JP2019215341A - ヒト血液からのマイクロベシクルの分離方法及び分析方法 - Google Patents

ヒト血液からのマイクロベシクルの分離方法及び分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒト血液中に存在するマイクロベシクルを、効率的に分離及び分析する方法を提供する。【解決手段】前記方法は、以下の工程を含む;(工程A)血液検体又はその処理物に(1)染色試薬と(2)標識したIgGとを、この順に、若しくは逆の順に、又は同時に添加する工程、(工程B)前記工程Aで得られた反応物をフローサイトメーターの測定に供する工程、(工程C)前記工程Bで取得したデータを解析し、(1)凝集したマイクロベシクルと、(2)標識したIgGに反応する粒子群とを、この順に、若しくは逆の順に、又は同時に観測像から除外する工程、(工程D)由来する細胞のマイクロベシクル集団への分別、キャラクタライズを行う工程。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒト血液中に存在するマイクロベシクルを効率的に分離及び分析する方法に関する。
細胞から離出分離する微小膜画分として、エクソソーム(直径0.03〜0.1μm)、マイクロベシクル(直径0.1〜1μm)等が知られており、これらはそれぞれ異なるメカニズムで分泌され、正常条件下および病的条件下のいずれにおいても数多くの異なる細胞タイプから分泌されることが報告されている(非特許文献1)。
これらの微小膜画分はヒト体液中(血液、尿、髄液、他)に含まれるが、これらの微小膜画分が含有する内容物は、細胞や組織間相互作用におけるシグナル伝達機能において重要な役割を担うと考えられている。そして一方で、これらの微小膜画分は、非侵襲的な診断材料であるリキッドバイオプシとして罹患状態や疾病の有無を判別に用いられ得ることが期待されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献2、非特許文献3)。
リキッドバイオプシとして使用される生体材料には、遊離核酸、微小膜画分、血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells:CTC)等が挙げられる。微小膜画分は、(I)エクソソーム(exosome):直径30〜100nmの膜性小胞、(II)エクトソーム(ectosome)(マイクロベシクル(microvesicles)、シェディング・マイクロベシクル(SMVs:shedding microvesicles)ともいう):原形質膜(plasma membrane)から直接放出される、直径100〜1,000nmの大きい膜性小胞、(III)アポトーシス性水疱(apoptotic blebs):死んで行く細胞から放出される直径50〜5,000nmの小胞、を含む。
近年、これら微小膜画分の臨床的価値が注目されている。エクソソームにおいては臨床応用が進められており、小胞内のポリヌクレオチドを利用した乳がん診断方法が開発されている(特許文献3)。しかしながら、従来のエクソソームを使用した診断方法は、1個1個のキャラクタライズが困難でどういった組織や細胞に由来しているのかが簡便には判別しづらいという問題点がある。マイクロベシクルは、CTCなどと比べてヒト体液中に多量に含まれること、腫瘍の浸潤に極めて重要な役割を担っていること(非特許文献4)や、血液中に存在するマイクロベシクルは生理的な血液凝固の因子であると同時に敗血症などへの疾患への関与が報告されている(非特許文献1)ことから、臨床検査材料としての有効利用が期待されているものの、未だ実現には至っていない。
エクソソームとマイクロベシクルはその生成プロセスが異なり、別々の微小膜画分として定義されているものの、これまでの観測法では大きさやそれらを特徴づける膜に存在する表面抗原が非常に近接、類似しており、これらを厳密に区別して分離し観測することができなかった。例えば、特許文献1や特許文献2ではエクソソーム及びマイクロベシクルを両方含む形での分離方法及び分析方法について記述されており、両者の区別は不明瞭である。
また、一般的に、体液中に存在する微小膜画分は、全身の臓器、組織、またはそれらを構成する各細胞に由来するため、診断や検査応用に価値を見出すには、特定の疾患にマッチングした特定の臓器、組織や細胞にフォーカスした微小膜画分の観測が必要とされている。従って、観測する微小膜画分がどういった臓器、組織や細胞に由来するかを簡便にカテゴライズする分析法が確立できれば、微小膜画分の臨床的有用性は更に高まると考えられる。
このように、マイクロベシクルを臨床検査材料等として有効利用するためには、エクソソームと区別して分離することに加えて、由来する臓器、組織や細胞を区別できる分離法及び分析法が必要である。
特許第5838963号公報 特開2015-91251号公報 特開2014-117282号公報
Andrea Piccin , William G, Owen P (2007) Circulating microparticles: pathophysiology and clinical implications. Blood Reviews 21, 157-171 Boukouris S, Mathivanan S (2015) Exosomes in bodily fluids are a highly stable resource of disease biomarkers. Proteomics Clin Appl 9(3-4): 358-367 IH Chen, L Xue, CC Hsu, (2017) Phosphoproteins in extracellular vesicles as candidate markers for breast cancer. PNAS vol. 114, no. 12, 3175-3180 James W. Clancy, Alanna Sedgwick, Carine Rosse, (2015) Regulated delivery of molecular cargo to invasive tumour-derived microvesicles. Nature Communications 6, Article number: 6919
上述したように、マイクロベシクルはリキッドバイオプシとして有効な臨床検査材料になりえると考えられるが、エクソソームとマイクロベシクルを明確に区別して分離することは非常に困難である上に、様々な細胞や組織に由来するマイクロベシクルが混在している限り、血液中マイクロベシクル全体をリキッドバイオプシとして使用(例えば核酸などを抽出)しても、疾患部位の特定や診断目的にマッチした結果は獲得しがたいと考えられる。
