JP2019216142A - リチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの製造方法 - Google Patents

リチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムの溶け残りを防止し、かつ短時間でプレドープを行うことが可能なリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係るリチウムイオンキャパシタは、負極と、正極と、セパレータと、電解液とを有する。負極は、金属箔である負極集電体と、第1の主面と第2の主面に形成された負極活物質層とを有する。正極は、金属箔であり、第3の主面と第4の主面に形成された正極活物質層とを有する。正極、負極及びセパレータは積層されて捲回され、蓄電素子の直径は20mm以上である。第2の主面は、蓄電素子の外周側において負極活物質層が形成されていない未塗工領域を有し、上記未塗工領域には金属リチウムが接合され、金属リチウムは、蓄電素子の外周において1周より多く2周以下の捲回数で捲回され、電解液に浸漬されることで、負極活物質層にリチウムイオンのプレドープがなされている。【選択図】図6

Description

本発明は、正極、負極及びセパレータが捲回されて構成されたリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの製造方法に関する。
リチウムイオンキャパシタは電気二重層コンデンサの正極とリチウムイオン電池の負極を組み合わせることによって構成される。リチウムイオンキャパシタは、完成状態で負極に十分な量のリチウムイオンを吸蔵させる必要があるが、正極材料の活性炭にはリチウムが含まれないため、リチウム源を別途準備し、電気化学的にリチウムイオンをプレドープさせる必要がある。
リチウムイオンのプレドープでは、負極とリチウムの電位差を利用して反応を進めるため、長時間の処理が必要となる。例えば、特許文献1には、捲回構造の蓄電素子の中央部及び外周部にリチウム源を配置し、かつ外周のリチウム源を蓄電素子の全面に配置しないようにしてプレドープを行う技術が開示されている。
また、特許文献2には、積層構造の蓄電素子を複数のユニットに分割し、ユニット間にリチウム源を配置してプレドープを技術が開示されている。
特開2010−157541号公報 国際公開第2006/112068号
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、蓄電素子の捲回数が20回を超える場合には必要なリチウム量が多く、リチウム源が厚くなるため、プレドープに多くの時間が必要となる。
また、特許文献2に記載の構成では、蓄電素子を複数に分割するため、製造工程が複雑となるほか、蓄電に寄与しない副部材が多く必要となる。また、蓄電素子の積層数を多くするとプレドープに多くの時間が必要となる。
さらに、プレドープでは、リチウム源が負極と電気的に接続されている必要があるが、リチウムが溶解するに伴い、この電気的な接続が解除され、リチウムが溶け残る場合がある。この場合、負極のリチウムイオンドープ量が不足し、蓄電性能が低下する。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、リチウムの溶け残りを防止し、かつ短時間でプレドープを行うことが可能なリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るリチウムイオンキャパシタは、負極と、正極と、セパレータと、電解液とを有する。
上記負極は、金属箔であり、第1の主面と上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する負極集電体と、上記第1の主面と上記第2の主面に形成された負極活物質層とを有する。
上記正極は、金属箔であり、第3の主面と上記第3の主面とは反対側の第4の主面を有する正極集電体と、上記第3の主面と上記第4の主面に形成された正極活物質層とを有する。
上記セパレータは、上記正極と上記負極を絶縁する。
上記電解液は、上記正極と上記負極と上記セパレータを浸漬する。
上記正極、上記負極及び上記セパレータは積層され、上記第1の主面及び上記第3の主面が捲回内側となり、上記第2の主面及び上記第4の主面が捲回外側となるように捲回され、上記セパレータが上記正極と上記負極を隔てている蓄電素子であって、上記蓄電素子の直径は20mm以上である。
上記第2の主面は、上記蓄電素子の外周側において上記負極活物質層が形成されていない未塗工領域を有し、上記未塗工領域には金属リチウムが接合され、
