JP2019188989A - 冷風供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄冷モード時のエネルギの損失を抑制することができる冷風供給装置を提供する。【解決手段】冷風供給装置10は、車室内に設置され、吸熱部12aと放熱部12bとを有するペルチェモジュール12と、車室内に設置される通路形成部材14とを備える。通路形成部材14には、吸熱部12aが生成した冷熱によって冷却される空気が流れる放冷用通路142を内部に形成するとともに、放熱部12bの放熱によって加熱される空気が流れる放熱用通路144を内部に形成する。放冷用通路142のうち吸熱部12aが生成した冷熱によって空気が冷却される冷却部位143は、放熱用通路144のうち放熱部12bの放熱によって空気が加熱される加熱部位145に対して、冷風の供給対象である乗員側に位置する。蓄冷モードでは、ペルチェモジュール12が作動状態であって、放冷用通路142に空気が流れず、かつ、放熱用通路144に空気が流れる状態とされる。【選択図】図4
Description
本発明は、車室内の乗員に冷風を供給する冷風供給装置に関するものである。
特許文献1に、車室内の乗員に冷風を供給する冷風供給装置が開示されている。この冷風供給装置は、ペルチェモジュールと、通路形成部材と、制御部とを備える。ペルチェモジュールは、電力が供給されて作動状態になることで吸熱する吸熱部と放熱する放熱部とを有する。通路形成部材は、吸熱部が生成した冷熱によって冷却される空気が流れる放冷用通路を内部に形成するとともに、放熱部の放熱によって加熱される空気が流れる放熱用通路を内部に形成する。制御部は、ペルチェモジュールが作動状態であって、放冷用通路に空気が流れ、かつ、放熱用通路に空気が流れる状態である冷風供給モードと、ペルチェモジュールが作動状態であって、放冷用通路に空気が流れず、かつ、放熱用通路に空気が流れる状態である蓄冷モードとの切り替えを制御する。
上記の特許文献1に記載の冷風供給装置において、放冷用通路が放熱用通路に対して乗員側とは反対側の反乗員側に位置する場合、蓄冷モード時に、ペルチェモジュールで生成した冷熱が通路形成部材から通路形成部材の反乗員側の空間に移動する。このため、ペルチェモジュールで生成した冷熱は、乗員の冷却に寄与せず、無駄になる。すなわち、エネルギの損失となる。
本発明は上記点に鑑みて、蓄冷モード時のエネルギの損失を抑制することができる冷風供給装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
車室内の乗員に冷風を供給する冷風供給装置は、
車室内に設置され、電力が供給されて作動状態になることで吸熱する吸熱部(12a)と放熱する放熱部(12b)とを有するペルチェモジュール(12)と、
車室内に設置され、吸熱部が生成した冷熱によって冷却される空気が流れる放冷用通路(142)を内部に形成するとともに、放熱部の放熱によって加熱される空気が流れる放熱用通路(144)を内部に形成する通路形成部材(14)と、
ペルチェモジュールが作動状態であって、放冷用通路に空気が流れ、かつ、放熱用通路に空気が流れる状態である冷風供給モードと、ペルチェモジュールが作動状態であって、放冷用通路に空気が流れず、かつ、放熱用通路に空気が流れる状態である蓄冷モードとの切り替えを制御する制御部(30)とを備え、
放冷用通路のうち吸熱部が生成した冷熱によって空気が冷却される冷却部位(143)は、放熱用通路のうち放熱部の放熱によって空気が加熱される加熱部位(145)に対して、冷風の供給対象である乗員側に位置する。
車室内の乗員に冷風を供給する冷風供給装置は、
車室内に設置され、電力が供給されて作動状態になることで吸熱する吸熱部(12a)と放熱する放熱部(12b)とを有するペルチェモジュール(12)と、
車室内に設置され、吸熱部が生成した冷熱によって冷却される空気が流れる放冷用通路(142)を内部に形成するとともに、放熱部の放熱によって加熱される空気が流れる放熱用通路(144)を内部に形成する通路形成部材(14)と、
ペルチェモジュールが作動状態であって、放冷用通路に空気が流れ、かつ、放熱用通路に空気が流れる状態である冷風供給モードと、ペルチェモジュールが作動状態であって、放冷用通路に空気が流れず、かつ、放熱用通路に空気が流れる状態である蓄冷モードとの切り替えを制御する制御部(30)とを備え、