そこで、特に血液中のマイクロベシクル(直径0.1〜1μm)に注目し、これらを簡便にキャラクタライズし1個1個のマイクロベシクルがどういった細胞に由来するかを観測でき、また、これまで不明瞭であったエクソソームとマイクロベシクルとを区別して分離し、また観測するマイクロベシクルが由来する細胞や組織、臓器を明確にする方法を構築することを、本発明の課題とする。
更に、本発明者らは、上記課題に加えて、マイクロベシクルを臨床検査材料として使用するにあたって、特に血液中には補体などイムノグロブリンを補足するタンパク質が存在しており、これらはイムノコンプレックスを形成し分子サイズとしてマイクロベシクルと近接する可能性があり、これらはIgGとも相互作用するので血液由来のマイクロベシクルに免疫化学的なキャラクタライズ方法を実施する際には問題となりうることを見出した。
なお、本明細書において、分離とは、分画、検出などと同義で用いるものとする。
本発明者らは、前記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、血液検体(全血、血漿または血清)からマイクロベシクルを遠心操作により濃縮する前処理工程、前記血液検体または前記前処理工程で得られた濃縮マイクロベシクル画分に、標識したIgGを添加する工程、フローサイトメーターを使用し、直径約0.1〜1μmの画分に集約させて観測する工程、前記観測データから標識IgGに反応する粒子集団を除去する工程、そしてマイクロベシクルが由来する細胞に特異的な表面抗原にてマイクロベシクルをキャラクタライズする工程を適宜組み合わせて選択して実施することにより、1個1個のマイクロベシクルがどういった臓器、組織やそれを構成する細胞から放出されて血液中に存在していたのかを精度よく観測できることを見出した。本発明はこの知見に基づいて、血液中のマイクロベシクルを個々にキャラクタライズしうる測定法を完成させたものである。
すなわち、本発明は、以下を提供する:
[1]血液検体中のマイクロベシクルを分離する方法であって、以下の工程を含む方法;
(工程A)血液検体又はその処理物に(1)染色試薬と(2)標識したIgGとを、この順に、若しくは逆の順に、又は同時に添加する工程、
(工程B)前記工程Aで得られた反応物をフローサイトメーターの測定に供する工程、
(工程C)前記工程Bで取得したデータを解析し、(1)凝集したマイクロベシクルと、(2)標識したIgGに反応する粒子群とを、この順に、若しくは逆の順に、又は同時に観測像から除外する工程、
(工程D)由来する細胞のマイクロベシクル集団への分別、キャラクタライズを行う工程、
[2]前記工程Bにおける観測域が1μm以下、又は200nm以上1μm以下のいずれかである、[1]の方法、
[3]フローサイトメーターの観測域に所望の直径の粒子群を収束させるためにフローサイトメーターのパラメータを設定する工程を実施する、[1]又は[2]の方法、
[4]粒径が0.22〜1.35μmである、ポリスチレンビーズを使用して観測域における粒子径を推定する、[1]〜[3]のいずれかの方法、
[5]血液検体の処理物が、遠心分離によって分離された試料である、[1]〜[4]のいずれかの方法、
[6]分離されるマイクロベシクルの直径が1μm以下である、[1]〜[5]のいずれかの方法、
[7]分離されたマイクロベシクルが、表4に記載の蛋白質を含む、[1]〜[6]のいずれかの方法、
[8][1]〜[7]のいずれかの方法によって得られた画分を使用して、血液に由来するマイクロベシクルに特異的に含まれる物質を探索する方法、
[9][1]〜[7]のいずれかの方法によって得られた画分を使用して、対象における疾患、薬剤投与効果または他の医学的状態の検出を助ける方法。
本発明により、血液中に存在するマイクロベシクルを簡便に且つ特異的に分離、観測することができ、さらに膜に存在する表面抗原を用いて個々のマイクロベシクルをキャラクタライズ(どういった細胞や組織、臓器に由来するのか)することができる。その結果、特定の疾患にマッチングした特定の臓器、組織や細胞にフォーカスした診断や検査応用が可能な検査としての価値の向上が期待される。また、本発明により得られた画分を使用して分析することで、対象における疾患、薬剤投与効果または他の医学的状態を推定することが可能となる。
血漿を直接染色したサンプル(上側)と、前処理により濃縮したマイクロベシクル画分を染色したサンプル(下側)のフローサイトメーターでの観測像である。 前処理により濃縮したマイクロベシクル画分のフローサイトメーターでの観測像である。 前処理により濃縮したマイクロベシクル画分の透過型電子顕微鏡によるネガティブ染色像である。 前処理により濃縮したマイクロベシクル画分のナノ粒子解析システムによる粒度分布ヒストグラムである。 ショットガンプロテオミクス解析により検出した蛋白質からmetascapeを使用した蛋白質のエンリッチメント解析結果である。 ショットガンプロテオミクス解析により検出した蛋白質からmetascapeを使用した蛋白質のエンリッチメント解析結果をクラスター毎にネットワーク解析した結果である。 前処理により濃縮したマイクロベシクル画分のフローサイトメーターによる測定データを側方散乱光におけるパルス幅とパルスエリアで展開した観測像である。 図7と同じ測定データを前方散乱光と側方散乱光の面積で展開した観察像である。 図7及び図8に示す観測像から大きく外れた集団を除外(ゲートアウト)した測定データを側方散乱光とAPCマウスIgGで展開した観測像である。 図9に示す観察像からAPCマウスIgG陽性集団を除外(ゲートアウト)した測定データから赤血球由来マイクロベシクルを選別する過程を示す説明図と、キャラクタライゼーションに使用した表面抗原との反応性を示す表である。 図9に示す観察像からAPCマウスIgG陽性集団を除外(ゲートアウト)した測定データからマクロファージ/単球/顆粒球由来マイクロベシクルを選別する過程を示す説明図と、キャラクタライゼーションに使用した表面抗原との反応性を示す表である。 図9に示す観察像からAPCマウスIgG陽性集団を除外(ゲートアウト)した測定データからT細胞/B細胞由来マイクロベシクルを選別する過程を示す説明図と、キャラクタライゼーションに使用した表面抗原との反応性を示す表である。 図9に示す観察像からAPCマウスIgG陽性集団を除外(ゲートアウト)した測定データから血小板由来マイクロベシクルを選別する過程を示す説明図と、キャラクタライゼーションに使用した表面抗原との反応性を示す表である。 図9に示す観察像からAPCマウスIgG陽性集団を除外(ゲートアウト)した測定データから血管内皮細胞由来マイクロベシクルを選別する過程を示す説明図と、キャラクタライゼーションに使用した表面抗原との反応性を示す表である。 由来する細胞集団へのマイクロベシクルのキャラクタライゼーション後に側方散乱光とAnnexin5の展開図へ重ね合わせた図である。 由来する細胞集団へのマイクロベシクルのキャラクタライゼーション後に側方散乱光とAnnexin5の展開図へ重ね合わせた図(上側)と、由来する各細胞集団における、Annexin5陽性集団とAnnexin5陰性集団のフローサイトメーターでの観察像(下側)である。 フローサイトメーターによる健常人10名からの各細胞由来マイクロベシクルのAnnexin5陽性集団とAnnexin5陰性集団との割合を比較した結果を示すグラフである。
