JP2019207908A - ノイズ低減装置、及びノイズ低減装置の製造方法 - Google Patents

ノイズ低減装置、及びノイズ低減装置の製造方法 Download PDF

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Yuya Okada
侑也 岡田
矢田 哲也
Tetsuya Yada
哲也 矢田
正義 安田
Masayoshi Yasuda
正義 安田
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Abstract

【課題】磁性体コアのインダクタンスの増加を図り、ノイズ低減能力を向上できるノイズ低減装置、及びノイズ低減装置の製造方法を提供すること。【解決手段】ノイズフィルタ1は、導体21と、挿入孔41が形成された磁性体コア23と、モールド部25と、を備える。磁性体コア23の挿入孔41内に形成された内周面43とモールド部25との接触面積を内側接触面積とし、磁性体コア23の外側に形成された筒状の外周面42とモールド部25との接触面積を外側接触面積とした場合に、内側接触面積の大きさを、外側接触面積の大きさ以上とする。【選択図】図2

Description

本開示は、導体を流れる信号に含まれるノイズを低減するノイズ低減装置、及びノイズ低減装置の製造方法に関するものである。
従来、配線とフェライトコアとをモールド成形によって一体化した車載用電子機器がある(例えば、特許文献1など)。この車載用電子機器では、フェライトコアの一部を露出した状態でモールド成形することによって、モールドした樹脂からフェライトコアに付与される応力の軽減を図っている。
特開2016−96316号公報
上記した車載用電子機器では、応力の低減によって、逆磁歪効果によるフェライトコアのインダクタンスの低下を抑制している。しかしながら、フェライトコアのインダクタンスを増加させ、ノイズ低減能力を向上させるためには改善の余地があった。
本開示は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、磁性体コアのインダクタンスの増加を図り、ノイズ低減能力を向上できるノイズ低減装置、及びノイズ低減装置の製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、導体と、磁性材料により形成され、前記導体を挿入する挿入孔が形成された筒状をなす磁性体コアと、樹脂材料により形成され、前記導体及び前記磁性体コアの少なくとも一部をモールドするモールド部と、を備え、前記磁性体コアの前記挿入孔内に形成された内周面と前記モールド部との接触面積を内側接触面積とし、前記磁性体コアの外側に形成された筒状の外周面と前記モールド部との接触面積を外側接触面積とした場合に、前記内側接触面積の大きさが、前記外側接触面積の大きさ以上となる、ノイズ低減装置を開示する。
また、本開示は、導体と、磁性材料により形成され、前記導体を挿入する挿入孔が形成された筒状をなす磁性体コアと、樹脂材料により形成され、前記導体及び前記磁性体コアの少なくとも一部をモールドするモールド部と、を備え、前記磁性体コアの前記挿入孔内に形成された内周面と前記モールド部との接触面積を内側接触面積とし、前記磁性体コアの外側に形成された筒状の外周面と前記モールド部との接触面積を外側接触面積とした場合に、前記内側接触面積の大きさに対する前記外側接触面積の大きさの比率である外側面積比が所定の閾値以下であり、前記閾値は、前記磁性体コアのインピーダンスに基づいて設定された値である、ノイズ低減装置を開示する。
また、本開示は、ノイズ低減装置としての実施だけでなく、ノイズ低減装置の製造方法として実施した場合にも有益である。
本開示のノイズ低減装置、ノイズ低減装置の製造方法によれば、磁性体コアのインダクタンスの増加を図り、ノイズ低減能力を向上できる。
実施形態に係るノイズフィルタをスイッチング電源に接続した場合の回路図である。 第1実施形態のノイズフィルタの斜視図である。 磁性体コアの斜視図である。 前後方向に直交する平面でノイズフィルタを切断した断面図である。 磁性体コアに付与される外力を説明するための模式図である。 引張応力、外側面積比、インダクタンスの変化率の関係を示すグラフである。 外周面を全てモールドした比較例のノイズフィルタを示す斜視図である。 第2実施形態のノイズフィルタの斜視図である。 第3実施形態のノイズフィルタの斜視図である。 第4実施形態のノイズフィルタの斜視図である。 射出成形の成形前後における周波数に対するインダクタンスの特性を示すグラフである。 別例のノイズフィルタの斜視図である。 別例のノイズフィルタの断面図である。 別例のノイズフィルタの斜視図である。 別例のノイズフィルタの斜視図である。 別例のノイズフィルタの斜視図である。
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本開示のノイズ低減装置を具体化した一実施形態であるノイズフィルタ1を示しており、スイッチング電源5にノイズフィルタ1を接続した回路図を示している。ノイズフィルタ1及びスイッチング電源5は、例えば、アルミダイカスト製の金属製筐体3に収納されている。
まず、図1を用いてノイズフィルタ1に関する電気的な作用効果を説明する。スイッチング電源5は、例えば、車載用の電源である。スイッチング電源5は、例えば、ハイブリッド車あるいは電気自動車等が備えるメインバッテリー(不図示)から供給される駆動系の電源電圧VIN(例えば、DC244Vなど)の電圧値を降圧し、補機バッテリー7への電力供給を行う降圧型のスイッチング電源である。補機バッテリー7は、オーディオ機器、エアコン機器、照明機器などの車内電装機器に電源電圧(例えば、DC14Vなど)を供給する電源である。
スイッチング電源5は、例えば、パワートランジスタTとダイオードDを備える。パワートランジスタT及びダイオードDは、電源電圧VINと接地電位GNDとの間において直列に接続されている。スイッチング電源5は、パワートランジスタTとダイオードDの間の接続点Xから電力を供給する。スイッチング電源5は、パワートランジスタTのゲート端子に印加されるスイッチング信号SWに基づいて、所定のスイッチング周波数fでパワートランジスタTのオンオフ制御を行う。
