JP2019517850A - 光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する量に応じて眼科用レンズのフィルタを判断する方法 - Google Patents

光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する量に応じて眼科用レンズのフィルタを判断する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズのフィルタであって前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持することができるフィルタを判断する方法に関する。本発明によると、本方法は、a)光束の変動に対する装着者の片眼又は両眼の動的感度を表現する量を判断する工程と、b)判断された表現量に応じて前記フィルタの少なくとも1つの光学特性を判断する工程とを含む。【選択図】 図9

Description

本発明は一般的には眼科光学の分野に関する。
本発明は具体的には、装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズのフィルタであって前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持することができるフィルタを判断する方法に関する。
本発明はまた、この方法によって判断される眼科用レンズのフィルタに関する。
本発明は最後に、このようなフィルタを備えた眼科用レンズに関する。
フィルタを備えた1つ又は複数の眼科用レンズが眼鏡装着者へ処方され得るようにする解決策が存在する。
例えば、治療フィルタの分野では、装着者の病理(白内障、黄斑変性症、糖尿病性網膜症など)に応じて様々なフィルタ又はフィルタの様々なタイプを装着者へ提案することが可能である。
1つ又は複数のフィルタは通常、フィルタを備えた様々な眼科用レンズを装着者に試し、最大の改善を提供する1つ又は複数のフィルタだけを保持することにより、主観試験により極経験的に判断される(例えば、Rosenblum et al.,“Spectral filtersin low−vision correction”,Ophthalmic Physiol.Opt.20(4),pp.335−341,2000を参照)。
病理に応じてコントラストの視覚が低減され得る及び/又は眩しさが改善され得るようにするこのようなフィルタが、例えばレンズのそのCPF範囲内で眼科研究所Verbalにより提案される(http://www.verbal.fr/fr/optique−basse−vision)。
装着者の色覚の欠陥が補正され得るようにする解決策も存在する。国際公開第2001/057583号パンフレットは、例えば装着者のスペクトル応答が判断され、正常眼の視覚に近い色覚を再設定するフィルタが製造される方法について説明している。
フィルタを判断するこれらの方法は、次のいずれかに基づく:
− 主観的であり、フィルタの特性の選択が最適化され得るようにしない手順又は、
− 客観的であるが色覚の改善に限定された手順。
フィルタの判断中、装着者は、考慮しなければならない複数の判定基準(様々な輝度環境、関連視覚的要件、審美性など)間の妥協に頻繁に直面する。
したがって、これらの既知の判断方法は、装着者の眼の前に置かれることを目的としたフィルタを判断するために、恐らく動的である輝度環境の特性に対する被検者の感度を客観的に考慮することを可能にしない。
さらに、これらの既知の判断方法は、光束に対する被験者の動的感度、すなわち、光束の変動に対する装着者の眼のより大きな又は小さな適応性が考慮され得るようにしない。
従来技術の前述の欠点を是正するために、本発明は、装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズのフィルタを判断する方法であって、前記フィルタは前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持することができる方法を提案する。本方法は、
a)光束の変動に対する装着者の片眼又は両目の動的感度を表現する量を判断する工程と、
b)判断された表現量に応じて前記フィルタの少なくとも1つの光学特性を判断する工程とを含む。
したがって、本発明による方法によって、光束の変動に対する装着者の片眼又は両眼の動的感度は、所与のタスク中に装着者の視覚特性及び/又は視覚的快適性を最適化するようにフィルタの少なくとも1つの光学特性をパラメタータ化するために客観的又は主観的に判断される。フィルタはこうして装着者用に個人化される。
動的感度により本明細書で意味するものは、例えば0〜1,000lux内の初期輝度の例えば0.1〜60秒内の時間間隔内の少なくとも10luxの輝度の増加又は低下を表現する知覚された光束の変化へ適応する片眼又は両眼の能力である。
光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する量は、光束の変動に応じた装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性の進化を表現する。
光束のこの変動は、時間に伴う光束の強度の修正又は波長スペクトルの修正に、又はさらには光束の空間的修正(例えば光源の急速な動き)に対応し得る。
この視覚特性及び視覚的快適性は、光束に対する装着者の不十分な動的感度と、同時にフィルタのまさに特性とにより制限され得る。
装着者により必要とされる視覚的精度と光束の変動へ適応する装着者の能力とに応じて、フィルタのパラメータは特に適応化されることになる。
本発明の態様の1つによると、光束の変動は、
− 装着者が所与のタスク中に晒される光束の「実際の」変動(換言すれば、装着者がある視作業を行う際に居ることになる周囲輝度環境の特性である特性光束(characteristic light flux))又は、
− 光束の「人為的」変動(装着者が晒される光束を少なくとも部分的に再生するということと、装着者に視覚的不快感を引き起こす又は視覚特性を失わせる少なくとも1つの光源を表現するということとの意味で)とのいずれかに対応する。
当然、工程a)において、光束の変動に対する装着者の片眼又は両眼の動的感度を表現する複数の量を、工程b)において、前記フィルタの前記光学特性を判断するためにこれらの表現量の組み合わせを考慮することとが想定され得る。
本発明の第1の態様によると、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する量を判断する前記工程a)は、
a1)装着者を光束の前記変動に晒す工程と、
a2)光束のこの変動に対する眼の適応に関係する量を測定する工程であって、光束の前記変動に晒される装着者に対して行われる、工程とを含む。
装着者を光束の変動へ晒す工程は、装着者がある視作業を行う傾向がある輝度環境内への装着者の配置、又は、装着者の現実の状況を可能な限り厳密に再生するように制御される特性光束によるこの輝度環境の少なくとも部分的再生のいずれかに対応する。
解剖学的及び生理的に、装着者の眼の複数の構成要素は光束の変動の管理中に相互作用する。適切なフィルタを判断するために、装着者の眼の生理的特性及び/又は光束のこの変動に対処する眼に関係する構造のすべてを考慮すること(多重パラメトリック分析)が役立つ。この眼の能力又は脆弱性に応じて、判断されたフィルタは、眼の所与の状態に関し最適に又は適切に管理されない光変動の成分を前記眼から取り除く必要がある。
分光器、光度計など一組のセンサを使用することにより光束の前記変動を特徴付けて、光源の光学的及び測光特性が装着者の環境内で測定され得るようにすることが役立つということがさらに理解されることになる。
光学シミュレーション又は光学計算により光束の変動の特性を判断することも可能である。
好適には、工程a1)は光束の様々な初期強度に対して反復される。
工程a2)において、光束の変動に晒される装着者の一方又は両方の眼に関係する測定が行われる。
いくつかの実施形態では、光束の前記変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する量は、以下の量の少なくとも1つから選択される:
− 装着者の客観的生理学的測定量、
− 装着者の客観的物理的測定量、
− 装着者の知覚又は表現に関係する主観的測定量。
装着者の「客観的生理学的測定量」により、意味するものは、眼球系の構成要素又はこの系に関係する構造の完全性及び動作に関係する少なくとも1つのパラメータ又は少なくとも1つの特性の測定に関する任意の値である。このような表現量の選択は、光束の特性のすべて又はいくつかを処理するための眼又は関連要素の生理的能力が評価され得るようにする。この解析は、装着者が光束を自然に管理することができない条件又は状況が識別され得るようにする。次に、フィルタの処方箋は、視覚及び/又は視覚的快適性の関連損失が補償され得るようにする。
装着者の「客観的物理的測定量」により、意味するものは、光学的測定及び/又は光度測定を介した、構造及び眼球機能の状態又は関連構造に特徴的な少なくとも1つのパラメータの測定に関する任意の値である。物理的計器の追加は、眼球又は関連構造の構成要素が推論的に特徴付けられ定量化され得るようにする。このような表現量の選択は、眩しさ処理に関連して1つ又は複数の眼球又は関連構造の能力及び性能を物理的測定を介し定量化することを可能にする。考察される構造及び得られた結果に応じて、フィルタの特性は、当該眼球及び関連構造の脆弱性/脆弱性群に応じて快適性及び/又は視覚特性を最適化するために異なるやり方で適応化されることになる。
装着者の「知覚又は表現に関係する主観的測定量」により、意味するものは、視覚的に知覚又は経験したものを装着者に表現させる質問表を介し、質問表又は行われた試験に関係する質問のいずれかに応じて装着者により表現されるすべての応答である。このような表現量の選択は、装着者により経験され表現された視覚特性及び/又は視覚的不快感が主観的に判断され得るようにする。この評価は、装着者が最適視覚特性及び/又は最適快適性を得る条件又は状況及びまた不快感の条件及び視覚特性の損失が規定され得るようにする。
より具体的には、本発明による方法の実施形態のいくつかの態様によると、
− 工程a1)において、装着者は第1の暴露段階中に所定の光束に晒され、次に、装着者は暗闇第2段階中に暗闇に置かれ、そして工程a2)において、平均感度が、所定の感度値を取り戻すために上記第2段階の開始後の所定の期間中に及び/又は装着者の眼の光に対する感度に必要な時間に対応する暗闇への適応の時間中に測定される、及び/又は
− 工程a2)において、時間に伴う瞳孔のサイズの変動は、工程a1)の光束の少なくとも前記変動中に判断される。
暗闇への戻りの工程a2)中に時間に伴う瞳孔のサイズの変動を判断することも可能である。
本発明による方法の第2の態様によると、特性光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する量を判断する前記工程a)は、
a3)光束の前記変動に対する装着者の感度が評価され得るように装着者を質問表へ晒す工程と、
a4)前記質問表に対する装着者の応答を収集する工程とを含む。
したがって、この質問表は例えば、直面している又は直面することになるとともに視覚的不快感又は視覚特性の損失が報告される光束の変動の様々な特性について装着者に尋ねられる1つ又は複数の質問を含む。
本発明による方法のいくつかの態様によると、工程a)において、光束の変動は、少なくとも:
− 前記光束の強度の時間的及び/又は空間的変動及び/又は、
− 前記光束のスペクトルの時間的及び/又は空間的変動及び/又は、
− 前記光束の空間的分布の空間の変動及び/又は、
− 前記光束の角度分布の空間の変動を含む。
光束が1つ又は複数の光源により生成される場合、前記特性光束の空間的分布は、例えば1つ又は複数の源(点光源、分散光源)の空間的広がりのデータムに対応する。その一部分の角度分布は、例えば角度放射パターン(平行/指向性源、無指向性源など)のデータムに対応する。
本発明による処理のいくつかの態様によると、
− 光束の強度の時間的変動は、所与の時間的変動プロファイル、及び/又は所与の時間的変動速度、及び/又は所与の変動振幅、及び/又は所与の初期及び/又は最終光束強度により実現され、
− 工程a)において、装着者は、様々な所与の時間的変動プロファイル、及び/又は様々な所与の時間的変動速度、及び/又は様々な所与の変動振幅及び/又は様々な所与の初期及び/又は最終光束強度を有する光束の強度の様々な時間的変動に晒される。
本発明による処理の他の態様によると、
− 工程b)において、フィルタの前記少なくとも1つの所定の光学特性は、以下のものから構成される:
− 前記フィルタの吸収及び/又は透過及び/又は反射及び/又は遮断度、
− 前記フィルタのスペクトル応答、
− 前記眼科用レンズ上のこれらの特性の空間的分布、
− エレクトロクロミック又はフォトクロミック特性の有無及びこれらの特性の特徴。
フィルタの遮断度は、例えば規格ISO8980−3:2003「透過度仕様及び試験法」に記載の方法を使用することにより測定され得る。
フィルタのスペクトル応答のその一部は、例えば標準D65光源を使用する分光器により測定される反射度R(λ)又は透過度T(λ)に対応し得る。
1つの特定実施形態では、フィルタの光学特性はまた、光束の指標及び/又は装着者が活動時に付される視覚的必要性に応じて判断される。
本発明のいくつかの有利な特徴によると、
− 工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、装着者の眼の動的感度を表現する量、すなわち工程a)において判断された量が光束の強度の正変動に対する低い適応能力を示すので、それだけ低いと判断され、
− 工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、装着者の眼の動的感度を表現する量、すなわち工程a)において判断された量が光束の強度の負変動に対する低い適応能力を示すので、それだけ高いと判断され、
− 工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、光束の強度の正変動及び負変動に対する装着者の動的感度を考慮しながら判断され、
− 工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、光束の変動の装着者の快適性閾値速度及び/又は光束の変動中に装着者により知覚される光強度の快適性閾値を含み、そして工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、光束の変動の装着者のこの快適性閾値速度及び/又は光束の変動中に装着者により知覚される光強度のこの快適性閾値を考慮しながら判断され、
− フィルタは、フィルタが少なくとも1つの波長における少なくとも2つの異なるレベルに対応する明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、そして工程b)において、前記明状態及び暗状態の少なくとも一方の透過レベルは、光束の変動に対する装着者の動的感度に応じて、すなわち工程a)において判断されたこの動的感度を表現する量に応じて判断され、
− フィルタは、フィルタが少なくとも1つの波長における少なくとも2つの異なるレベルに対応する明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、そして工程b)において、明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移るのに必要な時間は、装着者の眼の動的感度を表現する量、すなわち工程a)において判断された量が光束の強度の負変動に対する低い適応能力を示すので、それだけ短いと判断される。
