JP2019206984A - シール機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度の上昇時に必要なシール性能を発揮できる安価なシール機構を提供する。【解決手段】2つの部材の向かい合う対向面間に形成されたシール溝内に挿入されるシール機構は、第1シール部材と、第1シール部材と対向するように配置された第2シール部材と、第1シール部材と第2シール部材との間で少なくとも部分的に形成された空間内に配置されてシール機構の変形の核となる変形核部材であって、線膨張係数の異なる複数の材料のそれぞれから形成された複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されるとともに第1シール部材及び第2シール部材のそれぞれに固定された変形核部材とを備え、変形核部材は温度の上昇に伴って、シール溝の横断面における少なくとも1方向に収縮し、第1シール部材及び第2シール部材のそれぞれは、変形核部材の収縮に伴ってシール溝の内面又は対向面に当接する当接面を含む。【選択図】図3

Description

本開示は、シール機構に関する。
例えばコンプレッサーやガスタービン、蒸気タービンにおいて、内部流体の段間のリークや外部へのリークを防止するために、車室の水平フランジ面にシールプレートが設置される。しかし、通常は水平フランジ面及びシールプレートの組み立てに必要な公差が設けられているため、完全に流体のリークを防ぐことはできず、シールプレートの設置は主にリーク量の低減を目的としている。
特許文献1には、軸受部と軸受部に嵌合する軸とを備える軸受構造において、軸受部の少なくとも一部を、低温域から中温域にかけて負の熱膨張率を有するとともに中温域から高温域にかけて正の熱膨張率を有する熱膨張材料で構成すること、又は、軸の少なくとも一部を、低温域から中温域にかけて正の熱膨張率を有するとともに中温域から高温域にかけて負の熱膨張率を有する熱膨張材料で構成することが記載されている。この構成により、低温域において軸と軸受部との間の摩擦を抑制できるとともに高温域においてオイルの流出及び油膜切れを抑制することができる。
特開2008−309199号公報
しかしながら、特許文献1で使用される熱膨張材料として、逆ペロブスカイト構造を有するマンガン窒化物、タングステン酸ジルコニウム、シリコン酸化物等が挙げられており、このような材料は高価であるためシール機構が高コストになってしまうといった問題点があった。
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮できる安価なシール機構を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも1つの実施形態に係るシール機構は、
2つの部材の向かい合う対向面間に形成されたシール溝内に挿入されるシール機構であって、
前記シール機構は、
第1シール部材と、
前記第1シール部材と対向するように配置された第2シール部材と、
前記第1シール部材と前記第2シール部材との間で少なくとも部分的に形成された空間内に配置されて前記シール機構の変形の核となる変形核部材であって、線膨張係数の異なる複数の材料のそれぞれから形成された複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されるとともに前記第1シール部材及び前記第2シール部材のそれぞれに固定された変形核部材と
を備え、
前記変形核部材は温度の上昇に伴って、前記シール溝の横断面における少なくとも1方向に収縮し、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材のそれぞれは、前記変形核部材の収縮に伴って前記シール溝の内面又は前記対向面に当接する当接面を含む。
上記(1)の構成によると、変形核部材が温度の上昇に伴って収縮すると、その収縮に伴って第1シール部材及び第2シール部材のそれぞれに形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することにより、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮することができる。また、第1シール部材及び第2シール部材は温度の上昇時に耐え得る材料で形成することができ、変形核部材は、温度の上昇時に耐え得るとともに線膨張係数の異なる複数の材料から形成することができ、特別高価な材料を必要としないので、シール機構を安価に提供することができる。
(2)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1シール部材は、板状の第1部分及び板状の第2部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記第2シール部材は、前記第1部分に対向する板状の第3部分及び前記第2部分に対向する板状の第4部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記変形核部材は、前記第1部分及び前記第3部分のそれぞれに固定され、温度の上昇に伴って、前記第1部分及び前記第3部分間の距離が減少するように収縮し、
前記変形核部材の収縮に伴って、前記第1部分との接続部に対向する前記第2部分の縁部及び前記第3部分との接続部に対向する前記第4部分の縁部が前記シール溝の内面又は前記対向面に当接し、
前記当接面は、前記第2部分の前記縁部及び前記第4部分の前記縁部のそれぞれに形成されている。
上記(2)の構成によると、第1シール部材の第1部分及び第2シール部材の第3部分間の距離が減少するような変形核部材の収縮に伴って、第2部分の縁部及び第4部分の縁部のそれぞれに形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することによりシールが行われることから、温度の上昇前には、第2部分の縁部又は第4部分の縁部の少なくとも一方とシール溝の内面又は対向面との間にクリアランスを設けることができるので、シール機構の組み立てに必要な公差を十分に確保しても、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮することができる。
(3)いくつかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記変形核部材はさらに、温度の上昇に伴って、前記第2部分及び前記第4部分間の距離が増加するように膨張し、前記変形核部材の膨張に伴って、前記変形核部材に面する前記第2部分及び前記第4部分それぞれの内側表面とは反対側の外側表面のそれぞれが前記シール溝の内面又は前記対向面に当接し、