ノイズフィルタ1は、スイッチング電源5に接続される入力端子VIと補機バッテリー7に接続される出力端子VOとの間に接続されている。ノイズフィルタ1は、チョークコイルL1を備え、出力端子VOと接地電位GNDとの間に接続されたコンデンサC1と、所謂LCフィルタを構成している。なお、図1に示すフィルタの構成は、一例である。例えば、入力端子VI側にもコンデンサを接続し、ノイズフィルタ1とコンデンサとでπ型のフィルタを構成しても良い。
スイッチング電源5において、負荷に応じた電流は、パワートランジスタT、あるいはダイオードDを介して接続点Xに向かってスイッチング周波数fで交互に流れる。これにより、電源電圧VIN及び接地電位GNDの間において、負荷に応じた電流は、スイッチング周波数fで断続して流れ変動する。また、接続点Xの電位は、電源電圧VINと接地電位GNDとの間でスイッチング周波数fに応じて交互に切り替わる。従って、スイッチング電源5において、スイッチング動作による電流変動と電圧変動とは、スイッチング周波数f及びその高調波周波数のスイッチングノイズを発生させるノイズ源となる場合がある。こうしたスイッチングノイズは、例えば、信号経路や接地配線を介して回り込む伝導性ノイズや容量結合などの空間を介して伝搬する誘導性ノイズとして入力端子VIに伝搬する虞がある。
本実施形態のノイズフィルタ1は、スイッチング電源5の動作に起因したスイッチング周波数fやその高調波周波数のノイズを低減する。ここで、スイッチング電源5におけるスイッチング周波数fは、出力電力の定格や回路を構成する素子の仕様などに応じて定められる。例えば、車載用のスイッチング電源5では、数100kHzで動作するものがある。この場合、スイッチング周波数fやその高調波周波数が、車載AMラジオの周波数帯域(500〜1700kHz前後)に重なる虞がある。これに対し、本実施形態のノイズフィルタ1は、接続点Xに接続され、これらの帯域のノイズが後段の機器に伝搬するのを抑制できる。
次に、ノイズフィルタ1の形状・構造に関して説明する。図2は、図1に示すノイズフィルタ1の斜視図を示している。図2に示すように、ノイズフィルタ1は、導体21と、磁性体コア23と、モールド部25とを備えている。図1に示す入力端子VIと出力端子VOを繋ぐ出力電圧の経路は、図2に示す導体21で主に構成されている。導体21は、例えば、一方向に長い略板状に形成されている。以下の説明では、図2に示すように、導体21の長手方向であり、磁性体コア23に導体21を挿入する方向を、前後方向と称して説明する。また、前後方向に直交し板状の導体21の平面に平行な方向を、左右方向と称して説明する。また、導体21の平面に直交する方向を上下方向と称して説明する。この場合、前後方向は、本開示の挿入方向の一例である。
導体21は、例えば、銅やアルミ等の金属材料で形成されている。導体21は、前後方向における前方側の端部に、入力端子VI(図1参照)に接続される端子31が形成されている。また、導体21は、後方側の端部に、出力端子VO(図1参照)と接続される端子32が形成されている。端子31,32の各々には、例えば、ボルト等を締結する貫通孔33が形成されている。なお、図1に示すコンデンサC1を導体21に接続する方法は、特に限定されない。例えば、コンデンサC1は、導体21に接続された基板上に実装される構成でも良い。また、図2に示す導体21や磁性体コア23等の形状、数、位置等は一例であり、適宜変更可能である。例えば、導体21は、板状ではなく、前後方向に沿った円柱形状でも良い。また、ノイズフィルタ1は、2つ以上の導体21を、1つの磁性体コア23に挿入する構成でも良い。
図3は、磁性体コア23の斜視図を示している。図3に示すように、磁性体コア23は、前後方向に長い筒形状をなしている。磁性体コア23は、例えばフェライト等の磁性材料で形成されている。磁性体コア23には、導体21を挿入するための挿入孔41が前後方向に沿って形成されている。本実施形態の筒形状の磁性体コア23において、軸方向は、前後方向に沿っている。従って、挿入孔41は、磁性体コア23の軸方向に沿って形成されている。磁性体コア23は、前後方向に沿って所定の長さL3で形成されている。磁性体コア23における上下方向及び左右方向の外側に形成された外周面42は、前後方向の長さL3を一定としながら環状に接続された面で形成されている。
図4は、前後方向に直交する平面でノイズフィルタ1を切断した断面を示している。図4に示すように、磁性体コア23の断面形状は、左右方向に長い略長方形状をなしている。挿入孔41は、磁性体コア23における上下方向及び左右方向の中央部に形成されている。挿入孔41の断面形状は、左右方向、即ち、磁性体コア23の長手方向に長い略長方形状をなしている。挿入孔41は、前後方向に沿って形成されている。従って、挿入孔41内の内周面43は、前後方向の長さL3を一定としながら環状に接続された面で形成されている。また、内周面43の一周の長さは、外周面42の一周の長さよりも短くなっている。また、内周面43の面積は、外周面42の面積に比べて小さくなっている。なお、図3及び図4に示す磁性体コア23の形状は、一例である。例えば、磁性体コア23は、円環状の筒形状でも良い。また、挿入孔41の断面形状は、正方形、楕円、真円などでも良い。
また、図2に示すように、モールド部25は、導体21の一部と、磁性体コア23の一部を覆うように形成されている。モールド部25は、例えば、射出成形により形成されている。モールド部25の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂やPBT、PPSなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。導体21と磁性体コア23とは、モールド部25によってモールドされることで一体化され、相対的な位置ずれを規制されている。
