JP2019181992A - 制動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ばね下制動手段により効果的な制動を行う。【解決手段】ホイール14がばねを介して車体に取り付けられる車両についての制動システムであって、ばね下に設けられ、対応するホイールを制動するばね下制動手段(ホイールブレーキ30)と、ばね上に設けられ、ホイールへ動力を伝達する動力伝達機構を制動するばね上制動手段(高負荷ブレーキ34)と、車両走行時に必要な制動量を算出し、算出された制動量をばね下制動手段とばね上制動手段とに分配する制御装置と、を含む。前記ばね下制動手段は、ホイールを回生制動してエネルギーを発生する回生制動部124と、ホイールを摩擦制動する摩擦制動部126と、回生制動部および摩擦制動部の制動量を制御するホイール制御器を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、ホイールがばねを介して車体に取り付けられる車両についての制動システムに関する。
車両は、その減速、停止のために制動手段(ブレーキ)を有する。制動手段には、駆動用モータを利用した回生制動手段や、ホイールにブレーキパッドなどを押し付ける摩擦制動手段などがある。ホイールは、通常ショックアブソーバなどのばねを介し車体に取り付けられるため、モータを利用した回生制動手段はばね上制動手段、摩擦制動手段はばね下制動手段となる。
ここで、ホイールに駆動用のモータを組み込むインホイールモータを利用する電動車両も提案されている。このような場合、インホイールモータにより回生制動を行うことができ、ばね下に回生制動手段が設けられることになる。
特許文献1には、インホイールモータ(IWM)などの電動車両で回生制動するものにおいて、バッテリが満充電に近い際の対策が示されている。すなわち、制動する時にバッテリが満充電に近いと十分に回生制動の能力を発揮できない。そのため、電気抵抗で放電するなどしてバッテリの残量を調整することが必要となるが、特許文献1では、短絡電流制御手段を用いて放電プロセス無しで回生制動を可能にしている。
特許文献2には、インホイールモータ(IWM)などの電動車両で制動する時に、摩擦ブレーキ無しでも完全停止できるようにする制御について記載されている。低速から停止に至る過程では、モータ(発電機)による回生だけでは不十分であり、回生制動から摩擦制動に切り替えるプロセスが必要であった。特許文献2では、力行と回生に対して同相励磁制御を行い、摩擦ブレーキ無しでも完全停止できるようにしている。
特許文献3には、4輪インホイールモータ(IWM)などの電動車両で制動する時に、主電源系の失陥(故障)に備えて、各ホイール近傍に補助電源を置いて、不測の事態に備えることが記載されている。
特許第5808923号公報 特許第5887918号公報 特許第6054463号公報
特許文献1では、電動車両の電池が満充電に近い状態で制動する時に、「短絡電流制御手段」を用いて回生制動を行う。この際、モータには通常使用範囲を超える電流が流れるため、モータの発熱量が大きくなる。従って、熱容量が大きい体格の大きなモータにして高温になるのを防いだり、温度上昇を防ぐ冷却機能を併設するなどの対策が必要になる。
特許文献2では、低速から停止に至る過程で、モータの「同相励磁制御」を行い、摩擦ブレーキ無しでも完全停止できるようにした。この場合、常にモータの電流状態を把握して制御し続けることが求められる。そのため、路面の凹凸や局所的な勾配などの外乱要素が入ると完全停止が難しくなったり、停止のために要する電力消費が増加する。
特許文献3では、主電源系の万一の失陥に備えて「補助電源」をホイール近傍に配置する。しかし、ホイールから回収される電力を一旦主電源系に蓄電し、そこから各ホイール近傍の補助電源に送電する。このため、制動システムのエネルギー循環効率が悪くなる。
本発明は、ホイールがばねを介して車体に取り付けられる車両についての制動システムであって、ばね下に設けられ、対応するホイールを制動するばね下制動手段と、ばね上に設けられ、ホイールへ動力を伝達する動力伝達機構を制動するばね上制動手段と、車両走行時に必要な制動量を算出し、算出された制動量をばね下制動手段とばね上制動手段とに分配する制御装置と、を含み、前記ばね下制動手段は、ホイールを回生制動してエネルギーを発生する回生制動部と、ホイールを摩擦制動する摩擦制動部と、回生制動部および摩擦制動部の制動量を制御するホイール制御器を有する。
また、前記ばね下制動手段の回生制動部は、対応するホイールの回転に同期して回転する回転同期部と、回転同期部の回転からエネルギーを発生する動力変換部と、を含み、前記ホイール制御器が、動力変換部における回生制動量を制御するとよい。
さらに、回転同期部と動力変換部との間の動力伝達を制御する接続・遮断部を有するとよい。
また、接続・遮断部は、回生制動力が必要、または回生による動力貯蔵が必要な時に接続され、空走時、または低負荷制動手段への衝撃を回避したい時に遮断するとよい。
また、前記ばね下制動手段の摩擦制動部は、前記回生制動部で発生したエネルギーを貯蔵する動力貯蔵部と、前記回生制動部で発生したエネルギーを利用して摩擦材駆動力を発生する摩擦材駆動部と、摩擦材駆動部により発生された並進駆動力によってホイールに押し付けられてホイールを摩擦制動する摩擦材とを含み、前記ホイール制御器が、動力貯蔵部と摩擦材駆動部へのエネルギーの分配を制御するとよい。
また、ばね下制動手段における、回生制動分と摩擦制動分の振り分けには回生係数を用い、回生係数はホイールの角速度、減速度、および動力貯蔵率によって決定されるとよい。
また、ばね下制動手段における、回生制動部においてモータを用い、このモータによりホイールを駆動させることができるとよい。