前記当接面はさらに、前記第2部分の前記外側表面及び前記第4部分の前記外側表面のそれぞれに形成されている。
上記(3)の構成によると、第2部分の縁部及び第4部分の縁部に形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することによりシールが行われるだけでなく、第1シール部材の第2部分及び第2シール部材の第4部分間の距離が増加するような変形核部材の膨張に伴って、第2部分及び第4部分それぞれの外側表面に形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することによってもシールが行われるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
(4)いくつかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記第2部分の前記外側表面及び前記第4部分の前記外側表面の少なくとも一方には、前記シール溝の内面又は前記対向面に対して凹んだ凹部が形成されている。
上記(4)の構成によると、第2部分の外側表面及び第4部分の外側表面の少なくとも一方に凹部を形成することにより、第2部分の外側表面及び第4部分の外側表面の少なくとも一方に形成された当接面のシール溝の内面又は対向面への当接圧力が高まるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
(5)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(4)のいずれかの構成において、
前記空間を密封する密封部材をさらに備える。
変形核部材は複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されているので、シール溝内に流入したガスが、変形核部材を通り抜けることによって、第1シール部材と第2シール部材との間に形成された空間を介してシール機構を通り抜けてしまい、ガスがリークするおそれがある。しかし、上記(5)の構成によると、密封部材によって空間が密封されているので、ガスがシール機構を通り抜けることを抑制し、ガスがリークするおそれを低減することができる。
(6)いくつかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記密封部材は、前記第1シール部材と前記第2シール部材と前記変形核部材とを内部に含むチューブ形状を有する。
上記(6)の構成によると、第1シール部材と第2シール部材と変形核部材とを内部に含むようなチューブ形状に密封部材を形成することにより、密封部材の設計を簡略にすることができる。
(7)いくつかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記密封部材は、前記第1シール部材及び前記第2シール部材と共に前記空間を密封する。
上記(7)の構成によると、第1シール部材と第2シール部材と変形核部材とを内部に含むようなチューブ形状に密封部材を形成する場合に比べて、密封部材を小さくできるので、密封部材のコストを低下することができる。
(8)いくつかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記変形核部材はさらに、前記第2部分及び前記第4部分のそれぞれに固定され、
前記変形核部材はさらに、温度の上昇に伴って前記第2部分及び前記第4部分間の距離が減少するように収縮して、前記第1部分が前記第4部分に当接するとともに前記第3部分が前記第2部分に当接する。
変形核部材は複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されているので、シール溝内に流入したガスが、変形核部材を通り抜けることによって、第1シール部材と第2シール部材との間に形成された空間を介してシール機構を通り抜けてしまい、ガスがリークするおそれがある。しかし、上記(8)の構成によると、変形核部材が温度の上昇に伴って第2部分及び第4部分間の距離が減少するように収縮して、第1部分が第4部分に当接するとともに第3部分が第2部分に当接することにより、空間を介してシール機構を通り抜けようとするガスをシールするので、ガスがシール機構を通り抜けることを抑制し、ガスがリークするおそれを低減することができる。
(9)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1シール部材は、板状の第1部分及び板状の第2部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記第2シール部材は、前記第1部分に対向する板状の第3部分及び前記第2部分に対向する板状の第4部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
前記変形核部材は、前記第1部分及び前記第3部分のそれぞれに固定され、温度の上昇に伴って、前記第1部分及び前記第3部分間の距離が減少するように収縮し、
前記シール溝の内面は、前記第2部分と鋭角の角度をなす当接内面部を含み、
前記第2部分は、前記変形核部材の収縮に伴って前記当接内面部に当接する第2当接面を含み、
前記第2当接面が前記当接内面部に当接することによって前記第1シール部材が前記第2シール部材を押して、前記第1部分が前記第4部分に当接するとともに前記第3部分が前記第2部分に当接し、前記第4部分の表面のうち前記変形核部材に面する内側表面とは反対側の外側表面が前記シール溝の内面に当接し、
前記当接面は、前記外側表面と、前記第3部分との接続部に対向する前記第4部分の縁部とのそれぞれに形成されている。
上記(9)の構成によると、第2当接面の当接内面部への当接と、第4部分の外側表面のシール溝の内面への当接と、第4部分の縁部のシール溝の内面又は対向面への当接とによりシールが行われるので、第2部分の縁部及び第4部分の縁部がシール溝の内面又は対向面に当接することによりシールが行われる構成(例えば、上記(2)の構成)に比べて、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
