JP2019509285A - 2’−o−フコシルラクトースの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【化1】
Figure 2019509285

本発明は、2'-O-フコシルラクトースの製造方法、及び本方法において使用される式(I)の保護されたフコシルドナーに関する。本方法は、下記の式(I)のフコース誘導体を一般式(II)の化合物と、活性化試薬の存在下で反応させることを含む。式(I)及び(II)において、変数は、それぞれ以下のように定義される:Xは、Br又はS結合基、すなわち-SCN、-S(O)n-RX1又は-S-RX2であり(ここで、RX1は、好ましくは置換基を有していてもよいフェニルであり、RX2は、好ましくはC1〜C4-アルキル、2-オキサゾリン-2-イル、2-チアゾリン-2-イル、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル又はピリジン-2-イルである)、RSiは、同一又は異なっており、式SiRaRbRcの基であり(ここで、Ra、Rb及びRcは、好ましくはそれぞれメチルである)、R1は、C(=O)-R11基又はSiR12R13R14基であり(ここで、R11は、好ましくはメチル、フェニル、tert-ブチルであり、R12、R13及びR14は好ましくはそれぞれメチルである)、R2は、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキルであるか又は直鎖C3〜C6-アルカンジイル(これは非置換であるか、又は置換基として1〜6個のメチル基を有する)を一緒に形成し、R3は、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキルであるか又は直鎖C1〜C4-アルカンジイル(これは非置換であるか又は置換基として1〜6個のメチル基を有する)を一緒に形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、2'-O-フコシルラクトースの新規な製造方法、及び本方法において使用される保護されたフコシルドナーに関する。
2'-O-フコシルラクトース(CAS-No.:41263-94-9:α-L-フコピラノシル)-(1→2)-O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-D-グルコピラノース)は、母乳中に比較的多量に見出されるオリゴ糖である。母乳中に存在する2'-O-フコシルラクトースはそれに起因して、母乳で育てられている新生児において感染のリスクを低下させることが、様々に報告されてきた(例えば、Weichertら、Nutrition Research、33 (2013)、10巻、831〜838; Jantscher-Krennら、Minerva Pediatr. 2012、64 (1) 83〜99; Morrowら、J. Pediatr. 145 (2004) 297〜303を参照されたい)。したがって、2'-O-フコシルラクトースは、栄養補助食品の成分として、特にヒト化乳製品用、特に乳児栄養用の添加物として、特に興味深い。
古典的な化学的又は生化学的手段による2'-O-フコシルラクトースの製造については、文献において様々に記載されてきた(例えば、Carbohydrate Res.88(1) (1981) 51、Carbohydrate Res.154 (1986) 93〜101, Carbohydrate Res.212 (1991) C1〜C3、J. Org.Chem. (1997) 62、992、Heterocycles 84(1) (2012) 637、US5,438,124、WO2010/115934、WO2010/115935、WO2010/070616、WO2012/113404及びWO2013/48294を参照されたい)。化学的製造は、適切に保護されたアクセプター、すなわち部分的に保護され、ガラクトシル部分の2位に唯一の保護されていない水酸基を有するラクトース誘導体、例えば、4-O-(6-O-アセチル-3,4-イソプロピリデン-β-D-ガラクトピラノシル)-2,3;5,6-ビス-O-イソプロピリデン-D-グルコースジメチルアセタールと、アノマー水酸基の代わりに、例えば、チオアルキル基、アルケニルオキシ基、トリクロロアセトイミデート又は臭素原子を有する活性型フコシルドナー、例えば、メチル1-チオ-2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-L-フコピラノシド、メチル3,4-O-イソプロピリデン-2-O-(4-メトキシベンジル)-1-チオ-L-フコピラノシド、ペンテニル3,4-O-イソプロピリデン-2-O-(4-メトキシベンジル)-β-L-フコピラノシド、フェニル1-チオ-2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-L-フコピラノシド、2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-L-フコピラノシルブロミド、又は2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-L-フコピラノシルトリクロロアセトイミデート(フコースドナーに関連しては、上の引用文献及びTetrahedron Lett. 31 (1990) 4325を参照されたい)とのフコシル化に一般には基づいている。フコシル化試薬のベンジル保護基を、重金属含有触媒を使用する水素化分解により除去する必要があり、これによって、除去するのが困難であるとともに食料品には許容されない生成物中の不純物がもたらされることが、特定の欠点である。
例えば、R. K. Jainら、Carbohydrate Research、212 (1991)、pp.C1〜C3には、フコシル化試薬としてメチル3,4-O-イソプロピリデン-2-O-(4-メトキシベンジル)-1-チオ-β-L-フコピラノシド又はペンチル3,4-O-イソプロピリデン-2-O-(4-メトキシベンジル)-β-L-フコピラノシドを使用する、4-O-(6-O-アセチル-3,4-イソプロピリデン-β-D-ガラクトピラノシル)-2,3;5,6-ビス-O-イソプロピリデン-D-グルコースジメチルアセタールのフコシル化による2'-O-フコシルラクトースの製造経路が記載されている。しかし、このようなフコシル化試薬を製造するのは複雑であり、フコシル化ステップの後に、水素化分解脱ベンジル化を必要とする。類似の合成法がJ. Org. Chem. 1997、62、99に記載されている。
WO 2010/115934及びWO 2010/115934には、2-O-ベンジル化フコシルドナーを使用する2-フコシルラクトースの製造法が記載されている。フコシルドナーの製造法は、かなり複雑であり、さらに以下のフコシル化ステップで得られる保護された三糖は、水素化分解的脱保護を必要とする。類似の方法はWO 2010/070616から公知である。
Ottら、J. Carbohydr. Chem. 2001, 20 (7&8)、611〜636には、とりわけトリシリル化フコシル構築ブロック(しかし、これはスペーサー部分で変性される)を用いた2'-L-フコシルラクトース類似体の合成法が記載されている。
したがって、現在までに公知であるフコシル化方法は、ベンジル保護基の水素化分解的除去に由来する遷移物質及び芳香族などの完全に除去できない不純物を、また2'-O-フコシルラクトースのβ-異性体、すなわちβ-L-フコピラノシル-(1→2)-O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-D-グルコピラノースなどの望ましくない三糖も含んでいる2'-O-フコシルラクトースを一般にはもたらす。2'-O-フコシルラクトースをヒトの栄養において、特に乳児の栄養において使用する場合、このような不純物は特に問題である。
US5,438,124 WO2010/115934 WO2010/115935 WO2010/070616 WO2012/113404 WO2013/48294
Weichert et al., Nutrition Research、33 (2013)、10巻、831〜838 Jantscher-Krenn et al., Minerva Pediatr. 2012、64 (1) 83〜99 Morrow et al., J. Pediatr. 145 (2004) 297〜303 Carbohydrate Res.88(1) (1981) 51 Carbohydrate Res.154 (1986) 93〜101 Carbohydrate Res.212 (1991) C1〜C3 J. Org.Chem. (1997) 62、992、Heterocycles 84(1) (2012) 637 Tetrahedron Lett. 31 (1990) 4325 R. K. Jain et al., Carbohydrate Research、212 (1991)、pp.C1〜C3 J. Org. Chem. 1997、62、99 Ott et al., J. Carbohydr. Chem. 2001, 20 (7&8)、611〜636
先行技術における問題を伴わない、2'-O-フコシルラクトースの製造方法を提供することが本発明の一目的である。本方法により、簡便に製造することができる出発物質、特に簡単に入手できるフコシルドナーを使用することが、特に可能となるであろう。本方法により、フコシル化において良好な収率及び良好な立体選択性がさらに確実となるであろう。また、本方法は、遷移金属触媒を通す水素化分解によって任意の保護基が除去されることを回避するのに適しているであろう。
フコシルドナーとして作用し、以下の式(I)
Figure 2019509285
[式中、
RSiは適切なシリル保護基であり、
Xは適切な脱離基である]
のものである、アノマー脱離基を有するトリシリル化フコース誘導体を適切なラクトースアクセプター、すなわち下でより詳細に定義される一般式(II)の化合物と、活性剤の存在下で反応させることによって、一般式(III)の対応する、保護された2'-O-フコシルラクトース誘導体が良好な収率及び高い選択性で得られ、この誘導体を次いでそれ自体が公知な方法で脱保護して、必要とされる水素化ステップを実施することなく、2'-O-フコシルラクトースを得ることができることが判明した。
したがって、本発明は、まず第一に、
a)一般式(I)
Figure 2019509285
のフコース誘導体
[式中、
RSiは、式SiRaRbRcの同一又は異なる基であり(ここで、
Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、フェニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルから選択される)、
Xは、Br、及びS結合基、すなわち-SCN、-S(O)n-RX1又は-S-RX2からなる群から選択される(ここで、
nは、0、1又は2であり、
RX1は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する、アリールであり、
RX2は、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、ベンジル(ここで、ベンジルのフェニル部分は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する)、結合点に対してオルト位に窒素原子を、場合により他方のオルト位にO及びSから選択される第2のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、縮合ベンジル部分を場合により有し得る)からなる群から選択される)]

一般式(II)
Figure 2019509285
の化合物
[式中、
R1は、C(=O)-R11基又はSiR12R13R14基であり(ここで、
