JP2019200278A - 反射防止部材及び映像表示システム - Google Patents
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Abstract
【課題】色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を従来よりも低減することができる反射防止部材を提供する。【解決手段】反射防止部材T100は、光源を備えた建物に配置され、光源からの光線の反射を低減する・反射防止部材T100は、板状の基板T110と、基板T110の1つの表面において第1の方向に延在するように形成された少なくとも1つの突起物T120とを含む。突起物T120は、第1の方向に交差する反射防止部材T100の断面において、突起物T120の先端部の点T121と、透明スクリーン20の直接透過光31に対応し、先端部の点T121を通る第1の直線が基板T110の表面に交差する第1の交点T111と、観察者80の視線81に対応し、先端部の点T121を通る第2の直線が基板T110の表面に交差する第2の交点T112とから形成される三角形の内部に突起物T120が含まれるような断面形状を有する。【選択図】図3
Description
本開示は、光源を備えた建物に配置され、前記光源からの光線の反射を低減する反射防止部材に関し、また、そのような反射防止部材を含む映像表示システムに関する。
近年、背景を透過させる透明性を有しつつ、投射型の映像表示装置(プロジェクタ)から投射された映像を拡散反射あるいは拡散透過させて表示する透明スクリーンが提案されている。例えば、透明スクリーンを高層ビルの窓に設置して、夜景に映像を重畳させて表示してもよい。また、透明スクリーンを店舗の展示ウィンドウに設置して、商品に映像を重ねて表示してもよい。また、透明スクリーンを用いて、ライブイベントなどで空中に映像が表示されたかのように演出してもよい。このように、透明スクリーンを備える映像表示システムは、プロジェクタによる新しい映像表現を実現するシステムとして期待されている。
例えば特許文献1〜3は、散乱層を備える透明スクリーンを開示している。この散乱層は、透明体の内部に特殊な拡散微粒子を微量に分散させて形成される。散乱層を備える透明スクリーンは、プロジェクタから投射された映像がスクリーンの反対側へ散乱して透過する前方散乱特性と、映像がプロジェクタと同じ側へ散乱して反射する後方散乱特性とを有する。このため、散乱層を備える透明スクリーンは、スクリーンの背面(観察者と逆の側)から映像を投射して透過像として映像を表示する透過型スクリーンとして適用可能であり、また、スクリーンの前面(観察者と同じ側)から映像を投射して反射像として映像を表示する反射型スクリーンとしても適用可能である。言い換えると、散乱層を備える透明スクリーンは、透過型スクリーン及び反射型スクリーンのいずれかとして、あるいは両用として適用可能である。
上述したように、特許文献1〜3によれば透過型又は反射型の透明スクリーンが得られ、これにより、透明スクリーンの背景を観察しつつ、投射された映像を鑑賞することができる。
このような透明スクリーンの背景を観察するためには、透明スクリーンへの入射光のうちの少なくとも一部を直接透過させる必要がある。通常は透明性を優先する用途が多く、透明スクリーンは入射光の50%〜80%を直接透過させる。また、空気との界面となる透明スクリーンの表面に凹凸があると、光が散乱して透過しない。ゆえに、光を直接透過するために、透明スクリーンは平滑な表面を有する必要がある。従って、透明スクリーンの表面に散乱層が形成されている場合であっても、透明スクリーンの表面の領域のうちの50%以上が平滑である必要がある。透明スクリーンの内部に散乱層が形成される場合は、一般に、透明スクリーンの全面を平滑にする。
そのような透明スクリーンに前面から映像を投射する場合、透明スクリーンの平滑な表面への入射光の一部は、透明スクリーンの表面で鏡面反射する(鏡面反射光)。プロジェクタから出力される映像光は局所的に高い指向性を有し、その鏡面反射光は高輝度である。従って、観察者が鏡面反射光を直接に観察すると幻惑されて映像を認識できなくなる。一方、そのような透明スクリーンに背面から映像を投射する場合、透明スクリーンへの入射光の一部は拡散されるが、大部分は直線的に透過する(直接透過光)。従って、この場合もまた、前面投射方式の場合と同様に、観察者が直接透過光を直に観察すると幻惑されて映像を認識できなくなる。従って、例えば透明スクリーンが天井及び床に対して垂直に設けられる場合、想定される観察者の位置に鏡面反射光あるいは直接透過光が向かわないように、天井の近傍から下方へ向けて、或いは、床の近傍から上方へ向けて、広角度で映像を投射する。
しかしながら、透明スクリーンにより発生した鏡面反射光及び直接透過光が天井、床、あるいは壁に到達して不要像を形成することがある。このような不要像は、透明スクリーンに表示される映像及び背景を観察する観察者にとって目障りとなり、背景も含めた映像表示システムの表示品位を損なうこととなる。
なお、鏡面反射光による不要像の形成は、必ずしも透明スクリーンを使用する場合に限るものではなく、入射光の一部を拡散反射し、かつ、入射光の他の一部を鏡面反射する特性を有する半透明又は不透明なスクリーンを使用する場合にも生じる可能性がある。
このような不要像は、例えば、鏡面反射光又は直接透過光が到達する天井、床、あるいは壁を暗色(例えば黒色)に塗装すること、又は、暗色(例えば黒色)のシートを張り付けること、などにより抑制可能である。しかしながら、このような暗色領域を形成しなければならないことが、映像表示システム全体の演出において色彩上の制約となってしまうという課題が生じる。
さらに、例えば特許文献4は、鏡面反射光による不要像を抑制するために、スクリーンに庇状の遮蔽物を取り付けることを開示している。しかしながら、このような遮蔽物では鏡面反射光の一部しか抑制できず、また、観察者の位置によっては遮蔽物に形成される不要像が視認される場合があり、十分な抑制効果を得ることが困難である。
本開示は、投射型の映像表示装置などの光源を備えた建物において天井、床、及び壁などの建物材料の一部として配置される反射防止部材であって、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を従来よりも低減することができる反射防止部材を提供する。本開示はまた、そのような反射防止部材を含む映像表示システムを提供する。
本開示の一態様に係る反射防止部材は、光源を備えた建物に配置され、光源からの光線の反射を低減する反射防止部材であって、板状の基板と、基板の1つの表面において第1の方向に延在するように形成された少なくとも1つの突起物とを含む。突起物は、第1の方向に交差する反射防止部材の断面において、突起物の先端部の点と、光源からの光線に対応し、先端部の点を通る第1の直線が基板の表面に交差する第1の交点と、観察者の視線に対応し、先端部の点を通る第2の直線が基板の表面に交差する第2の交点とから形成される三角形の内部に突起物が含まれるような断面形状を有する。
