以下、実施形態について図に基づいて説明する。
以下、ホイールローダについて、図面を参照しながら説明する。
以下の説明において、「上」「下」「前」「後」「左」「右」とは、運転席に着座したオペレータを基準とする用語である。
(実施形態1)
<全体構成>
図1は、実施形態1に基づくホイールローダ1の外観図である。
図2は、実施形態1に基づくホイールローダ1の構成を示す模式図である。
図1および図2に示されるように、ホイールローダ1は、車輪4a,4bが回転駆動されることにより自走可能であると共に作業機3を用いて所望の作業を行うことができる。
ホイールローダ1は、車体フレーム2、作業機3、車輪4a,4b、運転室5を備えている。
車体フレーム2は、前車体部2aと後車体部2bとを有している。前車体部2aと後車体部2bとは互いに左右方向に揺動可能に連結されている。
前車体部2aと後車体部2bとに渡って一対のステアリングシリンダ11a,11bが設けられている。ステアリングシリンダ11a,11bは、ステアリングポンプ12(図2参照)からの作動油によって駆動される油圧シリンダである。ステアリングシリンダ11a,11bが伸縮することによって、前車体部2aが後車体部2bに対して揺動する。これにより、車両の進行方向が変更される。
なお、図1及び図2では、ステアリングシリンダ11a,11bの一方のみを図示しており他方を省略している。
前車体部2aには、作業機3および一対の前輪4aが取り付けられている。作業機3は、作業機ポンプ13(図2参照)からの作動油によって駆動される。作業機3は、ブーム6と、一対のリフトシリンダ14a,14bと、バケット7と、ベルクランク9と、バケットシリンダ15とを有する。
ブーム6は、前車体部2aに回転可能に支持されている。リフトシリンダ14a,14bの一端は前車体部2aに取り付けられている。リフトシリンダ14a,14bの他端は、ブーム6に取り付けられている。リフトシリンダ14a,14bが作業機ポンプ13からの作動油によって伸縮することによって、ブーム6が上下に揺動する。
なお、図1及び図2では、リフトシリンダ14a,14bのうちの一方のみを図示しており、他方は省略している。
バケット7は、ブーム6の先端に回転可能に支持されている。バケットシリンダ15の一端は前車体部2aに取り付けられている。バケットシリンダ15の他端はベルクランク9を介してバケット7に取り付けられている。バケットシリンダ15が、作業機ポンプ13からの作動油によって伸縮することによって、バケット7が上下に揺動する。
後車体部2bには、運転室5及び一対の後輪4bが取り付けられている。運転室5は、車体フレーム2の上部に載置されており、オペレータが着座するシートや、後述する操作部8などが内装されている。
また、図2に示すように、ホイールローダ1は、駆動源としてのエンジン21、走行装置22、作業機ポンプ13、ステアリングポンプ12、操作部8、制御部10などを備えている。
エンジン21は、ディーゼルエンジンであり、シリンダ内に噴射する燃料量を調整することによりエンジン21の出力が制御される。この調整は、エンジン21の燃料噴射ポンプ24に付設された電子ガバナ25が制御部10によって制御されることで行われる。ガバナ25としては、一般的にオールスピード制御方式のガバナが用いられ、エンジン回転数が、後述するアクセル操作量に応じた目標回転数となるように、負荷に応じてエンジン回転数と燃料噴射量とを調整する。すなわち、ガバナ25は目標回転数と実際のエンジン回転数との偏差がなくなるように燃料噴射量を増減する。エンジン回転数は、エンジン回転数センサ91によって検出される。エンジン回転数センサ91の検出信号は、制御部10に入力される。
走行装置22は、エンジン21からの駆動力により車両を走行させる装置である。走行装置22は、トルクコンバータ装置23、トランスミッション26、及び上述した前輪4a及び後輪4bなどを有する。
トルクコンバータ装置23は、ロックアップクラッチ27とトルクコンバータ28を有している。ロックアップクラッチ27は、連結状態と非連結状態とに切換可能である。ロックアップクラッチ27が非連結状態である場合には、トルクコンバータ28が、オイルを媒体としてエンジン21からの駆動力を伝達する。ロックアップクラッチ27が連結状態である場合には、トルクコンバータ28の入力側と出力側とが直結される。ロックアップクラッチ27は、油圧作動式のクラッチであり、ロックアップクラッチ27への作動油の供給がクラッチ制御弁31を介して制御部10によって制御されることにより、連結状態と非連結状態とが切り換えられる。
トランスミッション26は、前進走行段に対応する前進クラッチCFと、後進走行段に対応する後進クラッチCRとを有している。各クラッチCF,CRの連結状態・非連結状態が切り換えられることによって、車両の前進と後進とが切り換えられる。クラッチCF,CRが共に非連結状態のときは、車両は中立状態となる。また、トランスミッション26は、複数の速度段に対応した複数の速度段クラッチC1−C4を有しており、減速比を複数段階に切り換えることができる。例えば、このトランスミッション26では、4つの速度段クラッチC1−C4が設けられており、速度段を第1速から第4速までの4段階に切る換えることができる。各速度段クラッチC1−C4は、油圧作動式の油圧クラッチである。図示しない油圧ポンプからクラッチ制御弁31を介してクラッチC1−C4へ作動油が供給される。クラッチ制御弁31が制御部10によって制御されて、クラッチC1−C4への作動油の供給が制御されることにより、各クラッチC1−C4の連結状態及び非連結状態が切り換えられる。
トランスミッション26の出力軸には、トランスミッション26の出力軸の回転数を検出するT/M出力回転数センサ92が設けられている。T/M出力回転数センサ92からの検出信号は、制御部10に入力される。制御部10は、T/M出力回転数センサ92の検出信号に基づいて車速を算出する。従って、T/M出力回転数センサ92は車速を検出する車速検出部として機能する。なお、トランスミッション26の出力軸ではなく他の部分の回転速度を検出するセンサが車速センサとして用いられてもよい。トランスミッション26から出力された駆動力は、シャフト32などを介して車輪4a,4bに伝達される。これにより、車両が走行する。トランスミッション26の入力軸の回転数は、T/M入力回転数センサ93によって検出される。T/M入力回転数センサ93からの検出信号は、制御部10に入力される。
エンジン21の駆動力の一部は、PTO軸33を介して作業機ポンプ13及びステアリングポンプ12に伝達される。作業機ポンプ13及びステアリングポンプ12は、エンジン21からの駆動力によって駆動される油圧ポンプである。作業機ポンプ13から吐出された作動油は、作業機制御弁34を介してリフトシリンダ14a,14b及びバケットシリンダ15に供給される。また、ステアリングポンプ12から吐出された作動油は、ステアリング制御弁35を介してステアリングシリンダ11a,11bに供給される。このように、作業機3は、エンジン21からの駆動力の一部によって駆動される。