また、変形核部材は複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されているので、シール溝内に流入したガスが、変形核部材を通り抜けることによって、第1シール部材と第2シール部材との間に形成された空間を介してシール機構を通り抜けてしまい、ガスがリークするおそれがある。しかし、上記(9)の構成によると、第2当接面が当接内面部に当接することによって第1シール部材が第2シール部材を押して、第1部分が第4部分に当接するとともに第3部分が第2部分に当接することにより、空間を介してシール機構を通り抜けようとするガスをシールするので、ガスがシール機構を通り抜けることを抑制し、ガスがリークするおそれを低減することができる。
(10)いくつかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記第4部分の前記外側表面には、前記シール溝の内面に対して凹んだ凹部が形成されている。
上記(10)の構成によると、第4部分の外側表面に凹部を形成することにより、第4部分の外側表面に形成された当接面のシール溝の内面への当接圧力が高まるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、変形核部材が温度の上昇に伴って収縮すると、その収縮に伴って第1シール部材及び第2シール部材のそれぞれに形成された当接面がシール溝の内面又は対向面に当接することにより、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮することができる。また、第1シール部材及び第2シール部材は温度の上昇時に耐え得る材料で形成することができ、変形核部材は、温度の上昇時に耐え得るとともに線膨張係数の異なる複数の材料から形成することができ、特別高価な材料を必要としないので、シール機構を安価に提供することができる。
本開示の実施形態1に係るシール機構の断面図である。 メタマテリアルの構成の一例を示す図である。 本開示の実施形態1に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態1に係るシール機構の変形例1の断面図である。 本開示の実施形態1に係るシール機構の変形例2の断面図である。 本開示の実施形態1に係るシール機構の変形例3の断面図である。 本開示の実施形態2に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態2に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態2に係るシール機構の変形例の断面図である。 本開示の実施形態3に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態3に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態4に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態4に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態5に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態5に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態6に係るシール機構の断面図である。 本開示の実施形態6に係るシール機構の断面図である。
以下、図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
(実施形態1)
図1に示されるように、本開示の実施形態1に係るシール機構10は、コンプレッサーやガスタービン、蒸気タービン等の装置に含まれる2つの部材、すなわち上フランジ1及び下フランジ2の向かい合う対向面1a,2a間に形成されたシール溝3内に挿入されている。シール溝3は、対向面1aに形成された溝部3aと、対向面2aに形成された溝部3bとが互いに向かい合うようにして構成されている。装置が稼働しているときに、対向面1a,2a間には、わずかな隙間4が形成される。
シール機構10は、第1シール部材11と、第1シール部材11と対向するように配置された第2シール部材12と、板形状の変形核部材13とを備えている。第1シール部材11は、板状の第1部分15及び板状の第2部分16が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有している。第2シール部材12は、第1部分15に対向する板状の第3部分17及び第2部分16に対向する板状の第4部分18が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有している。変形核部材13は、後述する原理でシール機構10が変形する際の変形の核となる部材である。
尚、本開示において、「板形状」とは、矩形の外形を有する板形状だけを意味するのではなく、任意の外形を有する板形状を意味することとする。例えば、シール機構10が回転シャフトの周方向に沿って設けられる場合には、回転シャフトが挿入可能な孔が形成された円板形状も、この「板形状」に含まれる。
第1部分15と第2部分16と第3部分17と第4部分18とはそれぞれ、変形核部材13に面する内側表面15a,16a,17a,18aを含み、内側表面15a,16a,17a,18aは、第1シール部材11と第2シール部材12との間に空間14を画定している。変形核部材13は、空間14内に配置され、第1部分15の内側表面15a及び第3部分17の内側表面17aのそれぞれに固定されている。変形核部材13と内側表面15a及び17aとは溶接によって固定してもよいし、第1シール部材11と第2シール部材12と変形核部材13とを3次元積層造形等で一体的に形成してもよい。
図1では、変形核部材13と内側表面16a及び18aとの間のそれぞれに隙間が形成されているが、変形核部材13と内側表面16a及び18aとがそれぞれ互いに接触してもよい。変形核部材13と内側表面16a及び18aとがそれぞれ互いに接触している場合には、両者を固定してもよい。
第1シール部材11及び第2シール部材12はそれぞれ、温度の上昇時に耐え得る材料、例えば、ステンレス鋼等の一般的な金属で形成することができる。変形核部材13は、温度の上昇時に耐え得る線膨張係数の異なる複数の材料(例えば、ステンレス鋼及びアルミ)のそれぞれから形成された複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されている。変形核部材13を形成するこのような材料を、本開示ではメタマテリアルと称する。