本発明によれば、低負荷制動手段として、ホイール近傍に回生と摩擦の両制動手段を備えることで、回生された電力を即座に摩擦制動に消費できる。このため、回生に求められる制動容量を小さく抑え、摩擦との併用により、高減速度や高速条件での制動も可能になる。
減速度・車速の領域マップにおける制動分担の概念図である。 全体構成の概略模式図である。 制動ECUの構成例を示す図である。 ホイールブレーキの概略構成を示す図である。 ホイールブレーキの概略配設例を示す図である。 ホイールブレーキの構成ブロック図である 蓄圧式における動力変換部と貯蔵部の構造例を示す図である。 蓄圧式の機能ブロック図である。 動力接続・遮断部の構造例(電磁式クラッチ)を示す図である。 摩擦制動部の構造例(ねじ式押圧軸)を示す図である。 摩擦制動部の構造例(直動式押圧軸)を示す図である。 回生制動部に摩擦制動部を付加する構造例(電磁式ブレーキ)を示す図である。 ホイールブレーキの設置例(分離配置)を示す図である。 ホイールブレーキにおける回生と摩擦の配分を説明する図である。 実施形態における減速度・車速の領域マップを示す図である。 ホイールブレーキの領域マップにおける回生係数krgを示す図である。 ホイールブレーキの機能ブロック図である。 ホイールブレーキの回生と摩擦の動作概要を示す図である。 ホイールブレーキの条件による機能分離を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
「制動システムについての課題」
電動車両(HV,EV,FCV)が広く普及してきている。電動車両においては、駆動用モータによる回生ブレーキと、ホイールについての摩擦力を利用する摩擦式ホイールブレーキ(ホイールブレーキ)を有する。これらブレーキについての減速度・車速の領域マップにおける制動力の分担の概念について、図1に示す。
このように、電動車両では、駆動用モータの回生(発電)機能を車両の制動に活かすことが要求されており、電動車両における通常制動の大半は回生制動で占められる。
一方、低速時、特に車両を停止させる際には、回生ブレーキは使用しにくいため摩擦ブレーキが使用される。さらに、緊急時の高負荷制動に対して車両を安全に停止させることが求められるので、摩擦ブレーキが使用される。従って、各ホイールのホイールブレーキについては、最も厳しい高減速度・高速の高負荷条件にも耐えうる設計が行われている。
このように、制動システムのほとんどが軽負荷の領域で活用されているにも関わらず、高負荷制動に対応するために、ホイール側(ショックアブソーバ(懸架装置)のばね下)に設けられる摩擦ブレーキに能力の高いものが要求される。従って、ホイールブレーキの重量は重く、ばね下に位置するブレーキの軽量化を図ることを困難にしている。
そこで、本出願人は、特願2017−229561号において、使用頻度が少ない高負荷制動専用の手段(高負荷制動手段)を新たに設け、低負荷制動手段と高負荷制動手段の分離と協調を図ることで、制動装置全体の軽量化を可能にすることを提案した。特に、この提案によれば、通常の制動を行う高負荷制動手段を懸架装置(ショックアブソーバ)の上(ばね上)に配置することで、ばね下重量を大幅に軽量化し、路面の凹凸による振動入力に対する車体の揺れを低減し、快適性を向上させることができる。
「制動システムの全体的構成」
図2は、本実施形態に係る制動システムの全体構成を示す模式図である。この例において、駆動システムは、バッテリ電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池電気自動車(FCEV)など駆動用モータによる回生制動を利用することができる車両に搭載することが好適である。
車両10は、車体12を有し、その車体12に4つのホイール14(前輪14f、後輪14r)がばねを含む緩衝装置としての懸架装置(図示せず)を介し、取り付けられている。ここで、緩衝装置より車体12側をばね上、ホイール14側をばね下と呼ぶ。
車両10には、駆動モータを含むパワーユニット20が搭載されており、このパワーユニット20からの駆動力がドライブシャフト22に伝達される。この例では、1つのパワーユニット20からの出力が左右2つの前輪用のドライブシャフト22に伝達されるので、パワーユニット20とドライブシャフト22は動力伝達機構としてのデファレンシャルギヤを介して接続される。そして、2つの前輪用のドライブシャフト22は対応する2つのホイール(前輪)14に接続されて、ドライブシャフト22の回転がホイール(前輪)14に伝えられ、車両10が走行する。なお、パワーユニット20などへの電力供給のため、車両蓄電器50が搭載される。車両蓄電器50には、通常リチウムイオン電池などの二次電池が採用される。
また、この例では、後輪側にサブパワーユニット24が設けられており、ここからの駆動力が後輪用の2つのドライブシャフト22を介しホイール(後輪)14に伝えられる。従って、車両10は、4輪駆動である。
そして、各ホイール14には、最大制動量の小さな低負荷制動手段としてのホイールブレーキ30がそれぞれ設けられている。このホイールブレーキ30は、対応するホイール14を制動するものであり、懸架装置よりホイール14側のホイールを軸支する非回転側に固定され、回転側であるホイール14の制動を行う。従って、ホイールブレーキ30はばね下の部材である。なお、ホイール(後輪)14には、電動パーキングブレーキ(EPB)32も設けられ、ばね下の部材である。EPB32は、基本的に停止状態で利用されるが、坂道での後退防止や、自動駐車時にも用いることができる。
