JP2019505560A - マラリアワクチンにおいて使用するための新規抗原 - Google Patents

マラリアワクチンにおいて使用するための新規抗原 Download PDF

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Abstract

本発明は、マラリア原虫の前赤内期において発現する抗原として有用なポリペプチドを提供する。該抗原は、ワクチン製剤の状態で該抗原を投与することによって、またはワクチン製剤として送達されるDNA発現システムもしくは他の組換えタンパク質発現システムにおいて該抗原を発現させることによって、哺乳類においてマラリアに対する免疫応答およびマラリアからの無菌的防御を誘導するために用いることができる。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、これによってその全体が参照により本明細書に組み入れられる、2016年2月17日に出願された米国特許仮出願第62/296,464号に基づいて、米国特許法(35 U.S.C.)第119条(e)の下における優先権を主張する。
背景
長年に渡る努力にも関わらず、認可されたマラリアワクチンは入手不可能である。マラリアワクチンの開発に立ちはだかる障壁の1つは、マラリアワクチン抗原の多くについての幅広い不均一性である。ヒトにおいて評価が行われた潜在的なワクチン抗原では、これまでのところ防御的な免疫応答が誘発されていない。
マラリアによって毎年およそ863,000人の人命が失われている。抗マラリア薬には様々なものが存在するが、マラリアが風土病である、世界でも比較的貧しい地域においては、これらの薬物の費用がひどく高額になり得る。また、最も一般的に採用される薬物の広範囲に渡る使用によって薬物耐性原虫の拡大が生じ、これらの薬物のうちの多くのものが効果的でなくなっている。安価で潜在能の高い薬物が存在しないことから、ワクチン接種が従来的なマラリアの治療介入を補う最も対費用効果の高い方法となる。
成功となるマラリアワクチンは、抗原性の多様なマラリア原虫の大集団からヒトを防御する必要がある。単一抗原の単一アイソレートに基づくワクチンでは、この不均一集団から個体を守るために十分幅広い免疫応答を誘発できない可能性がある。抗原に基づくワクチンまたは任意の他のサブユニットマラリアワクチンの有効性を潜在的に向上させる1つの方法は、該ワクチンに付加的なマラリア抗原を組み入れ、それにより該ワクチンによって誘発される免疫応答の幅を広げるというものである。
マラリアワクチンの開発の努力においては、十分に特徴決定された一握りの熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)抗原にほとんど集中的に焦点が当てられてきた。半世紀以上の間に渡って、異なる大陸で多くの研究者が献身的に研究を行ってきたにも関わらず、成功となるマラリアワクチンについては未だ分からないままである。熱帯熱マラリア原虫ゲノムの配列決定によって5000個を超える遺伝子が明らかとなったが、これら5000個の遺伝子のどれが有用であるのか、または潜在的なワクチン標的をどのように決定すべきなのかは未だ示されていない。
マラリアは、プラスモディウム属(Plasmodium)に属する蚊媒介性の血液寄生原生動物である原虫によって起こる。ヒトにおける疾患の原因となるのは、4種のプラスモディウム属原虫(熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫(P.vivax)、卵形マラリア原虫(P.ovale)、および四日熱マラリア原虫(P.malariae))である。P.ヨエリ(P.yoelii)およびP.ベルゲイ(P.berghei)など他のものは動物における疾患を引き起こす。ヒトにおける感染および死亡の大多数の原因を占めるのは熱帯熱マラリア原虫である。マラリア原虫は4つの別々のステージからなる生活環を有する。これらのステージの1つは各々、該原虫およびそれに対応して生じるステージ特異的抗原に対して指向された特異的な免疫応答を誘導することが可能であるが、自然に引き起こされたマラリアでは再感染からの防御がもたらされない。
マラリア原虫は数種のハマダラカの雌によって哺乳類に伝播する。感染した蚊による吸血の間にスポロゾイト形態のマラリア原虫が哺乳類の皮膚内に入り、それが後に血流に侵入する。スポロゾイトは肝細胞に侵入する前の数分間は血液循環内に留まっている。この段階において、原虫は、細胞外環境に置かれて、スポロゾイト表面の主要な成分であるスポロゾイト周囲(CS)タンパク質を主に標的とした抗体の攻撃に曝される。一旦スポロゾイトが肝細胞に侵入してしまうと、該原虫は分化、複製、および発育してシゾントとなる。この段階の間に、侵入した原虫は、無性増殖を経て、感染肝細胞当たり20,000個もの娘虫体メロゾイトを生じる。原虫のこの細胞内段階における宿主の免疫応答にはTリンパ球、特にCD8+ Tリンパ球が含まれる。肝臓の感染の10〜14日後、新しく形成された何千個ものメロゾイトが血流内に放出され、赤血球(RBC)に侵入し、抗体仲介の免疫応答およびT細胞分泌サイトカインの標的となる。赤血球に侵入した後、メロゾイトが複製、栄養体およびシゾントへの形態変化の数段階を経てから、シゾントが破裂して後に新しいRBCに感染する新しい世代のメロゾイトを生じる。原虫のこのステージ(赤血球期)は、メロゾイトのRBCへの侵入をブロックでき、このステージに関連する病態からの防御を通常与えるような強い液性応答を刺激する。赤血球期は顕性の臨床疾患に関連する。限られた数の栄養体は、該原虫の有性期である雄または雌の生殖母細胞に発育することが可能である。感受性の蚊が生殖母細胞を摂取すると、これらの生殖体の受精によって接合子の形成およびその後のオーキネート、それからオーシスト、および最終的にスポロゾイトへの形態変化が導かれ、それが唾液腺に移動して生活環が完成される。
原虫の体内への侵入後に生じる病原体特異的な免疫応答の2つの主要な攻撃は、細胞性免疫応答と液性免疫応答である。一方の攻撃、即ち細胞性応答は、免疫応答に携わるCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞に関連する。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、その表面上に病原性抗原を発現する感染細胞を特異的に死滅させることができる。CD4+ T細胞またはTヘルパー細胞は、CTLの発達を助け、様々なサイトカインを産生し、さらに、B細胞の分裂と該抗原に特異的な抗体の産生の誘導とを助ける。液性応答の間には、特定の抗原に特異的なB細胞は、活性化され、複製し、分化し、かつ抗原特異的抗体を産生する。
マラリア感染からの防御には免疫応答の双方の攻撃が関係する。感染性スポロゾイトが肝臓に移動し肝細胞に侵入すると、スポロゾイトは感染細胞の外側にはほとんど留まらず、細胞内病原体となる。本段階においては、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞が特に重要である。なぜならばこれらのT細胞およびインターフェロンγ(IFN-γ)のようなそのサイトカイン産物は感染した宿主肝細胞の死滅に寄与するからである。マウスマラリアモデルにおける肝臓の細胞内原虫の除去は、肝臓期の原虫によって発現されたペプチドに対して指向されたCD8+ T細胞の応答に依存することが認められている。CD8+ T細胞の除去によっては、スポロゾイト曝露からの防御が抑制され、CD8+ T細胞のナイーブ動物個体への養子移植によっては防御が与えられる。
また、マラリア感染がRBCにおいてメロゾイトが複製される赤血球期に達した際、メロゾイトは新しい赤血球に侵入するまでの短期間の間、血流内を自由に循環することも認められている。赤血球は、T細胞とのコグネート相互作用に必要とされるクラスI MHC分子もクラスII MHC分子も発現しないため、原虫の生活環の血液期においては原虫に対する抗体反応が非常に重要であると考えられる。結論として、可能性のあるマラリアワクチンアプローチは、ヒト体内において原虫が生じる異なったステージと闘う強い細胞性免疫応答および強い液性免疫応答を誘導すれば非常に有益となる。
マラリアワクチンの開発の現行のアプローチは、上記の通りに、原虫の異なる発育段階に従って分類することができる。可能性のあるワクチンを3つのタイプに区別することができる。第一のワクチンは、スポロゾイトおよび/またはシゾント感染肝細胞に対して指向されている前赤内期ワクチンである。歴史的に、このアプローチは(CSP)に基づく戦略に偏っていた。前赤内期の感染は無症候性であるため、前赤内期ワクチンの目標は、液性免疫応答および細胞免疫応答によって仲介され、それによりマラリアの潜伏感染を予防する無菌的免疫(sterile immunity)を与えることである。この目標は公知のどの治療法でも達成されていない。
第二のタイプのワクチンアプローチは、感染したRBCまたはメロゾイトそのもののいずれかに対して指向されている無性血液期ワクチンであり、抗体によってメロゾイトの赤血球への侵入が防止される場合に臨床的重症化が最小化されるようまたは感染が予防されるように設計される。そのようなワクチンを作製する試みではこれまで、罹患率および死亡率を十分に下げられていないか、または原虫が赤血球に侵入するのをおよび/もしくは赤血球内で発育するのを十分に阻止できていない。伝播防止ワクチンは、宿主蚊内における原虫の発育を阻むように設計されている。このタイプのワクチンを作製する試みではこれまでのところ、集団全体におけるマラリア感染率を下げることができていない。