放冷用通路のうち吸熱部が生成した冷熱によって空気が冷却される冷却部位(143)は、放熱用通路のうち放熱部の放熱によって空気が加熱される加熱部位(145)に対して、冷風の供給対象である乗員側に位置する。
これによれば、通路形成部材は、放冷用通路の冷却部位を乗員側として車室内に設置される。このため、蓄冷モード時に、放冷用通路の冷却部位を介して、通路形成部材のうち乗員側の部分に、吸熱部で生成した冷熱が移動する。この移動した冷熱は、通路形成部材から乗員側に向かって車室内を移動する。したがって、通路形成部材に移動した冷熱を、乗員の冷却に用いることができる。よって、蓄冷モード時に、吸熱部で生成した冷熱を有効に活用することができ、エネルギの損失を抑制することができる。
また、これによれば、放冷用通路の冷却部位が放熱用通路の加熱部位に対して反乗員側に位置する場合と比較して、放冷用通路のうち冷却部位から吹出口までの長さを短くできる。よって、冷風供給モード時に冷風が放冷用通路を流れるときに、冷風の冷熱が通路形成部材に伝わることでの熱ロスを低減できる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1、2に示す本実施形態の冷風供給装置10は、乗員1の眠気に対する覚醒等を目的として、冷却対象の乗員1の頭部2に車両後方側から冷風を供給する。図1、2に示す車両は、右ハンドル車である。冷却対象の乗員1は、運転者である。図2では、図1中の頭部2、背面部4および冷風供給装置10のみが示されている。
図1、2に示す本実施形態の冷風供給装置10は、乗員1の眠気に対する覚醒等を目的として、冷却対象の乗員1の頭部2に車両後方側から冷風を供給する。図1、2に示す車両は、右ハンドル車である。冷却対象の乗員1は、運転者である。図2では、図1中の頭部2、背面部4および冷風供給装置10のみが示されている。
図1に示すように、冷風供給装置10は、冷風供給装置10を支持する図示しない支持部材を介して、乗員1が着座するシート3の背面部4に装着される。本実施形態では、冷風供給装置10は、背面部4の後方側に装着される。冷風供給装置10は、シート3のヘッドレスト5よりも車両左右方向での中央側に位置する。
図2に示すように、冷風供給装置10の一部10aは、背面部4のうち上方側かつ車両左右方向での車両中央側の端部4aと重ねっている。冷風供給装置10の他の一部10bは、背面部4の端部4aから上方にはみ出している。換言すると、車両前方側に向かって冷風供給装置10を背面部4に投影したとき、投影した冷風供給装置10の一部10aは背面部4内に位置し、投影した冷風供給装置10の他の一部10bは、背面部4内に位置していない。
図3に示すように、冷風供給装置10は、ペルチェモジュール12と、通路形成部材14と、上流側ドア16と、下流側ドア18と、送風機20と、蓄冷部22と、放冷用フィン24と、放熱用フィン26とを備える。
ペルチェモジュール12は、図示しない複数のペルチェ素子の集合体である。ペルチェ素子は、異なる種類の熱電変換材料が接続された構造を有する。ペルチェ素子は、電気エネルギを熱エネルギに変換する熱電変換素子である。ペルチェモジュール12は、電力が供給されて作動状態になることで放熱する放熱部12bと吸熱する吸熱部12aとを有する。ペルチェモジュール12は、一面12aとその反対側の他面12bとを有する板状部材である。一面12aが吸熱部12aである。他面12bが放熱部12bである。
通路形成部材14は、放冷用通路142と、放熱用通路144と、上流側通路146とを内部に形成する部材である。
放冷用通路142は、吸熱部12aが生成した冷熱によって冷却される空気が流れる空気通路である。放冷用通路142は、吸熱部12aが生成した冷熱によって空気が冷却される冷却部位143を含む。放冷用通路142は、冷却部位143からから上側に向かって屈曲部142aまで延びており、屈曲部142aから車両前方側に向かって放冷用吹出口142bまで延びている。放冷用吹出口142bは、乗員1の頭部2または首へ向いている。このため、冷却部位143を通過した空気は、放冷用吹出口142bから乗員1の頭部2または首に向かって吹き出される。
