以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.変速機の構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る変速機1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る変速機1の概略構成を示すスケルトン図である。
変速機1は、動力を伝達する複数の回転要素と、当該回転要素と他の要素との連結状態を切り替え可能な複数の連結機構とを備え、入力される動力を当該複数の連結機構の連結状態に応じた変速段で変速して出力する変速機である。
また、変速機1は、後述にて詳細に説明するように、複数の回転要素のうちの一対の回転要素を接続する接続部と、当該一対の回転要素の一方の回転要素から当該接続部に少なくとも部分的に沿って延在する延在部とを備え、当該接続部と当該延在部とは、摩擦部を介して互いに当接している。
以下では、後述する第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と後述する第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4とを接続する接続部110に対して延在部120が設けられている例を説明するが、延在部が設けられる対象となる接続部は、このような例に特に限定されない。具体的には、リングギヤR3及びキャリアCA4の組み合わせと異なる一対の回転要素を接続する接続部に対して延在部が設けられてもよい。例えば、延在部は、互いに異なる遊星歯車機構に設けられる一対の回転要素を接続する接続部(例えば、接続部110)に対して設けられてもよく、同一の遊星歯車機構に設けられる一対の回転要素を接続する接続部に対して設けられてもよい。また、例えば、接続部110において動力の伝達が行われる変速段と異なる変速段で動力の伝達が行われる接続部に対して延在部が設けられてもよい。
変速機1は、例えば、車両に搭載され、エンジン3から出力される動力を車両の駆動輪へ伝達する動力伝達系に適用される。具体的には、変速機1は、図1に示すように、トルクコンバータ2を介してエンジン3と接続される。エンジン3から出力される動力は、トルクコンバータ2を介して変速機1の入力軸A1へ伝達される。
トルクコンバータ2は、例えば、エンジン3のクランクシャフト31にフロントカバー23を介して連結されるポンプインペラ22と、ポンプインペラ22に対向するとともに入力軸A1に連結されるタービンランナ21とを備える。トルクコンバータ2内には作動油が供給されており、作動油を介して、ポンプインペラ22からタービンランナ21にエンジン3から出力される動力が伝達される。また、トルクコンバータ2内には、エンジン3のクランクシャフト31と入力軸A1とを直結するロックアップクラッチ24が設けられている。
ロックアップクラッチ24が開放されている状態(換言すると、トルクコンバータ2のロックアップが解除されている状態)では、エンジン3から出力される動力は作動油を介して変速機1側へ伝達される。それにより、エンジン3の回転変動に起因する捩り振動が変速機1へ直接的に伝達されることが抑制される。一方、ロックアップクラッチ24が締結されている状態(換言すると、トルクコンバータ2がロックアップされている状態)では、エンジン3から出力される動力が直接的に変速機1側へ伝達される。それにより、エンジン3の回転変動に起因する捩り振動が変速機1へ直接的に伝達される。
変速機1は、例えば、図1に示すように、入力軸A1と、出力軸A2と、第1遊星歯車機構PG1と、第2遊星歯車機構PG2と、第3遊星歯車機構PG3と、第4遊星歯車機構PG4と、第1ブレーキB1と、第2ブレーキB2と、第1クラッチC1と、第2クラッチC2と、第3クラッチC3と、第4クラッチC4とを備える。
入力軸A1は、動力が入力される軸である。例えば、入力軸A1には、上述したように、エンジン3から出力される動力が入力される。
出力軸A2は、伝達される動力を出力する軸である。例えば、出力軸A2は、ディファレンシャル装置を介して駆動輪と接続されており、出力軸A2から出力される動力はディファレンシャル装置を介して駆動輪へ伝達される。
第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4は、サンギヤ、キャリア及びリングギヤを回転要素として備える遊星歯車機構であり、同軸上に互いに間隔を空けて配置される。具体的には、これらの4つの遊星歯車機構は、ケース9内において、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4の順に同軸上に互いに間隔を空けて配置される。
各遊星歯車機構は、具体的には、シングルピニオン式の遊星歯車機構である。各遊星歯車機構のサンギヤ、キャリア及びリングギヤの回転数は、共線図上において直線上に並ぶ関係にある。キャリアが固定されている場合におけるリングギヤの回転数のサンギヤの回転数に対する比を遊星歯車機構のギヤ比とした場合、遊星歯車機構のギヤ比はサンギヤの歯数をリングギヤの歯数で除して得られる値となる。各遊星歯車機構において、リングギヤの歯数及びサンギヤの歯数を適宜設定することによって、各遊星歯車機構のギヤ比を所望のギヤ比に設定することができる。それにより、変速機1における各変速段についてのギヤ比(つまり、入力軸A1の回転数の出力軸A2の回転数に対する比)を所望の値に設定することができる。
第1遊星歯車機構PG1は、サンギヤS1と、サンギヤS1に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR1と、サンギヤS1及びリングギヤR1と噛合する複数のピニオンギヤP1と、複数のピニオンギヤP1を自転及び公転自在に支持するキャリアCA1とを備える。第1遊星歯車機構PG1のギヤ比は、例えば、0.56に設定される。
