詳細な説明
これより添付の図を参照しながら本発明の特定の実施形態を詳しく説明する。一貫性を確保するため、様々な図の中で同様の要素は同様の参照番号で示されている。本発明を十分に理解するため、本発明の実施形態の以降の詳細な説明には数多くの具体的詳細が記載されている。ただし、これらの具体的詳細がなくとも本発明を実践できることは当業者にとって明白となるであろう。また、説明を不必要に込み入ったものにするのを避けるため、周知の事柄は詳しく説明されてない。
本願の全体を通じて、要素(すなわち本願における何らかの名詞)の形容詞として序数(例えば第1、第2、第3、その他)が使われている場合がある。「前」、「後」、「単一」などの用語を用いて明確に表明されている場合を除き、序数の使用はそれらの要素の特定の順序を示唆するものでも作るものでもなく、要素をただ1つの要素に限定するものでもない。むしろ、序数の使用は要素を区別するものである。一例として、第1の要素は第2の要素と異なり、第1の要素は複数の要素を含むことがあり、要素の順序の中で第2の要素に後続(または先行)することがある。
図1A〜32Bの以降の説明において、本発明の様々な実施形態で、ある1つの図に関して説明されるコンポーネントは、他の図に関して説明される1つ以上の同様の名前のコンポーネントと同等である場合がある。簡潔にするため、これらのコンポーネントの説明はそれぞれの図に関して繰り返されない。したがって、各図のコンポーネントの全ての実施形態は参照により組み込まれ、1つ以上の同様の名前のコンポーネントを有する他の全ての図の中に任意に存在すると想定される。加えて、本発明の様々な実施形態によると、ある1つの図のコンポーネントの説明は、他のいずれかの図で対応する同様の名前のコンポーネントに関して説明される実施形態に加えて、または当該実施形態と共に、または当該実施形態の代わりに、実施できる任意の実施形態と解釈すべきものである。
全般的に、本発明の実施形態は複数のインタラクティブデバイスにまたがってコンテントを伝播する方法に関する。より具体的に述べると、本発明の1つ以上の実施形態は、1つ以上のデバイスでコンテントを更新するため、ユーザ入力を解釈することに関する。タッチスクリーン手ジェスチャ、デジタルペンジェスチャ、および/またはユーザインターフェース(UI)制御コンポーネントの直接操作の形をとるユーザ入力は、種々の更新およびコンテント伝播オプションをトリガーできる。
本開示の実施形態で使われるインタラクティブデバイスは、例えばeフリップチャート装置、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、インタラクティブホワイトボード、ゲーム機、電子ブックリーダー、コンピュータ一体型モニタ、スマートテレビジョン、またはコンテントを表示する表示エリアまたは画面を有する他の何らかのインタラクティブコンピューティングデバイスを含み得る。
以降の説明で、図1〜10は、本発明の実施形態によるインタラクティブデバイスの一形態を、すなわちeフリップチャート装置を、説明する。本発明は、これ以降図1〜10で説明するeフリップチャート装置であるインタラクティブデバイスのみを含む限定されたワークスペースではない。図11〜20Bは、本発明の1つ以上の実施形態でマルチデバイスワークスペースの中にある複数インタラクティブデバイスの相互作用を対象としている。図21A〜32Bは、本発明の1つ以上の実施形態に従ってマルチデバイスワークスペースでコンテントを表示し、デバイス間でコンテントを伝播することを対象としている。
図1〜10を参照し、本発明の1つ以上の実施形態は、電子フリップチャート(これ以降「eフリップチャート」と称す)のための方法および装置を対象とする。eフリップチャートには反射ディスプレイが組み込まれている。本明細書の実施形態で説明されるeフリップチャートは、常時「オン」であると、すなわち使用可能であると、説明される方式で実装されてよく、eフリップチャートに描かれる内容を、または書かれる内容を、記録する能力を含む。本発明の1つ以上の実施形態において、eフリップチャートは、複数形態の入力を、例えばタッチ入力、デジタルマーカ入力、ネットワーク入力、その他を、受け付けるように構成される(例えば図6を参照されたい)。
図1は本発明の1つ以上の実施形態によるeフリップチャートの装置(eフリップチャート装置とも呼ばれる)の概略図を示している。図1はコンポーネントの一構成を示しているが、本発明の範囲から逸脱することなく別の構成を使用することもできる。例えば、様々なコンポーネントが組み合わされて単一のコンポーネントが形成されてよい。別の一例として、単一のコンポーネントによって遂行される機能は2つ以上のコンポーネントによって遂行されてもよい。
図1を参照し、本発明の1つ以上の実施形態によると、装置(100)は、特定の機能を各々有する1つ以上のハードウェア要素を含んでよい。eフリップチャート装置の主要構造はバックパネル(120)とフロントフレーム(102)との間で形成される。本発明の1つ以上の実施形態において、フロントフレームは透明、不透明、または半透明材であり、コンテントを表示できるアクティブエリアを含む。本発明の1つ以上の実施形態において、バックパネル(120)は、固い材料でできた、例えばプラスチックや金属でできた、剛性の機械的支持構造である。バックパネル(120)とフロントフレーム(102)の間には低電力反射ディスプレイ(106)がある。本発明の一実施形態において、反射ディスプレイ(106)は、反射を通じて周囲光を利用してコンテントを提示する出力デバイスとみなすことができる。例えば、反射ディスプレイ(106)は、遅いリフレッシュレート、単色カラーリング(例えば白黒、またはグレースケールシェーディング)、および低コントラストデフィニションの提示をホストできる。ただし、他方で、反射ディスプレイ(106)は特徴を、すなわち(i)非常に低い電力消費量、(ii)屋外での太陽光のもとでのコンテントの信頼性、および(iii)ユーザの目の負担軽減、のいずれか1つ以上を有してもよい。よって、本発明の一実施形態では、単色のテキストや静止画像などの基本的静止デジタルメディアを提示のため反射ディスプレイ(106)へ送ることができる。反射ディスプレイの例は、反射液晶ディスプレイ(LCD)、双安定または電気泳動ディスプレイ(例えば、電子ペーパーおよび/または電子インクディスプレイ)、エレクトロクロミックディスプレイ、エレクトロウェッティングまたはエレクトロフルイディックディスプレイ、干渉変調ディスプレイ(例えば反射光の干渉によって色を作る技術)、電気機械変調ディスプレイ(例えばフラップディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス)を含み、ただしこれらに限定されない。
本発明の1つ以上の実施形態において、eフリップチャート装置の反射ディスプレイ(106)の少なくとも1部分は双安定であってよい。本発明の一実施形態において、反射ディスプレイは米国特許第5,930,026号で説明されている反射ディスプレイドに相当してよい。本発明は上述した特許で説明されている反射ディスプレイに限定されない。
図1の説明を継続し、反射ディスプレイ(106)の前には少なくとも1つのタッチ部分を有する層(104)があり、これは透明な剛性または半剛性板であってよく、または赤外線または光検知技術などのエッジセンサを使用するフレームであってよい。別の一実施形態において、少なくとも1つのタッチ部分を有する層(104)は容量膜層であってよい。1つ以上の実施形態において、少なくとも1つのタッチ部分を有する層(104)は反射ディスプレイの一部分のみを覆ってよく、反射ディスプレイ(106)の残りの表面部分は非タッチ感応材で覆われ、非タッチ感応材は明澄、不透明、半透明、透明および/または非透明であってもなくてもよい。反射ディスプレイ(106)の後ろには任意の電磁層(110)があり、これは電磁板であってよい。電磁層(110)と少なくとも1つのタッチ部分を有する層(104)を組み合わせることによって少なくともタッチ入力のためのデュアルシステムが得られる。1つ以上の実施形態において、タッチ入力は、指、および/またはデジタルマーカまたはデジタイザによるタッチを含み得る。
本発明の1つ以上の実施形態において、電磁層(110)は、デジタルマーカまたはデジタイザ(例えば図2A〜3Cを参照されたい)を使ってeフリップチャートに入力を提供する場合に、デジタルマーカまたはデジタイザを検出できる電磁場を生成するように構成される。電磁層(110)はワイヤー(図示せず)を含み、これにより電磁層(110)は入力信号を伝送し検出することができる。本発明の1つ以上の実施形態において、電磁板(110)は、タッチ入力の指定部分によって生じる、例えばデジタルマーカの先端によって生じる、および/または1つ以上の指によってかかる圧力によって生じる、圧力を、または電磁場の変化を、検出することによって、eフリップチャート上でのタッチ入力(上述)の位置を判断するように構成される。
本発明の1つ以上の実施形態において、フロントフレーム(102)は、アクティブディスプレイを備えるアクティブエリアまたは領域と、アクティブ入力方法とを含み、アクティブ入力方法は、少なくとも2つの入力能力を、すなわちデジタルマーカまたはデジタイザを検出する能力と、1つ以上の指タッチポイントからタッチ入力を受け付ける能力とを含む。さらに、装置(100)は検出される入力のタイプに反応するように構成される(例えば図6を参照されたい)。例えば、デジタルマーカ入力が検出されると反射ディスプレイに線が描かれてよく、同じエリアに指で触れると表示エリアがパンまたはズームされてよい。
図1を継続し、コントローラ(114)は、eフリップチャートの全体的動作を制御するため、ハードウェアとソフトウェア/ファームウェアを含む。より具体的に述べると、コントローラ(114)は、1つ以上のプロセッサ(CPU)、パーシステントストレージ、および/または揮発性メモリを含んでよい。パーシステントストレージは、例えば磁気式ストレージ、光学式ストレージ、ソリッドステートストレージ(例えばNANDフラッシュ、NORフラッシュ、その他)、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。揮発性メモリは、RAM、DRAM、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。本発明の1つ以上の実施形態において、パーシステントストレージおよび/または揮発性メモリの全部または一部は取り外し可能であってよい。1つ以上の実施形態において、パーシステントストレージは、eフリップチャートの操作を実行するソフトウェア命令を含んでよい。具体的に述べると、パーシステントストレージは、eフリップチャートの操作のためのソフトウェアおよび/またはファームウェアを保管するように構成されてよい。本発明の1つ以上の実施形態において、コントローラ(114)の内蔵CPU/プロセッサはオペレーティングシステムとソフトウェアを実行してよく、ソフトウェアはeフリップチャート機能を実現する。
コントローラ(その中にあるコンポーネントを含む)(114)は電池および/または電源装置(112)によって給電される。1つ以上の実施形態において、コントローラ(114)は入力信号を検出して処理するように構成される。例えば、少なくとも1つのタッチ部分を有する層(104)に物が触れると、入力タイプを検出して入力を処理するため、コントローラ(114)へ信号が送信される。さらに、コントローラは、eフリップチャート(100)上でそのような行為が行われた後に、例えばパーシステントストレージおよび/または揮発性メモリに、(タッチ入力またはデジタルマーカの形をとる)ストロークを保管するように構成される(例えば図6を参照されたい)。換言すると、コントローラ(114)は、eフリップチャート装置(100)のフロントフレーム(102)のアクティブエリアで発生する各ストロークまたは行為を保管するように構成される。本発明の1つ以上の実施形態において、コントローラ(114)は図6〜8に示され説明される方法を実現する機能を含む。さらに、コントローラ(114)はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして説明されているが、コントローラは、本発明の範囲から逸脱することなく、ハードウェアの中で全面的に実装されてもよい。
本発明の一実施形態において、eフリップチャートは1つ以上の外部通信インターフェース(116)を含んでよい。通信インターフェースはeフリップチャートが外部のコンポーネントと連絡することを可能にする。通信インターフェースは何らかの通信プロトコルを、例えばBluetooth(登録商標)、IEEE 802.11、USB、その他を、実装してよい。本発明は前述した通信プロトコルに限定されない。
本発明の1つ以上の実施形態において、図1の装置(100)は、画面リフレッシュがあって新たな情報が表示されるときにだけ、またはユーザが装置で情報を描いたり入力したりするときにだけ、電池/電源装置(112)から電力を引き出す、低電力反射デバイスである。換言すると、装置(100)が「常時オン」で入力を検出する準備が整っているモードにあるとき、装置は低電力状態にある。装置(100)によって、フロントフレーム(102)のアクティブエリアで入力が検出されると、eフリップチャート装置は、低電力状態からアクティブ状態に変わり、なおかつ図6および8で説明される方法を遂行するように構成される。
本発明の1つ以上の実施形態において、eフリップチャート装置のコンポーネントの一部または全部が働き、ペン、タッチ、キーボード、およびLAN入力を受け付け、アプリケーションを処理し、および/またはデータ(および/またはメタデータ)をメモリに保存しているときに、eフリップチャート装置はアクティブ状態にあるとみなすことができる。アクティブ状態でeフリップチャート装置のコンポーネントはコントローラ(114)からエネルギーを引き出している。対照的に、(少なくとも所定の期間にわたり)ペン、タッチ、キーボード、またはLAN入力が検出されず、ただし装置がそこに表示された最後のコンテントを引き続き表示しているときに(またはコンテントを表示していないときに)、eフリップチャート装置は低電力状態(またはレディーモード)にあるとみなすことができる。レディーモードでCPUプロセスは最小限に抑えられ、指およびペン入力の走査速度は遅延され、eフリップチャート装置のコンポーネントの総電力消費量は、例えば少なくとも50%低減される。電力消費量は本発明から逸脱することなく別の量で低減されてよい。例えば、レディーモードでは電池とコントローラだけが電力を引き出してよく、eフリップチャート装置の総電力消費量はアクティブモードになっているeフリップチャート装置の電力消費量に比べて40%まで減る。eフリップチャート装置のコンポーネントに提供される電力量と入力をポーリングする頻度の管理はコントローラ(114)によって行われる。具体的に述べると、コントローラ(114)は、eフリップチャート装置がレディーモードになっているか、それともアクティブモードになっているかに基づいて、eフリップチャート装置の様々なコンポーネントの状態を制御するように構成されたエネルギー管理プロセスを含んでよい。
eフリップチャート装置の2つの状態を対比すると、本発明の1つ以上の実施形態では、反射ディスプレイがレディーモードになっているときに、入力のポーリングが低頻度で行なわれ、例えば装置は入力を毎秒2〜10回走査してよい。ただし、ひとたび装置によって入力が検出されると、装置はアクティブ状態に遷移してよく、反射ディスプレイ上で発生するかもしれない入力をすべてキャプチャするため、ポーリングをより高い頻度に、例えば毎秒60〜120回に、増やしてよい。本発明から逸脱することなく、アクティブ状態および/またはレディーモードで別のポーリング頻度が使われてもよい。
本発明の一実施形態において、「低電力状態」という用語は、この状態にあるeフリップチャート装置の電力消費量がアクティブ状態にあるeフリップチャート装置の電力消費量より比較的低い(または未満である)ことを伝える。
図1に示されていないが、eフリップチャート装置はある種の入力を、例えばジェスチャ解釈を、検出するカメラを含んでよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、eフリップチャートはユーザがeプレゼンテーションを作成、修正、保管、および共有することを可能にするように構成される。eプレゼンテーションは後ほど図4で説明する。
本発明の1つ以上の実施形態において、図1の装置(100)は対角線が約42インチで縦横比が3:4である。eフリップチャート装置のサイズは通常の紙式フリップチャートのそれに似せて設計されているが、図1の反射ディスプレイ装置の寸法とサイズは本発明の範囲を逸脱することなく変えてよいことを、当業者は理解するであろう。例えば、さらなる寸法は、パーソナルなサイズのフリップチャートで32”縦横比4:3、より大きい共同作業面で55”または60”を含む。対角線80”縦横比9:16など、役に立たない高さは加えず、より有用な幅を得るため、さらに大きい表面で縦横比を変えてもよい。
図1は一連のコンポーネントが特定のやり方で構成されたeフリップチャートを説明しているが、eフリップチャートの様々なコンポーネントの位置が、具体的には反射ディスプレイ(106)、少なくとも1つのタッチ部分を有する層(104)、および任意の電磁層(110)の位置が、本発明から逸脱することなく、異なる順序で配置されてよいことを、当業者は理解するであろう。
図2A〜2Cは、図1で上述したeフリップチャート装置で検出できる入力の一種として使用できるデジタルマーカまたはデジタイザのハードウェアを示している。具体的に述べると、図2A〜2Cは円筒(210)の形をとるデジタルマーカの上面図を示している。デジタルマーカの上部は電子消しゴム(202)と少なくとも1つのボタン(206)とを有する。本発明の1つ以上の実施形態において、ボタン(206)はソフトウェアでプログラム可能であり、押されたときに、または別のやり方で作動されたときに、eフリップチャートへ1つ以上の信号を送信するように構成される。例えば、ボタン(206)が押されると、または別のやり方で作動されると、ボタン(206)は無線信号を送信してよく、この無線信号はeフリップチャートによって検出される。当業者は、ボタン(206)が隠されてよいこと、あるいは電子消しゴム(202)に組み込まれてよいことを理解するであろう。さらに、図2A〜2Cではただ1つのボタンが示されているが、デジタルマーカは2つ以上のボタンを含んでよく、それぞれのボタンは個別にプログラム可能である。1つ以上の実施形態において、電子消しゴム(202)がeフリップチャートに接触すると、eフリップチャートは、反射ディスプレイの対応する場所からコンテントを削除するように、または別のやり方で消去するように、構成される。言い換えると、電子消しゴム(202)は伝統的な消しゴムの働きを模倣する。
