JP2019189591A - ヒトpd−l1結合性ペプチド - Google Patents
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Abstract
【課題】抗体と比較して非常に分子サイズが小さく、PD−L1への結合性に優れた新規ペプチド、及びPD−L1とPD−1との相互作用の阻害効果に優れた新規ペプチドの提供。また、該ペプチドを有効成分とする、がんの治療剤の提供。【解決手段】アミノ酸配列:式(3):AELAALEAELAALEGX1X2X3X4X5GDLRFLLRX6LRVLSX7、若しくは式(4):AELAALEAELAALEGX8X9X10X11X12GX13LX14X15LLDDLX16X17LX18X19(但し、式(3)及び(4)中の各記号は添付の明細書に記載の通りである。)、又は 式(3)若しくは式(4)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、の全てもしくは一部を有するペプチド。【選択図】図1
Description
本発明は、PD−L1によって誘導される免疫抑制シグナルを阻害することを特徴とする免疫賦活に関する。より具体的には、PD−L1に対する結合性を有するペプチド、及びPD−L1とPD−1との結合阻害活性を有するペプチドに関する。
免疫療法は、ほとんどの薬物療法において避け難い副作用が軽減され、極めて特異性の高い治療方法として期待されている。特に、癌治療や感染症治療における薬物療法が、患者に対して大きな負担を課す治療方法であるために、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の回復が重要視されているが、免疫療法は、ヒトがもともと備え持っている免疫反応を外因的な方法によって賦活化させ、薬物投与による負担の一部を肩代わりさせることによって、患者のQOLを回復させる目的のもとに行なうことができる。
免疫の賦活化は、Tリンパ球細胞の免疫反応を活性化させる方法で行なうことができる。T細胞の活性化には、抗原レセプター(TCR)を介した刺激だけでなく、共役刺激分子群(例えば、CD28)を介した付加的な刺激誘導が必要であるといわれている。一方、最近、共役刺激分子群と相同的な構造を有する分子群、CTLA−4、PD−1、PD−L1が発見され、抗原レセプター(TCR)シグナルを抑制するシグナルを発していることが報告されている。T細胞の活性化の方法として、この共役抑制分子の機能を抑制することも有効な1つの手段であると考えられている。
PD−1は免疫グロブリンファミリーに属する55kDaのI型膜タンパクとしてクローニングされた(非特許文献1、特許文献1、特許文献2)。ヒトPD−1cDNAは、EMBL / GenBank Acc.No. NM_005018に示される塩基配列で構成され、マウスPD−1cDNAは、Acc. No. X67914に示される塩基配列で構成され、それら発現は、胸腺細胞においてはCD4−CD8−からCD4+CD8+細胞に分化する際に認められる(非特許文献2、非特許文献3)。また、末梢におけるPD−1の発現は、抗原レセプターからの刺激により活性化したT細胞、B細胞(非特許文献4)または活性化マクロファージを含む骨髄細胞に認められることが報告されている。
PD−1の細胞内領域には、ITIMモチーフ(Immunoreceptor Tyrosine - based Inhibitory Motif)があり、免疫反応に対する抑制ドメインと考えられている。さらに、PD−1欠損マウスが、糸球体腎炎、関節炎といったループス様自己免疫病(C57BL/6遺伝子背景の場合)(非特許文献5、非特許文献6)や拡張性心筋症様疾患(BALB/c遺伝子背景の場合)(非特許文献7)を発症することから、PD−1が自己免疫疾患発症、特に、末梢自己免疫寛容の制御因子であることも示唆されている。また、PD−1に対する抗体や、これらの抗体がメラノーマ細胞などの腫瘍細胞の増殖を抑制することが報告されている(特許文献3、特許文献4)。
PD−1のリガンドであるPD−L1(ヒトPD−L1cDNAはEMBL / GenBank Acc. No. AF233516、マウスPD−L1cDNAはNM_021893で示される塩基配列で構成される。)は、活性化した単球や樹状細胞などのいわゆる抗原提示細胞に発現している(非特許文献8)。これら細胞は、Tリンパ球細胞に対して、さまざまな免疫誘導シグナルを誘導する相互作用分子を提示しており、PD−L1は、PD−1による抑制シグナルを誘導する分子の1つである。また、PD−L1リガンド刺激は、PD−1を発現しているTリンパ球細胞の活性化(細胞増殖、各種サイトカイン産生誘導)を抑制することが示されている。さらに、PD−L1の発現は、免疫担当細胞のみでなく、ある種の腫瘍細胞株(単球性白血病由来細胞株、肥満細胞種由来細胞株、肝癌由来細胞株、神経芽細胞種由来細胞株、乳癌由来各種細胞株)でも確認されている(非特許文献9)。
PD−L1に代表される共役抑制分子からの抑制シグナルは、抗原レセプター(TCR)および共役刺激分子によるポジティブなシグナルを適性に制御するメカニズムによって、リンパ球発生または成熟過程での免疫寛容や自己抗原に対する異常な免疫反応を制御していると考えられている。また、ある種の腫瘍やウイルスは、直接的もしくは間接的なメカニズムによって、T細胞の活性化および増殖を遮断し、これら共役抑制分子を自らに対する宿主免疫反応を衰弱させるのに利用していると考えられている(非特許文献10、非特許文献11)。さらに、T細胞の機能障害に起因すると考えられている疾患の一部では、これら共役抑制分子の異常がT細胞の機能障害を起していると考えられている。
生体内の情報伝達経路の阻害による治療として、特定のターゲット分子に結合する分子を用いた治療法が開発されている。そのような分子としては、抗体やペプチドの報告がある。抗体については、多くの製品が開発され、臨床で使用されている。例えば、特定のターゲット分子に結合するペプチドとして、ヒトインターロイキン―5受容体(hIL−5R)に結合する、ヘリックス―ループ―ヘリックス構造を有するhIL−5R結合ペプチド(特許文献5)や、VEGFに結合する、ヘリックス―ループ―ヘリックス構造を有するVEGF結合性ペプチド(特許文献6)が報告されている。しかし、本発明がターゲットとするPD−L1に対して特異的に結合する分子としては、抗PD-L1抗体薬「バベンチオ(登録商標)」のように抗体は開発されているものの、ペプチドについての報告はない。
The EMBO Journal,1992年,第11巻,第11号,p.3887〜3895
International Immunology,1996年,第18巻,第5号,p.773〜780
Journal of Experimental Medicine,2000年,第191巻,第5号,p.891〜898
International Immunology,1996年,第18巻,第5号,p.765〜772
International Immunology,1998年,第10巻,第10号,p.1563〜1572
Immunity,1999年,第11巻,第2号,p.141〜151
Science,2001年,第291巻,第5502号,p.319〜332
Journal of Experimental Medicine,2000年,第19巻,第7号,p.1027〜1034
Nature Immunology,2001年,第2巻,第3号,p.261〜267
Cell,1992年,第71巻,第7号,p.1093〜1102