R11は、水素、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキル又はフェニルであり(ここで、前記フェニルは、非置換であるか又はハロゲン、CN、NO2、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-アルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する)、並びに
R12、R13及びR14は、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、フェニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルから選択される)、
R2は、同一でも異なっていてもよく、C1〜C8-アルキルを示し、又は同一炭素原子に結合している2個のR2基は直鎖C3〜C6-アルカンジイル(これは非置換であるか又は置換基として1〜6個のメチル基を有する)を一緒に形成し、
R3は、同一でも異なっていてもよく、C1〜C8-アルキルを示し、又は直鎖C1〜C4-アルカンジイル(これは非置換であるか又は置換基として1〜6個のメチル基を有する)を一緒に形成する]
と反応させるステップ、及び
b) ステップa)において得られた一般式(III)
Figure 2019509285
[式中、RSi、R1、R2及びR3は、上記のように定義される]
のカップリング生成物を脱保護して、2'-O-フコシルラクトースを得るステップ
を含む、2'-O-フコシルラクトースの製造方法に関する。
式(III)の化合物は、本発明の方法のステップb)において、1ステップで全ての保護基を除去することによって、あるいは2つ以上のステップで保護基を連続除去することによって、脱保護され得る。後者の場合、以下の一般式(IIIa)、(IIIb)、及び(IIIc)の部分的に保護された2'-O-フコシルラクトース誘導体は、中間生成物:
Figure 2019509285
Figure 2019509285
[式中、R1、R2、R3及びR11は、式(II)で定義された通りである]
として得られ得る。
本発明は、さらに、アノマー脱離基として、Br基又はS結合基を有する2,3,4-トリシリル化フコシルドナーにも関する。この関連で、1-(4-メチル-チオフェニル)-2,3,4-O-トリメチルシリル-L-フコピラノースは、Y. -C. Koら、J. Am. Chem. Soc、2014、136 (41)、 14425〜31から公知であり、1-スルフィニルフェニル-2,3,4-O-トリエチルシリル-L-フコピラノースは、US5,700,916において記載されており、1-チオエチル-2,3,4-O-トリエチルシリル-L-フコピラノース及び1-チオエチル-2,3,4-O-トリ(tert-ブチルジメチルシリル)-L-フコピラノースは、R. Daly、J. Org. Chem. 2013、78 (3)、1080〜90から公知であり、1-ブロモ-2,3,4-O-トリ-(tert-ブチルジメチル-シリル)-L-フコピラノースもまた、先行技術から公知である。したがって、本発明は、特に一般式(I)のフコース誘導体
[式中、
RSiは、式SiRaRbRcの同一又は異なる基であり(ここで、
Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、フェニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルから選択される)、
Xは、Br、及びS結合基、すなわち-SCN、-S(O)n-RX1又は-S-RX2からなる群から選択される(ここで、
nは、0、1又は2であり、
RX1は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する、アリールであり、
RX2は、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、ベンジル(ここで、ベンジルのフェニル部分は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する)、結合点に対してオルト位に窒素原子を、場合により他方のオルト位にO及びSから選択される第2のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、縮合ベンジル部分を場合により有し得る)からなる群から選択される)]
であって、
- RSiがトリメチルシリルであり、且つXが-S-(4-メチル-フェニル)である、
- RSiがトリエチルシリルであり、且つXが-S-エチル又は-S(O)-フェニルである、又は
- RSiがtert-ブチルジメチルシリルであり、且つXがBr又は-S-エチルである
式(I)の化合物を除く、一般式(I)のフコース誘導体に関する。
本発明の方法は一連の長所に関連している。本方法により、良好な収率及び良好な立体選択性で式(III)の一次カップリング生成物が得られる。式(III)の化合物中の保護基の除去は、遷移金属触媒を通す水素化分解を必要とせず、温和な加水分解条件下で可能である。式(III)の、特に式(IIIa)及び(IIIb)の生成中間体は、安定であり、特に保存時に安定であり、精製することができる。また、本方法は比較的大きなスケールで容易に実施することができる。さらなる長所とは、本発明に記載の方法により入手できる2'-O-フコシルラクトースは、公知の2'-O-フコシルラクトースと比較して、除去不可能な不純物、例えば水素化から生じる重金属及び重金属化合物、及びベンジル保護基の水素化により形成されるアルキル芳香族化合物も含まないか、又はこれらをはるかに少量で含むのみである、ことである。さらに、本発明の方法により、望ましくないβ-異性体は形成されないか又は極低い程度で形成されるのみであるが、この程度は先行技術の方法において形成されるβ-異性体の量と比較してさらに低い。実際、式(I)の化合物を式(II)の化合物と反応させることにより、式(III)の化合物の望ましくないβ-異性体は、β-異性体(III-β)とα-異性体(III-α)のモル比が1:7、特に約1:10を超えないような、すなわち約1:8〜1:15の範囲であるような、このような微量で形成される。したがって、本発明の方法により、任意選択でのさらなる精製の後に、望ましくないβ-異性体を1.5重量%未満で、特に1.0重量%未満で含有している所望の2'-O-フコシルラクトースを製造することが可能である。
Figure 2019509285
本発明に記載の方法により得られる2'-O-フコシルラクトースに関する品質が、この2'-O-フコシルラクトースを食料品の製造に特に適したものとする。したがって、本発明はまた、
- 本明細書に記載の方法により使用される式(I)の2,3,4-トリシリル化フコシルドナー、
- 本明細書に記載の方法により得られる2'-O-フコシルラクトース、
- 食料品において又は食品添加物として、本明細書に記載の方法により入手できる2'-O-フコシルラクトースの使用、及び
- 本明細書に記載の方法により入手できる2'-O-フコシルラクトース及び食料品に適した少なくとも1つの担体を含む、食料品又は食品添加物、
にも関する。
本発明に関して、総称的に使用される用語を以下の通り定義する。
接頭辞Cx〜Cyは、特定の場合において、可能性のある炭素原子の数を示す。
用語「ハロゲン」は、各場合において、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素、特にフッ素、塩素又は臭素を示す。
用語「C1〜C4-アルキル」は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、ブチル、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソブチル)又は1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)を示す。
用語「C1〜C8-アルキル」は、1〜8個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。具体例は、C1〜C4-アルキルに関して記載した基に加えて、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-ペンチル、2-ヘキシル、2-ヘプチル、2-オクチル、3-ペンチル、3-ヘキシル、3-ヘプチル、3-オクチル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、4-エチルペンチル、2-エチルヘキシル及びそれらの位置異性体である。
用語「C1〜C8-ハロアルキル」とは、1個以上又は全部の水素原子がハロゲン原子で、特にフッ素又は塩素原子で置き換えられている、1〜8個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子(C1〜C4-ハロアルキル)を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。本発明での例は、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2-ジフルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピルなどである。
用語「C1〜C4-アルコキシ」とは、酸素原子を介して結合している1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の飽和アルキル基を示す。C1〜C4-アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、1-メチルプロポキシ(sec-ブトキシ)、2-メチルプロポキシ(イソブトキシ)及び1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ)である。
用語「C1〜C4-ハロアルコキシ」とは、酸素原子を介して結合している1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の飽和ハロアルキル基を意味する。この場合の例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-フルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、3,3,3-トリフルオロプロパ-1-オキシ、1,1,1-トリフルオロプロパ-2-オキシ、1-フルオロブトキシ、2-フルオロブトキシ、3-フルオロブトキシ、4-フルオロブトキシなどである。
用語「C3〜C8-シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子を含む、環状、飽和ヒドロカルビル基を示す。例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルがある。
用語「C3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキル」とは、上に定義したように、1個の水素原子がC3〜C8-シクロアルキルにより置き換えられている、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。
用語「直鎖C1〜C4-アルカンジイル」とは、1〜4個の炭素原子を有する、直鎖、二価ヒドロカルビル基、例えば、メチレン、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、及びブタン-1,4-ジイルを示す。
用語「直鎖C3〜C6-アルカンジイル」とは、3〜6個の炭素原子を有する、直鎖、二価ヒドロカルビルジラジカル、例えば、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル及びヘキサン-1,6-ジイルを示す。
