JP2019215519A - 光学系、それを備える撮像装置及び撮像システム - Google Patents

光学系、それを備える撮像装置及び撮像システム Download PDF

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Abstract

【課題】 スリットにおける光束の軌跡の湾曲を抑制することができる光学系、それを備える撮像装置及び撮像システムの提供。【解決手段】 物体側から像側へ順に配置された前群11、遮光部材4、後群12から成る光学系10であって、遮光部材4には、第1の方向に長い開口が設けられており、前群11は、非球面2,3を有し、第1の方向に平行な第1の断面においては開口上に物体を結像せず、第1の方向に垂直な第2の断面においては開口上に物体の中間像を形成しており、後群12は、第2の断面において開口を通過した光束を互いに波長が異なる複数の光束に分光する回折面5を有し、第2の断面において複数の光束を互いに異なる位置に集光しており、第2の断面における非球面2,3のチルト角は、第1の方向において変化する。【選択図】 図2

Description

本発明は、物体からの光束を分光して画像情報を取得する撮像装置に用いられる光学系に関し、例えば製造業、農業、医療などの産業分野における検査や評価に好適なものである。
従来、被検物(物体)からの光束を互いに波長が異なる複数の光束に分光し、各光束を互いに異なる位置に集光する光学系が知られている。特許文献1には、物体からの光束を、シリンドリカルミラーによって一方向に長いスリット上に集光してから回折格子により分光する光学系が記載されている。
米国特許第7199877号公報
ここで、特許文献1に記載の光学系について、スリットの長手方向を含む断面での広画角化を実現するために、その断面においてシリンドリカルミラーに曲率(パワー)を持たせることが考えられる。
しかしながら、スリットの長手方向を含む断面においてシリンドリカルミラーに曲率を持たせた場合、シリンドリカルミラーにより反射された光束の軌跡がスリットの短手方向に湾曲してしまう。そのため、光束の一部がスリットを通過せずに遮光されてしまう可能性が生じる。
本発明は、スリットにおける光束の軌跡の湾曲を抑制することができる光学系、それを備える撮像装置及び撮像システムの提供を目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された前群、遮光部材、後群から成る光学系であって、前記遮光部材には、第1の方向に長い開口が設けられており、前記前群は、非球面を有し、前記第1の方向に平行な第1の断面においては前記開口上に物体を結像せず、前記第1の方向に垂直な第2の断面においては前記開口上に前記物体の中間像を形成しており、前記後群は、前記第2の断面において前記開口を通過した光束を互いに波長が異なる複数の光束に分光する回折面を有し、前記第2の断面において前記複数の光束を互いに異なる位置に集光しており、前記第2の断面における前記非球面のチルト角は、前記第1の方向において変化することを特徴とする。
本発明によれば、スリットにおける光束の軌跡の湾曲を抑制することができる光学系、それを備える撮像装置及び撮像システムの提供が可能になる。
実施形態に係る光学系のXY断面における要部概略図。 実施形態に係る光学系のZX断面における要部概略図。 実施形態に係る回折光学素子の要部概略図。 チルト変化面による効果を説明するための模式図。 実施形態に係るチルト変化面のチルト量及びチルト変化量を示す図。 実施形態に係る遮光部材の開口上におけるスポットダイヤグラムを示す図。 実施形態に係る第1,第2反射面の第2の断面における曲率半径を示す図。 実施形態に係る第3,第4反射面の第2の断面における曲率半径を示す図。 実施形態に係る第4反射面のzx断面での部分曲率を示す図。 実施形態に係る異なる複数の波長の光束の集光状態を示す図。 比較例に係る異なる複数の波長の光束の集光状態を示す図。 実施例1に係る光学系のMTFを示す図。 実施例2に係る光学系の要部概略図。 実施例2に係る光学系のMTFを示す図。 実施例3に係る光学系の要部概略図。 実施例3に係る光学系のMTFを示す図。 実施例4に係る光学系の要部概略図。 実施例4に係る光学系のMTFを示す図。 実施例5に係る遮光部材の開口上におけるスポットダイヤグラムを示す図。 実施形態に係る光学系の使用例1としての撮像システムの要部概略図。 実施形態に係る光学系の使用例2としての撮像システムの要部概略図。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
以下の説明においては、絶対座標系としてXYZ座標系を定め、光学面ごとのローカル座標系としてxyz座標系を定めている。ローカル座標系において、x軸は各光学面の頂点(原点)における法線方向の軸(光軸)、y軸はY軸に平行かつ原点においてx軸と直交する軸、z軸はx軸及びy軸に直交する軸である。また、Y方向及びy方向を第1の方向(読取方向)、Z方向及びz方向を第2の方向(分光方向)、XY断面及びxy断面を第1の断面(読取断面)、ZX断面及びzx断面を第2の断面(分光断面)とも呼ぶ。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る光学系10の要部概略図であり、図1は第1の断面を示し、図2は第2の断面を示している。なお、図1及び図2においては、各部材の光軸を含む断面での形状を示しており、図1では便宜的に各部材を同一の紙面内に示している。また、図1及び図2では、便宜的に回折面における回折格子を省略している。本実施形態では、YZ平面に平行な物体面におけるZ=0の近傍の位置に被検物が配置されており、光学系10の像面に撮像素子の受光面7が配置されているものとする。また、被検物は、太陽光などの白色光(複数の波長成分を有する光)により照明されているものとする。
本実施形態に係る光学系10は、物体側から像側へ順に配置された前群11、遮光部材(スリット部材)4、及び後群12で構成される。光学系10は、−X側に位置する不図示の被検物からの光束を集光することで、受光面(像面)7に被検物の像を形成している。前群11は、絞り1、第1反射面2、及び第2反射面3を有する。また、後群12は、第3反射面(回折面)5及び第4反射面6を有する。なお、受光面7の直前にはカバーガラスGが配置されているが、これは結像に寄与しないものとして扱う。
絞り1は、被検物からの光束の第2の方向における幅を規制するための部材であり、その開口面がX方向に垂直になるように配置されている。ただし、絞り1は光学系10の外部に設けられていてもよい。なお、図1及び図2に示すように、光学系10における光束の入射口(絞り1)と出射口(受光面7)を、各光学面を挟んで互いに反対側に配置することが望ましい。これにより、光学系10を撮像装置に適用した際に、被検物からの光束が撮像素子や配線等によって遮られることを回避し易くすることができる。
遮光部材4には、第1の方向に長い開口(スリット)が設けられている。遮光部材4は、光学系10の第2の断面における画角を制限して不要光を遮光しつつ、光束の第1の方向における幅を規制する絞りとしての役割を果たしている。なお、遮光部材4の開口の幅は、求められる光量や解像度などに応じて決定される。遮光部材4の開口の第2の方向における幅は、第1の方向における幅(数mm)よりも短く、数μm〜数100μmであることが望ましい。遮光部材4の開口の第2の方向における幅について、大き過ぎる場合は受光面7での解像度が低下してしまい、小さすぎる場合は結像に寄与する有効光束が遮光され易くなってしまうため、10μm以上0.2mm以下であることがより好ましい。
絞り1及び遮光部材4における開口以外の領域は、少なくとも光学系10の使用波長帯域(設計波長帯域)の光が透過しない遮光面となっている。絞り1及び遮光部材4としては、板金に穴を開けたものや、ガラス板の表面にクロム蒸着を施したものなどを採用することができる。このような遮光部材4を採用することにより、光学系10は第1の方向に長いライン状の読取領域(被検領域)の像を形成することができる。
第1反射面2、第2反射面3、及び第4反射面6は、自由曲面形状を有するベース面に反射コーティングを施すことで得られる反射面である。各反射面のベース面は、ガラス、樹脂、金属などから成るブロック材を加工(切削、研磨、型によるモールド成形など)することによって形成される。反射コーティングは、使用波長帯域において十分なエネルギー効率(光利用効率)を実現することができる分光反射特性を有していることが望ましい。なお、ベース面が使用波長帯域において十分な反射率を有する場合は、反射コーティングを省略してもよい。
本実施形態において、第1反射面2、第2反射面3、及び第4反射面6の夫々は非球面であり、具体的には第1の断面と第2の断面とで曲率(パワー)が異なるアナモフィック光学面(アナモフィック反射面)である。これにより、第1の断面と第2の断面とで異なる光学的作用を生じさせることができる。特に、第1反射面2及び第2反射面3は、第2の断面におけるチルト角(チルト量)が第1の方向において変化するチルト変化面である。これにより、遮光部材4における軸上主光線及び最軸外主光線の入射位置を第2の方向において互いに近づけることができ、開口における光束の湾曲を抑制することが可能になる(詳細は後述)。なお、ここでのチルト角とは、各反射面のzx断面における頂点での法線のx軸(xy断面)に対する角度を示している。
なお、前群11は少なくとも一つのチルト変化面を有していればよく、例えば第1反射面2又は第2反射面3の何れか一方を球面としたりチルト変化面ではないアナモフィック反射面としたり、あるいは何れか一方を取り除いたりしてもよい。ただし、本発明の効果を容易に得るためには、第1反射面2又は第2反射面3の両方をチルト変化面とすることが望ましい。
