JP2019209339A - 加工・検査装置および加工・検査方法 - Google Patents

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裕文 越智
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Abstract

【課題】対象物に対して加工や検査を行う処理手段またはその構成部材の、運動手段に対する取り付け位置が変化しても、正確な加工や検査を継続することができる加工・検査装置および加工・検査方法を提供する。【解決手段】空間内で指定された座標に運動できる運動手段10と、運動手段10に取り付けられ、対象物に対して加工または検査を行う処理手段20と、調整手段50と、を有し、調整手段50は、運動手段10に結合された第一の部分と、処理手段を結合された第二の部分と、を有し、第二の部分は、処理手段20を結合された状態のまま、相互に交差する2つの調整方向x,yに沿って、第一の部分に対して、可逆的に並進運動可能となった、加工・検査装置1とする。【選択図】図1

Description

本発明は、加工・検査装置および加工・検査方法に関し、さらに詳しくは、対象物に対して、溶接等の加工または検査を行うことができる装置、およびそのような装置を用いて対象物の加工または検査を行う方法に関する。
溶接等の加工を対象物に対して行う際に、ロボット等の運動手段を用いて、自動的に加工を行えるように構成される場合がある。この場合に、溶接トーチ等の加工手段やその構成部材に対して、交換や補修を行った際や、加工手段が外部の物体に衝突した際に、加工手段全体またはその構成部材の、運動手段に対する取り付け位置が、変化してしまう可能性がある。そのままで加工を継続すると、運動手段の座標に対して加工手段の位置がずれることになり、対象物上の所定の位置に対して、正確に加工を行えなくなる。また、運動手段に、加工手段や検査手段が複数設けられている場合に、それらの間の相対位置にもずれが生じ、対象物に対して、一連の加工や検査を正確に行うことができなくなる。
そこで、運動手段に対して加工手段を取り付けるための取付部において、ネジ等の締結部材の締結の程度を調節することや、スペーサやシム等の補助部材を介在させることで、運動手段に対する加工手段の取り付け位置のずれを解消することが図られる。例えば、図6に、ロボット10を用いた従来一般の溶接装置100について、溶接トーチ20の周辺の構成を示す。溶接装置100においては、ロボット10の先端部11に、ショックセンサ40を介して、トーチブラケット170が取り付けられている。そして、トーチブラケット170により、溶接トーチ20が保持されている。トーチブラケット170は、半割れ構造より形成されており、半円筒状の凹部を有する2つの半割れ体171,171で溶接トーチの棒状部を挟み込み、2つの半割れ体171,171に挿通した保持用ネジ172によって、半割れ体171,171で溶接トーチ20を挟み込んだ状態を保持している。溶接トーチ20全体や溶接ワイヤ等の構成部材の交換や補修により、溶接トーチ20の取り付け位置が変化した場合には、ショックセンサ40にトーチブラケット170を取り付けているブラケット取付ネジ173や、半割れ体171,171で溶接トーチ20を保持するための保持用ネジ172の締め込み具合の調整が行われる。それで十分な調整が行えない場合には、さらに、半割れ体171,171の間に、シムやスペーサ等の補助部材(不図示)を介在させることもある。
あるいは、運動手段の運動座標に対する加工手段の取り付け位置のずれの量を見積もり、そのずれの量に基づいて運動手段の運動座標に補正を加えることで、加工手段の物理的なずれの影響を、ソフトウェア上の演算によって解消することが図られる。そのように、ずれの補正を実行する自動溶接装置の例が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、配管全周にわたって、開先部の一部に溶接トーチを位置決めし、溶接トーチで位置決めした点をセンサで検出し、配管全周にわたって両者の差を演算記憶しておき、溶接トーチの制御時にセンシング情報を記憶値を用いて補正する位置ずれ補正機能が、自動溶接装置に備えられている。位置ずれ補正機能を利用することで、センサと溶接トーチの取り付け部の位置関係が変化しても、高精度な溶接線倣いを実現できるとされている。
特開平9−271948号公報
運動手段に対する加工手段の取り付け位置が変化した際に、ネジ等の締結部材の調整、シムやスペーサ等の補助部材の使用等によって、加工手段の取り付け位置を物理的に調整する場合には、調整可能な範囲が限定されやすい。また、締結部材や補助部材の微妙な調整により、高精度に加工手段を位置決めすることも、困難である。さらに、締結部材の調整や補助部材の配置を行うことで、運動手段に対する加工手段の取り付けが不安定化し、加工品質に影響が生じる場合がある。
一方、運動手段の運動座標に対する取付手段の位置のずれを、ソフトウェア上の演算による補正で解消しようとする場合には、その運動手段を用いて行う全ての加工等の処理に対して、運動座標が変更されることになる。よって、運動手段を用いて行う各処理に必要とされる運動について、運動手段の制御部に記憶させるティーチングを、再度行う必要が生じる。何度もティーチングを行うことは、誤差の蓄積にもつながりやすい。
本発明が解決しようとする課題は、対象物に対して加工や検査を行う処理手段またはその構成部材の、運動手段に対する取り付け位置が変化しても、正確な加工や検査を継続することができる加工・検査装置および加工・検査方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる加工・検査装置は、空間内で指定された座標に運動できる運動手段と、前記運動手段に取り付けられ、対象物に対して加工または検査を行う処理手段と、調整手段と、を有し、前記調整手段は、前記運動手段に結合された第一の部分と、前記処理手段を結合された第二の部分と、を有し、前記第二の部分は、前記処理手段を結合された状態のまま、相互に交差する2つの調整方向に沿って、前記第一の部分に対して、可逆的に並進運動可能となっている。
ここで、前記処理手段は、前記対象物に対して加工および検査の一方を行うものであり、前記加工・検査装置は、前記処理手段とは別に、前記対象物に対して加工および検査の他方を行う補助手段を有しており、前記補助手段は、前記運動手段に固定されているとよい。
この場合、前記処理手段は、前記対象物に溶接を行う溶接トーチであり、前記補助手段は、前記対象物までの距離を計測する光学センサであるとよい。
前記調整手段は、前記2つの調整方向を含む平面の、水平面に対する関係を検出する水準器をさらに有するとよい。
前記処理手段は、棒状部を有し、前記調整手段は、前記第二の部分に固定されて、前記処理手段を保持する保持部を有し、前記保持部は、中空筒状の挿通孔を有し、該挿通孔の軸方向に沿って、前記処理手段の前記棒状部を挿通可能であり、前記挿通孔は、前記軸方向を中心に、相互に対して角度を有する3つの内壁面に囲まれ、前記3つの内壁面のうちの1つである調整面には、該調整面に対して、進退可能であるとともに、前記挿通孔の前記軸方向に対して傾斜可能な進退部材が設けられており、前記挿通孔に挿通した前記処理手段を、前記進退部材によって、前記3つの内壁面のうち前記調整面以外の2つである当接面に対して押し付けて、前記処理手段を前記挿通孔内に保持することで、前記処理手段を前記第二の部分に結合するものであるとよい。
本発明にかかる加工・検査方法は、上記のような加工・検査装置を用いて、対象物に対して加工または検査を行うに際し、あらかじめ、前記処理手段が、前記運動手段に対して所定の位置に配置されるように、前記調整手段によって、前記運動手段に対する前記処理手段の取り付け位置を調整しておくものである。