上記金属リチウムは、上記蓄電素子の外周において1周より多く2周以下の捲回数で捲回され、上記電解液に浸漬されることで、上記負極活物質層にリチウムイオンのプレドープがなされている。
蓄電素子の直径が20mm以上である場合、負極活物質層にドープ可能なリチウムイオンの量が大きいため、製造時に負極に接続される金属リチウムの量が多くなる。ここで、金属リチウムの厚みが一定以上であると、金属リチウムと負極の電気的接続が解除され、金属リチウムが溶け残るおそれがある。このため、金属リチウムの捲回数を1周より多くし、金属リチウムの厚みを制限することで、金属リチウムの溶け残りを防止することが可能となる。一方で、金属リチウムの捲回数が2周より多い場合、内周側の金属リチウムから生じたリチウムイオンが負極活物質層に先にドープされるため、外周側の金属リチウムから生じたリチウムイオンが負極活物質層にドープされにくくなり、プレドープに要する時間が長くなる。したがって、金属リチウムの捲回数を1周より多く2周以下とすることにより、金属リチウムの溶け残りを防止し、かつプレドープを短時間で行うことが可能となる。
上記金属リチウムは、120μm以上320μm以下の厚みを有するものであってもよい。
上記蓄電素子の直径は22mm以上24mm以下であり、
上記金属リチウムは、170μm以上220μm以下の厚みを有するものであってもよい。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るリチウムイオンキャパシタの製造方法は、金属箔であり第1の主面と上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する負極集電体の上記第1の主面と上記第2の主面に負極活物質層を形成し、上記第2の主面に上記負極活物質層が設けられていない未塗工領域を形成して負極を作製する。
金属箔であり、第3の主面と上記第3の主面とは反対側の第4の主面を有する正極集電体と、上記第3の主面と上記第4の主面に形成された正極活物質層とを有する正極を作製する。
上記正極、セパレータ及び上記負極を積層し、記第1の主面及び上記第3の主面が捲回内側となり、上記第2の主面及び上記第4の主面が捲回外側となるように捲回させ、上記セパレータが上記正極と上記負極を隔てている、直径20mm以上の蓄電素子を形成する。
上記未塗工領域に金属リチウムを接合し、上記金属リチウムを、上記蓄電素子の外周において1周より多く2周以下の捲回数で捲回させて上記蓄電素子を形成する。
上記蓄電素子を電解液に浸漬させ、上記金属リチウムから上記負極活物質層にリチウムイオンをドープさせる。
以上のように本発明によれば、リチウムの溶け残りを防止し、かつ短時間でプレドープを行うことが可能なリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの製造方法を提供することが可能である。
本発明の実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの斜視図である。 同リチウムイオンキャパシタが備える蓄電素子の斜視図である。 同蓄電素子の断面図である 同蓄電素子が備える負極の平面図である。 同蓄電素子が備える正極の平面図である。 同蓄電素子の断面図である。 同蓄電素子における金属リチウムの捲回数を示す模式図である。 同蓄電素子における金属リチウムの捲回数を示す模式図である。 同蓄電素子における金属リチウムの捲回数を示す模式図である。 同蓄電素子の構成を示す表である。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタについて説明する。
[リチウムイオンキャパシタの構成]
図1は、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ100の構成を示す斜視図である。同図に示すようにリチウムイオンキャパシタ100は、蓄電素子110が容器120(蓋及び端子は図示略)に収容されて構成されている。容器120内には、蓄電素子110と共に電解液が収容されている。
図2は蓄電素子110の斜視図であり、図3は蓄電素子110の拡大断面図である。図2及び図3に示すように、蓄電素子110は、負極130、正極140及びセパレータ150を有し、これらが積層された積層体が捲回芯Cの回りに捲回されて構成されている。なお、以下の図においてX、Y及びZ方向は相互に直交する3方向である。なお、捲回芯Cは必ずしも設けられなくてもよい
蓄電素子110を構成する負極130、正極140、セパレータ150の積層順は、図2に示すように、捲回芯C側に向かって(捲回外側から)セパレータ150、負極130、セパレータ150、正極140の順となる。また、蓄電素子110は、図2に示すように負極端子131と正極端子141を有する。負極端子131は負極130、正極端子141は正極140に接続され、図2に示すように、それぞれ蓄電素子110の外部に引き出されている。