また、各ドライブシャフト22には、最大制動量が大きな高負荷制動手段としての高負荷ブレーキ34が配置される。すなわち、ホイール14のホイールハブからジョイントを介して伸展されるドライブシャフト22とパワーユニット20またはサブパワーユニット24の間の適切な位置に配置される。この高負荷ブレーキ34は、大きな減速力を発揮するもので、摩擦摺動面積の大きなブレーキなどが採用される。この高負荷ブレーキ34は、懸架装置より車体12側にあり、ばね上の部材である。なお、パワーユニット20、サブパワーユニット24は、回生制動手段であり、これらはばね上の制動手段である。
車両10には、搭載各種機器の制御を行うための制御装置が搭載されており、車両制御部40は、車両10に搭載されている各種センサからの信号を受け取り、必要な車両の動作制御を管理する。駆動ECU(電子制御ユニット)42は、車両制御部40を介し供給されるアクセルセンサの信号などから算出した要求トルクに応じて、パワーユニット20、サブパワーユニット24の出力を制御する。また、制動ECU44は、車両制御部40からの各種信号に応じて、必要制動量を算出し、ホイールブレーキ30、EPB32、高負荷ブレーキ34、およびパワーユニット20、サブパワーユニット24における回生の分担を決定し、これらの制動量を制御する。
図3は、制動ECU44の具体的構成例である。センサとして、車輪速センサ60、前後Gセンサ62、ジャイロセンサ64、左右Gセンサ66、気象情報センサ68を有し、車輪速センサ60の信号により車速推定部70が車速を推定し、前後Gセンサ62からの信号により坂道勾配推定部72が道路勾配を算出し、気象情報センサ68からの信号により路面μ推定部74が路面の摩擦を計算する。また、ジャイロセンサ64と左右Gセンサ66からの信号により車両姿勢推定部76が車両姿勢を推定する。
車速推定部70からの車速、坂道勾配推定部72からの勾配、路面μ推定部74からの路面μ、車両姿勢推定部76からの車両姿勢に加え、GPS(グローバルポジショニングシステム)80からの地図・位置情報、ブレーキ操作検出部82からのブレーキ操作情報、周囲情報検出部84からの車間距離、接近速度(相対速度)などの周囲情報が目標減速度推定部90に供給される。
目標減速度推定部90は、供給される各種情報に基づいて、目標減速度を算出する。基本的には、ブレーキ操作量に応じて減速度を決定するが、車間、相対速度などから衝突危険性を判定し、衝突危険性に応じた制動量も算出する。道路勾配、路面μなどはブレーキの効き具合に基づく制動量の修正に用いられ、車両姿勢は4輪の制動量の調整による車両姿勢制御に用いられる。
算出された目標減速度は制動負荷判定部92に供給される。制動負荷判定部92は、供給されてくる目標減速度が設定閾値を超えた場合には、高負荷ブレーキ34が駆動することの判定を行う。また、制動負荷判定部92の判定結果と目標減速度は制動配分設定部94に供給され、制動配分設定部94は、高負荷ブレーキ34、回生ブレーキ36、EPB32、ホイールブレーキ30の配分を決定し、その指示を出力する。なお、回生ブレーキ36は、パワーユニット20、サブパワーユニット24における回生によって発生する制動力である。
さらに、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)作動判定部96において、スリップ防止のための制動が必要と判断された場合には、通常のABSと同様にホイールブレーキ30を制御する。さらに、姿勢制御が必要な場合には、ESC(横滑り防止装置)作動判定部98がホイールブレーキ30を個別に制御して車両姿勢を制御する。
「ばね下制動システム(ホイールブレーキ30)の構成」
本実施形態に係る制動システムにおいては、ばね下にホイールブレーキ(回生・摩擦複合ブレーキ)を有する。このばね下の制動システム(ホイールブレーキ30)の構成について図4に基づいて説明する。
ホイール14の内側に動力回生用の歯車付き円環状のブレーキディスク120を設ける。なお、ホイールの外側にタイヤ16が取り付けられる。ブレーキディスク120の内周には、平歯やはす歯などのディスクギア120bが形成されている。そして、ディスクギア120bにピニオン122が噛み合っており、ホイール14の回転に伴い、ピニオン122が回転する。ピニオン122の軸(ピニオン軸122a)は、ホイール14の回転軸と平行した配置になっている。ここでは、ギヤのかみ合いで動力伝達をしているが、摩擦係数が大きくなる表面加工をしたローラを接触させて動力を伝えるようにしても良い。
ピニオン軸122aは、回生制動部124に入力されており、ここにおいて回生制動エネルギー(動力)を発生することで、ホイール14を回生制動する。
回生制動部124には、摩擦制動部126が接続されており、回生制動部124で発生する動力が供給されている。摩擦制動部126は、回生制動部124から供給される動力を用いて、押圧軸126bを往復動させる。摩擦制動部126によって押圧軸126bの先端にあるパッド摩擦材126aをブレーキディスク120のディスク摩擦材120aに車両内側から押し当てることでホイール14を摩擦制動することができる。
このように、回生制動部124によってホイールの回転を減速させるとともに、回生で得た動力を用いて摩擦制動部126を駆動する。特に、摩擦制動部126において、動力を蓄える手段を設けることで、回生で得た動力を蓄え、蓄えた動力あるいは回生している動力を用いて必要に応じた摩擦制動を行うことができる。これによって、ホイールの減速度を高めたり、完全停止までの制動を行うことができる。このとき、ばね上の蓄電装置(例えば、車載メインバッテリなどの車両蓄電器50)の外部からの動力供給を必要としない。
図5に、図4のA−A断面から見た回生・摩擦式のホイールブレーキ30の概略構成図を示す。また、各部の要素構成と相互の関連を図6のブロック図に示す。