用語「結合点に対してオルト位に窒素原子を、場合により他方のオルト位にO及びSから選択される第2のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、縮合ベンジル部分を場合により有し得る)」とは、5又は6員の飽和、部分不飽和又は芳香族の、分子の残りの部分にある複素環の結合点に対してオルト位に、水素原子で置換されていてもいなくてもよい窒素原子を有する、複素環を指す。他方のオルト位に、複素環は、O及びSから選択される第2のヘテロ原子を場合により有する。このような複素環の例は、2-ピロリジニル、2-オキサゾリジニル、2-チアゾリジニル、2-ピペリジニル、1,3-オキサジナン-2-イル、1,3-チアジナン-2-イル、1-ピロリン-2-イル、1-ピロリン-5-イル、2-ピロリン-2-イル、2-ピロリン-5-イル、3-ピロリン-2-イル、2-オキサゾリン-2-イル、3-オキサゾリン-2-イル、4-オキサゾリン-2-イル、2-チアゾリン-2-イル、3-チアゾリン-2-イル、4-チアゾリン-2-イル、1,4-ジヒドロピリジン-2-イル、5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン-2-イル、5,6-ジヒドロ-2H-1,3-オキサジン-2-イル、2,3-ジヒドロ-6H-1,3-オキサジン-2-イル、2,3-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン-2-イル、5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジン-2-イル、5,6-ジヒドロ-2H-1,3-チアジン-2-イル、2,3-ジヒドロ-6H-1,3-チアジン-2-イル、2,3-ジヒドロ-4H-1,3-チアジン-2-イル、2H-1,3-オキサジン-2-イル、4H-1,3-オキサジン-2-イル、6H-1,3-オキサジン-2-イル、2H-1,3-チアジン-2-イル、4H-1,3-チアジン-2-イル、6H-1,3-チアジン-2-イル、2-ピロリル、2-オキサゾリル、2-チアゾリル及び2-ピリジニルである。このような複素環は、縮合ベンジル部分を場合により有し得る、すなわち複素環及びベンジル部分は、隣接する2つの炭素原子を共有する。縮合ベンジル部分を有するこのような複素環の例は、インドリン-2-イル、イソインドリン-1-イル、ベンゾオキサゾリン-2-イル、ベンズチアゾリン-2-イル、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン-2-イル、インドール-2-イル、イソインドール-1-イル、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンズチアゾール-2-イル、キノリン-2-イル、2H-1,3-ベンゾオキサジン-2-イル及び2H-1,3-ベンズチアジン-2-イルである。
用語「食料品」又は「食品」とは、哺乳動物、特にヒトの栄養として意図され、それとして適した組成物及び製剤を示す。本発明に関して、これらには、天然物、例えば乳製品に基づく組成物、及び例えば食事又は医学的栄養向けの人工的に製造された製剤の双方が含まれるが、このような製剤は、直接使用することも可能であるし、又は場合により、液体を添加することにより使用前にすぐに使用できる製剤に転換させる必要がある。
用語「食品添加物」とは、食料品と混合して、化学的、物理的又は生理学的効果も達成する物質を示す。
本発明に記載の方法及び式(II)、(III)、(IIIa)及び(IIIb)の化合物に関し、1つの式内の変数R2は各場合において同一の定義を有することが好ましい。R2は、特にC1〜C4-アルキル、とりわけメチルであり、又は同一炭素原子に結合している2個のR2基は共に1,5-ペンタンジイルであり、したがって、それらが結合している炭素原子とともにシクロヘキサン-1,1-ジイル残基を形成している。全てのR2基はとりわけメチルである。
本発明に記載の方法及び式(II)、(III)、(IIIa)及び(IIIb)の化合物に関し、1つの式内の変数R3は各場合において同一の定義を有することが好ましい。R3は、特にC1〜C4-アルキル及びとりわけメチルである。
本発明に記載の方法及び式(I)及び(III)の化合物に関し、1つの式内の変数RSiは各場合において同一の定義を有することが好ましい。RSiは、特にトリ(C1〜C4-アルキル)シリル、とりわけトリメチルシリルであり、すなわちSiRaRbRc基において、Ra、Rb及びRc基は、同一又は異なっており、特にC1〜C4-アルキル、とりわけメチルである。
本発明の好ましい第1の実施形態は、式(I)の化合物において、X基はBrである一方法に関する。
好ましい第2の実施形態は、式(I)の化合物において、X基はBrとは異なるS-結合基、好ましくは-S-RX1又は-S-RX2(ここで、
RX1は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-アルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を場合により有するフェニルであり、
RX2は、C1〜C4-アルキル、2-オキサゾリン-2-イル、2-チアゾリン-2-イル、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル及びピリジン-2-イルからなる群から選択される)
である、一方法に関する。
言い換えれば、この実施形態によれば、X基は、好ましくはC1〜C4-アルキルチオ、2-オキサゾリン-2-イルチオ、2-チアゾリン-2-イルチオ、ベンゾオキサゾール-2-イルチオ、ベンゾチアゾール-2-イルチオ、ピリジン-2-イルチオ及びフェニルチオ(ここで、フェニル部分は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-アルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を場合により有する)からなる群から選択される。さらに、この実施形態によれば、X基は、特にC1〜C4-アルキルチオ及びフェニルチオ(ここで、フェニル部分は、非置換であるか又はBr、Cl、C1〜C4-アルキル及びC1〜C2-アルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を場合により有する)、特にメチルチオ、エチルチオ又はフェニルチオから選択される。
第3の実施形態は、式(II)及び(III)の化合物において、R1基は、SiR12R13R14基、特にトリ(C1〜C4-アルキル)シリル、特にトリメチルシリル、すなわちSiR12R13R14基において、R12、R13及びR14は、同一又は異なっており、特にC1〜C4-アルキル、特にメチルである一方法に関する。この実施形態によれば、式(IIIa)におけるR1基は、トリ(C1〜C4-アルキル)シリル、特にトリメチルシリルである。
第4の好ましい実施形態は、式(II)及び(III)の化合物において、R1基は、-C(=O)-R11基[式中、R11は上記に定義された通りであり、特に水素、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル又はフェニルであり(ここで、これらは、ハロゲン、メチル及びエチルから選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい)、特にメチル、tert-ブチル、フェニル、4-クロロフェニル又は4-メチルフェニルであり、具体的にはメチル、tert-ブチル、フェニルである]である、一方法に関する。したがって、この実施形態において、R1基は、特にアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル又は4-メチルベンゾイル、具体的にはアセチル、ピバロイル又はベンゾイルである。この実施形態に関して、式(IIIc)におけるR11基もまた、上記の好ましいものと同じ意味を有する。
本発明のある特定の実施形態では、R11はメチルと異なる。実施形態の特別の群では、R11はメチルである。実施形態のさらなる特別の群では、R11はtert-ブチル又はフェニルである。
式(I)の特に好ましい化合物の例は、全てのRSi基がトリメチルシリルであり、且つX基がBrである、式(I)の化合物である。
式(I)のさらなる特に好ましい化合物の例は、
- 全てのRSi基がトリメチルシリルであり、且つX基がメチルチオである、式(I)の化合物、
- 全てのRSi基がトリメチルシリルであり、且つX基がエチルチオである、式(I)の化合物、及び
- 全てのRSi基がトリメチルシリルであり、且つX基がフェニルチオである、式(I)の化合物である。
本発明の方法において、式(I)の化合物は、原則として、そのα-アノマー(I-α)又はそのβ-アノマー(I-β)の形態、あるいはそのα-アノマー(I-α)とそのβ-アノマー(I-β)の混合物の形態で使用されてもよい。
Figure 2019509285
しかし、本発明の方法において使用される化合物Iのアノマー性は、通常、新たに形成されたグリコシド結合のアノマー性、すなわち式(III)の化合物におけるフコシル部分の結合が、α-構成であるか、β-構成であるかにあまり影響しない。
式(II)の特に好ましい化合物の例は、全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、且つR1がトリメチルシリルである、式(II)の化合物である。
式(II)のさらに特に好ましい化合物の例はまた、全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、且つR1がアセチルである、式(II)の化合物である。
式(II)のさらに特に好ましい化合物の別例はまた、全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、且つR1がベンゾイルである、式(II)の化合物である。
式(II)のさらに特に好ましい化合物の別例はまた、全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、且つR1がピバロイル、すなわち-C(=O)-C(CH3)3である、式(II)の化合物である。
式(III)の特に好ましい化合物の例は、
- 全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、全てのRSi基がトリメチルシリルであり、且つR1がトリメチルシリルである、式(III)の化合物、
- 全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、全てのRSi基がトリメチルシリルであり、且つR1がアセチルである、式(III)の化合物、
- 全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、全てのRSi基がトリメチルシリルであり、且つR1がピバロイルである、式(III)の化合物
である。
R1が、-C(=O)-R11基である、式(IIIa)の特に好ましい化合物の例は、
- 全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、且つR11がメチルである、R1=-C(=O)-R11である、式(IIIa)の化合物、
- 全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、且つR11がフェニルである、R1=-C(=O)-R11である、式(IIIa)の化合物、
- 全てのR2基がメチルであり、全てのR3基がメチルであり、且つR11がtert-ブチルである、R1=-C(=O)-R11である、式(IIIa)の化合物である。
式(IIIb)の特に好ましい化合物の例は、
- 全てのR2基がメチルであり、且つ全てのR3基がメチルである、式(IIIb)の化合物である。
式(IIIc)の特に好ましい化合物の例は、
- R11がメチルである、式(IIIc)の化合物、
- R11がエチルである、式(IIIc)の化合物、
- R11がフェニルである、式(IIIc)の化合物、
- R11がtert-ブチルである、式(IIIc)の化合物
である。
本発明に記載の方法のステップa)において、フコシルドナーとして作用する式(I)のフコース誘導体は、活性化試薬の存在下で、式(II)の化合物と反応して、式(III)のフコシル化された化合物を提供する。第1又は第2の実施形態に記載の式(I)のフコース誘導体が使用されているかどうか、すなわちX基がBrか又はS-結合基かに応じて、ステップa)におけるフコシル化反応は、以下それぞれ工程A及び工程Bとも称される。