図2に、メタマテリアルの構造の一例を示す。メタマテリアル20は、複数の棒状部材及び板状部材から形成されたベース21,22,23と、各ベース21,22,23間をつなぐ複数の棒状部材から形成されたビーム24とを互いに組み合わせて構成されている。ベース21,22,23を形成する材料と、ビーム24を形成する材料とは、互いに線膨張係数の異なる材料であり、例えば前者の材料の線膨張係数が後者の材料の線膨張係数よりも大きくなるような2つの材料を用いることができる。また、ベース21,22,23のそれぞれを、線膨張係数の異なる材料で形成するとともにビーム24のそれぞれを線膨張係数の異なる材料のそれぞれで形成してもよい。すなわち、線膨張係数の異なる3つ以上の材料でメタマテリアル20を構成することもできる。
メタマテリアル20は、使用する材料の種類を変更することや、ベース21,22,23の厚さや形状、ビーム24の太さや長さ等を調節することにより、温度による変形の方向及び変形量を調節することができる。例えば、メタマテリアル20は、温度の上昇に伴い、1方向に収縮するとともに他方向に膨張したり、異なる2方向以上の膨張・収縮を調整できる。この実施形態1では、適当なメタマテリアル20を用いることにより、図1に示されるように、変形核部材13は、温度の上昇に伴って、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向に収縮するように構成されている。
図3に示されるように、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に変形核部材13が収縮すると、対向面1a及び2aと交差する方向に、すなわち対向面1a及び2aに対して垂直な方向に第1シール部材11及び第2シール部材12が互いに対する相対移動を行うことにより、第2部分16及び第4部分18のそれぞれが、シール溝3の内面に当接する。第2部分16は、第1部分15との接続部16bに対向する縁部16cに当接面19が形成されており、縁部16cに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する。一方、第4部分18は、第3部分17との接続部18bに対向する縁部18cに当接面19が形成されており、縁部18cに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する。
第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接した状態で、隙間4を(矢印Bの方向に)流通するガスがシール溝3内に流入すると、シール溝3内において各当接面19がシール溝3の内面に当接する部分と変形核部材13とがガスの流れをシールするので、ガスのシール機構10の通り抜けが抑制される。
このように、変形核部材13が温度の上昇に伴って収縮すると、その収縮に伴って第1シール部材11及び第2シール部材12のそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接することにより、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮することができる。また、第1シール部材11及び第2シール部材12は温度の上昇時に耐え得る材料で形成することができ、変形核部材13は、温度の上昇時に耐え得るとともに線膨張係数の異なる複数の材料から形成することができ、特別高価な材料を必要としないので、シール機構10を安価に提供することができる。
また、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少するような変形核部材13の収縮に伴って、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接することによりシールが行われることから、温度の上昇前には、図1に示されるように、第2部分16の縁部16c又は第4部分18の縁部18cの少なくとも一方とシール溝3の内面との間にクリアランス5を設けることができるので、シール機構10の組み立てに必要な公差を十分に確保しても、温度の上昇時に必要なシール性能を発揮することができる。
実施形態1では、シール溝3は、対向面1aに形成された溝部3aと、対向面2aに形成された溝部3bとが互いに向かい合うようにして構成され、第1シール部材11及び第2シール部材12はそれぞれ、略L字状の断面形状を有する形態であり、変形核部材13は板状であったが、これらの形態に限定するものではない。以下に、実施形態1の変形例1〜3を説明する。尚、以下の変形例1〜3のそれぞれにおいて、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
(変形例1)
図4に示されるように、実施形態1の変形例1に係るシール機構10は、対向面2aに形成された溝部3bのみから構成されるシール溝3内に設けられている。すなわち、対向面1aには溝部は形成されていない。その他の構成は実施形態1と同じである。
変形例1では、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に変形核部材13が収縮すると、第1シール部材11及び第2シール部材12が互いに対する相対移動を行うことにより、第2部分16の縁部16cに形成された当接面19が対向面1aに当接し、第4部分18の縁部18cに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する。隙間4を(矢印Bの方向に)流通するガスは、第2部分16の縁部16cに形成された当接面19が対向面1aに当接する部分によってシールされ、隙間4を流通するガスがシール溝3内に流入した場合に、シール溝3内において、第4部分18の縁部18cに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する部分と変形核部材13とがガスの流れをシールするので、ガスのシール機構10の通り抜けが抑制される。
尚、対向面1aに形成された溝部3aのみからシール溝3が構成される形態であってもよい。この場合は、温度の上昇に伴って変形核部材13が収縮すると、第2部分16の縁部16cに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接し、第4部分18の縁部18cに形成された当接面19が対向面2aに当接する。
(変形例2)
