JP2019191021A - 故障点標定装置、故障点標定システムおよび故障点標定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流電気鉄道において、地絡や短絡等の故障発生時に、高精度に故障発生位置を検出する。【解決手段】変電所の送出電圧と、架線のき電電流またはレール電位を取得する。そして、故障発生時における故障電流の時間変動を推定する計算式に基づき、少なくとも2つの異なる測定時刻において得られた、き電電流またはレール電位の測定値を用いて、変電所から故障点までの距離を導出する。そして、導出した故障点までの距離を通知する処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、故障点標定装置、故障点標定システムおよび故障点標定方法に関する。
電気鉄道システムにおける運転用電力は、変電所から架線を介して車両にき電され、レール等の帰線を通して変電所に戻される。
電気鉄道システムのき電回路で発生する故障には、架線がレールに直接接触する短絡故障、および、架線等の電気回路が電車線支持柱等の構造物と接触する地絡故障がある。
短絡故障が発生した場合、き電回路内に定格を越える大電流が流れることで、変圧器や遮断器等の設備故障を引き起こす恐れがある。また地絡故障に伴う故障電流の経路は、正常時と大きく異なり、故障電流の流出が継続した場合、対応が遅れることで周辺構造物や現場機器へ更なる被害が及ぶ可能性がある。したがって、故障電流が発生した場合には、変電所からの給電を停止し、走行する列車を停止させる等の措置が必要となる。
従来、直流き電回路における短絡故障や地絡故障に伴う故障電流を検出するために、過電流継電器や直流高速度遮断器、ΔI型故障選択継電器を用いることが行われている。
これらの装置は変電所に設置され、架線における一定時間内のき電電流変化量を常時測定し、当該変電所が電力供給する架線の故障発生を判定する。故障電流を検知した場合、直流高速度遮断器を開放してき電電流(故障電流)を遮断する。
故障を検出した際に迅速な故障復旧を行うため、故障が発生した地点を特定するための故障点標定方法が、各種提案されている。例えば、特許文献1に記載されているように、2つの変電所から給電されている架線において故障を生じた場合において、各変電所の架線に流れた故障電流の配分比から故障点を求める方法が知られている。
特開2002−40087号公報
特許文献1に記載されている技術を適用する場合、2つの変電所での故障電流の測定時刻を、正確に同期させる必要がある。すなわち、特許文献1に記載されている技術は、2つの変電所で測定された同時刻における電流値の配分比を求める事が前提となっているため、変電所間での時刻同期誤差が位置推定精度に影響する。特に、故障発生直後や故障点が変電所近傍の場合は電流の変動量が急峻であるため、わずかなノイズ成分や測定時刻誤差が位置推定精度へ大きく影響する可能性があった。
また、従来技術の場合、少なくとも2つの変電所で故障電流を測定する必要があり、1つの変電所だけで、故障が発生した地点を推定することは原理的に不可能であった。
本発明は、上記の問題を解決し、短絡や地絡等による故障の発生地点を高精度に検出することが可能な故障点標定装置、故障点標定システムおよび故障点標定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、直流電気鉄道の架線内において故障が発生した位置である故障点を推定する場合に、変電所の送出電圧と、架線のき電電流またはレール電位を取得する取得部と、故障発生時における故障電流の時間変動を推定する計算式に基づき、少なくとも2つの異なる測定時刻において得られたき電電流またはレール電位の測定値を用いて変電所から故障点までの距離を導出する演算処理部と、演算処理部が導出した故障点までの距離を通知する情報を送信する送信部と、を備える。
本発明によれば、短絡や地絡等による故障電流の発生地点を高精度に検出することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態例による故障点標定システムの構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による故障検出装置および故障点標定装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態例による故障発生有無を検出する処理例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例による故障発生時の電流変化例を示す特性図である。 本発明の第1の実施の形態例による故障点標定処理例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例による故障点標定システムを複数の変電所に適用した場合の構成図である。 複数の故障点標定装置が導出した故障点までの距離から、故障点の位置を導出する例(導出した距離の範囲が一致した例)を説明した図である。 複数の故障点標定装置が導出した故障点までの距離から、故障点の位置を導出する例(導出した距離の範囲が重複した例)を説明した図である。 複数の故障点標定装置が導出した故障点までの距離から、故障点の位置を導出する例(導出した距離の範囲が重複しない例)を説明した図である。 本発明の第1の実施の形態例による故障点標定システムの変形例(短絡故障検出時)を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態例による故障点標定システムの構成図である。 本発明の第2の実施の形態例による故障発生有無を検出する処理例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態例による故障点標定処理例を示すフローチャートである。
<1.第1の実施の形態例>
以下、本発明の第1の実施の形態例について、図1〜図10を参照して詳細に説明する。
[1−1.故障点標定システムの構成]