モールド部25は、磁性体コア23の前方側の端面45(図3参照)を覆う第1側面部51と、磁性体コア23の後方側の端面45を覆う第2側面部52とを有している。第1側面部51は、端面45に比べて若干だけ大きい板状をなしている。第1側面部51は、前方側の端面45を覆い、磁性体コア23の外縁から上下方向及び左右方向の外側に若干だけ突出して形成されている。第1側面部51の前後方向における厚みW1は、磁性体コア23の長さL3(図3参照)に比べて十分に小さくなっている。第1側面部51の上方側の外周形状は、磁性体コア23の外周に沿うように円弧状に形成されている。また、第1側面部51の下方側の外周形状は、左右方向に沿って形成されている。第1側面部51は、若干だけ外周面42の上にはみ出ており、外周面42の端部を覆っている。なお、第1側面部51は、外周面42の上にはみ出さず、外周面42における前後方向の端部と接する構造でも良い。
第2側面部52は、前後方向において第1側面部51と対向する位置に配置されている。なお、第2側面部52の構成は、第1側面部51と同様であるため、その説明を省略する。また、第1側面部51や第2側面部52の前後方向における厚みW1は、例えば、磁性体コア23に対して導体21を固定する度合い、即ち、要求される耐振動性に応じて変更される。
また、図4に示すように、モールド部25は、挿入孔41内に充填された内側樹脂部57を有する。磁性体コア23は、挿入孔41に導体21を挿入することにより、図1に示すチョークコイルL1を構成する。導体21は、上下方向及び左右方向における挿入孔41の中央部に挿入されている。導体21と挿入孔41の内周面43との間には、内側樹脂部57が充填されている。内側樹脂部57は、導体21を挿入孔41の中央部に配置した状態で挿入孔41内に充填されている。内側樹脂部57は、内周面43の全面と接触している。内側樹脂部57の前方側の端部は、第1側面部51の後面に接続されている。内側樹脂部57の後方側の端部は、第2側面部52の前面に接続されている。従って、第1側面部51は、内側樹脂部57を介して第2側面部52と接続されている。上記したように、第1実施形態のノイズフィルタ1は、磁性体コア23の外周面42のほぼ全体を露出させ、端面45と内周面43のみをモールド部25でモールドされている。
ここで、モールド部25の射出成形によって導体21と磁性体コア23をモールドする場合、例えば、導体21と磁性体コア23との位置を固定して金型に挿入し、金型内に絶縁性を有する樹脂を充填する。この際に、磁性体コア23には、射出された高圧の樹脂によって外力を付与される。また、金型に充填された樹脂は、硬化して導体21と磁性体コア23とを一体化させる。磁性体コア23は、硬化にともなって収縮する樹脂から外力を付与される。
図5は、磁性体コア23に付与される外力を説明するための模式図である。なお、図5は、導体21の図示を省略している。また、図5は、磁性体コア23の外周面42の全面を覆う樹脂を形成した状態、即ち、外周面42をモールド部25で覆った状態を示している。図5に示す破線は、磁性体コア23に形成される磁路61を示している。上記したように、導体21は、図1に示す入力端子VIと出力端子VOとを繋ぐ出力電圧の経路を構成している。導体21には、スイッチング電源5のスイッチング動作にともなって生じるスイッチングノイズが流れる。導体21には、出力電圧に比例する出力電流(本開示の信号の一例)と、ノイズ電流とが重畳した重畳電流が流れる。重畳電流が導体21を流れると、導体21の周囲には磁界が発生する。この磁界によって導体21の周囲を取り囲む磁性体コア23には、周方向に向かって磁束が発生し、環状の磁路61が形成される。例えば、ノイズ電流によって生じた磁束が熱に変換されることで、ノイズ電流が低減される、即ち、重畳電流に含まれるノイズが低減される。
図5に示すように、例えば、射出成形時に挿入孔41内に充填された樹脂、即ち、内側樹脂部57を構成する樹脂は、磁性体コア23に対して内側から外側に向かう外力63を付与する。この外力63は、磁性体コア23を内側から外側に押し広げ、磁路61の磁路長を延ばす方向へ作用する引張応力64を発生させる。より具体的には、外力63は、磁路61に直交する断面において引っ張り方向に作用する引張応力64を発生させる。また、例えば、射出成形時に磁性体コア23の外部に射出された樹脂、即ち、外周面42を覆う樹脂は、磁性体コア23に対して外側から内側に向かう外力65を付与する。この外力65は、磁性体コア23を外側から内側へと収縮させ、磁路61の磁路長を縮める方向へ作用する圧縮応力66を発生させる。従って、磁性体コア23には、射出成形時において磁路61に対する引張応力64と圧縮応力66が付与される。また、例えば、外周面42を覆う樹脂は、射出後に収縮する際に、磁性体コア23に対して外力65を付与する。従って、磁性体コア23には、成形圧力だけでなく、成形後の収縮による圧縮応力66が付与される。なお、図5に示す引張応力64及び圧縮応力66の位置は、一例である。従って、引張応力64は、図5における磁性体コア23の右側や下側だけでなく、左側や上側にも発生し得る。同様に、圧縮応力66は、図5における磁性体コア23の左側や上側だけでなく、右側や下側にも発生し得る。
従来文献では、上記した外周面42を覆う樹脂の収縮に着目し、逆磁歪効果による磁性体コア23のインダクタンスの低下を抑制することを課題としていた。これに対し、本開示の出願人等は、圧縮応力66によるインダクタンスの低下を抑制するだけでなく、インダクタンスの向上、即ち、ノイズ低減能力の向上を図れる方法について検討した。そして、引張応力64に着目し、引張応力64を磁性体コア23に意図的に付与することで、インダクタンスの向上を図れることを発見した。以下の説明では、まず、成形後に外周面42を覆うモールド部25を除去し、引張応力64を増加させることでインダクタンスの改善を図る方法について説明する。次に、外周面42を覆うモールド部25を成形時から成形しないことで、引張応力64を増加させインダクタンスの改善を図る方法について説明する。
(成形後の除去)
