JP2019520670A - 無水銀uvガス放電ランプ - Google Patents

無水銀uvガス放電ランプ Download PDF

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Abstract

無水銀ガス放電ランプ。オスミウム、ゲルマニウム、およびテルルのうちの少なくとも1つの一次充填物と、スズ、アンチモン、インジウム、タンタル、および金のうちの少なくとも1つを含む二次充填物と、を含む無水銀高圧金属ハロゲン化物紫外線ガス放電ランプ。好ましい実施形態において、一次充填物はTeI2であり、二次充填物はSbI3である。【選択図】図7

Description

本発明は、電磁スペクトルの紫外線領域における電磁放射線を発生するガス放電ランプに関する。そのようなランプは、水の精製または飲食品の処理、医薬品の製造などの殺菌に関連する様々な用途や、硬化および乾燥に適用可能である。より詳細には、本発明は、無水銀ガス放電ランプに関し、特に、ガス放電ランプ用無水銀放射線源に関する。
典型的なガス放電ランプにおいて、紫外線(UV)光は、特定のエネルギーの光子を放出するエネルギー状態の間での電子の遷移の結果として、電気放電をイオン化されたガス(または「プラズマ」)に通過させることにより発生する。
殺菌および精製目的での紫外線(UV)電磁放射線または光の使用は、既知である。殺菌目的のUV放射線の最も望ましい波長は、一般的に、180nm−320nm、より好ましくは200nm−300nm(多くの場合、UV−Cと呼ばれる)、最適には約265nmであると理解されている。そのような波長のUV放射線は、主に複製を妨げるゲノム損傷により微生物を(一時的であるとしても)不活性化する生物学的効果と、光解離または光分解と呼ばれるプロセスにより化学結合(微量汚染物質の結合を含む)を切断する化学的効果と、の両方を有する。
典型的には、わずかに高い波長(およそ400nmまで)のUV電磁放射線は、硬化用および乾燥用にも使用される。
従来のUVガス放電ランプは、どちらかの端部に電極を有する石英またはシリカの細長い管を備える。当該ランプは、典型的にはアルゴンまたはキセノンなどの希ガスである始動ガスと、典型的には水銀である少量の放射性作業物質と、で満たされる。室温において、当該ランプ内の水銀の大部分は、液状である。ランプは、ランプの電極間に電流を流すことにより点火され、これにより、始動ガスがイオン化して、結果として生じる原子/電子衝突が水銀を蒸発させる。一度、ランプが作動状態に達すると、水銀の分圧は、始動ガスの分圧よりはるかに高くなる。そのため、水銀は、ランプの電気的および放射性挙動を支配する。
以下に、高圧放電ランプ、低圧放電ランプ、および金属ハロゲン化物放電ランプの簡単な概説を示す。
●UV源の概要
UV放射線源の開発は、可視スペクトルにおける電磁放射線(ER)源、すなわち、可視照明、の開発と密接に関連している。これらの関連は、物理学および設計における同じ基礎的原理に関してだけでなく、実用的でもある。重要な例は、水銀のUV原子発光を吸収して、続けて可視領域において発光する蛍光物質コーティングの追加を除いて、住宅照明に一般的に使用される蛍光ランプと本質的に同一である低圧水銀(LP−Hg)ランプである。可視照明は世界で生成される電気エネルギーのおよそ25%を消費するため、可視ER源の効率の増加および寿命の延長という目標は、UV−ER発生の代替の方法に関する潜在的識見を提供することにも一致する。UV放射線源は、下記において調査および説明されるが、市場における現在の優位性から、特にプラズマ源に焦点が当てられている。新たに用いられるUV放射線源およびそれらの影響についても説明される。
●プラズマUV放射線源
タングステンワイヤなどの加熱された本体からERを放つ白熱電球に続いて登場したプラズマランプは、1930年代に商業的成功を収めた。
プラズマランプ(プラズマは、例えば、「陽イオンと電子とのガス状混合物」として定義される)は、白熱電球に対していくつかの利点を提供する。第1に、増加したエネルギー効率(すなわち、エネルギー入力に対するエネルギー出力の比率)において放射線が生成される。第2に、プラズマ由来の光子が直接的原子励起から生成されるため、それらの波長は、プラズマの原子的構成要素により決定され、したがって、UV放射線の生成を可能にする。UV放射線を生成するためにプラズマを使用する多くの方法が、開発されている。歴史的に最も成功した方法は、以下のようにまとめられる(ランプサイズや電極設計などの物理的特性は、プラズマ特性に応じて大きく異なり得るが、これらについては説明されない。代わりに、プラズマ特性における変動に焦点が当てられる)。
●低圧(LP)放電ランプ
元素または化合物のUV殺菌における使用に好適なランププラズマを生成するために、以下の特性が達成されなければならない。
・望ましい波長において共鳴ERを生成するための励起エネルギーを有しつつ、比較的低いイオン化エネルギー
・ランプ作動温度において気/蒸気相であるための十分に低い沸騰温度を有しつつ、最適な内部ランプ圧を生じさせるための十分な蒸気圧
・ランプ材料、すなわち、電極およびランプ用外套容器、に対する化学的不活性
水銀(Hg)は、これらの基準を満たしており、したがって、可視照明およびUV殺菌の両方のためのランププラズマの大部分の主成分である。限られた量において、キノセンなどの他の元素は、使用されることができ、また、使用されるが、現実的課題は、ランプを始動するときに複数の問題を生じさせる高い内部ランプ圧や、高い作動電流を含む。コンパクトなキセノンランプのランプ圧は、冷えているときの15atmから、妥当な温度上昇とともに作動したときの60atmまでの範囲である。
低圧(LP)Hgプラズマ放電ランプは、通常はアルゴンである緩衝ガスと組み合わされた低内部Hgガス圧(およそ0.01mbar)で構成される。低いHg圧は、電子励起の大部分が、253.7nmおよび185.0nmを生じる2つのエネルギー遷移であることを保証する。Hg圧(したがってインピーダンスと、その結果としてのランプ出力)は、ランプの作動温度(温度上昇は、圧力増加を意味する)と、図1に示されるような、コールドスポットにおいて凝集される気相中のHgの量の調整と、により決定される。コールドスポットは、ランプ内における最も冷たいポイントであり、水銀が凝縮するポイントである。より一般的には、水銀アマルガム(例えば、ビスマスまたはインジウムとの)の使用の実施は、気相におけるHgのより良好な調整(すなわち、より良好な安定性)を可能にし、出力密度の増加を可能にするが、これの二次的な意味は、共鳴発光の吸収に起因して部分的に放射効率が減少することである。
図1は、低圧水銀放電ランプの重要な特徴の概略図を示す。
ランプ変数(すなわち、ランプの幾何学的形状、Hg含有量、温度など)の最適な選択により、253.7nmにおいて60%のエネルギー効率を達成することができる。しかしながら、これは、低出力密度(<0.5W/cm、253.7nmにおいておよそ0.2W/cm−0.3W/cm)においてのみであり、アマルガムの使用による400%までの出力密度の増加と、管直径の増加(26mm−33mmの範囲)とは、253.7nmにおいて36%の領域までランプ効率を減少させる。最も高い効率でさえ、他の波長の生成(3%)と、電極における損失(15%)と、菅壁とアルゴンとの弾性衝突(22%)と、に起因し得る40%の損失を被る。そのような温度の影響を受けやすい設計において、制限は、それが4℃の場合、放射効率を約20%まで低下させるであろう周囲の水の温度であり得る。
LP放電における開発動向は、放射効率を維持しつつ、出力密度を増加させることである。前述したようなアマルガムの採用に加えて、ランプドライバの選択も重要であり、方形波を有する高周波数ドライバの使用によりさらなる効率が得られている。1970年代半ばに、陰極の加熱およびランプの外部加熱によるランプの能動的温熱調整の概念が採用され、最適化されたランプ条件と、それにより増加した出力密度(部分的に、線広がりによる再吸収の減少による)と、を可能にした。この概念は最近、高放射効率・高出力密度UV源に対する要求を繰り返すUV殺菌のための増加した出力を提供するために、再び適用されている。ランプドライバエレクトロニクスにおけるさらなる開発は、誘導的に結合された蛍光灯の使用を目にしてきており、正味の損失を減し、かつ、電極の必要性を除去することによりランプ寿命を延ばすことにより、LPプラズマランプの改良のさらなる継続を可能にする将来の解決策として提案されている。
●高圧(HP)放電ランプ
ランプ充填物に関する、高圧(HP)(高強度放電(HID)を包含する用語)のための基本的要件は、LP放電と同じであり、したがって、Hgは、この場合もやはり、最も一般的に使用される充填物である。しかしながら、対照的に、Hgの量(したがって、結果的に、内部圧力)はLP放電でのHgの量よりも著しく高く、LP放電との重要な区別として、全てのHgは蒸気相中にある。これは、図1に示されるLP放電に対してこの対比を示すために、図2に示される。
図2は、高圧水銀放電ランプの重要な特徴の概略図を示す。
LP放電と同様に、Hg蒸気圧の増加は、インピーダンスを増加させ、したがって電圧(V)を増加させ、結果的にランプの出力密度を増加させる。圧力勾配は、LP放電とHP放電との間で連続している。しかしながら、(Hg)イオンおよび電子の温度が図3に示される局所熱平衡(Local Thermal Equilibrium:LTE)と呼ばれる(凡その)平衡に達するとき、HP放電に対して明確な区別がなされる。原子/イオンと電子との間の温度同等性は、圧力増加により生じる増加した弾性衝突に起因する。これは、ランプが機能する方法に対して多くの基本的変化を発生させ、2つの重要な違いは、放射効率およびスペクトル出力である。
図3は、圧力に対するHg原子/イオンの温度と電子の温度との間の関係を示す。
弾性衝突における損失は、低エネルギーの電子と高エネルギーの原子/イオンとの間の差に比例する(すなわち、LP放電の原子/イオンの温度は300K−700Kの範囲であり、電子の温度は10,000Kを超える)。HP放電は、ランプ条件に応じて、一般的に4,000Kと11,000Kとの間の両方の原子/イオン温度を有し、これは、LTEが達成されたときに弾性損失がゼロに近づくことを意味する。さらに、出力密度が増加するに従い、ランプの温度も増加し、特に、高圧ランプにおいて発達するアークは、熱的励起およびそれに続く発光を可能にする。ランプ温度は増加するが、Hgの低い熱伝導性により、熱損失は、当然のことながら低い。LTEが不均衡な放電効率を提供することは、LP放電と比べて、HP放電に対して恩恵をもたらすことを意味する。ランプ内の半径方向の温度勾配により、アークは、発達する。すなわち、温度が高まるに従って、イオン化(電流キャリアと呼ばれる電子の生成)が増加し、これは、電流密度が電極の軸において最も高いことを意味する。このことは、LTEが結果として正味の放射効率において著しい増加を有することを意味する(図4)。図4に示される段階は、最適なLP放電(ラベル2)から、UV反応装置においてより一般的に使用される圧力/出力の増加による効率の減少(ポイント2と3の間)と、さらに最も一般的な圧力領域、すなわち、中圧UVランプにおけるHP放電の増加した効率(ラベル4)と、への移動を示す。
