JP2019504634A - 統合細胞 - Google Patents

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Abstract

水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水溶液の提供により細胞足場材料を製造する。絹タンパク質を真核細胞と混合し、絹タンパク質を細胞の存在下で水不溶性マクロ構造物へと集合させることにより、細胞培養のための足場材料を形成する。細胞培養に適した条件下、細胞を足場材料と統合して増殖させることができる。【選択図】図3

Description

本発明は、真核細胞培養及び組織工学の分野に関し、細胞足場材料としてフィブロイン又はクモ糸タンパク質などの絹タンパク質ポリマーを使用する真核細胞の培養方法及び培養のための細胞足場材料を提供する。
組織工学の基本概念は、生細胞、バイオマテリアル及び生物活性因子などの異なる成分を組み合わせて培養組織コンストラクトを形成することである。伝統的組織工学ストラテジーは、通常、細胞が高分子足場上に播種される「トップダウン」アプローチを使用する。それから、材料は高い相互接続性を有する大きな孔を含んで、その後の細胞浸潤を可能としなければならない。崩壊しない高多孔性を可能とするために、材料は厚く及び/又は堅い壁を有さなければならず、これにより、細胞がまさに広がろうとしている場合に細胞適合性が不良となり、柔軟性が低くなる。
代替として、「ボトムアップ」組織工学アプローチが最近開始された。ボトムアップアプローチは、より小さい成分又は細胞と一緒のモジュール由来のマトリックスの集合を頼りにしている。例えば、細胞を含むハイドロゲルの3Dプリンティングにより、これを行うことができる。しかしながら、ハイドロゲルの1つの主要な欠点は、柔らかい組織工学に対してこれらの使用を制限する機械強度不足である。より強い合成マトリックスの調合物のために使用される方法は、通常、融解又は有機溶媒などの厳しい状況に依存し、従って、細胞の生存に適合しない。さらに、合成材料は、通常、哺乳類組織に調和するのに適切なものよりずっと堅くなる。組織中の哺乳類細胞を取り巻く天然細胞外マトリックス(ECM)は、合成的産生を必要とする修飾タンパク質からなる繊維(例えば、コラーゲン及びエラスチン)からなり、これらの機械特性のインビトロ模倣は、今まで、行われてこなかった。また、他の生物体は、支持体としてタンパク質繊維を使用する;最も強いのはクモにより紡がれた絹糸である。極めて優れた強度は別として、クモ糸は、弾性及び生体適合性などの非常に魅力的な特性を有する。
クモは、異なる機械特性及び機能を有する様々な絹タイプを産生する7つ以下の異なる腺を有する。大瓶状腺により産生されるクモドラグライン絹は最も強靱な繊維であり、重量基準で、張力鋼などの人造材料より優れている。ドラグライン絹の特性は、例えば、細胞培養のための足場として医療又は工業目的のための新規材料の開発において魅力的である。
ドラグライン絹は、2つの主要なポリペプチドからなり、主に、大瓶状腺スピドロイン(MaSp)1及び2と呼ばれるが、例えば、アラネウス・ディアデマツス(Araneus diadematus)のADF−3及びADF−4。これらのタンパク質は、200〜720kDaの範囲の分子質量を有する。ラトロデクツス・ヘスペルス(Latrodectus hesperus)のドラグラインタンパク質をコードする遺伝子は、完全に特性決定された唯一のものであり、MaSp1及びMaSp2遺伝子は、それぞれ、3129アミノ酸及び3779アミノ酸をコードする(Ayoub NA et al. PLoS ONE 2(6): e514, 2007)。ドラグライン絹ポリペプチドの特性は、Huemmerich, D. et al. Curr. Biol. 14, 2070-2074 (2004)に考察されている。
クモドラグライン絹タンパク質、又はMaSpは、三部からなる成分;非反復N末端ドメイン、多くの反復ポリ−Ala/Glyセグメントからなる中央反復領域、及び非反復C末端ドメインを有する。概して、反復領域は、絹繊維における分子間接触を形成すると考えられるが、末端ドメインの正確な機能は余り明らかでない。繊維形成に関連して、反復領域は、ランダムコイル及びαヘリカル構造からβシート構造へ構造変換する。スピドロインのC末端領域は、概して、クモ種と絹タイプとの間に保存される。クモ糸のN末端ドメインは、最も保存された領域である(Rising, A. et al. Biomacromolecules 7, 3120-3124 (2006))。
国際公開第2007/078239号パンフレット及びStark, M. et al., Biomacromolecules 8, 1695-1701, (2007)は、Ala及びGlyの高含有率を有する反復フラグメント及びタンパク質のC末端フラグメントからなる微小クモ糸タンパク質、ならびにクモ糸タンパク質を含む可溶融合タンパク質を開示している。クモ糸タンパク質は、凝集性かつ水不溶性マクロ構造物、例えば、空気:水などの界面に付したとき、繊維などの規則性ポリマーに自然に転換する。微小クモ糸タンパク質単位は、繊維形成に充分かつ必要である。不死化細胞系統からの細胞は、前以て形成された巨視的クモ糸繊維上に添加され、増殖させる。
Hedhammar, M. et al., Biochemistry 47, 3407-3417, (2008)は、組換えN末端及びC末端スピドロインドメイン及び4つのポリ−Ala及び−Glyに富むコブロックを含む反復スピドロインドメインの熱効果、pH効果及び塩効果を研究している。
国際公開第2011/129756号パンフレットは、真核細胞培養のための微小クモ糸タンパク質をベースとする方法及び細胞足場材料を開示している。タンパク質は、様々な短い(3〜5アミノ酸残基)細胞結合ペプチドを含み得る。様々な細胞型は前以て形成された細胞足場材料上に添加される。
国際公開第2012/055854号パンフレットは、クモ糸タンパク質と、より長い(>30アミノ酸残基)非スピドロインポリペプチド又は所望の結合特性を有するタンパク質との間の融合タンパク質である組換えタンパク質を含む細胞足場材料の製造を開示している。細胞は前以て形成された細胞足場材料上に添加され培養される。
国際公開第2015/036619号パンフレット及びWidhe, M. et al., Biomaterials 74:256-266 (2016)は、有用な細胞結合ペプチドを含むさらに微小なクモ糸タンパク質を開示している。また、様々な細胞型が、前以て形成された細胞足場材料上に添加される。
Johansson et al., PLOS ONE 10(6): e0130169 (2015)は、様々な物理的フォーマットへのクモ糸タンパク質の調合物を開示している。その後に、マウス膵島はクモ糸マトリックスの上部に置かれ、接着させられる。
この分野におけるこれらの利点にもかかわらず、この分野において新規細胞足場に対するニーズが未だに存在する。この分野において、特に、統合的な真核細胞の培養及び組織工学における使用のための機械的に頑強な三次元足場に対するニーズがある。
細胞が拡張する際に、細胞適合性及び細胞柔軟性が改良された細胞足場を設けることが、本発明の目的である。
より組織に近い培養細胞の拡張を達成する細胞足場を設けることも、本発明の目的である。
迅速かつ生存可能に接着細胞を得られる、播種効率の高い細胞足場を設けることも、本発明の目的である。
充分な機械強度及び哺乳類組織工学に適した剛性を有する細胞足場を設けることも、本発明のさらなる目的である。
細胞生存に適合する条件下における細胞足場の提供方法を設けることも、本発明の目的である。
細胞が、細胞足場材料全体にわたって統合された細胞足場を設けることも、本発明のさらに別の目的である。
細胞足場内でいくつかの細胞種の共培養を可能とする方法を設けることも、本発明の目的である。
次の開示から明らかになる上記その目的のため、本発明は、第一態様に従って、真核細胞の培養方法であって、以下のステップ:
(a)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水溶液を設けること、ここで、前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;
(b)真核細胞のサンプルと前記絹タンパク質との水性混合物を調製すること、ここで、該絹タンパク質は水性混合物中に溶解したままである;
(c)前記絹タンパク質を前記真核細胞の存在下で水不溶性マクロ構造物へと集合させ、それにより真核細胞を培養するための足場材料を形成させる;及び
(d)細胞培養に適した条件下にて、前記足場材料内で真核細胞を維持すること、
を含む、方法を提供する。
真核細胞の培養方法の好ましい変化形では、絹タンパク質はクモ糸タンパク質である。
本発明は、絹タンパク質を水不溶性マクロ構造物へと集合させる前に、分散した真核細胞を絹タンパク質溶液に添加し、それにより、穏やかな自己集合過程の間に絹のような材料全体にわたって統合することができるという独創的な知見に基づいている。これは、細胞を予め形成された絹マクロ構造物上に添加する従来技術の細胞培養と対照的である。
有利には、統合細胞を含むマクロ構造物の調合物は、迅速かつ生存可能に接着細胞を得られる高い播種効率を提供する。
ハイドロゲルにおける培養と比較して、本発明に従った方法を使用する絹の足場に統合されると、細胞はより組織に近い拡張を達成する。
本明細書で実証されるように、特定のクモ糸タンパク質を本発明に利用することは重要ではない。絹タンパク質は、好ましくは、カイコフィブロインなどのフィブロイン、又はクモ糸タンパク質である。
本発明は、第二態様に従えば、(i)真核細胞を培養するための足場材料;及び(ii)該足場材料と統合して増殖する真核細胞;を含む細胞培養製品の製造方法であって、
(a)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水溶液を設けること、ここで、前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;
(b)真核細胞のサンプルと前記絹タンパク質との水性混合物を製造すること、ここで、前記絹タンパク質は水性混合物中に溶解したままである;及び
(c)前記絹タンパク質を真核細胞の存在下で水不溶性マクロ構造物へと集合させ、それにより真核細胞を培養するための足場材料を形成させること、
を含む方法を提供する。
細胞培養製品の製造方法の好ましい変化形では、絹タンパク質はクモ糸タンパク質である。
第三の態様に従えば、本発明は、(i)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水不溶性マクロ構造物である真核細胞を培養するための足場材料、ここで、前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;及び(ii)前記足場材料と統合して増殖する真核細胞を含む細胞培養製品を提供する。
細胞培養製品の好ましい変化形では、絹タンパク質はクモ糸タンパク質である。
好ましい実施形態では、細胞培養製品を、本発明に従った製造方法により取得可能である又は取得される。
第四の態様に従えば、本発明は、真核細胞培養のための足場材料の形成における、前記細胞の存在下での、水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の新規な使用であって、前記足場材料が前記絹タンパク質の水不溶性マクロ構造物であり;該絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む、使用を提供する。
使用の好ましい変化形では、絹タンパク質はクモ糸タンパク質である。
本発明の上記その他の態様のいくつかの好ましい実施形態では、マクロ構造物は、繊維、発泡体、薄膜、繊維メッシュ、カプセル及び網、好ましくは繊維又は発泡体から選択される形状にされる。
本発明の上記その他の態様の特定の好ましい実施形態では、真核細胞が、哺乳類細胞から選択され、好ましくは、内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、骨格筋サテライト細胞、骨格筋筋芽細胞、平滑筋細胞、臍帯静脈内皮細胞、シュワン細胞、膵臓β細胞、膵島細胞、肝細胞及びグリオーマ形成細胞などの初代細胞及び細胞系統;ならびに間葉系幹細胞などの幹細胞;又は少なくとも2つの異なる哺乳類細胞型の組合せから選択される。
本発明の特定の好ましい実施形態では、絹タンパク質はカイコフィブロインなどのフィブロインである。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、絹タンパク質はクモ糸タンパク質である。本発明の上記その他の態様のいくつかの好ましい実施形態では、クモ糸タンパク質は、タンパク質部分REP及びCTを含むか又はから成り、
REPは、L(AG)nL、L(AG)nAL、L(GA)nL、及びL(GA)nGL(式中、nは2〜10の整数である)からなる群から選択される70〜300アミノ酸残基の反復フラグメントであり;個々のAセグメントは、8〜18アミノ酸残基のアミノ酸配列であり、該アミノ酸残基のうち0〜3個はAlaではなく、かつ、残りのアミノ酸残基はAlaであり;個々のGセグメントは、12〜30アミノ酸残基のアミノ酸配列であり、該アミノ酸残基の少なくとも40%がGlyであり;及び個々のLセグメントは、0〜30アミノ酸残基のリンカーアミノ酸配列であり;CTは、配列番号3又は配列番号68と少なくとも70%同一性を有する70〜120アミノ酸残基のフラグメントであり;ならびに場合により含まれる細胞結合モチーフは、クモ糸タンパク質の末端に、又は前記部分間、もしくは前記部分のいずれかの内に、好ましくは該クモ糸タンパク質の末端に配置される。
本発明の上記その他の態様の特定の好ましい実施形態では、絹タンパク質は、RGD、IKVAV(配列番号10)、YIGSR(配列番号11)、EPDIM(配列番号12)、NKDIL(配列番号13)、GRKRK(配列番号14)、KYGAASIKVAVSADR(配列番号15)、NGEPRGDTYRAY(配列番号16)、PQVTRGDVFTM(配列番号17)、AVTGRGDSPASS(配列番号18)、TGRGDSPA(配列番号19)、CTGRGDSPAC(配列番号20)及びFNcc(配列番号9);好ましくはFNcc、GRKRK、IKVAV、RGD及びCTGRGDSPAC、より好ましくはFNcc及びCTGRGDSPACから選択される細胞結合モチーフなどの細胞結合モチーフを含み;FNccは、C112RGDX3452であり;X1、X2、X3、X4及びX5の各々はシステイン以外の天然アミノ酸残基から独立して選択され;C1及びC2はジスルフィド結合により結合している。
スピドロインC末端ドメインの配列アラインメントを示す。 スピドロインC末端ドメインの配列アラインメントを示す。 フィブロネクチン由来細胞結合モチーフを含むクモ糸コンストラクトを示す。 統合細胞を含む絹足場の調合物を示す。 絹足場内の細胞の代謝活性を示す。 絹足場内の細胞の生存率を示す。 絹足場内の細胞の拡張を示す。 絹足場内の細胞の分布を示す。 細胞を含む絹繊維の機械特性を示す。 絹足場上で増殖した線維芽細胞のI型コラーゲンの蛍光免疫染色を示す。 絹繊維上で増殖したHsk細胞の筋管形成の蛍光免疫染色を示す。 絹足場内で共培養したいくつかの細胞型の存在を示す。 島様クラスターが絹足場内で機能することを示す。 細胞を含む絹足場のインビボイメージングを示す。 絹繊維内の細胞分布を示す。 絹発泡体内の細胞分布を示す。 絹発泡体内で増殖する細胞の増殖曲線を示す。 絹発泡体内に統合された生細胞の染色を示す。 絹繊維内で増殖する細胞の増殖曲線を示す。 絹繊維内に統合された生細胞の染色を示す。 絹薄膜内で増殖する細胞の増殖曲線を示す。 絹薄膜及び発泡体内に統合された生細胞の画像を示す。 絹薄膜内に統合された細胞の顕微鏡写真及びそのクリスタルバイオレット吸収を示す。 それぞれ脂肪生成及び骨原性系列に分化した幹細胞を示す。 分化した幹細胞における神経前駆体マーカーの相対的遺伝子発現を示す。
添付配列のリスト
配列番号
1 RepCT(4RepCT,WT)(DNA)