本開示の一態様に係る映像表示システムは、反射防止部材と、入射光の一部を拡散反射及び/又は拡散透過し、かつ、入射光の他の一部を直接透過する透明スクリーンと、透明スクリーンに映像を投射する映像表示装置とを含む。反射防止部材は、透明スクリーンを直接透過した光が到達する領域のうちの少なくとも一部に配置される。
本開示の一態様に係る反射防止部材は、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制することができる。
本開示の一態様に係る映像表示システムは、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
[1.第1の実施形態]
以下、図1〜図7を参照して、第1の実施形態に係る反射防止部材及び映像表示システムについて説明する。
以下、図1〜図7を参照して、第1の実施形態に係る反射防止部材及び映像表示システムについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る映像表示システムの構成を示す概要図である。図1の映像表示システムは、プロジェクタ10と、窓ガラス21に貼られた透明スクリーン20と、建物の天井、床、及び壁のうちの少なくとも一部(図1の例では天井90)に設けられた反射防止部材T100とを含む。
プロジェクタ10は、透明スクリーン20に対して観察者80と同じ側に、かつ、床の近傍に設置され、映像の投射光30を透明スクリーン20に投射する。
本開示では、プロジェクタ10を「光源」ともいう。図1(及び他の図面)において、太破線は、プロジェクタ10から出力された投射光30(及びその直接透過光31又は鏡面反射光32)を示す。また、図1(及び他の図面)において、太鎖線は、観察者80の視線81を示す。
透明スクリーン20は、プロジェクタ10から投射された投射光30の一部を拡散反射し、かつ、投射光30の他の一部を直接透過する。透明スクリーン20を直接透過した投射光30は、直接透過光31として反射防止部材T100に到達する。また、透明スクリーン20は、窓ガラス21を介して観察者80と逆の側に配置された商品95から到来した光を直接透過する。これにより、観察者80は、プロジェクタ10から投射されて拡散反射により透明スクリーン20上に表示された映像と、背景にある実物の商品95とを重ねて観察することができる。
反射防止部材T100は、後述するように、直接透過光31の反射であって、観察者80に視認可能な反射を低減し、これにより不要像の視認性を低減するように構成される。
観察者80が投射光30の通過範囲内に入ると、透明スクリーン20に表示される映像に影が発生してしまう。従って、投射光30の通過範囲に観察者80が入らないように、観察者80が移動可能な範囲は、建物の一部である、又は建物とは別個に設けられる構造物91等により制限されている。
図2は、第1の実施形態に係る反射防止部材T100の構造を模式的に示す斜視図である。図3は、第1の実施形態に係る反射防止部材T100の構造を模式的に示す部分断面図である。
反射防止部材T100は、X方向(「第1の方向」ともいう)及びY方向(「第2の方向」ともいう)に広がる板状の基板T110と、基板T110の1つの表面においてX方向に延在するように形成された複数の突起物T120とを含む。複数の突起物T120は、基板T110の1つの表面においてY方向に所定間隔で配置される。各突起物T120は、例えば、細長い薄板として形成されてもよい。基板T110の表面に対する突起物T120の高さは、反射防止部材T100の大きさに比べて十分に小さく設定される。これにより、反射防止部材T100は、観察者80から見ると、複数の突起物T120を含めて略平面形状の構造物として認識される。
各突起物T120は、基板T110に対して一体的に形成されてもよく、基板T110とは別個に形成されて基板T110に固定されてもよい。
図3を参照し、各突起物T120の形状について、観察者80の側から見て(n−1)番目の突起物T120(n−1)を例に説明する。ここで、点T121(n−1)は、突起物T120(n−1)に入射する直接透過光31のうち、突起物T120(n−2)に最も近い位置を通過する直接透過光31が突起物T120(n−1)に到達する位置を示す。また、点T111(n−1)は、先端部の点T121(n−1)に到達する直接透過光31が仮想的に点T121(n−1)を通過して基板T110の表面に交差する交点を示す。また、点T112(n−1)は、先端部の点T121(n−1)に到達する観察者80の視線81が仮想的に点T121(n−1)を通過して基板T110の表面に交差する交点を示す。このとき、突起物T120(n−1)は、その断面において、点T121(n−1)、点T111(n−1)、及び点T112(n−1)から形成される三角形の内部に当該突起物T120(n−1)が含まれるように形成されている。
本開示では、各点T121を、「突起物T120の先端部の点」ともいう。また、各点T121を通る直接透過光31に沿った直線を「第1の直線」ともいう。また、各点T121を通る観察者80の視線81に沿った直線を「第2の直線」ともいう。また、各点T111を「第1の交点」ともいう。また、各点T112を「第2の交点」ともいう。
次に、図3を参照し、互いに隣接する各突起物T120の関係について、突起物T120(n−1)と突起物T120(n)とを例に説明する。突起物T120(n)の先端部の点T121(n)は、点T121(n−1)を通る直接透過光31に沿った直線と、点T112(n−1)に仮想的に到達する直接透過光31に沿った直線との間の範囲(図3の区間A)に配置される。
本開示では、各点T112を通る直接透過光31に沿った直線を「第3の直線」ともいう。
複数の突起物T120のうちの互いに隣接する各一対の突起物は、上述の関係を有するように基板T110の表面に配置され、これにより、反射防止部材T100が構成される。
図4は、第1の実施形態に係る反射防止部材T100の構造、直接透過光31の投射範囲、及び観察者80の視認範囲を模式的に示す部分断面図である。図4を参照して、このような反射防止部材T100を用いた場合における、直接透過光31により形成される不要像と、観察者80の視認との関係について説明する。
突起物T120(n−1)の先端部の点T121(n−1)と、突起物T120(n)の先端部の点T121(n)との間の範囲(図4の区間B)を通る直接透過光31は、投射範囲T131(n−1)に入射する。投射範囲T131(n−1)は、突起物T120(n)の側における突起物T120(n−1)の表面と、突起物T120(n−1)から点T111(n)までの区間における基板T110の表面とを含む。このとき、互いに隣接する突起物T120の位置関係によれば、点T111(n)は点T112(n−1)を超えて突起物T120(n)の側に存在することはない。