図6は、引張応力、外側面積比、インダクタンスの変化率をシミュレーションした結果を示している。グラフの左側の縦軸は、引張応力を示しており、上に行くほど引張応力64が大きくなることを示している。横軸は、各実施形態とその実施形態の外側面積比ARを示している。ここでいう「外側面積比AR」とは、例えば、磁性体コア23の内周面43とモールド部25(内側樹脂部57)との接触面積を内側接触面積とし、外周面42とモールド部25(図7の外周被覆部53など)との接触面積を外側接触面積とした場合に、内側接触面積の大きさに対する、外側接触面積の大きさの比率である。換言すれば、外側面積比ARは、外側接触面積を内側接触面積で除算した値である。本実施形態の第1側面部51及び第2側面部52は、上記したように若干だけ外周面42を覆っている。このため、第1実施形態の外側面積比ARの値は、0.2となっている。
グラフの右側の縦軸は、インダクタンスの変化率であるL変化率RCを示している。図6のグラフは、磁性体コア23の外周面42の全面をモールド部25で一度モールドした後、モールドしたモールド部25を除去したシミュレーションの結果を示している。例えば、図7は、外周面42を全てモールドした比較例のノイズフィルタ101を示している。ノイズフィルタ101は、外周面42の全面をモールド部25の外周被覆部53でモールドされている。例えば、このノイズフィルタ101を、予め射出成形で成形しておき、生成後のノイズフィルタ101から外周被覆部53を一部残して除去することで図2に示すノイズフィルタ1を生成する。L変化率RCは、外周被覆部53を除去する前の磁性体コア23のインダクタンス値に対する除去後のインダクタンス値の比率を示している。即ち、L変化率RCは、外周被覆部53を除去する前後におけるインダクタンス値の増加率を示している。L変化率RCは、例えば、特定の周波数におけるインダクタンス値の増加率をシミュレーションした結果を示している。なお、L変化率RCは、インダクタンスの平均値の増加率を示す値でも良い。図5の右側の縦軸は、上に行くほどL変化率RCが大きく(プラスの値)になることを示している。
図6に示すように、引張応力64及びL変化率RCのグラフは、右肩上がりとなっており、外側面積比ARの値が小さくなるに従って引張応力64が増加しL変化率RCがプラスに増加することを示している。このため、射出成形時だけでなく、硬化後のモールド部25を後から除去してもインダクタンス値の改善を図ることができる。
従って、所定のL変化率RCを基準としてノイズフィルタ1を設計、製造することができる。例えば、図6に示す位置P1を基準とした製造方法について説明する。図6の位置P1は、例えば、外側面積比ARが1、即ち、外側接触面積と内側接触面積とが等しくなる位置である。外側面積比ARが1の場合のL変化率RCを、L変化率RC1とする。製造者がL変化率RC1以上のインダクタンス値の増加を望む場合、AR=1を基準として設計、製造を行うことができる。例えば、外側面積比ARが1以下となるように、外周面42の全面を外周被覆部53でモールドしたノイズフィルタ101(図7参照)から、外周被覆部53を減らすことで、L変化率RC1以上にインダクタンス値を増加させたノイズフィルタ1を製造できる。引張応力64を増加させ、所望のインダクタンス値以上のノイズフィルタ1、即ち、所望のノイズ低減特性のノイズフィルタ1を構成できる。この場合、基準とした外側面積比ARの値「1」は、本開示の所定の閾値の一例である。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態のノイズフィルタ103の斜視図を示している。図8に示すように、第2実施形態のノイズフィルタ103は、外周面42を覆う外周被覆部53(図7参照)、第1側面部51及び第2側面部52(図2参照)を備えていない。従って、外周面42は、全て露出した状態となっている。また、前後方向で対向する一対の端面45の各々も、全て露出した状態となっている。また、内側樹脂部57は、前後方向において、挿入孔41の外側へ少しだけ突出している。従って、第2実施形態の内側樹脂部57は、磁性体コア23から外側へはみ出している。図6に示すように、第2実施形態の外側面積比ARは、外周面42を覆う外周被覆部53を無くしたため、ゼロとなっている(AR=0)。また、引張応力64及びL変化率RCは、外側面積比AR=0.2の場合(第1実施形態)に比べてさらに大きくなっている。第2実施形態のノイズフィルタ103では、例えば、第1側面部51及び第2側面部52を無くしたことで導体21と磁性体コア23とを固定する力、即ち、耐振動性が第1実施形態に比べて低下する虞がある。その一方で、引張応力64を増加させ、インダクタンス値をより増加させ、ノイズ低減能力を向上できる。
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態のノイズフィルタ105の斜視図を示している。図9に示すように、第3実施形態のノイズフィルタ105は、外周面42を覆う外周被覆部53に外周面42を露出させる露出部55を備えている。露出部55の断面形状は、例えば前後方向に長い略長方形状をなしている。露出部55は、例えば、磁性体コア23の上面、下面、右側面、左側面のそれぞれに1つ(合計で4つ)設けられている。従って、外周面42は、4つ面で露出した状態となっている。磁性体コア23の角部には、前後方向に沿って延びる角被覆部53Aが形成されている。角被覆部53Aは、磁性体コア23の周方向における幅を一定としながら前後方向に沿って(磁性体コア23の角部に沿って)延びている。外周被覆部53は、磁性体コア23の角部のそれぞれに角被覆部53Aを備えている。
図6に示すように、第3実施形態の外側面積比ARは、1.2となっている(AR=1.2)。また、引張応力64及びL変化率RCは、外側面積比AR=0.2の場合(第1実施形態)に比べて小さいものの、図7の全周を覆う比較例の場合に比べて大きくなっている。このため、硬化後のモールド部25を後から除去し露出部55を形成することで、インダクタンス値の改善を図ることができる。第3実施形態のノイズフィルタ105では、例えば、インダクタンス値が第1実施形態に比べて低下するものの、角被覆部53Aを設けたことで耐振動性を向上できる。