特に、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、この光束の変動に対する眼の適応時間に対応する。これは特に、光束の強度の低下後の眼の特性の回復時間又は光束の強度の増加後の瞳孔の回復待ち時間の問題であり、これについては以下にさらに詳細に説明する。
光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量はまた、視覚特性及び/又は視覚的快適性の低下が観測される光レベルの測定に対応し得る。
本発明による方法の他の有利な特徴によると、
− フィルタは、フィルタが少なくとも1つの波長における少なくとも2つの異なるレベルに対応する明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、装着者の快適性閾値速度及び/又は光束の変動の快適性閾値の変動に対応し、そして工程b)において、明状態と暗状態間の透過度の差、及び/又はこれらの2つの状態間の移行の時間、及び/又はフィルタの明状態及び暗状態の一方から次の状態への移行の速度は、この快適性閾値速度及び/又は快適性閾値のこの変動に応じて判断され、
− フィルタは、フィルタが少なくとも1つの波長における少なくとも2つの異なるレベルに対応する明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、光束の変動中に装着者により知覚される光強度の快適性閾値に対応し、そして工程b)において、フィルタの明状態及び/又は暗状態の透過レベルは、この快適性閾値に応じて判断される。
先に想定されたフィルタのタイプが何であろうと、フィルタの光学的透過度又はフィルタの明状態又は暗状態の一方の透過レベルは、好適には少なくとも1つの所与の波長において、及び好適には少なくとも1つの所与の波長間隔で判断される。
同様に、フィルタの光学的透過度又はフィルタの明状態又は暗状態の一方の透過レベルは、フィルタの少なくとも1つの所与の空間的区域内で判断される。
フィルタの前記空間的区域は;例えば上側又は下側周辺又は中央区域;近方視、遠方視又は中間視区域;装着者の凝視方向を中心とする区域であり得る。
本発明による方法のいくつかの態様によると、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、以下のパラメータの少なくとも1つを考慮しながら判断される:
− 装着者の過去、現在及び/又は将来の光暴露習慣に関係するパラメータ:例えば、光束の変動前に眼が受ける平均初期照度、行われる活動/職業、季節、地理的位置、自然又は人工光、暴露の期間など、
− 装着者の光束に対する静的感度に関係するパラメータ:装着者の「光に対する感度」により、意味するものは、一時的又は連続的光束又は刺激に対する任意の比較的強くかつ長引く応答、又は快適性又は視覚特性の修正である、
− 光束の強度及び/又はスペクトルの空間的及び/又は時間的変動の振幅に関係するパラメータ、
− 所与の輝度条件及び/又は光度変動条件下の装着者の視覚特性に関係する主観的パラメータ、
− 所与の輝度条件及び/又は光度変動条件下の視覚的快適性に関係する主観的パラメータ、
− 装着者の年齢に関係するパラメータ、
− サングラスの使用に関係するパラメータ、
− 装着者の眼の眼内散乱係数に関係するパラメータ、
− 装着者の眼の黄斑色素の密度及び/又は分布に関係するパラメータ、
− 光又は暗闇に適応するための網膜の能力に関係するパラメータ、
− 照明の停止後の瞳孔の回復待ち時間、収縮の振幅、収縮速度、及び回復時間を含む光変動に対する動的瞳孔応答に関係するパラメータ、
− 装着者の視覚的病理又は潜在的眼球異常(例えば回折欠陥又は白内障手術に伴う人工水晶体の存在)に関係するパラメータ、
− 視覚的快適性及び/又は視覚特性の変動の表現又は測定された閾値に関係するパラメータ:例えば明状態から暗状態への又はその逆の突然の移行後の視覚特性の回復時間;
− 前記工程a)は、装着者が習慣的に晒される動的光束を測定する工程を含み;
− 光束を測定する前記工程は、装着者の一対の眼鏡又は接続物とは独立した又はそれに組み込まれた光束センサを使用して行われる。
本発明の方法の別の態様によると、フィルタが装着者により使用される環境を表現する量を判断する工程がさらに行われ、前記フィルタの前記光学特性は、環境を表現するこの量を考慮しながら判断される。
環境を表現するこの量は、例えば高度、経度、緯度、国など又は年間の季節を含む地理的位置に関係する、すなわち日射、したがって室外で装着者により知覚される光束の平均強度に関係する。これはまた、室外で過ごした時間の割合を表現する量の問題であり得る。
この判断によって、エレクトロクロミックタイプのフィルタの光学特性を判断することが可能であり、これらの特性は、変動の速度、及び/又はこれらの変動の振幅、及び/又は初期及び最終強度が快適性閾値未満のままであるように、光束の変動を制限するように設定される。
本発明はまた、装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズのフィルタであって前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持するように上述の方法によって判断されるフィルタに関する。
本発明によるフィルタのいくつかの非限定的かつ有利な特徴によると、
− これは、フォトクロミック又はエレクトロクロミックタイプの能動フィルタの問題であり、
− これは、一組の所定のフィルタから選択される受動フィルタの問題であり、フィルタの判断される光学特性は、選択された所定のフィルタと同じ光学特性に近くなるようにされる。
本発明はまた、装着者の眼の前に置かれることを目的とする眼科用レンズであって上述フィルタを含む眼科用レンズに関する。
[例示的実施形態の詳細な説明]
より正確には、本発明によるフィルタを判断する4つの例示的方法を以下に詳述することが提案される。
− 例1は、黄斑色素の密度に応じたフィルタの判断に関する;
− 例2は、暗闇及び/又は光に対する網膜の適応に応じたフィルタの判断に関係する;
− 例3は、光束の変動に対する瞳孔反射に応じたフィルタの判断に関係する;
− 例4は、処方錐体(prescription cone)に応じたフィルタの判断に関係する;
− 例5は、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度が判断され得るようにする質問表に基づくフィルタの判断に関する。
以下に説明される方法は、個々に実施されてもよいし、実に組み合わせられてもよい。
添付図面を参照するとともに非限定的例により与えられる以下の例の説明は、本発明と、そしてどのように本発明が行われるかとが理解され得るようにすることになる。
例2における光束の変動後の最初の5分間の装着者の眼の感度(フィルタを有する及び有しない)の時間に応じた変動の曲線を示す。 図1の曲線と同様な光束の変動後の最初の30分間の装着者の眼の感度の時間に応じた変動の曲線を示す。 明状態(曲線CT1)及び暗状態(曲線CT2)のフォトクロミックフィルタの透過度を示す; フィルタリングされた又はフィルタリングされない眼科用レンズを備えた装着者のグループの平均感度(dB)及び平均回復時間(秒)の実験結果(結果T1又は結果R)を示す。 フィルタリングされた又はフィルタリングされない眼科用レンズを備えた装着者のグループの平均感度(dB)及び平均回復時間(秒)の実験結果(結果T1又は結果R)を示す。 その年齢に応じてグループ化された(例3)様々な装着者の視覚的快適度に応じた瞳孔の回復待ち時間を示す。 例4において判断された処方錐体の例を与える。 光束の照度変化量のプロファイルの装着者の快適性照度閾値への影響を示す。 変動前の光束の初期輝度の装着者の眼の適応自由度への影響を示す。 光束の照度の変動に応じた2人の異なる装着者の視覚的快適性指標の変動を示す。 光束の照度の変動に応じた2人の異なる装着者の視覚的快適性指標の変動を示す。 装着者が例4において晒される光束の変動の別のプロファイルを示す。 2人の異なる装着者の図12の光束の照度の変動に応じた視覚特性の回復時間の変動を示す。 2人の異なる装着者の図12の光束の照度の変動に応じた視覚特性の回復時間の変動を示す。
光束の変動は、装着者に応じて異なるやり方で視覚特性及び快適性に影響を与え得る。有利には、本発明による方法によって、フィルタは、光束の変動の場合に装着者の視覚特性及び快適性を最良に保つように判断される。
本発明は一般的には、装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズのフィルタであって前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持することができるフィルタを判断する方法に関する。本方法は、
a)光束の変動に対する装着者の片眼又は両目の動的感度を表現する量を判断する工程と、
b)判断された表現量に応じて前記フィルタの少なくとも1つの光学特性を判断する工程とを含む。
好適には、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、光束の変動に応じた装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性の進化を表現する。
以下では、光束の様々な測光特性、特には以下のことについて話す、
− 所与の方向のその光強度(カンデラ)(この方向を中心とする立体角当たりの発射された光束に対応する)、
− 所与の観察方向の立体角当たり及び見掛け面積(余弦)当たりの発射された光束に等しい光束を発射する光源の輝度(平方メートル当たりカンデラ)、
− 単位面積当たりに受光された光束に等しい照度(lux)。
一般的に、源の輝度及び光束の照度はその強度に関係し、通常は光束の強度のことを言う。強度の変動は一般的に輝度(源が同じであれば)及び照度の変動を生じるということが理解される。
光束の変動は、少なくとも:
− 前記光束の強度の時間的及び/又は空間的変動及び/又は、
− 前記光束のスペクトルの時間的及び/又は空間的変動及び/又は、
− 前記光束の空間的分布の空間の変動及び/又は、
− 前記光束の角度分布の空間の変動を含む。
光束の変動が光束の強度の変動に関係する場合、これは明らかに、強度の正変動又は負変動、すなわち光束の強度の増加又は減少の問題であり得る。
光束のすべての変動条件(特には、光束の初期及び最終強度及び光束の変動速度)がここでは考慮される。
スペクトルの時間的変動の場合、これは、変動する各波長に応じた透過値である。平均透過度は対照的に同じままであり得る。
光束の強度の時間的変動は、所与の時間的変動プロファイル、及び/又は所与の時間的変動速度、及び/又は所与の変動振幅、及び/又は所与の初期及び/又は最終光束強度により実現される。
一般的に、工程a)において、装着者は、様々な所与の時間的変動プロファイルを有する光束の強度の様々な時間的変動、及び/又は様々な所与の時間的変動速度、及び/又は様々な所与の変動振幅及び/又は様々な所与の初期光束強度に晒される。
フィルタの光学特性すなわち工程b)において判断された特性は、特に:
− フィルタの少なくとも1つの所与の空間的区域内の少なくとも1つの所与の波長におけるこのフィルタの透過度、
− フィルタの少なくとも1つの所与の空間的区域内の少なくとも1つの所与の波長におけるこのフィルタの遮断(吸収又は反射)度、
− 所与の波長(好適には所与の波長領域内の)における光の透過度の第1の値及びこの所与の波長における又はこの所定の波長領域内の光の透過度の第2の値(第1の値より小さい)に関連する少なくとも2つの暗及び明状態を有するエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有するフィルタの明状態及び暗状態の一方から次の状態への移行の時間、を含む。
所与の波長におけるフィルタの透過度T(λ)は、フィルタにより透過された光束の強度Iとフィルタに入射する光束の強度Iとの比により与えられる:
T(λ)=I/I
この透過度は0又は1の間に含まれる又は百分率で表現される。
この透過度は、吸収フィルタ又は干渉フィルタを介した光束の通過から同様に良好に生じ得る。
吸収フィルタでは、フィルタの吸収度A(λ)は(1−フィルタの透過度)に等しい:
A(λ)=1−T(λ)すなわちA(λ)=100%−T(λ)%。
干渉フィルタでは、フィルタの反射度R(λ)は(1−フィルタの透過度)に等しい。
以下では、特記しない限り、用語「透過度」又は「吸収度」は、当該入射光束のスペクトル全体にわたるフィルタの平均透過度又は吸収度、又は当該波長間隔において様々な値を有する吸収スペクトルの透過度又は吸収度のいずれかを意味するものと理解される。
以下の例について読むと明らかになるように、一般的に、工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、装着者の眼の動的感度を表現する量、すなわち工程a)において判断された量が光束の強度の増加(正変動とも呼ばれる)に対する低い適応能力を示すので、それだけ低いと判断される。
同様に、工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、装着者の眼の動的感度を表現する量、すなわち工程a)において判断された量が光束の強度の低下(負変動とも呼ばれる)に対する低い適応能力を示すので、それだけ高いと判断される。
さらに、好適には、工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、光束の強度の正変動及び負変動に対する装着者の動的感度、すなわち工程a)において判断されたこの動的感度を表現する量を考慮しながら判断される。
このとき、判断された透過値は、装着者の動的感度に応じた最適妥協点を表現する。
特に、工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、光束の変動の装着者の快適性閾値速度及び/又は光束の変動中に装着者により知覚される光強度の快適性閾値を含み得、工程b)において、このフィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長におけるフィルタの光学的透過度は、光束の変動の装着者のこの快適性閾値速度及び/又は光束の変動中に装着者により知覚される光強度のこの快適性閾値を考慮しながら判断される。
フィルタが、少なくとも1つの波長における少なくとも2つの異なるレベルに対応する明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有する場合、並びに、工程b)において、光束の変動に対する装着者の動的感度に応じた前記暗及び明状態の少なくとも一方の透過レベル、及び/又は明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移るのに必要な時間は、装着者の眼の動的感度を表現する量、すなわち工程a)において判断された量が光束の強度の負変動に対する低い適応能力を示すので、それだけ短いと判断される。
一般的に、装着者が光強度の変動の増加によりより悩まされれば、暗状態への急速な移行を有するフォトクロミックフィルタが、そのために提案されることになる。装着者が光強度の変動の低下によりより悩まされれば、明状態への急速な移行を有するフォトクロミックフィルタが、そのために提案されることになる。