放熱用通路144は、放熱部12bの放熱によって加熱される空気が流れる空気通路である。放熱用通路144は、放熱部12bの放熱によって空気が加熱される加熱部位145を含む。放熱用通路144は、加熱部位145から上側に向かって屈曲部144aまで延びており、屈曲部144aから車両後方側に向かって放熱用吹出口144bまで延びている。放熱用吹出口144bは、車両後方側へ向いている。このため、加熱部位145を通過した空気は、放熱用吹出口144bから車両後方側に向かって吹き出される。
本実施形態では、通路形成部材14が背面部4に設置された状態のとき、放冷用通路142の全部が、放熱用通路144の全部に対して、乗員1側に位置する。このため、放冷用通路142の冷却部位143は、放熱用通路144の加熱部位145に対して、乗員1側に位置する。具体的には、冷却部位143は、加熱部位145に対して、車両前方側に位置する。また、本実施形態では、冷却部位143およびペルチェモジュール12は、背面部4よりも車両後方側に位置する。
上流側通路146は、放冷用通路142および放熱用通路144の上流側に連なっている。上流側通路146は、送風機20から送られた風を放冷用通路142および放熱用通路144に導く空気通路である。
上流側ドア16は、放冷用通路142のうち上流側に設けられている。上流側ドア16は、放冷用通路142の上流側を開閉する。下流側ドア18は、放冷用通路142のうち下流側に設けられている。下流側ドア18は、放冷用通路142の下流側を開閉する。
送風機20は、放冷用通路142と放熱用通路144とに空気流れを形成する。送風機20は、通路形成部材14に対して下方側に位置する。送風機20は、下方側から上方側に向かって風を送る。送風機20は、ファン202と、ファン202を駆動する図示しないモータと、ファン202を収容するファンケーシング204とを有している。ファンケーシング204には、空気吸込口206が形成されている。ファンケーシング204の下流側は、上流側通路146に連なっている。ファン202は、遠心ファンである。
放冷用通路142と放熱用通路144との間に、ペルチェモジュール12と蓄冷部22とが配置される。吸熱部12aが放冷用通路142側となり、放熱部12bが放熱用通路144側となるように、ペルチェモジュール12は配置される。蓄冷部22は、吸熱部12aと放冷用通路142との間に配置される。蓄冷部22は、容器の内部に蓄冷材を収容している。蓄冷部22は、吸熱部12aで生成された冷熱を蓄える。
放冷用フィン24は、放冷用通路142の冷却部位143に配置されている。放冷用フィン24は、空気側の伝熱面積を広げるための伝熱部材である。放冷用フィン24は、蓄冷部22に接している。放冷用フィン24は、空気と熱交換することで、吸熱部12aが生成した冷熱を空気へ伝える。
放冷用フィン24のうち吸熱部12a側とは反対側のフィン先端24aと、放冷用通路142を形成する壁との間に、隙間を埋めるためのパッキン25が配置されている。これによって、放冷用フィン24と熱交換しない空気が生じることを防止する。
放熱用フィン26は、放熱用通路144の加熱部位145に配置されている。放熱用フィン26は、空気側の伝熱面積を広げる伝熱部材である。放熱用フィン26は、放熱部12bに接している。放熱用フィン26は、空気と熱交換することで、放熱部12bから放出された熱を空気へ伝える。
図5に示すように、ペルチェモジュール12には、ペルチェモジュール12に電力を供給するためのハーネス122が接続されている。
ペルチェモジュール12の吸熱部12a側に、蓄冷部22と、放冷用フィン24とが順に積層される。吸熱部12a、蓄冷部22、放冷用フィン24の間の熱移動が可能な状態となるように、これらが一体化されている。放冷用フィン24は、コルゲートフィンである。後述する冷風供給モード時に、放冷用フィン24を放冷用通路142の風が通過する。
また、ペルチェモジュール12の放熱部12b側に、放熱用フィン26が積層されている。放熱部12bと放熱用フィン26との間の熱移動が可能な状態となるように、放熱部12bと放熱用フィン26とが一体化されている。具体的には、放熱用フィン26は、フィン部26aと、フィン台座部26bとを有する。フィン部26aは、フィン台座部26bに固定されている。フィン台座部26bは、放熱部12bに固定されている。フィン部26aは、コルゲートフィンである。放熱用フィン26を放熱用通路144の風が通過する。
放冷用フィン24の全体の寸法は、次のように設定される。吸熱部12aで生成された冷熱は放冷用フィン24を介して空気に伝えられる。吸熱部12a側からフィン先端24aまでの放冷用フィン24のフィン高さが大きいと、フィン先端24aに向かって温度は上昇してしまう。このため、冷熱を空気に伝えるためには、フィン高さは低い方がよい。