図4は、圧力に対する水銀プラズマ放電の発光効率を示す。
圧力およびプラズマ温度の増加の第2の意味するところは、スペクトル出力を変えることである。LP放電は、原子衝突および励起からのスペクトル発光、したがって、253.7nmおよび185nmの2つの狭く支配的な発光線により支配される。圧力増加に伴うこの変化は、以下に起因すると考えられる。
1.励起状態からより高いエネルギーレベルへのさらなる励起が生じ、異なる波長で多数のさらなる光子の放出を引き起こす
2.その後の励起が原子エネルギーレベルを超えたとき、イオン化が生じ、次いで、原子/イオン再結合の際に光子が放たれる(スペクトル連続帯、例えば、200nm−230nmのHg連続帯、に寄与する)
3.制動放射−プラズマ内において加速または減速の際に光子が放出されるプロセス(連続スペクトルも生じる)
したがって、HP放電は、UVから赤外(IR)までのスペクトル出力を伴う高密度高効率放電により特徴付けられ得る。スペクトル出力はLP放電のスペクトル出力をはるかに超えるが、プラズマ効率は、LP放電のおよそ1/3である全放射効率を可能にする。LP放電と同様の高周波数電子ドライバにおける進歩により、予想されるランプ寿命は、ランプの設計パラメータに応じて、2,000時間−8,000時間の間であり得る。実用的意義は、LP放電と比較して、放射効率に関して、より効率的な放電においてはるかに高いUVC密度が達成され得るが、より低いスペクトル効率により相殺されることを意味する。
●金属ハロゲン化物(MH)ランプ
HPプラズマの効率は、LP放電について前述した圧力制御では、既にLTEにおいて機能しているため、最適化または改善され得ない。しかしながら、可視照明において、望ましい励起およびイオン化エネルギーを有するが高すぎる沸点または低すぎる蒸気圧を有する元素、の使用を可能にするための機知に富んだ方法が採用されている。望ましい元素と併用してのハロゲンの使用は、ほとんどの場合、沸点の低下という結果を生じ、直接的にまたはHPプラズマの一部として使用されることを可能にする。ヨウ素は、内部ランプ成分とあまり反応せず、一般的に他のハロゲン化合物と比べて最も高い蒸気温度も生じるため、しばしば、臭素および塩素よりも、よく選択されるハロゲンである。ハロゲン化物(ハロゲン成分に加えて)は、通常、金属であり、したがって、金属ハロゲン化物(MH)なる用語が、高圧Hg放電に加えられる。次いで、Hgは、必要なガス蒸気特性および電気特性の大部分を提供する「緩衝ガス」の役割を果たすが、この場合、スペクトル出力にも貢献する。スペクトル出力は、使用される金属の励起ポテンシャルが、比較的Hgよりはるかに低いという事実により、追加の金属含有量73によって、ほぼ完全に決定される(図5)。大部分の点において、そのようなプラズマは、純粋なHgHP放電に似ているとみなすことができるが、追加されたハロゲン化物は、電子輸送能力により影響を受ける膨張および収縮する両方のアークのサイズなどのランプの運転状態に対して、反比例の効果を有し得る。
図5は、金属ハロゲン化物および水銀ランプの重要な特徴の概略図を示す。
ハロゲン化物形態において使用される金属により提供される低い蒸気温度は、ランプの動作温度において、それらが蒸気相の状態であることを可能にする。温度が、アークに向かって増加するに従い、ハロゲン化物は、解離し、ランプ壁におけるより低い温度において結合する(図6)。ハロゲン化物が、ランプアークにおいて解離されるとき、金属およびハロゲンの両方の励起が可能である。しかしながら、ハロゲンのより高いエネルギーポテンシャルにより、励起エネルギーは実質的に放出されず、このことは、Hgまたはハロゲンよりも金属のスペクトル特性により、出力が支配されることを意味する。
図6は、ランプ壁からランプアークへのハロゲン化物のサイクルの概略図を示す。
MHランプは、様々な点において、LP放電とHP放電それぞれに関連される低出力密度または低スペクトル効率の制限に対する理想的解決策であるように思われる。実際に、34%のスペクトル効率(可視領域)を生じると共に演色性を増強するMHランプの潜在力により、その照明市場への参入が容易になった。UV発生のために使用されるMHランプの能力は、制限される。UV出力に対する影響を評価するための、ヨウ化物添加剤(鉄(FeI2)、コバルト(CoI2)、マンガン(MnI2)、およびアンチモン(SbI2))に関する実験では、FeI2およびMnI2はUVA出力を高めたが、ヨウ化物はUVC領域の出力を向上させなかった。おそらく、この制限は、効果的なMH作動のために必要な、より低い励起ポテンシャルに対する必要性に関連している。
MHランプは、非常に望ましいスペクトル特性および電気特性を提供するが、多くの実用的問題に遭遇し、商業的MHランプが広く生産される前に克服されなければならなかった。高強度放電(HID)に対するそのような制限因子の1つは、ランプの寿命であり、高温および小さいランプの幾何学的形状に密接に関連している。500℃を超える温度において稼働するランプの恩恵の1つは、石英において時間と共に発達する215nmの吸収帯が除去されるという点である。吸収(シリカ格子からの酸素欠損に起因すると考えられる)は、500℃を超える温度での加熱により除去され、したがって、この温度以上で稼働する石英の外套容器を伴うランプは、そのような形成を逆転させると考えられる。MHランプは、はるかに小さい幾何学的形状およびより高い圧力により設計されるため、MPランプの幾何学的形状および圧力と同様の幾何学的形状および圧力は、可視HIDランプにおける幾何学的形状に関連する問題なしに、HP放電の恩恵を得られる傾向がある。
●UV源の選択
低圧(LP)および高圧(HP)水銀(Hg)ランプは、それらの相対的な作動の簡易性および妥当なエネルギー効率により、UV殺菌市場において支配的である。多数の改良がLPランプにおいて為されているが、それらの最も大きい制限は、その低い内部圧力により生じる内部損失である。HPランプに対しても改良が為されているが、結局、さらなる効率の向上におけるそれらの制限は、スペクトル出力に関連し、ランプ圧力により決定される。
高効率および高密度のランプの需要を満たすため、金属ハロゲン化物(MH)ランプが、可視照明におけるその成功により提案されており、その概念がUV発生に首尾よく適用できる場合、それは望ましい解決策を提供するであろう。本発明は、より高いエネルギーのスペクトル線と、それゆえのUVC領域でのスペクトル出力の最適化と、を伴うMH成分の使用を抑制する一次ランプ充填物としてのHgへの依存に関連する以前の試みの限界の1つを識別する。
ランプの殺菌用途の上側のエネルギー密度の範囲を広げることを可能にする好ましい性能目標は、
1.200nm−230nmおよび260nm−280nmの間の最適化されたスペクトル出力
2.従来のランプドライバ、すなわち、電磁式または電子式水銀/金属ハロゲン化物安定器上で稼働する能力
3.密接に適合した中圧Hgランプの幾何学的寸法
4.同等なHgベースのランプより優れた殺菌放射効率
を含む。
従来のHgベースのHPランプからの切り替えを保証するために、競争優位性、すなわち、増加した殺菌効率、を提供することは、好ましいであろう。12%の殺菌効率の概算値は、HgHPランプにおいて典型的である。しかしながら、効率は、ランプ直径、すなわち、ランプアークにおける光子の生成からランプ壁の発光までに被る損失、に関連し得る。したがって、12%は、ガイドライン値として使用され得るが、同等の直径のHpランプに対する、任意の提案されたランプの直接的な効率の比較が実施される必要がある。
望ましい性能目標は、
1.20%を超える殺菌放射効率
2.スペクトル出力、すなわち、200nm−300nmまたは260nm−280nm、における増加したエリアを選択する能力
3.無Hgランプ充填物
4.従来の中圧Hgランプ以上の殺菌出力密度
を含む。
これらの設計特性は、設計コンセプトおよび調査の実施を可能にするために、特に狭い範囲のものである。追加の性能データは、特定の用途(必ずしもこれらに限定されるわけではないが、水の殺菌など)に関連しており、例えば、寿命全体のコスト(ランプコスト、ランプドライバ、および総合効率を含めて)および特定用途の問題、例えば、消毒副生成物(DBP)の生成など、を含む詳細な評価を含む。
ランプの特定の性能目的および目標を達成するため、提案されたコンセプトは、支配的UVC出力を有するMHランプを製造することである。これは、可視照明において使用される既存のアプローチの応用であり、主に、設計目標を満たすために必要とされるような高密度放電である設計コンセプトとして選択されてきた。
UVC−MHランプのコンセプトを選択した潜在的理由は、以下を含んでもよい。
・放射線として放出されるエネルギーに比例して熱として失われるエネルギーを減少させるHP放電の発生、すなわち、高圧放電の恩恵
・Hgよりもスペクトル線および遷移線の両方においてスペクトル的に優先的であるか、および/または、励起エネルギーが、理想的な励起エネルギー/スペクトル線、すなわち、低圧放電のスペクトル的恩恵、を有する二次ハロゲン化物を可能にするために十分なほど適切に低い、元素の選択(一次ハロゲン化物の一部としての)
・所望の出力密度を可能にするための安定的なアークおよび好適なプラズマ耐性を可能にするMHまたはMHの組み合わせからの好適なプラズマの生成、すなわち、中圧Hgランプにより現在達成されている出力密度および電気特性の模倣
HgベースのMHランプのUVCスペクトル出力を高める試みは、これまで、成功していない。この成功しない原因の1つは、より低い励起エネルギーを有する、例えば、鉄などの元素の場合に見られたように、例えば、Hgより高い励起エネルギーを有する、したがって、好ましくない、優先的スペクトル線を有するアンチモンなどの以前の元素の選択に起因し得る。したがって、Hgと同様の物理特性を有する上に、最も低い所望のスペクトル領域、すなわち、200nm−230nmよりも低いスペクトル線(すなわち、より高い光子エネルギー)も有する代替の一次ランプ充填物が提案される。好適な二次ランプ充填物は、好ましくは、ランプの始動時の温度および稼働時の温度の両方において機能的蒸気圧を提供しつつ、望ましい励起エネルギー(スペクトル線)およびイオン化エネルギーを有する。
1000K(726.85℃)において有用な放射線を生成する最低蒸気圧は、133Pa(1Torr)であり、この条件を満たすことが可能な元素は、ストロンチウム、テルル、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、およびセシウムである。ハロゲン化物形態の元素の使用は、概して、蒸気圧を増加させ、沸点温度を下げ、ならびに金属ヨウ化物はマグネシウムおよび亜鉛などの溶融シリカとほとんど反応しない。
