、poly−His...)であるときには、アビジン、抗ハプテン抗体のストレプトアビジンが含まれうる。最後に、任意のリガンドに対して、そのレセプタのうちの1つがプローブとして用いられてよい。リガンドまたは対象となる分子の性質に係わらず、リガンドと対象となる分子との間の会合の安定性は、この結合に固有の会合または平衡係数(Ka)を決定することによって定量可能である。この定数は、対象となる複合体のリガンド−分子の濃度と、遊離リガンド濃度および対象となる遊離分子の積との間の比に対応する。この結合が適格に特異的であるためには、この定数が10Lmol−1以上でなければならない。
好ましくは、本発明の検出方法において試料と接触するリガンドは、抗体である。
<蛍光色素>という用語は、紫外から赤外までの波長の範囲内の光ビームによる照射後に、より低エネルギーのフォトンを次に放出することが可能な任意のタイプの化合物を指す。照射は、典型的に照明である蛍光を発生させる。フォトンの放出は、光エネルギーの吸収の結果として生じた励起状態から基底状態への分子の電子遷移(緩和)の間に生じる。従って、蛍光色素によるフォトンの吸収は、励起フォトンと比較して、より長い波長およびより低いエネルギーの別のフォトンの放出につながる。光ビームの波長およびエネルギーに依存して、蛍光色素は、様々な励起状態に達しうる。
各蛍光色素は、それ自体に固有の吸収スペクトル、励起スペクトルおよび放出スペクトルを有する。蛍光色素の吸収スペクトルは、その励起に係わらず、吸収されるその波長範囲によって画定される。蛍光色素の励起スペクトルは、励起を効果的に誘起するその波長範囲によって画定され、蛍光色素が達成できる励起状態の範囲を反映する。蛍光色素がその最大励起に対応する波長で照明(励起)されたときには、蛍光色素の放出が最大である。逆に、蛍光色素がその最大励起以外の波長で励起されるならば、放出長は、それゆえに同じであるが、蛍光強度がより低い。
所与の蛍光色素に対する蛍光効率は、放出されるフォトン数と蛍光色素によって吸収されるフォトン数との間の比によって定義される量子収率ファイ(Φ)によって決定される。従って、この量子収率は、所与の波長における吸収および励起を区別することを許容する。典型的に、蛍光色素は、0.1および1の間の量子収率を有する。量子収率ファイΦが励起波長に依存しないので(Kasha則)、蛍光色素の放出スペクトル形状は、励起光源の波長に係わらず、不変である。それでもなお、蛍光色素の放出スペクトルの強度は、励起波長に従って変化する。
吸収強度、もしくは消衰係数ε、または比吸光度は、吸収確率を反映し、係数εが高いほど、同じ光強度における蛍光がより高い。
蛍光色素の蛍光強度または輝度は、消衰係数および量子収率の積によって決定される。この積が高いほど、蛍光色素がより明るい。
フルオロフォア、蛍光色素または蛍光プローブという用語は、等価であり、同義で用いられてよい。
<フィコエリトリン>という用語は、シアノバクテリア、紅藻類およびある種のクリプト植物から抽出されたフィコビリタンパク質のファミリーに属するタンパク質を指す。フィコビリタンパク質は、フィコビリンとして知られるクロモフォアに共有結合的に結合されたアポタンパク質からなる。アポタンパク質は、三量体(αβ)または六量体(αβ)の形態で組織された、サブユニットαおよびβと呼ばれる2つの別個のポリペプチドを備えるモノマーの構造を有する。かかる典型的な複合体は、第3のタイプのサブユニット、γ鎖も有してよい。
フィコビリタンパク質の吸光度特性は、少なくとも1つのポリペプチドのシステイン残基とのチオエーテル結合を通じてサブユニットα、βおよびγに結合された開鎖テトラピロール補欠分子族の存在に起因する。
フィコエリスロビリン(PEB:phycoerythrobilin)およびフィコウロビリン(PUB:phycourobilin)は、紅藻類から抽出されたフィコエリトリンのテトラピロール補欠分子族の2つの主要なタイプを構成する。
PEBおよびPUB群の数は、フィコエリトリンの細胞起源によって変化しうる。このように、フィコエリトリンの5つのクラスが同定された、すなわち、C−フィコエリトリン(C−PE)は、サブユニットα当たり2つのPEBおよびサブユニットβ当たり3つのPEBを結合させ、CU−フィコエリトリン(CU−PE)は、サブユニットα当たり2つのPEBならびにサブユニットβ当たり3つのPEBおよび1つのPUBを結合させ、b−フィコエリトリン(b−PE)は、サブユニットα当たり2つのPEBおよびサブユニットβ当たり4つのPEBを結合させ、B−フィコエリトリン(B−PE)は、サブユニットα当たり2つのPEB、サブユニットβ当たり3つのPEB、ならびにサブユニットγ当たり2つのPEBおよび2つのPUBを結合させ、R−フィコエリトリン(R−PE)は、サブユニットα当たり2つのPEB、サブユニットβ当たり2つのPEBおよび1つのPUB、ならびにサブユニットγ当たり1つのPEBおよび3つのPUBを結合させる。
PEBおよびPUB群の数の比が様々なフィコエリトリンの分光特性を画定する。それゆえに、PEの最大励起ピークは、一般に、約545nm(b−PE)から約565nm(R−PE)へ変化する。
ある特定の実施形態によれば、蛍光色素は、フィコエリトリン−R(R−PE)であり、好ましくは本発明による検出方法に用いられるPEは、紅藻類から抽出される。
図1に示されるように、フィコエリトリンの吸収スペクトルは、400〜450nmと600nmとの間の範囲にわたって測定され、約490nm、530nmおよび560nmにおける極大吸収強度に対応する3つの主な吸収のピークを呈する。FCM文献およびすべての教科書がユーザに教えるのは、FCMに用いられる最も入手し易いレーザ源を利用してこれら3つの吸収ピークのうちの1つを選択することであり、これらのレーザ源は、市場で現在入手できるデバイスの謂わば全体に存在する488nmにおける青色レーザ、530nmにおける緑色レーザ、およびより最近では560nmにおける黄色レーザである。しかしながら、今までのところ知られていなかったのは、約400nmにおける非常に低い吸収が、PEの満足すべき十分な励起と、それゆえに、ヒト血液中の白血病芽球などの、潜在的に診断上の関心がある血液学的細胞亜集団の同定に適用可能であり、かつ繰り返すこともできる蛍光の達成とを許容するであろうということである。確かに、所与の波長で光を吸収する蛍光色素が必ずしもこの波長で効率的に励起されるわけではない。物質の励起スペクトルは、一定の波長で放出される蛍光を分光蛍光光度計を用いて測定し、励起波長を変化させることによって得られる。