実施形態1では、第2部分16及び第4部分18のそれぞれが、対向面1a及び2aと交差するように、すなわち対向面1a及び2aに対して垂直となるように、シール溝3内に第1シール部材11及び第2シール部材12が設けられていたのに対し、実施形態1の変形例2に係るシール機構10では、図5に示されるように、第1部分15及び第3部分17のそれぞれが、対向面1a及び2aと交差するように、すなわち対向面1a及び2aに対して垂直となるように、シール溝3内に第1シール部材11及び第2シール部材12が設けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
変形例2では、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に変形核部材13が収縮すると、第1シール部材11及び第2シール部材12が互いに対する相対移動を行うことにより、第2部分16の縁部16cに形成された当接面19及び第4部分18の縁部18cに形成された当接面19がそれぞれシール溝3の内面に当接する。隙間4を(矢印Bの方向に)流通するガスがシール溝3内に流入すると、シール溝3内において各当接面19がシール溝3の内面に当接する部分と変形核部材13とがガスの流れをシールするので、ガスのシール機構10の通り抜けが抑制される。
(変形例3)
図6に示されるように、実施形態1の変形例3に係るシール機構10は、板状の第1シール部材11と、板状の第2シール部材12と、変形核部材13とを備えている。変形核部材13は、第1シール部材11と第2シール部材12との間において第1シール部材11の内側表面11aと第2シール部材12の内側表面12aとによって画定された空間14内に配置されている。変形核部材13は、内側表面11aに向かって突出する突出部13aと、内側表面12aに向かって突出する突出部13bとを有しており、突出部13a及び13bがそれぞれ内側表面11a及び12aに固定されている。その他の構成は実施形態1と同じである。
変形例3では、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において突出部13a及び13b間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に変形核部材13が収縮すると、第1シール部材11及び第2シール部材12が互いに対する相対移動を行うことにより、第1シール部材11の縁部11cに形成された当接面19及び第2シール部材12の縁部12cに形成された当接面19がそれぞれシール溝3の内面に当接する。隙間4を(矢印Bの方向に)流通するガスがシール溝3内に流入すると、シール溝3内において各当接面19がシール溝3の内面に当接する部分と変形核部材13とがガスの流れをシールするので、ガスのシール機構10の通り抜けが抑制される。
変形例1のシール溝3内に変形例2のシール機構10を設けることもできるし、変形例1のシール溝3内に変形例3のシール機構10を設けることもできる。尚、以下で説明する実施形態2〜6のそれぞれにおいて、特に言及する場合を除いて、実施形態1は、実施形態1の変形例1〜3のそれぞれと、変形例1及び変形例2の組み合わせと、変形例1及び変形例3の組み合わせとを含むものとする。
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るシール機構について説明する。実施形態2に係るシール機構は、実施形態1に対して、温度上昇時の変形核部材13の変形形態を変更したものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7に示されるように、本開示の実施形態2に係るシール機構10では、変形核部材13は、第2部分16の内側表面16a及び第4部分18の内側表面18aに接しているが、第2部分16の内側表面16a及び第4部分18の内側表面18aに固定してもよい。変形核部材13は、適当なメタマテリアルを用いることにより、温度の上昇に伴って、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に収縮するとともに第2部分16及び第4部分18間の距離が増加する方向(矢印Cの方向)に膨張するように構成されている。その他の構成は実施形態1と同じである。
図8に示されるように、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に変形核部材13が収縮すると、実施形態1と同様の原理で、第2部分16の縁部16cに形成された当接面19及び第4部分18の縁部18cに形成された当接面19がそれぞれシール溝3の内面に当接する。
また、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第2部分16及び第4部分18間の距離が増加する方向(矢印Cの方向)に変形核部材13が膨張すると、対向面1a及び2aに沿った方向に第1シール部材11及び第2シール部材12が互いに対する相対移動を行うことにより、第2部分16及び第4部分18のそれぞれが、シール溝3の内面に当接する。第2部分16には、内側表面16aとは反対側の外側表面16dにも当接面19が形成されており、外側表面16dに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する。一方、第4部分18には、内側表面18aとは反対側の外側表面18dにも当接面19が形成されており、外側表面18dに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する。
第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19と、第2部分16の外側表面16d及び第4部分18の外側表面18dのそれぞれに形成された当接面19とがシール溝3の内面に当接した状態で、隙間4を(矢印Bの方向に)流通するガスがシール溝3内に流入すると、シール溝3内において各当接面19がシール溝3の内面に当接する部分と変形核部材13とがガスの流れをシールするので、ガスのシール機構10の通り抜けが抑制される。
このように、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接することによりシールが行われるだけでなく、第2部分16及び第4部分18間の距離が増加するような変形核部材13の膨張に伴って、第2部分16及び第4部分18それぞれの外側表面16d及び18dに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接することによってもシールが行われるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