ハロゲン化物、理想的にはヨウ化物は、好ましくは、いくつかの評価基準を満たす。一次ハロゲン化物は、理想的には、好適に十分に高い蒸気温度を有する二次ハロゲン化物がランプ特性に影響を及ぼさないようにする、253.7nmより低い(すなわち、より高いエネルギー)支配的スペクトル線を有しつつ、励起において優先的に選択される望ましい波長200nm−230nmおよび/または260nm−280nmのスペクトル線を有しつつ、Hgの蒸気圧特性を模倣すべきである。ハロゲン化物は、好ましくは、ランプ壁温度において安定で、アーク温度(4000K−6000K)において解離することを必要とする。結果的に、一次および二次ランプ充填物のスペクトル評価および機能評価は、ランプ概念の発達を可能にするために必要とされる。
本発明の第1態様によれば、オスミウム、ゲルマニウム、およびテルルのうちの少なくとも1つの一次充填物と、スズ、アンチモン、インジウム、タンタル、および金のうちの少なくとも1つを含む二次充填物と、を含む無水銀高圧金属ハロゲン化物紫外線ガス放電ランプが提供される。
好ましくは、一次ランプ充填物はテルルであり、二次ランプ充填物はアンチモンである。
好ましくは、金属ハロゲン化物のハロゲンは、ヨウ素を含む。
好ましくは、一次ランプ充填物はTeI2であり、二次ランプ充填物はSbI3である。
好ましくは、ヨウ素対テルルの比は、非化学量論的であり、好ましくは、ヨウ素の含有量が減じられる。
好ましくは、ヨウ素対テルルの比は、2:1以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0未満である。同比は、ガス状形態における質量に基づいてもよい。
好ましくは、ランプ出力は、200nm−300nmの範囲の波長の電磁放射線を含む。
好ましくは、一次ランプ充填物は、水銀と同様の物理的特性、例えば、蒸気圧などを有し、同時に、最も低い所望のスペクトル領域、すなわち、200nm−230nmよりも低いスペクトル線(すなわち、より高い光子エネルギー)、より好ましくは253.7nmより低い支配的スペクトル線を有する。
好ましくは、二次ランプ充填物は、ランプの始動時温度および稼働時温度の両方において、ランプ特性に影響を及ぼさないほど十分に好適に高い蒸気温度を有し、同時に、励起において優先的に選択される望ましい波長200nm−230nmおよび/または260nm−280nmのスペクトル線を有する。
いくつかの実施形態において、石英以外の代替の外囲器材料、例えば、(これらに限定されるわけではないが)セラミック材料など、が使用されてもよい。これは、ランプ充填物の効果を排除しない場合、ランプ本体の材料との反応を減少させ得る。
いくつかの実施形態において、ランプは、例えば、誘導的にまたはマイクロ波の使用により、電極を使用せずに駆動されてもよい。これは、タングステンベースの電極および/または充填物におけるヨウ素を使用する場合に生じ得る材料反応の効果を抑制し得る。
本発明のさらなる特徴は、従属請求項により特徴付けられる。
本明細書において説明されるいずれの機器の特徴も、方法の特徴として提供され得るし、またその逆も同様である。
本発明は、添付の図面を参照しながら本明細書において説明されるような方法および/または機器に及ぶ。
本発明の一態様における任意の特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、本発明の他の態様にも適用され得る。特に、方法の態様は、機器の態様にも適用され得るし、その逆も同様である。さらに、一態様における任意の、いくつかの、および/または全ての特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、任意の他の態様における任意の、いくつかの、および/または全ての特徴に適用され得る。
本発明の任意の態様において説明および定義される様々な特徴の特定の組み合わせは、独立して、実践および/または供給および/または使用されることができることも理解されるべきである。
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の図を参照しながら説明される以下の例示的実施形態から明らかとなるであろう。
図1は、低圧水銀放電ランプの重要な特徴の概略図を示す。 図2は、高圧水銀放電ランプの重要な特徴の概略図を示す。 図3は、圧力に対するHg原子/イオンの温度と電子の温度との間の関係を示す。 図4は、圧力に対する水銀プラズマ放電の発光効率を示す。 図5は、金属ハロゲン化物および水銀ランプの重要な特徴の概略図を示す。 図6は、ランプ壁からランプアークへのハロゲン化物のサイクルの概略図を示す。 図7は、ガス放電ランプを示す。 図8は、全てのイオン化レベルからのテルルのスペクトルデータポイントを示す。 図9は、全てのイオン化レベルからのアンチモンのスペクトルデータポイントを示す。 図10は、全てのイオン化レベルからのヨウ素のスペクトルデータポイントを示す。 図11は、I、Te、TeBr、Hg、およびSbIにおける、温度に対する潜在的ランプ充填物の蒸気圧曲線を示す。 図12は、先行技術の概念のアンチモンランプからのスペクトル出力を示す。 図13は、先行技術の概念のテルルからのスペクトル出力を示す。 図14は、別の先行技術のランプのスペクトル出力を示す。 図15は、ランプの殺菌効率の決定のための殺菌の重み付けを示す。 図16(a)は、一セットのベンチマーク水銀ランプの画像を示す。 図16(b)は、一セットのベンチマーク水銀ランプの画像を示す。 図17(a)は、第1セットのハロゲン化物プロトタイプのランプの画像を示す。 図17(b)は、第1セットのハロゲン化物プロトタイプのランプの画像を示す。 図18(a)は、第2セットのハロゲン化物プロトタイプの画像を示す。 図18(b)は、第2セットのハロゲン化物プロトタイプの画像を示す。 図18(c)は、第2セットのハロゲン化物プロトタイプの画像を示す。 図19(a)は、第3セットのハロゲン化物プロトタイプの画像を示す。 図19(b)は、第3セットのハロゲン化物プロトタイプの画像を示す。 図19(c)は、第3セットのハロゲン化物プロトタイプの画像を示す。 図19(d)は、第3セットのハロゲン化物プロトタイプの画像を示す。 図20は、ベンチマーク水銀ランプの平均スペクトル出力を示す。 図21(a)は、様々なプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。 図21(b)は、様々なプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。 図21(c)は、様々なプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。 図21(d)は、様々なプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。 図22(a)は、さらなるプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。 図22(b)は、さらなるプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。 図22(c)は、さらなるプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。 図23(a)は、作動時のランプ5を示す。 図23(b)は、作動時のランプ5を示す。
●ランプ構造の概要
図7は、好ましくは溶融石英または溶融シリカ製で、始動ガスまたは補助ガスで満たされ、作動時にはある量の気状の放射性作業材料30で満たされる、長細い封管20を備える、ガス放電ランプ10を示す。2つの離間された電極40,42は、ランプ内に配置され、始動ガスに点火するために使用される。これらの電極は、典型的には、トリウムがドープされたタングステンで作製され、好ましくは、ランプにおける対向する端部において密封される。好ましい実施形態において、ランプは、さらなる修正の必要なく、既存の水銀ランプとの置き換えが可能となるように、1m−2mの長さで、かつ、29mm未満の外径を有してもよい。
●潜在的元素候補のスペクトル選択
潜在的元素候補の初期評価は、周期表の4−6族の遷移金属、4−6族の半金属、および3−4族のポスト遷移金属の元素からの支配的スペクトル線(中性原子からの)を識別することにより実施された。この情報の要約は、以下の表1−3に示される。
表において提供されるスペクトル線は、相対値の高いものから低いものへの順で並べられる。値が等しい波長の場合、それらは、波長の順、すなわち、最も低い波長が最初に挙げられるが、ただし、3つを超える等しい値が存在する場合、または第3波長に1つを超える値が存在する場合には、その値も示される。
(表1)
表1:中性原子の相対値を使用した遷移金属の支配的な3つのスペクトル線
Figure 2019520670
(表2)
表2:中性原子の相対値を使用したポスト遷移金属の支配的な3つのスペクトル線
Figure 2019520670
(表3)
表3:中性原子の相対値を使用した半金属の支配的な3つのスペクトル線
Figure 2019520670
スペクトル情報のまとめから、8つの可能性のある元素、すなわち、一次充填物のための3つ(オスミウム、ゲルマニウム、およびテルル)、および二次充填物のための5つ(スズ、アンチモン、インジウム、タンタル、および金)が、望ましいスペクトル特性を有するように思われる。これらの可能性のある元素をさらに評価するために、元素およびハロゲン化物としてのそれらの既知の物理特性の重要データが、表4に示される。
(表4)
表4:MHランプ充填物のための識別された元素候補の重要な物理的特性
Figure 2019520670
スペクトル評価基準に基づいて識別された一次ランプ充填物のための3つの候補は、気相においてヨウ化物としてのオスミウムおよびゲルマニウムの安定性を支持するデータが不十分なことにより、1つの候補、すなわちテルルに絞られ得る。
二次ランプ充填物のための5つの候補からは、金およびインジウムも安定なヨウ化物を生じないため候補から除外し、タンタル、スズ、およびアンチモンを可能な候補として残す。タンタルはより高い沸点(BP)を有するが、スズは最も低いBPを提供し、アンチモンのスペクトル特性(2つの線はおよそ260nm)およびランプにおける以前の使用から、それを初期コンセプトのプロトタイプのための好ましい選択とする。さらに、スズには、その使用により発生する実用的制限がある。
●有力候補の包括的スペクトル評価
テルルおよびアンチモンのより詳細なスペクトル評価は、MHランプのためのハロゲンとして一般的に使用されるヨウ素の添加により実施された。中性元素および単独でイオン化された元素の両方の支配的スペクトル線は表に示され、完全なスペクトルデータは図面に示される。3つの元素のUVC領域におけるスペクトルデータのまとめも示される。Sbに対して得られたデータは中性から−4価のイオン化までのスペクトル線も含み、その一方で、Teに対するデータは中性状態および−1価のイオン化状態に対してのみ利用可能である。
・テルル
(表5)
表5:中性テルルおよび単独でイオン化されたテルルによる支配的スペクトル線
Figure 2019520670