図1は、鉄道システムにおいて地絡故障や短絡故障等の故障電流の発生地点を推定する故障点標定システムの全体構成を示す。
図1に示すように、架線101を介して車両102へ電力を供給する変電所103と、変電所103から供給された電流の帰線となるレール104とを備える。ここで変電所103から車両102に供給される電力は、直流である。
そして、変電所103には、変電所103から架線101に供給される電流を測定する電流計105と、変電所103の送出電圧を測定する電圧計106と、変電所103から架線101への電力供給を遮断する遮断器107とを備える。さらに、変電所103には、電流計105で検出したき電電流に基づいて、故障の発生有無を検出する故障検出装置108を備える。故障検出装置108は、故障の発生を検出すると、遮断器107を遮断する。
故障検出装置108は、ネットワーク111を介して故障点標定装置110と接続される。故障点標定装置110は、故障検出装置108から伝送される情報に基づいて、故障点を推定する演算処理を行って、故障点を標定する。なお、故障点標定装置110は、ネットワーク111を介して変電所103とも接続されている。
故障点標定装置110で得た故障点標定情報は、警報装置112に送信され、警報装置112により、故障の発生と発生した故障点の情報が通知される。
故障検出装置108は、電流計が測定した架線の電流値を元に、き電回路の故障の有無を判定する。故障検出装置108は、故障が発生したことを検知すると、遮断器107により該当する架線への電力供給を遮断する。また、故障検出装置108は、き電回路の故障を検出した時刻の前後一定期間内に測定した電流値および電圧値を、ネットワーク111を介して故障点標定装置110へ送信する。
故障点標定装置110は、故障検出装置108が送信した電流値および電圧値に基づいて、き電回路の故障点を推定する演算処理を行う。故障点を推定する処理の詳細については後述する。そして、故障点標定装置110は、故障点を推定すると、故障点の位置情報を警報装置112へ送信する。
故障点標定装置110が警報装置112へ送信する情報として、故障点の位置情報に加えて、故障に関する情報を付与してもよい。付与する情報として、例えば、故障検出時刻、測定した電流値、電圧値、および測定値より推定される故障発生要因や故障事象種別(地絡、短絡等)を含んでもよい。
なお、図1では1つの車両(編成)102が、変電所103からの送電区間に在線している状態を示すが、車両102が該当する区間に1つも在線していない、もしくは複数の車両102が在線した状態でもよい。また、架線101のき電回路の構成は、複線き電や並列き電であってもよい。
故障検出装置108は、変電所103が給電を行う架線101毎に設けられ、架線101の故障発生を検出する。
ネットワーク111は、変電所103および故障検出装置108と故障点標定装置110とが通信するための設備である。ネットワーク111は、例えば電線や光ファイバー等を用いた有線通信により構成される。あるいは、ネットワーク111は、空間波等を用いた無線通信により構成される。また、沿線に設置している電流計105や電圧計106は、変電所103や故障検出装置108と直接接続する構成の他、不図示のネットワークを介して変電所103や故障検出装置108と接続してもよい。
警報装置112は、き電回路の故障が発生した旨の警報を、鉄道システムの作業者に通知するための装置であり、ディスプレイ画面やスピーカー等の、作業者に警報を通知するための出力デバイスを有する。警報装置112は、鉄道運行管理システムが備える監視端末の他に、作業者が所持する携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの端末装置であってもよい。
なお、故障点標定システムの信頼性や可用性を確保するため、故障点標定システムは、故障検出装置108や故障点標定装置110、警報装置112のそれぞれを複数台有していてもよい。逆に、システム構成を簡素化するため、例えば故障検出装置108、故障点標定装置110、および警報装置112の機能のうち、2つ以上の機能が物理的に一つの装置(コンピュータ装置、サーバ等)で実現されていてもよい。例えば1つのコンピュータ装置に、故障検出装置108、故障点標定装置110、警報装置112の機能の全てが実装されるように構成されていてもよい。
[1−2.ハードウェア構成例]
図2は、故障検出装置108および故障点標定装置110をコンピュータで構成した場合のハードウェア構成例を示す。
故障検出装置108および故障点標定装置110は、コンピュータで構成され、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)やサーバコンピュータ等の、汎用的なコンピュータが使用される。
図2に示すコンピュータは、バス8にそれぞれ接続されたCPU(Control Processing Unit:中央処理装置)1、ROM(Read Only Memory)2、およびRAM(Random Access Memory3)を備える。さらに、コンピュータは、記憶装置4、操作部5、表示部6、および通信インターフェース7を備える。
CPU1は、本実施の形態例に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM2から読み出して実行する演算処理部である。
RAM3には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。本実施の形態例に係る各システムおよび装置における処理の実行は、主にCPU1がプログラムコードを実行することにより実現される。
操作部5には、例えば、キーボード、マウスなどが用いられ、利用者は操作部5を用いて所定の入力を行う。
表示部6は、例えば、液晶ディスプレイモニタであり、この表示部6によりコンピュータで実行される処理の結果が利用者に表示される。但し、図2に示すようにコンピュータが操作部5や表示部6を備えるのは一例であり、本実施の形態例のコンピュータは、操作部5および表示部6のいずれか一方、または双方を備えない構成としてもよい。