負極130は、図3に示すように、負極集電体132及び負極活物質層133を有する。負極集電体132は、導電性材料からなり、銅箔等の金属箔であるものとすることができる。負極集電体132は表面が化学的あるいは機械的に粗面化された金属箔や、貫通孔が形成された金属箔が好適である。
負極活物質層133は、負極集電体132上に形成されている。負極活物質層133の材料は、負極活物質がバインダ樹脂と混合されたものとすることができ、さらに導電助材を含んでもよい。負極活物質は、電解液中のリチウムイオンが吸着可能な材料であり、例えばハードカーボン、グラファイト又はソフトカーボン等の炭素系材料を用いることができる。
バインダ樹脂は、負極活物質を接合する合成樹脂であり、例えばカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、フッ素系ゴム、ポリビニリデンフルオライド、イソプレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレン系ゴム等とすることができる。
導電助剤は、導電性材料からなる粒子であり、負極活物質の間での導電性を向上させる。導電助剤は、例えば、黒鉛やカーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電助剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
図4は捲回前の負極130を示す模式図であり、図4(a)はY方向から見た図、図4(b)はZ方向から見た図である。負極130は、図4(a)に示すように、負極集電体132の第1主面132a及び第2主面132bの両面に負極活物質層133が形成されている。
ここで、負極130には、図4(a)に示すように、第2主面132bに負極活物質層133が形成されていない未塗工領域130a及び端子接続領域130bが設けられている。
未塗工領域130aでは、図4(b)に示すように、リチウムイオンの供給源となる金属リチウムMが負極集電体132に接合される。金属リチウムMは厚みが一定の箔状とすることができる。金属リチウムMの必要量は、負極活物質層133への吸着可能量によって決まり、詳細については後述する。
端子接続領域130bでは、図4(a)に示すように、負極集電体132に負極端子131が接続され、負極130の外部に引き出されている。また、端子接続領域130bは負極集電体132が露出しないように、テープ等により封止されていてもよい。負極端子131は、例えば、銅端子である。
正極140は、図3に示すように、正極集電体142及び正極活物質層143を有する。正極集電体142は、導電性材料からなり、アルミニウム箔等の金属箔であるものとすることができる。正極集電体142は表面が化学的あるいは機械的に粗面化された金属箔や、貫通孔が形成された金属箔が好適である。
正極活物質層143は、正極集電体142上に形成されている。正極活物質層143の材料は、正極活物質がバインダ樹脂と混合されたものとすることができ、さらに導電助材を含んでもよい。正極活物質は、電解液中のリチウムイオン及びアニオンが吸着可能な材料であり、例えば活性炭又はPAS(Polyacenic Semiconductor:ポリアセン系有機半導体)等を利用することができる。
バインダ樹脂は、正極活物質を接合する合成樹脂であり、例えばカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、フッ素系ゴム、ポリビニリデンフルオライド、イソプレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレン系ゴム等とすることができる。
導電助剤は、導電性材料からなる粒子であり、正極活物質の間での導電性を向上させる。導電助剤は、例えば、黒鉛やカーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電助剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
図5は捲回前の正極140を示す模式図であり、図5(a)はY方向から見た図、図5(b)はZ方向から見た図である。正極140は、図5(a)に示すように、正極集電体142の第3主面142aと第4主面142bの両面に正極活物質層143が形成され、第3主面142aに正極活物質層143が形成されていない端子接続領域140aが設けられている。
ここで、端子接続領域140aでは、図5に示すように、正極集電体142に正極端子141が接続され、正極140の外部に引き出されている。なお、端子接続領域140aは、正極集電体142が露出しないようにテープ等により封止されていてもよい。正極端子141は、例えば、アルミニウム端子である。