図8は、全てのイオン化レベルからのテルルのスペクトルデータポイントを示す。
・アンチモン
(表6)
表6:中性アンチモンおよび単独でイオン化されたアンチモンによる支配的スペクトル線
Figure 2019520670

図9は、全てのイオン化レベルからのアンチモンのスペクトルデータポイントを示す。
・ヨウ素
(表7)
表7:中性ヨウ素および単独でイオン化されたヨウ素による支配的スペクトル線
Figure 2019520670

図10は、全てのイオン化レベルからのヨウ素のスペクトルデータポイントを示す。
●総合データ
(表8)
表8:ヨウ素、アンチモン、およびテルルのスペクトル発光線の重み付け
Figure 2019520670
5番目の最も強いスペクトル線として206.8nmを使用して計算された値を示す。
テルルのスペクトルデータは、250nm未満のスペクトル範囲の97.7%を維持しつつ、200nm−230nmの標的スペクトル範囲未満または下側領域におけるより支配的な線を示す。
8つの最も支配的なアンチモンのスペクトル線のうちの7つは、理想的に、2つの目標スペクトルエリア内に位置される。スペクトル発光の二次領域は、800nm−1000nmの間においてアンチモンから生じているが、生成された全ての線は、200nm−230nmおよび260nm−280nmの目標エリアの両方を満たす所望のスペクトル範囲に関して好ましいように思われる。
基本的な疑問は、テルルおよびアンチモンの両方の遷移線についてである。高圧放電の概念は、HPHg放電のように、増加した衝突頻度により多くの遷移線がランプ圧下において生成されることを意味する。増加する圧力と共に、再結合または制動放射などの他の源からもスペクトル発光は生じるであろう。したがって、総スペクトル出力およびスペクトル放射効率は、設計されたランプ圧力において測定された場合にのみ決定され得る。
●機能評価
元素のスペクトル評価は、UV−MHランプにおける使用にとって潜在的に好適な元素として注目されるテルルおよびアンチモンを用いて実施された。望ましいスペクトル出力に加えて、充填物は、機能的特性も示さなければならない。
・ランププラズマに対するハロゲン化物化合物の適性
任意の潜在的ハロゲン化物が、そのイオン化エネルギー、熱的特性および蒸気特性、ならびにハロゲン化物化合物に関連する特異的分子相互作用との関連において、特に満たさなければならない、多数の重要な物理的特性が存在する。
・イオン化エネルギー
ランプ充填物に必要な特徴は、ランプの始動時に役立つ、相対的に低いイオン化レベルである。より低いイオン化レベルは、自由電子を生成するため、延いては、アバランシェ効果として説明されるものにおいて、より多くの電子などを生成するために必要なエネルギーが少なくて済むことを意味する。表9に示されるように、アンチモンおよびテルルの両方は、水銀と比べてより低いイオン化レベルを有し、しがたって、プラズマ放電を開始するために好適であるはずである。
(表9)
表9:水銀、ヨウ素、アンチモン、およびテルルのイオン化エネルギー
Figure 2019520670
・アークの安定性
高圧放電の特性はアークの収縮であり、これは、MP−Hgランプの設計において説明される場合、比較的安定で直線状のアークを生成しなければならず、しかしながら、これは、MHランプでは保証されない。HgベースのMHランプにおける先行研究は、たとえ、MH添加剤の比例量がランプ内のHgの量に対して最少であったとしても、ランプアークに対するMH添加剤の重要な影響が、収縮性または拡張性のどちらであるかを識別した。文献に記録された例は、トリウム、スカンジウム、および他の希土類金属であり、これらは、アークを収縮させ、内部変動に対してより影響されやすくするが、その一方で、アルカリ金属(すなわち、セシウム、ナトリウム、カリウム)の添加は、反対の効果を有し、安定化効果を有するランプアークを膨張させる。
アークの安定性は、提案されたプラズマ放電の概念の機能的適性を特定する上での重要な因子であるが、それは、単に、水平姿勢(これは、アークの下側でのMHの凝縮の原因にもなり得る)の場合のランプ軸の上方へのアークの上昇に起因する望ましくない異方性放射特性の理由からだけではなく、極端な場合、ランプ壁が物理的に溶融して自己破壊を引き起こし得るためである。基本的な熱的特性を評価することにより、HPアークの不安定性の原因を識別することができる。UV殺菌において使用されるHP圧力ランプは、ランプの直径より著しく長いアーク長を有することにより特徴付けられる。アークは、ランプの中央であり、これは、ランプ壁によりアークに課せられた物理特性に部分的に起因し、この場合、「壁安定化」アークと呼ばれる。これは、よく設計されたMPランプにおける望ましい特徴であり、高密度高効率MHランプに対する目的である。
壁安定化アークは、アークからランプ壁へ向かって温度の急激な減少を表す正の径方向の温度(positive radial profile temperature)が特徴である。これは、アークの動きが、ランプの中心から移動することによって生じる冷却/加熱効果により安定化されることを意味する。ランプが、ランプ壁ではなくアークから急激に低下する温度勾配を有する場合、安定化効果はない。そのような不安定さは、アークの上昇(水平に取り付けられた場合)を引き起こし、結果としてスペクトル問題を生じるだけでなく、アーク下での石英の軟化またはハロゲン化物の凝集の可能性の原因となる。壁安定化アークを示す重要な設計基準は、イオン化ポテンシャルviに対する平均励起ポテンシャルvの比が0.585を超えること、すなわち、v≧0.585viであることである。テルルおよびアンチモンは、それぞれ、0.72および0.78の比を有し、したがって、壁安定化アークが生成されるはずであることを示す。テルルおよびアンチモンの両方は、水銀より低いイオン化ポテンシャルを有するため(表9)、より安定なアークを生じるはずであり、ハロゲン化物からの相互作用の原因にならず、水銀よりも安定でより高い出力密度のランプの可能性が生じるはずである。
・元素の熱的特性
前述のとおり、ランプアークはおよそ3700℃−4700℃の温度を有するが、ランプの外套容器の温度は800℃未満であると予想される。これは、石英の外套容器に対して保護を提供するためだけでなく、放電の効率を最大化するために放電の熱損失を抑制するためにも、高い断熱が必要とされることを暗に意味している。元素形態において比較的高い蒸気圧をも生じるHgおよびZnと比較したTeおよびSbにおける、熱伝導性のためのいくつかのデータポイントは、表10に提供される。TeおよびSbのデータは似ているが、重要な差は、水銀は温度と共に安定した増加傾向を示すが、Teは減少傾向を示すことである。Sbのデータは、1つのポイントのみであるため、わずかしか解釈ができないが、かなり大きな熱伝導を示す亜鉛(Zn)のデータと比較すると、Hgの熱的特性と凡そ同じ熱的特性が、ランプ壁の温度におけるTeベースのランプにより提供され得る。
(表10)
表10:指定された温度での元素の伝導率
Figure 2019520670
・金属ハロゲン化物の特性および相互作用
提案された全てのハロゲン化物ランプの安定性にとって重要なのは、ランプ充填物に使用されるハロゲン化物化合物充填物、特に、一次充填化合物の間の安定性および相互作用である。スペクトル選択では、適切な一次充填物としてTeのみを識別したため、表11において、金属ヨウ化物としてのTeに対する文献の評価が、Sbに関する情報と共に提供される重要な情報により行われた。
(表11)
表11:ハロゲン化テルルおよびハロゲン化アンチモンの化学的特性
Figure 2019520670
表11は、TeおよびSbの両方それぞれをヨウ化物TeIおよびSbIとして、表4において前述した融点および沸点データと、SbIに関するわずかな追加情報と、を示す。TeIは、HPランプ放電に必要とされる気相の場合の追加の複雑さを提示する。固相から気相へのTeとIとの間のコア反応は、下記の方程式1−5において説明される。
(方程式1)
蒸気相での四ヨウ化テルルの熱分解
Figure 2019520670
形成されたTeIの割合は、温度依存性であり、温度と共に増加し、≧500℃において、ほぼ完全にTeIである。遊離された(TeI四量体も存在する。
(方程式2)
二ハロゲン化テルルの昇華および析出
Figure 2019520670
(方程式3)
四ヨウ化テルルの昇華および析出
Figure 2019520670
(方程式4)
600℃を超える温度での気相におけるヨウ素の熱分解
Figure 2019520670
(方程式5)
600℃を超える温度での気相におけるヨウ化テルルの熱分解
Figure 2019520670
気相中にTeを有するために、Teは、TeI4から様々な状態および化合物を経て遷移しなければならない。しかしながら、Teは、600℃を超える温度において、気相中に存在するが、相互互換的にヨウ化物または二原子Teとしても存在する。このことがアークの安定性に影響するか否か知られていないが、Teが固相へと凝縮しないようにするため、600℃の壁温度が、2:1の最小のI対Te比と共に維持されなければならない。複雑なヨウ化物蒸気が形成され、これは、Teヨウ化物とSbヨウ化物との間において可能であり、おそらく、さらなるスペクトル的および機能的な複雑さを追加する。しかしながら、Sbは二次充填物であるため、ランプ性能に対してわずかな割合しか占めておらず、したがって、設計目的のために、Teヨウ化物形成のみが評価される。
関心対象の元素に対するヨウ素の割合は、重要である。適切な量のヨウ素が確実に存在するようにするために2つの方法が使用される。第1に、完全数のハロゲン化合物を形成するために、元素に対して正確な比率のヨウ素を加え、第2に、元素に対して過剰なヨウ素を加えてランプ壁における元素の凝縮の可能性を減らす。後者の場合、強力な光吸収体であり、経時的に金属の損失を引き起こし得て、ランプ機能に関する問題の原因となり得る、遊離I2に関連する問題がある。Hgベースのランプでは、これは、透明で比較的不安定なHgI2の形成により解決される。
・選択されたハロゲン化物の圧力特性
前述したランププラズマの重要な要素は、十分な内部ランプ圧力を提供するランプ充填物の能力である。対照的に、ハロゲン化物による高すぎる圧力を有すること、および使用する量を制限する必要があることに関する問題が知られている。MHランプはHg−HPランプと凡そ同じ主要設計基準において機能するように設計されるため、Hgと比較して、温度に関してランプ充填物の圧力は、慎重に評価される。TeIおよびSbIの両方の圧力データは限られるが、図11において、圧力曲線Teが、IおよびTeBrの圧力曲線と並んで示される。