一方、突起物T120(n−1)の先端部の点T121(n−1)と、突起物T120(n)の先端部の点T121(n)の間の範囲(図4の区間C)を通る観察者80の視線81は、観察者80が視認可能な範囲、すなわち視認範囲T132(n−1)を形成する。視認範囲T132(n−1)は、突起物T120(n−1)の側における突起物T120(n)の表面と、突起物T120(n)から点T112(n)までの区間における基板T110の表面とを含む。このとき、互いに隣接する突起物T120の位置関係によれば、点T112(n−1)は点T111(n)を超えて突起物T120(n−1)の側に存在することはない。
従って、突起物T120(n−1)と突起物T120(n)の間において、投射範囲T131(n−1)と視認範囲T132(n−1)とが互いに重なることはない。従って、透明スクリーン20を直接透過した直接透過光31の投射範囲T131(n−1)が観察者80から視認されることはない。従って、投射範囲T131(n−1)に生じる像、すなわち不要像の視認性を抑制することができる。
続いて、図5〜図7を参照して、第1の実施形態に係る映像表示システムの各構成要素の寸法について説明する。
図5は、第1の実施形態に係る映像表示システムの各構成要素の寸法を示す概要図である。点T111(c)は、透明スクリーン20の中央を透過した直接透過光31が反射防止部材T100の基板T110に仮想的に到達する位置を示す。図5〜図7の例では、主に、点T111(c)の近傍における反射防止部材T100の突起物T120の寸法が満たすべき条件について説明する。
前述のように、観察者80が移動可能な範囲は構造物91等により制限されているので、観察者80の視点は範囲83の内部に制限されている。観察者80の視点が存在しうる範囲83の中で最もプロジェクタ10の光源点10Pに近い部分を、最近接視点83Nという。
また、図5に示す各構成要素の寸法を示す以下のパラメータを用いる。
Hp: 地面からの光源点10Pまでの高さ
Dp: 光源点10Pから透明スクリーン20までの水平距離
Ls: 透明スクリーン20の高さ
Hsb:地面からの透明スクリーン20の下端までの高さ
Ht: 地面から天井90(すなわち反射防止部材T100)までの高さ
He: 地面からの最近接視点83Nまでの高さ
De: 最近接視点83Nから透明スクリーン20までの水平距離
Dp: 光源点10Pから透明スクリーン20までの水平距離
Ls: 透明スクリーン20の高さ
Hsb:地面からの透明スクリーン20の下端までの高さ
Ht: 地面から天井90(すなわち反射防止部材T100)までの高さ
He: 地面からの最近接視点83Nまでの高さ
De: 最近接視点83Nから透明スクリーン20までの水平距離
この場合、透明スクリーン20から点T111(c)までの距離Dtp(c)は、次式で表される。
図6は、第1の実施形態に係る反射防止部材T100の寸法を模式的に示す部分断面図である。
図6に示すように、突起物T120(c)の先端部の点T121(c)は、図5を参照して前述した点T111(c)に到達する直接透過光31(c)に沿った直線上に位置する。点T111(c)における基板T110に対する直接透過光31(c)の入射角θ(c)は、次式で表される。
また、点T112(c)は、最近接視点83Nから突起物T120(c)の先端部の点T121(c)に到達する観察者80の視線81(c)が仮想的に点T121(c)を通過して基板T110の表面に交差する交点を示す。点T112(c)における基板T110に対する観察者80の視線81(c)の入射角φ(c)は、次式で表される。
ここで、Ha(c)は、基板T110から突起物T120(c)の先端部の点T121(c)までの高さである。
従って、図6に示すように、突起物T120(c)が実質的に直線状の断面形状を有する薄板からなる場合、突起物T120(c)は、基板T110の表面の法線に対してθ(c)〜φ(c)の範囲内のいずれかの角度を有するように設けられる。
図7は、第1の実施形態に係る反射防止部材T100における互いに隣接する突起物T120の相対的な位置関係を模式的に示す部分断面図である。図7を参照し、互いに隣接する各突起物T120の関係について、突起物T120(c)と突起物T120(c+1)とを例に説明する。前述したように、突起物T120(c+1)の先端部の点T121(c+1)は、点T121(c)を通る直接透過光31(c)に沿った直線と、点T112(c)に仮想的に到達する直接透過光31(c+1)に沿った直線との間の範囲に配置される。図7の例では、突起物T120(c+1)の先端部の点T121(c+1)が、直接透過光31(c+1)に沿った直線上にあり、かつ、基板T110から突起物T120(c)の先端部の点T121(c)までの高さHa(c)と同じ高さに設けられた場合を示す。このとき、点T112(c)と点T111(c+1)とは同一の点となる。
ここで、点T111(c)と点T111(c+1)との距離Db(c)は、次式で表される。
また、突起物T120(c)の先端部の点T121(c)と、突起物T120(c+1
)の先端部の点T121(c+1)との距離Ds(c)は、次式で表される。
)の先端部の点T121(c+1)との距離Ds(c)は、次式で表される。
このとき、点T111(c+1)における基板T110に対する直接透過光31(c+1)の入射角θ(c+1)は、次式で表される。
さらに、点T112(c+1)は、最近接視点83Nから突起物T120(c+1)の先端部の点T121(c+1)に到達する観察者80の視線81(c+1)が仮想的に点T121(c+1)を通過して基板T110の表面に交差する交点を示す。点T112(c+1)における基板T110に対する観察者80の視線81(c+1)の入射角φ(c+1)は、次式で表される。
従って、図7に示すように、突起物T120(c+1)が実質的に直線状の断面形状を有する薄板からなる場合、突起物T120(c+1)は、基板T110の表面の法線に対してθ(c+1)〜φ(c+1)の範囲内のいずれかの角度を有するように設けられる。
第1の実施形態に係る映像表示システムは、具体的には、例えば以下の寸法を有してもよい。
Hp=450mm
Dp=800mm
Ls=1250mm
Hsb=975mm
Ht=2500mm
He=900mm
De=1500mm
Ha=20mm
Dp=800mm
Ls=1250mm
Hsb=975mm
Ht=2500mm
He=900mm
De=1500mm
Ha=20mm
Ls=1250mmのとき、透明スクリーン20が16:9のアスペクト比を有する場合、透明スクリーン20の対角寸法は100インチになる。また、Hsb=975mmのとき、透明スクリーン20の中央の高さは、公衆表示に好適な1600mmとなる。
映像表示システムが上記の寸法を有する場合、基板T110に対する直接透過光31の入射角θと、基板T110に対する観察者の視線81の入射角φと、互いに隣接する突起物T120の先端部の点T121の間の距離Dsとの算出結果を以下に示す。