2 RepCT(4RepCT,WT)
3 CT
4 コンセンサスCT配列
5 ユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)由来反復配列MaSp1
6 コンセンサスGセグメント配列1
7 コンセンサスGセグメント配列2
8 コンセンサスGセグメント配列3
9 FNcc
10 IKVAV
11 YIGSR
12 EPDIM
13 NKDIL
14 GRKRK
15 KYGAASIKVAVSADR
16 NGEPRGDTYRAY
17 PQVTRGDVFTM
18 AVTGRGDSPASS
19 TGRGDSPA
20 CTGRGDSPAC
21 GPNSRGDAGAAS
22 VTGRGDSPAS
23 STGRGDSPAS
24 RGD−4RepCT、Widhe et al. (2013)(DNA)*
25 RGD−4RepCT、Widhe et al. (2013)*
26 FNCC−4RepCT(DNA)
27 FNCC−4RepCT
28 2RepRGD2RepCT(2R)
29 3RepRGD1RepCT(3R)
30 GRKRK−4RepCT
31 IKVAV−4RepCT
32 リンカーペプチド1
33 リンカーペプチド2
34 リンカーペプチド3
35 リンカーペプチド4
36 CTユープロステノプス属(Euprosthenops sp)MaSp1
37 CTユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)MaSp1
38 CTアルギオペ・トリファスシアタ(Argiope trifasciata)MaSp1
39 CTシルトホラ・モルセンシス(Cyrtophora moluccensis)Sp1
40 CTラトロデクツス・ゲオメトリクス(Latrodectus geometricus)MaSp1
41 CTラトロデクツス・ヘスペルス(Latrodectus hesperus)MaSp1
42 CTホルストジョウゴグモ(Macrothele holsti)Sp1
43 CTネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)MaSp1
44 CTネフィラ・ピリペス(Nephila pilipes)MaSp1
45 CTネフィラ・マダガスカリエンシス(Nephila madagascariensis)MaSp1
46 CTネフィラ・セネガレンシス(Nephila senegalensis)MaSp1
47 CTウズグモ(Octonoba varians)Sp1
48 CTボロアミグモ属シネンシス(Psechrus sinensis)Sp1
49 CTテトラグナタ・カウアイエンシス(Tetragnatha kauaiensis)MaSp1
50 CTテトラグナタ・ベルシカラー(Tetragnatha versicolor)MaSp1
51 CTアラネウス・ビセンテナリウス(Araneus bicentenarius)Sp2
52 CTアルギオペ・アモエナ(Argiope amoena)MaSp2
53 CTアルギオペ・アウランティア(Argiope aurantia)MaSp2
54 CTアルギオペ・トリファスシアタ(Argiope trifasciata)MaSp2
55 CTガステラカンタ・マモサ(Gasteracantha mammosa)MaSp2
56 CTラトロデクタス・ジオメトリカス(Latrodectus geometricus)MaSp2
57 CTラトロデクタス・ヘスペルス(Latrodectus hesperus)MaSp2
58 CTネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)MaSp2
59 CTネフィラ・マダガスカリエンシス(Nephila madagascariensis)MaSp2
60 CTネフィラ・セネガレンシス(Nephila senegalensis)MaSp2
61 CTドロメデス・テネブロサス(Dolomedes tenebrosus)Fb1
62 CTドロメデス・テネブロサス(Dolomedes tenebrosus)Fb2
63 CTアラネウス・ジアデマタス(Araneus diadematus)ADF−1
64 CTアラネウス・ジアデマタス(Araneus diadematus)ADF−2
65 CTアラネウス・ジアデマタス(Araneus diadematus)ADF−3
66 CTアラネウス・ジアデマタス(Araneus diadematus)ADF−4
67 STGRGDSPAV(FN10II
68 CTアラネウス・ベントリコサス(Aranaeus ventricosus)MiSp
69 FNcc−RepCTMiSp
* Widhe M et al., Biomaterials 34(33): 8223-8234 (2013)
組織は、細胞外マトリックス(ECM)と呼ばれる複合材内に統合された細胞でできている。ECMは物理的3D支持体を提供し、細胞固定用の特定部位も提供する。本発明者らは、ECMタンパク質フィブロネクチン(FN)由来のモチーフで機能化された組換え絹タンパク質であって、その形成されたFN絹の細胞支持能力を強化するタンパク質を開発した。穏やかな自己集合方法を使用して、発泡体、繊維及び薄膜を含むクモ糸足場の様々なフォーマットを得ることができる。穏やかな自己集合方法は、発泡体、繊維及び薄膜を含むフィブロイン絹の様々なフォーマットを得るのにも有用である。
組織欠損及び組織損傷が大きい急性損傷及び外傷は、細胞外マトリックス案内不能のために修復過程問題を引き起こす。治癒過程は充分ではなく、肝臓などの生命維持臓器の場合、生命を危うくし得る。肝臓は自己複製する唯一の能力を有し、肝臓に機会と時間があれば再生し得る。組換えクモ糸は、残存した患者自身の肝細胞のための支持足場を設けることにより、肝不全に対する支援を与え得る。これは、肝細胞に再生及び修復して個別の肝移植の機会を与え得る。
特定の組織(正常又はがん)由来の細胞と組み合わせた絹の共調合物は、疾患モデリング、創薬及び毒物学のための3Dインビトロプラットフォームにも発達し得る。がん治療は、がん疾患の複雑さのために個別医療を目標にしている。共調合物されたがん及び組換えクモ糸の生物模倣3D培養は、がん進行のスクリーニング及びがん特殊療法の開発−がんを標的化して打破する個別化方法を可能とし得る一例である。
本発明は、分散哺乳類細胞を、水不溶性規則性ポリマー又はマクロ構造物中にこれを集合する前に、絹タンパク質溶液に添加して、これにより絹様材料全体にわたって統合できるという洞察に基づいている。様々な哺乳類細胞型(マウス及びヒト由来)の回収を、繊維、発泡体及び薄膜を含む様々な絹フォーマット内に統合することに成功した。絹タンパク質はフィブロイン又はクモ糸タンパク質である。細胞の増殖能力を、細胞型に応じてコンフルエンスに達する場合のいくらかの変動を有してクモ糸足場内で2週間より長く維持した。生存率は、材料の最内側部における確認された生存率で、調査した全細胞型について高かった(>80%)。観察された細胞浸潤は、改変した組織コンストラクトの生成に極めて有利である。
統合細胞を含むマクロ構造物、好ましくは薄膜及び発泡体の調合物が迅速に、かつ、生存可能な接着細胞を得る高い播種効率を設けることは、本明細書中に示される。線維状アクチンを含む長い細胞及び規定された接着斑点は、足場内での適切な細胞接着を確証させる。凍結切片を使用して、材料の最深部内の細胞の存在をさらに確認した。細胞含有クモ糸繊維の引張試験を、機械特性を調査するために生理学的同様な条件下行った。前眼房中に移植された細胞含有クモ糸足場のインビボイメージングは、インビボで4週間の細胞の維持を確証させる。
ハイドロゲル中の培養と比較して、本発明に従った方法を使用する絹足場内に統合される場合、細胞はより組織様拡張を達成する。
大部分の天然組織型は、細胞周囲及びこれと離れないようにしている細胞外マトリックスと複雑な三次元配置で一緒に組織化されたいくつかの細胞型からなる。したがって、改変組織コンストラクト中でこれを複製するために、足場内で共培養を成し遂げることは重要なことである。本明細書に記載された、細胞含有絹足場の調合物方法を用いて、いくつかの細胞型を組合せることは実際非常に容易である。
第一態様に従えば、真核細胞の培養方法が提供される。方法を、好ましくは、インビトロで行う。方法は、以下のステップ:
(a)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水溶液を設けること、ここで、前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;
(b)真核細胞のサンプルと前記絹タンパク質との水性混合物を製造すること、ここで、該絹タンパク質は水性混合物中に溶解したままである;
(c)前記絹タンパク質を真核細胞の存在下で水不溶性マクロ構造物へと集合させ、それにより真核細胞を培養するための足場材料を形成させること;及び
(d)細胞培養に適した条件下にて、前記足場材料内で真核細胞を維持すること、
を含む。
真核細胞は、初代細胞、細胞系統及び幹細胞を含む哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞であるのが好ましい。初代細胞及び細胞系統の有用な例としては、内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、骨格筋サテライト細胞、骨格筋筋芽細胞、平滑筋細胞、臍帯静脈内皮細胞、シュワン細胞、膵臓β細胞、膵島細胞、肝細胞及びグリオーマ形成細胞が挙げられる。幹細胞は、好ましくは、胚性幹細胞(ESC)及び人工多能性幹細胞(iPS)などのヒト多能性幹細胞(hPSC)である。幹細胞の有用な例としては、間葉系幹細胞が挙げられる。細胞は、好ましくは、上記のものなど少なくとも2つの異なる哺乳類細胞型の組合せであってもよい。
第一ステップでは、水不溶性マクロ構造物へと集合可能な絹タンパク質の水溶液を設ける。水溶液の組成は重要ではないが、穏やかな緩衝水溶液、例えば、低イオン強度又は中程度のイオン強度及び6〜8の範囲のpHを有するリン酸緩衝液を使用するのが概して好ましい。水溶液は、好ましくは、ヘキサフルオロイソプロパノール、DMSO、同様のものなどの有機溶媒を含まない。
本発明の特定の好ましい実施形態では、絹タンパク質はフィブロインである。フィブロインは、クモ、カイコなどのガ、及び他の昆虫により産生される絹中に存在する。好ましいフィブロインは、カイコ属(Bombyx)から、好ましくはボムビークス・モリー(Bombyx mori)であるカイコに由来する。
本発明の特定の好ましい実施形態では、絹タンパク質はクモ糸タンパク質である。「スピドロイン」及び「クモ糸タンパク質」という語は本明細書全体を通して互換的に使用され、アラネウス・ディアデマツス(Araneus diadematus)の場合、「MaSp」、又は「ADF」と通常略される大瓶状腺クモ糸タンパク質を含む全ての公知のクモ糸タンパク質を包含する。大瓶状腺クモ糸タンパク質は、概して、2つの型、つまり、1型及び2型がある。さらにこれらの用語は、公知のクモ糸タンパク質と高度な同一性及び/又は類似性を有する非天然タンパク質を含む。
絹タンパク質は、場合により、細胞結合モチーフ(CBM)を含む。場合により含まれる細胞結合モチーフは、絹タンパク質の末端又は絹タンパク質内のいずれか、好ましくは絹タンパク質のN末端もしくはC末端に配置される。
マクロ構造物へと集合する際に、絹タンパク質は、細胞に内部固体支持活性をもたらす。誤解を避けるために、「マクロ構造物」という語は、絹タンパク質の凝集形態、通常、繊維、発泡体又は薄膜などの規則性ポリマーを表し、同じタンパク質の不規則なアグリゲート又は沈殿物ではない。絹タンパク質が細胞結合モチーフをさらに含む場合、得られるマクロ構造物は、細胞結合モチーフの所望の選択的細胞結合活性及び絹タンパク質フラグメントの内部固体支持活性の両方を有する。ポリマー固体構造を形成するように構造的に再構成される場合、絹タンパク質の結合活性は維持される。これらのマクロ構造物は、細胞結合モチーフの高くかつ予測可能な密度ももたらす。例えば、RGDで機能化されたバイオマテリアルが異なる細胞応答を促進する方法は、使用されるRGDモチーフの型のみならず、得られるリガンドの表面濃度からも影響される。本研究で使用される非常に小さな絹タンパク質は、各分子がRGDモチーフを運搬する多層に自己集合するので、高密度に表面提示することが期待される。しかしながら、より低密度の表面濃度が望ましい場合、本明細書に開示された環状RGD細胞結合モチーフを有する又は有さない絹タンパク質を異なる比で混合し、これにより、対象の細胞応答を方向づけることにより、任意の可能な表面密度を容易に達成することができる。
細胞結合モチーフは、例えば、RGD、IKVAV(配列番号10)、YIGSR(配列番号11)、EPDIM(配列番号12)及びNKDIL(配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでもよい。RGD、IKVAV及びYIGSRは、一般的細胞結合モチーフであり、他方、EPDIM及びNKDILは、ケラチノサイトの培養に関連して特に有用であり得るケラチノサイト特異的モチーフとして公知である。他の有用な細胞結合モチーフとしては、トロポエラスチン由来GRKRK(配列番号14)、KYGAASIKVAVSADR(ラミニン誘導物、配列番号15)、NGEPRGDTYRAY(骨シアロタンパク質由来、配列番号16)、PQVTRGDVFTM(ビトロネクチン由来、配列番号17)、AVTGRGDSPASS(フィブロネクチン由来、配列番号18)、TGRGDSPA(配列番号19)、及びCTGRGDSPAC(配列番号20)などのFNccが挙げられる。
細胞結合モチーフを含む特定の関連する絹コンストラクトを、図2に図示している。図2aは、そのN末端に遺伝子導入された異なるRGDモチーフを含むクモ糸タンパク質4RepCTを模式的に示す。図1a中の「RGD」は、Widhe M et al., Biomaterials 34(33): 8223-8234 (2013)で使用されたRGD含有ペプチド(配列番号21)を示す。「FNvs」は、フィブロネクチン由来のRGD含有デカペプチド(配列番号22)を示す。図1a中の「FNcc」は、V及びSをCに交換した同じペプチド(配列番号20)を示す。「FNss」は、V及びSをSに交換した同じペプチド(配列番号23)を示す。図1bは、RGDモチーフを含むターンループを示すフィブロネクチンの9番目及び10番目のドメインの構造を示す。図1cは、残基V及びSをCに変異したフィブロネクチンから取り出したRGDループの構造モデルを示す(出典1FNF.pdb)。
その最も一般形態では、FNccは、C112RGDX3452(配列番号9)であり;X1、X2、X3、X4及びX5の各々は、システイン以外の天然アミノ酸残基から独立して選択され;C1及びC2は、ジスルフィド結合により結合している。FNccは、鎖を同様な型のターンループに強制するようにジスルフィド架橋の生成を可能とするために、RGD配列と隣接する正確な位置にシステインを位置付けることによりフィブロネクチンのα5β1特異的RGDループモチーフを模倣する修飾細胞結合モチーフである。この環状RGD細胞結合モチーフは、組換えで製造されたクモ糸タンパク質などの細胞結合モチーフを含むタンパク質から作られたマトリックスに対する細胞接着効率を増大させる。本明細書で使用されるとき、「環状」という語は、2つのアミノ酸残基がその側鎖により、より詳細には、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合により共有結合するペプチドを表す。環状RGD細胞結合モチーフFNccは、初代細胞の増殖及び初代細胞による移動の両方を促進する。環状RGD細胞結合モチーフを含む細胞足場材料上で培養されたヒト初代細胞は、直鎖RGDペプチドを含む同じ材料と比較して、接着、拡張、張力繊維形成及び接着斑の増加を示す。
