JP2019218948A - 回転体及び風力回転装置並びに風力発電装置、風力水循環装置、風力曝気装置 - Google Patents
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Abstract
Description
基盤とは、地盤、構造物等のことであり、風力回転装置を支える主体を指している。なお、これより以降は、この風車を「回転体」と記述することとする。
L=S1×((D2/D1)2+1)1/2/(2πR)×P
ここに、P=S2/S1
0.7≦P≦1.0
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ここに、P=S2/S1
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風力回転装置1は、風を下向きに方向変換する風誘導部2と、風誘導部2の下方に設けられ、風誘導部2からの下向きの風によって回転する回転体31を有する回転体部3とを備える。
回転体31の下には回転体31によって駆動される回転駆動装置4である発電機41が設けられている。
風誘導部2は、風を受ける帆21と帆21を支持する帆柱22とを有し、回転体31は、下向きの風に面する円板32と、円板32の中心に設けられた回転軸33と、円板32の外周領域に立設された複数の羽根板34とを有し、複数の羽根板34は、円板32の周方向に間隙を開けて略等間隔に配されている。
帆21の材質に特に制限はなく、シート状で風を受けて孕む材質ならば何でもよい。帆21の材質として布、樹脂、及びそれらの複合材等、種々の材料が考えられる。
なお、予め風を受けて孕んだ形状に帆21の全体もしくは一部を固定しておくことも考えられ、その場合は固定部の材質としてメタルを利用することもできる。
帆21は、上方よりも下方の幅が広がっており、このことにより、風を受けたときに下方の方が大きく膨らむので、面が下向きに傾き、風が下向きに変向する。
回転体31は、風誘導部2からの風を受けて回転し、回転軸33が連結された発電機41を駆動し、発電させる。
回転体31は、風誘導部2からの風に面する円板32と、円板32の外周領域に立設された複数の羽根板34と、羽根板34の上側に接続されたリング形状のリング板35を有している。リング板35は円板形状の外周部分だけからなっている。羽根板34は、円板32の中心軸と略平行に立設されている。
リング板35の内径域が風を取り込む流入口となる。
図3(b)は、回転体31への推進力作用を説明する水平断面図である。回転体31の流入口から流入した風、つまり空気が流出口から流出する。その時に、回転体31に推進力Fが作用し、回転体31は回転方向Hに回転する。ここでは、回転体31は時計回りに回転する状態となっている。
羽根板34は、円板32の径方向に対して傾けて設けられており、任意の羽根板34aの外側端Bと円板32の中心とを結ぶ線上に、該羽根板34aの内側に隣接する羽根板34bの内側端Cが位置している。
このように、外側端Bと円板32の中心とを結ぶ線上に内側端Cを配すると、円の中心から見た場合、それぞれのC点は隣の円弧のB点と重なり、全ての羽根により遮られて外が見えない状況となる。その結果、回転体31に流入した全ての風は何れかの羽根に作用しながら流出するので、風のエネルギーの取りこぼしが抑制される。なお、風が流出する流出口幅は、それぞれ隣り合う2枚の羽根において、任意の羽根板34の外側端B点から内側の羽根板34への垂線の交点であるD点と、B点との間の長さBD(D3)とする。また、流出口面積は、流出口幅と羽根板34の長さの積で得られる。流出口面積に羽根板34の枚数Mを掛けた値を流出口総面積(S2)とする。
また、以下の説明において、任意の羽根板34aの外側端Bから、該羽根板34aの内側に隣接する羽根板34bの内側端Cまでの距離BC(D1)を1としたときの、任意の羽根板34aの外側端Bから該羽根板34aの内側に隣接する羽根板34bの外側端Aまでの円弧距離(D2)の比をNとする(N=円弧距離AB(D2)/距離BC(D1))。Nは、直接的には外周に対する羽根板34の傾き度合いを示している。