例えば、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、この光束の変動に対する眼の適応時間に対応する(例2及び3を参照)。
この適応時間は、例えば眼の性能の回復時間又は瞳孔の回復待ち時間である。
回復時間は、初期快適性及び/又は性能を取り戻すために眼に必要な時間である。回復時間は、暗闇へ戻る際に、光束の変動後に又は網膜を飽和させる照度レベル後に光受容体の色素を再生成するために必要な時間に対応する。
瞳孔の回復待ち時間(又は応答時間)は、光束の強度の増加又は低下両方の場合における光束の変化に続いて瞳孔がそのサイズを適応化するために必要な時間である。
別の例(例4を参照)によると、フィルタはエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、装着者の快適性閾値速度及び/又は光束の変動の快適性閾値の変動に対応し、そして工程b)において、明状態と暗状態間の透過度の差、及び/又はこれらの2つの状態間の移行の時間、及び/又はフィルタの明状態及び暗状態の一方から次の状態への移行の速度が、この快適性閾値速度及び/又は快適性閾値のこの変動に応じて判断される。
代替的に、工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、光束の変動中に装着者により知覚される光強度の快適性閾値に対応し、そして工程b)において、フィルタの明状態及び/又は暗状態の透過レベルが、この快適性閾値に応じて判断される(図4参照)。
一般的に、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する前記量は、以下のパラメータの少なくとも1つを考慮しながら判断される:
− 装着者の過去、現在及び/又は将来の光暴露習慣に関係するパラメータ:例えば、光束の変動前に眼が受ける平均初期照度、行われる活動/職業、季節、地理的位置、自然又は人工光、暴露の期間など、
− 光束に対する装着者の静的感度に関係するパラメータ、
− 光束の強度及び/又はスペクトルの空間的及び/又は時間的変動の振幅に関係するパラメータ、
− 所与の輝度条件及び/又は光度変動条件下の装着者の視覚特性に関係する主観的パラメータ、
− 所与の輝度条件及び/又は光度変動条件下の視覚的快適性に関係する主観的パラメータ、
− 装着者の年齢に関係するパラメータ、
− サングラスの使用に関係するパラメータ、
− 装着者の眼の黄斑色素の密度及び/又は分布に関係するパラメータ、
− 光又は暗闇に適応するための網膜の能力に関係するパラメータ、
− 輝度変動に対する動的瞳孔応答及び/又は別の瞳孔特性に関係するパラメータ、
− 装着者が有する視覚的病理又は任意の眼球異常に関係するパラメータ、
− 視覚的快適性及び/又は視覚特性の変動の表現又は測定された閾値に関係するパラメータ。
一般的に、質問表により又は測定により収集されたデータは、後続の解析工程を行うようにプログラムされた計算処理ユニットへ送信される。この計算処理ユニットは、フィルタを判断する工程b)を行う。
第1の可能性によると、計算処理ユニットは、様々な利用可能フィルタのリストを格納するメモリを保有する。フィルタの判断は、フィルタの動的感度を表現する量、すなわち工程a)において判断された量に応じて判断された光学特性に最も近い特性を有するフィルタを計算処理ユニットがリストから選択することにより行われる。
それらの特性を有するすべてのタイプの利用可能フィルタがカタログ化される。受動フィルタに関し、吸収及び/又は透過スペクトル、その偏光、及びフィルタの領域全体にわたる吸収又は透過スペクトルの空間的変動が規定される。
受動干渉フィルタに関し、フィルタへの光の入射角に応じた透過及び/又は反射スペクトルの変動もカタログ化される。
フォトクロミックフィルタに関し、一方の状態から次のものへの移行の速度、及び各明又は暗状態の吸収又は透過スペクトル又は最小及び最大平均透過度が記録される。
能動フィルタに関し、一方の状態から次の状態への移行の速度、及び吸収又は透過スペクトル、又は各明又は暗状態の最小及び最大平均透過度が、フィルタを管理(フィルタの自動制御に関係する透過度、速度、センサなどを管理)するためのセンサの輝度環境を特徴付けるためのセンサの有無、及び集積技術の特徴(電力消費、系の安定化、情報の伝達など)と同様に、記録される。
第2の可能性によると、処理ユニットは、工程b)において所望光学特性を判断し、フィルタ及び/又はこれらの精密光学特性を含むフィルタを備えた眼科用レンズの製造を命じる。
本発明はまた、一般的には、前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持するように、装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズ(上述の本方法によって判断される)のフィルタに関する。
このフィルタは、装着者の眼の前に(例えば眼鏡フレーム内に)置かれることを目的とした眼科用レンズに属する。
第1の族の方法では、装着者の眼の動的感度に関する量の判断は、装着者の同眼の生理学的又は物理的特性の客観的定量的測定に基づき行われる。
この第1の族は例1、2、及び3を含む。
[例1]
この例では、本発明によるフィルタ判断方法について説明する、ここでは、工程a)において、装着者の眼の動的感度に関する前記量は、装着者の眼内の黄斑色素の密度及び/又は分布の1つ又は複数の測定値に応じて判断される。
黄斑色素(MP:macular pigment)は網膜の黄斑区域内(網膜偏心度εの中央6°内)に位置する(Wolf−Schnurrbusch et al.,“Ethnic differences in macular pigment density and distribution”,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2007,48(8),pp.3783−3787;Bernstein PS,“The value of measurement of macular carotenoid pigment optical densities and distributions in age−related macular degeneration and other retinal disorders”,Vision Res.2010)。黄斑色素はルテインとゼアキサンチン(眼のカロテノイド)とから構成される。黄斑色素は、網膜の外側網状層内に位置し、400〜500nm好適には430〜480nm内に含まれる特定波長範囲内に含まれる光束を吸収する役割を有する。この黄斑色素はさらに、約460nmの波長において約40%の最大吸収ピークを有する。
黄斑色素の役割は、400〜500nm、好適には430〜480nmの波長の青色光により生じる光酸化の悪影響から細胞組織を保護することと、それを吸収することにより青色光の分散を低減することである。
年齢と共にこの黄斑色素の密度は低下し、したがってこの黄斑色素の集中と加齢黄斑変性症すなわち「ARMD:age−related macular degeneration」の出現の危険性との間には強い相関がある(例えば、Beatty S.et al.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2001;42:439−446を参照)。
黄斑色素の空間的分布は装着者に応じて変動し得る。この分布はトーラス状又はピーク状であり得る。第1のタイプの分布では、黄斑色素の密度は偏心度と共に徐々に低下する。時折、中央の空洞が、黄斑レベルにおける黄斑色素の空間的分布で観測される。ここで言うのはドーナツ状又はメキシカンハット分布である。
黄斑色素は、個人の視覚特性に影響を及ぼし、一方では視覚への色収差の影響が低減され得るようにし、他方では眩しさが低減され得るようにする。
最後に、黄斑色素の密度dPMの低下と、一方では視力及びコントラスト感度の低下と、そして他方では光束の急激な増加後の視覚特性の回復時間の増加との間に著しい相関が存在するということに注意されたい(Stringham et al.,“Macular pigment and visual performance under glare conditions”.Optom.Vis.Sci.2008,85(2),pp.82−88)。
装着者の眼の内部の黄斑色素の密度及び空間的分布を測定するための装置が知られている:Horus Pharma社のMPS II装置(http://www.horus−pharma.com/index.php/fr/hi−tech/mpsii)from the company,Zeiss社の“VisuCam”装置(http://www.zeiss.com/meditec/en_de/products−−−solutions/ophthalmology−optometry/retina/diagnostics/fundus−imaging/visucam−500.html)。
非特許文献(Stringham et al.,2011:“Macular Pigment and Visual Performance in Glare:Benefits for Photostress Recovery,Disability Glare,and Visual Discomfort” Investigative Ophthalmology & Visual Science September 2011,Vol.52,7406−7415 と Stringham et al.,2008 :Stringham JM,Hammond BR,“Macular pigment and visual performance under glare conditions”,Optom Vis Sci.February 2008;85(2):82−8)、及び本出願人の研究は、特に65歳を越える高齢者における黄斑色素の密度と光に対する静的感度の閾値との関係を示した。
特に、色素の密度が低くなればなるほど、光に対する感度の閾値は小さくなり、したがって光感度はより高くなる。
色素の密度は0〜1の値により表現される、値0は最小密度に対応し、値1は最高密度に対応する。最小及び最大密度は、統計的に、例えばこの被験者に対して行われるすべての研究に基づき判断される。
光に対する感度の閾値は、視覚的不快感が装着者により表明される光強度に対応する。
したがって、装着者の視覚的快適性又は不快感は、例5においてより詳細に説明されるように、例えば標準化された評価スケール上で1〜5の主観的快適性指標を使用して定量化される。したがって、特に400〜500nmの青色波長領域におけるフィルタの保護のレベル、すなわちその吸収度及び/又はその反射度は黄斑色素の密度が低い場合はより高くなければならなない。
換言すれば、工程b)において、判断されたフィルタは黄斑色素の密度が低いのでそれだけより低い透過度を有する。
さらに、この光束の強度の突然かつ大きな変化を含む光束の変動に続く視覚の回復時間もまた、装着者の眼の黄斑色素密度に関係する。
視覚の回復時間は、視力閾値又は例えばコントラストに対する感度の測定結果を介し絶対的に又は光束の変動前の眼の性能の一定割合を介し相対的にのいずれかにより、所定のレベルの視覚特性を取り戻すために眼が要した時間として定義される。
視覚の回復時間は本明細書では、光束の変動前に有した初期視覚特性を取り戻すために装着者の眼が要した時間として定義される。
装着者の眼の黄斑色素の密度が低ければ低いほど、強度の突然且つ大きな増加後のこの回復時間はより長くなる(Stringham JM,Hammond BR,“The glare hypothesis of macular pigment function”,Optom Vis Sci.,September 2007,84(9),859−64,and “Macular Pigment and Visual Performance in Glare:Benefits for Photostress Recovery,Disability Glare,and Visual Discomfort”,Investigative Ophthalmology & Visual Science September 2011,Vol.52,7406−7415)。
同様に、暗闇への適応の条件下の視覚の回復時間もまた、黄斑色素の密度の値へ関連付けられる。黄斑色素の密度が低ければ低いほど、暗闇条件下の回復時間はより増加する(Stringham JM & al.,“Macular Pigment and Visual Performance in Low−Light Conditions”,Invest Ophthalmol Vis Sci.,April 2015,56(4),2459−68)。
したがって、工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度に関する量は、黄斑色素密度の値、又はさらには光束の所与の変動後の装着者の視覚の回復時間の値として判断され得る。
第1の実施形態によると、工程a)において、フィルタを収容することを目的とした装着者の眼の黄斑色素の密度が測定される。
黄斑色素集中は、Zeiss VisuCam装置内に実装されたものなど客観的物理的自動螢光測定法によって又は実際には「ヘテロクロマティックフリッカー測光法(heterochromatic flicker photometry)」と呼ばれる主観的方法によって測定され得る(Creuzot−Garcher et al.,“Comparison of Two Methods to Measure Macular Pigment Optical Density in Healthy Subjects”,Retina 2014 IOVS,May 2014,Vol.55,No.5,pp.2941−2947)。
黄斑色素の平均密度(例えば「ヘテロクロマティックフリッカー」法などの方法を用いて得られる)又は黄斑色素の分布(例えば写真方法を用いて得られる)全体のいずれかが考慮され得る。
黄斑色素の密度及び空間的分布に応じて、工程b)においてフィルタのスペクトル応答を判断することが本発明の方法を使用することにより可能である。
特に、工程b)において、フィルタの吸収度は、波長に応じた黄斑色素の吸収曲線、すなわち、この曲線と同一であるが被験者において測定された黄斑色素の密度に応じた可変密度の吸収曲線に従うものと判断される。
好適には、フィルタは、フィルタと装着者の眼とにより形成される系が基準眼の透過度に近い透過度を有するように、判断される。「基準眼」により、意味するものは、その光受容体が有する平均感度の人間の眼である。「近い」により、意味するものは、フィルタと装着者の眼とにより形成される系のスペクトル透過度が基準眼のスペクトル透過度を中心とする所定のマージン内に含まれるということである。通常、このマージンは、基準眼のスペクトル透過度を中心として+/−15%であり得る。
換言すれば、判断されたフィルタのスペクトルは黄斑色素のスペクトルを模擬する。
フィルタの透過度は黄斑色素の密度の値に応じて判断される。
具体的には、黄斑色素の密度の値は、網膜を保護するために提供されなければならない保護度を示す。
より正確には、工程b)において、0.2未満の黄斑色素の密度に関して、フィルタは、黄斑色素の保護役割を大いに補償しなければならない。フィルタの吸収度A(λ)は、460nmの波長に対し40%の最大吸収度を有する黄斑色素のものと同一であると判断される。