工程A及びBに関して、原則として、任意の試薬が、アノマー脱離基として、工程Aの場合Br基、工程Bの場合S-結合基のどちらかを有するグルコシルドナーを用いるグリコシル化を促進するために、先行技術において公知である活性化試薬として適切である。
このようなグルコシルドナーを用いるグルコシル化は、例えば、「Handbook of Chemical Glycosylation」、Alexei V. Demchenko編、2008、Wiley-VCH Verlag, Weinheim、Germany、及びその中に引用されている文献において開示されている。
工程Bのフコシル化、すなわちXがS-結合基である式(I)の化合物を使用するステップa)の反応に関して、活性化試薬は、以下のグリコシル化促進試薬:
i) クロラミンT、すなわち、例えば、A. K. Misraら、 Carbohydr. Res. 2004、339、885〜890に記載されている、N-クロロ4-メチルベンゼンスルホンアミドのナトリウム塩、
ii) 例えば、R. U. Lemieuxら、Canadian Journal of Chemistry 1965、43、2205、G. H. Veenemanら、Tetrahedron Lett. 1990、31、275〜278、及びOttら、J. Carbohydr. Chem. 2001、20(7&8)、611〜636に記載されている、ヨードニウムジコリジンパークロレート(iodonium dicollidine perchlorate)、
iii) 例えば、P. Fugediら、Carbohydr. Res. 1986、149m、C9-C12、及びOttら、J. Carbohydr. Chem. 2001、20 (7&8)、611-636に記載されている、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフラート、
vi) 例えば、K.C. Nicolaouら、J. Am. Chem. Soc. 105 (1983)、2430〜34に記載されている、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、
v) N-ヨードスクシンイミド(NIS)、
vi) 例えば、M. Sasakiら、Tetrahedron Lett. 1991、32、6873〜76に記載されている、N-ブロモスクシンイミド+トリフリン酸(TfOH)、
vii) 例えば、Z. H. Qinら、Carbohydr. Res. 2002、337、31〜36に記載されている、N-ブロモスクシンイミド+トリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)、
viii) 例えば、G. H. Veeneman ら、Tetrahedron Lett. 1990、31、1331〜34、及びP. Konradssonら、Tetrahedron Lett. 1990、31、4313〜16に記載されている、N-ヨードスクシンイミド+トリフル酸、
ix) 例えば、G. H. Veenemanら、Tetrahedron Lett. 1990、31、1331〜34、及びP. Konradssonら、Tetrahedron Lett. 1990、31、4313〜16に記載されている、N-ヨードスクシンイミド+トリメチルシリルトリフラート、
x) 例えば、J. O. Kihlbergら、J. Org. Chem. 1990、55、2860〜63に記載されている、臭素(Br2)+銀(I)トリフラート(AgTf)、
xi) 例えば、J. D. C. Codeeら、Tetrahedron 2004、60、1057〜64、及びJ. D. C. Codeeら、Organic Letters 2003、5、1519〜22に記載されている、ジフェニルスルホキシド(Ph2SO)+トリフル酸無水物(TfO2)、
xii) 例えば、P. Curaら、Synlett 2000、1279〜80、及びK. P. R. Karthaら、 Tetrahedron: Asymmetry 2000、11、581〜593に記載されている、ヨウ素(I2)+ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、及び
xiii) 例えば、J. O. Kihlbergら、J. Org. Chem. 1990、55、2860〜63、及びS. Satoら、Carbohydr. Res. 1986、155、C6-C10に記載されている、臭化銅(II)(CuBr2)+テトラ-(C1〜C6-アルキル)アンモニウム臭化物((C1〜C6-アルキル)4NBr)
から選択されるのが好ましい。
このような試薬又はグリコシル化促進剤は、X基が、C1〜C4-アルキルチオ、2-オキサゾリン-2-イルチオ、2-チアゾリン-2-イルチオ、ベンゾオキサゾール-2-イルチオ、ベンゾチアゾール-2-イルチオ、ピリジン-2-イルチオ及びフェニルチオ、特にメチルチオ、エチルチオ及びフェニルチオからなる群から選択される式(I)のフコース誘導体を使用する、工程Bのフコシル化に特に適切である。
工程Bにおいて使用される活性化試薬が、それぞれが単一成分からなる試薬i)〜v)のうちの1種である場合、活性化試薬は、式(I)の化合物1モル当たり、0.05〜2モル当量、好ましくは0.5〜1.5モル当量、特に0.8〜1.2モル当量の量で一般に使用される。
工程Bにおいて使用される活性化試薬が、それぞれが2種の異なる成分からなる試薬vi)〜xiii)のうちの1種である場合、式(I)の化合物1モル当たり、第1の成分、すなわちNBS、NIS、Br2、Ph2SO、I2又はCuBr2が1〜2モル当量、好ましくは1〜1.5モル当量、且つ第2の成分、すなわちTfOH、TMSOTf、AgTf、TfO2、HMDS又は(C1〜C6-アルキル)4NBrが0.01〜2モル当量、好ましくは0.05〜1.5モル当量となるような量で通常使用される。
場合によっては、試薬vi)〜xiii)の第2の成分を、式(I)の化合物1モル当たり、通常1〜2モル当量、特に1〜1.5モル当量の量で使用することは有益であり得る。しかし、他の場合、試薬vi)〜xiii)の第2の成分を、式(I)の化合物1モル当たり、通常0.01〜0.25モル当量、特に0.05〜0.1モル当量の量で使用することは有益であり得る。
より好ましくは、工程Bのフコシル化は、促進剤iv)〜xiii)、特に促進剤iv)〜xi)、具体的には促進剤vi)、vii)、viii)及びix)、すなわちNBS+トリフル酸、NBC+トリメチルシリルトリフラート、NIS+トリフル酸、及びNIS+トリメチルシリルトリフラートから選択される活性化試薬の存在下で実施される。
工程Aのフコシル化、すなわちX=Brである式(I)の化合物を使用するステップa)の反応に関して、活性化試薬は、アルカリ土類金属臭化物及びテトラ-(C1〜C6-アルキル)アンモニウム臭化物から選択される、特にテトラ-n-ブチルアンモニウムであるのが好ましい、グリコシル化促進剤である。
工程Aにおいて、活性化試薬は、式(I)の化合物1モル当たり、0.05〜2モル当量、好ましくは0.5〜1.5モル当量、特に0.8〜1.2モル当量の量で一般には使用される。
本発明の方法のステップa)、すなわち工程A)並びに工程B)において、式(I)及び(II)の化合物は、一般に1:3〜3:1、特に1:2〜2:1、特に好ましくは1:1.5〜1.5:1、特に1:1.1〜1.1:1の範囲の式(I)の化合物と式(II)の化合物のモル比で互いに反応させる。
ステップa)、すなわち式(I)のフコース誘導体と式(II)の化合物との反応は、不活性有機溶媒又は希釈剤中で一般に実施される。非プロトン性溶媒、特に、水、アルコール又は酸などのプロトン性不純物の含有量の低いものが好ましい。溶媒中のプロトン性不純物の含有量は、1000ppm未満が好ましい。好ましくは、本発明に記載の方法において使用される前に、非プロトン性溶媒は、適切な吸収剤、例えば、細孔径が3〜4オングストロームの分子ふるいを用いる処理によって、処理されて、プロトン性不純物、特に水の含有量を減少させる。好ましい非プロトン性有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロアルカン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)及び1,4-ジオキサンなどの非環式及び環式エーテル、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルアセトアミドなどの脂肪族カルボン酸のジメチルアミド、及びアセトニトリルなどのアルキルニトリル、及び上記溶媒の混合物である。特に好ましい非プロトン性有機溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリル、DMF、トルエン、THF、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、及びこれらの混合物である。また、ステップa)における反応に関して、溶媒は、全ての成分が溶解した形態で存在するように、選択されるのが好ましい。
ステップa)における反応は、-100〜30℃の範囲及び特に-20〜0℃の範囲の温度で実施するのが好ましい。反応は、大気圧で、減圧で又は高圧で実施することができる。反応は、900〜1100mbarの範囲の圧力で一般には行う。
ステップa)の反応により得られた式(III)の化合物を、通例の後処理方法により分離することができ、結晶化及び/又はグラクロマトグラフィーにより場合により精製することができる。あるいは、式(IIIa)、(IIIb)又は(IIIc)、又は2'-O-フコシルラクトースの化合物のうちの1種が得られるように、ステップa)の反応により得られた式(III)の化合物を、少なくとも部分的な又は完全な脱保護に直接供することも可能である。
変数XがBrである式(I)のフコース誘導体が、XがS-結合基、特にチオメチル、チオエチル又はチオフェニルである式(I)の対応するフコース誘導体を元素状臭素と反応させることによって簡便に製造され得ることが驚いたことに判明した。このため、臭素は、XがS-結合基である式(I)のフコース誘導体1モル当たり、0.8〜2モル、好ましくは1〜1.8モル、特に1.1〜1.5モルの量で通常使用される。
XがS-結合基である式(I)の化合物は、-100〜40℃の範囲、特に-80〜10℃の範囲、特に-20〜0℃の範囲における温度で、臭素と一般には反応させる。反応は、大気圧又は減圧又は高圧で実施することができる。反応は、900〜1100mbarの範囲内の圧力で一般には実施する。
XがS-結合基である式(I)の化合物と、臭素との反応は、上記の不活性有機溶媒又は希釈剤のうちの1種の中で一般に実施される。ここでは、上記の非プロトン性溶媒、特に、水、アルコール又は酸などのプロトン性不純物の好ましくは1000ppm未満の含有量の低いものが好ましい。この文脈において特に好ましい溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリル、DMF、トルエン、THF、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、及びこれらの混合物である。
上述のように、X=Brである式(I)の化合物は、式(III)の化合物を製造するために、本発明の方法において使用される適切なフコシルドナーである。したがって、本発明の特定の態様は、式(III)の化合物を得るために、ステップa)が、式(I)[式中、X基はBrとは異なるS-結合基である]の化合物を臭素と反応させて、式(I)[式中、XはBrである]の化合物を得ることと、続いて式(I)[式中、XはBrである]の化合物を式(II)の化合物と、活性化試薬の存在下で反応させることとを含む、発明の方法に関する。