図4(b)は、羽根板34の断面形状を緩やかな湾曲線とした場合を説明している。断面形状が湾曲形状の場合、任意の羽根板34aと羽根板34bとの距離を、どこのところでもほぼ同じとすることができる。
このように、羽根板34の断面形状は、直線形状に比べて湾曲形状の方が、二枚の羽根板34の間を流れる風の流況が安定して好ましい。なお、湾曲形状の曲率は、円板32の外周曲率の1.5倍程度である。
羽根板34とN(=D2/D1である)に関して、リング板35の幅Y、羽根板34の枚数Mおよび羽根板34の長さLとの関係から説明する。
前述の円弧距離AB(D2)は、円板32の外周をM等分した長さであり、距離BC(D1)はリング板35の幅Yである。よって、円板32の半径をRとすれば、2πR=M・N・Yの関係が成り立つ。
図4の△ABCと△BDCは、相似形として近似できる。よって、羽根板34の幅TはN(D2/D1)の二乗に1を加えた数値の平方根の値にリング板35の幅を乗じた値で近似できる。
図4の線分BDである流出口幅(D3)はNを大きくするほど広がるが、Y(リング板35の幅)を一定とすればM(羽根板34の枚数)を減らさねばならない。流出口総面積(S2)への影響は、Nの増による増大よりも、Mの減による減少の方が多い。結果として、Nを大きくする場合は、同じ流出口総面積を確保するためにはL(羽根板34の長さ)を増さねばならない。必要な羽根板34の長さは、Nの二乗に1を加えた数値の平方根の値にほぼ比例する。
このように、Nは、外周に対する羽根板34の傾き度合いを示す他に、羽根板34の幅Tおよび羽根板34の長さLの尺度ともなる。その結果、Yの値が定められた下に、Nを回転体31の羽根形状寸法の適正を評価する指標値として用いることができる。
<リング板35の幅(Y)について>
回転軸に直交する断面における羽根板34の幅に関係するリング板35の幅に関して記述する。
回転円周りに配置する羽根板34は、幅が短い方が内外径差の少ないリング板35の範囲内に収めることができる。結果として、同一外径に対して風の流入口の面積であるリング板35の内径域の面積を広くとれて、より多くの風を取り込める。このことから、支障のない範囲内で、羽根板34の幅を短くしてリング板35の幅を狭くする方が風を多く流入する点で良い。ただし、構造面からある程度の幅を確保する必要があるので、リング板35の幅は円板の外径の5%前後が適当である。
<羽根板34の幅(Y)と長さ(L)について>
リング板35の幅が狭くなることは流出口幅BD(D3)が狭くなることになる。よって、同じ流出口総面積(S2)を確保するためには、羽根板34の長さ(L)長くするか羽根板34の枚数(M)を多くすることになる。この場合の考慮事項を以下に記す。
羽根板34の長さが長い(Nが大きい)と、回転体31の高さが増高して安定性に支障が生じたり、部材面積が増えて製作経費が増えたりすることになる。
羽根板34の枚数を多く(Nを小さく)すると、一枚当たりの羽根板34の幅が短くなる。羽根板34の幅が短いと、風を受ける面積が狭くなり受風状況が不安定になるので、推進力を得にくくなる。また、構造面からは、羽根板34の幅が短いほど前述の羽根板34の回転方向に対する剛性が低下する。
この発明の実施例において回転体31の形状寸法は以下の如く定めることができる。用いる環境によって制限高さ、材質強度等の設計条件の違いがあることから、適切な回転体31の形状寸法は、ある程度の幅を持たせておくことが望ましい。ここにおいて、先述したように、直接的には羽根板34の傾きを示すNを、羽根板34の枚数M、幅Tおよび長さLを含む形状寸法の幅の代表指標として用いる。
表1は、リング板35の幅Yを円板の外径2Rの5%(Y=0.1R)とした場合を例に、Mを12から90まで6刻みで増やした場合のM(羽根板34の枚数)、N(=D2/D1)、L(羽根板34の枚数)/R(円板の半径)およびT(羽根板34の幅)/R(円板の半径)の数値を求めたものである。なお、前提として、流出口総面積S2を流入口面積S1(リング板35の内径円の面積)と同じとしている。
