JP2019210390A - ホース用ゴム組成物及びホース - Google Patents

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孝樹 杉原
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Abstract

【課題】高モジュラスであり、耐圧縮永久歪み性、耐熱性に優れるゴム組成物、及び、金具の装着性、耐熱性に優れるホースの提供を目的とする。【解決手段】ジエン系ゴムと、比表面積が30〜150m2/gである酸化亜鉛と、硫黄とを含有し、上記酸化亜鉛の含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜20質量部であり、上記硫黄の含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して1質量部未満である、ホース用ゴム組成物、及び、上記ホース用ゴム組成物を用いて形成されたホース。【選択図】図1

Description

本発明はホース用ゴム組成物及びホースに関する。
従来、建設機械等の油圧配管やカーエアコンシステムのホースには、ゴムホース(ゴム製のホース)が用いられている。
上記ゴムホースは、接続部において例えば金具でかしめるなどすることによって、上記接続部に固定される。
このため、上記ゴムホースには、所定の圧力下での金具との良好な装着性が求められる。これに伴い、上記ゴムホースに使用されるゴムは、具体的には例えば、高モジュラス(高硬度)であり、かつ、耐圧縮永久歪み性が優れる必要がある。
また、ゴムホースは高温条件下で使用される場合があるため、ゴムホースに使用されるゴムは、上記のとおり高モジュラスであり耐圧縮永久歪み性に優れることの他に、耐熱性に優れることが同時に求められる。
一方、貯蔵安定性に優れた加硫可能なゴム組成物等の提供を目的として、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物が提案されている。
例えば、特許文献1には、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、比表面積がS(m2/g)である酸化亜鉛をX重量部、および必要に応じて添加されるポリエチレングリコ−ルおよび/または脂肪族アンモニウムをY重量部含有しており、そのS、X、およびYとの間に特定の式の関係が成り立つ加硫可能なゴム組成物が記載されている。
また、特許文献1には、酸化亜鉛の比表面積は1〜30m2/gの範囲が好ましいと記載されている。
特開2002−25612号公報
本発明者は特許文献1に記載されているような、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と酸化亜鉛と硫黄とを含有するゴム組成物から得られるゴムをホース用として評価したところ、上記ゴムにおいて、モジュラス、耐圧縮永久歪み性及び耐熱性のうちの少なくともいずれかが低い場合があることが明らかとなった(比較例1〜6)。
そこで、本発明は、高モジュラスであり、耐圧縮永久歪み性、耐熱性に優れるゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は金具の装着性、耐熱性に優れるホースを提供することも目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ゴム組成物が、ジエン系ゴムと、比表面積が所定の範囲である酸化亜鉛と、硫黄とを含有し、上記酸化亜鉛及び上記硫黄の含有量が所定の範囲であることによって所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
[1] ジエン系ゴムと、比表面積が30〜150m2/gである酸化亜鉛と、硫黄とを含有し、
上記酸化亜鉛の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜20質量部であり、
上記硫黄の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部未満である、ホース用ゴム組成物。
[2] 更に、カーボンブラックを含有し、
上記カーボンブラックの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、30〜130質量部である、[1]に記載のホース用ゴム組成物。
[3] 上記カーボンブラックが、GPF級カーボンブラック及び/又はSRF級カーボンブラックを含む、[2]に記載のホース用ゴム組成物。
[4] 上記ジエン系ゴムが、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
[5] 下記式(I)を満たす、[1]〜[4]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
30<[上記酸化亜鉛の上記比表面積/上記硫黄の上記含有量]≦1,500 (I)
[6] 下記式(II)を満たす、[1]〜[5]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
30<[(上記酸化亜鉛の上記比表面積×上記酸化亜鉛の上記含有量)/上記硫黄の上記含有量]≦30,000 (II)