直接透過光31が透明スクリーン20の上端を透過する場合:
θ=24.3度
φ=45.6度
Ds=11.3mm
θ=24.3度
φ=45.6度
Ds=11.3mm
直接透過光31が透明スクリーン20の中央を透過する場合:
θ=34.8度
φ=53.2度
Ds=12.7mm
θ=34.8度
φ=53.2度
Ds=12.7mm
直接透過光31が透明スクリーン20の下端を透過する場合:
θ=56.7度
φ=67.4度
Ds=17.4mm
θ=56.7度
φ=67.4度
Ds=17.4mm
反射防止部材T100の各突起物T120の寸法及び構造は、これらの算出結果に基づいて決定可能である。例えば、反射防止部材T100における突起物T120の位置(すなわち、透明スクリーン20のどの位置を透過した直接透過光31が到達するか)に応じて、基板T110の表面の法線に対する突起物T120の角度を決定してもよい。また、角度θの最大値が角度φの最小値以下である場合には、すべての突起物T120を、基板T110の表面の法線に対して、角度θの最大値以上かつ角度φの最小値以下の1つの同じ角度を有するように設けてもよい。
映像表示システムの各構成要素(プロジェクタ10、透明スクリーン20、及び反射防止部材T100など)を設置する位置を決めることにより、反射防止部材T100の寸法及び構造を決定することが可能となる。
また、図4の投射範囲T131の少なくとも一部では、突起物T120及び基板T110は、視認範囲T132の突起物T120及び基板T110の平均反射率よりも低い反射率を有する材料で形成されてもよい。投射範囲T131の突起物T120及び基板T110は、例えば、暗色(例えば黒色)に塗装されてもよく、又は、暗色(例えば黒色)のシート(布又は幕など)が張り付けられてもよい。これにより、投射範囲T131における直接透過光31の反射を抑制することができる。一方、視認範囲T132の突起物T120及び基板T110の材料は、直接透過光31の影響を考慮することなく、色彩上の制約なしに自由に選択することができる。視認範囲T132では、例えば、展示される商品95の特性などにあわせて、反射防止部材T100の色彩を自由にデザインすることができる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る反射防止部材T100によれば、透明スクリーン20を備える映像表示システムにおいて、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制することができる。従って、反射防止部材T100を備えた映像表示システムは、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
第1の実施形態に係る反射防止部材及び映像表示システムは、以下の構成を備える。
第1の実施形態に係る反射防止部材T100は、光源を備えた建物に配置され、光源からの光線の反射を低減する・反射防止部材T100は、板状の基板T110と、基板T110の1つの表面において第1の方向に延在するように形成された少なくとも1つの突起物T120とを含む。突起物T120は、第1の方向に交差する反射防止部材T100の断面において、突起物T120の先端部の点T121と、透明スクリーン20の直接透過光31に対応し、先端部の点T121を通る第1の直線が基板T110の表面に交差する第1の交点T111と、観察者80の視線81に対応し、先端部の点T121を通る第2の直線が基板T110の表面に交差する第2の交点T112とから形成される三角形の内部に突起物T120が含まれるような断面形状を有する。
このような反射防止部材T100を、投射型の映像表示装置などの光源を備えた建物において天井、床、及び壁などの建物材料の一部として配置することにより、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制することができる。
第1の実施形態に係る反射防止部材T100は、基板T110の1つの表面において第1の方向に交差する第2の方向に所定間隔で配置された複数の突起物T120を含んでもよい。断面において、複数の突起物T120のうちの互いに隣接する第1及び第2の突起物T120を含む各一対の突起物T120において、第2の突起物T120の先端部は、第1の突起物T120に係る第1の直線と、透明スクリーン20の直接透過光31に対応し、第1の突起物T120に係る第2の交点T112を通る第3の直線との間に配置される。
これにより、反射防止部材T100が複数の突起物T120を含む場合、直接透過光31の投射範囲と観察者80の視認範囲とを互いに重ならないようにすることができる。
第1の実施形態に係る映像表示システムは、反射防止部材T100と、入射光の一部を拡散反射及び/又は拡散透過し、かつ、入射光の他の一部を直接透過する透明スクリーン20と、透明スクリーン20に映像を投射するプロジェクタ10とを含む。反射防止部材T100は、透明スクリーン20を直接透過した光が到達する領域のうちの少なくとも一部に配置される。
これにより、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
第1の実施形態に係る映像表示システムにおいて、反射防止部材T100の表面のうち、プロジェクタ10からの光が入射する領域のうちの少なくとも一部は、プロジェクタ10からの光が入射しない領域の平均反射率よりも低い反射率を有する材料で形成されてもよい。
これにより、不要像の視認性をさらに抑制することができる。
[2.第2の実施形態]
前述のごとく、透明スクリーンの表面で鏡面反射する場合、鏡面反射光による不要像が発生することがある。第2の実施形態では、そのような鏡面反射光による不要像を抑制するための反射防止部材及び映像表示システムについて説明する。
前述のごとく、透明スクリーンの表面で鏡面反射する場合、鏡面反射光による不要像が発生することがある。第2の実施形態では、そのような鏡面反射光による不要像を抑制するための反射防止部材及び映像表示システムについて説明する。
以下、図8〜図10を参照して、第2の実施形態に係る反射防止部材及び映像表示システムについて説明する。
図8は、第2の実施形態に係る映像表示システムの構成を示す概要図である。図8の映像表示システムは、プロジェクタ10と、窓ガラス21に貼られた透明スクリーン20と、建物の天井、床、及び壁のうちの少なくとも一部(図1の例では天井92)に設けられた反射防止部材R200とを含む。
プロジェクタ10は、透明スクリーン20に対して観察者80と同じ側に、かつ、床の近傍に設置され、映像の投射光30を透明スクリーン20に投射する。