FNccの好ましい実施形態では、X1、X2、X3、X4及びX5の各々は、G、A、V、S、T、D、E、M、P、N及びQからなるアミノ酸残基の群から独立して選択される。FNccの他の好ましい実施形態では、X1及びX3の各々は、G、S、T、M、N及びQからなるアミノ酸残基の群から独立して選択され;X2、X4及びX5の各々は、G、A、V、S、T、P、N及びQからなるアミノ酸残基の群から独立して選択される。FNccの特定の好ましい実施形態では、X1は、G、S、T、N及びQからなるアミノ酸残基の群から独立して選択され;X3は、S、T及びQからなるアミノ酸残基の群から独立して選択され;X2、X4及びX5の各々は、G、A、V、S、T、P及びNからなるアミノ酸残基の群から独立して選択される。FNccのいくつかの好ましい実施形態では、X1は、S又はTであり;X2は、G、A又はVであり;好ましくはG又はAであり;より好ましくはGであり;X3は、S又はTであり、好ましくはSであり;X4は、G、A、V又はPであり;好ましくはG又はPであり;より好ましくはPであり;X5は、G、A又はVであり;好ましくはG又はAであり;より好ましくはAである。
FNccの特定の好ましい実施形態では、細胞結合モチーフは、アミノ酸配列CTGRGDSPAC(配列番号20)を含む。本発明に従ったさらなる好ましい環状RGD細胞結合モチーフは、CTGRGDSPAC(配列番号20)と少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%などの同一性を示すが、但し、1位及び10位は常にCであり;4位は常にRであり;5位は常にGであり;6位は常にDであり;2〜3位及び7〜9位は決してシステインではない。2〜3位及び7〜9位の中で同一でない位置は、上記の通り自由に選択することができると理解される。
細胞結合モチーフの好ましい群は、FNcc、GRKRK、IKVAV、及びRGD、特に、CTGRGDSPACなどのFNccである。
クモ糸タンパク質は、好ましくは、タンパク質部分REP及びCTを含むか又はから成る。好ましいクモ糸タンパク質は、構造REP−CTを有する。別の好ましいクモ糸タンパク質は、構造REP−CTを有する。場合により含まれる細胞結合モチーフを、クモ糸タンパク質の末端に、又は部分間、もしくは部分のいずれか内に、好ましくはクモ糸タンパク質のN末端又はC末端に配置する。
REPはL(AG)nL、L(AG)nAL、L(GA)nL、及びL(GA)nGL
(式中、
nは2〜10の整数であり;
個々のAセグメントが8〜18アミノ酸残基のアミノ酸配列であり、該アミノ酸残基のうち0〜3個はAlaではなく、かつ、残りのアミノ酸残基はAlaであり;
個々のGセグメントが12〜30アミノ酸残基のアミノ酸配列であり、該アミノ酸残基の少なくとも40%がGlyであり;及び
個々のLセグメントが0〜30アミノ酸残基のリンカーアミノ酸配列である)
からなる群から選択される70〜300アミノ酸残基の反復フラグメントであり;及び
CTが、配列番号3又は配列番号68と少なくとも70%同一性を有する70〜120アミノ酸残基のフラグメントである。
本発明に従ったクモ糸タンパク質は、好ましくは組換えタンパク質、すなわち、組換え核酸、すなわち、通常一緒に生じない2つ以上の核酸配列の組合せにより人工的に作製(遺伝子工学)したDNA又はRNAからの発現により作られるタンパク質である。本発明の従ったクモ糸タンパク質は、好ましくは組換えタンパク質であり、したがって、これらは天然タンパク質と同一でない。詳細には、野生型スピドロインは、上記のように組換え核酸から発現されないので、好ましくは、本発明に従ったクモ糸タンパク質ではない。組み合わせた核酸配列は、特定の機能特性を有する異なるタンパク質、部分タンパク質又はポリペプチドをコードする。得られた組換えタンパク質は、元のタンパク質、部分タンパク質又はポリペプチドの各々から由来の機能特性を有する単一のタンパク質である。
クモ糸タンパク質は、通常、140〜1000アミノ酸残基など、140〜600アミノ酸残基など、140〜500アミノ酸残基など、140〜400アミノ酸残基などの140〜2000アミノ酸残基から成る。クモ糸タンパク質フラグメントを含むより長いタンパク質は、溶解及び重合用に強力な溶媒を使用する必要があるアモルファスアグリゲートを形成し得るので小さい大きさが有利である。
クモ糸タンパク質は、1つ以上のリンカーペプチド、又はLセグメントを含んでもよい。リンカーペプチドは、クモ糸タンパク質のいずれかの部分間、例えば、クモ糸タンパク質のいずれかの末端のREP部分とCT部分との間、又はスピドロインと細胞結合モチーフとの間に配置されてもよい。リンカーは、クモ糸タンパク質の機能単位間のスペーサーを提供してもよいが、クモ糸タンパク質の同定及び精製のためのハンドル、例えば、His及び/又はTrxタグを構成してもよい。クモ糸タンパク質が、クモ糸タンパク質の同定及び精製のための2つ以上のリンカーペプチドを含む場合、これらは、スペーサー配列、例えば、His6−スペーサー−His6−により分離しているのが好ましい。リンカーは、クモ糸タンパク質を薄膜に誘導する及び/又は宿主細胞から周囲の培地中へクモ糸タンパク質を分泌させるシグナル識別粒子などの識別ペプチドを構成してもよい。クモ糸タンパク質は、リンカー及び/又は他の関連部分の切断及び除去を可能とするそのアミノ酸配列中の切断部位を含んでもよい。様々な切断部位は当業者に公知であり、例えば、Met残基後のCNBr及びAsn−Gly残基間のヒドロキシルアミンなどの化学薬剤のための切断部位、トロンビン又はプロテアーゼ3Cなどのプロテアーゼのためのせん断部位、ならびにインテイン自己スプライシング配列などの自己スプライシング配列がある。
スピドロイン及び細胞結合モチーフは、互いに直接的に又は間接的に結合する。直接結合は、リンカーなどの介在配列のない部分間の直接共有結合を意味する。また、間接結合は、共有結合により部分が結合するが、リンカー及び/又は1〜2のNT部分などの1つ以上のさらなる部分などの介在する配列があることを意味する。
細胞結合モチーフは、クモ糸タンパク質の内部又はいずれかの末端に配置してもよい、すなわち、C末端に配置してもよく、N末端に配置してもよい。細胞結合モチーフを、クモ糸タンパク質のN末端に配置するのが好ましい。クモ糸タンパク質がクモ糸タンパク質の同定及び精製のための1つ以上のリンカーペプチド、例えば、His又はTrxタグを含む場合、クモ糸タンパク質のN末端に配置するのが好ましい。
好ましいクモ糸タンパク質は、0〜10アミノ酸残基などの0〜30アミノ酸残基のリンカーペプチドによりREP部分に結合したN末端に配置された細胞結合モチーフの形態を有する。場合により、クモ糸タンパク質は、Hisタグなどの精製タグ、及び切断部位を含み得るN末端又はC末端リンカーペプチドを有する。
タンパク質部分REPは、アラニンリッチストレッチとグリシンリッチストレッチとを繰り返す反復特性を有するフラグメントである。REPフラグメントは、概して、140超かつ300未満などの70超のアミノ酸残基、好ましくは200未満などの240未満のアミノ酸残基を含み、下記により詳細に説明するように、いくつかのL(リンカー)セグメント、A(アラニンリッチ)セグメント及びG(グリシンリッチ)セグメントに分割することができる。通常、場合により存在する前記リンカーセグメントはREPフラグメント末端に位置するが、残りのセグメントは順にアラニンリッチ及びグリシンリッチである。したがって、REPセグメントは、概して、次の構造のいずれかを有することができ、次の構造(式中、nは整数)のいずれかを有することができる:
LA1122334455LなどのL(AG)nL;
LA11223344556LなどのL(AG)nAL;
LG1122334455LなどのL(GA)nL;又は
LG11223344556LなどのL(GA)nGL。
したがって、アラニンリッチ又はグリシンリッチセグメントがN末端又はC末端リンカーセグメントと隣接するかどうかは重要ではない。nが、2〜10、好ましくは2〜8、また好ましくは4〜8、より好ましくは4〜6の整数、すなわちn=4、n=5又はn=6であることは好ましい。
いくつかの実施形態では、REPフラグメントのアラニン含有率は、20%超、好ましくは25%超、より好ましくは30%超かつ50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満である。より高いアラニン含有率は、より堅い及び/又はより強い及び/又はより伸びない繊維を提供すると考えられる。
特定の実施形態では、REPフラグメントはプロリン残基に欠けている、すなわち、REPフラグメント中にPro残基はない。
ここで、REPフラグメントを構成するセグメントに戻ると、各セグメントは個別である、すなわち、特定のREPフラグメントのいずれか2つのAセグメント、いずれか2つのGセグメント又はいずれか2つのLセグメントは同じでもよく、同じでなくてもよいことを強調しておく。したがって、各タイプのセグメントは特定のREPフラグメント内で同じであることは、スピドロインの一般的特徴ではない。むしろ、次の開示は、当業者に、個別のセグメントを如何に設計するか、これらを如何に細胞足場材料で有用な機能クモ糸タンパク質の部分であるREPフラグメントに集めるかのガイドラインを提供する。
個々のAセグメントは、8〜18アミノ酸残基を有するアミノ酸配列である。各個別のAセグメントは、13〜15アミノ酸残基を含むことが好ましい。Aセグメントの大部分、又は2つ超は13〜15アミノ酸残基を含み、Aセグメントの1つもしくは2つなどの少数は8〜12もしくは16〜18アミノ酸残基などの8〜18アミノ酸残基を含むことも可能である。これらのアミノ酸残基の圧倒的多数は、アラニン残基である。より詳細には、アミノ酸残基のうち0〜3つはアラニン残基ではなく、残りのアミノ酸残基はアラニン残基である。したがって、各個別のAセグメント中の全アミノ酸残基は、例外なく又はいずれものアミノ酸であり得る1つ、2つもしくは3つのアミノ酸残基を例外として、アラニン残基である。アラニン置換アミノ酸は、天然アミノ酸、好ましくはセリン、グルタミン酸、システイン及びグリシンから個別に選択され、より好ましくはセリンであることが好ましい。もちろん、1つ以上のAセグメントが全てアラニンセグメントであることは可能であるが、残りのAセグメントは、セリン、グルタミン酸、システイン又はグリシンなどの1〜3つの非アラニン残基を含む。
実施形態では、各Aセグメントは、上記のように、10〜15アラニン残基及び0〜3非アラニン残基を含む13〜15アミノ酸残基を含む。より好ましい実施形態では、各Aセグメントは、上記のように、12〜15アラニン残基及び0〜1非アラニン残基を含む13〜15アミノ酸残基を含む。
各個別のAセグメントは、配列番号5のアミノ酸残基7〜19、43〜56、71〜83、107〜120、135〜147、171〜183、198〜211、235〜248、266〜279、294〜306、330〜342、357〜370、394〜406、421〜434、458〜470、489〜502、517〜529、553〜566、581〜594、618〜630、648〜661、676〜688、712〜725、740〜752、776〜789、804〜816、840〜853、868〜880、904〜917、932〜945、969〜981、999〜1013、1028〜1042及び1060〜1073の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%同一性であることが好ましい。この群の各配列は、対応するcDNAのクローニングから推定されるユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)MaSp1タンパク質の天然配列のセグメントに対応する、国際公開第2007/078239号パンフレット参照。あるいは、各個別のAセグメントは、配列番号2のアミノ酸残基25〜36、55〜69、84〜98、116〜129及び149〜158の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%同一性を有する。この群の各配列は、適切な条件下、絹繊維を生成する能力を有する発現された非天然クモ糸タンパク質のセグメントに対応する。したがって、スピドロインの特定の実施形態では、各個別のAセグメントは、上記アミノ酸セグメントから選択されるアミノ酸配列と同一である。いずれかの特定の理論に束縛されることを望まないが、本発明に従ったAセグメントは、ヘリックス構造又はβシートを形成することは想定される。
さらに、実験データから、各個別のGセグメントは、12〜30アミノ酸残基のアミノ酸配列であると結論された。各個別のGセグメントは、14〜23アミノ酸残基から成ることが好ましい。各Gセグメントのアミノ酸残基の少なくとも40%は、グリシン残基である。通常、各個別のGセグメントのグリシン含有率は、40〜60%の範囲である。
各個別のAセグメントは、配列番号5のアミノ酸残基20〜42、57〜70、84〜106、121〜134、148〜170、184〜197、212〜234、249〜265、280〜293、307〜329、343〜356、371〜393、407〜420、435〜457、471〜488、503〜516、530〜552、567〜580、595〜617、631〜647、662〜675、689〜711、726〜739、753〜775、790〜803、817〜839、854〜867、881〜903、918〜931、946〜968、982〜998、1014〜1027、1043〜1059及び1074〜1092の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%同一性であることが好ましい。この群の各配列は、対応するcDNAのクローニングから推定されるユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)MaSp1タンパク質の天然配列のセグメントに対応する、国際公開第2007/078239号パンフレット参照。あるいは、各個別のGセグメントは、配列番号2のアミノ酸残基1〜24、37〜54、70〜83、99〜115及び130〜148の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%同一性を有する。この群の各配列は、適切な条件下、絹繊維を生成する能力を有する発現された非天然クモ糸タンパク質のセグメントに対応する。したがって、細胞足場材料中のスピドロインの特定の実施形態では、各個別のGセグメントは、上記アミノ酸セグメントから選択されるアミノ酸配列と同一である。
特定の実施形態では、各Gセグメントの最初の2つのアミノ酸残基は、−Gln−Gln−でない。
Gセグメントの3つのサブタイプがある。この分類は、ユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)MaSp1タンパク質配列(国際公開第2007/078239号パンフレット参照)の注意深い解析に基づき、この情報は新規非天然クモ糸タンパク質の構造において使用され、検証された。
Gセグメントの第一サブタイプは、アミノ酸一文字コンセンサス配列GQG(G/S)QGG(Q/Y)GG (L/Q)GQGGYGQGA GSS(配列番号6)により表される。この第一、及び概して最長Gセグメントサブタイプは、通常、23アミノ酸残基を含むが、17アミノ酸残基ほど少ししか含まなくてもよく、荷電残基を含まないか又は1つの荷電残基を含む。したがって、この第一Gセグメントサブタイプは17〜23アミノ酸残基を含むのが好ましいが、12アミノ酸残基ほど少なく含んでもよく、30アミノ酸残基ほど多く含んでもよいと考えられる。いずれかの特定の理論に束縛されることを望まないが、このサブタイプはコイル構造又は31ヘリックス構造を形成すると想定される。この第一サブタイプの代表的Gセグメントは、配列番号5のアミノ酸残基20〜42、84〜106、148〜170、212〜234、307〜329、371〜393、435〜457、530〜552、595〜617、689〜711、753〜775、817〜839、881〜903、946〜968、1043〜1059及び1074〜1092である。特定の実施形態では、本発明に従ったこの第一サブタイプの各Gセグメントの最初の2つのアミノ酸残基は、−Gln−Gln−でない。