第2遊星歯車機構PG2は、サンギヤS2と、サンギヤS2に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR2と、サンギヤS2及びリングギヤR2と噛合する複数のピニオンギヤP2と、複数のピニオンギヤP2を自転及び公転自在に支持するキャリアCA2とを備える。第2遊星歯車機構PG2のギヤ比は、例えば、0.71に設定される。
第3遊星歯車機構PG3は、サンギヤS3と、サンギヤS3に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR3と、サンギヤS3及びリングギヤR3と噛合する複数のピニオンギヤP3と、複数のピニオンギヤP3を自転及び公転自在に支持するキャリアCA3とを備える。第3遊星歯車機構PG3のギヤ比は、例えば、0.38に設定される。
第4遊星歯車機構PG4は、サンギヤS4と、サンギヤS4に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR4と、サンギヤS4及びリングギヤR4と噛合する複数のピニオンギヤP4と、複数のピニオンギヤP4を自転及び公転自在に支持するキャリアCA4とを備える。第4遊星歯車機構PG4のギヤ比は、例えば、0.41に設定される。
ここで、サンギヤS4には、複数のピニオンギヤP5が噛合されており、複数のピニオンギヤP5はキャリアCA5によって自転及び公転自在に支持されている。ピニオンギヤP5は、後述するように、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3から延在する延在部120の先端側とキャリアCA5を介して接続されている。なお、ピニオンギヤP5は、本発明に係る噛合部の一例に相当する。
変速機1において、遊星歯車機構の回転要素のうちの一部の回転要素は、他の要素と連結されている。なお、当該他の要素は、遊星歯車機構の回転要素の他に、入力軸A1及び出力軸A2を含み得る。
第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と連結されている。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2の回転数は一致する。
第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1は、第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と連結されている。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1及び第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3の回転数は一致する。
第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3は、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4と連結されている。ゆえに、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3及び第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の回転数は一致する。
第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4は、入力軸A1と連結されている。ゆえに、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4及び入力軸A1の回転数は一致する。
第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4は、出力軸A2と連結されている。ゆえに、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4及び出力軸A2の回転数は一致する。
第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4は、遊星歯車機構の回転要素と他の要素との連結状態を切り替え可能な連結機構である。
各ブレーキは、遊星歯車機構の回転要素とケース9との連結状態を切り替え可能である。ブレーキとしては、例えば、湿式多板ブレーキが用いられる。ブレーキへ供給される油圧が制御されることによって、ブレーキは締結され、又は開放される。ブレーキが締結されることによって、遊星歯車機構の回転要素とケース9とが連結された状態となり、遊星歯車機構の回転要素がケース9に対して固定される。一方、ブレーキが開放されることによって、遊星歯車機構の回転要素とケース9との連結が解除された状態となり、遊星歯車機構の回転要素のケース9に対する固定が解除される。
第1ブレーキB1は、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1とケース9との連結状態を切り替え可能である。第1ブレーキB1が締結されることによって、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1がケース9に対して固定される。一方、第1ブレーキB1が開放されることによって、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1のケース9に対する固定が解除される。