記憶装置4には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの大容量データ記憶媒体が用いられる。記憶装置4には、故障検出処理を行うプログラムまたは故障点標定処理を行うプログラムや、電流計105や電圧計106の計測値などが記録される。
通信インターフェース7には、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられる。通信インターフェース7は、端子が接続されたLAN(Local Area Network)、専用線などを介して外部と各種データの送受信を行う。この通信インターフェース7が、ネットワークを介して接続された機器への送信部として機能する。また、通信インターフェース7は、電流値や電圧値などを取得する取得部として機能する。
なお、故障検出装置108および故障点標定装置110を構成するコンピュータで構成するのは一例であり、その他の構成としてもよい。例えば、故障検出装置108や故障点標定装置110が行う機能の一部または全部が、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現してもよい。
[1−3.故障発生時の標定処理の詳細]
図3は、故障検出装置108が故障発生を検出する処理の流れを示すフローチャートである。図3のフローチャートは、故障検出装置108が定期的あるいは周期的に行う故障の発生有無を検出する故障検出処理を示す。
まず、故障検出装置108は、電流計105および電圧計106の計測値から、変電所103の送出電流、および送出電圧を測定する(ステップS11)。
次に、故障検出装置108は、測定した電流値に基づいて、故障発生の有無を判定する(ステップS12)。
ここで、故障発生を検出した場合(ステップS12のYes)には、故障検出装置108は、故障発生を検出したき電回路に設置された遮断器107を開放し、以降の電力供給を停止する(ステップS13)。
その後、故障検出装置108は、故障検出情報、および電流・電圧測定値を故障点標定装置110へ送信する(ステップS14)。ここで、故障点標定装置110へ送信する電流測定値や電圧測定値には、測定時刻の情報が含まれる。測定時刻は、例えば故障検出装置108が時計機能を備えて判断する。
なお、故障検出装置108が故障発生を検出した場合には、故障発生直後に、少なくとも2回の異なる時間に、電流測定値および電圧測定値を測定して、その測定した全ての電流・電圧測定値および測定時刻の情報を、故障点標定装置110へ送信する。
一方、ステップS12で故障検出装置108が故障を検出しなかった場合(ステップ12のNo)は、ステップS13の処理を実行することなく、故障なしの情報、および電流・電圧測定値を故障点標定装置110へ送信する(ステップS14)。なお、故障なしの場合には、電流・電圧測定値の送信を省略してもよい。
ステップS12で故障発生の有無を判定する処理としては、例えば、取得した架線のき電電流が所定の電流値(閾値)を超えるか否かにより、故障が発生している否かを判定する。つまり、き電電流が所定の電流値を超えている場合、故障が発生していると判定する処理が行われる。この故障発生の検出としては、例えば従来から知られた高速度遮断器やΔI型故障検出装置が適用可能である。また、保護継電器として過電流継電器を設置し、整定した動作値を越える電流が測定された場合、故障が発生したと判定して電流を遮断する構成としてもよい。
また、故障発生を判断する電流の閾値は、架線101に存在する車両102の運転状態、過去の故障電流発生時、または正常運用時における電流測定データを元に統計的に決めてもよい。
また、ステップS12で、瞬時的な測定誤差等を要因とした誤判定を回避するため、例えば、故障検出装置108は、所定電流値を超えた時間が一定時間以下の場合は故障電流が発生していないと判定してもよい。
さらに、ステップS12で、自からの変電所103において測定した電流値、電圧値が適正な範囲であったとしても、別の変電所103で異常が検出された場合は、故障が検出されたと判定してステップS13へ遷移する。このように並列き電する2つの変電所103の故障検出装置108が相互に連動して動作する仕組みを設け、一方の故障検出装置108が動作して電流遮断すると、他方の故障検出装置108も電流遮断するようにする。
なお、故障検出装置108から故障点標定装置110に送信するデータは、第三者への情報漏洩を防ぐため、データの一部もしくは全体を暗号化してもよい。さらに、第三者による成りすましや、通信路上でのビットエラーを検知するため、データに当該変電所のID情報を含んだり、データの一部もしくは全体に対する誤り訂正符号やハッシュ値、電子署名等を付与したりしてもよい。
さらに、ステップS14の送信処理を実行する際、1回分の測定値情報を送信する場合と、複数回分の測定値情報を一括して送信する場合のいずれでもよい。例えば1回分の故障判定処理よりも短い周期で測定を複数回実施した場合、前回測定情報を送信した後に実行された測定により得られた測定値を一括して送信する。
以上のようにして、故障検出装置108は、1回分の故障の発生有無判定についての判定処理を終了し、次の判定処理まで待機する。
次に、故障点標定装置110が、故障点を推定する処理について説明する。
まず、故障点を推定する原理を、図4の電流変化特性から説明する。
図4は、通常時と故障発生時の電流値の変化例を示す。図4の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は電流(A)を示す。図4では時刻0で故障(地絡)が発生し、時間の経過で電流が増加する状態を示す。
図4は、通常時の電流変化特性Iと、故障発生時の電流変化Iの2つの電流特性を示す。
通常時の車両102へのき電時の電流変化特性Iの場合、電流値は、予め設定された閾値Ithを超えることがない。一方、地絡発生時の電流変化特性Iの場合、電流値が急激に上昇して、閾値Ithを超えてしまう。
例えば、通常時の車両102へのき電時の電流変化特性Iの場合、電流変化があったとしても、電流値は閾値Ithを超えることがない。