以下において、本発明の実施形態について詳細に説明するが、利用方法の態様についてはこれに限定されるものではない。
本発明は、血液中のマイクロベシクルに特化した観測条件を設定したフローサイトメーターによる分離方法及び分析方法である。夾雑物を除去しマイクロベシクルを濃縮する前処理工程を組み合わせてもよいが、前処理条件を省いて、直接フローサイトメーターにより分離、測定することもできる。直接フローサイトメーターにより分離、測定する方法は、検査応用や実用的に汎用性のある観測系として好ましい。本明細書において、前処理は濃縮や回収の意味を含むものとし、濃縮と回収はほぼ同義の語として用いられることがある。
本明細書において血液とは、例えば、全血、血漿、血清などが挙げられる。生体試料はそのまま本発明の方法に適用してもよいし、水、酸性溶液、アルカリ性溶液、緩衝液、またはこれらの混合液に溶解または懸濁し、必要に応じてさらに処理を加えたものを本発明の方法に適用してもよい。本発明で利用可能な酸性溶液、アルカリ性溶液、緩衝液は、当業者であれば適宜選択して使用することが可能である。
以下、血液中のマイクロベシクルを、フローサイトメーターを用いて分離、分析する条件の一例について説明をするが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、本発明において使用できるフローサイトメーターは、特定の機器に限定されるものではなく、クオーツキュベット方式、ジェットインエアー方式などいずれのフローセルを採用したフローサイトメーターであっても使用することができる。
本発明で利用可能なフローサイトメーターを用いた観測法は、例えば、以下の工程に従って実施することができる。
(1)マイクロベシクルの染色
本工程では、血液検体又はその処理物と染色試薬とを混和させて、マイクロベシクルを染色する。より具体的には、全血、血漿、血清そのもの、あるいは前処理法により濃縮した画分に、染色試薬、例えば、蛍光標識した、表面抗原に特異的な抗体を混和させて、マイクロベシクルを染色する。染色方法は、当業者であれば定法を採用し、場合によっては条件を適宜検討して実施することができる。マイクロベシクル中の複数の抗原ターゲッティングを行うために、マルチカラー分別として、多種類の標識抗体で染色して検出してもよい。例えば、マイクロベシクルの膜構成成分であるホスファチジルセリン(Phosphatidylserine:PS)に対して、金属イオン存在下で結合するタンパク質であるAnnexin5などを使用することができる。
その他、マイクロベシクルに特異的に結合することができる物質としては、例えば、小胞マイクロベシクル表面に存在するタンパク質、脂質または糖に結合することができる物質であればよい。表面に存在する物質としては、例えばタンパク質の場合、CD235a、CD59、CD44、CD33、CD45、CD144、CD66a、CD66b、CD66c、CD66e、CD41、CD61、EP−CAM、CD324、CD14、CD81、CD31、CD274、CD63、Alix、CD105、CD133、CD279、CD15、TSG101、CD20、CD249、CD5、CD10、CD26、CD273、CD9、MUC−1、CD13、CD146、CD62Eまたはこれらの組み合わせを使用することができる。例えば、赤血球に由来するマイクロベシクルとしてAnnexin5、CD235a、CD59を、血小板に由来するマイクロベシクルとしてAnnexin5、CD41、CD61を、マクロファージ・単球・顆粒球に由来するマイクロベシクルとしてAnnexin5、CD45、CD15を、T細胞/B細胞に由来するマイクロベシクルとしてAnnexin5、CD45、CD5、血管内皮細胞に由来するマイクロベシクルとしてAnnexin5、CD146、CD105のように組み合わせて使用することで、より高精度な分離ができるため、好ましい。
上記以外のマイクロベシクルに特異的に結合することができる物質は、例えば、タンパク質に対して結合親和性を有する物質、酵素の基質、補酵素、調節因子、受容体と特異的に結合する物質、レクチン、糖、糖蛋白質、抗原、抗体若しくはその抗原結合断片、ホルモン、神経伝達物質、リン脂質結合タンパク質、プレクストリン相同(PH:pleckstrin homology、PH)ドメインを含むタンパク質、コレステロール結合タンパク質、またはこれらの組み合わせであってもよい。抗原結合断片は、抗原結合部位を含むものであり、例えば、単一ドメイン抗体(single−domain antibody)、Fab、Fab’またはscFvを使用してもよい。
(2)IgGの添加
先の工程で血液検体又はその処理物と染色試薬とを混和させて得られた混和物に、あるいは、染色試薬と混和させる前の血液検体又はその処理物に、IgGを蛍光標識したものを混和させて反応させる。前記IgGの由来は特に限定されるものではなく、例えば、マウスIgG、ヒトIgG、ラットIgG、ウサギIgG、ヤギIgG、ウシIgGなどを用いることができる。マイクロベシクルの染色工程同様、当業者であれば定法に従って実施することができる。例えば、アロフィコシアニン(APC)標識マウスIgG、Mix−n−Stain APC Antibody Labeling kit(Biotium社)を使用して、定常プロトコールにて、室温で30分静置することで実施することができる。
血液中には補体などイムノグロブリンを補足するタンパク質が存在し、イムノコンプレックスを形成することがある。このイムノコンプレックスは、マイクロベシクルと分子サイズが近接する場合がある。そのため、イムノコンプレックスはIgGとも相互作用するので血液由来のマイクロベシクルに免疫化学的なキャラクタライズ方法を実施する際には問題となりうる。従って、観測像においてIgGを捕捉する画分を検出し、それらを観測像から除去するためにIgGを蛍光標識したものを混和させてIgG捕捉画分と反応させる工程を実施することで、目的とするマイクロベシクル以外を除去することができ、夾雑物を含まないより正確な測定を行うことができるため、好ましい。
なお、上記の、表面抗原特異的な抗体によってマイクロベシクルを染色する工程とIgGを添加する工程とは、いずれを先に実施してもよく、両工程を同時に実施してもよく、当業者が実施する環境に合わせて、適宜選択することが可能である。
(3)フローサイトメーターの設定