第2ブレーキB2は、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2とケース9との連結状態を切り替え可能である。第2ブレーキB2が締結されることによって、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2がケース9に対して固定される。一方、第2ブレーキB2が開放されることによって、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2のケース9に対する固定が解除される。
各クラッチは、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との連結状態を切り替え可能である。なお、当該他の回転要素は、遊星歯車機構の回転要素の他に、入力軸A1を含み得る。クラッチとしては、例えば、湿式多板クラッチが用いられる。クラッチへ供給される油圧が制御されることによって、クラッチは締結され、又は開放される。クラッチが締結されることによって、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素とが連結された状態となり、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との間で回転数が一致する。一方、クラッチが開放されることによって、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との連結が解除された状態となり、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との間での動力の伝達が遮断される。
第1クラッチC1は、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4及び入力軸A1との連結状態を切り替え可能である。第1クラッチC1が締結されることによって、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4及び入力軸A1との間で回転数が一致する。一方、第1クラッチC1が開放されることによって、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4及び入力軸A1との間での動力の伝達が遮断される。
第2クラッチC2は、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1及び第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2との連結状態を切り替え可能である。第2クラッチC2が締結されることによって、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1及び第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2との間で回転数が一致する。一方、第2クラッチC2が開放されることによって、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1及び第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2との間での動力の伝達が遮断される。
第3クラッチC3は、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4との連結状態を切り替え可能である。第3クラッチC3が締結されることによって、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4との間で回転数が一致する。一方、第3クラッチC3が開放されることによって、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4との間での動力の伝達が遮断される。
また、第3クラッチC3は、ドグクラッチであり得る。ここで、第3クラッチC3の締結状態は、後述するように、前進第6速段(6th)と前進第7速段(7th)との切り替えの前後において切り替えられる。前進第6速段(6th)と前進第7速段(7th)との切り替えの前後では第3クラッチC3に生じるトルクの方向が反転するので、第3クラッチC3としてドグクラッチが用いられる場合であっても、円滑に第3クラッチC3の締結状態の切り替えを行うことができる。
第4クラッチC4は、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3との連結状態を切り替え可能である。第4クラッチC4が締結されることによって、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3との間で回転数が一致する。一方、第4クラッチC4が開放されることによって、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3との間での動力の伝達が遮断される。
以下、変速機1における各構成要素のより具体的な配置について説明する。なお、以下では、各遊星歯車機構の軸方向を単に軸方向とも称し、各遊星歯車機構の径方向を単に径方向とも称する。
入力軸A1は、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3のサンギヤであるサンギヤS1、サンギヤS2及びサンギヤS3の内周側に挿通される。入力軸A1は、各遊星歯車機構と同軸上に配置され得る。入力軸A1は、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側において、トルクコンバータ2と接続される。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側から入力軸A1へ動力が入力される。