一方、Nを小さくするメリットは回転体高さを抑えることであるが、Nを小さくし過ぎると、羽根の幅は短くなり強度低下が課題となる。また、一単位の流出口の面積が狭くなり、羽根の傾きは外周に対し立った状況となってくることから、短い羽根幅での受風上の不安定性、内側の羽根板34の面への逆回転方向の作用力が大きくなってくる。そして、Nが1.2程度以下では羽根の長さの逓減度が少なくなる。強度と流況の安定性等に関してNは1.2以上が適当で、1.4以上がさらに好ましく、1.6以上が最も好ましい。
これらを勘案して、N(=D2/D1)は1.2〜2.1程度であることが良好である。なお、材質等の違いからリング板35の幅Yを外径の3%〜7%とした場合においても、羽根の強度および高さを勘案の上、Nを1.2〜2.1の範囲から定めることにより、適切な回転体形状寸法を選択することができる。
次に羽根板34の長さ(L)について検討する。
羽根板34は、長いほど風を受ける面積が広くなり、風による推進力が大きくなる。しかしながら、本発明での風力回転装置1では、下向きの風が円板32に当たって周囲に拡散する時に風は円板側に集積され、その状態の風を羽根板34が受けるので、風による推進力の大部分は、羽根板34のうちで円板32に近い部分で発生する。羽根板34の内で円板32から離れた部分は風による推進力をあまり受けない。羽根板は風により推進力を得る一方で、同じ羽根板の反対面では回転に抵抗する力が作用する。このことから、推進力をあまり受けない部分の羽根は削除することが良い。また、羽根板34が長すぎると、羽根板34の重量が増え、回転体31の回転には障害となる。
このような状況は羽根の長さが長いほど顕著になると考えられるので、Nが3.7の条件の下で、羽根板34の長さ(L)を変え、流出口総面積(S2)が流入口面積(S1)に対する割合Pをかえて、発電機が発電する電圧、電流を測定した。
試験設備を図5に示し、試験結果を下記に示す。
回転体31の上からファンで送風し、発電機41の電圧及び電流を測定した。発電機41とテスターの間に抵抗は入れていない。尚、電圧と電流はテスターのモードを切り替えて別々に試験をして測定した。
*2 供給風速:毎秒約3.2m
*3 N=3.7
その結果、流出口総面積が流入口面積(リング板35の内径円面積)に対する割合Pが50〜70%の範囲が良好で、60%付近が最もよいことが分かった。
また、Nを2.5として行った試験結果では、Pは70%付近が良かった。
なお、Nが小さく羽根の長さがもともと短い場合は、風の集積を考慮して羽根板の長さを縮小する必要はなくなる。
表1は、流出口総面積(S2)を流入口面積(S1)と同じとして求めている。しかし、これらの試験結果から、適正な回転体31の形状は、Nの値に応じて、流出口総面積(S2)を流入口面積(S1)に対して減じて羽根の長さ(L)を求めることが良い。
長さを求めるに当たっての数式を以下に示す。
L=S2/(D3・M)=P・S1/(D3・M)
=P・S1/(N/(N2+1)1/2・Y・M)
=P・S1・(N2+1)1/2/(M・N・Y)
=P・S1・((D2/D1)2+1)1/2/(2πR)
=P・π・(R−Y)2・((D2/D1)2+1)1/2/(2πR)
ここに、
P=S2/S1
S1=π・(R−Y)2
S2=D3・L・M
D3=N/(N2+1)1/2・Y
N=D2/D1
M・N・Y=2πR
0.7≦P≦1.0
これらの数式はこの発明の実験的知見に基づくものである。
上述した回転体31の形状に限定されないが、回転体31を備えた風力回転装置1を用いた回転駆動装置4について詳述する。
回転体31から回転駆動装置4へ動力を伝える形態に関して記述する。
回転駆動装置4とは、軸を中心とする回転運動を利用して機能を発揮する機械を指し、代表的には発電機、ポンプおよび圧縮機がある。その他にも、スクリュー、ファン、車輪等々、多く有る。通常、回転駆動装置4はシャフトから回転力を得ており、回転駆動装置4を稼働させるためにはシャフトに回転力を伝えることとなる。ただし、発電機においては、シャフトとコイルを回転させずに、コイルに対してマグネットを回転させて発電するアウターローター式の発電機もある。
回転体31をハウジングに内蔵することにより、回転体31の回転運動への周囲からの接触を回避することができる。
ハウジングを備えた風力回転装置1の斜視図を図6に示し、ハウジング5の平面図を図7(a)に、側面図を図7(b)に示す。