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態のノイズフィルタ107の斜視図を示している。図10に示すように、第4実施形態のノイズフィルタ107は、図9に示す第3実施形態において、左側面の露出部55と、右側面の露出部55を無くした構成となっている。従って、ノイズフィルタ107は、上面と下面のそれぞれに1つ(合計で2つ)の露出部55を備える。図6に示すように、第4実施形態の外側面積比ARは、第3実施形態に比べて大きくなっており、1.6となっている。引張応力64及びL変化率RCは、第2実施形態に比べて小さいものの、図7の全周を覆う比較例の場合に比べて大きくなっている。従って、第4実施形態のノイズフィルタ107においても、露出部55を設けたことで、比較例に比べてインダクタンス値の改善を図ることができる。
ここで、図6の位置P2は、例えば、外側面積比ARが1.7、即ち、上記した第1〜第4実施形態の何れよりも外側面積比ARが大きくなる位置である。図6に示すように、外側面積比ARが1.7の場合のL変化率RCを、L変化率RC2とする。上記した位置P1のL変化率RC1(AR=1)と同様に、製造者がL変化率RC2以上のインダクタンス値の増加を望む場合、AR=1.7を基準として、設計、製造を行うことができる。例えば、外側面積比ARが1.7以下となるように、外周面42の全面をモールドしたノイズフィルタ101(図7参照)から、外周被覆部53を減らすことで、L変化率RC2以上にインダクタンス値を増加させたノイズフィルタ1等を製造できる。この場合、外側面積比ARの値「1.7」は、本開示の所定の閾値の一例である。例えば、第1〜第4実施形態の引張応力64及びL変化率RCは、外側面積比AR=1.7の場合(L変化率RC2の場合)に比べて大きくなっていることが分かる。従って、外側面積比ARの値「1.7」を基準として第1〜第4実施形態のノイズフィルタ1等を製造すれば、所望のインダクタンス値以上のノイズフィルタ、即ち、所望のノイズ低減特性のノイズフィルタを製造できる。このようにして、成形後に除去するモールド部25の量等を、外側面積比ARを用いて調整することで、インダクタンス値を所望の値まで増加させることが可能となる。
従って、上記したように、ノイズフィルタ1等の製造工程において、まず、外周面42を覆うモールド部25を、射出成形により成形する(射出成形工程の一例)。これにより、例えば、外周面42の全面を外周被覆部53により覆う。次に、外周面42を覆う外周被覆部53の少なくとも一部を除去することで、磁性体コア23に引張応力64を付与する(樹脂除去工程の一例)。これにより、インダクタンス値の増加を図り、ノイズフィルタ1等のノイズ低減能力を向上できる。
(成形時における外側面積比ARの調整)
次に、外周面42を覆うモールド部25を成形時から成形しないことで、磁性体コア23に対する引張応力64を増加させインダクタンスの改善を図る方法について説明する。図11は、射出成形の成形前後における周波数に対するインダクタンスの特性を示している。図11における縦軸は、磁性体コア23のインダクタンス値を示しており、上に行くほどインダクタンス値が大きくなることを示している。図11における横軸は、導体21に流れる重畳電流の周波数を示しており、右に行くほど周波数が大きくなることを示している。
二点鎖線で示すグラフ71は、比較例のノイズフィルタ101(図7参照)のインダクタンス値を測定した結果を示している。一点鎖線で示すグラフ72は、ノイズフィルタ101のモールド部25を成形する前にインダクタンス値を測定した結果を示している。従って、グラフ72は、導体21と磁性体コア23を備えるノイズフィルタ101のインダクタンス値を測定した結果を示している。グラフ71,72に示すように、比較例のノイズフィルタ101では、低周波の帯域において、モールド部25の成形前(グラフ72)に比べて成形後(グラフ72)のインダクタンス値が大きく低下している(図11の矢印76参照)。これは、射出成形によって外周面42の全てをモールドし、内側接触面積の大きさに比べて外側接触面積の大きさが大幅に大きくなり、引張応力64が低下し、圧縮応力66よりも引張応力64が小さくなった為であると考えられる。
一方で、実線で示すグラフ73は、第1実施形態のノイズフィルタ1(図2参照)のインダクタンス値を測定した結果を示している。破線で示すグラフ74は、ノイズフィルタ1のモールド部25を成形する前にインダクタンス値を測定した結果を示している。従って、グラフ74は、グラフ72と同一の構成の測定結果である。なお、グラフ74とグラフ72とは、同一構成であるにも係わらず値が異なっている。この誤差は、導体21や磁性体コア23などの個々の部材のばらつき、製造時の精度誤差などに起因するものである。
グラフ73,74に示すように、第1実施形態のノイズフィルタ1では、低周波の帯域において、成形前(グラフ74)に比べて成形後(グラフ73)のインダクタンス値が大きく増加している(図11の矢印77参照)。これは、外側面積比ARを小さく設定した射出成形を行うことで、射出成形時の引張応力64が増加したためであると考えられる。従って、ノイズフィルタ1の製造工程において、内側接触面積の大きさが、外側接触面積の大きさ以上となるようにモールド部25を射出成形する工程(外力付与工程の一例)を含めることで、インダクタンス値の増加を図ることができる。
さらに、本開示の出願人等は、図11に示す射出成形時からモールド部25の一部を成形しない場合のインダクタンス値の増加率が、図6に示す成形後に外周被覆部53を除去した場合のインダクタンス値の増加率に比べて大きくなることを確認した。具体的には、例えば、ノイズ電流の周波数を0.1MHzとした場合、図11のグラフ74に対するグラフ73のインダクタンス値の増加率が、図6の第1実施形態(AR=0.2)の増加率に比べて大きくなることを確認した。このため、同一の構成で比較した場合、成形後にモールド部25を除去する製造方法(図6参照)に比べて、成形時からモールド部25の一部を成形しない製造方法(図11参照)の方が、インダクタンス値の増加をより図ることが可能となる。なお、図11では、第1実施形態について説明したが、上記した第2〜第4実施形態(図8〜図10参照)についても同様である。即ち、第2〜第4実施形態においても、成形時にモールド部25を形成しないことで、インダクタンス値の増加をより図ることが可能となる。