このように、この例では、回生制動部124について、動力接続・遮断部(クラッチ)130と、動力変換部132を含み、これらはマウント128に組み付けられる。ホイール14の回転をブレーキディスク120のディスクギア120bとピニオン122を介してピニオン軸122aに伝え、このピニオン軸122aの回転がクラッチ130を介して動力変換部に伝える。クラッチ130により、ピニオン軸122aの動力変換部132との接続が必要に応じてオンオフ(接続・遮断)される。回生制動が必要な状況ではクラッチ130を接続し、回生制動の必要がない状況ではクラッチ130を切断し、空走状態にする。そして、動力変換部132に発生された動力が摩擦制動部126に供給される。
摩擦制動部126は、供給される動力を貯蔵する動力貯蔵部134と、パッド摩擦材126aを押圧軸126bを介しブレーキディスク120のディスク摩擦材120aに押し付ける摩擦材駆動部136を含む。動力変換部132において発生した動力は動力貯蔵部134と摩擦材駆動部136に分配供給される。動力貯蔵部134では動力が貯蔵され、摩擦材駆動部136では、供給される動力を利用して出力軸である押圧軸126bを移動(並進)させてパッド摩擦材126aをディスク摩擦材120aに押し付ける。従って、摩擦材駆動部136によって、パッド摩擦材126aの押しつけ力を制御することができ、ホイール14に対する摩擦制動力を制御することができる。
また、ホイールブレーキ30は、回生制動部124、摩擦制動部126の他に、ホイール制御器138を含んでいる。このホイール制御器138がクラッチ130の接続・遮断、動力変換部132における回生制動力(発生エネルギー)、動力貯蔵部134および摩擦材駆動部136への動力の分配を制御するとともに、動力貯蔵部134から摩擦材駆動部136への動力供給を制御する。また、動力貯蔵部134への動力の貯蔵、ここからの動力の放出を制御する。
例えば、回生制動時は、動力変換部132の負荷制御により要求制動力を保つ。また、動力貯蔵部134に貯蔵された動力あるいは貯蔵されずに動力変換部132から供給される動力を用いて、摩擦材駆動部136を制御し押圧軸126bを介してパッド摩擦材126aをディスク摩擦材120aに押付けることができる。このように、摩擦制動部126によって、摩擦制動を行うことで、回生制動が難しい低速時の減速や、停止状態の維持を確実に行うことができる。また、動力貯蔵部134において動力が不足した場合には、車両蓄電器50から動力を補充し、動力が余剰の場合には車両蓄電器50に移送する。
「機械的手段を用いる例」
図7、8は、動力変換部132と動力貯蔵部134に蓄圧式の機械的手段を用いる例であり、図7に概略構造、図8に機能ブロック図を示す。
動力変換部132は、クラッチ130を接続した状態で、ホイール14の回転に同期して回転する回転軸140を有する。この回転軸140は、軸受け142を介しケース144に回転可能に支持される。また、ケース144内には、ポンプ室146が設けられており、このポンプ室146内に回転軸140により回転する羽根車148が配置される。なお、軸受け142とポンプ室146の間にはシール150が設けられ、ポンプ室146内の流動体(液体あるいは気体)が回転軸140の周囲を伝って漏れないようにしている。
ポンプ室146の回転軸140と反対側の中心部には流動体の流入部146aが形成され、羽根車148の周辺には流出部146bが設けられている。従って、羽根車148の回転によって、流入部146aから流動体がポンプ室146に流入し、流出部146bから吐出される。ここで、流出部146bには、流量(圧力)制御弁152が設けられており、この流量制御弁152の開度によって、回生負荷容量が制御される。すなわち、流量制御弁152によって、必要な回生制動量を得ることができる。
流量制御弁152から吐出された流動体は動力貯蔵部134に供給される。動力貯蔵部134は、分岐部154、リザーバ156、蓄圧器158、アクチュエータ160を有しており、流量制御弁152からの流動体は、分岐部154に供給される。
分岐部154は、リザーバ156、蓄圧器158およびアクチュエータ160に接続されており、分岐部154は、各分岐路に弁を有しており、リザーバ156、蓄圧器158およびアクチュエータ160のいずれにも流動体を選択的に供給することができる。また、分岐部154の制御によって、蓄圧器158の内部の流動体をアクチュエータ160に供給したり、リザーバ156に供給することができる。ここで、リザーバ156は、流動体を貯留するもので、流動体をポンプ室146の流入部146aに供給したり、外部にドレーンすることもできる。また、蓄圧器158は、流量制御弁152からの流体を加圧状態で貯留することができる。例えば、図示のように、液体を加圧状態で導入し、上方の空気を加圧状態として弁を閉じることで、蓄圧ができる。従って、分岐部154の弁を制御することで、蓄圧器158内の加圧状態の流動体を、必要に応じてアクチュエータ160に供給することができる。
アクチュエータ160は、1つの密閉室162をピストン164により2つの部屋162a,162bに仕切った構成を有する。従って、流動体を流入口166aを介し部屋162a,162bの一方に圧送し、流出孔166bを介し他方から流動体を排出することで、ピストン164が移動する。すなわち、流動体の供給切り換えによって、ピストン164を並進(往復動)させることができる。ピストン164には、押圧軸126bを介し、パッド摩擦材126aが接続されており、アクチュエータ160への流動体の供給制御によって、パッド摩擦材126aをディスク摩擦材120aに押圧したり離したりすることができる。