蛍光放出スペクトルは、吸収スペクトルと比較してより長い波長へ常にシフトする。物質の放出スペクトルは、種々の放出波長で放出された蛍光を測定することによって得られ、物質は、一定波長で励起される。ほとんどの蛍光色素とは違って、PEの放出スペクトルは、その吸収スペクトルのより長い波長への単なるシフトには対応しない。図1に詳しく示されるように、PEの放出スペクトルが575nm上に中心があるガウス関数であるのに対して、励起スペクトルは、複数の極大をもつ複雑な形状を示す。しかしながら、時にはPEの放出を550nmから検出できる。蛍光放出スペクトルの形状が励起波長に依存しないのに対して、蛍光放出の強度は、フルオロフォアによって吸収される励起ビームパワーに直接比例する。
このスペクトルに基づいて、当業者は、480nmと500nmとの間の波長をもつ、青色光源か、または530および565nmの間の波長をもつ、緑色/黄色光源のいずれかによる、このフルオロフォアに最適かまたはわずかに準最適な励起強度に対応する波長を常に用いた。
クリプト植物から抽出されたPEのクロモフォアは、クリプトビオリン(CV:cryptonviolin)も含む。サブユニットα当たり2つのPEBおよび2つのCV、ならびにサブユニットβ当たり1つのPEBを結合させるフィコエリトリン−544(PE−544)が特にこのケースである。フィコエリトリン−555(PE−555)およびフィコエリトリン−568(PE−568)は、PEBを2つのサブユニット・タイプαおよびβに結合させる。クリプト植物から抽出されたPEは、サブユニットγを何も有さないと思われる。クリプト植物から抽出されたPEの励起スペクトルは、一般に、544nm(PE−544)と568nm(PE−568)との間で変化する。
ある具体的な実施形態によれば、蛍光色素は、フィコエリトリン−R(R−PE)であり、好ましくは本発明による検出方法に用いられるPEは、紅藻類から抽出される。
商業形態のR−PEは、すでに活性化された形態の凍結乾燥品として(例えば、Lyo(SMCC)−RPE,参照.FEBICOによって供給されるL1もしくはL1SM)、または、液体形態で(例えば、PhycoPro(商標)RPE,参照.PROZYMEによって供給されるPB32、もしくはR−フィコエリトリン,参照.INVITROGENによって供給されるP801)、あるいはさらにしばしば、使用直前に再可溶化され、活性化される硫酸アンモニウム沈殿物の形態でも(FEBICO、PROZYME)入手できる。
蛍光色素のリガンドとの連結は、当業者によく知られた技術に従って実行される(M.Roederer,Conjugation of monoclonal antibodies(August,2004;http://www.drmr.com/abcon/))。端的には、PEの抽出および精製後に、後者が化学的に活性化され、チオール基に対して反応性になることを可能にする。リガンドは、還元相を経て、反応する準備ができたチオール基の放出を可能にする。従って、リガンドのPEとの共有結合を実行できる。
PEのリガンドとのコンジュゲーションを実行するために必要なすべての試薬を含む商業キット(例えば、PhycoLink(登録商標)R−フィコエリトリン・コンジュゲーション・キット,参照.PROZYMEによって市販されるPJ31K,R−フィコエリトリン・コンジュゲーション・キット,参照.AbCAMによって市販されるab102918)を入手できる。
<フィコエリトリン誘導体>という語句は、PEと別の蛍光化合物との間で形成されたタンデム複合体を指す。PEとこの第2の蛍光化合物との間の共有結合の確立は、PEからこの第2の蛍光化合物への共鳴によるエネルギー転移を許容する。このケースでは、PEがドナー蛍光色素と呼ばれ、第2の蛍光化合物がアクセプタ蛍光色素と呼ばれる。これらのタンデムの目的は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET:fluorescence resonance energy transfer)、およびそれに応じて、ドナー蛍光色素の一次励起と、アクセプタ蛍光色素の放出との間の大規模なシフト(Stokesシフト)を得ることである。このように、PEタンデム複合体は、PEのものに対応する励起/吸収スペクトルおよび第2の蛍光化合物のものに対応する放出スペクトルを有する。市場で現在入手できるかかるタンデム複合体は、PE−TEXAS−RED(商標)、PE−Cy5(商標)、PE−Cy5.5(商標)、PE−Cy7(商標)、PE−Alexafluor(商標)610、PE−Alexafluor(商標)647、PE−DyLight(商標)594、PE−Dyomics(商標)590およびRT665(商標)、ならびに全てのPE−Xタンデムから選択され、ここでX=PEによって放出されたフォトンの吸収による励起後に、PEのみによって放出されるものより高い(すなわち、575nmより高い)波長をもつフォトンを放出することが可能な、任意の蛍光化合物である。
Y−PEタンデム複合体、ここでY=PE(すなわち、アクセプタ蛍光色素)によって取り込まれたフォトンを、励起後に、放出する任意のドナー蛍光色素)は、本発明の目的上、フィコエリトリン誘導体の定義から除外される。言い換えれば、本発明によるPE−Xタンデムにおいて、PEは、常にドナー蛍光色素である。
好ましくは、試料を対象となる分子の特異的リガンドと接触させるステップは、液体媒質中で、好ましくは水溶液中で実行される。
<光源>という用語は、単色光のビームを放出することが可能なデバイスを指す。光源は、レーザ、アークランプまたは発光ダイオード(LED:light emitting diode)とすることができる。アークランプ(例えば、水銀、キセノン−水銀)は、数ミリワットのインコヒーレント光を供給する光源である。それらは、必要な波長を選択するためにフィルタしなければならない複数の波長を放出する。このような理由で、大部分のフローサイトメータは、光源/光源群として1つ以上のレーザを有する。レーザは、狭い、よく定義された特定の波長をもつ2、3ミリワット〜数ワットのコヒーレント光を供給する。多くの異なるレーザ・タイプを現在入手できる。FCMにおいて現在用いられ、歴史的に用いられたいくつかのレーザは、アルゴンレーザ(351、454、488、514nm)、クリプトンレーザ(406、488、532、630nm)、ヘリウムネオンレーザ(632nm)、ヘリウムカドミウムレーザ(325、441nm)、YAGレーザ(532nm)およびバイオレットレーザ(405nm)を含む。最近の技術的進歩は、今日では従来のガスレーザと同様の広い波長列において見られる、<固体>またはDPSS(ダイオードポンプ固体:diode−pumped solid state)技術と呼ばれる技術により、ずっとより扱い易く、長寿命が付与されたレーザ、特に488nm、635nmおよび405nmにおけるDPSSレーザの利用可能性をもたらした。