一方、地絡発生時の電流変化特性Iの場合、2回測定した電流値i21およびi22を測定した場合に、その2回の電流値i21およびi22の急激な上昇状態から、閾値Ithを超える異常な状態となる。
ここで、2回の電流値i21およびi22の値と、変電所103によるき電状態などの条件から、地絡発生時の電流変化特性Iのカーブを算出することができ、時刻0の時点の推定が可能になる。電流変化特性Iのカーブを算出することで、地絡事故が発生した時刻が算出でき、変電所103から地絡事故が発生した故障点までの距離についても算出できることになる。
図5のフローチャートは、このような原理に基づいて、故障点標定装置110が故障点を標定する処理の流れを示す。
故障点標定装置110は、既に説明した故障検出装置108での処理で、定期的に変電所103の電流計105および電圧計106の測定値を取得しており、故障検出装置108と連係して、き電回路内の故障点を標定する。
まず、故障点標定装置110は、故障検出装置108から故障検出情報および測定値を含むデータを受信して、これらの情報の取得処理を行う(ステップS21)。ここで、故障点標定装置110が故障検出装置108から受信するデータは、図3のフローチャートのステップS14で故障検出装置108が送信するデータと同じデータである。
次に、故障点標定装置110が、受信データに基づいて故障発生の有無を判定する(ステップS22)。ここでは、例えば故障検出情報に含まれる故障発生の判定結果を確認することで、故障発生の有無を判定する。
ステップS22の判断で、故障発生を検出した場合(ステップS22のYes)、該当するき電回路のパラメータを導出する(ステップS23)。ここで、該当するき電回路のパラメータとしては、該当する変電所103の送出電圧、送出電流、単位長さ辺りの抵抗値(架線、レール、大地)、およびインダクタンス値が含まれる。
そして、故障点標定装置110は、予め用意された演算式を使った演算処理で、導出したき電回路パラメータを用いて故障点までの距離を導出し(ステップS24)、導出した故障点までの距離に基づいて、故障点の位置を導出する(ステップS25)。この故障点までの距離と、故障点の位置を導出する処理の具体例については後述する。
さらに、故障点標定装置110は、警報装置112へ故障情報を送信する(ステップS26)。また、故障情報を送信した後、故障点標定装置110は、故障関連データをデータベースへ保存する(ステップS27)。
一方、ステップS22で故障を検出しなかった場合(ステップS22のNo)、故障点標定装置110は、ステップS23〜S26の処理を実行せず、ステップS27で測定データの保存処理を実行する。
なお、ステップS27で、故障関連データを保存する際には、故障判定結果、故障検出時刻、変電所から故障点までの距離、故障点の位置、測定値(電流、電圧)、測定時刻等を含むことが好ましい。
以上説明した処理の流れで、故障点標定装置110は、1回分の故障点を標定する故障点標定処理を終了し、次の故障点標定処理まで待機する。
なお、定められた時刻や一定時間ごとに故障検出装置108が故障検出情報を送信する場合、ステップS21で、規定時間を過ぎても故障点標定装置110が故障検出装置108からデータを受信できない場合に、異常発生と判断してもよい。このときは、故障点標定装置110が、直接、警報装置112へ異常を通知する。
また、ステップS22で、故障検出装置108から受信した故障検出情報が正常(故障発生無し)であったとしても、別の変電所103の故障検出装置108から故障発生有りを受信した場合、故障が検出されたと判定してステップS23へ遷移してもよい。これにより、1箇所の変電所103で故障が検出された場合、他の変電所103での測定値も組み合わせて故障点を推定するようになり、迅速かつ高精度な故障点標定が可能になる。
次に、ステップS24で故障点までの距離を導出する処理の具体例について説明する。
き電回路の計算モデルは様々な方式が知られており、例えば、抵抗とコイルの直列回路としてモデル化が可能であることが知られている。この抵抗とコイルの直列回路としてモデル化が可能なことは、「電気鉄道(第2版)、松本雅行著、森北出版株式会社、2007年発行、p177〜p178」に記載されている。
また、レールを分布定数回路としてモデル化し、さらにレールと地面との間の漏れコンダクタンスや接地抵抗、レール間の静電容量も含めた回路構成も知られている。このレールを分布定数回路としてモデル化する点については、「帰線電流などの影響を受けにくい軌道回路を考える、福田光芳著、鉄道総合研究所、RRR、Vol.69、No.4、2012年発行」に記載されている。
さらに、変電所近傍に在線する列車を電流源や電力源にモデル化したき電回路構成も知られている。
以下の説明では、簡単のため、き電回路を抵抗とコイルの直列回路とモデル化した場合の故障点標定方法を示す。なお、分布定数回路や、漏れコンダクタンスや接地抵抗および静電容量を含めたき電回路をモデル化した場合でも、本発明は同様に適用可能である。
鉄道システムにおいて、き電回路パラメータに含まれる単位長さ当たりのレール抵抗、大地の導電率、レールインダクタンス、レール間の静電容量は、レールの材質や形、軌間、道床などの種別によって概算される。
したがって、図5のフローチャートのステップS23で、故障点標定装置110がき電回路パラメータを導出する際、これらの値はレールの材質や形、軌間、道床などの種別より一般的に推定される値、もしくは、現場での事前測定により得られた値を用いる。
また、き電回路パラメータに含まれる変電所送出電圧もしくは送出電流は、電圧計106もしくは電流計105により測定された値を用いる。
なお、天候や経年変化、列車の走行状態等によりき電回路パラメータが変動する可能性がある。したがって、ステップS23では、例えば正常時の列車走行時に得られた電流もしくは電圧の測定値や、沿線に設置された軌道回路が送受信した電流に基づき、き電回路パラメータを適宜更新するようにする。
そして、ステップS24で、故障点標定装置110は、当該変電所103のき電回路パラメータを用いて、以下に示す処理で、故障点までの距離を導出する。