Science,1993年,第259巻,第5093号,p.368〜370
抗PD−L1抗体を用いた抗体治療は、その高い特異性や治療効果が認められているものの、抗体の大きなサイズにより、免疫抑制経路に対する物質としての問題点が指摘されている。例えば、ヒトに対する抗原性の問題があり、この抗原性を下げるため、ヒト化が必要であることや、生産に膨大なコストがかかるという問題点を有する。そのため、抗体より比較的に小さな分子サイズの免疫チェックポイント拮抗剤が種々検討されている。従って、本発明は、抗体と比較して非常に分子サイズが小さく、PD−L1への結合性に優れた新規ペプチドを提供することを課題とする。また、PD−L1とPD−1との相互作用の阻害効果に優れた新規ペプチドを提供することを課題とする。さらに、該ペプチドを有効成分とする、がんの治療剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構造を有するペプチドにおいて、特定のアミノ酸配列を有することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の具体的な要旨は以下の通りである。
[1] アミノ酸配列:
式(3):AELAALEAELAALEGX1X2X3X4X5GDLRFLLRX6LRVLSX7、若しくは
式(4):AELAALEAELAALEGX8X9X10X11X12GX13LX14X15LLDDLX16X17LX18X19
(但し、X1〜X5は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X6、X7は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X8〜X12は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X13はF又はLを表し、X14はW又はFを表し、X15〜X18は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X19はS又はGを表す。)、又は
式(3)若しくは式(4)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、
の全てもしくは一部を有するペプチド。
[2] 式(3)のX6がSであり、かつX7がGである、[1]に記載のペプチド。
[3] 式(3)のX1〜X5が全てGである、[1]又は[2]に記載のペプチド。
[4] 式(4)のX15がI、H、T、Q又はAであり、X16がN、R、Q又はKであり、X17がH、R、Q、G、A、S又はEであり、かつX18がK又はNである、[1]に記載のペプチド。
[5] 式(4)のX8〜X12が全てGである、[3]又は[4]に記載のペプチド。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のペプチドを含有する、ヒトPD−L1アンタゴニスト。
[7] [1]〜[5]のいずれかに記載のペプチドを含有する、T細胞活性化のための医薬組成物。
[8] [1]〜[5]のいずれかに記載のペプチドを含有する、がん疾患を処置するための医薬組成物。
[1] アミノ酸配列:
式(3):AELAALEAELAALEGX1X2X3X4X5GDLRFLLRX6LRVLSX7、若しくは
式(4):AELAALEAELAALEGX8X9X10X11X12GX13LX14X15LLDDLX16X17LX18X19
(但し、X1〜X5は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X6、X7は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X8〜X12は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X13はF又はLを表し、X14はW又はFを表し、X15〜X18は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X19はS又はGを表す。)、又は
式(3)若しくは式(4)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、
の全てもしくは一部を有するペプチド。
[2] 式(3)のX6がSであり、かつX7がGである、[1]に記載のペプチド。
[3] 式(3)のX1〜X5が全てGである、[1]又は[2]に記載のペプチド。
[4] 式(4)のX15がI、H、T、Q又はAであり、X16がN、R、Q又はKであり、X17がH、R、Q、G、A、S又はEであり、かつX18がK又はNである、[1]に記載のペプチド。
[5] 式(4)のX8〜X12が全てGである、[3]又は[4]に記載のペプチド。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のペプチドを含有する、ヒトPD−L1アンタゴニスト。
[7] [1]〜[5]のいずれかに記載のペプチドを含有する、T細胞活性化のための医薬組成物。
[8] [1]〜[5]のいずれかに記載のペプチドを含有する、がん疾患を処置するための医薬組成物。
本発明によれば、PD−L1への結合性に優れた新規ペプチド、及びPD−L1とPD−1との相互作用の阻害効果に優れた新規ペプチドを提供することができる。また、該ペプチドを有効成分とする、がんの治療剤を提供することができる。
本発明により提供されるペプチド(以下「本発明のペプチド」と省略する場合がある。)は、下記式(1)若しくは式(2)で示されるアミノ酸配列、又は式(1)若しくは式(2)のアミノ酸配列において1若しくは数個(典型的には1乃至6個、好ましくは1乃至5個、さらに好ましくは1乃至4個、さらに好ましくは1乃至3個、さらに好ましくは1乃至2個、さらに好ましくは1個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列(これらの配列をまとめて、「特定アミノ酸配列」と省略する場合がある。)の全部又は一部を有するペプチド(以下「本発明のペプチド1」と称する場合がある。)である。本明細書において、アミノ酸は、特に断らない限り1文字表記で表す。
(但し、X1、X2は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X3はF又はLを表し、X4はW又はFを表し、X5〜X8は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X9はS又はGを表す。)
中でも、式(1)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドとして、X1がSであり、かつX2がGであるペプチドが好ましく、式(2)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドとして、X5がI、H、T、Q又はAであり、X6がN、R、Q又はKであり、X7がH、R、Q、G、A、S又はEであり、かつX8がK又はNであるペプチドが好ましい。より具体的には、上記式(1)で表されるアミノ酸配列としては、例えば、配列番号31で表わされる配列が挙げられ、上記式(2)で表されるアミノ酸配列としては、例えば、配列番号32乃至43のいずれかで表わされる配列が挙げられるが、特に配列番号34又は43で表わされるアミノ酸配列が好ましい。