そこで、放冷用通路142での空気流れ方向を放冷用フィン24の長さ方向D1とし、放冷用通路142と放熱用通路144との並び方向を放冷用フィン24の高さ方向D2とし、放冷用フィン24の長さ方向D1と高さ方向D2との両方に直交する方向を放冷用フィン24の幅方向D3とする。このとき、高さ方向D2での放冷用フィン24の全体の寸法L2は、長さ方向D1と幅方向D3とのそれぞれの方向での放冷用フィン24の全体の寸法L1、L3よりも小さい。
このため、フィン先端24aを通る仮想平面の面積は、放冷用フィン24の全体の最外形形状が有する面のなかで最大となる。放冷用フィン24の全体の最外形形状とは、図6に示すように、長さ方向D1、高さ方向D2および幅方向D3のそれぞれでの放冷用フィン24の端部を通る仮想平面によって構成される直方体VFである。フィン先端24aを通る仮想平面VP1の面積は、長さ方向D1と幅方向D3とのそれぞれの方向での放冷用フィン24の全体の寸法L1、L3の積である。放冷用フィン24のフィン先端24a側は、乗員側に位置する。このため、フィン先端24aを通る仮想平面VP1は、乗員側に位置する。
なお、本実施形態では、蓄冷部22は、放冷用通路142の外部に配置されているが、放冷用通路142の内部に配置されていてもよい。また、ペルチェモジュール12および蓄冷部22は、通路形成部材14の外部に露出しているが、通路形成部材14の一部によって覆われていてもよい。
また、図3に示すように、冷風供給装置10は、制御部30を備える。制御部30は、冷風供給装置10の作動、すなわち、ペルチェモジュール12、上流側ドア16、下流側ドア18、送風機20の作動を制御する。
制御部30は、乗員1によって操作された操作部からの作動指示を受けた場合に、冷風供給装置10を作動させる。または、制御部30は、他の制御部から作動指示を受けた場合に、冷風供給装置10を作動させる。他の制御部は、乗員1の眠気を検知した場合に、制御部30に作動指示の信号を出力する。
制御部30は、冷風供給装置10の作動の制御として、蓄冷モードと冷風供給モードとの切り替えを制御する。蓄冷モードは、冷熱を蓄冷部22および放冷用フィン24に蓄える運転モードである。冷風供給モードは、乗員1へ冷風を供給する運転モードである。
図4に示すように、蓄冷モードでは、制御部30は、上流側ドア16と下流側ドア18とを閉じた状態とする。制御部30は、ペルチェモジュール12と送風機20とを作動させる。これにより、放熱部12bが放熱するとともに、吸熱部12aが吸熱する(すなわち、吸熱部12aが冷熱を生成する)。放冷用通路142に空気が流れず、かつ、放熱用通路144に空気が流れる状態となる。
放冷用通路142において、吸熱部12aが生成した冷熱が蓄冷部22および放冷用フィン24に蓄えらえる。また、吸熱部12aで生成した冷熱が放冷用フィン24のフィン間の空気に移動する。このため、フィン間の空気の温度は、放冷用フィン24の温度に近くなる。
放熱用通路144において、加熱部位145を空気が通過することで、放熱部12bの放熱によって空気が加熱される。加熱された空気は、放熱用吹出口144bから車両後方側に向かって吹き出される。
図3に示すように、冷風供給モードでは、制御部30は、上流側ドア16と下流側ドア18とを開いた状態とする。制御部30は、ペルチェモジュール12と送風機20とを作動させる。これにより、放熱部12bが放熱するとともに、吸熱部12aが冷熱を生成する。放冷用通路142に空気が流れ、かつ、放熱用通路144に空気が流れる状態となる。
放冷用通路142において、冷却部位143を空気が通過することで、吸熱部12aが生成した冷熱が放冷用フィン24から空気へ伝わる。すなわち、吸熱部12aが生成した冷熱によって空気が冷却される。冷却された空気は、放冷用吹出口142bから乗員1の頭部2または首に向かって吹き出される。蓄冷モードの後に、冷風供給モードを行うことで、十分に温度低下された冷風を乗員1に供給することができる。
以上の説明の通り、本実施形態では、背面部4よりも車両後方側に冷却部位143およびペルチェモジュール12が位置するように、通路形成部材14およびペルチェモジュール12は、背面部4に設置されている。放冷用通路142の冷却部位143は、放熱用通路144の加熱部位145に対して、冷風の供給対象である乗員1側に位置する。