図11は、I、Te、TeBr、Hg、およびSbIにおける、温度に対する潜在的ランプ充填物(potential lamp filling)の蒸気圧曲線を示す。
図11に示される圧力曲線は、評価される全てのハロゲン化物に対して同じ温度において著しく高い圧力を示すとしてIを識別し、その一方で、TeBrは、前述した臭素との比較におけるヨウ素の一般的傾向のとおりに、全ての他の匹敵する圧力曲線に対して著しく低い圧力を生じさせる。同様の圧力特性が、TeIおよびSbIの両方において見られる。しかしながら、前者はHgの圧力曲線に最も近い一致を示し、後者は低い圧力の曲線からわずかにオフセットした曲線を示す。TeIは、MHランプをHP−Hgランプと置き換えるための理想に近い圧力曲線を示す。データは、TeIおよびIに基づいており、そのため、後者のより高い圧力曲線に基づいているため、I単独での使用と比較した場合に明確に歪を生じ得るので、いくらかの注意が必要である。説明されるようなより高い圧力においてIを有することは、HgベースのHPランプにおいて内圧の増加を伴う対流に起因する効率損失も生じ得る。
●機能評価のまとめ
スペクトル的に、Teは、二次充填物としてのSbを伴う、一次ランプ充填物としての使用にとって好適な線を提供し、両方の元素は、壁安定化アークの生成を示すイオン化にとって必要な好適なエネルギーポテンシャルの証拠を提供する。Teは、一次ランプ充填物として、Hgに一致する好適な熱的特性および圧力特性(TeIとして)を提供し得る。Teは、事前の稼働条件において、TeIとして安定なヨウ化物を提供し、それは、気相中におけるTeIへと転化されるであろう。評価において識別された唯一の可能性のある欠点は、600℃を超える温度において、Teヨウ化物はTeおよびIの両方(両方とも、気相中にある)と平衡するが、これが、ランプの機能における何らかの不安定性の原因となるか否かは不明であることである。
●関連するハロゲン化物の使用に関連する特許技術のレビュー
選択されたハロゲン化物TeおよびSbの機能評価は、UV−MHランプの潜在的高効率に対する基礎を提供する。UVの発生方法の開発は、可視照明に結びつけられ、そのため、そのようなMH開発の欠如の理由となり得る(すなわち、可視HgMHランプは、Hgの置き換えから恩恵を受けないであろう)。LPUV源の開発を考える場合、これまでのそのようなMH開発の欠如の原因に関する根本的な疑問が、依然として存在する。出願された関連する特許のそのような評価が、図12、図13、および図14に示した関連するデータと共に表12にリスト化される。
(表12)
表12:Te/SbのMHランプに関連する特許
・特許1=Schafer,J.(1976)英国特開第1552334号「重合性ラッカーの硬化のために使用される金属ハロゲン化物放電ランプ」
・特許2=Turner,B.(1994)米国特許第5661365号「テルルランプ」
・特許3=Derra,G.およびNielman,U.(2003)欧州特許第1502485号「極端紫外線の生成方法」、ならびにDerra,G.およびNielman,U.(2008)米国特許第7385211号「極端紫外線の生成方法」
・特許4=Kaas,P.およびEbert,B.(2004)欧州特開第1463091号「UV最適化電極放電ランプ」
Figure 2019520670
図12は、特許1から適合された、先行技術の概要のアンチモンランプからのスペクトル出力を示す。
図13は、特許2から適合された、先行技術の概要のテルルからのスペクトル出力を示す。
図14は、特許4から適合された、別の先行技術のランプのスペクトル出力を示す。
Sbハロゲン化物を使用する特許1は、水の殺菌にとって理想に近いスペクトル出力として説明され得るかなりの量のUV放射線を生じる(図12)。使用されるSbハロゲン化物の量は、結果としてLTEおよび所望の壁安定化アークをもたらさず、したがって、所望の高密度ランプを作製しないであろう。
図14に示される特許4は、図8に示される中性Teにおいて説明されるスペクトル出力に対する類似性を示す。特許4のTeは、組み合わされることができる多くの可能性のある充填物のうちのただの1つであるため、Teベースのランプのスペクトルの可能性を示しているに過ぎない。
特許3は、UV発生のためのランプ充填物としてのTeの使用に関するさらなるスペクトルデータを提供する。
特許2は、Teを使用するHPランプの最も近い代表である。特許2において提供されるデータ(図13)は、電極安定化アークに対するものであり、それにより、使用される圧力がHP放電を確立するが、スペクトル出力は全て可視スペクトルである。前述した壁安定化アークとは対照的に、短いアーク長は、安定的なアークを提供するために、使用され得る。すなわち、壁安定化放電のための安定的なプラズマを得ることが可能でない場合に、アークは、ランプを安定させる。説明される可視出力支配性は、MP放電により増加する圧力により予想される。しかしながら、ランプ充填物において説明されるTeの量は、同等のHgランプと比べて非常に低い。このことは、HPUV放電を生じるためのTeの使用の潜在的限界、または特許の説明における誤り、のいずれかを示す。その特許は、いくつかの変形例において硫黄の添加について説明しており、したがって、これは、任意のスペクトル誤差について説明し得る。しかしながら、説明されるような低いランプ充填物を用いてHPランプを確立することは、実現不可能である。
特に、特許2は、以下のような特徴を列挙しているように見られる。
・400nmを超える放射線の発生
・TeI5の使用
・マイクロ波エネルギーの使用
TeベースのMHランプの概要は、機能評価から技術的に実現可能であるように思えるが、高効率のUV−HP−MHは、今日まで全く公開されていないか、または1:2のTe:Iの化学量論比においてヨウ化テルルを使用した可視出力を有するプラズマであり、したがって、この技術提案の実際的検証が必要である。
ハロゲンの使用は、蒸気圧増加における恩恵のために必要である。しかしながら、前述のとおり、I2形成の可能性は高く(なぜなら、HgI2を形成するHgが存在しないため)、したがって、前の段落において説明されたような割合でのヨウ化物へのテルルの適用は、新規であるだけでなく、おそらく、機能的UV−MHランプを製造するために重要である。
●ランプ設計案に関連する重要な側面のまとめ
UV−MHランプは、TeおよびTeIの形態のヨウ化物の一次ランプ充填物と、SbIの二次ランプ充填物と、に基づいて、実現可能であると考えられた。最適化された量において、ランプ充填物のこの組み合わせは、Hg−HPランプと同様の内部ランプ圧力を可能にすることが予想されたが、より低い励起レベルおよび最適なスペクトル特性を有する二次充填物に起因する増加したスペクトル効率を伴う。Teをヨウ素と併用する恩恵は、Hgと比較的似ている圧力特性が達成されなければならないことである。しかしながら、HPランプにおいて生じる温度(>600℃)において、相互互換的状態が、気相中のヨウ化物化合物と気相中の元素成分との間において形成される。元素成分、特に高蒸気圧を有するIが、ランプの安定性および機能性に影響を及ぼすか否かについては不明である。これを除いて、HD−UV源としてHgに対する機能的代替手段を提供するためのTeおよびSbのヨウ化物の両方の適性は、技術的に有望に見える。しかしながら、最適量は、実際に評価される必要がある。
●設計案の実用的詳細
ランププラズマの一次成分を形成するTeハロゲン化物と、UVC領域におけるスペクトル出力を最大化する二次充填物としてのSbヨウ化物と、を伴う高効率のMH−HPランプの提案された概要を実現するために、多くの設計段階を実施しなければならなかった。それらを以下に説明する。
段階1−初期要件は、特に、アーク安定性、作動中の電気特性、スペクトル出力、およびスペクトル放射効率に関して、ランププラズマとしてのヨウ化テルルの機能性および性能評価基準を確立することである。
これは、2:1(I:Te)の化学量論比において、ランプ充填物としてTeI4およびTeを使用することにより達成された。初期性能データを得るために、2つのランプ本体の幾何学的形状(15mmの内径(ID)および18mmのIDの両方は、100mmのアーク長ALを伴う)を有する2つの初期ランプ充填物が使用される。18mmのIDのランプの幾何学的形状は、従来のMPランプをより代表する。しかしながら、15mmのIDの幾何学的形状は、ハロゲン化物の凝縮の可能性、特に、ヨウ化テルルの気相、すなわち、>400℃−600℃、に維持することの可能性を減少させる。
段階2−ベースラインとしてHg−MPランプを使用した最適な性能評価基準を提供するためのTeヨウ化物の量の最適化。これは、アークの安定性を評価している間、出力密度に対するユニットのスペクトル性能のバランスを取る必要があるであろう。アーク安定性を想定する場合、2つの重要な領域、すなわち、200nm−230nmと260nm−280nm、および圧力に応じたスペクトルの最適化と、ランプ圧力、すなわち、出力密度と、の間で良好なバランスが取られ得ることにより、結果として、これは、段階3により最適化される2つの別々の設計を生じ得る。
段階3−最適化されたTeヨウ化物である一次充填物へのSbヨウ化物の添加。HgベースのMHランプに基づいて、わずかな割合のみ必要であるが、これは保証されず、そのため、Sbヨウ化物充填物の範囲は、Teヨウ化物の値の5%において始まるように使用されるべきである。
●プロトタイプの仕様
段階1のための初期ガイダンスとして、以下の値が決定された。比較値として総重量を使用する場合、選択されたランプの幾何学的形状を伴う表13におけるより低い値(Turner(1994)によるプロトタイプにおいて使用される量の半分)は、現状のHP−Hgランプ(18mmのIDのプロトタイプのランプ)に対して使用される領域内である。スペクトル出力、スペクトル効率、およびランプ性能の目視確認(例えば、アークの位置および安定性)に関するこれらのプロトタイプの結果の評価に従って、ランプ充填物の最適化が、段階2に対して提案され得る。
(表13)
表13:初期Teプロトタイプの仕様
Figure 2019520670

