JP2019200065A - 粘着特性評価方法、及び粘着特性評価装置 - Google Patents

粘着特性評価方法、及び粘着特性評価装置 Download PDF

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Kohei Matsumori
孝平 松森
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尚美 北村
直輝 齋藤
Naoki Saito
直輝 齋藤
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Takayuki Kameoka
嵩幸 亀岡
裕之 梶本
Hiroyuki Kajimoto
裕之 梶本
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Abstract

【課題】皮膚外用剤の粘着特性をより正確に評価できる方法を提供する。【解決手段】粘着特性評価方法において、皮膚外用剤80が塗布された被塗布面(所定面)Sに接触子Cを載せた状態を示す。接触子Cは人の指である。皮膚外用剤の塗布領域における粘着力の分布に基づいて、前記皮膚外用剤の粘着特性を評価する。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着特性評価方法、及び粘着特性評価装置に関する。
皮膚外用剤の使用感(塗布時及び塗布後の触感を含む)は、消費者が皮膚外用剤を選ぶ上での重要な指標となり得る。そのため、皮膚外用剤の使用感を客観的に評価することが求められている。
使用感を評価する従来の方法としては、物理的な測定値に基づく評価方法が知られている。例えば、特許文献1には、皮膚外用剤を塗布した後の肌なじみ感、浸透感及び/又はべたつき感を、剥離力及び残存率を計測することにより評価する、ぬり心地評価方法が記載されている。
特開2017−101063号公報
しかしながら、皮膚外用剤の使用感、特に粘着性に関連する特性(粘着性に関連する触感を含む)の評価に関し、より正確な評価方法が求められている。
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、皮膚外用剤の粘着特性をより正確に評価できる方法を提供する。
本発明の一態様によれば、粘着特性評価方法は、皮膚外用剤の塗布領域における粘着力の分布に基づいて、前記皮膚外用剤の粘着特性を評価する。
本発明の一態様によれば、皮膚外用剤の粘着特性をより正確に評価できる。
接触領域内での粘着力の分布について説明する図である。 本発明の一実施形態で用いられる評価装置の構成の概略的な側面図である。 図2の装置の主要部を示す斜視図である。 図2及び図3の装置による粘着力の分布の測定原理を示す図である。 図2の装置における測定装置の変形例を示すモデル図である。 データ解析における接触領域の領域分けの例を示す図である。 測定データから得られるグラフの例を示す。 実施例1及び2において各美容液について得られた粘着力の分布の時間的変化を示すグラフである。 実施例1における、粘着力の分布のデータから得られた特性値と「もちもち感」の官能評価値との関係を示す図である。 実施例2における、粘着力の分布のデータから得られた特性値と「べたつきのなさ」の官能評価値との関係を示す図である。
(粘着特性評価方法)
本発明の一実施形態は、皮膚外用剤の塗布領域における粘着力の分布に基づいて、皮膚外用剤の粘着特性を評価する、粘着特性評価方法である。
本明細書において、粘着特性とは、皮膚外用剤の粘着性に関連する特性であり、塗布中及び塗布後の粘着性に関連する触感(粘着触感)を含む。そして、粘着触感は、皮膚外用剤を皮膚に塗布した後にその皮膚に触れた際の粘着触感、特に、皮膚外用剤が塗布された皮膚に指や掌等を接触させて又は押し当て、離す際に生じる得る粘着触感であってよい。粘着触感としては、もちもち感(もっちり感)、べたつき、ふっくら、しっとり、うるおい等が挙げられる。本実施形態によれば、特に、もちもち感、及びべたつき(若しくはべたつきのなさ感)を良好に評価することができる。