これらの配列を含んでいれば、その他のアミノ酸配列や構造は任意であるが、好ましくは、αへリックス構造(以下『特定アミノ酸配列含有ヘリックス構造』と称する場合がある。)を形成するペプチドである。従って、本発明のペプチド1の好適な態様の1として、式(1)若しくは式(2)で示されるアミノ酸配列、又は式(1)若しくは式(2)のアミノ酸配列において1若しくは数個(例:2、3、4、5、6個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列の全部又は一部を有し、かつαヘリックス構造を形成するペプチドが挙げられる。αヘリックス構造を形成し、上記で規定するアミノ酸配列を有していれば、所定の立体構造を持つペプチド配列がαヘリックスの片側(即ち、ロイシン残基が配置された部分(以下「L側」ともいう)とは反対側)に形成され、この部分によりPD-L1分子への結合が可能となると考えられる。よって、そのような条件を満たす限り、αへリックス構造には、さらに他の構造物が付随してもよく、該他の構造物はαヘリックスのL側に配置されるように設計するのが好ましい。
『特定アミノ酸配列含有ヘリックス構造』を構成するアミノ酸残基数は任意であるが、2乃至8回転の螺旋を形成するアミノ酸残基数であることが好ましい。この場合において、アミノ酸残基数の上限は、典型的には30残基であり、好ましくは25残基であり、より好ましくは20残基であり、さらにより好ましくは14残基であり、また、アミノ酸残基数の下限は、典型的には8残基であり、好ましくは10残基であり、より好ましくは12残基であり、さらにより好ましくは14残基である。また、本発明のペプチド1を構成するアミノ酸残基数も任意であるが、上限は、典型的には30残基であり、好ましくは20残基であり、より好ましくは14残基であり、また、下限は、典型的には8残基であり、好ましくは12残基であり、より好ましくは14残基である。
また、本発明のペプチドの別の態様として、上記特定アミノ酸配列含有ヘリックス構造又は本発明のペプチド1を部分構造として含むペプチド(以下「本発明のペプチド2」と称する場合がある。)が提供される。本発明のペプチド2として、例えば、へリックス−ループ−へリックス(以下「HLH」と省略する。)構造を形成するペプチドや、側鎖を架橋(ステープル化)することでペプチドの二次構造を安定化させたステープルペプチド(Stapled Peptide)などが挙げられるが、『特定アミノ酸配列含有ヘリックス構造』が形成される限りこれらに限定されない。好ましくは、HLH構造を形成するペプチドであり、以下では、特段の記載が無い限り、HLH構造について記載する。
HLH構造の両方のヘリックス構造中に特定アミノ酸配列を含んでいてもよいが、一方のヘリックス構造のみに特定アミノ酸配列を含有させ、他方のヘリックスは、特定アミノ酸配列を含有せず単にHLH構造を支持する構造(以下『構造支持ヘリックス構造』と省略する場合がある。)としてもよい。該HLH構造の具体例として、α−ヘリックス構造を有するN末端側に位置するユニット(以下「ヘリックスユニット1」と省略する場合がある。)と、α−ヘリックス構造を有するC末端側に位置するユニット(以下「ヘリックスユニット2」と省略する場合がある)と、前記ヘリックスユニット1と前記ヘリックスユニット2とを結ぶループ構造を有するユニット(以下「ループユニット」と省略する場合がある)とが含まれる構造が挙げられる。また、ヘリックスユニット1とループユニットとは、リンカー(以下「リンカー1」と省略する。)を介して結合してもよく、同様にループユニットとヘリックスユニット2とは、リンカー(以下「リンカー2」と省略する。)を介して結合してもよい。本発明のペプチドの構造の概略図を図1に示すが、本発明のペプチドの構造は、図1に限定されるものではない。
HLH構造は、α−ヘリカルコイルドコイル構造とも呼ばれる強固な立体構造であり、この構造を有するペプチドは、単一分子として溶液中に安定存在する。また、この強固な立体構造のため、本発明のペプチドは、生体内の酵素分解に対しても安定的であり、抗体と比べて低分子量であるにもかかわらず、抗体と同等の高い結合活性を有する。また、α−ヘリックス構造は、右巻きのらせん形をした構造であり、骨格となるアミノ酸残基の全てのアミノ基は、4残基離れたアミノ酸残基カルボキシル基と水素結合を形成するため、非常に安定な構造である。本発明のへリックスユニット1とへリックスユニット2はいずれも、それぞれのヘリックス間で対となるロイシン残基を有しており、このロイシン残基の対の数の下限は2対であり、上限は8対である。該ロイシン残基の対の数は、3〜6対であることが好ましく、4〜5対であることがより好ましい。これらロイシン残基は、α−ヘリックス構造の内側に向かう面、即ち、へリックスユニット1とへリックスユニット2が互いに向かい合う面(以下「内側配置部分」と省略する。)に配置されており、これらロイシン残基が配置された内側配置部分間の疎水結合により、ヘリックスユニット1とヘリックスユニット2は、N末端からC末端方向に対して逆平行に配置され、HLH構造が安定化される。また、これらのロイシン残基の少なくとも1つは、バリンに置換されてもよい。前記疎水結合により、α−ヘリックス同士が引き合い、パッキングされる結果、ペプチド全体の中でロイシン残基が配置された部分が疎水性のコアとして機能する。さらに、各ヘリックスユニットにおいて、パッキングに寄与するロイシン残基(又はバリン残基)と次のロイシン残基(又はバリン残基)との間(以下「パッキング寄与ロイシン残基間」と省略する。)にアミノ酸残基が3残基存在する場合は、少なくとも1残基の親水性アミノ酸残基(例えばグルタミン酸やアスパラギン酸等の酸性アミノ酸、リジン等の塩基性アミノ酸、セリン等の中性アミノ酸)が、パッキング寄与ロイシン残基間において、ロイシン残基(又はバリン残基)と直接隣接するように配置される(このように配置される親水性アミノ酸残基を「ロイシン隣接アミノ酸残基」と省略する。)と、静電気的相互作用も働き、ペプチド全体としてより安定化する。一方で、パッキング寄与ロイシン残基間にアミノ酸残基が2残基存在する場合は、該2残基のアミノ酸残基は特に限定されないが、『構造支持ヘリックス構造』を形成する場合は、好ましくはアラニン、アルギニン、セリン、スレオニン、より好ましくはアラニン、セリンである。
また、『構造支持ヘリックス構造』において、外側に向かう面、即ち、ヘリックスユニット1とへリックスユニット2が互いに遠ざかる面(以下「外側配置部分」と省略する。)には、α−ヘリックス形成能の高いアミノ酸が配置される。本発明のペプチドは、これら立体構造の形成に重要なアミノ酸残基さえ残せば、他の前記を他のアミノ酸残基に置換しても安定な立体構造を維持し得る。
へリックスユニット1が『構造支持ヘリックス構造』を形成する場合のアミノ酸配列は、上述した構造を有する限り特に限定されないが、外側配置部分に配置されるアミノ酸残基(図1の3、6、7、10、13、14番目のアミノ酸残基に対応)は、アラニン又はセリンなどの親水性基を有するアミノ酸残基が好ましく、ヘリックス形成の容易さの観点からは、特にアラニンが好ましい。また、前記パッキング寄与ロイシン残基間にアミノ酸残基が3残基存在する場合において、ロイシン隣接アミノ酸残基は、すべてグルタミン酸残基であることが好ましい。前記パッキング寄与ロイシン残基間にアミノ酸残基が2残基存在する場合において、該2残基は、好ましくはアラニン残基、アルギニン残基、セリン残基、及びスレオニン残基から選択され、より好ましくはアラニン残基及びセリン残基から選択される。好ましいヘリックスユニット1としては、例えば、配列番号34で表されるアミノ酸配列を有する配列が挙げられるが、これに限定されない。