ホイール制御器138は、その時の状況に応じて、分岐部154の弁を制御して、流入してくる流動体を振り分ける。例えば、摩擦制動が不要で、蓄圧の余裕があるときは、流動体は蓄圧器158に送られ、動力がここに貯蔵される。また、摩擦制動が必要で蓄圧の必要がないときは、流動体がアクチュエータ160に送られ必要な摩擦制動が行われる。さらに、蓄圧も摩擦制動も必要がない時には、流動体はリザーバ(蓄圧器)158に送られ、ここに貯留したり、ここからポンプ室146に循環される。
このようにして、必要な回生制動を行うとともに、回生制動によって得られた動力を利用して、必要な摩擦制動を行うことができる。また、必要に応じて、動力を蓄え、蓄えた動力を利用して摩擦制動を行うことができる。
また、走行時に要求される摩擦制動量に対応した押圧は、アクチュエータ160の流入弁(図示せず)で制御されるが、ホイール14の回転が極低速や停止近傍状態になると、蓄圧器158の制御弁158aで圧力調整を行い、アクチュエータ160によりパッド摩擦材126aをディスク摩擦材120aに押し当ててホイール14の停止状態を保持できる。走行開始などでアクチュエータ160の押圧を開放する時は、流入弁の操作と流出口の位置関係からピストン164を逆方向に移動させる。また、図示はしていないが、クラッチ130の接続・遮断もアクチュエータ160と同様に流動体の圧力で操作することが可能である。
なお、車両が後進する場合において、動力変換部(ポンプ)132の圧力が前進時のように発生しなくなる場合には、クラッチ130で動力伝達を遮断し、羽根車148の回転を止めて、蓄圧器158からの圧力で摩擦制動を行うとよい。
「動力接続・遮断部(クラッチ)130の構成例」
図9は、動力接続・遮断部(クラッチ)130に電磁クラッチを用いた場合を示してある。クラッチ130は、クラッチハウジング168を有し、構成部材がこのクラッチハウジング168内に収容される。ピニオン軸122aは、クラッチハウジング168内に軸受けなどを介し挿入され、その先端(奥側)には、ピニオン軸122aと同じく回転する軸方向バネであるリターンスプリング180が接続される。そして、リターンスプリング180の先端側(奥側)の周囲には、円板状の内側摩擦板178が固定される。また、この内側摩擦板178の手前には円板状の外側摩擦板176が配置される。外側摩擦板176は、外周側に配置される中空円筒状のマグネットボディ182の内周壁に軸方向スライド移動可能に取り付けられ、リターンスプリング180とは離れて位置する。マグネットボディ182は非回転であり、外側摩擦板176も非回転である。
外側摩擦板176の手前には、リターンスプリング180から径方向に伸びて配置されるアーマチュア174が配置される。アーマチュア174は、円板状でもよいし、放射方向に伸びる複数の棒状体でもよい。
さらに、内側摩擦板178のさらに奥側には、クラッチハウジング168に固定されるドーナツ状のコイル170が配置され、このコイル170を取り囲んで中空円筒状のヨーク172が配置される。ヨーク172は、手前側にアーマチュア174の外側にまで伸びている。
従って、コイル170のコイル電流を流すことにより、ヨーク172がアーマチュア174を引き寄せる磁界を形成し、外側摩擦板176を奥側に引き寄せる。これによって、外側摩擦板176が内側摩擦板178に接触し、両者の摩擦力でピニオン122の回転運動が動力変換部132に伝えられる。コイル170のコイル電流をオフすれば、リターンスプリング180の付勢力によって、外側摩擦板176が手前側に移動し、外側摩擦板176と、内側摩擦板178が離れ、摩擦力がなくなり、動力伝達がオフされる。このように、コイル170への通電制御によって、動力の接続・遮断を制御することができる。
このような電磁クラッチを用いたとき、動力変換部132と動力貯蔵部134は上記の蓄圧式でも可能であるが、電気をエネルギー媒体として扱えるモータや蓄電器の方が望ましい。例えば、動力変換部132として発電機を用い、動力貯蔵部134として蓄電器を採用することができる。
蓄電器としては、電池やキャパシタを採用することができるが、モータの回生制動量を常に摩擦制動量で補うシステム設計をする場合はキャパシタが望ましい。一方、極低速や停止状態の保持を摩擦制動の主な役割とするシステム設計をする場合は、リチウムイオンなどの二次電池が望ましい。
「摩擦制動部の電気的駆動」
図10、図11は、摩擦制動部126の押圧制御を電気(電流)で行う場合の例である。
図10は、ポールねじを介してモータの回転運動を押圧軸の軸方向並進運動に変換することによって、浮動式キャリパのブレーキパッドの挟圧力を操作して制動トルクを発生させる例である。
押圧機構200は、中空のケース202を有する。このケース202は、スライダ210によって車体側のマウント128にホイール14に対し相対移動可能に支持されている。
ケース202内のホイール14から遠い側(車両内側)の端部の外周部にはドーナツ状のステータコイル204が配置される。ステータコイル204の内側には、ステータコイル204に対向して円筒状のロータ206が同心状に配置される。ロータ206は複数の永久磁石206aが周面に配置される。従って、ステータコイル204への電流供給によって回転する磁界を形成することでロータ206が回転する。
ロータ206は中空の円筒であり、その中心には押圧軸208が配置され、両者の間には、ねじが形成してある。この例では、ロータ206と押圧軸208とでボールねじを形成しており、ロータ206の回転によって押圧軸208が軸方向に進退する。押圧軸208のホイール側の先端には、摩擦材212aが配置されており、この押圧軸208の先端側は、スプリング216を介しケース202に取り付けられている。また、ケース202の下方側は、ホイール側に伸びそこから立ち上がって、摩擦材212bが摩擦材212aと対向するように配置される。そして、両摩擦材212a,212bの間にホイール14から内側に伸びる円環状のディスク摩擦材214が配置される。従って、ディスク摩擦材214は、摩擦材212a,212bによって両側から挟まれる。