Gセグメントの第二サブタイプは、アミノ酸一文字コンセンサス配列GQGGQGQG(G/R)Y GQG(A/S)G(S/G)S(配列番号7)により表される。概して中間の大きさであるこの第二Gセグメントサブタイプは、通常、17アミノ酸残基を含み、荷電残基を含まないか又は1つの荷電残基を含む。この第二Gセグメントサブタイプは14〜20アミノ酸残基を含むのが好ましいが、12アミノ酸残基ほど少なく含んでもよく、30アミノ酸残基ほど多く含んでもよいと考えられる。いずれかの特定の理論に束縛されることを望まないが、このサブタイプはコイル構造を形成すると想定される。この第二サブタイプの代表的Gセグメントは、配列番号5のアミノ酸残基249〜265、471〜488、631〜647及び982〜998である。
Gセグメントの第三サブタイプは、アミノ酸一文字コンセンサス配列G(R/Q)GQG(G/R)YGQG (A/S/V)GGN(配列番号8)により表される。この第三Gセグメントサブタイプは、通常、14アミノ酸残基を含み、概して、Gセグメントサブタイプの最短のものである。この第三Gセグメントサブタイプは12〜17アミノ酸残基を含むのが好ましいが、25アミノ酸残基ほど多く含んでもよいと考えられる。いずれかの特定の理論に束縛されることを望まないが、このサブタイプはターン構造を形成すると想定される。この第三サブタイプの代表的Gセグメントは、配列番号5のアミノ酸残基57〜70、121〜134、184〜197、280〜293、343〜356、407〜420、503〜516、567〜580、662〜675、726〜739、790〜803、854〜867、918〜931、1014〜1027である。
したがって、細胞足場材料中のスピドロインの好ましい実施形態では、各個別のGセグメントは、配列番号6、配列番号7及び配列番号8から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一性を有する。
REPフラグメントのA及びGセグメントの代替の配列の実施形態では、全ての第二Gセグメントは第一サブタイプのものであるが、残りのGセグメントは第三サブタイプのもの、例えば、…A12345…である。REPフラグメントの別の実施形態では、第二サブタイプの1つのGセグメントは、挿入、例えば、…A12345…によりGセグメントの規則性を妨げる。
各個別のLセグメントは、0〜20アミノ酸残基などの0〜30アミノ酸残基を含み得る場合により含まれるリンカーアミノ酸配列を表す。このセグメントはオプションであり、クモ糸タンパク質の機能に重要でないが、その存在はなお、完全に機能するクモ糸タンパク質及び繊維、薄膜、発泡体及び他の構造を形成するそのポリマーを可能にさせる。ユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)由来のMaSp1タンパク質の推定アミノ酸配列の反復部分(配列番号5)中に存在するリンカーアミノ酸配列もある。詳細には、リンカーセグメントのアミノ酸配列は、記載されたA又はGセグメントのいずれかに類似してもよいが、本明細書で定義されたそれらの基準を充分に満足しないことが多い。
国際公開第2007/078239号パンフレットに示されるように、REPフラグメントのC末端部分において配置されたリンカーセグメントは、アラニンに富むアミノ酸一文字コンセンサス配列ASASAAASAA STVANSVS(配列番号32)及びASAASAAA(配列番号33)により表すことができる。事実、第二配列は、本明細書中の定義に従ったAセグメントであると見なされ得るが、第一配列はこの定義に従ったAセグメントと高度に類似している。リンカーセグメントの別の例は、グリシンに富んだ一文字アミノ酸配列GSAMGQGS(配列番号34)を有し、本明細書中の定義に従ったGセグメントと高度に類似している。リンカーセグメントの別の例は、SASAG(配列番号35)である。
代表的Lセグメントは、配列番号5のアミノ酸残基1〜6及び1093〜1110;及び配列番号2のアミノ酸残基159〜165であるが、当業者は、これらのセグメントのための多くの適切な代替アミノ酸配列があることを容易に認識するだろう。REPフラグメントの1つの実施形態では、Lセグメントの1つは0アミノ酸を含む、すなわち、Lセグメントの1つはなにもない。REPフラグメントの別の実施形態では、両方のLセグメントは0アミノ酸を含む、すなわち、Lセグメントは両方共なにもない。したがって、本発明に従ったREPフラグメントのこれらの実施形態は、次のように模式的に表される:(AG)nL、(AG)nAL、(GA)nL、(GA)nGL;L(AG)n、L(AG)nA、L(GA)n、L(GA)nG;及び(AG)n、(AG)nA、(GA)n、(GA)nG。これらのREPフラグメントのいずれも、下記に定義されるようにいずれかのCTフラグメントを用いた使用に適切である。
細胞足場材料中のスピドロインのCTフラグメントは、クモ糸タンパク質のC末端アミノ酸配列に高度に類似している。国際公開第2007/078239号パンフレットに示されるように、アミノ酸配列は、様々な種ならびにMaSp1、MaSp2及びMaSp(小瓶状腺スピドロイン)を含むクモ糸タンパク質の中でよく保存されている。MaSp1及びMaSp2のC末端領域のコンセンサス配列は、配列番号4として提供されている。図1中、表1中に示したMaSpタンパク質(配列番号36〜66)を整列し、適用可能なGenBank受託エントリーで示した:
特定のCTフラグメントが細胞足場材料中のクモ糸タンパク質中に存在することは重要ではない。したがって、CTフラグメントを、図1及び表1に示されたアミノ酸配列又は、アラネウス・ベントリコサス(araneus ventricosus)(Genbankエントリー AFV 31615)からのMiSp CTフラグメント配列番号68などの高度の類似性を有する配列のいずれかから選択することができる。多種多様なC末端配列を、クモ糸タンパク質に使用することができる。
CTフラグメントの配列は、図1のアミノ酸配列に基づくコンセンサスアミノ酸配列 配列番号4と、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%同一性、又は少なくとも70%もの同一性を有する。
代表的CTフラグメントは、ユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)配列 配列番号3又は配列番号27のアミノ酸残基180〜277である。別の代表的CTフラグメントは、MiSp配列 配列番号68である。したがって、1つの実施形態では、CTフラグメントは、配列番号3、配列番号27のアミノ酸残基180〜277、又は図1及び表1のいずれかの個別のアミノ酸配列、又は配列番号68と、少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、例えば少なくとも95%同一性を有する。例えば、CTフラグメントは、配列番号3、配列番号27のアミノ酸残基180〜277、又は図1及び表1のいずれかの個別のアミノ酸配列、又は配列番号68と同一であってよい。
CTフラグメントは、通常、70〜120アミノ酸残基から成る。CTフラグメントが、少なくとも70、又は80超、好ましくは90超のアミノ酸残基を含むことは好ましい。CTフラグメントが、最大120、又は110未満のアミノ酸残基を含むことも好ましい。典型的なCTフラグメントは、約100アミノ酸残基を含む。
本明細書で使用されるとき、用語「%同一性」は、次のように算出される。問い合わせ配列は、CLUSTAL Wアルゴリズムを用いて標的配列に位置合わせされる(Thompson et al, Nucleic Acids Research, 22:4673-4680 (1994))。位置合わせされた配列の最短に対応する窓の中で比較がなされる。各位置におけるアミノ酸残基が比較され、標的配列中に同じ対応を有する問い合わせ配列中の位置のパーセントが%同一性として報告される。
本明細書で使用されるとき、用語「%類似性」は、疎水性残基Ala、Val、Phe、Pro、Leu、Ile、Trp、Met及びCysが類似しており;塩基性残基Lys、Arg及びHisが類似しており;酸性残基Glu及びAspが類似しており;親水性無荷電残基Gln、Asn、Ser、Thr及びTyrが類似していることを除いて、「%同一性」について上記に記載されたように算出する。残りの天然アミノ酸Glyはこれに関連したいずれもの他のアミノ酸と類似していない。
本明細書全体を通して、本発明に従った代替の実施形態は、同一性の特定のパーセントの代わりに、対応する類似性パーセントを満たす。他の代替の実施形態は、同一性の特定のパーセントならびに各配列に対する同一性の好ましいパーセントの群から選択される類似性の別のより高いパーセントを満たす。例えば、配列が別の配列と70%類似性であってもよく;別の配列と70%同一性であってもよく;別の配列と70%同一性でかつ90%類似性であってもよい。
本発明に従った好ましいクモ糸タンパク質では、REP−CTフラグメントは、配列番号2又は配列番号27のアミノ酸残基18〜277又は配列番号69のアミノ酸残基18〜272と、少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、例えば少なくとも95%同一性を有する。
本発明に従った1つの好ましいクモ糸タンパク質では、タンパク質は、配列番号25、27又は69と、少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、例えば少なくとも95%同一性を有する。特に好ましい実施形態では、本発明に従ったクモ糸タンパク質は、配列番号25、27又は69である。
本発明に従った細胞足場材料は、好ましくは、環状RGD細胞結合モチーフを示す本発明に従ったタンパク質又はペプチドを含む。環状RGD細胞結合モチーフを、短い合成ペプチド又はより長い合成もしくは組換えタンパク質から暴露してもよく、次に、これをマトリックス又は支持体付着又は結びつけてもよい。
細胞足場材料は、好ましくは、タンパク質ポリマーを含み、次に、このタンパク質ポリマーは反復構造単位として本発明に従った絹タンパク質を含む、すなわち、タンパク質ポリマーは本発明に従った絹タンパク質のポリマーを含むか又はから成る。これは、タンパク質ポリマーは本発明に従った規則性の複数の絹タンパク質、典型的には、100をかなり超える絹タンパク質単位、例えば、1000以上の絹タンパク質単位を含むか又はから成ることを意味する。好ましい実施形態では、本発明に従った細胞足場材料は、タンパク質ポリマーから成る。
ポリマー中の絹タンパク質単位の大きさは、タンパク質ポリマーが相当な大きさを得ることを意味する。好ましい実施形態では、タンパク質ポリマーは、少なくとも二次元で少なくとも0.01μmの大きさを有する。したがって、本明細書で使用されるとき、「タンパク質ポリマー」という語は、少なくとも0.1μmなどの少なくとも0.01μmの厚さを有する絹タンパク質ポリマー、好ましくは、ヒトの目で見ることができる、すなわち、10μmより上など少なくとも1μmの厚さを有する巨視的ポリマーに関する。「タンパク質ポリマー」という語は、組織化されていないアグリゲート又は析出物を包含しない。クモ糸タンパク質の単量体/二量体は水溶性であるが、本発明に従ったタンパク質ポリマーは固体構造物、すなわち、水に可溶でないと理解される。タンパク質ポリマーは、反復構造単位として本発明に従った絹タンパク質の単量体を含む。
本発明に従ったタンパク質ポリマーを、通常、繊維、薄膜、皮膜、発泡体、網、繊維メッシュ、球及びカプセルからなる群から選択される物理的形態で提供する。1つの実施形態に従えば、本発明に従ったタンパク質ポリマーは繊維、薄膜又は繊維メッシュであることが好ましい。特定の実施形態に従えば、タンパク質ポリマーは、発泡体又は繊維メッシュなどの三次元形態を有することが好ましい。1つの好ましい実施形態は、ステント皮膜及び他の医療機器に有用であるタンパク質ポリマーから製造された薄い(通常、厚さ0.01〜0.1μm)皮膜を含む。「発泡体」という語は、時々、三次元の網又は繊維のメッシュとして見なすことができる程度まで、発泡体の気泡と連結するチャンネルを有する多孔質発泡体を含む。
好ましい実施形態では、タンパク質ポリマーは、自己保持薄膜などの自己保持マトリックスの物理的形態である。これは、細胞が、例えば、創傷部に細胞シートとして移動する必要があるインビボの状況において、必要な細胞シートの移動を可能とするので、極めて有用である。
繊維、薄膜又は繊維メッシュは、通常、少なくとも0.1μm、好ましくは少なくとも1μmの厚さを有する。繊維、薄膜又は繊維メッシュが、1〜400μm、好ましくは60〜120μmの範囲の厚さを有することが好ましい。繊維は、0.5〜300cm、好ましくは1〜100cmの範囲の長さを有することが好ましい。他の好ましい範囲は、0.5〜30cm及び1〜20cmである。繊維は、物理的処置中に未変化のままである能力を有する、すなわち、紡糸、織り、撚糸、クローシェ編み及び同様な製法に使用することができる。薄膜は、固体構造物、例えば、マイクロタイタープレート中のプラスチックに粘着性かつ接着する利点がある。薄膜のこの特性は洗浄及び再生を容易にし、分離目的に非常に有用である。
本発明に従ったクモ糸タンパク質は、REP−CT部分の内部固体支持体活性、及び場合により細胞結合モチーフの所望の細胞結合活性も内部に有し、これらの活性は細胞足場材料に使用される。細胞足場材料は、有機標的物に対する高くかつ予測可能な密度の選択的相互作用活性を提供する。全ての発現されたタンパク質部分が細胞足場材料に関連するので、選択的相互作用活性を有する役立つタンパク質部分の損失は最小限にされる。
本発明に従って絹タンパク質から形成されるポリマーは固体構造物であり、その物理特性、特に、高強度、弾性及び軽量の有用な組合せに有用である。特に有用な特徴は、クモ糸タンパク質のREP−CT部分が生物化学的に頑強であり、例えば、酸、塩基又はカオトロピック剤を用いた再生に適切であり、加熱滅菌、例えば、120℃、20分間のオートクレーブ処理に適切である。ポリマーは、細胞接着及び細胞増殖を支持するその能力に有用である。
REP−CT部分由来の特性は、医療目的又は技術目的のための新規材料の開発に魅力的である。詳細には、本発明に従った細胞足場材料は、細胞固定化、細胞培養、細胞分化、組織工学及び誘導細胞再生のための足場として有用である。これらは、クロマトグラフィー、細胞捕獲、選択及び培養、能動フィルター、ならびに診断などの分取及び分析分離手順にも有用である。本発明に従った細胞足場材料は、インプラント及びステントなどの医療機器として、例えば、コーティングとして有用である。
好ましい実施形態では、細胞足場材料は、反復構造単位として本発明に従った絹タンパク質からなるタンパク質ポリマーを含む。さらに好ましい実施形態では、細胞足場材料は、反復構造単位として本発明に従った絹タンパク質からなるタンパク質ポリマーである。絹タンパク質はフィブロイン又はクモ糸タンパク質である。
第二ステップでは、真核細胞のサンプルと絹タンパク質との水性混合物を調製する。これは、好ましくは、前のステップから得た水溶液を液体細胞懸濁液と混合又は細胞ペレットの分散により行うことができる。水性混合物の液体成分は、緩衝能力、イオン強度及びpHに関してそれぞれの真核細胞に適切であるべきである。細胞培養及び細胞取り扱いに適した培地は当技術分野で周知であり、例えば、DMEM、ハム栄養混合物、イーグル最小必須培地、及びRPMIである。
真核細胞は、初代細胞、細胞系統及び幹細胞を含む哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞であるのが好ましい。初代細胞及び細胞系統の有用な例としては、内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、骨格筋サテライト細胞、骨格筋筋芽細胞、シュワン細胞、膵臓β細胞、膵島細胞、肝細胞及びグリオーマ形成細胞が挙げられる。幹細胞は、好ましくは、胚性幹細胞(ESC)及び人工多能性幹細胞(iPS)などのヒト多能性幹細胞(hPSC)である。幹細胞の有用な例としては、間葉系幹細胞が挙げられる。細胞は、好ましくは、上記のものなど少なくとも2つの異なる哺乳類細胞型の組合せであってもよい。