#1Hgは、最大負荷に基づくランプの概要を満たしつつ、安定したアーク12Vcm−1を可能にする。15mmのプロトタイプの推定される電圧cm−1に対して、Hgの適用量は、25mgであり、18mmのプロトタイプの場合は40mgである。
(表14)
表14:考慮される比較Hgランプの詳細
Figure 2019520670
●方法
全てのプロトタイプのランプは、Hanovia Ltd社(バークシャー、イギリス国)により製造された。Hgランプは、発明者の仕様による標準的製造プロセスに従って製造された(表14)。金属ハロゲン化物のプロトタイプのために製造された全てのランプ本体(充填物のないランプ)は、ランプ充填物を挿入する時点までは、Hgランプと同じ製造プロセスを使用して製造され、ランプ充填物を挿入した時点で、Swagelok(登録商標)(ハートフォードシャー、イギリス)真空取付具を使用して、真空下においてランプがプロセスから外され、湿気および酸素のない環境(<0.5ppmの、測定されたHOおよびO)を可能にするMbraun(登録商標)(ノッティンガムシャー、イギリス)Unilab Plusグローブボックスに移された。この条件下において、必要なランプ充填物を、1mgまでの感度を有する自動較正付きVWR(レスターシャ、イギリス)精密天秤(SN:LPW−723i)を使用して秤量した。充填物をランプ本体に加え、再び密封し、標準ランプ製造プロセスに戻した。全てのプロトタイプは、赤外線ERを反射するために電極の裏側に白金反射塗料を有し、電極の背後での冷点の形成と、ランププラズマからのランプ充填物の凝縮の可能性と、を防いでいる。
●性能評価
性能評価は、3つの特定の側面、すなわち、物理特性(すなわち、アーク安定性)、絶対スペクトル出力、および電気特性に関して実施された。全てのプロトタイプは、4kWの電力定格のEta+(ニュールティンゲン、ドイツ)Xシリーズの電子安定器により駆動された。プロトタイプが点灯しなかった場合、内部ガス圧を下げ、結果としてストライク電圧を下げるために、噴霧式冷凍器(Artic Products、リーズ イギリス、またはElectrolube、レスターシャ、イギリス)を使用して、プロトタイプは冷却された(冷却が必要かどうかは、表16のコメント欄において述べられている)。これは、一般的に、例えば、(ランプ充填物とガスを挿入するために使用された)ランプステムの除去に起因するランプ温度の上昇など、製造プロセスの間のハロゲン化物の解離に起因した。
ランプ評価の詳細について、以下において説明する。
物理的特性−各プロトタイプ設計の第1ランプを、アークを発生させるときにランプの目視を可能にするために、(溶接ガラスで構成された)視界窓の前において実施された。Fujifilm(登録商標)(Fujifilm イギリス、ベッドフォード、イギリス)s9600ブリッジカメラを使用して、視界窓を通して、稼働中のランプの写真が撮影された。
スペクトル特性および電気特性−ランプは、ランプの放射線が0.51mm幅の垂直入口スリットを有するコリメート管(500mm長で、コリメーションのための内部バッフルを備える)を通る暗い部屋において、空気中で水平な状態で操作された。ランプが安定化したとき、電気特性は、Voltech(オックスフォードシャー、イギリス)PM6000三相汎用電力分析装置(Universal Power Analyser)により測定された。殺菌効率は、遮光されたスリットの幅(0.53mm)、ランプアークからの測定された距離(0.5m)、およびアーク長(0.1m)と、殺菌の重み付けのための補正と、からなるスペクトル測定とから計算した。2つの作用スペクトル(AS)が、殺菌の重み付けを計算するために使用された:スペクトルBは、230nm未満に感度を有さない目標病原体を表し、スペクトルAは、230nm未満に高い感度を有する目標病原体を表す。使用されるASは、253.7nmにおいて相対値が等しくなるように適合された。
図15は、ランプ殺菌効率の測定のための殺菌の重み付けを示す。
●結果
●プロトタイプの開発
設計の段階1のためのハロゲン化物のプロトタイプの初期セットの製造において、ランプのドープの間に誤差が生じ、これは、投与されたTeの量が、表13において所望される量より10倍多いことを意味し、したがって、その後の全ての設計段階に対する最終的な量は、表15において提供される。さらに、2つの実用的問題が生じた:すなわち、ランプ充填物の秤量(結果として測定の間の圧力変化を生じたため、ガスリークに起因することが特定された。これは、プロトタイプの第2セットおよび第3セットで解決された)と、ランプ製造プロセスにおけるステム除去(de-stemming)のプロセス(真空取付具のための6mmまでのマージンステムサイズ(Merge stem size)の増加に起因し、これは、より段階的に閉鎖することを可能にするために、複数の段階でのステムの除去により解決された)と、である。
(表15)
表15:ハロゲン化物プロトタイプのための完成されたランプ充填物
Figure 2019520670
段階1の構成において説明される実用的問題は、機能するプロトタイプの数の著しい減少を導き(表16)、その結果、18mmランプIBおよび15mmランプIIBにより生成される望ましいランプ電圧(すなわち、凡そ12Vcm−1)により、設計段階2のために、増加した比例Teのレベルを使用することが決定された。このことは、わずかに適合された(TeとIとのレベルのバランスを取る必要のない単純さに起因する)段階1からのプロトタイプが、再構築され(ランプIIIおよびランプIV)、Teに対するTeIの割合を減らしたが、より高い電圧のランプを作製することを試みるために組み合わされた多量の充填物量を用いた、第3変形例(ランプV)により試験テストされることを意味した。プロトタイプの第2セットの完成に続いて、18mm(ランプVI)および15mm(ランプV)の両方のランプにおいて最も高いスペクトル出力を有するランプが、段階3の開発の基礎として選択された。さらに、生じたランプ電圧における類似性の背後にある原因を特定するために、段階2におけるランプ充填物の量の1/5の量のランプ充填物を使用して、減らされた充填物により、ランプ設計の第2セットが作製された。全てのランプ充填物は、段階1、2、および3のプロトタイプに対して指定され、表15に示される。
●性能評価
3つ全てのプロトタイプの段階から得られた性能結果は、図16、図17、図18、および図19に続けて提供される性能評価を支援するための関連画像と共に、下記の表16に提供される。
(表16)
表16:性能の詳細
Figure 2019520670

(表17)
Figure 2019520670
#2全てのランプは、電気測定の1つのセットのみに基づいて、目視により評価された。
図16は、1セットのベンチマーク水銀ランプからの画像を示す。
図16aは、水銀ランプの18mmランプAを示す。
図16bは、水銀ランプの15mmランプAを示す。

(表18)
Figure 2019520670
#3細菌A%および細菌B%は、図15に示される作用により重み付けされた場合のランプの殺菌効率に関連する。
(表19)
Figure 2019520670
図17は、ハロゲン化物プロトタイプの第1セットのランプからの画像を示す。
図17aは、18mmのランプIIBを示す。
図17bは、15mmのランプIIBを示す(画像A(上側)は、ランプのウォームアップ段階において撮影され、画像B(下側)は、ランプがウォームアップした後に撮影された)。

(表20)
Figure 2019520670
#4第2スペクトルスキャンからの電気計測の第1セットは欠けており、したがって、スキャンの間の期間が短いことから、第1スキャンからの第2セットが使用された。

(表21)
Figure 2019520670
図18は、第2セットのハロゲン化物プロトタイプからの画像を示す。
図18aは、ランプ18mmIIIBを示す。
図18bは、ランプ18mmVBを示す。
図18cは、ランプ15mmVBを示す。