作業機ポンプ13から吐出された作動油の圧力は、第1油圧センサ94によって検出される。リフトシリンダ14a,14bに供給される作動油の圧力は、第2油圧センサ95によって検出される。具体的には、第2油圧センサ95は、リフトシリンダ14a,14bを伸長させるときに作動油が供給されるシリンダボトム室の油圧を検出する。バケットシリンダ15に供給される作動油の圧力は、第3油圧センサ96によって検出される。具体的には、第3油圧センサ96は、バケットシリンダ15を伸長させるときに作動油が供給されるシリンダボトム室の油圧を検出する。ステアリングポンプ12から吐出された作動油の圧力は、第4油圧センサ97によって検出される。第1〜第4油圧センサ94−97からの検出信号は、制御部10に入力される。
操作部8は、オペレータによって操作される。操作部8は、アクセル操作部材81a、アクセル操作検出装置81b、ステアリング操作部材82a、ステアリング操作検出装置82b、ブーム操作部材83a、ブーム操作検出装置83b、バケット操作部材84a、バケット操作検出装置84b、変速操作部材85a、変速操作検出装置85b、FR操作部材86a、及び、FR操作検出装置86bなどを有する。
アクセル操作部材81aは、例えばアクセルペダルであり、エンジン21の目標回転数を設定するために操作される。アクセル操作検出装置81bは、アクセル操作部材81aの操作量を検出する。アクセル操作検出装置81bは、検出信号を制御部10へ出力する。
ステアリング操作部材82aは、例えばステアリングハンドルであり、車両の進行方向を操作するために操作される。ステアリング操作検出装置82bは、ステアリング操作部材82aの位置を検出し、検出信号を制御部10に出力する。制御部10は、ステアリング操作検出装置82bからの検出信号に基づいてステアリング制御弁35を制御する。これにより、ステアリングシリンダ11a,11bが伸縮して、車両の進行方向が変更される。
ブーム操作部材83a及びバケット操作部材84aは、例えば操作レバーであり、作業機3を動作させるために操作される。具体的には、ブーム操作部材83aは、ブーム6を動作させるために操作される。バケット操作部材84aは、バケット7を動作させるために操作される。ブーム操作検出装置83bは、ブーム操作部材83aの位置を検出する。バケット操作検出装置84bは、バケット操作部材84aの位置を検出する。ブーム操作検出装置83b及びバケット操作検出装置84bは、検出信号を制御部10に出力する。制御部10は、ブーム操作検出装置83b及びバケット操作検出装置84bからの検出信号に基づいて作業機制御弁34を制御する。これにより、リフトシリンダ14a,14b及びバケットシリンダ15が伸縮して、ブーム6及びバケット7が動作する。また、作業機3にはブーム角を検出するブーム角検出装置98が設けられている。ブーム角は、前車体部2aとブーム6との回転支持中心と、ブーム6とバケット7との回転支持中心とを結ぶ線と、前後の車輪4a,4bの軸中心を結ぶ線とに挟まれた角度をいう。ブーム角検出装置98は、検出信号を制御部10に出力する。制御部10は、ブーム角検出装置98が検出したブーム角に基づいて、バケット7の高さ位置を算出する。このため、ブーム角検出装置98はバケット7の高さを検出する高さ位置検出部として機能する。
変速操作部材85aは、例えばシフトレバーである。変速操作部材85aは、自動変速モードが選択されているときには、速度段の上限を設定するために操作される。例えば、変速操作部材85aが第3速に設定されている場合には、トランスミッション26は、第2速から第3速までの間で切り換えられ、第4速には切り換えられない。また、手動変速モードが選択されているときには、トランスミッション26は変速操作部材85aによって設定された速度段に切り換えられる。変速操作検出装置85bは、変速操作部材85aの位置を検出する。変速操作検出装置85bは、検出信号を制御部10に出力する。制御部10は、変速操作検出装置85bからの検出信号に基づいて、トランスミッション26の変速を制御する。なお、自動変速モードと手動変速モードとは図示しない変速モード切換部材によってオペレータによって切り換えられる。
FR操作部材86aは、車両の前進と後進とを切り換えるために操作される。FR操作部材86aは、前進、中立、及び後進の各位置に切り換えられることができる。FR操作検出装置86bは、FR操作部材86aの位置を検出する。FR操作検出装置86bは、検出信号を制御部10に出力する。制御部10は、FR操作検出装置86bからの検出信号に基づいてクラッチ制御弁31を制御する。これにより、前進クラッチCF及び後進クラッチCRが制御され、車両の前進と後進と中立状態とが切り換えられる。
制御部10は、一般的にCPU(Central Processing Unit)により各種のプログラムを読み込むことにより実現される。
制御部10は、メモリ60と接続され、当該メモリ60は、ワークメモリとして機能するとともに、ホイールローダの機能を実現するための各種のプログラムを格納する。
制御部10は、アクセル操作量に応じた目標回転数が得られるように、エンジン指令信号をガバナ25に送る。
制御部10は、カメラ40が接続され、カメラ40で撮像した画像データの入力を受け付ける。カメラ40は、ホイールローダ1の運転室5のルーフ側に設けられる。
制御部10は、表示器50とも接続される。表示器50は、後述するがオペレータに操作ガイダンスを表示することが可能である。また、表示器50には、タッチパネル等の入力装置が設けられ、当該タッチパネルを操作することにより制御部10に対してコマンドを指示することが可能である。
<掘削パターン例>
本実施形態1のホイールローダは、一例として土砂等の掘削対象物に応じた掘削姿勢による掘削動作を実行する。
図3は、実施形態1に基づく作業機の掘削動作を説明する図である。
図3(A)に示されるように、一例として、作業機3の掘削姿勢として掘削対象物Pに対してバケット7がバケット軌跡L1に従って掘削動作を実行する場合が示されている。
具体的には、バケット7の刃先が掘削対象物Pに浅く食い込んだ後にバケット7を上昇させる掘削動作が示されている(浅掘り掘削パターンとも称する)。
図3(B)に示されるように、一例として、作業機3の掘削姿勢として掘削対象物Pに対してバケット7がバケット軌跡L2に従って掘削動作を実行する場合が示されている。
具体的には、バケット7の刃先が掘削対象物Pに深く食い込んだ後にバケット7を上昇させる掘削動作が示されている(深掘り掘削パターンとも称する)。
<土質例>
図4は、実施形態1に基づく土質が異なる掘削対象物の例を説明する図である。