これによれば、通路形成部材14は、放冷用通路142の冷却部位143を乗員1側として車室内に設置されている。このため、図4に示す蓄冷モード時に、通路形成部材14のうち乗員1側の部分に、放冷用フィン24および放冷用フィン24のフィン間の空気を介して、吸熱部12aで生成した冷熱が移動する。この移動した冷熱は、通路形成部材14から乗員1側に向かって移動する。通路形成部材14から乗員1側に向かう冷熱によって、シート3の背面部4が冷却される。シート3の背面部4が冷却されることによって、頭部2の近傍の空気が冷却される。また、通路形成部材14から乗員1側に向かう冷熱によって、直接、頭部2の近傍の空気が冷却される。頭部2の近傍の空気が冷却されることで、乗員1の頭部2の近傍の空気温度が下がり、夏の冷涼感の補助や冬の顔のもやつきの抑制を行うことができる。
このように、本実施形態によれば、蓄冷モード時に、通路形成部材14に移動した冷熱を、乗員1の冷却に用いることができる。よって、蓄冷モード時に、吸熱部12aで生成した冷熱を有効に活用することができ、エネルギの損失を抑制することができる。
また、これによれば、放冷用通路142の冷却部位143が、放熱用通路144の加熱部位145に対して、反乗員側に位置する場合と比較して、放冷用通路142のうち冷却部位143から放冷用吹出口142bまでの長さを短くできる。よって、冷風供給モード時に冷風が放冷用通路142を流れるときに、冷風の冷熱が通路形成部材14に伝わることでの熱ロスを低減できる。
また、本実施形態によれば、送風機20は、通路形成部材14に対して下方側に位置する。送風機20は、下方側から上方側に向かって風を送る。放冷用通路142と放熱用通路144とのそれぞれでは、風が下方側から上方側に向かって流れる。
このため、冷風供給装置10の全体形状の横方向の広がりを抑制できる。よって、背面部4に冷風供給装置10を装着した際に、冷風供給装置10が背面部4から車両左右方向にはみ出す量を小さくすることができる。
(第2実施形態)
図7に示すように、本実施形態の冷風供給装置10Aは、放冷用送風機20Aと放熱用送風機20Bの2つの送風機を備える点および第1実施形態の上流側ドア16を備えていない点で、第1実施形態の冷風供給装置10と相違する。
図7に示すように、本実施形態の冷風供給装置10Aは、放冷用送風機20Aと放熱用送風機20Bの2つの送風機を備える点および第1実施形態の上流側ドア16を備えていない点で、第1実施形態の冷風供給装置10と相違する。
放冷用送風機20Aは、放冷用通路142に空気流れを形成する。放冷用送風機20Aは、放冷用通路142の上流側に設けられている。放冷用送風機20Aは、通路形成部材14に対して下方側に配置されている。
放冷用送風機20Aは、ファン202Aと、ファン202Aを駆動するモータ203Aと、ファン202Aを収容するファンケーシング204Aとを有している。ファン202Aは、遠心ファンである。ファンケーシング204Aには、空気吸込口206Aが形成されている。空気吸込口206Aは、放冷用送風機20Aのうち乗員側に形成されている。このため、空気吸込口206Aは、乗員側を向いて開口している。
放熱用送風機20Bは、放冷用送風機20Aとは別体として構成された送風機である。放熱用送風機20Bは、放熱用通路144に空気流れを形成する。放熱用送風機20Bは、放熱用通路144の上流側に設けられている。放熱用送風機20Bは、通路形成部材14に対して下方側に配置されている。
放熱用送風機20Bは、ファン202Bと、ファン202Bを駆動するモータ203Bと、ファン202Bを収容するファンケーシング204Bとを有している。ファン202Bは、遠心ファンである。ファンケーシング204Bには、空気吸込口206Bが形成されている。空気吸込口206Bは、放熱用送風機20Bのうち反乗員側に形成されている。このため、空気吸込口206Bは、反乗員側を向いて開口している。
本実施形態では、制御部30は、次のようにして、蓄冷モードと冷風供給モードとを切り替える。
蓄冷モード時では、制御部30は、下流側ドア18を閉じた状態とする。制御部30は、ペルチェモジュール12および放熱用送風機20Bを作動させ、放冷用送風機20Aを停止させる。これにより、放熱部12bが放熱するとともに、吸熱部12aが冷熱を生成する。放冷用通路142に空気が流れず、かつ、放熱用通路144に空気が流れる状態となる。