0.2〜0.6内の黄斑色素の密度に関して、フィルタは、黄斑色素の密度が最適ではないので、黄斑色素の機能のいくつかを補完しなければならなない。フィルタの透過度は、黄斑色素によるそしてこの欠如に比例した吸収度の欠如を補償するために判断される。このとき、フィルタの吸収度A(λ)は関係式A(λ)=(1−d)×f(λ)により定義される、ここで、dは第1の工程a)において測定された黄斑色素密度であり、f(λ)は波長λにおける黄斑色素の吸収度である。
0.6より高い黄斑色素の密度に関して、フィルタは(例えばARMDを)防止する役割を有する。
フィルタは黄斑色素の作用を補強するために判断され、フィルタの吸収度A(λ)はまた、次の関係式により定義される:(λ)=(1−d)×f(λ)、ここで、dは第1の動作において測定された黄斑色素の密度であり、f(λ)は波長λにおける黄斑色素の吸収度である。
フィルタを適応化させるとともに、工程b)において判断されるべきフィルタのスペクトルを最適化するために、黄斑色素の網膜分布と特性光束のスペクトル特性とを考慮することも可能である。
例えば、黄斑色素の平均密度に応じた及び/又はこの色素のレチナル分布に応じた量だけフィルタの吸収度を増加するような手立てがなされ得る(前掲非特許文献Wolf−Schnurrbuschらを参照)。
黄斑色素の分布は、必ずしも中心窩を中心とするガウス関数だとは限らない。黄斑色素の分布は、異なる形状(「メキシカンハット」形又は「ドーナツ」形と呼ばれるもの)を有し得る。フィルタは、この黄斑色素の分布を精一杯補完するつもりならばこれを考慮しなければならない。
黄斑色素の空間的分布に整合するようにその表面全体にわたる非一様吸収度をフィルタが有するような手立てもなされ得る。
有利には、フィルタは、その吸収度が非一様であるだけでなくその表面全体にわたって実時間で調整される適応型フィルタになり、吸収度は例えば凝視追跡装置により自動的に制御される。
フィルタの吸収度を特性光束のスペクトル内容へ適応させることも可能である。この適応は静的であっても動的であってもよい。
第2の実施形態によると、工程a)において、フィルタを収容することを目的とした装着者の眼の黄斑色素の密度が測定され、光束の所与の変動に対する装着者の視覚の回復時間は、推定により所与の変動から導出される、又は、装着者の視覚の前記回復時間は直接測定される。
第1のケースでは、回復時間の推定は例えば、この回復時間の値と様々な装着者に対して測定された黄斑色素の密度の値とをグループ化した所定のデータを含むデータベースに応じて行われる。
装着者の視覚の回復時間は、以下に詳細に説明される明暗順応(adaptometric)感度の試験を介し実験的に判断され得る(照度の負変動については例2と4を参照されたい、同様な試験が照度の正変動に対して想定され得る)。
工程b)において、フィルタは光束のこのような変動後の装着者の回復能力を改善するように、すなわち装着者の視覚の回復時間を低減するように判断される。
具体的には、工程b)において、異なる透過度ペクトルを有する(例えば異なる所与の波長領域に対して低透過度を有する)様々なフィルタを装着者に対し試験するための手立てがなされる。
この波長領域は、例えば黄斑色素の最大吸収度の波長を中心とする。
次に、工程b)において、装着者の視覚の回復時間は、前記明暗順応感度試験によって試験フィルタ毎に光束の所与の変動後に評価される。
フィルタは、工程b)において測定された回復時間が工程a)において判断された回復時間より短い試験フィルタのうちの1つを選択することにより、又は工程b)において測定された回復時間が工程a)において判断された回復時間より短い試験フィルタの特性に応じて、選択されたフィルタの特性を判断することにより、判断される。
したがって、このフィルタにより、装着者は、光束の変動中に視覚特性をほとんど失わず、そして自身の視覚的快適性を最適化することになる。
[例2]
この例では、本発明によるフィルタ判断方法について説明する。ここでは、工程a)において、装着者の眼の動的感度に関する前記量は、光束の強度の負変動後の装着者の視覚の回復時間の1つ又は複数の測定値に応じて判断される。この目的を達成するために、明暗順応感度試験が行われる。
このとき、工程a)において以下の副工程を行うための手立てがなされる:
a1)装着者を光束の前記変動へ晒す工程、
a2)光束のこの変動に対する眼の適応に関係する量を測定する工程であって、光束の前記変動に晒される装着者に対して行われる、工程。
工程a1)において、装着者は第1の暴露段階中に非零の所定の強度の光束に晒され、次に、装着者はより低い強度の(例えば零(暗闇)に近い)光束へ晒される。
この高い光束から低い光束への移行は、例えば高輝度の室外環境からはるかに暗い環境(トンネル内部又はトンネル内)への移行を模擬する。
工程a2)において、装着者の片眼又は両眼の視覚特性に特徴的な量が測定される。
より正確には、工程a2)において、装着者の片眼又は両眼の視覚特性に特徴的な平均量は、第2段階の開始後の所定の期間中に、及び/又は所定の値を取り戻すために自身の視覚特性に特徴的な前記量に必要な装着者の視覚の回復時間に対応する暗闇への適応時間中に測定される。
この所定の値は光束の変動前のその初期値に応じて予め判断されることが好ましい。
次に、装着者の絶対的網膜感度を表現するパラメータの時間的進化が自動試験を介しプロットされる。この自動試験では、低い初期輝度の発光刺激は、網膜が適応するにつれその輝度を低下する。自動プログラムは、暗闇への眼の適応中に感度閾値の進化を追跡するために階段戦略を使用する。
偽陽性試験が試験内にランダムに含まれ、それらの結果は測定の信頼性の指標を与える。
より正確には、ここでは、工程a1)において、装着者は、装着者の眼において500〜1,000luxの照度又は100〜300Cd/mの輝度を生じる白色可視光束(例えば昼白色発光ダイオード(LED)スペクトル)へ5分間晒される。この光は全体野(Ganzfeld)条件を満足する、すなわち視野を完全に満たすように分散される。この第1段階中、装着者は自身の視野の中心点を凝視する。
変形形態として、工程a1)において、装着者は、その期間が1秒以下である閃光へ晒される。
一般的に、工程a1)における発光刺激の輝度、スペクトル、及び継続期間は、特に現実的光暴露条件に可能な限り近くなるために、適応化可能である。
次に、装着者は10〜30分間暗闇適応段階へ晒される。
この第2の段階中、装着者は、装着者の前に置かれたスクリーン又はドームの中心において提示される角度10°の円形発光刺激を知覚すると直ちに、3秒毎に100〜300ミリ秒間現れるスクイーズバルブ(squeeze bulb)又はボタンに押すように要求される。
刺激の輝度は、30dB(0.318cd/mに対応する)と80dB(0.318×10^−5cd/mに対応する)間で1dBの増分で変化する。0dBレベルは318cd/m(ゴールドマン視野計の基準)へ設定される。輝度は、本明細書ではこの基準値(このとき10×log(0.318/318)=30dBに対応する0.318cd/m)に対するdBで表現される。
装着者が刺激を知覚すると、刺激の輝度は1dBの増分だけ低下する。
試験の所与の時点における装着者により検出されるdBの輝度値はこの時点の装着者の感度値である。輝度値は、時間に伴うこの感度の進化を追跡するように図1にプロットされている。
装着者が刺激を知覚せず、したがって割り振り時間中にスクイーズバルブ又はボタンを押さなければ、刺激の輝度は若干増加する。暗闇に対する適応の段階の期間中、患者の眼は、患者が眠り込まないということ又は患者が刺激上の中心固視を維持していないということを確実にするために赤外線カメラにより監視される。
工程a2)の終わりに、装着者により検出されたdBの感度Sの時間的進化がプロットされる。図1と図2に示されるこの明暗順応曲線は2つの段階を含むが、その第1段階だけが図1に示される。
初期の第1段階は、昼間視覚に関与する錐状光受容体の活動に対応する。この段階は、6分未満続き、通常は5分に設定される、例えば次の非特許文献を参照されたい:“Comparison of AdaptRx and Goldmann−Weekers Dark Adaptometers”,John G.Edwards1,David A.Quillen,M.D.2,Laura Walter2,D.Alfred Owens,Ph.D.3 and Gregory R.Jackson,Ph.D.2;“A short−duration dark adaptation protocol for assessment of age−related maculopathy”,Gregory R.Jackson & John G.Edwards,J ocul biol dis inform(2008)1:7−11;“Measurement Error of the AdaptRx Dark Adaptometer for Healthy Adults and AMD Patients”,Laura E.Walter,C.O.A.1,David A.Quillen,M.D.1,John G.Edwards,M.S.,M.B.A.2,D.Alfred Owens,Ph.D.3 & Gregory R.Jackson,Ph.D.1。この第1段階は対数的進化に従う。
この第1段階には、明らかにより低い閾値に到達し棒状受容体に起因する図2に示すより遅い段階が後に続く。
図2では、第1段階は約0分〜5分間に記録された曲線に対応し、一方第2の段階は5〜30分間に記録された曲線に対応する。この図に示された曲線は、本明細書ではMetrovision社の市販の明暗順応装置MonPack ONEにより得られた。
暗闇内の段階の最初の5分にわたる錐状光受容体の明暗順応感度の解析は、時間に伴う光束の大きな低下に対する装着者の眼の感度の非常に良い指標である。
この解析は、暗闇内への移行後のこれら最初の5分(=300秒)間の装着者の眼の統合感度(dB)を定義するために、最大5分(明暗順応曲線の第1段階)までのdBの感度の曲線下の面積を計算することからなる。
図1は、最初の5分、すなわち300秒間にわたる暗闇内への移行後に経過した時間に応じた装着者の眼のdBの感度の時間的進化を示す。
この図では、2組の感度データが示される。第1の組は、380〜780nmの可視光におけるその視覚的透過度が90%に等しい基準フィルタ(フィルタが無いことと等価である)を備えた装着者について測定されたダイヤモンド形状の点P1に対応する。
第2の組のデータは、フィルタT1を備えた装着者について測定された四角形状の点P2に対応する。このフィルタT1はフォトクロミック特性を有するフィルタの明状態に対応する。この明状態では、フィルタT1は、400〜455nmの青−紫光の40%を遮断し、可視光の他の波長を通過させる。
したがって、その透過度は400〜455nmで50%である。
全可視光にわたるその視覚的透過度は、フィルタリングが選択的であるので380〜780nm間で85〜90%である。
フィルタの視覚的透過度は、基準D65の太陽光源と眼の明所視感度とにより重み付けられた光学フィルタの透過度として本明細書では定義される(ISO13666:1998年標準規格−ISO8980−3標準規格)。
波長に応じたこのフィルタの透過度をここでは図3に示す。この図では、曲線CT1がフィルタの明状態の波長に応じた透過度に対応し、曲線CT2はこのフィルタの暗状態の波長に応じた透過度に対応する。後者の曲線は一例として与えられる。
各データセットの対数回帰が図1の曲線C1とC2を与える。
数式S=5.2267Ln(t)+31.748の曲線C1が、相関係数R=0.8951を有する基準フィルタによる測定結果に対応する。
数式S=3.4118Ln(t)+29.459の曲線C2が、相関係数R=0.9679を有するフィルタT1による測定結果に対応する。
これらの曲線に基づき、各フィルタを備えた装着者の視覚の回復時間(装着者の眼が0.318×10−2cd/mの発光刺激の検出に対応する50dBに等しい感度を取り戻すために必要な時間として本明細書では定義される)を導出することが可能である。
ここで、この回復時間は、基準フィルタでは210秒に等しく、フィルタT1ではわずか51秒に等しい(図1)。
したがって、回復時間の159秒の改善Δt、すなわち明基準フィルタ(フィルタが無いことと等価)に対し76%の改善が観測される。
さらに、暗闇内への移行後の300秒すなわち5分では、フィルタT1を有する装着者の眼の感度は、基準フィルタを有する装着者の眼の感度よりΔS=8dBだけ高い(図1)。
一般的に、工程b)において、暗闇内への移行後5分のdBの感度が低ければ低いほど、又は50dBに等しい感度を取り戻すための眼の回復時間が長ければ長いほど、判断されるフィルタは、可視光全体の透過度又は青色のスペクトル区域内のいずれかをより大きくフィルタリングする必要がある。
換言すれば、可視光スペクトル(380〜780nm)全体にわたって平均化された又は青−紫色のスペクトル区域(400〜455nm)全体にわたって平均化されたかのいずれかのフィルタの透過度は、暗闇内への移行後5分のdBの感度が低いので、又は50dBに等しい感度を取り戻すための眼の回復時間が長いので、それだけより低い。
この例は、白内障手術後に白色人工水晶体を備えた偽水晶体装着者に特に好適である。
具体的には、これらの装着者は非−偽水晶体装着者よりはるかに不快な眩しさを有する。本出願人による研究は特に、光敏感偽水晶体装着者の光感度閾値が平均では、健康な高齢に該当しかつ光敏感な被験者の光感度閾値の5倍低いということを示した。ここで、上記閾値はいずれの場合も同じ条件下で判断された。光感度閾値は、装着者が耐えることができる最大光束の照度又は強度値に対応する。加えて、非偽水晶体被験者より著しく低い光感度閾値を有する偽水晶体被験者は、光に対する第1の不快感の下側閾値(すなわち被験者が不快感無しに受けることができる最大光束照度又は強度値に対応する)を有する。
偽水晶体被験者はまた、光束の変動中により長い回復時間を有する。
特に、偽水晶体被験者は可視光の短い波長(青−紫色)に非常に敏感である。これは、可視光の短い波長が、青−紫色のかなりの部分をフィルタリングした元の水晶体によるよりも人工水晶体により網膜へより容易に伝達されるためである。
これらの装着者については、明るく照らされた室外環境における輝度不快感を制限するために、400〜455nmの青−紫色の波長を遮断し、これらの波長における光束の少なくとも20%(好適には40〜50%)を遮断し、そしてフォトクロミックフィルタを任意選択的に伴うフィルタが判断されることになる。したがって、400〜455nmの波長のこのフィルタの透過度は、好適には80%未満、好適には60%未満、好適には50%未満である。
これら装着者に好適なフィルタの例は、明状態において400〜455nmの波長に対して55%の透過度(前述のフィルタT1と等価)及び暗状態におけるこれらの波長に対して10%の透過度(例えば図3の曲線CT2のものと同様な透過度を有するフィルタT2に対応する)を有する例えばエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有する眼科用レンズである。
この眼科用レンズを備えた16人の偽水晶体装着者に対し本出願人により行われた研究は「後者を備えた装着者が、眼科用レンズ無し(前述の基準フィルタRの存在と等価なケース)での暗闇への適応性に対し暗闇へのより良好な適応性を示した」ということを示した。
特に、回復時間の著しい低下が観測された、すなわち、眼科用レンズにより眩しさからのより速い回復が実証された(今回は90秒より大きい低減)。
より正確には、5分における生の感度は、平均で、眼科用レンズ無しで48dB(47〜49dBの95%信頼区間)対眼科用レンズ有りで51dB(50〜52dBの95%信頼区間)である。