このように浮動式キャリパ構成となっているため、ロータ206が回転し、押圧軸208がホイール14側に移動し、摩擦材212aがディスク摩擦材214に向けて移動してここに押し付けられると、その反力によって、摩擦材212bもディスク摩擦材214に向けて移動する。従って、摩擦材212a,212bをディスク摩擦材214に両面から押しつけて(狭圧して)、ホイール14を制動することができる。なお、スプリング216の力が作用して、摩擦材212a,212bがディスク摩擦材214に向かって移動することを補助する。また、ロータ206を逆方向に回転することで、摩擦材212a,212bをディスク摩擦材214から離して制動を停止することができる。
図11は、コイルの電流制御によって押圧軸に埋設した永久磁石を吸引・反発させることで、直動ガイドで支持された押圧軸を軸方向に移動させ、浮動式キャリパのブレーキパッドの挟圧力を操作して制動トルクを発生させる例である。
図11に示すように、ケース202の内部には、円筒状のコイル220が配置されており、このコイル220の中心には、押圧軸222が配置されており、この押圧軸222の周囲には永久磁石224が配置されている。コイル220に一方向の電流を流したとき、コイル220によって生じる磁界によって、永久磁石224が吸引され、これによって押圧軸222はコイル220の内部に吸引される。コイル220に他方向の電流を流すと、コイル220によって生じる磁界に、永久磁石224が反発し、これによって押圧軸222はコイル220の内部から押し出される。他の構成は、基本的に図10のものと同様であり、従ってコイル220への供給電流の制御によって、摩擦材212a,212bをディスク摩擦材214に対し切り離して、摩擦制動を制御することができる。
「回生制動部に電磁式ブレーキを設ける構成」
図12は、電磁式ブレーキを回生制動部のモータの回転軸に装備した場合である。これは、ホイール内空間が狭く、回生用モータと摩擦ブレーキを個別に設置できない場合、あるいは摩擦による制動容量が小さく済む場合には、このようなコンパクトな回生・摩擦複合ブレーキを用いることができる。また、このような構成にすると、図9のようなクラッチが無いので、歯車の回転軸とモータの回転軸の接続を遮断できなくなるが、モータの仕様をSR(スイッチトリラクタンスモータ)のようなものにすれば、電流制御で回転軸のトルク伝還を遮断することができる。
この例では、クラッチ130に代えて電磁ブレーキ228を採用し、動力変換部132にはモータを採用する。電磁ブレーキ228は、ハウジング230を有する。ピニオン軸122aは、ハウジング230内に挿入され、その先端には、ピニオン軸122aと同じく回転する軸方向バネであるリターンスプリング232が接続される。そして、リターンスプリング232の先端側(奥側)には、回転軸が接続され、これが動力変換部132を構成するモータの回転軸となっている。従って、ピニオン軸122aの回転はそのままモータに入力される。従って、このモータを制御することで任意の回生制動を行うことができる。
リターンスプリング232のピニオン軸122a側の周囲には、円板状の内側摩擦板234が固定される。また、この内側摩擦板234の手前および奥側には円板状の外側摩擦板236a,236bが配置される。外側摩擦板236aは、内側摩擦板234のピニオン軸122a側に配置され外周側が中空円筒状のマグネットボディ238に固定される。一方、外側摩擦板236bは内側摩擦板234のピニオン軸122aとは反対側(奥側)に配置され外周側がマグネットボディ238の内周壁に軸方向スライド移動可能に取り付けられる。また、外側摩擦板236bの奥側には、リターンスプリング232から径方向に伸びて配置されるアーマチュア242が配置される。そして、外側摩擦板236aの手前側には、ドーナツ状のコイル240が配置されるとともに、マグネットボディ238は、アーマチュア242の外側にまで至り、ヨークとして機能する。
このような構成において、コイル240に通電すると、アーマチュア242が手前側に引き寄せられ、これによって外側摩擦板236bが手前側に移動して内側摩擦板234に接触する。アーマチュア242がさらに手前側に移動することで、内側摩擦板234は外側摩擦板236aにも接触し、外側摩擦板236a,236bに狭圧され、ピニオン軸122aの摩擦制動が行われる。また、コイル240に通電しない場合には、リターンスプリング232の力によって、内側摩擦板234、外側摩擦板236b、アーマチュア242が奥側に移動して内側摩擦板234と、外側摩擦板236a,236bとの接触はなくなる。従って、コイル240への通電量を制御することで制動量を制御することができる。
「回生用ディスクと摩擦用ディスクを別々に設ける」
摩擦制動部を図10、図11のような構造にして大型化する場合には、図13のように、ホイールブレーキの組付け方を見直し、ホイール内周部に回生用ディスクと摩擦用ディスクの2種類を分離して設け、回生モータと摩擦ブレーキと蓄電器・制御器をサスペンション部品のナックルなどに固定する配置とすることも可能である。
サスペンションアーム260には、ナックル262を介し、車軸264が支持される。車軸264には、ホイール14が固定されており、車軸264の回転によりホイール14が回転する。なお、ホイール14の外周にタイヤ16が取り付けられる。