変電所103を電圧源でモデル化し、架線やレールを抵抗とコイルでモデル化し、それぞれを直列回路で接続したき電回路としてモデル化した場合、故障発生後のき電回路の電流変動は下記の式1より算出される。
Figure 2019191021
式1において、tは故障発生からの経過時間[秒]、xは変電所103から故障点までの距離[km]、I(t)は時間tにおける変電所送出電流[A]、E(t)時間tにおける変電所送出電圧[V]である。また、式1において、Rは単位距離あたりの抵抗[Ω/km]、Lは単位距離あたりのインダクタンス[H/km]、eは自然対数である。
式1に含まれるパラメータのうち、変電所103による送出電圧E(t)、送出電流I(t)、単位長さ辺りの抵抗RおよびインダクタンスLは、ステップS23で導出している。一方、変電所103から故障点までの距離xは未知の変数となる。また故障発生からの経過時間tについては、t=0を故障発生時刻と設定しているが、故障点標定装置110では故障発生時刻を特定していないため、時間tも未知の変数となる。
したがって、パラメータ2つ(x,t)が未知であるため、少なくとも2つの異なる測定時刻において得られた電流値I(t)およびI(t+Δt)を用いて、式1の連立方程式を解くことにより、距離xおよび経過時間tを導出することができる。経過時間tは未知の変数であるが、Δtは各電流値の測定時刻の差より導出できる。例えば、図4に示す2つの電流値i21およびi22の計測時刻の差から、Δtが取得でき、経過時間tから故障発生時刻(t=0の時刻)が導出できる。そして、故障発生時刻が定まることで、変電所103から故障点までの距離xも導出することができる。
なお、変電所103が一つの場合、変電所103から故障点までの距離xが導出されることで、故障発生位置は、変電所103から一方に距離xだけ離れた点と、変電所103から他方に距離xだけ離れた点の2つの位置が算出される。但し、後述するように複数の変電所での測定データに基づいて算出することで、故障発生位置がいずれか1つの位置に定まる。
パラメータ導出を行う際は、ステップS27で保存されている故障関連データ(過去の測定値を含む)を用いてもよい。
また、ステップS24で、3つ以上の異なる測定時刻における電流値(I(t1),I(t2),I(t3),・・・)が得られる場合、一般的に知られる最小二乗法等を用いたシステム同定手法を適用することにより、測定時のノイズ除去やパラメータ変動の推定が可能になる。これにより、より高精度に故障点までの距離が導出されると期待される。
さらに、ステップS24で、変電所103の電流計105により測定された電流値から、この変電所103のき電範囲内を走行する車両102に対する負荷電流を差し引いた値を、き電回路パラメータの送出電流として用いてもよい。この場合、車両102の負荷電流を特定する方法として、例えば故障検出前の電流計105の測定値を用いてもよい。あるいは、各時刻の列車走行状態(ノッチ、勾配等)より推定される負荷電流を用いてもよい。さらに、車両102側に、故障点標定装置110と通信するための無線伝送装置(不図示)を備えておき、車両102内に設置した電流計(不図示)で測定された負荷電流値を、車両102から故障点標定装置110へ送信してもよい。このようにして、車両102の負荷電流を差し引くことにより、変電所103の近傍に在線する車両102の運転による距離推定精度の劣化軽減が期待される。
[1−4.複数変電所で連携する場合の例]
次に、複数の変電所での故障点の検出を連携して、故障点の位置を導出する例について説明する。
図6は、複数の変電所および故障検出装置を含む故障点標定システムの実施形態の全体構成を示す。
ここでは、図6に示すように、故障点を算出する変電所(変電所Aと呼ぶ)103とは別の変電所(変電所Bと呼ぶ)203における故障関連データとして、変電所(B)203から故障点までの距離xBが既に保存されている場合を想定する。このとき、図5のステップS24では、導出した変電所(A)103から故障点までの距離xAと、変電所(B)203から故障点までの距離xBを照合し、故障点の位置を導出する。
変電所(B)203には、電流計205、電圧計206、遮断器207、および故障検出装置208が設置される。故障検出装置208は、変電所(変電所Aと呼ぶ)103側の故障検出装置108と同様に構成され、ネットワーク111を介して故障点標定装置110に故障発生情報や測定値を送信する。
ここで、図6に示すように、変電所(A)103と変電所(B)203との間のき電回路に、故障点(地絡点)が存在するとき、それぞれで算出した距離を照合して、位置を特定することが可能になる。
図7は、変電所(A)103と変電所(B)203との間の故障点を特定する具体例を示す。
ここでは、変電所(A)103が5km地点、変電所Bが15km地点に存在し、変電所(A)103の測定データから導出した故障点までの距離が3km、変電所(B)203の測定データから導出した故障点までの距離が7kmの場合を示す。
変電所(A)103の測定データから導出した故障点までの距離が3kmの場合、故障点は、2km地点の可能性と、8km地点の可能性がある。一方、変電所(B)203の測定データから導出した故障点までの距離が7kmの場合、故障点は、8km地点の可能性と、22km地点の可能性がある。
ここで、故障点標定装置110では、2つの変電所103、203で導出された距離を照合することで、一致した位置から、故障点の位置が8km地点と導出される。
図7の例は、理想的な位置が導出できる場合であるが、実際には、各変電所が導出した距離を照合して故障点の位置を導出する際、ノイズやパラメータ誤差、多重故障発生等により、1つの地点に特定できない場合が想定される。その場合、故障点標定装置により導出された距離に基づき、1つの地点を特定するのではなく、故障点が存在しうる一定範囲を導出する事が考えられる。
この場合の具体的な例を図8および図9に示す。