図2Bはデジタルマーカまたはデジタイザの異なる向き(すなわち側面図、円筒はゼロ度回転)を示しており、ここでボタン(206)は電子消しゴム(202)の下部ではなく電子消しゴム(202)の側部にある。図2Cはデジタルマーカの別の上面図を示しており、ここで円筒は90度回転されている。図2Cでボタン(図示せず)は視界から隠されている。
図3A〜3Cは本発明の1つ以上の実施形態によるデジタルマーカまたはデジタイザの側面図を示している。図3A〜3Cでは円筒(210)形のデジタルマーカの全長を見ることができる。図3Aでデジタルマーカの上端には電子消しゴム(202)が示されている。加えて、円筒(210)の下端にはデジタルマーカまたはデジタイザの先端(204)が示されている。先端(204)の材料は、先端(204)が書く表面上で容易く摺動するものを選んでよい。先端(204)の材料は、高密度ポリオキシエチレン、硬質フェルト、エラストマー、ポリオキシメチレン、ポリアセタール、またはポリオキシエチレンを含み得、ただしこれらに限定されない。本発明から逸脱することなく、他の材料が使われてもよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、デジタルマーカの先端(204)は、eフリップチャート装置のフロントフレーム(102)のアクティブエリアに直接描くまたは書くために使われてよい。図3Bでは、デジタルマーカの円筒(210)の側部にボタン(206)が示されている。図3Cでは、デジタルマーカの先端(204)が図3A〜3Bの先端と比べてより細くより尖っているものとして示されている。デジタルマーカの先端(204)はハードウェアコンポーネントであり、交換可能であってよく、鉛筆、ペン、マーカ、スタイラス、または様々な幅と尖鋭度とを有する他の何らかの適当な筆記具を模倣するように設計されてよいことを、当業者は理解するであろう。図3Cでボタンは示されていない。
図3A〜3Cはデジタルマーカの円筒形を示しているが、本発明の範囲から逸脱することなく、デジタルマーカの形が別の形状をとってよいことを、当業者は理解するであろう。
上述したように、eフリップチャートのユーザはeプレゼンテーションを作成、表示、保管、修正、および共有できる。それぞれのeプレゼンテーションは順番に並べられた1つ以上のページを含む。コントローラはeプレゼンテーションの保守に必要な情報を保管し、後述するようにユーザがeプレゼンテーションとやり取りすることを可能にするための機能を含む。図4には例示的なeプレゼンテーションが示されている。
図4は本発明の1つ以上の実施形態によるeプレゼンテーション(400)を示している。eプレゼンテーションは1つ以上のページ(402、404、406、408)を含んでよく、それぞれのページはeフリップチャートの電子ページに相当する。eプレゼンテーション(400)の各ページはeフリップチャート装置に表示されるコンテントに対応している。本発明の1つ以上の実施形態において、図4に示されたeプレゼンテーション(400)は、eフリップチャート装置のメモリまたはパーシステントストレージ、eプレゼンテーションがバックアップされるクラウドコンピューティング環境、またはこれらの任意の組み合わせに、保管されてよい。例えば、eプレゼンテーションはパーシステントストレージに保管されてよく、クラウド環境でミラーリングされてよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、eページ(402、404、406、408)はeプレゼンテーションの投入時にリアルタイムでリンクされる。ページ間のリンクは図4に示された双方向の矢印で表されている。具体的に述べると、図5にはeプレゼンテーションのページ間リンクとeプレゼンテーションに関連する様々な情報を追跡するために保管されるメタデータが示されている。
具体的に述べると、図5でそれぞれのeプレゼンテーション(500)には任意のオーナー(502)が結び付けられてよい。本発明の1つ以上の実施形態において、オーナー(502)はeプレゼンテーションが最初に作成されたところのエンティティまたはデバイスであってよい。この場合、オーナー(502)は、eプレゼンテーションが作成されたところのデバイスを識別するデバイスIDで表されてよい。例えば、eプレゼンテーション(500)がeフリップチャート装置で作成されるなら、オーナー(502)フィールドにはeフリップチャートのローカルIDが入ってよい。代わりに、オーナー(502)は個人であってもよく、あるいは個人からなるグループであってもよい。この場合、オーナー(502)は1つ以上のユーザIDによって表されてよい。1つ以上の実施形態において、図示されてないが、eプレゼンテーションは、プレゼンテーション全体に、またはeプレゼンテーションの各ページに、結び付けられた許可を有してもよい。具体的に述べると、eプレゼンテーション(500)のオーナー(502)によって、あるいはeプレゼンテーションのオーナーに指定されたeフリップチャートまたはその他デバイスのユーザによって、eプレゼンテーションを読む/見る/編集する許可が与えられてよい。
加えて、上の図4に示されているように、eプレゼンテーション(500)は1つ以上のページ(例えばページ1(504)、ページN(506))から構成されてよい。さらに、それぞれのページ(504、506)にはコンテント(データ)とメタデータが付いている。例えば、図5に示されているように、ページ(504)は、ページID(508)と、状態(510)と、ディスプレイID(512)と、順序情報(514)とを有する。ページID(508)はeプレゼンテーションの中でそのページを一意に識別する。ページID(508)は、数字、アルファベット、記号、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。本発明の一実施形態において、それぞれのページには状態(510)が結び付けられてよい。かかる実施形態において、ページ(504)の状態(510)は、アクティブ状態または非アクティブ状態であってよく、ただしこれらに限定されない。アクティブ状態は、eフリップチャートにより、または別のデバイスにより、ページ(504)が現在表示されていることを、あるいは書き込まれていることを、意味する(例えば図10を参照されたい)。非アクティブ状態は、ページ(504)がeプレゼンテーションの一部であるが、現在表示されている、または書き込まれている、ページではないことを意味する(つまりページは表示されていない)。本発明の範囲から逸脱することなく、ページには別の状態が結び付けられてもよく、例えば、ページがオフラインで編集されている編集状態が結び付けられてよいこと、またはページがeプレゼンテーションにリンクされているがオフラインであるかパーシステントメモリに保管されているオフライン状態が結び付けられてよいことを、当業者は理解するであろう。
本発明の一実施形態において、それぞれのページにはディスプレイID(512)が結び付けられてよい。かかる実施形態において、ディスプレイID(512)はページ(504)をディスプレイデバイスに結び付ける。例えば、ページ(504)がeフリップチャートで表示されるシナリオでは、ディスプレイIDはeフリップチャートのIDであってよい。代替実施形態において、ページ(504)はeフリップチャート上で現在修正されているeプレゼンテーションにリンクされているが、そのeプレゼンテーションのアクティブページではないと仮定する。この場合、ページ(504)はネットワークを介して第2のデバイスと共有でき、第2のデバイスのオーナーはページ(504)を編集できる(例えば図9A〜9、10を参照されたい)。このシナリオで、ページ(504)のディスプレイID(512)はページ(504)の編集が行われている第2のデバイスのIDとなる。したがって、eプレゼンテーションにリンクされたページ(504)のディスプレイID(512)はいつでも変わることができる。1つ以上の実施形態では、複数のディスプレイID(512)があってよく、それぞれのディスプレイID(512)はページ(504)を現在見ているデバイスに対応する。さらに、1つ以上の実施形態において、ディスプレイIDは、ページの状態がアクティブであるときにだけ割り当てることができる。ページの状態が非アクティブであるときに、eプレゼンテーションのデータ構造でディスプレイIDフィールドはヌルであってよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、ページ(504)の順序情報(514)は、ページ(504)をeプレゼンテーションの中にある別のページに特定の順序でリンクし、eプレゼンテーションのページがどのようにして横断され得るかを指示する。具体的に述べると、eフリップチャート装置は通常の紙式フリップチャート装置の使用を模倣しており、紙式フリップチャート装置では、フリップチャート装置で現在のページをめくることによって新たなページが得られる。通常のフリップチャート装置ではページを順番にめくるため、ページをスキップしてeプレゼンテーションの特定のページを得ることはできない。同様に、eフリップチャート装置の場合、eプレゼンテーションの各ページ(504)は、eプレゼンテーションの中でページ(504)に先行する少なくとも1つのページとページ(504)に後続する少なくとも1つのページとへリンクされてよい。本発明の1つ以上の実施形態において、順序情報(514)は少なくともページ(504)に先行するページとページ(504)に後続するページのページIDを含んでよい。本発明の範囲から逸脱することなく、コントローラがばらばらの順序でページにスキップすることを助長できることを当業者は理解するであろう。
本発明の1つ以上の実施形態において、図5に示されているように、eプレゼンテーションに結び付けられたメタデータは、eプレゼンテーションが作成され修正されるときにデータ構造に投入され保管される。その後、データ構造はeフリップチャート装置のパーシステントストレージに保管されるか、クラウドコンピューティング環境に保管される。データ構造が投入される具体的例は図8で後述する。
図6は本発明の1つ以上の実施形態によるフローチャートを示している。このフローチャートでは様々なステップが順次に提示され説明されているが、本開示の恩恵に浴する当業者なら、これらのステップの一部または全部を異なる順序で実行してよいこと、組み合わせてよいこと、省いてよいこと、これらのステップの一部または全部を並行して実行してよいことを理解するであろう。さらに、これらのステップは能動的に遂行されてよく、あるいは受動的に遂行されてもよい。例えば、本発明の1つ以上の実施形態によると、いくつかのステップはポーリングを用いて遂行されてよく、あるいは割り込み駆動されてよい。
ステップ602で、eフリップチャート装置はディスプレイレディーモードにある。上述したように、eフリップチャート装置は常時「オン」であってよく、ユーザが装置に歩み寄るとき、または装置によって検出される(ステップ604)別のタイプの入力を提供するとき、使用する準備ができていてよい。具体的に述べると、レディーモード(または基本状態)にあるeフリップチャート装置は低い頻度または入力走査速度で入力をポーリングする。このモードでeフリップチャート装置の表示エリアは、表示エリアが前回完全にアクティブだったときの画像を含んでよい。入力が検出されると、装置はレディーモードからアクティブ状態に状態を変える。例えば、本発明の1つ以上の実施形態において、電磁板によって入力が感知されるとコントローラCPUへ信号が送信され、コントローラCPUはエネルギー管理ソフトウェアを実行しており、コンポーネントの一部または全部を「覚醒」させ、それらを「アクティブモード」にする。信号がGUIで検出されるとき、タッチ入力で検出されるとき、あるいは「wake up on LAN」入力で検出されるときも、同じプロセスが出来する。
ステップ604でeフリップチャート装置によって検出される入力は、Bluetooth信号、無線周波信号、または他の無線ネットワーク信号など、ボタンの押下によって提供される無線入力であってよく、デジタルマーカ入力、タッチ入力、ジェスチャ入力、または他の何らかの適当なタイプの入力であってもよい。検出される入力のタイプに基づいて、特定のアクションがeフリップチャート装置によって遂行されてよい。このように、入力が検出されると、その入力がタッチ入力であるかジェスチャ入力であるかを判断する(ステップ606)。検出される入力がユーザジェスチャである場合、eフリップチャート装置は、ジェスチャ検出を遂行するように、またはユーザインターフェース(UI)コンポーネントを稼働させるように、構成されてよい(ステップ608)。それ以外の入力タイプの場合は、eフリップチャート装置によってしかるべきアクションが遂行される(ステップ610)。例えば、検出される入力がタッチ入力でもジェスチャ入力でもなく、無線信号である場合は、例えばデジタルマーカでのボタン押下である場合は、対応する外部イベントが作動されてよい(ステップ610)。例えば、入力がBluetooth信号である場合、ステップ610でeフリップチャート装置は、周辺デバイスを、または外部のBluetooth受信器を、作動させるように構成されてよい。外部イベント入力は、本発明の1つ以上の実施形態において、eフリップチャート装置の近くで1人以上の人の存在を検出する近接センサ、運動センサ、特定のデシベル閾値などを上回る音を検出するサウンドセンサであってもよい。例えば、近接センサは超音波センサまたは赤外線センサを含み得る。本発明のさらに別の一実施形態において、検出される入力がデジタルマーカまたはデジタイザを使ったペンストロークである場合、eフリップチャート装置は、デジタルマーカ先端の経路を検出し、なおかつその動きを模擬インクストロークの表示に変換するように構成されてよい(ステップ612)。したがって、eフリップチャートによって遂行される特定のアクションは受け取る入力のタイプに応じて変わり得る。
検出入力がジェスチャまたはタッチ入力である場合、作動されるコンポーネントは表示エリアでデータを表示してよく、ページをめくってよく、表示されたコンテントを拡大してよく、あるいはタッチジェスチャ入力に応じて他の何らかの適当なアクションを遂行してよい。本発明の1つ以上の実施形態において、eフリップチャート装置は入力の検出に応じてアクションを遂行した後に「レディーモード」の基本状態に戻る。1つ以上の実施形態において、eフリップチャート装置はこのモードで、装置の双安定反射ディスプレイコンポーネントで電力を使用せず、画像を表示し続ける。遂行されてよいアクションのタイプの例は図7A〜7Eで後述する。
具体的に述べると、本発明の1つ以上の実施形態において、図7Aはeフリップチャート装置のフロントフレーム(102)例を示している。フロントフレーム(102)は画面に似ており、少なくとも2種類の入力を、すなわちタッチとデジタルマーカを、受け付けることができるエリアを有する。例えば少なくとも1つのタッチ部分を有する層(104)の表示エリアまたはアクティブ領域で、前述したタイプの入力のいずれか一方が検出されると、eプレゼンテーション(700)が作成され、表示される。具体的に述べると、ユーザがレディーモードのeフリップチャート装置に歩み寄り、入力を提供すると、eプレゼンテーション(700)が作成される。eプレゼンテーションの作成は図5に示されたデータとメタデータを生成することと投入することとを含んでよい。図7Aで表示エリアはブランクである。図7Bには、eフリップチャート装置のアクティブエリアにおけるデジタルマーカ(210)を用いた筆記入力(702)の例が示されている。具体的に述べると、図7Bでデジタルマーカまたはデジタイザ(210)の先端がeフリップチャート装置のアクティブエリアに押し当てられると、デジタルマーカ(210)の経路が検出され、eフリップチャート装置のソフトウェアによって模擬インクストローク(702)に変換され、模擬インクストローク(702)はeプレゼンテーション(700)の最初のページに表示される。図7Cは、eフリップチャート装置の反射ディスプレイコンポーネントによる電力消費がなく、eフリップチャート装置で表示されたストローク画像が維持される少なくとも1つの実施形態を示している。本発明の1つ以上の実施形態において、反射ディスプレイはeフリップチャートに対する入力から得られる最新の情報を表示し、コントローラによって新たな入力が受け取られるまでは変化しない。
図7Dではeフリップチャート装置によってタッチ入力(704)が検出される。図示された例で、ユーザは表示画面(706)に触れ、1つ以上の実施形態において、自身の指を上に動かし(上向きの矢印により指示)、その結果、現在のページ(708)がめくれてeプレゼンテーション(700)の新たなページが始まる。図7Dの例に示されたタッチディスプレイに加えて、またはタッチディスプレイの代わりに、ジェスチャ入力を用いてページをめくることもできることを当業者は理解するであろう。例えば、カメラによって検出でき、ページめくりとして解釈される視覚的ジェスチャ(例えば、eフリップチャートに触れずに特定の経路をたどる手の動き)により、ソフトウェアはめくるジェスチャをページめくりアクションとして解釈してよい。ページめくりアクションによって現在のページからeプレゼンテーションの別のページへ移行する。図7Eではeフリップチャート装置の画面にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)(710)が表示されている。GUI(710)は、デジタルマーカのボタンの押下により、ジェスチャにより、または他の何らかの指定入力により、呼び出されてよい。本発明の1つ以上の実施形態において、GUI(710)は、例えば双方向通信チャネルによってクラウドサーバへ接続された二次画面上のメニューから呼び出されてもよい。1つ以上の実施形態において、GUI(710)は、例えばeプレゼンテーションの現在のページを共有する、消しゴムを選択する、表示されているラインストロークのフォント、スタイル、または色を変更するなど、特定の機能を選択したり、選択されたアクションを遂行したりするために使われてよい。
図7Fは図を有するeプレゼンテーションの一例を示している。本発明の1つ以上の実施形態では、図7Fに示されているように、eフリップチャート装置は、eプレゼンテーションの作成にあたってユーザを支援するため、鉛筆スケルトン画像(712)を表示してよい。鉛筆スケルトンは薄い画像を提供してよく、ユーザは後ほど薄い鉛筆図をマーカでなぞって所定の物を描いてよい。この機能は、例えばユーザが即興でアートワークを作っているような錯覚を与えるために使われてよい。図7Fは花の鉛筆スケルトンを示しているが、鉛筆スケルトンがどんな物を描いてもよいことを、あるいはより一般的には、どんなタイプの筆記または描画支援を提供してもよいことを、当業者は理解するであろう。例えば、鉛筆スケルトンは、方眼紙やノートの紙に似た薄い水平線と垂直線の組み合わせであってもよい。
