JP2019206974A - ガスケット - Google Patents

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貴仁 中川
Takahito Nakagawa
貴仁 中川
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Abstract

【課題】溝に対するガスケットの良好な装着性を維持すること。【解決手段】ガスケット101は、シール対象である二つの部材、例えばハウジング11と部品21とのうちの一方(本例では部品21)に設けた溝23に、根元部分BPの基部102を嵌め込み、先端部分EPに設けたリップ103をハウジング11の内壁12に密接させて、ハウジング11と部品21との間をシールする。ハウジング11と部品21との間のクリアランスが過剰に狭まってガスケット101が過圧縮状態になったとき、座屈を防止できるように基部102に突部111を設ける。基部102の溝幅方向の厚みは、溝23に遊びをもって嵌め込み得る厚みに設定し、突部111の領域でのみ溝幅以上の厚みに設定する。突部111は、基部102の高さ方向複数段に分割して設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスケットに関する。
互いに対面する二つの部材をガスケットによってシールする構造として、一方の部材に設けた溝にガスケットを嵌め込み、ガスケットの先端側のリップをもう一方の部材に押し当ててシールするようにしたものがある。
例えば特許文献1には、一対のハウジング(20)の接合面の一方に取付溝(21)を設けておき、取付溝にゴム状弾性材製のガスケット(1,50)を嵌め込んだシール構造が記載されている。二つのハウジングの間でガスケットは弾性変形し、シール機能を発揮する。
特許文献1に記載されたガスケットは、その幅を溝の幅よりも小さく設定した上で、両側面に倒防止凸部(4)を等間隔で設けている(文献1の段落[0005][0022]参照)。倒防止凸部は、圧縮されたガスケットに「異常な着座状態」が生ずるのを防止する(文献1の段落[0008]参照)。
特許文献1に記載されたガスケットでは、倒防止凸部(4)に、小突起部(8)を半球状に突出形成している。小突起部間の寸法は取付溝の幅よりも大きくされる一方で(文献1の段落[0024][0025]参照)、倒防止凸部自体の幅は、取付溝の幅よりも狭くされている(文献1の図7参照)。ガスケットが取付溝に嵌め込まれた際、小突起は取付溝の側壁に圧接し、ガスケットの脱落を抑制する(文献1の段落[0029]参照)。
特開平10−009395号公報
ガスケットによってシールしている二つの部材の間のクリアランスは、動的に変化することがある。例えばクリアランスが小さくなりすぎることがあり、この場合にはガスケットは過圧縮状態になり、根元部分に大きな荷重を受ける。このときガスケットは限界点、つまり座屈荷重を越えると折れ、シール性能を劣化させてしまう。
そこで特許文献1に記載されているように、ガスケットの両側面に、間隔をおいて等間隔に倒防止凸部を配置することが考えられる。ところがこの場合には、溝に対するガスケットの装着性が損なわれる(文献1の段落[0009]参照)。この点特許文献1は、倒防止凸部の幅を溝の幅よりも狭くした上で、ガスケットの脱落を防止する小突起部を倒防止凸部に設けている(文献1の段落[0034]参照)。このような構造を採用することによって、倒防止凸部の幅を溝の幅と同等か、それよりも大きくした場合に比べると、溝に対するガスケットの装着性が向上するものと推察される。
それでも倒防止凸部の幅と溝の幅とは大きく相違するわけではないため(文献1の図7参照)、溝に対するガスケットの装着性については、さらなる改善が望まれる。
本発明の課題は、溝に対するガスケットの良好な装着性を維持することである。
本発明のガスケットは、互いに対面する二つの部材の一方に設けられた溝に根元部分が嵌め込まれ、先端部分がもう一方の部材に弾性変形して密接することによって前記二つの部材をシールするガスケット本体と、前記根元部分の両側面に、間隔を空けて高さ方向複数段に突出して設けられた突部と、を備えることによって上記課題を解決する。
本発明によれば、シール対象である二つの部材の間のクリアランスが小さくなりすぎてガスケットが過圧縮状態になったとき、ガスケットの座屈に対して抑止力を生じさせる突部を高さ方向に分割したので、溝に対するガスケットの良好な装着性を維持することができる。
第1の実施の一形態を示す(a)は部品の溝に装着されたガスケットがハウジングに密接している状態の縦断正面図、(b)は二つの部材が近接したときの縦断正面図。 シール対象となるハウジングと部品とを示す縦断正面図。 ガスケットの側面図。 (a)は図3中のA−A線断面図、(b)は図3中のB−B線断面図。 部品の溝にガスケットの基部を嵌め込んだ状態の水平断面図。 第1の実施の形態の別の構成例を示す(a)は突部が設けられていない領域のガスケットの縦断正面図、(b)は突部が設けられている領域のガスケットの縦断正面図。 第2の実施の形態を示すガスケットの側面図。 (a)は図7中のA−A線断面図、(b)は図7中のB−B線断面図。 第2の実施の形態の別の構成例を示す(a)は突部が設けられていない領域のガスケットの縦断正面図、(b)は突部が設けられている領域のガスケットの縦断正面図。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態を図1ないし図5に基づいて説明する。
