JP2019214520A - 角層剥離改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】生理的に角層剥離機能を改善させ、正常な角層の形成を促すことで、皮膚表面形状を改善する技術を提供する。【解決手段】炭酸ガスを有効成分とする角層剥離改善剤。【選択図】なし

Description

本発明は、角層剥離を正常化する、角層剥離改善剤に関する。
皮膚は、外界からの異物や微生物の侵入を防ぐとともに、恒常性を維持する機能を有する。表皮の最外層である角層は主に細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)、及びタンパク質等から構成される。
角層の形成には、角層細胞同士の接着構造(コルネオデスモソーム)が重要である。コルネオデスモソームはデスモグレイン1(desmoglein1:DSG1)、デスモコリン1(desmocollin1:DSC1)をはじめ複数のタンパク質から構成される(図1参照)。コルネオデスモソームはプロテアーゼであるカリクレイン5(kallikrein5:KLK5)等により切断される(非特許文献1)。健常な皮膚では、コルネオデスモソームがプロテアーゼによって分解されることで、正常な角層剥離がおこる(非特許文献2)。一方、乾燥肌では、プロテアーゼの活性が低下しており、コルネオデスモソームの分解が抑制されることで角層細胞が堆積するといわれている(非特許文献3)。また、老人性乾皮症においても、角層細胞の堆積が認められる。この他、角層剥離機能の異常をともなう皮膚疾患は多数報告されており、例えばフケ症、尋常性魚鱗癬、伴性遺伝性魚鱗癬、乾癬等が挙げられる(非特許文献4〜6)。
上記のような乾燥肌や乾皮症、種々の皮膚疾患では、皮膚表面形状に異常が認められる。皮膚表面形状の異常にともなう外見上の悩みは、感情面のQOLを著しく低下させることから、皮膚表面形状を改善する技術は、美容的な側面のみでなく、人々が健康な生活を保つ上で重要である。
皮膚表面形状のケアとして、一般的には保湿剤や角質ケア剤が使われる。しかし、それぞれ、保湿剤は効果発現が比較的遅く効果実感が得られにくい、角質ケア剤は刺激性がある等が課題となっている。また、化学物質による剥皮術(ケミカルピーリング)は、角層を化学的に融解する手法であり、医師の診断、熟練した技術が必要である。そこで、皮膚表面形状を早期に改善し、その改善効果を実感でき、安全に使用できる改善技術が必要と考えられる。
一方、炭酸ガスの生理作用として一般的に血行促進作用が知られており、炭酸ガスの血行促進作用を利用した化粧料や入浴剤などが検討されている(特許文献1)。しかし、炭酸ガスが角層剥離機能の改善に有用であることは全く知られていない。
特開2011−93877号公報
Borgono CA, et al., A potential role for multiple tissue kallikrein serine proteases in epidermal desquamation. J Biol Chem. 282(6): 3640-3652 (2007) Kubo A. et al., Epidermal barrier dysfunction and cutaneous sensitization in atopic diseases. J Clin Invest. 122(2): 440-447 (2012) Rawlings AV. et al., Skin biology, xerosis, barrier repair and measurement Drug Discovery Today. 5(2): e127-e136 (2008) Singh B. et al., Retention of corneodesmosomes and increased expression of protease inhibitors in dandruff. Br J Dermatol. 171(4): 760-770 (2014) Kitajima Y. et al., Implications of normal and disordered remodeling dynamics of corneodesmosomes in stratum corneum. Dermatologica Sinica. 33(2): 58-63 (2015) Simon M. et al., Alterations in the desquamation-related proteolytic cleavage of corneodesmosin and other corneodesmosomal proteins in psoriatic lesional epidermis. Br J Dermatol. 159(1): 77-85 (2008)
本発明は、生理的に角層剥離機能を改善させ、正常な角層の形成及び剥離を促すことで、皮膚表面形状を改善する技術を提供することに関する。
本発明者は、皮膚表面形状の改善に角層剥離機能の正常化が重要と考え、角層剥離機能を改善させる成分について検討したところ、炭酸ガスに、角層剥離酵素を活性化し、コルネオデスモソームの分解を促進する作用があることを発見し、炭酸ガスが、角層剥離の正常化や皮膚表面形状の早期改善に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜4)に係るものである。
1)炭酸ガスを有効成分とする角層剥離改善剤。