図8は本発明の1つ以上の実施形態によるフローチャートを示している。具体的に述べると、図8は本発明の1つ以上の実施形態に従ってeプレゼンテーションを作成し維持するフローチャートを示している。このフローチャートでは様々なステップが順次に提示され説明されているが、本開示の恩恵に浴する当業者なら、これらのステップの一部または全部を異なる順序で実行してよいこと、組み合わせてよいこと、省いてよいこと、これらのステップの一部または全部を並行して実行してよいことを理解するであろう。さらに、これらのステップは能動的に遂行されてよく、あるいは受動的に遂行されてもよい。例えば、本発明の1つ以上の実施形態によると、いくつかのステップはポーリングを用いて遂行されてよく、あるいは割り込み駆動されてよい。一例として、本発明の1つ以上の実施形態に従って、条件が存在することを知らせる割り込みが受け取られる場合を除き、判断ステップは命令を処理することをプロセッサに要求しなくてよい。別の一例として、本発明の1つ以上の実施形態に従って、データ値をチェックして、その値が検査条件に合致しているか否かを検査するなど、判断ステップは検査を行うことによって遂行されてよい。
ステップ800ではeプレゼンテーションが作成され、プレゼンテーションIDが付けられる。本発明の1つ以上の実施形態において、プレゼンテーションIDはeプレゼンテーションサーバによって割り当てられてよく、あるいは代わりにeフリップチャートによって生成されてよく、あるいはユーザに対する入力プロンプトに応じて提供されてよい。eプレゼンテーションサーバはネットワークを介してeフリップチャート装置へ接続されるリモートサーバであってよい。eプレゼンテーションサーバの機能と目的は図10で後述する。プレゼンテーションIDは、数値ID、アルファベットID、記号ID、またはこれらの組み合わせであってよく、eフリップチャート装置に表示されるeプレゼンテーションを一意に識別するように構成される。eプレゼンテーションは最初に作成されるときにコンテントを含んでいない場合がある。さらに、eフリップチャート装置は、ある程度の期間内にユーザ入力を受け取らない場合にレディーモードに移行してよい。本発明の一実施形態において、ステップ800はeフリップチャート装置がレディーモードかアクティブモードになっているときに遂行されてよい。
ステップ802ではレディーモードのeフリップチャート装置によって入力が検出される。装置はレディーモードになっているときに低頻度で、例えば毎秒2回、入力を走査する。上述したように、反射ディスプレイによって検出される入力は、タッチ入力、デジタルマーカ入力、近接センサ入力(例えばユーザがeフリップチャート装置に接近するとき)、ネットワーク信号、または他の何らかの適当なタイプの入力であってよい。上述したように、入力が検出されると装置はレディーモードからアクティブ状態に状態を変える。例えば、本発明の1つ以上の実施形態において、電磁板によって入力が感知されるとコントローラCPUへ信号が送信され、コントローラCPUはエネルギー管理ソフトウェアを実行しており、コンポーネントの一部または全部を「覚醒」させ、それらを「アクティブモード」にする。信号がGUIで検出されるとき、タッチ入力で検出されるとき、あるいは「wake up on LAN」入力で検出されるときも、同じプロセスが出来する。ステップ802はeフリップチャート装置がアクティブモードになっているときに遂行されてもよい。
ステップ804では受け取った入力に応じてアクションが遂行される。例えば、対応するアクションは、eフリップチャート装置の1つ以上のコンポーネントを作動させること、入力ストロークを変換して出来上がったストローク画像を表示すること、GUIを表示すること、別のデバイスと情報を共有することなどであってよい。本発明の1つ以上の実施形態において、装置の表面でデジタルマーカから入力が受け取られると、装置は様々な方法でデジタルマーカの先端の幅を特定してよい。例えば、電磁板がデジタルマーカの先端の幅を検出してよい。代わりに、少なくとも1つのタッチ部分を有する層がデジタルマーカの先端の幅を検出するように構成されてもよい。さらに別の一実施形態において、デジタルマーカは先端の幅に関する情報を含む信号を装置へ伝送してよい。本発明の1つ以上の実施形態において、受け取った入力の先端の幅に関する情報を使用し、装置は、変換されたストロークである程度の線幅を表示するように構成されてよい。
ステップ806では、eプレゼンテーションに関連するメタデータを保管するデータ構造(例えば図5に示されたもの)にページIDとディスプレイIDが投入される。加えて、ページIDを有する現在のページの状態がアクティブに変えられる。本発明の1つ以上の実施形態において、データ構造はデータが投入され、eフリップチャート装置のメモリにローカル保管されてよく、あるいは、例えばeプレゼンテーションサーバかクラウドコンピューティング環境にリモート保管されてもよい。データ構造がローカル保管される場合は、リモートサーバかクラウドコンピューティング環境でデータ構造がバックアップ(例えばミラーリング)されてよい。この段階で様々なアクションが遂行され、現在のページで筆記や描画が行われてよい。ステップ808では新たなページの表示に結び付く入力が検出されてよい。例えば、ページめくりに結び付くタッチ入力またはジェスチャ。
ステップ810では、eプレゼンテーションの一部として第2のページが作成されるときに、eプレゼンテーションで第1のページを新しい第2のページにリンクする順序情報がデータ構造に投入される。ステップ812では、eプレゼンテーションの新しいページに、第1のページIDに続く独自のページIDと、ディスプレイIDとが、割り当てられてよい。加えて、第1のページの状態は非アクティブに変えられ、現在のページの状態は、すなわち第2のページの状態は、アクティブに変えられる。ステップ814ではeフリップチャート装置によって入力が受け取られる。
ステップ816ではステップ814で受け取った入力がページめくりアクションであるかどうかを判断する。ページめくりアクションが検出される場合、方法はステップ808へ進み、データ構造には第3のページIDが投入され、第3のページへのリンクを反映するため第2のページの順序情報が更新される。このプロセスはeフリップチャート装置によってページめくりアクションが検出されるたびに繰り返されてよい。代わりに、ページめくりアクションが検出されない場合は、プロセスはステップ818へ進む。ステップ818では受け取った入力に対応するアクションが遂行される。本発明の一実施形態では、eフリップチャート装置が「オフ」にならないため、プロセスは終わらない場合がある(つまり、図8の様々なステップが繰り返される場合がある)。逆に、所定の時間内に入力が検出されなければ、eフリップチャート装置は「レディーモード」に戻り、入力を待つ(ステップ814)。
図9A〜9Eは本発明の1つ以上の実施形態による図8で上述した方法の例を示している。図9Aではeプレゼンテーションがeフリップチャート装置によって作成されるシナリオを検討する。eプレゼンテーションが作成された後に、ユーザがeフリップチャート装置に歩み寄り、ボタンを押す形で、あるいはデジタルマーカで筆記する形で、入力を提供すると仮定する。入力が検出されると、入力に結び付けられたアクションが解釈され、この例では、eプレゼンテーションの第1のページ(902)がコンテントに結び付けられる。第1のページ(902)(例えば文字が書かれているページ)はeフリップチャート装置の背景が白いアクティブエリアに表示される。この段階で、eプレゼンテーションのメタデータを保管するデータ構造(900)にメタデータが投入され始める。図9Aに示されているように、ページ1(902)のメタデータは、アクティブという状態と、1というページIDと、eフリップチャート装置を識別するディスプレイIDとを含む。eプレゼンテーションのオーナーIDもeフリップチャート装置のIDあってよく、あるいはこの例の目的ではヌルであってもよい。当業者なら単一ページのeプレゼンテーションに順序情報が存在しないことを理解するであろう。
ここで、ユーザはジェスチャをし、またはタッチ入力を提供し、eフリップチャート装置のソフトウェアがこれをページめくりアクションと解釈すると仮定する。図9Bに示されているように、第2のページがeプレゼンテーションに加えられ、データ構造(900)ではページ1(902)とページ2(904)のメタデータが更新/投入される。具体的に述べると、ページ1(902)はもはや表示されるページではなくなっているため、ページ1(902)の状態は非アクティブになる。さらに、ページ1(902)のディスプレイIDフィールドはヌルに更新される。順序の中でページ1(902)を第2のページ(904)にリンクする順序情報がページ1(902)に加えられる。ページ2(904)ではアクティブ状態が維持され、新たなページIDが割り当てられ、ディスプレイIDはeフリップチャート装置のIDに更新される。ページ2(904)がページ1(902)にリンクされていることを反映するため、ページ2(904)の順序情報が投入される。より具体的に述べると、ページ2(904)はページ1(904)の後ろに来る。ページめくりアクションが遂行される場合は順序情報が重要となる。具体的に述べると、通常の作業中はeフリップチャート装置が伝統的な紙式フリップチャートを模倣するため、ページは順番にめくらなければならない(つまり、ページめくりアクションを使用する場合は、複数のページをまとめてめくることはできるが、例えばページ2および3をめくらずにページ1からページ4にジャンプすることはできない)。
例を継続し、図9Cはeプレゼンテーションで協働するため他のオーナー/デバイスと共有されるeプレゼンテーションのメタデータを示している。図9Cでは第3のページ(906)がeプレゼンテーションに加えられる。この例で、第3のページは別のデバイス(デバイス1)と直接共有され、第2のページ(904)は引き続きeフリップチャート装置のアクティブエリアに表示される。デバイス1(図示せず)は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、またはデスクトップコンピュータ、スマート/インタラクティブホワイトボード、またはコンテントを表示でき、eフリップチャート装置や共有eプレゼンテーションサーバ(1002)に接続できる、他の何らかの適当なデバイスであってよい。さらに、デバイス1は、インターネット経由など、有線または無線であってよいポイント・ツー・ポイントまたはネットワーク接続を経由してeフリップチャート装置に接続されてよく、あるいはクラウドサーバを経由して間接的に接続されてもよい。引き続きデータ構造(900)の内容を説明すると、第1のページ(902)は非アクティブのままであり、第2のページ(904)は、これが前のページ1(902)と後ろのページ3(906)にリンクされていることを反映するため更新されている。本発明の1つ以上の実施形態において、第3のページはeフリップチャート装置に表示されないが、別のデバイス(つまりデバイス1)に表示されているため、第3のページの状態もアクティブである。したがって、第3のページ(906)のディスプレイIDはデバイス1を識別するデバイスID 1である。
当業者なら、図9Cで上述したeプレゼンテーションのページ3(906)が現地で共有されてよいこと(同じ室内で他の者がeプレゼンテーションを見ている)、あるいは遠隔地で共有されてよいことを(ネットワーク接続を介して誰かがリモートデバイスでeプレゼンテーションを見ている)を理解するであろう。さらに、eプレゼンテーションファイル全体を保管し管理するよう構成されたサーバを通じて、あるいは直接的に、デバイス1とeフリップチャート装置とによって双方向に情報が送受信されてよい。したがって、eフリップチャート装置で作成されたeプレゼンテーションの一部分または全体は、eフリップチャート装置か共有eプレゼンテーションサーバに接続された複数のデバイスによって共有され、編集されてよい。これは、eフリップチャートが置かれている室内に物理的に存在しない対象者との協働を可能にする。
図10は本発明の1つ以上の実施形態によるeフリップチャート装置で作成されたeプレゼンテーションを共有するシステムを示している。具体的に述べると、図10は、ネットワーク(1004)を経由してeプレゼンテーション(1008)が作成されるeフリップチャート装置(1006)に接続されたeプレゼンテーションサーバ(1002)を示している。本発明の1つ以上の実施形態において、eプレゼンテーションサーバ(1002)はeプレゼンテーションを共有ファイルとして保管し管理するように構成されたリモートサーバであってよい。例えば、eプレゼンテーションサーバはクラウドコンピューティングサーバであってよく、あるいは他の何らかの適当なタイプのサーバであってよい。この場合は図10に示されているように、eプレゼンテーションサーバはeプレゼンテーション(1008)のコピーを含む。本発明の1つ以上の実施形態において、eプレゼンテーションサーバ(1002)は、eフリップチャート装置ディスプレイ(1006)でeプレゼンテーションが作成または表示されるときに、eプレゼンテーションにeプレゼンテーションIDを割り当てるように構成される。その後、eプレゼンテーションの全ページにはこのeプレゼンテーションIDが付けられる。加えて、eプレゼンテーションサーバ(1002)はeプレゼンテーションの許可を実施するように構成され、eプレゼンテーションごとに作成されるデータ構造(例えば図5を参照されたい)を保守および/またはバックアップしてよい。eプレゼンテーションサーバ(1002)は、同じeプレゼンテーションに接続された他のデバイス(例えば1007)からの複数の同時入力に基づいて共有eプレゼンテーションの同期をとるように構成されてもよい。
本発明の一実施形態において、複数のデバイスがeプレゼンテーションを同時に編集していて、ある特定のデバイスがeプレゼンテーションに変更を加える場合、当該デバイスはインクリメンタル更新をeプレゼンテーションサーバ(1002)へ送信する。更新を受信したeプレゼンテーションサーバは自身のeプレゼンテーションのコピーを更新し、(インクリメンタル更新を送信したデバイスを除く)他の全てのデバイスへインクリメンタル更新を送信する。
図10の説明を継続し、ネットワーク(1004)は、eプレゼンテーションサーバ(1002)およびeフリップチャート装置間、ならびにデバイス1(1007)およびデバイス2(1010)間で直接、双方向通信を促進するように構成された有線または無線ネットワークであってよい。上述したように、ネットワーク(1004)はインターネットまたは他の何らかの適当なネットワークであってよい。デバイス1(1007)とデバイス2(1010)は、eフリップチャート装置と同じ室内にあるローカルデバイスであってよく、あるいはeプレゼンテーションサーバ(1002)を介してeフリップチャート装置へ接続されたリモートデバイスであってもよい。デバイス1(1007)とデバイス2(1010)は、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、デスクトップPC、インタラクティブウォッチまたはブレスレットなどのウェアラブルデバイス、または他の何らかの適当なデバイスであってよい。代わりに、デバイス1(1007)とデバイス2(1010)の1つ以上はさらなるeフリップチャートであってよい。図10のシステムはユーザがeプレゼンテーションを見て協働することを可能にし、eプレゼンテーションは遠隔接続されたデバイスによってリアルタイムで更新できる。以降の例では図10のコンポーネントを用いてこのコンセプトを例証する。
デバイス1(1007)はeフリップチャート(1006)と同じ物理的位置にあり、デバイス2(1010)はリモートデバイスであると仮定する。eフリップチャート装置(1006)の司会者/ユーザは、eプレゼンテーションを編集または表示しながら、eフリップチャート装置で作成されeフリップチャート装置で提示されているeプレゼンテーションで協働し、筆記または描画の形で入力を提供することを対象者に勧めることができる。この場合、司会者/ユーザは、eプレゼンテーションを編集する許可をデバイス2(1010)に与える入力を提供できる。このようなシナリオにおいて、デバイス2(1010)はネットワーク(1004)を介してeプレゼンテーションサーバに接続し、eプレゼンテーションをダウンロードし、デバイス1(1008)およびeフリップチャート装置(1006)と共にeプレゼンテーションを編集してよい。デバイス2(1010)が編集を終了すると、eプレゼンテーションサーバはデバイス2のディスプレイIDを削除してよい。図10のシステムを用いて、eプレゼンテーションの複数のページが個別に共有されてよく、またはeプレゼンテーションの全体が共有されてよい。さらに、eフリップチャート装置の複数のページが並行して編集されてよく、eプレゼンテーションサーバは編集が完了したときにeプレゼンテーションの同期をとるように構成されてよい。
代替実施形態において、デバイス2(1010)は様々な機能のための様々なボタンを含むGUI(1012)をその画面に表示してよく、それらのボタンの1つはページめくり機能を持つボタンである。デバイス2(1010)はGUIを用いてeフリップチャート装置のアクティブエリアに表示される内容を操作できるが、実際の編集能力は有さない。デバイス2(1010)がeフリップチャートに表示されるコンテントを操作するには、eフリップチャート装置(1006)かeプレゼンテーションサーバ(1002)にデバイス2(1010)が接続されなければならない。この接続は無線であってよく、あるいは有線であってもよい。このシナリオにおいて、eプレゼンテーションのオーナーは、デバイス2に編集許可ではなく閲覧許可を与える入力を提供することによって、デバイス2(1010)にGUIを提供してよい。
eフリップチャート装置が適当な環境で使用できることを、例えば伝統的な紙式フリップチャートが通常有用となる環境で使用できることを、当業者は理解するであろう。例えば、eフリップチャート装置は会議室、教室、役員室、または他の何らかの適当な環境で使用できる。本発明の1つ以上の実施形態において、eフリップチャート装置は、ネットワーク接続などのデジタル技術を用いて外部に接続され、なおかつ装置に書かれた内容の記録書を保管するように設計される。加えて、本発明のeフリップチャート装置なら、eフリップチャート装置でプレゼンテーションを対象者に提示する前に、プレゼンテーションを作成し保管する能力が得られる。例えば、eフリップチャート装置は取り外し可能なメモリを有してよく、プレゼンテーションは取り外し可能なメモリであらかじめ作成され、保管されてよく、取り外し可能なメモリがeフリップチャート装置に取り付けられると、あらかじめ作成されたeプレゼンテーションが反射ディスプレイに表示されてよい。eフリップチャート装置を用いて作成されるeプレゼンテーションは、上述した情報を用いて保管、コピー、共有、改訂、転送、管理されてよい。また、eフリップチャート装置は反射ディスプレイを使用するため、伝統的な紙式フリップチャートの見た目と雰囲気を再現する。