ここで、前記処理手段が、前記対象物に対して加工および検査の一方を行うものであり、前記加工・検査装置が、前記処理手段とは別に、前記対象物に対して加工および検査の他方を行う補助手段を有しており、前記補助手段が、前記運動手段に固定されている形態の加工・検査装置を用いて、前記運動手段に対する前記処理手段の取り付け位置を調整することで、前記処理手段と前記補助手段の間の位置関係を、一定に維持するとよい。
上記発明にかかる加工・検査装置は、調整手段を有している。調整手段においては、対象物に対して加工または検査を行う処理手段を結合された第二の部分が、運動手段に結合された第一の部分に対して、2つの調整方向に沿って、可逆的に並進運動可能となっている。それにより、第二の部分に結合された処理手段の位置を、調整することができる。処理手段またはその構成部材の交換や補修、他の物体への衝突等により、移動手段に対する処理手段またはその構成部材の取り付け位置が変化した際に、調整手段を用いて位置調整を行うことで、処理手段またはその構成部材の取り付け位置を、変化を受ける前の状態に、復元することが可能となる。これにより、処理手段またはその構成部材の取り付け位置の変化の影響を解消し、運動手段の運動座標に変更を加えなくても、処理手段による正確な加工や検査を継続することが可能となる。
ここで、処理手段が、対象物に対して加工および検査の一方を行うものであり、加工・検査装置が、処理手段とは別に、対象物に対して加工および検査の他方を行う補助手段を有しており、補助手段が、運動手段に固定されている場合には、処理手段やその構成部材の交換や補修、他の物体との衝突等の要因によって、処理手段と補助手段の間の位置関係が変化した際に、調整手段によって処理手段の位置を調整することで、処理手段と補助手段の間の位置関係を、変化が起こる前の状態に戻すことができる。その結果、対象物上で、処理手段と補助手段の一方によって検査を行う位置と、他方によって加工を行う位置との間の関係性を一定に保ち、対象物上のそれぞれの位置に対して、検査と加工の両方を正確に行うことができる。特に、処理手段と補助手段の一方による検査の結果に基づいて、他方による加工を行う場合や、一方による加工の結果を、他方によって検査する場合には、対象物上の各位置での検査の結果を反映させて、適切な加工を行うこと、また加工を行った各位置に対して、確実に検査を行うことが、可能となる。
この場合、処理手段が、対象物に溶接を行う溶接トーチであり、補助手段が、対象物までの距離を計測する光学センサであれば、溶接トーチによる溶接を行う位置と、光学センサによる検査を行う位置の間の関係性を一定に保ち、溶接と検査の両方を正確に行うことができる。例えば、金属部材の端縁を突き合わせた突き合わせ部等、対象物の表面において溶接を行うべき位置を光学センサで検出したうえで、その位置に対して、正確に、溶接トーチによる溶接を行うことができる。溶接トーチと光学センサの位置関係が変化することがあっても、調整手段による溶接トーチの位置の調整によって、それらの間の位置関係を一定に保つことで、溶接を行うべき位置への正確な溶接を、継続することができる。
調整手段が、2つの調整方向を含む平面の、水平面に対する関係を検出する水準器をさらに有する場合には、調整手段自体、また調整手段の第二の部分に結合された処理手段に対して、水平面を基準とした傾斜の調整を行いやすくなる。
処理手段が、棒状部を有し、調整手段が、第二の部分に固定されて、処理手段を保持する保持部を有し、保持部が、中空筒状の挿通孔を有し、該挿通孔の軸方向に沿って、処理手段の棒状部を挿通可能であり、挿通孔が、軸方向を中心に、相互に対して角度を有する3つの内壁面に囲まれ、3つの内壁面のうちの1つである調整面には、調整面に対して、進退可能であるとともに、挿通孔の軸方向に対して傾斜可能な進退部材が設けられており、挿通孔に挿通した処理手段を、進退部材によって、3つの内壁面のうち調整面以外の2つである当接面に対して押し付けて、処理手段を挿通孔内に保持することで、処理手段を第二の部分に結合するものである場合には、溶接トーチのように、棒状部を有する処理手段を、調整手段に安定して結合することができる。また、進退部材を利用して、調整手段に対する処理手段の傾斜角を調整することができるので、処理手段自体、また溶接トーチの溶接ワイヤ等、処理手段の構成部材の取り付け角度の調整を、簡便に行うことができる。その結果、運動手段に対する処理手段やその構成部材の取り付け位置や取り付け角度に変化があった場合にも、元の取り付け位置および取り付け角度を復元し、正確な加工・検査を継続することが可能となる。
上記発明にかかる加工・検査方法においては、調整手段を備え、運動手段に対する処理手段の取り付け位置を調整できる加工・検査装置を用い、かつ、対象物に対して加工や検査を行う際に、あらかじめ、処理手段が、運動手段に対して所定の位置に配置されるように、運動手段に対する処理手段の取り付け位置を調整しておくものである。よって、処理手段やその構成部材の交換や補修、他の物体への衝突等によって、運動手段に対する処理手段またはその構成部材の取り付け位置が変化した場合にも、調整手段を用いた位置調整を経て、運動手段の運動座標に変化を加えることなく、対象物に対する正確な加工や検査を、継続することができる。
ここで、処理手段が、対象物に対して加工および検査の一方を行うものであり、加工・検査装置が、処理手段とは別に、対象物に対して加工および検査の他方を行う補助手段を有しており、補助手段が、運動手段に固定されている形態の加工・検査装置を用いて、対象物に対して加工と検査を行うに際し、運動手段に対する処理手段の取り付け位置を調整することで、処理手段と補助手段の間の位置関係を、一定に維持する場合には、処理手段やその構成部材の交換や補修、他の物体との衝突等の要因により、処理手段またはその構成部材と、補助手段の間の位置関係が変化した場合でも、処理手段によって加工と検査の一方を受ける位置と、補助手段によって他方を受ける位置との間の関係を、一定に維持することができるので、対象物上の各位置に対して、検査と加工の両方を、正確に実施することができる。
本発明の一実施形態にかかる加工・検査装置としての溶接装置の構成を示す斜視図である。 上記溶接装置の調整ユニットの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。 上記溶接装置を用いた溶接方法を説明する図であり、(a)は、初期基準合わせ工程、(b)は初期基準合わせ後のセンシング工程を示している。 上記溶接装置を用いた溶接方法を説明する図であり、(a)は再基準合わせ工程、(b)は再基準合わせ後のセンシング工程を示している。 変形形態にかかる溶接装置の構成を示す斜視図である。 従来一般の溶接装置の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる加工・検査装置および加工・検査方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。加工・検査装置は、対象物に対して加工または検査を行う処理手段を備えた装置であり、加工・検査方法は、そのような加工・検査装置を用いて、対象物に対して加工または検査を行う方法である。処理手段によって行う加工または検査の内容は、特に限定されるものではないが、以下では、処理手段として溶接トーチを備えた、加工・検査装置の一例としての溶接装置と、そのような溶接装置を用いた加工・検査方法の一例としての溶接方法を中心に、説明を行う。
[溶接装置の構成]
図1に、本発明の一実施形態にかかる加工・検査装置である溶接装置1について、溶接トーチ20近傍の構成を示す。
溶接装置1は、運動手段として、ロボット10を備えている。ロボット10は、6つの駆動軸を有し、それぞれの駆動軸の運動が、サーボモータ(不図示)によって駆動される。これにより、ロボット10は、多関節アームの先端部11を、空間内で指定された座標に運動させることができる。ロボット10は、ティーチングによって運動(位置および姿勢の変化)に関する指令を記憶し、その指令を順次呼び出すことで、先端部11を順次、所定の位置に運動させることができる。