第二ステップでは、絹タンパク質が水性混合物中に溶解したままであることが重要である。「溶解した」という語は、絹タンパク質が主に周囲の水分子との結合を形成する場合、絹の集合プロセスが進行する前に細胞を絹タンパク質に添加することを意味する。絹の集合プロセスが進行すると、絹タンパク質間に主に分子間及び分子内結合をして、規則性ポリマーの不可逆的生成が起こる。重合は連続的プロセスであるが、本発明に従えば、最終マクロ構造物の所望の最終フォーマットを考慮してできるだけ早く溶解した絹タンパク質に細胞を添加すべきであると理解される。絹タンパク質の少なくとも一部、好ましくは、大部分又はさらに実質的に全部が溶解したままであることが好ましい。したがって、例えば、所望のフォーマットが発泡体である場合、液体に空気を導入することにより新規に製造される場合、かつ、絹マクロ構造物中に発泡体が重合していない場合、発泡前又は湿った発泡体に細胞を添加すべきである。
場合により、水性混合物は、マクロ構造物中に統合するのに望ましいさらなる成分を含んでもよい。例えば、水性混合物は、細胞結合タンパク質及びラミニンなどのポリペプチドを含んでもよい。
第三ステップでは、絹タンパク質を、真核細胞の存在下で、水不溶性マクロ構造物へと集合させる。本発明に従ったタンパク質構造物は、適切な条件下、本発明に従った絹タンパク質から自然に集合し、ポリマー中への集合はせん断力及び/又は2つの異なる相間、例えば、固相と液相との間、気相と液相との間の界面又は疎水性/親水性界面、例えば、鉱油−水界面の存在により促進される。得られた界面の存在は、重合が界面又は界面領域において開始するように、前記界面又は気体培地中に延びる前記界面周囲の領域における前記重合を刺激する。様々なタンパク質構造物を、集合体における条件を適応することにより製造することができる。例えば、集合を穏やかに左右に揺れ動くコンテナ中で起こさせる場合、繊維は空気−水界面において形成される。混合物をさらに放置する場合、薄膜は空気−水界面において形成される。混合物を蒸発させる場合、薄膜はコンテナの底で形成される。油を水性混合物の上部に添加する場合、さらに放置又は揺れ動かす場合のいずれかで、薄膜は油−水界面において形成される。混合物を、例えば、空気のバブリング又はホイッピングにより発泡させる場合、発泡体は安定であり時間が経てば固化する。新規なマクロ構造物は、いずれもの適切な細胞培養ウェル中に形成させてもよい。場合により、培養ウェル表面を絹マクロ構造物又はゼラチンなどの他の物質でプレコートする。
水不溶性マクロ構造物への集合は、真核細胞培養のための足場材料の形成をもたらす。したがって、培養される正に細胞は、足場材料の集合中に既に存在し、細胞材料内に統合される。これにより、細胞は、クモ糸マクロ構造物で取り囲まれ、埋め込まれる。これは、その後の細胞培養における生存率、増殖能、細胞拡張及び接着に関して有利な効果を有する。さらに、マクロ構造物の集合体における細胞の共存により足場材料中に空洞及び細孔が形成されるが、これらの形成は共存がなかったら起こらなかったであろう。
第四のステップでは、真核細胞を、当業者に周知であり、本明細書に例示された細胞培養に適した条件下にて足場材料内で維持する。これは、細胞が足場材料と統合して増殖することを有利に可能とする。これは、細胞が足場材料の正に表面に接着して増殖するだけでなく、気泡及びマクロ構造の集合体における細胞の共存により形成された足場材料中の空洞及び細孔内にも増殖する。
第二の態様に従えば、本発明は、(i)真核細胞を培養するための足場材料;及び(ii)足場材料と統合して増殖する真核細胞;を含む細胞培養製品の製造方法を提供する。方法は、好ましくは、インビトロで行う。方法は:
(a)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水溶液を設けること、ここで、前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;
(b)真核細胞のサンプルと前記絹タンパク質との水性混合物を調製すること、ここで、前記絹タンパク質は水性混合物中に溶解したままである;及び
(c)前記絹タンパク質を真核細胞の存在下で水不溶性マクロ構造物へと集合させ、それにより前記真核細胞を培養するための足場材料を形成させること;
を含む。
製造方法の好ましい実施形態及び変化形は、対応するステップを含む真核細胞の培養方法の上記開示から明白である。
第三の態様に従えば、本発明は、(i)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水不溶性マクロ構造物である真核細胞を培養するための足場材料、ここで前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;及び(ii)該足場材料と統合して増殖する真核細胞を含む細胞培養製品を提供する。
これは、細胞が足場材料の正に表面に接着して増殖するだけでなく、例えば、マクロ構造の集合体における細胞の共存により形成された足場材料中の空洞及び細孔内でも増殖することを意味する。
細胞培養製品の好ましい実施形態及び変化形は、対応する特徴を含む真核細胞の培養方法の上記開示から明白である。
好ましい実施形態では、本発明に従った細胞培養製品を、本発明に従った製造方法により取得可能である又は取得される。マクロ構造物の集合体における細胞の共存により足場材料中に空洞及び細孔が形成されるが、これらの形成は共存がなかったら起こらなかったであろう。
第四及び最後の態様に従えば、本発明は、真核細胞培養のための足場材料の形成における、前記細胞の存在下での、水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の新規な使用であって、前記足場材料が該絹タンパク質の水不溶性マクロ構造物であり;前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む、使用を提供する。使用は、好ましくは、インビトロで行われる。
使用の好ましい実施形態及び変化形は、対応する特徴を含む真核細胞の培養方法の上記開示から明白である。
要約すれば、細胞含有絹足場の新規な調合方法が開発され、ここで細胞は、絹集合のプロセスが進行する前に絹タンパク質に添加される。以下の実施例は、生存率、増殖能、細胞拡張及び接着に関して、絹足場に統合することにより細胞が如何に影響を受けるかを示す。方法の普遍性を調査するため、マウス及びヒト起源両方(表2)の安定な細胞系統から初代細胞までの範囲の哺乳類細胞の広いレパートリーを分析した。細胞外マトリックス成分の産生、分化及びグルコース刺激に対する応答といった、特定の細胞型が有する特定の細胞機能が維持されることも確認した。
実施例1
材料及び方法
組換えクモ糸タンパク質の調製
大腸菌(E.coli)中の組換え絹タンパク質の産生及び次の精製を、基本的に、Hedhammar M et al., Biochemistry 47(11):3407-3417 (2008) 及び Hedhammar M et al., Biomacromolecules 11: 953-959 (2010)に記載されているように行った。
手短に言えば、標的タンパク質のための発現ベクターを含むエシェリキア・コリ(Escherichia coli)BL21(DE3)細胞(Merck Biosciences)を、カナマイシンを含むLuria−Bertani培地中、30℃で、0.8〜1のOD600まで増殖させ、それから、イソプロピル−β−チオガラクトピラノシドを用いて誘発し、少なくとも2時間さらにインキュベートした。その後、細胞を収穫し、リゾチーム及びデオキシリボヌクレアーゼI(DNase I)を添加した20mMトリス−HCl(pH8.0)中に懸濁した。完全に溶解後、15,000gの遠心分離から得た上澄みをNi Sepharose(GE Healthcare、スウェーデン、ウプサラ)をパックしたカラムに投入した。300mMイミダゾールと結合したタンパク質の溶離前にカラムを大々的に洗浄した。標的タンパク質を含む画分を貯えて、20mMトリス−HCl(pH8.0)に対して透析した。標的タンパク質をタンパク質切断によってタグから遊離した。遊離したHisTrxHisタグを除去するため、切断混合物を第二のNi Sepharoseカラムに投入し、通過画分を集めた。タンパク質含有率を280nmにおける吸光度から決定した。
得られたタンパク質溶液をHedhammar et al., Biomacromolecules 11:953-959 (2010)に記載されているようにリポ多糖類(lps)から精製した。タンパク質様液を、足場(薄膜、発泡体、皮膜又は繊維)を製造するために使用する前に細菌ろ過(0.22μm)した。
組換えクモ糸タンパク質を大腸菌(E.coli)中で発現させるのに成功し、元の4RepCTと同様な収率及び純度で精製した。
部分クモ糸タンパク質4RepCT(配列番号2)を使用した全タンパク質のベースとして使用した。実験項でFNcc−4RepCTと表示されたフィブロネクチン由来の改変細胞結合モチーフを含む4RepCTの機能化バージョン(配列番号27)をほとんどの実験で使用した。他のバージョン、反復部分内に挿入されたRGDペプチドを含む2RepRGD2RepCT(「2R」、配列番号28)及び3RepRGD1RepCT(「3R」、配列番号29)を、内分泌細胞及び他の細胞を用いた実験の一部で使用した。別のバージョン、N末端に挿入されたGRKRKペプチドを含むGRKRK−4RepCT(配列番号30)を、筋サテライト細胞を用いた実験の一部で使用した。別のバージョン、N末端に挿入されたIKVAVペプチドを含むIKVAV−4RepCT(配列番号31)を、シュワン細胞を用いた実験の一部で使用した。
細胞培養
間葉系幹細胞(MSC)
8〜14代の継代のマウス間葉系幹細胞(mMSC、Gibco)を、10%ウシ胎仔血清(Mesenchymal Stem Cell Qualified, USDA Approved Regions, Gibco)を添加したDMEM F12 HAM中で培養した。
骨髄由来の8代の継代のヒト間葉系幹細胞(hMSC)(Gibco)を、2mM Glutamaxを含む完全StemPro MSC無血清培地CTS(Gibco)中、CELLstart(Gibco)で被覆した培養フラスコ内で増殖させた。
内皮細胞(EC)
マウス内皮細胞(Cell Biologics)を、完全内皮細胞培地MV(PromoCell GmbH、ドイツ)中、7〜9代の継代で培養した。
成人ドナーの真皮から単離したヒト皮膚微小血管内皮細胞(HDMEC)(PromoCell GmbH、ドイツ)を、完全内皮細胞培地MV(PromoCell GmbH、ドイツ)中、ゼラチン(Sigma Aldrich)で被覆した培養フラスコ内で培養した。
線維芽細胞(HDFn)
ヒト皮膚線維芽細胞、HDF(ECACC、英国、ソールズベリー)を、8〜11代の継代で使用した。5%FBS(Sigma)を添加した培養培地、DMEM F12ハムを、2〜3日目毎に交換した。
ケラチノサイト(HaCaT)
HaCaT(ヒトケラチノサイト細胞系統、自然形質転換)を、5%FBS(Sigma)を添加したMEM F12ハム中で培養した。培地を2〜3日目毎に交換した。
ヒト骨格筋サテライト細胞(Hsk)
ヒト骨格筋サテライト細胞、HskMSC(ScienCell Research Laboratorie、米国カリフォルニア州カールスバッド)及びヒト骨格筋筋芽細胞(HSMM、Lonza、ベルギー)を、2〜6代の継代から使用した。骨格筋細胞増殖用添加物、SkMCGS(ScienCell Research Laboratories)又はSkGM−2 BulletKit(HSMM用、Lonza)及び5%FBS(それぞれ、ScienCell Research Laboratories 又はLonza)を含む骨格筋培養培地、SkMCM(ScienCell Research Laboratories)を、2日目毎に交換した。
シュワン細胞
2〜6代の継代のシュワン細胞(3H Biomedical、スウェーデン、ウプサラ)を、5%FBS及びシュワン細胞増殖用添加物(SCGS、3H Biomedical)及びペニシリン/ストレプトマイシン(3H Biomedical)を添加したシュワン細胞培地(SCM、3H Biomedical)中で培養した。
内分泌細胞
27〜35代の継代の膵臓β細胞系統MIN6m9を、βメルカプトエタノール(50μM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、10%熱失活FBS及びグルコース(11mM)を添加したDMEM(Gibco)中で培養した。
カロリンスカ研究所の動物コア施設内で全て同系繁殖さえた動物MIP−GFPマウス由来の膵島を、1.2mg/mlコラゲナーゼを胆管に注射することにより膵臓から単離した。膵臓を完全に取り出し、上記と同濃度のコラゲナーゼを含むフラスコに入れた。それから、フラスコを37℃の水浴に15分間入れた。その後、膵島を洗浄し、立体顕微鏡下、手で摘んだ。膵島を細胞内に分散するため、先ず、膵島をCa2+とMg2+を含まないPBS中で2回洗浄し、Accutase(Gibco)中で、37℃、5分間インキュベートした。細胞をカウントし、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)及び10%熱失活ウシ胎仔血清(FBS)を添加したRPMI 1640培地(Gibco)中で培養した。
ヒト膵島を、臨床膵島移植のノルディック・ネットワーク内で得られた不可避な過剰な膵島から得た。科学的目的のために提供を明示的に同意した臓器提供者のみ含まれる。スウェーデン社会庁(National Board of Health and Welfare (Socialstyrelsen))により、医療及び研究目的用臓器を提供するためのインフォームドコンセントの文書を提供者、又は提供者の親類から得た。ヒトを対象とした研究の倫理委員会(Ethical Committee for Human Research)(認可番号2011/14667−32)からの倫理許可承認(approved ethical permit)に従って、実験手順を行った。ヒト細胞を、ヘペス(HEPES)(10mM)、L−グルタミン(2mM)、ゲンタマイシン(50mg/ml)、フンギゾン(0.25mg/ml、Gibco)、シプロフロキサシン(20mg/ml、Bayer Healthcare AG)、ニコチンアミド(10mM)、及び10%熱失活FBSを添加したCMRL−1066(ICN Biomedicals)中で培養した。
肝細胞
げっ歯類肝細胞(肝臓細胞)を、肝臓の酵素(25mM ヘペス、0.25%w/v BSAを添加したpH7.4 HBSS緩衝液中の1.2mg/mlコラゲナーゼP)コラゲナーゼ処理により単離し、37℃、20分間の連続機械振盪により消化し、分離して、10%FBS(Invitrogen)を添加したRPMI−1640培地中で培養する。
グリオーマ産生細胞系統
グリオーマ産生細胞系統GL261を、DMEM(Invitrogen)を含む10%FBS中で、2〜3日目毎に培地を交換しながら培養する。
共培養
ECとの共培養中のHsk細胞を、SkMCM培養培地中で培養した。MSC及びECとの共培養中の内分泌細胞を、50:25:25の比のRPMI 1640培地(Gibco)、2mM Glutamaxを含むStemPro MSC無血清培地CTS(Gibco)及び内分泌細胞培地MV(PromoCell GmbH、ドイツ)中で培養した。
統合細胞を含む絹足場の調合物
繊維調合物
絹タンパク質(0.5〜3mg)を、全体積2〜4mlでそれぞれの培養培地中0.5〜2百万細胞と混合した。優しい縦揺れ下、室温で、1〜3時間、細胞と一緒に繊維形成を行った。それから、形成された繊維を、1×PBSで洗浄し、その後、非組織処理した12又は24ウェルプレートに移動し、新鮮な培地(24ウェルプレートに0.5mL又は12ウェルプレートに1mL)の添加により培養液中にさらに保持した。
油に対する繊維形成のため、FC40(3M)、HFE7100又はHFE7500(Novec)油のいずれか、3〜4mlを使用した。