皮膚外用剤とは、化粧料、医薬部外品、外用医薬品等の、皮膚(又は毛髪)に外用される組成物を意味する。皮膚外用剤の形態は、塗布可能なものであれば特に限定されず、例えば、サスペンション、エマルション等の分散体、溶液、スラリー、粉体等であってよく、ローション、クリーム、ゲル、バーム等と呼ばれるものを含む。また、噴射剤等と共に充填されエアゾールとして塗布される形態であってもよい。
本実施形態による評価方法は、特に化粧料の評価に好適に用いることができる。化粧料の具体例としては、化粧水、乳液、美容液等の基礎化粧品、化粧下地、ファンデーション等のメーキャップ化粧品、日焼け止め剤等のパーソナルケア製品(衛生日用品)等が挙げられる。
上述のような粘着触感を含む粘着特性は、官能的に表現される特性であるため、定量化して評価することは難しかった。それでも従来、物理的な測定値を指標とした定量化が提案されているが、そのような指標は、皮膚外用剤の塗布領域全体から得られる特徴量、又は場合によってはそのような特徴量を複数組み合せたものに基づいていた。これに対し、本実施形態では、皮膚外用剤の塗布領域内での局所的な特徴量、より具体的には、粘着力の分布に着目している。
(粘着力、及び粘着力の分布)
以下、粘着力の分布について模式図を参照しながら説明する。図1(a)に、皮膚外用剤80が塗布された被塗布面(所定面)Sに接触子Cを載せた状態を示す。図示の例では、接触子Cは人の指である。接触子C(指の腹)は、所定面積の領域で皮膚外用剤80と接触している。図1(a)に示す状態から、又はさらに接触子Cを所定面Sに向かって押し付けた後、接触子Cを所定面Sから離れる方向に持ち上げた(接触子Cと所定面Sとの間隔を広げた)場合、接触子Cと所定面Sとは直ちに完全に離間せず、接触子Cと所定面Sとが皮膚外用剤80によって橋渡し(液架橋)されて互いに間接的に結合した状態が生じる。
図1(b)に、接触子Cを所定面Sから離れる方向に持ち上げた状態又は持ち上げている状態を示す。図1(b)に示すように、皮膚外用剤80は、その粘着性及び表面張力によって、接触子Cと所定面Sとを液架橋している。この際、接触子Cは皮膚外用剤80から引っ張られる力、すなわち皮膚外用剤80から引張力F2を受ける。接触子Cが全体として受ける引張力をF2tとする。一方、所定面Sも皮膚外用剤80から引張力F1を受ける。ここで、所定面Sが全体として受ける引張力をF1tとする。引張力F1tは、上記引張力F2tと釣り合う力であり、その大きさはほぼ等価である。
引張力F1tの大きさ及び引張力F2tの大きさはいずれも、皮膚外用剤の塗布領域全体としての粘着力の強さに相当する。ここで、微視的に見た場合、粘着力(引張力F1t、F2t)は、塗布領域にわたって必ずしも均一となっていない。塗布領域において、粘着力(引張力F1、F2)は局所的に相違し得る、すなわち粘着力は分布を有し得る。
本発明者は、上記の粘着力の分布と皮膚外用剤の粘着特性との関係について鋭意検討した結果、粘着力の分布と皮膚外用剤の粘着特性とが相関することを見出した。より具体的には、後述のように、皮膚外用剤が所定面を引っ張る引張力の分布と粘着特性とが良好な相関関係を有することを見出した。
(粘着力の分布の測定)
引張力F1の分布の測定は、例えば、(a)所定面と接触部材(接触子)の表面との間を埋める皮膚外用剤の層を形成し、(b)接触部材と所定面とを引き離す際に、所定面が受ける引張力の、前記層の延在領域における分布を測定することによって測定することができる。
所定面は、平坦であってもよいし湾曲していてもよいが、平坦であることが好ましい。また、接触部材の表面は、後述のように平坦であってもよいし湾曲していてもよいが、所定面側に凸に湾曲していることが好ましい。なお、所定面及び接触部材のいずれにおいても、表面に微細な凹凸が形成されていてもよい。