最後のタイプのワクチンアプローチは、原虫の生活環の複数ステージを標的とする組み合わせマラリアワクチンである。このアプローチでは、複数成分および/または複数ステージワクチンを開発することを試みている。そのようなワクチンを作製する試みではこれまで、十分な防御を達成できていない。これらの失敗の結果、現在のところ商品として入手可能なマラリアに対するワクチンはない。
放射線弱毒化スポロゾイト(RAS)による齧歯類、非ヒト霊長類、およびヒトの免疫化によって、その後の生スポロゾイトによる曝露からの防御が与えられることが認められた。しかし、放射線照射スポロゾイトの生産のための費用および実現可能な大規模培養システムがないこと、比較的短期の有効性、系統間防御がないこと、ならびに静脈内に送達する必要性が、そのようなワクチンの開発の障壁となってきた。
CSタンパク質は、蚊媒介性の感染に対するヒトにおける能動免疫の基盤として使用された場合にマラリア感染を予防することが示された、唯一の熱帯熱マラリア原虫抗原である。しかし、この抗原の防御レベルは、実行可能な治療を支えるには十分高くない。理論上、実行可能な治療となるためには、ワクチン防御レベルは85%超であるべきである。それよりも低い防御レベルでは、流行地域において病原性がより強い突然変異体は回避してしまうおそれがある。CS抗原に基づくワクチンでは約50%の有効性しか示されなかった上、その防御は1年を超えては示さない。にも関わらず、これが本開示以前に知られている最良の抗原反応である。
熱帯熱マラリア原虫の全ゲノム配列が配列決定された。Bowman et al., Nature, 400:532-538(1999)(非特許文献1);Gardner et al., Nature, 419:498-511(2002)(非特許文献2)を参照のこと。別のヒトマラリア原虫の三日熱マラリア原虫も配列決定されている。Carlton et al., Nature, 455:757-763(2008)(非特許文献3)を参照のこと。齧歯類マラリア原虫であるP.ヨエリも配列決定されている。Carlton et al.,Nature, 419:512-519(2002)(非特許文献4)を参照のこと。しかしそれにも関わらず、見込みのある抗原を決定できないことによって、効果的な抗マラリアワクチンの開発は著しく阻まれてきた。熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、およびP.ヨエリのゲノムの配列決定によって各々、5,369個,5,433個、および5,675個の遺伝子が同定された。しかし、これらの配列を知るだけでは新しいワクチン構築物ができる可能性は低い。結果的に、熱帯熱マラリア原虫プロテオームの0.2%のみが臨床試験で使用されており、それらの試験ではボランティアにおいて高い程度の防御を誘導できていない。
Bowman et al., Nature, 400:532-538(1999) Gardner et al., Nature, 419:498-511(2002) Carlton et al., Nature, 455:757-763(2008) Carlton et al.,Nature, 419:512-519(2002)
概要
本発明は、マラリア原虫の前赤内期および赤血球期の双方において発現する、抗原として有用なポリペプチドを提供する。該抗原は、ワクチン製剤の状態で該抗原を投与することによって、またはワクチン製剤として送達されるDNA発現システムもしくは他の核酸発現システムにおいて該抗原を発現させることによって、哺乳類においてマラリアに対する細胞免疫応答および液性免疫応答の双方を誘導するために用いることができる。好ましい態様において、該哺乳類はヒトである。
ある好ましい態様において本発明は、薬学的に許容される担体中にSEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:6またはそれらの誘導体のうちの1つまたは複数の組換えポリペプチドを含む、マラリア感染から哺乳類を防御するための免疫原性組成物を提供する。一般的に、誘導体は、参照配列の少なくとも10個の連続したアミノ酸、および/または参照配列との少なくとも85%の同一性を有する。該免疫原性組成物は単離ポリペプチドまたは組換えポリペプチドまたは組換え抗原を発現するキャリアウイルスから形成することができ、許容されるアジュバントと組み合わせることができる。
本開示の対象である抗原は、当技術分野においては標準的であるように、異なる文脈においては異なる命名法によって同定される。便宜上、下記の表では各抗原をその配列、ならびに先行技術および本明細書の開示において使用される様々な名前および簡略表記によって同定する。
Figure 2019505560
本発明は、1つのポリペプチドがSEQ ID NO:3、SEQ ID NO:6、またはそれらの誘導体であり、他のポリペプチドがPyCSP、Py ファルスタチン(falstatin)、Py UIS3、PY03396、PY05693、PY03424、およびPY03011の熱帯熱マラリア原虫または三日熱マラリア原虫のオルソログのうちの任意のものである、薬学的に許容される担体中の2つまたはそれ以上の組換えポリペプチドの組み合わせを含み得る。
本発明は、SEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:6またはそれらの誘導体によってコードされる1つまたは複数のポリペプチドを含む組成物の免疫学的に有効な量を投与する段階によって、哺乳類におけるマラリアに対する免疫応答を誘導する方法も含む。または、本方法は、記載される組換えポリペプチドの免疫学的に有効な量を含む、マラリアに対する1回もしくは複数回のプライミング免疫化もしくはブースティング免疫化を行う段階を含み得る。該ポリペプチドを投与する方法は、プラスミド、複製ウイルスベクター、または非複製ウイルスベクターのような好適な発現ベクターの使用を含み得る。好適な発現ベクターは、DNAプラスミド、バキュロウイルス、rVSV、SpyVLP、アルファウイルスレプリコン、アデノウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、サイトメガロウイルス、イヌジステンパーウイルス、黄熱病ウイルス、レトロウイルス、RNAレプリコン、DNAレプリコン、アルファウイルスレプリコン粒子、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、またはシンドビスウイルスであってよい。
本明細書において開示される、抗原として有用なポリペプチドは、感染性P.ヨエリ スポロゾイト曝露から対象の100%を無菌的に防御する(sterilely protect)ことができる初めてのマラリア原虫前赤内期抗原である。これらの応答はそのヒトオルソログの代わりとしてマウスにおいて好都合に測定される。マラリアの感染、治療法、および免疫についてはマウスとヒトの両方において広く研究されてきており、マウスモデルはヒトおよび他の哺乳類対象におけるマラリアワクチンの有効性の標準指標であると考えられる。本明細書において開示されるPY06306抗原は単独でCD1マウスの71%〜100%をマラリアから防御し、さらに、残りの非防御マウスの血液における原虫の発生を遅延できる免疫応答を誘導する。全体として、83%(384/461)のPY06306免疫化マウスがマラリア感染から防御された。この防御は、厳密に300個のスポロゾイトおよび100個のスポロゾイト曝露を各々用い、無菌的防御(sterile protection)として有効性評価を用いて、非近交系マウス(CD1)および近交系マウス(BABB/c)の双方について報告される。本明細書において開示されるマウス、霊長類、およびヒトのマラリア免疫応答とワクチン有効性の標準指標との間の関係に照らして、本明細書において開示される抗原の有効性をもとに、哺乳類におけるマラリアに対する免疫応答を誘導するためのポリペプチドが提供される。
PY03396、PY05693、PY06306、PY00232およびPyCelTOSを発現する、DNAおよびヒトアデノウイルスタイプ5(Ad5)ベクターの組み合わせを用いて、1群当たり14個体の非近交系CD1マウスをプライム-ブーストレジメンにおいて免疫化したマトリックス実験についての防御の結果を示す。陽性対照マウスは、PyCSPを発現するDNAおよびAd5ベクターによって免疫化した。陰性対照マウスはP.ヨエリ抗原を発現しない相対4倍量のDNAおよびAd5ベクターによって免疫化したマウスとナイーブマウスであった。灰色および黒色の棒グラフは各々、PyCSPを含むまたは含まない、抗原組み合わせ群を示す。斜線およびチェックの入った棒グラフは各々、PyCSP群およびナイーブ群を示す。マウスは300個のP.ヨエリ スポロゾイトに曝露され、曝露14日後まで、血液塗抹標本をギムザ染色して検査することによって寄生虫血症について評価された。下の数値は各群における曝露マウス総数当たりの、無菌的に防御されたマウスの数を表示する。 図1に図示されたPY06306および他の抗原を評価する実験のマトリックスデコンボリューションを示す。1群当たり14個体の非近交系CD1マウスを、PY03396、PY05693、PY06306、PY03424およびPY03011を発現するDNAおよびアデノウイルスタイプ5(Ad5)ベクターを含むプライム-ブーストレジメンにおいて免疫化した。陽性対照マウスは、PyCSPを発現するDNAおよびAd5ベクターによって免疫化した。陰性対照マウスは、P.ヨエリ抗原を発現しない相対4倍量のDNAおよびAd5ベクターによって免疫化した。灰色および黒色の棒グラフは各々、PyCSPを含むまたは含まない、抗原組み合わせ群を示す。斜線およびチェックの入った棒グラフは各々、PyCSP群およびヌル免疫化マウス群を示す。マウスは300個のP.ヨエリ スポロゾイトに曝露され、曝露17日後まで、血液塗抹標本をギムザ染色して検査することによって寄生虫血症について評価された。