ハウジング5は、リング板35の上側に設けられた開口板52と、回転体31を下から支持する下板53と、回転体31の側方を保護する側面部54を有している。
開口板52には回転体31への風を通す開口部51が開けられている。開口部51及び側面部54には通風性部材であるネットやスクリーン等を設けてもよい。図7(b)では側面部54でのネットの記載を省略している。
開口板52および下板53には、風誘導部2とハウジング5を一体化させるために、帆柱22を通す貫通孔55が設けられている。
なお、開口部51を通風性部材で覆う場合は、リング板35の内周側に通風性部材を入れ込む状態とすることにより帆21の垂らし込みが可能となる。
開口板52には、帆21の下辺の端部を開口板52に固定するための固定部材56が3か所に配置されている。開口部51に通風性部材を設ける場合には、通風性部材を下側に窪ませることにより、帆21の下辺が触れない状態にすることができる。
図8は、風誘導部2に用いる帆として、左右の端側の面(以下、側部面と記す)を三角形の面とした帆の展開図である。帆は、帆の正面21Cと、右側部面21Rおよび左側部面21Lの3面に細分される。その展開図は、正時からの時計周りに順次に、上辺210、右辺211、右下辺212、中下辺213、左下辺214、および左辺215によりなる6辺の平面である。製作においては、この他に、帆柱および梁に連結するためののりしろが必要となる。
上辺210は、梁23の長さと同じとして梁23に固定する。右辺211は、右側帆柱22aの頂部から回転体31のリング板35に触れないまでの長さとして、右側帆柱22aに固定する。また、左辺215は、左側帆柱22bの頂部から回転体31のリング板35に触れないまでの長さとして、左側帆柱22bに固定する。
上辺210と左辺215、および上辺210と右辺211は、それぞれ鈍角をなす関係とする。右下辺212、中下辺213および左下辺214の3辺よりなる下辺は、中下辺213を上辺210より短くし、下辺全体で下方に凸の線形となる関係としている。また、下辺は、風を受けて孕んだ時に、帆の裾が回転体31のリング板35の内径域に納まる長さとしている。
左辺215、右辺211、および上辺210が、それぞれ左側の帆柱、右側の帆柱、および梁に連結されており、下辺212、213、214の十分な弛みと、左辺215および右辺210がそれぞれ上辺210に対して鈍角をなしていることにより、帆全体が風を受けて孕むことができる。
上辺210と右辺211の交点P1点と、右下辺212と中下辺213の交点Q1点とを直線で結び、上辺210と左辺215の交点P2点と、左下辺214と中下辺213の交点Q2点とを直線で結べば、帆の右側部面21Rおよび左側部面21Lは三角形の面となり、帆21の展開面が平面となるので製作が容易である。この形状の帆を、特別に平面帆と呼ぶこととする。
なお、図8等では風誘導部2を構成する他のパーツ(2点鎖線で記載)との位置関係を示している。
帆の端部の輪郭は、風上から見た帆の縁が、正時からの時計周りに、上辺210、右辺211、右下辺212、中下辺213、左下辺214、および左辺215によりなっている。輪郭上の各辺は平面帆の場合と相違ない。
帆の面の形状は、右辺211の長さを長軸半径とし、右下辺212の長さを短軸半径とした、概1/4楕円面の形状の部分を帆の右側部面21Rとする。同様に、左辺215の長さを長軸半径とし、左下辺214の長さを短軸半径とした、概1/4楕円面の形状の部分を帆の左側部面21Lとする。そして、上辺210、中下辺213、右側部面21Rの楕円曲線辺、および左側部面21Lの楕円曲線辺を4辺として曲面的に張られる部分を帆21の正面21Cとしている。その結果として、右側部面21R、左側部面21Lおよび正面21Cの3面により、平面帆に比べてより立体的に深く孕むことができる。このように孕んだ時の帆の風下方向鉛直断面を概1/4楕円面とすることにより、水平方向からの風が滑らかに鉛直下方へ誘導されることになり誘導効率が向上する。
側部面が三角形の側部共用三面帆は、後述する側部面が概1/4楕円面の側部共用三面帆に比べて、風の誘導性において劣るが、製作が容易であることが利点となる。