2)炭酸ガスを有効成分とする角層細胞間接着タンパク質分解促進剤。
3)炭酸ガスを有効成分とする角層剥離酵素活性化剤。
4)炭酸ガスを有効成分とする皮膚表面形状改善剤。
本発明によれば、炭酸ガスの皮膚への適用により、角層細胞間接着タンパク質の分解を促進し、角層剥離を正常化することができ、皮膚表面の鱗屑や皮めくれ、カサツキ、ブツブツ、ざらつき等の発症を抑制或いは症状を改善することが可能となる。
コルネオデスモソームの模式図。CDSN:コルネオデスモシン、DSC:デスモコリシン、DSG:デスモグレイン、DSP:デスモプラキン、KIF:ケラチン中間径フィラメント、KLK:カリクレイン、PG:プラコグロビン、PKP:プラコフィリン(Ovaere P. et al., The emerging roles of serine protease cascades in the epidermis. Trends Biochem Sci. 34(9): 453-463 (2009)より改変)。 炭酸ガス含有組成物適用によるヒト頬部角層DSG1への影響。 炭酸ガス含有組成物適用によるヒト頬部角層トリプシン様酵素活性への影響。 炭酸ガス含有組成物適用によるヒト頬部皮膚表面形状への影響。 炭酸ガスの3次元培養表皮DSG1及びDSC1への影響。 炭酸ガスの3次元培養表皮組織中プロテアーゼ活性への影響。 炭酸ガスの3次元培養表皮培養液中トリプシン様酵素活性への影響。
後記実施例に示すとおり、炭酸ガスを含有する組成物を、乾燥肌を有するヒトの肌に適用した場合、角層中のデスモグレイン1(DSG1)の分解亢進が認められるとともに、角層トリプシン様酵素の活性上昇が認められ、皮膚表面形状の改善が認められる。また、ヒト3次元培養表皮に同様の炭酸ガス含有組成物を適用し、角層中のDSG1及びデスモコリン1(DSC1)を解析すると、DSG1及びDSC1の分解亢進を示唆する結果が認められる。また、炭酸ガス含有組成物を適用した当該培養表皮の培養液においては、トリプシン様酵素活性の上昇が認められる。
前述したとおり、健常な皮膚では、角層細胞同士の接着構造(コルネオデスモソーム)を構成するDSG1やDSC1等の角層細胞間接着タンパク質が、カリクレイン5(KLK5)のような角層剥離酵素により切断され分解されることにより、正常な角層剥離が起こると考えられている(非特許文献2)。
したがって、炭酸ガスは、角層細胞間接着タンパク質分解促進剤、角層剥離酵素活性化剤、角層剥離改善剤、皮膚表面形状改善剤(以下、「角層剥離改善剤等」とも称する)となり得、炭酸ガスをヒトの皮膚に供給することにより、角層細胞間接着タンパク質の分解を促進し、角層剥離酵素を活性化し、角層剥離を改善し、また皮膚表面形状を改善することができる。
また、炭酸ガスは、角層細胞間接着タンパク質分解促進のため、角層剥離酵素活性化のため、角層剥離改善のため、皮膚表面形状改善のために使用することができる。
ここで、炭酸ガスのヒトへの使用は、治療的使用であってもよいが、非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない、より具体的には医師、又は医療従事者もしくは医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。本発明において、非治療的使用としては、美容的又は審美的な目的での角層剥離改善のための炭酸ガスの使用、例えばエステティシャン、美容師、理容師、トリマー等による使用等が挙げられる。
本発明において、「角層細胞間接着タンパク質」とは、角層細胞同士の接着構造(コルネオデスモソーム)を構成するタンパク質を意味し、例えばデスモグレイン1(DSG1)、デスモコリン1(DSC1)、コルネオデスモシン(CDSN)等が挙げられ、好ましくはDSG1、DSC1である。
本発明において、「角層剥離酵素」とは、コルネオデスモソームの分解に関与する酵素を意味し、例えばカリクレイン5、カリクレイン7、カリクレイン14、カテプシンD等の皮膚プロテアーゼが挙げられ、好ましくはカリクレイン5、カリクレイン14のようなトリプシン様酵素である。
本発明において、「角層剥離」とは、角層細胞間の接着機構が弱まって、古い角層細胞が皮膚表面からはがれ落ちることを意味し、その改善とは角層剥離の遅延を抑制し、又は角層剥離を促進し、正常化することを指す。
本発明において、「皮膚表面形状の改善」とは、乾燥肌や乾皮症、角層剥離機能の異常をともなう皮膚疾患(例えばフケ症、尋常性魚鱗癬、伴性遺伝性魚鱗癬、乾癬等)において認められる角層細胞の堆積に由来する皮膚表面形状の異常(例えば、カサツキ、粉ふき・皮めくれ、ブツブツ、キメの粗さ等)を改善し、正常化することを指す。
本発明の角層剥離改善剤等は、炭酸ガスを皮膚角層に供給できるものであればその手段は特に限定されるものではく、例えば、噴射剤として炭酸ガスを封入したエアゾール化粧料のような皮膚外用剤(特開2014−129306号公報、特開2017−125003号公報等)、水分と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生剤を含有する発泡性の皮膚外用剤、不織布シート(特開2015−105451号公報)、入浴剤(特開平9−2942号公報、特開2000−191429号公報等)、パッド(特開2006−249025号公報等)が挙げられる。
炭酸ガスを皮膚外用剤に噴射剤として封入する場合、皮膚上において本発明の角層剥離改善効果を得る観点から、噴射剤の総量を基準として、炭酸ガスを90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましく、98質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