前方散乱光と側方散乱光の光電子増倍管の電圧(Voltage)と閾値(Threshold)を調節して観測域に特定の直径を持つ粒子群を収束させる。これらのパラメータ等条件設定に際しては、未染色サンプルおよび染色サンプルの測定を実施し、各標的を検出する上でのその検出感度を満たす電圧設定や及びシース流速度を決定することが好ましい。
フローサイトメーターのパラメータ設定としては、当業者であれば、最適な条件を探索して適宜設定することが可能であるが、例えば、流量(Flow rate)は12μL/min、前方散乱光の電圧は381、側方散乱光の電圧は340に設定し、それぞれの検出感度として、蛍光強度閾値を200に設定して実施することができる。各蛍光物質に対する励起光(Ex.)及び蛍光検出フィルター(Em.)の波長及び電圧は、使用する各々の蛍光物質に応じて適宜選択して設定することができる。
上記で設定したフローサイトメーターのパラメータを使用して、観測域における粒子径の推定を行う。サイズが均一なポリスチレンビーズ(例えば、SPHEROTM Nano Polystyrene Size Standard Kit、Spherotech)などを使用して定法に従って測定を実施することができる。観測域の粒子径を推定するためには、例えば、ポリスチレンビーズのサイズの粒径が0.22μm、0.45μm、0.88μm、1.35μmであることが好ましい。
観測域として設定する直径としては、マイクロベシクルを含む大きさであれば特に限定されるものではないが、例えば、約1μm以下が好ましく、100nm〜1μmがより好ましく、200nm〜1μmが更に好ましい。特にこれら微小粒子を観測する際に、側方散乱光が前方散乱光より分解能が高く粒子のサイズ検証などにも使用することができるため、好ましい。
なお、本工程は、前記染色工程及びIgG添加工程と、下記測定・分離工程との間に実施する態様に限定されず、例えば、パラメータを設定した後、染色工程、IgG添加工程、測定・分離工程を実施することもできるし、あるいは、一度設定できれば、測定毎にパラメータを設定することなく、一連の工程を繰り返し実施することができる。
(4)フローサイトメトリーによる測定・分離
フローサイトメーターでデータを取得する。マルチカラー測定を実施した場合は各蛍光から割り当てた検出器以外の検出器へ漏れこんだ蛍光の漏れこみ補正を実施し、その条件下にて測定結果を得る。
マイクロベシクルが凝集する場合があるが、凝集したマイクロベシクルを観測像から除外するために、1)側方散乱光のパルス幅(Width)の値が集団から外れて非常に高いもの、2)前方散乱光と側方散乱光のプロットから両者が集団から外れて高い値となっているものをマーキングしてゲートアウトすることができる。特に、前処理法を加えてマイクロベシクルが凝集した場合などに有効である。また、IgG捕捉画分との免疫複合体を除去するために、IgGを蛍光標識したものに反応する陽性集団をマーキングしてゲートアウトすることができる。
なお、上記の、凝集したマイクロベシクルを除外する工程とIgGにより捕捉された免疫複合体を除去する工程とは、いずれを先に実施してもよく、両工程を同時に実施してもよく、当業者が実施する環境に合わせて、適宜選択することが可能である。
マルチカラーで検出したマイクロベシクルをゲーティング操作により、それぞれが由来する細胞のマイクロベシクル集団への分別、キャラクタライズを行うことができる。この工程により、分離された血液中のマイクロベシクルであることを確認することができる。
本発明により血液中マイクロベシクルの分別、キャラクタライズを行うことができるが、これらのキャラクタライズした画分を、セルソーターを使用して更に分離することもできる。これらの分離した画分からその特異的なコンテンツ(核酸、代謝物、蛋白質、脂質)を分析し臨床応用することも可能である。分離された画分について、更に、各マイクロベシクル集団の頻度解析や標的分子の発現量解析に使用してもよい。
マイクロベシクルを分離し観測しうる測定技術としては上記工程に加えて、例えば、ナノトラッキング粒子径測定装置NanoSight(ナノサイト、Malvern Panalytical社)は、NTA(Nano Tracking Analysis)技術とFFF(Field Flow Fractionation)技術を組み合わせて使用することもできる。NTA技術は、液中のナノ粒子のブラウン運動の様子をPC画面上で、リアルタイムに観察することができ、また、FFF技術は、薄いフロー・チャンネルの中で分離が行われるが、このチャンネルの特殊な幾何学的形状によって、このフローは放射状の断面をもつ層流をなしえ、この層流と直交することで、分離力が生じさせることにより、マイクロベシクルのような微小粒子をサイズで分離することができるため、より高精度な分離や分析が期待される。このような分離/観測法と個々のマイクロベシクルを特徴付ける表面抗原を組み合わせることでマイクロベシクルをキャラクタライズし、臓器特異性や疾患特異性を高め、臨床応用に利用できる。
本発明で利用可能なマイクロベシクルの分離方法において、夾雑物を除去し、マイクロベシクルを濃縮することが可能な前処理工程を組み合わせた方法を使用することができる。このような前処理工程を組み合わせることで、フローサイトメーターによる分離工程において、条件設定が容易になるだけでなく、分離の速度や感度が向上させることができるため、好ましい。遠心分離法を特徴とする前処理工程は、例えば、以下の工程に従って実施することができる。
採血管に採取された血液検体を、低速遠心分離にて血漿あるいは血清成分に分離する(前処理工程1)。このとき、低速遠心分離条件などは、公知の方法に従って実施することができ、室温で2,000×gで20分間遠心分離して得られた上清を使用することができる。
次に、上記前処理工程1において得られた血漿や血清をさらに低速遠心する(前処理工程2)。この遠心工程により、血小板やアポトーシス性水疱などを沈殿させることができるため、好ましい。前処理工程1同様に、室温で2,000×gで20分間遠心分離して得られた上清を回収して使用することができる。
前処理工程2によって得られた上清を、高速遠心してマイクロベシクル画分を沈殿させる(前処理工程3)。当該工程の条件としては、例えば、室温で20,000×gで30分遠心分離して得られた沈殿を使用することができる。
前処理工程3によって得られた沈殿画分に例えばPBS等の緩衝液を加えて懸濁し、更に高速遠心を行う(前処理工程4)。この高速遠心により、マイクロベシクル画分を濃縮することができ、夾雑物を除去することができるため、好ましい。当該工程の条件としては、室温で20,000×gで30分遠心分離して得られた沈殿を使用することができる。必要に応じて、前処理工程4を繰り返してもよい。複数回高速で遠心分離をおこなうことにより、夾雑物を取り除いてマイクロベシクル画分の純度を高めることができ、好ましい。