図4に示されるように、ここでは土質として土の粒径が異なる2種類の掘削対象物P1,P2の土質が示されている。
一般的に掘削対象物が積み上げられた(堆積した)際の安息角を計測することにより土質の粒径を推定することが可能である。具体的には、粒径が小さいほど安息角は小さくなり、粒径が大きいほど安息角は大きくなる。
本例においては、一例として掘削対象物P1の安息角αと、掘削対象物P2の安息角βが示されており、掘削対象物P1の安息角αの方が掘削対象物P2の安息角βよりも大きい場合が示されている。
したがって、例えば、安息角を測定することにより土質情報として掘削対象物P1の粒径の方が掘削対象物P2の粒径よりも大きいと判定することが可能である。
例えば、掘削対象物P1は粒径が大きい小石状の土質であり、掘削対象物P2は粒径が小さい砂状の土質であると判定することが可能である。
本実施形態においては、掘削対象物の土質情報に基づいて掘削動作を制御する。具体的には、掘削対象物の土質が小石状の場合には深掘り掘削パターンではなく、浅掘り掘削パターンの方が効率的な掘削動作が可能である。粒径が大きいほど貫入抵抗が大きいためバケット7を貫入する際に粒径が小さい場合と比べて車両を走行させる駆動力が必要となるとともに、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)も十分に必要となるからである。また、粒径が大きい掘削対象物の場合には安息角が大きくなるため、深く貫入しない浅掘り掘削パターンであっても粒径が小さい掘削対象物の場合と比べてバケット7に流れ込む量は大きくなるからである。
逆に、掘削対象物の土質が砂状の場合には浅掘り掘削パターンではなく、深掘り掘削パターンの方が効率的な掘削動作が可能である。粒径が小さいほど貫入抵抗は小さくなるためバケット7を貫入する際に粒径が大きい場合と比べて車両を走行させる駆動力を低減することができるとともに、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)も低減することが可能である。また、粒径が小さい掘削対象物の場合には安息角が小さくなるため、バケット7に流れ込む量を確保するために深く貫入する必要があるからである。
<制御システムの構成>
図5は、実施形態1に基づくホイールローダ1の制御部10の機能構成を説明する図である。
図5に示されるように、制御部10は、カメラ40およびメモリ60と接続されている。
制御部10は、土質情報取得部100と、掘削制御部110とを含む。
土質情報取得部100は、カメラ画像取得部102と、画像解析部104と、土質判定部106とを含む。
カメラ画像取得部102は、カメラ40から取得される画像データを取得する。具体的には、カメラ40は、掘削対象物を撮像する。カメラ画像取得部102は、カメラ40が撮像した掘削対象物の画像データを取得する。
画像解析部104は、カメラ画像取得部102で取得された画像データを解析する。具体的には、画像解析部104は、掘削対象物の画像データに基づいて安息角を計測する。
土質判定部106は、画像データの解析結果に基づいて土質を判定して土質情報として掘削制御部110に出力する。具体的には、土質判定部106は、画像解析部104の解析結果である計測した安息角に基づいて土質を判定する。例えば、土質判定部106は、計測した安息角が所定の閾値以上である場合には、掘削対象物の土質の粒径は大きいと判定する。一方、土質判定部106は、計測した安息角が所定の閾値未満である場合には、掘削対象物の土質の粒径は小さいと判定する。所定の閾値は当業者であるならば適宜設計変更可能である。
掘削制御部110は、土質情報取得部100で取得した土質情報に基づいて掘削動作を制御する。
メモリ60は、バケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行するためのデータMD1と、バケット軌跡L2の掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行するためデータMD2とを格納する。
データMD1,MD2は、ホイールローダ1がバケット7による掘削対象物に対する掘削動作を自動制御するための各種パラメータを含むデータである。
具体的には、掘削対象物に対してそれぞれの掘削姿勢による掘削動作を実行するための作業機3のバケット7を貫入する際の車両の速度を規定するパラメータ、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するための作動油の圧力に関するパラメータ、車両を走行させる駆動力および作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するためのエンジンの回転数に関するパラメータ等のデータを含む。当該データは一例としてシミュレーションにより予め算出したものを用いることが可能である。また、実際に駆動した場合にキャリブレーションにより補正されたデータを用いるようにしても良い。
掘削制御部110は、土質判定部106からの土質情報として掘削対象物の粒径が小さいとの判定情報を受けた場合には、データMD2に基づいてバケット軌跡L2の掘削姿勢による掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行する。
一方、掘削制御部110は、土質判定部106からの土質情報として掘削対象物の粒径が大きいとの判定情報を受けた場合には、データMD1に基づいてバケット軌跡L1の掘削姿勢による掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行する。
当該処理により、実施形態1に基づくホイールローダは、掘削対象物の土質情報に基づく作業機の掘削姿勢による掘削動作を実行することにより効率的な掘削動作を実行することが可能である。
なお、本例における土質情報取得部100は、カメラ40からの撮像データに基づいて掘削対象物の土質情報を取得する場合について説明したが、特にカメラ40からの撮像データに限られず、他のデータに基づいて土質情報を取得しても良い。例えば、ホイールローダがネットワークを介して接続される外部サーバからのダウンロード等により外部からの掘削対象物の土質情報の入力を受け付けることにより土質情報を取得するようにしても良い。
なお、本例においては、粒径に従って土質情報を分類してそれに応じた掘削姿勢による掘削動作を実行する場合について説明したが、粒径のみならず、粒の種別等に基づいて土質情報をさらに複数に分類して、それぞれに応じた掘削姿勢による掘削動作を実行することも可能である。
(変形例)
上記の実施形態1においては、土質情報取得部100は、カメラ40から取得される画像データに基づいて掘削対象物の土質情報(粒径)を取得する場合について説明したが、これに限られず土質情報として水分量を推定することも可能である。