透明スクリーン20は、プロジェクタ10から投射された投射光30の一部を拡散反射し、かつ、投射光30の他の一部を鏡面反射する。透明スクリーン20で鏡面反射した投射光30は、鏡面反射光32として反射防止部材R200に到達する。また、透明スクリーン20は、投射光30の他の一部を直接透過する。透明スクリーン20を直接透過した投射光30は、直接透過光31として天空に向かって直進するので、観察者80から映像として視認されることはない。また、透明スクリーン20は、窓ガラス21を介して観察者80の逆の側にある背景500から到来した光を直接透過する。これにより、観察者80は、プロジェクタ10から投射されて拡散反射により透明スクリーン20上に表示された映像と、背景500とを重ねて観察することができる。
反射防止部材R200は、後述するように、鏡面反射光32の反射であって、観察者80に視認可能な反射を低減し、これにより不要像の視認性を低減するように構成される。
観察者80が投射光30の通過範囲内に入ると、透明スクリーン20に表示される映像に影が発生してしまう。また、観察者80が鏡面反射光32の通過範囲内に入ると、鏡面反射光32が映像(拡散反射光)に重なってしまういわゆるホットスポットが発生し、投射された映像を正常に観察できなくなる。このため、投射光30及び鏡面反射光32の通過範囲に観察者80が入らないように、観察者80が移動可能な範囲は、建物の一部である、又は建物とは別個に設けられる構造物91等により制限されている。
図9は、第2の実施形態に係る反射防止部材R200の構造を模式的に示す部分断面図である。
反射防止部材R200は、第1の実施形態に係る反射防止部材T100と実質的に同様に構成される。反射防止部材R200は、X方向(YZ面に垂直な方向;「第1の方向」ともいう)及びY方向(「第2の方向」ともいう)に延在する板状の基板R210と、基板R210の1つの表面においてX方向に延在するように形成された複数の突起物R220とを含む。複数の突起物R220は、基板R210の1つの表面においてY方向に所定間隔で配置される。各突起物R220は、例えば、細長い薄板として形成されてもよい。基板R210の表面に対する突起物R220の高さは、反射防止部材R200の大きさに比べて十分に小さく設定される。これにより、反射防止部材R200は、観察者80から見ると、複数の突起物R220を含めて略平面形状の構造物として認識される。
ここで、各突起物R220の形状について、観察者80の側から見て(n−1)番目の突起物R220(n−1)を例に説明する。ここで、点R221(n−1)は、突起物R220(n−1)に入射する鏡面反射光32のうち、突起物R220(n−2)に最も近い位置を通過する鏡面反射光32が突起物R220(n−1)に到達する位置を示す。また、点R211(n−1)は、先端部の点R221(n−1)に到達する鏡面反射光32が仮想的に点R221(n−1)を通過して基板R210の表面に交差する交点を示す。また、点R212(n−1)は、先端部の点R221(n−1)に到達する観察者80の視線81が仮想的に点R221(n−1)を通過して基板R210の表面に交差する交点を示す。このとき、突起物R220(n−1)は、その断面において、点R221(n−1)、点R211(n−1)、及び点R212(n−1)から形成される三角形の内部に当該突起物R220(n−1)が含まれるように形成されている。
本開示では、各点R221を、「突起物R220の先端部の点」ともいう。また、各点R221を通る鏡面反射光32に沿った直線を「第1の直線」ともいう。また、各点R221を通る観察者80の視線81に沿った直線を「第2の直線」ともいう。また、各点R211を「第1の交点」ともいう。また、各点R212を「第2の交点」ともいう。
次に、互いに隣接する各突起物R220の関係について、突起物R220(n−1)と突起物R220(n)とを例に説明する。突起物R220(n)の先端部の点R221(n)は、点R221(n−1)を通る鏡面反射光32に沿った直線と、点R212(n−1)に仮想的に到達する鏡面反射光32に沿った直線との間の範囲(図9の区間D)に配置される。
本開示では、各点R212を通る鏡面反射光32に沿った直線を「第3の直線」ともいう。
複数の突起物R220のうちの互いに隣接する各一対の突起物は、上述の関係を有するように基板R210の表面に配置され、これにより、反射防止部材R200が構成される。
図10は、第2の実施形態に係る反射防止部材R200の構造、鏡面反射光32の投射範囲、及び観察者80の視認範囲を模式的に示す部分断面図である。図10を参照して、このような反射防止部材R200を用いた場合における、鏡面反射光32により形成される不要像と、観察者80の視認の関係について説明する。
突起物R220(n−1)の先端部の点R221(n−1)と、突起物R220(n)の先端部の点R221(n)との間の範囲(図10の区間E)を通る鏡面反射光32は、投射範囲R231(n−1)に入射する。投射範囲R231(n−1)は、突起物R220(n)の側における突起物R220(n−1)の表面と、突起物R220(n−1)から点R211(n)までの区間における基板R210の表面とを含む。このとき、互いに隣接する突起物R220の位置関係によれば、点R211(n)は点R212(n−1)を超えて突起物R220(n)の側に存在することはない。
一方、突起物R220(n−1)の先端部の点R221(n−1)と、突起物R220(n)の先端部の点R221(n)の間の範囲(図10の区間F)を通る観察者80の視線81は、観察者80が視認可能な範囲、すなわち視認範囲R232(n−1)を形成する。視認範囲R232(n−1)は、突起物R220(n−1)の側における突起物R220(n)の表面と、突起物R220(n)から点R212(n)までの区間における基板R210の表面とを含む。このとき、互いに隣接する突起物R220の位置関係によれば、点R212(n−1)は点R211(n)を超えて突起物R220(n−1)の側に存在することはない。
従って、突起物R220(n−1)と突起物R220(n)の間において、投射範囲R231(n−1)と視認範囲R232(n−1)とが互いに重なることはない。従って、透明スクリーン20で鏡面反射された鏡面反射光32の投射範囲R231(n−1)が観察者80から視認されることはない。従って、投射範囲R231(n−1)に生じる像、すなわち不要像の視認性を抑制することができる。
第1の実施形態の場合と同様に、映像表示システムの各構成要素(プロジェクタ10、スクリーン20、及び反射防止部材R200など)を設置する位置を決めることにより、反射防止部材R200の寸法及び構造を決定することが可能となる。
また、図10の投射範囲R231の少なくとも一部では、突起物R220及び基板R210は、視認範囲R232の突起物R220及び基板R210の平均反射率よりも低い反射率を有する材料で形成されてもよい。投射範囲R231の突起物R220及び基板R210は、例えば、暗色(例えば黒色)に塗装されてもよく、又は、暗色(例えば黒色)のシート(布又は幕など)が張り付けられてもよい。これにより、投射範囲R231における鏡面反射光32の反射を抑制することができる。一方、視認範囲R232の突起物R220及び基板R210の材料は、鏡面反射光32の影響を考慮することなく、色彩上の制約なしに自由に選択することができる。視認範囲R232では、反射防止部材R200の色彩を自由にデザインすることができる。