XがS-結合基である式(I)の化合物の反応から得られた反応生成物は、臭素は単離されないのが好ましいが、それ以上の単離も精製もせずに、本明細書において先に詳細に詳述されている本発明の方法のステップa)における式(II)の化合物との反応に供される。したがって、その場でX=Brである式(I)の化合物を製造し、次いでこの手段で得られた反応混合物に、式(II)の化合物並びに活性化試薬を直接添加することは、ステップa)のフコシル化を開始するために可能である。
あるいは、XがS-結合基である式(I)の化合物の反応から得られる反応生成物は、臭素と共に、例えば、反応混合物の揮発性成分を、好ましくは減圧下で除去すること、及びおそらく結晶化及び/又はクロマトグラフィーなどのさらなるステップによって、精製又は単離することもできる。
本発明の方法のステップb)において、式(III)の化合物の脱保護を、公知の脱保護反応と同様に行い、加水分解法により実施するのが好ましい。そのような保護基の切断条件は、例えば、P.G.M. Wutsら、"Greene's Protecting Groups in Organic Synthesis"、4版、Wiley 2006、及びこれに引用されている文献、又は2'-O-フコシルラクトースの製造について冒頭で引用された参考文献から、当業者にとって馴染みである。
本発明の第1の実施形態b.1)によれば、式(III)の化合物を酸の存在下、水で処理する。このようにして、式(III)の化合物から全ての保護基を完全に切断することが一般には行われ、2'-O-フコシルラクトースが得られる。
適切な酸は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、リン酸水素アルカリ金属塩及びリン酸二水素アルカリ金属塩又は硫酸水素アルカリ金属塩、例えばリン酸二水素ナトリウム若しくはリン酸水素カリウムなどの鉱酸の酸性塩、加えて、酢酸、プロピオン酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、並びにメタンスルホン酸などの有機硫酸である。酸は、稀薄水性酸として、例えば、5〜70濃度重量%溶液として、一般には使用される。高い頻度で、稀薄水性酸は適切な有機溶媒と組合せで使用される。それらの例は、C1〜C4-アルカノール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、1-ブタノール又はtert-ブタノールなどの水と混和する有機溶媒、テトラヒドロフラン又はジオキサンなどの環状エーテル、並びにまた水との限定された混和性のみを有する有機溶媒、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロアルカン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、及びまたジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル若しくはメチルtert-ブチルエーテルなどのジアルキルエーテルである。必要とされる反応条件は、P. G. M. Wutsら、同上、及びこれに引用されている文献、又は2'-O-フコシルラクトースの製造について冒頭で引用された参考文献から、当業者にとって公知である。保護基の除去に続いて、酸を通常中和し、次いで生成物を、水分を除去することにより分離する。アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属重炭酸塩を含めて、この目的のために従来使用されている塩基を使用することにより中和を行うことができる。塩基性又は強塩基性イオン交換樹脂を使用することにより中和を行うこともでき、なぜなら、これにより、生成物溶液中に塩を生成することなく中和することが可能となるからである。
実施形態b.1)では、保護基の切断を、水性媒体中の酸性イオン交換樹脂の手段で行うこともできる。これによって、別個の中和ステップを回避することができる。
本発明のさらなる一実施形態b.2)によれば、式(III)[式中、R1は-SiR12R13R14基である]の化合物を、脱シリル化試薬でまず処理し、ここで、式(IIIb)
Figure 2019509285
の化合物が得られる。
-SiR12R13R14基と-SiRaRbRc基との双方が同時に切断されるように、脱シリル化は一段階で実施することが可能である。SiR12R13R14基とSiRaRbRc基とが異なる反応性を有する場合、これは続けて実施することもできる。
脱シリル化用の適切な試薬は、例えば、水の添加で又は無添加で、上記のC1〜C4アルコール、特にメタノール、及びまた炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムなどの、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸塩及び炭酸水素塩であり、水の添加で又は無添加で、上記のC1〜C4アルコールのうち1つの溶液であるのが好ましく、特にメタノール溶液である。適切な脱シリル化試薬はまたフッ化テトラアルキルアンモニウムでもあり、これは、極性、非プロトン性有機溶媒中で、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサンなどの環式エーテル中で、又はジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセタミドなどの脂肪族カルボン酸のジ-C1〜C4-アルキルアミド中で、又はアセトニトリルなどのアルキルニトリル中で、又は上記極性、非プロトン性有機溶媒の混合物中で、使用するのが好ましい。必要とされる反応条件は、例えばP. G. M. Wutsら、同上、及びこれに引用されている文献から、当業者にとって公知である。
続いて、残りの保護基を、酸の存在下で、式(IIIb)の化合物を水で処理することにより除去する。これは、実施形態b.1)に記載の方法で実施することができる。
本発明のさらなる一実施形態b.3)によれば、式(III)[式中、R1は-C(O)R11基である]の化合物を、脱シリル化試薬でまず処理し、ここで、式(IIIa')
Figure 2019509285
の化合物が得られる。
式(IIIa')の化合物は式(IIIa)[式中R1は-C(O)-R11基である]の化合物に対応する。続いて、-C(O)-R11基及び残りの保護基を、同時に又は順に除去する。
式(III)[式中、R1は-C(O)R11基である]の化合物の脱シリル化を、式(III)の化合物を脱シリル化試薬で処理することにより、実施形態b.2)と同様に行うことができる。脱シリル化に必要とされる反応条件は、例えばP. G. M. Wutsら、同上、及びこれに引用されている文献から、当業者にとって公知である。
エステル基-C(O)-R11のその後の切断は、塩基性ケン化により又は塩基性触媒エステル交換反応若しくは酵素触媒エステル交換反応により、それ自体が公知な方法で行うことができる。この目的のための方法は、例えばP. G. M. Wutsら、同上から又はKocienskyら、"Protective groups"、3版、4.6章、Thieme 2005から公知である。残りのC(R2)2及びOR3の保護基を次いで、それ自体が公知な方法で、実施形態b.1)と関連して既に記載のように、例えば水性酸で処理することにより除去する。
さらなる一実施形態b.4)によれば、代替的に、手順はまた、実施形態b.1)と関連して既に記載のように、C(R2)2及びOR3の保護基を、例えば水性酸で処理することにより式(IIIa')の化合物から最初に除去するようなものであり、ここで、先に記載のように一般式(IIIc)の化合物が得られる。次いでエステル基-C(=O)-R11を、それ自体が公知な方法で、例えば塩基性ケン化若しくは塩基性エステル交換反応により又は酵素触媒エステル交換反応により、式(IIIc)の化合物から切断することができる。
特に好ましい一実施形態b.5)によれば、R1が-C(O)-R11基である式(III)の化合物を、C1〜C4-アルカノール及びアルカリ金属塩基でまず処理し、これにより、式(IIIb)の化合物が得られ、その後に残りの保護基を、酸性反応条件下で除去する。この実施形態では、R11は、メチル、エチル又はtert-ブチルなどのC1〜C4-アルキルであるのが好ましい。そのことにより、脱シリル化とエステル基-C(O)-R11の除去とを互いにリンクすることができ、単一ステップで行うことが可能である。この場合適切な試薬は、溶媒としてメタノールなどのC1〜C4-アルカノール中の上記のアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩である。この目的のため、メタノールと炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムとの組合せが特に有用である。この目的のため必要とされる反応条件は、当業者にとって馴染みであり、通常の実験で決定することが可能である。好ましくは、脱シリル化とエステル基-C(O)-R11の除去とを、20〜50℃の範囲の温度で、メタノールなどのC1〜C4-アルカノール中のアルカリ金属塩基で式(III)の化合物を処理することにより同時に行うことができる。アルカリ金属塩基、特にアルカリ金属炭酸塩の量は、化合物(III)に対して、好ましくは3〜10当量、とりわけ4〜7当量であり、すなわちアルカリ金属炭酸塩の場合、化合物(III)の1モル当たり、1.5〜5モル、特に2〜3.5モルである。保護基C(R2)2及びOR3の切断は、b.1)に記載の方法と同様に行うことができる。
保護基を除去した後に得られる2'-O-フコシルラクトースを、場合により添加物の補助、例えばチャコール、シリカ又はポリビニルピロリドンを用いる、クロマトグラフィー又は結晶化などの従来の精製方法を使用することにより精製することができる。2'-O-フコシルラクトースの結晶化の典型的条件については、Chem. Ber. 1956、11、2513に見出すことができる。反応条件及び精製方法に応じて、得られた2'-O-フコシルラクトースは、例えば生成物の重量に対して1%〜20%の量で、ラクトースを含有することもある。2'-O-フコシルラクトースの化学的純度は、ラクトースを引いて、通常少なくとも90%、特に95%以上である。しかし、このラクトースの量は食品中に2'-O-フコシルラクトースを使用するのに問題ではないので、ラクトースは問題となる不純物ではない。
具体的には、望ましくないβ-異性体であるβ-2'-O-フコシルラクトース(=β-L-フコピラノシル)-(1→2)-O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-D-グルコピラノース)の量が、反応生成物の精製により、2'-O-フコシルラクトースの総重量に対して1重量%未満、特に0.5重量%未満のβ-2'-O-フコシルラクトースを含有する2'-O-フコシルラクトースがもたらされる程に、後処理の前でも、低いように、そのように2'-O-フコシルラクトースを生成することが、本発明の方法で可能である。これは現在まで不可能であった。先行技術の方法とは対照的に、本発明の方法は、ベンジル保護基の水素化分解的切断の遷移金属触媒を必要とせず、したがって、本発明の方法により入手できる2'-O-フコシルラクトース中の遷移金属の濃度は1ppm未満、特に検出レベル未満である頻度が高い。
本発明に記載の方法のステップa)において使用される、XがS-結合基である式(I)の化合物は、以下の反応ステップの順序:
1) L-フコピラノースの過アシル化、
2) アノマー炭素原子へのS-結合基の導入、
3) アシル保護基の除去、及び
4) チオフコシドの2、3及び4位におけるヒドロキシル基のシリル化
によって製造され得る。
ステップ1)において、L-フコピラノースは、例えば、P. G. M. Wuts ら、「Greene's Protecting Groups in Organic Synthesis」、第4版、Wiley 2006、D. Lloydら、J. Org. Chem. 2014、79, 9826〜29、WO 2010/115934、WO 2010/115935、及びその中に引用されている文献において記載されている、当該技術分野において本質的には公知の方法で、それぞれ過アシル化フコースに変換される。反応は、スキーム1に示されるように一般には実施される。