炭酸ガスを噴射剤として封入したエアゾール製剤を調製する場合における、皮膚外用剤(原液)と炭酸ガスを含む噴射剤の質量割合は、94:6〜99.5:0.5が好ましく、95:5〜99:1がより好ましく、96.5:3.5〜98.5:1.5がさらに好ましい。エアゾール製剤の噴射の形態としては、噴射剤として配合した炭酸ガスを皮膚上に持続的に滞留させる観点から、皮膚外用剤が泡状に吐出されるフォームタイプとするのが好ましい。
原液として用いる皮膚外用剤には、化粧料、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に通常使用される各種の成分を配合することができる。具体的には、皮膚外用剤を泡状に吐出させ、皮膚における泡ののびを良好とし、使用感に優れ、泡を持続させ炭酸ガスの効果を高める観点から、粉体、油剤、界面活性剤、水溶性増粘剤、水等の成分を含有させることが好ましい。
粉体としては、平均粒子径0.01〜30μmを有する酸化ケイ素、酸化チタン、(メタ)アクリル酸又はその塩/(メタ)アクリル酸アルキルクロスポリマー及びシリコーンラストマーから選ばれる1種以上の粉体が挙げられる。(メタ)アクリル酸若しくはその塩/(メタ)アクリル酸アルキルクロスポリマーは、(メタ)アクリル酸若しくはその塩から選ばれる少なくとも1種の単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の単量体とを、共重合してなる架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸との総称であり、(メタ)アクリル酸アルキルとは、アクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキルとの総称をいう。具体的には、メタクリル酸ラウリル・ジメタクリル酸エチレングリコール・メタクリル酸ナトリウム共重合体が挙げられる。シリコーンエラストマーは、モノマーの重合によって得られた架橋構造を有するシリコーン及びその誘導体の総称であり。例えば、ジメチコン、ビニルジメチコン、フェニルビニルジメチコン、ラウリルジメチコン及びラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン等から選ばれるモノマーを重合又は共重合させて得られるシリコーン及びその誘導体が好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーがより好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーがさらに好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーがよりさらに好ましい。
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、固体状のもとして、トレフィルE−506S(有効分100質量%)(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられ、液状油と混合したものとしては、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995)との混合物であるKSG−15(有効分7質量%)、低粘度ジメチルポリシロキサン(KF−96A−6cs)との混合物であるKSG−16(有効分25質量%)(以上、信越化学工業社製)、ジメチコンとの混合物であるトレフィルE−508(有効分70%)等が挙げられ、水と混合したものとしては、BY29−119(有効分63質量%)、BY29−129(有効分63質量%)などの市販品を用いることができる。(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、液状油と混合したものとして、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(KF−56A)との混合物であるKSG−18A(有効分15質量%)(信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
原液における粉体の含有量は、炭酸ガスを含有する泡の皮膚への均一な塗布性及び炭酸ガスの皮膚への浸透性を向上させる観点から、本発明における原液中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がさらに好ましく、また2.5質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下さらに好ましい。具体的な含有量の範囲は、0.1〜2.5質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましく、0.8〜1.5質量%がさらに好ましい。