粘着力の分布の測定は、測定装置を用いて行うことができる。図2に、粘着力の分布の測定装置の一例を示す。図2の例では、測定装置1は、圧力分布センサ40と、予圧部材10と、接触部材60とを備えている。また、図3に、測定装置1の主要部の斜視図を示す。
なお、図2に示すように、測定装置(測定部)1は、さらに解析・評価部3に接続されている。解析・評価部2は、パーソナルコンピュータ等であってよい。解析・評価部2においては、圧力分布センサ40によって得られた圧力値のデータを取り込み、粘着力の分布を生成し、さらにそのデータを解析して、粘着特性の評価を行うことができる。よって、測定装置1は、解析・評価部3と共に粘着特性評価装置100を構成している。
図示の形態では、圧力分布センサ40はシート形状を有し、その面方向にわたって複数の圧力センサ41が二次元に配置されている。圧力分布センサ40は、各測定点において、圧力に応じた抵抗値の変化を検出して圧力を測定するものであってよい。例えば、行方向及び列方向にそれぞれ複数の線状の電極を配置し、行電極及び列電極の交点がセンシングポイント(測定点)となるように構成されたものを用いることができ、例としては、ニッタ株式会社製のI−SCANシリーズ等が挙げられる。また、圧力分布センサ40としては、各測定点にロードセルを配置した構成とすることもできる。ロードセルの形式には限定はなく、ばね式、圧電素子式、磁歪式、静電容量型、ジャイロ式、ひずみゲージ式等であってよい。
複数の圧力センサ41のそれぞれの上には、複数の予圧部材10が配設されている。予圧部材10は互いに力学的な影響を及ぼさないよう、互いに接触しないで配設されていることが好ましい。予圧部材10は、図2及び図3に示すように細長い円柱形状のピンとすることができるが、予圧部材10の形状は図示のものに限られず、角柱形状であってもよいし、別の形状であってもよい。また、図示のように、予圧部材10の上端及び/又は下端は、面取りされていてもよい。予圧部材10は、形状が変化し難い、ステンレス、アルミ等の金属で形成されていることが好ましい。
各予圧部材10は、下端において各圧力センサ41に当接し、各圧力センサ41から離反可能に配設されている。また、複数の予圧部材10は、上端の高さが同一になるように配設されていることが好ましい。予圧部材10の上端面は、皮膚外用剤が塗布される所定面を形成している。互いに隣接する予圧部材10の上端面は、隣接する予圧部材10の移動を妨げないような形状及び大きさになっているが、複数の予圧部材10上に皮膚外用剤を連続して塗布できるように(皮膚外用剤の層が連続して形成できるように)近接させて、又はその面積を大きくして形成することもできる。
図示の形態では、圧力センサ41及び予圧部材10は格子状に二次元に配置されている。しかし、粘着力の二次元の圧力分布を測定できるのであれば、千鳥状等のその他の配置とすることもできる。また、圧力センサ41及びこれに対応する予圧部材10の数は特に限定されない。図示の形態では、圧力センサ41の数(すなわち、測定点の数)は合計100(縦10×横10)であるが、圧力センサ41(測定点)の数及び配置は図示のものに限られず、用いられる皮膚外用剤の種類や得ようとする圧力分布の精度によって変更することができる。例えば、縦及び横に配置される圧力センサ41の数は互いに異なっていてもよい。また、圧力センサ41は、少なくとも一列配置されていてればよい。一列に配置する場合、圧力センサ41の数は5以上であればよく、圧力センサ41の数は5〜20であると好ましい。なお、圧力分布センサ40に含まれる圧力センサ41の合計数は、5〜400程度とすることができる。
また、単位面積当たりの圧力センサ41の数(予圧部材10の数)、すなわち測定点の密度は、2〜64個/cm、好ましくは4〜49個/cm程度とすることができる。