また、成形時からモールド部25の一部を成形しない製造方法において、上記した成形後にモールド部25を除去する際に用いた所定の閾値(AR=1やAR=1.7)を基準とした製造方法を実行できる。具体的には、外側面積比AR=1に対応するL変化率RC1以上のインダクタンス値の増加を製造者が望む場合、AR=1を基準として設計、製造を行うことができる。例えば、外側面積比ARが1以下となるようにモールド部25の一部を成形しないノイズフィルタを設計等することで、外側面積比AR=1に対応するL変化率RC1以上にインダクタンス値を増加させたノイズフィルタ1等を製造できる。この場合、基準とした外側面積比ARの値「1」は、本開示の所定の閾値の一例である。
因みに、ノイズフィルタ1は、ノイズ低減装置の一例である。外周被覆部53及び内側樹脂部57は、モールド部の一例である。
以上、上記した本開示の各実施形態では、以下の効果を奏する。
(1)ノイズフィルタ1等は、導体21と、磁性材料により形成され、導体21を挿入する挿入孔41が形成された筒状をなす磁性体コア23と、樹脂材料により形成され、導体21及び磁性体コア23の少なくとも一部をモールドするモールド部25と、を備える。磁性体コア23の挿入孔41内に形成された内周面43とモールド部25(内側樹脂部57)との接触面積を内側接触面積とし、磁性体コア23の外側に形成された筒状の外周面42とモールド部25(外周被覆部53)との接触面積を外側接触面積とした場合に、内側接触面積の大きさが、外側接触面積の大きさ以上となっている。
これによれば、磁性体コア23とモールド部25の内側接触面積の大きさは、外側接触面積の大きさ以上となる。内側接触面積と外側接触面積の不均衡により、磁性体コア23に対し挿入孔41の内側から外側に向かう応力が付与される。これにより、導体21に重畳電流を流した場合に磁性体コア23に発生する環状の磁路61を広げる方向へ磁性体コア23に引張応力64を付与できる。その結果、磁性体コア23のインダクタンスの増加を図り、ノイズ低減能力を向上できる。また、モールド部25により、導体21と磁性体コア23とを一体化し相対的な移動、即ち、位置ずれを抑制することで、耐振動性を向上させることができる。
(2)また、モールド部25は、挿入孔41内において導体21と内周面43との間に充填され、挿入孔41に導体21を挿入する前後方向(挿入方向の一例)に延びる内側樹脂部57と、前後方向における内側樹脂部57の前方側(一方側の一例)の端部に接続され、前後方向の前方側の磁性体コア23の端面45を覆う第1側面部51と、前後方向における内側樹脂部57の後方側(他方側の一例)の端部に接続され、前後方向の後方側の磁性体コア23の端面45を覆う第2側面部52と、を備えている。これによれば、外周面42を覆う樹脂を可能な限り減らし、ノイズ低減能力を向上できる。例えば、外周面42の端部だけを第1側面部51等で覆う構成にできる。あるいは、外周面42を全く覆わない構成にもできる。
(3)また、ノイズフィルタ1等は、導体21と、磁性材料により形成され、導体21を挿入する挿入孔41が形成された筒状をなす磁性体コア23と、樹脂材料により形成され、導体21及び磁性体コア23の少なくとも一部をモールドするモールド部25と、を備えている。磁性体コア23の挿入孔41内に形成された内周面43とモールド部25との接触面積を内側接触面積とし、磁性体コア23の外側に形成された筒状の外周面42とモールド部25との接触面積を外側接触面積とした場合に、内側接触面積の大きさに対する外側接触面積の大きさの比率である外側面積比ARが所定の閾値(例えば、AR=1やAR=1.7)以下である。この閾値は、磁性体コア23のインピーダンス(例えば、L変化率RC)に基づいて設定された値である。
これによれば、所定の閾値を設定することで、内側接触面積の大きさに対する外側接触面積の大きさの比率が所定の値以下となる。これにより、磁性体コア23に引張応力64を付与することで、ノイズ低減能力を向上できる。
(4)また、上記各実施形態のノイズ低減装置の製造方法は、導体21と、磁性材料により形成され導体21を挿入する挿入孔41が形成された筒状をなす磁性体コア23と、を備えるノイズフィルタ1の製造方法として実施できる。この製造方法は、筒状の磁性体コア23に対し挿入孔41の内側から外側に向かう応力を付与することで、導体21に電流を流した場合に磁性体コア23に発生する環状の磁路61を広げる方向へ磁性体コア23に引張応力64を付与する外力付与工程を含んでも良い。これによれば、磁路61を広げる方向へ磁性体コア23に引張応力64を付与することで、ノイズフィルタ1のノイズ低減能力を向上できる。
(5)また、ノイズフィルタ1は、樹脂材料により形成され、導体21及び磁性体コア23の少なくとも一部をモールドするモールド部25を備える。磁性体コア23の挿入孔41内に形成された内周面43とモールド部25との接触面積を内側接触面積とし、磁性体コア23の外側に形成された筒状の外周面42とモールド部25との接触面積を外側接触面積とした場合に、外力付与工程において、内側接触面積の大きさが、外側接触面積の大きさ以上となるようにモールド部25を射出成形する(図11参照)。これによれば、射出成形時の射出圧により、磁性体コア23に対し引張応力64を付与できる。