状態T1におけるこのレンズにより、レンズ無しと比較して+2dBの平均感度差ΔS(すなわち5分の終わりに錐体の感度の平均改善6%)が得られる。
これらの結果は下表1に要約される。ここでは、列Rが眼科用レンズの無い基準ケースに対応し、列T1は装着者が眼科用レンズを備えたケースに対応する。
Figure 2019517850
これらはまた、図4にグラフィック的に示され、正方形点が平均値に対応し、それを囲む矩形は平均値+/−標準偏差間に延び、バーが平均値+/−95%信頼区間間に延びる。
50dBの感度が取り戻され得るようにする回復時間は、平均で、眼科用レンズ無しで274秒(171〜376秒の95%信頼区間(CI))対眼科用レンズ有りで173秒(74〜271秒の95%信頼区間CI)である。状態T1におけるレンズにより、レンズ無し状態に対し101秒の平均回復時間の減少、すなわち50dB感度回復時間の37%の平均改善が得られる。
これらの結果は下表2に要約される、ここでは、列Rが眼科用レンズの無い基準ケースに対応し、列T1は装着者が眼科用レンズを備えたケースに対応する。
Figure 2019517850
これらはまた、図5にグラフィック的に示され、正方形点は平均値に対応し、それを囲む矩形は平均値+/−標準偏差間に延び、バーが平均値+/−95%信頼区間間に延びる。
一般的に、装着者が、偽水晶体装着者であり、手術以来の光感度の増加について不平を言い、暗闇内で低い動的感度を有すれば青−紫色の波長を遮断するフォトクロミックフィルタがそれに対して提案される。フィルタのフォトクロミック特性は、透過度と明状態への移行の時間との最良の妥協点を有するように判断される。複数のフィルタが、特に装着者の光暴露プロファイルに基づき、正しい透過度とフォトクロミック特性とを判断するために上述のプロトコルにおいて互いに比較され得る。
[例3]
この例では、本発明によるフィルタ判断方法について説明する、ここでは、工程a)において、装着者の眼の動的感度に関する前記量は、装着者の眼の瞳孔の動特性に関係する。
前記量は、例えば装着者の眼の瞳孔のこの動特性の1つ又は複数の測定値に応じて判断される。
次に、工程a)において、前述の副工程a1)とa2)を行うための手立てがなされる。
工程a1)において、装着者は、第1の暴露(又は暗闇)段階中に恐らく零(暗闇の条件)又は非零である所定の強度の光束に晒され、次に、異なる強度(特にはより高い強度)の光束に晒される。
工程a2)において、装着者の片眼又は両眼の視覚特性に特徴的な量が測定される。
瞳孔の動特性は、特にそのサイズ(例えばその径)、より正確には時間に伴うこのサイズの変動に関係し、光束の変動に依存する。
より正確には、工程a2)において、時間に伴う瞳孔のサイズの変動が工程a1)の光束の前記変動中に判断される。
この目的を達成するために、装着者の眼の像が、光束の変動中にそして高捕捉周波数カメラによって前記変動後に捕捉される。この捕捉周波数は好適には100ヘルツより高い。
ここでの目的は、光源の強度、スペクトル、幾何学的形状、時間的特性(瞬間&連続)の観点で変動し得る光束の動特性に直面したときの瞳孔の動特性を評価することである。
具体的には、瞳孔は装着者の眼に入射する光束の強度に応じて収縮又は拡大する。したがって、瞳孔のサイズは光束の変動に応答して変動する。
瞳孔の特徴的連続性は、特に瞳孔の回復待ち時間、すなわち光束の変動に応答してサイズを変えるために瞳孔が要する時間に関連する。
この特徴的連続性は、暗闇への適応時間と装着者の眼の光とに対応する。
光束の波長と光束の時間的変動又は空間的変動の強度とに応じて、瞳孔のサイズは時間に伴って同じ進化を有しない。
その詳細が以下に与えられる本出願人の研究は、光信号が網膜を通って虹彩の括約筋へ伝達されるのが速ければ速いほど、すなわち回復待ち時間が短ければ短いほど、装着者の年齢、刺激の輝度、スペクトル及び時間的特性が何であれ装着者の不快感はより大きくなるということを示した。
さらに、光束の変動の特性は、装着者の快適性感覚と装着者の瞳孔径の時間的進化とにおける主要因である。
例えば、40歳未満の若い被験者の場合、発光刺激後の瞳孔の収縮の振幅及び/又はこの収縮状態の維持は、前記刺激の明所視輝度と継続期間とが何であれ619nmの波長よりも465nm波長の発光刺激の場合により大きい。具体的には、明所視輝度条件下で、460〜510nmの青色の最小エネルギー波長は、瞳孔の収縮状態の維持において重要な役割を果たすメラノプシン含有神経節細胞を活性化する(Gamlin,Mc Dougal et al.,2007,Human and macaque pupil responses driven by melanopsin−containing retinal ganglion cells,Vision Research,47(7):946−954)。
別の例では、465nm波長の発光刺激及び等期間の刺激では、輝度が高ければ高いほど、ますます多くのメラノプシン含有神経節細胞(青色のこれらの波長に敏感である)が活性化されるので収縮状態の維持時間はより長くなる。
別の例では、設定された明所視輝度(例えば100〜400Cd/m)において、そして465nmの発光励起波長については、刺激時間を1ms〜500msの間で増加させるための瞳孔の収縮状態の維持の増加が観測される。500msを越えて例えば最大1sまでは、瞳孔の収縮状態の維持はもはや増加しない。使用される瞳孔の特性に応じて発光刺激の期間を調整するためにこの結果を使用することが可能であるので有利である。
したがって、装着者毎に、装着者の瞳孔の測定された回復待ち時間に応じて工程b)において判断されるフィルタの透過度を判断することが可能である。
この目的を達成するために、回復待ち時間基準閾値は、多くの装着者に対して又は特定装着者について行われる測定に基づき快適性の所与のレベルの瞳孔について定義される。この基準閾値は、基準閾値より高い装着者瞳孔回復待ち時間を保証するようにフィルタの透過度を判断するために使用される。
例えば、快適性のレベル3(0〜5の範囲のスケール上)の基準閾値は300msに等しい。その透過度が30%のフィルタにより、光束の変動に続いて、装着者の瞳孔の回復待ち時間が220msに等しいと測定されれば、これは、このフィルタがこの装着者を光束の変動から十分に保護しないということを意味する。
次に、フィルタの平均透過度は、工程a)において判断された装着者の瞳孔の回復待ち時間が基準閾値以上になるように低減される。フィルタのスペクトル特性、すなわち様々な波長範囲に対するその透過度もまた、瞳孔の回復待ち時間を増加するために最適化され得る。
この例、すなわち例3に記載の方法によると、フィルタは、装着者の眼の瞳孔の測定された回復待ち時間に応じて、そして所与のレベルの視覚的快適性に対応するこの時間の所定の閾値に応じて判断される。変形形態として、フィルタが眼の瞳孔の他の動特性(刺激又は収縮振幅に続いて瞳孔を覆うために要する時間の速さなど)に応じて判断されることを想定することが可能である。
回復待ち時間の基準閾値の判断は、前の校正工程において以下のやり方で判断され得る。
これは、測定された回復待ち時間と装着者の快適性のレベルとの間の相関関係を設定する問題である。
多数の装着者(例えば少なくとも10人の装着者)を含む装着者のグループの装着者毎に、工程a1)とa2)が光束の様々な変動により行われる。工程a2)において、装着者の視覚的快適性に関する情報がさらに、工程a1)の光束の変動に続いて収集される。例えば、装着者は、既に上に述べた快適性指標により、感じられた快適性のレベルを採点するように要求される。
これらの様々な条件下で、装着者は、例5に記載のスケール上で自身の快適性0〜5を採点するように要求される。次に、統計分析は、快適性のレベルと回復待ち時間との間の相関関係が判断され得るようにする。
より正確には、以下のプロトコルに従う測定が行われる。
測定室が初期非零光束により照明される。装着者は、33cmにおいて明るい発光標的を知覚し得るように、判断された最小加入度数を有する大視野試行眼鏡を備える。
装着者は座席に座り、自身の顎を専用顎当て上に置く。一様な散乱光を発射する投影視野計が装着者の前に置かれる。投影視野計の電源が切られる。測定室の灯りの電源が切られ、装着者は少なくとも1分間(理想的には10〜15分間)暗闇内に置かれる。装着者は、その輝度が1カンデラ毎平方メートル(cd/m)に等しい光の点であって投影視野計及び前記装着者の視野の中心に置かれた光の点を凝視するように指示される。
投影視野計は刺激を発射する。各刺激において、投影視野計は、10秒毎に1秒間電源が入り、判断された波長の光束であって1つのタイプの刺激に対応する判断された輝度の光束を発射する。
投影視野計は、刺激のタイプ当たり4回電源が入る。
前記刺激の輝度は、暗所視光強度を、約0.00001cd/mの源の輝度に対応する装着者の感度閾値から0.01cd/mの輝度まで増加することに対応する。波長は、輝度毎に連続的に660、619、525、465、414nmである。
各刺激間に、装着者は、発光刺激に対する自身の快適性を前述の5レベル快適性スケール上で採点するように要求される。
装着者はまた、20秒毎に1秒のそして1cd/mから300cd/mへ増加する輝度の5つの波長の明所視強度の刺激に晒される。
各刺激間に、装着者は発光刺激に対する自身の快適性を前述の5レベルの快適性スケール上で採点するように要求される。
第2の測定セッション中、装着者の眼は最初に部屋の周辺環境光に適応化される。投影視野計は、20秒毎に1秒の、そして1の対数明所視輝度増分により1cd/mから300cd/mまで増加する輝度の5つの波長の明所視強度の一連の刺激を発射する。
各刺激間に、装着者は、発光刺激に対する自身の快適性を前述の5レベルの快適性スケール上で採点するように要求される。
次に、投影視野計は、複数の波長(例えば3つの波長465、525、619nm)と1cd/m〜1,500cd/mの範囲に含まれる合計輝度とを組み合わせた無彩色刺激を発射する。
無彩色刺激は例えば20秒毎に1秒の期間のものである。
並行して、刺激毎に、装着者の瞳孔の回復待ち時間は、試験中に記録されたこの瞳孔の像を高周波において解析することにより判断される。
一般的に、これらの測定の解析は、本出願人が「光信号が網膜を通って虹彩の括約筋へ伝達されるのが速ければ速いほど、装着者の年齢、刺激の輝度、スペクトル及び時間的特性が何であれ不快感はより大きくなる」ということを示し得るようにした。
有利には、測定結果の解析はまた、試験された装着者のグループ内の装着者の様々なサブグループの存在を考慮し得る。
図6は、これらの測定の結果を要約する。測定されたミリ秒の回復待ち時間TLは、光束の各所与の変動後に装着者により評価された快適性指標IndCの対応レベルに応じて示される。
装着者の次の2つのサブグループが図6に示される:その年齢が18〜40に含まれる「若い」母集団はそのデータが円形点G1により表現される第1のサブグループを形成し、その年齢が60を越える「年長」母集団はそのデータが正方形点G2により表現される第2のサブグループを形成する。
これらのデータの解析は、回復待ち時間と快適性指標との間の相関であって装着者サブグループ毎に計算された線形回帰曲線F1とF2により表現される相関を示す。
数式IndC=−3.839+0.0246×TLの曲線F1は「若い」装着者のサブグループに対応する。
数式IndC=−0.7665+0.0149×TLの曲線F2は「年長」装着者のサブグループに対応する。
したがって、快適性の任意の所与のレベル(例えば、4又は3)に対応するとともに装着者サブグループに対して統計的に正しい瞳孔の回復待ち時間の基準閾値をこの相関関係に基づき判断することが可能である。
基準閾値は、装着者グループ全体に対して同じやり方で判断され得る。装着者グループ全体のこの基準閾値はまた、各サブグループの基準閾値に応じて判断され得る(例えばこれらの値の平均値を採ることにより)。
[例4]
この例では、工程a)において、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を表現する量は、眩しさに対する前記装着者の動的感度に関係する。
これは前述の工程a1)とa2)を介し実現される。
一般的に、例えば眩しさ、装着フィルタ、太陽フィルタが、このようなフィルタを備えた眼科用レンズの装着者の視覚と視覚的快適性に影響を与えるということが知られている。
本発明の判断方法によって、装着者の視覚及び快適性が最適化され得るようにするフィルタのスペクトル応答は、特性光束の変動が何であれ、判断される。
本方法はまた、フィルタが能動的であるか受動的であるかに関わらずフィルタのスペクトル応答が装着者に応じて個人化され得るようにする。
本明細書で提案される方法はまた、可能最高精度の測定結果(装着者の視覚特性に基づくとともにそしてこれを取り込む)を得るために装着者の屈折力を考慮する。
より正確には、フィルタのスペクトル応答の判断は、本明細書では動的「処方錐体」の使用に基づく。
一般的に、工程a)において、装着者の眼の動的感度を表現する前記量はこの処方錐体に関連する。工程b)において、フィルタは、「このフィルタを介し装着者が受ける光束が、装着者が可能な限り頻繁に晒される光束及び光束変動条件下で装着者の処方錐体の内部に位置する」ように、判断される。
この処方錐体法の一般原理について、フィルタ判断方法がより詳細に説明される前に、ここで簡単に説明する。
我々は最初に、静的光束により装着者へ引き起こされた眩しさを考慮する「処方錐体」について説明する。我々は次に、光束の変動に関係する快適性及び視覚特性の動的態様を考慮するためにどのようにこの「処方錐体」が修正されるかを見ることになる。
静的「処方錐体」を判断するための方法は以下の段階を含む。
本方法の第1段階では、工程a1)において、装着者は所与の輝度環境内に置かれ、工程a2)において、快適性を保つ最小フィルタ透過度が判断される。この透過度は、ある波長間隔全体にわたって平均されてもよいし波長に応じてもよい。これは、所与の波長に対する透過度の判断の後者のケースにおける問題である。
これは、輝度Eに応じたフィルタの透過度Tが示された図7により示される。2つの曲線がこの図に示され、快適性閾値の第1の曲線111Aはフィルタの最小透過度に対応し、次の2つの別個の区域を定義する:装着者が作業を行う際に輝度環境により悩まされない第1の曲線111Aの上に位置する快適区域;装着者が悩まされるこの第1の曲線111Aの下に位置する不快区域。
本方法の第2の段階では、工程a2)において、工程a1)と同様に同じ輝度環境に対して、最適視覚特性(例えば、視力又はコントラストに対する感度)を維持する最大フィルタ透過度が判断される。
これはフィルタの最大透過度に対応する視覚特性閾値の第2の曲線111Bにより図7に示され、第2の曲線は次の2つの別個の区域を定義する:第2の曲線の下に位置する視覚特性区域とこの第2の曲線111Bの上に位置する視覚紛失区域。
第3の段階では、上記2つの先行手法が処方錐体111を判断するために組み合わせられる(図7を参照)。
この処方錐体は、装着者の視覚特性及び視覚的快適性が保証される輝度に応じたフィルタの透過度領域に対応する。したがって、この処方錐体は、所与の広範囲の輝度環境の視覚特性及び視覚的快適性の両方を保つフィルタの光学特性(透過度)が判断され得るようにする。
図7の区域111Cは、装着者が視覚特性の損失と視覚的快適性の損失の両方を経験する区域に対応する。
視覚特性の曲線111Aと快適性閾値の曲線111Bは上昇法又は下降法を使用して判断され得る。下降法では、装着者は最も暗いレンズ(所与の波長領域の)で始め、(快適性及び性能)閾値を判断するために光束の吸収を低減/透過を増加する。したがって、装着者は、自身の網膜が飽和されない状態で開始する。