上述のように、複数の予圧部材10は、圧力センサ41(圧力分布センサ40)から離反可能であり、その離反動作においては、圧力分布センサ40の面方向に直交する方向(図示の形態では略鉛直方向)に移動できる。この複数の予圧部材10の移動は、測定装置1にさらに設けられた支持部20によって支持されている。
支持部20は、第1の支持板21、第2の支持板22、第1の支柱31、及び第2の支柱32を含む。図2及び図3に示すように、第1の支持板21は予圧部材10の上側に、第2の支持板22は、予圧部材10の下側に設けられており、第1の支持板21及び第2の支持板22には、各予圧部材10が挿入され自在に摺動できる貫通孔が形成されている。第1の支持板21及び第2の支持板22はいずれも水平を維持して設けられていることが好ましい。そして、第1の支持板21は、その四隅に形成された貫通孔を通して設けられた第1の支柱31によって固定されている。また、第2の支持板22も同様に、四隅に形成された貫通孔を通して設けられた第2の支柱32によって固定されている。このような支持部20によって、予圧部材10の圧力分布センサ40の面方向(図示の形態では略水平方向)の移動を規制することができる。
接触部材60は、図1に示す接触子Cに相当する部材である。接触部材60は、予圧部材10に対して近接可能に配置されている。接触部材60は、図2の形態では、双方向矢印で示すように、垂直方向に移動可能となっている。なお、接触部材60を固定して、予圧部材10、圧力分布センサ40、及び支持部20のユニットを垂直方向に可動とし、接触部材60に近づけたり接触部材60から遠ざけたりする構成とすることもできる。また、接触部材60と、予圧部材10を含む上記ユニットとの両方を可動にし、両方を動かすこともできる。接触部材60及び上記ユニットの可動は、ロボットアーム等によって行うことができる。
上述のように接触部材60を垂直方向に移動させる等して、接触部材60と予圧部材10との距離を広げる動作は、0.5〜10mm/秒程度で行うことが好ましい。
測定に際しては、まず、接触部材60と予圧部材10の上端によって形成される所定面との間に、両者に接触する所定面積を有して延在する皮膚外用剤の層を形成する。所定面は、複数の予圧部材10の面一に配置された上端面の面方向に沿った面とすることができる。皮膚外用剤の層は、例えば、接触部材60及び予圧部材10の上端面の少なくとも一方に皮膚外用剤を塗布し、接触部材60と予圧部材10の上端とを近付けて、接触部材60と予圧部材10の上端面で形成される所定面との間を埋めることによって形成することができる。接触部材60と予圧部材10とを近付ける際には、接触部材60を予圧部材10の方向に軽く押し付けることができる。その後、接触部材60を予圧部材10から引き離し、その際に、圧力分布センサ40における各圧力センサ41によって圧力を経時的に測定する。
次に、測定装置1による粘着力の分布の測定原理について説明する。図4(a)に、接触部材60と、所定面を形成する予圧部材10の上端面との間を埋めるような皮膚外用剤80の層を形成している又は形成した後の状態を模式的に示す。この際、図4(a)における矢印で示すように、接触部材60の表面を予圧部材10の方向に軽く押し付けることができる。
予圧部材10は圧力センサ41上に配置されているため、各圧力センサ41は、予圧部材41の自重による力(予圧)F0をそれぞれ受けている。なお、このF0には、接触部材60の自重又は押付けによる荷重に起因する力は含まれていない。