上述したように、本発明は、複数のインタラクティブデバイスをリンクまたは結合してマルチデバイスワークスペースを形成することに関する。図10〜20Bは、本発明の1つ以上の実施形態に従ってマルチデバイスワークスペースを形成し使用する様々な実施形態を説明するものである。
図11Aは本発明の1つ以上の実施形態によるシステムを示している。システムは、ワークスペース管理システム(1102)と、ネットワーク(1104)を介して接続された1つ以上のデバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))とを含む。
本発明の1つ以上の実施形態において、ワークスペース管理システム(1102)は、マルチデバイスワークスペース(図示せず)に結び付けられたメタデータを追跡し管理するように構成された何らかのコンピューティングシステムであってよい(例えば図21を参照されたい)。本発明の1つ以上の実施形態において、ワークスペース管理システム(1102)はクラウドコンピューティング環境で稼働してよい。具体的に述べると、ワークスペース管理システム(1102)は(図11Bによる)ユーザ活動記録(1110)を保管するクラウドストレージを含んでよく、1つ以上のワークスペースデバイス(1112)を追跡してよく、各々のワークスペースデバイスはマルチデバイスワークスペースの一部を構成する表示エリアを有する。本発明の1つ以上の実施形態において、ワークスペース管理システム(1102)はインタラクティブデバイスの識別子を保管することによってワークスペース記録(1112)を保管してよい(それぞれのワークスペースに結び付けられたインタラクティブデバイス)。ユーザ活動記録(1110)とワークスペース記録(1112)はユーザに関係するデータを保管するデータ構造であってよい。
上述したように、マルチデバイスワークスペースの一部をなす各デバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))は、マルチデバイスワークスペースの一部分を形成する表示エリアを含み、表示エリアにはコンテントを表示できる。本発明の1つ以上の実施形態において、マルチデバイスワークスペースを形成するデバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))はインタラクティブデバイスであり、ユーザはここで入力(例えばタッチ入力、デジタルマーカまたはスタイラスによる入力、その他)を提供し、コンテントオブジェクトを見ることができる。それぞれのデバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))は、自身のCPU、メモリ、ディスプレイ、ネットワーク接続、その他のハードウェア/ソフトウェア能力を含んでよい。そのようなデバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))は、例えばスマートフォン、タブレット、デスクトップコンピュータ、ゲーム機、eフリップチャート装置(例えば図1〜10を参照されたい)、インタラクティブホワイトボード、または前述したタイプのインタラクティブデバイスに属するデバイスの任意の組み合わせを含み得る。
他の適当なインタラクティブデバイスはネットワーク(1104)へ接続する機能を備えたインタラクティブデバイスを含み、本発明から逸脱せずに使用できることを当業者は理解するであろう。よって、例えば、ワークスペースデバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))が1部屋に4台のeフリップチャート装置を含む場合は、各eフリップチャート装置の総表示エリアからなるマルチデバイスワークスペースが形成される。つまり、4台のeフリップチャート装置の合同表示エリアがマルチデバイスワークスペースとして認識され、コンテントオブジェクトを提示するために、またはコンテントオブジェクトを見るために、使用できる。同様に、ワークスペースデバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))が1台のスマートフォンと3台のインタラクティブタブレットを含む場合は、全4台のデバイスの合同表示エリアがマルチデバイスワークスペースであり、そこでコンテントオブジェクトを見る/提示することができる。
当業者なら、ただ1つのインタラクティブデバイスでマルチデバイスワークスペースが形成され得ることを理解するであろう。さらに、それぞれのワークスペースデバイスは別々の表示エリアを有するが、それぞれのワークスペースデバイスの表示エリアはより大きいマルチデバイスワークスペースの一部となり、このマルチデバイスワークスペースは、1名のユーザが全てのワークスペースデバイスにログインすると、他のワークスペースデバイスの表示エリアにリンクされることを、当業者は理解するであろう。したがって、ユーザの観点からは、別々の物理的デバイスからなるマルチデバイスワークスペースを1つの表示エリアとして見ることができる。言い換えると、ユーザは単一の表示デバイスとやり取りする場合と同様にマルチデバイスワークスペースとやり取りできる。
本発明の1つ以上の実施形態において、デバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))は、ユーザによって所有される私用デバイスであってよく(例えばユーザに所属するスマートフォン)、例えば職場、学校、または複数のユーザがデバイスにアクセスできる他の何らかの公共の場に提供された公共デバイスであってもよく、あるいは私用デバイスと公共デバイスの組み合わせであってもよい。本発明の1つ以上の実施形態において、デバイスがマルチデバイスワークスペースの一部になるためには、同じユーザが全てのデバイスにログインされてよい。
デバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))がワークスペース管理システム(1102)に接続する際に通るネットワーク(1104)は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)、モバイルネットワーク、または他の何らかの適当なタイプのネットワークであってよい。
図11Bは本発明の1つ以上の実施形態に従って図11Aのワークスペース管理システムによって保管および/または追跡できるデータを示している。より具体的に述べると、図11Bに示されているように、ワークスペース管理システムは1つ以上のユーザ活動記録(1110)(後述)を保管してよい。加えて、ワークスペース管理システムはどのデバイス(1106、1108)がワークスペース(1114)に結び付けられているかを追跡してもよい。ワークスペース記録(1112)は、各デバイス(デバイス1(1106)、デバイスN(1108))の識別子を含んでよく、あるいはマルチデバイスワークスペースを形成する(またはマルチデバイスワークスペースの一部をなす)デバイスの追跡に使用できる他の何らかの適当な情報を含んでよい。
ユーザ活動記録について述べると、本発明の1つ以上の実施形態において、ユーザ活動記録(1110)は、表、配列、リンクされたリストなど、マルチデバイスワークスペースを構成するワークスペースデバイスにログインされる一般ユーザを識別する情報を保管するように構成された何らかのデータ構造であってよい。具体的に述べると、本発明の1つ以上の実施形態において、ユーザ活動記録は、仮想カンバスID(1116)、ユーザログイン認証情報(1118)、デバイス情報(1120)、仮想カンバスの最終状態(1122)、およびユーザログイン活動のログ(1124)を保管してよい。以下、これらのデータの各々を説明する。
本発明の1つ以上の実施形態において、仮想カンバスID(1116)は仮想カンバスを一意に識別する。本発明の一実施形態において、絶対はマルチデバイスワークスペースで選択および/または表示できるコンテントオブジェクトを表す。コンテントオブジェクトはテキストおよび/または画像データを含み得る。本発明の1つ以上の実施形態において、仮想カンバスはファイルであってよく、そのファイルに結び付けられたコンテントオブジェクトはそのファイルに含まれたテキストおよび/または画像データであってよい。ファイル内の全データを含むファイル全体が仮想カンバスである。例えば、図1〜10で上述したeフリップチャート装置に表示されるeプレゼンテーションは、本明細書で仮想カンバス(1116)と呼ばれることがあるファイルである。仮想カンバスの中のコンテントオブジェクトはファイルの部分を含んでよい。例えば、コンテントオブジェクトはファイルのテキストデータの一部分であってよく、あるいはファイルに含まれた1つ以上の画像であってよい。eプレゼンテーションの例を用いると、コンテントオブジェクトはeフリップチャートプレゼンテーションのページであってよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、コンテントオブジェクトはコンテントオブジェクトグループにまとめることができる。コンテントオブジェクトグループとは要するに、マルチデバイスワークスペースにおける表示のため、グループにまとめられた、仮想カンバス(1116)の中でテキストまたは画像の形をとる、コンテントの複数部分である。例えば、仮想カンバス(1116)がページを有するeプレゼンテーションであるなら、仮想カンバスの中のコンテントオブジェクトグループの一例は、eプレゼンテーションの1つ以上のページを形成するテキストおよび/または画像データであってよい。仮想カンバスがファイルである場合、コンテントオブジェクトグループは段落、文、1つ以上の図、またはマルチデバイスワークスペースの一部分で選択され表示されることができる他のテキスト/画像データグループであってよい。コンテントオブジェクトグループの細分度が仮想カンバスのコンテントオブジェクトのタイプに左右され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、コンテントオブジェクトがページに論理的にグループ分けされるなら、コンテントオブジェクトグループは1つ以上のページであってよい。ただし、例えばコンテントオブジェクトがブレインストーミングノートであるなら、コンテントオブジェクトグループはノートの中の特定のフレーズや言葉であってよい。さらに、仮想カンバスは最初の1セットのコンテントオブジェクトグループ(例えばページ)を含む場合があるが、仮想カンバスの中のコンテントオブジェクトが再度グループ分けされる場合があることを、当業者は理解するであろう。例えば、ユーザは仮想カンバスの中で単一のページにあるコンテントオブジェクトから複数のコンテントオブジェクトグループを作ることができる。代わりに、ユーザは複数のページにまたがるコンテントオブジェクトグループを作ることができる。上記の例は本発明の範囲を制限するものではない。
図11Bの説明を継続し、本発明の一実施形態において、ユーザ活動記録(1110)に保管されるユーザログイン認証情報(1118)は、ユーザを識別するために使用できる1タイプ以上のユーザ認証情報を含み得る。例えば、ユーザログイン認証情報(1118)は、ユーザ名/パスワードのペア、生体認証データ、無線周波識別子、Bluetooth識別子、近距離通信(NFC)タグID、または他の何らかの一意な識別子、または前述したタイプのユーザログイン認証情報の任意の組み合わせであってよい。上述したように、ワークスペースデバイスがマルチデバイスワークスペースの一部になるためには、同じユーザがそれぞれのワークスペースデバイスにログインされる。ただし、それぞれのワークスペースデバイスでユーザログインの方法は異なる場合がある。例えば、ユーザは第1のワークスペースデバイスでユーザ名/パスワードのペアを使ってログインしてよく、光ラベルを使って第2のワークスペースデバイスにログインしてよい。代わりに、図12〜17で後述するように、全てのマルチワークスペースデバイスにログインするために同じログイン方法が使われてもよい。ワークスペース管理システムはユーザ活動記録(1110)でユーザ活動を追跡するため、タイプの異なる各ログインは同じユーザとして認識される。さらに、ユーザ活動記録(1110)の一部として保管されるユーザログイン活動(1124)は、ユーザがどのデバイスにログインされたかを追跡するログと、ログインが行われたときのタイムスタンプと、ワークスペースデバイスのログインに使われたログイン方法である。本発明の一実施形態において、ユーザ活動記録はユーザがデバイスに正常にログインされたかどうかだけを追跡してよく、ユーザがデバイスへのログインに使った認証情報は記録しない。
図11Bの説明を継続し、本発明の一実施形態において、デバイス情報(1120)はそれぞれのワークスペースデバイスの位置に関する情報を含んでよい。位置情報は、GPS機能が備わったワークスペースデバイスの場合は、GPS情報を用いて得られ、ユーザ活動記録に保管されてよい。位置情報は地理的な位置情報であってよい。デバイス情報(1120)として保管されるワークスペースデバイスの地理的位置は、市、建物、部屋、またな何らかの細分度の他の何らかの地理的情報であってよい。ワークスペースデバイスの位置情報は、ワークスペースデバイスへのログインに使われる二次ユーザデバイスから得られてよい。例えば、本発明の1つ以上の実施形態において、ユーザは、NFCタグで符号化された、またはBluetooth Low Energy(BLE)が装備された、パーソナルスマートフォンを使ってワークスペースデバイスにログインしてよい。この場合は、ユーザを識別してワークスペースデバイスにログインするため二次デバイスとして使われるユーザのスマートフォンによってワークスペースデバイスの位置情報が得られてよい。本発明の別の一実施形態において、ユーザがデバイスの位置を提供するよう催促されてよく、ワークスペース管理システムはこの情報をワークスペース管理システムに保管してよい。
デバイス情報はまた、デバイスのディスプレイのサイズ、ディスプレイの寸法、デバイスの向き(例えば横向き、縦向き、その他)、デバイスの表示解像度を含んでよく、ただしこれらに限定されない。
本発明の一実施形態において、ユーザ記録は(デバイスを一意に識別する)デバイスIDを含む。この場合はデバイスIDにデバイス記録(図示せず)も結び付けられ、デバイス記録はデバイスIDを使って見つけることができる。デバイス記録は上述したデバイス情報(1120)を含んでよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、仮想カンバスの最終状態(1122)はマルチデバイスワークスペースに表示されるコンテントオブジェクトの最終表示状態に相当する。換言すると、仮想カンバスの最終状態(1122)は、ユーザがマルチデバイスワークスペースを構成する1つ以上のデバイスからログアウトする直前に、複数のワークスペースデバイスまたがってマルチデバイスワークスペースから見たデータ(コンテントオブジェクト)の表示状態に相当する。このように、ワークスペース管理システムは、ユーザがデバイスからログアウトするときにユーザを識別することにより、ユーザが作業していたマルチデバイスワークスペースの最終状態を記録することができる。本発明の一実施形態において、マルチデバイスワークスペースで何もしない所定の時間が経過すると、ユーザはマルチデバイスワークスペースの1つ以上のデバイスから自動的にログアウトされてよい。
図12〜17は、ユーザが複数のワークスペースデバイスにログインしてマルチデバイスワークスペースを作る(または形成する)一例を示している。この例は本発明を制限するものではない。図12を参照し、図12では二次デバイス(1200)を使って、すなわちユーザのスマートフォンを使って、第1のデバイス(1202)にログインする。図12に示された実施形態において、ユーザはNFC能力を有する二次デバイス(1200)を使って4台のデバイスのうちの第1のデバイス(1202)にログインする。具体的に述べると、ユーザのスマートフォン(1200)はNFCタグを符号化し、第1のワークスペースデバイス(1202)は信号(1204)を発するNFC送信器/受信器を有し、信号(1204)はNFCタグの存在を検出し、これを復号化し、ユーザの認証情報をデバイス(1202)に入れる。本発明の1つ以上の実施形態において、ユーザの認証情報は、所定の期間にわたって、またはユーザがデバイスから、またはマルチデバイスワークスペースから、ログアウトするまで(またはログアウトされるまで)、一時的に第1のデバイス(1202)に入れられる。本発明の一実施形態において、ワークスペース管理システムによって第1のデバイス(1202)が特定されると、ワークスペース管理システムはこれがマルチデバイスワークスペースにおける第1のデバイスであると認識する。したがって、図13に示されているように、第1のデバイス(1202)にはワークスペースデバイスID 1(1211)が割り当てられてよい。コンテントの割り当てとワークスペースデバイスの群化は図18で後述する。
本発明の一実施形態において、ワークスペースデバイスIDはワークスペースの中でデバイスを一意に識別する。さらに、それぞれのワークスペースデバイスにどのワークスペースデバイスIDが割り当てられているかをユーザに視覚的に伝えるため、デバイスにワークスペースデバイスが割り当てられると、そのワークスペースデバイスIDがワークスペースデバイスに一時的に表示されてよい(例えば図17を参照されたい)。
図13は図12の続きであり、ここでユーザは上述した同じNFC能力を用いて第2のデバイス(1206)にログインする。第2のデバイス(1206)は信号(1207)を発し、信号(1207)はユーザの二次デバイス(1200)でNFCタグの存在を検出し、これを復号化し、ユーザの認証情報を第2のデバイス(1206)に入れる。先に説明したように、第2のデバイス(1206)はワークスペース管理システムによってマルチデバイスワークスペースの一部として認識され、ワークスペースデバイスID 2(1213)が割り当てられる。
図14では第3のデバイス(1208)にログインするプロセスが続く。ユーザの二次デバイス(1200)を使用し、NFC能力(1209)を用いて第3のデバイス(1208)にログインする。先に説明したように、第3のデバイス(1208)はワークスペース管理システムによってマルチデバイスワークスペースの一部として認識され、ワークスペースデバイスID 3(1215)が割り当てられる。