実施形態2では、図9に示されるように、外側表面16d及び18dのそれぞれに、シール溝3の内面に対して凹んだ凹部30を形成してもよい。外側表面16d及び18dに凹部30を形成することにより、外側表面16d及び18dのそれぞれに形成された当接面19のシール溝3の内面への当接圧力が高まるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。尚、図9では、外側表面16d及び18dのそれぞれに凹部30が形成されているが、外側表面16d及び18dのいずれか一方のみに凹部30を形成してもよい。また、外側表面16d又は18dの少なくとも一方に複数の凹部30を形成してもよい。
(実施形態3)
次に、実施形態3に係るシール機構について説明する。実施形態3に係るシール機構は、実施形態1及び2のそれぞれに対して、空間14を密封する密封部材を付加したものである。以下では、実施形態1の構成に密封部材を付加した構成で実施形態3を説明するが、実施形態2の構成に密封部材を付加することによって実施形態3を構成してもよい。尚、実施形態3において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10に示されるように、本開示の実施形態3に係るシール機構10は、第1シール部材11と第2シール部材12と変形核部材13とを内部に含むようにチューブ形状に構成された密封部材40をさらに備えている。密封部材40は、温度の上昇時に耐え得るとともに密封部材40内の変形核部材13が昇温可能なように断熱効果の小さい材料で形成され、第1シール部材11及び第2シール部材12の互いに対する相対移動時に変形可能となるように薄肉状に形成され、さらに、密封部材40の内部と外部との間のガスの出入りを遮断するように形成される必要がある。したがって、密封部材40は例えば、温度の上昇時に耐え得る金属を用いて薄肉チューブ状に形成することができる。その他の構成は実施形態1と同じである。
実施形態1では、図3に示されるように、隙間4を(矢印Bの方向に)流通するガスは、シール溝3内に流入すると、第2部分16と第3部分17との間の隙間を介して空間14内に流入する。変形核部材13を形成するメタマテリアル20として、図2参照に記載されるように、複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成したものを使用すると、メタマテリアル20の内部に微細な空隙が存在するため、空間14内に流入したガスは、変形核部材13を通り抜け、第1部分15と第4部分18との間の隙間を介して空間14から流出することによって、シール機構10を通り抜けてしまい、ガスがリークするおそれがある。
しかし、実施形態3では図11に示されるように、シール機構10の温度が上昇すると、密封部材40の内部で実施形態1と同様の原理で、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19が密封部材40を間に挟むようにしてシール溝3の内面に当接する。密封部材40によって、シール溝3内のガスが空間14内に流入できないので、ガスがシール機構10を通り抜けることがない。シール機構10は、上述したように、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19が密封部材40を間に挟むようにしてシール溝3の内面に当接することによってガスをシールしているので、ガスがリークするおそれを低減することができる。
実施形態3では、密封部材40はチューブ形状を有していたが、後述する実施形態4の形態等のように様々な形状が可能である。しかし、実施形態3のように、第1シール部材11と第2シール部材12と変形核部材13とを内部に含むようなチューブ形状に密封部材40を形成すると、密封部材40の設計を簡略にすることができる。
(実施形態4)
次に、実施形態4に係るシール機構について説明する。実施形態4に係るシール機構は、実施形態3に対して、密封部材40の形状を変更したものである。尚、実施形態4において、実施形態3の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12に示されるように、本開示の実施形態4に係るシール機構10は、第2部分16と第3部分17との間の隙間41を覆うように第2部分16の縁部16c及び第3部分17の外側表面17dに接続された密封部材40と、第1部分15と第4部分18との間の隙間42を覆うように第1部分15の外側表面15d及び第4部分18の縁部18cに接続された密封部材40とをさらに備えている。密封部材40は、第1シール部材11及び第2シール部材12と共に空間14を密封することが可能である。密封部材40は、実施形態3と同様に、温度の上昇時に耐え得る金属を用いて薄肉状に形成することができる。その他の構成は実施形態3と同じである。
図13に示されるように、シール機構10の温度が上昇すると、実施形態1と同様の原理で、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する。密封部材40によって、シール溝3内のガスが隙間41を介して空間14内に流入できず、空間14内のガスが隙間42を介して空間から流出できないので、ガスがシール機構10を通り抜けることがない。シール機構10は、上述したように、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接することによってガスをシールしているので、ガスがリークするおそれを低減することができる。
尚、密封部材40は、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する際に、当接面19とシール溝3の内面との間に位置しないように、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに接続することが好ましい。当接面19とシール溝3の内面との間に密封部材40が存在するようにして当接面19がシール溝3の内面に当接すると、シール性能を低下させるおそれがあるが、当接面19がシール溝3の内面に直接当接するようにすることにより、シール性能の低下を抑制することができる。
実施形態4における密封部材40は、隙間41及び42のそれぞれを覆うような部分にのみ設けられているので、第1シール部材11と第2シール部材12と変形核部材13とを内部に含むようなチューブ形状の場合(実施形態3)に比べて、密封部材40を小さくできるので、密封部材40のコストを低下することができる。