図13は、側部面を折れ線面形状とし、中下辺を無くし、正面21C部分を帆の上側の限られた三角形範囲に収めた形状とした側部共用三面帆の無風時の概要図である。正面21C部分を少なくし過ぎると、風を下向きへ変える誘導機能が低くなることが窺える。
孕んだ帆の下辺とリング板35の内径の円とで囲まれる風上側の空間が、実際に流入口として機能する流入口面積(実効流入口面積)となる。例えば、図15で斜線で示す部分である。上述した羽根板34の長さの段落0052で「流出口総面積が流入口面積(リング板35の内径円面積)に対する割合Pが50〜70%の範囲が良好で、60%付近が最もよいことが分かった。」としたが、流入口面積として実効流入口面積を用いてもよい。
また、帆の下辺が回転体31の流入口Kの範囲からはみ出すことを防止するための固定部材56により、下辺の孕みが流入口Kの範囲内に抑えられている。
3面の帆による風誘導部2を用いる場合に比べて、実効流入口面積は狭められている。これは、帆の裾の放物線の開きは、円周を面数により分割して得られる一つの弦の長さに影響されることによる。4分割の場合は、3分割の場合に比べて弦の長さは短くなる。
また、ビル風のような正逆二方向の風に対応する風力回転装置として、図21のように1枚の帆を用いるのでなく、それぞれ別の帆柱に張られた対向する2枚の帆を用いてもよい。正方向からの風を1枚の帆が受け、逆方向からの風を他の1枚の帆が受ける。1枚で行う場合にくらべ、帆柱を風上側へ設けることができることから帆の膨らみが増して風誘導性が向上する。また、帆が破損し難くなる。
なお、一方向からの風であれば、予め風を受けて孕んだ形状に帆21の全体もしくは一部を固定しておくことが考えられ、その場合は固定部の材質として積極的にメタルを利用することができる。帆21の一部の固定では、帆柱22や梁23の近傍の帆21の部分が固定の対象となる。その際には、帆柱22や梁23と一体化した形状とすることも可能である。
帆の下辺を構成する左下辺、中下辺および右下辺の各辺は、直線状、曲線状、もしくは折れ線状のいずれかの辺としてよい。また、風の有無に拘わらず、下辺が回転体31に接触しないことを考慮した範囲内で、下方に広げることにより、風の捕捉効率の向上を図ることができる。
なお、各帆の中下辺の長さをゼロとすることも考えられる。中下辺の長さをゼロとした場合、側部面を規定するQ1、Q2の点は、中下辺との交点ではなく、左下辺と右下辺との交点となり同一となる。この場合は、正面は帆の上部における三角形状の部分として形成される。
その結果、左側部となる帆の範囲と、隣り合わせる帆の右側部となる帆の範囲とを、背面同士でぴったりと重ね合わせることができる。つまり、左側部の範囲と、隣り合わせる帆の右側部の範囲とを、一枚の帆の範囲として共用することができる。
この共用を、各帆柱を挟んで隣り合わせる各帆の全てにおいて行う。その結果として得られる帆の全体を、上述したように側部共用三面帆とする。そして、風誘導部を構成する帆とする。
このことにより、何れの帆においても、中下辺の中間点を中心とする下辺の一部を、回転体31の流入口の内部にまで垂らしこませることができる。その結果、帆の高さを増すことができ、帆と回転体31の上面との隙間を少なくして、風の捕捉効率を向上させることができる。
また、回転体31の流入口の周囲が、全面的に帆で囲われる状態が無くなる。その結果、機敏に流入口から風を取り入れることが可能となるとともに、風向の急変にも対応しやすくなる。
一つの理由は、面の捕捉風量の減少である。
各帆柱が正三角形の各頂点の位置にある3本の場合、正面風を受ける幅として、左右の各帆柱とリング板35の円の中心を結んでできる中心角は120度である。一方、各帆柱が正方形の各頂点の位置にある4本の場合は、同様の中心角は90度である。リング板35の円の中心と帆柱の距離を等しくした場合、正面風を受ける幅は、帆柱を3本とし帆の面数を3面とした方が大きくなる。その結果、多くの風量を取り込める。
二つ目の理由は、風向に対する捕捉風量の変動度合いの差である。
帆が捉えることができる風の幅は、任意の風向きにおいて、その風向きに対する帆の風対面投影面積に相当する。帆が3面の場合に捉えることができる風の幅の割合は、正三角形の一辺の長さを1とすれば、正面風(当該帆の2本の帆柱を結んだ線に対して垂直であり、残りの1本の帆柱と反対方向からの風)および後面風(正面風の方向から180度回転した方向からの風)の場合の1から斜め風(正面風より±30度回転した方向からの風)の場合の0.87(正三角形の辺に対する高さ相当)の間での変動である。