ロボット10の先端部11には、ショックセンサ40が取り付けられている。ショックセンサ40は、基部41において、固定具71を介して、ロボット10の先端部11に取り付けられている。そして、基部41から突出した取付軸42に、ブラケット72を介して、次に説明する調整ユニット50および溶接トーチ20が取り付けられている。ショックセンサ40は、取付軸42に取り付けられた部材に、衝突等による衝撃が印加された際に、その衝撃の印加を検知できるものであれば、どのような構成や動作原理を有するものであっても構わないが、基部41に収容されたバネ(不図示)に、取付軸42が結合された形態のものを例示することができる。取付軸42に印加される衝撃によるバネの変形を、静電容量の変化等によって検出するものである。
ショックセンサ40の取付軸42には、ブラケット72の基端が固定されている。ブラケット72には、先端側に、調整手段としての調整ユニット50が取り付けられている。調整ユニット50は、調整部51と保持部55を一体に有している。後で図2を参照して詳しく説明するように、調整部51は、第一の部分としての基板52と、第二の部分としての可動体53と、を有しており、基板52に対して、可動体53を、相互に直交する2つの調整方向に並進運動させることができる。調整ユニット50は、基板52において、ブラケット72に固定されている。そして、可動体53に固定された保持部55によって、溶接トーチ20を保持している。ここでは、調整ユニット50の2つの調整方向を、x方向およびy方向とする。そして、x方向およびy方向に直交する方向を、z方向とする。
溶接トーチ20は、溶接材よりなる溶接ワイヤ(不図示)を中心軸に沿って備える、公知のアーク溶接用のトーチである。溶接トーチ20は、棒状の外形を有する棒状部21を本体部として備えており、調整ユニット50の保持部55によって、その棒状部21を保持されている。
ブラケット72にはさらに、側部に、屈曲形状に成形された金属の板材よりなるセンサ固定材73を介して、補助手段としての光学センサ30が固定されている。光学センサ30は、公知の形状測定レーザーセンサよりなる。光学センサ30には、先端部11から対象物Wに線状(ライン状)のビーム形状を有するレーザービームBを照射し、反射光を検出することで、対象物Wの表面までの距離を計測するものである(図3(b)参照)。距離の計測は、レーザービームBが照射されている直線状の計測域の各部において、同時に行われる。
ここで、センサ固定材73の屈曲形状によって、溶接トーチ20に対して所定の方向に並ぶように、光学センサ30が、位置決めされている。具体的には、溶接トーチ20の中心軸がz方向に向くように、調整ユニット50の保持部55で、溶接トーチ20を保持し、調整ユニット50における可動体53の位置を、2つの調整方向x,yの可動範囲の中央に相当する原点に合わせた状態(x=0,y=0)において、光学センサ30から発せられるレーザービームBの中心(ビーム中心)の位置が、溶接トーチ20の中心軸の位置と、x方向に所定の間隔(図3の例では+x方向に50mm)だけ離れ、かつ、y方向に揃った状態となっている。また、光学センサ30から発せられるレーザービームBの線形状が、x方向に平行になっている。
溶接装置1には、さらに、コンピュータ等よりなる制御部(不図示)が設けられている。制御部は、ロボット10の位置および姿勢の変化を指令するティーチングのプログラムを記憶し、ロボット10に伝達することができる。また、ティーチングのプログラムを設定することや変更することもできる。さらに、制御部は、溶接トーチ20の電源を制御し、溶接時の電流および電圧を設定することができる。そして、制御部は、光学センサ30を制御して、距離の計測を実行させるとともに、光学センサ30から計測結果を入力され、計測結果に対して、処理、演算を行うことができる。さらに、制御部には、ショックセンサ40が衝突を検出した際に、ショックセンサ40から信号の入力を受け、作業者への通知およびロボット10の運動の緊急停止を行う。
溶接装置1を用いて溶接を行うに際し、まず、対象物Wの表面の凹凸を光学センサ30によって検出し、溶接を行うべき構造が存在する位置、例えば、対象物Wを構成する金属部材の端縁を突き合わせた突き合わせ部W1(図3(b)参照)の位置を、特定する。この際、あらかじめ設定したティーチングプログラムに従って、ロボット10を運動させ、光学センサ30を移動させることで、対象物Wの表面の全域に対して、凹凸形状の検出を行う。急峻な凹構造が検出されれば、その構造を、突き合わせ部W1として特定する。
そして、光学センサ30によって特定された突き合わせ部W1の上方に溶接トーチ20の位置を合わせ、ロボット10の運動によって溶接トーチ20を移動させながら、その突き合わせ部W1に沿って、順次溶接を行う。この際、ロボット10の運動は、光学センサ30によって検出された実際の突き合わせ部W1の位置に対応させて制御部が設定した経路に沿って、行われる。対象物Wの製造誤差、また作業台に対象物Wが配置される際の位置や方向のずれ等に起因して、突き合わせ部W1の位置は、対象物Wの個体間でずれる場合がある。また、各個体の中でも、突き合わせ部W1に傾斜や蛇行が生じる場合がある。このような場合にも、各個体に対して光学センサ30で検出された実際の突き合わせ部W1の位置に対して、溶接トーチ20による溶接を行う。
[調整ユニットの構成]
ここで、調整ユニット50の構成について詳しく説明する。図2に示すように、調整ユニット50は、調整部51と、保持部55とを有している。
調整部51は、基板52(第一の部分)と、x可動板53aと、y可動板53bと、結合板54とを有している。これらのうち、x可動板53aとy可動板53bとが、可動体53(第二の部分)を構成している。基板52、x可動板53a、y可動板53b、結合板54は、それぞれ、x方向とy方向を含む平面に沿った略平板状の部材として形成されており、この順に、z方向に沿って積層されている。
x可動板53aは、基板52に対して、所定の可動範囲の中で、x方向両側(±x方向)に、可逆的に並進運動可能となっている。y可動板53bは、x可動板53aに対して、所定の可動範囲の中で、y方向両側(±y方向)に、可逆的に並進運動可能となっている。結合板54は、y可動板53bに固定されている。これにより、可動体53、および可動体53に固定された結合板54が、基板52に対して、x方向およびy方向の2つの調整方向に沿って、可逆的に並進運動可能となっている。調整部51の各部は、保持部55にて保持された溶接トーチ20に接触することはなく、x可動板53aおよびy可動板53bは、保持部55を介して溶接トーチ20が結合された状態のまま、それぞれx方向およびy方向に、可逆的に運動可能となっている。
x可動板53aには、目盛り付きのダイヤルを備えたx操作部53cが設けられており、作業者がx操作部53cを操作することで、x可動板53aをx方向に沿って移動させることができる。また、x可動板53aには、ロックの作動および解除を切り替え可能なx方向ロック53eが備えられており、作動させることで、x可動板53aのx方向の位置を固定することができる。y可動板53bにも、x操作部53cおよびx方向ロック53eと同様の構造を有するy操作部53dおよびy方向ロック(図2では見えず)が設けられており、作業者がy操作部53dを操作することで、y可動板53bをy方向に沿って移動させることができる。また、y方向ロックを作動させることで、y可動板53bのy方向の位置を固定することができる。よって、x方向ロック53eおよびy方向ロックを解除した状態で、作業者が、x操作部53cおよびy操作部53dを操作することで、結合板54(およびそれに結合された溶接トーチ20)のx−y面内における座標を、可動範囲の中で、任意に、可逆的に変更することができる。そして、x方向ロック53eおよびy方向ロックを作動させることで、結合板54(およびそれに結合された溶接トーチ20)のx−y面内における座標を、固定することができる。