(実施形態5)
次に、実施形態5に係るシール機構について説明する。実施形態5に係るシール機構は、実施形態1に対して、温度上昇時の変形核部材13の変形形態を変更したものである。尚、実施形態5において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図14に示されるように、本開示の実施形態5に係るシール機構10では、変形核部材13は、第1部分15の内側表面15a及び第3部分17の内側表面17aだけでなく、第2部分16の内側表面16a及び第4部分18の内側表面18aにも固定されている。変形核部材13は、適当なメタマテリアルを用いることにより、温度の上昇に伴って、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に収縮するとともに第2部分16及び第4部分18間の距離が減少する方向(矢印Dの方向)に収縮するように構成されている。その他の構成は実施形態1と同じである。
図15に示されるように、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に変形核部材13が収縮すると、実施形態1と同様の原理で、第2部分16の縁部16cに形成された当接面19及び第4部分18の縁部18cに形成された当接面19がそれぞれシール溝3の内面に当接する。
また、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第2部分16及び第4部分18間の距離が減少する方向(矢印Dの方向)に変形核部材13が収縮すると、対向面1a及び2aに沿った方向に第1シール部材11及び第2シール部材12が互いに対する相対移動を行うことにより、第1部分15の縁部15cが第4部分18の内側表面18aに当接することで隙間42(図14参照)が消滅し、第3部分17の縁部17cが第2部分16の内側表面16aに当接することで隙間41(図14参照)が消滅する。
隙間4を(矢印Bの方向に)流通するガスがシール溝3内に流入すると、隙間41及び42が消滅しているので、ガスが空間14(図1参照)に流入できず、したがって、ガスが変形核部材13を通り抜けることで空間14を介してシール機構10を通り抜けることができない。シール機構10は、上述したように、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接することによってガスをシールしているので、ガスがリークするおそれを低減することができる。
(実施形態6)
次に、実施形態6に係るシール機構について説明する。実施形態6に係るシール機構は、実施形態1に対して、第1シール部材11及びシール溝3の内面の形態を変更したものである。尚、実施形態6において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図16に示されるように、実施形態6では、シール溝3の内面は、シール溝3を構成する溝部3aに、シール溝3の横断面において第2部分16が延びる方向と鋭角の角度をなす当接内面部50を含んでいる。第2部分16には、縁部16cから外側表面16dまで延びる第2当接面51を有している。シール溝3の横断面において、第2当接面51と第2部分16が延びる方向とがなす角度は、当接内面部50と第2部分16が延びる方向とがなす角度と等しい。したがって、第2当接面51は当接内面部50に当接可能になっている。実施形態6において必須の構成ではないが、第4部分18の外側表面18dに、シール溝3の内面に対して凹んだ凹部30を形成してもよい。その他の構成は実施形態1(変形例3を除く)と同じである。
図17に示されるように、シール機構10の温度が上昇し、シール溝3の横断面において第1部分15及び第3部分17間の距離が減少する方向(矢印Aの方向)に変形核部材13が収縮すると、対向面1a及び2aと交差する方向に、すなわち対向面1a及び2aに対して垂直な方向に第1シール部材11及び第2シール部材12が互いに対する相対移動を行う。第1シール部材11は、第2当接面51が当接内面部50に当接しながら移動するため、第2当接面51が当接内面部50に対して加えるEの反力によって第1シール部材11は第2シール部材12に向かう方向にも移動する。
第2当接面51が当接内面部50に当接しながら第1シール部材11が移動するにつれて、第1シール部材11が第2シール部材12に当接し、すなわち、第1部分15の縁部15cが第4部分18の内側表面18aに当接するとともに第2部分16の内側表面16aが第3部分17の縁部17cに当接する。第2当接面51が当接内面部50に当接しながら第1シール部材11がさらに移動すると、第1シール部材11が第2シール部材12を対向面1a,2aに沿った方向に押すようになり、第2シール部材12は、第4部分18の外側表面18dに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接するまで移動する。また、第2シール部材12は、実施形態1と同じ原理で、第4部分18の縁部18cに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接するまで移動する。
この状態では、第2当接面51が当接内面部50に当接し、第4部分18の外側表面18dに形成された当接面19と第4部分18の縁部18cに形成された当接面19とのそれぞれがシール溝3の内面に当接することにより、隙間4を(矢印Bの方向に)流通してシール溝3内に流入したガスをシールする。このため、第2部分16の縁部16c及び第4部分18の縁部18cのそれぞれに形成された当接面19がシール溝3の内面に当接する実施形態1に比べて、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
さらに、第1部分15の縁部15cが第4部分18の内側表面18aに当接するとともに第2部分16の内側表面16aが第3部分17の縁部17cに当接することにより、シール溝3内のガスが空間14内に流入できない。このため、空間14を介してシール機構10を通り抜けようとするガスをシールするので、ガスがシール機構10を通り抜けることを抑制し、ガスがリークするおそれを低減することができる。
実施形態6において、第4部分18の外側表面18dに凹部30を形成している場合には、第4部分18の外側表面18dに形成された当接面19のシール溝3の内面への当接圧力が高まるので、温度の上昇時に必要なシール性能を向上することができる。