一方、帆が4面の場合は正方形の一辺の長さを1とすれば、正面風の場合の1(あるいは0.69)から斜め風(正面風より±45度回転した方向からの風)の場合の1.44(あるいは1)(対角線相当)の間で変動する。
また、帆の合計面積を同じとすれば、3面の帆は4面の帆に比べて一辺が約1.3倍になり、風を捉える幅を増すことができる。
このように、風誘導部において3面の帆に対して4面の帆とすることのデメリットは、面の捕捉風量が減少すること、風向による捕捉風量の変動が大きいことが挙げられる。
なお、3面の帆の場合の記述における後面風は、正面に該当する面の帆を除く2面の帆により風を受ける。これら2面の帆にとっては、後面では無く、2面の内の1面ではそれらの正面風より60度、および残りの1面では−60度回転した方向からの風である。
風誘導部においては、右下辺に対する固定部材は、右隣の帆の左下辺に対する固定部材でもある。また、左下辺に対する固定部材は、左隣の帆の右下辺に対する固定部材でもある。
なお、固定部材により固定された範囲の下辺近傍の帆の部分は、後面風を受けた場合に風を逃がす流れ面の状態になる。しかし、近傍でない帆の大部分は受け面の状態に孕むので風を充分に捉えることができる。
(1)風誘導部の帆柱は重量構造物を支えるものではないので、その設置は格段に容易になる。帆柱の先端からステイを設けて、風誘導部の安定性向上を図ることが望ましい。
(2)風誘導部と風力回転ユニットを一体化させることにより、風力回転装置の全体的な剛性と安定性を増す。
先ず、台風など襲来が予測できる場合に、帆は基盤近傍にあることから、取り外し等の事前対策が比較的容易である。
また、帆の上げ下げを行える仕組みとしておけば、さらに簡易に事前対策が行える。
突風の発生が予測できない場合は、帆をビニールシートのような比較的弱く安価な材料で製作し、破損を許容しておくこともできる。
なお、回転体31の過剰回転に対しては、事前に開口板の開口部を適度に覆って風の流入量を抑制することもできる。
つまり、
1)流入した風を、羽根板34の隙間から放射方向に漏らさず、全て捉えて利用する羽根板34の配置。
2)流入口面積を多く確保するために配慮した羽根板34の傾きと幅。
3)空気を集積された状態で流出させることを考慮して短くした羽根板34の長さ。
である。
(1)回転体31は、リング板35の内径域から回転体内部に風を取り込み、その風の全てが回転円周りの羽根を通過することとなる。このため、取り込んだ風のエネルギーを余すことなく利用できる。ただし、回転円面全域で風を受けるため、回転体31に作用する風圧は大きくなる。結果として、回転体31を水平回転軸の回転体31として支柱の先端に据え付けて利用することが困難となる。つまり、プロペラ風車に増して、支柱の安定性確保、風向への対面性確保が困難となる。
回転体31に大きな風圧が作用しても、支持安定性を問題なく確保したい。そのために、回転体31を、流入口を上に向けて安定した基盤により支えることとし、その流入口へ風を送る装置とした。ただし、この装置は、任意な水平方向の風を鉛直下向きに風向を変える風誘導部無くしては成り立たない。
(2)風誘導部は、受風面積を回転体31の流入口面積より広くとる集風機能を備えることができる。集風された風は、風の流れを適切に下向きの流れへ変える形状の帆により集積され、単位容積当たりのエネルギーを高めた状態で帆の裾から回転体31へ送り込まれる。このように、回転体31は、集風された風のエネルギーを効率的に取り込むことができる最適な回転体31である。
(3)風誘導部では、吹き流される帆の下辺と回転体31の上面との隙間から風が漏れてしまうことが危惧される。これに対し、風誘導部の帆は、無風状態において、帆の下辺の中心部を回転体31の流入口内部まで垂らし込んで長くすることができる。その結果、風を捉えて吹き流される帆の下辺と回転体上面との隙間を少なくし、この隙間からの風の漏れを抑制する。