図8は各変電所103、203からの距離の範囲が重複している例であり、故障点標定装置110は故障点を1つの地点に絞り込めていない。例えば、変電所(A)103側の測定データから、変電所(A)103から4kmの地点が故障点と導出され、変電所(B)203側の測定データから、変電所(B)203から8kmの地点が故障点と導出されたとする。
このとき、範囲が重複している7km地点から9km地点までの範囲全体を故障点が存在しうる範囲(以下、「標定候補範囲」と呼ぶ)として導出する。あるいは、標定候補範囲の中間地点(ここでは8km地点)を、故障点として導出する。
図9は各変電所103、203からの距離の範囲が重複していない例であり、故障点標定装置110は故障点を1つの地点に絞り込めていない。例えば、変電所(A)103側の測定データから、変電所(A)103から2kmの地点が故障点と導出され、変電所(B)203側の測定データから、変電所(B)203から6kmの地点が故障点と導出されたとする。
このとき、一方の変電所(A)103が導出した距離の範囲と、他方の変電所(B)203が導出した距離の範囲に挟まれる範囲(7km地点から9km地点までの範囲)を、標定候補範囲とする。あるいは、標定候補範囲の中間地点(ここでは8km地点)を、故障点として導出する。
また、これらの処理により導出された標定候補範囲に対し、各変電所で得た距離の重み付けを調整してもよい。すなわち、システム同定等の手法により、き電回路パラメータを調整することで、標定候補範囲の中から最も故障点となる確率が高い地点を導出してもよい。さらに、標定候補範囲内の各地点に故障点が存在する確率の分布を導出してもよい。また、標定候補範囲が一定以上大きい場合は、故障点標定が困難なほどのノイズやパラメータ誤差、多重故障等が発生していると判定して、故障点標定装置110は、警報装置112へエラー情報を出力してもよい。
これらの処理で導出された故障点や標定候補範囲やの情報は、警報装置112に送信される。このとき、故障点標定装置110は、故障点または標定候補範囲の情報に加えて、警報装置112に、測定値(電流、電圧)、故障電流を検出した架線の区間情報と検出時刻に関する情報を送信することが望ましい。これにより、故障被害の規模推定等による保守点検支援を適切に行うことができるようになる。
なお、図7〜図9の例は、2つの変電所が導出した距離から、事故点を算出する例を示したが、3つ以上の変電所が導出した距離から、事故点を算出することも可能である。
以上説明したように、本実施の形態例の故障点標定装置110は、複数の変電所間の測定時刻の同期を行うことなく、高精度に故障点標定を行うことが可能になる。
[1−5.短絡事故の例]
ここまで説明した実施の形態例では、故障点109での故障事象として地絡が発生した場合(図1、図6)を説明した。
これに対して、例えば図10に示すように、故障点109′での故障事象として、架線101とレール104が接触する短絡が発生した場合にも、故障点標定装置110は、地絡発生時と同様の処理で、故障点を標定することができる。
このように、レール抵抗や漏れコンダクタンス、大地抵抗、レール・大地間の接地抵抗等の周辺環境に応じて故障電流の流れる量や経路が決定される。ここで、一般的に短絡故障発生時はレールを帰線として変電所へ流れる故障電流の割合が高くなる一方、地絡故障発生時は大地を帰線として流れる割合が高くなると想定される。したがって、レールを流れた故障電流の変動はレールインダクタンスやレール抵抗の影響が支配的となり、大地内を流れる故障電流は大地帰路インダクタンスや大地抵抗が支配的となる。
また、ステップS23で、き電回路パラメータを導出する際、故障事象が推定できる場合、その故障事象に応じて適用する抵抗、およびインダクタンスを変更することで、故障点標定精度を向上することができる。故障事象を推定する方法としては、例えば短絡故障の方が大きな故障電流が発生しやすいため、測定した故障電流が一定値を越える場合は短絡故障、一定値以下の場合は地絡故障と推定し、各故障に応じたき電回路パラメータを導出することが考えられる。
<2.第2の実施の形態例>
次に、本発明の第2の実施の形態例について、図11〜図13を参照して詳細に説明する。
[2−1.故障点標定システムの構成]
図11は、本実施の形態例における、故障点標定システムの全体構成を示す。
先に説明した第1の実施の形態例では、変電所103に設置した電流計105と電圧計106の測定値から、故障点を標定するようにした。これに対して、本実施の形態例では、図11に示すように、変電所103に設置した架線101の電圧計106の他に、レール電位を測定する電圧計113を設け、両電圧計106、113の測定値から、き電回路パラメータを導出して、故障点を標定するようにしている。
ここで、レール電位とは、レールと大地(設置マット、補助帰線、機器接地網等)との間の電圧(電位差)である。
図11に示す故障点標定システムにおいて、レール電位を測定する電圧計113を設け、電流計105を省略した以外は、図1に示す故障点標定システムと同様の構成である。
地絡が発生した場合、故障電流の発生に伴い、故障点近傍のレール電位は故障電流の大きさに比例して上昇することが知られている。この現象を利用したき電防護システムとして、地絡が発生した際のレール電位上昇を検知し、地絡の影響が及ぶ範囲の遮断器を開放する直流高圧接地継電器が知られている。
[2−2.故障点標定処理の流れ]
次に、図12および図13のフローチャートを参照して、故障検出装置108および故障点標定装置110が、レール電位を用いて、定期的あるいは周期的に故障点を標定する処理を示す。
図12は、故障検出装置108が定期的あるいは周期的に行う故障の発生有無を検出する故障検出処理の流れを示すフローチャートである。
まず、故障検出装置108は、電圧計106の計測値から、変電所103の送出電圧を測定すると共に、電圧計113の計測値から、レール電位を測定する(ステップS31)。
次に、故障検出装置108は、測定したレール電位に基づいて、故障発生の有無を判定する(ステップS32)。
ここで、故障発生を検出した場合(ステップS32のYes)は、故障検出装置108は、故障発生を検出したき電回路に設置された遮断器107を開放し、以降の電力供給を停止する(ステップS33)。