図4(a)の状態から接触部材60を持ち上げて、接触部材60と予圧部材10との間隔を広げた場合、ある程度の間隔までは、図4(b)に示すように、皮膚外用剤80が、接触部材60と所定面を構成する予圧部材10の上端面との両方に接触したまま両者の橋渡しをした状態が保たれる。その際、接触部材60には、皮膚外用剤80が接触部材60を下方向に引っ張る引張力F2、F2、…が働く。一方、予圧部材10には、皮膚外用剤80が各予圧部材10を上方向に引張る引張力F1、F1、…がそれぞれ働く。なお、図4(b)においては、引張力F1、F1、…は、予圧F0との関係を分かりやすくするため、予圧部材10の下面側に示す。
複数の予圧部材10の接触領域(所定面)全体にかかる引張力F1tは、上述のように、接触部材(接触子)60に働く引張力F2tとほぼ同等である。引張力F1tは、所定面に沿って必ずしも均一ではなく、局所的に異なる大きさの力が働き得る。すなわち、図示の例では、中央付近の領域から外側(予圧部材10の軸線に直交する方向で外側)に向かって配置された予圧部材10、10、…にそれぞれ働く引張力F1、F1、F1、…は、相違し得る。また、引張力F1の分布、或いは引張力F2の分布は、時間経過とともに変化して推移し、その推移はそれぞれ相違し得る。
このように予圧部材10は、接触部材60の持ち上げに伴い皮膚外用剤80によって引っ張られているため、各圧力センサ41にかかる圧力は、予圧F0から引張力F1の分だけ軽減されると言える。その結果、各圧力センサ41には、圧力F3(F0−F1)がかかることになる。よって、各圧力センサ41において、圧力F3を測定し、得られた値を予圧F0から差し引くことで引張力F1を求めることができる。そして、各圧力センサ41で測定された引張力F1のデータをまとめることによって、引張力F1の分布とすることができる。
各圧力センサ41にかかる予圧F0は、上述のように予圧部材10の自重によるものであるが、予圧F0には、予圧部材10の自重に追加の圧力を加えることもできる。このように、予圧部材10に追加の圧力を加えることで、予圧F0を大きくすることができ、粘着力の検出最大値を大きくすることができる。測定対象である皮膚外用剤の粘着力が大きい場合には、サイズ及び/又は重量の大きな予圧部材を配設する必要があり、装置が大型化してしまう。しかし、上記のように追加の圧力を加えることにより、予圧部材サイズや重量を大きくする必要なく、粘着力の測定範囲を大きくすることができる。
追加の圧力は、例えば、予圧部材10を機械的、電気的、又は磁気的な力で引っ張ることによって生じさせることができる。予圧部材10に追加の圧力を加えるためには、例えば、予圧部材の下端側に、下端面と接触して又は接触させずに配置して、磁力による引張力が生じるように測定装置を構成することができる。磁力による引張力は、例えば、圧力センサ41の下側に磁石を配置することによって発生させることができる。図5に、磁石70をさらに設けた測定装置1のモデル図を示す。磁石70の種類は特に限定されないが、磁力が強いことからネオジウム磁石等を用いることが好ましい。
接触部材60の表面61の形状は限定されないが、予圧部材10側(所定面側)に凸となる曲面であることが好ましい。皮膚外用剤の粘着触感を感じるのは、通常、皮膚外用剤を皮膚に塗布して指や掌で撫でたり、指や掌を皮膚に押し付けて離したりする時である。そのため、接触部材60の表面61が、表面が丸みを帯びている指や掌を模して湾曲していることで、粘着触感が生じる際の現実の状態により近い状態で、より正確に粘着触感の評価を行うことができる。接触部材60の表面61が予圧部材側10に凸である場合、その突出部分は、中心を含まない部分球又は部分楕円球状であると好ましい。また、円筒をその軸線に平行な方向で切断した形状とすることもできる。すなわち、突出部分を少なくとも一方向で切った断面形状が、部分円又は部分楕円となっていることが好ましい。部分円の曲率半径(部分楕円の最大の曲率半径)は1cm以上であると好ましく、2〜8cm程度であるとより好ましい。