上昇法では、装着者は最も暗くないレンズ(所与のスペクトル又は所与の波長の)で始め、(快適性及び性能)閾値を判断するためにフィルタの透過度を増加/吸収度を低減する。装着者は、網膜が光により過飽和される眩しさにより目がくらまされ得る状態において開始する。
静的「処方錐体」を判断するために、装着者は、制御されパラメタータ化された特性光束に晒されるように輝度環境に置かれる。
この特性光束は次のものにより特徴付けられる:
− 照度範囲(例えば0〜20,000lux内の);
− ある範囲の可視波長(例えば400nm〜680nm);
− 例えば光源配向及び径により定義される無指向性又は指向性、局所化又は拡散照度。
単純化のために、本方法の実施形態の原理について説明するために、この例では、照度変化量だけが考慮されることになる。
装着者の眼の感度は、装着者の眩しさ感度プロファイルをより正確に特徴付けるために前述のパラメータのすべてを連続的に変動させることにより測定され得る。
光に対する装着者の感度への特性光束のスペクトルの影響を考察するためにこの測定を反復することも可能である。
次に、装着者は、所定のサイズ、形状、輝度、輝度コントラスト及び空間周波数の標的(又は通常は、視覚能力を特徴付ける例えば着色標的などの任意の標的)を見る。
好適には、標的は、装着者の活動に応じて、すなわち当該視作業に望ましい視覚要件に応じて選択される。標的は、例えば視力、コントラスト感度の観点での必要性、色同士がレンダリングさればならない精度等に関係する。
必要に応じ、装着者は、自身の屈折力の最適補正(球状と円柱状)を可能にする一対の眼科用レンズを装着する。
装着者はまた、自身の眼の一方又は両方の前に置かれその吸収度及び/又はスペクトル応答が可変である試験フィルタを装着する。
次に、光束に対する装着者の眼の動的感度を表現する量の測定は、装着者の眼の前に置かれその吸収度及び/又はスペクトル応答が変動するようにされた試験フィルタにより行われる。
視覚特性に関して、測定工程は、その吸収度が高い試験フィルタ(最も暗いレンズ)で開始される。
具体的には、視力又は視覚的コントラストの測定の場合、この試験フィルタは視覚を不利にし、装着者はもはや標的を認識しない。
次に、装着者は、満足な視覚認知を達成するまで、フィルタの吸収度を低減する(恐らくオペレータの助けにより)ように要求される。次に、視覚特性閾値に到達した(「無視覚」から「視覚」への移行)。精神物理学的方法がまた、この区域を定義するために使用され得る。この閾値を定義するフィルタの吸収度に注目されたい。この閾値は当該特性光束の劣化されない視覚特性を可能にする区域の境界を示す。
この試験は様々な照度の特性光束に対して反復される。したがって、図7の第2の曲線111Bと同様な曲線が得られる。
次に、同じ測定が反復されるが、視覚試験よりむしろ、装着者は「特性光束の照度が煩わしい又は視覚的不快感を生じる点」を識別するように要求される。
上述のように、図7の第1の曲線111Aと同様な曲線が得られる。
したがって、視覚特性が特性光束の所与の範囲の照度とフィルタの一定範囲の吸収度とに最適である区域に対応する処方錐体111が判断される。装着者の視覚特性へのフィルタの悪影響もまた、この処方錐体によって分かる。
この錐体はまた、光束の強度又は源の輝度に応じて定義され得る。
この処方区域111では、フィルタの光学特性、すなわち吸収度又はスペクトル応答などの特性は、フィルタが装着者の快適性と視覚特性との間のバランスを実現するように、判断される。
様々なスペクトルにより特徴付けられるとともにフィルタ又は光源自体により修正される特性光束に装着者を晒しながらこれらの測定を反復することも可能である。このようにして、装着者の眼の光に対する感度への特性光束のスペクトルの影響が評価される。これは、フィルタの1つ又は複数の光学特性の選択が誘導され得るようにする。
これらの測定は、視覚的快適性、色知覚、運動知覚など他の判定基準もまた考慮しながら反復され得る。
したがって、視覚及び快適性が維持され得るようにするスペクトル応答範囲が得られる。
動的「処方錐体」はまた、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度を考慮するように判断され得る。
具体的には、装着者の暴露習慣、活動、及び直面する輝度条件(光レベルの漸進的又は突然変化)に応じて装着者は、自身の快適条件内に入るように異なる保護を必要とすることになる。
特性又は快適性閾値の規定曲線毎に、被験者が耐えられる輝度デルタ、又は換言すれば光束の複数の変動条件に基づき定義された動的快適性及び性能区域112A、112Bが判断される。
装着者の動的感度、すなわち光束の変動に適応する装着者の能力を特徴付けるために、処方錐体は光束の変動の複数のパラメータにより生成される。
装着者は、以下の光束の時間的変動に晒される:光強度の1秒未満の瞬間的変化すなわち閃光;所与の時間にわたる連続光の輝度の線形進展;階段的輝度の進展(例えば1秒毎に20%の変動を有する輝度の離散的増加)。例えばlux/secの5%(低速)、25%/sec(中速)及び100%/sec(高速)の光束の変動の速度などの光束の他の変動が可能である。
階段的時間変化はよりアグレッシブなものとして装着者により感じられる。何人かの装着者は、輝度変動が緩やかである場合により高い快適性閾値を有する。被験者はより低い輝度コントラストを知覚する。これを図8に示す。
図8は、時間に応じた光束のluxの照度の変動を示す。この光束の初期照度はE1である。次の2つの進展が示される:t1〜t3の線形進展V1とt1〜t2の階段的進展V2。
階段的進展V1の装着者ES1の照度快適性閾値は線形進展V2の快適性閾値ES2より低い。階段的進展V1の装着者ES1の照度快適性閾値はさらに、より急速に到達される。
したがって、照度の快適性閾値は光束の変動の時間的プロファイルに依存する。
したがって、図7では、フィルタの所与の透過値Tiに対して、装着者の快適性閾値の2つの照度閾値ESi1、ESi2が対応する。
したがって、例えばこのタイプの変化が装着者の視覚特性を最適化すれば網膜照度の線形時間変化を常に保証するようにフィルタの透過度を適応化する、すなわち他のタイプの変化に対して得られるものより高い特性及び快適性照度閾値に対応するエレクトロクロミックフィルタを工程b)において判断することが可能である。
光束の強度の時間的変動は、複数のパラメータに、特に強度の全体変動ΔIに、この変動の期間Dに、及び強度の全体変動をその期間により除算されたものとして定義される変動の速度に依存する。
遅い例えばlux/secの5%、中間の例えば25%/sec、そして高速の例えば100%/secの光束変動の速度の範囲が設けられ得る。
光束パラメータ(速度、ΔI、D)を変動させることにより、光束の変動に対する装着者の適応自由度に対応する動的区域112A、112Bが定義される。
したがって、工程b)において、光束の照度の変動中に装着者により知覚される照度変化が装着者に好適である変動特性を有するように、フィルタの透過度の変化の速度、すなわち、フィルタがエレクトロクロミックである場合に明状態から暗状態への移行又は逆の移行の速度、又はこのエレクトロクロミック性を欠いている場合はフィルタのフォトクロミック機能(例えば明状態と暗状態間の透過度の全体変動及び/又は明状態から暗状態への移行の継続期間)が適応化されるということを想定することが可能である。
より正確には、工程b)において、明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移るのに必要とされる期間は、装着者の適応自由度が低いのでそれだけより短いと判断される。
したがって、工程b)において、フィルタの明状態と暗状態間の透過度の全体変動もまた、装着者の適応自由度が低いのでそれだけ低いと判断される。
装着者の快適性を保証する光束の変動の閾値速度を判断することと、装着者により知覚される光束の変動の速度が、判断された閾値速度未満のままであるように、フィルタの透過度の全体変動及び/又は明状態から暗状態への移行の継続期間を工程b)において判断することも可能である。
したがって、例えば、被験者が秒当たりluxの25%(25%/sec)の増加に等しい光束の、照度の、又は輝度の変動の閾値速度を有し、装着者が晒される強度、照度、又は輝度の変動が50%/secであれば、その透過度が50%であるフィルタが判断されることになる。装着者が輝度の他の変動に晒されれば、活性機能が、強度、輝度又は照度の変動の標的快適性閾値速度を達成するためにフィルタの透過度を各状態へ適応させることを可能にする。
装着者が光束の動特性に対する適応能力を有すれば、視覚特性と快適性閾値の極値ESi1とESi2間の大きい差異(図7)したがって大きな動的区域112A、112Bが得られることになる。対照的に、装着者が光束の変動に対する低い動的感度を有すれば、動的区域112A、112Bは狭くなる。
したがって、動的区域112A、112Bの幅に関係する装着者の適応自由度パラメータを判断することが可能である。
視覚特性及び快適性閾値の適応自由度パラメータの判断は特定処方の必要性を判断することになる。このパラメータの値が低ければ、例えばその透過度を適応化することによりフィルタを適応化することが極めて重要となる、その結果、装着者は、直面する輝度環境が何であっても、図7における処方錐体111と動的区域112A、112Bとにより定義される装着者の動的快感区域内に留まる。
エレクトロクロミック又はフォトクロミックフィルタが推奨され得る。透過度は、被験者が所与の強度及び所与の動特性の装着者の視覚的快適性及び視覚特性の包絡線内に常に留まるように選択されることになる。
適応自由度は、とりわけ、光強度レベル、1つ又は複数の光源のスペクトル、光源の幾何学形状(光源のサイズ、複数の源間の光強度の比など)とその時間的成分(閃光、連続光)を含む複数の要素に依存する。これらのパラメータのすべては、装着者の光に対する感度の完全なプロファイルを特徴付けるために考慮され得る。
さらに、適応自由度パラメータが初期網膜状態に依存することが可能である。次に、様々な初期網膜状態、すなわち様々な初期周辺環境光強度の動的区域を特徴付けるための手立てがなされる。
時間に応じた光束の照度の時間的進化を示す例を図9に示す。
以下の4つの実験結果がここでは示される。装着者は異なる初期照度EiAとEiBの2つの光束内に置かれ、初期照度毎に、この照度は2つの異なる速度で変動される:曲線V3とV5は初期照度EiAとEiBからの第1の速度を有する照度の変動をそれぞれ示す、一方、曲線V4とV6は初期照度EiAとEiBからの第2の速度を有する照度の変動をそれぞれ示す。
ここでは、照度は装着者が視覚的不快感を示すまで増加される。したがって、到達された最大照度値ESA3、ESA4、ESB5、ESB6が対応光束変動条件下の装着者の快適性閾値である。これらの快適性閾値は照度の初期値とその変動の速度とに応じて異なるということが分かる。さらに、ここでは照度の所与の初期値に対して測定された2つの快適性閾値の差として定義される適応自由度パラメータは照度のこの初期値に応じて異なる。
したがって、適応自由度パラメータは、工程a)において判断された装着者の動的感度に関係する量を形成し得る。
別の例によると、照度の瞬間的(突然)変動が工程a)において採用される。
そうするために、装着者は、一様な散乱光を発射する投影視野計の前に座らせられる。被験者は90秒間所与の初期照度(20、200、2,000〜4,000lux)に晒される。次に、照度の突然の正又は負の変化が、正変動に対して500、1,000、2,000、4,000lux又は負変動に対して20、200、1,000、2,000lux最終照度を実現するために印加される。
輝度状況毎に、快適性指標の値と視覚特性に関係する量とが示される。視覚特性に関係する量は、例えば10%コントラストにおける視力試験を介し判断される。
この解析により、装着者により経験される照度の変動ΔEに応じて快適性指標の変動ΔIndCの進化が判断される。
この進化は例えば、2人の異なる装着者に対して記録されたデータを示す図10と図11のグラフにより示される。
装着者の快適性指標の最大許容変動(例えば快適性評価スケール上の2点)を判断することが可能である。このとき、被検者が不快感を経験することになる照度のクリティカル変動を被検者毎に判断することが可能である。
このとき、装着者の眼の動的感度に関係する量すなわち工程a)において判断された量が照度のこのクリティカル変動に対応し得る。この量は装着者の快適性変動閾値(ここでは2点)に応じて判断される。
工程b)において、装着者の環境の光強度と経験された光度の変動の解析とに応じて、装着者の眼が照度を連続的に受け得るようにする透過度の変化と装着者が視覚的快適性を保ち得るようにする照度の変動とをこの装置内に組み込まれたカメラによって判断するために、例えばエレクトロクロミックフィルタを含む活性太陽光装置が判断される。
例えば、そのデータが図10に示される装着者は、その照度が10,000luxである輝度環境内に居り、50%の透過度を有するフィルタを装着している。このとき、装着者の眼が受ける照度は5,000luxである。
この装着者は、その照度が13,000luxである点灯区域に入るところである。
次に、装着者は、フィルタの透過度が50%に維持されれば、7,500luxを受けることになる。これは、図10内のデータによると4点の快適性指標の低下に伴う1,500luxの照度の増加に等価である。
このとき工程b)において提案されたフィルタは照度の変動が1,000luxに制限され得るようにし、その結果、快適性指標の変動は2点の損失へ制限される。
このとき、変動後に装着者が受ける照度は、最大で6,000lux(40%以下のフィルタの透過度に対応する)でなければならない。
光強度の正変動中、視覚的快適性と視覚特性が影響を受ける。光レベルの負変動の文脈では、視覚的快適性は最適であるが、対照的に、光度のこの低下は被験者の視覚特性により大きな影響を与える。被験者は網膜照度の低下に適応しなければならない。被験者は、とりわけ視力とコントラストに対する感度とを失い得る。視覚回復時間は、網膜処理が再生されるまで存在する。
本発明による方法の特定例は、視覚のこの低下を処方錐体の動的区域の判断と関連して特徴付けることを目的とする。
したがって、本方法はさらに、装着者の視覚特性への光束の前記変動の影響を評価する工程を含む。
照度が、光束の様々な変動、すなわち全体強度の様々な変動及び様々な変動期間に対し初期値EiCから照度快適性閾値ESCまで増加された後、照度の突然低下が、13luxの最小照度値Eminを達成するために適用される。
次に、非特許文献BORISH’S CLINICAL REFRACTION(Butterworth−Heinemann;2nd Edition,October 27,2006)に記載された最小可能角度で視力検査文字を識別する能力として定義される視力試験が行われる。
この試験中の光束の照度の変動を図12に示す。
照度快適性閾値に応じて、低下の振幅が異なる。光レベルの低下が適用されると、10%コントラスト2/10視力試験文字が投影視野計の背後に表示される(図12内の時刻t=0)。文字の視覚を取り戻すために装着者が要する時間(図12内の時間t)が示される。文字はその開口がランダムに配置されたLandolt Cである。装着者は、開口の方向を示さなければならない。文字の開口を正しく識別するために要した秒の応答時間が示される。これは本明細書では、別のタイプの明暗順応感度試験(adaptometric sensitivity test)の問題である。