その後、故障検出装置108は、故障検出情報、架線電電圧測定値、およびレール電位測定値を故障点標定装置110へ送信する(ステップS34)。ここで、故障点標定装置110へ送信する測定値には、測定時刻の情報が含まれる。
一方、ステップS32で故障検出装置108が故障を検出しなかった場合(ステップ32のNo)は、ステップS33の処理を実行することなく、故障なしの情報、および架線電圧測定値やレール電位測定値を故障点標定装置110へ送信する(ステップS34)。なお、故障なしの場合には、電圧測定値やレール電位測定値の送信を省略してもよい。
図13は、故障点標定装置110が故障点を標定する処理の流れを示すフローチャートである。
故障点標定装置110は、既に説明した故障検出装置108での処理で、定期的に変電所103の電圧計106の測定値(架線電圧)と電圧計113の測定値(レール電位)を取得しており、故障検出装置108と連係して、き電回路内の故障点を標定する。
まず、故障点標定装置110は、故障検出装置108から故障検出情報および測定値を含むデータを受信する(ステップS41)。ここで、故障点標定装置110が故障検出装置108から受信するデータは、図12のフローチャートのステップS34で故障検出装置108が送信するデータと同じデータである。
次に、故障点標定装置110が、受信データに基づいて故障発生の有無を判定する(ステップS42)。ここでは、例えば故障検出情報に含まれる故障発生の判定結果を確認することで、故障発生の有無を判定する。
ステップS42の判断で、故障発生を検出した場合(ステップS42のYes)、該当するき電回路のパラメータを導出する(ステップS43)。なお、該当するき電回路のパラメータとしては、該当する変電所103の送出電圧、レール電位、単位長さ辺りの抵抗値(架線、レール、大地)、およびインダクタンス値が含まれる。
そして、故障点標定装置110は、予め用意された演算式を使った演算処理で、導出したき電回路パラメータを用いて故障点までの距離を導出し(ステップS44)、導出した故障点までの距離に基づいて、故障点の位置を導出する(ステップS45)。
さらに、故障点標定装置110は、警報装置112へ故障情報を送信する(ステップS46)。また、故障情報を送信した後、故障点標定装置110は、故障関連データをデータベースへ保存する(ステップS47)。
一方、ステップS42で故障を検出しなかった場合(ステップS42のNo)、故障点標定装置110は、ステップS43〜S46の処理を実行せず、ステップS47で測定データの保存処理を実行する。
ステップS47で、故障関連データを保存する際には、故障判定結果、故障検出時刻、変電所から故障点までの距離、故障点の位置、測定値(架線電圧、レール電位)、測定時刻等を含むことが好ましい。
以上説明した処理の流れで、故障点標定装置110は、1回分の故障点を標定する故障点標定処理を終了し、次の故障点標定処理まで待機する。
ステップS44で故障点までの距離を導出する場合、変電所近傍のレール電位に基づいて、故障検出および故障点評定を行うことが、第1の実施の形態例と異なる。
ここではステップS43で、き電回路パラメータを導出する際に、オームの法則に基づき、先に説明した故障電流の算出式(式1)と、レールと地面との間の漏れコンダクタンスや接地抵抗、変電所からレール電位測定地点までの抵抗等のパラメータを用いる。故障点からレール電位測定地点までの間の抵抗は、き電回路を構成する架線抵抗、レール抵抗、大地抵抗、レール・大地間の接地抵抗等より導出される。例えば、変電所103から故障点までの距離xを特定し、レール近傍の構造物(レール、道床、高架橋等)を電気回路でモデル化することで、上述した抵抗値の算出が可能になる。
ステップS44では、第1の実施の形態例のステップS24と同様の手順により、ステップS43で導出したき電回路パラメータ、および各時刻における変電所送出電圧やレール電位の測定値を用いて、変電所103から故障点までの距離を導出する。
その際、第1の実施の形態例で示した方法と同様に、距離xおよび経過時間tが未知の変数とし、少なくとも2つの異なる測定時刻において得られたレール電位測定値を用いて連立方程式を解くことにより、距離xおよび経過時間tを導出することができる。
このように、第2の実施の形態例によっても、故障点標定装置110は、故障点標定装置と故障検出装置は変電所送出電流を用いることなく、レール電位の測定値より高精度に故障点標定を行うことができる。
<3.変形例>
本発明は、上述した各実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上述した各実施の形態例では、故障点標定システムが、き電電流を取得して故障発生の有無判定、および故障点を標定する処理を詳細に説明した。これに対して、故障検出した場合、故障点標定システムは、外部の別のシステムに故障発生を通知し、検出した故障を考慮した制御を行わせてもよい。
例えば、故障点標定システムは、鉄道の運行管理システムや鉄道保安システム、あるいは変電所を管理する変電システム等とネットワークを介して接続された構成とする。そして、故障点標定システムが、運行管理システムや鉄道保安システムに故障電流が発生した旨および異常が発生していると推定される箇所の情報を通知することで、当該箇所への列車進入を制限させてもよい。
また、故障検出装置は、変電所を管理する変電システムへ異常発生(および故障が発生していると考えられる変電所の情報)を通知し、当該変電所への給電を制限してもよい。
また、故障点標定装置が、複数の変電所で算出した情報から故障点を標定する際には、算出した距離の照合を行う例を示したが、それぞれの変電所で距離を算出する際に、時刻t=0となる時刻を、一致させる処理を行うようにして、より精度を向上させてもよい。すなわち、それぞれの変電所で測定したパラメータを使用した演算で、地絡などが発生した時刻t=0が一致しない場合、時刻t=0を中間の値にする等して、一致させて、より演算の精度を向上させてもよい。