前製造繊維用に、70,000細胞を、各繊維片(各チューブ内で得られるものの4分の1に相当)に添加し、96ウェル内で1時間インキュベートして、1mlの新鮮な培地を含む24ウェルに移動した。
発泡体形成
絹発泡体足場を、疎水性培養ウェルの中央部に入れた絹タンパク質(3mg/mL)20〜40μlで製造した。20μlのタンパク質の液滴中に、30回、空気をピペットで入れた。細胞懸濁液(0.5〜2百万細胞/ml)を、25mMヘペスを含むが血清を含まないそれぞれの培養培地中に調製し、気泡の導入前後のいずれかで滴下(10〜20μl)した。細胞含有発泡体プレートを、細胞インキュベーター内で30〜60分間インキュベートして、適切な細胞培養培地を添加した。
薄膜形成
絹タンパク質(3mg/mL)を、解凍してアグリゲートを除去後に遠心分離した。タンパク質溶液5μL又は10μLを疎水性培養ウェル(Sarstedt懸濁細胞)に添加して、ウェル底面に液滴を作製した。その後、同体積の細胞懸濁液(HDFn又はHaCaT、0.5milj/mL、1milj/mL又は2milj/mL)をタンパク質の液滴に添加した。細胞含有薄膜を、細胞インキュベーター内で30〜60分間インキュベートし、次いで、蓋のないLAFベンチ内で30分(5+5μL薄膜)又は60分(10+10μL薄膜)インキュベートした後、培養培地1mLを添加した。2又は3日間培養を行った後、Live/Deadアッセイ(Life Technologies)を行った。
肝細胞及びグリオーマ形成細胞を含む3D発泡体の形成
組換えクモ糸タンパク質を使用してタンパク質20μlの発泡体(3mg/mL)を調製し、24ウェルプレートのウェルの中央部に入れる。20μlのタンパク質の液滴中に、空気をピペットで入れた。細胞懸濁液(1百万細胞/ml)を、25mMヘペスを含むが血清を含まないDMEM(Invitrogen)中に調製する。調製した細胞懸濁液から20,000細胞(20μl)の最終量を、小さな液滴で、発泡体の上部に慎重に置く。細胞含有発泡体を、細胞インキュベーター内で1時間インキュベートした後、10%FBSを添加したRPMI−1640培地をさらに添加する(500μl、Invitrogen)。
絹足場内の細胞の分析
増殖
アラマーブルー(Alamar Blue)(Invitrogen、スウェーデン、ストックホルム)を使用して、21日までの期間にわたって、繊維及び発泡体内に統合された細胞の生存率及び増殖を調査した。アラマーブルーを適切な細胞培養培地中、1/10に希釈し、繊維又は発泡体を含む各ウェルに添加し、細胞インキュベーター内で2時間インキュベートした。インキュベート後、上澄みを、新しい96ウェルプレート(Corning)に移動し、マルチモードプレートリーダー(ClarioStar、LabVision)を用いて595nmにおいてODを測定した。ODを、ウェル毎に蛍光強度としてプロットした。それから、アラマーブルーインキュベーションをして除去後、培養を新鮮な完全培地を用いて継続した。
BrdU(Invitrogen)を、細胞含有絹足場の培養の3日目、10日目及び14日目において10μMの最終濃度まで添加し、BrdUと一緒に20時間インキュベート後、洗浄し、固定し、凍結切片を作製した。氷中10分間、1N HCl中で、室温で10分間、2N HCl中で、DNA変性を行い、次いで、37℃で20分間、DNA変性を行った。室温で10分間、0.1Mホウ酸緩衝液pH8.5中で、直ちに中和を行った。サンプルを、0.1%トリトンX−100を含むPBS(pH7.4)中、3×5分洗浄し、PBS/1%BSA中15分ブロックした。染色はPBS/1%BSA中4μg/mLでAlexa488結合(分子プローブB35130)を室温で1時間(又は+4℃で一夜)、BrdUマウスモノクローナル抗体(クローンMoBU−1)で行った。対比染色をDAPIで行った。スライドを蛍光封入剤(Fluorescence mounting medium)(Dako)で封入した。写真を、ニコン倒立蛍光顕微鏡で10倍及び20倍で撮影した。
生存率
Live/Dead細胞生存率アッセイ(分子プローブ/Invitrogen、スウェーデン、ストックホルム)を、培養7〜21日後、選択されたエンドポイントについて細胞含有絹足場で行った。絹足場を、PBS中で洗浄した後、PBS中のCalcein(1/2000)及びEthD−1(1/500)の混合物をウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。それから、染色を、倒立蛍光顕微鏡(ニコン製エクリプス、スウェーデン)で、生細胞(緑)及び死細胞(赤)について分析した。足場の選択された平面において10倍の拡大で画像を撮った。ソフトウェアNIS−elements3を用いて、画像毎の3箇所の同面積を、生存率%について算出した(緑色細胞の量/細胞の総数×100)。
細胞拡張及び接着
穏やかに洗浄後、細胞含有絹足場を、4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、PBS中の0.1%トリトンX−100を用いて透過処理し、PBS中の1%ウシ血清アルブミン(BSA、AppliChem)を用いてブロックした。一次抗体マウス抗ヒトビンキュリン(Sigma、V9131)を、1%BSA中、9.5μg/mlの濃度で使用した。二次抗体は、AlexaFlour488ヤギ抗マウスIgG(H+L)であり、交差吸着処理(Invitrogen)し、1:500で使用した。ファロイジン−AlexaFluor594(Life Technologies)を1:40で使用し、線維状アクチンを検出した。DAPIを核染色のために使用した。スライドを蛍光封入剤(Dako、コペンハーゲン)で封入した。染色細胞を、4倍及び10倍の拡大で倒立顕微鏡(ニコン製エクリプスTi)を用いて分析した。
細胞分布及び形態
エンドポイントにおいて、細胞含有絹足場を4%パラホルムアルデヒドで15〜30分間固定し、洗浄し、Tissue−Tek(サクラ、日本)中に包埋されるまで20%ショ糖中でインキュベートし、凍結保存し、クリオスタットで12〜25μm厚の連続した切片を作製した。選択された切片を、凍結組織用の次の標準ヘマトキシリン及びエオジン(HE)染色後、形態評価した。
分化
細胞含有絹足場の選択された切片を、5分間、0.5%トリトンX100中で透過処理し、室温で30分間PBS中の5%正常ヤギ血清でブロックし、デスミン(Anti-Des、Prestige Antibodies、Atlas Antibodies、Sigma Aldrich、1:200)に対して染色した。次に、繊維切片を、Alexa488と結合したウサギに対するヤギ中で産生した二次抗体を用いてプローブした(分子プローブ、1:1000)。
コラーゲン産生
選択された切片を、PBS中の1%BSAでブロックした後、1%BSA中、3.5mg/mLでマウス抗I型コラーゲン(クローンCOL−1、SigmaAldrich)を用いて染色し、次いで、AlexaFluor488ヤギ抗マウスIgG抗体(Invitrogen)でプローブした。DAPIを核染色のために使用した。スライドを蛍光封入剤(Fluorescence mounting medium)(Dako)で封入した。写真を、ニコン倒立蛍光顕微鏡で10倍で撮影した。
インスリン産生及び分泌
内分泌細胞のクラスターを含む絹発泡体足場をPBS中で洗浄し、1%パラホルムアルデヒド中で固定し、その後、0.3%トリトンX100を含むPBS中で15分間透過処理した。室温(RT)で1時間、0.1%ツイーンを含むPBS中6%ウシ胎仔血清(FCS)を用いてブロッキングした。それから、インスリン(モルモット抗インスリン、1:1000、Dako)、ウサギ抗ヒトCD44(1:100)及び/又はマウス抗ヒトCD31(1:100、BD Pharmingen)に対する抗体と一緒に、4℃で一夜、サンプルをインキュベートした。翌日、Alexa488と結合したモルモットならびにAlexa594と結合したウサギ及びマウスに対するヤギ中で産生した二次抗体を用いて、サンプルをプローブした(分子プローブ、1:1000)。
MIP−GFPトランスジェニックマウス由来の内分泌細胞クラスターを、2R及びFNタンパク質の混合物からなる発泡体において24ウェルプレートで7日間、hMSC及びHDMECと一緒に培養した。Bio−Gel P4ポリアクリルアミドビーズ(Bio-Rad)で充填した0.5mlカラムの上部に発泡体を穏やかに入れた。基礎状態して、37℃における3mMグルコース及びインスリン放出のための促進グルコース濃度として11mMグルコースを含むヘペス緩衝液で、次いで、25mM KClで洗い流すことにより、インスリン放出の動態を試験した。流速は40ml/分であり、2分の画分を集め、インスリンアッセイHTRFキット(Cisbio)を用いてインスリンについて分析した。
細胞絹足場の機械的分析
細胞含有繊維の応力対歪み(長さ伸び%)を、0.2N/分のランプ力を使用し、特注のZwick/Roell材料試験機を用いて、生理様条件(37℃、1×PBS)下で測定した。繊維端部を検体グリッパで取り付けた。巨視的欠陥を含む繊維又は機械的試験中に明らかに扱いが悪かった繊維は除外した。繊維の円形の最初の断面を応力算出のために使用した。
細胞絹コンストラクトの移植及びインビボイメージング
本質的に、Speier S, et al. Nat Protoc. 3:1278-1286 (2008)に以前に記載されているのと同手順を用いて移植を行った。細胞含有絹マトリックスを小片(約50μm)に解体し、無菌培養培地に入れた後、0.4mmポリエチレンチュービング(Portex)により1mLハミルトン製シリンジ(Hamilton)と連結した27ゲージアイカニューレ(平滑末端パッチクランプガラスキャピラリーの適応により調製)に吸引した。Jackson Laboratory (米国メーン州バーハーバー)から購入したB6アルビノA++(C57BL/6NTac-Atm1.1Arte Tyrtm1Arte, Taconic、ドイツ、ケルン)を、2%イソフルラン(vol/vol)を用いた麻酔後に、レシピエントとして使用した。カニューレを前眼房中に安定に挿入した場合、これらが虹彩上に定着する前眼房中に滅菌生理食塩水の可能限り少量の体積中に、移植片をゆっくりと注入した。外科的処置後にブプレノルフィン(0.05〜0.1mg/kg、皮下投与)を用いて鎮痛を得た。
移植された動物の眼の前眼房中の足場のインビボイメージングを、本質的に、Speier S, et al. Nat Protoc. 3:1278-1286 (2008)に以前に報告されたように行った。手短に言えば、マウスを、2%イソフルラン空気混合物で麻酔し、加熱バッド上に置き、ヘッドホルダーで頭を拘束した。眼瞼を慎重に後方にのけて、眼を穏やかに支持し、Viscotears(Novartis)を眼と対照物との間の浸液として使用した。走査速度及びレーザー強度を、マウスの眼への細胞損傷を避けるように調節した。
結果
統合細胞を含む絹足場の調合物
図3は、統合細胞を含む絹足場の調合物の模式的説明を示す。
繊維調合物
図3Aは、細胞含有絹繊維の調合物の模式的説明を示す。絹タンパク質を培地(I)中に懸濁された細胞と混合する。1〜3時間のインキュベーションの優しい縦揺れの間に、絹タンパク質は、空気−液体界面において、統合された細胞(II)を含む繊維マット中へと集合する。それから、細胞含有絹繊維を容易に回収し、培養ウェル(III)中に入れた。
チューブ中の培養培地中の細胞と混合された絹タンパク質溶液を穏やかに縦揺れすることにより、20分以内、つまり絹タンパク質単独におけるものと同じ時間枠で目に見える繊維が形成された。繊維形成を、繊維束が新鮮な培地を含む細胞培養ウェルに移動する前1〜3時間継続させた。肉眼で、細胞含有繊維は、1日目、通常の絹繊維束に非常に類似しているように見える(図3A)が、培養期間中、厚さ方向に増殖し続けた。線維芽細胞及び骨格筋サテライト細胞などのいくつかの細胞型のため、より小さい繊維束を、通常、培養数日後巻き上げた。ウェル中のインサートを用いて2つの固定点間の伸びた繊維束としてこれらを取り付けることにより、これを避けることができる。
沈降のため、細胞の実質的画分は、繊維形成中、チューブの底部に見られた。この細胞損失を避けるために、絹/細胞溶液の下により高密度の油相を含む倒立セットアップが開発された。細胞含有繊維を緩衝液:油界面において形成するこのアプローチを用いて、空気:緩衝液界面に代わりに細胞を捕捉した。より不規則な形態という代償を払うことになるが、繊維内のより高い細胞密度を、この方法を用いて得た。
発泡体形成
図3Bは、細胞含有絹発泡体の調合物の模式的説明を示す。培地中の細胞を含む絹タンパク質溶液を、穏やかに空気を導入することにより湿った発泡体(I)に転換する。プレインキュベーション30〜60分後、追加の培養培地を添加し、発泡体(II)を覆う。それから、細胞絹発泡体を、ウェル(III)中で培養することができる。スケールバー=1mm。
培養培地中の絹タンパク質及び細胞の混合物への気泡の穏やかな導入は、絹タンパク質のみで達成されるのと同様な肉眼へ広がる発泡体構造物を生じる(図3B)。30〜60分のプレインキュベーションの後に新鮮な細胞培養培地を添加する場合、発泡体は、 凝集性の三次元構造物として結合する。培養期間全体にわたって、発泡体は、ますます白くなり、透明性がなくなる。
薄膜形成
図3Cは、細胞含有絹薄膜の調合物の模式的説明である。絹タンパク質溶液を、培地中に懸濁された細胞を直接滴下した後に、培養ウェル中に液滴として入れる(I)。プレインキュベーションの30〜60分後、追加の培養培地を添加し、薄膜(II)を覆う。それから、細胞含有絹薄膜をウェル中で培養し、L/D染色に付すことができる(III)。左:2日後のHDFn(20,000細胞/薄膜)の4倍拡大、右:3日後のHaCaT(10,000細胞/薄膜)の4倍拡大。
培養培地中の細胞を絹タンパク質溶液の規定の液滴に添加することにより、新鮮な培養培地を添加する前に30〜60分間プレインキュベートする場合、細胞は、凝集性の薄膜として一緒に存在する。添加した細胞の量に応じて、細胞含有薄膜は、培養の1〜3日目以内にコンフルーエントになる。
細胞は、絹足場内で増殖能力を維持する。
細胞増殖の測定(アラマーブルー細胞生存率アッセイを用いて)は、発泡体、繊維及び薄膜両方内の細胞増殖の増殖プロファイルを確認させた。図4は、絹足場内の細胞の代謝活性を示す。図4Aは、アラマーブルー細胞生存率アッセイを用いて測定した異なる細胞型(mMSC、mEC、HDFn、Hsk)を含む個別の絹繊維束の代表的増殖プロファイルを示す。図4Bは、アラマーブルー細胞生存率アッセイを用いて測定した異なる細胞型(mMSC、mEC、HaCaT、MIN6m9)を含む個別の絹発泡体の代表的増殖プロファイルを示す。
シグナルの振幅は繊維束のサンプル間で異なっていた。捕捉された細胞の不均一な分布をおそらく反映していると考えられる。これは、より高い細胞密度及び開始された繊維形成前の迅速な取り扱いによって部分的に避けることができた。発泡体及び薄膜フォーマットについて、おそらく全ての添加された細胞が足場内で直接捕捉されるという事実のせいで、増殖プロファイルはサンプル間でより再現性があった。
増殖曲線の傾きは、細胞密度及び使用した細胞型の両方により影響を受けた。通常、より遅い初期相を観察し、次いで、より急勾配の曲線を観察することができた。2週間後に高いプラトーに達したサンプルは、通常、細胞染色で確認され得るとき、コンフルーエントな細胞層を含んだ。
絹足場内に統合された細胞(単に表面上の細胞だけでなく)が分裂し増殖しているか検査するため、本発明者らは、BrdU分析も行った。培地にBrdUを添加することにより、固定20時間前、細胞分裂をする細胞は、DNA合成中そのゲノム内のBrdU分子を取り込むだろう。それから、これらのBrdU分子を蛍光免疫染色により検出することができる。このように、絹繊維内深くに存在する細胞増殖を、検査した全時点で示すことができた(d4、d11及びd15)。細胞の分裂比は、初期時点ではより高く、培養期間中に低下(d4 80%、d11 50%、d15 25%)したが、これは細胞がコンフルーエントになるインビトロ培養では正常である。
大部分の細胞は絹足場内で生存可能である。
絹足場内での細胞の生存率を生細胞(緑)及び死細胞(赤)を同時に染色する二色蛍光生存率アッセイを用いて、顕微鏡で分析した。