セパレータ150は負極130と正極140を絶縁し、図3に示すように、第1セパレータ151及び第2セパレータ152を有する。
第1セパレータ151と第2セパレータ152は、負極130と正極140を隔て、電解液中に含まれるイオンを透過する。具体的には、第1セパレータ151及び第2セパレータ152は、織布、不織布、ガラス繊維、セルロース繊維又はプラスチック繊維等からなる多孔質シートとすることができる。また、第1セパレータ151及び第2セパレータ152は連続した一枚のセパレータであってもよい。
図6は蓄電素子110の模式的な断面図である(負極端子131及び正極端子141は図示略)。蓄電素子110は、図6に示すように、第1セパレータ151及び第2セパレータ152を介して負極130と正極140が積層され、捲回されている。具体的には、負極集電体132の第1主面132aと正極集電体142の第3主面142aが捲回内側となり、負極集電体132の第2主面132bと正極集電体142の第4主面142bが捲回外側となるように構成されている。なお、図6は蓄電素子110の捲回構造を模式的に示す図であり、実際の捲回数はより多数である。
蓄電素子110の最も捲回外側(最外周)の電極は負極130であり、図6に示すように、負極130の外周側には未塗工領域130aが位置する。未塗工領域130aにおいては、負極集電体132の第2主面132bに金属リチウムMが接合されている。
以下、蓄電素子110において、未塗工領域130aより捲回内側(図6中、破線より内側)の部分を電極捲回体160とする。
容器120(図1参照)は、蓄電素子110を収容する。容器120の上面及び下面は図示しない蓋によって閉塞されるものとすることができる。容器120の材質は、特に限定されず、例えばアルミニウム、チタン、ニッケル、鉄を主成分とする金属又はステンレス等からなるものとすることができる。
リチウムイオンキャパシタ100は以上のように構成されている。蓄電素子110と共に容器120に収容される電解液は、カチオンであるリチウムイオンとアニオンを含む液体であり、任意に選択することが可能である。
アニオンとしてはBF (四フッ化ホウ酸イオン)、PF (六フッ化リン酸イオン)、(CFSO(TFSAイオン)等を挙げることができる。溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルイソプロピルスルホン等を含むものとすることができる。
具体的には、電解液は四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)または、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)のプロピレンカーボネート溶液等でもよい。
リチウムイオンキャパシタ100では、金属リチウムMが接合された蓄電素子110が電解液と接触すると、金属リチウムMが酸化溶解し、金属リチウムMからリチウムイオン(Li)と電子(e)が生じる。リチウムイオンは電解液中に拡散し、負極活物質層133に含まれる負極活物質にドーピングされ、電子が負極130に流れる。この状態でエージングされることにより、負極130にリチウムイオンのプレドープが施される。
金属リチウムMは、全量がリチウムイオンとして溶解し、負極130にドープされる必要がある。金属リチウムMが溶け残ると、蓄電素子110の充放電に寄与するリチウムイオンが不足し、蓄電性能が低下するためである。例えば金属リチウムMが一定以上の厚みを有すると、負極集電体132の近傍の金属リチウムMが溶解した後、金属リチウムMと負極集電体132の電気的接続が失われ、金属リチウムMの溶解が停止するおそれがある。
[金属リチウムの捲回数について]
上記のように、蓄電素子110の外周側の負極130に設けられた未塗工領域130aには金属リチウムMが接合され、金属リチウムMは蓄電素子110の外周において電極捲回体160の周囲に捲回されている。
図7乃至図9は金属リチウムMの捲回数を示す模式図である。なお、これらの図においては電極捲回体160の外周では金属リチウムMのみを示し、負極130、正極140及びセパレータ150は図示を省略している。
図7は、図6と同様に金属リチウムMが電極捲回体160の周囲に1周捲回されている状態を示し、図8は電極捲回体160の周囲に1.5周捲回されている状態を示す。図9は電極捲回体160の周囲に2周捲回されている状態を示す。
本実施形態に係る蓄電素子110では、蓄電素子110の直径は20mm以上であり、金属リチウムMの捲回数は1周より多く、2周以下となるように構成されている。