また、後群12は少なくとも一つの回折面を有していればよく、例えば回折面5のベース面をアナモフィック面とした上で、第4反射面6を球面としたり取り除いたりしてもよい。ただし、回折面5により生じる波長ごとに異なるコマ収差などを良好に補正するためには、後群12において回折面5以外にも光学面を設けることが望ましく、本実施形態のように回折面5の像側にアナモフィック光学面を配置することがより好ましい。なお、回折面5を前群11に設けた場合、一部の波長の光束しか遮光部材4の開口を通過できなくなってしまう。よって、回折面5は後群12に設けることが必要である。
また、光学系10において、光学面同士でパワーを分担することで収差の発生を抑制するためには、前群11及び後群12の全ての光学面をアナモフィック光学面とすることがより好ましい。前群11及び後群12の構成は上述したものに限らず、各群における光学面を増減させてもよい。ただし、全系の小型化と部品点数の削減を実現するためには、本実施形態のように前群11及び後群12の夫々を二つの反射面で構成することが望ましい。
本実施形態においては、全ての光学面を反射面とすることで、光路を折り曲げて光学系10の小型化を実現しつつ、色収差の発生を抑制している。このとき、光学系10の小型化のためには、図2に示すように、前群11及び後群12の夫々において光路が交差するように(4の字になるように)各反射面を配置することが望ましい。なお、必要に応じて反射面を含む反射部材としてプリズムや内面反射ミラーを用いてもよいが、上述したように色収差の発生を抑制するためには、反射部材を外面反射ミラーとし、反射面が空気に隣接するように構成することが望ましい。また、必要に応じて少なくとも一つの光学面を屈折面(透過面)としてもよい。
ただし、特に後群12においては、不図示の保持部材や配線などが遮光部材4や受光面7の周りに配置されるため、屈折光学素子を配置するための十分なスペースを確保することが難しい。仮に十分なスペースを確保できたとしても、色収差を良好に補正するためには複数の屈折光学素子を配置することが必要になるため、全系が大型化してしまう。よって、少なくとも後群12に含まれる全ての光学面を反射面とすることが望ましい。さらに、前群11に含まれる全ての光学面を反射面とすることがより好ましい。
図3は、本実施形態に係る回折面5を含む回折光学素子(反射光学素子)50の要部概略図であり、図3(a)は斜視図、図3(b)は正面図(+x方向から見た図)を示している。回折面5は、ベース面51と、ベース面51に設けられた回折格子52とで構成されている。なお、図3においては、便宜的に回折格子52のうち一部のみを拡大して示している。
回折面5におけるベース面51は、他の反射面と同様に自由曲面形状を有している。回折格子52は、サブミクロンからミクロンのオーダのピッチで配置された複数の格子(凸部)から成り、その各格子の高さもサブミクロンからミクロンのオーダとなっている。回折格子52としては、zx断面での形状が、階段形状、矩形凹凸形状、ブレーズ形状、SIN波形状であるものなどを採用することができる。回折格子52の形状は、求められる回折効率及び製造の容易性を考慮して選択される。
本実施形態では回折効率の向上及び製造の容易化の両立が比較的容易であるブレーズ形状を採用している。ブレーズ形状の回折格子において、ベース面51に対してx方向に最も離れた部分を格子頂点、入射光を反射させる(回折させる)部分をブレーズ面(格子面)、ブレーズ面に隣接する回折に寄与しない部分を格子壁面と呼ぶ。本実施形態に係る回折面5は、受光面7の側(像側)にブレーズ面が向かい、物体側に格子壁面が向かうように配置されている。これにより、図2における受光面7の+Z側に短波長の光束が入射し、−Z側に長波長の光束が入射することになる。
ベース面51は、上述した他の反射面と同様の方法で形成される。回折格子52は、ベース面51を切削や研磨などによって加工することで形成することができるが、ベース面51を形成する際に同時に回折格子52を形成してもよい。例えば、金型を構成する鏡面駒の表面に微細な凹凸構造を設け、その金型を用いたモールド成形によって回折格子52が設けられた回折光学素子50を製造してもよい。なお、回折効率を向上させるために、回折格子52の表面に反射コーティングを施してもよい。
また、図3(b)に示すように、zx断面での各格子の頂点に対応する複数の稜線が互いに平行になるように回折格子52を構成することが望ましい。さらに、回折格子52の各稜線の間隔を一定とすることがより好ましい。これにより、切削や研磨によるベース面51の加工を容易にすることができる。ただし、必要に応じて各稜線の間隔を非一定としてもよい。例えば、光学系10におけるより高度な収差補正を実現するために、z方向において各稜線の間隔を変化させてもよい。
なお、他の反射面と同様に回折面5のベース面51も非球面とすることが望ましく、具体的にはxy断面とzx断面とで曲率が異なるアナモフィック面とすることが望ましい。これにより、他のアナモフィック光学面とともにパワーを分担することができるため、収差の補正が容易になる。本実施形態においては、回折面5のベース面51をアナモフィック面としているが、回折格子52の製造の容易性を重視して、ベース面51を平面や球面で構成してもよい。
図1及び図2を用いて、光学系10の作用について説明する。
被検物から出射した光束は、絞り1の開口を通過した後、第1反射面2及び第2反射面3で反射されて遮光部材4に到達する。このとき、前群11は、第1の断面(XY断面)においては遮光部材4の開口上に被検物を結像せず、第2の断面(ZX断面)においては遮光部材4の開口上に被検物の中間像を形成している。すなわち、前群11は第1の断面において焦点位置が物体面と一致しないように構成されている。これにより、遮光部材4の開口上には、第1の方向に長いライン状の中間像(線像)が形成されることになる。なお、ここでの「開口上」とは、厳密な開口の位置に限らず、開口の位置から光軸方向に微小に離れた開口の近傍(略開口上)も含むものとする。
遮光部材4の開口を通過した光束は、第2の断面において回折面5によって互いに波長が異なる複数の光束に分光される。このとき、回折面5における回折格子はz方向に配列された複数の格子(稜線)から成るため、回折面5に入射した光束はz方向においてのみ分光作用を受け、y方向においては分光作用を受けない。そして、回折面5からの複数の光束は、第4反射面6で反射されて像面に配置された受光面7に入射する。このとき、互いに波長が異なる複数の光束は、第2の断面において受光面7における互いに異なる位置に集光される。すなわち、本実施形態に係る光学系10によれば、受光面7に波長ごとの複数の像を形成することができるため、受光面7は波長ごとの複数の画像情報を取得することができる。
このように、本実施形態に係る光学系10は、読取方向を含む第1の断面と分光方向を含む第2の断面とで異なる光学的作用を生じている。具体的には、第1の断面では被検物を遮光部材4の開口上に一旦結像せずに受光面7に結像しているが、第2の断面では被検物を遮光部材4の開口上に一旦結像してから受光面7に再結像している。すなわち、第1の断面では被検物を1回結像する一方で、第2の断面では被検物を2回結像している。
この構成によれば、第1の断面においては遮光部材4の開口を通過する際の光束(開口に入射する光束)の収束状態が制限されないため、光学系10の設計自由度を向上させることができる。よって、前群11と後群12とでパワーを適切に分担して受光面7に被検物を結像することができ、諸収差の補正が容易になるため、広画角化(読取領域の広域化)と撮像画像の高精細化を両立することができる。
具体的には、第1の断面における焦点位置が物体面と一致しないように前群11を構成することで、遮光部材4の開口を通過する際の光束を非平行光とすることができる。これにより、第1の断面における広画角化を実現することが容易になる。仮に、遮光部材4の開口を通過する際の光束が平行光である場合、光学系10を広画角化するためには後群12に多数の光学素子を配置することが必要になり、全系が大型化してしまう。本実施形態においては、遮光部材4の開口を通過する際の光束を発散光とすることで広画角化を実現しているが、必要に応じて遮光部材4の開口を通過する際の光束を収束光としてもよい。
また、第1の断面においても遮光部材4の開口上に被検物を一旦結像する場合は、前群11及び後群12の夫々が単独で収差を補正しなくてはならない。よって、各光学面のパワーを大きくすることが必要になるなど、各光学面の設計自由度が低下し、光学系10の広画角化が難しくなる。一方、第2の断面においては、広画角化の必要がないため、遮光部材4の開口上に被検物を一旦結像することで高NA化が可能になる。
上述した構成において、前群11及び後群12の夫々は、第1の断面と第2の断面とで互いに異なるパワーを有することになる。この構成を実現するためには、前群11及び後群12の夫々にアナモフィック光学面を設けることが必要になる。このとき、前群11に含まれるアナモフィック光学面には、第2の断面だけでなく第1の断面にも積極的にパワーを持たせること(曲率の絶対値を0よりも大きくすること)が望ましい。そして、第1の断面において前群11のパワーの符号と後群12のパワーの符号とを互いに異ならせることがより好ましい。
具体的に、第2の断面においては、被検物を遮光部材4の開口上に一旦結像してから受光面7に再結像するために、前群11及び後群12に正のパワーを持たせる必要がある。一方、第1の断面では、被検物を遮光部材4の開口上に一旦結像する必要がないため、更なる広画角化を実現するために、前群11に負のパワーを持たせ、後群12に正のパワーを持たせることが望ましい。これにより、第1の断面においては光学系10がレトロフォーカスタイプになるため、全系の焦点距離が短くなり広画角化を実現することができる。ただし、被検物が光学系10から十分に離れている場合は、前群11に正のパワーを持たせ、後群12に負のパワーを持たせることで、光学系10を望遠光学系としてもよい。
図2を用いて、回折面5によって光束が分光される様子を説明する。ここでは、被検物の1点から発された白色光束が、λ1[nm]、λ2[nm]、λ3[nm](λ2<λ1<λ3)の各波長の光束に分光される場合を考える。ただし、図2においては各光束のうち主光線及びマージナル光線のみを示している。