出力軸A2は、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側に配置される。出力軸A2は、各遊星歯車機構と同軸上に配置され得る。出力軸A2における第4遊星歯車機構PG4と逆側が駆動輪と接続される。ゆえに、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側へ向けて出力軸A2から動力が出力される。
第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1は、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側を経由してケース9と第1ブレーキB1を介して接続される。
第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1の第2遊星歯車機構PG2側は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と接続される。
第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1の第2遊星歯車機構PG2と逆側は、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3のリングギヤの外周側を経由して第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と第3クラッチC3を介して接続される。
第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2の外周側と、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3の間とを経由して第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と接続される。
第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2は、第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3の内周側を経由して第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3の第4遊星歯車機構PG4側と第4クラッチC4を介して接続される。
第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2の第1遊星歯車機構PG1側は、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1の内周側と、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側を経由してケース9と第2ブレーキB2を介して接続される。
第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の第3遊星歯車機構PG3と逆側は、出力軸A2と接続される。
第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3は、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の第3遊星歯車機構PG3側と接続される。
ここで、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4とを接続する接続部110は、例えば、図1に示すように、リングギヤR3から径方向外側に延在する第1接続部111と、第1接続部111における外周側から第4遊星歯車機構PG4側へ軸方向に延在する第2接続部112と、第2接続部112における第4遊星歯車機構PG4側から径方向内側に延在し第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の第3遊星歯車機構PG3側と接続される第3接続部113とを有する。
変速機1は、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3から接続部110に少なくとも部分的に沿って延在する延在部120を備える。具体的には、延在部120は、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3から接続部110における第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4側までに亘って接続部110に沿って延在する。
延在部120は、例えば、図1に示すように、リングギヤR3から径方向外側に延在する第1延在部121と、第1延在部121における外周側から第4遊星歯車機構PG4側へ軸方向に延在する第2延在部122と、第2延在部122における第4遊星歯車機構PG4側から径方向内側に延在する第3延在部123とを有する。第1延在部121は、第1接続部111の第4遊星歯車機構PG4側に沿って延在する。また、第2延在部122は、第2接続部112の内周側に沿って延在する。また、第3延在部123は、第3接続部113の第3遊星歯車機構PG3側に沿って延在する。第3延在部123における内周側は、キャリアCA5を介して、ピニオンギヤP5と接続される。
変速機1では、接続部110と延在部120とは、摩擦部130を介して互いに当接している。摩擦部130は、具体的には、比較的高い摩擦係数を有しており、摩擦部130として、例えば、摩擦式の多板クラッチ等において回転動力を伝達するために用いられるフリクションプレートが適用される。