図15でユーザは第4のデバイス(1210)にログインし、ログインに成功した後は、他の3つのデバイス(1202、1206、1208)を含むマルチデバイスワークスペースに第4のデバイスが結び付けられる。最後に、図16に示されているように、第4のデバイス(1210)にワークスペースデバイスID 4(1217)が割り当てられる。
図16ではユーザの認証情報によって全4台のワークスペースデバイス(1202、1206、1208、1210)がログインされており、それぞれのデバイスにはワークスペースデバイスIDが割り当てられている。ワークスペースデバイスIDの割り当ては、ワークスペース管理システムによって、例えばワークスペース記録(1112)で追跡される。図18〜19でより詳しく後述するように、本発明の1つ以上の実施形態において、ワークスペースデバイスIDは、最後の既知のセットアップが異なる場所にあった場合でも、また最後の既知のセットアップのデバイスが現在のマルチデバイスワークスペースセットアップより多い場合でも、または少ない場合でも、ユーザが作業していた最後の既知のセットアップに基づいて割り当てられてよい。加えて、ワークスペースデバイスの位置と、ある1つのワークスペースデバイスの、別のワークスペースデバイスに比較したログインのタイムスタンプとに基づいて、ワークスペースデバイスIDが割り当てられてもよい。図16に示されているように、ログインするため、またはワークスペースデバイス(1202、1206、1208、1210)へユーザの認証情報を伝送するため、以前に使われたユーザの二次デバイス(1200)は、認証情報またはログイン情報が伝送された先のデバイス(1222、1224、1226、1228)に関する情報を自身のディスプレイに有してよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、ユーザの二次デバイス(1200)は図10で上述したGUIを有する二次制御デバイスとして使用されてもよい。ユーザは、例えばユーザがログインされた1つ以上のワークスペースデバイスの表示を制御するため、タッチ入力(1220)を使用してよい。例えば、本発明の1つ以上の実施形態において、ユーザの二次デバイス(1200)にはコンテントオブジェクト、コンテントオブジェクトグループ、またはコンテントアイコンが表示されてよい。ユーザは自分の指(1220)を使用し、仮想カンバスからそれぞれのワークスペースデバイスに表示するコンテントオブジェクトグループを二次デバイス(1200)のGUIを使って選択してよい。
代わりに、本発明の1つ以上の実施形態において、二次デバイス(1200)は、デバイス1202、1206、1208、および1210の表示画面/エリアとともにマルチデバイスワークスペースの一部をなす表示エリアを有するワークスペースデバイスであってもよい。
図17は図16で上述したものと同様のマルチデバイスワークスペースを示しており、ここでユーザは図16の左から右への順序とは異なる順序で4つのボードにログインした。図17は、二次デバイス(1200)を使用するユーザが、ワークスペースデバイスIDの順序をデバイスの左から右への物理的順序に合わせることができることを示している。具体的に述べると、ワークスペース管理システムは図17において、第4の登録済みデバイス(1206)が第1の登録済みデバイス(1202)の右に位置し、第3の登録済みデバイス(1208)が第4の登録済みデバイス(1206)の右に位置し、第2の登録済みデバイス(1210)が第3の登録済みデバイス(1208)の右に位置することを反映するため、自身の記録を更新した。ワークスペース管理システムはこの情報を使用し、ユーザが「このコンテントを左側のデバイスへ送る」といったUI操作でコンテントオブジェクトを期待されるデバイスへ送ることを可能にする。
それぞれのワークスペースデバイスにログインするため、他のログイン方法が使われてよいことを当業者は理解するであろう。例えば、本発明の1つ以上の実施形態において、ユーザは、ワークスペースデバイスにログインするため、USBキーなどの別の二次デバイス、ユーザ名/パスワードのペア、光ラベル、NFCトークン、無線周波ID、Bluetooth ID、これらの1つ以上の方法の組み合わせを使用してよい。例えば、ユーザのログイン認証情報を有する光ラベルが生成されてよく、ユーザの二次デバイスに表示されてよく、デバイスへのログインのためユーザの認証情報を読み取り、取得し、適用するため、ワークスペースデバイスのカメラでスキャンされてよい。別の一例において、光ラベルはワークスペース(またはその一部分)に表示されてよい。光ラベルはその後、ユーザの二次デバイスによって読み取られてよい。二次デバイスは、二次デバイスが1つ以上のワークスペースデバイスにユーザ認証情報を提供することを可能にする接続情報を抽出するため、光ラベルを復号化してよい。さらに、ユーザが図12〜17に示されたそれぞれのワークスペースデバイスにログインするときに、図11Bで上述したデータ構造にデータが投入されることを当業者は理解するであろう。つまり、上述したように、ログインのたびに、ログインのタイムスタンプ、デバイス位置、ワークスペースデバイスIDなどがユーザ活動記録に保管され、ワークスペース管理システムはワークスペースデバイスを、ならびにユーザとワークスペースデバイスとのやり取りを、追跡し、管理することができる。
図18は本発明の1つ以上の実施形態によるフローチャートを示している。具体的に述べると、図18はマルチデバイスワークスペースを作るプロセスを示している。ステップ1802でユーザはデバイスにログインする。このデバイスは、たとえユーザがログインする唯一のデバイスであったとしても、ワークスペースデバイスと呼ばれる。ユーザのログインに基づき、ワークスペース管理システムはユーザを特定でき、ステップ1804ではそのユーザのユーザ活動記録が得られる。この段階でユーザ活動記録を調べ、ユーザ活動記録に保管されたユーザログイン活動に以前のログインデータがあるかどうかを判断する(ステップ1806)。ユーザ活動記録に以前のログインデータが存在しない場合、ワークスペース管理システムはユーザが新たなマルチデバイスワークスペースを作ろうとしていることを知る。したがって、プロセスはステップ1812へ進み、ここで新たなマルチデバイスワークスペースが作られ、当該デバイスは新たなマルチデバイスワークスペースの中で第1のデバイスと呼ばれる。
ステップ1806に戻り、ユーザ活動記録に以前のログインデータが存在する場合は(ステップ1806)、ユーザ活動記録をチェックし、ステップ1802におけるデバイスへの最新のログインが直近のデバイスログインと同じ場所で行われたかどうかを判断する(ステップ1808)。本発明の1つ以上の実施形態において、同じ場所は何らかの適当な細分度であってよい。例えば、ログインステップ1802は、別のデバイスへの直近のユーザログインと同じ地理的位置にあるデバイスで行なわれる可能性がある。同じ地理的場位置とは同じ部屋、同じ建物、同じ市などであってよい。さらに、ワークスペースデバイスは互いに物理的に隣接せずに同じ場所にあってよい。
ステップ1808に戻り、デバイスのログインが直近のログインと同じ場所内であるなら、ステップ1802のログインが所定の期間内に行われたかどうかについて第2の判断を下す(ステップ1810)。言い換えると、ワークスペースデバイスへの直近のログインのタイムスタンプがステップ1802で行われたログインのタイムスタンプに比較される。ログインが所定の期間内に行われた場合は、ユーザがステップ1802でログインしたデバイスに次の連続番号が割り当てられる。換言すると、ワークスペース管理システムはログインの場所と時間を2つの基準として使用し、ユーザがマルチデバイスワークスペースを作ることを望んでいるかどうかを判断する。その後プロセスはステップ1814へ進み、ここでデバイスには既存のワークスペースが結び付けられ、そのワークスペースの次の連続番号(ワークスペースデバイスID)が割り当てられる(例えば図12〜17を参照されたい)。本発明は、マルチデバイスワークスペースが作られようとしているときを判断するための基準としてログインの場所とタイミングに限定されず、他の適当な基準がこの判断に使われてよいことを当業者は理解するであろう。例えば、ユーザは、マルチデバイスワークスペースが作られることをワークスペース管理システムに伝えるため、何らかのデフォルト基準をユーザ活動プロファイルに入れてよい。さらに、本発明の一実施形態では、デバイスがワークスペースの一部かどうかを判断するため、時間だけが使われる(例えばステップ1810)。かかる実施形態において、地理的位置は必要ない、および/または不明(入手不能)であってよい。
図18を継続し、以前のユーザログインと現在のユーザログインのワークスペースデバイスの場所が、またはワークスペースデバイスへのログインの時間が、ワークスペース管理システムによって設定された条件を満たさない場合(ステップ1808または1810の結果が「いいえ」)、ワークスペース管理システムはユーザがステップ1802でログインしたデバイスが新たなワークスペースの一部をなすデバイスであると想定し、新たなマルチデバイスワークスペースにおける最初の番号をデバイスに割り当て(ステップ1812)、プロセスは終了する。
以上のプロセスは、マルチデバイスワークスペースを形成するワークスペースデバイスに一意な識別子と連続番号がどのように割り当てられるかを説明している。本発明の1つ以上の実施形態において、ワークスペースデバイスはワークスペース管理システムによって群化されてよい。一群のデバイスが繋ぎ合わされ、システムが図18のプロセスを用いてどのデバイスが第1のデバイスであるか、第2のデバイスであるか、および後続のデバイスであるかを特定したら、ユーザは、ワークスペースデバイスのいずれかにコンテントオブジェクトを投入するため、群の中の1つのデバイスとやり取りするだけでよい。
本発明の一実施形態において、ステップ1802、1804、1806、および1812を遂行すると、あるいはステップ1802、1804、1806、1808および/または1810、および1812を遂行すると、1つのデバイスを含む新たなマルチデバイスワークスペースが作られる。さらに、本発明の一実施形態において、マルチデバイスワークスペースにいくつかの他のデバイスを追加するため、ステップ1802、1804、1806、1808、1810、および1814が遂行されてよい。このようにマルチデバイスワークスペースは動的に作られてよい。
(1つ以上のデバイスを含む)マルチデバイスワークスペースが作られた後には図19のプロセスが遂行されてよい。
図19は本発明の1つ以上の実施形態に従ってマルチデバイスワークスペースでコンテントを表示するフローチャートを示している。ステップ1902では、マルチデバイスワークスペースの中で新規デバイスのためのコンテントが存在するかどうかを判断する。具体的に述べると、本発明の1つ以上の実施形態において、ワークスペース管理システムは、マルチデバイスワークスペースが作られた後に、ユーザが前のマルチデバイスワークスペースセッション(例えばユーザがログインし、仮想カンバスでコンテントオブジェクトを追加、削除、および/または修正した前回)でコンテントオブジェクトを作成したかどうかを判断する。より具体的に述べると、ワークスペース管理システムはユーザ(マルチデバイスワークスペースを作ったユーザ)のユーザアクティブ記録を解析し、仮想カンバスの最終状態が存在するかどうかを判断する(図11B、1122参照)。仮想カンバスの最終状態が存在しないならプロセスはステップ1904へ進む。代わりに、仮想カンバスの最終状態が存在するならプロセスはステップ1906へ進む。本発明の一実施形態において、ユーザは、仮想カンバスの最終状態が存在する場合でも、ステップ1906へ進む代わりに、新たな仮想カンバスを作るため、ステップ1904へ進むことを選んでよい。
本発明の別の一実施形態において、ステップ1902における判断は、マルチデバイスワークスペースで自動的に表示する1つ以上のコンテントオブジェクトがあるかないかに基づいている。表示するコンテントオブジェクトがあるならプロセスはステップ1906へ進む。
ステップ1904で、ワークスペースデバイスの全ての表示エリアは、ユーザが現在のマルチデバイスワークスペースセッションでコンテントオブジェクトを作成するまでブランクであってよい。
ステップ1906では、マルチデバイスワークスペースで表示するコンテントオブジェクトが選択される。本発明の一実施形態において、表示するコンテントオブジェクトを選択すると、選択されたコンテントオブジェクトが一部をなす仮想カンバスが選択される。本発明の別の一実施形態において、ステップ1906では、個々のコンテントオブジェクト(またはコンテントオブジェクトのグループ)を選択する代わりに仮想カンバスを選択する。
ステップ1906の説明を継続し、表示するコンテントオブジェクトを選択することは、例えば仮想カンバスの最終表示状態を得ることを含んでよい。本発明の別の一実施形態では、表示するコンテントオブジェクトを選択するため、仮想カンバスに結び付けられたメタデータが使われてよい。例えば、仮想カンバスにはユーザログインが行われる場所や時間に関する情報が結び付けられてよい。具体的に述べると、ユーザはユーザのカレンダーで特定の日時に予定された会議のための文書を持っており、ユーザが会議の場所でワークスペースデバイスにタップまたはログインするときに特定のコンテントオブジェクトをデフォルトで表示するためのデフォルト/既定オプションを保管できる。このように、ログインしたときに仮想カンバスの最終表示状態を表示するのではなく、ユーザは、カレンダー条件が満たされたときにマルチデバイスワークスペースで他のコンテントオブジェクト(例えば別のファイルのコンテントオブジェクト)の表示をトリガーするカレンダーイベントを設定できる。換言すると、ワークスペースデバイスはメタデータで指定されるコンテントオブジェクトを表示してよい。本発明の1つ以上の実施形態において、このメタデータはユーザ活動記録に保管されてよい。
本発明の範囲から逸脱することなく、コンテントオブジェクトが別のタイプのメタデータを使って生成されてよいことを当業者は理解するであろう。例えば、メタデータはカレンダー変数であってよく、このカレンダー変数は、ユーザの好みに従って、ユーザが特定の日時にワークスペースデバイスにタップまたはログインするときに、マルチデバイスワークスペースで特定のファイルが表示されることを指定する。例えば、毎週月曜の午前9:00にユーザの週に一度の打ち合わせ会議がオフィスで行われる。ユーザが会議室か自身のオフィスで月曜の午前9:00あたりにワークスペースデバイスにタップインするとき、またはログインを試みるとき、ワークスペース管理システムはカレンダー変数を保管しており、ユーザがマルチデバイスワークスペースで表示する特定のコンテントオブジェクトグループを選択する仮想カンバスのために生成されたコンテントオブジェクトが、「週の打ち合わせ会議文書」であると認識できる。
本発明のさらに別の一実施形態において、ワークスペース管理システムは時間の経過にともなうユーザの使用パターンを「学習」するように構成されてよい。例えば、ユーザは毎日一日の始めに自身のオフィスにあるワークスペースデバイスログインして「ファイルx」に取り組み、ユーザは毎週月曜の朝に会社の会議室でプレゼンテーションの下書きを続け、水曜の夜には、いくつかのグラフィックを提示するため、ロータリークラブの会議室でワークスペースデバイスにログインする。ワークスペース管理システムは、ユーザの活動記録を解析することによって、月曜の会議に続きがあることを検出するように構成されてよい。この場合、ユーザが月曜にワークスペースデバイスにログインするときに、表示される最初の文書(仮想カンバスのために生成されるコンテントオブジェクト)は、先週の月曜の作業の続きであってよい。
図19を継続し、ステップ1906で表示するコンテントオブジェクトが選択されると、ワークスペース管理システムは仮想カンバスのコンテントオブジェクトが表示される第1のワークスペースデバイスを特定する(ステップ1908)。判断はステップ1908であり、図18のプロセスを用いて作られたマルチワークスペースの一部をなすデバイスに割り当てられたワークスペースデバイスID(例えば図12〜17を参照されたい)を用いて行われてよい。換言すると、マルチデバイスワークスペースにある各ワークスペースデバイスに対する順次番号割り当てが得られ、第1のデバイスが特定される。
ステップ1910では、仮想カンバスのコンテントオブジェクト(ステップ1906で特定)の少なくとも一部分が、第1のデバイスの表示エリアに表示するため、ユーザによって選択されてよい(あるいはワークスペース管理システムによって自動的に選択されてよい)。本発明の1つ以上の実施形態において、各ワークスペースデバイスに表示する仮想カンバスのコンテントオブジェクトの選択は、多数のやり方で遂行できる。例えば、ワークスペースデバイスにログインするのに使ったユーザの二次デバイス(例えば図17を参照されたい)は、コンテントの表示をコントロールするユーザインターフェースとして使われてよい。ユーザは二次デバイスで仮想カンバスの全体を見ることができる。この場合、ユーザはコンテントオブジェクトの様々な組み合わせを選択でき(コンテントオブジェクトグループを形成)、選択したコンテントを表示するワークスペースデバイスを指示できる。代わりに、本発明の1つ以上の実施形態では、マルチデバイスワークスペースにおけるコンテントオブジェクトの表示のため、デフォルトオプションがあらかじめ構成され、保管されてよい。例えば、ワークスペースデバイスが同じ地理的位置にあって、同じか類似する表示エリアを有する公共デバイスである場合は(例えば隣接するeフリップチャート装置)、仮想カンバスのコンテントオブジェクトを全てのワークスペースデバイスにまたがって均等に分配でき、これにより仮想カンバスのファイル全体がワークスペースデバイスにまたがって表示される。代わりに、同じマルチデバイスワークスペースにあるワークスペースデバイスが公共デバイスと私用デバイスである場合は、仮想カンバスのコンテントオブジェクトを各デバイスにミラーリングでき、これにより各デバイスは同じコンテントオブジェクトを表示する。
さらに別の一実施形態において、ワークスペース管理システムは、ユーザがそれぞれのワークスペースデバイスで望むコンテントオブジェクト(またはコンテントオブジェクトグループ)を選択することをユーザに催促してよい。例えば、ユーザはワークスペースデバイスにログインしたときに、仮想カンバスの最終状態を表示するか、ブランクのマルチデバイスワークスペースで新たなコンテントオブジェクトを生成するか、表示するコンテントオブジェクトを得るためワークスペース管理システムに保管された特定のメタデータを使用するかを選ぶよう催促されてよい。