(表22)
Figure 2019520670
#5 4つの電極測定の最初の測定は欠けており、したがって、第1スペクトルスキャンの出力計算には、1セットの測定のみが使用された。
(表23)
Figure 2019520670
図19は、ハロゲン化物プロトタイプの第3セットからの画像を示す。
図19aは、ランプ18mmVIAを示す。
図19bは、ランプ18mmVIICを示す(画像A(上側)は、ランプのウォームアップ段階において撮影され、画像B(下側)は、ランプがウォームアップした後に撮影された)。
図19cは、ランプ15mmVIAを示す。
図19dは、ランプ15mmVIIAを示す(画像A(上側)は、ランプのウォームアップ段階において撮影され、画像B(下側)は、ランプがウォームアップした後に撮影された)。
ベンチマークHgランプ−Hgベースの比較ランプは、十分に確立されたプロセスにおいて作製され、したがって、作製することは比較的容易であった。ランプの電気性能は、設計された稼働電圧(120V)に非常に近く、一定であった(+/−3V以内)。ランプ自体は、始動および安定性に関しては良好に稼働し、18mmランプ(図16a)および15mmランプ(図16b)の両方において、中央に集中したアークが観察された。アークが上昇する兆候(特に、ランプの左側において)が見られ、このことは、ランプ設計電圧としては、これが使用可能な最大出力密度であり、結果として、Hgベースの高圧が提供する効率であり、したがって、それを理想的なベンチマークにしていること、を示唆している。ただし、ランプは、12−16%の範囲の公表値と比べて、6.6%−7.5%の殺菌効率(作用スペクトルAに基づいて)しか提供せず、一般化された値に対して著しい対比を示しているが、下記の段階1、2、および3において作製されたプロトタイプに対する、Hg−HPランプの同一条件下での直接的な比較を可能にする。
図20は、ベンチマーク水銀ランプの平均スペクトル出力を示す。
15mmおよび18mmの両方のランプは、そのような内部水銀圧に対して予想され得るスペクトル出力(図20)を提供するが、18mmランプでは、殺菌効率の減少に相関する増加した直径からの追加の吸収に起因し得る、スペクトルピークの減少が観察される(表16)。
図21は、様々なプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。
段階1−2つの初期プロトタイプは、持続するプラズマを有するランプが作製され得て、少なくとも20分間(ランプの問題ではなく、さらなるスキャンを実行することの必要性により制限された時間)にわたって稼働し得ることと、9.57Vcm−1の電圧密度(ベンチマークのHgランプの比較のための12Vcm−1に近い)が生成され得ることと、非化学量論的TeおよびIランプ充填物が機能性プラズマを生じさせるために使用され得ることと、を示した。始動しなかったランプは、ステム除去の近くにおいてハロゲン化物の分散を有するため、目視により識別され得て、これは、ランプが再始動できなかったという事実と併せて、少なくとも一部のハロゲンによる、その元素状態への分離を示す。
段階2−プロトタイプの第2セットの機能的歩留まりは、主にランプステム除去における改善により、75%に増加した。これは、25%の不具合の原因として、ランプステム内に残留するハロゲン化物の識別と、ステム除去後のランプの位置決めと、も可能にした。ランプIII、IV、およびランプV(Teに対して割合の減じられたTeI4を含む)は、85V−95Vの間の狭い範囲の電圧を生じた。18mmランプの場合、電圧におけるマージンがランプIIIからランプIVへと増加した。しかしながら、15mmのランプとの間の差は、無視できる程度だった。使用されるランプ充填物の量に比例した予想される変化ではなく、同様の電圧の発生は、ランプ充填物の非化学量論的な量に起因した、Teが気相に入ることに対する制限か、または、気相におけるランプ充填物の飽和を示し得る。すなわち、ランプ充填物の増加は、さらなる充填物が気相に入ることと、ランプ電圧における比例した増加と、を生じないであろう(したがって、段階3における、充填物を著しく減じた第2ランプ設計の作製)。
図21aは、設計III、IV、およびVの18mm直径のプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。
図21bは、設計III、IV、およびVの15mm直径のプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。
段階2のプロトタイプの殺菌効率は、設計目標より著しく低く、0.4−0.9%の範囲(ランプおよび殺菌重み付けに応じる)であった。これは、一部には、18mmのランプ(図21a)および15mmのランプ(図21b)の両方において生成され、220nmにおいて最小であり、300nmに向かう漸増を示す、スペクトル出力に帰すると考えることができる。これは、理想的なスペクトル出力ではないが、同等のHgランプのおよそ1/10であり、したがって、さらなる損失がランプ以外において生じていなければならない。有力な要因であるランプドライバは、ランプに対して測定された出力の計算における測定された力率の使用により、除外される(PSU損失を含まず)。セット1および2の両方のプロトタイプにおける顕著な特徴は、明確に目視可能または200nm−300nm以外の出力と、顕著な対流電流が示されて電極近くにおいて特に顕著な「ガスポケット」と、を示す、画像に示された明るいアークである。これらの後者のポイントは、意図されない光子放射(UV領域ではない)による損失および/または追加の熱的損失を示し得る。
段階3−段階3における全てのプロトタイプのスペクトル出力は、著しく変わり、多数のピークが、段階2)において以前に確立された連続帯全体にわたって発達している。
図21cは、設計VIおよびVIIの18mm直径のプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。
図21dは、設計VIおよびVIIの15mm直径のプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示す。
設計VIの15mmランプおよび18mmランプの両方は、220nm未満において小さいが増加した出力を示すが、これは、18mmランプには当てはまらない。実際に、ドーパントとしてのSbによるランプ効率における提示された増加とは対照的に、段階3において作製されたプロトタイプは、段階2より低い。
15mmランプと18mmランプとの両方のランプ設計VIは、ランプVII用のランプ充填物の1/5に基づいている。しかしながら、電圧における最小の変化が、特に15mmランプにおいて測定された。これは、気相中のTeは飽和しているが、Iは気相に入り続けているように見えることを示している。これは、低い可視出力を有しガスポケットのない直線的で安定的なアークから、最終的に多くの場合において乱流のランプ(結果の段階2において説明される)への移行において見られる。これは、ランプの下部の半分を包含するようにガスポケットから形成した暗い下側部分を有する上昇した上側アークへと移行した、図19bに示されるランプ18mmVIICにおいて最も明確に実証された。この移行の間、ランプ電圧は、1/3増加し、ランプのウォームアップ後の望ましくないランプ特性が原因で、Iが気相中に入ったことを示唆している。物理的変化は、ランプのウォームアップの間に最小の可視出力と直線的なアークとを示し、後に、乱流および電極の周りの「ガスポケット」の集合が顕著に少なく、高い可視出力を有する放電へと変化した、ランプ15mmVIA(図19c)においてさらにより明確である。ランプ設計VIは、減らされたランプ充填物用いて設計されているため、15mmランプおよび18mmランプの両方において同じ応答を示し、それは、ランプ充填物の量、特にヨウ化物の貢献を減らすことにより、UV出力が増加する可能性の高いことを示唆する。
●考察
Hgの同等物と比較して、最大で凡そ1/10の殺菌出力を生じ、大部分が、特に電極の近くにおいて不規則な特性を有するランプアークを発生させた、設計の段階1、2、および3からの結果全体を考慮すると、設計の概要が、生産の準備からはほど遠いことは明確である。しかしながら、同研究は、現在の状況におけるランプ概要の重要な理論的設計特徴の検証を可能にした。さらに、プロトタイプの性能限界のもっともらしい原因も識別され、これらに対してどのように対処することができるかに関しての提案もされた。
プロトタイプのランプは全て、充填物としてHgを必要せずに、アークを発生させる持続する高圧プラズマ放電を発生させた。ランプは、所望の200nm−300nmのスペクトル範囲においてスペクトル連続帯も発生させ、全てのプロトタイプにおいてランプの物理的構造は完全に維持された。これらの調査結果は、新規であるだけでなく、高UV密度の放射線源の性能を改善するための、すべての将来のランプの重要な特性でもある。課題は、どのようにして、殺菌効率を増加させ、アーク放電を安定化させ得るかであり、両方とも、同じ根本原因を有する。
図21aおよび図21bに示されたプロトタイプの第2セットから生成されたスペクトル出力は、少ない数のスペクトルピークを有する220nm−300nmの比較的滑らかな連続帯を有しており、Turner(1994)により提示されたものに対するいくつかの類似性を示した。Turner(1994)からのデータ(およそ575nmにピークに達する)は、直接比較を行うための375nm未満では提供されない。しかしながら、連続帯における類似性は、増加した光子原子衝突がスペクトルをより低いエネルギー放射、すなわち、可視出力へと転移させる、高圧放電を反映している。したがって、スペクトル情報は、ランプ充填物の量が、最適化されたUV出力に対して多過ぎることを意味しており、これは、ランプ電圧を維持するだけでなくランプ設計VII(増量したランプ充填物を含む)と比較してより高い殺菌効率も生じる、減じられた充填物を用いたランプ設計VIにより確認された。電圧測定およびスペクトル出力の両方の意味するところは、ランプの機能性を増加するためには、ランプ充填物の減少が必要であることであり、スペクトル効率が最適化されるポイントと、結果として生じる電圧密度(すなわち、Vcm−1)とは、前へと進むこの提案されたランプの開発アプローチの最終的な機能効果を測定するための2つの重要な態様のうちの1つであろう。
重要な問題は、600℃を超える温度でのハロゲン化物の安定性であり、詳細には、TeI2の形成と分解の間の可逆反応
Figure 2019520670
が、I2からのアークの不安定性またはTeの凝集のどちらかを生じるか否かであった。ランプ充填物の推定される飽和は、気相中のTeの場合、プラズマ容量内では凝集が生じるように見られなかったこと、または凝集が生じたとしても、ランプの機能性を損傷させるほどではないことを示唆する。対照的に、I2は、アークの安定性と、結果としてプラズマのインピーダンスと、に影響を及ぼすように見られた。これは、ドーパントとしてのSbによる、より低い出力を有し、乱流アークへと移行した、ランプ設計VIおよびVIIにより支持された。これは、電極付近において乱流の増加を生じさせるSbI3からの追加のIに起因し、ランプ18mmVIIの場合、これは、アークの下側全部を拡大させた。これは、通常は、それ自体、ハロゲンサイクルの維持不能による、主要な設計上の制限であろう。しかしながら、この場合、2つの因子が、そうでないことを示唆している。第1は、ランプ充填物としてTe:Iの非化学量論比を使用しても機能的なHPプラズマである。第2は、ランプのウォームアップ段階の大部分の間における、ランプアークのほとんど理想的な特性である(表23のコメント欄7,3,4)。プラズマの形成および維持よりも、アークの安定性および出力にほとんど、または全く悪影響を及ぼさない程度までに使用されるIの減量が可能な能力が、ランプの性能の向上において重要であろう。アークは、ウォームアップ段階の間に現れ、ウォームアップの後も、減じられたIの比率および減じられた全ランプ充填物において恒久的に再現されることを意図し、目に見える乱流を生じさせず、最小の可視出力を生じさせた(図19c)。課題は、ランプが稼働中にランプの安定性および出力を妨げないように充填物の量を十分に低くしつつ、十分なハロゲン化物を添加することによりプラズマが形成できるように(すなわち、ランプがアークを発生するように)、ハロゲン化物形態において添加されるランプ充填物の量のバランスを取ることである。アークを発生させた全てのプロトタイプは、およそ1分−2分で完全稼働出力(乱流段階への移行を含まない)へと進み、これは、時間枠をHg−HPランプと同様の時間枠にし、システム設計の配分(例えば、動作/待機要件)を、現在使用されているHPランプ(例えば、中圧ランプ)のシステム設計の配分と同じにした。
現在の2つの重要な制限と、中心となる機能性のためにそれらに対処する潜在的方法とが説明されたが、しかしながら、そのような商業市場用のランプを開発することは、いくつかのさらなる開発段階を含むであろう。これは、おそらく、電気周波数の最適化を必要とし得る電気ランプドライバの最適化を含むであろうが、ほぼ確実に、より高いストライク電圧を提供する構成を必要とするであろう。ランプのストライク電圧は、ランプにアークを発生させるために必要な電圧を下げ、イオンのより一層の発生を引き起し、異なるイオン化レベルを有する二元ガス結合(Dual Gas Combination)を有する「ペニングガス」をアルゴンと置き換えて使用することにより、下げることができた。逆に、ランプインピーダンスを高めるための増加した緩衝ガス圧力の使用は、純粋にTeランプ充填物に基づく最適な圧力が、好適なVcm−1値を達成するために十分には高くない場合に、適用することができた(ストライク電圧を増加させる結果にもかかわらず)。最終的に、市場の要件に基づく設計要件を満たすランプを作製するためには、基本的なプラズマの改良に続いて、多くの繊細な設計の反復が必要であろう。
ハロゲン化物充填物をベースとするランプの作製は、それらの吸湿性に起因して、製造プロセスにおける追加の制御を必要とする。しかしながら、それらは、現在、Hgベースのランプへの添加剤として使用されているため、適切な訓練および設備により、容易に軽減されるであろう。Teは、製造のために工業的に利用可能である(この調査の場合、TeI4は、元素のTeよりも見つけることが非常に困難であったにもかかわらず)。しかしながら、高純度形態において、それらは、Hgより高価で、コストの例を挙げれば、Teは£3.78/gであり、Hgは£1.26/gであり(Teのコストは、99.9999+%の純度の500gに基づいており、Hgのコストは、99.999995%純度の250gに基づいている)、本研究との関連において、18mmIDのTeランプ(150mgのTeを必要とするランプ5)および18mmIDのHgランプ(40mgのHgを必要とするランプ)は、それぞれ、£0.57および£0.05であろう。これは、テスト時に使用された充填物の量に基づいており、この量は、推奨に従って、さらなる開発段階により、減るであろう。Teの相対的コストはHgよりかなり高いが、ランプあたりのコストは、他のそれぞれのランプ部品のコストにおける両方のランプ充填物について、非常に低い。、例えば、18mm直径のランプの例の場合の石英のコストは、£13.00である。一次充填物としてのTeの可用性およびコストは、実用的な見込みを有する。
本発明において提示された開発段階は、商業的用途のための高効率の殺菌ランプへのUV放射線のHgフリーの製造を可能にする、現時点において独特で新規のプラズマの概念を可能にするであろう。輸入品および輸出品を含めて、可視照明を含む多くの製品におけるHgの使用に対して(代替の利用できない製品、例えば、水の殺菌など、を除く)、2020年までに発表される禁止令(水銀に関する水俣条約(Minamata Convention on Mercury))は、水銀の幅広い適用を低減または除去するための、明確な環境への動機を提示している。輸入/輸出制限により生じる製造コストの潜在的増加は、環境因子と併せて、Hgフリーの代替手段と、低エネルギー密度の範囲のLEDおよびDBDの開発と、に対する必要性を高め得る。このことは、さらなる駆動力であるかどうか、またはさらなる駆動力になり得るか否かにかかわらず、概念実証のTeベースのUV放射線源の潜在的恩恵を再強調し、さらに開発される場合、産業に対して著しく広範囲に影響を与え得る。
●さらなる開発
初期研究による結論からの提案に対処するため、プロトタイプのランプのさらなるセットが作製された(9mmID、190mmのアーク長、および2mmの壁厚)。各ランプの充填物の詳細は、下記の表に示され、ランプのスペクトル出力は、以下に述べる重要な成果と共にグラフに示される。
・ランプ充填物の化学量論比1:2(Te:I)が安定的なアークおよびプラズマの形成を可能にすることの確認
・アンチモンは、安定的なアークおよびプラズマを維持しつつ、ランプ充填物のさらなる添加剤として使用され得る。
・最も効果的なランプ充填物は、テルルおよびヨウ素のみのランプ充填物であったが、これらは、将来、最適化され得る。
(表A)
Figure 2019520670
(表B)
Figure 2019520670
図22は、さらなるプロトタイプのランプの平均スペクトル出力を示し、ここで、図22aは、ランプ1およびランプ2の平均スペクトル出力を示す(Lamp1:Te:4mg;TeI4:20mg;Lamp2:Te:2mg;TeI4:10mg)。図22bは、ランプ2およびランプ3の平均スペクトル出力を示す(Lamp2:Te:2mg;TeI:10mg;Lamp3:Te:4mg;TeI:4mg)。図22cは、ランプ3およびランプ4の平均スペクトル出力を示す(Lamp3:Te:4mg;TeI:4mg;Lamp4:Te:4mg;TeI:4mg;Sb:1mg)。
図23は、作動時のランプ5を示す。
●結論
要約すると、高圧UV放電を可能にする、新規の、概念実証のための、Hgフリープラズマが生産された。プロトタイプ設計の殺菌効率は、Hgの同等物より非常に低かった。しかしながら、2つの基本的制限、すなわち、プラズマ飽和を伴い過度に負荷のかかったランプと、安定的なUV効率の放電が含むことができる量より多いヨウ素含有量と、が主要な原因であることが識別された。本研究は、望ましい電気特性および安定的なアークを生じる機能的ランププラズマを発生させると同時に、使用され得るIに対するTeの非化学量論量を、決定的に明らかにした。Hgフリー、高効率および高出力密度のランプを製造するための環境的および経済的ドライバの増加により、提示された概念実証を水事業に適用可能なランプへとさらに発展させるために、以下の推奨が提案される。
1.スペクトル出力および出力密度の両方にとって最適な充填物が製造されるまでの、Teランプ充填物を減量した様々なランプの開発
2.ポイント1と併せて、アーク安定性および殺菌効率に対して最小の影響を有しつつ、機能的プラズマを可能にする、ヨウ素含有量を減らしたさらなる様々なランプ充填物の開発
3.ポイント1および2の完了後、実用のための効率的なランプを可能にするための、ランプドライバ、緩衝ガス、および追加のドーパントの最適化
提示された結果は、UVC放射線源としての現在のHgベースのランプの可能な代替手段を示唆する。これまでの結果は、現在のHgランプ技術のおよそ1/10の効率を提供していたが、これは、Hgの使用なしに、毒性のより少ないランプ充填物により達成された。改良の次の追加のラウンドでは、ランプ効率が著しく向上することと、従来のHgランプを超えて高められ得ることと、が予想される。ランプ効率が従来のHgランプより高められた場合、寿命コスト全体ならびに直接的および間接的炭素コストにおける減少が生じるであろう。
反応装置設計の最適化(例えば、水圧式最適化、ランプの位置決めなど)を除いて、反応装置の効率は、使用中のランプの効率により決定されるであろう。提供された研究結果は心強いものであり、Hgを用いないUV放射線の発生を提供するだけでなく、3つ全ての検証プロトコルにおけるスペクトル用途にとって理想的な、240nmを超えるERによる支配的なスペクトル出力を用いたUV放射線の発生も提供する潜在力を提供する。生産の前に、さらなる開発が必要であるが、しかしながら、Hgフリーで、現在適用されている技術(例えば、ランプの幾何学的形状およびランプドライバ)内での効率向上の可能性という、ランプの独特なセールスポイントは、さらなる調査のための論拠となる。
本発明の特徴としては、
・特にUV放射線または400nm未満の放射線を発生させるための、比較的低い内部設計圧
・円筒管において安定的なアークおよびランププラズマを発生させるための、減じられた比率のヨウ素の使用
・可視発光を刺激し得る過剰なヨウ素ではなく、UV放射線の発生のための減量されたヨウ素の使用
を含む。
上記において純粋に一例として、本発明について説明されたが、本発明の範囲内において細部の変更を為すことができることは、理解されるであろう。
いずれかの請求項に現れる参照番号は、例示として付されたものであり、請求項の範囲に対していかなる制限も有するものではない。