<制御システムの構成>
図6は、実施形態1の変形例に基づくホイールローダ1の制御部10Aの機能構成を説明する図である。
図6に示されるように、制御部10Aは、環境センサ42およびメモリ60と接続されている。
環境センサ42は、周囲の環境データを検知するセンサである。具体的には、環境センサ42は、周囲の環境データとして温度や湿度等の少なくとも1つを検知する。
制御部10Aは、土質情報取得部100Aと、掘削制御部110とを含む。
土質情報取得部100Aは、水分量推定部101と、土質判定部105とを含む。
水分量推定部101は、環境センサ42から取得される環境データを取得して、掘削対象物の水分量を推定する。具体的には、環境センサ42から取得される環境データ(温度および湿度の少なくとも一方)に基づいて掘削対象物の水分量を推定する。
土質判定部105は、推定された掘削対象物の水分量に基づいて土質を判定して土質情報として掘削制御部110に出力する。例えば、土質判定部105は、推定された水分量と所定の閾値とを比較して掘削対象物の水分量の大小を判定する。そして、その判定結果を判定情報として掘削制御部110に出力する。所定の閾値は当業者であるならば適宜設計変更可能である。
掘削制御部110は、土質情報取得部100Aで取得した土質情報に基づいて掘削動作を制御する。
メモリ60は、バケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行するためのデータMD1と、バケット軌跡L2の掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行するためデータMD2とを格納する。
掘削制御部110は、土質判定部105からの土質情報として掘削対象物の水分量が少ないとの判定情報を受けた場合には、データMD2に基づいてバケット軌跡L2の掘削姿勢による掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行する。
一方、掘削制御部110は、土質判定部105からの土質情報として掘削対象物の水分量が多いとの判定情報を受けた場合には、データMD1に基づいてバケット軌跡L1の掘削姿勢による掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行する。
掘削対象物の土質の粒径の場合と同様に、水分量が多い場合には深掘り掘削パターンではなく、浅掘り掘削パターンの方が効率的な掘削動作が可能である。水分量が大きいほど貫入抵抗が大きいためバケット7を貫入する際に水分量が小さい場合と比べて車両を走行させる駆動力が必要となるとともに、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)も十分に必要となるからである。
当該処理により、実施形態1に基づくホイールローダは、掘削対象物の土質情報に基づいて効率的な掘削動作を実行することが可能である。
なお、本例における土質情報取得部100Aは、環境センサからの環境データに基づいて掘削対象物の土質情報を取得する場合について説明したが、特に環境データに限られず、他のデータに基づいて土質情報を取得しても良い。例えば、ホイールローダがネットワークを介して接続される外部サーバからのダウンロード等により外部からの掘削対象物の土質情報の入力を受け付けることにより土質情報を取得するようにしても良い。あるいは、掘削対象物の一部を試料として採取して、水分量を測定して土質情報を取得するようにしても良い。
なお、上記の実施形態においては、バケット軌跡として2種類の掘削姿勢による掘削動作について説明したが、特にこれに限られずさらに複数種類の掘削姿勢による掘削動作を実行するようにすることも可能である。
(実施形態2)
上記の実施形態1においては、ホイールローダ1が土質情報に基づいてバケット軌跡の掘削動作を制御する方式について説明した。
一方で、ホイールローダ1が掘削動作を制御するのみならず、オペレータに対する作業ガイダンスとして土質情報に基づく掘削動作を表示させるようにしても良い。
<制御システムの構成>
図7は、実施形態2に基づくホイールローダ1の制御部10Bの機能構成を説明する図である。
図7に示されるように、制御部10Bは、カメラ40と、表示器50およびメモリ60Aと接続されている。
制御部10Bは、土質情報取得部100と、掘削操作ガイダンス制御部111とを含む。
土質情報取得部100は、カメラ画像取得部102と、画像解析部104と、土質判定部106とを含む。
カメラ画像取得部102は、カメラ40から取得される画像データを取得する。具体的には、カメラ40は、掘削対象物を撮像する。カメラ画像取得部102は、カメラ40が撮像した掘削対象物の画像データを取得する。
画像解析部104は、カメラ画像取得部102で取得された画像データを解析する。具体的には、画像解析部104は、掘削対象物の画像データに基づいて安息角を計測する。
土質判定部106は、画像データの解析結果に基づいて土質を判定して土質情報として掘削制御部110に出力する。具体的には、土質判定部106は、画像解析部104の解析結果である計測した安息角に基づいて土質を判定する。例えば、土質判定部106は、計測した安息角が所定の閾値以上である場合には、掘削対象物の土質の粒径は大きいと判定する。一方、土質判定部106は、計測した安息角が所定の閾値未満である場合には、掘削対象物の土質の粒径は小さいと判定する。所定の閾値は当業者であるならば適宜設計変更可能である。
掘削操作ガイダンス制御部111は、土質情報取得部100で取得した土質情報に基づいて掘削動作の操作ガイダンスを表示器50に表示する。
メモリ60は、バケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実現するための操作ガイダンスを表示するためのデータMGD1と、バケット軌跡L2の掘削動作(深堀り掘削パターン)を実現するための操作ガイダンスを表示するためのデータMGD2とを格納する。
掘削操作ガイダンス制御部111は、土質判定部106からの土質情報として掘削対象物の粒径が大きいとの判定情報を受けた場合には、データMGD1に基づいてバケット軌跡L1の掘削動作(浅堀り掘削パターン)を実行するための操作ガイダンスを表示器50に表示する。
図8は、実施形態2に基づく土質情報に基づいて操作ガイダンスを表示器50に表示する場合を説明する図である。
図8に示されるように、ここでは、バケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実現するための操作ガイダンスが表示されている。一例として、バケット7のバケット軌跡L1がアニメーション表示されるものとする。
当該操作ガイダンスの表示により、オペレータは掘削対象物に対する効率的な掘削動作を把握することが可能である。これにより、オペレータは操作部8を効率的に操作することが可能である。