ヘリックスユニット2が『特定アミノ酸配列含有ヘリックス構造』を構成する場合のアミノ酸配列は、アミノ酸の選択が重要となり得る。外側配置部分に配置されるアミノ酸残基(図1の24、26、27、29、30、31、33、34、36、37番目のアミノ酸残基に対応)は、典型的には、システイン以外の天然のアミノ酸から選択される。前記ヘリックスユニット2を構成するアミノ酸配列としては、上記特定アミノ酸配列が挙げられるが、これに限定されない。
ヘリックスユニット1及びへリックスユニット2を構成するアミノ酸残基数は任意であるが、それぞれのヘリックスユニットが2乃至8回転の螺旋を形成するアミノ酸残基数であることが好ましい。この場合において、アミノ酸残基数の上限は、典型的には30残基であり、好ましくは25残基であり、より好ましくは20残基であり、さらにより好ましくは14残基であり、また、アミノ酸残基数の下限は、典型的には8残基であり、好ましくは10残基であり、より好ましくは12残基であり、さらにより好ましくは14残基である。本発明の一実施態様において、ヘリックスユニットは、それぞれ14個のアミノ酸残基からなる。また、ヘリックスユニット1とヘリックスユニット2を構成するアミノ酸残基数は、それぞれ同数でもよいし、異なる数であってもよいが、安定性の観点からは、同数であることが好ましい。
ループユニットのアミノ酸配列は、本発明のペプチドのHLH構造を維持できれば限定されず、典型的には、システイン以外の天然のアミノ酸から選択される。ループユニットを構成するアミノ酸配列として、配列番号35に表わされるアミノ酸配列が挙げられるが、これに限定されない。
ループユニットを構成するアミノ酸残基数についても、HLH構造を維持できる範囲であれば限定されないが、アミノ酸残基数の上限は、典型的には15残基であり、好ましくは14残基であり、より好ましくは13残基であり、さらにより好ましくは12残基であり、さらにより好ましくは11残基であり、さらにより好ましくは10残基であり、さらにより好ましくは9残基であり、さらにより好ましくは8残基である。また、アミノ酸残基数の下限は、典型的には1残基であり、好ましくは2残基であり、より好ましくは3残基であり、さらに好ましくは4残基であり、さらに好ましくは5残基である。本発明の一実施態様において、前記ループユニットは、5個のアミノ酸残基からなる。
リンカー1(図1の17番目のアミノ酸残基に対応)及びリンカー2(図1の23番目のアミノ酸残基に対応)は、それぞれ1乃至3個のアミノ酸残基からなり、該アミノ酸残基は、構造自由度の観点からは、側鎖が小さいアミノ酸残基が好ましく、グリシン及びアラニンがより好ましく、グリシンが特に好ましい。また、リンカー1とリンカー2を両方用いる場合には、少なくとも一方のリンカーがグリシン残基からなることが好ましく、さらに、残りのリンカーもグリシン残基であることが特に好ましい。
へリックスユニット1のN末端及びへリックスユニット2のC末端には、さらにそれぞれ独立して、1乃至3個のアミノ酸残基が結合していてもよい。従って、へリックスユニット1のN末端及びへリックスユニット2のC末端に、さらにそれぞれ独立して1乃至3個のアミノ酸残基(図1の1、2、38、39番目のアミノ酸残基に対応)が結合する場合において、これらの末端のアミノ酸残基は、本発明のペプチドのN末端およびC末端のアミノ酸残基の官能基間に分子内結合を形成できるものが好ましい。また、末端のアミノ酸残基がアセチル化などの修飾により、前記分子内結合を形成してもよい。アセチル化されたアミノ酸残基としては、α-アミノ基がアセチル化したグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、トリプトファンおよびスレオニンなどのアミノ酸残基が挙げられる。従って、本発明のペプチドのN末端又はC末端のアミノ酸残基は、ジスルフィド結合を形成できるシステインや、チオエーテル結合を形成できるN−アセチルグリシンであることが好ましい。これらの分子内結合の形成により、本発明のペプチドが環状構造を構成する(環状ペプチドを形成する)ことで、非環状ペプチドと比較して、構造安定性、保存安定性及び生体内での分解に対する安定性が向上し、半減期が長くなると考えられる。従って、かかる安定性の観点から、本発明のペプチドは、環状ペプチドであることが好ましい。そのような分子内結合は共有結合であれば特に限定されず、例えば、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、エーテル結合などが挙げられる。例えば、環状ペプチドは、N末端のアミノ酸残基が、N-アセチル化アミノ酸残基であり、且つC末端のアミノ酸残基がシステイン残基である場合はチオエーテル結合により、N末端およびC末端のアミノ酸残基がどちらもシステイン残基である場合はジスルフィド結合により、N末端およびC末端のアミノ酸残基がどちらも天然アミノ酸残基である場合はペプチド結合により形成されることが好ましい。
HLH構造を形成する本発明のペプチド2として、具体的には、下記式(3)若しくは式(4)で示されるアミノ酸配列、又は式(3)若しくは式(4)のアミノ酸配列において1若しくは数個(典型的には1乃至20個、好ましくは1乃至10個、さらに好ましくは1乃至5個、さらに好ましくは1乃至4個、さらに好ましくは1乃至3個、さらに好ましくは1乃至2個、さらに好ましくは1個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列の全部又は一部を有するペプチドが挙げられる。
(但し、X1〜X5は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X6、X7は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X8〜X12は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X13はF又はLを表し、X14はW又はFを表し、X15〜X18は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X19はS又はGを表す。)
中でも、式(3)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドとして、X6がSであり、かつX7がGであるペプチドが好ましく、式(4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドとして、X15がI、H、T、Q又はAであり、X16がN、R、Q又はKであり、X17がH、R、Q、G、A、S又はEであり、かつX18がK又はNであるペプチドが好ましい。また、X1〜X5、X8〜X12は全てGであることが好ましい。具体的には、上記式(3)で表されるアミノ酸配列としては、例えば、配列番号1で表わされる配列が挙げられ、上記式(4)で表されるアミノ酸配列としては、例えば、配列番号2乃至13のいずれかで表わされる配列が挙げられるが、特に配列番号4又は13で表わされるアミノ酸配列が好ましい。
式(3)及び(4)において、1番目乃至14番目のアミノ酸配列がヘリックスユニット1に、15番目のアミノ酸残基がリンカー1に、16番目乃至20番目のアミノ酸配列がループユニットに、21番目のアミノ酸残基がリンカー2に、22番目乃至35番目のアミノ酸配列がヘリックスユニット2に対応する。