[7] 上記硫黄の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
[8] 白色充填剤を実質的に配合しない、[1]〜[7]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
[9] 油圧作動用ホース又はカーエアコンシステム用ホースに使用される、[1]〜[8]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
[10] ホースの最外層に使用される、[1]〜[9]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
[11] [1]〜[8]のいずれかに記載のホース用ゴム組成物を用いて形成されたホース。
本発明のホース用ゴム組成物は、高モジュラスであり、耐圧縮永久歪み性、耐熱性に優れる。
また、本発明のホースは、金具の装着性、耐熱性に優れる。
図1は、本発明のホースの一例について、各層を切り欠いて表した、模式的な斜視図である。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書に記載されている各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本明細書において、高モジュラス、耐圧縮永久歪み性及び耐熱性のうちの少なくとも1つがより優れることを、「本発明の効果がより優れる」ということがある。
[ホース用ゴム組成物]
本発明のホース用ゴム組成物(本発明のゴム組成物)は、ジエン系ゴムと、比表面積が30〜150m2/gである酸化亜鉛と、硫黄とを含有し、上記酸化亜鉛の含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜20質量部であり、上記硫黄の含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して1質量部未満である、ホース用ゴム組成物である。
本発明のゴム組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明において得られるゴムの耐熱性を向上させるため、本発明のゴム組成物に含有される硫黄の量は通常よりも少なく設定されている。
上記硫黄の含有量を少なくすると、得られるゴムについて高いモジュラス及び優れた耐圧縮永久歪み性を確保できない場合があると考えられた。
一方、本発明のゴム組成物に含有される酸化亜鉛は比表面積が所定の範囲であることによって、硫黄を活性化する効果が極めて高い。
このため、ゴム組成物に含有される硫黄の含有量が上記のように少なくとも、ゴム組成物が所定の酸化亜鉛を特定量で含有することによって、上記ゴム組成物から得られるゴムの、モジュラス及び耐圧縮永久歪み性と耐熱性とを高いレベルでバランスさせることができることを本発明者は知見した。
以下、本発明のゴム組成物に含有される各成分について詳述する。
<ジエン系ゴム>
本発明のゴム組成物に含有されるジエン系ゴムは、1分子当たり二重結合を2つ有する化合物による繰り返し単位を有するポリマーであれば特に制限されない。
上記化合物としては、共役ジエン系化合物、非共役ジエン系化合物が挙げられる。
上記ジエン系ゴムは、非共役ジエン系化合物による繰り返し単位を有するポリマーを含むことができる。
上記ポリマーは、更に、非共役ジエン系化合物以外の、不飽和結合を有する化合物による繰り返し単位を有してもよい。
上記ジエン系ゴムとしては、例えば、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体のような非共役ジエン系ゴムが挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体を構成し得るα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン等が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体を構成し得るジエンとしては、例えば、例えば非共役ジエン化合物が挙げられる。
上記非共役ジエン化合物としては具体的には例えばジシクロペンタジエン(DCPD);5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)のようなエチリデンノルボルネン;1,4−ヘキサジエン(HD)が挙げられる。
上記ジエンは、本発明の効果により優れるという観点から、エチリデンノルボルネンを少なくとも含むことが好ましい。
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果により優れ、耐オゾン性に優れるという観点から、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)を含むことが好ましい。
上記ジエン系ゴムにおいて、上記ジエン(例えばエチリデンノルボルネン)による構成単位の含有量は、本発明の効果により優れ、高架橋密度及び/又は架橋速度に優れるという観点から、上記ジエン系ゴムの2〜12質量%が好ましく、4〜10質量%がより好ましい。
なお、本発明において、上記ジエン(例えばエチリデンノルボルネン)による構成単位の含有量の基準は、上記ジエンによる構成単位を有する上記ジエン系ゴム自体とできる。また、上記ジエンによる構成単位の含有量の基準は、上記ジエン系ゴム全体であってもよい。