なお、操作ガイダンスとして、本例においては、一例としてバケット7のバケット軌跡を表示する場合について説明したが、これに限られず、例えば、ブーム操作部材83aおよびバケット操作部材84aの操作量等に関するガイダンスを表示したり、掘削対象物に対してバケットが貫入する際の車速に関するガイダンスを表示することも可能である。
当該処理により、実施形態2に基づくホイールローダは、掘削対象物の土質情報に基づいて効率的な掘削動作を実現することが可能である。
なお、上記の実施形態においては、バケット軌跡として2種類の掘削姿勢による掘削動作のガイダンスについて説明したが、特にこれに限られずさらに複数種類の掘削姿勢による掘削動作のガイダンスを実行するようにすることも可能である。
(実施形態3)
上記の実施形態1においては、ホイールローダ1が土質情報に基づいてバケット軌跡の掘削動作を制御する方式について説明したが、土質情報とともに、他の情報を利用することも可能である。
本実施形態3においては、土質情報およびバケットの形態に基づいて掘削動作を効率的に制御する方式について説明する。
図9は、本実施形態3に基づくバケットの形態を説明する図である。
図9(A),(B)に示されるように、用途に応じた複数の形態のバケット7A,7Bが設けられている。
本例においては、一例として大きさが異なる2つのバケット7A,7Bのバケットが示されている。バケット7Bは、バケット7Aと比較してサイズが大きく容量も大きいものとする。
<制御システムの構成>
図10は、実施形態3に基づくホイールローダ1の制御部10Cの機能構成を説明する図である。
図10に示されるように、制御部10Cは、カメラ40およびメモリ60と接続されている。
制御部10Cは、土質情報取得部100と、バケット情報取得部100Cと、掘削制御部110とを含む。
土質情報取得部100は、図7で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
バケット情報取得部100Cは、カメラ画像取得部102Cと、画像解析部104Cと、バケット判定部106Cとを含む。
カメラ画像取得部102Cは、カメラ40から取得される画像データを取得する。具体的には、カメラ40は、作業機3に設けられたバケット7を撮像する。カメラ画像取得部102Cは、カメラ40が撮像したバケット7の画像データを取得する。
画像解析部104Cは、カメラ画像取得部102で取得された画像データを解析する。具体的には、画像解析部104Cは、バケット7の画像データに基づいてバケットの形態を計測する。具体的には、画像解析部104Cは、画像データ中のバケットをパターンマッチングにより識別して、識別したバケットからその形態を計測する。あるいはパターンマッチングにより識別されたバケットの形態からバケットの品番情報を取得して、当該品番情報に基づいて長さ、高さ等のバケットの寸法情報を取得するようにしても良い。
バケット判定部106Cは、画像データの解析結果に基づいてバケットを判定して形態情報として掘削制御部110に出力する。具体的には、バケット判定部106Cは、画像解析部104Cの解析結果である計測したバケットの形態に基づいてバケットの大小を判定する。例えば、バケット判定部106Cは、計測したバケットの形態が所定の大きさ以上である場合には、バケットは大きいと判定する。一方、バケット判定部106Cは、計測したバケットの形態が所定の大きさ未満である場合には、バケットは小さいと判定する。所定の大きさは当業者であるならば適宜設計変更可能である。
掘削制御部110は、バケット情報取得部100Cで取得した形態情報に基づいて掘削動作を制御する。
メモリ60は、掘削データ62と、補正データ64とを格納する。
掘削データは、掘削対象物に対して土質情報に基づいて効率的な掘削姿勢による掘削動作を実行するための作業機3のバケット7を貫入する際の車両の速度を規定するパラメータ、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するための作動油の圧力に関するパラメータ、車両を走行させる駆動力および作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するためのエンジンの回転数に関するパラメータ等のデータを含む。当該データは一例としてシミュレーションにより予め算出したものを用いることが可能である。また、実際に駆動した場合にキャリブレーションにより補正されたデータを用いるようにしても良い。この点で、上記のバケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行するためのデータMD1と、バケット軌跡L2の掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行するためデータMD2とを含んでいてもよい。
補正データ64は、バケットの形態に基づいて掘削動作を補正するために必要なデータである。具体的には、当該補正データに基づいてバケットの形態が大きい場合には、浅堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。一方、バケットの形態が小さい場合には、深堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。例えば、種々のパラメータ(速度、圧力等)に重み付けする係数を調整することにより補正することが可能である。
掘削制御部110は、土質判定部106からの土質情報に基づいて効率的な掘削姿勢による掘削動作を決定する。そして、バケット判定部106Cからの形態情報に基づいて掘削姿勢を補正する。具体的には、バケットの形態が小さいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として深堀り掘削パターン側となるように補正する。一方、掘削制御部110は、バケット判定部106Cからの形態情報としてバケットの形態が大きいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として浅掘り掘削パターン側となるように補正する。
バケットの形態としてバケットが大きい場合には深掘り掘削パターン側ではなく、浅掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。一方、バケットの形態としてバケットが小さい場合には浅掘り掘削パターン側ではなく、深掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。バケットが大きいほど貫入抵抗が大きいためバケット7を貫入する際にバケットが小さい場合と比べて車両を走行させる駆動力が必要となるとともに、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)も十分に必要となるからである。