保持部55は、面部56と、挿通部57とを、一体に有している。面部56は、平板状の構造を有しており、下面を調整部51の結合板54の上面に密着させて、4本のネジ56aにより、結合板54に結合されている。保持部55の上面には、水準器60が固定されており、x方向およびy方向を含む平面(x−y平面)の、水平面に対する関係を検出することができる。
挿通部57は、中空筒状に形成されており、z方向を軸方向とする挿通孔58を有している。挿通孔58には、軸方向に沿って、溶接トーチ20の棒状部21を挿通可能となっている。挿通孔58を囲む挿通部57の内壁面は、挿通孔58の軸方向を中心に、相互に対して角度を有する複数の面よりなっている。具体的には、挿通孔58の周を構成する内壁面が、1つの調整面58aおよび2つの当接面58b,58bの3つの略平面と、それらの間を滑らかに連結する3つの連結面58cとを有している。図示した形態では、調整面58aは、面部56からy方向に最も離れた位置に、x方向に平行な面として形成されている。そして、2つの当接面58b,58bは、調整面58aよりも面部56側に、調整面58aに対して角度を有する面として、形成されている。2つの当接面58b,58bは、面部56側に向かうにつれ、x方向両側から、中央部に向かう方向の角度を有して形成されており、調整面58aのx方向中央を通る仮想面に対して、相互に対称となっている。
調整面58aには、x方向中央部に、進退部材としてのキー材59が取り付けられている。キー材59は、挿通孔58の軸方向に沿った縦長のブロック状の部材として、構成されている。キー材59は、調整面58aに対して、挿通孔58の内外方向、つまり±y方向に進退可能となっており、最も挿通孔58の外側に向かって(+y方向に)退避した状態で、内側面が、調整面58aと略面一となる。また、キー材59は、挿通孔58の軸方向(z方向)に対して、x方向を中心とした回転方向に、傾斜可能となっている。調整面58aを構成する保持部57の壁面には、キー材59に接触する部位に、z方向に離間して、2つのネジ穴が貫通して設けられており、それらのネジ穴に挿入した2本の調整用ネジの先端が、キー材59の背面に当接している(図2では見えず)。それら2つの調整用ネジの進退を制御することで、キー材59の進退および傾斜を制御することができる。つまり、2つの調整用ネジをともに前進/後退させることで、キー材59全体を前進/後退させることができ、2つの調整用ネジの一方を前進/後退させることで、キー材59を傾斜させることができる。例えば、z方向上方の調整用ネジを下方の調整用ネジよりも前進させることで、キー材59に、上方の部位が下方の部位よりも挿通孔58の内側(−y方向)に傾いた傾斜を形成することができる。
挿通孔58の具体的な寸法および形状、つまり内壁面を構成する各面58a〜58cやの寸法や角度、またキー材59の形状は、溶接トーチ20の棒状部21を挿通し、キー材59によって、棒状部21を2つの当接面58b,58bに当接させて押し付けた状態で、溶接トーチ20を安定に保持できるように、設定すればよい。つまり、キー材59を退避させた状態で、溶接トーチ20の棒状部21を余裕をもって挿通できるように、調整面58aと2つの当接面58b,58bを形成しておくとともに、キー材59を前進させて棒状部21に当接させ、さらに押圧することで、当接面58b,58bにその棒状部21を押付けて保持できるように、キー材59の形状と可動範囲を設定しておけばよい。
[溶接方法]
次に、本発明の一実施形態にかかる加工・検査方法として、上記の溶接装置1を用いた溶接方法について、溶接装置1における溶接トーチ20の位置決めを中心に、説明を行う。
本溶接方法においては、上記で説明した溶接装置1において、初期基準合わせ工程を実施した後、センシング工程と、溶接工程を実施する。センシング工程と溶接工程は、必要に応じて、対象物Wを交換しながら、繰り返して実施することができる。そして、ロボット10の先端部11に対する溶接トーチ20(または、溶接ワイヤ等、溶接トーチ20の構成部材;以下においても同じ)の取り付け位置および/または取り付け角度に変化が生じた際に、再基準合わせ工程を実施する。その後、センシング工程および溶接工程を継続して実施することができる。
(1)初期基準合わせ工程
溶接装置1を用いて溶接を行うのに先立ち、初期基準合わせ工程として、溶接トーチ20および光学センサ30をロボット10の先端部11に取り付け、溶接トーチ20の位置決めを行っておく必要がある。初期基準合わせ工程の概略を、図3(a)に示すとともに、以下に説明する。
初期基準合わせ工程、および後に説明する再基準合わせ工程においては、ロボット10の先端に取り付けた光学センサ30と溶接トーチ20の間の位置関係の設定に、チェックポイント91を利用する。例えば、十字図形を刻印した板として、位置合わせ板90を準備し、十字の交点をチェックポイント91とする。チェックポイント91は、ロボット10の運動座標の作業原点を規定するものとなるため、位置合わせ板90は、ロボット10の可動範囲内に固定しておく。また、位置合わせ板90の十字の方向を、調整ユニット50の調整方向x,yと合わせておくことが好ましい。
初期基準合わせ工程においては、最初に、ロボット10に、光学センサ30と溶接トーチ20が取り付けられる。光学センサ30は、ロボット10の先端部11に、ショックセンサ40を介して固定されたセンサ固定材73の先端に、位置変更不能に固定される。
一方、溶接トーチ20は、調整ユニット50の保持部55によって保持され、ショックセンサ40を介して、ロボット10の先端部11に結合される。ロボット10への溶接トーチ20の取り付けに際し、まず、ロボット10の先端部11を所定の位置および姿勢に配置した状態において、調整ユニット50を、基板52において、ショックセンサ40に取り付ける。この際、調整ユニット50のx−y平面が、水平面に平行となり、z方向が鉛直方向を向くように、調整ユニット50の方向を調整する。この調整ユニット50の方向の調整は、水準器60による指示値を参照しながら、ロボット10の運動によって行えばよい。調整ユニット50の方向が定まると、先端部11の水平面に対する角度を、その時の状態に保ったまま、以降、初期基準合わせ工程(および再基準合わせ工程)における溶接トーチ20の取り付けおよび位置決めを行う。
溶接トーチ20の中心軸上には、溶接ワイヤを挿通することができる、中空のワイヤ挿通孔が貫通しているが、位置決めを行う間は、ワイヤ挿通孔に、溶接ワイヤの代わりに、先端が尖った位置決めピン(不図示)を取り付けておく。位置決めピンを取り付けた溶接トーチ20の棒状部21を、調整ユニット50の挿通孔58に挿通してから、キー材59を前進させて、棒状部21に当接させ、さらに2つの当接面58b,58bに棒状部21を押し付けることで、溶接トーチ20を保持部55において安定に保持し、調整部51の可動体53に結合することができる。
このようにして、溶接トーチ20を調整ユニット50の可動体53に結合する際に、溶接トーチ20の中心軸が、鉛直になるように、調整を行う。溶接を安定に行うためには、溶接トーチ20を対象物Wの面に対して垂直に配置することが重要である。溶接トーチ20の中心軸の傾きの調整は、調整ユニット50の保持部55に設けたキー材59の傾斜を、キー材59に設けた上下の調整用ネジによって変更することで、行うことができる。キー材59の傾斜角を変更することで、キー材59が溶接トーチ20に当接する位置が、z方向で変化し、挿通孔58にて溶接トーチ20を保持する角度が変化する。例えば作業者が目視しながら、溶接トーチ20の中心軸が、許容される範囲内で鉛直方向を向くように、調整用ネジを操作し、キー材59の傾斜を調整すればよい。