冷風供給モード時では、制御部30は、下流側ドア18を開いた状態とする。制御部30は、ペルチェモジュール12、放熱用送風機20Bおよび放冷用送風機20Aを作動させる。これにより、放熱部12bが放熱するとともに、吸熱部12aが冷熱を生成する。放冷用通路142に空気が流れ、かつ、放熱用通路144に空気が流れる状態となる。
冷風供給装置10Aの他の構成は、第1実施形態の冷風供給装置10と同じである。本実施形態によれば、第1実施形態と共通の構成によって、第1実施形態と同じ効果を奏する。
さらに、本実施形態によれば、放熱用通路144が放冷用通路142に対して反乗員1側に位置するため、放熱用送風機20Bも放冷用送風機20Aに対して反乗員側に位置する。すなわち、放熱用送風機20Bは放冷用送風機20Aよりも乗員1から離れている。このため、放熱用送風機20Bが放冷用送風機20Aに対して乗員1側に位置する場合と比較して、蓄冷モードのときに作動する放熱用送風機20Bの騒音を低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、放熱用送風機20Bの空気吸込口206Bは、放熱用送風機20Bのうち反乗員側に形成されている。これによれば、空気吸込口206Bが放熱用送風機20Bのうち乗員側に形成されている場合と比較して、蓄冷モードのときに作動する放熱用送風機20Bの騒音を低減することができる。
(第3実施形態)
図8、9に示すように、本実施形態の冷風供給装置10Bは、シート3の背面部4の側方側に装着されている点で、第1実施形態の冷風供給装置10と相違する。冷風供給装置10Bは、図示しない支持部材を介して、運転席のシート3の背面部4よりも側方側に位置するように、背面部4に設置される。
図8、9に示すように、本実施形態の冷風供給装置10Bは、シート3の背面部4の側方側に装着されている点で、第1実施形態の冷風供給装置10と相違する。冷風供給装置10Bは、図示しない支持部材を介して、運転席のシート3の背面部4よりも側方側に位置するように、背面部4に設置される。
図10、11に示すように、冷風供給装置10Bの構成は、第1実施形態の冷風供給装置10と同じである。本実施形態においても、通路形成部材14が背面部4に設置された状態のとき、放冷用通路142の全部が、放熱用通路144の全部に対して、乗員1側に位置する。このため、放冷用通路142の冷却部位143は、放熱用通路144の加熱部位145に対して、乗員1側に位置する。具体的には、冷却部位143は、加熱部位145に対して、車両右側に位置する。これにより、本実施形態によれば、第1実施形態と同じ効果を奏する。
なお、本実施形態では、背面部4よりも車両側方側に冷却部位143およびペルチェモジュール12が位置するように、通路形成部材14およびペルチェモジュール12は、背面部4に設置されている。
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、送風機20が通路形成部材14に対して上方側に位置していてもよい。また、送風機20が通路形成部材14に対して水平方向で並んでいてもよい。
(1)上記した各実施形態では、送風機20が通路形成部材14に対して上方側に位置していてもよい。また、送風機20が通路形成部材14に対して水平方向で並んでいてもよい。
(2)上記した各実施形態では、通路形成部材14およびペルチェモジュール12は、背面部4に設置されていたが、これに限定されない。通路形成部材14およびペルチェモジュール12は、車室内空間に面するように、車室内に設置されていればよい。例えば、天井に、通路形成部材14およびペルチェモジュール12が設置されてもよい。ただし、通路形成部材14およびペルチェモジュール12は、冷却対象の乗員1の近傍に配置されることが好ましい。このため、通路形成部材14およびペルチェモジュール12は、シート3の背面部4または背面部4の周りに位置する構造物に設置されることが好ましい。この構造物には、運転席と隣席との間の構造物、運転席と後席との間の構造物が含まれる。構造物としては、例えば、運転席と助手席との間のコンソール、バスの運転席の横で車室内空間を仕切る仕切り壁が挙げられる。
(3)上記した各実施形態では、放冷用フィン24は、コルゲートフィンであったが、他のフィン、例えば、プレートフィンであってもよい。