近頃、市場で入手できるフローサイトフルオロメータは、青色、バイオレット、および赤色の3つレーザが現在は装備され、この進化は、PEおよびそのタンデムを含めて、青色レーザによって励起可能な蛍光色素の過去のリストに加えて、赤色およびバイオレットレーザによって理想的に励起される新しい蛍光色素の開発をもたらした。最後に、CD−ROMドライブおよびDVDプレイヤの急速な最近の進化は、DPSSレーザに代わる励起源としてそれらを使用可能にする特性およびパワーが付与され、それらの工業量産シリーズのゆえに非常により低コスト(1:100、またはさらに1:1,000比)のレーザダイオードシステムを後押しした。このように、市場では、赤色レーザダイオード(635nm、CD−ROMドライブに含まれる)、青色レーザダイオード(450nm、DVDプレイヤに含まれる)および今や青紫色レーザ(405nm、ブルーレイプレイヤに含まれる)を見付けることが可能である。適切なのは、488nmに中心がある高性能で安価なダイオードレーザが市場にはなく、結果として、370nmまたは405nmにおける1つのみのレーザ源(もしくはレーザダイオード)、または2つのバイオレットおよび赤色源(405および635nm)を備えるデバイスが、488nmもしくは530nmまたは560nmにおけるレーザの存在を主張するデバイスよりも、コンパクト(コンパクトな設計のレーザダイオード)かつ安価になることに気付くことである。例えば、FCMなどの、多様な生物医学的方法論については、青紫色ダイオードレーザの使用(405nmにおけるライン,http://www.lasercomponents.com/fileadmin/user_upload/home/Datasheets/kimmon/blue−violet−laser−specs.pdf)も考慮される。具体的な経済上および産業上の考察(信頼性、より小型、一体化の容易さ)は、生物医学的分析機器の開発にとって赤色およびバイオレットレーザダイオード(635および405nm)を特に魅力的にする。患者に近接して、医療センターにおいて、薬局または他のヘルスケア施設において行うための新しい<ポイントオブケア>診断テストの開発に伴って、結果が速やかに入手できるならば、なおさらにこのことが興味深くなった。かかるテストは、迅速な患者看護および適切な処置の即時の処方を促進することを目指す。
好ましくは、本発明の方法においてステップi)に略述される混合物の励起のために用いられる前記少なくとも1つの光源は、330および425nmの間、好ましくは350および420nmの間、さらに好ましくは360および410nmの間の波長を有する。
ある特定の実施形態によれば、本発明の方法においてステップi)の混合物の励起のために用いられる前記少なくとも1つの光源は、400および410nmの間、より好ましくは405nmの波長を有する。
別の実施形態によれば、本発明の方法においてステップi)の混合物の励起のために用いられる前記少なくとも1つの光源は、405nmの波長で放出するバイオレットレーザまたはバイオレットレーザダイオードである。
ステップi)の混合物の励起に関係するステップii)は、少なくとも1つの光源による後者の照明に対応する。
試料が対象となる分子を含むときに、蛍光色素にコンジュゲートされたリガンドは、それ自体が後者上に結合し、ステップii)後に混合物によって放出された光は、PEのみの放出スペクトルの始まりに対応する、550nm以上の波長で集光される。例として、PE−TEXASRED(商標)、PE−Cy5(商標)、PE−Cy5.5(商標)、PE−Cy7(商標)、PE−Alexafluor(商標)610、PE−Alexafluor(商標)647、PE−DyLight(商標)594、PE−Dyomics(商標)590およびRT665(商標)タンデムの最大放出波長は、それぞれ、613nm、670nm、690nm、775nm、628nm、665nm、618nm、599nmおよび680nmに等しい。これらの放出波長は、光源、およびフルオロフォア抽出/精製のプロトコルに依存して数nm変化しうる。これらの波長は、最適蛍光集光区域の中心を表し、その幅は、分析における他の蛍光色素の近接スペクトルの有無に基づいて、しばしば20および50nmの間にあり、大部分のケースでは30nmである。
360および410nmの間、好ましくは405nmにおける波長の光源を用いた、PEおよびその誘導体の励起に起因する少なからぬ利点は、これが、励起波長と放出波長との間の非常に顕著なStokesシフトを発生させ、結果として、488nmにおける、またはさらに530nmもしくは560nmにおける波長の光源を用いた励起によって主張されるよりもずっと低効率で安価な蛍光フィルタ(PE用)を用いることを可能にすることである。
ステップii)における励起後に混合物によって放出された光を検出するステップiii)は、光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)とすることができる光検知器を用いて行われる。このケースでは、フォトンの形態で放出された信号が光電子増倍管によって定量可能な電気信号へ変換される。
本発明の方法は、試料中の対象となる少なくとも第2のみならず、潜在的に少なくとも第3、第4、およびさらに第5の(または何番目かの)分子の同時同定をさらに備える。
かかる同定は、特に、PEに結合された第1のリガンドの、ならびにそのタンデムのうちの1つにコンジュゲートされた第2、第3、第4、またはさらに第5のリガンドの使用に依存する。330および425nmの間の、好ましくは405nmにおける波長の光源は、シフトした蛍光スペクトルを提供するPEおよびそのタンデムを同時に励起することを可能する。
ある特定の実施形態によれば、PEまたはその誘導体のうちの1つを励起するのに用いられるものと同じ波長の光源によって励起可能であるが、PEまたはその誘導体のうちの1つのものとは異なる放出スペクトルをもつ第2のフルオロフォアを活用して、対象となる第2の分子の同時同定を実行できる。
従って、330および425nmの間の、好ましくは405nmにおける波長の光源は、PEおよび/またはそのタンデムのうちの1つ、ならびにかかる波長で励起可能であるように特異的に設計された蛍光色素を同時に励起することを可能にする。これらの蛍光色素は、特に、SYTO40、DAPI、DyLight(登録商標)405、Brilliant Violet 421(商標)、HiLyte Fluor(商標)405、Pacific Blue(商標)、Pacific Orange(商標)、Cascade(登録商標)Blue、Alexa Fluor(登録商標)405、eFluor(登録商標)450、BD(商標)Horizon(商標)V450、VioBlue(登録商標)、VioGreen(商標)、Krome Orange(商標)、Calcein Violet 450 AM(商標)、Zombie Violet(商標)、Aminomethylcoumarin(AMCA)またはさらにある種のQ−dot(登録商標)565/605/625/655/705/800を備える。