本発明のペプチド2を構成するアミノ酸残基数の上限は、典型的には70残基であり、好ましくは50残基であり、より好ましくは45残基であり、より好ましくは43残基であり、より好ましくは41残基であり、より好ましくは39残基であり、また、下限は、典型的には19残基であり、好ましくは29残基であり、より好ましくは33残基であり、より好ましくは35残基であり、より好ましくは37残基であり、より好ましくは39残基である。
上記は、ヘリックスユニット1が『構造支持ヘリックス構造』を形成する本発明のペプチドの構造について記載したが、ヘリックスユニット2を『構造支持ヘリックス構造』とし、ヘリックスユニット1の外側配置部分に配置されるアミノ酸残基が、システイン以外の天然のアミノ酸から選択されるHLH構造についても、同様にPD−L1との結合性を有し得る。この場合において、ヘリックスユニット2の外側配置部分には、α−ヘリックス形成能の高いアミノ酸が配置される。
また、本発明において、ペプチドを構成するアミノ酸は天然に存在するL−アミノ酸を意味するが、立体構造を維持する限りD−アミノ酸が含まれていてもよい。中でも、グリシン、プロリン、アラニン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、メチオニン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、スレオニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リシン、チロシン、トリプトファン又はフェニルアラニンが好ましい。また、立体構造を維持する限り、アミノ酸残基は、糖鎖付加、ポリエチレングリコール付加、アセチル化、リン酸化、脂質付加などの修飾がされていてもよい。
本発明のペプチドは、公知の方法で合成することができる。合成方法として、例えば、Fmoc合成法やBoc合成法のような固相合成法、フラグメント縮合法のような液相合成法などが挙げられるが、操作の簡便性の観点からは、固相合成法が好ましい。固相合成法として、例えば、R.B. Merrifieldの方法(J. Am. Chem. Soc., 1963, 85, p.2149-2154)が挙げられるが、この方法に限定されない。ペプチドの合成は、市販のペプチド合成機器を用いて、自動、または手動で行ってもよい。また、遺伝子工学的手法を用いて作製してもよい。このような遺伝子工学的手法としては、例えば、上記のアミノ酸配列をコードする核酸を組み込んだ発現ベクターを適切な宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、大腸菌など)に導入し、宿主細胞内でペプチドを発現させた後、このペプチドを抽出し、精製することにより、ペプチドを得る方法が挙げられるが、この方法に限定されない。
環状ペプチドは、前記方法により非環状ペプチドを得た後、これを環化させることにより製造することができる。この場合には、非環状ペプチドのN末端にあるアミノ酸残基と非環状ペプチドのC末端にあるアミノ酸残基に応じて適切な方法が選択される。例えば、チオエーテル結合による場合、C末端にシステイン残基を、N末端に天然のアミノ酸残基のアミノ基がクロロアセチル化されたN−クロロアセチルアミノ酸残基を有する非環状ペプチドを合成し、その後システインのチオール基とクロロアセチル基を常法により反応させて環状ペプチドを合成する。あるいは、N末端にシステイン残基を、C末端に天然のアミノ酸残基のアミノ基がクロロアセチル化されたN−クロロアセチルアミノ酸残基を有する非環状ペプチドを合成し、その後システインのチオール基とクロロアセチル基を常法により反応させて環状ペプチドを合成する。ジスルフィド結合の場合には、N末端及びC末端にシステインを有する非環状ペプチドを合成し、その後システインのチオール基同士を常法により反応させて環状ペプチドを合成する。この方法として、空気酸化法、フェリシアン化カリウムを用いる酸化法が挙げられる。ペプチド結合による場合には、N末端のアミノ酸残基のアミノ基とC末端のアミノ酸残基のカルボキル基を常法により反応させて環状ペプチドを合成する。この方法として、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤を用いる脱水縮合反応、対称酸無水物法、活性エステル法が挙げられる。
上記の環化反応では、反応条件によっては環状ペプチド以外に、複数の非環状ペプチドが分子間結合により連結したオリゴマーが形成される場合がある。従って、環状ペプチドのみを得るために、環化反応後のペプチドを逆相高速液体クロマトグラフィーなどにより精製することが好ましい。
本発明のペプチドは、PD−L1に対する結合性を有する。PD−L1に対する結合性は、例えば、標的ペプチドと、PD−L1とが結合するか否かにより評価でき、より正確には、PD−L1に対する解離定数(KD)により評価することができる。本発明において、KDが1500nM以下の場合に、PD−L1に対して結合性を有すると評価することができ、KDの値が低いほど、PD−L1に対する結合性が高いと評価することができる。KDは、1500nM以下であれば結合性があると判断でき、1000nM以下が好ましく、500nM以下がより好ましく、300nM以下がさらに好ましく、100nM以下が特に好ましい。従って、本発明のペプチド2は、配列番号1乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましく、配列番号2、3、4、5,6、8,9、13のいずかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましく、配列番号3、4、5、8、9、13のいずかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましく、配列番号4又は5で表されるアミノ酸配列を有するペプチドがさらに好ましい。
また、本発明のペプチドは、PD−L1とPD−1との結合又は相互作用に対する阻害効果を有する。前記阻害効果は、例えば、PD−L1とPD−1との結合又は相互作用の50%阻害濃度(IC50)により評価することができる。本発明において、AlphaLISAの測定によるIC50が10μM以下の場合に、前記阻害効果を有すると評価することができ、IC50の値が低いほど、阻害効果が高いと評価することができる。本発明のペプチドをPD−L1とPD−1との阻害剤としてがんの治療剤に用いる場合に、IC50は、10.0μM以下であることが好ましく、5.0μM以下がより好ましく、1.0μM以下がさらに好ましく、0.5μM以下がさらにより好ましく、0.3μM以下が特に好ましく、0.2μM以下が最も好ましい。従って、配列番号1乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドが好ましく、配列番号2乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましく、配列番号4、5、6、8、9、10、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましく、配列番号4、8、9、10、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましく、配列番号4又は13で表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましい。また、IC50が低く、KDの値も低いことから、配列番号4、5、6、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましく、配列番号4、5、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがより好ましく、配列番号4又は13で表されるアミノ酸配列を有するペプチドが、さらにより好ましい。