被検物から発された白色光束における主光線L1P及びマージナル光線L1U,L1Lは、絞り1、第1反射面2、及び第2反射面3を介して遮光部材4の開口上にライン状の中間像を形成する。遮光部材4の開口を通過した主光線L2P及びマージナル光線L2U,L2Lは、回折面5によって、波長λ1の光線L3P,L3U,L3Lと、波長λ2の光線L4P,L4U,L4Lと、波長λ3の光線L5P,L5U,L5Lに分光される。そして、波長λ1、波長λ2、及びの波長λ3の各光線の夫々は、受光面7における第1の位置73、第2の位置74、及び第3の位置75に集光される。
次に、第1反射面2及び第2反射面3の形状及び作用について詳細に説明する。
図4は、反射面のチルト角の第1の方向における変化による効果を説明するための模式図である。図4では、軸上物点からの光束の主光線(軸上主光線)501及び最軸外物点からの光束の主光線(最軸外主光線)502,503が、反射面により反射されて遮光部材の開口401を通過するときの様子を示している。図4(a)ではチルト角が変化していない反射面510を示し、図4(b)では平面反射面に対してチルト角の変化を与えることで得られた反射面520を示している。また、図4(c)では、図4(a)の反射面510に図4(b)の反射面520と同様のチルト角の変化を与えることで得られた反射面530を示している。
図4(a)に示すように、反射面510により反射された光線のうち、軸上主光線501はz方向において遮光部材の開口401の位置に入射している。一方、最軸外主光線502,503は、遮光部材の開口401からずれ量511だけ離れた位置(遮光面)に入射している。このように、反射面510がチルト変化面でない場合、反射面510により反射された各主光線の遮光部材に対する入射位置は、軸上と最軸外とで大きく異なってしまう。その結果、被検物からの光束の軌跡512がz方向において大きく湾曲し、軸外物点からの光束が開口401を通過できなくなってしまう。
なお、反射面が平面である場合、その平面反射面により反射された光束の軌跡はz方向において湾曲することはないため、軸上物点から最軸外物点にかけての各光線は開口401を通過することになる。一方、図4(b)に示すように、平面反射面のzx断面でのチルト角をy方向において連続的に変化させることにより、被検物からの光束の軌跡522を意図的にz方向において湾曲させることができる。
そこで、図4(c)に示すように、反射面510に対して反射面520と同様のチルト角の変化を与えることで、遮光部材における軸上主光線501及び最軸外主光線502,503の入射位置をz方向において互いに近づけることができる。これにより、最軸外主光線502,503の開口401に対するずれ量511を低減し、光束の軌跡532を開口401の形状に略一致させることができる。したがって、チルト変化面を用いることで、光束の一部が開口401を通過せずに遮光部材で遮光されてしまうことを防ぐことが可能になる。
上述したように、本実施形態に係る第1反射面2及び第2反射面3はチルト変化面であるため、遮光部材4の開口における軸上主光線及び最軸外主光線の入射位置を第2の方向において互いに近づけることができる。これにより、開口における光束の湾曲を抑制し、軸上物点から最軸外物点にかけての各光線が開口を通過するように構成することができる。したがって、本実施形態に係る光学系10によれば、第1の断面において各反射面にパワーを持たせることで広画角化を実現しつつ、光束の一部が遮光部材4で遮光されることによる光学性能の劣化を抑制することが可能になる。
図5は、本実施形態に係る第1反射面2及び第2反射面3のチルト角とその変化量を示す。図5において、実線のグラフは第1反射面2を示し、破線のグラフは第2反射面3を示している。図5(a)において、横軸は各反射面のローカル座標系における原点に対するy方向での位置[mm]を示し、縦軸は各反射面のチルト角(チルト量)[deg]を示す。また、図5(b)において、横軸は各反射面のローカル座標系における原点に対するy方向での位置[mm]を示し、縦軸は各反射面のチルト角の変化量(チルト変化量)[deg/mm]を示す。チルト変化量は、チルト量の1階微分値に相当し、チルト量をTとするときdT/dyで表される。
図5(a)に示すように、第1反射面2及び第2反射面3のチルト量は、y方向において変化しており、その変化はz軸に対して対称となっている。このとき、各反射面の設計及び製造を容易にするためには、図5(a)に示すように各反射面のチルト量を単調に(連続的に)変化させることが望ましい。各反射面のチルト量の変化が単調でない場合、各反射面に変曲点が生じてしまい、各反射面の製造が難しくなるだけでなく、その変曲点の近傍における波面収差が生じやすくなってしまう。
また、図5(b)に示すように、第1反射面2及び第2反射面3のチルト変化量は、同一物点に対して近い値になっている。このように、各チルト変化面における同一物点からの光束が通過する領域のチルト変化量を互いに近づけることで、同一物点からの光束の湾曲を良好に低減することができる。具体的に、第1反射面2及び第2反射面3における、同一物点からの光束が通過する領域のチルト変化量を各々|dT/dy|、|dT/dy|とするとき、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
1.00≦|dT/dy|/|dT/dy|≦1.50 ・・・(1)
条件式(1)の上限値を上回ると、第1反射面2及び第2反射面3のチルト変化量の差が大きくなり過ぎてしまい、同一物点からの光束の湾曲を良好に低減することが難しくなる。なお、条件式(1)は、第1反射面2のチルト変化量が第2反射面3のチルト変化量以上である場合(|dT/dy|≧|dT/dy|)を前提としている。もしも第1反射面2のチルト変化量が第2反射面3のチルト変化量よりも小さい場合は、第1反射面2のチルト変化量を|dT/dy|、第2反射面3のチルト変化量を|dT/dy|と読み替えれば良い。
本実施形態において、第1反射面2の軸上におけるチルト量と最軸外におけるチルト量の差は1degであり、第2反射面3の軸上におけるチルト量と最軸外におけるチルト量の差は0.4degである。また、第1反射面2及び第2反射面3における、最軸外物点からの光束が通過する領域のチルト変化量は各々0.26deg/mm及び0.20deg/mmであり、|dT/dy|/|dT/dy|=1.30となるため、条件式(1)を満足する。さらに、以下の条件式(1a)を満足することがより好ましい。
1.00≦|dT/dy|/|dT/dy|≦1.35 ・・・(1a)
図6は、本実施形態に係る遮光部材4の開口上における、各物体高からの光束の分布(スポットダイヤグラム)を示す。図6において、横軸は遮光部材4の開口におけるz方向(短手方向)での位置[mm]を示し、縦軸は遮光部材4の開口におけるy方向(長手方向)での位置[mm]を示し、各点は遮光部材4の開口と光線との交点を示す。
本実施形態に係る遮光部材4の開口のy方向における幅は3.6mmであるため、図6に示すように開口上での光束はy方向において3.6mm(±1.8)の範囲まで広がっている。そして、上述したように第1反射面2及び第2反射面3をチルト変化面とすることにより、光束の分布のz方向における湾曲が十分に低減されていることがわかる。このとき、遮光部材4の開口のz方向における幅は0.05mmであり、光束の径に対して十分に大きいため、光束はz方向においては遮光部材4で遮光されずに全て開口を通過していることがわかる。
以上、本実施形態に係る光学系10によれば、前群11にチルト変化面を設けることで、遮光部材4の開口における光束の軌跡の湾曲を抑制することができ、簡易な構成でありながら良好な光学性能を実現することが可能になる。
第1反射面2及び第2反射面3の少なくとも一方は、第2の断面における曲率半径が第1の方向における軸上位置と最軸外位置とで互いに異なる子線曲率変化面であることが望ましい。これにより、遮光部材4の開口における像面湾曲を良好に補正することができ、光束の一部が遮光部材4の遮光面で遮光されてしまうことを防ぐことが可能になる。一般的に、光学系を広画角化した場合は像面湾曲が顕著に生じるため、子線曲率変化面を採用することで広画角化が容易になる。このことについて以下で詳細に説明する。
図7は、前群11における各反射面の第2の断面(zx断面)における曲率半径を示す図である。図7(a)及び図7(b)の夫々は、第1反射面2及び第2反射面3の曲率半径を示している。図7において、横軸は各反射面のローカル座標系における原点に対するy方向での位置[mm]を示し、縦軸は各反射面の第2の断面における曲率半径R[mm]を示す。
図7に示すように、本実施形態に係る第1反射面2及び第2反射面3は、何れも第2の断面における曲率半径が第1の方向における軸上位置と最軸外位置とで互いに異なる子線曲率変化面である。これにより、第2の断面において、遮光部材4の開口における軸上位置と最軸外位置とで光束の集光位置が光軸方向にずれるという像面湾曲を補正することができる。よって、例えば第2反射面3の最軸外位置で反射された光束が遮光部材4の開口の前後に集光されて、その一部が遮光部材4の遮光面で遮光されてしまうことを防ぐことが可能になる。
このとき、図7に示すように、第1反射面2及び第2反射面3の曲率半径を軸上位置から最軸外位置に向かって変化させることが望ましい。これにより、第1の方向における軸上位置から最軸外位置までの全域において、第2の断面での像面湾曲を良好に補正することができる。すなわち、軸上位置から最軸外位置までの全域において、光束の第2の断面での集光位置を遮光部材4の開口上に揃えることができる。このとき、図7に示すように、各反射面の曲率半径を単調に(連続的に)変化させることが望ましい。各反射面の曲率半径の変化が単調でない場合、各反射面に変曲点が生じてしまい、各反射面の製造が難しくなるだけでなく、その変曲点の近傍における波面収差が生じやすくなってしまう。
遮光部材4の開口における像面湾曲を補正するためには、軸上位置と少なくとも一方の最軸外位置とで曲率半径を異ならせればよい。ただし、より良好に像面湾曲を補正するためには、本実施形態のように軸上位置と二つの(両端の)最軸外位置とで曲率半径を異ならせることが望ましい。このとき、軸上位置及び一方の最軸外位置の曲率半径の大小関係(変化の方向)と、軸上位置及び他方の最軸外位置の曲率半径の大小関係とは、互いに等しくすることが好ましい。すなわち、軸上位置での曲率半径に対して両方の最軸外位置での曲率半径を大きくするか、軸上位置での曲率半径に対して両方の最軸外位置での曲率半径を小さくすることが好ましい。