(6)また、外力付与工程は、磁性体コア23の挿入孔41内に形成された内周面43及び磁性体コア23の外側に形成された筒状の外周面42を覆うモールド部25を、射出成形により成形する射出成形工程と、外周面42を覆うモールド部25の少なくとも一部を除去することで、磁路61を広げる方向へ磁性体コア23に引張応力64を付与する樹脂除去工程と、を含んでも良い(図6参照)。これによれば、一度モールドした樹脂を後から除去することにより、外周面42をモールドした樹脂から磁性体コア23に付与される圧縮応力を低減し、磁路61を広げる引張応力64を磁性体コア23に付与することで、ノイズフィルタ1のノイズ低減能力を向上できる。
なお、本開示の技術は上記各実施形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、外周被覆部53を半周分だけ残しても良い。図12及び図13は、別例のノイズフィルタ109を示している。なお、以下の説明では、上記した第1〜第4実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。図12及び図13に示すように、モールド部25は、第1側面部51及び第2側面部52を連結する外周被覆部53を有している。
外周被覆部53は、前後方向に沿って形成され、前方側の端部に第1側面部51を接続され、後方側の端部に第2側面部52を接続されている。外周被覆部53は、下方側の外周面42を覆っている。より具体的には、外周被覆部53は、磁性体コア23の下側の外周面42の全体、左側の外周面42の下半分、右側の外周面42の下半分を覆っている。外周被覆部53は、所定の厚みW2(図13参照)で外周面42を覆っている。換言すれば、モールド部25には、外周面42の全面のうち、上方側の外周面42を露出させる露出部55が形成されている。なお、外周被覆部53の厚みW2は、例えば、磁性体コア23に対して導体21を固定する度合い、即ち、要求される耐振動性に応じて変更される。このような構成のノイズフィルタ109であっても、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。具体的には、例えば、磁路61(図5参照)を広げる引張応力64を磁性体コア23に付与し、インダクタンスの増加を図ることができる。
また、例えば、図14に示すノイズフィルタ111のように、モールド部25は、磁性体コア23の左右方向及び前後方向の端面(端面45を含む)を周回するような構造でも良い。図14に示すように、第1側面部51及び第2側面部52の上下方向の幅は、磁性体コア23の端面45の上下方向の幅に比べて短くなっている。第1及び第2側面部51,52は、上下方向における端面45の中央部のみに形成され、左右方向に沿って形成されている。同様に、外周被覆部53は、磁性体コア23の左右方向の側面において、上下方向の中央部のみに形成され、前後方向に沿って形成されている。第1側面部51、第2側面部52、外周被覆部53は、磁性体コア23を周回するように環状をなしている。このような構成のノイズフィルタ111であっても、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、図14に示すように、ノイズフィルタ111を固定するためのカラー部材81を、モールド部25の一部に設けても良い。カラー部材81は、例えば、円筒上の金属部材である。カラー部材81は、モールド部25の外周被覆部53から右側へ突出した部分に設けられ、上下方向に貫通した穴を構成している。この構成では、カラー部材81にネジ等の締結部材を挿入し固定することで、ノイズフィルタ111を金属製筐体3(図1参照)等に強固に固定できる。その結果、ノイズフィルタ111の耐振動性を向上できる。
また、例えば、図15に示すノイズフィルタ112のように、図14に示すノイズフィルタ111の構成において、磁性体コア23の下面をさらにモールド部25で覆う構成でも良い。ノイズフィルタ112は、磁性体コア23の約下半分をモールド部25で覆われた構成となっている。図15に示すように、第1側面部51及び第2側面部52は、磁性体コア23の端面45の約下半分をモールドしている。磁性体コア23の下面を覆う外周被覆部53において、前後方向の端部は、第1側面部51及び第2側面部52の各々に接続されている。また、内側樹脂部57は、導体21の上面を覆う位置から下方に形成されている。従って、内側樹脂部57は、挿入孔41の約下半分に充填されている。このような構成のノイズフィルタ111であっても、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、例えば、図16に示すノイズフィルタ113のように、第1側面部51と第2側面部52のそれぞれにネジ等を挿入する締結孔83を設けてもよい。ノイズフィルタ113の第1及び第2側面部51,52の各々には、上下方向に貫通する締結孔83が形成されている。これにより、第1及び第2側面部51,52の各々を、金属製筐体3等に固定できる。また、ノイズフィルタ113の第1及び第2側面部51,52は、略正方形の板状をなしている。第1及び第2側面部51,52の前後方向における厚みW1は、第1実施形態の厚みW1(図2参照)に比べて厚くなっている。従って、ノイズフィルタ113のモールド部25は、第1実施形態のモールド部25に比べて外側面積比ARが大きくなっている。このような構成のノイズフィルタ113であっても、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記各実施形態において、例えば、導体21は、1つに限らず、2以上の複数でも良い。例えば、1つの挿入孔41に複数の導体21を挿入しても良い。
また、例えば、図9に破線で示すように、第1側面部51と第2側面部52とを接続する角被覆部53Aに、スリット53Bを設けても良い。スリット53Bは、前後方向の幅を一定とし、磁性体コア23の周方向に沿って形成された隙間である。スリット53Bは、角被覆部53Aを前方側と後方側とに分断し、隙間から外周面42を露出させる。
また、磁性体コア23は、環状のコアに限らず、分割されたコアでも良い。例えば、図14に破線で示すように、磁性体コア23は、前後方向に沿って切り欠かれたギャップ23Aを備えても良い。ギャップ23Aは、いわゆるコアギャップであり、磁性体コア23の周方向に向かう磁路61(図5参照)において磁気抵抗として機能する。この場合、外周被覆部53は、ギャップ23A内に充填される構成でも良い。また、外周被覆部53は、ギャップ23Aの位置に合わせて形成され、ギャップ23Aの外側を覆う構成でも良い。これにより、ギャップ23Aにより磁性体コア23の磁気飽和を図りつつ、インダクタンス値の増大を図ることが可能となる。