当該処理により、実施形態3に基づくホイールローダは、土質情報およびバケットの形態情報に基づいて効率的な掘削動作を実行することが可能である。
図11は、実施形態3に基づく掘削動作(掘削パターン)を説明する図である。
図11(A)から(C)には、3種類のバケット軌跡が示されている。
一例として、図11(C)には、一例として、掘削対象物Pに対して土質情報に基づいて決定されたバケット軌跡L5に従って掘削動作を実行する場合が示されている。
図11(A)および(B)は、図11(C)で示されるバケット軌跡L5を補正した掘削姿勢が示されている。
図11(A)は、一例としてバケットが大きい場合に掘削動作を補正した場合が示されている。
具体的には、バケット7の刃先が掘削対象物Pにある程度食い込んだ後(図11(C)よりも浅い)にバケット7をバケット軌跡L3に従って上昇させる掘削動作が示されている。
図11(B)は、一例としてバケットが小さい場合に掘削動作を補正した場合が示されている。
具体的には、バケット7の刃先が掘削対象物Pに深く食い込んだ後(図11(C)よりも深い)にバケット7をバケット軌跡L4に従って上昇させる掘削動作が示されている。
上記の如く掘削動作を調整することにより、さらに効率的な掘削動作を実行することが可能である。
なお、上記の実施の形態1の変形例1および形態2ならびに以降の実施形態についても同様に適用可能である。
なお、本例におけるバケット情報取得部100Cは、カメラ40から取得した画像データに基づいてバケットの形態を取得する場合について説明したが、特に画像データに限られず、他のデータに基づいてバケットの形態を取得しても良い。例えば、ホイールローダがネットワークを介して接続される外部サーバからのダウンロード等により外部からのバケットの形態に関する入力を受け付けることにより形態情報を取得するようにしても良い。あるいは、オペレータによるバケットの形態に関する情報入力を受け付けることにより、バケットの形態情報を取得するようにしても良い。
図12は、実施形態3に基づくホイールローダ1の制御部10Cの処理の流れを説明するフロー図である。
図12に示されるように、制御部10Cは、土質を判定する(ステップS0)。具体的には、土質判定部106は、上述したように画像データの解析結果に基づいて土質を判定する。例えば、土質判定部106は、計測した安息角が所定の閾値以上である場合には、掘削対象物の土質の粒径は大きいと判定する。
次に、制御部10Cは、掘削動作を決定する(ステップS2)。掘削制御部110は、土質情報に基づいてメモリ60に格納されている掘削データ62を利用して効率的な掘削姿勢による掘削動作を決定する。
次に、制御部10Cは、バケットを判定する(ステップS4)。バケット判定部106Cは、画像データの解析結果に基づいてバケットを判定する。具体的には、バケット判定部106Cは、画像解析部104Cの解析結果である計測したバケットの形態に基づいてバケットの大小を判定する。
次に、制御部10Cは、バケットが大きいか否かを判定する(ステップS6)。例えば、バケット判定部106Cは、計測したバケットの形態が所定の大きさ以上であるか否かを判定する。
次に、制御部10Cは、バケットが大きいと判定した場合(ステップS6においてYES)には、掘削動作を補正(浅堀り掘削パターン側)する(ステップS8)。具体的には、バケット判定部106Cは、計測したバケットの形態が所定の大きさ以上であると判定した場合には、その情報を掘削制御部110に出力する。掘削制御部110は、補正データ64に基づいてバケット軌跡として浅掘り掘削パターン側となるように補正する。
そして、処理を終了する(エンド)。
次に、制御部10Cは、バケットが大きくないと判定した場合(ステップS6においてNO)には、バケットが小さいか否かを判定する(ステップS10)。バケット判定部106Cは、計測したバケットの形態が所定の大きさ未満であるか否かを判定する。
次に、制御部10Cは、バケットが小さいと判定した場合(ステップS10においてYES)には、掘削動作を補正(深堀り掘削パターン側)する(ステップS12)。具体的には、バケット判定部106Cは、計測したバケットの形態が所定の大きさ未満であると判定した場合には、その情報を掘削制御部110に出力する。掘削制御部110は、補正データ64に基づいてバケット軌跡として深堀り掘削パターン側となるように補正する。
そして、処理を終了する(エンド)。
次に、制御部10Cは、バケットが小さくないと判定した場合(ステップS10においてNO)には、掘削動作を変更することなく処理を終了する(エンド)。
当該処理により、実施形態3に基づくホイールローダは、掘削対象物に対する土質情報およびバケットの形態に基づいて効率的な掘削動作を実行することが可能である。
(実施形態4)
<制御システムの構成>
図13は、実施形態4に基づくホイールローダ1の制御部10#の機能構成を説明する図である。
図13に示されるように、制御部10#は、カメラ40、歪みセンサ70およびメモリ60と接続されている。歪みセンサ70は、バケット7の取付ピンに設けられるものとする。
歪みセンサ70として、一例としてストレインゲージを設けることが可能であり、掘削対象物に対する掘削反力を検出する。
制御部10#は、土質情報取得部100と、負荷算出部108と、負荷判定部109と、掘削制御部110とを含む。
土質情報取得部100は、図7で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
負荷算出部108は、歪みセンサ70からのデータ(歪み量)に基づいて作業負荷を算出する。
負荷判定部109は、負荷算出部108で算出された作業負荷に基づいて負荷のレベルを判断する。
掘削制御部110は、負荷判定部109で判定された負荷のレベルに基づいて掘削動作を制御する。
メモリ60は、掘削データ62と、補正データ65とを格納する。
掘削データは、掘削対象物に対して土質情報に基づいて効率的な掘削姿勢による掘削動作を実行するための作業機3のバケット7を貫入する際の車両の速度を規定するパラメータ、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するための作動油の圧力に関するパラメータ、車両を走行させる駆動力および作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するためのエンジンの回転数に関するパラメータ等のデータを含む。当該データは一例としてシミュレーションにより予め算出したものを用いることが可能である。また、実際に駆動した場合にキャリブレーションにより補正されたデータを用いるようにしても良い。この点で、上記のバケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行するためのデータMD1と、バケット軌跡L2の掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行するためデータMD2とを含んでいてもよい。