Figure 2019509285
式(IV)のL-フコピラノースは、塩基の存在下で、式(VI)[式中、LGは適切な脱離基であり、Ra基は好ましくはC1〜C4-アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である]のアシル化試薬で処理される。式(VI)のアシル化試薬は、通常、カルボン酸、又は対応する無水物又は塩化アシルなどの、その活性化誘導体である。アシル化試薬(VI)は、塩化アセチル、すなわちLGがClであり、Raがメチルである、無水酢酸、すなわちLGがCH3C(O)O-であり、Raがメチルである、又は塩化ベンゾイル、すなわちLGがClであり、Raがフェニルである、特に無水酢酸であるのが好ましい。したがって、式(V)の化合物は、1,2,3,4-O-テトラ-アセチル-L-フコピラノース又は1,2,3,4-O-テトラベンゾイル-L-フコピラノース、特に1,2,3,4-O-テトラ-アセチル-L-フコピラノースであるのが好ましい。ステップ1)の過アシル化で使用される塩基は、一般には、特にピリジンなどの第三級アミンである。反応は、ジクロロメタン又はジクロロエタンなどの塩素化炭化水素、テトラヒドロフラン又は1,4-ジオキサンなどのエーテルなどの無水不活性溶媒中で実施され得る。しかし、例えば、ピリジンなどの適切な塩基が、溶媒としても機能することができるような量で使用される場合、このような溶媒を省略することも可能である。ステップ1)は、-20℃〜50℃の範囲内、好ましくは-10〜30℃の範囲内の温度で通常実施される。
ステップ2)の反応は、例えば、「Handbook of Chemical Glycosylation」、Alexei V. Demchenko編、2008、Wiley-VCH Verlag、Weinheim、Germany、D. Lloydら、J. Org. Chem. 2014、79、9826〜29、WO 2010/115934、WO 2010/115935、及びその中に引用されている文献において記載されている、それぞれの過アセチル化単糖類から出発してチオグリコシドを製造するための確立された手順と同様に実施される。反応は、スキーム2に示されるルートにより、式(V)の過アシル化フコースを、式(VII)の対応するトリアシル化チオフコシドに転換することによって、一般には実施される。
Figure 2019509285
式(V)の過アシル化フコースは、式(VIII)[式中、Rb基は本明細書において上記に定義されたRX1又はRX2基であり、好ましくは、メチル、エチル又はフェニルである]のチオールと反応させる。チオール(VIII)は、当該技術分野で公知であるその適切な前駆体の1種によって置き換えられてもよい。しかし、チオール(VIII)が、本反応に好ましく使用される。ルイス酸は、トリメチルシリルトリフラート、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、塩化スズ(IV)、四塩化チタン、塩化鉄(III)、塩化ジルコニウム(IV)、MoO2Cl2、及びp-トルエンスルホン酸から一般に選択され、トリメチルシリルトリフラート、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートが好ましい。反応は、トリクロロメタン、ジクロロメタン及びジクロロエタンなどの塩素化炭化水素、又はテトラヒドロフラン又は1,4-ジオキサンなどのエーテルなどの不活性溶媒中で一般には実施される。ステップ2)は、-20℃〜40°Cの範囲内、好ましくは-10〜25°Cの範囲内の温度で通常実施される。
ステップ3)において、式(VII)のトリアシル化チオフコシドは、スキーム3に示される反応を介して脱アシル化されて、式(IX)の対応する保護されていないチオフコシドを得る。この変換は、例えば、P. G. M. Wutsら、「Greene's Protecting Groups in Organic Synthesis」、第4版、Wiley 2006、D. Lloydら、J. Org. Chem. 2014、79、9826〜29、WO 2010/115934、WO 2010/1 15935、及びその中に引用されている文献において記載されている、当該技術分野において本質的には公知の方法で実施される。
Figure 2019509285
アシル保護基を除去するために、式(VII)のトリアシル化チオフコシドは、塩基、特にナトリウムメトキシドのメタノール溶液で、10〜50℃の範囲内で一般に処理される。
ステップ4)において、式(IX)のチオフコシドは、スキーム4に示されるルートを介して、式(X)のそれぞれのトリシリル化チオフコシドに変換される。
Figure 2019509285
式(IX)のチオフコシドは、それをRSi基が、明細書において先に定義された-SiR12R13R14基[式中、R12、R13及びR14は、先に定義した意味を有し、特にメチルである]を表す、式(XI)のシリル化試薬と反応させることによって一般にはシリル化される。LG*基は、一般にハロゲン、特に塩素である、適切な脱離基である。シリル化試薬との反応は、特に第三級脂肪族アミン、特にトリメチルアミン、又はピリジンなどの塩基の存在下で実施されるのが好ましい。反応温度は、通常、-20〜20℃の範囲内、特に-5〜5℃の範囲内、例えば約0℃である。ステップ4)の変換は、通常、非プロトン性溶媒、特に、水、アルコール又は酸などのプロトン性不純物の含有量の低いものの中で実施される。好ましい非プロトン性溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン又はジクロロエタンなどのハロアルカン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル及びジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、並びにテトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環式エーテルである。
あるいは、XがS-結合基である式(I)の化合物は、Y.-C. Koら、J. Am. Chem. Soc、2014、 136 (41)、14425〜31において開示されている手順と同様に、最初にL-フコピラノースを過シリル化し、続いて適切なチオール誘導体との反応によるアノマー炭素原子へのS-結合基の導入によって製造され得る。
式(II)[式中R1はC(=O)-R11残基である]の化合物は、例えば冒頭に引用された参考文献から、又はTetrahedron Letters、1981、22 (50)、5007〜5010、WO2010/115934、WO2010/115935及びCarbohydrate Research 88 (1981)、51〜60から公知であり、又はそれらに記載の方法と同様に製造することができる。
R1がSiR12R13R14基である式(II)の化合物は、CH2-OH基の選択的シリル化により式(IIb)の化合物から単純な方法で製造することができる。
Figure 2019509285
式(IIb)のR2及びR3は、上で定義した通りであり、特に以下で定義する通りである:
R2は、特にC1〜C4-アルキル及びとりわけメチルであり、又は同一炭素原子に結合している2個のR2残基は共に1,5-ペンタンジイルであり、したがってそれらが結合している炭素原子とともにシクロヘキサン-1,1-ジイル残基を形成している。全てのR2残基はとりわけメチルである。
R3は、特にC1〜C4-アルキル及びとりわけメチルである。
選択的シリル化のために、式(IIb)の化合物を、適切なシリル化試薬、例えば式SiXR12R13R14の化合物と一般には反応させるが、ここで、R12、R13及びR14は先に定義した通りであり、とりわけメチルであり、Xはハロゲン、特に塩素である。シリル化試薬との反応は塩基の存在下で実施するのが好ましい。
選択的シリル化のために、式(IIb)の化合物1モル当たり、0.9〜2モル、特に1〜1.5モル、とりわけ約1.1モルのシリル化試薬を一般には使用する。
反応を選択的に進行させるために、(IIb)の反応を、-40から+40℃の温度範囲で、特に-20から+20℃の範囲で、とりわけ好ましくは-5から+5℃の範囲で、例えば約0℃で、実施するのが好ましい。
適切な塩基は主としてアミン塩基、特に第二級及び第三級アミン、とりわけピリジン塩基及び第三級脂肪族アミン又は第三級環状脂肪族アミンである。適切なピリジン塩基は、例えば、ピリジン、キノリン及びC1〜C6-アルキル-置換ピリジン、特に、2,6-ジ(C1〜C6-アルキル)ピリジンなどのモノ-、ジ-及びトリ(C1〜C6-アルキル)ピリジン及びコリジンである。適切な第三級脂肪族アミン又は第三級環状脂肪族アミンは、トリエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、トリ-n-ブチルアミン又はイソプロピルジメチルアミンなどのトリ(C1〜C6-アルキル)アミン、シクロヘキシルジメチルアミンなどのC3〜C8-シクロアルキル-ジ(C1〜C6-アルキル)アミン、N-メチルピペリジンなどのN-(C1〜C6-アルキル)ピペリジン、及びビスシクロヘキシルメチルアミンなどのジ(C3〜C8-シクロアルキル)-C1-C6-アルキルアミンである。
塩基を、式(IIb)の化合物1モル当たり、0.9〜2モルの量で、特に1〜1.5モルの量で一般には使用する。
式(IIb)の化合物をシリル化試薬と、一般には不活性有機溶媒又は希釈剤中で反応させる。好ましいのは、非プロトン性溶媒、特に水、アルコール又は酸などのプロトン性不純物の含量が低い非プロトン性溶媒である。好適な有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロアルカン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテルなどのジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサンなどの環状エーテル、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセタミドなどの脂肪族カルボン酸のジアルキルアミド、及びまたアセトニトリルなどのアルキルニトリル、並びにまた上記溶媒の混合物である。全ての成分が溶解形態で存在するように、溶媒を選択するのが好ましい。式(I)及び式(II)の化合物の総濃度は、全ての試薬の総重量に対して5〜50重量%の範囲であるのが好ましく、特に10〜40重量%である。
R1がSiR12R13R14基である式(II)の化合物を、濾過により、抽出により又は場合によっては蒸留により、後処理することができる。
式(IIb)の化合物については、例えば、Carbohydrate Research 212 (1991)、pp.C1〜C3; Tetrahedron Lett.、31 (1990) 4325; Carbohydrate Research、75 (1979) C11; Carbohydrate Research、88 (1981) 51; Chem. 5 (1999) 1512; WO2010/070616、WO2012/113404、WO2010/115934及びWO2010/115935から公知であり、又はそれらに記載の方法により製造が可能である。
既に記載したように、本発明に記載の方法により入手できる2'-O-フコシルラクトースは、既知の2'-O-フコシルラクトースと比べて、除去不可能な不純物を含まないか、又はこれらをはるかに少量で含むのみであることを、特徴とする。具体的には、本発明に記載の方法により入手できる2'-O-フコシルラクトースは、食料品での使用には懸念となるであろう、重大な量の不純物を含まず、特に水素化から生じる不純物を含まない。
したがって、このような2'-O-フコシルラクトースは、それ自体食料品として、また食料品向けの添加物として適している。このような2'-O-フコシルラクトースを使用することが可能な食料品の例は、例えば冒頭で引用した先行技術から、当業者にとって馴染みである。この点で、これは天然物に基づいた組成物の形態、例えば乳製品、また例えば食事又は医学的栄養向けの人工的に製造された製剤の形態とすることができる。このような製剤は、すぐに使用可能な製剤とすることができそして直接に使用してもよいし、又は、濃縮製剤の形態、例えば液体若しくは半固体濃縮物の形態としてもよく、又は顆粒、フレーク若しくは粉末などの固体製品としてもよいが、これらは、液体、特に水を添加することにより使用前にすぐに使用可能な製剤に転換されるか、あるいは通常の食料品中に含有される。