PD−L1は、腫瘍細胞や腫瘍微小環境に存在する非形質転換細胞の細胞表面上に強く発現している。このPD−L1が、活性化している細胞傷害性T細胞表面のPD−1に結合すると、T細胞が疲弊し、不活性化される。上述の通り、本発明のペプチドは、PD−1/PD−L1経路を阻害することができ、それにより前記免疫抑制(T細胞の不活性化)シグナルの伝達を阻害できる。従って、本発明のペプチドは、T細胞の疲弊の防止剤、及び/又は疲弊したT細胞の活性化剤として用いることができる。また、本発明のペプチドは、PD−1/PD−L1経路が関与する疾患の予防及び/又は治療剤として利用可能であり、この疾患として、例えば、がんや腫瘍(本発明ではまとめて単に「がん」という。)が挙げられる。以下では、上述した本発明のPD−L1とPD−1との結合又は相互作用の阻害剤(本発明において、「ヒトPD−L1アンタゴニスト」と称する場合がある。)、T細胞の疲弊の防止剤、T細胞の活性化剤、及びがんの治療剤をまとめて、「本発明の治療剤等」と省略する。
本発明のペプチドの投与によって、その効果が期待されるがんとして、例えば、癌腫、扁平上皮癌(例えば、子宮頚管、瞼、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭、食道)、腺癌(例えば、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頚管、大腸、肺、膵、食道、直腸、子宮、胃、乳房、卵巣)が挙げられる。さらに、肉腫(例えば、筋原性肉腫)、白血病、神経腫、メラノーマ、リンパ腫も含まれる。特に、腎臓癌やメラノーマ、肺癌に対して、高い効果が期待される。
本発明の治療剤等は、有効量のペプチドの他に薬理学的に許容し得る製剤用の助剤を含んでいてもよい。助剤は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、被覆剤、矯味剤、可溶化剤であり得る。当該組成物はヒトを含む動物に経口又は非経口で投与できる形態(剤型)として提供される。当該剤型としては、例えば、錠剤であり、顆粒剤であり、散剤であり、液剤であり、注射剤であり、座剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のペプチドの投与量は、性別や体重、年齢、人種、症状等に応じて当業者により適宜決定される。その投与量の下限は、例えば、0.001μg/kg体重であり、0.01μg/kg体重であり、0.1μg/kg体重であり、1μg/kg体重であり、10μg/kg体重であり、50μg/kg体重であり、100μg/kg体重であり得る。また、その上限は、例えば、10mg/kg体重であり、5mg/kg体重であり、3mg/kg体重、1mg/kg体重であり得る。
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1 標的ペプチドのスクリーニング
1.ファージライブラリーを用いたスクリーニング
標的ペプチドのスクリーニング方法の概略を、図2に示す。特開2014−47156に記載の方法と同様にして、ファージライブラリーを調製し、バイオパンニングにより、ヒトPD−L1に結合するペプチドのスクリーニングを行った。ファージライブラリーは式(5)乃至(7)で表されるアミノ酸配列をそれぞれ109種類以上含んだものを使用した。
1.ファージライブラリーを用いたスクリーニング
標的ペプチドのスクリーニング方法の概略を、図2に示す。特開2014−47156に記載の方法と同様にして、ファージライブラリーを調製し、バイオパンニングにより、ヒトPD−L1に結合するペプチドのスクリーニングを行った。ファージライブラリーは式(5)乃至(7)で表されるアミノ酸配列をそれぞれ109種類以上含んだものを使用した。
(但し、X1〜X18は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、Zはアラニン、プロリン、トレオニン以外の17種の天然のアミノ酸のいずれかを表す。)
バイオパンニングによってスクリーニングしたファージのDNAの塩基配列を解析することで、ファージが提示しているペプチドのアミノ酸配列を決定した。DNA塩基配列に次世代シーケンサー(NGS)MiSeq(Illumina)を用いた場合には各配列の出現率を求めた。結果を表1に示す。得られたPD−L1結合性ペプチドのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1乃至13として示した。Phagemid populationの結果(表1)からわかるように、得られたペプチドはいずれも式(5)に帰属する配列であり、式(6)、式(7)に帰属する配列は得られなかった。
2.PD−L1結合性ペプチドの合成
配列番号1乃至13で示されるアミノ酸配列からなるペプチドのカスタム合成をユーロフィンジェノミクス株式会社に依頼した。Fmoc固相合成法にてN末端をアセチル化またはビオチン化、C末端をアミド化した非環状型で純度70%以上の各ペプチドを獲得した。
配列番号1乃至13で示されるアミノ酸配列からなるペプチドのカスタム合成をユーロフィンジェノミクス株式会社に依頼した。Fmoc固相合成法にてN末端をアセチル化またはビオチン化、C末端をアミド化した非環状型で純度70%以上の各ペプチドを獲得した。
3.PD−L1結合性ペプチドの合成
マルトース結合タンパク質(MBP)のカルボキシル基末側に配列番号1乃至13で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを付加したMBPフュージョンタンパク質を大腸菌発現系にて調製した。pMAL−c5Xベクター(NEB)のXmn IとSbf Iの間に配列番号1乃至13で示されるアミノ酸配列のいずれかをコードしたDNA配列を挿入したプラスミドDNAを獲得し、NEB Express Competent E. coli (High Efficiency)(NEB)に形質転換して各MBPフュージョンタンパク質の発現大腸菌株を得た。培養したこれらの大腸菌を10X Fastbreak Cell lysis Reagent(プロメガ)で溶菌後、遠心分離して上澄を獲得した。これに含まれるMBPフュージョンタンパク質をアミロースレジン(NEB)に室温で30分以上攪拌して吸着させた後、このレジンを20mM Tris-HCl (pH 7.0), 200 mM NaCl, 1mM EDTA, 1mM DL-Dithiothreitolの溶液で洗浄した。洗浄したレジンに10 mMマルトースを加えてMBPフュージョンタンパク質を溶出、回収した。この溶液をAmicon(R) Ultra‐0.5mL 遠心式フィルター(メルクミリポア)でバッファー交換並びに濃縮を行い、得られた濃縮液をPBS (-)(和光純薬)で1 mg/mLとなるよう希釈したものをMBPフュージョンタンパク質溶液として評価に用いた。