結果の2つの例が図13と図14に示される。これらは、視覚回復時間tp(秒)と経験された照度の低下の振幅(快適性照度閾値ESCと、2人の異なる被験者が達した最小照度値Eminとの差に等しい)との相関を示す。
ここで、回復時間と照度差間のアフィン関係式が設定される。
図13に関して、このアフィン関係式は次のように書ける:tp=1.2814+0.0005×(ESC−Emin)。
図14に関して、このアフィン関係式は次のように書ける:tp=8.313−0.0003×(ESC−Emin)。
そのデータが図13に示される装着者では、照度の低下の振幅が高ければ高いほど、最適視覚を取り戻すために被験者が要する時間はより長い。
そのデータが図14に示される装着者では、装着者は、照度の低下が何であろうとほぼ一定の回復時間を有する。
装着者が光学装置を装着している場合、経験される照度の低下は、入射光束の変動と装着者の眼の前に置かれたフィルタの有無との両方に関係付けられる。工程b)において、フィルタの透過度は、経験された照度の低下の振幅を低減するために調整され得る。実際には、これは、この透過度を増加するという問題である。
図13の装着者の場合、輝度環境(フォトクロミック又はエレクトロクロミックフィルタ)に適応することができ、可能な限り急速に暗状態から明状態まで移行するフィルタが推奨される。1〜2秒の暗状態から明状態への移行の時間が許容可能である。
フォトクロミックフィルタの場合、明状態へ急速に移るフィルタが提案されることになる。
エレクトロクロミックフィルタの場合、装着者により知覚される照度の低下を1,500luxに制限する透過度が提案されることになる。
フィルタに対し判断された透過度が視覚最適化にとって十分でなければその色調が劣化されるフィルタを提案することも可能である。
したがって、このようなフィルタは、装着者の眼の前にその位置が互いに配置される上側部分と下側部分間で透過度の好適な連続的変動を有する。
その上側部分における暗色調とその下側部分における明色調とを有するフィルタが、例えば歩道とレベルの差とをより容易に知覚することと、高齢者の転倒の危険性を回避することとを可能にする。
変形形態として、装着者の視覚特性への光束の変動の影響を評価する工程では、以下の量のうちの1つの量の少なくとも1つの測定が装着者に対して行われる:
− コントラスト感度:様々な寸法の静的要素の輝度の差異(空間的輝度コントラスト)又は動的要素の輝度の差異(時間的輝度コントラスト)を検出する視覚系の能力例えばSidorova et al.,(“Functional acuity contrast sensitivity assessment in young and middle age healthy persons at the day time with and without glare”,Acta Medica Lituanica,Vol.21,No.1,2014)を参照。
− 装着者が静止しておりかつ前方を向いているときに装着者の眼が知覚する空間の広がりに対応する視野(前掲のBORISH’S CLINICAL REFRACTION)、
− 色知覚、すなわち可視光のスペクトル分布の視覚認知。この感覚の源は、網膜上に配置される錐体と呼ばれる特殊神経細胞の刺激である(前掲)、
− 距離及び奥行き知覚。奥行き知覚は、三次元の世界を知覚し、対象物の互いに対する位置を識別する視覚能力である(前掲)、
− 瞼の完全又は部分的閉鎖により特徴付けられる瞼動作、安静位におけるものより大きい筋肉活動を伴う眼瞼震え。筋肉活動は関連電気的活動(筋電図)を介し評価され得る。例えば、Murray et al.(“The ocular stress monitor:a new device for measuring discomfort glare”,Lighting Research and Technology,September 2002,34:240)を参照、
− 瞳孔径:虹彩の中心に位置する円形オリフィスであって、眼内に侵入する光量をその収縮又はその膨脹を介し制御され得るようにする円形オリフィスのサイズ(Alexandridis E.,“The Pupil”.Springer;1985参照)と瞳孔の形状などの他の瞳孔特性、
− 不快感スケール上での視覚的不快感:強い発光刺激に続く感覚に対して経験された不快感又は倦怠(Mainster et al.,“Glare’s causes,consequences,and clinical challenges after a century of ophthalmic study”.Am.J.Ophthalmol.,153(4),pp.587−593.2012)、
− 眩しさ後の回復時間:眩しさにより悪化された機能のすべて又はいくつかを復元するのに必要とされる時間(Shieber,“Age and Glare Recovery Time for Low−Contrast Stimuli Effect of glare on reaction time for peripheral vision at mesopic adaptation”;Proceedings of the Human Factors and Ergonomics Society Annual Meeting October 1994,38:496−499)。
暗闇適応性及び光感度閾値の測定に伴う装着者の(過去及び将来の)光暴露習慣の知識が、装着者が晒される光束の変動のタイプが分かるようにし、装着者の快適性照度、輝度又は強度閾値が分かるようにし、及び最良フィルタ、すなわち、スペクトルフィルタリング、フォトクロミック黒化のレベル、及び明状態へ戻るために要する時間の最良の組み合わせが定義され得るようにし、その結果、装着者は眩しさから保護され、良好な視覚特性を保つようになる。
第2の方法群では、装着者の眼の動的感度に関係する量の判断は、装着者の光暴露習慣に関係する質問表に基づき収集される又は測定される少なくとも1つの情報に基づき行われる。この方法群は例5を含む。
[例5]
この例では、工程a)は以下の副工程を含む:
a3)光束の前記変動に対する装着者の感度が評価され得るように装着者を質問表へ晒す工程と、
a4)前記質問表に対する装着者の応答を収集する工程。
次に、工程a)において、光束の変動に対する装着者の片眼又は両眼の動的感度を表現する前記量は、工程a3)において収集された質問表への応答を考慮しながら判断される。
実際には、装着者は、光束の変動に対する装着者の眼の動的感度が判断され得るようにする質問表を完了するように要求される。
装着者の活動(例えば運転、読書、スポーツ活動又は室内又は室外活動を行うこと)に応じて装着者が光束の様々な変動等に対する視覚的快適性又は視覚的品質の装着者のレベルの指標を提供し得るようにする一組の質問が尋ねられる。
質問表はここでは、好適には、情報が収集される装着者の受信の所与の時刻tに対して以下の3つの異なる時間的段階を考慮しなければならない:
− 所与の時刻tの前の所与の環境における装着者の光暴露習慣、
− 時刻tにおける光束の動特性に対する被験者の感度及び適応性の解析、
− 装着者が時間を費やす生活習慣と輝度環境。
時刻tにおける網膜の動的感度状態は、光強度の変化に続く眩しさの感覚に影響を及ぼすことになる。
例えば、被験者が低強度慢性的暴露に晒されれば、光に対する被検者の感度は高くなる。したがって、保護の必要性は異なることになり、より低い透過度を有するフィルタ処方薬が助言されることになる。
本出願人の研究はさらに、装着者が受ける光束の変動に続く視覚的快適性が以下のパラメータに依存するということを示した:
− 経験された光の意図の変動振幅、
− 光束の変動の前の光束の初期強度。
より正確には、変動前の光束の強度が高ければ高いほど、そしてこの変動の前の装着者の網膜照度が高ければ高いほど、装着者の視覚的快適性は光束の変動後より低減されない。
実際には、質問表は、情報が様々な期間(時間、週、月の可変スケール上で過去、現在及び未来)に関して収集され得るようにする。
より正確には、質問表は、当該装着者の光暴露習慣に関する次の情報が収集され得るようにする:
− 装着者が暴露される光源の特性:人工光(例えばLED又は白熱バルブ)又は自然光(拡散又は点状光)、
− 暴露の期間:瞬間的、短い(数秒又は分)、長い(数時間)、連続的、又は断続的;
− 装着者が住んでいる地理的位置;
− 装着者が住んでいる地理的位置の気候、特には日射の平均期間;
− 行われる活動/職業:この情報は、活動が室内及び/又は室外で行われるかどうかに応じて光暴露の期間と光源の特性(強度、スペクトル、光度変動)とに関する意味合いを有する。
例えば、鉱山内で、閉じられた環境で、低強度の人工光の中で一日中働く人の網膜はこの低い光束に慣れることになる。上記人の光に対する感度と光束の変動に対する感度は、所与の外部輝度環境に直面すると高くなる。対照的に、丸一日外で働く建設作業員は、上述と同じ光レベルに余り悩まされなくなる。装着者の眼が暗闇へ適応化されれば、光束の変動に対する装着者の感度はより高くなる。
質問表はまた、次の客観的及び主観的情報が当該装着者に関して収集され得るようにする:
− 年齢、
− 光に対する一般的感度、
− 輝度条件(室内、室外、夜間など)に応じた光に対する感度、
− 光束の変動に対する感度:光束の強度の空間的又は時間的変動、光束のスペクトルの空間的又は時間的変動、正変動は光束の増加を示し(例えば暗区域から照明区域への移行)、負変動は光束の低下を示す(例えば照明区域から暗区域への移行)、
− 視覚的又は神経学的病理(被験者の光に対する感度に影響を与える)、白内障手術、インプラントされた人工水晶体のタイプ(例えば黄色、青色フィルタリング、又は白色人工水晶体)、
− 所与の輝度条件に応じた上述の主観的評価スケール上で表わされる視覚特性と視覚的快適性、
− サングラスの常用:輝度条件及び装着された眼鏡の評価に応じて時々、連続的。
この質問表は、眼鏡技師宅で眼鏡技師により又は装着者により又は装着者の家で装着者により定期的に記入される。
さらに、この質問表は所与の輝度条件下で装着者により実時間で記入され得る:装着者は、例えば現在の装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性が特徴付けられ得るようにする1つ又は複数の質問に答える。
これは、例えば装着者のスマートフォン又は装着者のタブレットコンピュータ上に表示される質問の問題である。
並行して、工程a)は、装着者が習慣的に晒される光束を測定する工程を含み得る。工程a)は、現在の周辺環境光束の特性を収集する独立した光束センサ又は一対の眼鏡内に組み込まれた光束センサ又は装着者の接続物体(例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ、又は接続された時計)を使用して行われる。このセンサ(分光光度計)は、質問表に記入する間に装着者が晒される光束の特性(特に時間に伴う強度、スペクトル、変動)が収集され得るようにする。
この質問表の変形形態として、装着者の暴露習慣に関係する情報(特に、装着者が晒される光源の特性と暴露期間)が、装着者が身につけたこれらのセンサ(測定を連続的に又は所定の時間間隔で行う)により直接測定されるということが想定され得る。
一例として、装着者へ尋ねられた質問は、装着者の視覚的快適性及び/又は装着者の視覚特性の主観的評価から構成され得る。装着者は標準化評価スケール上で1〜5の主観的快適性指標を提供し得る。
このスケール上で、様々な指標は以下のとおりである:
− レベル「1」:視覚的快適性の耐えられないレベル又は視覚的品質の非常に低いレベル;
− レベル「2」:視覚的快適性の注意散漫レベル又は視覚的品質の凡庸レベル;
− レベル「3」:視覚的快適性の概ね耐えられるレベル又は視覚的品質の概ね許容レベル;
− レベル「4」:視覚的快適性又は視覚的品質の満足なレベル;
− レベル「5」:視覚的快適性又は視覚的品質の優れたレベル。
視覚的不快感は、受光の量、分布、品質に関係する視覚的不快感の主観的感覚として定義される。視覚的不快感スケールは、様々な判定基準に基づく視覚的不快感の表現の漸進的等級付けに対応する(Gellatly and Weintraub,“User reconfigurations of the de boer rating for discomfort glare”,1990)。
したがって、光束の変動に対する装着者の動的感度プロファイルを応答に応じて判断することが可能である。
このとき、装着者の動的感度に関する量を様々なやり方で判断することが可能である。
第1の方法によると、その眼の動的感度が測定され、その動的感度プロファイルが同一質問表により判断されるフィルタ装着者のデータベースを例えば以下に与えられる例のうちの1つに記載されるようなプロトコルを使用することにより生成することを想定することが可能である。
このとき、装着者の眼の動的感度に関係する量は、同じ動的感度プロファイルを有するデータベースの装着者の眼の動的感度に関係する基準量に基づき(例えばこの基準量による識別を介し)判断される。
工程b)において、提案されたフィルタは、例えば以下に与えられる例に従って判断される。
第2の方法によると、尋ねられる様々な光度変動条件と様々な活動に対し装着者により表現される主観的快適性の指標が装着者の動的感度の直接測定結果であると考えられ得る。このとき、装着者の動的感度に関係する量は、この指標に直接等しい、又はそれに応じて判断される。
したがって、例えば、装着者が、所与の光度変動に関係する質問をされたときに不快を感じるということを示せば、フィルタの透過度のレベルは、この変動の快適性指標により直接判断され得る。
次に、工程b)において、例えば、上述のスケール上の光束の強度の現在の変動のレベル「1」の快適性指標に対して、10%の透過度を有するフィルタが判断される。対照的に、レベル「5」(不快感無し、素晴らしい快適性)の快適性指標に対して、90%の透過度を有するフィルタが判断される。
その週を室内で過ごし、週末に大いに戸外へ出かけ、光に対しそして光束の変動に対し高い感度を表した装着者については、その透過度がクラス3に入るフィルタ及び/又は偏光されるフィルタが週末利用に推薦される。
光束の変動中に不快感を表現することなく頻繁に戸外にいる装着者に対して、クラス1及び2のいずれかに入る透過度を有する受動フィルタが工程b)において判断される。
光束の変動中に高い不快感と、光に対する高い感度と、恐らく光束の変動後に視覚の損失までにも至る視覚特性の低下とを有する頻繁に室外にいる装着者には、クラス3に入る透過度を有する好適に能動的なフィルタが判断される。
これは、例えば少なくとも1つの波長において光の2つの異なるレベルの透過度に対応するフィルタの明状態から暗状態への移行を可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有するフィルタの問題である。
加えて、ここで判断されたフィルタは急速に明るくなる、すなわち暗状態から明状態まで移るのに要する時間は短い。
このフィルタは任意選択的に、高輝度において装着者の快適性を改善するように偏光されることになる。
室内活動中に(教室内で、ワークステーションにおいて、スクリーンの使用時などに)カラーフィルタを装着する必要性があるかどうかを判断することも可能である。
いずれにせよ、質問表に対する応答は、装着者に応じて、又は装着者が質問に対応する状態に遭遇する頻度に応じて重み付けされ得る。
例えば、装着者が室内より室外でより多くの時間を過ごせば、室外輝度条件に関係する質問により大きな重み付けが与えられる。