以上説明したように、第2の実施形態に係る反射防止部材R200によれば、透明スクリーン20を備える映像表示システムにおいて、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制することができる。従って、反射防止部材R200を備えた映像表示システムは、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
第2の実施形態に係る反射防止部材及び映像表示システムは、以下の構成を備える。
第2の実施形態に係る反射防止部材R200は、光源を備えた建物に配置され、光源からの光線の反射を低減する。反射防止部材R200は、板状の基板R210と、反射防止部材R200は、基板R210の1つの表面において第1の方向に延在するように形成された少なくとも1つの突起物R220とを含む。突起物R220は、第1の方向に交差する反射防止部材R200の断面において、突起物R220の先端部の点R221と、透明スクリーン20の鏡面反射光32に対応し、先端部の点R221を通る第1の直線が基板R210の表面に交差する第1の交点R211と、観察者80の視線81に対応し、先端部の点R221を通る第2の直線が基板R210の表面に交差する第2の交点R212とから形成される三角形の内部に突起物R220が含まれるような断面形状を有する。
このような反射防止部材R200を、投射型の映像表示装置などの光源を備えた建物において天井、床、及び壁などの建物材料の一部として配置することにより、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制することができる。
第2の実施形態に係る反射防止部材R200は、基板R210の1つの表面において第1の方向に交差する第2の方向に所定間隔で配置された複数の突起物R220を含んでもよい。断面において、複数の突起物R220のうちの互いに隣接する第1及び第2の突起物R220を含む各一対の突起物R220において、第2の突起物R220の先端部は、第1の突起物R220に係る第1の直線と、透明スクリーン20の鏡面反射光32に対応し、第1の突起物R220に係る第2の交点R212を通る第3の直線との間に配置される。
これにより、反射防止部材R200が複数の突起物R220を含む場合、直接透過光31の投射範囲と観察者80の視認範囲とを互いに重ならないようにすることができる。
第2の実施形態に係る映像表示システムは、反射防止部材R200と、入射光の一部を拡散反射及び/又は拡散透過し、かつ、入射光の他の一部を鏡面反射する透明スクリーン20と、透明スクリーン20に映像を投射するプロジェクタ10とを含む。反射防止部材R200は、透明スクリーン20によって鏡面反射した光が到達する領域のうちの少なくとも一部に配置される。
これにより、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
第2の実施形態に係る映像表示システムにおいて、反射防止部材R200の表面のうち、プロジェクタ10からの光が入射する領域のうちの少なくとも一部は、プロジェクタ10からの光が入射しない領域の平均反射率よりも低い反射率を有する材料で形成されてもよい。
これにより、不要像の視認性をさらに抑制することができる。
[3.第3の実施形態]
次に、第3の実施形態では、プロジェクタ10が透明スクリーン20に対して観察者80と逆の側に設けられ、プロジェクタ10から透明スクリーン20に映像を投射して拡散透過により映像を表示する映像表示システムについて説明する。
次に、第3の実施形態では、プロジェクタ10が透明スクリーン20に対して観察者80と逆の側に設けられ、プロジェクタ10から透明スクリーン20に映像を投射して拡散透過により映像を表示する映像表示システムについて説明する。
以下、図11を参照して、第3の実施形態に係る映像表示システムについて説明する。
図11は、第3の実施形態に係る映像表示システムの構成を示す概要図である。 図11の映像表示システムは、プロジェクタ10と、窓ガラス21に貼られた透明スクリーン20と、建物の天井、床、及び壁のうちの少なくとも一部(図11の例では天井90、92)に設けられた反射防止部材RI300、TO400とを含む。
プロジェクタ10は、透明スクリーン20に対して観察者80と逆の側に、かつ、床の近傍に設置され、映像の投射光30を透明スクリーン20に投射する。
透明スクリーン20は、プロジェクタ10から投射された投射光30の一部を拡散透過し、投射光30の他の一部を鏡面反射し、かつ、投射光30の他の一部を直接透過する。透明スクリーン20で鏡面反射した投射光30は、鏡面反射光32として反射防止部材RI300に到達する。透明スクリーン20を直接透過した投射光30は、直接透過光31として反射防止部材TO400に到達する。また、透明スクリーン20は、窓ガラス21を介して観察者80と逆の側に配置された商品95から到来した光を直接透過する。これにより、観察者80は、プロジェクタ10から投射されて拡散反射により透明スクリーン20上に表示された映像と、背景にある実物の商品95とを重ねて観察することができる。
反射防止部材RI300は、鏡面反射光32の反射であって、観察者80に視認可能な反射を低減し、これにより不要像の視認性を低減するように構成される。同様に、反射防止部材TO400は、直接透過光31の反射であって、観察者80に視認可能な反射を低減し、これにより不要像の視認性を低減するように構成される。
観察者80が直接透過光31の通過範囲内に入ると、直接透過光31が映像(拡散透過光)に重なってしまういわゆるホットスポットが発生し、投射された映像を正常に観察できなくなる。このため、直接透過光31の通過範囲に観察者80が入らないように、観察者80が移動可能な範囲は構造物91等により制限されている。
反射防止部材RI300は、第1の実施形態に係る反射防止部材T100と実質的に同様に構成され、基板と、基板の1つの表面において形成された複数の突起物とを含む(共に図示せず)。反射防止部材RI300の構造、鏡面反射光32の投射範囲、及び観察者80の視認範囲は、図3及び図4を参照して説明した第1の実施形態に係る反射防止部材T100の構造、直接透過光31の投射範囲、及び観察者80の視認範囲と同様に設定される。これにより、反射防止部材RI300において、互いに隣接する突起物の間において、投射範囲と視認範囲とが互いに重なることはない。従って、透明スクリーン20で鏡面反射した鏡面反射光32の投射範囲が観察者80から視認されることはない。従って、投射範囲に生じる像、すなわち不要像の視認性を抑制することができる。