なお、前群11は少なくとも一つの子線曲率変化面を有していればよく、例えば第1反射面2又は第2反射面3の何れか一方を球面としたり子線曲率変化面ではないアナモフィック光学面としたり、あるいは何れか一方を取り除いたりしてもよい。特に、前群11において第2の断面での曲率半径が最も小さい(パワーが最も大きい)光学面を子線曲率変化面とすることが望ましい。本実施形態においては、第1反射面2の曲率半径よりも第2反射面3の曲率半径の方が小さいため、少なくとも第2反射面3を子線曲率変化面とすることで容易に像面湾曲を補正することができる。ただし、本発明の効果を容易に得るためには、第1反射面2又は第2反射面3の両方を子線曲率変化面とすることが望ましい。
子線曲率変化面を複数設ける場合は、各反射面の曲率半径の大小に応じて曲率半径の変化量の大小を決定することが望ましい。本実施形態では、図7に示すように、曲率半径が大きい第1反射面2の曲率半径の変化量よりも、曲率半径が小さい第2反射面3の曲率半径の変化量の方が小さくなっている。そして、第2の断面において、第1反射面2の曲率半径が軸上位置から最軸外位置に向かって小さくなり、第2反射面3の曲率半径が軸上位置から最軸外位置に向かって大きくなっている。これにより、第1の方向における軸上位置から最軸外位置までの全域において、第2反射面3からの光束の第2の断面での集光位置を遮光部材4の開口の位置に略一致させることができる。ただし、各反射面の曲率半径の変化の仕方は、本実施形態に示したものに限られず、光学系の全系の設計に応じて決定することが望ましい。
図8は、図7と同様に後群12における各反射面の第2の断面における曲率半径を示したものである。図8(a)及び図8(b)の夫々は、第3反射面5のベース面及び第4反射面6の曲率半径を示している。図8に示すように、前群11だけでなく後群12にも子線曲率変化面を設けることで、受光面7における第2の断面での像面湾曲を補正することができる。本実施形態では、図8に示すように、第3反射面5及び第4反射面6の曲率半径を軸上位置から最軸外位置に向かって小さくなるように変化させている。
図8(a)に示したように、第3反射面5のベース面の曲率半径が最軸外位置の近傍で大きくなっているが、この部分は結像に寄与しない部分(非有効領域)である。すなわち、第3反射面5のベース面の結像に寄与する部分(有効領域)の曲率半径については、軸上位置から最軸外位置に向かって単調に減少している。なお、前群11と同様に、各反射面の曲率半径の変化の仕方は、本実施形態に示したものに限られず、光学系の全系の設計に応じて決定することが望ましい。
なお、本実施形態においては、図8(a)に示したように、第3反射面5のベース面の曲率半径を軸上位置と最軸外位置とで互いに異ならせることで、第3反射面5の屈折によるパワー(屈折パワー)を軸上位置と最軸外位置とで互いに異ならせている。一方で、第3反射面5の回折によるパワー(回折パワー)は、軸上位置と最軸外位置とで互いに等しくすることが望ましい。回折パワーが軸上位置と最軸外位置とで互いに異なる場合、軸上位置と最軸外位置とで分光性能が異なってしまい、良好な分光情報(画像情報)が得られなくなる可能性が生じる。本実施形態では、上述したように第3反射面5における回折格子がz方向に配列された複数の格子(稜線)から成るため、回折パワーが軸上位置と最軸外位置とで等しくなっている。ただし、ここでの「等しい」とは、厳密に一致する場合だけでなく、略一致する(略等しい)場合も含む。
上述した特許文献1に記載の光学系では、レンズに対する各光束の入射角が互いに異なるため、波長ごとに異なるコマ収差が生じてしまう。このような波長ごとに異なるコマ収差を補正するためには、多数のレンズを用いる必要があり、光学系の構成が複雑になってしまう。よって、簡素な構成でありながら波長ごとに異なる収差を補正する光学系を実現するためには、第4反射面6の形状を工夫することが望ましい。このことについて詳細に説明する。
図9は、第2の断面における第4反射面6の部分曲率(非球面量)を示している。図9において、横軸は第4反射面6のローカル座標系における原点に対するz方向での位置[mm]を示し、縦軸は第4反射面6の部分曲率1/R[1/mm]を示している。なお、Rは、第2の断面における第4反射面6の部分曲率半径である。また、図9において、実線、破線、一点鎖線の夫々は、ローカル座標系におけるy=0.0[mm]、y=−6.0[mm]、y=−10.0[mm]の各位置でのグラフを示している。
図9を見てわかるように、部分曲率1/Rは光軸(x軸)に対して−z側と+z側とで非対称である。具体的に、部分曲率1/Rは、+z側よりも−z側の方で大きくなっている。更に、部分曲率1/Rは、光軸に対して−z側と+z側とで異なる変化(非対称な変化)をしている。本実施形態において、部分曲率1/Rは、−z側においては軸外に向かうに従い大きくなり、+z側においては軸外に向かうに従い小さくなっている。また、部分曲率1/Rは、y=0[mm]の位置から離れるほど大きくなっている。
図10は、本実施形態に係る異なる複数の波長の光束の、光軸を含む第2の断面(y=0[mm])における受光面7での集光状態を示している。図10(a)、図10(b)、図10(c)の夫々は、λ1=700nm、λ2=400nm、λ3=1000nmの各波長の光束の主光線及びマージナル光線が受光面7に至るまでの光路を示している。本実施形態においては、波長λ1=700nmの主光線が第4反射面6の光軸(x軸)上に入射するように設計している。なお、図10において、各波長の光線の符号は図2に示したものと同様であり、図2と同様に回折面5における回折格子を省略している。
図10(a)、図10(b)、図10(c)の夫々に示すように、第4反射面6の光軸に対して+z側、すなわち回折面5のベース面の頂点54と同じ側(近い側)の曲率は、軸外に向かうに従い小さくなっている。一方、第4反射面6の光軸に対して−z側、すなわち回折面5のベース面の頂点54とは反対側(遠い側)の曲率は、軸外に向かうに従い大きくなっている。これにより、第4反射面6の+z側に入射するマージナル光線L3L及び第4反射面6の−z側に入射するマージナル光線L3Uの夫々が、主光線L3Pへ近づくよう反射される。図10を見てわかるように、何れの波長の光束についても、受光面7におけるコマ収差が良好に補正されている。
ここで、本実施形態に係る第4反射面6の効果を説明するために、光学系10のうち第4反射面6のみを変更した比較例を考える。
比較例に係る第4反射面6は、本実施形態に係る第4反射面6の第2の断面の形状を表す表現式における非球面係数の一部をゼロにしたものである。具体的には、後述する式(数2)における非球面係数M01,M21,M41,M03,M23,M43,M05,M25,M45の値ゼロにしたものである。ただし、M01,M05,M25,M45の値は本実施形態においてもゼロである。これらの非球面係数は、第4反射面6の光軸に対する対称性に関するものである。すなわち、比較例に係る第4反射面6の部分曲率1/Rは、本実施形態とは異なり光軸に対して対象である。
図11は、比較例に係る異なる複数の波長の光束の、光軸を含む第2の断面における受光面7での集光状態を、図10と同様に示したものである。図11(a)、図11(b)、図11(c)の夫々は、λ1=700nm、λ2=400nm、λ3=1000nmの各波長の光束の主光線及びマージナル光線が受光面7に至るまでの光路を示している。図11(a)、図11(b)、図11(c)の夫々に示すように、比較例においては、受光面7における各波長の主光線及びマージナル光線の集光位置が一致しておらず、コマ収差が良好に補正されていない。
このように、本実施形態では、第2の断面において、回折面5の像側に配置されたアナモフィック光学面を、光軸に対して一方の側の曲率が軸外に向かうに従い小さくなり、光軸に対して他方の側の曲率が軸外に向かうに従い大きくなるような形状としている。これにより、各波長の光束のマージナル光線を主光線に近づくように集光することができるため、波長ごとに異なるコマ収差を良好に補正することが可能になる。
具体的に、本実施形態においては、第4反射面6を、光軸に対して回折面5のベース面の頂点と同じ側の曲率が軸外に向かうに従い小さくなり、光軸に対して回折面5のベース面の頂点とは反対側の曲率が軸外に向かうに従い大きくなるように構成している。なお、回折面5や第4反射面6による光束の偏向方向(各光学面の向き)に応じて、第4反射面6の光軸に対する両側の曲率の変化の仕方を本実施形態とは反対の関係になるように構成してもよい。ただし、第2の断面において遮光部材4から回折面5に至る光路と第4反射面6から受光面7に至る光路とが交差するように構成した方が全系の小型化に有利であるため、本実施形態のように構成することが望ましい。
ここで、本実施形態に係る光学系10のF値について説明する。本実施形態に係る光学系10のように、第1の断面と第2の断面とで求められる光学性能が異なる光学系の場合は、各断面におけるF値を適切に設定することが望ましい。具体的には、第1の断面と第2の断面とで光学系10の像側のF値を異ならせることが望ましい。
一般的に、光学系の像側のF値を大きくすることで、遮光部材4の開口における結像性能を向上させ、全系を小型化しつつ被写界深度を増大させることができるが、受光面7における光量が低下し、撮像素子から出力される信号のSN比が低下してしまう。そこで、光学系10の全系を小型化しつつ広画角化と受光面7における十分な光量の確保を両立するためには、第1の断面における像側のF値をF1、第2の断面における像側のF値をF2とするとき、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
1.00<F1/F2 ・・・(2)