また、接触部材60は、変形可能な、例えば弾性を有する材料(弾性体)であると好ましい。接触部材60の表面61を形成する材料としては、高分子材料、例えば樹脂、ゴム等が好ましく、ウレタン、例えばゲル状のウレタン等を用いることが好ましい。接触部材60の表面61が弾性を有する材料で形成することによって、人の指や掌が皮膚外用剤に触れた時に近い状態を作りだすことができ、より正確に粘着触感を評価することができる。
なお、接触部材60として、人工的に作製した接触部材に代えて、人の指の腹側(第1関節から先端までの部分)や掌を用いることもできる。
(データの解析)
上述のように測定装置1を用いた場合には、各圧力センサ41における圧力測定値F3を各予圧部材10の予圧F0から差し引くことによって得られる値F1(=F2)を得ることができる。この場合、圧力分布センサ40の各圧力センサ41における測定値F3及び予圧F0のデータは解析・評価部2に送られ、この解析・評価部2にて、データの解析及び皮膚外用剤の粘着特性の評価を行うことができる。
データの解析に際しては、例えば、測定装置1において配列されている複数の予圧部材を2以上の領域に分けて、領域ごとのデータを生成することができる。図6に、予圧部材の領域分けの例を示す。図6は、配列された複数の予圧部材10を上面視で模式的に表した図であり、1つのマス(正方形)に1つの予圧部材10(1つの圧力センサ41)が対応している。図6において、色付けされている予圧部材10は、接触部材60を予圧部材10(所定面)から引き離す際に、皮膚外用剤80と接触する予圧部材である(図4(b))。すなわち、図6の色付けは、予圧部材10の皮膚外用剤80との接触領域に対応し、接触部材60の皮膚外用剤80との接触領域ともほぼ対応している。
図6では、色付けされている予圧部材(接触領域に少なくとも部分的に含まれる予圧部材)は、中央領域Rc、その周辺の中間領域Rm、接触領域の辺縁となる辺縁領域Rpに同心円状に領域分けされている。図示の例では、接触領域は3つの領域に分けられているが、中央と周辺との2つの領域に分けてもよいし、4つ以上の領域に分けることができる。また、中央領域Rc、中間領域Rm、及び辺縁領域Rpに分けられる予圧部材の数は、図示のものに限られず、接触部材60の大きさ及び形状、皮膚外用剤を塗布する領域の大きさ及び形状、予圧部材10の本数や配置等によって決めることができる。
なお、上述のように予圧部材10の配置が一列である場合にも、一次元的に中央領域Rc、中間領域Rm、及び辺縁領域Rpと領域を分けることができる。
各圧力センサ41のデータは、同じ領域内で合計又は平均されて、領域としてのデータとすることができる。また、上述のように、圧力の測定は接触部材60と所定面Sとを引き離しつつ経時的に行うことができる。よって、得られたデータを中央領域Rc、中間領域Rm、及び辺縁領域Rpの領域ごとにまとめることによって、各領域における引張力F1の分布の時間的変化に関するデータを取得することができる。そして、得られたデータは、解析・評価部2(図2)において記録され、グラフとして出力(表示)することもできる。
図7(a)に、中央領域Rc、中間領域Rm、及び辺縁領域Rpそれぞれにおいて記録された引張力F1c、F1m、及びF1p、並びにこれらの合計の引張力F1tの時間的変化の例を示す。図7(a)のグラフでは、横軸は時間(単位:msec)、縦軸は、領域内で荷重として測定された粘着力(単位:g)を表す。各領域のデータ(F1c、F1m、及びF1p)は、領域内の各圧力センサで測定された各測定値の合計値である。図7(a)に示すように、各領域の粘着力F2c、F2m、及びF2pは、それぞれ異なった時間的推移を示す。
皮膚外用剤の評価は、測定データから得られた図7(a)に示すようなグラフ(粘着力の分布の時間的変化)に基づき、直接的に評価を行うことができる。また、測定データ又はグラフから特性値を求め、その特性値に基づく評価を行うこともできる。
例えば、各領域において、粘着力のピーク値、粘着力の持続時間(粘着力が測定され始めてから測定されなくなるまでの時間)、積分値、粘着力が測定され始めてからピーク値までの時間等の特性値を求め、その特性値の1つ以上に基づき評価を行うことができる。