下の数値は各群における曝露マウス総数当たりの、無菌的に防御されたマウスの数を表示する。 曝露後、寄生虫血症を発症するまで防御されたマウスのパーセンテージを表すカプラン・マイヤー曲線を示す。データはマトリックスデコンボリューション実験2から抽出され解析された。黒丸はPY06306抗原単独によって免疫化されたCD1マウスを示し、×、四角、および三角の記号はPyCSPマウス、4×ヌルマウスおよびナイーブマウスを各々示す。マウスは300個のP.ヨエリ スポロゾイトに曝露され、曝露14日後(PyCSP、4×ヌル、およびナイーブ)または17日後(PY06306)まで、血液塗抹標本をギムザ染色して検査することによって寄生虫血症について評価された。 マトリックスデコンボリューション実験についての抗体の反応を示す。P.ヨエリのスポロゾイトおよび血液期の原虫についてのエンドポイント免疫蛍光測定(IFA)力価を測定した。Adeno 5ブーストの1週後に採取した血清を抗原組み合わせ群ごとにプールし、風乾した原虫に対する反応性についてアッセイした。黒色および灰色の棒グラフはスポロゾイトおよび血液期への反応性を各々示す。陽性対照抗体は各々NYS1モノクローナル抗体およびNYLS3モノクローナル抗体であった。4×ヌル個体およびナイーブ個体からの血清は陰性であった。 図4において示されるマトリックスデコンボリューション実験の防御マウスおよび非防御マウスの抗体価を示す。PY06306(E140)含有マウス6群について、個々のマウスのP.ヨエリ スポロゾイトに対するエンドポイント免疫蛍光測定(IFA)力価を測定した。マトリックス実験2(Mx2)からの1群;E140、E137、E057の組み合わせ(黒丸)、およびマトリックスデコンボリューション実験2(MDx2)からの5群;E140、E137、E057の組み合わせ(黒色の四角)、E140単独(黒色の菱形)、E140、E137の組み合わせ(黒色の星形)、E140、E057の組み合わせ(黒色の三角)、およびE140、E137、E057、PY3424の組み合わせ(黒色のアスタリスク)。防御された全てのマウスは黒色の記号で表され、防御されなかった全てのマウスは記号Xで表される。マン・ホイットニーのノンパラメトリック検定により、統計的有意性;**、p<0.005および***、P=0.001が示される。 図2において示されたデコンボリューション試験についての、11週における連続した防御を示す。無菌的に防御されたマウスを11週間休ませ、その後、200個のP.ヨエリ スポロゾイトに曝露した。曝露17週後まで、血液塗抹標本をギムザ染色して検査することによって防御を測定した。 Pf(ヒト熱帯熱マラリア原虫)、Pv(ヒト三日熱マラリア原虫)、Pc(齧歯類P.シャバウディ)、Py(齧歯類P.ヨエリ)、Pb(齧歯類P.ベルゲイ)、Pk(霊長類二日熱マラリア原虫(P.knowlesi))、Pr(霊長類P.ロディアニ(P.rhodiani))、およびPg(霊長類P.ガボニ(P.gaboni))を含むマラリア原虫間のPY06306(Py E140)抗原の相同性を示す。 様々なPf原虫の系統間におけるPY06306(PfE140)(PFA0205wまたはMAL1P1.31またはPF3D7_0104100)アミノ酸の保存を示す。これらの原虫は異なる大陸の様々な国から採集された。最高(99%)および最低(92%)の相同性が強調される。 マウスにおけるインビボのT細胞除去実験の結果を示す。非近交系CD1マウスをPY06306 DNAによって免疫化し、Adeno5ワクチンによってブースティングし、300個のP.ヨエリ スポロゾイトによる曝露の前および後にCD4+、CD8+、CD4+/CD8+ T細胞を除去した(黒色棒グラフ)。ラットIg群および非除去群を陽性対照として使用した。ヌル免疫化マウス群(灰色棒グラフ)も同じ方法で除去し、陰性対照として使用した。PyCSP群(斜線の棒グラフ)およびナイーブ群(横縞の棒グラフ)は、実験上の陽性対照および陰性対照であった。矢印は除去のタイプ、および免疫化マウス数のうちの無菌的に防御されたマウスの数を示す。曝露されたマウスは曝露19日後まで、血液塗抹標本をギムザ染色して検査することによって寄生虫血症について評価された。 BALB/cマウスにおける血清移植試験を示す。図10Aにおいて、14個体のBALB/cマウス群がPY06306(黒色実線)またはPyCSP(灰色実線)のいずれかをコードするDNA/アデノウイルス5によって免疫化された。免疫化され曝露されていないマウスからの血清を採取し、曝露の24時間前および6時間前にナイーブレシピエントマウスに移植した;PY06306(黒色点線)およびPyCSP(灰色点線)。300個のP.ヨエリ スポロゾイトによる曝露の後、寄生虫血症について17日間マウスをモニタリングした。各群につき、無菌的に防御されたマウスのパーセンテージが凡例の枠中に示される。 CD1マウスにおける血清移植試験を示す。図10Bにおいて、14個体のCD1マウス群をPY06306(黒色実線)またはPyCSP(灰色実線)のいずれかをコードするDNA/アデノウイルス5によって免疫化した。免疫化され曝露されていないマウスからの血清を採取し、曝露の24時間前および6時間前にナイーブレシピエントマウスに移植した;PY06306(黒色点線)およびPyCSP(灰色点線)。100個のP.ヨエリ スポロゾイトによる曝露後、寄生虫血症についてマウスを17日間モニタリングした。各群につき、無菌的に防御されたマウスのパーセンテージが凡例の枠中に示される。 血液期曝露からのPY06306防御を示す。各群当たり14個体のCD1マウスをある用量のDNAで免疫化し、PY06306(黒色棒グラフ)、PY06306+Pyファルスタチン(PyFalstatin)(灰色棒グラフ)、およびPyファルスタチンのみを発現するアデノウイルス5によってブースティングした。ヌル免疫化マウスおよびナイーブマウスを陰性対照マウス群として使用した。PyファルスタチンはPY03424としても知られている。全てのマウスを10,000個のP.ヨエリ感染赤血球に曝露し、曝露後17日間、ギムザ染色した薄層塗抹標本で寄生虫血症についてモニタリングした。 天然型(na)PY06306およびコドン最適化(co)PY06306、ならびに免疫化の経路を比較した図表において、哺乳類コドン最適化アデノウイルス5を用いた防御について示す。CD1マウス(各群14個体)をco E140 DNAによってプライミングし、天然型PY06306 Adeno5(黒色棒グラフ)または哺乳類co PY06306 Adeno5(灰色棒グラフ)のいずれかによってブースティングした。双方のAdeno5構築物を、10^10、10^9、10^8、および10^7 PUと減量しながら筋肉内(IM)投与した。付加的なマウス2群を皮下(SC)または静脈内(IV)のいずれかで投与されたAd5によってブースティングした。付加的なマウス2群はDNAワクチンでプライミングせず、代わりに、曝露2週前にna PY06306 Ad5またはco PY06306 Ad5のいずれかの単回IM用量によって免疫化した。ヌル免疫化マウス(横縞の棒グラフ)およびナイーブマウス(チェック模様の棒グラフ)は陰性対照である。全てのマウスは300個のP.ヨエリ スポロゾイトに曝露され、18日間に渡り、ギムザ染色した薄層血液塗抹標本で寄生虫血症についてモニタリングされた。 PfE140(PFA0205wまたはMAL1P1.31またはPF3D7 0104100)がマウスにおいて免疫原性であることを示す。PFA0205wワクチンによって誘導されたIFA力価。CD1マウスおよびBALB/cマウスの双方は、PFA0205w(PfE140)ワクチン試薬:VR1020-DVプラスミド、アデノウイルス5におけるDNAワクチン、ならびにコムギ胚芽システムによってGSTおよび6×Hisとの融合タンパク質として発現された全長組換えタンパク質で免疫化された。組換えタンパク質はモンタナイドISA720アジュバント中で乳化され、5μg/用量としてSCで免疫化を行った。熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイトといくつかの血液期の混合物との双方に対する免疫蛍光測定(IFA)力価を測定した。 熱帯熱マラリア原虫E140(PFA0205w)がヒトにおいて天然に免疫原性であることを示す。熱帯熱マラリア原虫の放射線弱毒化スポロゾイト(RAS)免疫化ヒト対象による、PFA0205w(PfE140またはPF3D7_0104100)に対するT細胞の応答。15 merの重複ペプチドPFA0205wプールAによってブレフェルジンAと共に21時間PBMCを刺激し、生存率、表現型マーカー(CD14、CD19、CD3、CD4、およびCD8)ならびに細胞内機能性マーカー(IFN-γおよびCD154を含む)について染色を行った。IFN-γおよび細胞内CD154を産生するCD4+T細胞(A)、ならびにIFN-γを産生するCD8+T細胞(B)のバックグラウンド減算度数が示される。いずれの実験においても、PFA0205wプールA(黒い記号)についての陽性反応が、陰性対照(DMSO刺激された)サンプルの平均からの2つの標準偏差を超えるものと決定された。 三日熱マラリア原虫スポロゾイトにおいてPVX_081555(PvE140)が相対的に豊富であることを示す。多次元タンパク質同定法(MudPIT)を用いて配列決定された256個の三日熱マラリア原虫スポロゾイトタンパク質を、定量値から決定されたその相対的存在量に基づいてグラフ化した。グラフにおいては三日熱マラリア原虫スポロゾイト周囲タンパク質および三日熱マラリア原虫E140(PVX_081555)の位置が黒色矢印で示される。
詳細な説明