(4)上記した各実施形態では、冷風供給装置10、10A、10Bは、蓄冷部22を備えていたが、蓄冷部22を備えていなくてもよい。この場合、蓄熱モードでは、放冷用フィン24に冷熱が蓄えられる。
(5)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷風供給装置は、ペルチェモジュール(12)と、通路形成部材(14)と、制御部(30)とを備える。放冷用通路のうち吸熱部が生成した冷熱によって空気が冷却される冷却部位(143)は、放熱用通路のうち放熱部の放熱によって空気が加熱される加熱部位(145)に対して、冷風の供給対象である乗員側に位置する。
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷風供給装置は、ペルチェモジュール(12)と、通路形成部材(14)と、制御部(30)とを備える。放冷用通路のうち吸熱部が生成した冷熱によって空気が冷却される冷却部位(143)は、放熱用通路のうち放熱部の放熱によって空気が加熱される加熱部位(145)に対して、冷風の供給対象である乗員側に位置する。
また、第2の観点によれば、通路形成部材およびペルチェモジュールは、乗員(1)が着座するシート(3)の背面部(4)または車室内のうち背面部の周りに位置する構造物に設置される。通路形成部材およびペルチェモジュールは、このような場所に配置されることが好ましい。
また、第3の観点によれば、通路形成部材およびペルチェモジュールは、乗員(1)が着座するシート(3)の背面部(4)よりも車両後方側に冷却部位およびペルチェモジュールが位置するように、背面部に設置される。通路形成部材およびペルチェモジュールは、このような場所に配置されることが好ましい。
また、第4の観点によれば、通路形成部材およびペルチェモジュールは、乗員(1)が着座するシート(3)の背面部(4)よりも車両側方側に冷却部位およびペルチェモジュールが位置するように、背面部に設置される。通路形成部材およびペルチェモジュールは、このような場所に配置されることが好ましい。
また、第5の観点によれば、冷風供給装置は、冷却部位に配置され、伝熱面積を広げるための放冷用フィン(24)を備える。冷風供給モード時の放冷用通路での空気流れ方向を放冷用フィンの長さ方向(D1)とし、放冷用通路と放熱用通路との並び方向を放冷用フィンの高さ方向(D2)とし、長さ方向と高さ方向との両方に直交する方向を放冷用フィンの幅方向(D3)とする。このとき、高さ方向での放冷用フィンの全体の寸法(L2)は、長さ方向および幅方向のそれぞれの方向での放冷用フィンの全体の寸法(L1、L3)よりも小さい。
これによれば、放冷用フィンの最外形形状が直方体であると仮定したとき、長さ方向と幅方向で規定される面の面積が、この直方体の各面の面積のなかで最大となる。このため、この条件を満たさない場合と比較して、放冷用フィンから通路形成部材への冷熱の移動量を大きくすることができる。よって、通路形成部材に移動した冷熱をより有効に活用することができる。
また、第6の観点によれば、冷風供給装置は、放冷用通路に空気流れを形成する放冷用送風機(20A)と、放冷用送風機とは別体として構成され、放熱用通路に空気流れを形成する放熱用送風機(20B)とを備える。制御部は、冷風供給モード時に、ペルチェモジュール、放冷用送風機および放熱用送風機を作動させ、蓄冷モード時に、ペルチェモジュールおよび放熱用送風機を作動させ、放冷用送風機を停止させる。放熱用送風機は、放冷用送風機に対して、反乗員側に位置する。
これによれば、放熱用送風機は、放冷用送風機に対して、反乗員側に位置する。すなわち、放熱用送風機は、放冷用送風機よりも乗員から離れている。このため、放熱用送風機が放冷用送風機に対して乗員側に位置する場合と比較して、蓄冷モードのときに作動する放熱用送風機の騒音を低減することができる。
また、第7の観点によれば、放熱用送風機の空気吸込口(206B)は、放熱用送風機のうち乗員側とは反対側に形成されている。これによれば、空気吸込口が放熱用送風機のうち乗員側に形成されている場合と比較して、蓄冷モードのときに作動する放熱用送風機の騒音を低減することができる。
10、10A、10B 冷風供給装置
12 ペルチェモジュール
14 通路形成部材
142 放冷用通路
143 冷却部位
144 放熱用通路
145 加熱部位
12 ペルチェモジュール
14 通路形成部材
142 放冷用通路
143 冷却部位
144 放熱用通路
145 加熱部位