図5は、絹足場内の細胞の生存率を示す。
A)細胞絹繊維内の様々な細胞型の生染色(10倍)。
B)細胞絹発泡体内の様々な細胞型の生染色(10倍)。
C)繊維内の細胞生存率。
D)発泡体内の細胞生存率。
足場は、やや厚めであるものの、肉眼には通常の絹材料の様に見えるが、サンプルは、大部分が生存している細胞の実質的な量を含んでいることが蛍光顕微鏡下で明らかになった(図5)。全繊維内の生存率は約80%であり(図5C)、全発泡体足場については90%をかなり超えていた(図5D)。薄膜については、生存率は添加した細胞量に非常に依存し、細胞がコンフルーエント層中に固定できる細胞数を超えて添加される場合、80〜90%の生存率であった。
細胞は拡張し、絹足場内の接着斑により接着する。
細胞が広がり、絹足場内から散らばる能力を、張力繊維の染色(アクチンフィラメントによる)により評価した。図6は、絹足場内の細胞の拡張を示す。図6Aは、繊維(左)及びDapi(丸い点は核を表す)内のHDFn細胞のf−アクチン染色ならびに発泡体におけるmMSCのf−アクチン染色(右)を示す(10倍)。図6Bは、繊維におけるHDFn(左)及びHDMEC(右)のf−アクチン及びビンキュリン(輝点)染色を示す。
繊維フォーマットでは、大部分伸びた細胞形状を有する繊維束に沿って細胞が見られた(図6A、左)。発泡体フォーマットでは、細胞は、通常広がって見られ、絹構造物間に広がっている(図6A、右)。よく組織化されたアクチン張力繊維を、繊維及び発泡体内の両方の大部分の細胞で見ることができる。
接着斑の形成による細胞接着を、しばしば細胞膜の近くに位置する接着斑複合体の主要成分の1つであるビンキュリンを併用してF−アクチン染色後に分析した。したがって、F−アクチン及びビンキュリンの共染色は、細胞の足場とのインテグリン関連のよく確立された結合の証拠である。細胞含有繊維内では、伸びた細胞の端部における輝点として接着斑点を区別することができた(図6B)。発泡体足場内では、ビンキュリン染色からのはっきりしたシグナルは見つけることができないが(データ示さず)、接着斑点の区別を複雑にする三次元において、細胞はランダムに分布した。
細胞は絹足場全体にわたって分布する。
細胞が絹足場内によく分布することを確認するために、本発明者らは、細胞の場所を決めるために凍結切片及びH/E染色を行った。繊維を、繊維軸の縦断面及び横断面の両方で薄片化した(図7A)。いくつかの領域は他のものより集中しているが、細胞を繊維全体にわたって見ることができた。生存率アッセイからの結果に従えば、発泡体足場は、材料全体にわたって、細胞がより高密度で集中していた(図7B)。
図7は、絹足場内の細胞の分布を示す。図7Aは、HDFn細胞を含む絹繊維の縦断面(左)及び横断面(右)凍結切片のH/E染色を示す。暗点は核を表す。図7Bは、HaCaT(左)及びmMSC(右)を含む細胞絹発泡体の凍結切片のH/E染色を示す。暗点は核を表す。
細胞を含む絹足場は機械的に安定である。
細胞含有絹足場は、高湿度条件下、柔軟性に関して通常の絹足場と類似して、培養期間全体にわたる取り扱い及び分析手順に充分に安定であった。天然組織と比較して機械特性を関連づけるために、細胞含有繊維を、前以て温めた生理緩衝液中で引張試験に付した(図8)。初期弾性相後、変形域に達し、繊維はその最初の長さの約2倍まで伸びた。
図8は、2週間培養した線維芽細胞(HDFn)を含む1つの代表的絹繊維の応力歪み曲線による細胞を含む絹繊維の機械特性を示す。
線維芽細胞は絹足場内でコラーゲンを産生する。
絹足場内で培養中、細胞がこれらの主要機能を維持することを確認するための第一ステップとして、異なる足場タイプ内で増殖する場合に線維芽細胞がI型コラーゲンを産生するか調査した。細胞内I型コラーゲンの染色により、繊維又は発泡体内であるが、大部分の細胞がコラーゲンを産生するのは明らかだった。
図9は、I型コラーゲンの蛍光免疫染色を示す。天然らせん状I型コラーゲンの検出のためのI型コラーゲン特異的抗体で染色する前に、2週間線維芽細胞を含む絹足場を培養した。特定の抗体は、細胞内及び細胞外コラーゲンの両方を検出する。丸い点は、核のDapi染色を表す。
絹足場内の細胞は分化することができる。
絹足場内の細胞が分化することができることを確認するために、ヒト骨格筋サテライト細胞を含む繊維をDMEM培養培地に移動して分化を促進させた。デスミン染色を適用して、筋管形成を可視化した(図10)。
図10は、筋管形成の蛍光免疫染色を示す。デスミン染色前に、Hsk細胞を含む繊維を2週間培養し、その後さらに2週間分化培地に保持した。丸い点は、核のDapi染色を表す。
いくつかの細胞型は絹足場内で共培養であり得る。
大部分の天然組織型は、細胞周囲及びこれと離れないようにしている細胞外マトリックスと複雑な三次元配置で一緒に組織化されたいくつかの細胞型からなる。したがって、改変組織コンストラクト中でこれを複製するために、足場内で共培養を成し遂げることは重要なことである。本明細書に記載された、細胞含有絹足場の調合物方法を用いて、いくつかの細胞型を組合せることは、これらが同様な培地中で培養することができる限り、実際非常に容易である。
本発明者らは、ヒト骨格筋サテライト細胞及び内皮細胞を用いて、絹繊維における共培養の例を本明細書に示した(図11A)。内皮細胞は、おそらく血管形成の初期状態を表す繊維内のいくつかの局所クラスターと共に分布していることが分かった。
絹発泡体内の共培養の例として、本発明者らは、内分泌細胞を支持的間葉系幹細胞及び内皮細胞と組み合わせた(図11B)。
図11は、絹足場内で共培養したいくつかの細胞型の存在を示す。図11Aは、EC細胞(上側)及びHsk細胞(下側)のために共培養及び免疫染色に付した絹繊維の切片を示す。図11Bは、MIP(上側)及びMSC(下側)のために共培養及び免疫染色に付した絹発泡体を示す。
絹足場内の内分泌細胞は機能を維持する。
しばしばランゲルハンス島と呼ばれる、膵臓内で見られる内分泌細胞島は、機能を維持するための物理的三次元支持体だけでなく適切な細胞近隣物質を必要とする細胞の典型例である。
図12は、島様クラスターが絹足場内で機能することを示す。図12Aは、内分泌細胞のインスリン染色及び絹発泡体内のそのクラスターを示す。単離された膵島の細胞溶解により回収した分散内分泌細胞の溶液は、絹発泡体内で培養される場合、島様形状にクラスター化する傾向がある。インスリンのための染色は、単細胞ならびにクラスターが絹発泡体内でインスリンを産生するこれらの能力を維持することを確認する(図12A)。
絹発泡体内で形成される島様クラスターが機能的であるか、すなわち、刺激作用のみでインスリンを産生するかさらに解明するために、生理濃度のグルコースを用いた刺激後にインスリン量を測定した。図12Bは、絹発泡体内の島様クラスターを洗い流した後の動的インスリン放出の代表的曲線を示す。インスリン値はdsDNAで正規化し、チャート内のインスリン値は基礎レベルの%として表す。できる限り生理刺激を模倣するため、グルコースレベルの増加と共にクラスターを動的に刺激した。島様クラスターを含む絹発泡体を、異なる濃度のグルコースを含む緩衝液をポンプで通すことにより動的に洗い流されたカラム中に入れた。これにより、高濃度(11mM)のグルコースを用いた刺激後のインスリン放出の増加を測定することができ、グルコース濃度が基礎レベル(3mM)に戻した場合には逆戻りした(図12B)。さらに、絹発泡体内のクラスターは、その後のKCl刺激にも応答した。
細胞を含む絹足場のインビボイメージング
次に、細胞含有絹足場がインビボで如何に持続するかを調査した。細胞を、それぞれ、繊維及び発泡体内で先ず培養し、1週間後にマウスの眼の前眼房中に移植した。眼により提供された開窓を、カメラを用いた絹足場(図13、左)及び共焦点顕微鏡を用いたその中の細胞(インビボ追跡)の評価に利用した(図13)。絹足場の顕微鏡外観は全4週間インビボで同様であったが、細胞の分布及び量は、おそらく分解だけでなく細胞遊走のせいでゆっくりと変化した。
図13は、細胞を含む絹足場のインビボイメージングを示す。左に、前眼房に移植された細胞含有(mMSC)繊維(白色部)の写真を示す。右に、インビボで1、2及び4週後の絹繊維内のインビボ追跡した細胞(mMSC)の代表的共焦点顕微鏡写真である。
細胞の統合は、いつ絹タンパク質に添加されるかに依存する。
代替の調合物プロトコールを調査し、調合物処理中に添加されるどの段階において、絹足場内に分布する細胞が如何に依存しているかを決定した。
繊維形成は、穏やかな揺動中インキュベーションに置かれたチューブ内の親水性/疎水性界面において起こる。無菌状態を維持するために、インキュベーション中、チューブは密封されてなければならず、何故、繊維形成が開始する前に絹タンパク質溶液に細胞添加するか、又はこれらを保持し、培養ウェルに入れた後に形成された繊維の上部に細胞添加する、2つの選択肢しかないのか。繊維は束として形成するので、繊維形成後に細胞を添加する場合にもいくらかの細胞透過は可能である(図14、右欄)。しかしながら、繊維形成前に絹タンパク質溶液に細胞を添加する場合、繊維内に細胞のより均一な分布が得られる(図14、左欄)。
図14は、絹繊維内の細胞分布を示す。繊維形成の前(左欄)又は後(右欄)に添加されるHDFn(上段)及びEC(下段)を含む絹繊維の凍結切片のH/E染色。暗点は細胞核を表す。
絹タンパク質溶液への気泡の穏やかな導入により発泡体形成を行う。絹足場は、各気泡の界面においてゆっくりと固化する。気泡導入前に絹タンパク質溶液に細胞(培地中)を直接添加する場合、これらは絹発泡体全体にわたって均一に分布する。発泡体の形成後に細胞を滴下する場合、発泡体がまだ湿っている限り、発泡体構造物を通って培地中の細胞はゆっくり拡散し;より均一な分布ほど、細胞をより早く添加する。乾燥した発泡体に細胞を添加する場合、発泡体構造物は部分的に崩壊し、絹のより薄くより網状の構造物をもたらす。
異なる時点において添加される細胞を含む発泡体足場をf−アクチン染色(細胞を可視化するため)し、倒立蛍光顕微鏡を用いて撮像した。別々の異なる細胞を、細胞を乾燥(0〜90分)前に添加した全ての分析した発泡体足場のいくつかのz平面において見ることができた(表3)。細胞の添加前に乾燥させた発泡体足場については、細胞を含む1つのz平面を識別することのみ可能であった。
発泡体足場を、凍結切片(側面から)によりさらに調査し、H/Eで染色した。細胞を乾燥(0〜90分)前に添加した全ての分析した発泡体足場のため、足場は層中にいくつかの細胞を含むふわふわした外観を有した(図15、左欄)。細胞の添加前に乾燥させた発泡体足場、大部分の細胞を、1つ又は最大2つの細胞層を含む細くかつ緻密な線として位置していた(図15、右欄)。
図15は、絹発泡体内の細胞分布を示す。時間0における(左欄)又は240分間の乾燥後(右欄)の絹タンパク質溶液に添加されるHDFn(上段)及びEC(下段)を含む絹発泡体の凍結切片のH/E染色。
実施例2 代替のC末端ドメインを含むミニスピドロインの発泡体への細胞の統合
絹タンパク質FNcc−RepCTMiSp(配列番号69)の製造及び精製を実施例1に記載のように行った。CTMiSp(配列番号68)は、アラネウス・ベントリコサス(Araneus ventricosus)由来の小瓶状腺クモ糸タンパク質である。
ヒト起源の毛細血管由来の初代内皮細胞(HUVEC、PromoCell)を、ウシ胎仔血清(FBS、5%)を含む内皮細胞増殖培地MV2(PromoCell)中で培養した。細胞は、継代6代で使用した。
絹発泡体足場を、疎水性培養ウェルの中央部に入れた絹タンパク質(3mg/mL)20〜40μlで製造した。20μlのタンパク質の液滴中に、30回、空気をピペットで入れた。細胞懸濁液(0.5〜2百万細胞/ml)を、25mMヘペスを含むが血清を含まないそれぞれの培養培地中に調製し、気泡の導入後直接滴下(10〜20μl)した。細胞含有発泡体プレートを、細胞インキュベーター内で30〜60分間インキュベートして、適切な細胞培養培地を添加した。
アラマーブルー(Invitrogen、スウェーデン、ストックホルム)を使用して、統合された細胞の生存率及び増殖を調査した。アラマーブルーを適切な細胞培養培地中、1/10に希釈し、発泡体を含む各ウェルに添加し、細胞インキュベーター内で2時間インキュベートした。インキュベート後、上澄みを、新しい96ウェルプレート(Corning)に移動し、マルチモードプレートリーダー(ClarioStar、LabVision)を用いて595nmにおいてODを測定した。ODを、ウェル毎に蛍光強度としてプロットした。それから、アラマーブルーインキュベーションをして除去後、培養を新鮮な完全培地を用いて継続した。
Live/Dead細胞生存率アッセイ(分子プローブ/Invitrogen、スウェーデン、ストックホルム)を、培養8日後、細胞含有絹発泡体で行った。絹足場を、PBS中で洗浄した後、PBS中のCalcein(1/2000)及びEthD−1(1/500)の混合物をウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。それから、染色を、倒立蛍光顕微鏡(ニコン製エクリプス、スウェーデン)で、生細胞(緑)及び/又は死細胞(赤)について分析した。足場の選択された平面において4倍の拡大で画像を撮った。
図16は、FNcc−RepCTMiSp(配列番号69;黒菱形)及び同様な増殖を確認する対応するFNcc−RepCTMaSp(配列番号27;白四角)の発泡体内の増殖細胞(20,000HUVEC/ウェル)の増殖曲線(n=3、SEM)を示す。
図17は、培養の終了時(8日目)における生細胞染色を示し、FNcc−RepCTMiSp(左パネル)及びFNcc−RepCTMaSp(右パネル)の両方の発泡体(4倍拡大)内に統合された生存可能な細胞の存在を確証させる。
実施例3 カイコ、ボムビークス・モリー(Bombyx mori)由来の絹フィブロインのマトリックス内への細胞の統合
カイコ(B. mori)由来の繭の部分を、沸騰0.02M炭酸ナトリウム中に精錬し、蒸留水で適切に洗浄し、室温で一夜乾燥した。それから、精錬及び乾燥した絹を9.3M LiBrに溶解し、継続的に水を交換しながら、3日間、透析膜(MWCO 12kDa)を用いてミリQ水に対して透析した。
繊維形成のため、フィブロインタンパク質(0.5〜10mg)を、全体積4mlでそれぞれの培養培地中0.5〜2百万細胞と混合した。優しい縦揺れ下、室温で、1〜24時間、細胞と一緒に繊維形成を行った。それから、形成された繊維を、1×PBSで洗浄し、その後、未処理24ウェルプレートに移動し、新鮮な培地の添加により培養液中にさらに保持した。
発泡体形成のため、フィブロインタンパク質(3mg/mL)20〜40μlを、疎水性培養ウェルの中央部に入れた。20μlのタンパク質の液滴中に、30回、空気をピペットで入れた。細胞懸濁液(0.5〜2百万細胞/ml)を、25mMヘペスを含むが血清を含まないそれぞれの培養培地中に調製し、気泡の導入前後のいずれかで滴下(10〜20μl)した。プレートを、細胞インキュベーター内で30〜60分間インキュベートして、適切な細胞培養培地を添加した。
薄膜形成のため、フィブロインタンパク質溶液(3mg/mL)5μL又は10μLを疎水性培養ウェル(Sarstedt懸濁細胞)に添加して、ウェル底面に液滴を作製した。その後、同体積の細胞懸濁液をタンパク質の液滴に添加した。細胞含有薄膜を、細胞インキュベーター内で30〜60分間インキュベートし、次いで、蓋のないLAFベンチ内で30分インキュベートした後、培養培地1mLを添加した。
細胞を処理し、実施例1に記載されたように培養した。アラマーブルー及びLive/Dead生存率アッセイを、実施例2に記載されたように行った。
図18は、FNcc−RepCT(配列番号27;黒菱形、実線)の対応する繊維と比較して、カイコ(B. mori)絹フィブロイン(白三角、点線)の繊維内の増殖細胞(hDF)の増殖曲線を示す。図19は、カイコ(B. mori)絹フィブロインの繊維内に統合された線維芽細胞(HDFn、ECACC、P7;スケールバー250μm)の生染色を示し、15日目における生存可能な細胞の存在を確証させる。
カイコ(B. mori)絹フィブロインの発泡体内の生存可能なHUVECの存在を、培養19日後に決定した(データ示さず)。