この方策は、それゆえに、405nmにおけるバイオレットレーザと連携するために最近開発された蛍光色素より安価で産業用途により利用し易い、DAPI、およびPEまたはそのタンデムなどの、ロイヤリティーフリーの蛍光色素を組み合わせることも可能にする。
さらに別の特定の実施形態によれば、PEまたはその誘導体のうちの1つを励起するのに用いられるものとは異なる波長の光源によって励起できて、PEまたはその誘導体のうちの1つのものからオフセットした放出スペクトルを有する第2のフルオロフォアを用いて、対象となる第2の分子の同定を実行できる。
この特定の実施形態は、少なくとも2つの光源を必要とし、330および425nmの間の、好ましくは405nmにおける、波長のうちの1つが、PEおよび/またはそのタンデムのうちの1つを同時に励起することを可能とし、例として、530nmもしくは560nmにおけるレーザ、またはさらに635/640nmにおけるレーザ/ダイオードなどの、より長い波長の第2の光源が、PEおよび/またはその誘導体のうちの1つとは異なる第2のフルオロフォアを励起することを可能にする。
すべてのケースにおいて、当業者は、あるフルオロフォアによって放出された光信号が、別の蛍光色素によって放出された信号を記録すべき検出チャンネル中にオーバーフローすることをできる限り回避するかまたは最小限に抑えるであろう。2つ、3つ、4つ、5つまたはたくさんの蛍光色素のスペクトルの重なりを制限することが、対象となるいくつかの分子の確かな検出を可能にする。現在、特に、異なる抗体および蛍光色素(例えば、FITC、PE、PE−Texas−RedまたはECD、PE−Cy5、PE−Cy7)によって染色された5つの異なる分子の日常的な測定を可能にする488nmにおけるレーザを用いて、この方法が適用される。
試料中の対象となる分子の有無を決定するステップiv)は、ステップiii)においてこの試料中で得られた結果を、対象となる分子を含まないことが知られている参照試料について得られたものと比較するステップに基づく。
対象となる分子の存在が一旦決定されると、試料中の対象となる分子のコピーの数を算出するためにステップiv)を用いることもできる。増加する既知量の対象となる標的分子を含んだ標準範囲と比較して、この定量化ステップを実行できる。
本発明による試料中の対象となる少なくとも1つの分子を検出するための方法は、フローサイトメータ上で実施できる。
本発明の検出方法は、生体試料中の細胞または微粒子亜集団の分離、解析または計数のために用いられてよい。
本発明の検出方法は、造血起源の細胞または微粒子亜集団の分離、解析または計数のために用いられてよい。
本発明の第2の目的は、試料中の対象となる少なくとも1つの分子の検出のためのフィコエリトリンまたはその誘導体のうちの1つからなる蛍光色素の使用に関し、蛍光色素の励起波長が330nmおよび425nmの間、好ましくは350および420nmの間、またはさらにより好ましくは360および410nmの間にあることを特徴とする。
ある特定の実施形態によれば、蛍光色素の励起波長は、400および410nmの間にあり、好ましくは405nmである。
本発明が、それらの教示内容なしには発明の範囲を制限し、またはある種の限定を構成する実施例によって以下に説明される。
1−本発明の起源
何気ない観測が本発明を喚起した。より具体的には、3つのレーザをもつこのタイプのフローサイトメータ(BC Gallios(商標))を扱う専門家によって行われた蛍光補償の設定に関連する典型的な経験の間に、本発明者らは、バイオレットレーザと関連する検出器のうちの1つ(FL10チャンネル)における低寄生漏れを観測した。この特定のケースでは、実施例2に記載するPEコンジュゲートのみで染色したタイプのマウスIgキャプチャービーズが、FL10(530および570nmの間の蛍光、550BP40フィルタ)において有意な信号レベルを提供したが、理論が予想したのは、この範囲の励起および放出波長と適合するフルオロフォアであるKrome−Orange(商標)で染色したコンジュゲートがない場合にFL10では蛍光が完全に欠如することであった。本発明者らは、この観測が些細であるとは感じず、この漏れの背後にある理由を収集することを目指した。
このような目的で、i)同様のシステムを、すなわち、PEのみで染色したビーズを捨てること、およびii)いくつかのフィルタを移動させることによって、このデバイスのオプティカルベンチの標準構造を変えることが必要であった。405nmにおける励起と関連するFL10検出器の前を各フィルタが通るようにするために、オプティカルベンチの異なるフィルタを手作業で別の位置へ移動させた。これらの修正は、488nmにおける青色レーザとともに標準的に設置するPEに対して最適化したフィルタ(575BP30)を用いて、FL2検出器上で最大信号を確実に得ることを可能にした。それに応じて、このテストの結果が示唆したのは、信号はこのタイプのビーズ上に存在する唯一の蛍光色素であるPEからの蛍光信号ではあるが、405nmにおける励起という意外な状況での蛍光信号であろうということである。
その後の検証のために、デバイスのいくつかの従来とは異なる修正が必要であった。これらの修正は、2つの同様のデバイスの同じ個所での利用可能性を伴ってのみ実行可能でありうる、チャンネルFL2(取扱説明書に指示されるような、488nmにおける励起と関連した標準位置)およびFL10(405nmにおける励起と関連した異常位置)上で同時にPE蛍光を読み取るのを可能することを目指し、それによって、第2のGallios(商標)サイトメータのPEフィルタを即座に借りて、第1のGallios(商標)サイトメータのFL10位置に置いた。これらのアナクロニックな操作が、実施例によって以下に示すように、405nmにおける励起下で様々なレベルのPE蛍光を、著しい効率かつ488nmにおいて従来の励起で得られたのに近い分解能で、測定する可能性を示すことを可能にした。
2−レーザ蛍光間クロスコンタミネーションの研究