反射防止部材TO400は、第2の実施形態に係る反射防止部材R200と実質的に同様に構成され、基板と、基板の1つの表面において形成された複数の突起物とを含む(共に図示せず)。反射防止部材TO400の構造、直接透過光31の投射範囲、及び観察者80の視認範囲は、図9及び図10を参照して説明した第2の実施形態に係る反射防止部材R200の構造、鏡面反射光32の投射範囲、及び観察者80の視認範囲と同様に設定される。これにより、反射防止部材TO400において、互いに隣接する突起物の間において、投射範囲と視認範囲とが互いに重なることはない。従って、透明スクリーン20を直接透過した直接透過光31の投射範囲が観察者80から視認されることはない。従って、投射範囲に生じる像、すなわち不要像の視認性を抑制することができる。
以上説明したように、第3の実施形態に係る反射防止部材RI300、TO400によれば、透明スクリーン20を備える映像表示システムにおいて、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制することができる。従って、反射防止部材RI300、TO400を備えた映像表示システムは、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
第3の実施形態に係る映像表示システムは、以下の構成を備える。
第3の実施形態に係る映像表示システムは、反射防止部材RI300、TO400と、入射光の一部を拡散反射及び/又は拡散透過し、入射光の他の一部を直接透過し、かつ、入射光の他の一部を鏡面反射する透明スクリーン20と、透明スクリーン20に映像を投射するプロジェクタ10とを含む。反射防止部材RI300、TO400は、透明スクリーン20を直接透過した光が到達する領域及び透明スクリーン20によって鏡面反射した光が到達する領域のうちの少なくとも一部に配置される。
これにより、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
[他の実施形態]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として第1〜第3の実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記第1〜第3の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として第1〜第3の実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記第1〜第3の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施形態を例示する。
図12は、第1の実施形態の変形例に係る反射防止部材T100Aの構造を模式的に示す部分断面図である。第1〜第3の実施形態では、各突起物が実質的に直線状の断面形状を有する薄板からなる場合について説明したが、各突起物は他の形状を有してもよい。図12の例では、突起物T120A(n−1)は、その断面において、点T121(n−1)、点T111(n−1)、及び点T112(n−1)から形成される三角形の内部に当該突起物T120A(n−1)が含まれるように、くさび形に形成されている。図3及び図4を参照して説明したように、又は、図9及び図10を参照して説明したように、投射範囲と視認範囲とが互いに重ならないのであれば、第1〜第3の実施形態に係る反射防止部材の各突起物は、直線状又はくさび形に限らず、他の任意の断面形状を有してもよい。
図2他では、反射防止部材が複数の突起部を含む場合について説明したが、投射範囲と視認範囲とが互いに重ならないのであれば、反射防止部材は1つの突起部のみを含んでもよい。
図2では、反射防止部材T100の各突起物T120がX方向において直線状に形成される場合を例示したが、投射範囲と視認範囲とが互いに重ならないのであれば、各突起物は、それらの長手方向において、少なくとも部分的に屈曲又は湾曲していてもよい。
図2他では、反射防止部材の基板が平坦である場合を例示したが、投射範囲と視認範囲とが互いに重ならないのであれば、基板は少なくとも部分的に曲面状に形成されてもよい。
第1〜第3の実施形態では、プロジェクタを床の近傍に設置し、天井に到達する直接透過光又は鏡面反射光による不要像の視認性を低減するために反射防止部材を天井に設ける場合について説明したが、プロジェクタ及び反射防止部材の位置はこれに限定されない。例えば、プロジェクタを天井の近傍又は透明スクリーンの上方に設置したとき、直接透過光又は鏡面反射光が、床又は壁など、天井以外の位置に到達することもある。従って、直接透過光又は鏡面反射光が到達する位置に応じて、反射防止部材を床又は壁などに設けてもよい。この場合であっても、図3及び図4を参照して説明した条件又は図9及び図10を参照して説明した条件を満たすように反射防止部材を構成することにより、反射防止部材を備えた映像表示システムは、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
第2の実施形態においては、背景500から到来した光を透過する透明スクリーンを含む映像表示システムの例について説明したが、透明スクリーンの特性はそれに限るものではない。映像表示システムは、例えば、プロジェクタ10から投射された投射光30の一部を拡散反射し、かつ、投射光30の他の一部を鏡面反射する特性を有する半透明又は不透明なスクリーンを含んでもよい。この場合であっても、映像表示システムは、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制し、高品位の映像を表示することができる。
第1〜第3の実施形態では、映像表示装置としてプロジェクタ10を使用した例を示したが、映像表示装置はこれに限るものではない。例えば、レーザースキャン方式の画像表示装置などを使用することも可能である。
第1〜第3の実施形態に係る反射防止部材は、プロジェクタ10により透明スクリーンに映像を表示する場合に限らず、直接透過光又は鏡面反射光による不要像の視認性を低減することが望まれる任意の場合に適用可能である。例えば、プロジェクタ及び透明スクリーンに代えて照明装置などの光源を備えるシステムにおいて、窓ガラスを介して設けられた商品などを照明装置により照明する場合、窓ガラスによって発生した直接透過光又は鏡面反射光が天井、床、あるいは壁に到達して不要像を形成することがある。実施形態に係る反射防止部材を天井、床、あるいは壁に設けることにより、色彩上の制約を有することなく、不要像の視認性を抑制することができる。
なお、上述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、投射型の映像表示装置と、入射光の拡散反射又は拡散透過により映像を表示する透明スクリーンとを含む映像表示システムに適用可能である。
10…プロジェクタ、
10P…光源点、
20…透明スクリーン、