この目的を達成するために、状況に遭遇する頻度を与える係数(例えばまれな状況に1の係数、時折の状況に2の係数、頻繁な状況に3の係数、そして非常に頻繁な状況に4の係数)を各質問に関連付けするように装着者に要求することが可能である。
一般的に、使用される方法(例1〜5)が何であれ、上記方法のうちの1つを使用するフィルタの判断は、その透過度が眼科用レンズ全体にわたって空間的に変動するフィルタの使用を意味し得る。
具体的には、光源と光束の変動とが装着者の環境の期待方向に配置されることが可能であるので、眼科用レンズの上側と下側部分において異なる吸収度及び/又はスペクトル応答を有するフィルタの使用を想定することが可能である。
一方、上側部分は、光束が非常に高いかもしれない場合及びこの光束のスペクトルが自然光のものである場合の室外活動中に主として使用される。
他方で、下側部分は、光束が制限された場合及びこの光束のスペクトルが頻繁に人工光のものである場合の室内活動中に主として使用される。
最後に、例1〜5の様々な方法は光学フィルタの判断を精緻化するために互いに組み合わせられ得るということに注意されたい。
より精密かつより完全である装着者の眼の光に対する感度のプロファイルを得るように黄斑色素方法(例2)と質問表(例5)とを組み合わせることが特に可能である。
さらに、工程b)におけるフィルタの判断は、装着者を囲む習慣的又は現在の光束の特性(実時間で測定される)を考慮し得る。
特に、工程b)におけるフィルタの判断は、装着者に関係するパラメータ量及び値、すなわち工程a)の文脈で判断された量と値を考慮し得る。これらの量及び値は、例えば装着者の瞳孔、網膜照度、様々な条件下の装着者の静的及び動的感度、及び光束の所与の変動に関係する。
上記判断はまた、好適には装着者の環境内の光束の特性に関係する環境パラメータの値を考慮する。
これは、能動フィルタを含む眼科用レンズを含む一対の眼鏡中へセンサ(特に分光測光法センサ)を一体化したおかげで特に可能である。これらのセンサは、受けた光束の累積量(照度、輝度など)を波長に応じて測定し、時間(日、週の)に伴う照度の進化を記録する。これは、前記能動フィルタが制御され個人化され得るようにする。波長当たり累積量同士は、外部照度だけでなく数日にわたる累積照度にも応じてフィルタの透過度の変化を自動的に制御するために比較され得る。
最後に、例えば加速度計又はGPSなどの他のセンサのおかげの装着者の動作の識別は、時間に伴う網膜上の光束の変動が予測され得るように、そして能動フィルタが先制して活性化され得るようにし得る。装着者の光束の時間的変動を予想するために、測光的シーン分析(photometric scene analysis)が、装着者の感度プロファイルに応じてフィルタの特性を先制して活性化するために一体化センサにより規定されることになる。
センサ(形状、サイズ)は好適には、視野>30°内の装着者の瞳孔の振る舞いを解析するように、そして水平方向視野内の180°超にわたってかつ垂直方向視野内の90°超にわたって装着者の環境を少なくとも5メートルの解析深さまで探索するように眼鏡フレーム中に組み込まれる。
ここで説明した能動フィルタの場合、眼鏡フレームはまた、エレクトロクロミックフィルタの特性を判断するように本発明による方法を行うためにプログラムされた計算処理ユニットを取り込み得る。
より一般的には、工程a)において測定/判断された量及び/又はパラメータは、フィルタを適応化するために装着者により実時間で与えられる快適性指標を含み得、装着者の振る舞いの客観的解析(瞳孔、眼瞼動作、不快感指標、頭運動などの解析)を介し自動的に判断され得る。
この情報はさらに、フィルタの選択の規則、すなわち、工程b)において使用される規則を修正するために使用され得る。暴露経験及び習慣が、装着者の生活様式に応じてアルゴリズムを連続的に(連続的ループで)精緻化し続けるために記録されることになる。ひいては、装着者へ最初に提供される眼鏡は「標準規格」眼鏡(例えば平均装着者に対し最適化された眼鏡)である可能性があり、個人化は学習だけにより実現される。

Claims (22)

  1. 装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズのフィルタを判断する方法であって、前記フィルタは前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持することができる、方法において、
    a)光束の変動に対する前記装着者の片眼又は両目の動的感度を表現する量を判断する工程と、
    b)前記判断された表現量に応じて前記フィルタの少なくとも1つの光学特性を判断する工程とを含むことを特徴とする方法。
  2. 光束の前記変動に対する前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量は、前記光束の前記変動に応じた前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性の進化を表現する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程b)において、前記フィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長における前記フィルタの光学的透過度は、前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量、すなわち工程a)において判断された前記量が前記光束の前記強度の正変動に対する低い適応能力を示すので、それだけ低いと判断される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程b)において、前記フィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長における前記フィルタの光学的透過度は、前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量、すなわち工程a)において判断された前記量が前記光束の前記強度の負変動に対する低い適応能力を示すので、それだけ高いと判断される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程b)において、前記フィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長における前記フィルタの前記光学的透過度は、前記光束の前記強度の正変動及び負変動に対する前記装着者の前記動的感度を考慮しながら判断される、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 工程a)において、光束の前記変動に対する前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量は、光束の前記変動の前記装着者の快適性閾値速度及び/又は光束の前記変動中に前記装着者により知覚された前記光強度の快適性閾値を含み、並びに工程b)において、前記フィルタの少なくとも1つの空間的区域内の少なくとも1つの波長における前記フィルタの前記光学的透過度は、光束の前記変動の前記装着者の前記快適性閾値速度及び/又は光束の前記変動中に前記装着者により知覚された前記光強度の前記快適性閾値を考慮しながら判断される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記フィルタは、前記フィルタが少なくとも1つの波長における光の透過度の2つの異なるレベルに対応する明状態から暗状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、並びに工程b)において、前記明状態及び暗状態の少なくとも一方の透過レベルは光束の変動に対する前記装着者の前記動的感度に応じて判断される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記フィルタは、前記フィルタが少なくとも1つの波長における光の透過度の少なくとも2つの異なるレベルに対応する明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、並びに工程b)において、前記明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移るのに必要な時間は、前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量、すなわち工程a)において判断された前記量が前記光束の前記強度の負変動に対する低い適応能力を示すので、それだけ短いと判断される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記光束の前記変動に対する前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量は前記光束の前記変動に対する前記眼の適応時間に対応する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記フィルタは、前記フィルタが少なくとも1つの波長における光の透過度の少なくとも2つの異なるレベルに対応する明状態及び暗状態の一方から次の状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、工程a)において、光束の前記変動に対する前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量は、快適性閾値速度及び/又は光束の前記変動の前記装着者の快適性閾値の変動に対応し、並びに工程b)において、前記明状態と暗状態との間の透過度の差、及び/又はこれらの2つの状態間の移行の時間、及び/又は前記フィルタの前記明状態及び暗状態の一方から次の状態への移行の速度は、前記快適性閾値速度及び/又は快適性閾値の変動に応じて判断される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記フィルタは、前記フィルタが少なくとも1つの波長における光の透過度の2つの異なるレベルに対応する明状態から暗状態へ移ることを可能にするエレクトロクロミック又はフォトクロミック特性を有し、工程a)において、光束の前記変動に対する前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量は、光束の前記変動中に前記装着者により知覚された前記光強度の快適性閾値に対応し、並びに工程b)において、前記フィルタの前記明状態及び/又は前記暗状態の前記透過レベルは前記快適性閾値に応じて判断される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記光束の前記変動に対する前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量は、
    − 前記装着者の過去、現在及び/又は将来の光暴露習慣に関係するパラメータ、
    − 前記光束に対する前記装着者の静的感度に関係するパラメータ、
    − 前記光束の強度及び/又はスペクトルの空間的及び/又は時間的変動の振幅に関係するパラメータ、
    − 所与の輝度条件及び/又は光度変動条件下の前記装着者の前記視覚特性に関係する主観的パラメータ、
    − 所与の輝度条件及び/又は光度変動条件下の視覚的快適性に関係する主観的パラメータ、
    − 前記装着者の年齢に関係するパラメータ、
    − サングラスの使用に関係するパラメータ、
    − 前記装着者の前記眼の眼内散乱係数に関係するパラメータ、
    − 前記装着者の前記眼の黄斑色素の密度及び/又は分布に関係するパラメータ、
    − 光又は暗闇に適応するための前記網膜の能力に関係するパラメータ、
    − 前記輝度変動に対する動的瞳孔応答及び/又は別の瞳孔特性に関係するパラメータ、
    − 前記装着者が有する視覚的病理又は任意の眼球異常に関係するパラメータ、
    − 視覚的快適性及び/又は視覚特性の変動の表現又は測定された閾値に関係するパラメータ
    の少なくとも1つを考慮しながら判断される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程a)は前記装着者が習慣的に晒される前記動的光束を測定する工程を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 光束の前記変動に対する前記装着者の前記眼の前記動的感度を表現する前記量を判断する前記工程a)は、
    a1)前記装着者を光束の前記変動へ晒す工程と、
    a2)光束の前記変動に対する前記眼の前記適応に関係する量を測定する工程であって、光束の前記変動に晒される前記装着者に対して行われる、工程と
    を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 工程a1)において、前記装着者は第1の暴露段階中に所定の光束に晒され、次に前記装着者は暗闇第2段階中に暗闇に置かれ、工程a2)において、平均感度が、所定の感度値を取り戻すために前記第2段階の開始後の所定の期間中に及び/又は前記装着者の前記眼の光に対する前記感度に必要な時間に対応する暗闇への適応の時間中に測定される、請求項14に記載の方法。
  16. 工程a2)において、時間に伴う前記瞳孔のサイズの変動は工程a1)の光束の少なくとも前記変動中に判断される、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 工程a)において、前記光束の前記変動は、少なくとも:
    − 前記光束の強度の時間的及び/若しくは空間的変動並びに/又は、
    − 前記光束のスペクトルの時間的及び/若しくは空間的変動並びに/又は、
    − 前記光束の空間的分布の空間の変動及び/又は、
    − 前記光束の角度分布の空間の変動
    を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 工程a)において、前記装着者は、様々な所与の時間的変動プロファイルを有する前記光束の前記強度の様々な時間的変動、及び/又は様々な所与の時間的変動速度、及び/又は様々な所与の変動振幅及び/又は様々な所与の初期及び/又は最終光束強度に晒される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記フィルタが前記装着者により使用される環境を表現する量を判断する工程がさらに行われ、前記フィルタの前記光学特性は、前記環境を表現する前記量を考慮しながら判断される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズのフィルタであって、前記フィルタは、前記装着者の視覚的快適性及び/又は視覚特性を改善又は維持するように、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法によって判断される、フィルタ。
  21. 前記フィルタは、前記フィルタの前記判断された光学特性が選択された所定のフィルタと同じ光学特性に近くなるように一組の所定のフィルタから選択されるエレクトロクロミック又はフォトクロミックタイプの能動フィルタ又は受動フィルタである、請求項20に記載のフィルタ。
  22. 装着者の眼の前に置かれることを目的とした眼科用レンズであって、請求項20又は21に記載のフィルタを含む眼科用レンズ。
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