本発明者は、マラリアに対する防御的な免疫を与えるためには前赤内期のタンパク質が重要であることを決定付けた。マラリア原虫ゲノムの配列決定後、比較的多数のマラリア遺伝子が同定されているにも関わらず、マラリア原虫の比較的複雑な生活環によって、ワクチン候補の決定は大幅に阻まれている。さらに、抗原性においても機能的にも、マラリア原虫の多くの遺伝子は十分に明らかにされていない。
この背景状況に対して、本発明者は、潜在的な防御反応を突き止めるため、多くの遺伝子によってコードされる抗原のハイスループットスクリーニングに取り組むことを決めた。本発明者は、先行技術において経験されてきた困難を克服する、潜在的なマラリア抗原を同定および試験するための新規戦略を開発した。この新規アプローチは、潜在的なヒトワクチン候補である可能性を示唆すると本発明者が明らかにしたある種の形質を同定する段階を含んだ。本発明者はその後、これらの形質を有すると考えられた熱帯熱マラリア原虫遺伝子の146個のP.ヨエリ オルソログのリストをまとめた。本発明者はそれからクローニングプライマーを設計し、遺伝子をクローニングし、トランスフェクションELISpotによってスクリーニングする戦略を考え出した。トランスフェクションELISpotは、A20細胞系にVR1020ワクチン構築物をトランスフェクションする段階、抗原を発現させる段階、およびELISpotアッセイにおいてこれらのトランスフェクション細胞に抗原を提示させるよう使用する段階に関与した。抗原をスクリーニングするためのこのようなELISpotの使用は新規戦略であった。熱帯熱マラリア原虫タンパク質の大パネルから主要な抗原を同定した。本発明者によってマラリアからの防御に関連性があると判断された多くの基準に基づいて主要な抗原を評価した。そのような基準の1つは、マラリア原虫のスポロゾイトおよび肝臓期において発現する抗原;即ち、前赤内期抗原を選択することであった。本基準に基づいて選択された抗原のうちの幾つかはマウスにおいて防御反応を示し、ヒトにおけるこれらの遺伝子のオルソログが潜在的なワクチン製剤として有用なヒト抗原をコードする可能性が示唆された。特に、本開示の対象である、1つの遺伝子、つまり、PY17X_0210400として後に精選された遺伝子PY06306は、劇的で一貫した防御反応を驚くほど示し、該遺伝子が、そのオルソログが最先端のワクチン製剤として有用となるような抗原をコードしていることが示唆された。
しかし、PY06306遺伝子について実証された配列は部分的なもの(479 aa)にすぎず、初期のゲノムアノテーションに基づいていた。本明細書において開示される防御実験を全長抗原(816 aa)について行うためには、遺伝子を再クローニングする必要があった。熱帯熱マラリア原虫(ヒト相同体)についても同様の状況であり、それもまた当技術分野において公知のものからの再クローニングを必要とした。実施例の全てにおいて使用され、データ例の全てにおいて反映される、本明細書において提供されるリストにて開示される配列は、関連配列であると当技術分野において以前に考えられていたものではなく、本発明者が修正した遺伝子バージョンに従っている。
本発明は、組換え熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)および三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)のタンパク質をコードするDNAおよびアミノ酸の配列に関連する。具体的には、本発明はマラリアワクチンにおいて使用するための、高度に防御的な前赤内期プラスモディウム・ヨエリ(Plasmodium yoelii)抗原ならびに熱帯熱マラリア原虫および三日熱マラリア原虫のそのオルソログ抗原に関連する。関連配列は、サブユニット免疫原性抗原としての使用のために、コードされるタンパク質を発現させる目的で用いることができる、または、免疫原性反応を誘導するために、宿主におけるインビボの発現に好適なベクターに組み入れることができる。該抗原は、免疫原性製剤中組み合わせてまたは単独で、用いることができる。
ある態様において、前記免疫原性組成物はDNAに基づくワクチンである。DNAは本開示の免疫原性組成物を送達するための実用可能なプラットフォームであることが見出された。DNAに基づくワクチンは、変異ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)弱毒化ポックスウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはGC46ウイルス(ゴリラアデノウイルス)のような組換えウイルスによって送達することができる。バキュロウイルスのような、これらに似た他のヒトアデノウイルスも代わりに使用できる。
別の態様において前記組成物は免疫原性タンパク質を含む。本態様において前記タンパク質は、最初に該タンパク質をコードするDNAを好適な発現システムに挿入することによって作製することができる。これらは、例えば、アデノウイルスに基づく発現システム、ポックスウイルスに基づく発現システム、またはDNAプラスミド発現システムを含む。発現しかつ精製されたタンパク質をその後、単回用量または複数回用量で、ヒトのような哺乳類に投与することができる。本態様においては、精製されるタンパク質を個々に発現させることができる、または、特定のタンパク質をコードするDNAを組換え操作して単一の免疫原性組成物を形成させることができる。これらの免疫原性組成物をその後、単回用量または複数回用量で投与し、免疫原性反応を誘導することができる。
本発明のある態様は、異種発現システムによって全長または断片として発現される組換えポリペプチドに関連する。そのような発現システムの例は、大腸菌(Escherichia coli)、酵母(Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris)、哺乳類細胞(HEK293またはCHO細胞)、バキュロウイルス感染昆虫細胞、およびショウジョウバエ(Drosophila)S2安定発現株である。免疫応答を誘導するために、組換えタンパク質を免疫原性製剤に組み入れることができる。本態様においては、ポリペプチドを単独で、または組み合わせて組み入れることができる。本発明の免疫原性組成物は、該ポリペプチドによって誘発される免疫応答を改善または増強するためにアジュバントをも含み得る。好適なアジュバントは、ALFQ、即ちモノホスホリルリピドA含有リポソーム組成物をサポニンと共に含む非毒性の製剤を含む。
アジュバントは伝統的に、その成分源、生理化学的特性、または作用機序に従って大まかに2つの主要なクラスに、即ち(i)免疫系に直接作用し、抗原に対する反応を増加させる、TLRリガンド、サイトカイン、サポニン、および細菌外毒素のような免疫賦活薬、ならびに(ii)ワクチン抗原および共投与される免疫賦活薬を最適な方法で免疫系に提示する、ミネラル塩類、エマルジョン、リポソーム、ビロソーム、および生分解性ポリマーミクロスフェアのようなビヒクルに、分類されてきた。近年、これらのビヒクルの多くも免疫系に対して直接的な効果を有し、免疫賦活薬であると考えられることが明らかとなってきた。
マラリアワクチンに含めることを許容されるアジュバントの例は、ALF、ALFA(アルミニウムを追加)、およびALFQ(QS21を追加)のようなアーミーリポソーム製剤(Army Liposome Formulation)(ALF)誘導体を含む。他の選択肢は、リピドA誘導体およびサポニンをリポソーム製剤に含めたもの、例えばQS21および3D-モノホスホリルリピドA(リポ多糖の非毒性誘導体)、LPS、MPLと構造において同様の他の免疫賦活薬、または3D-MPL、アシル化単糖類、サポニン誘導体(Quil-A、ISCOM、QS21、AS02およびAS01)、可溶性トリテルペングリコシド、トール様受容体4(TLR4)アゴニスト、モンタナイド(ISA51、ISA720)、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、およびイミダゾキノリンを含む。アジュバントはコレステロール含有リポソーム担体に含めて調製することができる。
本明細書において使用されるように、「ポリペプチド」という用語はアミノ酸のポリマーを指し、特定の長さの産物を指すものではない。タンパク質はポリペプチドの定義内に含まれる。15 merのように、数に関連した「mer」という用語は、ポリペプチドの長さをアミノ酸の数で言及するものである。
本明細書において使用されるように、前記タンパク質は、最初にプラスミドまたはウイルスシステムなどの他の発現システムでの発現のような分子的方法によって適切な遺伝子断片を発現させ、その後単離することによって、本明細書において記載される1つまたは複数のポリペプチドの有効量を免疫原性組成物に含むように調製することができる。本発明のさらなる局面は、タンパク質が液性免疫応答および/またはT細胞免疫応答を誘導する能力である。
本発明のある態様は、前記ポリペプチドをコードするDNAをベクター発現システムに組み入れるものであり、ヒトのような哺乳類の宿主細胞において該発現システムが1つまたは複数のポリペプチドを発現させ、免疫応答を誘導するものである。発現システムはDNAプラスミドシステムまたはウイルスシステムであることが可能である。マラリア原虫タンパク質を発現するDNAワクチンを調製および投与するための方法は、当技術分野においては周知である。
別の態様においては、タンパク質の誘導体を免疫原性組成物中に含めて使用できる。本態様の変形においては、熱帯熱マラリア原虫および三日熱マラリア原虫のタンパク質の免疫原性誘導体が、本明細書において開示されるアミノ酸配列を含む全長ポリペプチドの、あるアミノ酸配列のうちの少なくとも10個の連続したアミノ酸を含む。該ポリペプチドの免疫原性誘導体は、適切な遺伝子断片の発現、またはペプチド合成のような他の方法によって調製できる。さらに、誘導体は1つまたは複数の、本明細書において開示される熱帯熱マラリア原虫ポリペプチドのエピトープをコードする付加的な配列を含有する融合ポリペプチドであってよい。これらの態様においては、該タンパク質を、免疫原性製剤に直接組み入れることができるか、または、DNAプラスミドシステムもしくはウイルス発現システムから発現させることができる。