(4)風誘導部に用いられる側部共用三面帆は、水平な任意方向からの風を的確に捉えることができる。また、回転体31の流入口の周囲を全面的に帆で囲ってしまうことが無い。その結果、風向の急変においても、回転体31へ風を円滑に誘導する機能が有る。
<風力水循環装置>
風力回転装置1の風力で駆動される風力水循環装置42について説明する(図22参照)。
風力回転装置1が台船421の上に載せられている。
回転体31の回転軸33にスクリュー422が軸支されており、スクリュー422は台船421上の軸受付支持台423と台船421を貫通して水中に伸びている。スクリュー422は、上部に開口424を有した揚水管425に囲まれている。台船421は浮き426を備えている。
スクリュー422の回転により、下方の水が揚水管425内を上昇して開口424から周囲に拡散される。また、スクリュー422の逆回転により、上方の水が下方に拡散される。
風力水循環装置42により水循環をさせることによって水質の改善を図ることができる。
風力回転装置1の風力で駆動される風力曝気装置43について図23(a)を用いて説明する。
風力曝気装置43は、風力回転装置1の回転体31に接続されたエアー圧縮機431と、圧縮されたエアーを保留するエアータンク432と、空気を水中に曝気する散気器433と、エアー圧縮機431、エアータンク432、散気器433を連通連結するエアーホース434とを備えている。
風力曝気装置43を水上に設置する場合を図23(b)に示す。風力回転装置1、エアー圧縮機431及びエアータンク432が浮き435を備えた台船436に載せられている。
これらの風力曝気装置43により水上養殖の溶存酸素供給、下水、排水処理の散気処理、閉鎖水域の水質浄化を図ることができる。
なお、散気器433を備えずに風力曝気装置を利用することも考えられる。その方法は、例えば、水中に配置されたエアータンクに圧縮空気を蓄積した後に、大量の圧縮空気をエアータンクから一気に放出させることにより、水循環流を発生させるものである。
(1)任意の羽根板34の外側端と円板の中心とを結ぶ線上に、該羽根板34の内側に隣接する羽根板34の内側端が位置していなくてもよい。内側に隣接する羽根板34の内側端は、外側の羽根板34の外側端と円板の中心とを結ぶ線上よりも、外側の羽根板側に周方向で近づいた所でも、外側の羽根板34から周方向で離れた所に位置してもよい。
(2)実施形態では風の補足性の良い柔軟なシートによる帆を主体に記述した。しかし、風の捕捉性は劣るものの強度、耐久性がより高い剛な帆を用いることも可能である。例えば、図12の形状を剛な材料で製作することによる。よって、帆の材質に特に制限はなく、布、樹脂、メタル等、種々の材料を用いることができる。
(3)帆の固定手段は、帆柱に限定されず、帆を固定できるならどのような手段でもよい。
2 風誘導部
21 帆
22 帆柱
23 梁
3 回転体部
31 回転体
32 円板
33 回転軸
34 羽根板
35 リング板
4 回転駆動装置
41 発電機
42 風力水循環装置
43 風力曝気装置
5 ハウジング
W 風
Claims (14)
- 円板と、該円板の中心に設けられた回転軸と、該円板の外周領域に立設された複数の羽根板とを有し、
前記羽根板は、前記円板の径方向に対して傾けて設けられており、
任意の前記羽根板の外側端と前記円板の中心とを結ぶ線上に、該羽根板の内側に隣接する羽根板の内側端が位置し、
任意の前記羽根板の外側端から、該羽根板の内側に隣接する羽根板の内側端までの距離(D1)を1としたときの、任意の前記羽根板の外側端から該羽根板の内側に隣接する羽根板の外側端までの円弧距離(D2)が1.2以上2.1以下であり、
前記羽根板は外側に向けて凸状に湾曲した形状であることを特徴とする回転体。 - 前記羽根板の長さ(L)は、流入口面積(S1)と、前記距離(D1)に対する前記円弧距離(D2)の割合と、前記円板の半径(R)と、流入口面積(S1)に対する流出口総面積(S2)の割合(P)に応じて決められ、下式の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の回転体。
L=S1×((D2/D1)2+1)1/2/(2πR)×P
ここに、P=S2/S1