上記ジエン系ゴムがエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体を含む場合、上記ジエン系ゴムは上記エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体以外のジエン系ゴムを更に含むことができる。上記の、更に含むことができるジエン系ゴムは特に制限されない。
上記ジエン系ゴムがエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体を含む場合、上記エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体の含有量は、上記ジエン系ゴム全体に対して、100質量%以下とできる。
<<酸化亜鉛>>
本発明のゴム組成物は、比表面積が30〜150m2/gである酸化亜鉛を含有する。
<比表面積>
本発明のゴム組成物に含有される酸化亜鉛の比表面積は、30〜150m2/gである。
本発明のゴム組成物において、上記酸化亜鉛の比表面積が所定の範囲であることによって、硫黄を活性化する効果が高く、本発明のゴム組成物又は本発明のゴム組成物から得られるゴムにおいて、モジュラス及び耐圧縮永久歪み性と耐熱性とを高いレベルでバランスさせることができると考えられる。
本発明において、上記酸化亜鉛の比表面積は、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法による比表面積を意味する。なお、上記酸化亜鉛の比表面積を「BET法比表面積」と表す場合がある。
なお、本発明において、ある酸化亜鉛の比表面積が数値範囲(例えばA〜Bm2/g)で示されている場合、上記数値範囲の下限値(A)と上限値(B)との合計を2で割った値[(A+B)/2]が本発明における酸化亜鉛の比表面積「30〜150m2/g」を満たせば、上記ある酸化亜鉛は、本発明における「比表面積が30〜150m2/gである酸化亜鉛」に該当するものとする。
上記比表面積は、本発明の効果により優れ、高架橋密度に優れるという観点から、50〜130m2/gであることが好ましく、60〜100m2/gがより好ましい。
上記酸化亜鉛の製造方法は特に制限されない。例えば、湿式法が挙げられる。
<酸化亜鉛の含有量>
本発明において、上記酸化亜鉛の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜20質量部である。
上記酸化亜鉛の含有量は、本発明の効果により優れ、高架橋密度に優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、4〜12質量部であることが好ましく、6〜11質量部がより好ましい。
<<硫黄>>
本発明のゴム組成物に含有される硫黄は特に制限されない。
本発明のゴム組成物において、上記硫黄は例えば加硫剤として機能できる。
上記硫黄の形態は特に制限されない。例えば、油処理されたもの、粉末状のものが挙げられる。
<硫黄の含有量>
本発明において、上記硫黄の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部未満である。
硫黄の含有量が所定の範囲であることによって、本発明のゴム組成物又は本発明のゴム組成物から得られるゴムは耐熱性に優れる。
上記硫黄の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上1.0質量部未満であることが好ましく、0.5〜0.9質量部であることがより好ましい。
・式(I)
本発明のゴム組成物は、本発明の効果により優れ、高架橋密度に優れるという観点から、下記式(I)を満たすことが好ましい。
30<[上記酸化亜鉛の上記比表面積/上記硫黄の上記含有量]≦1,500 (I)
上記式(I)における「上記酸化亜鉛の上記比表面積」は、本発明のゴム組成物に含有される上記酸化亜鉛が有する上記比表面積を意味する。
「上記硫黄の上記含有量」は、本発明のゴム組成物における、上記ジエン系ゴム100質量部に対する上記硫黄の含有量を意味する。
なお、本発明において、ある酸化亜鉛の比表面積が数値範囲(A〜Bm2/g)で示されている場合、上記数値範囲の下限値(A)と上限値(B)との合計を2で割った値[(A+B)/2]を式(I)の「酸化亜鉛の比表面積」に代入するものとする。式(II)についても同様である。
上記式(I)における下限は、本発明の効果により優れ、高架橋密度に優れるという観点から、50以上が好ましく、80以上が好ましく、90以上がより好ましい。
上記式(I)における上限は、本発明の効果により優れ、破断伸びに優れるという観点から、500以下が好ましく、300以下がより好ましい。
・式(II)
本発明のゴム組成物は、本発明の効果により優れ、高架橋密度に優れるという観点から、下記式(II)を満たすことが好ましい。
30<[(上記酸化亜鉛の上記比表面積×上記酸化亜鉛の上記含有量)/上記硫黄の上記含有量]≦30,000 (II)
上記式(II)における「上記酸化亜鉛の上記比表面積」、「上記硫黄の上記含有量」は、上記式(I)と同様である。
上記式(II)における「上記酸化亜鉛の上記含有量」は、本発明のゴム組成物における、上記ジエン系ゴム100質量部に対する、上記所定の比表面積を有する酸化亜鉛の含有量を意味する。