油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、炭化水素油、シリコーン油、エステル油、エーテル油、フッ素油等が挙げられる。より具体的には、例えば、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、シクロメチコン、ジメチコン、トリシロキサンメチルトリメチコン、エチルトリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、安息香酸と炭素数12〜15の脂肪族アルコールとのエステルである安息香酸アルキル(C12−15)等のモノエステル油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のジエステル油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、2-エチルヘキサン酸トリグリセリル等のトリエステル油:アルキル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルエーテル等のエーテル油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられ、泡の伸びを向上させる観点から、炭化水素油、エステル油及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、炭化水素油、モノエステル油、トリエステル油、シリコーン油がより好ましく、モノエステル油、シリコーン油が好ましい。
油剤の粘度としては、炭酸ガスの皮膚への浸透性を向上させる観点から、1mPa・s以上であり、2mPa・s以上が好ましく、3mPa・s以上がより好ましく、4mPa・s以上がさらに好ましく、100mPa・s以下であり、50mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下がより好ましく、20mPa・s以下がよりさらに好ましい。また、油剤は、1〜100mPa・sのものであり、2〜50mPa・sのものが好ましく、3〜30mPa・sのものがより好ましく、4〜20mPa・sのものがさらに好ましい。
ここで、粘度は、25℃で、BM粘度計(東機産業社製)(ローターNo.1、60r
pm、1分)により測定される。
油剤は、1種又は2種以上を用いることができ、炭酸ガスの皮膚への浸透性、塗布後の皮膚の皮膜感を向上させる観点から、その含有量は、原液中に1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、25質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。また、油剤の含有量は、原液中に1〜25質量%であり、2〜15質量%が好ましく、4〜12質量%がさらに好ましい。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられるが、本発明では、炭酸ガスの原液への溶解量、溶解性促進と塗布時の泡立ち性の観点から非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。本発明で使用される非イオン界面活性剤は、HLB3〜20の非イオン界面活性剤であり、非イオン界面活性剤のHLBは、泡の皮膚への浸透感、組成物の保存安定性を向上させる観点から、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上がさらに好ましく、塗布後の皮膚の皮膜感を向上させる観点から、18以下が好ましく、16以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。また、非イオン界面活性剤のHLBは、7〜18が好ましく、9〜16がより好ましく、11〜15がさらに好ましい。
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)とは、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均することにより求められる。
具体的な非イオン界面活性剤としてしては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられ、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がさらに好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、炭酸ガスの皮膚への浸透性、泡の安定性を向上させる観点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数が、20〜90であるのが好ましく、30〜80がより好ましく、50〜70がさらに好ましい。
非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、その含有量は、泡ののび、炭酸ガスの皮膚への浸透性、塗布後の皮膚の皮膜感を向上させる観点から、原液中に0.05質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、6質量%以下であり、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、非イオン界面活性剤の含有量は、原液中に0.05〜6質量%であり、0.1〜2質量%が好ましく、0.3〜1質量%がより好ましい。