いくつかの態様においては、熱帯熱マラリア原虫および三日熱マラリア原虫のポリペプチドは、本明細書において開示される配列との80%超のアミノ酸配列同一性を有する免疫原性誘導体を含む。この文脈において「同一性」という用語は、最大の一致についてアラインメントした場合に2つもしくはそれ以上の配列もしくはサブ配列が同じであるか、または特定のパーセンテージの同じアミノ酸残基を有することを指す。保存的置換、即ち、同一の特性を有する残基との置換において配列が異なる場合、配列同一性のパーセンテージを該置換の保存的性質について補正するよう上方修正できる。
前記組成物は、投与のために調製される場合、好ましくは、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わされて薬学的製剤または単位剤型を形成する。「薬学的に許容される担体」は、該製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害ではない担体、希釈剤、賦形剤、および/または塩である。投与のための活性成分は乾燥粉末または顆粒;溶液、懸濁液、またはエマルジョンとして存在し得る。該組成物は、液体担体中での再構成以前は乾燥粉末として存在する。
本発明の免疫原性組成物を含有する薬学的製剤は、周知であり容易に入手可能な成分を用いて、当技術分野において公知の工程によって調製できる。本発明の治療的作用物質は、例えば筋肉内、皮下または静脈内経路のような非経口投与に適切な溶液として製剤化することもできる。本発明の治療的作用物質の薬学的製剤は、水性もしくは無水の溶液もしくは分散系の形態、またはエマルジョンもしくは懸濁液の形態をとることもできる。
従って、前記免疫原性組成物は、(例えばボーラス投与または持続注入のような注射による)非経口投与のために製剤化することができ、アンプル、充填済みシリンジ、少量用注入容器に入った単位用量形態において、または保存剤を添加して複数回投与用容器に入れて提供することができる。該組成物は静脈内、皮下、または筋肉内注射に好適である。活性成分は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液、またはエマルジョンのような形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤のような配合物質(formulatory agent)を含有し得る。または、活性成分は滅菌固形物の無菌的単離によって得られる、もしくは液体からの凍結乾燥によって得られる、好適なビヒクル、例えば滅菌の、パイロジェンを含まない水を用いて使用前に構成するための粉末形態にあることが可能である。
さらに、前記免疫原性組成物は、前記ペプチドが発現する細胞環境において天然には生じない配合物質を含有し得る。そのような配合物質は、該ペプチドが発現する細胞環境において天然には生じないが、それにも関わらず哺乳類への投与前、投与後、または投与の間に、該免疫原性組成物中の該ペプチドの生物学的利用能、有効性、送達、保存、投与、吸収、安定性、安全性、または機能を人為的に増強する役割を担う、任意の界面活性剤、希釈剤、可溶化剤、乳化剤、緩衝液、増粘剤、保存剤、デタージェント、アジュバント、賦形剤、および抗菌剤を含む。
または、前記免疫原性組成物は乾燥粉末として提供できる。乾燥粉末組成物は、本明細書において記載されるポリペプチドを含有する溶液または懸濁液を凍結乾燥、噴霧乾燥、および凍結噴霧乾燥することによって調製することができ、さらに任意で粉砕段階または粉砕を伴う凍結乾燥を含み得る。乾燥粉末は、吸入もしくはカプセルの摂取によるもののような患者への直接投与に好適となり得るか、または、液体担体中での懸濁もしくは再構成に好適となり得る。乾燥粉末製剤は、賦形剤、分散剤、安定剤、保水剤、固化防止剤、または他の添加剤のような生理学的に許容される担体粉末を含み得る。
本発明の免疫原性組成物は、乾燥粉末態様でも液体態様でも、任意の成分の選択肢として、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤、または乳化剤、および当技術分野において周知のタイプの塩類を含み得る。本組成物の製剤に有用な担体および/または希釈剤の非限定的な具体例は、水およびpH 7.0〜8.0のリン酸緩衝食塩水のような生理学的に許容される緩衝食塩水を含む。本開示の組成物は水、生理食塩水、グリセロール、または他の好適なアルコールを含み得る希釈剤、湿潤剤、または乳化剤;緩衝剤;例えばセルロースまたはセルロース誘導体のような増粘剤;保存剤;デタージェント;抗菌剤等のような他の剤の組み合わせをも含み得る。
前記免疫原性組成物がワクチンとして使用される場合、該組成物は本明細書において記載されるペプチドの免疫学的に有効な量を含む。抗原の「免疫学的に有効な量」とは、単回用量または一連の用量において個体に投与された場合に、マラリア感染の治療または予防のために有効となる量である。この量は治療される個体の健康および体調、ならびに抗原によって異なる。ある生物への投与のための免疫原性組成物またはワクチン組成物の有効量の決定は十分当業者の能力内にある。
本発明に従った組成物は経口、全身、非経口、局所、粘膜、筋肉内、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、鼻腔内、膣内、直腸内、経皮、舌下、吸入、またはエアロゾル投与が可能である。該組成物は単回用量で、または複数回用量計画の一部として投与されるように調節できる。複数回用量は、初回刺激の後に1回または複数回の追加免疫として投与することができる。プライミングにはウイルス(GC46)またはDNAワクチンのような1つの製剤を含むことができ、その後、別のウイルス(例えばMVA)または組換えタンパク質のような1つまたは複数の製剤を用いた1回または複数回のブースティングを行う。プライミングとブースティングの間の好適なタイミングは常習的に決定することができる。本開示に従った組成物は単独で使用することができる、または、1つあるいは複数の他の免疫原性組成物あるいはワクチン組成物と、および/もしくは1つあるいは複数の他の治療法と組み合わせることができる。
従って本開示は、本明細書において記載される組成物をヒトまたは非ヒト哺乳類に投与する段階を含む、ヒトまたは非ヒト哺乳類をマラリア感染の影響から防御する方法を提供する。該組成物はワクチンであり得る。本開示は、ヒトまたは非哺乳類に本明細書において記載される薬学的組成物を投与する段階を含む、ヒトまたは非ヒト哺乳類における免疫応答を高めるための方法をさらに提供する。該免疫応答は好ましくは防御的である。本方法は、既にプライミングされている患者におけるブースター反応を高めることができる。該免疫応答は予防的または治療的であることが可能である。
実施例1:E140の同定
ヒトマラリアワクチンにおいて使用するための、新規で高度に防御的な前赤内期(PE)プラスモディウム・ヨエリ(Py)抗原、そのヒトオルソログが同定される。この抗原は、使用される命名法によってPlasmoDB ID10:PY06306、またはPY17X_0210400、PYYM_0211900またはID:2121.m00052として同定される。該抗原は、本明細書において開示される臨床検査では簡略表記としてE140またはPyE140とも呼ばれる。新規の該抗原は、原虫のスポロゾイト、肝臓期、および血液期において高度に発現し、P.ヨエリ放射線弱毒化スポロゾイト(RAS)によって免疫化されたマウスにおけるCD8+ T細胞の反応を誘導する。それは、抗原特異的ワクチン免疫化後に強い抗体反応および細胞性免疫応答を生じ、単独で、および他の抗原と組み合わせて、マウスの71〜100%を感染性P.ヨエリのスポロゾイトおよび血液期曝露から無菌的に防御する。最初に、ワクチン開発のための抗原同定のプラットフォームとして、P.ヨエリ前赤内期抗原をRAS免疫化マウス由来のT細胞に対するその反応性についてスクリーニングした。この工程は同定、クローニング、DNAプラスミド(VR1020)の作製、スクリーニング、およびマウスを防御する能力についてのPy抗原の評価に関与した。マウスモデルがヒトオルソログでの成功の予測因子であることは十分に認識される。PY06306抗原をコードする遺伝子をワクチン開発のための前赤内期標的として同定し、部分的な遺伝子をクローニングした。その後の実験から、タンパク質がP.ヨエリ RASにより免疫化されたマウスで生じた脾細胞からのサイトカイン(IFN-γ)反応をリコールできることが確定された。このデータから、RAS免疫応答および防御にPY06306抗原が関与していること、従ってヒトにおける前赤内期ワクチンとしての価値が示唆されることの強力な証拠が提供された。
実施例2:E140防御の確証
マウスにおける防御試験のために、PY06306抗原を発現する2つのワクチン試薬を作製した。これらの試薬は全長遺伝子を用いて作製した:VR1020プラスミドにおけるDNAワクチン(PY06306-E140)およびアデノウイルスセロタイプ5におけるDNAワクチン(AdE1(t.PY06306)E3(10X)E4(TIS1))。感染性Pyスポロゾイト曝露からマウスを無菌的に防御できる、抗原の免疫応答を誘導する能力を評価することを意図した2つの別個の動物マトリックス試験において、PY06306抗原のワクチン潜在能についての根拠が示される。スポロゾイト曝露14日後または17日後まで、試験されたマウスの血中に原虫が存在しないことによって無菌的防御を評価した。DNAワクチンを用いたプライミング(100μg、IM)および6週後のアデノウイルスセロタイプ5構築物(1010PU、IM)を用いたブースティングからなるレジメンによって非近交系 CD1マウスを免疫化した。P.ヨエリ スポロゾイト周囲タンパク質(PyCSP)を含めてまたは含まないで、新しい他のPy前赤内期抗原を加えてPY06306抗原を試験するために、3抗原組み合わせ戦略(マトリックスと命名)を採用した。