具体的には、変速機1では、図1に示すように、摩擦部130が接続部110の第3接続部113と延在部120の第3延在部123との間に介在しており、第3接続部113と第3延在部123とが摩擦部130を介して互いに当接している。なお、摩擦部130は、接続部110に固定されていてもよく、延在部120に固定されていてもよい。その場合、摩擦部130は、接続部110又は延在部120と同一部材として一体的に形成されていてもよい。また、摩擦部130は、接続部110及び延在部120のいずれに対しても固定されていなくてもよい。
このように、本実施形態では、複数の回転要素のうちの一対の回転要素を接続する接続部110と、当該一対の回転要素の一方の回転要素から接続部110に少なくとも部分的に沿って延在する延在部120とが、摩擦部130を介して互いに当接している。それにより、後述するように、動力伝達系の大型化を抑制しつつ、捩り振動を減衰させることが可能となる。また、捩り振動を効果的に減衰させる観点では、接続部110と延在部120とは、図1に示す例のように、リングギヤR3に対してキャリアCA4側において摩擦部130を介して互いに当接していることが好ましい。
<2.変速機の動作>
続いて、図2〜図4を参照して、本実施形態に係る変速機1の動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る変速機1における各変速段についての各連結機構の締結状態を示す説明図である。図3は、本実施形態に係る変速機1における各変速段についてのギヤ比の一例を示す説明図である。なお、図3に示した変速機1におけるギヤ比は、上述したように、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4のギヤ比がそれぞれ0.56、0.71、0.38及び0.41である場合における値である。
変速機1では、各連結機構の締結状態が切り替えられることによって、変速段が切り替えられる。それにより、変速機1のギヤ比が変速段に応じたギヤ比へ切り替えられる。各連結機構の締結状態は、例えば、車両に搭載される制御装置によって車両の走行状態に応じて制御される。各変速段は、6つの連結機構のうちの4つの連結機構を締結させ、他の2つの連結機構を開放させることによって実現される。
前進第1速段(1st)は、第2ブレーキB2、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第1速段(1st)についてのギヤ比は、4.71である。
前進第2速段(2nd)は、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を締結させることによって実現される。前進第2速段(2nd)についてのギヤ比は、3.45である。
前進第3速段(3rd)は、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第3速段(3rd)についてのギヤ比は、2.52である。
前進第4速段(4th)は、第1ブレーキB1、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を締結させることによって実現される。前進第4速段(4th)についてのギヤ比は、1.68である。
前進第5速段(5th)は、第1ブレーキB1、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第5速段(5th)についてのギヤ比は、1.13である。
前進第6速段(6th)は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第6速段(6th)についてのギヤ比は、1.00である。
前進第7速段(7th)は、第1ブレーキB1、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第7速段(7th)についてのギヤ比は、0.89である。
前進第8速段(8th)は、第2ブレーキB2、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第8速段(8th)についてのギヤ比は、0.72である。
前進第9速段(9th)は、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第1クラッチC1及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第9速段(9th)についてのギヤ比は、0.55である。
後進段(Rev)は、第2ブレーキB2、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を締結させることによって実現される。後進段(Rev)についてのギヤ比は、−4.60である。
このように、変速機1は、前進9段及び後進1段を実現可能である。また、変速機1では、隣り合う変速段の間で、締結される4つの連結機構のうち3つが共通となっている。それにより、締結される4つの連結機構のうちの1つを切り替えることによって、隣り合う変速段へ変速段を切り替えることができる。ゆえに、円滑に変速段の切り替えを行うことができる。
上述したように、本実施形態では、複数の回転要素のうちの一対の回転要素を接続する接続部110と、当該一対の回転要素の一方の回転要素から接続部110に少なくとも部分的に沿って延在する延在部120とが、摩擦部130を介して互いに当接している。それにより、延在部120が設けられる対象となる接続部110において動力の伝達が行われる際に、接続部110によって接続される一対の回転要素の他方の回転要素が一方の回転要素に対して相対的に回転することによって当該一対の回転要素の間で生じる捩り振動を減衰させることができる。具体的には、変速機1では、接続部110を介して動力が伝達される際に第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4との間で生じる捩り振動を減衰させることができる。