フローサイトメータまたはセルソータなどの、いくつかの分析デバイスは、405nmにおけるバイオレットレーザに加えて6つまでの追加のレーザを有することができる。今日、これらの機器は、3つのレーザ、すなわちi)時間参照を提供するレーザと見做され、複数の蛍光とともに散乱を解析する488nmにおける青色レーザ、ii)参照照明点の下/後で細胞を照明する640nmにおける赤色レーザ、iii)青色レーザの参照照明点の上/前で細胞を照明する405nmにおけるバイオレットレーザが現在は装備されている。複数点におけるこの照明は、各照明点からの蛍光の光学的および時間的な二重分離を可能にする。確かに、3つのレーザの各々からの信号がi)時間におけるおよそ数10マイクロ秒(典型的に30および40μsの間)のシフト、ならびにii)空間におけるおよそ数100マイクロメートル(典型的に100μm)に等しい距離のシフトを受けて、集光光学系を介した異なる光ファイバ(レーザごとに1つ)へのそれらの差次的な集束を可能にする。このように、多色FCMでは、通常、3つのレーザのうちの1つからの蛍光に本質的に他の2つのレーザのうちの1つからの光学的コンタミネーションはないと考えられる。
2.1−原理
マルチレーザサイトメータの動作は、各レーザに対して空間的および時間的にシフトした分析されることになる粒子の励起を伴う。各細胞/粒子は、いくつかの光ビームを順次に通過する。(バイオレット−青色−赤色、すなわち、405−488−640nmにおける)3つのレーザが装備されたGALLIOS(商標)/NAVIOSサイトメータ(Beckman−Coulter,ヴィルパント,フランス)については、順序は、次の通り:バイオレット−青色−赤色であり、衝撃点間の距離が約100μmに等しく、時間が約30μsに等しい。光信号を90°で集光するレンズ(<ピックアップ・レンズ>)が3つの衝撃点で放出された光を差次的に集光し、3つの独立した光ファイバ入口へ集束させて、それらが次に光を各光ファイバからの波長を独立して分離することが可能な光システムの方へ導く。
各レーザは、通常、一定の公称パワーで(バイオレットが40mW−青色が22mW−赤色が25mWで)動作する。GALLIOS(商標)Serviceモジュール上に介入することによって、各レーザのパワーを意図的に修正し、それゆえに、サイトメータによって測定される信号に対する励起パワーの影響を調べることが可能である。
PEがバイオレットレーザ(405nm)によって確かに励起可能であることを証明するため、およびレーザ蛍光間のクロスコンタミネーションに由来するであろう任意のリスク、具体的には、青色レーザによって誘起される、バイオレットレーザに連結した検出器への蛍光漏れを排除するために、この原理を利用した。
2.2−キャリブレータ
様々な量のPEで覆った10μm直径のポリスチレンビーズがキャリブレータとしての役割を果たす:ビーズC1、C2、C3およびC4は、それぞれ900、7,500、115,000および1,250.000個のR−PE分子/ビーズを有する。ビーズの2つのロットを合成して、PBS+BSA 0.1%+アジ化ナトリウム0.1%からなる溶液中に懸濁させた。
2.3−プロトコル
青色レーザの信号は、1つの粒子に対してtを与え、他のレーザによるこの同じ粒子と関連した信号がそれぞれt−30μs(バイオレットレーザ)およびt+30μs(赤色レーザ)にあると見做した。
標準条件で行ったベンチマーク解析とは別に、レーザパワー値(バイオレット40mW−青色22mW−赤色25mW)の観点から、以下の多様なパワー値をテストした、すなわち、
・青色レーザ:22−20−10−5−3−1mW
・バイオレットレーザ:40−30−20−5−1mW
いくつかのケースでは、分析の間に(ソフトウェアで制御したアイリスを介して)バイオレットレーザをオフにすることも可能である。この時点で、青色レーザは、それをtとして用いるという点で常に機能的なままでなくてはならない。他の2つのレーザとは違って、青色レーザのパワーを減少させることができるが、完全に遮光はできない。
青色およびバイオレットレーザのそれぞれの焦点に結合されたファイバを介して透過したPE蛍光信号の検出を最適化するために、オプティカルベンチのフィルタの配置を修正した。この特定の設置では、PEにとって最適な575BP30バンドパスフィルタの2つの同一のコピーを並行して、一方はFL2検出器の前におよび他方はFL10の前に用いた。FL2チャンネルは、それゆえに、595DCSPダイクロイックミラーの後ろで、575BP30フィルタを通過した青色レーザ(488nm)からのPE信号を測定する。FL10は、480DCSPダイクロイックミラーを介した偏向後に、同一の575BP30フィルタを通過したバイオレットレーザ(405nm)からのPE信号に対応する。
2.4−結果
青色およびバイオレットレーザの公称パワーは、それぞれ22mWおよび40mWに等しい(図2、4デカードのスケールおよび図5、5デカードのスケール)。最初にビーズシングレットを2重散乱解析における<ビーズ>領域によって予め選択し、適宜に、それらのFL2およびFL10蛍光を解析する。
青色レーザ(488nm)の変調
青色レーザの公称パワーを10mW(図3)および次に5mW(図4)へ減少させるのに対して、バイオレットレーザの公称パワーを40mWに維持する。
図2に示すように、
− FL2では、メジアン比が10以上の、4つのピークの極めて明確な分離。
− FL10では効果的であるが、わずかにより明白でなく(最大メジアン比=8であり)、特に最低PE密度レベルでは明白でない分離。
を観測することが可能である。
青色レーザのパワーにおける22mWから10mWへの(図3)、次に5mWへの(図4)低下は、FL10(バイオレットレーザ)における蛍光に対する影響は何もなしに、FL2(青色レーザ)におけるすべてのピークの強度を減少させる。この効果を5mW未満、特に3mWまたはさらに1mW(図示しない)のパワー値について確認する。
キャリブレーション・ビーズの第2のロット上で同様の結果を得た(図示しない)。青色レーザの最大公称パワーにおける(1mWへ減少させた)低下は、最適な解析に対するヒストグラム上のスケールの変化(4の代わりに5デカード)をもたらす。
バイオレットレーザ(405nm)の変調
バイオレットレーザの公称パワーを10mW(図6)および次に5mW(図7)へ減少させるのに対して、青色レーザの公称パワーを22mWに維持する。
参照(図5)は、図2と同一のままであるが、5デカードのスケールを用いる。
図6および7に示すように、バイオレットレーザのパワーにおける40mW(図5)から10mW(図6)への、および次に5mW(図7)への低下は、FL2(青色レーザからのPE)における蛍光に対する影響は何もなしに、FL10(バイオレットレーザからのPE)におけるすべてのピークの強度を減少させる。
そのうえ、解析の間のアイリスを介したバイオレットレーザの0mWへの遮光(図8)は、遮光前後の2つの状態において視られるPE蛍光の組み合わせ(FL2およびFL10)をまとめた画像をもたらす。PEビーズのサブファミリーごとに、バイオレットレーザの開閉を対比すると、FL10の強度における急激な低下を観測することが可能であるのに対して、FL2の強度は、変化しないままである。