上記式(II)における下限は、本発明の効果により優れ、高架橋密度に優れるという観点から、400以上が好ましく、800以上がより好ましく、900以上が更に好ましい。
上記式(II)における上限は、本発明の効果により優れ、破断伸びに優れるという観点から、1,300以下が好ましく、1,100以下がより好ましい。
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、更に、カーボンブラックを含有することができる。
・カーボンブラックの種類
上記カーボンブラックの種類は特に制限されない。
カーボンブラックの種類としては、耐熱性により優れるという観点から、例えば、FEF、GPF、SRF、FT又はMT級カーボンブラックのようなソフトカーボンブラックが挙げられる。
上記カーボンブラックは、耐熱性により優れるという観点から、GPF級カーボンブラック及び/又はSRF級カーボンブラックを含むことが好ましい。
・よう素吸着量
上記カーボンブラックのよう素吸着量は、耐熱性と押し出し加工性に優れるという観点から、15〜50mg/gであることが好ましく、20〜45mg/gであることがより好ましい。
カーボンブラックのよう素吸着量は、JIS K6217−1:2008に準じて測定できる。
なお、本発明において、カーボンブラックのよう素吸着量が数値範囲(例えばA〜Bm2/g)で示されている場合、上記数値範囲の下限値(A)と上限値(B)との合計を2で割った値[(A+B)/2]が上記好適範囲を満たせばよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積、DBP吸油量についても同様である。
・窒素吸着比表面積
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐熱性と押し出し加工性に優れるという観点から、20×103〜45×1032/kgであることが好ましく、25×103〜40×1032/kgであることがより好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2008に準じて測定できる。
・DBP吸油量
上記カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、耐熱性と押し出し加工性に優れるという観点から、55〜100ml/100gであることが好ましい。
カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K6217−4:2008に準じて、測定できる。
・カーボンブラックの含有量
上記カーボンブラックの含有量は、本発明の効果により優れ、補強性と耐熱性に優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、30〜130質量部であることが好ましく、50〜100質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、白色充填剤を実質的に配合しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
上記白色充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー又はマイカが挙げられる。
本発明において、白色充填剤を実質的に含有しないとは、上記白色充填剤の含有量が、本発明のゴム組成物全体に対して0〜1.0質量%であることを意味する。
(添加剤)
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、ジエン系ゴム以外のゴム、樹脂、上記酸化亜鉛以外の酸化亜鉛、加硫促進助剤(例えば、ステアリン酸)、加硫遅延剤、軟化剤のような加工助剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤などが挙げられる。
(ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物はその製造方法について特に制限されない。例えば、上記必須成分と、必要に応じて使用することができる任意成分とを100〜180℃の条件下で混合することによって製造することができる。
(ゴム組成物の加硫(架橋))
本発明のゴム組成物を加硫(架橋)する方法は特に制限されない。本発明のゴム組成物を、例えば、140〜190℃の条件下において、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)または温水加硫して加硫(架橋)することができる。
本発明のゴム組成物は、例えば、ホースに適用することができる。本発明のゴム組成物をホースの最外層に適用することが好ましい。
上記ホースとしては、例えば、油圧作動用ホース、カーエアコンシステム用ホースが挙げられる。
[ホース]
本発明のホースは、本発明のホース用ゴム組成物を用いて形成されたホースである。
本発明のホースは、高モジュラスであり、耐圧縮永久歪み性、耐熱性に優れる本発明のホース用ゴム組成物を用いて形成されるので、(上記の高モジュラス、優れた耐圧縮永久歪み性により)金具の装着性に優れ、耐熱性に優れる。
このため、本発明のホースは、より高い温度雰囲気下で使用でき、且つホースの製品寿命を従来よりも延ばす事ができる。