Claims (7)
- 車室内の乗員に冷風を供給する冷風供給装置であって、
車室内に設置され、電力が供給されて作動状態になることで吸熱する吸熱部(12a)と放熱する放熱部(12b)とを有するペルチェモジュール(12)と、
車室内に設置され、前記吸熱部が生成した冷熱によって冷却される空気が流れる放冷用通路(142)を内部に形成するとともに、前記放熱部の放熱によって加熱される空気が流れる放熱用通路(144)を内部に形成する通路形成部材(14)と、
前記ペルチェモジュールが前記作動状態であって、前記放冷用通路に空気が流れ、かつ、前記放熱用通路に空気が流れる状態である冷風供給モードと、前記ペルチェモジュールが前記作動状態であって、前記放冷用通路に空気が流れず、かつ、前記放熱用通路に空気が流れる状態である蓄冷モードとの切り替えを制御する制御部(30)とを備え、
前記放冷用通路のうち前記吸熱部が生成した冷熱によって空気が冷却される冷却部位(143)は、前記放熱用通路のうち前記放熱部の放熱によって空気が加熱される加熱部位(145)に対して、冷風の供給対象である乗員側に位置する、冷風供給装置。 - 前記通路形成部材および前記ペルチェモジュールは、乗員(1)が着座するシート(3)の背面部(4)または車室内のうち前記背面部の周りに位置する構造物に設置される、請求項1に記載の冷風供給装置。
- 前記通路形成部材および前記ペルチェモジュールは、乗員(1)が着座するシート(3)の背面部(4)よりも車両後方側に前記冷却部位および前記ペルチェモジュールが位置するように、前記背面部に設置される、請求項1に記載の冷風供給装置。
- 前記通路形成部材および前記ペルチェモジュールは、乗員(1)が着座するシート(3)の背面部(4)よりも車両側方側に前記冷却部位および前記ペルチェモジュールが位置するように、前記背面部に設置される、請求項1に記載の冷風供給装置。
- 前記冷却部位に配置され、伝熱面積を広げるための放冷用フィン(24)を備え、
前記冷風供給モード時の前記放冷用通路での空気流れ方向を前記放冷用フィンの長さ方向(D1)とし、前記放冷用通路と前記放熱用通路との並び方向を前記放冷用フィンの高さ方向(D2)とし、前記長さ方向と前記高さ方向との両方に直交する方向を前記放冷用フィンの幅方向(D3)としたとき、
前記高さ方向での前記放冷用フィンの全体の寸法(L2)は、前記長さ方向および前記幅方向のそれぞれの方向での前記放冷用フィンの全体の寸法(L1、L3)よりも小さい、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷風供給装置。 - 前記放冷用通路に空気流れを形成する放冷用送風機(20A)と、
前記放冷用送風機とは別体として構成され、前記放熱用通路に空気流れを形成する放熱用送風機(20B)とを備え、
前記制御部は、前記冷風供給モード時に、前記ペルチェモジュール、前記放冷用送風機および前記放熱用送風機を作動させ、前記蓄冷モード時に、前記ペルチェモジュールおよび前記放熱用送風機を作動させ、前記放冷用送風機を停止させ、
前記放熱用送風機は、前記放冷用送風機に対して、反乗員側に位置する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の冷風供給装置。 - 前記放熱用送風機の空気吸込口(206B)は、前記放熱用送風機のうち乗員側とは反対側に形成されている、請求項6に記載の冷風供給装置。
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Citations (3)
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JP2008168769A (ja) * | 2007-01-11 | 2008-07-24 | Denso Corp | 自動車用局所冷房システム |
JP2017178087A (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 株式会社デンソー | 冷風供給装置 |
JP2018054227A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | 株式会社デンソー | 熱交換装置 |
-
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