本発明の一態様として利用可能な前処理方法は上記の前処理工程に加えて、他の方法を使用してもよい。例えば、水溶液およびタンパク質を含む溶液のろ過滅菌等に使用する各種孔径を有するメンブレンフィルターを組み合わせて、目的とするマイクロベシクル画分を抽出することができる。この場合孔径は、直径0.1〜10μmのものを使用した精密ろ過(Micro−Filtration)法に相当する方法が好適である。
また、その他の前処理法として、密度勾配溶質とともに試料を遠心分画する平衡密度勾配遠心法、微小膜画分の表面抗原に特異的な抗体を利用し、微小膜画分を様ざまな担体に結合させて回収する免疫学的捕捉法、サイズ排除クロマトグラフィー(ゲルろ過法)により可溶性蛋白質よりも早く溶出してくる画分を回収する方法、微小膜画分の膜構成成分に対して金属イオン存在下で結合する担体を使用したリン脂質アフィニティー法、また高分子ポリマーと微小膜画分を混合し、目的の微小膜画分を沈殿させるポリマー沈殿法を組み合わせて実施してもよく、当業者であれば、これらの方法を、必要とされる組織や細胞、用途に応じて適宜選択して組み合わせて使用することができる。複数の前処理工程を組み合わせることで、フローサイトメーターによる分離が高感度、高精度に行える可能性がある。
異なる本発明実施の一態様として、対象における疾患進行のモニタリングのための方法、個体における疾患再発のモニタリングのための方法として使用することもできる。これらの方法は、血液検体中からマイクロベシクルを分離する工程に加えて、マイクロベシクル中に含まれる物質を分析するプロファイル工程を含む。ある特定の医学的状態の対象個体において、プロファイルを分析することによって、例えば特定の疾患の存在を推定することに用いることができる。例えば、マイクロベシクルを分離するための試料採取の期間を、目的とする対象疾患の検出などに応じて適宜設定することで、より詳細なプロファイルを得て状態を観察し、診断を補助することが可能となる。また、これは、薬剤投与後の疾患状態をモニタリングする方法としても使用することができる。
本発明により、マイクロベシクルを臨床検査材料としての有効利用できるようになるため、血液中に存在するマイクロベシクルを簡便に且つ特異的に抽出、観測することができ、さらに膜に存在する表面抗原を用いて個々のマイクロベシクルのキャラクタライズ(どういった細胞や組織、臓器に由来するのか)することができる。その結果、特定の疾患にマッチングした特定の臓器、組織や細胞にフォーカスした診断や検査応用が可能な検査としての価値の向上が期待される。また、本発明により得られた画分を使用して分析することで、対象における疾患、薬剤投与効果または他の医学的状態を推定することが可能となる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:ヒト血液中からのマイクロベシクルの濃縮》
健常人から、5mL〜7mLの血液をTERUMOベノジェクトII真空採血管EDTA−Na(VENOJectII(登録商標)、テルモ)へ採取した。血液試料を、20℃で2,330×gで10分間遠心分離して血漿を得て、その後に約20℃で約2,000×gで10分間遠心分離し、血漿内脂質及び細胞残余物、血小板を除去し、上澄み液を下記実験に使用した。なお、本採血からの実験は、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の承認(許可番号29−340)の下、実施された。
得られた血漿600μLを20℃で18,900×gで30分間遠心分離した。遠心分離された結果物から上澄み液を除去し、ペレットにおいてマイクロベシクル画分を濃縮した。このペレットに対してリン酸緩衝生理食塩水(PBS)600μLを使用して希釈した。希釈されたペレットは、20℃で18,900×gで30分遠心分離した。遠心分離された結果物からペレットにおいてマイクロベシクル画分を濃縮した。
《実施例2:フローサイトメーターを用いた血漿マイクロベシクルの観測》
A.血漿を直接染色した場合におけるフローサイトメーターでのマイクロベシクル観測(前処理濃縮画分との比較データ)
遠心操作(2,000×g)によって得られた血漿60μLに対して、FITC−Annexin5(Becton Dickinson Biosciences)、PEanti−human CD235a(Biolegend)、PerCP anti−human CD61(Biolegend)を各々1μL添加し、室温で30分静置した。この染色溶液に750μLの10mmol/L Hepes(pH7.4)、0.14mol/L NaCl、2.5mmol/L CaClに懸濁したものをサンプルとして使用した。フローサイトメーターでの測定パラメータは以下Cの項に記載する。測定データを横軸:側方散乱光(SSC)の強度、縦軸:FITC(Annexin5)強度にて展開した観測像を図1に示す。この図において下部のノイズ由来の集団と分離して得られる蛍光強度の大きい領域を抽出し、この領域をAnnexin5陽性集団として解析対象とした。Annexin5陽性画分においては血漿を直接染色して観測されるものと、前記実施例1で得られた前処理濃縮画分を染色して観測されるものは同様の結果を示した。
B.血漿から濃縮したマイクロベシクルの免疫蛍光染色
前記実施例1にてマイクロベシクル画分を濃縮したペレットに対してPBS60μLを添加し、ボルテックスにてマイクロベシクル画分を溶液中に分散させた。この溶液に対し、FITC−Annexin5(Becton Dickinson Biosciences)、Brilliant Violet510anti−human CD5(Biolegend)、PerCPanti−human CD15(Biolegend)、APC/Cy7anti−human CD41(Biolegend、PE/Cy7anti−human CD45(Biolegend)、PEanti−human CD59(Biolegend)、Brilliant Violet421anti−human CD105(Biolegend)、PEanti−human CD146(Biolegend)、PE/Cy7anti−human CD235a(Biolegend)、PerCP anti−human CD61(Biolegend)、APC標識mouseIgG(購入したNormal MouseIgG(Wako社)を、Mix−n−Stain APC Antibody Labeling kit(Biotium社)に添付の定常プロトコールにて標識したもの)を、各々1μL添加し、室温で30分静置した。
C.フローサイトメーターでの血漿中マイクロベシクルの観測