条件式(2)は、第1の断面における像側のF値が第2の断面における像側のF値よりも大きいということを示している。条件式(2)を満たすことにより、第1の断面におけるF値が十分に大きく(暗く)なり、広画角化と諸収差の良好な補正を実現することができる。一方、第2の断面におけるF値は十分に小さく(明るく)なるため、受光面7における十分な光量の確保と解像度の向上を実現することができる。条件式(2)の下限値を下回る場合、全系を小型化しつつ、第1の断面における広画角化と受光面7における十分な光量の確保を両立することが難しくなるため好ましくない。
さらに、以下の条件式(2a)を満たすことが望ましい。条件式(2a)の上限値を上回る場合、第1の断面における像側のF値が大きくなり過ぎてしまい、受光面7の各画素において十分な光量を確保することが難しくなるため好ましくない。
1.00<F1/F2<4.50 ・・・(2a)
また、以下の条件式(2b),(2c)を順に満たすことがより好ましい。
1.00<F1/F2<2.00 ・・・(2b)
1.03<F1/F2<1.50 ・・・(2c)
一方、光学系の像側のF値を小さくすることで、受光面7における光量を向上させることができるが、収差補正が難しくなる。そのため、波長が異なる複数の光束を識別する能力(波長分解能)を向上させたり広画角化させたりするためには、光学素子の枚数を増加させることが必要になり全系が大型化してしまう。そこで、全系を小型化しつつ高い波長分解能と受光面7における十分な光量の確保を両立するためには、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
1.00<F2/F1 ・・・(3)
条件式(3)は、第2の断面における像側のF値が第1の断面における像側のF値よりも大きいということを示している。条件式(3)を満たすことにより、第2の断面におけるF値が十分に大きく(暗く)なり、高い波長分解能を実現することができる。一方、第1の断面におけるF値は十分に小さく(明るく)なるため、受光面7における十分な光量の確保を実現することができる。条件式(3)の下限値を下回る場合、全系を小型化しつつ、第2の断面における高い波長分解能と受光面7における十分な光量の確保を両立することが難しくなるため好ましくない。
さらに、以下の条件式(3a)を満たすことが望ましい。条件式(3a)の上限値を上回る場合、第2の断面における像側のF値が大きくなり過ぎて、遮光部材4の開口において光束が回折限界を越えてしまう可能性が生じる。その場合、遮光部材4の開口を通過した光束の第2の方向における幅が大きくなってしまい、受光面7において良好な結像性能を得ることが難しくなるため好ましくない。
1.00<F2/F1<5.50 ・・・(3a)
また、以下の条件式(3b)を満たすことがより好ましい。
1.00<F2/F1<2.00 ・・・(3b)
なお、上述した条件式(2)又は(3)の何れを満足するように光学系10を構成するかについては、求められる性能に応じて選択すればよい。
次に、各光学面のパワーについて詳細に説明する。
本実施形態に係る光学系10は、第1の断面においてパワーを有する反射面を四つ備えることにより、第1の断面における広画角化と良好な光学性能を実現している。このとき、前群11において、第1反射面2及び第2反射面3の第1の断面でのパワーの符号を同一とすることが望ましい。これにより、各物体高からの光束の一部が遮光部材4の遮光面で遮光されてしまうことを抑制することができる。本実施例では、第1の断面において第1反射面2及び第2反射面3の夫々を凸面とし、夫々に負のパワーを持たせている。
具体的に、第1反射面2が凸面である場合、軸上物体高からの光線(軸上光線)よりも、軸外物体高からの光線(軸外光線)の方がより像側で反射されることになる。よって、第1反射面2における軸外光線の反射点は、図2に示した軸上光線の反射点よりも−Z側に位置することになる。このとき、仮に第2反射面3が平面又は凹面である場合、軸外光線は軸上光線よりも+X側で反射されることになる。この場合、遮光部材4に対する軸上光線の入射位置が軸上光線の入射位置に対して第2の方向にずれてしまい、軸外光線の一部が開口を通過しなくなってしまう可能性が生じる。
一方、本実施形態では、第2反射面3を第1反射面2と同様に凸面としているため、第2反射面3における軸外光線の反射点は軸上光線の反射点よりも像側(−X側)に位置することになる。すなわち、第1反射面2に起因する軸上光線及び軸外光線の反射点の位置のずれを、第2反射面3によって相殺することができる。これにより、軸上光線及び軸外光線の第2の方向における集光位置を近づけることができるため、各物体高からの光線の全てが遮光部材4の開口を通過するようにすることが可能になる。なお、第1反射面2及び第2反射面3の夫々を凹面とした場合も同様である。
ここで、第1反射面2よりも第2反射面3の方が遮光部材4に近い位置に配置されているため、第2反射面3における軸上光線及び軸外光線の反射点の間隔は、第1反射面2における軸上光線及び軸外光線の反射点の間隔よりも小さくなる。よって、第1の断面において、第1反射面2のパワーに対して第2反射面3のパワーを極端に小さくすることは好ましくない。そこで、第1反射面2及び第2反射面3の夫々の第1の断面におけるパワーをφ1m及びφ2mとするとき、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.90<φ2m/φ1m ・・・(4)
条件式(4)は、第1の断面における第2反射面3のパワーが第1反射面2のパワーの同程度以上であることを表している。条件式(4)を満たすことにより、上述したように軸上光線及び軸外光線の位置ずれを良好に補正することができる。
さらに、以下の条件式(4a),(4b)を順に満たすことがより好ましい。条件式(4a),(4b)の上限値を上回る場合、第1の断面における第2反射面3のパワーが大きくなり過ぎてしまい、収差を良好に補正することが難しくなる可能性が生じる。また、第1の断面における前群11の主平面を物体側に配置して広画角化を実現することが難しくなる可能性が生じる。
0.90<φ2m/φ1m<15 ・・・(4a)
0.92<φ2m/φ1m<10 ・・・(4b)
また、同様の理由で、後群12における第3反射面5及び第4反射面6についても、第1の断面でのパワーの符号を同一とすることが望ましい。これにより、遮光部材4の開口を通過した光束の受光面7における集光位置の第2の方向でのずれを抑制することができる。本実施例では、第1の断面において第3反射面5及び第4反射面6の夫々を凹面とし、夫々に正のパワーを持たせている。このとき、第3反射面5及び第4反射面6の夫々の第1の断面におけるパワーをφ3m及びφ4mとするとき、以下の条件式(5)を満足することが望ましく、条件式(5a),(5b)を順に満たすことがより好ましい。
1.0<φ3m/φ4m ・・・(5)
1.0<φ3m/φ4m<15 ・・・(5a)
1.5<φ3m/φ4m<8.0 ・・・(5b)
ただし、前群11や後群12の各反射面のパワーの符号を同一とすることによる効果が得られるのは、特に上述したように前群11及び後群12の夫々において光路が交差するように各反射面を配置した場合である。前群11及び後群12の夫々において光路が交差しない場合、例えば各光路がZの字のようになる場合は、必要に応じて前群11や後群12の各反射面のパワーの符号を異ならせてもよい。
なお、光学系10の小型化と低コスト化を実現するためには、光学系10を構成する光学素子の数を極力減らすことが望ましい。そこで、本実施形態では、第1の断面においてパワーを有する反射面を第1反射面2、第2反射面3、第3反射面5、及び第4反射面6のみとしている。すなわち、第1の断面において、前群11に含まれる反射面のうちパワーを有するのは第1反射面2及び第2反射面3のみであり、後群12に含まれる反射面のうちパワーを有するのは第3反射面5及び第4反射面6のみである。このように、良好な光学性能を得るために必要な最小限の反射面で光学系10を構成することで、全系の小型化を実現することができる。
本実施形態では、第1の断面において、第1反射面2及び第2反射面3の夫々に負のパワーを持たせることで前群11に負のパワーを持たせ、第3反射面5及び第4反射面6の夫々に正のパワーを持たせることで後群12に正のパワーを持たせている。これにより、上述したように、光学系10が第1の断面においてレトロフォーカスタイプになり、広画角化を実現することができる。
また、第1反射面2及び第2反射面3の夫々の第2の断面におけるパワーをφ1s及びφ2sとするとき、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
φ1s/φ2s<1.0 ・・・(6)
条件式(6)は、第2の断面における第2反射面3のパワーが第1反射面2のパワーよりも大きいことを表している。条件式(6)を満たすことで、第2の断面において、よりパワーの大きい第2反射面3を中間結像位置である遮光部材4に近づけることができる。これにより、前群11の倍率を小さくして縮小系とすることが容易になり、被写界深度を大きくすることが可能になる。条件式(6)の上限値を上回る場合、より物体側に配置された第1反射面2が大きなパワーを持つことになり、前群11を縮小系とすることが難しくなる。
さらに、以下の条件式(6a)を満たすことがより好ましい。条件式(6a)の下限値を下回る場合、第2の断面における第2反射面3のパワーが大きくなり過ぎてしまい、収差を良好に補正することが難しくなり、光束の一部が遮光部材4の開口を通過できなくなる可能性が生じる。
0.0<φ1s/φ2s<1.0 ・・・(6a)
同様に、第3反射面5及び第4反射面6の夫々の第2の断面におけるパワーをφ3s及びφ4sとするとき、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
1.0<φ3s/φ4s ・・・(7)
受光面7に形成される像の第2の方向における幅は、遮光部材4の開口の第2の方向における幅によって決まる。このとき、受光面7に形成される像の幅が大きくなると、波長分解能(分光性能)が低下してしまうため望ましくない。そこで、後群12を縮小系とし、その倍率を小さくすることが望ましい。条件式(7)を満たすことで、後群12を縮小系とすることが容易になる。