濃縮物及びすぐに使用可能な製剤も固体の、液体の、半固体の製剤としてよい。
具体的には、本発明に記載の2'-O-フコシルラクトースが使用されている食料品は、幼児栄養向けの、特に粉ミルクでのとりわけ乳児用調製粉乳での食料品組成物である。
一般に、本発明に記載の2'-O-フコシルラクトースが使用されている食料品は、固体の、半固体の又は液体の食料品組成物、特に半固体の、又はとりわけ液体の食料品組成物である。
食料品組成物、すなわちすぐに使用可能な食料品組成物及び濃縮物は、本発明したがって入手できる2'-O-フコシルラクトースを食料品製剤に含有させることにより、それ自体が公知の方法で製造することが可能である。このような食料品製剤は、2'-O-フコシル-ラクトースに加えて、他の栄養素を含んでもよく、一般には食料品に適した少なくとも1つの担体を含み、ここで、担体は、固体でも、液体でも、半固体でもよい。担体は、食料品でも栄養価のある物質でもよく、又はこれは、それ自体栄養価のない物質、例えば食物繊維又は水とすることができる。
後続する例によって、本発明を例示する。
次の略号を使用した。
d: ダブレット
dd: ダブレットのダブレット
ps-q: 偽カルテット
s: シングレット
t: トリプレット
m: マルチプレット
mc: 中心となるマルチプレット
CHCl3: トリクロロメタン
CHE: シクロヘキサン
DCM: ジクロロメタン、アミレンで安定化されているか又は安定剤無しが好ましい
DMF: ジメチルホルムアミド
of th.:理論の
EE: 酢酸エチル
BF3 *Et2O: 三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート
MgSO4: 硫酸マグネシウム
MeOH: メタノール
NaHCO3: 炭酸水素ナトリウム
RT: 周囲温度、約22℃
これと異なる記述がない限り、2'-O-フコシルラクトースは、そのアルファアノマーを指す。
HPLC分析はAgilent Series 1200及びLuna-NH2カラム(3μm;250x4.6mm,100Å)を使用して行った。カラムを35℃に維持し、204barで操作した。
82.5/17.5v/vのアセトニトリル/水を溶離液として使用し、検出にはRID検出器を用いた。流速は1mL/min、ラン時間は10〜40minとした。試料容積は5μLとした。
試料調製については、各場合において試料100mgを容量比50/50のアセトニトリル/水10mLに溶かした。
個々の化合物の保持時間は時間経過とともに変化するが、変化の理由としては、カラムの劣化及び試料の組成があげられる。測定前に、問題の出発材料の基準試料、問題の生成物の基準試料及び問題の副生成物の基準試料を常時測定して、実際の保持時間を決定した。
[製造例1:1-チオエチル-2,3,4-トリ-O-アセチル-L-フコピラノースの製造
テトラアセチルフコース47.1g(0.14mol)のCHCl3200mL溶液を0℃に冷却し、次いでエタンチオール13.3g(0.21mol)をゆっくり添加した。その後、26.2g(0.18mol)のBF3 *Et2Oを0℃で15分かけて滴下した。反応混合液を室温で24時間攪拌し、続いてDCM100mLで混合液を希釈して後処理した。得られた混合液を、NaHCO3飽和溶液100mL及び水100mLで連続して洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。残渣をEE/CHE 8:2(v/v)中で再溶解し、溶液をシリカゲルパッド(250mL)に通して濾過した。生成物を含有する画分を集め、減圧下で濃縮乾固した。収量:32.6g(理論値の(of th)69%)
製造例2:1-チオエチル-L-フコピラノースの製造
1-チオエチル-2,3,4-トリ-O-アセチル-L-フコピラノース32.6g(0.097mol)を、メタノール350ml中に室温で溶解した。ナトリウムメトキシド1.76gの添加後、得られた混合液を室温で6日間攪拌した。次いで、イオン交換樹脂(Amberlite IR 120、H+形態、強酸性)2gを添加し、混合液を室温で15分間攪拌した。
続いて、イオン交換樹脂を濾過によって除去し、次いで濾液を減圧下で濃縮乾固した。残渣をn-ヘプタン/EE 1:1(v/v)20mLに溶解し、攪拌しながら0℃で2時間かけて結晶化させた。n-ヘプタン10mLを用いた結晶の濾過及び洗浄によって、固体生成物16gを得た。
[実施例1]
1-チオエチル-2,3,4-トリ-O-トリメチルシリル-L-フコピラノースの製造
トリメチルアミン15.23gを、1-チオエチル-L-フコピラノース9.5g(0.046mol)のDMF30mL溶液に添加し、次いでクロロトリメチルシラン16.7gを0℃で滴下した。0℃で4時間攪拌を続けた後、n-ペンタン75mLを添加し、次いで水50mLを滴下した。続いて、有機相を分離し、水25mLで3回、飽和NaCl溶液25mLで洗浄し、次いで減圧下での濃縮乾固によって、油状生成物17.3gを得た。
1H-NMR (CD2Cl2): δ 5.2 (d); 4.2 (d); 4,1 (ps-q); 3.9 (dd); 3.6-3.5 (m); 3.5 (ps-q); 3.3 (m); 2.6-2.3 (m); 1.1 (m); 1.0 (m); 0.5-0.0 (m)
製造例3:1-チオフェニル-2,3,4-トリ-O-アセチル-L-フコピラノースの製造
チオフェノール10.2gを、テトラアセチルフコース24.1gのトルエン24g溶液に添加し、溶液を0℃に冷却した。次いで15.6gのBF3 *Et2Oを滴下し、得られた混合液を12時間攪拌した。飽和NaHCO3溶液50mLでの抽出後、有機相を分離し、水50mLで2回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、最後に減圧下での濃縮乾固によって、粗表題化合物29gを得た。
製造例4:1-チオフェニル-L-フコピラノースの製造
粗1-チオエチル-2,3,4-トリ-O-アセチル-L-フコピラノース29gを、メタノール60mL中に溶解し、ナトリウムメトキシド1.6gを添加した。室温で24時間攪拌した後、イオン交換樹脂(Amberlite IRA 120、H+形態、強酸性)6gを添加し、混合液を室温で5分間攪拌した。続いて、イオン交換樹脂を濾過によって除去し、次いで濾液を減圧下での濃縮乾固によって、粗表題化合物17.5gを得た。
[実施例2]
1-チオフェニル-2,3,4-トリ-O-トリメチルシリル-L-フコピラノースの製造
トリエチルアミン(3.3eq)22.7gを、粗1-チオフェニル-L-フコピラノース17.4gのDMF50mL懸濁液に添加し、次いで-5〜0℃の温度でクロロトリメチルシラン(3.3eq)24.6gをゆっくり添加した。0℃で4時間攪拌を続けた後、n-ペンタン100mLを添加し、次いで水70mLを添加して反応をクエンチした。水相をペンタン50mLで再抽出し、合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させた。減圧下での濃縮乾固によって、13C-NMR分光法によって示されたように、α-及びβ-異性体の混合物の形態で存在する表題化合物10gを得た。
13C NMR (CD2Cl2, 126 MHz): δ (ppm) 136.04, 135.71, 132.12, 132.12, 130.33, 130.33, 129.47, 129.47, 129.07, 129.07, 127.02, 126.71, 90.25, 89.35, 77.42, 75.82, 75.67, 75.08, 72.70, 70.52, 69.42, 68.19, 17.32, 16.74, 0.78,0.78, 0.78, 0.69, 0.69, 0.69, 0.55, 0.55, 0.55,,0.50, 0.50, 0.50, 0.28.0,28, 0.28,0.28, 0.28, 0.28.
製造例5:4-O-(6-O-ピバロイル-3,4-イソプロピリデン-β-D-ガラクトピラノシル)-2,3;5,6-ビス-O-イソプロピリデン-D-グルコース-ジメチルアセタール(式(II-1)の化合物:R1=C(=O)C(CH3)3、R2=CH3、及びR3=CH3である式(II)の化合物)の製造
4-O-(3,4-イソプロピリデン-β-D-ガラクトピラノシル)-2,3;5,6-ビス-O-イソプロピリデン-D-グルコース-ジメチルアセタール150g(280mmol)を、DCM190mLに入れた。これに、トリエチルアミン57.19g(565mmol)を加えた。塩化ピバロイル49.56g(411mmol)のDCM35mL溶液を2時間かけて添加し、それに伴い温度を27℃未満に維持した。次いで、反応混合物を21h間加熱還流した(内部温度:49℃)。冷却後、懸濁液を氷水410mL上に注ぎ、生成した混合物を10min間攪拌した。有機相を分離し、水相をDCM95mLで1回抽出した。合わせた有機相を、水95mL、NaCl飽和溶液95mLで連続して洗浄し、Na2SO445gで乾燥し、固形物をろ別した。濾液をロータリーエバポレーションにより蒸発させて(40℃、5mbar)、表題化合物79.2重量%を含む生成物188.65gを得た(89.2% of th.)。
13C NMR(CD2Cl2, 500 MHz): δ (ppm) 178.24, 110.40, 110.30, 108.55, 105.65, 103.95, 79.36, 78.35, 78.12, 76.72, 75.62, 74.60, 73.60, 71.36, 64.99, 63.09, 56.51, 53.54, 38.98, 28.25, 27.35, 27.26, 27.26, 27.26, 26.68, 26.39, 25.82, 24.51.
[実施例3]
R1=C(=O)C(CH3)3、R2=CH3、R3=CH3及びRSi=トリメチルシリルである、式(III)化合物の製造
式(II-1)のフコシルアクセプター0.3mmol(製造例3を参照されたい)、1-チオエチル-2,3,4-トリ-O-トリメチルシリル-L-フコピラノース0.45mmol、及びN-ヨードスクシンイミド0.45mmolのDCM25mL溶液を、最初に、分子ふるい4Å約2gを用いて1時間攪拌し、次いでトリメチルシリルトリフラート0.05mmolのDCM1mL溶液を、-25℃で添加した。この温度で攪拌を16時間続け、その後トリエチルアミン0.5mLを用いたクエンチによって反応を停止した。混合液を、DCM30mLで希釈し、有機相を飽和亜硫酸水素ナトリウム液10mLで2回、水10mLで洗浄した。Na2SO445gで乾燥させた後、固体を濾過除去し、濾液を減圧下で濃縮した。原料をCHE/EE 5:1(v/v)中に再溶解し、トリエチルアミン1体積%で処理し、シリカゲルカラム(カラム寸法:直径d=9cm、高さh=37cm、体積V約2.3L)の上部に移した。カラムを多少の加圧下で溶出した。生成物画分を合わせて、ロータリーエバポレーションにより45℃及び5mbarにて濃縮し、次いで真空オイルポンプにより1h間濃縮し、表題化合物を得た。
13C NMR (CD2Cl2, 500 MHz): δ (ppm) 178.18, 110.26, 110.12, 108.96, 105.84, 101.80, 97.96, 80.26, 78.01, 77.56, 76.29, 75.94, 75.37, 75.23, 73.80, 71.23, 70.96, 69.25, 66.98, 65.98, 6278, 56.23, 5340, 39.01, 27.92, 27.41, 27.32, 27.27, 27.27, 27.27, 27.16, 26.35, 25.66, 17.08, 0.77, 0.77, 0.77, 0.62, 0.62, 0.62, 0.26, 0.26, 0.26.