測定は、フローサイトメーターとしてBD FACSVerseTM(Becton Dickinson and Company)を用いて行った。測定手順とパラメータ設定は次のとおりである。サンプルは前記実施例2Bで各種蛍光染色した画分を750μLの10mmol/L Hepes(pH7.4)、0.14mol/L NaCl、2.5mmol/L CaClに懸濁したものを使用した。流量(Flow rate)は12μL/min、前方散乱光の電圧(Voltage)は381、側方散乱光の電圧は340に設定し、それぞれの閾値(Threshold)として200に設定した。各蛍光物質に対する励起光(Ex.)及び蛍光検出フィルター(Em.)の波長及び電圧は、FITC:Ex.488nm、Em.527/32nm、電圧442、PE:Ex.488nm、Em.586/42nm、電圧411、PerCP:Ex.488nm、Em.700/54nm、電圧556、PE/Cy7:Ex.488nm、Em.783/56nm、電圧564.3、APC:Ex.640nm、Em.660/10nm、電圧538.2、APC/Cy7:Ex.640nm、Em.783/56nm、電圧584.8、Brilliant Violet421:Ex.405nm、Em.448/45nm、電圧538.2、Brilliant Violet510:Ex.405nm、Em.528/45nm、電圧540とした。
D.設定した観測域におけるポリスチレンビーズによるサイズ検証測定
前記にて設定したフローサイトメーターのパラメータにおいて、観測域における粒子径を推定するためにサイズが均一なポリスチレンビーズ(SPHEROTM Nano Polystyrene Size Standard Kit、Spherotech)の測定を行った。ポリスチレンビーズのサイズはその粒子径が0.22μm、0.45μm、0.88μm、1.35μmのものを使用した。
E.フローサイトメーターでのマイクロベシクル測定結果の解釈
測定データを横軸:側方散乱光(SSC)の強度、縦軸:FITC(Annexin5)強度にて展開した観測像を図2に示す。この図において下部のノイズ由来の集団と分離して得られる蛍光強度の大きい領域を抽出し、この領域をAnnexin5陽性集団として解析対象とした。また側方散乱光の強度と0.22〜1.35μmのポリスチレンビーズのサイズが観測域にて比例関係にあり、特に0.22μmと0.45μmの直径を有するポリスチレンビーズ間にマイクロベシクル画分の中央値が集積するように観測された。
《実施例3:血液から濃縮したマイクロベシクル画分の電子顕微鏡観測》
A.血漿中マイクロベシクルの固定化
実施例1においてマイクロベシクル画分を濃縮したペレットに対してPBS100μLを添加し、これに対し固定液(4%パラフォルムアルデヒド、4%グルタルアルデヒド含有の0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4))100μLを添加し、撹拌後、4℃にて1時間静置した。
B.ネガティブ染色法
上記固定化したサンプルをグリッドがコートされたフォルムバールフィルム(formvar film)に吸着させて、2%のリン・タングステン酸(pH7.0)で30秒間染色した。
C.透過型電子顕微鏡での観測
上記のグリッドを透過型電子顕微鏡(JEM−1400;JEOL Ltd.)にて観測した。加速電圧(acceleration voltage)は100kVに設定した。デジタルイメージ(3296×2472pixels)はCCDカメラ(EM−14830RUBY2;JEOL Ltd.)にて取得した。観察画像を図3に示す。マイクロベシクルの大きさを有し、膜構造及びその内側に内部構造として含有されるもの(オルガネラ他)を含む微小膜画分が検出された。
《実施例4:ナノ粒子解析システムによる抽出画分の粒子計測》
実施例1においてマイクロベシクル画分を濃縮したペレットに対してPBS100μLを添加し、さらにPBSにて3倍希釈したものをNanosight(Malvern Panalytical社)にて測定した。装置の観測条件を表1に示す。ナノ粒子解析システムによる粒度分布ヒストグラムを図4に示す。本濃縮操作にて直径が1μm以上の画分は殆ど含まれず、直径が600μm以下の画分に濃縮され、その粒子径として200〜300nm程度に均一な集団をメインに含有し、それ以下の粒子径(〜100nm)を含む画分であることが確認された。
《実施例5:ショットガンプロテオミクス解析による濃縮マイクロベシクル画分において検出された蛋白質》
A.血液の前処理により得られた濃縮マイクロベシクル画分から蛋白質画分の抽出
実施例1においてマイクロベシクル画分を濃縮した画分から、特に膜蛋白質を効率よく抽出するためにPTS(Phase Transfer Surfactant(相間移動可溶化剤))を用いた蛋白質可溶化法を実施した。この原理を用いた試薬キットとしてMPEX PTS Reagents for MS(GL Science Inc.)を使用した。実施例1においてマイクロベシクル画分を濃縮したペレットに対して250μLの当該キット試薬Bを添加し、超音波ホモジナイザー(Bioruptor:ソニック・バイオ社)にて稼働1分30秒、インターバル30秒からなるサイクルを10回、10℃の条件でソニケーション(パワー:MAX)した。破砕後、遠心式フィルター(Amicon ultra 3K、メルク)にて14,000g×15minを2回繰り返し、濃縮した。この画分をBCAアッセイ(PierceTM BCA Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)を使用)にて蛋白質定量した。
B.蛋白質画分の酵素消化
BCAアッセイにて定量し、30μg/20μLの濃度になるように前記試薬Bに溶解したものを膜蛋白質消化のための試料とした。1μLの100mmol/Lジチオトレイトール(DTT)を加え(ジスルフィド結合の還元開裂のため)、室温で30分間インキュベートした。これに1μLの550mmol/Lヨードアセトアミドを加え(Cysのカルバミドメチル化のため)、遮光して室温で30分間インキュベートした。当該キットの試薬Aを77μL加え、1.5μLのトリプシン(TPCK−Trypsin(Thermo Fisher Scientific Inc.:Prod#20233))を加えた。室温で一晩インキュベートして蛋白消化を実施した。150μLの試薬Cと1.5μLの試薬Dを加えた。添加後1分間ボルテックスをして、25℃、15,600×gで2分間遠心し二相分離した。不要な可溶化剤は上相にくるので、これをピペットで吸引し除去した。残った試薬Cを除去するために、遠心濃縮を行った後に、50μLの5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を加えてボルテックスした。
C.ペプチドの脱塩・濃縮