以下、図4を参照して、接続部110を介して動力が伝達される際における変速機1の挙動について説明する。図4は、本実施形態に係る変速機1において、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4とを接続する接続部110を介して動力が伝達される様子を模式的に示す図である。
変速機1では、例えば、前進第7速段(7th)〜前進第9速段(9th)において、図4に示すように、リングギヤR3からキャリアCA4へ接続部110を介して動力F1が伝達される。この際、キャリアCA4は、エンジン3の回転変動に起因して、リングギヤR3に対して相対的に回転し得る。このようなキャリアCA4とリングギヤR3との間での相対的な回転によって、リングギヤR3とキャリアCA4とを接続する接続部110は捩れる。具体的には、接続部110は、リングギヤR3から遠い部分において、リングギヤR3に近い部分と比べてリングギヤR3に対する捩れ角が大きくなるように捩れる。例えば、第3接続部113上の部分Q113におけるリングギヤR3に対する捩れ角は、第1接続部111上の部分Q111におけるリングギヤR3に対する捩れ角と比べて大きくなる。
一方、リングギヤR3から延在する延在部120において動力の伝達は行われない。ゆえに、延在部120の各部分はリングギヤR3に対して相対的に回転しにくくなっているので、延在部120に捩れは生じにくい。ゆえに、例えば、第3接続部113上の部分Q113と摩擦部130を介して当接する第3延在部123上の部分Q123において、リングギヤR3に対する捩れ角は比較的小さくなる。
上記のように、接続部110は、捩れが生じにくくなっている延在部120と摩擦部130を介して当接している。ゆえに、摩擦部130を介して互いに当接する第3接続部113上の部分Q113と第3延在部123上の部分Q123との間で、リングギヤR3に対する捩れ角の差が生じ得る。よって、摩擦部130によって生じる摩擦力を、接続部110の捩れの増長を妨げる方向に接続部110に対して作用させることができる。具体的には、第3接続部113上の部分Q113と第3延在部123上の部分Q123との間でのリングギヤR3に対する捩れ角の差が増大することを妨げる方向の摩擦力が摩擦部130によって生じる。それにより、エンジン3の回転変動に起因して接続部110が捩れることを抑制することができるので、リングギヤR3とキャリアCA4との間で生じる捩り振動を減衰させることができる。
また、上述したように、接続部110において、リングギヤR3から遠いほど、リングギヤR3に対する捩れ角は大きくなる。ゆえに、図1及び図4に示す例のように、延在部120をリングギヤR3から接続部110におけるキャリアCA4側までに亘って接続部110に沿って延在させ、接続部110と延在部120とをリングギヤR3に対してキャリアCA4側において摩擦部130を介して互いに当接させることにより、摩擦部130によって生じる摩擦力を増大させることができる。このように、延在部120が互いに異なる遊星歯車機構に設けられる一対の回転要素を接続する接続部110に対して設けられる場合、延在部120は、当該一対の回転要素の一方の回転要素から接続部110における他方の回転要素側までに亘って接続部110に沿って延在し、接続部110と延在部120とは、一方の回転要素に対して他方の回転要素側において摩擦部130を介して互いに当接していることが好ましい。
また、上述したように、延在部120の第3延在部123における内周側は、キャリアCA4を有する第4遊星歯車機構PG4におけるキャリアCA4と異なる回転要素であるサンギヤS4により噛合されて支持されるピニオンギヤP5とキャリアCA5を介して接続されている。このように、サンギヤS4により噛合されて支持される噛合部に相当するピニオンギヤP5と延在部120の先端側とを接続することによって、延在部120を接続部110におけるキャリアCA4側までに亘って接続部110に沿って延在させつつ、延在部120の姿勢を安定化させることができる。このように、延在部120の先端側は、接続部110により接続される一対の回転要素の他方の回転要素を有する遊星歯車機構における当該他方の回転要素と異なる回転要素により噛合されて支持される噛合部と接続されることが好ましい。
また、上述したように、前進第7速段(7th)〜前進第9速段(9th)において動力の伝達が行われる接続部110に対して延在部120が設けられる。後述するように、変速段が高いほど捩り振動の問題が顕著になりやすいので、延在部120は、このように、高い変速段で動力の伝達が行われる接続部に対して優先的に設けられることが好ましい。
<3.変速機の効果>
続いて、本発明の実施形態に係る変速機1の効果について説明する。
本実施形態に係る変速機1は、複数の回転要素のうちの一対の回転要素を接続する接続部110と、当該一対の回転要素の一方の回転要素から接続部110に少なくとも部分的に沿って延在する延在部120とを備える。また、接続部110と延在部120とは、摩擦部130を介して互いに当接している。それにより、摩擦部130によって生じる摩擦力を、接続部110の捩れの増長を妨げる方向に接続部110に対して作用させることができる。ゆえに、エンジン3の回転変動に起因して接続部110が捩れることを抑制することができるので、接続部110によって接続される一対の回転要素の間で生じる捩り振動を減衰させることができる。よって、エンジン3の回転変動に起因して変速機1へ伝達される捩り振動を減衰させることができる。それにより、捩り振動に起因して車室内へ伝達される騒音を低減することができる。