0.7≦P≦1.0 - 風を下向きに方向変換する風誘導部と、該風誘導部の下方に設けられ、該風誘導部からの下向きの風によって回転する回転体を有する回転体部とを備える風力回転装置であって、
前記風誘導部は、風を受ける帆と該帆を支持する帆柱とを有し、
前記回転体は、前記下向きの風に面する円板と、該円板の中心に設けられた回転軸と、前記円板の外周領域に立設された複数の羽根板とを有し、
前記複数の羽根板は、円板の周方向に間隙を開けて略等間隔に配されていることを特徴とする風力回転装置。 - 前記回転体において、
前記羽根板は、前記円板の径方向に対して傾けて設けられており、
任意の前記羽根板の外側端と前記円板の中心とを結ぶ線上に、該羽根板の内側に隣接する羽根板の内側端が位置し、
任意の前記羽根板の外側端から、該羽根板の内側に隣接する羽根板の内側端までの距離(D1)を1としたときの、任意の前記羽根板の外側端から該羽根板の内側に隣接する羽根板の外側端までの円弧距離(D2)が1.2以上2.1以下であり、
前記羽根板は外側に向けて凸状に湾曲した形状であることを特徴とする請求項3に記載の風力回転装置。 - 前記羽根板の長さ(L)は、流入口面積(S1)と、前記距離(D1)に対する前記円弧距離(D2)の割合と、前記円板の半径(R)と、流入口面積(S1)に対する流出口総面積(S2)の割合(P)に応じて決められ、下式の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の風力回転装置。
L=S1×((D2/D1)2+1)1/2/(2πR)×P
ここに、P=S2/S1
0.7≦P≦1.0 - 前記帆が3枚以上であって、各帆の面が水平方向外側に向けられていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の風力回転装置。
- 前記帆として帆布を用いる場合に、前記帆の側部面を隣り合わせる各帆で共用することを特徴とする請求項6に記載の風力回転装置
- 前記帆が1枚であって、該帆の表面方向からの風と裏面方向からの風を受けることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の風力回転装置。
- 前記帆が2枚であって、該2枚の帆は対向して設けられていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の風力回転装置。
- 前記帆の材質が布、樹脂、メタル、及びそれらの複合材のいずれかであることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の風力回転装置。
- 請求項3乃至10のいずれか1項に記載の風力回転装置と、該風力回転装置の回転軸に軸連結された発電装置とによって発電する風力発電装置。
- 請求項3乃至10のいずれか1項に記載の風力回転装置と、該風力回転装置に接続されたスクリューによって水循環を行う風力水循環装置。
- 請求項3乃至10のいずれか1項に記載の風力回転装置と、該風力回転装置に接続されたエアー圧縮機と、エアーホースとを備え、水中に曝気する風力曝気装置。
- 前記風力曝気装置が散気器を備えることを特徴とする請求項13に記載の風力曝気装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114044099A (zh) * | 2021-12-21 | 2022-02-15 | 广东岭南职业技术学院 | 一种圆周运动轨迹转化为近似椭圆运动轨迹的结构 |
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JPS5940585U (ja) * | 1982-09-01 | 1984-03-15 | 渡辺 洋 | 風力空気ポンプ |
JP3169592U (ja) * | 2011-05-26 | 2011-08-04 | 俊之 上村 | 推力回転体 |
JP3189449U (ja) * | 2013-12-27 | 2014-03-13 | 照親 田浦 | 風のエネルギーを水のエネルギーに替える装置 |
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