また、図7(a)のようなグラフを正規分布で近似し、図7(b)に示すようなグラフを取得することもできる。正規分布で近似することで、グラフデータの処理が簡便となる。具体的には、特定の条件を調整する必要なく、粘着力の時間的変化に関わる特性値を算出することができる。正規分布で近似したデータから、ピーク値、平均値、分散、標準偏差、尖度、歪度等の特性値を求めることができ、その特性値の1つ以上に基づき評価を行うことができる。
粘着特性、特に粘着触感は、辺縁領域Rpにおけるデータ(グラフ及び特性値を含む)に基づき良好に評価できる。この辺縁領域Rpにおけるデータは、粘着触感の中でも、もちもち感、及びべたつき(若しくはべたつきのなさ感)といった触感との間に高い相関を示す。
なお、粘着特性の評価においてサンプルとなる皮膚外用剤は、そのまま使用してもよいし、濃縮する等の処理を加えてから使用してもよい。皮膚外用剤が揮発性成分を多く含んでいる場合には揮発性成分が塗布後直ちに揮発するため、実際の使用において使用者は、揮発性成分がある程度除去された皮膚外用剤に対して粘着触感を実感することになると言える。そのため、皮膚外用剤が揮発性成分を多く含む場合には、予め揮発性成分を飛ばす等の濃縮処理を行うことで、より正確に粘着触感を評価することができる。その場合、濃縮率は元の状態の20〜90%程度とすることができる。
(実施例1)
粘着触感の1つである「もちもち感」と粘着力の分布との相関関係を求めた。皮膚外用剤としては、美容液B1〜B9を準備した。
まず、美容液B1〜B9について、予め官能評価を行った。官能評価は、「塗布直後、肌がもちもちする」に対して「非常にそう思う」〜「全くそう思わない」の5段階評価とした。各美容液につき女性約150名(20〜69歳)の評価を得て、その算術平均を求め、各美容液に対する官能評価値とした。
粘着力の分布は、図2及び図3に示す評価装置100と同様の機能を有する装置を用いて測定した。但し、本実施例では、測定装置におけるピン(予圧部材)の数は計400であった(縦20×横20の配置)。また、各ピンはステンレス製であり、その直径は2mm、高さは100mmであり、重量は約2.5gであった。圧力分布センサとしては、ニッタ株式会社製のI−SCAN100を用いた。この圧力分布センサにおいて圧力センサは格子状に配列されており、圧力センサ間の間隔は2.54mmである。各ピンは、各圧力センサのセンシングポイントに一対一で対応しているので、圧力センサ間の間隔はピンの間隔(ピッチ)に等しい。
また、接触部材としては、ピン側に凸の突出部分を表面に有する、ウレタンゲル製のドーム状肌モデルを用いた。突出部分の形状は、中心を含まない部分球状であり、その断面視の輪郭の曲率半径は約4cmであった。
測定装置のピンの上端面に美容液を180〜240μL塗布し、接触部材をピン方向に近付け、美容液と接触させた。そして、1mm/secで、ピン方向(下方)に1.5mm押し付けた後、接触部材をピンと反対の方向(上方)に引き離した。この引き離しの際に、圧力分布センサの各圧力センサかかる荷重を経時的に記録した。この荷重の測定値を、予め測定しておいた上記ピンの荷重(予圧)から差し引いた値が、皮膚外用剤がピンを引っ張る力であり、皮膚外用剤の粘着力である。
なお、計測環境は21.5℃、相対湿度46%であった。また、測定に際し、美容液B1〜B9には濃縮処理を行った。この濃縮処理は、美容液B1〜B9を、上記の官能評価において評価者が評価した時点での状態に近付けるための処理である。具体的には、やや高温で、重量ベースで20〜90%に濃縮した。
各圧力センサで測定された粘着力の時間変化のデータに基づき、粘着力の分布の時間的変化をグラフ化した。図8に、美容液B1〜B9についての各グラフを示す。なお、美容液B6については、濃縮時に結晶物が生じたため比較可能なデータを取ることができなかった。図8より、各美容液で、粘着挙動の時間的推移が異なっていることが分かる。