本発明のホースは、本発明のゴム組成物を用いて形成されること以外は特に制限されない。
本発明のホースに使用されるゴム組成物は本発明のゴム組成物であれば特に制限されない。
本発明のホースにおいて、上記ホースのいずれの部材を上記ゴム組成物で形成するかは特に制限されない。
なかでも、本発明のホースは、上記ゴム組成物で形成された最外層を有することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
(最外層)
本発明のホースの最外層を本発明のゴム組成物で形成することができる。
最外層の厚みは例えば0.2〜4mmとすることができる。
本発明のホースは上記最外層以外に、更に、補強部材(補強層)、内層及び中間ゴム層からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することができる。補強部材は1層又は複数の層であってもよい。内層及び中間ゴム層も同様である。
(補強部材)
補強部材は特に限定されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
補強部材の材質としては、例えば、金属、繊維材料(ポリアミド、ポリエステル等)が挙げられる。補強部材は表面処理されたものであってもよい。
補強部材の形態としては、例えば、スパイラル構造及び/又はブレード構造に編組されたものが挙げられる。
(内層)
内層を形成しうるゴム組成物は特に制限されない。例えば、本発明のゴム組成物で内層を形成してもよい。
内層の厚みは例えば0.2〜4mmとすることができる。
(中間ゴム層)
中間ゴム層を形成しうるゴム組成物は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。中間ゴム層を本発明のゴム組成物を用いて形成してもよい。
中間ゴム層は、例えば、最外層と補強部材との間、内層と補強部材との間、又は、補強部材と補強部材との間に配置することができる。
中間ゴム層の厚みは例えば0.2〜0.7mmとすることができる。
本発明のホースは、例えば、内層、補強部材及び最外層をこの順番で有することができる。
本発明のホースの例について添付の図面を参照して説明する。本発明は添付の図面に制限されない。
図1は、本発明のホースの一例について、各層を切り欠いて表した、模式的な斜視図である。
図1において、ホース1は、内層2を有し、内層2の上に補強部材3を有し、補強部材3の上に最外層4を有する。
最外層4を本発明のゴム組成物で形成することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明のホースはその製造方法について特に制限されない。例えば、マンドレル上に、内層を形成するためのゴム組成物、補強部材および最外層を形成するためのゴム組成物(例えば本発明のゴム組成物)をこの順に積層させて積層体とし、上記積層体をナイロン布などで覆い、上記ナイロン布などで覆われた積層体を140〜190℃、30〜180分の条件で、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)または温水加硫することにより加硫接着させて本発明のホースを製造することができる。
本発明のホースの具体的な用途としては、例えば、油圧作動用ホース(油圧ホース)、カーエアコンシステム用ホースが挙げられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<ゴム組成物の製造>
下記第1表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いて、これらを撹拌機で混合し、組成物を製造した。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除く成分をバンバリーミキサー(3.4リットル)で5分間混合し、160℃に達したときに放出し、マスターバッチを得た。
次に、上記のとおり得られた各マスターバッチに硫黄と加硫促進剤とを加え、これらをオープンロールで混合し、ゴム組成物を得た。
(加硫シート(加硫直後)の作製)
上記のとおり得られた各ゴム組成物を153℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シート(加硫直後)を作製した。
<<評価>>
本発明において、初期試験片の引張物性、耐熱性及び耐圧縮永久歪み性を以下のとおり評価した。結果を第1表に示す。
<引張物性(モジュラス等)>
後述のとおり、初期試験片の引張物性(100%モジュラス、引張強さ及び破断時伸び)を測定した。各実施例、比較例の各引張物性の結果を比較例1の結果を100%とする指数(%)で表す。上記各引張物性の指数を第1表に示す。
・引張試験に用いる初期試験片の作製
上記のとおり作製された各加硫シートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、初期試験片を得た。
・引張試験
上記のとおり得られた各初期試験片を用いて、JIS K6251:2010に準じて、23℃±2℃、引張速度500mm/分の条件下で引張試験を行い、100%モジュラス(M100%)、引張強さ(TB)[MPa]及び破断時伸び(EB)[%]を測定した。
・引張物性(初期)の評価基準
・・モジュラス(高モジュラス)(初期)