前記にて酵素消化したものを脱塩・濃縮するためにGL−Tip SDB(GL Science Inc)を使用した。当該チップをまず、80%アセトニトリル、0.1% TFA水溶液を20μL添加し、室温、3,000×gで2分間遠心することでコンディショニングした。これに5%アセトニトリル、0.1% TFA水溶液を20μL添加し、室温、3,000×gで2分間遠心することでカラムを平衡化した。これに対して、前記実施例5Bの操作で得られた試料を全量添加し、室温、3,000×gで5分間遠心することでペプチドをカラムに吸着させた。さらに5%アセトニトリル、0.1%TFA水溶液を20μL添加し、室温、3,000×gで2分間遠心することでカラムを洗浄後、80%アセトニトリル、0.1%TFA水溶液を50μL添加し、室温、3,000×gで2分間遠心することで、ペプチドを溶出させた。
D.質量分析測定
上記サンプルを、nano−LCシステム(EASY−nLC1000:Thermo Fisher Scientific Inc.)を連結したフーリエ変換型Orbitrap質量分析計(Q−Exactive:Thermo Fisher Scientific Inc.)で、LC−MS/MS解析を行った。上記にて調製した質量分析測定用サンプルから2μLを測定に供した。なお、トラップカラムとしてAcclaimRTPepMap100(Thermo Fisher Scientific Inc.:C18、充填剤径3μm、内径75μm、カラム長2cm)、分析カラムとして、AcclaimRTPepMapRSLC(Thermo Fisher Scientific Inc.:C18、充填剤径2μm、内径50μm、カラム長15cm)を用いた。移動相Aは0.1%蟻酸水溶液、移動相Bは0.1%蟻酸/アセトニトリル、流量は200nL/分、グラジエントは、0−40%移動相B/200分間、40−100%移動相B/10分間、100%移動相B/10分間で測定した。
MS測定のスキャン条件はFull MS/dd−MS2モードを使用しFull MSをスキャンした後に、強度が高いシグナルのMS/MSスペクトルを取得した。設定条件を表2に示す。
E.データ解析
得られたデータはProteome Discoverer 1.4ソフトウェア(Thermo Fisher Scientific Inc.)にて、ヒトタンパク質データベースHomo_sapiens_Uniprot_201210.fastに対してSequestHTアルゴリズムにより検索を行った。SequestHTでの検索条件を表3に示す。
検索結果からScore1.0以上のものをピックアップした。抽出したマイクロベシクル画分のショットガンプロテオミクス解析により検出できた蛋白質の一覧を表4に示す。また、ショットガンプロテオミクス解析により検出した蛋白質からmetascape(Tripathi et al., Cell Host & Microbe (2015), 18: 723-735)を使用した蛋白質のエンリッチメント解析結果を図5に、そのエンリッチメント解析結果をクラスター毎にネットワーク解析した結果を図6に、それぞれ、示す。表4に示す蛋白質は細胞膜や細胞内にカテゴライズされるものが多く、血液凝固や免疫応答、各種シグナル伝達としての機能を有すものが含まれ(図5、図6)、これら検出された蛋白質はマイクロベシクルをキャラクタライズする表面マーカーとして、またその内容物をバイオマーカー利用として、臨床検査や診断に使用できる可能性がある。
《実施例6:フローサイトメーターを用いた血漿マイクロベシクルのキャラクタライゼーション》
A.パルス処理による凝集マイクロベシクルのゲートアウト(観測像からの除外)
実施例1においてマイクロベシクル画分を濃縮した画分を各表面抗原で染色し、実施例2のフローサイトメーターの観測条件にて測定した。このとき、観測像の中にはマイクロベシクルが凝集して複数個合体したような像が観測された(各種染色した表面抗原が全て陽性集団となるような集団)。これを観測像から除去するために、側方散乱光におけるパルス幅(縦軸)とパルスエリア(横軸)で展開した観察像(図7)と前方散乱光(横軸)と側方散乱光(縦軸)の面積で展開した観察像(図8)を用意して、それぞれから大きく外れた集団を観測像から除外した。
B.IgG捕捉画分のゲートアウト(観測像からの除外)
前記実施例6Aの操作後に、側方散乱光(横軸)とAPC標識マウスIgG(縦軸)の展開図(図9)からAPC陽性集団すなわちIgGを捕捉する集団を抽出し、観測像から除外すると共に、APC陰性となる集団を以下のキャラクタライゼーションの対象とした。マイクロベシクルキャラクタライゼーションに使用した(または使用可能な)表面抗原の各種細胞での発現パターンを表5に示す。
C.赤血球由来マイクロベシクルのキャラクタライゼーション
前記実施例6Bの操作後に、側方散乱光とAnnexin5の展開図からAnnexin5陽性集団を抽出し、この集団からCD45陰性となる集団を抽出し、更にこの集団からCD235a陽性且つCD59陽性集団を選別した(図10)。キャラクタライゼーションに使用した表面抗原とそれが各種細胞に存在する(○)、しない(×)ことを提示させた表も同時に記載している。この集団(図10の表における「Erythrocyte」の欄)を赤血球由来マイクロベシクルとし、Annexin5陽性集団中の本集団の割合は32%であった。
D.マクロファージ/単球/顆粒球由来マイクロベシクルのキャラクタライゼーション
前記実施例6Bの操作後に、側方散乱光とAnnexin5の展開図からAnnexin5陽性集団を抽出し、この集団からCD235a陰性となる集団を抽出し、更にこの集団からCD45陽性且つCD15陽性集団を選別した(図11)。キャラクタライゼーションに使用した表面抗原とそれが各種細胞に存在する(○)、しない(×)ことを提示させた表も同時に記載している。この集団(図11の表における「Macrophage/Monocyte」及び「Granulocyte」の各欄)をマクロファージ/単球/顆粒球由来マイクロベシクルとし、Annexin5陽性集団中の本集団の割合は2.6%であった。
E.T細胞/B細胞由来マイクロベシクルのキャラクタライゼーション
前記実施例6Bの操作後に、側方散乱光とAnnexin5の展開図からAnnexin5陽性集団を抽出し、この集団からCD235a陰性となる集団を抽出し、更にこの集団からCD45陽性且つCD5陽性集団を選別した(図12)。キャラクタライゼーションに使用した表面抗原とそれが各種細胞に存在する(○)、しない(×)ことを提示させた表も同時に記載している。この集団(図12の表における「T Cell」及び「B Cell」の各欄)をT細胞/B細胞由来マイクロベシクルとし、Annexin5陽性集団中の本集団の割合は0.4%であった。
F.血小板由来マイクロベシクルのキャラクタライゼーション