ユーザは、第1のワークスペースデバイスに表示する仮想カンバスの少なくとも一部分を選択した後に(ステップ1910)、第1のワークスペースデバイスで選択されたコンテントオブジェクトグループを表示するズームレベルを選択してよい(ステップ1912)。本発明の1つ以上の実施形態において、ズームレベルは、第1のワークスペースデバイスの表示エリアのサイズに基づいてユーザによって選択されてよい。例えば、ユーザが自身のオフィスでファイルに取り組んでいて、その後会議室で比較的大きい表示エリアがあるeフリップチャート装置でファイルを共有する場合、ユーザはeフリップチャート装置に表示されるコンテントオブジェクトを拡大できる。本発明の1つ以上の実施形態では、タイプの異なるワークスペースデバイスのズームレベルがあらかじめ設定されてよく、ユーザ活動記録に保管されてよい。代わりに、全てのワークスペースデバイスのデフォルトズームレベルは同じであってよい。
ズームレベル以外の表示特定もユーザによって選択されてよいことを当業者は理解するであろう。例えば、表示の向き(例えば横向きまたは縦向き)も、仮想カンバスの選択された部分が第1のワークスペースデバイスで表示される前にユーザに選択を催促できるもうひとつの表示特性である。
本発明の一実施形態において、ステップ1912はワークスペース管理システムによって自動的に遂行される。
ステップ1914では、仮想カンバスの一部分から選択されたコンテントオブジェクトおよび/またはコンテントオブジェクトグループが第1のワークスペースデバイスで選択されたズームレベルで表示される。本発明の一実施形態において、ステップ1914では、選択されたコンテントオブジェクトおよび/またはコンテントオブジェクトグループを適切なワークスペースデバイスへ伝送する。この段階でマルチデバイスワークスペースにさらなるデバイスがあるかどうかを判断する(ステップ1916)。さらなるデバイスがあるならプロセスはステップ1910に戻り、ユーザはマルチデバイスワークスペースの中の次のデバイスのためにコンテントオブジェクトグループを選択する。マルチデバイスワークスペースにさらなるデバイスが残っていなければ(ステップ1916)、プロセスは終了する。
図19では、マルチデバイスワークスペースの中で第1のデバイスから始まってデバイスごとに順次にコンテントを選択して表示するプロセスを説明しているが、本発明の代替実施形態では、マルチデバイスワークスペースの中のデバイスにコンテントオブジェクトが同時に投入されてもよいことを当業者は理解するであろう。例えば、デバイスが同じコンテントオブジェクトを表示する(デバイスが互いにミラーリングする)場合は、マルチデバイスワークスペースにある全てのデバイスに選択されたコンテントオブジェクトが同時に投入されてよい。このシナリオにおいて、デバイスは同じコンテントオブジェクトを異なるズームレベルと異なる向きで表示してよく(各ワークスペースデバイスの表示エリアのサイズ次第)、あるいは同じ表示特性で表示してもよい。
図20Aは仮想カンバス2000のコンテントオブジェクトを表示する4つのデバイス(デバイス1、デバイス2、デバイス3、デバイス4)の表示エリアの一例を示している。本発明の1つ以上の実施形態において、図20Aの仮想カンバス(2000)は仮想コンテント空間であり、ここからマルチデバイスワークスペースの各ワークスペースデバイスに表示するコンテントオブジェクトグループ(2002、2004、2006、2008)を選択できる。より具体的に述べると、テキストおよび画像データを含むファイルの全コンテントは図20Aの仮想カンバス(2000)によって表される。このファイルは、例えば(図4で上述したように)eプレゼンテーションの複数ページであってよく、あるいは単一ページのノートであってよい。本発明の1つ以上の実施形態において、デバイスごとに選択され表示されるコンテントオブジェクトグループは仮想カンバスの一部分を構成する。それぞれの選択部分は単一ページの一部分であってよく、あるいはファイル全体のコンテントが図20Aに示された仮想表現にまたがってレイアウトされる場合に、複数ページの部分であってよい。
さらに、図20Aの例ではデバイス1、3、および4が同様の表示エリアを有しているため、選択されたコンテントオブジェクトグループは同じズームレベルと同じ向きで表示されてよい。代わりに、デバイス2は他のデバイスと比べて異なる表示エリアを有しているため、選択されたコンテントオブジェクトグループ(2008)をデバイス1、3、および4とは異なる表示特性で表示してよい。
本発明の1つ以上の実施形態において、図20Aに示されたデバイスの「位置」は各デバイスのディスプレイの左上隅のx、y象限によって決定されてよく、ズームレベルは100%ズームから決定されてよい。それぞれのワークスペースデバイスのディスプレイのx、y座標は図11Bのワークスペースデバイスデータ構造に保管されてよい。
図20Aの例から見てとれるように、それぞれのワークスペースデバイスに表示されているコンテントオブジェクトグループ(2002、2004、2006、2008)は仮想カンバスの非隣接部分を構成してよい。さらに、マルチデバイスワークスペースのいずれかのデバイスに表示される仮想カンバスの部分は選択されなくてもよい。
図20Bは図20Aと同じ仮想カンバス(2000)を示している。図20Bで4つのデバイスの各々に表示されているコンテントオブジェクトグループ(2010、2012、2014、2016)は仮想カンバス(2000)の全体(仮想カンバスのファイル内の全コンテント)を表示している。より具体的に述べると、仮想カンバス(2000)のコンテントオブジェクトグループは仮想カンバス(2000)の隣接部分として表示されている。図20Bではマルチデバイスワークスペースにまたがって単一のファイルが均等に配分されており、4つのデバイスの各々は異なるコンテントオブジェクトグループ(2010、2012、2014、2016)を隣接させて示している。例えば、図20Bは、仮想カンバスのファイルが4つのページを有し、ページ1がデバイス1に表示され、ページ2がデバイス2に表示され、ページ3がデバイス3で表示され、ページ4がデバイス4で表示される例を表している。仮想カンバスコンテントが、ページ数や仮想カンバスの他の構成に関わりなく、全てのマルチデバイスワークスペースにまたがって均等に配分されてよいことを当業者は理解するであろう。仮想カンバスはワークスペースデバイスにまたがって均等に分割されているため、それぞれのワークスペースデバイスは仮想カンバスの一部分を隣接させて表示している。
以降の例は、本発明の実施形態の例証の種々応用に対して説明され、本発明の範囲を制限するものではない。
ユーザが以前デバイスAおよびBで作業していたシナリオを検討する。ある程度の期間が過ぎた後に、ユーザはユーザのスマートフォンを使ってデバイスCにログインする。そこで、デバイスAおよびBを含む既存のワークスペースに新たなデバイスを加えるべきかどうかを判断する。この判断が肯定であるなら(例えばステップ1808および1810の判断がいずれも「はい」であるなら)、デバイスCは既存のマルチデバイスワークスペースの中で第3のデバイスとみなされる。代わりに、この判断が否定であるなら(例えばステップ1808および/または1810の判断が「いいえ」であるなら)、デバイスCは新たなマルチデバイスワークスペースの中の第1のデバイスとみなされる。
別の一例では、1組のデバイスが2つのデバイスのみを含むマルチデバイスワークスペースの一部であると仮定する。デバイスAは家のレイアウトを表示しており、デバイスBは他のコンテントを表示している。ユーザが第1のマルチデバイスワークスペースからログアウトし、その後デバイスAおよびBより小さい第3のデバイス(デバイスD)にログインすると仮定する。この例では、デバイスDが新たなマルチデバイスワークスペースで第1のデバイスになると仮定する。さらにこの例では、ユーザの既存の仮想カンバスが新たなマルチデバイスワークスペースでの表示のため選択されると仮定する。デバイスDの表示エリアのサイズはデバイスAおよびBの表示エリアに満たないため、ワークスペース管理システムはデバイスDで表示する仮想カンバスのサブセットを自動的に選択する。したがって、この例ではデバイスDで家の一部分だけが表示される。別の一実施形態において、ワークスペース管理システムは表示する仮想カンバスのサブセットを指定せず、決定をデバイスDまたはユーザに委ねる。
別の一例では、1組のデバイスが2つのデバイスのみを含むマルチデバイスワークスペースの一部であると仮定する。デバイスAは家のレイアウトを表示しており、デバイスBは他のコンテントを表示しており、両デバイスは縦向きになっている。ユーザが第1のマルチデバイスワークスペースからログアウトし、その後デバイスAおよびBより小さい第3のデバイス(デバイスD)にログインし、デバイスDは横向きになっていると仮定する。この例では、デバイスDが新たなマルチデバイスワークスペースで第1のデバイスになると仮定する。さらにこの例では、ユーザの既存の仮想カンバスが新たなマルチデバイスワークスペースでの表示のため選択されると仮定する。デバイスDの表示エリアのサイズはデバイスAおよびBの表示エリアに満たないため、また新たなマルチデバイスワークスペースの向きは既存のマルチデバイスワークスペースと異なるため、ワークスペース管理システムはデバイスDで表示する仮想カンバスのサブセットを自動的に選択する。表示する仮想カンバスの部分の選択にあたっては、デバイスDのサイズと向きを考慮に入れる。別の一実施形態において、ワークスペース管理システムは表示する仮想カンバスのサブセットを指定せず、決定をデバイスDまたはユーザに委ねる。
図21A、21B、および22は本発明の1つ以上の実施形態によるフローチャートを示している。これらのフローチャートでは様々なステップが順次に提示され説明されているが、本開示の恩恵に浴する当業者なら、これらのステップの一部または全部を異なる順序で実行してよいこと、組み合わせてよいこと、省いてよいこと、これらのステップの一部または全部を並行して実行してよいことを理解するであろう。さらに、これらのステップは能動的に遂行されてよく、あるいは受動的に遂行されてもよい。例えば、本発明の1つ以上の実施形態によると、いくつかのステップはポーリングを用いて遂行されてよく、あるいは割り込み駆動されてよい。
図21Aは本発明の1つ以上の実施形態に従ってユーザ入力に基づいてコンテントを更新する方法を説明するフローチャートを示している。ステップ2102では、現在のデバイス(例えばマルチデバイスワークスペースデバイス)でユーザによって行われる入力が検出される。本発明の一実施形態において、入力はユーザの指やデジタルペンで行われるジェスチャであってよい。さらに、ジェスチャは、指またはデジタルペンと現在のデバイスのタッチスクリーン層との接触によって検出されてよい。さらに、かかる実施形態において、ジェスチャは、(2つ以上の)ジェスチャストロークのシーケンスを含む複合ジェスチャであってもよい。これらのジェスチャストロークは、1つの連続した動きとして遂行されようが複数のばらばらの動きとして遂行されようが、ジェスチャをキャプチャする。本発明の別の一実施形態において、入力はユーザインターフェース(UI)制御コンポーネントの直接操作であってもよい。UI制御コンポーネントは現在のデバイスのディスプレイのグラフィカルユーザインターフェースにあるインタラクティブコンポーネントであってよい。UI制御コンポーネントは、例えばボタン、スライダ、ドロップダウンメニュー、編集可能テキストフィールドなどを含み得る。
ステップ2104では、関連するターゲット選択操作(TSO)とターゲットコンテント(これらはコマンドと総称されることがある)を特定するため、入力が解釈される。上述したように、本発明の一実施形態において、入力はタッチスクリーン手ジェスチャであってよく、あるいはデジタルペンジェスチャであってもよい。かかる実施形態において、入力の解釈は、(i)ジェスチャをキャプチャする1つ以上のジェスチャストロークからなるシーケンスを特定することと、(ii)1セットの許容ジェスチャストロークシーケンスを保管するレポジトリ(デバイスの内部または外部)にアクセスすることと、(iii)(i)で特定したジェスチャストロークのシーケンスを前述したレポジトリに保管されたジェスチャストロークシーケンスのいずれか1つと照合することと、(iv)照合に基づいて、ジェスチャストロークシーケンスに対応するTSOとターゲットコンテントを特定することとを含んでよい。本発明の一実施形態において、レポジトリはジェスチャストロークシーケンスと対応するTSOおよびターゲットコンテントをキー・値ペアとして保管してよく、ここでジェスチャストロークシーケンスはキーであってよく、対応するTSOおよびターゲットコンテントは値であってよい。本発明から逸脱することなく、ジェスチャとTSOとターゲットコンテントを保管する代替データ構造が使われてよい。
以上の説明に加えて、本発明の別の一実施形態において、入力は1つ以上のUI制御コンポーネントの直接操作であってよい。この実施形態において、入力の解釈はインタラクティブコンポーネントのコールバック機能であってよい。当業者は、コールバック機能がインタラクティブコンポーネントの様々な状態に応じて1つ以上のタスクを遂行する実行可能コードを含むことを認識するであろう。このため、インタラクティブコンポーネントはユーザとのやり取りに応じて状態を変えてよい。その後、状態の変化によって所定の1セットのタスクの遂行がトリガーされてよい。よって、本発明の一実施形態において、インタラクティブコンポーネント(例えばUI制御コンポーネント)のコールバック機能はTSOとターゲットコンテントの特定に帰結してよい。
本発明の一実施形態において、ターゲット選択操作(TSO)は、対応するターゲットコンテントの取り扱いに関する、特定のデバイス(例えば現在のデバイスまたはその他のデバイス)に向けられた、命令であってよい。さらに、本発明の一実施形態において、ターゲットコンテントは、1つ以上のデバイスがリンクされた仮想カンバスの少なくとも一部分であってよい。換言すると、ターゲットコンテントは、例えば1つ以上のコンテントオブジェクト、1つ以上のコンテントオブジェクトグループ、または仮想カンバスのファイルの中にある他の何らかの細分度のコンテントを含み得る。例えば図26A〜図32Bを参照されたい。
図21Aの説明に戻り、ステップ2106では(ステップ2104で特定した)TSOが現在のデバイスを更新する命令を含んでいるかどうかを判断する。特定されたTSOに現在のデバイスを更新する命令が含まれていると判断するならプロセスはステップ2108へ進み、さもなくばプロセスはステップ2110へ進む。
TSOが現在のデバイスを更新する命令を含んでいると判断した場合は、ステップ2108で(ステップ2104でTSOと共に特定した)ターゲットコンテントを使って現在のデバイスで表示されているコンテントを更新する。本発明の一実施形態において、現在のデバイスで表示されているコンテントを更新することは、指定されたコンテントオブジェクト、コンテントオブジェクトグループ、その他で現在表示されているコンテントを補うことを含んでよい。本発明の別の一実施形態において、現在のデバイスで表示されているコンテントを更新することは、現在のディスプレイで見られているコンテントを、仮想カンバスの(何らかの細分度の)別の部分へ、あるいは仮想カンバスを見ているマルチデバイスワークスペースの中の別のデバイスへ、すなわち仮想カンバスファイルの中にある何らかの細分度のデータ(例えばコンテント)へ、リダイレクトすることを含んでよい。TSOがさらなる命令を含んでいるなら、ここからプロセスはステップ2110へ進んでよく、さもなくばプロセスは終了する。
TSOが現在のデバイスを更新する命令を含んでいないと判断した場合(ステップ2106後)、あるいはTSOが現在のデバイスの更新を補うさらなる命令を含んでいる場合は(ステップ2108後)、ステップ2110でTSOとターゲットコンテントを使ってメッセージ(コマンドメッセージとも呼ばれる)が生成される。本発明の一実施形態において、現在のデバイスの更新に加えた命令は、または現在のデバイスの更新に代わる命令は、仮想カンバスを共有している(あるいは仮想カンバスにリンクされている)1つ以上の他のデバイスで提示されているコンテントを更新することであってよい。このため、本発明の一実施形態において、メッセージに入っているTSOとターゲットコンテントはステップ2104で特定されるTSOとターゲットコンテントであってよい。本発明の別の一実施形態において、メッセージは新たなTSO(例えば新たな1セットの命令)と新たなターゲットコンテントを含んでよい。これは、例えば現在のデバイスを元のターゲットコンテントで更新することを指図する元のTSOを入力が指定し、その後、更新前に現在のデバイスに提示されていた前のコンテント(例えば新たなターゲットコンテント)を使って他のデバイスを更新することを命令する新たなTSOを現在のデバイスが生成する場合に当てはまる。換言すると、入力は現在のデバイスのために新たなコンテントを指定してよく、現在のデバイスの古いコンテントはマルチデバイスワークスペース内の別のデバイスへリダイレクトされる。
ステップ2112では、ステップ2110で生成されTSOとターゲットコンテントとを含むコマンドメッセージがネットワークを介してワークスペース管理システム(WMS)(例えば図11Aを参照されたい)へ伝送される。
図21Bは本発明の1つ以上の実施形態に従ってコマンドメッセージの受信に応じてコンテントを取り扱う方法を説明するフローチャートを示している。ステップ2120では、TSOとターゲットコンテント(またはターゲットコンテントを特定する情報)とを含むコマンドメッセージがWMSから受信される。ステップ2122では、現在のデバイスで受信したターゲットコンテントの適用を強制する命令をコマンドメッセージが含んでいるかどうかを判断する(例えば図26A〜32Bを参照されたい)。その後、コマンドメッセージがそのような命令を含んでいるならプロセスはステップ2126へ進み、さもなくばプロセスはステップ2124へ進む。
現在のデバイスで表示されているコンテントの強制更新を指定する命令を(ステップ2120で受信した)コマンドメッセージが含んでいない場合は、ステップ2124で、現在のデバイスを操作しているユーザが受信したターゲットコンテントを受け入れたかどうかについて、もうひとつの判断を下す。本発明の一実施形態において、コマンドメッセージを受け取ったら、関連ターゲットコンテントの少なくとも一部分が現在のデバイスのディスプレイの少なくとも一部分に提示されてよく、ここでユーザはターゲットコンテントを受け入れるか拒絶するかを選ぶことができる。このとき、受信したターゲットコンテントをユーザが受け入れたことが検出されるならプロセスはステップ2126へ進み、ユーザがターゲットコンテントを拒絶したならプロセスは終了する。本発明の別の一実施形態において、プロセスは、ユーザがターゲットコンテントを受け入れるか否かに関わりなく、ステップ2128へ進む。この場合、ステップ2120でコマンドメッセージを受信したデバイスで表示されているコンテントは更新されないが、マルチデバイスワークスペース内の他のデバイス(例えば図16を参照されたい)でのコンテントの更新は継続してよい。