21…窓ガラス、
30…投射光、
31…直接透過光、
32…鏡面反射光、
80…観察者、
81…観察者の視線、
83…観察者の視点が存在しうる範囲、
83N…最近接視点、
T100…反射防止部材、
T110…基板、
T111…点T121を通る観察者の視線81が基板T110の表面と交差する交点、
T112…点T121を通る直接透過光31が基板T110の表面と交差する交点、
T120,T120A…突起物、
T121…突起物T120の先端部の点、
T131…投射範囲、
T132…視認範囲、
T200…反射防止部材、
R210…基板、
R211…点R221を通る観察者の視線81が基板R210の表面と交差する交点、
R212…点R221を通る鏡面反射光32が基板R210の表面と交差する交点、
R220…突起物、
R221…突起物R220の先端部の点、
T231…投射範囲、
T232…視認範囲、
RI300…反射防止部材、
TO400…反射防止部材、
500…背景。
10P…光源点、
20…透明スクリーン、
21…窓ガラス、
30…投射光、
31…直接透過光、
32…鏡面反射光、
80…観察者、
81…観察者の視線、
83…観察者の視点が存在しうる範囲、
83N…最近接視点、
T100…反射防止部材、
T110…基板、
T111…点T121を通る観察者の視線81が基板T110の表面と交差する交点、
T112…点T121を通る直接透過光31が基板T110の表面と交差する交点、
T120,T120A…突起物、
T121…突起物T120の先端部の点、
T131…投射範囲、
T132…視認範囲、
T200…反射防止部材、
R210…基板、
R211…点R221を通る観察者の視線81が基板R210の表面と交差する交点、
R212…点R221を通る鏡面反射光32が基板R210の表面と交差する交点、
R220…突起物、
R221…突起物R220の先端部の点、
T231…投射範囲、
T232…視認範囲、
RI300…反射防止部材、
TO400…反射防止部材、
500…背景。
Claims (6)
- 光源を備えた建物に配置され、前記光源からの光線の反射を低減する反射防止部材であって、
板状の基板と、
前記基板の1つの表面において第1の方向に延在するように形成された少なくとも1つの突起物とを含み、
前記突起物は、前記第1の方向に交差する前記反射防止部材の断面において、前記突起物の先端部の点と、光源からの光線に対応し、前記先端部の点を通る第1の直線が前記基板の表面に交差する第1の交点と、観察者の視線に対応し、前記先端部の点を通る第2の直線が前記基板の表面に交差する第2の交点とから形成される三角形の内部に前記突起物が含まれるような断面形状を有する、
反射防止部材。 - 前記反射防止部材は、前記基板の1つの表面において前記第1の方向に交差する第2の方向に所定間隔で配置された複数の突起物を含み、
前記断面において、前記複数の突起物のうちの互いに隣接する第1及び第2の突起物を含む各一対の突起物において、前記第2の突起物の先端部は、前記第1の突起物に係る前記第1の直線と、前記光源からの光線に対応し、前記第1の突起物に係る前記第2の交点を通る第3の直線との間に配置された、
請求項1記載の反射防止部材。 - 請求項1又は2記載の反射防止部材と、
入射光の一部を拡散反射及び/又は拡散透過し、かつ、前記入射光の他の一部を直接透過する透明スクリーンと、
前記透明スクリーンに映像を投射する映像表示装置とを含み、
前記反射防止部材は、前記透明スクリーンを直接透過した光が到達する領域のうちの少なくとも一部に配置された、
映像表示システム。 - 請求項1又は2記載の反射防止部材と、
入射光の一部を拡散反射及び/又は拡散透過し、かつ、前記入射光の他の一部を鏡面反射する透明スクリーンと、
前記透明スクリーンに映像を投射する映像表示装置とを含み、
前記反射防止部材は、前記透明スクリーンによって鏡面反射した光が到達する領域のうちの少なくとも一部に配置された、
映像表示システム。 - 請求項1又は2記載の反射防止部材と、
入射光の一部を拡散反射及び/又は拡散透過し、前記入射光の他の一部を直接透過し、かつ、前記入射光の他の一部を鏡面反射する透明スクリーンと、
前記透明スクリーンに映像を投射する映像表示装置とを含み、
前記反射防止部材は、前記透明スクリーンを直接透過した光が到達する領域及び前記透明スクリーンによって鏡面反射した光が到達する領域のうちの少なくとも一部に配置された、
映像表示システム。 - 前記反射防止部材の表面のうち、前記映像表示装置からの光が入射する領域のうちの少なくとも一部は、前記映像表示装置からの光が入射しない領域の平均反射率よりも低い反射率を有する材料で形成された、
請求項3〜5のうちの1つに記載の映像表示システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018094022A JP2019200278A (ja) | 2018-05-15 | 2018-05-15 | 反射防止部材及び映像表示システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018094022A JP2019200278A (ja) | 2018-05-15 | 2018-05-15 | 反射防止部材及び映像表示システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019200278A true JP2019200278A (ja) | 2019-11-21 |
Family
ID=68612081
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018094022A Pending JP2019200278A (ja) | 2018-05-15 | 2018-05-15 | 反射防止部材及び映像表示システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019200278A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7476707B2 (ja) | 2020-07-30 | 2024-05-01 | 大日本印刷株式会社 | 透明スクリーンシステム |
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2018
- 2018-05-15 JP JP2018094022A patent/JP2019200278A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7476707B2 (ja) | 2020-07-30 | 2024-05-01 | 大日本印刷株式会社 | 透明スクリーンシステム |
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