前記実施例6Bの操作後に、側方散乱光とAnnexin5の展開図からAnnexin5陽性集団を抽出し、この集団からCD45陰性且つCD5陰性となる集団を抽出し、更にこの集団からCD41陽性且つCD61陽性集団を選別した(図13)。キャラクタライゼーションに使用した表面抗原とそれが各種細胞に存在する(○)、しない(×)ことを提示させた表も同時に記載している。この集団(図13の表における「Platelet」の欄)を血小板由来マイクロベシクルとし、Annexin5陽性集団中の本集団の割合は62%であった。
G.血管内皮細胞由来マイクロベシクルのキャラクタライゼーション
前記実施例6Bの操作後に、側方散乱光とAnnexin5の展開図からAnnexin5陽性集団を抽出し、この集団からCD105陽性且つCD146陽性集団を選別した(図14)。キャラクタライゼーションに使用した表面抗原とそれが各種細胞に存在する(○)、しない(×)ことを提示させた表も同時に記載している。この集団(図14の表における「Endothelial Cell」の欄)を血管内皮細胞由来マイクロベシクルとし、Annexin5陽性集団中の本集団の割合は0.3%であった。
H.血漿マイクロベシクルの5分類
上記において、それぞれが由来する細胞集団へのマイクロベシクルのキャラクタライゼーション後に側方散乱光とAnnexin5の展開図へ重ね合わせた図の一例を図15に示す。
I.各細胞由来マイクロベシクルのAnnexin5陽性と陰性によるキャラクタライゼーション
前記実施例6Bの操作後に、側方散乱光とAnnexin5の展開図からAnnexin5陽性と陰性集団を抽出し、この集団から前記C、D、E、F、Gで示したCD抗原を用いた由来細胞からのマイクロベシクルキャラクタライゼーションも行った(図16)。由来するベシクルごとにAnnexin5陽性と陰性の割合を比較したところ赤血球由来及びマクロファージ/単球/顆粒球由来及び血管内皮細胞由来マイクロベシクルはAnnexin5陽性集団が多く、T細胞/B細胞由来マイクロベシクルはAnnexin5陰性集団が多かった(図17)。なお、比較検定はウィルコクソンの符号順位検定を用いた(* p< 0.05, ** p < 0.01)。
従来より利用されているマイクロベシクルのマーカー(例えばAnnexin5)について、上記結果より、Annexin5陰性のマイクロベシクルが多数存在し、その割合も由来する細胞ごとに大きな違いがあることが明らかとなった。すなわち、各細胞に由来するマイクロベシクル中の物質の挙動が従来とは異なる可能性が見いだされた。このことは、従来より利用されている方法を利用したキャラクタライゼーションのみではマイクロベシクルの正確な性質を見落とす可能性がある。本発明を利用することで、疾患部位の特定や診断目的にマッチした結果を得るための臨床検査材料を入手することができる可能性があることが示唆された。
以上の結果より、血液中のマイクロベシクルを血漿から直接的に観測する方法または血漿からマイクロベシクル画分を濃縮したものを観測する方法により、個々のマイクロベシクルが表面に有している蛋白質によりキャラクタライゼーションできることが示された。本発明を用いることで、血液中に存在する個々のマイクロベシクルの由来する細胞や臓器を判別し、その増減や含有率などを測定することが可能になった。
本発明におけるマイクロベシクルを濃縮する前処理法は特に複雑な操作を伴うことなく、効率よくマイクロベシクル抽出することが可能である。当該、前処理法を実施することで、マイクロベシクルに含有されるバイオマーカーとなるべく候補物質(実施例では蛋白質の一覧を例示)を濃縮することができ、血漿や血清を直接測定するよりも高感度な測定を実施できる可能性がある。
また、本発明によれば、簡便にマイクロベシクルの表面抗原によって個々の血液中マイクロベシクルのキャラクタライゼーションを行うことができ、どういった細胞や臓器に由来したマイクロベシクルが存在するのかを測定/定量/解析することができる。マイクロベシクルなどの微小膜画分には細胞や臓器間コミュニケーションに必要な伝達物質が含まれリキッドバイオプシとしての臨床応用が期待されているが、表面抗原そのものにも標的臓器や細胞との接着や相互作用としての臨床的、生理的な意味合いが含有されると思われる。
これらのことは本発明によるマイクロベシクルの観測が特定の疾患や患者の状態を判定する検査法への応用や健康状態→未病(疾病予備軍)状態への個人の遷移などを日々管理しうる予防、予知マーカーとしての臨床応用なども考えられる。より微小な粒子をダイナミックレンジの広い性能にて、表面抗原と合わせて測定できる系があればエクソソーム、マイクロベシクルなどを含めて微小膜画分としての臨床応用価値を高めることができる。

Claims (9)

  1. 血液検体中のマイクロベシクルを分離する方法であって、以下の工程を含む方法;
    (工程A)血液検体又はその処理物に(1)染色試薬と(2)標識したIgGとを、この順に、若しくは逆の順に、又は同時に添加する工程、
    (工程B)前記工程Aで得られた反応物をフローサイトメーターの測定に供する工程、
    (工程C)前記工程Bで取得したデータを解析し、(1)凝集したマイクロベシクルと、(2)標識したIgGに反応する粒子群とを、この順に、若しくは逆の順に、又は同時に観測像から除外する工程、
    (工程D)由来する細胞のマイクロベシクル集団への分別、キャラクタライズを行う工程。
  2. 前記工程Bにおける観測域が1μm以下、又は200nm以上1μm以下のいずれかである、請求項1に記載の方法。
  3. フローサイトメーターの観測域に所望の直径の粒子群を収束させるためにフローサイトメーターのパラメータを設定する工程を実施する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 粒径が0.22〜1.35μmである、ポリスチレンビーズを使用して観測域における粒子径を推定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 血液検体の処理物が、遠心分離によって分離された試料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 分離されるマイクロベシクルの直径が1μm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 分離されたマイクロベシクルが、表4に記載の蛋白質を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって得られた画分を使用して、血液に由来するマイクロベシクルに特異的に含まれる物質を探索する方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって得られた画分を使用して、対象における疾患、薬剤投与効果または他の医学的状態の検出を助ける方法。
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