受信したコマンドが現在のデバイスでコンテントを強制する命令を含んでいると判断した場合(ステップ2122後)、あるいはユーザがターゲットコンテントを受け入れたことが検出される場合は(ステップ2124後)、ステップ2126で(ステップ2120で受信した)ターゲットコンテントを使って現在のデバイスに表示されているコンテントが更新される。ステップ2108と同様、本発明の一実施形態において、現在のデバイスで表示されているコンテントを更新することは、指定されたコンテントオブジェクト、コンテントオブジェクトグループ、その他で現在表示されているコンテントを補うことを含んでよい。本発明の別の一実施形態において、現在のデバイスで表示されているコンテントを更新することは、現在のディスプレイで見られているコンテントを、仮想カンバスの(何らかの細分度の)別の部分へ、すなわち仮想カンバスファイルの中にある何らかの細分度のデータ(例えばコンテント)へ、リダイレクトすることを含んでよい。処理はステップ2128に進む。
ステップ2128では、(ステップ2120で受信した)TSOが、仮想カンバスを共有する(または仮想カンバスにリンクされた)別のデバイスへコンテントを伝播する命令を含んでいるか否かについて、第3の判断を下す。その後、受信したTSOがコンテントを伝播する命令を含んでいると判断するならプロセスはステップ2130へ進み、コンテント伝播が含まれている命令でないならプロセスは終了する。
少なくとも別のデバイスへコンテントを伝播すべきと判断した場合は、ステップ2130で新たなターゲット選択操作(TSO)と新たなターゲットコンテントとを含む新たなメッセージが生成される。本発明の一実施形態において、新たなTSOはステップ2120で受信したTSOで提供されている命令に似ている場合がある。本発明の別の一実施形態において、新たなTSOは別の命令を含んでいる場合がある。同様に、新たなターゲットコンテントはステップ2120で受信したターゲットコンテントであってよく、あるいは例えば現在のデバイスで以前(ステップ2126の更新前に)表示されていたコンテントであってもよい。最後に、ステップ2132では(ステップ2130で生成された)新たなメッセージがワークスペース管理システム(WMS)へ伝送される。
TSOとターゲットコンテントとを含むメッセージを受信するかもしれないマルチデバイスワークスペース内のデバイスごとに図21Bのプロセスが繰り返されてよいことを、当業者は理解するであろう。換言すると、例えば、ステップ2130で生成されるメッセージが、別のデバイスのコンテントをマルチデバイスワークスペース内のさらに別のデバイスへ伝播する命令をも含む場合、図21Bのプロセスは繰り返されてよい。
図22は本発明の1つ以上の実施形態に従ってコマンドメッセージをデバイスへ播布する方法を説明するフローチャートを示している。ステップ2202では起源デバイスからメッセージ(コマンドメッセージとも呼ばれる)が受信される。本発明の一実施形態において、メッセージはターゲット選択操作(TSO)と対応するターゲットコンテント(またはターゲットコンテントを特定する情報)とを含む。ステップ2204では受信したTSOに基づいて1つ以上のターゲットデバイスが選択される。上述したように、TSOは、対応するターゲットコンテントの取り扱いに関する、マルチデバイスワークスペース内の特定のデバイス(例えば現在のデバイスまたはその他のデバイス)に向けられた、命令であってよい。さらに、本発明の一実施形態において、ワークスペース管理システムは仮想カンバスに関わるデバイスの順序を知るという利点を有してよい。本発明の一実施形態において、デバイスの順序は、コンテントが伝播される仮想カンバスに関わるデバイスの配置であってよい。例えば、仮想カンバスにリンクされた4台のデバイス(デバイス1、デバイス2、デバイス3、デバイス4)があり、デバイスを配置するデバイスの順序は、デバイス2⇔デバイス3⇔デバイス1⇔デバイス4であると考える。前述したデバイスの順序の場合、WMSは、デバイスの順序の中でデバイス3の後に続くデバイスへターゲットコンテントを仕向けるTSOを含むメッセージをデバイス3から受け取る場合に、ターゲットコンテントをデバイス1に伝播する。
本発明の一実施形態において、起源デバイスによって提供されるターゲットコンテントを受け取るターゲットデバイスがどれなのかを判断した後には、ステップ2206で1つ以上のターゲットデバイスに向けられた1つ以上のコマンドメッセージが生成される。本発明の一実施形態において、コマンドメッセージはステップ2202で受信する同じTSOまたは別のTSO(例えば命令)とターゲットコンテントとを含んでよい。ステップ2208では、アドレス情報を用いて1つ以上のコマンドがそれぞれのターゲットデバイスへ伝送される。本発明の一実施形態において、ネットワークを通じてそれぞれのターゲットデバイスへコマンドメッセージを伝送するために使われるアドレス情報は、WMSの記録に保管されてよい。
図23A、23B、および24は本発明の1つ以上の実施形態によるフローチャートを示している。これらのフローチャートでは様々なステップが順次に提示され説明されているが、本開示の恩恵に浴する当業者なら、これらのステップの一部または全部を異なる順序で実行してよいこと、組み合わせてよいこと、省いてよいこと、これらのステップの一部または全部を並行して実行してよいことを理解するであろう。さらに、これらのステップは能動的に遂行されてよく、あるいは受動的に遂行されてもよい。例えば、本発明の1つ以上の実施形態によると、いくつかのステップはポーリングを用いて遂行されてよく、あるいは割り込み駆動されてよい。
図23Aは本発明の1つ以上の実施形態に従ってユーザ入力に基づいてコンテントを更新する方法を説明するフローチャートを示している。
ステップ2302ではユーザによる入力が現在のデバイスによって検出される。ステップ2302は図21Aのステップ2102と概ね同様である。
ステップ2304では入力に対応するコマンドが判断される。入力に対応するコマンドの判断は、図21Aのステップ2104と概ね同様のやり方で行われる。本発明の一実施形態において、コマンドはTSO(上述)を含んでよく、ターゲットコンテントを適宜指定してよい。コマンドの例は、左カスケード(カスケードコマンドと呼ばれることもある)、右カスケード(カスケードコマンドと呼ばれることもある)、ズーム、ズームおよびパン、デバイスYにコンテントX表示を含み得、ただしこれらに限定されない。本発明の一実施形態において、ターゲットコンテントはコンテント識別情報(CII)を用いて指定されてよい。CIIはファイル(またはコンテント)の名前(またはファイル(またはコンテント)を一意に識別する別の識別子)、表示すべきファイル(またはコンテント)の部分、ならびにファイル(またはコンテント)を表示するズームレベルを指定してよい。CIIは、本発明から逸脱することなく、異なる情報を、またはさらなる情報を、含んでよい。
ステップ2306では、コマンドに応じて現在のデバイスに表示されているコンテントを更新するかどうかを判断する。現在のデバイスに表示されているコンテントを更新するならプロセスはステップ2308へ進み、さもなくばプロセスはステップ2310へ進む。
本発明の一実施形態において、現在のデバイスはコマンドを解釈することによってステップ2306の判断を遂行し、ユーザが要求したコマンドが現在のデバイスで表示されているコンテントの変更を必要としているかどうかを判断する。本発明の別の一実施形態では、現在のデバイスがステップ2306で判断を行なうために必要な情報および/または機能を含んでいないため、ステップ2306はWMS(例えば図11Aを参照されたい)によって遂行される。
図23Aの説明を継続し、ステップ2308では現在のデバイスに表示されているコンテントが更新され、デバイスに表示される更新済みコンテントはコマンドを用いて判断される。例えば、ステップ2308の前に現在のデバイスはファイルのページ1を表示しており、ステップ2308の後に現在のデバイスはファイルのページ2を表示している。本発明の一実施形態において、ステップ2308は、(i)現在のデバイスで表示されるべき更新済みコンテントをWMS(または別のソース)から取得すること、または(ii)現在のデバイスで以前に取得したファイルのどの部分が表示されるかを修正すること、を含んでよい(例えば10ページを含むファイルが以前に取得され、ステップ2308の後に当該ファイル内の別のページが現在のデバイスに表示される)。
本発明の一実施形態において、コマンドは表示されるべき特定のコンテントを指定し、この場合、ステップ2308は、この情報をコマンドから抽出することと、その後コマンドで指定されたコンテントを表示することとを含む。本発明の別の一実施形態では、現在のデバイスで表示されるべきコンテントを判断するため、現在のデバイスの表示モードに関連してコマンドが解釈される。例えば、図16を参照し、デバイスB(1206)がファイルのページ2(1213)を現在表示しており、現在の表示モード「左カスケード」を有し、コマンド「カスケード」を受け取るシナリオを検討する。このシナリオでデバイスBは左カスケードの表示モードでカスケードのコマンドを解釈し、ファイルのページ3を含めるため自身の表示を更新する。
図23の説明を継続し、ステップ2310ではコマンドメッセージが生成される。本発明の一実施形態では、現在のデバイスが、少なくとも1つの他のデバイスで表示されているコンテントの更新をコマンドが要求していると判断する場合に限り、コマンドメッセージが生成されてよい。本発明の別の一実施形態において、コマンドメッセージは常に生成され、あるいは特定の1セットのコマンドのために生成される。
本発明の一実施形態において、コマンドメッセージはコマンド(例えば右カスケード)を指定するだけでよい。本発明の別の一実施形態において、コマンドメッセージは現在のデバイスで表示されているコンテントがどのように更新されたかを指定するだけでよく、例えばデバイスBはファイルfooのページ2を表示しており、あるいはデバイスBは125%のズームレベルでファイルfooの特定部分にズームインした。本発明の別の一実施形態において、コマンドメッセージは、特定のデバイスと、そのデバイスで表示されるべき特定のコンテントとを、指定してよい(例えばデバイスBでファイルfooのページ3を表示)。本発明は前述した例に限定されない。ステップ2312ではステップ2312で生成されたコマンドメッセージがWMSへ伝送される。
図23Bは本発明の1つ以上の実施形態に従ってコマンドメッセージの受信に応じてコンテントを取り扱う方法を説明するフローチャートを示している。
ステップ2320ではWMSからコマンドメッセージ(例えば後述する図24で生成されるコマンドメッセージ)が受信される。
ステップ2322では(コマンドメッセージを受信した)デバイスが表示されているコンテントを更新しなければならないかどうかを判断する。本発明の一実施形態において、ステップ2322の判断は、例えば、デバイス設定のデフォルトによってコマンドメッセージの受信に応じてデバイスで表示されているコンテントを自動的に更新することになっているか、それともデバイス設定がコマンドメッセージの処理から得られる更新済みコンテントを肯定的に受け入れることをデバイスのユーザに義務付けているかに基づいてよい。本発明の別の一実施形態において、コマンドメッセージは(デバイス設定に関わりなく)、デバイスに表示されているコンテントをコマンドメッセージに基づいて更新しなければいけないことを指定してよい。
コマンドメッセージに基づいてデバイスで表示されているコンテントを更新しなければならないならプロセスはステップ2326へ進み、さもなくばプロセスはステップ2324へ進む。
ステップ2324では、現在のデバイスを操作しているユーザが受信したターゲットコンテントを受け入れたかどうかを判断する。本発明の一実施形態では、コマンドメッセージを受信すると、現在のデバイスのディスプレイの少なくとも一部分に更新済みコンテント(コマンドメッセージが処理される場合にデバイスに表示されるコンテント)の少なくとも一部分が提示されてよく、ここでユーザは更新済みコンテントを受け入れるか拒絶するかを選ぶことができる。このとき、ユーザが更新済みコンテントを受け入れたことが検出されるならプロセスはステップ2326へ進み、ユーザが更新済みコンテントを拒絶したならプロセスは終了する。
受信したコマンドが現在のデバイスでコンテントを強制する命令を含んでいると判断した場合(ステップ2322後)、あるいはユーザが更新済みのコンテントを受け入れたことが検出される場合は(ステップ2324後)、ステップ2326で更新済みのコンテントがデバイスに表示される。本発明の一実施形態において、コマンドメッセージは図23Aのステップ2308と同様の要領で処理されてよく、この処理の結果として更新済みコンテントがデバイスで表示される。
図24は本発明の1つ以上の実施形態に従ってWMSからデバイスへコマンドメッセージを播布する方法を説明するフローチャートを示している。
ステップ2402では起源デバイス(コマンドメッセージの生成をトリガーした入力をユーザが提供したデバイス)からコマンドメッセージ(図23Aのステップ2312で出されたコマンドメッセージ)が受信される。
ステップ2404ではコマンドメッセージの受信に応じて1つ以上のターゲットデバイスが特定される。本発明の一実施形態において、ステップ2404は、起源デバイスと同じマルチデバイスワークスペースを構成している全てのデバイスを特定することを含んでよい。本発明の別の一実施形態において、コマンドメッセージが特定のターゲットデバイスを指定する場合は、ステップ2404で特定される1つ以上のターゲットデバイスは、特定のターゲットデバイスを特定する情報をコマンドメッセージから抽出することによって判断されてよい。
ステップ2406では1つ以上のコマンドメッセージが生成される。本発明の一実施形態では、ステップ2404で特定される各ターゲットデバイスにつき1つのコマンドメッセージが生成されてよい。コマンドメッセージの内容は本発明の実装次第で異なってよい。例えば、本発明の一実施形態において、ステップ2406で生成されるコマンドメッセージはステップ2404で受信されるコマンドメッセージと同じ内容(または概ね同じ内容)を含む。本発明の別の一実施形態において、ステップ2406で生成されるコマンドメッセージはコマンドメッセージから引き出された情報を含むが、ステップ2402で受信されるコマンドメッセージの情報は含まない(あるいはステップ2402で受信されるコマンドメッセージのごく限られた量の情報を含む)。例えば図26A〜図32Bを参照されたい。
ステップ2408では、ステップ2406で生成されたコマンドメッセージがアドレス情報を用いて適切なターゲットデバイス(ステップ2404で特定されたデバイス)へ伝送される。本発明の一実施形態において、ネットワークを通じてそれぞれのターゲットデバイスへコマンドメッセージを伝送するために使われるアドレス情報は、WMSの記録に保管されてよい。
本発明の実施形態はコンピューティングシステムで実装されてよい。モバイル、デスクトップ、サーバ、埋め込み、または他種ハードウェアの任意の組み合わせが使われてよい。例えば、図25に示されているように、コンピューティングシステム(2500)は、1つ以上のコンピュータプロセッサ(2502)と、関連メモリ(2504)(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリ、その他)と、1つ以上のストレージデバイス(2506)(例えばハードディスク、コンパクトディスク(CD)ドライブやデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブなどの光学式ドライブ、フラッシュメモリスティック、その他)と、多数の他要素および機能とを含んでよい。コンピュータプロセッサ(2502)は命令を処理する集積回路であってよい。例えば、コンピュータプロセッサはプロセッサの1つ以上のコアまたはマイクロコアであってよい。コンピューティングシステム(2500)はまた、1つ以上の入力デバイス(2510)を含んでよく、例えばタッチスクリーン、キーボード、マウス、マイクロフォン、タッチパッド、電子ペン、または他の何らかのタイプの入力デバイスを含んでよい。さらに、コンピューティングシステム(2500)は1つ以上の出力デバイス(2508)を含んでよく、例えば画面(例えば液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、タッチスクリーン、ブラウン管(CRT)モニタ、プロジェクタ、または他の表示デバイス)、プリンタ、外部ストレージ、または他の何らかの出力デバイスを含んでよい。出力デバイスの1つ以上は入力デバイスと同じであってよく、あるいは入力デバイスと異なってもよい。コンピューティングシステム(2500)はネットワークインターフェース接続(図示せず)を介してネットワーク(2512)(例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)、モバイルネットワーク、または他の何らかのタイプのネットワーク)へ接続されてよい。入力デバイスと出力デバイスは、コンピュータプロセッサ(2502)、メモリ(2504)、およびストレージデバイス(2506)へローカル接続されてよく、あるいは(例えばネットワーク(2512)を介して)リモート接続されてよい。タイプの異なる多数のコンピューティングシステムが存在しており、前述した入力デバイスと出力デバイスは別の形態をとる場合がある。
本発明の実施形態を遂行するコンピュータ可読プログラムコードの形をとるソフトウェア命令は、その全体または一部が、一時的にまたは永久的に、非一時的なコンピュータ可読媒体に保管されてよく、例えばCD、DVD、ストレージデバイス、ディスケット、テープ、フラッシュメモリ、物理的メモリ、または他の何らかのコンピュータ可読記憶媒体に保管されてよい具体的に述べると、ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されたときに、本発明の実施形態を遂行するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードに相当してよい。
さらに、前述したコンピューティングシステム(2500)の1つ以上の要素は遠隔地に置かれてよく、ネットワーク(2512)を介して他の要素へ接続されてよい。さらに、本発明の実施形態は複数のノードを有する分散システムで実装されてよく、本発明の各部分は分散システム内の別々のノードに置かれてよい。本発明の一実施形態において、ノードは別個のコンピューティングデバイスに相当する。代わりに、ノードは関連物理的メモリを有するコンピュータプロセッサに相当してよい。あるいは、ノードは、共有メモリおよび/代わりに、ノードは共有メモリおよび/またはリソースを有するコンピュータプロセッサまたはコンピュータプロセッサのマイクロコアに相当してよい。