ホイール14のタイヤ16を支持する外周部14aの内面には、摩擦用ディスク250と、回生用ディスク252が別々に設けられる。この例では、ホイール14内の奥側(外側)に摩擦用ディスク250が設けられ、手前側(内側)に回生用ディスク252が設けられる。摩擦用ディスク250、回生用ディスク252は、それぞれホイール14の内面から径方向内側に突出するドーナツ状のディスクである。そして、摩擦用ディスク250、回生用ディスク252のそれぞれに対応して摩擦制動部126、回生制動部124が設けられる。摩擦制動部126、回生制動部124は、上述した各種の構成を採用することができるが、回生制動部124はモータを用いることが好ましい。また、この例では、ホイール蓄電器138a付きのホイール制御器138を有し、摩擦制動部126、回生制動部124を制御する。すなわち、ホイール14について必要な制動力を、摩擦制動部126および回生制動部124で発生し、回生制動部124で得た電力をホイール蓄電器138aに蓄えておき、ホイール蓄電器138aからの電力により摩擦制動部126を駆動する。
図14は、ホイール制御器138が回生分と摩擦分の制動量を配分する流れを表している。ホイール蓄電器138aの蓄電率、回生制動部124のホイール回生用モータの回転信号から得られる高精度なホイールの減速度、ホイール14の角速度(回転速度)に対応して定められる回生係数krgに従い、車両の制動配分設定部94から出された各輪の制動トルクを回生分と摩擦分に振り分ける。
図14に示すように、制動配分設定部94は、車両の状況に応じて、高負荷ブレーキ34、回生ブレーキ36、EPB32、ホイールブレーキ30に制動力T,T,T,Twiを配分する。なお、iはタイヤを特定する添え字である。そして、ホイールの制御部270が、摩擦制動部126、回生制動部124に制動力Twiを振り分ける。
ホイールのホイール蓄電器138aの蓄電率をcpw、ホイールの減速度をα、ホイールの角速度をωとしたときに、ホイールブレーキの回生係数krgをこれらの関数として次式によって決定する。
rg=fun(cpw,α,ω)、0≦krg≦1
そして、ホイールの制動量T=回生分Trg+摩擦分Tfrとして、回生分Trg=krg、摩擦分Tfr=(1−krg)Tに配分する。
このようにして、ホイール制御器138において、必要な制動量を摩擦制動部126、回生制動部124に配分する。なお、回生係数は蓄電率が高いほど小さく、減速率が大きいほど小さく、ホイール角速度が小さいほど小さく設定される。
「減速度・車速の領域マップにおける制動力の分担」
図15は、図1に対応する減速度・車速のマップで、複数の制動手段を使い分ける領域を表している。本実施形態のように、回生と摩擦の制動機能をホイールブレーキに併設することで、高い動力吸収と効きの性能を実現することができる。また、高負荷ブレーキ34をばね上に設けることで、ばね下のホイールブレーキ30の重量を小さくでき、路面から車体への振動伝達を抑制することができる。ホイールブレーキ30が摩擦制動部126だけでなく、回生制動部124を有することで、ホイールブレーキ30の動作範囲を拡大することができる。
図16は、図15の回生・摩擦式ホイールブレーキ(ホイールブレーキ30)の動作部分を拡大して、回生制動部124のみが作動する場合の領域に綱掛けをした図である。
蓄電器138aの蓄電率がほぼ零で回生係数krgが1となる場合は、回生制動部124のモータによる回生制動で網掛けした範囲の減速度・速度領域を受け持つ。回生係数krgによって、回生と摩擦の制動配分は変動するが、極低速で極めて大きな減速度が必要な図中右端の領域では、摩擦制動が主体となり、減速度が小さく速度が大きい図中左上の領域では、回生と摩擦の両者が共に機能することが多くなる。
「ホイールブレーキの機能ブロック」
図17に、電気式回生を主体とする場合のホイールブレーキ30の機能ブロック図を示す。
ホイールブレーキ30のホイール制御器138は、車両の制動ECU44からの車両情報と制動力配分指令に従い、ホイール側の回生制動部124の高精度な速度・減速度情報とホイール蓄電器138aからの蓄電率情報に基づき、回生係数を算出して回生と摩擦の制動力を配分する。ホイール蓄電器138aの蓄電率が大きい場合は、摩擦ブレーキの制動割合を増したり、車両蓄電器50に送電したりできる。逆にホイール蓄電器138aの蓄電率が小さく摩擦制動部126による制動が必要な場合は、車両蓄電器50からホイール蓄電器138aに送電して電力の補充が行われる。
図18に連携の概略を示す。車両蓄電器50との連携は必ずしも必要としないが、ばね下の軽量化優先や制動が多くなる走行条件に適合するために、ホイール蓄電器138aの蓄電容量を下げる場合には、車両蓄電器とホイール蓄電器の連携が望ましくなる。回生制動部124による回生制動と摩擦制動部126の摩擦制動の両方が行われる領域では、動力の回収と消費の両方が行われる。回生制動のみの場合には動力の回収、摩擦制動のみの場合には動力の消費が行われ、両者オフの場合には制動は行われない。また、回生制動による余剰の電力は車両蓄電器50に充電することができ、摩擦制動の動力が不足する場合には車両蓄電器50から送電することができる。
「回生係数に基づく制御フロー」
図19は、ホイールブレーキ回生係数に基づく制御フローの概要を表している。まず、車両の制動配分設定部94からホイールブレーキ30の必要制動量についての指令が供給される。
回生係数krgが零の場合は、回生制動部124による回生ブレーキがオフになり、摩擦制動部126による押圧制御で摩擦ブレーキが作動する。
回生係数krgが1の場合は、回生制動部124による回生ブレーキがオンになり、トルク制御で回生ブレーキが作動する。
回生係数が零と1の間にある場合は、上述したように、回生制動部124と、摩擦制動部126により、回生係数に比例した回生と摩擦のトルク配分が行われる。