さらに、粘着力の分布のデータから、辺縁領域Rpのピーク値を特性値として算出した。続いて、上述のように予め取得しておいた各美容液の「もちもち感」の官能評価値と、上記ピーク値との相関関係を調べたところ、図9に示すように、高い相関関係があることが分かった(r=0.74)。よって、辺縁領域における粘着力のピーク値を測定することで、「もちもち感」をより正確に評価することができる。
(実施例2)
実施例2では、「べたつきのなさ」と粘着力の分布との相関関係を求めた。実施例1と同様に美容液B1〜B9を用い、「塗布直後、肌がべたつかない」に対する官能評価も、美容液B1〜B9について実施例1と同様に行った。また、粘着力の分布の時間的変化のデータを得てグラフ化する(図8)ところまでは実施例1と同様にして行った。
続いて、各データにおける粘着力の分布の各グラフ(各領域のグラフ)をそれぞれ正規分布で近似し、辺縁領域Rpのグラフについて標準偏差を求め、これを特性値とした。そして、予め取得しておいた「べたつきのなさ」の官能評価値と、上記標準偏差の値との相関関係を調べたところ、図10に示すように高い相関関係があることが分かった(r=0.86)。よって、辺縁領域におけるデータから標準偏差を求めることで、「べたつきのなさ」をより正確に評価することができる。
1 測定装置
2 解析・評価部
10 予圧部材
20 支持部
21 第1の支持板
22 第2の支持板
31 台の支柱
32 第2の支柱
40 圧力分布センサ
41 圧力センサ
51 載置台
52 スタンド
60 接触部材
61 接触部材表面
70 磁石
80 皮膚外用剤
C 接触子
S 所定面

Claims (9)

  1. 皮膚外用剤の塗布領域における粘着力の分布に基づいて、前記皮膚外用剤の粘着特性を評価する、粘着特性評価方法。
  2. 前記粘着力の分布は、
    所定面と接触部材の表面との間を埋める皮膚外用剤の層を形成し、
    前記接触部材と前記所定面とを引き離す際に、前記所定面が受ける引張力の、前記層の延在領域における分布を測定することによって測定される、請求項1に記載の粘着特性評価方法。
  3. 前記接触部材は弾性体である、請求項2に記載の粘着特性評価方法。
  4. 前記接触部材は、前記所定面側に凸の曲面を有する、請求項2又は3に記載の粘着特性評価方法。
  5. 前記粘着力の分布は、
    少なくとも前記延在領域における複数の測定点にそれぞれ対応する複数の圧力センサと、
    前記複数の圧力センサのそれぞれに配設され、前記圧力センサと反対側の端部が前記所定面となる複数の予圧部材とを備えた測定装置を用いて、
    前記引張力を、前記予圧部材の自重による予圧からの減圧量として測定する、請求項2から4のいずれか一項に記載の粘着特性評価方法。
  6. 前記延在領域のうち辺縁領域における粘着力に基づいて、前記皮膚外用剤の粘着触感を評価する、請求項2から5のいずれか一項に記載の粘着特性評価方法。
  7. 前記粘着力の分布は、前記接触部材を前記所定面から遠ざける際の時間的変化として測定される、請求項2から6のいずれか一項に記載の粘着特性評価方法。
  8. 前記粘着特性は、もちもち感、べたつき、ふっくら、しっとり、及びうるおいの1つ以上の粘着触感である、請求項1から7のいずれか一項に記載の粘着特性評価方法。
  9. 皮膚外用剤の粘着特性を評価する粘着特性装置であって、
    前記皮膚外用剤の塗布領域における当該皮膚外用剤の粘着力の分布を測定する測定部と、
    前記測定部に接続され、前記粘着力の分布に基づいて前記粘着特性を評価する解析・評価部とを備えている、粘着特性評価装置。
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