蓄電素子110の直径が20mm以上である場合、負極130にプレドープ可能なリチウムイオンの量が多くなるため、金属リチウムMは所定量が必要となる。仮に金属リチウムMの捲回数を1周以下とすると、金属リチウムMの厚みが大きくなり、プレドープ後に金属リチウムMの溶け残りが生じる。これにより、負極130の部位によってリチウムイオンのドープ量に偏り(ドープムラ)が生じる(実施例参照)。
一方で、金属リチウムMの捲回数が2周を超えると、捲回内側の金属リチウムMから生じたリチウムイオンが近接する負極130にドープされた後、捲回外側の金属リチウムMから生じたリチウムイオンが負極130にドープされる。このため、捲回外側の金属リチウムMから生じたリチウムイオンは、既に捲回内側の金属リチウムMから生じたリチウムイオンがドープされた負極130にドープされることとなり、ドープの進行が遅くなる(実施例参照)。
したがって、蓄電素子110の直径は20mm以上の場合、金属リチウムMの捲回数は1周より多く、2周以下となる構成が好適である。
[リチウムイオンキャパシタの製造方法]
本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ100の製造方法について説明する。なお、以下に示す製造方法は一例であり、リチウムイオンキャパシタ100は、以下に示す製造方法とは異なる製造方法によって製造することも可能である。
図4に示すように、負極集電体132の第1主面132a及び第2主面132bに負極活物質、導電助剤及びバインダ等を含む負極ペーストを塗布し、乾燥又は硬化させることによって負極活物質層133を形成する。
未塗工領域130a及び端子接続領域130bは予めマスキングテープで被覆し、負極ペースト塗布後にマスキングテープを除去することにより形成することができる。端子接続領域130bにおいて負極集電体132に負極端子131を接続し、負極130を得る。
また、図5に示すように、正極集電体142の第3主面142a及び第2主面142bに正極活物質、導電助剤及びバインダ等を含む正極ペーストを塗布し、乾燥又は硬化させることによって正極活物質層143を形成する。
端子接続領域140aは予めマスキングテープで被覆し、正極ペースト塗布後にマスキングテープを除去することにより形成することができる。端子接続領域140aにおいて正極集電体142に正極端子141を接続し、正極140を得る。
続いて、負極130、正極140、第1セパレータ151及び第2セパレータ152を積層させて、負極130を捲回芯Cに挟持させ、図6に示すように未塗工領域130aが捲回外側となるように捲回芯Cを中心として捲回させる。
続いて、未塗工領域130aに、金属リチウムMを接合し、蓄電素子110を得る。金属リチウムMは、蓄電素子110の外周において1周より多く2周以下の捲回数で捲回させる。さらに、蓄電素子110を電解液が入っている容器120に収容して、封口する。これにより、金属リチウムMから負極活物質層133にリチウムイオンがドープされる。
以上のようにして、リチウムイオンキャパシタ100を製造することが可能である。
上記実施形態において説明した構造を有するリチウムイオンキャパシタを以下のようにして作製した。
エッチングにより貫通孔を形成したアルミニウム箔に活性炭を含む正極材料を塗布し、所定の幅に裁断して正極を作製した。また、エッチングにより貫通孔を形成した銅箔にハードカーボンを含む負極材料を塗布し、所定の幅に裁断して負極を作製した。
正極及び負極は、200℃で減圧乾燥を行った。セパレータ、正極端子及び負極端子を加熱減圧環境下で乾燥させたのち、正極、負極及びセパレータを上記のように積層し、捲回することで蓄電素子を作製した。負極には負極活物質の未塗工領域を設け、金属リチウムを所定の捲回数で巻回させた。
図10は、作製した蓄電素子の構成を示す表である。同図に示すように、蓄電素子は、直径20mm、22mm及び24mmの3種類を作製した。蓄電素子の直径から、プレドープに必要な金属リチウム量(図中、必要Li量)を算出した。
プレドープに必要なリチウム量は、負極1gがリチウムイオンをドープ可能な最大量(比容量:mAh/g)と負極活物質量の積が最大量となるようにドープ率を調整することで最大量に対して任意に設定することができるが、図10の表ではドープ率を固定している。
また、蓄電素子に占める負極の割合で特性を制御することができ、蓄電素子に占める負極が少ない場合には蓄電素子の容量が大きく、寿命が短くなる。蓄電素子に占める負極が多い場合には蓄電素子の容量が小さく、寿命が長くなる。
算出したリチウム量と蓄電素子の直径から、金属リチウムの捲回数を1周と仮定した場合の金属リチウムの厚み(図中、1周となるLi厚)を算出した。
また、金属リチウムの厚みを120μmから320μmの厚みに設定し、その際にプレドープに必要なリチウム量を満たす金属リチウムの捲回数(図中、設定Li厚毎の捲回数)を算出した。金属リチウムの捲回数による評価結果を図10に示す。