なお、本発明において、モジュラス(高モジュラス)は、100%モジュラスで測定された値を用いて、以下のように評価された。
本発明において、100%モジュラス(指数)が115%以上である場合、非常に高モジュラスであると評価した。
100%モジュラス(指数)が110%以上115%未満である場合、やや高モジュラスであると評価した。
100%モジュラス(指数)が105%以上110%未満である場合、モジュラスがやや低いと評価した。
100%モジュラス(指数)が105%未満である場合、モジュラスが非常に低いと評価した。
・・引張強さ(TB)(初期)の評価基準
本発明において、引張強さ(指数)が100%を超える場合、引張強さに非常に優れると評価した。
引張強さ(指数)が97%以上100%以下である場合、引張強さにやや優れると評価した。
引張強さ(指数)が97%未満である場合、引張強さが低いと評価した。
・・破断時伸び(EB)(初期)の評価基準
本発明において、破断時伸び(指数)が80%以上である場合、破断時伸びに優れると評価した。
破断時伸び(指数)が80%未満である場合、破断時伸びが低いと評価した。
<耐熱性>
・加熱老化後試験片の作製
上記のとおり、各加硫シートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、得られた初期試験片を130℃の条件下に168時間置く加熱老化試験を行い、加熱老化後試験片を得た。
・引張試験
上記のとおり得られた各加熱老化後試験片を用いて、上記<引張物性>と同様に引張試験を行い、各加熱老化後試験片の破断時伸び(EB)[%]を測定した。
・ΔEB
同一のゴム組成物から形成された、初期試験片及び加熱老化後試験片の上記破断時伸びの値を下記式に当てはめて、ΔEB(%)を算出した。結果を第1表に示す。
ΔEB(%)=[(加熱老化後試験片のEB−初期試験片のEB)/初期試験片のEB]×100
・・ΔEBの評価基準
上記ΔEB(%)の絶対値が0に近いほど耐熱性に優れる。
本発明において、上記ΔEBの絶対値が39%以下である場合、耐熱性に非常に優れると評価した。
上記ΔEBの絶対値が39%を超え45%以下である場合、耐熱性にやや優れると評価した。
上記ΔEBの絶対値が45%を超え50%以下である場合、耐熱性にやや劣ると評価した。
上記ΔEBの絶対値が50%を超える場合、耐熱性に非常に劣ると評価した。
<耐圧縮永久歪み性>
・圧縮永久歪み評価用のサンプルの作製
厚さがJIS K6262:2013に準拠する大形試験片サイズになるように未加硫サンプルを作成し、153℃で45分間熱プレスし、圧縮永久歪み評価用のサンプル(直径29mm×厚さ12.5mm)を作製した。
・圧縮永久歪みの測定
JIS K6262:2013に準じて、上記のとおり得られたサンプルを専用治具で圧縮し(圧縮率40%)、130℃の条件下に、24時間又は96時間置く圧縮試験を行い、上記圧縮試験後の圧縮永久歪みを測定した。結果を第1表に示す。
一般的に圧縮永久歪みの値が小さいほど耐圧縮永久歪み性に優れる。
本発明において、耐圧縮永久歪み性を、上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みで評価した。
・・圧縮永久歪み(%)の評価基準
本発明において、上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが63%以下である場合、耐圧縮永久歪み性に非常に優れると評価した。
上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが63%を超え65%以下である場合、耐圧縮永久歪み性にやや優れると評価した。
上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが65%を超え70%以下である場合、耐圧縮永久歪み性にやや劣ると評価した。
上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが70%を超える場合、耐圧縮永久歪み性に非常に劣ると評価した。
(金属の装着性)
なお、本発明において、ホースに対する金属の装着性を以下のように評価できる。
本発明において、100%モジュラス(指数)が115%以上であり、かつ、上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが63%以下である場合、上記装着性が非常に優れると評価した。
100%モジュラス(指数)が110%以上であり、かつ、上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが65%以下である場合(ただし、上記装着性に非常に優れる場合を除く。)、上記装着性がやや優れると評価した。
100%モジュラス(指数)が110%未満である場合、又は、上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが65%を超える場合(ただし、後述する装着性に非常に劣る場合を除く。)、上記装着性がやや劣ると評価した。
100%モジュラス(指数)が105%未満であり、かつ、上記96時間圧縮試験による圧縮永久歪みが70%を超える場合、上記装着性が非常に劣ると評価した。