実施形態6では、当接内面部50を溝部3aに形成しているが、溝部3bに形成してもよい。この場合には、第2当接面51が当接内面部50に面するようにシール機構10の向きを調節して、シール溝3内にシール機構10を設ければよい。
1 上フランジ(部材)
1a (上フランジの)対向面
2 下フランジ(部材)
2a (下フランジの)対向面
3 シール溝
3a 溝部
3b 溝部
4 隙間
5 クリアランス
10 シール機構
11 第1シール部材
11a (第1シール部材の)内側表面
11c (第1シール部材の)縁部
12 第2シール部材
12a (第2シール部材の)内側表面
12c (第2シール部材の)縁部
13 変形核部材
13a 突出部
13b 突出部
14 空間
15 第1部分
15a (第1部分の)内側表面
15c (第1部分の)縁部
15d (第1部分の)外側表面
16 第2部分
16a (第2部分の)内側表面
16b (第2部分の)接続部
16c (第2部分の)縁部
16d (第2部分の)外側表面
17 第3部分
17a (第3部分の)内側表面
17c (第3部分の)縁部
17d (第3部分の)外側表面
18 第4部分
18a (第4部分の)内側表面
18b (第4部分の)接続部
18c (第4部分の)縁部
18d (第4部分の)外側表面
19 当接面
20 メタマテリアル
21 ベース
22 ベース
23 ベース
24 ビーム
30 凹部
40 密封部材
41 隙間
42 隙間
50 当接内面部
51 第2当接面

Claims (10)

  1. 2つの部材の向かい合う対向面間に形成されたシール溝内に挿入されるシール機構であって、
    前記シール機構は、
    第1シール部材と、
    前記第1シール部材と対向するように配置された第2シール部材と、
    前記第1シール部材と前記第2シール部材との間で少なくとも部分的に形成された空間内に配置されて前記シール機構の変形の核となる変形核部材であって、線膨張係数の異なる複数の材料のそれぞれから形成された複数の棒状部材及び板状部材を組み合わせて構成されるとともに前記第1シール部材及び前記第2シール部材のそれぞれに固定された変形核部材と
    を備え、
    前記変形核部材は温度の上昇に伴って、前記シール溝の横断面における少なくとも1方向に収縮し、
    前記第1シール部材及び前記第2シール部材のそれぞれは、前記変形核部材の収縮に伴って前記シール溝の内面又は前記対向面に当接する当接面を含むシール機構。
  2. 前記第1シール部材は、板状の第1部分及び板状の第2部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
    前記第2シール部材は、前記第1部分に対向する板状の第3部分及び前記第2部分に対向する板状の第4部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
    前記変形核部材は、前記第1部分及び前記第3部分のそれぞれに固定され、温度の上昇に伴って、前記第1部分及び前記第3部分間の距離が減少するように収縮し、
    前記変形核部材の収縮に伴って、前記第1部分との接続部に対向する前記第2部分の縁部及び前記第3部分との接続部に対向する前記第4部分の縁部が前記シール溝の内面又は前記対向面に当接し、
    前記当接面は、前記第2部分の前記縁部及び前記第4部分の前記縁部のそれぞれに形成されている、請求項1に記載のシール機構。
  3. 前記変形核部材はさらに、温度の上昇に伴って、前記第2部分及び前記第4部分間の距離が増加するように膨張し、前記変形核部材の膨張に伴って、前記変形核部材に面する前記第2部分及び前記第4部分それぞれの内側表面とは反対側の外側表面のそれぞれが前記シール溝の内面又は前記対向面に当接し、
    前記当接面はさらに、前記第2部分の前記外側表面及び前記第4部分の前記外側表面のそれぞれに形成されている、請求項2に記載のシール機構。
  4. 前記第2部分の前記外側表面及び前記第4部分の前記外側表面の少なくとも一方には、前記シール溝の内面又は前記対向面に対して凹んだ凹部が形成されている、請求項3に記載のシール機構。
  5. 前記空間を密封する密封部材をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール機構。
  6. 前記密封部材は、前記第1シール部材と前記第2シール部材と前記変形核部材とを内部に含むチューブ形状を有する、請求項5に記載のシール機構。
  7. 前記密封部材は、前記第1シール部材及び前記第2シール部材と共に前記空間を密封する、請求項5に記載のシール機構。
  8. 前記変形核部材はさらに、前記第2部分及び前記第4部分のそれぞれに固定され、
    前記変形核部材はさらに、温度の上昇に伴って前記第2部分及び前記第4部分間の距離が減少するように収縮して、前記第1部分が前記第4部分に当接するとともに前記第3部分が前記第2部分に当接する、請求項2に記載のシール機構。
  9. 前記第1シール部材は、板状の第1部分及び板状の第2部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
    前記第2シール部材は、前記第1部分に対向する板状の第3部分及び前記第2部分に対向する板状の第4部分が互いに接続されて構成された略L字状の断面形状を有し、
    前記変形核部材は、前記第1部分及び前記第3部分のそれぞれに固定され、温度の上昇に伴って、前記第1部分及び前記第3部分間の距離が減少するように収縮し、
    前記シール溝の内面は、前記第2部分と鋭角の角度をなす当接内面部を含み、
    前記第2部分は、前記変形核部材の収縮に伴って前記当接内面部に当接する第2当接面を含み、
    前記第2当接面が前記当接内面部に当接することによって前記第1シール部材が前記第2シール部材を押して、前記第1部分が前記第4部分に当接するとともに前記第3部分が前記第2部分に当接し、前記第4部分の表面のうち前記変形核部材に面する内側表面とは反対側の外側表面が前記シール溝の内面に当接し、
    前記当接面は、前記外側表面と、前記第3部分との接続部に対向する前記第4部分の縁部とのそれぞれに形成されている、請求項1に記載のシール機構。
  10. 前記第4部分の前記外側表面には、前記シール溝の内面に対して凹んだ凹部が形成されている、請求項9に記載のシール機構。
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