図10中、「1周以下」の欄は金属リチウムの捲回数が1周以下であり、金属リチウムの溶け残りによるドープムラが生じる設計を示す。また、図10中、「2周超」の欄は、金属リチウムの捲回数が2周を超えるため、ドープの速度が遅くなる設計を示す。
例えば、蓄電素子の直径が24mmであり、必要なリチウム量が0.28gである場合、金属リチウムの厚みを320μmとすると、金属リチウムの捲回数は0.88となり、1周以下であるため、ドープムラが生じる。また、金属リチウムの厚みを120μmとすると、金属リチウムの捲回数は2.36となり、2周を超えるため、ドープの速度が遅くなる。
このように、蓄電素子の直径が20mm以上、金属リチウムの厚みが120μm以上320μm以下の場合、金属リチウムの捲回数は1周より多く2周以下とすることにより、短時間でドープムラを生じさせることなく、プレドープが可能である。特に、蓄電素子の直径が22mm以上24mm以下であり、金属リチウムの厚みが170μm以上220μm以下の場合、金属リチウムの捲回数は1周より多く2周以下となるため、より好適である。
100…リチウムイオンキャパシタ
110…蓄電素子
130…負極
130a…未塗工領域
131…負極端子
132…負極集電体
133…負極活物質層
140…正極
141…正極端子
142…正極集電体
143…正極活物質層
150…セパレータ
160…電極捲回体
M…金属リチウム

Claims (4)

  1. 金属箔であり、第1の主面と前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する負極集電体と、前記第1の主面と前記第2の主面に形成された負極活物質層とを有する負極と、
    金属箔であり、第3の主面と前記第3の主面とは反対側の第4の主面を有する正極集電体と、前記第3の主面と前記第4の主面に形成された正極活物質層とを有する正極と、
    前記正極と前記負極を絶縁するセパレータと、
    前記正極と前記負極と前記セパレータを浸漬する電解液と
    を有し、
    前記正極、前記負極及び前記セパレータは積層され、前記第1の主面及び前記第3の主面が捲回内側となり、前記第2の主面及び前記第4の主面が捲回外側となるように捲回され、前記セパレータが前記正極と前記負極を隔てている蓄電素子であって、前記蓄電素子の直径は20mm以上であり、
    前記第2の主面は、前記蓄電素子の外周側において前記負極活物質層が形成されていない未塗工領域を有し、前記未塗工領域には金属リチウムが接合され、
    前記金属リチウムは、前記蓄電素子の外周において1周より多く2周以下の捲回数で捲回され、前記電解液に浸漬されることで、前記負極活物質層にリチウムイオンのプレドープがなされている
    リチウムイオンキャパシタ。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタであって、
    前記金属リチウムは、120μm以上320μm以下の厚みを有する
    リチウムイオンキャパシタ。
  3. 請求項2に記載のリチウムイオンキャパシタであって、
    前記蓄電素子の直径は22mm以上24mm以下であり、
    前記金属リチウムは、170μm以上220μm以下の厚みを有する
    リチウムイオンキャパシタ。
  4. 金属箔であり第1の主面と前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する負極集電体の前記第1の主面と前記第2の主面に負極活物質層を形成し、前記第2の主面に前記負極活物質層が設けられていない未塗工領域を形成して負極を作製する工程と、
    金属箔であり、第3の主面と前記第3の主面とは反対側の第4の主面を有する正極集電体と、前記第3の主面と前記第4の主面に形成された正極活物質層とを有する正極を作製する工程と、
    前記正極、セパレータ及び前記負極を積層し、記第1の主面及び前記第3の主面が捲回内側となり、前記第2の主面及び前記第4の主面が捲回外側となるように捲回させ、前記セパレータが前記正極と前記負極を隔てている、直径20mm以上の蓄電素子を形成する工程であって、
    前記未塗工領域に金属リチウムを接合し、前記金属リチウムを、前記蓄電素子の外周において1周より多く2周以下の捲回数で捲回させて前記蓄電素子を形成する工程と、
    前記蓄電素子を電解液に浸漬させ、前記金属リチウムから前記負極活物質層にリチウムイオンをドープさせる工程と
    を含むリチウムイオンキャパシタの製造方法。
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