水溶性増粘剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、カラギーナン、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、カルボキシメチルキチン、キトサン等が挙げられる。これらは、原液の粘度を高め、急激な泡の発生を抑制し、安定性を向上させる効果を有する。さらに炭酸ガスの皮膚への浸透性、塗布後の皮膚の皮膜感を向上させる観点から、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体がより好ましい。ここで、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体とは、C10−30アルキルアクリル酸とアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの低級アルキルエステルとの共重合体であって、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2、カーボポールETD2020、カーボポール1342、カーボポール1382(以上、Lubrizol Advanced Materials 社)等の市販品を用いることができる。
水溶性増粘剤は、上記から選ばれる1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、その含有量は、原液中に0.1質量%以上であり、0.15質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、1質量%以下であり、0.8質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。また、水溶性増粘剤の含有量は、原液中に0.1〜1質量%であり、0.15〜0.8質量%が好ましく、0.2〜0.5質量%がより好ましい。
水は、溶媒として働き、原液中に、55質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、95質量%以下が好ましく、93質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましい。また、水の含有量は、原液中に、55〜95質量%が好ましく、65〜93質量%がより好ましく、75〜90質量%がさら好ましい。
原液は、安定性、泡の吐出性、炭酸ガスの皮膚への浸透性を向上せる観点から、25℃における粘度が、500mPa・s以上であるのが好ましく、1000mPa・s以上がより好ましく、1500mPa・s以上がさらに好ましく、20000mPa・s以下が好ましく、10000mPa・s以下がより好ましく、7000mPa・s以下がさらに好ましい。原液は、25℃における粘度が、500〜20000mPa・sであるのが好ましく、1000〜10000mPa・sがより好ましく、1500〜7000mPa・sがさらに好ましい。
ここで、粘度は、25℃で、BM粘度計(東機産業社製)を用いて、ローターNo.3、12rpm、1分で測定し、粘度が10000mPa・sを超えた場合は、ローターNo.3、6rpm、1分で測定した値である。
発泡性皮膚外用剤において用いられる炭酸ガス発生剤としては、通常、炭酸ガス発生物質と酸性物質からなり、水と接触することにより両者が反応し、炭酸ガスを発生する製剤が挙げられる。
ここで、酸性物質としては、無機酸、有機酸のいずれでもよく、これらの1種又は2種以上が用いられる。有機酸としては、例えば、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸、ピロリドンカルボン酸、サリチル酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、無機酸としては、具体的には、例えば、リン酸、ホウ酸、メタケイ酸及び無水ケイ酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、炭酸ガス発生量を確保する観点から、有機酸が好ましく、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、及び酒石酸から選ばれる1種又は2種以上であることがより好ましく、クエン酸、リンゴ酸及びフマル酸から選ばれる1種又は2種であることがさらに好ましい。
炭酸ガス発生物質としては、炭酸塩が挙げられ、具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びセスキ炭酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、炭酸塩としては、炭酸ガス発生量を確保する観点から、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
斯かる炭酸ガス発生剤は、酸性物質、炭酸ガス発生物質を同一剤に含んでいてもよく、また複数の剤に分けて含有していてもよい。
発泡性皮膚外用剤の剤形は、固形状、液体状、ジェル状等いずれでもよい。固形状の場合、顆粒状、細粒状、粉末状であり得る。当該皮膚外用剤は、化粧料、医薬部外品、医薬品のいずれの形態でもよいが、化粧品又は医薬部外品として用いることが好ましい。具体的には、化粧水、乳液、美容ジェル、パック料、育毛料、洗顔料、クレンジング料、シャンプー、コンディショナー等、様々な形態を挙げることができ、使用に際し、手のひらの上あるいは容器内で含水物質と混合し、発泡させて使用する態様が好ましい。
不織布シートとしては、粉体である炭酸ガス発生剤(酸性物質及び炭酸ガス発生物質)を担持し、皮膚に貼付した不織布シートに水や湯をかけるのみで、シートを貼付した皮膚上において十分な量の炭酸ガスを発生させることができシートが挙げられる。