図1(a)(b)に示すように、本実施の形態は、互いに対面する二つの部材であるハウジング11と部品21との間の対面領域をガスケット101でシールする構造への適用例である。ガスケット101は、ゴム状弾性材料によって成形された一体成形品であり、弾性変形によってハウジング11と部品21との間をシールする。
図2に示すように、部品21には一対の溝壁22が平行に突出形成されている。これらの溝壁22の間の部分には、溝23が形成されている(図5も参照)。ガスケット101は、溝23に嵌め込まれて保持される。
部品21は、例えばアルミダイキャストによる成形品であり、その製造時に溝壁22を一体に成型している。このような部品21は、例えば樹脂製のハウジング11に設けられた図示しない収納部に収納される。一例として、部品21は溝壁22の長手方向に沿って収納部に出し入れされ、このときガスケット101は、ハウジング11の内壁12との間を摺動する。
図3及び図4(a)(b)に示すように、ガスケット101は、根元部分BPを基部102とし、基部102から二股に分かれた先端部分EPにリップ103を有している。これらの基部102とリップ103とによって、断面Y字形状をしたガスケット本体104が形成される。部品21の溝23に嵌り込んで保持されるのは基部102であり、ハウジング11の内壁12に接触するのはリップ103である。ハウジング11に部品21が収納されたとき、リップ103はハウジング11の内壁12に密接してシール作用を発揮する。リップ103は二股に分かれているので、平行な二条の領域でハウジング11の内壁12に密接し、ハウジング11と部品21との間をシールする。
ガスケット101は、基部102の両側面に突部111を突出させている。突部111はガスケット101の高さ方向に複数段、具体的には二段の形状で突出する上下一対の構造物である。図1(a)(b)及び図4(b)に示すように、突部111は断面矩形形状をしており、基部102の両側面に同じ高さ、同じ形状、同じ大きさで設けられている。したがって断面形状でみたとき、突部111は対称形をなしている。
より詳細には、上下一対の突部111(111U,111L)は、基部102の上端及び下端から離れた位置に設けられ、互いに間隔112を開けて配置されている。ガスケット本体104において基部102は、ガスケット101の下端から水平方向に拡がったリップ103に至るまでの範囲にその領域を定めている。上方に位置する突部111Uは、基部102の上端からやや下がった位置に配置され、下方に位置する突部111Lは、基部102の下端からやや上がった位置に配置されている。これらの上下一対の突部111(111U,111L)の間の間隔112は、個々の突部111の肉厚寸法よりも僅かに大きい程度、例えば1.5倍から2倍程度に設定されている。
図3に示すように、突部111は、基部102の両側面の全面にわたって設けられているわけではない。それぞれは幅が狭い複数組の突部111が、基部102の長手方向に沿って等間隔で配列されている。
したがって図4(a)に示すように、ガスケット101は、図3中のA−A線の位置及びこれに相当する位置では突部111を有していない。図4(b)に示すように、ガスケット101は、図3中のB−B線の位置及びこれに相当する位置においてのみ突部111を有している。
上下一対となった複数組の突部111(111U,111L)は、必要に応じた配列間隔で適宜配列されている。必要に応じた配列間隔は、ハウジング11の内壁12と部品21とが近接した際、突部111がガスケット101の基部102に構造的な強度を与え、その座屈を防止するという観点から決定される。
図5に示すように、突部111が設けられていない部分の基部102の幅は、溝23の幅よりも狭く形成されている。したがって突部111が設けられていない領域では、ガスケット本体104は溝23に嵌り合わず、遊びをもって溝23に収納されている。
これに対して突部111の部分においては、ガスケット本体104は隙間なく溝23に嵌り合った状態になっている(図1(a)(b)も参照)。突部111は、基部102の溝幅方向の厚みを、溝23に基部102を挿入し得る範囲で、溝23の幅以上の厚みにしているからである。したがって基部102の両端を結んだ距離は、溝23の幅とほぼ等しいか、溝23の幅よりも大きく設定されていることになる。換言すると突部111は、基部102の溝幅方向の厚みを、ガスケット101が摩擦抵抗によって溝23に保持され得る厚みに設定している。