さらに、以下の条件式(7a),(7b)を順に満たすことがより好ましい。条件式(7a),(7b)の下限値を下回ると、第2の断面において、第4反射面6に入射する光束の幅及び第4反射面6のパワーが大きくなり過ぎてしまい、受光面7における各波長の光束の集光位置を適切に制御することが難しくなる。一方、条件式(7a),(7b)の上限値を上回ると、第2の断面において、第4反射面6が平面に近づいてそのパワーが小さくなり過ぎてしまい、各波長の光束の光路長差を低減することが難しくなる。言い換えると、各波長の光束の集光位置の光軸方向におけるずれを低減することが難しくなる。
1.5<φ3s/φ4s<8.0 ・・・(7a)
2.0<φ3s/φ4s<5.0 ・・・(7b)
なお、本実施形態においては、回折面である第3反射面5のベース面をアナモフィック面としているため、第3反射面5の光軸周りの回転などの配置誤差が生じた場合、非点収差の発生や被写界深度の低下に繋がってしまう。特に、後群12において光束の広がりが最も大きいのは第3反射面5に入射するときであるため、第3反射面5の配置誤差による影響が顕著になる。そこで、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
0.5<φ3s/φ3m<2.0 ・・・(8)
条件式(8)は、第3反射面5の第1の断面及び第2の断面におけるパワーが大きく異ならないということを表している。条件式(8)を満たすことで、第3反射面5の配置誤差に起因する非点収差の発生や被写界深度の低下を抑制することができる。条件式(8)を満たさない場合、第3反射面5の第1の断面及び第2の断面におけるパワーの差が大きくなり過ぎてしまい、第3反射面5の配置誤差による影響を低減することが難しくなる。
さらに、以下の条件式(8a),(8b)を順に満たすことがより好ましい。
0.6<φ3s/φ3m<1.8 ・・・(8a)
0.8<φ3s/φ3m<1.3 ・・・(8b)
また、第2の断面においては、第4反射面6に正のパワーを持たせることが望ましい。図2に示したように、第3反射面5から受光面7まで光線L4P,L5Pの光路長は、第3反射面5から受光面7まで光線L3Pの光路長よりも長くなっている。このとき、第2の断面において第4反射面6を凹面とすることで、第3反射面5からの各波長の光束の光路長差を容易に低減することができる。
[実施例1]
以下、本発明の実施例1に係る光学系10について説明する。本実施例に係る光学系10は、上述した実施形態に係る光学系10と同等の構成を採っている。
本実施例において、被検物から絞り1までの距離(物体距離)は300mm、読取領域の第1の方向における幅は300mm、第1の断面での画角は±24.17°である。また、本実施例において、使用波長帯域は400nm〜1000nmであり、受光面7における光束の結像領域(入射領域)の第2の方向での幅は2.7mmである。
本実施例に係る前群11及び後群12の第1の断面での合成焦点距離は各々−16.27mm、28.30mmであり、前群11及び後群12の第2の断面での合成焦点距離は各々19.99mm、25.76mmである。このように、本実施例に係る光学系10は、第2の断面では中間を行うことで結像性能を向上させつつ、第1の断面ではレトロフォーカスタイプを採ることで広画角化(読取領域の広域化)を実現している。
ここで、本実施例に係る光学系10の各光学面の面形状の表現式について説明する。なお、各光学面の面形状の表現式は後述のものに限られず、必要に応じて他の表現式を用いて各光学面を設計してもよい。
本実施例に係る第1反射面2、第2反射面3、第3反射面(回折面)5、及び第4反射面6の夫々のベース面の第1の断面での形状(母線形状)は、夫々のローカル座標系において以下の式で表される。
Figure 2019215519
但し、Rはxy断面での曲率半径(母線曲率半径)であり、K,B,B,Bはxy断面での非球面係数である。非球面係数B,B,Bについて、必要に応じてx軸の両側(−y側と+y側)で互いに数値を異ならせてもよい。これにより、母線形状をx軸に対してy方向に非対称な形状とすることができる。なお、本実施例では2次〜6次の非球面係数を用いているが、必要に応じてより高次の非球面係数を用いてもよい。
また、本実施例に係る各光学面の夫々のベース面の、y方向における任意の位置の第2の断面での形状(子線形状)は、以下の式で表される。
Figure 2019215519
但し、K,Mjkはzx断面での非球面係数である。また、r´は、y方向において光軸からyだけ離れた位置におけるzx断面での曲率半径(子線曲率半径)であり、以下の式で表される。
Figure 2019215519
但し、rは光軸上での子線曲率半径であり、E,Eは子線変化係数である。式(数3)においてr=0である場合は、式(数2)の右辺の第1項はゼロとして扱うものとする。なお、子線変化係数E,Eについて、必要に応じて−y側と+y側で互いに数値を異ならせてもよい。これにより、子線形状の非球面量をy方向において非対称にすることができる。また、式(数3)は偶数項のみを含んでいるが、必要に応じて奇数項を加えてもよい。また、必要に応じてより高次の子線変化係数を用いてもよい。
なお、式(数2)におけるzの1次の項は、zx断面での光学面のチルト量(子線チルト量)に寄与する項である。よって、Mjkを−y側と+y側で互いに異なる数値とすることで、子線チルト量をy方向において非対称に変化させることができる。ただし、奇数項用いることで子線チルト量を非対称に変化させてもよい。また、式(数2)におけるzの2次の項は、光学面の子線曲率半径に寄与する項である。よって、各光学面の設計を簡単にするために、式(数3)ではなく式(数2)におけるzの2次の項のみを用いて光学面に子線曲率半径を与えてもよい。
また、回折面5における回折格子の形状は、既知の回折光学理論に基づく位相関数で表されるものであれば、特に限定されるものではない。本実施例では、基本波長(設計波長)をλ[mm]、zx断面における位相係数をC1とするとき、回折面5における回折格子の形状を以下の位相関数φで定義している。但し、本実施形態では回折格子の回折次数が1であるとする。
φ=(2π/λ)×(C1×z)
なお、ここでの基本波長は、回折格子の高さを決めるための波長であり、被検物に対する照明光の分光特性、回折面5以外の反射面の分光反射率、受光面7を含む撮像素子の分光受光感度、要求される回折効率などに基づいて決定される。すなわち、基本波長は、受光面7による検知の際に重視したい波長に対応する。本実施例においては、基本波長λを542nmとすることで、使用波長帯域における可視域を重点的に観察できるようにしている。ただし、例えば基本波長を850nm程度とすることで近赤外域を重点的に観察できるようにしたり、基本波長を700nm程度とすることで可視域から近赤外域をバランス良く観察できるようにしたりしてもよい。
表1に、本実施例に係る光学系10の各光学面の頂点の位置、頂点における法線の方向、及び各断面での曲率半径を示す。表1において、各光学面の頂点の位置は絶対座標系における原点からの距離X,Y,Z[mm]で示し、法線(x軸)の方向は光軸を含むZX断面でのX軸に対する角度θ[deg]で示している。また、d[mm]は各光学面同士の間隔(面間隔)を示し、d´[mm]は各光学面における主光線の反射点同士の間隔を示し、R,Rの夫々は主光線の反射点におけるXY断面及びZX断面での曲率半径を示している。なお、各反射面の曲率半径の値が正のときは凹面を示し、負のときは凸面を示す。
Figure 2019215519
表2に、本実施例に係る光学系10の各光学面の面形状を示す。
Figure 2019215519
表3に、条件式(2)を満足する場合(実施例1a)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7のy方向及びz方向における径[mm]を示す。また、表4に、条件式(3)を満足する場合(実施例1b)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7のy方向及びz方向における径[mm]を示す。本実施例においては、絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7の何れもが矩形である。
Figure 2019215519
Figure 2019215519
図12は、本実施例に係る光学系10のMTF(Modulated Transfer Function)を示す。図12では、700nm(frq1),400nm(frq2),1000nm(frq3)の各波長に対するMTFを、読取領域における物体高[mm]がY=0,30,60,90,120,150である場合の夫々について示している。図12に示すように、受光面7を含む撮像素子の各波長に対する空間周波数[本/mm]は、27.8,41.7,55.6である。図12を見てわかるように、読取領域の全域にわたって収差が良好に補正され、焦点深度が十分に確保されている。
[実施例2]
以下、本発明の実施例2に係る光学系10について説明する。本実施例に係る光学系10において、上述した実施例1に係る光学系10と同等の構成については説明を省略する。
図13は、本発明の実施形態に係る光学系10の要部概略図であり、図13(a)は第1の断面を示し、図13(b)は第2の断面を示している。本実施例に係る光学系10は、実施例1に係る光学系10に対して、絞り1から受光面7に至る光路長が短く、全系の更なる小型化を実現している。
本実施例において、被検物から絞り1までの距離は300mm、読取領域の第1の方向における幅は300mm、第1の断面での画角は±24.46°である。また、本実施例においては、使用波長帯域が400nm〜1000nmであり、受光面7における第2の方向での結像領域の幅は2.7mmである。本実施例に係る前群11及び後群12の第1の断面での合成焦点距離は各々−14.21mm、16.69mmであり、前群11及び後群12の第2の断面での合成焦点距離は各々19.33mm、11.01mmである。