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・ジエン系ゴム1:エチレン・プロピレン・ジエン共重合体。EPDM 3092M、三井化学社製。ムーニー粘度92。ジエン系ゴム1のエチレン量は65質量%であり、ジエン量は4.6質量%である。ジエン系ゴム1はジエンとしてのエチリデンノルボルネンによる繰り返し単位を有する。
・カーボンブラック1:SRF級カーボンブラック。N762、旭♯50旭カーボン社製。よう素吸着量20±5mg/g、N2SA29×1032/kg(代表値)、DBP吸油量55〜79ml/100g(DBP吸油量平均値67ml/100g)。
・カーボンブラック2:FEF級カーボンブラック。N550、ニテロン♯10N、新日化カーボン社製。よう素吸着量41±5mg/g、N2SA40×1032/kg(代表値)、DBP吸油量121±6ml/100g。
・比較酸化亜鉛1:酸化亜鉛3種、正同化学工業社製。BET法比表面積4m2/g。
・酸化亜鉛1:活性亜鉛華AZO、正同化学工業社製。BET法比表面積60〜90m2/g。湿式法で製造された高活性の酸化亜鉛。
なお、式(I)、式(II)の計算において、酸化亜鉛1の比表面積を、上記数値範囲の平均である75m2/gとした。
・比較酸化亜鉛2:META−Z102、井上石灰工業社製。BET法比表面積12m2/g。
・ステアリン酸:「ステアリン酸50S」(千葉脂肪酸社製)
・PVI(加硫遅延剤):N−シクロヘキシルチオフタルイミド。商品名リターダーCTP、東レファインケミカル社製
・加工助剤:軟化剤。商品名「SUNPAR 2280」(日本サン石油社製)
・加硫促進剤 TT:テトラメチルチウラムジスルフィド(チウラム系。大内新興化学工業社製ノクセラーTT)
・加硫促進剤 DM:ジベンゾチアジルジスルフィド(チアゾール系。サンセラーDM、三新化学工業社製)
・硫黄:油処理硫黄、細井化学工業社製。上記油処理硫黄は硫黄を95質量%含む。なお、第1表の「硫黄」欄に示す硫黄の含有量は、硫黄正味の量である。
第1表に示す結果から明らかなように、酸化亜鉛の比表面積が所定の範囲を外れる比較例1、2は、モジュラスが低く、耐熱性、耐圧縮永久歪み性が劣った。
酸化亜鉛の比表面積が所定の範囲を外れ、硫黄の含有量が所定の範囲より多い比較例3は、モジュラスが低く、耐熱性及び耐圧縮永久歪み性が劣った。
酸化亜鉛の比表面積が所定の範囲を外れ、硫黄の含有量が比較例3より更に多い比較例4は、耐熱性、耐圧縮永久歪み性が劣った。
酸化亜鉛の比表面積が所定の範囲を外れる比較例5は、モジュラスが低く、耐熱性、耐圧縮永久歪み性が劣った。
酸化亜鉛の比表面積が所定の範囲を外れ、硫黄の含有量が所定の範囲より多い比較例6は、モジュラスが低く、耐熱性、耐圧縮永久歪み性が劣った。
硫黄の含有量が所定の範囲より多い比較例7は、耐熱性、耐圧縮永久歪み性が劣った。
これに対して、本発明のゴム組成物は、高モジュラスであり、耐圧縮永久歪み性、耐熱性に優れた。
1:ホース
2:内層
3:補強部材
4:最外層

Claims (11)

  1. ジエン系ゴムと、比表面積が30〜150m2/gである酸化亜鉛と、硫黄とを含有し、
    前記酸化亜鉛の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜20質量部であり、
    前記硫黄の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部未満である、ホース用ゴム組成物。
  2. 更に、カーボンブラックを含有し、
    前記カーボンブラックの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、30〜130質量部である、請求項1に記載のホース用ゴム組成物。
  3. 前記カーボンブラックが、GPF級カーボンブラック及び/又はSRF級カーボンブラックを含む、請求項2に記載のホース用ゴム組成物。
  4. 前記ジエン系ゴムが、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物。
  5. 下記式(I)を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物。
    30<[前記酸化亜鉛の前記比表面積/前記硫黄の前記含有量]≦1,500 (I)
  6. 下記式(II)を満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物。
    30<[(前記酸化亜鉛の前記比表面積×前記酸化亜鉛の前記含有量)/前記硫黄の前記含有量]≦30,000 (II)
  7. 前記硫黄の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物。
  8. 白色充填剤を実質的に配合しない、請求項1〜7のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物。
  9. 油圧作動用ホース又はカーエアコンシステム用ホースに使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物。
  10. ホースの最外層に使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のホース用ゴム組成物を用いて形成されたホース。
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