このような構成において、部品21がハウジング11に収納されたとき、部品21の溝23に装着されたガスケット101は、ハウジング11の内壁12にリップ103を密接させ、ハウジング11と部品21との間をシールする(図1(a)参照)。このときリップ103は、ハウジング11の内壁12と部品21との間のクリアランスに応じて二股に分かれた部分を拡げ、密接力を得る。
図1(a)に示すように、ハウジング11と部品21とは、両者間のクリアランスを大きく狭めることがある。このときガスケット101のリップ103は、二股部分を拡げて圧接力を吸収しようとするが、その程度にも限界があり、基部102に対して垂直方向から無理な荷重をかけてしまう。垂直荷重を受けた基部102は、座屈荷重を超えると座屈して折れ曲がる。基部102が折れ曲がった場合、ハウジング11の内壁12に対するリップ103の密着性が低下し、シール性能が損なわれてしまう。
これに対して本実施の形態のガスケット101は、座屈しようとする基部102の水平方向の動きを突部111(111U,111L)が抑制する。突部111は高さ方向複数段、本実施の形態では二段に設けられているので、座屈しようとする基部102の水平方向の動きを強固に阻止し、基部102を座屈から保護する。このとき基部102の座屈が阻止されるのは、突部111が設けられている領域に限らない。ガスケット101の長手方向に向けた突部111の配列間隔は、基部102全体の座屈を防止するという観点から定められているため、突部111と突部111との間の領域においても、基部102を座屈から保護することができる。
部品21に設けた溝23に対するガスケット101の装着に際して、突部111が設けられていない領域については、抵抗なく溝23に基部102を挿入することができる。このためその装着性が良好である。これに対して突部111の領域では、突部111が溝23の縁にぶつかったり、溝23の内壁に対して摺動したりするため、突部111が設けられていない領域に比べると、装着性は一歩後退する。それでも本実施の形態のガスケット101によれば、突部111(111U,111L)は基部102の高さ方向二段に設けられて上下に分割されているので、同じ高さ寸法を有する分割されていないものに比べると撓みやすく、溝23に対する装着性が良好である。したがって溝23に対する良好な装着性を維持することができる。
突部111は、基部102の一部、つまり突部111が設けられている領域の溝幅方向の厚みを、摩擦抵抗によって溝23に保持され得る厚みにしている。このため一旦溝23に装着されたガスケット101は部品21に保持され、その後の作業性を良好にすることができる。しかもこのような寸法関係は、溝23の内壁に対して突部111を接触状態に維持するので、突部111による基部102の座屈防止効果をより一層確実にする。
ガスケット本体104は、部品21に密接するリップ103を二股に広げた断面Y字形状を有している。このためハウジング11に部品21を挿入させながら収納するような場合、リップ103には部品21の内壁12に対して直角に力がかからず、部品21の挿入作業を容易にすることができる。
図6(a)(b)は、リップ103について、第1の実施の形態の別の構成例を示している。図6(a)は、突部111が設けられていない領域、つまり図3中のA−A線と同じ場所で断面にしたガスケット101の縦断正面図である。図6(b)は、突部111が設けられている領域、つまり図3中のB−B線と同じ場所で断面にしたガスケット101の縦断正面図である。
本実施の形態は、リップ103がダブルリップではなく、シングルリップになっている構成例である。したがってガスケット101は、基部102からリップ103が二股には分かれず、断面がI字形状をなしている。
このような構成において、溝23にガスケット101を嵌め込んだ部品21をハウジング11の図示しない収納部に収納すると、リップ103の先端部はハウジング11の内壁12に押し潰され、ハウジング11と部品21との間をシールする。
本構成例のようにリップ103をシングルリップにすると、ダブルリップの場合に比べて、ハウジング11と部品21との間のクリアランスが同じだけ狭まったときの基部102に加わる荷重を比較すると、より一層大きさを増すことになる。それにも関わらずガスケット101は、突部111が基部102の座屈を抑制するため、突部111を設けない場合よりも大きな座屈荷重を得ることができる。
その他の作用効果については、図1ないし図6に示す構成例と同様である。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態を図7ないし図9に基づいて説明する。第1の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
図7及び図8(a)(b)に示すように、本実施の形態は、突部111の形状を断面湾曲形状にした一例である。
図8(b)に示すように、上方に位置する突部111Uは、基部102の上端からやや下がった位置に設けられ、基部102から水平に延びる部分の端部より断面湾曲形状に屈曲して下方に延びている。下方に位置する突部111Lは、基部102の下端に連続して設けられ、基部102から水平に延びる部分の端部より断面湾曲形状に屈曲して上方に延びている。このような突部111(111U,111L)の形状上、上方の突部111Uと下方の突部111Lとの間の間隔112の部分は、くびれ形状に湾曲している。