ここで、エンジン3の回転変動に起因して発生する捩り振動の程度は、エンジン回転数が低いほど大きくなりやすい。ゆえに、エンジン回転数が比較的低い場合には、トルクコンバータ2のロックアップを解除することにより、捩り振動が変速機1へ直接的に伝達されることが抑制される。本実施形態では、変速機1へ伝達される捩り振動を減衰させることができるので、トルクコンバータ2のロックアップが許可されるエンジン回転数の下限値を低下させることができる。それにより、トルクコンバータ2がロックアップされた状態となるエンジン回転数の領域を拡大することができるので、燃費を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、変速機1において接続部110に少なくとも部分的に沿って延在する延在部120を設け、接続部110と延在部120とを摩擦部130を介して互いに当接させることによって、捩り振動を減衰させることができる。ゆえに、変速機1の内部空間を有効に利用しつつ捩り振動を減衰させることができるので、例えば動力伝達系にダンパ装置を追加的に設ける場合と比較して、動力伝達系が大型化することを抑制することができる。それにより、車両における他の機器を搭載するスペースが不足することや車両全体の重量が増大することを抑制することができる。
このように、本実施形態に係る変速機1によれば、動力伝達系の大型化を抑制しつつ、捩り振動を減衰させることができる。
また、本実施形態に係る変速機1では、延在部120は、互いに異なる遊星歯車機構に設けられる一対の回転要素を接続する接続部110に対して設けられ、当該一対の回転要素の一方の回転要素から接続部110における他方の回転要素側までに亘って接続部110に沿って延在し、接続部110と延在部120とは、一方の回転要素に対して他方の回転要素側において摩擦部130を介して互いに当接していることが好ましい。それにより、摩擦部130によって生じる摩擦力を増大させることができる。ゆえに、エンジン3の回転変動に起因して接続部110が捩れることをより効果的に抑制することができるので、接続部110によって接続される一対の回転要素の間で生じる捩り振動をより効果的に減衰させることができる。よって、エンジン3の回転変動に起因して変速機1へ伝達される捩り振動をより効果的に減衰させることができる。それにより、捩り振動に起因して車室内へ伝達される騒音をより効果的に低減することができる。
また、本実施形態に係る変速機1では、延在部120の先端側は、接続部110により接続される一対の回転要素の他方の回転要素を有する遊星歯車機構における当該他方の回転要素と異なる回転要素により噛合されて支持される噛合部と接続されることが好ましい。それにより、延在部120を接続部110における他方の回転要素側までに亘って接続部110に沿って延在させつつ、延在部120の姿勢を安定化させることができる。ゆえに、エンジン3の回転変動に起因して接続部110が捩れることをより適切に抑制することができるので、接続部110によって接続される一対の回転要素の間で生じる捩り振動をより適切に減衰させることができる。よって、エンジン3の回転変動に起因して変速機1へ伝達される捩り振動をより適切に減衰させることができる。それにより、捩り振動に起因して車室内へ伝達される騒音をより適切に低減することができる。
また、本実施形態に係る変速機1では、延在部120は、高い変速段で動力の伝達が行われる接続部110に対して優先的に設けられることが好ましい。変速機1におけるギヤ比は変速段が高いほど低いので、各変速段について車速が同一である場合におけるエンジン回転数は変速段が高いほど低くなる。ゆえに、変速段が高いほど捩り振動の問題が顕著になりやすい。さらに、各変速段についてエンジントルクが同一である場合における駆動輪へ伝達される駆動トルクは変速段が高いほど小さくなるので、エンジン回転数の上昇速度は、変速段が高いほど遅くなりやすい。それにより、エンジン回転数が比較的低く捩り振動の程度が比較的大きくなりやすい状態は、変速段が高いほど長く継続しやすい。ゆえに、このような理由からも変速段が高いほど捩り振動の問題が顕著になりやすい。ここで、高い変速段で動力の伝達が行われる接続部110に対して延在部120を優先的に設けることによって、高い変速段において生じる捩り振動を優先的に減衰させることができる。ゆえに、捩り振動をさらに効果的に減衰させることができる。
<4.変形例>
続いて、図5及び図6を参照して、各種変形例に係る変速機について説明する。
まず、図5を参照して、第1の変形例に係る変速機5について説明する。変速機5は、上述した変速機1と比較して、延在部の先端側がサンギヤS4により噛合されて支持される噛合部と接続されていない点について異なる。
図5は、第1の変形例に係る変速機5の概略構成を示すスケルトン図である。
変速機5では、上述した変速機1と同様に、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4とを接続する接続部110に対して延在部520が設けられている。
延在部520は、図5に示すように、リングギヤR3から径方向外側に延在する第1延在部521と、第1延在部521における外周側から第4遊星歯車機構PG4側へ軸方向に延在する第2延在部522と、第2延在部522における第4遊星歯車機構PG4側から径方向内側に延在する第3延在部523とを有する。第1延在部521は、第1接続部111の第4遊星歯車機構PG4側に沿って延在する。また、第2延在部522は、第2接続部112の内周側に沿って延在する。また、第3延在部523は、第3接続部113の第3遊星歯車機構PG3側に沿って延在する。そして、第3接続部113と第3延在部523とが摩擦部130を介して互いに当接している。