図1において示される第一のマトリックス動物試験によって、2つのPY06306含有抗原組み合わせ(群)で有意な防御がもたらされることが明らかとなった。第一の組み合わせは、単独での使用およびPyCSPとの共使用によって、それぞれ64%および86%の無菌的防御を誘導した。この第一の組み合わせの抗原の構成要素はE140(PY06306)、E137(PY05693)およびE057(PY03396)であった。PyCSPと組み合わせた3抗原混合物の86%の防御は、PyCSP単独群(43%)の2倍もあり、このgold standardワクチンの有効性における有意な増強を示唆していた。第二の3抗原組み合わせでは、単独での使用およびPyCSPとの共使用によって、それぞれ14%および71%の無菌的防御が生じた。この第二の組み合わせは、ワクチン潜在能を有する2つの付加的な抗原;Py325(PY00232)およびPyCeITOS(PY17X_1434600)と組み合わせたE140(PY06306)からなった。これら5つの抗原(PY06306、PY05693、PY03396、PY325、およびPyCeITOS)のいずれか、または全てが、相当する数値において示される防御に寄与しているが;しかし、PY06306が3抗原組み合わせの全てに共通する唯一の抗原であったので、これらの抗原組み合わせのデコンボリューションのための第二の実験が必要となった。
実施例3:スポロゾイト曝露
共通要素である抗原としてPY06306を有する幾つかの抗原組み合わせを評価するために、第二の試験(マトリックスデコンボリューション実験2)が計画された。実験型式および免疫化は第一のマトリックス実験について記載されるものと同じレジメンに従った。図1および図2では、PY06306(E140)抗原を含む全ての抗原組み合わせについて、防御されたマウスが71%〜100%に渡る著しく高い有効性が示される。全体として、PY06306免疫化マウスの89%(137/154)がマラリア感染から防御された。PY06306ワクチン単独では71%の防御がもたらされ、PyCSP単独群での36%と比較して有意に高かった。さらに、図3において示されるように、非防御マウスの寄生虫血症の発症において実質的な遅延があった。PY06306免疫化群からの血液塗抹標本データの詳細な解析から、非防御マウスの4分の3がスポロゾイト曝露7日、10日、および12日後にマラリア陽性となったことが示される。これは、スポロゾイト曝露5日後までに全ての非防御マウスがマラリア陽性となったPyCSP、4×ヌル、およびナイーブ群の寄生虫血症の発症と比較した場合に有意である。
実施例4:抗体価
PY06306抗原は、個々のマウスによって、P.ヨエリのスポロゾイト期に対する高い抗体価、そして血液期に対する低い抗体価を誘導する。この証拠はマトリックスデコンボリューション実験2におけるマウスからのプール血清で測定された、原虫のスポロゾイトおよび血液期の双方に対する免疫蛍光(IFA)抗体価を挙げている図4(PY06306群)において示される。要約すると、組み合わせ群を含む、PY06306によって免疫化された全群において抗スポロゾイト抗体が検出され、それにより、PY06306抗原の免疫原性が裏付けられる。力価は1:5,120から1:20,480までの範囲に渡る。P.ヨエリ PY06306による免疫化によって誘導された抗体は、P.ベルゲイ スポロゾイトに交差反応する。PY06306単独によって免疫化されたマウスにおける高い抗体価(1:5,120)の検出から、PY06306抗原がスポロゾイトに対する抗体を誘導することが示される。
データの総括に基づく2つの重要な知見は、(i)図2において、PY06306を含まない抗原群(PY03396およびPY05693)については防御が認められず(0%)、抗体反応がない。これによってPY06306が、これらの組み合わせにおいて防御を誘導する唯一の成分ではないにしても、主要な成分であることが確証される。また、(ii)抗スポロゾイト抗体反応がPY06306抗原によって特異的に誘導される、ということである。防御マウスと非防御マウスでの抗スポロゾイトIFA力価の比較は、これらのマウスにおいて検出された抗体が防御の結果と相関していることを強く示す。全ての防御試験は、動物試験プロトコールD02-09および14-IDD-13の下で行われた。防御試験の結果は、マラリアワクチンのための価値ある成分としてのPY06306オルソログの役割を確証するものである。
実施例5:脾臓および肝臓の解析
さらなる試験から、PY06306免疫化マウスでは、脾臓においてIFNγを発現する10%超のCD8+ T細胞、およびより少ない(0.6%未満の)CD4+ T細胞が認められることが確認された。肝臓においては5%〜16.2%の範囲の数値が認められた。有効性の高い防御は、第二のスポロゾイト曝露後11週間続いた。T細胞除去によって、マウスにおける防御には高レベルのE140特異的T細胞は必要でないことが示される。さらに、PY06306による免疫化は、脾臓および肝臓においてIFNγを発現する高レベルのCD8+ T細胞を誘導する。CD1マウスおよびBALB/cマウス双方への抗PY06306血清移植によって、寄生虫血症の発症が有意に遅延した。またE140-血清レシピエントマウスでは、PY06306によって免疫化された防御マウスと比較して有意に低いIFA力価が認められた。スポロゾイト曝露以前に採取されたPY06306血清は、スポロゾイトのみに反応する。しかし、曝露後、数個体の防御マウスでは血液期に対するIFA陽性抗体が生じていた。
PY06306は、CD1マウスおよびBALB/cマウスの最大100%までを血液期曝露から無菌的に防御する(図11)。PY06306による免疫化は血液感染を予防し、非防御マウスの88%(30/34)において検出可能な寄生虫血症の発症を遅延させる。さらに、ナイーブマウスへの抗PY06306抗体の移植は感染を有意に遅延させる。PY06306免疫化マウスの脾臓および肝臓においてはIFNγを発現する高レベルのCD8+ T細胞が認められる。除去によって無菌的防御は低減しなかった。PY06306特異的IFA抗体価は防御と相関している。
実施例6:インビボのT細胞除去
図9はインビボのT細胞除去についての試験の結果を示す。非近交系CD1マウス数群を免疫化した。T細胞除去は、標準プロトコールに従ったT細胞特異的モノクローナル抗体の注射によって行った。マウスをその後、300個のP.ヨエリ スポロゾイトに曝露し、曝露19日後まで薄層血液塗抹標本において原虫が存在しないことによって防御を評価した。T細胞を除去された全てのPY06306免疫化マウスが防御され、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の双方ともPY06306による防御には必要ではないことが確証された。CD4/CD8群の非防御マウスの一例では、スポロゾイト曝露13日後において血中にマラリアが検出されたが、他の全てのマウスでは5日後に塗抹標本で陽性が認められた。免疫化マウス70例のうち総計68例のマウスが防御され、全体として97%の有効性であった。この試験によって、スポロゾイト曝露からの前赤内期抗原によって誘導される防御がT細胞に依存しないという驚くべき機序が確証された。
実施例7:血清移植試験
図10Aおよび10Bは、CD1マウスおよびBALB/cマウスにおける血清移植試験を示す。この試験によって、PY06306(E140)によって誘導される防御における抗体の役割が確証された。試験計画は、PY06306免疫化 CD1マウスおよびBALB/cマウスから血清を採取し、ナイーブ個体に移植し(比率1:1)、その後P.ヨエリ スポロゾイトに曝露するという、標準的な血清移植プロトコールに従った。血清移植は2日間に渡って;スポロゾイト曝露の24時間前および6時間前に行われた。図10AにおいてはCD1マウスについて、そして図10BにおいてはBALB/cマウスについての防御の結果が示される。図10Aおよび10Bは、PY06306ワクチンによって免疫化されたマウスからの血清と共に無菌的防御は移されなかったことを示す(CD1では7%(14例のうち1例)およびBALB/cでは0%(14例のうち0例))。PY06306血清レシピエントの全ての非防御マウス(点線)においては、同じ試験における他のいずれの群と比較しても寄生虫血症の発症に統計的に有意な遅延があった(Mantel-Cox***、p=0.0001)。これにより、抗PY06306抗体は血中の原虫の発育に対して有効な抑制効果があり、防御における一役を担うことが確証される。ドナーのCD1マウス(1:7,994)およびBALB/cマウス(1:18:549)と比較してレシピエントのCD1マウス(1:2,560)およびBALB/cマウス(1:575)における抗体価が有意に低いことは、なぜこれらのマウスが曝露から防御されなかったのかを説明するものである。
実施例8:脾臓および肝臓におけるPY06306特異的CD8 T細胞の検出