そして、溶接トーチ20の中心軸が鉛直に向いた状態で、位置決めピンによって指示される中心軸の先端が、チェックポイント91の鉛直方向直上の位置に配置されるように、ロボット10の運動により、溶接トーチ20を移動させる。つまり、図3(a)に示す状態のように、溶接トーチ20の先端中央の位置が、チェックポイント91に対して、鉛直方向直上に配置されるように、ロボット10を、水平面内で移動させる。そして、溶接トーチ20の先端中央がチェックポイント91の鉛直方向直上に配置された状態におけるロボット10の運動座標を、作業原点A0として定義する。この際、調整ユニット50の可動体53における調整方向x,yの座標(調整座標)は、x操作部53cおよびy操作部53dの目盛りを参照して、可動範囲の中央点(x=0,y=0)に合わせておく。
次に、溶接トーチ20に対する光学センサ30の位置関係を評価する。光学センサ30の位置は、位置合わせ板90に照射した線状のレーザービームBのビーム中心の位置が、チェックポイント91に一致する際の、ロボット10の運動座標値によって、規定することができる。この際の運動座標値を、センサ位置座標A1とする。ここで説明している例では、上記のように、調整ユニット50の調整座標を、x=0,y=0とした状態で、ビーム中心の位置が、溶接トーチ20の中心軸の位置と、x方向に+x方向に50mmだけ離れ、y方向には一致した状態となるように、センサ固定材73の屈曲形状が設定されているので、センサ位置座標A1は、概ね、作業原点A0に対して、水平面内で、−x方向に50mm離れた座標となっているはずである(x=−50,y=0)。
しかし、センサ固定材73や調整ユニット50、溶接トーチ20等の各種部材の製造公差や、取り付け位置のずれ等の要因により、必ずしも、センサ位置座標A1と作業原点A0の間の位置関係は、水平方向面内で、−x方向に50mm離れ、y方向に一致した位置に、合致しない。その場合には、溶接トーチ20が結合された調整ユニット50において、x操作部53cおよび/またはy操作部53dを操作して、x方向および/またはy方向の調整座標を変更することで、溶接トーチ20の水平面内の位置を変更すればよい。調整座標の変更量は、溶接トーチ20の中心軸の位置と、光学センサ30のビーム中心の位置が、所定の相互位置(ここでは、光学センサ30が+x方向に50mm離れた相互位置)をとるように、x操作部53cおよび/またはy操作部53dの目盛を適宜参照して、あるいは、チェックポイント91を利用して、溶接トーチ20の中心軸に対応するロボット10の運動座標と、ビーム中心に対応するロボット10の運動座標とを比較して、定めればよい。
このように、溶接トーチ20の水平方向の位置を、調整ユニット50の調整座標の変更によって調整し、溶接トーチ20と光学センサ30の間の相対的な位置関係が、所定の相互位置をとるようにした状態で、溶接トーチ20の中心軸に対応するロボット10の運動座標を、作業原点A0として定義すればよい。つまり、調整ユニット50による位置調整を終えた状態で、溶接トーチ20の先端中央がチェックポイント91の鉛直方向直上に配置されるように、ロボット10を運動させ、その状態におけるロボット10の運動座標を、作業原点A0として定義する。
(2)センシング工程
次に、センシング工程を実施し、光学センサ30を用いて、対象物Wおいて、溶接を行うべき構造の位置、ここでは突き合わせ部W1の位置を検出する。センシング工程においては、図3(b)に示すように、ロボット10に取り付けられた光学センサ30が、作業台に載置された対象物Wの表面の上方に配置されている。この状態で、ロボット10は、ティーチングによって運動を駆動され、予め設定された仮想的なセンシング線に沿って、光学センサ30を移動させる。センシング線の位置および光学センサ30の計測条件は、対象物Wの個体間や個体内で、突き合わせ部W1の位置にずれやばらつきが存在しても、レーザービームBの中に突き合わせ部W1が収まるように、設定されている。
センシング線上の各位置において、突き合わせ部W1が、対象物Wの表面に形成された鋭い凹構造として検出される。センシング線に沿って、そのような凹構造が検出された位置を結ぶことで、線状の突き合わせ部W1の位置を特定することができる。
(3)溶接工程
溶接工程においては、上記センシング工程で検出されたセンシング線に沿って、溶接トーチ20を用いて、突き合わせ溶接を行う。突き合わせ溶接に際し、センシング工程で検出された突き合わせ部W1の位置に基づいて制御部が設定した、トーチ移動線に沿って、ロボット50が溶接トーチ20を移動させ、溶接トーチ20が、制御部によって指示される所定の条件で、各所において、溶接を行う。この際、溶接トーチ20を移動させるトーチ移動線は、作業原点A0を基準としてセンサ位置座標A1によって規定される、溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係を、センシング工程によって検出された突き合わせ部W1の位置に加味したものとして、設定される。つまり、検出された突き合わせ部W1の座標に対して、センサ位置座標A1を減じたものが、トーチ移動線となる。図示した例では、検出された突き合わせ部W1の座標を、+x方向に50mmだけ平行移動したものが、トーチ移動線となる。
一旦、初期基準合わせ工程を実施した後、溶接トーチ20全体あるいはその構成部材の交換や、取り付け直しが必要とならない限り、溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係が一定に維持されるので、対象物Wの個体を交換しながら、上記のように、センシング工程と、その検出結果に基づく溶接工程を繰り返すことで、多数の対象物Wに対して、各個体の突き合わせ部W1の位置に即した溶接を正確に行うことができる。しかし、溶接ワイヤや溶接トーチ20本体の交換や、取り付け直しを行った場合には、次に示すように、再基準合わせ工程を実施することが必要となる。
(4)再基準合わせ工程
溶接トーチ20に何らかの不具合が発生した際は、溶接トーチ20全体、あるいは溶接トーチ20の構成部材を、ロボット10から取り外し、交換することや、適宜補修等を経て、取り付け直すことが必要となる。その場合には、溶接トーチ20の中心軸と、光学センサ30のビーム中心の間の位置関係が、変化してしまうことが多い。また、溶接トーチ20は、長尺状であるため、ロボット10での運動中に、外部の物体に衝突することがある。その場合には、ショックセンサ40によって衝突が検出されると、ロボット10の運動が緊急停止されるが、衝突によって、溶接トーチ20の取り付け位置や取り付け角度が変化してしまうことが多い。この場合にも、溶接トーチ20の中心軸と、光学センサ30のビーム中心の間の位置関係が、変化することになる。
このように、溶接トーチ20またはその構成部材の交換や取り付け直し、衝突等によって、溶接トーチ20の中心軸と、光学センサ30のビーム中心の間の位置関係が変化すると、上記初期基準合わせ工程において規定した作業原点A0を基準とするセンサ位置座標A1に基づいて、センシング工程で検出した突き合わせ部W1から、溶接工程で溶接トーチ20を移動させるトーチ移動線を設定する際の正確性が、損なわれる。例えば、図3(a)のように、初期基準合わせにおいて、溶接トーチ20の中心軸に対して+x方向に50mm離れた位置に光学センサ30のビーム中心が配置され、センサ位置座標A1が、作業原点A0に対してx方向に−50mmとなっている場合に、溶接トーチ20の交換を行った後、溶接トーチ20の取り付け位置が、+x方向に2mmずれたとする。つまり、溶接トーチ20の先端部が、2mmだけ、光学センサ30に近づき、両者の間の距離が、48mmになったとする。y方向には、溶接トーチ20の取り付け位置はずれていないとする。この状況で、センシング工程で検出された突き合わせ部W1の座標に、溶接トーチ20を交換する前のセンサ位置座標A1を加味したもの、つまり突き合わせ部W1の座標を+x方向に50mm平行移動させたものをトーチ移動線として設定し、溶接工程による溶接を行うとすれば、実際の突き合わせ部W1よりも、+x方向に2mmずれた位置に、溶接が行われることになる。