実施例1と同様に、表5に本実施例に係る光学系10の各光学面の頂点の位置、頂点における法線の方向、及び各断面での曲率半径を示し、表6に各光学面の面形状を示す。また、表7に条件式(2)を満足する場合(実施例2a)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7の径を示し、表4に条件式(3)を満足する場合(実施例2b)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7の径を示す。
但し、第3反射面5の第2の断面における形状については、式(数1)で表される母線上の各位置での法線とx軸とが一致するように、位置ごとに異なるローカル座標系を定めた上で、上述の式(数2)で表している。なお、表5と表6とで曲率半径Rの値が一致していないのは、表5における曲率半径の値が第2の断面におけるチルト角を考慮したものであるためである。
Figure 2019215519
Figure 2019215519
Figure 2019215519
Figure 2019215519
図14は、図12と同様に本実施例に係る光学系10のMTFを示したものである。図14を見てわかるように、読取領域の全域にわたって収差が良好に補正され、焦点深度が十分に確保されている。
[実施例3]
以下、本発明の実施例3に係る光学系10について説明する。本実施例に係る光学系10において、上述した実施例1に係る光学系10と同等の構成については説明を省略する。
図15は、本発明の実施形態に係る光学系10の要部概略図であり、図15(a)は第1の断面を示し、図15(b)は第2の断面を示している。本実施例に係る光学系10は、実施例1に係る光学系10に対して、射出側(像側)のFnoが小さい(明るい)構成となっている。具体的には、実施例1に係る光学系10の射出側のFnoが、第1及び第2の断面において各々4.7及び4.0であるのに対して、本実施例に係る光学系10の射出側のFnoは、第1及び第2の断面において各々4.1及び3.5となっている。
本実施例において、被検物から絞り1までの距離は300mm、読取領域の第1の方向における幅は300mm、第1の断面での画角は±24.44°である。また、本実施例においては、使用波長帯域が400nm〜1000nmであり、受光面7における第2の方向での結像領域の幅は2.64mmである。本実施例に係る前群11及び後群12の第1の断面での合成焦点距離は各々−14.46mm、26.85mmであり、前群11及び後群12の第2の断面での合成焦点距離は各々19.34mm、24.98mmである。
実施例1と同様に、表9に本実施例に係る光学系10の各光学面の頂点の位置、頂点における法線の方向、及び各断面での曲率半径を示し、表10に各光学面の面形状を示す。また、表11に条件式(2)を満足する場合(実施例3a)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7の径を示し、表12に条件式(3)を満足する場合(実施例3b)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7の径を示す。
Figure 2019215519
Figure 2019215519
Figure 2019215519
Figure 2019215519
図16は、図12と同様に本実施例に係る光学系10のMTFを示したものである。図16を見てわかるように、読取領域の全域にわたって収差が良好に補正され、焦点深度が十分に確保されている。
[実施例4]
以下、本発明の実施例4に係る光学系10について説明する。本実施例に係る光学系10において、上述した実施例1に係る光学系10と同等の構成については説明を省略する。
図17は、本発明の実施形態に係る光学系10の要部概略図であり、図17(a)は第1の断面を示し、図17(b)は第2の断面を示している。本実施例に係る光学系10は、実施例1に係る光学系10に対して、絞り1から受光面7に至る光路長が短く、全系の更なる小型化を実現している。
本実施例において、被検物から絞り1までの距離は300mm、読取領域の第1の方向における幅は300mm、第1の断面での画角は±24.49°である。また、本実施例においては、使用波長帯域が400nm〜1000nmであり、受光面7における第2の方向での結像領域の幅は2.37mmである。本実施例に係る前群11及び後群12の第1の断面での合成焦点距離は各々−13.23mm、16.78mmであり、前群11及び後群12の第2の断面での合成焦点距離は各々17.53mm、11.25mmである。
実施例1と同様に、表13に本実施例に係る光学系10の各光学面の頂点の位置、頂点における法線の方向、及び各断面での曲率半径を示し、表14に各光学面の面形状を示す。また、表15に条件式(2)を満足する場合(実施例4a)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7の径を示し、表16に条件式(3)を満足する場合(実施例4b)の絞り1の開口、遮光部材4の開口、及び受光面7の径を示す。なお、表13と表14とで曲率半径Rの値が一致していないのは、表13における曲率半径の値が第2の断面におけるチルト角を考慮したものであるためである。
Figure 2019215519
Figure 2019215519
Figure 2019215519
Figure 2019215519
なお、本実施例において、第1反射面2、第2反射面3、第3反射面5、及び第4反射面6の子線形状は、上述した式(数3)の代わりに以下の式を用いて表される。また、第3反射面5の子線形状については、実施例2と同様に母線上の位置ごとに異なるローカル座標系を定めた上で、上述の式(数2)で表している。
r´=r(1+E+E
図18は、図12と同様に本実施例に係る光学系10のMTFを示したものである。図18を見てわかるように、読取領域の全域にわたって収差が良好に補正され、焦点深度が十分に確保されている。
[実施例5]
以下、本発明の実施例5に係る光学系10について説明する。本実施例に係る光学系10は、第1反射面2のチルト角を第1の方向において変化させていないという点で、実施例1に係る光学系10とは異なる。本実施例に係る光学系10において、実施例1に係る光学系10と同等の構成については説明を省略する。
本実施例に係る前群11及び後群12の第1の断面での合成焦点距離は各々−17.01mm、28.56mmであり、前群11及び後群12の第2の断面での合成焦点距離は各々19.31mm、25.91mmである。
本実施例においては、第1反射面2について、上述の式(数2)におけるzの1次の項に対する非球面係数M01,M21,M41をゼロとすることにより、チルト角の変化をなくしている。これにより、第1反射面2の面形状を簡素化し、製造し易くすることができる。特に、第1反射面2をモールド成形により形成する場合は、金型の加工の難易度が低下するため、その加工に掛かる時間を大幅に短縮することが可能になる。
実施例1と同様に、表17に本実施例に係る光学系10の各光学面の頂点の位置、頂点における法線の方向、及び各断面での曲率半径を示し、表18に各光学面の面形状を示す。
Figure 2019215519
Figure 2019215519
図19は、図5と同様に、本実施例に係る遮光部材4の開口上における各物体高からの光束の分布を示したものである。図19を見てわかるように、各物体高からの光束の分布のz方向における湾曲が十分に低減できていることがわかる。
表19に、実施例1a〜4aに係る光学系10の、第1の断面における像側のF値F1、第2の断面における像側のF値F2、及び条件式(1)の値を示す。表19に示すように、何れの実施例においても条件式(1)が満たされている。また、表20に、実施例1b〜4bに係る光学系10の、第1の断面における像側のF値F1、第2の断面における像側のF値F2、及び条件式(2)の値を示す。表20に示すように、何れの実施例においても条件式(2)が満たされている。
Figure 2019215519
Figure 2019215519
表21に、各実施例に係る各反射面のパワーの値と上述した各条件式の値を示す。
Figure 2019215519
[撮像装置及び撮像システム]
以下、上述した実施形態に係る光学系10の使用例としての撮像装置(分光読取装置)及び撮像システム(分光読取システム)について説明する。
図20及び図21は、本発明の実施形態に係る撮像システム100,200の要部概略図である。撮像システム100,200は、光学系10及び光学系10により形成された像を受光する撮像素子を有する撮像装置101,201と、各撮像装置及び被検物103,203の相対位置を変更する搬送部102,202とを備える。なお、各撮像システムは、撮像素子から得られる画像情報に基づいて画像を生成する画像処理部を有することが望ましい。画像処理部は、例えばCPUなどのプロセッサであり、各撮像装置の内部又は外部の何れに設けられていてもよい。
撮像装置101,201によれば、第1の方向(Y方向)に長いライン状の読取領域104,204を1回撮像することで、複数の波長に対応する複数の画像情報(一次元画像)を取得することができる。このとき、各撮像装置を、一般的なカメラよりも多い4種類以上の波長に対応する画像情報を取得できるマルチスペクトルカメラとして構成することが望ましい。さらに、各撮像装置を、100種類以上の波長に対応する画像情報を取得できるハイパースペクトルカメラとして構成することがより好ましい。
各撮像装置における撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを採用することができる。撮像素子は、可視光に限らず赤外光(近赤外光や遠赤外線光)などを光電変換できるように構成されていてもよい。具体的には、使用波長帯域に応じてInGaAsやInAsSbなどの材料を用いた撮像素子を採用してもよい。また、撮像素子の画素数は、読取方向及び分光方向において求められる分解能に基づいて決定することが望ましい。