具体的には、(A)有機酸及び無機酸から選ばれる粉体、(B)炭酸塩である粉体、(C)融点が50℃以上110℃以下であり、かつ25℃で固体である物質(例えば、ポリエチレングリコール等のポリエーテルやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体のような高分子化合物;ミリスチン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;グルコース、マルトース等の糖類)、及び(D)繊維を含有する不織布シートが挙げられる。
入浴剤としては、(a)界面活性剤を10重量%以上及び炭酸塩を該界面活性剤の2重量倍以上含む固体状賦形物、(b)炭酸塩又は炭酸水素塩、(c)有機酸を含有し、成分(a)の含有量が入浴剤中3〜20重量%である発泡性錠剤型入浴剤(特開平9−2942号公報)や、(A)常温で固体の酸又は水に溶解したときに酸性を示す無機物、(B)炭酸塩、(C)冷感剤又は温感剤を含有する発泡性化粧料(特開2000−191429号公報)が挙げられる。
パッドとしては、吸水性を有する基底層と、該基底層を被覆するように設けられたガスバリア性を有する保護層と、該保護層と前記基底層の間に封入された、炭酸ガス発生剤を含んでなり、保護層の周縁部分で皮膚に貼着できるようにされたパッド(特開2006−249025号公報)等が挙げられる。
本発明の角層剥離改善剤等の適用対象としては、それを必要としていれば特に限定されないが、角層細胞が堆積し、鱗屑や皮めくれ等を呈しているヒト、或いはそれらの発症を抑制し、角層剥離の正常化を目的とするヒトが好ましい。
実施例1 コルネオデスモソーム分解亢進作用(ヒト試験)
(1)25−50歳の健常男性43名から左右頬部に鱗屑のある方20名を選定し、試験参加者とした。選定した試験参加者に、(2)に示すプラセボ及び炭酸ガス含有組成物を、指定した適用部位(顔全面の左右いずれかを予め指定)に、それぞれ約0.5gずつ、1日2回、連続1週間塗布させた。
(2)試験品
下記表1に示す成分のうち、成分(1)、(4)及び(15)を60℃で撹拌し、さらに塩基を混合して撹拌した。その後、残りの成分を加え、撹拌して均一にし、25℃まで冷却して、原液を得、これを「プラセボ(炭酸ガス非含有組成物)」とした。得られた原液を耐圧容器に充填し、密封後、炭酸ガスを充填して本発明の「炭酸ガス含有組成物」とした。
(3)テープストリッピング角層の免疫染色
試験品使用前及び使用1週後、試験参加者に所定の洗浄料を用いて洗顔させ、温度20℃(±2℃)・湿度40%(±5%)下で15分間以上馴化させた後、アクリルテープ(寺岡製作所,25mm×40mm)を用い、左右の頬部から、テープストリッピング法により深さ方向に連続5回ずつ角層を採取した。採取したテープストリッピング角層のうち、1枚目の10mm×10mmを用いて、既報[Naoe Y. et al., Bidimensional analysis of desmoglein 1 distribution on the outermost corneocytes provides the structural and functional information of the stratum corneum. J Dermatol Sci. 57(3): 192-198 (2010)]を参考に、抗DSG1抗体を用いて免疫染色を施した。すなわち、テープストリッピング角層をPBSにて洗浄し、Blocking Reagent(TOYOBO)にてブロッキング(60min,RT)した後、PBSにて希釈した1次抗体を反応させ(O/N,4℃)、次いで2次抗体を反応させた(45min,RT)。その後、Fluoromount G(Southern Biotechnology)にて包埋し、蛍光顕微鏡システム(キーエンス)にて観察、撮影した(Ex/Em=470/525)。用いた抗体と希釈倍率を下記に示す。
1次抗体:Mouse anti-human desmoglein 1 antibody, DSG1-P23 (Progen Biotechnik) 1:10
2次抗体:Anti-mouse IgG, Alexa 488-linked antibody (Cell Signaling Technology) 1:200
(4)結果
図2にテープストリッピング角層の抗DSG1抗体を用いた免疫染色画像を示す。試験品使用前は左右の頬部で顕著な差は認められなかったが、試験品の使用1週後では、プラセボ適用側では細胞全体に認められたDSG1陽性シグナルが、炭酸ガス含有組成物適用側では細胞中心部において陽性シグナルの減弱が認められた(図2)。本結果から、炭酸ガスによりDSG1の分解が亢進されたと考えられる。
実施例2 角層トリプシン様酵素活性化作用(ヒト試験)
(1)テープストリッピング角層のトリプシン様酵素活性評価