補正データ65は、作業負荷のレベルに基づいて掘削動作を補正するために必要なデータである。具体的には、当該補正データに基づいて作業負荷のレベルが大きい場合には、浅堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。一方、作業負荷のレベルが小さい場合には、深堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。例えば、種々のパラメータ(速度、圧力等)に重み付けする係数を調整することにより補正することが可能である。
掘削制御部110は、土質判定部106からの土質情報に基づいて効率的な掘削姿勢による掘削動作を決定する。そして、負荷判定部109からの負荷情報に基づいて掘削姿勢を補正する。具体的には、作業負荷のレベルが小さいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として深堀り掘削パターン側となるように補正する。一方、掘削制御部110は、負荷判定部109からの負荷情報に基づいて作業負荷のレベルが大きいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として浅掘り掘削パターン側となるように補正する。
作業負荷のレベルとして作業負荷が大きい場合には深掘り掘削パターン側ではなく、浅掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。一方、作業負荷のレベルとして作業負荷が小さい場合には浅掘り掘削パターン側ではなく、深掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。作業負荷が大きいほど作業機を上昇させる駆動力(リフト力)が十分に必要となるからである。
図14は、実施形態4に基づくホイールローダ1の制御部10#の処理の流れを説明するフロー図である。
図14に示されるように、制御部10#は、土質を判定する(ステップS0)。具体的には、土質判定部106は、上述したように画像データの解析結果に基づいて土質を判定する。例えば、土質判定部106は、計測した安息角が所定の閾値以上である場合には、掘削対象物の土質の粒径は大きいと判定する。
次に、制御部10C#、掘削動作を決定する(ステップS2)。掘削制御部110は、土質情報に基づいてメモリ60に格納されている掘削データ62を利用して効率的な掘削姿勢による掘削動作を決定する。
次に、制御部10#は、掘削負荷を算出する(ステップS12)。具体的には、負荷算出部108は、歪みセンサ70からのデータ(歪み量)に基づいて掘削負荷を算出する。
次に、制御部10#は、掘削負荷が大きいか否かを判断する(ステップS14)。具体的には、負荷判定部109は、負荷算出部108で算出された掘削負荷に基づいて掘削負荷のレベルを判定する。例えば、負荷算出部108は、算出された掘削負荷が所定の範囲内であるか否かを判断する。負荷算出部108は、算出された掘削負荷が所定の範囲内を超える場合には、掘削負荷のレベルが大きいと判断する。また、負荷算出部108は、算出された掘削負荷が所定の範囲内よりも低い場合には、掘削負荷のレベルは小さいと判断する。また、負荷算出部108は、算出された掘削負荷が所定の範囲内であると判断した場合には、掘削負荷のレベルは通常であると判断する。なお、所定の範囲は当業者であるならば適宜設計変更可能である。
ステップS14において、制御部10#は、掘削負荷のレベルが大きいと判断した場合(ステップS14においてYES)には、掘削動作を補正(浅掘り掘削パターン側)する(ステップS16)。具体的には、掘削制御部110は、負荷判定部109の判定結果として掘削負荷のレベルが大きいと判断した場合には、補正データ65に基づいてバケット軌跡として浅掘り掘削パターン側となるように補正する。
そして、処理を終了する(エンド)。
次に、ステップS14において、制御部10#は、掘削負荷のレベルが大きくないと判断した場合(ステップS14においてNO)には、掘削負荷のレベルが小さいか否かを判断する(ステップS18)。
ステップS18において、制御部10#は、掘削負荷のレベルが小さいと判断した場合(ステップS18においてYES)には、掘削動作を補正(深掘り掘削パターン側)する。具体的には、掘削制御部110は、負荷判定部109の判定結果として掘削負荷のレベルが小さいと判断した場合には、補正データ65に基づいてバケット軌跡として深掘り掘削パターン側となるように補正する。
そして、処理を終了する(エンド)。
ステップS18において、制御部10#は、掘削負荷のレベルが小さくないと判断した場合(ステップS18においてNO)には、掘削動作を変更することなく処理を終了する(エンド)。
当該処理により、実施形態4に基づくホイールローダは、掘削対象物に対する土質情報および掘削負荷に基づいて効率的な掘削動作を実行することが可能である。
なお、本例においては、歪みセンサ70からのデータ(歪み量)に基づいて掘削負荷を算出する場合について説明したが、これに限られず、バケット7で掘削した土砂の重量に基づいて掘削負荷を算出するようにしても良い。また、作業機のシリンダに設けられた圧力センサを用いて、圧力センサの検出結果に基づいて作業負荷を算出することも可能である。掘削負荷の算出方式については何ら限定されない。
なお、掘削負荷の算出は、掘削動作中に継続して実行される。掘削制御部110は、随時更新される算出された掘削負荷に基づいてバケット軌跡を補正して効率的な掘削動作を実行することが可能である。
(実施形態5)
上記の実施形態においては、土質情報を用いて効率的な掘削動作を実行する場合について説明したが、土質情報を用いることなく効率的な掘削動作を実行する場合について説明する。
<制御システムの構成>
図15は、実施形態5に基づくホイールローダ1の制御部10Pの機能構成を説明する図である。
図15に示されるように、制御部10Pは、カメラ40およびメモリ60と接続されている。
制御部10Pは、バケット情報取得部100Cと、掘削制御部110とを含む。
バケット情報取得部100Cは、図10で説明したのと同様であるのでその詳細は説明は繰り返さない。
掘削制御部110は、バケット情報取得部100Cで取得した形態情報に基づいて掘削動作を制御する。
メモリ60は、掘削データ62と、補正データ64とを格納する。