図26A〜32Bは本発明の1つ以上の実施形態による例を示している。以降の例では、ネットワークを介してワークスペース管理システム(WMS)と仮想カンバスにリンクされた4つのデバイス(例えば2601、2602、2603、2604)があると考える。これらのデバイスは同じ場所に置かれても置かれなくてもよく、1人のユーザによって操作されても複数のユーザによって操作されてもよく、および/または私用デバイスであっても公共デバイスであってもよい。さらに、簡潔にするため、WMS(図示せず)だけが知り得るデバイスの順序は、デバイス1(例えば2601)⇔デバイス2(例えば2602)⇔デバイス3(例えば2603)⇔デバイス4(例えば2604)であると考える。以降の例(描かれたユーザ入力、コンテント、その他を含む)は専ら説明を目的としており、本発明の範囲を制限するものではない。よって、これらの例では入力(ジェスチャ/コントロール)が特定の方法で行われるが、本発明から逸脱することなく、様々なコンテント伝播を開始する方法はほかにも存在し得る。
図26A〜26Bは本発明の1つ以上の実施形態に従って基本的コンテント伝播を説明する一例を示している。本発明の一実施形態において、基本的コンテント伝播ではデバイスの順序の中であるデバイスから隣接するデバイスへコンテントをプッシュする。この例の初期設定として、デバイス1(2601)は仮想カンバスの第1の部分に相当するコンテントA(2605)を表示しており、残りのデバイス(2602、2603、2604)はまだコンテントを提示していない。
図26Aでユーザ(2600)は本発明の一実施形態において、デバイス1(2601)の表面で水平スライドジェスチャ(例えばタッチ入力)(2610)を行なって基本コンテント伝播の一例を開始する。その後デバイス1はキャプチャされたジェスチャを検出し、解釈する。上述したように、本発明の一実施形態において、デバイス1によるキャプチャされたジェスチャの解釈は、(i)キャプチャされたジェスチャを1つ以上のジェスチャストローク成分に分解することと、(ii)認識済みジェスチャストロークシーケンスのローカルまたはネットワークレポジトリにアクセスすることと、(iii)1つ以上のジェスチャストローク成分をレポジトリに保管された認識済みジェスチャストロークシーケンスに比較することと、(iv)キャプチャされたジェスチャに対応し一致する認識済みジェスチャストロークシーケンスを特定することと、(v)一致するジェスチャストロークシーケンスに対応するターゲット選択操作(TSO)とターゲットコンテントをレポジトリから引き出すこととを含んでよい。
本発明の一実施形態において、水平スライドジェスチャの解釈は現在のデバイスで現在表示されているコンテントとしてターゲットコンテントを指定してよく、TSOはデバイスの順序の中で隣接するデバイスにターゲットコンテントをプッシュすることを現在のデバイスに指図する命令を含んでよい。図21Aで説明した方法に従い、デバイス1(2601)(例えば現在のデバイス)は前述のTSOを解析し、現在のデバイスでコンテントを更新する命令をTSOが含んでいないと判断する。この判断に基づき、デバイス1は特定されたTSOとターゲットコンテント(例えばコンテントA(2605))を使ってメッセージを生成し、デバイス1は直ちにこれをワークスペース管理システム(WMS)へ伝送する。
本発明の一実施形態において、(デバイス1(2601)から)メッセージを受信したWMS(図示せず)はまず、受信したTSOを調べ、コマンドを発行する先の(またはターゲットコンテントを伝播する先の)1つ以上のターゲットデバイスを選択してよい。仮想カンバス(先に開示)に関連するデバイスの順序を知っているWMSは、デバイス1(2601)に隣接するデバイスがデバイス2(2602)であると判断する。この判断に基づき、WMSは、デバイス1によって受信されたターゲットコンテント(例えばコンテントA(2605))を含み、なおかつデバイス2のディスプレイにターゲットコンテントを強制的に適用する命令をさらに含む、デバイス2向けのコマンドを生成する。コマンドを生成したWMSはネットワークを通じてデバイス2へコマンドを伝送する。デバイス2はWMSから前述したコマンドを直ちに受信し、付随する命令に基づいてターゲットコンテントを使って現在表示されているコンテントを更新する(図26Bに図示)。本発明の一実施形態では(例えば図21A〜22を参照されたい)、デバイスの順序に沿ってコンテントを伝播するさらなる命令がないため、デバイス2は独自のメッセージを生成しないし伝送もしない。本発明の別の一実施形態において(例えば図23A〜24を参照されたい)、WMSは単一のコマンドメッセージだけを生成し、このコマンドメッセージをデバイス2へ伝送する。その結果、デバイス2に表示されているコンテントだけが更新され、他のデバイス(すなわち、2603、2604)に表示されている内容に変化はない。
図27Aではユーザ(2700)がデバイス1(2701)で第2のジェスチャ(2712)を追加で実行する。第2のジェスチャを解釈することによって第2のTSOと第2のターゲットコンテントが特定される。第2のジェスチャをキャプチャする1つのストロークに基づき、第2のTSOは、仮想カンバスの次のページまたはエリア(例えば第2のターゲットコンテント)を使って、現在表示されているコンテントを更新することを第1のデバイスに指図する命令を含む。第2のTSOの命令の後に、デバイス1(2701)は図27Bに描かれているように、仮想カンバスの次のページを使用し、または何らかのコンテントB(2707)を使用し、現在表示されているコンテントを更新する。この場合は、第2のTSOが第2のターゲットコンテントを他のデバイスに伝播する補足的命令を除外したため、第2のメッセージは生成されず、WMSへ転送されない。
本発明の別の一実施形態では(例えば図23A〜24を参照されたい)、ジェスチャ(2702)によってコマンドメッセージが生成され、コマンドメッセージはWMS(図示せず)へ送信される。WMSはその後、デバイス1(2701)を新たなコンテント(2706)で更新することを指定する第2のコマンドメッセージを生成し、第2のコマンドをデバイス1(2701)へ伝送する。デバイス1(2701)はその後、自身の表示を更新して新たなコンテント(2706)を表示する。
図28A〜28Fは2つの別個のジェスチャ(それぞれ1ストロークによってキャプチャされる)の実行によるコンテントの更新と伝播を示している。本発明の一実施形態において、複合ジェスチャは、前述した2つの別個のジェスチャの組み合わせを1つの連続する動きとして含んでよい。本発明の別の一実施形態において、複合ジェスチャは複数のばらばらの動きを含んでよく、個々の動きは互いに所定の時間間隔内に行われ、これによりシステムは複数のばらばらの動き(またはストローク)をまとめて複合ジェスチャとして認識する。
複合ジェスチャ(2812、2810)が遂行された後には複合ジェスチャが解釈され、第3のTSOと第3および第4のターゲットコンテントが得られる。このとき、最初の2つの例(上記)の第1のTSOと第2のTSOは、隣接デバイスを更新するか(例えば別のデバイスにコンテントを伝播)、あるいは現在のデバイスまたは第1のデバイスを別々に更新する命令を含んでいたが、第3のTSOは現在のデバイスと隣接デバイスの両方を適当なターゲットコンテントで更新する命令を含んでいる。換言すると、1つ以上の実施形態では、第3のTSOによって次のことが起こる。(i)デバイス1(2801)は第3のターゲットコンテントとして指定されるカンバスの次のページまたはエリア(例えばコンテントB(2806))を使って自身のコンテントを更新し、(ii)デバイス1はその後、第4のTSO(隣接デバイスに第4のターゲットコンテントを使ってコンテントを更新することを強制的に指図)と第4のターゲットコンテント(例えばコンテントA(2805))とを含む第3のメッセージを生成し、(iii)第3のメッセージはWMSへ伝送され、(iv)WMSは第4のTSOの命令に従って隣接デバイスがデバイス2(2802)であると特定し、その後コマンドを生成し、デバイス2へ転送し、第4のTSOと第4のターゲットコンテントを伝え、(v)その後デバイス2はWMSによって発行されたコマンドを受信し、コマンドに基づいて、第4のターゲットコンテントを使って表示されているコンテントを更新する。要するに、本発明の一実施形態において、システムは、複数の個別のジェスチャの命令を理解するために、1つの複合ジェスチャ(または1シーケンスのジェスチャストローク)を解釈するだけでよい。
図28C〜28Fは前述した複合ジェスチャをあと数回実行した結果を示している。より具体的に述べると、図28Cおよび28Dは2度目の複合ジェスチャ(2812、2810)の実行と結果を捕らえている。複合ジェスチャの解釈と、解釈の時点で個々のデバイス(2801、2802、2803、2804)に表示されているコンテントとに基づき、(i)デバイス1は仮想カンバスの次のページまたはエリア(例えばコンテントC(2807))を使って更新され、その一方で自身の以前のコンテント(例えばコンテントB(2806))を隣接デバイスへ伝播し、(ii)デバイス2(例えばデバイス1に隣接するデバイス)はデバイス1に以前表示されていたコンテント(例えばコンテントB(2806))を使って更新され、その一方で自身の以前のコンテント(例えばコンテントA(2805))をデバイスの順序の中で後続するデバイスへ伝播し、(iii)デバイス3(2803)はデバイス2の以前のコンテント(すなわちコンテントA(2805))を使って更新される。
図28Eおよび28Fは前述した複合ジェスチャの3度目の実行と結果を示している。上述したステップのパターンに従い、デバイス1(2801)は複合ジェスチャ(2812、2810)を解釈し、これによりTSOのカスケードと後続デバイスのための対応するターゲットコンテントが特定される。したがって、(i)デバイス1は新たなコンテント(例えばコンテントD(2808))を使って自身を更新し、自身の以前のコンテントを第2のデバイスへ伝播し、(ii)デバイス2(2802)は第1のデバイスの以前のコンテント(例えばコンテントC(2807))を使って自身を更新し、加えて自身の以前のコンテントを第3のデバイスへ伝播し、(iii)デバイス3は第2のデバイスの以前のコンテント(例えばコンテントB(2806))を使って自身を更新し、その後、自身の以前のコンテントを第4のデバイスへ伝播し、(iv)デバイス4は第3のデバイスの以前のコンテント(例えばコンテントA(2805))を使って自身を更新する。
本発明の別の一実施形態において(例えば図23A〜24を参照されたい)、図28A〜28Fに示されたコンテント伝播は、(i)デバイス1(2801)が複合ジェスチャ(2812、2810)からのコマンドに基づいて自身のコンテントを更新することによって、(ii)デバイス1(2801)がWMS(図示せず)へコマンドメッセージを送信することによって、(iii)WMSがコンテントで更新されるべき各デバイスにつきコマンドメッセージを生成し、生成したコマンドメッセージを特定されたデバイス(例えば2802、2803、2804)の各々へ伝送することにって、達成されてよい。このようなシナリオにおいて、WMSから送信されるコマンドメッセージは、例えばデバイス1(2801)が新たなコンテント(2806)を現在表示していることを指定してよい。このようなコマンドメッセージの受信に応じて、それぞれのデバイス(例えば2802、2803、2804)は、受信したコマンドメッセージに入っている情報とデバイスの表示モードとに基づいて表示すべきコンテントを判断してよい。例えば、デバイス1(2801)がコンテント(2806)を現在表示していることを指定するコマンドメッセージをデバイス2(2802)がWMSから受信する場合、デバイス2(2802)はコマンドメッセージと表示モード(例えば右カスケード)を用いてコンテント(2805)を表示することを判断する。このようなシナリオでは、WMSがデバイス間でコマンドメッセージを伝送しているときに、個々のデバイスでコマンドメッセージの解釈が行われる。
図29A〜29Bは本発明の1つ以上の実施形態に従ってマルチデバイスワークスペース内のデバイスにまたがるコンテントのミラーリングを示している。図29Aを参照し、コンテント(2906)は最初にデバイス1(2901)で表示され、その後ユーザはジェスチャ(2908)を実行する。図29Bを参照し、ジェスチャに応じてデバイス1(2901)は自身のコンテントを更新しないが、マルチデバイスワークスペースの中にある他のデバイス(2902、2903、2904)のコンテントを更新するコマンドメッセージを生成し、そのコマンドメッセージをWMS(図示せず)へ伝送する。この例で、コマンドメッセージは、デバイス1(2901)で表示されているコンテントを他のデバイス(2902、2903、2904)にまたがってミラーリングすべきであることを指定する。WMSはその後、デバイスがコンテント(2906)を表示すべきであることを指定するコマンドメッセージをデバイスごとに生成する。このコマンドメッセージは後ほどそれぞれのデバイス(2902、2903、2904)へ送信される。デバイスはその後コマンドメッセージを処理し、必要に応じてWMS(または別のソース)からコンテント(2906)を得、図29Bに示されているようにコンテント(2906)を表示する。
図30A〜30Cは本発明の1つ以上の実施形態に従ってデバイスで表示されているコンテントを修正する複合ユーザインターフェースの使用を示している。図30Aを参照し、デバイス1(3001)は最初にコンテント(3006)を表示する。ユーザはその後ジェスチャ(3008)を実行し、このジェスチャはユーザインターフェース(図30Bの3010)を表示するコマンドとして解釈される。ユーザインターフェース(3010)は、例えばマルチデバイスワークスペースにおけるデバイス(3002、3003、3004を含む)の仮想レイアウトを表示するほか、マルチデバイスワークスペース内の各デバイスで現在表示されているコンテントの全てまたは一部分を表示する。この例でユーザはその後、デバイス1(3001)に現在表示されているコンテント(3006)をミラーリングする場所としてデバイス(すなわち3002)を選択してよい。ユーザインターフェース(3010)におけるユーザの選択に応じて、ユーザインターフェースはデバイス1(3001)に表示されなくなり、デバイス2(3002)にはコンテント(3006)が表示される(例えば図30Cを参照されたい)。
図31は本発明の1つ以上の実施形態によるマルチデバイスワークスペースにおけるある1つのデバイスから複数のデバイスへのコンテント配布を示している。
最初にデバイス1(3101)でコンテント(3103)が表示されるシナリオを検討する。ユーザがその後ジェスチャ(3102)を実行し、このジェスチャはマルチデバイスワークスペース内のデバイス(3102、3104、3106、3108)にまたがってコンテント(3101)を表示するコマンドであると解釈される。対応するコマンドメッセージが生成され、WMSへ送信される。WMSはその後デバイス(3102、3104、3016、3108)ごとにコマンドメッセージを生成し、このコマンドメッセージはマルチデバイスワークスペース内のデバイスにまたがってコンテント(3103)が表示されるべきであることを指定する。ただしこの例で、WMSは、各デバイスでコンテントのどの部分を表示するかを指定せず、あるいは各デバイスでコンテントを表示するズームレベルを指定しない。むしろ、コマンドメッセージを受け取った各デバイスは、表示モード(この例では「ビッグスクリーンモード」)に基づいて、またマルチデバイスワークスペースにおける他のデバイスに対する自身の位置に関する情報に基づいて、コマンドメッセージを解釈する。したがって、それぞれのデバイスは各自が表示するコンテントの部分(3103A、3103B、3103C、3103D)とコンテントを表示するズームレベルを判断する。
代わりに、表示するコンテント(3103)の部分とコンテントを表示するズームレベルの判断はWMSによって行われる。WMSはその後前述した判断に基づいてコマンドメッセージを生成し、それらのコマンドメッセージをデバイスへ伝送し、デバイスはその後コマンドメッセージを処理し、コンテントのしかるべき部分をしかるべきズームレベルで表示する。
図32A〜32Bは本発明の1つ以上の実施形態によるある1つのデバイスから1セットの異なるデバイスへのコンテントの選択部分の伝送を示している。
デバイス1(3203)が最初にコンテント(3201)を表示するシナリオを検討する。ユーザはその後コンテントの個別部分(例えば3202、3204、3206)を選択する。ユーザはジェスチャかユーザインターフェースによってコンテントの各部分ごとにターゲットデバイスを選択する。その後、選択されたコンテント(3202、3204、3206)とターゲットデバイス(例えば3208、3210、3212)とを指定するコマンドメッセージが生成される。生成されたコマンドはWMSへ伝送される。WMSはこれを受けてそれぞれのコマンドメッセージをしかるべきデバイスへ伝送する。コマンドメッセージを受信したデバイスはコマンドメッセージを処理し、選択されたコンテントを表示する。本発明の別の一実施形態において、仮想カンバスは表示される情報(3201)を含み、各デバイス(3208、3210、3212)のビューポート情報は仮想カンバスの異なるエリアに個別に設定できる。図32Bに示されているように、デバイス1(3208)は特定のビューポート情報(3202)とズームレベルで表示するように設定される。デバイス2(3210)は仮想カンバス(3201)の異なるエリア(3204)を表示し、デバイス3(3212)は仮想カンバス(3201)の別のエリア(3206)を表示し、全3台のデバイス(3208、3210、3212)のユーザは、異なるビューポート情報により、同じ仮想カンバス(3201)の中で同時に作業できる。デバイス1(3208)のユーザがしかるべきコマンドを送信する場合は、デバイス1(3208)に表示された情報が1つ以上の他のデバイスに、例えばデバイス2(3210)に表示される。この表示モードは「スナップビュー」モードと呼ばれることがある。
当業者は本発明の実施形態が前述した例に限定されないことを理解するであろう。これらの例は、本明細書で開示されている実施形態の可能な応用を例証するために提供されているに過ぎない。
限られた数の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本開示の恩恵に浴する当業者なら、本明細書で開示されている本発明の範囲から逸脱せずに別の実施形態を考案できることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ制限される。