実施例1において採取したテープストリッピング角層のうち、1枚目の15mm×10mm及び2〜5枚目の25mm×10mmを用いて、既報 [Voegeli R. et al., Profiling of serine protease activities in human stratum corneum and detection of a stratum corneum tryptase-like enzyme. Int J Cosmet Sci. 29(3):191-200(2007)]を参考に、トリプシン様酵素活性を評価した。すなわち、テープストリッピング角層に可溶化液(0.1 M Tris−HCl(pH 8.0、Wako)、0.5% Triton X−100(Wako))を加え、ボルテックス(15min, RT)し、タンパク質抽出液を得た。得られた抽出液に蛍光標識基質Boc−Phe−Ser−Arg−AMC(Bachem)を添加し、インキュベートした(2hr, 37℃)。1% Acetic acid(Wako)の添加により酵素反応を停止させた後、マイクロプレートリーダー(Corona Electric)により蛍光(Ex/Em=355/460)を測定した。蛍光試薬7−amino−4−methylcoumarin(AMC,Abcam)を用いて検量線を作成し、遊離したAMC量をトリプシン様酵素活性として算出した。タンパク質の定量にはBCA protein assay(ThermoFisher Scientific)を用いた。
(2)結果
評価結果を図3に示す。試験品使用前は左右の頬部で差が見られなかった角層トリプシン様酵素活性が、試験品の使用1週後では、炭酸ガス含有組成物適用側で、プラセボ適用側に比較して有意な活性の上昇が認められた。本結果から、炭酸ガスにより角層剥離酵素の活性が正常化すると考えられる。尚、図中の値は、平均値±標準誤差で示した。群間比較解析にはPaired t−testを用い、有意性はP<0.05と定義した。
実施例3 皮膚表面形状改善効果(ヒト試験)
(1)評価方法
実施例1の試験において、試験品使用前と使用1週後、左右の頬部についてのドライスキンマイクロスコープ(インテグラル)により撮影し、皮膚表面の拡大画像を取得した。また、試験品使用1週後、試験参加者の主観評価として、左右頬部の肌の状態全般や皮膚表面の見た目や触った感じを比較させ、どちらがより改善したと感じたか答えさせた。
(2)結果
頬部皮膚表面の拡大画像の例を図4に、主観評価の結果を表2に示す。拡大画像より、試験品使用前は左右の頬部で顕著な差が見られなかった。試験品使用1週後、プラセボ適用側では皮膚表面の荒れが悪化したが、炭酸ガス含有組成物適用側で表面の荒れが軽減した。試験参加者の主観評価の結果より、肌の状態全般、カサツキ・乾燥、粉ふき・皮めくれ、ブツブツの量、ブツブツの大きさ、キメ・滑らかさ、触った時のざらつきの各項目において、炭酸ガス含有組成物適用側が改善したと感じた人数は、プラセボ適用側が改善したと感じた人数より多い結果となった。
これらの結果から、炭酸ガスにより角層剥離が改善され、皮膚表面形状が正常化したものと考えられる。
実施例4 コルネオデスモソーム分解亢進作用及び皮膚プロテアーゼ活性化作用(3次元培養表皮)
(1)培養
ヒト3次元培養表皮LabCyte EPI−MODEL 12 (J−TEC)を添付のアッセイ培地にて24時間前培養した後、インサートカップ下部液をHBSS(GIBCO)に交換し、3次元培養表皮の角層上部に実施例1で調製したプラセボ又は炭酸ガス含有組成物のいずれかを約0.6g/cmとなるよう適用した(n=3)。その後、通常のインキュベーター(37℃,5%CO)にて培養2時間後、角層上部をPBSにて洗浄し、インサートカップ下部の培養液及び表皮組織を回収した。
(2)ウェスタンブロッティング解析
表皮組織に可溶化液(12mM Sodium deoxycholate(SDC, Wako)、12mM Sodium lauroyl sarcosinate(SLS,Wako)、100mM Tris−HCl(pH9.0,Wako),7M Urea(Wako),2M Thiourea(Wako))を加え、TissueLyser LT(Qiagen)によりビーズ破砕及びソニケーションした後、遠心分離(15,000rpm,15min,RT)を行い、上清を回収した。得られた組織抽出液について、EZQ Protein Quantitation kit(Molecular probes)を用いてタンパク質定量を行った後、SDS−PAGEにて分離し、PVDFメンブレンに転写した。PVDF Blocking Reagent(TOYOBO)にてブロッキング(60min,RT)した後、Can get signal solution A(TOYOBO)にて希釈した1次抗体を反応させ(O/N,4℃)、次いで Can get signal solution B(TOYOBO)にて希釈した2次抗体を反応させた(45min,RT)。検出にはECL Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare Life Sciences)を用い、検出装置はLAS4000(Fujifilm)を用いた。バンドの定量化には、Image Gauge ver 3.2(Fujifilm)を用いた。
用いた抗体と希釈倍率を下記に示す。
1 次抗体:
・Mouse anti-desmoglein 1 antibody, DSG1-P23 (Progen Biotechnik)
1:100
・Mouse anti-desmocollin 1 antibody, DSC1-U100 (Progen Biotechnik)
1:100
・Rabbit anti-β-actin antibody, 13E5 (Cell Signaling Technology)
1:2000
2 次抗体:
・Anti-mouse IgG, HRP-linked antibody (Cell Signaling Technology)
1:1000
・Anti-rabbit IgG, HRP-linked antibody (Cell Signaling Technology)
1:1000
(3)組織切片のプロテアーゼ活性評価