図20に示す通り、撮像システム100における搬送部102は、被検物103を第2の方向(Z方向)へ移動させる手段である。搬送部102としてはベルトコンベアなどを採用することができる。一方、図21に示す通り、撮像システム200における搬送部202は、撮像装置201を第2の方向へ移動させる手段である。搬送部202としては、マルチコプタ、飛行機、人工衛星等を採用することができる。搬送部202を用いることで、ベルトコンベアなどでは搬送できない大型の被検物や、移動が困難な被検物などに対しても、第2の方向における複数の位置での撮像を行うことができる。
撮像システム100,200によれば、各搬送部に各撮像装置及び各被検物の相対位置を変更させながら、各撮像装置に読取領域を順次撮像させることで、第2の方向における複数の位置に対応する複数の画像情報を取得することができる。画像処理部によってこの複数の撮像画像の並び替えや演算処理などを行うことで、特定の波長に対応する二次元画像を生成することができる。なお、各画像情報は第1の方向における濃淡情報を表すため、第2の方向における特定の位置での波長ごとの濃淡情報に基づいて、画像処理部によりスペクトル分布(スペクトル情報)を生成してもよい。
なお、各搬送部を、各撮像装置及び各被検物の両方を移動させるように構成してもよい。また、各搬送部によって各撮像装置と各被検物との光軸方向(X方向)における相対位置を調整することができるようにしてもよい。あるいは、光学系10の内部又は外部に駆動可能な光学部材(フォーカス部材)を配置し、その光学部材の位置を調整することで、被検物に対するフォーカシングを行うことができるようにしてもよい。
[検査方法及び製造方法]
以下、上述した実施形態に係る光学系10を用いた物体(被検物)の検査方法及び物品の製造方法について説明する。光学系10は、例えば製造業や農業、医療などの産業分野における検査(評価)に好適なものである。
本実施形態に係る検査方法における第1のステップ(撮像ステップ)では、光学系10を介して物体を撮像することで物体の画像情報を取得する。このとき、上述したような撮像装置や撮像システムを用いることができる。すなわち、物体及び撮像装置の相対位置を変更させながら物体を撮像することで、物体の全体の画像情報を取得することができる。また、複数の物体の画像情報を順次(連続的に)取得することもできる。なお、第1のステップでは、光学系10から出射する複数の光束の波長の夫々に対応する複数の画像情報を取得してもよい。
次の第2のステップ(検査ステップ)では、第1のステップで取得された画像情報に基づいて物体の検査を行う。このとき、例えばユーザ(検査者)が画像情報における異物やキズなどの有無を確認(判定)したり、制御部(画像処理部)により画像情報における異物やキズを検出してユーザに通知したりしてもよい。あるいは、異物やキズの有無の判定結果に応じて、後述する物品の製造装置を制御する制御部を採用してもよい。
また、第2のステップでは、波長ごとの複数の画像情報を用いて取得された物体のスペクトル分布に基づいて物体の検査を行ってもよい。光学系10を介して取得された画像情報を用いることで、検査対象の物体の固有のスペクトル情報を検知することができ、これにより物体の成分を特定することが可能になる。例えば、画像処理部によりスペクトル分布ごとに着色などの強調を行った画像情報を生成し、その画像情報に基づいてユーザが検査を行ってもよい。
本実施形態に係る検査方法は、食品、医薬品、化粧品などの物品の製造方法に適用することができる。具体的には、物品を製造するための材料(物体)を上述した検査方法により検査し、検査された材料を用いて物品を製造することができる。例えば、上述した第2のステップにおいて材料に異物やキズがあると判定された場合、ユーザ(製造者)又は製造装置は、材料から異物を除去したり、異物やキズがある材料を廃棄したりすることができる。
また、上記検査方法を製造装置の異常の検知に用いてもよい。例えば、製造装置の画像情報に基づいて異常の有無を判定し、その判定結果に応じて製造装置の駆動を停止させたり異常を修正したりしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
2 第1反射面(第1の非球面)
3 第2反射面(第2の非球面)
4 遮光部材
5 第3反射面(回折面)
7 受光面(像面)
10 光学系
11 前群
12 後群

Claims (20)

  1. 物体側から像側へ順に配置された前群、遮光部材、後群から成る光学系であって、
    前記遮光部材には、第1の方向に長い開口が設けられており、
    前記前群は、非球面を有し、前記第1の方向に平行な第1の断面においては前記開口上に物体を結像せず、前記第1の方向に垂直な第2の断面においては前記開口上に前記物体の中間像を形成しており、
    前記後群は、前記第2の断面において前記開口を通過した光束を互いに波長が異なる複数の光束に分光する回折面を有し、前記第2の断面において前記複数の光束を互いに異なる位置に集光しており、
    前記第2の断面における前記非球面のチルト角は、前記第1の方向において変化することを特徴とする光学系。
  2. 前記第2の断面における前記非球面のチルト角は、前記遮光部材における軸上主光線及び最軸外主光線の入射位置が前記第1の方向に垂直な第2の方向において互いに近づくように変化することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 前記第2の断面における前記非球面のチルト角は、前記第1の方向において単調に変化することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
  4. 前記前群は、前記第2の断面におけるチルト角が前記第1の方向において変化する第1及び第2の非球面を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学系。
  5. 前記第1及び第2の非球面における、同一物点からの光束が通過する領域のチルト変化量を各々|dT/dy|、|dT/dy|とするとき、
    1.00≦|dT/dy|/|dT/dy|≦1.50
    なる条件を満足することを特徴とする請求項4に記載の光学系。
  6. 前記回折面のベース面は、非球面であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学系。
  7. 前記第1の断面において、前記前群は負のパワーを有し、前記後群は正のパワーを有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学系。
  8. 前記遮光部材は、前記物体からの光束の前記第1の方向における幅を規制することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学系。
  9. 前記開口の前記第2の断面における幅は、0.2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学系。
  10. 前記前群及び前記後群に含まれる全ての光学面は反射面であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学系。
  11. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学系と、該光学系により形成された像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
  12. 請求項11に記載の撮像装置と、該撮像装置及び前記物体の相対位置を変更する搬送部とを備えることを特徴とする撮像システム。
  13. 前記複数の光束に対応する波長ごとの画像情報を生成する画像処理部を備えることを特徴とする請求項12に記載の撮像システム。
  14. 光学系を介して物体を撮像することで該物体の画像情報を取得する第1のステップと、
    前記画像情報に基づいて前記物体の検査を行うステップ第2のステップとを有し、
    前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された前群、遮光部材、後群から成り、
    前記遮光部材には、第1の方向に長い開口が設けられており、
    前記前群は、非球面を有し、前記第1の方向に平行な第1の断面においては前記開口上に物体を結像せず、前記第1の方向に垂直な第2の断面においては前記開口上に前記物体の中間像を形成しており、
    前記後群は、前記第2の断面において前記開口を通過した光束を互いに波長が異なる複数の光束に分光する回折面を有し、前記第2の断面において前記複数の光束を互いに異なる位置に集光しており、
    前記第2の断面における前記非球面のチルト角は、前記第1の方向において変化することを特徴とする検査方法。
  15. 前記第1のステップは、前記物体を前記第1の方向に垂直な方向へ移動させながら前記物体を撮像する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の検査方法。
  16. 前記第1のステップは、前記複数の光束の波長の夫々に対応する複数の画像情報を取得する工程を含むことを特徴とする請求項14又は15に記載の検査方法。
  17. 前記第2のステップは、前記複数の画像情報を用いて取得された前記物体のスペクトル分布に基づいて前記物体の検査を行う工程を含むことを特徴とする請求項14乃至16の何れか一項に記載の検査方法。
  18. 前記第2のステップは、前記物体における異物の有無を判定する工程を含むことを特徴とする請求項14乃至17の何れか一項に記載の検査方法。
  19. 請求項14乃至18の何れか一項に記載の検査方法により前記物体を検査するステップと、
    該ステップにより検査された前記物体を用いて物品を製造するステップとを有することを特徴とする製造方法。
  20. 前記物品を製造するステップは、前記物体における異物を除去する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
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