そこで、このような溶接位置のずれを防ぐために、図4(a)に示すように、再基準合わせ工程を実施し、溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係を設定しなおす。再基準合わせ工程においては、まず、初期基準合わせにおいて設定した作業原点A0に、ロボット10を移動させる。そして、その状態で、溶接トーチ20の先端に取り付けた位置決めピンの先端が、チェックポイント91の鉛直方向直上にあるかどうかを確認する。位置決めピンがチェックポイント91の直上にあり、かつ、溶接トーチ20の中心軸が、許容範囲内で、鉛直方向を向いていれば、溶接トーチ20の交換を経ても、溶接トーチ20の中心軸の位置および角度が変化していないと判断して、再基準合わせを終了すればよい。そして、初期基準合わせで規定した作業原点A0およびセンサ位置座標A1をそのまま用いて、続くセンシング工程および溶接工程を実施すればよい。
一方、上記のように、作業原点A0において、溶接トーチ20の先端に取り付けた位置決めピンの先端が、チェックポイント91の直上になく、チェックポイント91に対して、水平面内で、いずれかの方向にずれている場合には、チェックポイント91の直上に位置決めピンの先端が配置されるように、目視しながら、調整ユニット50のx操作部53cおよび/またはy操作部53dを操作することで、x可動板53aおよび/またはy可動板53bを移動させて、溶接トーチ20の水平面内での位置を変更すればよい。図4(a)に示すように、溶接トーチ20の取り付け位置が、+x方向に2mmずれた場合には、x座標を−x方向に2mm変更することになる(x=−2mm)。これにより、溶接トーチ20の先端が、光学センサ30に対して、−x方向に2mm遠ざかり、光学センサ30のビーム中心が、溶接トーチ20の中心軸に対して+x方向に50mmの位置に配置された、初期基準合わせの際と同じ位置関係が、溶接トーチ20と光学センサ30の間に復元されることになる。鉛直方向に対して、溶接トーチ20の中心軸の角度にずれがある場合には、x操作部53cおよび/またはy操作部53dの操作による溶接トーチ20の水平面内での位置変更とともに、調整用ネジを用いたキー材59の傾斜の調整による中心軸の調整を行い、溶接トーチ20の中心軸が鉛直方向に向き、かつ、位置決めピンの先端が、チェックポイント91の鉛直方向直上に配置されるようにすればよい。
ここでは、溶接トーチ20の交換に伴い、溶接トーチ20の取り付け位置を調整する場合の再基準合わせを扱っており、ロボット10の先端部11に対する光学センサ30の取り付け位置および取り付け角度は、初期基準合わせを行った状態から変化していないため、上記のように、作業原点A0において、溶接トーチ20に取り付けた位置決めピンの先端が、チェックポイント91の鉛直方向直上に配置されるようにすれば、初期基準合わせ時に設定した溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係が復元され、作業原点A0を基準としたセンサ位置座標A1にロボット10を移動させると、光学センサ30のビーム中心が、チェックポイント91に一致するはずである。しかし、念のために、実際にロボット10をセンサ位置座標A1に移動させて、光学センサ30のビーム中心が、チェックポイント91に一致することを、確認しておくことが好ましい。
以上のように、調整ユニット50を利用して、溶接トーチ20のロボット10に対する取り付け位置を移動させ、溶接トーチ20の交換を行う前の取り付け位置を復元することができる。つまり、作業原点A0を規定するロボット10の運動座標を、初期基準合わせ時から変更することなく、作業原点A0において、溶接トーチ20の中心軸が、作業原点A0の直上に配置され、かつ、溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係が、初期基準合わせ時と同じなった状態を、復元することができる。光学センサ30を用いた検査および溶接トーチ20を用いた溶接以外に、共通のロボット10を用いて実施する工程が存在する場合にも、全ての工程について、溶接トーチ20の交換を行う前のティーチングをそのまま継続して適用することができる。
その結果、溶接トーチ20の交換を行う前の状態で適用していたティーチングに変更を加えることなく、図4(b)のようにセンシング工程を実施することができる。つまり、溶接トーチ20の交換を行う前と同じ座標に設定されたセンシング線に沿ってロボット10を運動させながら、センシング工程を実施すればよい。そして、溶接工程を実施する際に、センシング工程で得られた突き合わせ部W1の座標に対して、溶接トーチ20の交換を行う前と同じセンサ位置座標A1を加味することで、つまり、図示した例では、検出された突き合わせ部W1の座標を+x方向に50mmだけ平行移動させることでトーチ移動線を設定し、そのトーチ移動線に沿って溶接を行えば、溶接トーチ20の交換を行う前と同様に、実際の突き合わせ部W1の位置に、正確に溶接を行うことができる。
[従来の溶接装置および溶接方法との比較]
図6に示す従来一般の溶接装置100のように、溶接トーチ20が、調整ユニット50を介さずに、トーチブラケット170によって直接ショックセンサ40に固定されている形態において、溶接トーチ20の交換等により、ロボット10の先端部11に対する溶接トーチ20の取り付け位置が変化し、溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係も変化した場合に、スペーサやシム等の補助部材を用いて溶接トーチ20の取り付け位置を物理的に調整しないとすれば、溶接トーチ20の取り付け位置のずれを、ロボット10のティーチングに用いる運動座標の変更によって、補正することになる。つまり、チェックポイント91を備えた位置合わせ板90等を用いて、溶接トーチ20の取り付け位置の変化の方向と変化量を、オフセットとして見積もっておく。そして、センシング工程および溶接工程、さらに共通のロボット10を用いて実施するその他の工程に利用するティーチングの座標に、そのオフセットを加味して修正を行うことになる。このような座標の修正を、溶接トーチ20を交換、取り付け直し等するたびに、行う必要が生じる。ティーチング座標の頻繁な修正は、煩雑となるうえ、誤差の蓄積にもつながりやすい。
これに対し、本実施形態にかかる溶接装置1のように、調整ユニット50を介して、溶接トーチ20をロボット10に結合し、ロボット10に対する溶接トーチ20の取り付け位置を、可逆的に変更可能としておくことで、溶接トーチ20の交換等により、ロボット10の先端部11に対する溶接トーチ20の取り付け位置が変化し、それにより、溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係も変化した場合に、ロボット10の先端部11に対する溶接トーチ20の取り付け位置を、物理的に調整することで、ロボット10の座標の基準点(チェックポイント91)に対する溶接トーチ20の取り付け位置、また溶接トーチ20と光学センサ30の間の位置関係を、変化が起こる前の元の状態に復元し、一定に維持することができる。それにより、ロボット10の作業原点A0の変更や、ロボット10を運動させるためのティーチングの座標の修正を行うことなく、変化が起こる前の状態と同じように、ロボット10を駆動・制御し、センシング工程における突き合わせ部W1の検出と、その検出結果に基づく溶接工程における突き合わせ部W1上での正確な溶接を、継続することが可能となる。