図20は、FNcc−RepCT(配列番号27;「FN]、白四角)の対応する薄膜と比較して、カイコ(B. mori)絹フィブロイン(「BM」、黒菱形)の薄膜内の増殖細胞(HUVEC)の増殖曲線(n=6、SEM;(A):10,000HUVEC/ウェル;(B):3,000HUVEC/ウェル)を示す。生染色は、薄膜タイプの両方内の、8日目における生存可能な細胞の存在を確証させる(データ示さず)。
実施例4 統合されたヒト多能性幹細胞(hPSC)を含む絹足場の調合物
発泡体形成
FNcc−RepCT(配列番号27;3mg/ml)及びラミニン521(BioLamina、10μg/mlの最終濃度)の20μl液滴を、疎水性培養ウェルの中央部に入れた。40μlのピペット設定で上下に素早くピペッティングすることにより液滴に空気をピペットで入れて、緻密な湿った発泡体を作製した。通常、Essential 8(商標)培地(Life Technologies)中の10,000細胞/μ濃度における50,000hPSCを、さらに10往復動作により発泡体に直ちに導入して、3D構造物全体にわたって細胞を拡散した。それから、細胞含有発泡体を、37℃で20分間細胞インキュベーター内で安定化した後、24ウェルプレートに適切な、ROCK阻害剤Y27632、10μMを含むEssential 8(商標)1mlを添加した。翌日、ROCK阻害剤なしで新鮮な培養培地を添加し、培地を毎日交換した。
薄膜形成
疎水性ウェルの中央部に、FNcc−RepCT(配列番号27;3mg/ml)及びラミニンの10〜20μlを添加することにより薄膜を作製した。絹溶液を、ピペットチップを用いて所望の形状に形成し、通常30,000〜50,000hPSC(少なくとも10,000細胞/μl濃度)を、溶液を絹タンパク質の中央部に穏やかに滴下することにより添加し、細胞を浮き出させてタンパク質混合物中に浸漬させた。それから、薄膜を、薄膜の大きさに応じて20〜40分間、37℃で細胞インキュベーター内で安定化した後、ROCK阻害剤、10μMを含むEssential 8(商標)0.5ml(24ウェルプレートに適切)を添加した。翌日、ROCK阻害剤なしで新鮮な培養培地を添加し、培地を毎日交換した。絹ディスク内に統合されたPSCを、明視野顕微鏡により容易にモニターすることができ、細胞が選択のプロトコールのコンフルエンス達する場合、分化の開始時点を決定する。
発泡体及び薄膜中に含まれるPSCの免疫染色
絹中への細胞の統合後、選択される時点において免疫細胞化学を行った。絹足場をPBS中1回洗浄した後、15分間で4%パラホルムアルデヒドを添加した。0.1%トリトンX−100を含むPBS中で15分間透過処理を行った後、10%ロバ血清(Jackson ImmunoResearch)でブロッキングした。0.1%ツイーン20(PBS−T)及び5%血清を含むPBS中に4℃で一夜、一次抗体をインキュベートした。PBS−T及び5%血清中、室温で1時間、二次抗体をインキュベートした。DAPI(Sigma)を用いて核を対比染色し、30分間インキュベートした。各インキュベーション間、PBS−Tで3回サンプルを洗浄した。
使用した一次抗体:ポリクローナルヤギ抗Nanog、1:50希釈(R&D)、ポリクローナルウサギ抗ラミニン、1:200希釈(Abcam)。
使用した二次抗体:ロバ抗ウサギ688(Abcam)及びロバ抗ヤギ488(Jackson ImmunoReasech)、両方1:1000希釈。
Leica DMI6000B顕微鏡及びイメージソフトウェアImageJを用いて、サンプルを撮像した。
図21は、絹発泡体及び薄膜内に統合されたPSCの培養を示す:
(A) 50,000ヒトiPS C5の含有の後24時間においてラミニン521(LN521)と一緒のFNcc−RepCT(配列番号27)の発泡体及び薄膜の実施例の顕微鏡写真。核DAPI染色(青)により、細胞分布を可視化した。スケールバーは1000μmを表す。
(B)ヒト胚細胞、HS980はよく増殖し、ICCにより明らかになったFNcc−RepCT(配列番号27)の発泡体(上パネル)及び薄膜(下パネル)に統合された後72時間、Naongポジティブのままであった。BFは明視野である。ラミニン被覆絹を、緑の抗ラミニン抗体(Abcam)により可視化し、多能性を赤の抗nanog(R&D)により可視化した。核をDAPI(青)で対比染色した。スケールバーは200μmを表す。
(C)含有物を明視野顕微鏡で可視化した後72時間、FNcc−RepCT(配列番号27)発泡体及び薄膜中の増殖するiPS C5細胞の代表的画像。
結論:胚性幹細胞(ESC)及び人工多能性幹細胞(iPS)などのヒト多能性幹細胞(hPSC)は、絹タンパク質の発泡体及び薄膜に統合後、生存しよく増殖する。
実施例5 効果的播種方法として絹薄膜への細胞の統合
2つの異なる細胞型を試験した:平滑筋細胞(ヒト冠動脈、Gibco)及びヒト臍帯静脈内皮細胞(Promocell)。それぞれの培養培地に懸濁した細胞を、FNcc−RepCT(配列番号27;3mg/ml)と1:1で混合し、それから、培養ウェルに液滴として播種した(未被覆、又はRepCT(「WT」、配列番号2)又はFNcc−RepCT(「FN]、配列番号27)。
30分以内に接着した細胞の量を3回その後の洗浄後に分析した後、クリスタルバイオレットで固定、染色した。図22の上段は、培養ウェルに接着している状態から溶解した後のクリスタルバイオレット染色細胞由来の吸光度を示す。絹薄膜内に播種した場合、有意により多い細胞が未被覆ウェルに接着した。図22の下段は、染色した細胞の顕微鏡写真を示す。接着細胞の形態は、適切な接着及び拡張を確証させる。
統合細胞を含む薄膜の調合物は、迅速に、かつ、生存可能な接着細胞を得る高い播種効率を提供すると結論した。
実施例6 絹足場内に統合された幹細胞の分化
繊維及び発泡体を、実施例1で記載したように統合されたヒト間葉系幹細胞(hMSC)を含むFNcc−RepCT(配列番号27)から調製した。
(A)脂肪生成又は骨原性分化
統合されたhMSC細胞を含むマクロ構造物を、培養の7日後に、脂肪生成又は骨原性分化培地(PromoCell)のいずれかに付した。培地を、14日目まで3日毎に交換した。それから、サンプルを、全て標準プロトコールに従って、固定及び脂肪に対する脂質マーカー、レッドオイルO(Sigma Aldrich)、及び骨に対する骨原性マーカー、アリザリンレッドS(Sigma Aldrich)で染色に付した。
図23上段は、脂肪生成系統に分化したhMSCが、発泡体(左)及び繊維(右)のレッドオイル染色により可視化された脂肪脂質を含むことを示す。(N=2、n=4)。スケールバーは100μmを表す。挿入図は、発泡体(分化(左)及び未分化(右)、スケールバー=6.6mm)、及び繊維(未染色(左)、及びレッドオイル染色(右)、スケールバー1mm)の写真を示す。図23下段は、骨原性系統に分化したhMSCならびに発泡体(上側左、スケールバー=100μm)及び繊維(上側右、スケールバー=200μm)のカルシウム含有率(アリザリンレッドS(赤))に対して骨原性マーカーでプローブしたhMSCを示す。(N=2、n=4)。挿入図は、発泡体(分化(左)及び未分化(右)、スケールバー=6.6mm)、及び繊維(未染色(左)、及びアリザリンレッドS染色(右)、スケールバー=1mm)の写真を示す。
脂質液滴は、脂肪細胞誘導培地で処理された細胞を統合した絹発泡体及び繊維全体にわたって見られた(図23、上段)。繊維の最内側部分にも蓄積した骨芽細胞誘導培地で処理した足場全体にわたってカルシウムが堆積しているのが分かった(図23、下段)。
(B)神経細胞分化
統合されたhMSC細胞を含むマクロ構造物を3日間培養し、それから、7日間デュアルSMAD阻害(Noggin及びSB431542)に付した。このプロトコールは神経前駆細胞を得る。その後、培地を神経前駆体分化培地に置き換え、14日間培養を継続し、次いで、神経細胞分化マーカーβIII tub、MAP2及びGAD1のRT−qPCR分析を行った。
図24は、0日目及び21日目において、神経前駆体マーカーβIII tub、MAP2及びGAD1のRT−qPCRにより分析した相対的遺伝子発現を示す。全データは、5つの独立した培養(n=5)について平均±SDを示す。
絹足場内のヒト間葉系幹細胞は分化しやすいと結論される。固定及び脂肪に対する脂質マーカー及び骨に対する骨原性マーカーでの染色後、上手く分化したことを確認することができた。神経細胞分化マーカーのRT−qPCR分析後も、上手く分化したことを確認することができた。
実施例7 絹足場への統合後の細胞拡張
原繊維絹ネットワークが細胞拡張する効果を調査するために、細胞を統合するマクロ構造物を、実施例1に記載したようにFNcc−RepCT(配列番号27)から調製した。
比較のため、同じ細胞型を共有結合したRGDモチーフ(NovaMatrix)を含むアルギン酸ハイドロゲル内に播種する。RGDアルギン酸を細胞と一緒に細胞培養培地中に2%混合物として調製し、CaCl2(100mM)へ沈水してゲル化を引き起こす。
共焦点反射顕微鏡を用いて、絹の天然水和状態及び統合細胞を含むハイドロゲル足場の高解像度3D画像を集める。
絹及びハイドロゲル足場内へ統合された細胞の接着及び拡張を、共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いて評価する。蛍光及び位相差を備えた倒立システムを用いて細胞及び材料の可視化を可能とする。
免疫組織化学を用いて、選択された時点における接着(接着斑複合体、接着斑、原繊維接着、3D接着)の様々な段階の重要成分(例えば、インテグリン、パキシリン、ビンキュリン、f−アクチン)を検出する。

Claims (13)

  1. 真核細胞の培養方法であって、以下のステップ:
    (a)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水溶液を設けること、ここで、前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;
    (b)真核細胞のサンプルと前記絹タンパク質との水性混合物を調製すること、ここで、該絹タンパク質は水性混合物中に溶解したままである;
    (c)前記絹タンパク質を前記真核細胞の存在下で水不溶性マクロ構造物へと集合させ、それにより真核細胞を培養するための足場材料を形成させること;及び
    (d)細胞培養に適した条件下にて、前記足場材料内で真核細胞を維持すること、
    を含む、前記方法。
  2. 前記マクロ構造物は、繊維、発泡体、薄膜、繊維メッシュ、カプセル及び網、好ましくは繊維又は発泡体から選択される形状にされる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記真核細胞が、哺乳類細胞から選択され、好ましくは、内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、骨格筋サテライト細胞、骨格筋筋芽細胞、シュワン細胞、膵臓β細胞、膵島細胞、肝細胞及びグリオーマ形成細胞などの初代細胞及び細胞系統;ならびに間葉系幹細胞などの幹細胞;又は少なくとも2つの異なる哺乳類細胞型の組合せから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記絹タンパク質がカイコフィブロインなどのフィブロインである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記絹タンパク質がクモ糸タンパク質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記クモ糸タンパク質がタンパク質部分REP及びCTを含むか又はから成り、REPはL(AG)nL、L(AG)nAL、L(GA)nL、及びL(GA)nGL
    (式中、
    nは2〜10の整数であり;
    個々のAセグメントが8〜18アミノ酸残基のアミノ酸配列であり、前記アミノ酸残基のうち0〜3個はAlaではなく、かつ、残りのアミノ酸残基はAlaであり;
    個々のGセグメントが12〜30アミノ酸残基のアミノ酸配列であり、前記アミノ酸残基の少なくとも40%がGlyであり;及び
    個々のLセグメントが0〜30アミノ酸残基のリンカーアミノ酸配列である)
    からなる群から選択される70〜300アミノ酸残基の反復フラグメントであり;及び
    CTが、配列番号3又は配列番号68と少なくとも70%同一性を有する70〜120アミノ酸残基のフラグメントであり;
    場合により含まれる前記細胞結合モチーフを前記クモ糸タンパク質の末端に、又は前記部分間、もしくは前記部分のいずれかの内に、好ましくは前記クモ糸タンパク質の末端に配置する、
    請求項5に記載の方法。
  7. 前記絹タンパク質が、RGD、IKVAV(配列番号10)、YIGSR(配列番号11)、EPDIM(配列番号12)、NKDIL(配列番号:13)、GRKRK(配列番号14)、KYGAASIKVAVSADR(配列番号15)、NGEPRGDTYRAY(配列番号16)、PQVTRGDVFTM(配列番号17)、AVTGRGDSPASS(配列番号18)、TGRGDSPA(配列番号19)、CTGRGDSPAC(配列番号20)及びFNcc(配列番号9)から;及び好ましくは、FNcc、GRKRK、IKVAV、RGD及びCTGRGDSPACから、より好ましくは、FNcc及びCTGRGDSPACから選択される細胞結合モチーフなどの細胞結合モチーフを含み;
    FNccが、C112RGDX3452であり;
    1、X2、X3、X4及びX5の各々は、システイン以外の天然アミノ酸残基から独立して選択され;C1及びC2は、ジスルフィド結合により結合している、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. (i)真核細胞を培養するための足場材料;及び(ii)該足場材料と統合して増殖する真核細胞;を含む細胞培養製品の製造方法であって、
    (a)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水溶液を設けること、ここで、前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;
    (b)前記真核細胞のサンプルと前記絹タンパク質との水性混合物を調製すること、ここで、前記絹タンパク質は水性混合物中に溶解したままである;及び
    (c)前記絹タンパク質を前記真核細胞の存在下で水不溶性マクロ構造物へと集合させ、それにより前記真核細胞を培養するための足場材料を形成させること、
    を含む、前記方法。
  9. 前記マクロ構造物が請求項2における定義の通りであり;及び/又は
    前記真核細胞が請求項3における定義の通りであり;及び/又は
    前記絹タンパク質が請求項4〜7のいずれか一項における定義の通りである、
    請求項8に記載の細胞培養製品の製造方法。
  10. (i)水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の水不溶性マクロ構造物である真核細胞を培養するための足場材料、ここで前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む;及び(ii)前記足場材料と統合して増殖する真核細胞を含む細胞培養製品。
  11. 請求項8〜9のいずれか一項に記載の方法により取得可能である又は取得される、請求項10に記載の細胞培養製品。
  12. 真核細胞培養のための足場材料の形成における、前記細胞の存在下での、水不溶性マクロ構造物へと集合することができる絹タンパク質の使用であって、前記足場材料が前記絹タンパク質の水不溶性マクロ構造物であり;前記絹タンパク質は場合により細胞結合モチーフを含む、前記使用。
  13. 前記マクロ構造物が請求項2における定義の通りであり;及び/又は
    前記真核細胞が請求項3における定義の通りであり;及び/又は
    前記絹タンパク質が請求項4〜7のいずれか一項における定義の通りである、
    請求項12に記載の使用。
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