結論として、4つのPE担持レベルをもつキャリブラントのPE蛍光の分布に対するレーザパワーの影響の研究は、
1)青色レーザの変調がFL2の分解能(青色レーザからのPE)のみに影響を与えること
2)バイオレットレーザの変調がFL10の分解能(バイオレットレーザからのPE)のみに影響を与えること
を示す。
これは、レーザ蛍光間のクロスコンタミネーションに由来するであろうアーチファクトの任意のリスク、具体的には、青色レーザによって誘起されるバイオレットレーザに結合した検出器へのPE蛍光漏れをなくす。
最後に、得られたプロファイルの線形性は、PE蛍光が405nmにおける励起の結果であるという事実を検証することを可能にし、それゆえに、蛍光色素としてPEを405nmにおけるレーザとともに使用可能であることを確認する。
3−405nm(および/または488nm)におけるレーザを用いたPE上のタンデムの励起に関連する調査研究
3.1−原理
異なるPEコンジュゲートおよび/またはPEタンデムを用いてマウスIg(免疫グロブリン)キャプチャービーズを染色する。このようにして得た3つの染色レベルを、それぞれFL2、FL4またはFL5(それぞれPE、PE−Cy5およびPE−Cy7に対する、488nmにおける参照励起)上、ならびにFL10(それぞれPE、PE−Cy5およびPE−Cy7に用いたものと同じフィルタでフィルタした、405nmにおけるテスト励起)上で同じ通過帯域フィルタを用いることによって解析する。
3.2−キャプチャービーズ
SPHEROTECH Inc.によって市販される直径7μmのマウスIgキャプチャービーズ(H+L)(SPHERO−COMPtrol Particles、参照CMIgP−70−3K)を供給元の指示に従って用いる。3つのビーズ集団が陰性対照に対応し、ヤギ抗マウス抗体、従って、コンジュゲートマウスIgで1つのビーズを不十分に覆い、1つのビーズを大量に覆った。
3.3−プロトコル
キャプチャービーズを20μLのコンジュゲート(PEまたはその誘導体、PE−Cy5、PE−Cy5.5またはPE−Cy7のうちの1つに連結したマウス抗体)とともに周囲温度、暗所で1時間インキュベートする。次に、500μLのPBS−BSAバッファを加える。
青色レーザの最適FLi(すなわち、FL2、4または5)のものと同じ通過帯域フィルタをテストのものと同様の第2のGallios(商標)サイトメータから取り、FL10チャンネル上に置く。
3.4−結果
図9に詳しく示すように、PE−Cy5.5タンデムにコンジュゲートされたマウス抗体に対して、FL4のみならず、FL10においてもすべての3つのピークの明確な分離を観測することが可能である。PE、PE−Cy5およびPE−Cy7にコンジュゲートされたマウス抗体に対して、同様の結果を得た。
以下の表は、テストした4つの抗体に対して得た完全な結果を明らかにする。
R1、R2およびR3比の算出は、それぞれ、
− R1:強く染色した試料対軽く染色した試料、
− R1:軽く染色した試料対染色しない試料、
− R1:強く染色した試料対染色しない試料、
を区別するための能力を説明する。
比の値は、バイオレットレーザによるPE、PE−Cy5、PE−Cy5.5およびPE−Cy7の励起が、強く染色した試料対軽く染色した試料の間、および特に、強く染色した試料対染色しない試料の間の良好な区別を可能にすることを明確に示す。青色レーザによる励起の際に観測されるものと比べてより少ない程度にではあるが、軽く染色した試料対染色しない試料の間を区別することも可能である。
4−細胞亜集団の同定
4.1−試料
用いたモデルは、ここではLP1多発性骨髄腫細胞株によって代表される異常細胞タイプを含んだEDTA全血(WB:whole blood)にある。このモデルは、このケースでは芽球と同様の白血病造血細胞の検出のケースの概略を示す。
LP1細胞を全白血球と比較して10%濃度で全血試料に加えた。
4.2−細胞マーキング
PEにコンジュゲートされた抗CD45モノクローナル抗体(BioCytex)により、試料中に存在する種々の細胞集団のキャラクタリゼーションを実行した。CD45の濃度は、それぞれ、およそ200,000分子/リンパ球対120,000分子/単球、BIKOUEら,(Cytometry,26:137−147(1996))によれば、217±64×10対103±44×10である。
技術は、全血細胞を抗CD45−PEの存在下でインキュベートすることにある。赤血球を次に溶解させて、未結合の蛍光コンジュゲートを除去するために残りの細胞(白血球)を洗浄し、次に、フローサイトメトリーによって分析する。
4.3−フローサイトメトリー分析
本発明者らの経験および文献では、血球算定において、通常、探索される芽球は、特に、他のパラメータ(体積、FSC)がそれに寄与するならば、ほとんどの場合、この実施例のLP1細胞よりもこのCD45×SSCシステムによって良好に区別されるであろう。
LP1細胞は、CD45×SSCグラフ中で正常顆粒球(PMN)から完全に分離されているわけではないので、本発明者らは、相補的なパラメータ、すなわち、正常血液細胞の自己蛍光より高く、LP1細胞の検出および示される亜集団の電子彩色を容易にする、FL9におけるLP1細胞の青色光自己蛍光(Ex405nm/Em460/20nm)を利用した。
典型的に、<側方散乱>(SS:side scatter)パラメータは、3つの主要な白血球亜集団−すなわち、リンパ球、単球および顆粒球(PMNとも呼ばれる多形核好中球)の同定を可能にする。LP1細胞を通常のスキームに追加し、この細胞は、PMNと同じSSレベルに位置し、<前方散乱>(FS:forward scatter)パラメータとしてはPMNより上に位置する。FS×SSグラフは、溶解後に残っている残存赤血球(RBC:residual red blood cell)に対する解析ウィンドウを提供するのにも役立つ。
染色細胞をGallios(商標)フローサイトメータ(Beckman Coulter)上で解析した。およそ30μlの染色試料上で解析を行い、60μL/分の速度で30秒間、少なくとも7,000イベントを取得した。KALUZA(登録商標)コンピュータソフトウェア(Beckman Coulter)を用いてデータを解析した。FL2およびFL10のPMTの電圧は、それぞれ350Vおよび420Vに等しく、488nmにおける青色レーザおよび405nmにおけるバイオレットレーザによってそれぞれ励起したPE蛍光をFL2およびFL10上で集光するために、同じタイプの575nm/30フィルタ(FL10の標準フィルタを575nm/30フィルタで置き換えた)によって光信号をフィルタした。