マルトース結合タンパク質(MBP)のカルボキシル基末側に配列番号1乃至13で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを付加したMBPフュージョンタンパク質を大腸菌発現系にて調製した。pMAL−c5Xベクター(NEB)のXmn IとSbf Iの間に配列番号1乃至13で示されるアミノ酸配列のいずれかをコードしたDNA配列を挿入したプラスミドDNAを獲得し、NEB Express Competent E. coli (High Efficiency)(NEB)に形質転換して各MBPフュージョンタンパク質の発現大腸菌株を得た。培養したこれらの大腸菌を10X Fastbreak Cell lysis Reagent(プロメガ)で溶菌後、遠心分離して上澄を獲得した。これに含まれるMBPフュージョンタンパク質をアミロースレジン(NEB)に室温で30分以上攪拌して吸着させた後、このレジンを20mM Tris-HCl (pH 7.0), 200 mM NaCl, 1mM EDTA, 1mM DL-Dithiothreitolの溶液で洗浄した。洗浄したレジンに10 mMマルトースを加えてMBPフュージョンタンパク質を溶出、回収した。この溶液をAmicon(R) Ultra‐0.5mL 遠心式フィルター(メルクミリポア)でバッファー交換並びに濃縮を行い、得られた濃縮液をPBS (-)(和光純薬)で1 mg/mLとなるよう希釈したものをMBPフュージョンタンパク質溶液として評価に用いた。
4.表面プラズモン共鳴(SPR)法による解離定数(K D )の測定
上記2.で合成した各ペプチドについて、PD−L1に対する親和性をSPR(Biacore T200(GE healthcare))を用いて測定した。センサーチップ(Series S Sensor Chip SA,GE healthcare)に、約1500RUのビオチン標識された各ペプチドをそれぞれ次の方法で固定した。
50 mM 水酸化ナトリウム、1 M 塩化ナトリウム水溶液を流速10mL/minで1分間添加し、これを3回繰り返してセンサーチップ上を洗浄した。次いで、上記2.で合成した各ビオチン化ペプチドをそれぞれHBS-EP+ buffer(10 mM HEPES pH7.4, 150 mM NaCl, 3 mM EDTA, 0.005 % Surfactant P20)(GE healthcare)で1 nMに調製した溶液を流速10mL/minで5〜10分間添加した。その後、50 % isopropanol、50 mM NaOH、1 M NaCl溶液を流速10mL/minで7分間添加し、洗浄した。反応はすべて25℃で行い、ランニングバッファーには、HBS-EP+ bufferを用いた。
Fcタグで標識されたヒトPD−L1(hPD−L1)(Acro Biosystems)をHBS-EP+ bufferで31.2 nM〜500 nMの濃度に希釈し、ビオチン化ペプチドを固定したセンサーチップに25℃、流速30mL/minで添加した。
結合時間は5分間、解離時間は10分間とし、再生条件は、グリシン緩衝液(pH2.0)を流速30mL/minで0.5分間とした。
解離定数(KD)はBiacore T200 Evaluation Software(GE healthcare)を用いたカイネティクス解析から求めた。得られたセンサーグラムに直接反応式をカーブフィッティングさせ、非線形最小二乗法により速度定数を算出した。解析には1 : 1 binding モデルを使用した。結果を表1に示す。
上記2.で合成した各ペプチドについて、PD−L1に対する親和性をSPR(Biacore T200(GE healthcare))を用いて測定した。センサーチップ(Series S Sensor Chip SA,GE healthcare)に、約1500RUのビオチン標識された各ペプチドをそれぞれ次の方法で固定した。
50 mM 水酸化ナトリウム、1 M 塩化ナトリウム水溶液を流速10mL/minで1分間添加し、これを3回繰り返してセンサーチップ上を洗浄した。次いで、上記2.で合成した各ビオチン化ペプチドをそれぞれHBS-EP+ buffer(10 mM HEPES pH7.4, 150 mM NaCl, 3 mM EDTA, 0.005 % Surfactant P20)(GE healthcare)で1 nMに調製した溶液を流速10mL/minで5〜10分間添加した。その後、50 % isopropanol、50 mM NaOH、1 M NaCl溶液を流速10mL/minで7分間添加し、洗浄した。反応はすべて25℃で行い、ランニングバッファーには、HBS-EP+ bufferを用いた。
Fcタグで標識されたヒトPD−L1(hPD−L1)(Acro Biosystems)をHBS-EP+ bufferで31.2 nM〜500 nMの濃度に希釈し、ビオチン化ペプチドを固定したセンサーチップに25℃、流速30mL/minで添加した。
結合時間は5分間、解離時間は10分間とし、再生条件は、グリシン緩衝液(pH2.0)を流速30mL/minで0.5分間とした。
解離定数(KD)はBiacore T200 Evaluation Software(GE healthcare)を用いたカイネティクス解析から求めた。得られたセンサーグラムに直接反応式をカーブフィッティングさせ、非線形最小二乗法により速度定数を算出した。解析には1 : 1 binding モデルを使用した。結果を表1に示す。
5.PD−L1とPD−1との結合又は相互作用の阻害活性の測定
競合ELISAにより、上記の各ペプチドの阻害活性を測定した。PolySorp Immuno Nonsterile 96-Well Plates(Nunc)上に、Fcタグ標識したヒトPD−1(hPD−1)を100ng/wellとなるようにコートし、4℃で一晩静置した。固定化プレートを400μLのPBSTで4回洗浄して、1 well当たり300μLのSuperBlock Blocking Buffer(ThermoFisher)を加えて、25℃で1時間ブロッキングした。その後、PBSTで4回洗浄した。そして25ng/wellのAviタグ、Fcタグ、Hisタグで標識されたhPD−L1(Acro Biosystems)と5.5〜12000nMの各濃度のペプチドを加え、25℃で2時間以上静置した。PBSTで4回洗浄した後、1000倍希釈したHRP標識ストレプトアビジンポリマーを添加し、25℃で1時間静置した。PBSTで4回洗浄し、ELISA POD Substrate TMB Kit (Popular)混合液(ナカライテスク)を100μL/wellで添加し、25℃で遮光しながら10分間静置した。そして、1M硫酸を100μL/wellで添加して反応を停止させ、プレートリーダーで450nmにおける吸光を測定した。
上記の各ペプチドの阻害活性をAlphaLISA PD-1 and PD-L1 Binding Kit(PerkinElmer)でも測定した。操作はキット添付のマニュアルに沿って実施し、各ペプチド0.01〜30μMの濃度で測定を行った。
競合的ELISA並びにAiphaLISAの測定結果から、以下のHill式におけるIC50の近似値を非線形最小二乗法にて求めた。
競合ELISAにより、上記の各ペプチドの阻害活性を測定した。PolySorp Immuno Nonsterile 96-Well Plates(Nunc)上に、Fcタグ標識したヒトPD−1(hPD−1)を100ng/wellとなるようにコートし、4℃で一晩静置した。固定化プレートを400μLのPBSTで4回洗浄して、1 well当たり300μLのSuperBlock Blocking Buffer(ThermoFisher)を加えて、25℃で1時間ブロッキングした。その後、PBSTで4回洗浄した。そして25ng/wellのAviタグ、Fcタグ、Hisタグで標識されたhPD−L1(Acro Biosystems)と5.5〜12000nMの各濃度のペプチドを加え、25℃で2時間以上静置した。PBSTで4回洗浄した後、1000倍希釈したHRP標識ストレプトアビジンポリマーを添加し、25℃で1時間静置した。PBSTで4回洗浄し、ELISA POD Substrate TMB Kit (Popular)混合液(ナカライテスク)を100μL/wellで添加し、25℃で遮光しながら10分間静置した。そして、1M硫酸を100μL/wellで添加して反応を停止させ、プレートリーダーで450nmにおける吸光を測定した。