また、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、図1などの構成図や機能ブロック図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、図3や図5などに示すフローチャートにおいて、実施の形態例の処理結果に影響がない範囲で、一部の処理ステップの実行順序を入れ替えたり、一部の処理ステップを同時に実行したりするようにしてもよい。
1…中央制御ユニット(CPU)、2…ROM、3…RAM、4…記憶装置、5…操作部、6…表示部、7…通信インターフェース、8…バスライン、101…架線、102…車両
103…変電所、104…レール、105…電流計、106…電圧計、107…遮断器、108…故障検出装置、109,109′…故障点、110…故障点標定装置、111…ネットワーク、112…警報装置、113…電圧計、203…変電所、205…電流計、206…電圧計、207…遮断器、208…故障検出装置

Claims (10)

  1. 直流電気鉄道の架線内において故障が発生した位置である故障点を推定する故障点標定装置であって、
    変電所の送出電圧と、前記架線のき電電流またはレール電位を取得する取得部と、
    故障発生時における故障電流の時間変動を推定する計算式に基づき、少なくとも2つの異なる測定時刻において得られた前記き電電流または前記レール電位の測定値を用いて前記変電所から前記故障点までの距離を導出する演算処理部と、
    前記演算処理部が導出した前記故障点までの距離を通知する情報を送信する送信部と、を備える
    故障点標定装置。
  2. 前記演算処理部は、少なくとも2つの異なる変電所において導出された、前記変電所から前記故障点までの推定距離を照合し、推定距離が合致する位置を前記故障点として導出し、
    前記送信部は、導出した前記故障点の位置の情報を送信する
    請求項1に記載の故障点標定装置。
  3. 列車上で取得した電流、もしくは故障検出前に取得した前記架線の電流、もしくは各時刻における列車の走行状態より推定される負荷電流を、前記変電所のき電範囲内を走行する列車の負荷電流とし、
    前記演算処理部は、前記変電所において取得された前記架線のき電電流から、前記列車の負荷電流を差し引いた値を、前記き電電流の測定値として用いる
    請求項1に記載の故障点標定装置。
  4. 前記演算処理部は、少なくとも2つの異なる変電所において導出された、前記変電所から前記故障点までの推定距離を照合する際、前記各変電所が導出した前記故障点までの距離に基づき、前記故障点の導出に使用する前記測定値および導出した距離の重み付けを調整する
    請求項2に記載の故障点標定装置。
  5. 前記演算処理部は、少なくとも2つの異なる変電所において導出された、前記変電所から前記故障点までの推定距離を照合する際、前記各変電所から故障点までの距離の範囲が重複する場合は、重複している範囲を故障点が存在しうる範囲を、標定候補範囲として導出し、
    前記各変電所から故障点までの距離の範囲が重複していない場合は、1つの変電所が導出した距離の範囲と、他方の変電所が導出した距離の範囲に挟まれる範囲を故障点が存在しうる範囲を標定候補範囲として導出する
    請求項2に記載の故障点標定装置。
  6. 前記演算処理部は、少なくとも2つの異なる変電所において導出された、前記変電所から前記故障点までの推定距離を照合して前記標定候補範囲を導出する際、
    前記標定候補範囲の中から最も前記故障点となる確率が高い地点を導出する、もしくは前記標定候補範囲内の各地点に前記故障点が存在する確率の分布を導出する、もしくは前記標定候補範囲が一定以上大きい場合はエラーと判断する
    請求項5に記載の故障点標定装置。
  7. 前記演算処理部は、前記変電所において得られた前記き電電流の測定値に基づき、地絡故障か、あるいは短絡故障かの故障事象種別を判定し、
    判別した前記故障事象種別に基づき、故障発生時における故障電流の時間変動を推定する前記計算式で用いるき電回路パラメータを変更する
    請求項1に記載の故障点標定装置。
  8. 前記架線に故障が発生していると判定したときに、ネットワークを介して接続した、鉄道運行管理システム、鉄道保安システムまたは変電システムの少なくともいずれか1つに、検出された前記故障事象についての情報を送信する
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の故障点標定装置。
  9. 直流電気鉄道の架線内において故障が発生した位置である故障点を推定する故障点標定装置と、前記故障点を通知する警報装置とを備える故障点標定システムであって、
    前記故障点標定装置は、
    変電所の送出電圧と、前記架線のき電電流またはレール電位を取得する取得部と、
    故障発生時における故障電流の時間変動を推定する計算式に基づき、少なくとも2つの異なる測定時刻において得られた前記き電電流または前記レール電位の測定値を用いて前記変電所から前記故障点までの距離を導出する演算処理部と、
    前記演算処理部が導出した前記故障点までの距離を通知する情報を送信する送信部と、を備え、
    前記警報装置は、前記送信部が送信する情報を受信したとき、故障点を通知する通知部を備える
    故障点標定システム。
  10. 直流電気鉄道の架線内において故障が発生した位置である故障点を推定する故障点標定方法であって、
    変電所の送出電圧と、前記架線のき電電流またはレール電位を取得する取得処理と、
    故障発生時における故障電流の時間変動を推定する計算式に基づき、少なくとも2つの異なる測定時刻において得られた前記き電電流または前記レール電位の測定値を用いて前記変電所から前記故障点までの距離を導出する演算処理と、
    前記演算処理により導出した前記故障点までの距離を通知する通知処理と、を含む
    故障点標定方法。
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