掘削データは、掘削対象物に対してバケット情報に基づいて効率的な掘削姿勢による掘削動作を実行するための作業機3のバケット7を貫入する際の車両の速度を規定するパラメータ、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するための作動油の圧力に関するパラメータ、車両を走行させる駆動力および作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するためのエンジンの回転数に関するパラメータ等のデータを含む。当該データは一例としてシミュレーションにより予め算出したものを用いることが可能である。また、実際に駆動した場合にキャリブレーションにより補正されたデータを用いるようにしても良い。この点で、上記のバケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行するためのデータMD1と、バケット軌跡L2の掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行するためデータMD2とを含んでいてもよい。
補正データ64は、バケットの形態に基づいて掘削動作を補正するために必要なデータである。具体的には、当該補正データに基づいてバケットの形態が大きい場合には、浅堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。一方、バケットの形態が小さい場合には、深堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。例えば、種々のパラメータ(速度、圧力等)に重み付けする係数を調整することにより補正することが可能である。
掘削制御部110は、バケット情報取得部100Cで取得したバケット情報に基づいて掘削動作を制御する。具体的には、バケット判定部106Cからの形態情報に基づいて掘削姿勢を補正する。バケットの形態が小さいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として深堀り掘削パターン側となるように補正する。一方、掘削制御部110は、バケット判定部106Cからの形態情報としてバケットの形態が大きいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として浅掘り掘削パターン側となるように補正する。
バケットの形態としてバケットが大きい場合には深掘り掘削パターン側ではなく、浅掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。一方、バケットの形態としてバケットが小さい場合には浅掘り掘削パターン側ではなく、深掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。バケットが大きいほど貫入抵抗が大きいためバケット7を貫入する際にバケットが小さい場合と比べて車両を走行させる駆動力が必要となるとともに、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)も十分に必要となるからである。
当該処理により、実施形態5に基づくホイールローダは、バケットの形態情報に基づいて効率的な掘削動作を実行することが可能である。
(実施形態6)
また、土質情報を用いることなく効率的な掘削動作を実行する別の場合について説明する。
<制御システムの構成>
図16は、実施形態6に基づくホイールローダ1の制御部10Qの機能構成を説明する図である。
図16に示されるように、制御部10Qは、カメラ40、歪みセンサ70およびメモリ60と接続されている。歪みセンサ70は、バケット7の取付ピンに設けられるものとする。
歪みセンサ70として、一例としてストレインゲージを設けることが可能であり、掘削対象物に対する掘削反力を検出する。
制御部10Qは、負荷算出部108と、負荷判定部109と、掘削制御部110とを含む。
負荷算出部108および負荷判定部109は、図13で説明したのと同様であるのでその詳細は説明は繰り返さない。
掘削制御部110は、負荷判定部109で判定された負荷のレベルに基づいて掘削動作を制御する。
メモリ60は、掘削データ62と、補正データ65とを格納する。
掘削データは、掘削対象物に対して負荷情報に基づいて効率的な掘削姿勢による掘削動作を実行するための作業機3のバケット7を貫入する際の車両の速度を規定するパラメータ、作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するための作動油の圧力に関するパラメータ、車両を走行させる駆動力および作業機を上昇させる駆動力(リフト力)を確保するためのエンジンの回転数に関するパラメータ等のデータを含む。当該データは一例としてシミュレーションにより予め算出したものを用いることが可能である。また、実際に駆動した場合にキャリブレーションにより補正されたデータを用いるようにしても良い。この点で、上記のバケット軌跡L1の掘削動作(浅掘り掘削パターン)を実行するためのデータMD1と、バケット軌跡L2の掘削動作(深堀り掘削パターン)を実行するためデータMD2とを含んでいてもよい。
補正データ65は、作業負荷のレベルに基づいて掘削動作を補正するために必要なデータである。具体的には、当該補正データに基づいて作業負荷のレベルが大きい場合には、浅堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。一方、作業負荷のレベルが小さい場合には、深堀り掘削パターン側に掘削動作を補正する。例えば、種々のパラメータ(速度、圧力等)に重み付けする係数を調整することにより補正することが可能である。
掘削制御部110は、負荷判定部109からの作業負荷情報に基づいて掘削動作を制御する。具体的には、負荷判定部109からの作業負荷のレベルに基づいて掘削姿勢を補正する。作業負荷のレベルが小さいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として深堀り掘削パターン側となるように補正する。一方、掘削制御部110は、負荷判定部109からの負荷情報に基づいて作業負荷のレベルが大きいとの判定情報を受けた場合には、バケット軌跡として浅掘り掘削パターン側となるように補正する。
作業負荷のレベルとして作業負荷が大きい場合には深掘り掘削パターン側ではなく、浅掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。一方、作業負荷のレベルとして作業負荷が小さい場合には浅掘り掘削パターン側ではなく、深掘り掘削パターン側に補正する方が効率的な掘削動作が可能である。作業負荷が大きいほど作業機を上昇させる駆動力(リフト力)が十分に必要となるからである。
当該処理により、実施形態6に基づくホイールローダは、掘削対象物に対する作業負荷に基づいて効率的な掘削動作を実行することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。