Claims (15)

  1. オスミウム、ゲルマニウム、およびテルルのうちの少なくとも1つの一次充填物と、
    スズ、アンチモン、インジウム、タンタル、および金のうちの少なくとも1つを含む二次充填物と、
    を含む、
    ことを特徴とする無水銀高圧金属ハロゲン化物紫外線ガス放電ランプ。
  2. 前記一次ランプ充填物は、テルルであり、
    前記二次ランプ充填物は、アンチモンである、
    請求項1記載のガス放電ランプ。
  3. 前記金属ハロゲン化物のハロゲンは、
    ヨウ素、
    を含む、
    請求項1または2記載のガス放電ランプ。
  4. 前記一次ランプ充填物は、TeI2であり、
    前記二次ランプ充填物は、SbI3である、
    請求項3記載のガス放電ランプ。
  5. ヨウ素対テルルの比率は、非化学量論的であり、好ましくは、ヨウ素の含有量が減じられる、
    請求項3または4記載のガス放電ランプ。
  6. ヨウ素対テルルの前記比率は、2:1以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0未満である、
    請求項5記載のガス放電ランプ。
  7. 前記ランプの出力は、
    200nm−300nmの範囲の波長の電磁放射線、
    を含む、
    請求項1乃至6のいずれかに記載のガス放電ランプ。
  8. 前記一次ランプ充填物は、
    水銀と同様の物理特性、例えば、蒸気圧など、
    を有する、
    請求項1乃至7のいずれかに記載のガス放電ランプ。
  9. 前記一次ランプ充填物は、
    200nm−230nmより低いスペクトル線(すなわち、より高い光子エネルギー)、
    を有する、
    請求項8記載のガス放電ランプ。
  10. 前記一次ランプ充填物は、
    253.7nmより低い支配的スペクトル線、
    を有する、
    請求項8記載のガス放電ランプ。
  11. 前記二次ランプ充填物は、
    ランプの始動時温度および稼働時温度の両方において、ランプ特性に影響を及ぼさない程度の十分に好適に高い蒸気温度、
    を有する、
    請求項1乃至10のいずれかに記載のガス放電ランプ。
  12. 前記二次ランプ充填物は、
    励起において優先的に選択される、波長200nm−230nmおよび/または260nm−280nmのスペクトル線、
    を有する、
    請求項11記載のガス放電ランプ。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載のガス放電ランプにおける一次充填物および二次充填物を用いてガス放電ランプを充填する方法。
  14. 実質的に添付の図面を参照しながら本明細書において説明されるようなガス放電ランプ。
  15. 実質的に添付の図面を参照しながら本明細書において説明されるようなガス放電ランプを充填する方法。

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