また、磁性体コア23に対して引張応力64を付与する方法は、射出成形の射出圧力や、モールド部25の樹脂の収縮力に限らない。例えば、磁性体コア23をモールド部25でモールドする前に、気圧の低い室内に磁性体コア23を配置し、磁性体コア23を膨張させ、磁性体コア23に対し引張応力64を付与しても良い。そして、磁性体コア23に引張応力64を付与しインダクタンスの増大を図った後、モールド部25で磁性体コア23をモールドしても良い。この場合、インダクタンスの増大をモールド前に終了させることで、モールド部25を任意の形状とできる。例えば、事前にインダクタンスを増大させておけば、モールド部25は、外周面42の全面をモールドする形状(図7の比較例)でも良い。あるいは、挿入孔41内にバネ等の弾性部材を設置し、弾性力を利用して、磁性体コア23に引張応力64を付与しても良い。従って、磁性体コア23に引張応力64を付与する方法は、特に限定されない。
また、本開示に係るノイズ低減装置を具体化した実施形態について上記に説明したが、ノイズ低減装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
(イ)前記モールド部は、前記内側接触面積の大きさが、前記外側接触面積の大きさ以上となるように、前記磁性体コアの前記外周面を露出させる露出部を有するノイズ低減装置。これによれば、露出部により内側接触面積の大きさを外側接触面積の大きさ以上とすることで、ノイズ低減能力を向上できる。
(ハ)前記モールド部は、前記挿入孔に前記導体を挿入する挿入方向に沿って形成され、前記挿入方向に直交する平面で切断した断面形状が、前記外周面の半周に亘って形成されるノイズ低減装置。これによれば、外周面の半周に亘って外周面を露出し外側接触面積を減らすことで、ノイズ低減能力を向上できる。
1 ノイズフィルタ(ノイズ低減装置)、21 導体、23 磁性体コア、25 モールド部、41 挿入孔、42 外周面、43 内周面、45 端面、51 第1側面部、52 第2側面部、57 内側樹脂部、64 引張応力、AR 外側面積比。

Claims (6)

  1. 導体と、
    磁性材料により形成され、前記導体を挿入する挿入孔が形成された筒状をなす磁性体コアと、
    樹脂材料により形成され、前記導体及び前記磁性体コアの少なくとも一部をモールドするモールド部と、
    を備え、
    前記磁性体コアの前記挿入孔内に形成された内周面と前記モールド部との接触面積を内側接触面積とし、前記磁性体コアの外側に形成された筒状の外周面と前記モールド部との接触面積を外側接触面積とした場合に、前記内側接触面積の大きさが、前記外側接触面積の大きさ以上となる、ノイズ低減装置。
  2. 前記モールド部は、
    前記挿入孔内において前記導体と前記内周面との間に充填され、前記挿入孔に前記導体を挿入する挿入方向に延びる内側樹脂部と、
    前記挿入方向における前記内側樹脂部の一方側の端部に接続され、前記挿入方向の前記一方側の前記磁性体コアの端面を覆う第1側面部と、
    前記挿入方向における前記内側樹脂部の他方側の端部に接続され、前記挿入方向の前記他方側の前記磁性体コアの端面を覆う第2側面部と、
    を備える、請求項1に記載のノイズ低減装置。
  3. 導体と、
    磁性材料により形成され、前記導体を挿入する挿入孔が形成された筒状をなす磁性体コアと、
    樹脂材料により形成され、前記導体及び前記磁性体コアの少なくとも一部をモールドするモールド部と、
    を備え、
    前記磁性体コアの前記挿入孔内に形成された内周面と前記モールド部との接触面積を内側接触面積とし、前記磁性体コアの外側に形成された筒状の外周面と前記モールド部との接触面積を外側接触面積とした場合に、前記内側接触面積の大きさに対する前記外側接触面積の大きさの比率である外側面積比が所定の閾値以下であり、
    前記閾値は、前記磁性体コアのインピーダンスに基づいて設定された値である、ノイズ低減装置。
  4. 導体と、磁性材料により形成され前記導体を挿入する挿入孔が形成された筒状をなす磁性体コアと、を備えるノイズ低減装置の製造方法であって、
    筒状の前記磁性体コアに対し前記挿入孔の内側から外側に向かう応力を付与することで、前記導体に電流を流した場合に前記磁性体コアに発生する環状の磁路を広げる方向へ前記磁性体コアに引張応力を付与する外力付与工程を含む、ノイズ低減装置の製造方法。
  5. 前記ノイズ低減装置は、
    樹脂材料により形成され、前記導体及び前記磁性体コアの少なくとも一部をモールドするモールド部を備え、
    前記磁性体コアの前記挿入孔内に形成された内周面と前記モールド部との接触面積を内側接触面積とし、前記磁性体コアの外側に形成された筒状の外周面と前記モールド部との接触面積を外側接触面積とした場合に、前記外力付与工程において、前記内側接触面積の大きさが、前記外側接触面積の大きさ以上となるように前記モールド部を射出成形する、請求項4に記載のノイズ低減装置の製造方法。
  6. 前記ノイズ低減装置は、
    樹脂材料により形成され、前記導体及び前記磁性体コアの少なくとも一部をモールドするモールド部を備え、
    前記外力付与工程は、
    前記磁性体コアの前記挿入孔内に形成された内周面及び前記磁性体コアの外側に形成された筒状の外周面を覆う前記モールド部を、射出成形により成形する射出成形工程と、
    前記外周面を覆う前記モールド部の少なくとも一部を除去することで、前記磁路を広げる方向へ前記磁性体コアに引張応力を付与する樹脂除去工程と、
    を含む、請求項4に記載のノイズ低減装置の製造方法。
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