このような構成において、部品21に設けた溝23に対するガスケット101の装着に際して、突部111が溝23の縁にぶつかったり、溝23の内壁に対して摺動したりするため、突部111の領域は、突部111が設けられていない領域に比べていくぶん装着しにくくなる。このとき本実施の形態のガスケット101によれば、突部111に湾曲形状を与えているので、溝23に進入しやすくなるし、溝23の内壁に対して摺動しやすくもなる。このため溝23に対するガスケット101の装着性をより一層向上させることができる。
図9(a)(b)は、リップ103について、第2の実施の形態の別の構成例を示している。図9(a)は、突部111が設けられていない領域、つまり図7中のA−A線と同じ場所で断面にしたガスケット101の縦断正面図である。図9(b)は、突部111が設けられている領域、つまり図7中のB−B線と同じ場所で断面にしたガスケット101の縦断正面図である。
本実施の形態は、リップ103がダブルリップではなく、シングルリップになっている構成例である。したがってガスケット101は、基部102からリップ103が二股には分かれず、断面がI字形状をなしている。
このような構成において、溝23にガスケット101を嵌め込んだ部品21をハウジング11の図示しない収納部に収納すると、リップ103の先端部はハウジング11の内壁12に押し潰され、ハウジング11と部品21との間をシールする。
本構成例のようにリップ103をシングルリップにすると、ダブルリップの場合に比べて、ハウジング11と部品21との間のクリアランスが同じだけ狭まったときの基部102に加わる荷重を比較すると、より一層大きさを増すことになる。それにも関わらずガスケット101は、突部111が基部102の座屈を抑制するため、突部111を設けない場合よりも大きな座屈荷重を得ることができる。
その他の作用効果については、図7及び図8に示す構成例と同様である。
[変形例]
実施に際しては、上記第1及び第2の実施の形態に限定されるわけではなく、各種の変更や変形が許容される。
例えば突部111(111U,111L)は、高さ方向二段にした構成例を示したが、実施に際してはこれに限定されず、高さ方向三段以上の突部111を設けるようにしてもよい。
突部111の形状についても、断面矩形形状のもの(第1の実施の形態)と断面湾曲形状のもの(第2の実施の形態)とを示したが、これらは例示にすぎず、他の形状、例えば断面三角形形状や断面半円形状など、様々な形状の突部111を採用することが可能である。
リップ103についても、第1の実施の形態ではダブルリップ、第2の実施の形態ではシングルリップのものを例示したが、実施に際してはこれに限らず、他の形態のものを採用するようにしてもよい。
その他、あらゆる変更や変形が許容される。
11 ハウジング
12 内壁
21 部品
22 溝壁
23 溝
101 ガスケット
102 基部
103 リップ
104 ガスケット本体
111,111U,111L 突部
112 間隔
EP 先端部分
BP 根元部分

Claims (5)

  1. 互いに対面する二つの部材の一方に設けられた溝に根元部分が収納され、先端部分がもう一方の部材に弾性変形して密接することによって前記二つの部材をシールするガスケット本体と、
    前記根元部分の両側面に、間隔を空けて高さ方向複数段に突出して設けられた突部と、
    を備えることを特徴とするガスケット。
  2. 前記突部は、前記根元部分の溝幅方向の厚みを、前記溝に前記基部を挿入し得る範囲で溝幅以上の厚みにする、
    ことを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
  3. 前記突部は、前記基部の長手方向に予め決められた間隔で配列されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載のガスケット。
  4. 前記ガスケット本体の前記突部が設けられていない領域の根元部分は、遊びをもって前記溝に収納されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のガスケット。
  5. 前記突部は、断面湾曲形状を有している、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載のガスケット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023106029A1 (ja) * 2021-12-06 2023-06-15 Nok株式会社 ガスケットの装着構造
JP2023120991A (ja) * 2022-02-18 2023-08-30 株式会社協同 フォトマスク収納ケース、及び、フォトマスク収納ケース用のフォトマスク用クッション部材

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