また、ロボット10の先端部11に対する溶接トーチ20の取り付け位置の物理的な変更を、スペーサやシム等、外部の補助部材を追加して行うのではなく、可逆的に並進運動可能な可動体53を有する調整ユニット50を用いて行うことで、溶接トーチ20の取り付け位置の調整を、微細な調整であっても、正確に、また再現性良く行うことができる。溶接トーチ20の取り付け位置の調整により、溶接トーチ20自体や溶接トーチ20を保持する部材(本実施形態における保持部55等)に、大きな負荷を与えることもない。
さらに、本実施形態にかかる溶接装置1においては、調整ユニット50を構成する調整部51の可動体53の並進運動によって、ロボット10の先端部11に対する溶接トーチ20の取り付け位置を調整できるのに加え、保持部55において、キー材59の傾斜を調整することで、溶接トーチ20の取り付け角度も調整することができる。溶接トーチ20の交換等を行った場合には、溶接トーチ20の取り付け位置だけでなく、取り付け角度も変化しやすいので、取り付け角度を調整できることで、対象物Wの表面に対する溶接トーチ20の角度を一定に維持し、安定した溶接を継続することができる。保持部55の挿通孔58が、調整面58aに対して角度を有する2つの当接面58b,58bを有するとともに、進退および傾斜可能なキー材59が調整面58aに設けられ、キー材59によって溶接トーチ20を2つの当接面58b,58bに押し付けて、3面で溶接トーチ20を保持する構造を採用することで、溶接トーチ20を安定に保持しつつ、溶接トーチ20を保持する角度を、簡便に変更することが可能となっている。キー材59を退避させた状態で、挿通孔58に挿通できるものであれば、溶接トーチ20の棒状部21の太さや形状が変化しても、キー材59の進退の程度および傾斜角の調整により、溶接トーチ20を安定に保持することができる。さらに溶接トーチ20の棒状部21の太さや形状が大きく変化する場合、あるいは溶接トーチ20以外の処理手段を保持する場合にも、調整ユニット50において、保持部55のみを、保持対象の処理手段に適したものに交換し、調整部51にネジ56aで固定すれば、保持部55による安定な保持および取り付け角度の調整と、調整部51による取り付け位置の調整の両方を、利用することができる。
上記のように、キー材59の傾斜を調整することで、保持部55における溶接トーチ20の保持角度を変更することができるが、通常は、溶接トーチ20は、中心軸が鉛直に向くように保持することが好ましい。そのためには、ロボット10の先端部11に取り付けた調整ユニット50を水平に保持し、水平面を基準として、溶接トーチ20の取り付け角度の評価および調整を行う必要がある。本実施形態にかかる溶接装置1においては、調整ユニット50に水準器60を備えることで、調整ユニット50のx−y平面を水平に調整し、その水平面を基準として、溶接トーチ20の取り付け角度の評価および調整を、明確に行うことができる。
本実施形態にかかる溶接装置1においては、光学センサ30は、ロボット10の先端部11に、ショックセンサ40を介して固定されているのに対し、溶接トーチ20は、調整ユニット50を介してショックセンサ40に取り付けられており、ロボット10の先端部11に対する取り付け位置および取り付け角度を調整可能となっている。光学センサ30は、補修や部品の交換を頻繁に行う必要がないのに対し、溶接トーチ20は、溶接ワイヤの交換やその他の補修により、交換や取り付け直しが頻繁に行われる場合が多い。また、溶接トーチ20は、光学センサ30とは異なり、長尺状の形状を有するため、外部の物体との接触を起こしやすく、また接触を起こした場合の取り付け位置や取り付け角度への影響も大きくなりやすい。これらの要因により、光学センサ30よりも、溶接トーチ20において、取り付け位置や取り付け角度の変化が起こりやすい。そのため、光学センサ30から独立して、溶接トーチ20の取り付け位置および取り付け角度を変更できるように、溶接トーチ20のみを調整ユニット50に取り付けておくことで、溶接トーチ20の取り付け位置や取り付け角度の変化、またそれに起因する溶接トーチ20と光学センサ30の位置関係の変化があった際に、元の状態への復元を、適切に行うことができる。
なお、上記のように、溶接トーチ20を交換したことにより再基準合わせ工程を実施する場合には、作業原点A0において溶接トーチ20の中心軸がチェックポイント91の鉛直方向直上に位置していれば、通常は、センサ位置座標A1において、光学センサ30のビーム中心がチェックポイント91に一致するのに対し、溶接トーチ20が外部の物体と衝突したことにより、再基準合わせ工程を実施する場合には、ロボット10を作業原点A0に配置して、溶接トーチ20の中心軸がチェックポイント91の鉛直方向直上に位置するように、調整ユニット50による調整を行うとともに、ロボット10をセンサ位置座標A1に移動させ、光学センサ30のビーム中心の位置がチェックポイント91に一致するかどうかを確認しておく必要がある。光学センサ30は外部の物体との衝突や、衝突による位置ずれを起こしにくいとは言え、溶接トーチ20とともに外部の物体に衝突し、取り付け位置や取り付け角度が変化している可能性があるからである。また、光学センサ30が直接の衝突を起こしていなくても、溶接トーチ20の衝突によって、バネ等、ショックセンサ40の構成部材が変形し、変形前の状態に完全に回復していない場合には、ショックセンサ40に固定された光学センサ30の位置や角度にも変化が生じる場合がある。これらの要因により、溶接トーチ20のみならず、光学センサ30の取り付け位置や取り付け角度が変化している場合には、調整ユニット50を用いて、光学センサ30と溶接トーチ20の相対的な位置関係を復元するとともに、センシング工程を実施するためのティーチングの座標に、光学センサ30の位置や角度のずれに対応するオフセットを加えることになる。
[その他の形態]
ここで、上記で説明した溶接装置1の形態以外に、本発明の実施形態に含まれる溶接装置の構成について、簡単に説明する。
(1)調整ユニットの設置箇所
上記実施形態にかかる溶接装置1おいては、光学センサ30は、ロボット10の先端部11に取り付けたショックセンサ40に直接固定する一方、溶接トーチ20は、調整ユニット50を介して、位置調整および角度調整可能に、ショックセンサ40に取り付けられていた。しかし、図5に示す変形形態にかかる溶接装置1Aのように、ショックセンサ40に調整ユニット50を取り付け、光学センサ30、溶接トーチ20の両方を、調整ユニット50に取り付ける形態も考えられる。溶接トーチ20は、上記実施形態と同様に、保持部55の挿通孔58に挿通して保持され、光学センサ30は、センサ固定材74を介して、保持部55の側面に固定される。調整ユニット50において、x操作部53cまたはy操作部53dを操作すると、溶接トーチ20と光学センサ30が、同時に、同じ距離だけ、x方向またはy方向に移動する。
このような溶接装置1Aにおいては、初期基準合わせ工程において、上記実施形態にかかる溶接装置1の場合と同様にして、作業原点A0と、センサ位置座標A1を規定した後、再基準合わせ工程において、作業原点A0にロボット10を配置した状態で、チェックポイント91の直上に、溶接トーチ20の中心軸が配置されるように、調整ユニット50の調整を行うと、ロボット10の先端部11に対する取り付け位置が、溶接トーチ20と光学センサ30で、同じだけ変化することになる。つまり、再基準合わせ工程によって、溶接トーチ20と光学センサ30の相対的な位置関係は変化しない。
このように、溶接トーチ20と光学センサ30をともに調整ユニット50に取り付け、それらの取り付け位置を、両者の間の相対的な位置関係を維持したまま行えるようにした構成は、溶接トーチ20のみに加えられる取り付け位置の変化よりも、溶接トーチ20と光学センサ30の両方に対して一括して加えられる取り付け位置の変化の方が起こりやすい場合に、好適に採用することができる。例えば、溶接トーチ20における溶接ワイヤ等の部材の交換や補修が、頻繁には必要でない場合や、衝突によるショックセンサ40の構成部材の変形が起こりやすい場合等が、想定される。