[実施例4]
2'-O-フコシルラクトースの製造方法
メタノール20mL中、実施例3で得られた、得られた粗生成物1gを、K2CO3で処理し、16時間攪拌した。メタノールを留去し、次いでDCM20mLを添加し、混合液を水10mLで洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮乾固し、0.5NのHCl25mL中に溶解し、混合液を室温で8時間攪拌した。続いて、混合液を、5mLのイオン交換体IMAC HP 661を充填したカラムを通して、溶出により中和し、続いて水3mLで3回再洗浄し、合わせた水相をDCM6mLで洗浄した。真空下での蒸発後、そのHPLC保持時間を2'-O-フコシルラクトースの真正な試料の1つと比較することによって、表題生成物であると確認された非晶質生成物を得た(HPLCは、上記に記載されたように実施された)。

Claims (23)

  1. 2'-O-フコシルラクトースの製造方法であって、
    a) 一般式(I)
    Figure 2019509285
    のフコース誘導体
    [式中、
    RSiは、式SiRaRbRcの同一又は異なる基であり(ここで、
    Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、フェニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルから選択される)、
    Xは、Br、及びS結合基、すなわち-SCN、-S(O)n-RX1又は-S-RX2からなる群から選択される(ここで、
    nは、0、1又は2であり、
    RX1は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する、アリールであり、
    RX2は、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、ベンジル(ここで、ベンジルのフェニル部分は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する)、結合点に対してオルト位に窒素原子を、場合により他方のオルト位にO及びSから選択される第2のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、縮合ベンジル部分を場合により有し得る)からなる群から選択される)]
    を一般式(II)
    Figure 2019509285
    の化合物
    [式中、
    R1は、C(=O)-R11基又はSiR12R13R14基であり(ここで、
    R11は、水素、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキル又はフェニルであり(ここで、前記フェニルは、非置換であるか又はハロゲン、CN、NO2、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する)、
    R12、R13及びR14は、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、フェニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルから選択される)、
    R2は、同一でも異なっていてもよく、C1〜C8-アルキルであり、又は同一の炭素原子に結合している2個のR2基は直鎖C3〜C6-アルカンジイル(これは非置換であるか又は置換基として1〜6個のメチル基を有する)を一緒に形成し、
    R3は、同一でも異なっていてもよく、C1〜C8-アルキルであり、又は直鎖C1〜C4-アルカンジイル(これは非置換であるか又は置換基として1〜6個のメチル基を有する)を一緒に形成する]
    と活性化試薬の存在下で反応させるステップ;及び
    b) ステップa)において得られた一般式(III)
    Figure 2019509285
    [式中、RSi、R1、R2及びR3は、上記のように定義される]
    のカップリング生成物を脱保護して、2'-O-フコシルラクトースを得るステップ
    を含む、製造方法。
  2. 式(I)のXが、Brとは異なる、請求項1に記載の方法。
  3. 式(I)のXが、-S-RX1又は-S-RX2であり、
    RX1が、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-アルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を場合により有する、フェニルであり、
    RX2が、C1〜C4-アルキル、2-オキサゾリン-2-イル、2-チアゾリン-2-イル、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル及びピリジン-2-イルからなる群から選択される、
    請求項2に記載の方法。
  4. 式(I)のXが、メチルチオ、エチルチオ及びフェニルチオからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 活性化試薬が、以下の試薬i)〜xv):
    i) クロラミンT、
    ii) ヨードニウムジコリジンパークロレート、
    iii) ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフラート、
    iv) N-ブロモスクシンイミド、
    v) N-ヨードスクシンイミド、
    vi) N-ブロモスクシンイミド+トリフル酸、
    vii) N-ブロモスクシンイミド+トリメチルシリルトリフラート、
    viii) N-ヨードスクシンイミド+トリフル酸、
    ix) N-ヨードスクシンイミド+トリメチルシリルトリフラート、
    x) 臭素+銀(I)トリフラート、
    xi) ジフェニルスルホキシド+トリフル酸無水物、
    xii) ヨウ素+ヘキサメチルジシラザン、及び
    xiii) 臭化銅(II)+テトラ-(C1〜C6-アルキル)アンモニウム臭化物
    からなる群から選択される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 活性化試薬が、試薬vi)、vii)、viii)及びix)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 活性化試薬が、試薬i)〜v)のうちの1種であって、それが式(I)の化合物1モル当たり、0.05〜2モル当量、好ましくは0.5〜1.5モル当量の量で使用される、請求項5に記載の方法。
  8. 活性化試薬が、試薬vi)〜xiii)のうちの1種であって、式(I)の化合物1モル当たり、第1の成分が1〜2モル当量、好ましくは1〜1.5モル当量、且つ第2の成分が0.01〜2モル当量、好ましくは0.05〜1.5モル当量となるような量で使用される、請求項5又は6に記載の方法。
  9. ステップa)が、式(I)[式中、X基はBrとは異なるS-結合基である]の化合物を臭素と反応させて、式(I)[式中、XはBrである]の化合物を得て、続いて式(I)[式中、Xは、Brである]の化合物を式(II)の化合物と活性化試薬の存在下で反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 活性化試薬が、アルカリ金属臭化物、アルカリ土類金属臭化物及びテトラ-(C1〜C6-アルキル)アンモニウム臭化物からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 活性化試薬が、テトラ-n-ブチルアンモニウム臭化物である、請求項10に記載の方法。
  12. 活性化試薬が、式(I)の化合物1モル当たり、0.05〜2モル、好ましくは0.5〜1.5モル、特に0.8〜1.2モルの量で使用される、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 式(I)の化合物及び式(II)の化合物を、1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1、特に1:1.5〜1.5:1の範囲のモル比(I):(II)で反応させる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ステップa)の反応が、ジクロロメタン、アセトニトリル、DMF、トルエン、THF、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン又はこれらの混合物からなる群から選択される非プロトン性溶媒内で実施される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. ステップa)の反応が、-40〜60℃、好ましくは-20〜40℃の範囲内の温度で実施される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. ステップb)において、
    b.1) 式(III)の化合物を酸の存在下、水で処理するか、
    又は
    b.2) 式(III)[式中、R1はSiR12R13R14基である]の化合物を、脱シリル化試薬でまず処理し、ここで、式(IIIb)
    Figure 2019509285
    の化合物が得られ、
    続いて、酸の存在下で、式(IIIb)の化合物を水で処理することにより、残りの保護基を除去するか、
    又は
    b.3) 式(III)[式中、R1はC(O)R11基である]の化合物を、脱シリル化試薬でまず処理し、ここで、式(IIIa')
    Figure 2019509285
    の化合物が得られ、
    続いて、C(O)-R11基及び残りの保護基を引き続き除去するか、
    又は
    b.4) 保護基C(R2)2及びOR3を式(III)[式中、R1はC(O)R11基である]の化合物からまず除去し、ここで、式(IIIc)
    Figure 2019509285
    の化合物が得られ、
    続いて、C(O)R11基を除去するか、
    又は
    b.5) 式(III)[式中、R1はC(O)-R11基である]の化合物を、C1〜C4-アルカノール及びアルカリ金属塩基でまず処理し、これにより、式(IIIb)の化合物が得られ、続いて、酸性反応条件下で式(IIIb)の化合物を処理することによって、残りの保護基を除去する、
    請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 式(I)及び(III)におけるRSi基がトリメチルシリルである、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 式(II)及び(III)におけるR1基がトリメチルシリルである、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 式(II)及び(III)におけるR1基が、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル及び4-メチルベンゾイル、好ましくはアセチル、ピバロイル、及びベンゾイルから選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 式(II)及び(III)におけるR2基がメチルである、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 式(II)及び(III)におけるR3基がメチルである、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
  22. 一般式(I)
    Figure 2019509285
    のフコース誘導体
    [式中、
    RSiは、式SiRaRbRcの同一又は異なる基であり(ここで、
    Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっており、C1〜C8-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、フェニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルから選択される)、
    Xは、Br、及びS結合基、すなわち-SCN、-S(O)n-RX1又は-S-RX2からなる群から選択される(ここで、
    nは、0、1又は2であり、
    RX1は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する、アリールであり、
    RX2は、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、ベンジル(ここで、ベンジルのフェニル部分は、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルキル及びC1〜C4-ハロアルコキシから選択される1〜5個の置換基を場合により有する)、結合点に対してオルト位に窒素原子を、場合により他方のオルト位にO及びSから選択される第2のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、縮合ベンジル部分を場合により有し得る)からなる群から選択される)]
    であって、
    - RSiがトリメチルシリルであり、且つXが-S-(4-メチル-フェニル)である、
    - RSiがトリエチルシリルであり、且つXが-S-エチル又は-S(O)-フェニルである、又は
    - RSiが、tert-ブチルジメチルシリルであり、且つXが、Br又は-S-エチルである
    式(I)の化合物を除く、一般式(I)のフコース誘導体。
  23. 式(I)における、RSiがトリメチルシリルであり、且つXがBr、メチルチオ、エチルチオ及びフェニルチオから選択される、請求項22に記載のフコース誘導体。
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