PY06306免疫化ナイーブマウスの脾臓および肝臓においてはPY06306特異的CD8 T細胞が認められる。PY06306は大分子であるという事実から、15 merの重複ペプチドをタンパク質全体に渡る2つのプール;PY06306のN-末端からのペプチドを含有するプールAおよびC-末端からのプールBに分けた。インターフェロンγ(IFNγ)を発現するCD8+細胞についてゲーティングしたフローサイトメトリーによってT細胞を測定し、総T細胞集団に対するパーセンテージとして表した。データは、プールAからのペプチドのみがIFNγCD8細胞をリコールできることを示し、PY06306 T細胞エピトープが抗原のN-末端に限定される可能性が高いことが確認される。PY06306免疫化マウスの脾臓(平均18%)および肝臓(平均11%)の双方について、IFNγを発現する非常に高いレベルのCD8+ T細胞が検出された。細胞内サイトカイン染色法のために、標準プロトコールを用いてPY06306免疫化マウスおよびヌル免疫化マウスから得られた脾細胞および肝臓に内在するT細胞を調製し、その後、最終濃度2μg/mlのPY06306(E140)ペプチドプールAおよびBによって6時間刺激した。LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いてデータが得られ、FlowJo(Tree Star Inc.)を用いて解析された。
実施例9:PY06306はBALB/cマウスにおいて防御を誘導する
PY06306抗原はスポロゾイト曝露からBAB/c系マウスを効果的に防御する。ある用量のDNAによって1群当たり14個体のBALB/cマウスを免疫化し、PY06306、PY06306+PyCSP、およびPyCSPをコードするアデノウイルス5によってブースティングした。陰性対照マウス群としてヌル免疫化マウスおよびナイーブマウスを使用した。感染性P.ヨエリの100スポロゾイトに全てのマウスを曝露し、曝露後17日間、ギムザ染色薄層塗抹標本で寄生虫血症についてモニタリングした。曝露されると、全て(100%)のPY06306免疫化マウスが無菌的に防御された(PY06306およびPY06306+PyCSP)一方、PyCSPでは57%が防御された。従って、PY06306は近交系マウスを防御することができ、PyCSP抗原と混合してもPY06306の防御は阻害されない。
実施例10:PY06306は血液期曝露からの防御を誘導する
図11は、血液期曝露からのPY06306防御を示す。PY06306抗原単独、およびPyファルスタチンとの組み合わせは、10,000個の血液期原虫を用いたストリンジェントな曝露からマウスを防御する。この試験においては、マウスをPY06306単独およびPyファルスタチンとの組み合わせによって免疫化し、P.ヨエリ感染赤血球に曝露した。双方のマウス群は100%無菌的に防御された(黒色および灰色の棒グラフ)。Pyファルスタチン抗原はPY03424としても知られる。血液期曝露からの防御は、マラリアワクチンにとって価値のある特徴といえる、PY06306ワクチンにより誘導される第二段階の防衛を提供するものである。
実施例11:コドン最適化PY06306 Ad5の低量単回用量による防御
図12は、コドン最適化アデノウイルス5による防御を示す。この試験では、哺乳類細胞における発現のために設計されたコドン最適化(co)PY06306遺伝子を用いて作製したアデノウイルス5構築物の評価を行った。PY06306の天然型コドン配列における変化はAd5ウイルスによって発現されたアミノ酸配列を変えなかった。試験では天然型(na)およびコドン最適化(co)アデノウイルス5構築物によって発現されたPY06306タンパク質のインビトロでの発現を調べ、比較した。マウスポリクローナル血清を用いたプロービング後のcoPY06306 Ad5は、天然型構築物と比較してはるかに高いレベルのPY06306タンパク質を発現する。第一のマウス群においては、天然型(na)およびコドン最適化PY06306 Ad5の双方について、10^10、10^9、10^8および10^7 PU/用量に渡ってブースティング用量を漸減した。これら8群の全てのマウスは同じcoPY06306 DNAワクチン用量(100μg)によってプライミングし、様々な用量のnaPY06306(黒色棒グラフ)またはcoPY06306(灰色棒グラフ)Ad5構築物のいずれかによって筋肉内投与(IM)でブースティングした。全体的な有効性から、CD1マウスではcoPY06306 Ad5ワクチンでより高い防御(100%、100%、86%および93%)が誘導されるのと比べて、同じAd5用量のna PY06306ではより低い防御(86%、93%、86%および71%)が認められることが示される。該試験ではまた、Ad5の投与について皮下(SC)経路と静脈内(IV)経路の比較も行った。SC経路ではna PY06306ワクチンおよびco PY06306ワクチンの双方について同様の防御レベル(各々50%および57%)がもたらされた。IV経路でのco PY06306 Ad5の投与では100%の無菌的防御の結果が得られた一方、na PY06306 Ad5では79%であった。na PY06306 Ad5について、IV経路では79%の無菌的防御が認められた一方、皮下経路では50%であった。co PY06306 Ad5の単回用量によって免疫化されたマウス群では93%の無菌的防御が誘導されたのと比べて、na PY06306ワクチンでは29%であった。これらのマウスはDNAワクチンのプライミングを受けていなかった。全ての防御試験は動物試験プロトコールD02-09および14-IDD-13の下に行われた。
実施例12:ヒト熱帯熱マラリア原虫はマウスにおいて免疫原性である
図13は、熱帯熱マラリア原虫PFA0205w(E140オルソログ)はマウスにおいて免疫原性であることを示す。PFA0205w(aka PF3D7_0104100)について4つのワクチン試薬を作製した。それらは、VR1020 DNAワクチン構築物、ヒトアデノウイルス5構築物、タンパク質発現プラスミドpEU-E01-GST、およびpEU-E01-Hisである。マウスの免疫化のために大規模でDNAワクチンおよびAd5を作製した。NMRCにおいてコムギ胚芽無細胞システムによって小規模で組換えタンパク質を作製した。CD1マウスおよびBALB/cマウスの双方を図13において示されるような様々なプライム-ブーストレジメンを用いて免疫化した。Ad5プライムおよび組換えタンパク質ブーストが最も免疫原性の高いレジメンであり、熱帯熱マラリア原虫の血液期とスポロゾイト期の双方に対して1:4,000までのIFA力価を誘導した。PFA0205wアデノウイルス5の単回用量で原虫に対する抗体が誘導される。これにより、組換えウイルス(アデノウイルス5)の単回用量としての、またはAd5-タンパク質レジメンを用いたプライム-ブーストとしてのPFA0205wがワクチン製剤として見込みがあることが確証される。
実施例13:熱帯熱マラリア原虫E140(PFA0205w)はヒトにおいて免疫原性である
図14は熱帯熱マラリア原虫E140(PFA0205w)がヒトにおいて免疫原性であることを示す。放射線弱毒化スポロゾイト(RAS)によって免疫化した個々の対象からのT細胞は、PFA0205wペプチドプール(A)を用いた刺激に反応することができた。ペプチド混合物は、PFA0205wタンパク質のN-末端領域のほとんどを包含する15 merの重複ペプチドを含有していた。該タンパク質は大きいため、ペプチドを2つのプールに分けた;PFA0205wタンパク質のN-末端を包含するプールAとC-末端を包含するプールBである。双方のグラフにおけるデータは、ヒトにおいて弱毒化スポロゾイトワクチンを用いた免疫化はCD4 T細胞およびCD8 T細胞の双方を誘導することを示していた。CD4+およびCD8+ T細胞は、前赤内期原虫からのPFA0205w誘導防御における役割を担う。E140免疫化マウスの脾臓および肝臓においては、高レベルのP.ヨエリ E140反応が認められる。
実施例14:PFA0205wはシゾント中に発現してスポロゾイトの表面およびサイトゾルに局在する
PFA0205w抗原は、熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイト期およびシゾント期の双方において発現する。CD1マウス血清を用いて、PFA0205wアデノウイルス5によるプライミング、および組換えPFA0205wタンパク質によるブースティングを行うことによって生じたIFA反応性データを得た。血清は熱帯熱マラリア原虫赤血球シゾントについて36時間陽性であり、早期輪状体および栄養体については陰性であった。免疫電子顕微鏡(EM)によって、スポロゾイトにおけるPFA0205w抗原の細胞内局在について決定した。顕微鏡写真の解析から、PFA0205w抗原が熱帯熱マラリア原虫スポロゾイトの表面およびサイトゾルの双方に局在することが示された。免疫蛍光測定法および免疫電子顕微鏡から、PFA0205w Adeno5によって免疫化され、組換えPFA0205wタンパク質によってブースティングされたCD1マウス由来の血清の反応性が示された。赤血球への侵入約36時間後のNF54熱帯熱マラリア原虫を含む風乾IFAスライドを作製した。血清希釈率1:500でIFAを行い、FITC標識したヤギ抗マウスIgを用いて展開した。免疫電子顕微鏡法のために、感染蚊から熱帯熱マラリア原虫スポロゾイトを含有する唾液腺を単離した。固定した唾液腺を包埋し、切片化し、電子顕微鏡のグリッドにマウントして、同じ血清およびコロイド金標識抗マウス抗体を用いて染色した。顕微鏡写真からPFA0205w抗原が熱帯熱マラリア原虫スポロゾイトの表面およびサイトゾルの双方に局在することが確認された。
実施例15:PVX_081555(PvE140)は三日熱マラリア原虫スポロゾイト中に発現する