まず第1に、解析方策は、サイズ/構造解析ウィンドウ内のすべての細胞のコンディショニングを含む。種々の細胞亜集団のPE蛍光を、細胞粒度(SS)と相関し、かつSS強度、すなわち、左から右へ、リンパ球、単球および顆粒球/PMN(ならびに、LP1における過負荷のケースではLP1)の順序で白血球の第1の分類を可能にするパラメータの関数としてy軸上に蛍光強度を表し、x軸上にはイベントの数を表すバイパラメトリック・グラフ上に視覚化できる。ソフトウェアは、管ごとの平均蛍光強度(MFI:mean fluorescence intensity)を提供する。
さらに、LP1細胞株の細胞を2つのパラメータ、すなわち、(他の白血球についてよりも重要な)FSパラメータ上で視たそれらのサイズとFL9(460+/−20nm)において検出可能なそれらの自己蛍光との関連付けによって分離した。
4.4−結果
正常血液
図10(A)〜(B)に示すように、CD45−PE対SSグラフの比較は、PEを青色レーザ(488nm/FL2)によって、またはバイオレットレーザ(405nm/FL10)によって励起するかどうかに係わらず、いくぶん同様の細胞分布を示す。この2つの条件が全血の主要な細胞亜集団の良好なCD45対SS区別を許容する。
4つの亜集団を組み合わせたモノパラメトリック・ヒストグラムにおける表現(リンパ球、単球、顆粒球および残存赤血球、図10(E)および(F))は、CD45染色強度の順序に従うことを示す。
2つのレーザのいずれか1つを用いたPE励起、およびPEに最適なフィルタ上で放出された光の集光(標準条件ではEx488nm/Em575/30nm、およびテスト条件ではEx405nm/Em575/30nm)後に、細胞亜集団のMFI間の比を算出し、以下の表に詳細を示す。
これらの比は、それらが405nmシステムではたとえわずかにより低くても、維持され、亜集団間のMFIの階層が順守されることがわかるであろう。
488nmおよび405nmシステムの両方で同様のこのMFI階層が非常に近い亜集団間の比をもたらす。488nmにおけるPE励起を用いた標準システムの(本明細書において見出した405nmにおけるPE励起システムと比較して)より大きいレンジアビリティは、染色しない亜集団(RBC)と染色した亜集団とを比較したときにのみ、本当に観測できて、例えば、68対37のリンパ球/RBC比である。
白血病芽球でコーティングした血液
白血病芽球(LP1)を明らかにするためにCD45対SS解析をプレコンディションするときに、PMNの雲形の変化が観測されることがあり、これは、両方のシステム、すなわち、488nm(図11(C))または405nm(図11(D))におけるCD45−PEの励起において同様であり、従って、CD45発現の異常なレベルによって特徴付けられる血液中に存在する病的細胞を検出する可能性を両方のシステムが提供することを示唆する。そのうえ、血液のCD45×SSグラフ上の変化は、LP1細胞が顆粒球のものと同様の雲の中に(部分的に重なって)置かれることを示唆する。
この血液試料の亜集団のセット上のCD45−PE染色に関連するモノパラメトリック・ヒストグラムの重畳(図11(E)および(F))は、488nmおよび405nmの2つのシステムにおける染色の分布の類似性の概略を示す。LP1のヒストグラムがPMNヒストグラム上に重なることがわかるであろう。
2つのレーザのいずれか1つを用いたPE励起、およびPEに最適なフィルタ上で放出された光の集光(Ex488nm/Em575/30nmの標準条件、およびEx405nm/Em575/30nmのテスト条件)後に、正常および白血病細胞亜集団のMFI間の比を算出し、以下の表に詳細を示す。
かさねて、芽球と正常血液細胞との間のMFI比は、488nmおよび405nmの2つのシステムにおいて先ずは同様であり、従って、血液細胞亜集団の診断上の区別は、PEを405nmで励起することによっても実行可能であることを示す。
全体として、488nmにおける青色レーザによる(参照)および405nmにおけるバイオレットレーザによる独立したPE励起後に、この蛍光色素によって種々のレベルで染色した細胞亜集団間において観測した区別が示すのは、PEを蛍光色素としてバイオレットレーザとともに用いることができ、従って、例として、CD45抗体で染色した後の正常血液白血球および白血病細胞の亜集団などの、対象となる細胞亜集団間の有用な区別をPEが可能にするということである。
5.白血病芽球の同定
5.1−試料
用いたモデルは、ここではLAM HL60およびNB4株によって代表される2つの異常細胞タイプを含んだEDTA全血(WB)にある。これらのモデルは、このケースでは芽球と同様の白血病造血細胞の検出のケースの概略を示す。
HL60およびNB4細胞を5百万個/mlに等しい濃度でPBS−BA中に混合した。50μlの全血試料に10μlのこの混合物、すなわち、50μlの全血に対してHL60およびNB4の混合物の50,000個の細胞を加えた。
5.2−細胞染色
PEにコンジュゲートされた抗CD45モノクローナル抗体(BioCytex)により、試料中に存在する種々の細胞亜集団のキャラクタリゼーションを行い、抗CD45モノクローナル抗体は、単独かまたは他の蛍光試薬の存在下で多色染色して用い、抗CD33モノクローナル抗体をそれらの蛍光試薬のうちでPE−Cy7にコンジュゲートさせた。
技術は、HL60およびNB4細胞を添加した全血を単独かまたはPE−Cy7にコンジュゲートされた抗CD33と組み合わせた抗CD45−PEの存在下でインキュベートすることにある。次に赤血球を部分的に溶解させて、単数または複数の非結合の蛍光コンジュゲートを除去するために残りの細胞を洗浄し、その後、フローサイトメトリーによって解析を行った。
実験に有用な残存赤血球の少なからぬ存在を解析中に維持するために、赤血球の溶解の効力を意図的に制限した。確かに、残存赤血球は、すべてのテスト・マーカーにとって当然ながら陰性である。
5.3−フローサイトメトリー解析
本発明者らの経験では、細胞亜集団(正常細胞および白血病芽球)は、多くの場合、CD45×SSCシステム(ここでは示さない)によって、またはCD33×SSCシステム(図12AおよびB)ならびにCD33×CD45システム(図12CおよびD)によって区別される。
染色細胞をGallios(商標)フローサイトメータ(Beckman Coulter)上で解析した。およそ30μlの染色試料上で解析を行い、60μL/分の速度で30秒間、少なくとも7,000イベントを取得した。KALUZA(登録商標)コンピュータソフトウェア(Beckman Coulter)を用いてデータを解析した。FL5およびFL10のPMT電圧は、それぞれ600Vおよび900Vに等しく、488nmにおける青色レーザおよび405nmにおけるバイオレットレーザによってそれぞれ励起したPE−Cy7蛍光をFL5およびFL10上で集光するために、同じタイプの755nmロングパスフィルタ(FL10標準フィルタをFL5に置いたものと同一の第2の755nmロングパスフィルタで置き換えた)によって光信号をフィルタした。