表皮組織について、既報 [Hachem JP. et al., Acute acidification of stratum corneum membrane domains using polyhydroxyl acids improves lipid processing and inhibits degradation of corneodesmosomes. J Invest Dermatol. 130(2): 500-510 (2010)]を参考に、in situ zymographyにてプロテアーゼ活性評価を実施した。本手法で検出されるプロテアーゼ活性は、カリクレイン5、カリクレイン7、カリクレイン14等を含むセリンプロテアーゼ、カテプシンD等を含む酸性プロテアーゼ、システインプロテアーゼ及び金属プロテアーゼである。表皮組織を川本法用凍結包埋剤(Section Lab)にて包埋した後、液体窒素にて凍結させ、クライオトームにより薄切した(7μm)。凍結組織切片を1% Tween 20水溶液にて洗浄した後、EnzChek Protease Assay(Molecular Probes)キット中の基質BODIPY−Fl−casein 200μg/mLを加え、インキュベートした(37℃,2hr)。洗浄後、4’,6−diamidino−2−phenylindole(DAPI,Invitrogen)5μg/mLを反応させ、Fluoromount G(Southern Biotechnology)にて包埋し、蛍光顕微鏡システム(Leica)により観察、撮影した(Ex/Em=480/527及び360/470)。
(4)培養液のトリプシン様酵素活性測定
培養後のインサートカップ下部の培養液について、既報[Voegeli R. et al., Profiling of serine protease activities in human stratum corneum and detection of a stratum corneum tryptase-like enzyme. Int J Cosmet Sci. 29(3):191-200(2007)]を参考に、トリプシン様酵素活性測定を実施した。すなわち、回収した培養液に蛍光標識基質Boc−Phe−Ser−Arg−AMC(Bachem)を添加し、インキュベートした(37℃,2hr)。1% Acetic acid(Wako)の添加により酵素反応を停止させた後、マイクロプレートリーダー(Corona Electric)により蛍光(Ex/Em=355/460)を測定した。蛍光試薬7−amino−4−methylcoumarin(AMC,Abcam)を用いて検量線を作成し、遊離したAMC量をトリプシン様酵素活性として算出した。タンパク質の定量にはBCA protein assay(ThermoFisher Scientific)を用いた。
(5)結果
1)ウェスタンブロッティング解析
プラセボを適用した群に比して、炭酸ガス含有組成物を適用した群では、DSG1及びDSC1の全長を示すバンドが減少しており(図5(A))、これらを画像解析により数値化したところ群間に有意な差が認められた(図5(B))。この結果から、炭酸ガス含有組成物により角層細胞間接着タンパク質であるDSG1及びDSC1の分解が促進されることが示された。尚、図中の値は、平均値±標準誤差で示した。群間比較解析には Student’s t−testを用い、有意性はP<0.05と定義した。
2)in situ zymographyによるプロテアーゼ活性の評価
本手法は、組織と蛍光基質を酵素反応に適した条件下でインキュベートすることで、組織中のプロテアーゼ活性を評価する手法であり、活性が高いほど強い蛍光染色画像が観察される。プラセボを適用した組織に比して、炭酸ガス含有組成物を適用した組織において、より強い陽性所見が認められた(図6)。尚、角層と表皮層を明瞭にするため、表皮層の細胞核はDAPIで対比染色されている。
3)培養液のトリプシン様酵素活性評価
カリクレイン5等の角層剥離酵素は表皮細胞から細胞外に分泌されて機能する。培養後のインサートカップ下部の培養液には、表皮細胞からの分泌成分が含まれると考えられることから、そのトリプシン様酵素活性を評価した結果、プラセボを適用した群に比して、炭酸ガス含有組成物を適用した群では、トリプシン様酵素活性の有意な上昇が認められた(図7)。尚、図中の値は、平均値±標準誤差で示した。群間比較解析には Student’s t−testを用い、有意性はP<0.001と定義した。
以上の結果より、前記のin situ zymographyの強い陽性所見は、一部はトリプシン様酵素の活性化によるものと考えられ、ウェスタンブロッティング解析で確認されたDSG1及びDSC1の全長を示すバンドの有意な減少は、炭酸ガスによるトリプシン様酵素の活性化によるものであることが推察された。

Claims (6)

  1. 炭酸ガスを有効成分とする角層剥離改善剤。
  2. 炭酸ガスを有効成分とする角層細胞間接着タンパク質分解促進剤。
  3. 炭酸ガスを有効成分とする角層剥離酵素活性化剤。
  4. 角層細胞間接着タンパク質がデスモグレイン1及びデスモコリン1から選ばれる1種以上である、請求項2記載の角層細胞間接着タンパク質分解促進剤。
  5. 角層剥離酵素がトリプシン様酵素である、請求項3記載の角層剥離酵素活性化剤。
  6. 炭酸ガスを有効成分とする皮膚表面形状改善剤。
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