また、調整ユニット50を2つ用いれば、溶接トーチ20と光学センサ30の両方の取り付け位置を、独立に調整することができる。例えば、図5に示した溶接装置1Aのように、ロボット10の先端部11に取り付けたショックセンサ40に第一の調整ユニットを取り付け、その第一の調整ユニットに、光学センサ30を固定する。そして、第一の調整ユニットに、第二の調整ユニットを取り付け、第二の調整ユニットによって、溶接トーチ20を保持する。この場合には、第一の調整ユニットによって、光学センサ30の取り付け位置を調整したうえで、第二の調整ユニットによって、光学センサ30の位置に対する相対位置として、溶接トーチ20の取り付け位置を調整することができる。あるいは、ショックセンサ40に、第一の調整ユニットと第二の調整ユニットを、並列させて取り付け、それぞれに、溶接トーチ20と光学センサ30を独立に取り付ける形態も考えられる。この場合には、2つの調整ユニットをそれぞれ調整することで、溶接トーチ20と光学センサ30の取り付け位置を独立に調整することができる。溶接トーチ20、光学センサ30の両方に、補修等による交換や、外部の物体との衝突が、頻繁に生じる場合には、これらの形態を採用すればよい。
(2)処理手段の種類
上記で説明した実施形態においては、調整ユニット50を介してロボット10に取り付けられる処理手段としての溶接トーチ20に加え、共通のロボット10に、補助手段としての光学センサ30を固定している。このように構成することで、調整ユニット50による処理手段の取り付け位置の調整を利用して、対象物Wにおいて、処理手段によって加工や検査等の処理を行う位置と、補助手段によって加工や検査等の処理を行う位置の間の正確な整合を、達成することができる。例えば、上記で説明した、光学センサ30で検出した突き合わせ部W1に対して溶接トーチ20で溶接を行う形態のように、調整ユニット50に取り付けた処理手段と、ロボット10に固定した補助手段の一方を加工手段とし、他方を検査手段とする形態において、検査手段による検査の結果に基づいて、加工手段による加工を行う場合や、逆に、加工手段による加工の結果を、検査手段によって検査する場合等において、加工手段によって加工を行う位置と、検査手段によって検査を行う位置の間の整合性が重要となる。それらの位置の間の整合性を、調整ユニット50を用いて、加工手段と検査手段の一方として構成される処理手段の取り付け位置を調整することで、確保すれば、加工手段と検査手段によって対象物Wに対して行われる一連の加工および検査を、正確に行うこことが可能となる。
このように、処理手段が、対象物Wに対して、加工と検査の一方を行い、補助手段が、同一の対象物Wに対して、加工と検査の他方を行うものであれば、処理手段および補助手段の具体的な種類は特に限定されない。あるいは、処理手段と補助手段がともに加工手段であり、対象物Wに対して他種の加工を行うものであっても、また、処理手段と補助手段がともに検査手段であり、対象物Wに対して他種の検査を行うものであってもよい。
さらに、共通のロボット10に、処理手段と補助手段がともに取り付けられる形態のみならず、補助手段を備えず、処理手段のみが、調整ユニット50を介して、ロボット10に取り付けられていてもよい。例えば、ロボット10に、溶接トーチ20のみが調整ユニット50を介して取り付けられ、光学センサ等の検査手段による検出結果を利用することなく、ティーチングによって指示されるロボット10の運動座標に溶接トーチ20が移動され、溶接を行う形態の溶接装置において、溶接トーチ20の交換等を経た際に、調整ユニット50を利用して、ロボット10の作業原点と溶接トーチ20の位置の間の整合を正確に復元することができる。このように、単独でロボット10に取り付けられる処理手段としても、溶接トーチ20に限らず、対象物Wに対して、加工または検査を行う、種々の処理手段を適用することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 溶接装置(加工・検査装置)
10 ロボット(運動手段)
11 先端部
20 溶接トーチ(処理手段)
21 棒状部
30 光学センサ(補助手段)
40 ショックセンサ
50 調整ユニット(調整手段)
51 調整部
52 基板(第一の部分)
53 可動体(第二の部分)
53a x可動板
53b y可動板
53c x操作部
53d y操作部
53e x方向ロック
54 結合板
55 保持部
56 面部
57 挿通部
58 挿通孔
58a 調整面
58b 当接面
58c 連結面
59 キー材(進退部材)
60 水準器
71 固定具
72 ブラケット
73,74 センサ固定材
90 位置合わせ板
91 チェックポイント
W 対象物
W1 突き合わせ部

Claims (7)

  1. 空間内で指定された座標に運動できる運動手段と、
    前記運動手段に取り付けられ、対象物に対して加工または検査を行う処理手段と、
    調整手段と、を有し、
    前記調整手段は、前記運動手段に結合された第一の部分と、前記処理手段を結合された第二の部分と、を有し、
    前記第二の部分は、前記処理手段を結合された状態のまま、相互に交差する2つの調整方向に沿って、前記第一の部分に対して、可逆的に並進運動可能であることを特徴とする加工・検査装置。
  2. 前記処理手段は、前記対象物に対して加工および検査の一方を行うものであり、
    前記加工・検査装置は、前記処理手段とは別に、前記対象物に対して加工および検査の他方を行う補助手段を有しており、前記補助手段は、前記運動手段に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の加工・検査装置。
  3. 前記処理手段は、前記対象物に溶接を行う溶接トーチであり、
    前記補助手段は、前記対象物までの距離を計測する光学センサであることを特徴とする請求項2に記載の加工・検査装置。
  4. 前記調整手段は、前記2つの調整方向を含む平面の、水平面に対する関係を検出する水準器をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の加工・検査装置。
  5. 前記処理手段は、棒状部を有し、
    前記調整手段は、前記第二の部分に固定されて、前記処理手段を保持する保持部を有し、
    前記保持部は、中空筒状の挿通孔を有し、該挿通孔の軸方向に沿って、前記処理手段の前記棒状部を挿通可能であり、
    前記挿通孔は、前記軸方向を中心に、相互に対して角度を有する3つの内壁面に囲まれ、前記3つの内壁面のうちの1つである調整面には、該調整面に対して、進退可能であるとともに、前記挿通孔の前記軸方向に対して傾斜可能な進退部材が設けられており、
    前記挿通孔に挿通した前記処理手段を、前記進退部材によって、前記3つの内壁面のうち前記調整面以外の2つである当接面に対して押し付けて、前記処理手段を前記挿通孔内に保持することで、前記処理手段を前記第二の部分に結合することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の加工・検査装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の加工・検査装置を用いて、対象物に対して加工または検査を行うに際し、
    あらかじめ、前記処理手段が、前記運動手段に対して所定の位置に配置されるように、前記調整手段によって、前記運動手段に対する前記処理手段の取り付け位置を調整しておくことを特徴とする加工・検査方法。
  7. 請求項2に記載の加工・検査装置を用いて、前記対象物に対して加工と検査を行うに際し、
    前記運動手段に対する前記処理手段の取り付け位置を調整することで、前記処理手段と前記補助手段の間の位置関係を、一定に維持することを特徴とする請求項6に記載の加工・検査方法。
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