上記の各ペプチドの阻害活性をAlphaLISA PD-1 and PD-L1 Binding Kit(PerkinElmer)でも測定した。操作はキット添付のマニュアルに沿って実施し、各ペプチド0.01〜30μMの濃度で測定を行った。
競合的ELISA並びにAiphaLISAの測定結果から、以下のHill式におけるIC50の近似値を非線形最小二乗法にて求めた。
A:シグナルの最小値
B:シグナルの最大値
c:勾配の絶対値の最大値
X:ペプチド濃度
Y:シグナル
結果を表1に示す。
B:シグナルの最大値
c:勾配の絶対値の最大値
X:ペプチド濃度
Y:シグナル
結果を表1に示す。
表1のKDの値から、配列番号1乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる全てのペプチドにおいて、PD−L1との結合が認められたが、その中でも配列番号2、3、4、5、6、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチドのKDの値が低く、中でも配列番号3、4、5、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドのKDの値がより低く、配列番号4又は5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドのKDの値が特に低いことが示された。
また、表1のIC50の値から、配列番号1乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列のいずれかからなるペプチドの阻害活性が高く、その中でも配列番号2乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性がより高く、配列番号4、5、6、8、9、10、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性がさらに高く、配列番号4、8、9、10、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性がさらにより高く、特に配列番号4又は13で表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性が特に高いことが示された。
さらに、配列番号4、5、6、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド、中でも配列番号4、5、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド、特に配列番号4又は13で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、IC50とKDの値が共に低いことが示された。
また、表1のIC50の値から、配列番号1乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列のいずれかからなるペプチドの阻害活性が高く、その中でも配列番号2乃至13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性がより高く、配列番号4、5、6、8、9、10、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性がさらに高く、配列番号4、8、9、10、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性がさらにより高く、特に配列番号4又は13で表されるアミノ酸配列を有するペプチドの阻害活性が特に高いことが示された。
さらに、配列番号4、5、6、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド、中でも配列番号4、5、8、9、13のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド、特に配列番号4又は13で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、IC50とKDの値が共に低いことが示された。
本発明のペプチドは、PD−L1とPD−1との結合又は相互作用を阻害するため、がんの治療剤としての利用が可能である。
Claims (8)
- アミノ酸配列:
式(3):AELAALEAELAALEGX1X2X3X4X5GDLRFLLRX6LRVLSX7、若しくは
式(4):AELAALEAELAALEGX8X9X10X11X12GX13LX14X15LLDDLX16X17LX18X19
(但し、X1〜X5は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X6、X7は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X8〜X12は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸のいずれかを表し、X13はF又はLを表し、X14はW又はFを表し、X15〜X18は、それぞれ独立して、システイン以外の天然のアミノ酸のいずれかを表し、X19はS又はGを表す。)、又は
式(3)若しくは式(4)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、
の全てもしくは一部を有するペプチド。 - 式(3)のX6がSであり、かつX7がGである、請求項1に記載のペプチド。
- 式(3)のX1〜X5が全てGである、請求項1又は2に記載のペプチド。
- 式(4)のX15がI、H、T、Q又はAであり、X16がN、R、Q又はKであり、X17がH、R、Q、G、A、S又はEであり、かつX18がK又はNである、請求項1に記載のペプチド。
- 式(4)のX8〜X12が全てGである、請求項3又は4に記載のペプチド。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のペプチドを含有する、ヒトPD−L1アンタゴニスト。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のペプチドを含有する、T細胞活性化のための医薬組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のペプチドを含有する、がん疾患を処置するための医薬組成物。
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JP2018087758A JP2019189591A (ja) | 2018-04-27 | 2018-04-27 | ヒトpd−l1結合性ペプチド |
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- 2018-04-27 JP JP2018087758A patent/JP2019189591A/ja active Pending
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