また、動力変換部132におけるモータ(ホイールモータ)を回生だけでなく低速駆動用としても活用することができる。この場合は、車両速度が指定値以下(V<Vl)であったり、路面摩擦係数が指定値以下(μ<μl)であったりする場合に限り、ホイールモータに駆動指示を出す。モータを高精度な回転パルスに基づいて速度制御することで、停止時の乗員へのショックを緩和したり、ホイールロックによる車両のスピンを回避したりすることができる。
「本実施形態の効果」
(1)ばね下に装備する低負荷制動手段の活用範囲(速度・減速度)を拡充できる
(2)制動システムのエネルギー循環効率を向上することができる
(3)停止直前の回生モータの複雑な制御が不要となる(摩擦制動やモータの速度制御への切換えが可能)
「効果が得られる理由」
(従来技術の問題)
これまでは、ばね上に存在する駆動用モータで、動力伝達機構を介して回生制動と蓄電を行い、ばね上に蓄電した電力を用いて、ばね下のホイールブレーキを駆動していた。しかしこの方法では、低速走行では、回生制動量が乏しくなり、頻繁にホイールブレーキに頼ることになり、回生効率が悪い。
また、各ホイールまでの長い電源ケーブルを経由してホイールブレーキに電力を送ることになり、電力損失が大きくなるとともに、電源ケーブル類の配設でシャシー設計の自由度が制約されることになる。
また、ばね上に高負荷制動手段、ばね下に低負荷制動手段をもつ場合において、低負荷制動手段に求められる制動容量を、ホイールに設けたモータ回生のみで実現する場合には、モータのサイズや重量が大きくなり、それに対応して駆動や回生に必要な電力を通すケーブルも太くなるので、ばね下が重くなり、曲げ難いケーブルの配設用治具も必要で重量が増す要因となる。
(実施形態の作用効果)
それに対して、本実施形態では、低負荷制動手段として、ホイール近傍に回生と摩擦の両制動手段を備えることで、回生された電力を即座に摩擦制動に消費できるようになるので、回生に求められる制動容量を小さく抑え、摩擦との併用により、高減速度や高速条件での制動も可能になる。
また、停止時には、ばね上モータによる低速域での難しいトルク制御を行わずに、ホイールブレーキで摩擦制動をしながらモータの速度制御による駆動ができるので、滑らかに停止させたり、急停止要望時には摩擦のみに切り替えて即座に停止できる。
なお、ホイールブレーキの回生モータは、(ギヤ比、有効径比から)ホイール回転数の10倍程度で回転するため、モータによる速度制御が高精度に行える。
10 車両、12 車体、14 ホイール、16 タイヤ、20 パワーユニット、22 ドライブシャフト、24 サブパワーユニット、30 ホイールブレーキ、34 高負荷ブレーキ、36 回生ブレーキ、40 車両制御部、50 車両蓄電器、120 ブレーキディスク、120a ディスク摩擦材、120b ディスクギア、122 ピニオン、122a ピニオン軸、124 回生制動部、126 摩擦制動部、126a パッド摩擦材、126b 押圧軸。

Claims (7)

  1. ホイールがばねを介して車体に取り付けられる車両についての制動システムであって、
    ばね下に設けられ、対応するホイールを制動するばね下制動手段と、
    ばね上に設けられ、ホイールへ動力を伝達する動力伝達機構を制動するばね上制動手段と、
    車両走行時に必要な制動量を算出し、算出された制動量をばね下制動手段とばね上制動手段とに分配する制御装置と、
    を含み、
    前記ばね下制動手段は、ホイールを回生制動してエネルギーを発生する回生制動部と、ホイールを摩擦制動する摩擦制動部と、回生制動部および摩擦制動部の制動量を制御するホイール制御器を有する、
    制動システム。
  2. 請求項1に記載の制動システムであって、
    前記ばね下制動手段の回生制動部は、対応するホイールの回転に同期して回転する回転同期部と、回転同期部の回転からエネルギーを発生する動力変換部と、を含み、
    前記ホイール制御器が、動力変換部における回生制動量を制御する、
    制動システム。
  3. 請求項2に記載の制動システムであって、
    さらに、
    回転同期部と動力変換部との間の動力伝達を制御する接続・遮断部を有する、
    制動システム。
  4. 請求項3に記載の制動システムであって、
    接続・遮断部は、回生制動力が必要、または回生による動力貯蔵が必要な時に接続され、空走時、または低負荷制動手段への衝撃を回避したい時に遮断する、
    制動システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の制動システムであって、
    前記ばね下制動手段の摩擦制動部は、前記回生制動部で発生したエネルギーを貯蔵する動力貯蔵部と、前記回生制動部で発生したエネルギーを利用して摩擦材駆動力を発生する摩擦材駆動部と、摩擦材駆動部により発生された並進駆動力によってホイールに押し付けられてホイールを摩擦制動する摩擦材とを含み、
    前記ホイール制御器が、動力貯蔵部と摩擦材駆動部へのエネルギーの分配を制御する、
    制動システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の制動システムであって、
    ばね下制動手段における、回生制動分と摩擦制動分の振り分けには回生係数を用い、
    回生係数はホイールの角速度、減速度、および動力貯蔵率によって決定される、
    制動システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の制動システムであって、
    ばね下制動手段における、回生制動部においてモータを用い、
    このモータによりホイールを駆動させることができる、
    制動システム。
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