ここで、変速機5では、上述した変速機1と異なり、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4にピニオンギヤP5は噛合されておらず、キャリアCA5及びピニオンギヤP5が設けられていない。ゆえに、第3延在部123における内周側は、サンギヤS4により噛合されて支持される噛合部(例えば、変速機1におけるピニオンギヤP5)と接続されていない。
上記のように、延在部の先端側は、他方の回転要素を有する遊星歯車機構における当該他方の回転要素と異なる回転要素により噛合されて支持される噛合部と接続されていなくてもよい。そのような場合であっても、摩擦部によって生じる摩擦力を、接続部の捩れの増長を妨げる方向に接続部に対して作用させることができる。よって、上述したように、動力伝達系の大型化を抑制しつつ、捩り振動を減衰させることができる。
次に、図6を参照して、第2の変形例に係る変速機6について説明する。変速機6は、上述した変速機5と比較して、延在部が第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3から摩擦部130に部分的に沿って延在している点について異なる。
図6は、第2の変形例に係る変速機6の概略構成を示すスケルトン図である。
変速機6では、上述した変速機1及び変速機5と同様に、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4とを接続する接続部110に対して延在部620が設けられている。
延在部620は、図6に示すように、リングギヤR3から径方向外側に延在する第1延在部621と、第1延在部621における外周側から第4遊星歯車機構PG4側へ軸方向に延在する第2延在部622とを有する。第1延在部621は、第1接続部111の第4遊星歯車機構PG4側に沿って延在する。また、第2延在部622は、第2接続部112の内周側に沿って延在する。
ここで、変速機6の延在部620は、上述した変速機1及び変速機5と異なり、第2延在部622における第4遊星歯車機構PG4側から径方向内側に延在する部分を有しない。変速機6では、図6に示すように、摩擦部130が接続部110の第2接続部112と延在部620の第2延在部622との間に介在しており、第2接続部112と第2延在部622とが摩擦部130を介して互いに当接している。
上記のように、延在部は、接続部により接続される一対の回転要素の一方の回転要素から当該接続部に部分的に沿って延在していてもよい。そのような場合であっても、摩擦部によって生じる摩擦力を、接続部の捩れの増長を妨げる方向に接続部に対して作用させることができる。よって、上述したように、動力伝達系の大型化を抑制しつつ、捩り振動を減衰させることができる。
また、変速機1及び変速機5では、接続部と延在部とは摩擦部を介して軸方向に当接しているが、変速機6のように、接続部と延在部とは摩擦部を介して径方向に当接していてもよい。このように、接続部と延在部との間で摩擦部を介して互いに当接する位置は、特に限定されない。例えば、変速機6において、接続部110の第1接続部111と延在部620の第1延在部621とが摩擦部130を介して互いに当接していてもよい。
<5.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る変速機1は、複数の回転要素のうちの一対の回転要素を接続する接続部110と、当該一対の回転要素の一方の回転要素から接続部110に少なくとも部分的に沿って延在する延在部120とを備える。また、接続部110と延在部120とは、摩擦部130を介して互いに当接している。それにより、摩擦部130によって生じる摩擦力を、接続部110の捩れの増長を妨げる方向に接続部110に対して作用させることができる。ゆえに、変速機1の内部空間を有効に利用しつつ捩り振動を減衰させることができる。よって、動力伝達系の大型化を抑制しつつ、捩り振動を減衰させることができる。それにより、捩り振動に起因して車室内へ伝達される騒音を低減することができ、かつ、トルクコンバータ2がロックアップされた状態となるエンジン回転数の領域を拡大することによって燃費を向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記では、変速機1,5,6が車両に搭載される例について説明したが、変速機1,5,6が搭載される装置は、このような例に限定されない。変速機1,5,6は、動力伝達系を有する装置であれば車両以外の他の装置に搭載されてもよい。
また、上記では、接続部と延在部とを摩擦部を介して当接させた変速機の例として、4つの遊星歯車機構と2つのブレーキと4つのクラッチとを備える変速機1,5,6を説明したが、変速機の構成はこのような例に限定されない。例えば、変速機が備える遊星歯車機構及び連結機構の数は、上記の変速機1,5,6と異なってもよい。また、変速機により実現可能な変速段の数は、変速機を構成する遊星歯車機構及び連結機構の数や遊星歯車機構及び連結機構の接続関係に応じて適宜異なってもよい。例えば、変速機により実現可能な変速段は、前進9段及び後進1段でなくともよい。また、各遊星歯車機構のギヤ比は、上記の変速機1,5,6と異なっていてもよい。
また、上記では、各ブレーキ及び各クラッチとして湿式多板ブレーキ及び湿式多板クラッチが用いられる例について説明したが、各ブレーキ及び各クラッチは要素間の連結状態を切り替え可能であればよく、各ブレーキ及び各クラッチの種類はこのような例に限定されない。
また、上記では、各図面を参照して、変速機1,5,6における各構成要素について説明したが、各構成要素の形状及び各構成要素間の位置関係は各図面に対応する例に限定されず、図面に示した形状及び位置関係は一例に過ぎない。また、各構成要素は、一体として形成されてもよく、複数の部材によって形成されてもよい。