まず第1に、解析方策は、サイズ/構造解析ウィンドウ内のすべての細胞のコンディショニングを含む。種々の細胞亜集団のPEまたはPE−Cy7蛍光を、x軸上の細胞粒度(SS)と相関したパラメータの関数としてy軸上に蛍光強度を表すバイパラメトリック・グラフ上に視覚化できて、SS強度、すなわち、左から右へ、リンパ球、単球および顆粒球/PMN(ならびに、HL60+NB4における過負荷のケースでは芽球)の順序で白血球の第1の分類を可能にする。対象領域によってグラフ上に画定した細胞タイプごとに、ソフトウェアがグラフ中に存在するすべての細胞のパーセンテージおよび平均蛍光強度(MFI、<Yメジアン>として示す)を提供する。
多色染色(CD45−PEおよびCD33−PE−Cy7を含む)の間に、対応する蛍光強度をそれぞれx軸上およびy軸上に表すバイパラメトリック・グラフが、異なる細胞亜集団を視ることも許容する。
5.4−結果
図12(A)および(B)に示すように、CD33−PE−Cy7(CD33−PC7)対SSグラフの比較は、PE−Cy7(PC7)を青色レーザ(488nm/FL5)によって、またはバイオレットレーザ(405nm/FL10)によって励起するかどうかに係わらず、同様の細胞分布を呈する。全血ならびに白血病芽球(HL60およびNB4)の主要な細胞亜集団(リンパ球、単球、PMNおよび残存赤血球)の良好なCD33対SS区別をこれら2つの励起条件が可能にする。そのうえ、芽球もCD33発現のレベルによって区別され、すなわち、HL60細胞は、NB4細胞について観測されるよりも高いCD33発現のレベルを有する。
2つのレーザのいずれか1つを用いたPE−Cy7励起、およびPE−Cy7に最適なフィルタ上で放出された光の集光(標準条件ではEx488nm/Em755nmロングパス、およびテスト条件ではEx405nm/Em755nmロングパス)後に、正常および白血病細胞亜集団のMFI間の比を算出し、以下の表に詳細を示す。
かさねて、芽球と正常血液細胞との間のMFI比は、488nmおよび405nmにおける2つのシステムで先ずは同様であり、従って、正常および芽球血液細胞亜集団の診断上の区別は、PE−Cy7を405nmで励起することによっても実行可能であることを示す。
全体として、488nmにおける青色レーザによる(参照)および405nmにおけるバイオレットレーザによる独立したPE−Cy7励起後に、この蛍光色素によって種々のレベルで染色した細胞亜集団間において観測した区別が示すのは、PE−Cy7を蛍光色素としてバイオレットレーザとともに用いることができ、例として、CD33抗体で染色した後の正常血液白血球および白血病細胞の亜集団などの、対象となる細胞亜集団間の有用な区別をPE−Cy7が可能にするということである。
そのうえ、図12(C)および(D)に示すように、CD33−PE−Cy7(FL5)対CD45−PE(FL2)グラフ、またはCD33−PE−Cy7(FL10)対CD45−PE(FL2)グラフの比較は、蛍光測定をFL5(励起488nm)において、またはFL10(励起405nm)において実行するかどうかに係わらず、同様の細胞分布を示す。このバイパラメトリック解析は、好中球(NeuおよびPMN2)のCD33発現レベルに基づくそれら2つの亜集団の区別の強化も可能にする。CD45発現のレベルに基づく残存赤血球およびリンパ球の区別も強化する。
これらの知見は、本明細書ではPE−Cy7によって例示されるPE誘導体が405nmの励起波長において使用可能であることを示す。

Claims (12)

  1. 試料中の対象となる少なくとも1つの分子を検出するための方法であって、
    i)前記試料を対象となる前記分子を特異的に結合するリガンドと接触させるステップであって、前記リガンドは、フィコエリトリンまたはその誘導体からなる蛍光色素にコンジュゲートされた、前記接触させるステップと、
    ii)ステップi)の混合物を330および425nmの間の波長範囲をもつ少なくとも1つの光源によって励起するステップと、
    iii)ステップii)において励起された前記混合物によって550nm以上の波長で放出された光を検出するステップと、
    iv)前記試料中の対象となる前記分子の有無をステップiii)の結果に基づいて決定するステップと
    を備える方法。
  2. 対象となる前記少なくとも1つの分子は、タンパク質、脂質、炭水化物、脂質もしくは糖脂質構造または炭水化物ユニットである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記試料は、細胞を備えるか、または備える可能性がある、請求項1または2に記載の方法。
  4. 対象となる前記少なくとも1つの分子の特異的リガンドは、抗体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記蛍光色素は、R−フィコエリトリン(R−PE)である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ステップi)の前記混合物を励起するために用いられる前記少なくとも1つの光源は、400および410nmの間の波長範囲を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップi)の前記混合物を励起するために用いられる前記少なくとも1つの光源は、405nmの波長で放出するバイオレットレーザまたはバイオレットレーザダイオードである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記試料中の対象となる少なくとも1つの第2の分子の同時同定をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. フローサイトメータ上で実施される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 試料中の対象となる少なくとも1つの分子を検出するためのフィコエリトリンまたはその誘導体からなる蛍光色素の使用であって、前記蛍光色素の励起波長が330および425nmの間であることを特徴とする、使用。
  11. 生体試料中の細胞または微粒子亜集団の分離、解析または計数のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法の使用。
  12. 前記細胞または微粒子亜集団は、造血起源である、請求項11に記載の使用。
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