図15は、PVX_081555(PvE140)が三日熱マラリア原虫スポロゾイト中に発現することを示す。メンブレンフィーダーを用いてアノフェレス・ディラス(Anopheles dirus)蚊に三日熱マラリア感染患者からの血液を与えた。メンブレンフィーディング14日後、100匹の蚊から蚊の唾液腺を抽出した。リン酸緩衝食塩水を含有するマイクロチューブにおいてペッスルを用いて唾液腺を破砕し、三日熱マラリア原虫スポロゾイトを遊離させた。その後唾液腺デブリス-スポロゾイト混合物を遠心分離機にかけ、蚊の唾液腺デブリスを除去し、上清から三日熱マラリア原虫スポロゾイトを新しいマイクロチューブに移した。抽出された三日熱マラリア原虫スポロゾイトを計測し、37℃において18時間、1μgの分子生物学的グレードのトリプシンによって1×106スポロゾイトを酵素分解した。酵素分解後、C8逆相カラムを通してトリプシン分解スポロゾイトペプチドを脱塩し、凍結乾燥した。凍結乾燥トリプシン分解ペプチドを多次元タンパク質同定法(MudPIT)に供し、ワクチン候補となり得る三日熱マラリア原虫スポロゾイトタンパク質を同定した。Sequestアルゴリズムを用いて、ハマダラカ-三日熱マラリア原虫タンパク質の組み合わせ配列データベースに対して、三日熱マラリア原虫スポロゾイトから生じたタンデム質量分析スペクトルを検索した。Sequest検索からのアウトプットファイルをスキャフォールド(Scaffold)タンパク質ビューアーにロードした。三日熱マラリア原虫プロテオームに特異的に合致するタンパク質を強調するために、スキャフォールドプログラムを用いてハマダラカプロテオームに合致する配列をサブトラクションした。MudPITによって同定された三日熱マラリア原虫スポロゾイトタンパク質の各々の存在量を比較するためにスキャフォールドソフトウェアを使用した。所定のタンパク質に合致する質量スペクトル量をそのタンパク質の分子量に正規化するスキャフォールド「定量値」によってタンパク質量が決定された。このMudPIT実験において256個の高信頼三日熱マラリア原虫タンパク質が同定された。三日熱マラリア原虫E140(PVX_081555)は配列決定されたもののうち39番目に量の多い三日熱マラリア原虫スポロゾイトタンパク質であり、5番目に量の多い膜結合性タンパク質であった。比べてみると、やはり原虫膜に結合しているCSPワクチン抗原は、全体として5番目に量の多いタンパク質であり、サンプル中に最も量の多い膜結合性タンパク質であった。この結果は、三日熱マラリア原虫E140が該原虫において最も量の多い膜結合性タンパク質の1つであることを説明するものである。E140の膜結合および量から、それは液性免疫応答の格別な標的となる。

Claims (13)

  1. SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:6、およびそれらの誘導体のアミノ酸配列のうちの1つを含む組換えポリペプチドであって、該誘導体が、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つの少なくとも10個の連続したアミノ酸、ならびに/またはSEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つとの少なくとも85%の同一性を有する、組換えポリペプチド;
    薬学的に許容される担体;ならびに
    アジュバント
    を含む、マラリアから哺乳類を防御するための免疫原性組成物。
  2. 薬学的に許容される担体中の2つまたはそれ以上の組換えポリペプチドの組み合わせであって、該2つまたはそれ以上の組換えポリペプチドのうちの第一の組換えポリペプチドが、SEQ ID NO:3およびその誘導体のアミノ酸配列のうちの1つを含み、該誘導体が、SEQ ID NO:3の少なくとも10個の連続したアミノ酸、および/またはSEQ ID NO:3との少なくとも85%の同一性を有する、組換えポリペプチドの組み合わせ;
    薬学的に許容される担体;ならびに
    アジュバント
    を含む、マラリアから哺乳類を防御するための免疫原性組成物。
  3. 前記2つまたはそれ以上の組換えポリペプチドのうちの第二の組換えポリペプチドが、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、およびそれらの誘導体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、該誘導体が、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、およびSEQ ID NO:9のうちの1つの少なくとも10個の連続したアミノ酸、ならびに/またはSEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、およびSEQ ID NO:9のうちの1つとの少なくとも85%の同一性を有する、請求項2に記載の免疫原性組成物。
  4. SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:6、およびそれらの誘導体のアミノ酸配列のうちの1つによってコードされるポリペプチドを含む組成物の免疫学的に有効な量を、哺乳類に投与する段階であって、該誘導体が、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つの少なくとも10個の連続したアミノ酸、ならびに/またはSEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つとの少なくとも85%の同一性を有する、段階
    を含む、該哺乳類においてマラリアに対する免疫応答を誘導する方法。
  5. 前記哺乳類がヒトである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記方法が、マラリアに対する1回または複数回のプライミング免疫化またはブースティング免疫化を哺乳類に行う段階をさらに含み、該プライミング免疫化および該ブースティング免疫化が、組換えポリペプチドの免疫学的に有効な量を含み、該組換えポリペプチドが、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:6、およびそれらの誘導体のアミノ酸配列のうちの1つを含み、該誘導体が、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つの少なくとも10個の連続したアミノ酸、ならびに/またはSEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つとの少なくとも85%の同一性を有する、請求項4に記載の方法。
  7. 前記ポリペプチドを発現させるために好適な発現ベクターを哺乳類に導入する段階であって、該好適な該発現ベクターが、プラスミド、複製ウイルスベクター、および非複製ウイルスベクターからなる群より選択される、段階
    によって、請求項1に記載の組成物の免疫学的に有効な量を該哺乳類に投与する方法。
  8. 前記哺乳類がヒトである、請求項7に記載の方法。
  9. プラスミド、複製ウイルスベクター、および非複製ウイルスベクターからなる群より選択される好適な発現ベクターによって、前記組換えポリペプチドが発現する、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  10. DNAプラスミド、バキュロウイルス、VSV、MVA、GD46、アルファウイルスレプリコン、アデノウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、サイトメガロウイルス、イヌジステンパーウイルス、黄熱病ウイルス、レトロウイルス、RNAレプリコン、DNAレプリコン、アルファウイルスレプリコン粒子、ベネズエラウマ脳炎ウイルス 、セムリキ森林ウイルス、およびシンドビスウイルスからなる群より選択される好適な発現ベクターによって、前記組換えポリペプチドが発現する、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  11. 前記組成物が、組換えポリペプチドを発現する好適な発現ベクターを通して投与され、該好適な発現ベクターが、DNAプラスミド、バキュロウイルス、VSV、MVA、GC46、SpyVLP、アルファウイルスレプリコン、アデノウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、サイトメガロウイルス、イヌジステンパーウイルス、黄熱病ウイルス、レトロウイルス、RNAレプリコン、DNAレプリコン、アルファウイルスレプリコン粒子、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、およびシンドビスウイルスからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
  12. SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:6、およびそれらの誘導体のアミノ酸配列のうちの1つを含む組換えポリペプチドであって、該誘導体が、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つの少なくとも10個の連続したアミノ酸、ならびに/またはSEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:6のうちの1つとの少なくとも85%の同一性を有する、組換えポリペプチド
    を含み、
    乾燥粉末である、マラリアから哺乳類を防御するための免疫原性組成物。
  13. 前記乾燥粉末が、薬学的に許容される担体中への懸濁または薬学的に許容される担体中での再構成の後に哺乳類への投与に好適である、請求項12に記載の免疫原性組成物。
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